JP2014196416A - エポキシ化リグニン、その製造方法、その樹脂組成物およびその成形材料 - Google Patents

エポキシ化リグニン、その製造方法、その樹脂組成物およびその成形材料 Download PDF

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Abstract

【課題】成形材料に適用可能な、熱溶融性に優れるエポキシ化リグニンを提供する。
【解決手段】リグニン誘導体をエポキシ化して得られるエポキシ化リグニンであって、該エポキシ化リグニンが、数平均分子量400〜1000、130℃以下の軟化点を有することを特徴とする成形材料に適用可能な、熱溶融性に優れるエポキシ化リグニンであり、前記特性を有することにより、樹脂組成物、成形材料を得ることがか可能となった。
【選択図】なし

Description

本発明は、エポキシ化リグニン、その製造方法、その樹脂組成物およびその成形材料に関するものである。
樹皮、間伐材、建築廃材等の木質系廃材(バイオマス)は、これまでその多くが廃棄処分されている。しかしながら、地球環境保護が重要課題になりつつあり、その観点から、木質系廃材の再利用、リサイクルが検討され始めている。
一般的な木質成分に、約30%含まれるリグニンは、セルロースに次いで豊富に生合成される物質であり、芳香環や、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基を、豊富に含む構造を有しており、樹脂原料としての利用が期待されている(例えば、特許文献1参照)。
リグニンは様々な方法で取り出され、特許文献2には、クラフト法、酸・酸素による糖化法、蒸煮・爆砕法、溶剤法等の処理を経て得られたリグニンを硬化剤として、エポキシ化亜麻仁油と混合し、加熱処理して得られた組成物を、絶縁性高分子材料として用いることが開示されている。
なかでもリグニンがポリフェノール骨格を有することから、熱硬化性を有するエポキシ化リグニン、及びこれを用いたエポキシ樹脂組成物としての利用が期待されている。
しかし従来のフェノール化合物のエポキシ化法においては、非特許文献1に記載されているように、フェノール化合物のエピクロルヒドリン溶液にアルカリ金属水溶液を加えて還流することにより、エポキシ化合物を得ていた。従来のエポキシ化法で、バイオマス由来フェノール化合物を用いた場合、得られたエポキシ化合物の熱溶融性に関する記載はない。
また、特許文献2ではアルカリ水溶液のpHを下げることによって溶媒溶解性を付与しているが、熱溶解性については記載がない。
また低線膨張率を目的としてフィラー等を多く含ませた成形材料では、高い熱溶融性が必要であった。
特開2001−261839号公報 特開2008−138061号公報
H.Lee AND K.Neville、"Handbook of Epoxy Resins"、McGraw−Hill、New York、1960,pp.2−3
本発明の目的は、成形材料に適用可能な、熱溶融性に優れるエポキシ化リグニンを提供することにある。
従来のエポキシ化法では、エポキシ化リグニンの熱溶融性は低かった。そのため、高いフィラー充填量を有する成形材料への適用が困難であった。
本発明は以下の(1)〜(12)に示す通りである。
(1)リグニン誘導体をエポキシ化して得られるエポキシ化リグニンであって、該エポキシ化リグニンが、数平均分子量400〜1000、かつ130℃以下の軟化点を有することを特徴とするエポキシ化リグニン。
(2)(1)記載のリグニン誘導体が数平均分子量200〜800である事を特徴とするエポキシ化リグニン。
(3)前記のリグニン誘導体に含まれるフェノール性水酸基およびアルコール性水酸基において、フェノール性水酸基の含有量が、アルコール性水酸基の含有量の4〜50倍である(1)または(2)記載のエポキシ化リグニン。
(4)前記エポキシ化リグニンを製造する方法であって、少なくとも、リグニン誘導体、エピクロルヒドリン及びアルカリ水溶液を含む懸濁液を作製する工程、該懸濁液を120℃以下で反応させる工程、
エピクロルヒドリンを留去してエポキシ化リグニンを得る工程を含むことを特徴とするエポキシ化リグニンの製造方法。
(5)前記当該懸濁液を120℃以下で反応させる工程が、第一反応温度で反応させる第一反応と、第二反応温度で反応させる第二反応の二段階反応工程を含み、第一反応温度<第二反応温度≦120℃であるエポキシ化リグニンの製造方法。
(6)前記製造方法において、第一反応温度が50℃以下、第二反応温度が70℃以下であるエポキシ化リグニンの製造方法。
(7)前記懸濁液を作製する工程において、さらに相間移動触媒を添加するエポキシ化リグニンの製造方法。
(8)(7)記載の相間移動触媒が、下式で表される第四級アンモニウム塩もしくは、水酸化テトラアルキルアンモニウムである請求項4に記載のエポキシ化リグニンの製造方法。

(R:アルキル基、X:F,Cl,Br,I,OH)
(9)前記第一反応と第二反応の間に、アルカリ水溶液を添加する工程を含むエポキシ化リグニンの製造方法
(10)前記アルカリ水溶液は濃度が0.5mol/L以上の水酸化ナトリウム水溶液及び水酸化カリウム水溶液である請求項4に記載のエポキシ化リグニンの製造方法
(11)(1)乃至(3)いずれか1項に記載のエポキシ化リグニンと、硬化剤と、を含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
