JP6163761B2 - 樹脂組成物および樹脂成形体 - Google Patents

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本発明は、樹脂組成物および樹脂成形体に関するものである。
樹皮、間伐材、建築廃材等の木質系廃材(バイオマス)は、これまでその多くが廃棄処分されている。しかしながら、地球環境保護が重要課題になりつつあり、その観点から、木質系廃材の再利用、リサイクルが検討され始めている。
一般的な木質の主要成分は、セルロース、ヘミセルロースおよびリグニンである。このうち、約30%の割合で含まれるリグニンは、芳香環や、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基を豊富に含む構造を有しているため、樹脂原料としての利用が検討されている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1には、クラフト法、酸・酸素による糖化法、蒸煮・爆砕法、溶剤法等の処理を経て得られたリグニンを硬化剤として、エポキシ化亜麻仁油と混合し、加熱処理して得られた組成物を、絶縁性高分子材料として用いることが開示されている。
しかしながら、樹脂原料としてリグニンを含む樹脂組成物は、より高い耐溶剤性が求められる成形材料の場合、架橋が不十分である場合があった。
また、架橋を十分なものとするためにエポキシ化合物の添加量を増やすことも考えられるが、その場合は樹脂組成物中のリグニンが占める割合が低くなるため、植物由来度が低下して地球環境保護の効果が損なわれる場合があった。
さらに、芳香族を有するエポキシ化合物は、剛直な構造のため、柔軟性が低く歪みに対する耐性が不足する場合があった。また、芳香族を有するエポキシ化合物は、流動性が低いために、成形性が損なわれるおそれがあった。
特開2008−138061号公報
本発明の目的は、植物由来成分を主材料とし、耐溶剤性を損なうことなく、歪みに対する耐性および成形性に優れた樹脂組成物、および、樹脂成形体を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(10)の本発明により達成される。
(1)リグニン誘導体(A)と、
芳香族を有さないエポキシ化合物としてポリエチレングリコール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、ヘキサンジオール型エポキシ樹脂、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、ペンタエリスリトール型エポキシ樹脂、グリセロール型エポキシ樹脂、ポリグリセロール型エポキシ樹脂、ソルビトール型エポキシ樹脂、大豆油由来エポキシ樹脂、亜麻仁油由来エポキシ樹脂、および、米糠油由来エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種、ならびに、芳香族を有さないイソシアネート化合物としてノルボルネンメタンジイソシアネート、から選ばれる少なくとも1種の架橋剤(B)と、
架橋剤(B)とは架橋点が異なりかつ種類の異なる架橋剤(C)と、
を含有することを特徴とする樹脂組成物。
(2)前記架橋剤(C)は、キヌクリジン、ピジン、ヘキサメチレンテトラミンおよび下記式(1)で表される化合物のうちの少なくとも1種を含有するものである(1)に記載の樹脂組成物。
Z−(CHOR) (1)
[式(1)中のZはメラミン残基、尿素残基、グリコリル残基、イミダゾリジノン残基および芳香環残基のうちのいずれか1種である。また、mは2〜14の整数を表す。また、Rは独立して炭素数1〜4のアルキル基または水素原子である。ただし、−CHORは、メラミン残基の窒素原子、尿素残基の1級アミノ基の窒素原子、グリコリル残基の2級アミノ基の窒素原子、イミダゾリジノン残基の2級アミノ基の窒素原子および芳香環残基の芳香環の炭素原子のいずれかに直接結合している。]
(3)前記架橋剤(C)は、下記式(2)〜(5)のうちのいずれかで表されるものを少なくとも1種を含有するものである(2)に記載の樹脂組成物。
[式(2)中、XはCHORまたは水素原子であり、Rは独立して炭素数1〜4のアルキル基または水素原子である。また、nは1〜3の整数を表す。]
[式(3)中、Rは独立して炭素数1〜4のアルキル基または水素原子である。]
[式(4)中、Rは独立して炭素数1〜4のアルキル基または水素原子である。]
[式(5)中、Rは独立して炭素数1〜4のアルキル基または水素原子である。]
(4)前記架橋剤(C)は、下記式(6)または(7)で表される化合物を含むものである(2)に記載の樹脂組成物。
[式(6)中、nは1〜3の整数を表す。]
[式(7)中、nは1〜3の整数を表す。]
(5)前記芳香族を有さないエポキシ化合物および芳香族を有さないイソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種の架橋剤(B)は、官能基当量が400以下であるものを含有するものである(1)ないし(4)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(6)前記リグニン誘導体(A)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析により測定されたポリスチレン換算の数平均分子量が200〜2000であるものを含有するものである(1)ないし(5)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(7)前記リグニン誘導体(A)100重量部に対し、前記芳香族を有さないエポキシ化合物および芳香族を有さないイソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種の架橋剤(B)と前記架橋剤(C)の含有量の合計が5〜100重量部である(1)ないし(6)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(8)前記芳香族を有さないエポキシ化合物および芳香族を有さないイソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種の架橋剤(B)の含有量を、前記架橋剤(C)の含有量で除した比率[(B)/(C)]が1〜50である(1)ないし(7)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(9)前記リグニン誘導体(A)は、カルボキシル基を含有するものである(1)ないし(8)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(10)(1)ないし(9)のいずれかに記載の樹脂組成物の成形体であることを特徴とする樹脂成形体。
本発明によれば、植物由来成分を主材料とし、耐溶剤性を損なうことなく、成形性および歪みに対する耐性に優れた樹脂組成物、および、樹脂成形体が得られる。
以下、本発明の樹脂組成物、および、樹脂成形体について好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、リグニン誘導体(A)と、芳香族を有さないエポキシ化合物および芳香族を有さないイソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種の架橋剤(B)と、架橋剤(B)とは架橋点が異なりかつ種類の異なる架橋剤(C)と、を含むものである。
また、本発明の樹脂組成物は、各種成形法により成形されることによって樹脂成形体を得るのに用いられるものである。
以下、樹脂組成物の各成分について順次説明する。
(リグニン誘導体(A))
まず、リグニン誘導体(A)について説明する。リグニンは、セルロースおよびヘミセルロースとともに、植物体の骨格を形成する主要成分であり、かつ、自然界に最も豊富に存在する物質の一つである。リグニン誘導体(A)は、フェノール誘導体を単位構造とする化合物であり、この単位構造は、化学的および生物学的に安定な炭素−炭素結合や炭素−酸素−炭素結合を有するため、化学的な劣化や生物的分解を受け難い。このため、リグニン誘導体(A)は、樹脂原料として有用とされる。
本発明に用いられるリグニン誘導体(A)は、バイオマスを分解して得られたものである。バイオマスとは、植物または植物の加工品であるが、これらは光合成の過程で大気中の二酸化炭素を取り込み固定化してなるものであるため、大気中の二酸化炭素の増加抑制に寄与している。このため、バイオマスを工業的に利用することによって、地球温暖化の抑制に寄与することができる。