(12)(1)乃至(3)いずれか1項にエポキシ化リグニンと、硬化剤と、フィラーとを含むことを特徴とする成形材料。
高温高圧水で分解された低分子量のリグニンを低温及び強アルカリ水溶液を用いて反応させることで、プロセス数が少なく、収率良く、かつ熱溶融性に優れるエポキシ化リグニンを得ることが出来る。
本発明によれば、熱溶融性に優れるエポキシ化リグニン誘導体が収率良く、プロセスコストに優れた方法で得られ、また得られたエポキシ化リグニン誘導体を用いることでフィラーを多く含む成形材料であっても優れた熱加工性を付与することが出来る。
以下、本発明の樹脂組成物、および、樹脂成形体について好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<樹脂組成物>
本発明のエポキシ化リグニンは、バイオマス由来のリグニン誘導体をエピクロルヒドリンと強アルカリ水溶液で反応させることで得られ、数平均分子量が400〜1000であり、かつ130℃以下で熱溶融性を示すことを特徴とする。
130℃以下で熱溶融性を示すことは、軟化点が130℃以下であれば達成することができる。
また、本発明のエポキシ化リグニンのエポキシ基当量は、150〜800であり、より好ましくは150〜600である。エポキシ基当量が800よりも大きすぎると成形時に架橋反応が十分に進行しない。また、リグニンの構造上、150よりもエポキシ基当量が小さいエポキシ化リグニンの作製は困難である。
以下、樹脂組成物の各成分について順次説明する。
<リグニン誘導体>
本発明に用いられるリグニン誘導体は、バイオマスを分解して得られたものである。バイオマスとは、植物または植物の加工品であるが、これらは光合成の過程で大気中の二酸化炭素を取り込み固定化してなるものであるため、大気中の二酸化炭素の増加抑制に寄与している。このため、バイオマスを工業的に利用することによって、地球温暖化の抑制に寄与することができる。
本発明で用いられるバイオマスを分解してリグニン誘導体を得る処理方法としては、例えば、植物または植物加工品を、薬品処理する方法、加水分解処理する方法、水蒸気爆砕法、超臨界水処理法、亜臨界水処理法、機械的に処理する方法、硫酸クレゾール法、パルプ製造法、などが挙げられる。環境負荷の点から、水蒸気爆砕法、超臨界水処理法、亜臨界水処理法、機械的に処理する方法が好ましい。得られるリグニン誘導体の純度の点から、水蒸気爆砕法、亜臨界水処理法が更に好ましい。
リグニン誘導体の具体例としては、下記式(2)で表わされるグアイアシルプロパン構造、下記式(3)で表わされるシリンギルプロパン構造、下記式(4)で表わされる4−ヒドロキシフェニルプロパン構造等が挙げられる。なお、針葉樹類からは主にグアイアシルプロパン構造が、広葉樹類からは主にグアイアシルプロパン構造およびシリンギルプロパン構造が、草本類からは主にグアイアシルプロパン構造、シリンギルプロパン構造および4−ヒドロキシフェニルプロパン構造がそれぞれ抽出される。
また、本発明におけるリグニン誘導体は、水酸基に対して芳香環のオルト位およびパラ位の少なくとも一方が無置換になっているものが好ましい。このようなリグニン誘導体は、芳香環への親電子置換反応により硬化剤が作用する反応サイトを多く含み、水酸基での反応において立体障害が低減できることになるため、反応性に優れたものとなる。また本発明におけるリグニン誘導体にはリグニン分解物のほかに、セルロース分解物およびヘミセルロース分解物を含んでいてもよい。
本発明におけるリグニン誘導体(A)は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定されたポリスチレン換算の数平均分子量が200〜800であるものが好ましく、300〜750であるものがより好ましい。このような数平均分子量のリグニン誘導体(A)は、その反応性(硬化性)と熱溶融性または溶解性とをより高度に両立するものとなる。したがって、硬化後の耐溶剤性と成形性とを高度に両立する樹脂組成物が得られる。
次に、リグニン誘導体を製造する方法の1例について説明する。
リグニン誘導体を製造する方法は、[1]バイオマスを溶媒存在下におき、これらを高温高圧下で分解処理する工程と、[2−a]処理物中の固形成分にリグニン誘導体が含まれる場合、固形成分を極性溶媒で処理し、極性溶媒に対する不溶分と溶解液とを分離する工程及び/または[2−b]処理物中の溶媒にリグニン誘導体が含まれる場合、リグニン誘導体を含む溶媒(溶解液)を固形成分から分離する工程と、[3][2−a]及び/または[2−b]の溶解液を乾燥させ、溶質(リグニン誘導体)を回収する工程と、を有する。以下、各工程について順次説明する。
[1]
まず、バイオマスを溶媒存在下におき、高温高圧下で分解処理する。バイオマスとは、前述したように植物または植物の加工品であるが、この植物としては、例えば、ブナ、白樺、ナラのような広葉樹、スギ、マツ、ヒノキのような針葉樹、竹、稲わらのようなイネ科植物、椰子殻等が挙げられる。
そして、分解処理にあたり、バイオマスをブロック状、チップ状、粉末状等に粉砕しておくことが好ましい。その場合、粉砕後の大きさが100μm〜1cm程度であるのが好ましく、200〜1000μm程度であるのがより好ましい。このような大きさのバイオマスを用いることにより、液中でのバイオマスの分散性を高めるとともに、バイオマスの分解処理を効率よく行うことができる。