本発明で用いられるバイオマスを分解してリグニン誘導体(A)を得る処理方法としては、例えば、植物または植物加工品を、薬品処理する方法、加水分解処理する方法、水蒸気爆砕法、超臨界水処理法、亜臨界水処理法、機械的に処理する方法、硫酸クレゾール法、パルプ製造法、などが挙げられる。環境負荷の点から、水蒸気爆砕法、超臨界水処理法、亜臨界水処理法、機械的に処理する方法が好ましい。得られるリグニン誘導体(A)の純度の点から、水蒸気爆砕法、亜臨界水処理法が更に好ましい。
リグニン誘導体(A)の具体例としては、下記式(8)で表わされるグアイアシルプロパン構造、下記式(9)で表わされるシリンギルプロパン構造、下記式(10)で表わされる4−ヒドロキシフェニルプロパン構造等が挙げられる。なお、針葉樹類からは主にグアイアシルプロパン構造が、広葉樹類からは主にグアイアシルプロパン構造およびシリンギルプロパン構造が、草本類からは主にグアイアシルプロパン構造、シリンギルプロパン構造および4−ヒドロキシフェニルプロパン構造がそれぞれ抽出される。
また、本発明におけるリグニン誘導体(A)は、水酸基に対して芳香環のオルト位およびパラ位の少なくとも一方が無置換になっているものが好ましい。このようなリグニン誘導体(A)は、芳香環への親電子置換反応により硬化剤が作用する反応サイトを多く含み、水酸基での反応において立体障害が低減できることになるため、反応性に優れたものとなる。
また、リグニン誘導体(A)は、上記基本構造の他、リグニン誘導体(A)に官能基を有するもの(リグニン二次誘導体)であってもよい。
リグニン二次誘導体が有する官能基としては、特に限定されないが、例えば2個以上の同じ官能基が互いに反応し得るもの、または他の官能基と反応し得るものが好適である。具体的には、エポキシ基、メチロール基の他、炭素−炭素不飽和結合を有するビニル基、エチニル基、マレイミド基、シアネート基、イソシアネート基等が挙げられる。このうち、メチロール基を導入した(メチロール化した)リグニン誘導体(A)が好ましく用いられる。このようなリグニン二次誘導体は、メチロール基同士の自己縮合反応により自己架橋が生じるとともに、上記架橋剤(C)中のアルコキシメチル基や水酸基に対してより架橋するものとなる。その結果、特に均質で剛直な骨格を有し、耐溶剤性に優れた硬化物が得られる。
また、本発明におけるリグニン誘導体(A)は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定されたポリスチレン換算の数平均分子量が200〜2000であるものが好ましく、300〜1800であるものがより好ましい。このような数平均分子量のリグニン誘導体(A)は、その反応性(硬化性)と溶融性または溶解性とをより高度に両立するものとなる。したがって、硬化後の耐溶剤性と成形性とを高度に両立する樹脂組成物が得られる。
前記ゲル浸透クロマトグラフィーによって分子量を測定する方法の一例について説明する。
本発明におけるリグニン誘導体(A)を溶媒に溶解させ、測定サンプルを調整する。このときに用いられる溶媒は、リグニン誘導体(A)を溶解できるものであれば特に限定されるものではないが、ゲル浸透クロマトグラフィーの測定精度の観点から、例えば、テトラヒドロフランが好ましい。
次に、GPCシステム「HLC−8320GPC(東ソー製)」に、スチレン系ポリマー充填剤を充填した有機系汎用カラムである「TSKgelGMHXL(東ソー製)」、および「G2000HXL(東ソー製)」を直列に接続する。
このGPCシステムに、前記の測定サンプルを200μL注入し、40℃において、溶離液のテトラヒドロフランを1.0mL/minで展開し、示差屈折率(RI)、および紫外吸光度(UV)を利用して保持時間を測定する。別途作製しておいた標準ポリスチレンの保持時間と分子量の関係を示した検量線から、前記リグニン誘導体(A)の数平均分子量を算出することができる。
検量線を作成するために使用する標準ポリスチレンの分子量としては、特に限定されるものではないが、例えば、数平均分子量が427,000、190,000、96,400、37,900、18,100、10,200、5,970、2,630、1,050および500の標準ポリスチレン(東ソー製)のものを用いることができる。