本工程において用いる溶媒としては、例えば、水の他、メタノール、エタノールのよう
なアルコール類、フェノール、クレゾールのようなフェノール類、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類、アセトニトリルのようなニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミドのようなアミド類等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合溶媒が用いられる。
また、溶媒としては特に水が好ましく用いられる。水としては、例えば、超純水、純水、蒸留水、イオン交換水等が用いられる。水を用いることにより、リグニン誘導体の意図しない変性が抑制されるとともに、分解処理に伴って発生する廃液が水性であることから、環境負荷を最小限に抑えることができる。溶媒の使用量としては、バイオマスに対して多いほどよいが、好ましくはバイオマスに対して1〜20質量倍程度であるのが好ましく、2〜10質量倍程度であるのがより好ましい。
次に、溶媒存在下においたバイオマスを高温高圧下で分解処理する。これにより、バイオマスは、リグニン、セルロース、ヘミセルロース、およびその他のそれらの分解物や反応物等に分解される。
高温高圧環境の生成においては、高温高圧に耐えうる容器であれば特に制限はないが、オートクレーブのような耐圧容器を用いることができる。また、この耐圧容器としては、加熱手段や撹拌手段を備えているものが好ましく用いられ、高温高圧下でバイオマスを撹拌する等の機械的エネルギーを加えられることが好ましい。また、必要に応じて容器内の温度など圧力に影響を与える要因とは独立に加圧する手段を備えていてもよい。かかる手段としては、例えば、容器内に窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスを導入する手段等が挙げられる。
分解処理における条件は、処理温度が150〜400℃であるのが好ましく、180〜350℃であるのがより好ましく、220〜320℃であるのがさらに好ましい。処理温度が前記範囲内であれば、分解後に得られるリグニン誘導体の分子量を最適化することができる。これにより、樹脂組成物の成形性と硬化後の耐溶剤性とをより高度に両立させることができる。
また、分解処理における処理時間は、処理に用いる装置により、適切な処理時間を用いてもよい。例えば用いる装置がオートクレーブであるならば、480分以下であるのが好ましく、15〜360分であるのがより好ましい。処理時間が480分以上であれば、熱エネルギーコストがかかってしまうため、生産コストが上がってしまう。処理時間が15分より短くても問題はないが、装置によっては伝熱が不十分でバイオマスの分解が不十分なときがある。
さらに、分解処理における圧力は、1〜40MPaであるのが好ましく、1.5〜25MPaであるのがより好ましく、3〜20MPaであるのがさらに好ましい。圧力が前記範囲内であれば、バイオマスの分解効率を格段に高めることができ、その分、処理時間の短縮化を図ることができる。
なお、分解工程の前処理として、バイオマスと前記溶媒とを十分に撹拌し、両者をなじませる工程を行うのが好ましい。これにより、バイオマスの分解を特に最適化することができる。撹拌温度は、0〜150℃程度であるのが好ましく、10〜130℃程度であるのがより好ましい。また、撹拌時間は、1〜120分程度であるのが好ましく、5〜60分程度であるのがより好ましい。さらに、撹拌方法としては、ボールミル、ビーズミル等の各種ミル、撹拌翼を備えた撹拌機等を用いた方法、ホモジナイザー、ジェットポンプなどによる水流攪拌を用いた方法等が挙げられる。
また、溶媒中には、必要に応じて、分解処理を促進する触媒、酸化剤を添加するようにしてもよい。この触媒としては、例えば、炭酸ナトリウムのような無機塩基類、酢酸、ギ酸のような無機酸類等が挙げられ、酸化剤としては、過酸化水素等が挙げられる。これらの触媒および酸化剤の添加量は、水溶媒中の濃度で0.1〜10質量%程度であるのが好ましく、0.5〜5質量%程度であるのがより好ましい。
なお、撹拌温度としては、0〜150℃程度であるのが好ましく、10〜130℃程度であるのがより好ましい。
また、撹拌時間としては、1〜120分程度であるのが好ましく、5〜60分程度であるのがより好ましい。
さらに、撹拌方法としては、ボールミル、ビーズミル等の各種ミル、撹拌翼を備えた撹拌機等を用いた方法、ホモジナイザー、ジェットポンプなどによる水流攪拌を用いた方法等が挙げられる。
また、分解処理において用いる溶媒は、亜臨界または超臨界の状態(条件)で用いられるのが好ましい。亜臨界または超臨界の状態にある溶媒は、触媒等の特別な添加成分なしにバイオマスの分解処理を促進することができる。このため、煩雑な分離プロセスを用いずに、バイオマスを短時間で分解処理することが可能となり、リグニン誘導体の製造コストの低減および製造工程の簡略化を図ることができる。
一例として、水の臨界温度は約374℃、臨界圧力は約22.1MPaである。
[2−a]
耐圧容器内の処理物を濾過する。そして濾液を除去し、濾別した固形成分を回収する。そして、回収した固形成分を、リグニンが可溶な溶媒に浸漬する。リグニンが可能な溶媒に浸漬した固形成分をさらに濾過することにより、溶媒に溶解する成分(可溶分)と溶媒に不溶な成分(不溶分)とに分離する。
リグニンが可溶な溶媒としては、各種極性溶媒が用いられ、特にメタノール、エタノール等の低級アルコール類、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類を含むものが好ましく用いられる。これらの極性溶媒を用いることにより、回収した固形成分から、極性溶媒に溶解するリグニン誘導体とこの極性溶媒に不溶なリグニン誘導体とを分離して抽出することができる。
浸漬時間は、特に限定されないが、1〜48時間程度であるのが好ましく、2〜30時間程度であるのがより好ましい。また、浸漬時に溶媒の沸点以下で加温することも可能である。
[2−b]
耐圧容器内の処理物を濾過する。そして固形成分を除去し、濾別した濾液を回収する。
[3]
次に、分離工程により得られた濾液(溶解液)からリグニンが可溶な溶媒を留去し、乾燥させた溶質(リグニン誘導体)を回収する。
分解処理に2種類以上の溶媒を用いた場合、濾液(溶解液)には2種類以上の溶媒が含まれている。
リグニン誘導体が2種類以上の溶媒に対して均一に分散している場合は、まとめて溶媒を
留去することが好ましい。
濾液(溶解液)が、リグニン誘導体を含む層と、リグニン誘導体を含まない層とに相分離している場合は、前記リグニン誘導体を含まない層を分離することにより、リグニン誘導体を含む溶液のみを回収してから、溶媒を留去することが好ましい。
溶媒を留去する方法として、例えば減圧して乾燥する(減圧乾燥)方法が挙げられるが、これに限定されたものではない。減圧乾燥温度は留去する溶媒に合わせた温度にすることが好ましい。分解処理に用いる溶媒は、高沸点のもので210℃以下である。したがって、減圧乾燥温度は40〜250℃が好ましく、50〜230℃がより好ましい。
減圧乾燥における時間は、特に限定されないが、0.5〜48時間程度であるのが好ましく、1〜24時間程度であるのがより好ましい。
揮発成分量を制御することに有効な減圧乾燥の温度と時間は、乾燥するスケールによって異なる。用いる減圧乾燥機によって最適な温度と時間を選択すればよい。
減圧乾燥における圧力は、0.1〜60kPaが好ましく、0.5〜50kPaがより好ましい。
<フェノール性水酸基およびアルコール性水酸基の測定>
前記のリグニン誘導体に含まれるフェノール性水酸基およびアルコール性水酸基は、1H−NMR測定結果の帰属によって測定することができる。
本発明のリグニン誘導体が1H−NMR分析に供されたとき、得られる化学シフトのスペクトルにおいて、フェノール性水酸基に帰属するピークの積分値が、アルコール性水酸基に帰属するピークの積分値の4〜50倍であることが好ましい。これにより、リグニン誘導体(A)の架橋樹脂の機械的特性に寄与する反応性と成形材料の成形性に寄与する熱溶融性または溶媒への溶解性とを、より高度に両立することができる。その結果、寸法精度が高くガラス転移温度などの耐熱性に優れた樹脂成形体が得られる。
<エポキシ化リグニン作製方法>
本特許の実施形態のエポキシ化リグニンを製造する方法を詳細に説明する。本発明において、エポキシ化リグニンはリグニンの水酸基と、下式(5)で表されるエピクロルヒドリンを反応させて、グリシジルエーテル化することで得られるものである。

本発明のエポキシ化リグニンの製造方法は以下の工程を含んでいる。
(1)少なくとも、リグニン誘導体、エピクロルヒドリン及びアルカリ水溶液を含む懸濁液を作製する工程、
(2)該懸濁液を120℃以下で反応させる工程、
(3)エピクロルヒドリンを留去してエポキシ化リグニンを得る工程
<工程(1)の説明>
工程(1)において、リグニン誘導体、エピクロルヒドリンおよびアルカリ水溶液を含む
懸濁液の作製方法について詳細に説明する。
リグニン誘導体とエピクロルヒドリンの溶解混合物を、120℃以下でグリシジルエーテル化した後、工程(2)においてアルカリ水溶液を加えて、120℃以下で反応させて
、脱ハロゲン化水素(閉環)させる方法を採用することができる
懸濁液は、リグニン誘導体を過剰のエピクロルヒドリンに溶解・混合し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのアルカリ金属水溶液を添加し、又は、添加しながら懸濁液を作製する方法、もしくはリグニン誘導体を水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのアルカリ金属水溶液に混合、溶解し、過剰のエピクロルヒドリンを混合させて懸濁液を作製する方法によって作製が出来る。
通常、これらの反応において使用されるエピクロルヒドリンの量は、フェノール系樹脂の水酸基1当量に対して、通常1〜40モル、好ましくは2〜20モルである。
アルカリ水溶液の使用量は、フェノール系樹脂の水酸基1当量に対して、通常0.8〜3.0モル、好ましくは0.9〜2.0モルである。さらに、反応を円滑に進行させるために、メタノール、エタノール等のアルコール類の他、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒等を添加して反応を行うこともできる。
アルコール類を使用する場合、その使用量は、エピクロルヒドリンの量に対して、通常2〜20重量%、好ましくは4〜15重量%である。また、非プロトン性極性溶媒を用いる場合は、エピクロルヒドリンの量に対して、通常5〜100重量%、好ましくは10〜90重量%である。
<工程(2)の説明>
工程(2)において、前記当該懸濁液を第一反応温度で反応させる第一反応と、第二反応温度で反応させる第二反応の二段階反応工程を含み、第一反応温度<第二反応温度≦120℃であることが好ましい。