さらに、本発明におけるリグニン誘導体(A)は、カルボキシル基を有することが好ましい。前記カルボキシル基を有する場合は、前記架橋剤(C)の触媒として作用するため、リグニン誘導体(A)と前記架橋剤(C)との架橋反応を促進させることができるため、耐溶剤性に優れる。
なお、上述したリグニン誘導体(A)中がカルボキシル基を有する場合は、そのカルボキシル基は、カルボキシル基に帰属する13C−NMR分析に供されたとき、172〜174ppmのピークの吸収の有無によって確認することができる。
なお、本発明の樹脂組成物のリグニン誘導体(A)の一部を、その他の樹脂成分に置き換えてもよい。具体的には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂成分を含むことにより、樹脂成分の相対的な溶融粘度が低下するため、樹脂組成物の成形性が向上する。なお、これらの樹脂成分を含む場合、架橋反応前においてリグニン誘導体(A)の含有率が好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上になるよう調整される。
(芳香族を有さないエポキシ化合物および芳香族を有さないイソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種の架橋剤(B))
次に、芳香族を有さないエポキシ化合物および芳香族を有さないイソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種の架橋剤(B)(以下、架橋剤(B)とも記す。)について説明する。
前記架橋剤(B)は、主としてリグニン誘導体(A)の水酸基とエポキシ基またはイソシアネート基とが反応し、架橋し得るものである。リグニン誘導体(A)と架橋することによって、耐溶剤性を損なうことなく、歪みに対する耐性を向上させることができる。
前記架橋剤(B)のエポキシ化合物としては、芳香族を有さず、1分子中にエポキシ基を有するモノマー、オリゴマーおよびポリマー全般を指す。
前記架橋剤(B)のエポキシ化合物に含まれるエポキシ基の数は、特に限定されず1個以上有していればよいが、前記樹脂組成物または前記樹脂成形体の耐溶剤性を向上させる観点から、2個以上有することが好ましい。
本発明におけるエポキシ化合物の作製方法については、種々の方法が挙げられる。汎用性や費用の観点から、アルコール性水酸基を有する化合物をエポキシ化する方法や不飽和結合を有する化合物を酸化する方法が好ましい。
前記アルコール性水酸基を有する化合物をエポキシ化する方法について説明する。アルコール性水酸基を所定の化合物を用いてグリシジルエーテル化することで得られる。グリシジルエーテル化できる化合物であれば特に限定されるものではないが、例えば、エピクロロヒドリン等のエピハロヒドリンを挙げることができる。さらに、グリシジルエーテル化以外の方法、すなわち、エポキシ基を含有した他の化合物を用いてエポキシ化する方法でアルコール性水酸基をエポキシ化することもできる。
本発明において、前記アルコール性水酸基をグリシジルエーテル化する方法としては、例えば、アルコール性水酸基を、過剰のエピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン等のエピハロヒドリンと溶解・混合し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物を添加し、又は、添加しながら20〜120℃で1〜10時間反応させる方法が採用できる。
この際、アルカリ金属水酸化物は、その水溶液を使用してもよく、その場合は、該アルカリ金属水酸化物の水溶液を、連続的に反応系内に添加するとともに、減圧下、又は常圧下で、連続的に水及びエピハロヒドリンを留去させて、さらに分液し、水は除去して、エピハロヒドリンは反応系内に連続的に戻す方法でもよい。
また、前記アルコール性水酸基を有する化合物とエピハロヒドリンの溶解混合物に、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩を触媒として添加し、50〜150℃で1〜5時間反応させてハロヒドリンエーテル化物を得た後、アルカリ金属水酸化物の固体、または水溶液を加えて、20〜120℃で1〜10時間反応させて、脱ハロゲン化水素(閉環)させる方法を採用することもできる。この場合使用される4級アンモニウム塩の量は、アルコール性水酸基を有する化合物の水酸基1モルに対して、通常1〜10gであり、好ましくは2〜8gである。