また前記第一反応温度は、70℃以下が好ましく、さらに好ましくは50℃以下である。前記第二反応温度は、90℃以下が好ましく、さらに好ましくは70℃以下である。
<工程(3)の説明>
前記反応物を、水洗後、または水洗しないで、大気圧下110〜250℃、または加熱減圧下50〜110℃、圧力10mmHg以下で、エピクロルヒドリンや溶媒などを除去する。
又、さらに、加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、得られたエポキシ樹脂を、トルエン、メチルイソブチルケトン等の溶剤に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて、さらに反応を行い、閉環を確実なものにすることもできる。
この場合、アルカリ金属水酸化物の使用量は、グリシジルエーテル化に使用した、本発明におけるフェノール系縮合体の水酸基1当量比に対して、通常0.01〜0.5モル、好ましくは0.05〜0.3モルである。反応温度は、通常50〜120℃、反応時間は、通常0.5〜2時間である。
反応終了後、反応によって生成した塩などの不純物を、ろ過、水洗等で除去した後、さらに、加熱減圧下、トルエン、メチルイソブチルケトン等の溶剤を留去することにより、エポキシ化リグニンが得られる。
前記懸濁液を作製する工程(1)において、さらに相間移動触媒を添加しても良い。
相間移動触媒は、下式で表される第四級アンモニウム塩もしくは、水酸化テトラアルキルアンモニウムを用いることが好適である。

(R:アルキルキ、X:F,Cl,Br,I,OH)
工程(2)において、第一反応と第二反応の間に、アルカリ水溶液を添加する工程を設けてもよい。第一反応と第二反応の間に、アルカリ水溶液を添加する工程を入れることで、閉環反応をより進みやすくすることが出来る。
前記アルカリ水溶液は、濃度が0.5mol/L以上の水酸化ナトリウム水溶液及び水酸
化カリウム水溶液)が好適に使用することができる。さらに好ましくは濃度が0.6mol/L以上である。
<分子量測定方法>
本発明において、リグニン誘導体、及びエポキシ化リグニンの分子量の測定方法のゲル浸透クロマトグラフィー一例について詳細に説明する。
本発明におけるリグニン誘導体(A)を溶媒に溶解させ、測定サンプルを調整する。このときに用いられる溶媒は、リグニン誘導体(A)を溶解できるものであれば特に限定されるものではないが、ゲル浸透クロマトグラフィーの測定精度の観点から、例えば、テトラヒドロフランが好ましい。
次に、GPCシステム「HLC−8320GPC(東ソー製)」に、スチレン系ポリマー充填剤を充填した有機系汎用カラムである「TSKgelGMHXL(東ソー製)」、および「G2000HXL(東ソー製)」を直列に接続する。
このGPCシステムに、前記の測定サンプルを200μL注入し、40℃において、溶離液のテトラヒドロフランを1.0mL/minで展開し、示差屈折率(RI)、および紫外吸光度(UV)を利用して保持時間を測定する。別途作製しておいた標準ポリスチレンの保持時間と分子量の関係を示した検量線から、前記リグニン誘導体(A)の数平均分子量を算出することができる。
検量線を作成するために使用する標準ポリスチレンの分子量としては、特に限定されるものではないが、例えば、数平均分子量が427,000、190,000、96,400、37,900、18,100、10,200、5,970、2,630、1,050および500の標準ポリスチレン(東ソー製)のものを用いることができる。
本発明において、エポキシ化リグニン、及び各種硬化剤、触媒、添加剤等を含む樹脂組成物として用いることが出来る。
本実施形態における硬化剤としては、脂肪族や芳香族のポリアミン類、ポリフェノール化合物、ノボラック樹脂、酸無水物、レゾール型フェノール樹脂, メチロール基含有尿
素樹脂、メチロール基含有メラミン樹脂など一般のエポキシ樹脂用硬化剤を使用する事ができる他に、水酸基を有するリグニン誘導体を用いる事ができる。
本実施形態における触媒としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールのようなイミダゾール類、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノナン−5−エン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミンのような3級アミン類、トリフェニルホスフィン、テトラ−n−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート等の一般的
なエポキシ樹脂用触媒が挙げられる。
前記触媒を添加する場合は、前記触媒の添加量は、樹脂組成物量100重量部に対し、0.01〜5.0重量部が好ましく、0.1〜2.5重量部がさらに好ましい。
さらに、必要に応じて各種添加剤を含んでいてもよい。
かかる各種添加剤としては、例えば、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシランのようなシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、アルミニウム/ジルコニウムカップリング剤のような各種カップリング剤、カーボンブラック、ベンガラのような着色剤、ポリエチレンワックス、高級脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、ケトン・アミン類、水素硬化油のような合成ワックス、パラフィンワックス、モンタンワックスのような天然ワックス、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛のような高級脂肪酸およびその金属塩類、パラフィンのような離型剤、シリコーンオイル、シリコーンゴムのような低応力化成分、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、フォスファゼンのような難燃剤、酸化ビスマス水和物のような無機イオン交換体、内部離型剤等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせたものが用いられる。
また、成形材料が離型剤を含む場合、離型剤の含有量は、樹脂組成物100質量部に対して0.01〜10質量部であるのが好ましく、0.1〜5質量部であるのがより好ましい。なお、離型剤の含有量が前記未満である場合、樹脂組成物や架橋剤を成形型に充填して成形したとき、離型性が不十分となるおそれがあり、一方、離型剤の含有量が前記上限値を上回る場合、樹脂組成物と架橋剤の硬化性が低下するおそれがある。
なお、樹脂組成物は後述のフィラーを加えて作製することもできる。
次に、樹脂組成物の作成方法について説明する。エポキシ化リグニンと、その他の樹脂成分を、任意の方法および順序で混合する。混合する際には、熱板や、加圧ニーダー、ロール、コニーダー、二軸押し出し機等の混練機等を用い、混合物が硬化する温度未満で加熱溶融混練する。加熱する際の具体的な加熱温度は、選択する組成に応じて若干異なるが、好ましくは50〜130℃程度とされる。前記混合物を冷却したものを粉砕することにより、顆粒状の樹脂組成物が得られる。
また、樹脂組成物を調製する際には、必要に応じて有機溶媒を添加するようにしてもよい。有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセルソルブ、アセトン、メチルセルソルブ、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、キノリン、シクロペンタノン、キシレン、m−クレゾール、クロロホルム等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。
なお、本発明の樹脂組成物は、作業性を高める観点から塊状が好ましく、樹脂組成物の成形安定性を高める観点からペレット状または板状が更に好ましい。
本発明における樹脂組成物は、後述する成形材料や紙積層板、及び木質建材、木質化粧板、熱可塑性樹脂への添加剤、ゴム組成物用の添加剤、摩擦材、鋳型用樹脂等の用途に対して、熱硬化樹脂として用いることが出来る。
本発明におけるエポキシ化リグニンは、樹脂組成物と同様に、各種硬化剤、触媒、添加
剤などに加えて、フィラーを加えることにより、特に成形材料として用いることができる。
本実施形態におけるフィラーとしては特に限定するものではないが、例えば、タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラスのようなケイ酸塩、酸化チタン、アルミナのような酸化物、溶融シリカ(溶融球状シリカ、溶融破砕シリカ)、結晶シリカのようなケイ素化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイトのような炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムのような水酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウムのような硫酸塩または亜硫酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウムのようなホウ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素のような窒化物等の粉末、ガラス繊維、炭素繊維等の繊維片といった無機充填材の他、木粉、パルプ粉砕粉、布粉砕粉、熱硬化性樹脂硬化物粉、アラミド繊維のような有機充填材等が挙げられる。このうち、充填材としては、特に、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、ケイ素酸化物、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、木粉、パルプ粉砕粉、および布粉砕粉のうちの少なくとも1種を含むものが好ましく用いられる。これらのフィラーは、樹脂組成物から製造された樹脂成形体の膨張率を低くすることができる。
また、フィラーの平均粒径は、0.1〜500μm程度であるのが好ましく、0.2〜300μm程度であるのがより好ましい。充填材の平均粒径が前記範囲内であることにより、樹脂組成物から製造された樹脂成形体は、低膨張率と優れた成形性とを高度に両立するものとなる。なお、充填材の平均粒径とは、充填材の粒度分布において、体積の累積で50%の部分に分布する粉末の粒径を指す。
また、フィラーの形状としては、例えば、フレーク状、樹枝状、球状、繊維状等が挙げられ、特に限定されない。
なお、フィラーが繊維状の場合は、繊維径0.5〜100μm、繊維長1〜50mm程度であるものが好ましい。