通常、これらの反応において使用されるエピハロヒドリンの量は、前記アルコール性水酸基を有する化合物の水酸基1当量に対して、通常1〜20モル、好ましくは2〜10モルである。アルカリ金属水酸化物の使用量は、アルコール性水酸基を有する化合物の水酸基1当量に対して、通常0.8〜1.5モル、好ましくは0.9〜1.1モルである。さらに、反応を円滑に進行させるために、メタノール、エタノール等のアルコール類の他、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒等を添加して反応を行うことが好ましい。
アルコール類を使用する場合、その使用量は、エピハロヒドリンの量に対して、通常2〜20重量%、好ましくは4〜15重量%である。また、非プロトン性極性溶媒を用いる場合は、エピハロヒドリンの量に対して、通常5〜100重量%、好ましくは10〜90重量%である。
これらのグリシジルエーテル化反応の反応物を、水洗後、または水洗しないで、加熱減圧下、110〜250℃、圧力10mmHg以下で、エピハロヒドリンや溶媒などを除去する。又、さらに、加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、得られたエポキシ樹脂を、トルエン、メチルイソブチルケトン等の溶剤に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて、さらに反応を行い、閉環を確実なものにすることもできる。この場合、アルカリ金属水酸化物の使用量は、グリシジルエーテル化に使用した、本発明における前記アルコール性水酸基を有する化合物の水酸基1当量比に対して、通常0.01〜0.3モル、好ましくは0.05〜0.2モルである。反応温度は、通常50〜120℃、反応時間は、通常0.5〜2時間である。
反応終了後、生成した塩を、ろ過、水洗等で除去した後、さらに、加熱減圧下、トルエン、イソブチルケトン等の溶剤を留去することにより、エポキシ樹脂材料を構成するエポキシ樹脂が得られる。
次に、前記不飽和結合を有する化合物をエポキシ化する方法について説明する。前記不飽和結合を有する化合物をエポキシ化する方法としては、例えば、前記不飽和結合を持つ化合物の不飽和結合を、所定の化合物を用いて酸化する方法が挙げられる。前記所定の化合物としては、前記不飽和結合を酸化させてエポキシ化できる化合物であれば特に限定されるものではないが、例えば、過酢酸や過酸化水素等の酸化剤を挙げることができる。さらに、前記不飽和結合を有する化合物をエポキシ化する方法としては、反応系中にて過酢酸等を発生させてエポキシ化する方法を用いることもできる。
前記不飽和結合を有する化合物としては、特に限定されず不飽和結合を有する化合物を用いることができる。前記不飽和結合を有する化合物としては、例えば、大豆油、綿実油、亜麻仁油、米糠油などの植物油が挙げられる。
前記不飽和結合を有する化合物をエポキシ化する方法の反応条件の一例について説明する。前記反応条件としては、例えば、不飽和結合を有する化合物の不飽和結合と、酢酸と、50%過酸化水素とをトルエンに溶解させた後、50℃6時間の条件で反応させ、油相を水で洗い、溶媒を留去または分留することで得ることができる。
前記エポキシ化する方法における反応溶媒としては、特に限定されずエポキシ化する反応を損なわない溶媒であれば種々の溶媒を用いることができる。前記反応溶媒としては、例えば、トルエンやベンゼンなどの芳香族炭化水素、ジクロロメタンなどの塩素系炭化水素などがあげられる。また、前記反応溶媒を用いないでエポキシ化する反応をすることもできる。
また、前記エポキシ化する反応の効率を高める観点から、反応の際に、塩を添加することもできる。塩を添加する場合は、その塩は、例えば、硫酸、炭酸、硝酸、塩酸などの無機酸類、酢酸、プロピレン酸などの酸性化合物、ナトリウム、カリウム、アンモニウムなどの無機塩基化合物、アミン類、ピリジンなどの有機塩基化合物などが挙げられる。