[4]
本発明において、エポキシ化リグニンを用いて樹脂組成物や成形材料を調整する際には、任意の方法および順序で混合することが出来る。また、必要に応じて、触媒、充填剤、および各種添加剤を、任意の方法および順序で混合することが出来る。
混合する際には、熱板や、加圧ニーダー、ロール、コニーダー、二軸押し出し機等の混練機等を用い、混合物が硬化する温度未満で加熱溶融混練する。加熱する際の具体的な加熱温度は、選択する組成に応じて若干異なるが、好ましくは50〜130℃程度とされる。前記混合物を冷却したものを粉砕することにより、顆粒状の樹脂組成物が得られる。
また、樹脂組成物や成形材料を調製する際には、必要に応じて有機溶媒を添加するようにしてもよい。有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセルソルブ、アセトン、メチルセルソルブ、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、キノリン、シクロペンタノン、キシレン、m−クレゾール、クロロホルム等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。
なお、必要に応じて、希釈剤を添加するようにしてもよい。希釈剤としては、例えば、ブチルセロソルブ、カルビトール、酢酸ブチルセロソルブ、酢酸カルビトール、エチレングリコールジエチルエーテル、α−テルピネオール等の比較的沸点の高い有機溶媒が挙げられる。
さらには、前述したその他の添加剤を混合してもよい。
前記成形材料は、成形金型内で加熱加圧したのち、硬化させることにより樹脂成形体として製造することができる。
加熱加圧成形時の温度は、100〜280℃程度であるのが好ましく、120〜250℃程度であるのがより好ましい。また、圧力は、0.5〜20MPa程度であるのが好ましく、1〜10MPa程度であるのがより好ましい。
得られる樹脂成形体は、例えば、半導体部品、航空機部品、自動車部品、産業用機械部品、電子部品、電気部品、機構部品等の用途に適用される。
なお、成形方法は特に限定されず、本発明の樹脂成形体は、公知の成形法、例えば、射出成形法、圧縮成形法、押出成形法、キャスト成形法等を用いて成形品とすることができる。このようにして得られる成形品の形態は、どのような形態であってもよく、例えば、成形材料を最終成形品にする前の中間成形品であっても、最終成形品であってもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
(実施例1)
1Lのナスフラスコに、前記記載の方法により得た数平均分子量500の低分子リグニン31.2g、テトラブチルアンモニウムブロマイド(TCI製)6.2g、20%濃度の
NaOH水溶液18.1mL(キシダ化学製)、純水84.5mLを導入し、1時間撹拌して一部溶解、エピクロロヒドリン(キシダ化学製)312mLを導入し、24時間撹拌し、反応した。
20%濃度のNaOH水溶液48.1mLを導入し、オイルバスを60℃に加熱して3時間撹拌、反応させた。反応後、反応液を室温まで放冷した。
上記操作を行った反応液を分液ロートに移し、有機層を飽和重曹水300mLで2回、純水300mLで2回洗浄し、エピクロロヒドリン溶液を得た。
このエピクロロヒドリン溶液から60℃、1hPaでエピクロロヒドリンを留去した。
続いてアセトン300mLを加え溶解し、純水3Lに滴下し再沈殿させ、ろ過して沈殿物を得た。
沈殿物を60℃で真空乾燥し、エポキシ化リグニンを31.0g得た。
上記エポキシ化リグニンと、硬化剤として数平均分子量500の低分子リグニン、硬化触媒として2−メチルイミダゾール、その他添加剤とフィラーを混合し樹脂組成物とした。
上記樹脂組成物をタブレットマシンに供給し、外径20mmのタブレットとした。
次いで、トランスファー成形により、175℃、20MPaの成形条件で5分間成形し、平均厚さ4.0mmの板状の仮成形体を得た。さらに、得られた仮成形体を175℃4時間加熱して本発明の樹脂成形体を得た。
(実施例2)
硬化触媒に、2−フェニル−4−メチルイミダゾールを用いた以外は実施例1に同じ。
(実施例3)
エポキシ化リグニンを81質量部、硬化剤にノボラックフェノール19質量部を用いた以外は実施例1に同じ。
(実施例4)
数平均分子量600の低分子リグニンを用い、硬化剤のリグニン誘導体を32重量部とした以外は実施例1に同じ。エポキシ化リグニンを31.3g得た。
(実施例5)
数平均分子量700の低分子リグニンリグニンを用い、硬化剤のリグニン誘導体を30重量部とした以外は実施例1に同じ。エポキシ化リグニンを30.4g得た。
(実施例6)
数平均分子量800の低分子リグニンリグニンを用い、硬化剤のリグニン誘導体を25重量部とした以外は実施例1に同じ。エポキシ化リグニンを27.0g得た。
(実施例7)
エポキシ化の反応温度が80℃とした以外は実施例1に同じ。エポキシ化リグニンを29.3g得た。
(実施例8)
洗浄されたエピクロロヒドリン溶液を得るところまでは実施例2と同じで、続いてこのエピクロロヒドリン溶液に20%濃度のNaOH水溶液18.0mLを導入し、オイルバスを60℃に加熱して1時間撹拌、反応させた。反応後、反応液を室温まで放冷した。
上記操作を行った反応液を分液ロートに移し、有機層を飽和重曹水300mLで2回、純水300mLで2回洗浄し、エピクロロヒドリン溶液を得た。次にこのエピクロロヒドリン溶液を留去した。続いてアセトン300mLを加え溶解し、純水3Lに滴下し再沈殿させ、ろ過して沈殿物を得た。
沈殿物を60℃で真空乾燥し、エポキシ化リグニンを30.6g得た。
以降は実施例2と同様に行った。
(実施例9)
エピクロロヒドリン留去するまでは実施例2と同じで、続いてジクロロメタン300mLに溶解させ、20%濃度のNaOH水溶液18.0mLを導入し、オイルバスを60℃に加熱して1時間撹拌、反応させた。反応後、反応液を室温まで放冷した。
上記操作を行った反応液を分液ロートに移し、有機層を飽和重曹水300mLで2回、純水300mLで2回洗浄し、ジクロロメタン溶液を得た。次にこのジクロロメタン溶液を留去した。続いてアセトン300mLを加え溶解し、純水3Lに滴下し再沈殿させ、ろ過して沈殿物を得た。
沈殿物を60℃で真空乾燥し、エポキシ化リグニンを29.1g得た。
以降は実施例2と同様に行った。
(比較例1)
エポキシ化の反応温度が130℃とし、硬化剤のリグニン誘導体を30重量部以外は実施例1に同じ。エポキシ化リグニンを25.1g得た。
(比較例2)
数平均分子量1000の低分子リグニンを用いた以外は実施例1に同じ。エポキシ化リグニンを23.8g得た。
<リグニン誘導体の軟化点の評価>
リグニン誘導体の軟化点は、JIS K2207に準じて、環球式軟化点試験機(メルテック(株)製ASP−MG2型)を用いて測定した。
<ゲルタイムの測定>
樹脂組成物を作製し、JIS K 6910に規定の方法に準拠し175℃におけるゲルタイム(ゲル化時間)を測定した。
測定結果は、表1に示した。
<弾性率の測定>
樹脂組成物を作製し、JIS−C6481に規定の方法に準じて、破断するまでの曲げ試験を行った。その際の曲げ強度20〜30MPaにおける応力―歪み曲線の傾きより弾性率を算出した。
<成形材料の外観の評価>
得られた成形材料について、外観を目視で確認し、評価した。
なお、外観の評価基準は以下のとおりである。
◎:成形品の表面が平滑で、ひずみ、しわ、斑点が認められない
○:成形品の表面に肉眼では分からない凹凸が認められる、または、ひずみ、しわ、斑点が1〜2個である
△:成形品の表面に肉眼で分かる凹凸が認められる、または、ひずみ、しわ、斑点が3〜5個である
×:成形品の表面に肉眼で分かる著しい凹凸が認められる、または、ひずみ、しわ、斑点が6個以上である
測定結果は、表1に示した。
<成形材料のガラス転移温度(Tg)の評価>
得られた成形材料を、TMA装置(Q400 TA社製)を用いて以下の条件で測定し
た。測定温度レンジは室温〜700℃、昇温速度は5℃/min、試験荷重は50gで行った。
測定結果は、表1に示した。
表1に示すように、実施例1〜9において、良好な外観を有するエポキシ化リグニンを有する成形材料を得ることが可能となった。


Claims (12)

  1. リグニン誘導体をエポキシ化して得られるエポキシ化リグニンであって、
    該エポキシ化リグニンが、数平均分子量400〜1000、かつ130℃以下の軟化点を有すること
    を特徴とするエポキシ化リグニン。
  2. 請求項1記載のリグニン誘導体が数平均分子量200〜800である事を特徴とするエポキシ化リグニン。
  3. 前記のリグニン誘導体に含まれるフェノール性水酸基およびアルコール性水酸基において、フェノール性水酸基の含有量が、アルコール性水酸基の含有量の4〜50倍である請求項1または2記載のエポキシ化リグニン。
  4. 前記エポキシ化リグニンを製造する方法であって、
    少なくとも、リグニン誘導体、エピクロルヒドリン及びアルカリ水溶液を含む懸濁液を作製する工程、
    該懸濁液を120℃以下で反応させる工程、
    エピクロルヒドリンを留去してエポキシ化リグニンを得る工程を含むことを特徴とするエポキシ化リグニンの製造方法。
  5. 前記当該懸濁液を120℃以下で反応させる工程が、
    第一反応温度で反応させる第一反応と、第二反応温度で反応させる第二反応の二段階反応工程を含み、
    第一反応温度<第二反応温度≦120℃であるエポキシ化リグニンの製造方法。
  6. 前記製造方法において、第一反応温度が50℃以下、第二反応温度が70℃以下であるエポキシ化リグニンの製造方法。
  7. 前記懸濁液を作製する工程において、さらに相間移動触媒を添加するエポキシ化リグニンの製造方法。
  8. 請求項7記載の相間移動触媒が、下式で表される第四級アンモニウム塩もしくは、水酸化テトラアルキルアンモニウムである請求項4に記載のエポキシ化リグニンの製造方法。

    (R:アルキル基、X:F,Cl,Br,I,OH)
  9. 前記第一反応と第二反応の間に、アルカリ水溶液を添加する工程を含むエポキシ化リグニンの製造方法
  10. 前記アルカリ水溶液は濃度が0.5mol/L以上の水酸化ナトリウム水溶液及び水酸化カリウム水溶液である請求項4に記載のエポキシ化リグニンの製造方法
  11. 請求項1乃至3いずれか1項に記載のエポキシ化リグニンと、硬化剤と、を含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  12. 請求項1乃至3いずれか1項にエポキシ化リグニンと、硬化剤と、フィラーとを含むことを特徴とする成形材料。

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