前記架橋剤(B)のエポキシ化合物としては、具体的には、例えば、ポリエチレングリコール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、ヘキサンジオール型エポキシ樹脂、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、ペンタエリスリトール型エポキシ樹脂、グリセロール型エポキシ樹脂、ポリグリセロール型エポキシ樹脂、ソルビトール型エポキシ樹脂、大豆油由来エポキシ樹脂、亜麻仁油由来エポキシ樹脂エポキシ樹脂、米糠油由来エポキシ樹脂といった芳香族を有さないエポキシ化合物などが挙げられる。これらのうちの1種または2種以上の混合物を用いてもよい。これらのなかで、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、ペンタエリスリトール型エポキシ樹脂、グリセロール型エポキシ樹脂、ポリグリセロール型エポキシ樹脂、ソルビトール型エポキシ樹脂、亜麻仁油由来エポキシ樹脂が耐溶剤性に優れる点で好ましい。
また、前記架橋剤(B)のエポキシ化合物として、非石油由来の化合物を前記エポキシ化して得られた化合物を用いることもできる。前記架橋剤(B)のエポキシ化合物として、このような化合物を用いる場合、高い天然由来度も持つため、環境対応性に優れる観点から好ましい。
前記架橋剤(B)のイソシアネート化合物としては、芳香族を有さず、1分子中にイソシアネート基を有するモノマー、オリゴマーおよびポリマー全般を指す。
前記架橋剤(B)のイソシアネート化合物に含まれるイソシアネート基の数は、特に限定されず1個以上有していればよいが、前記樹脂組成物または前記樹脂成形体の耐溶剤性を向上させる観点から、2個以上有することが好ましい。
具体的には、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4−4’−ジイソシアネート、ジシキウロヘキシルメタン−2−4’−ジイソシアネート、ノルボルネンメタンジイソシアネート等が挙げられる。これらのうちの1種または2種以上の混合物を用いてもよい。
前記イソシアネート化合物の具体例の中でも、ノルボルネンメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4−4’−ジイソシアネートが、成形性の観点から好ましく、耐溶剤性を確保する観点からヘキサメチレンジイソシアネートがさらに好ましい。
前記架橋剤(B)の官能基当量は、架橋剤としての作用の点から、上限値は400が好ましく、架橋密度の点から200が更に好ましい。前記官能基当量が、前記上限値を超える場合、外観が損なわれるおそれがある。また、前記架橋剤(B)の官能基当量の下限値は、特に限定されるものではないが、実用上、50以上が好ましい。
(架橋剤(B)とは架橋点が異なりかつ種類の異なる架橋剤(C))
次に、架橋剤(B)とは架橋点が異なりかつ種類の異なる架橋剤(C)(以下、架橋剤(C)とも記す。)について説明する。ここで前記架橋剤(C)は、前記架橋剤(B)と構造が異なるものであればよい。
本発明の樹脂組成物に含まれる前記架橋剤(C)は、主としてリグニン誘導体(A)の芳香族環と架橋し得るものであり、下記式(1)で表される化合物を含むものが好ましい。
Z−(CH2OR)m (1)
[式(1)中のZはメラミン残基、尿素残基、グリコリル残基、イミダゾリジノン残基および芳香環残基のうちのいずれか1種である。また、mは2〜14の整数を表す。また、Rは独立して炭素数1〜4のアルキル基または水素原子である。ただし、−CH2ORは、メラミン残基の窒素原子、尿素残基の1級アミノ基の窒素原子、グリコリル残基の2級アミノ基の窒素原子、イミダゾリジノン残基の2級アミノ基の窒素原子および芳香環残基の芳香環の炭素原子のいずれかに直接結合している。]
このような化合物を含む樹脂組成物は、硬化後の機械的特性に優れるとともに、硬化物の耐久性および外観の向上に寄与する。これは、前記架橋剤(C)中に含まれる上記式(1)で表される化合物が多官能性の架橋点を有するだけでなく、前記架橋剤(B)も架橋点を形成することで、複数の異なる架橋構造を併せ持つためと考えられる。さらに複数の異なる架橋構造によって硬化物の歪みに対する耐性および耐久性(耐煮沸性等)が向上するとともに、膨れや亀裂等の発生が抑制されるため硬化物の外観も向上することとなる。
また、前記架橋剤(C)は、自硬化性を有するとともに、リグニン誘導体(A)との間で共架橋構造を形成し得るものである。このため、このような樹脂組成物を成形し硬化させてなる硬化物は、その特性がリグニン誘導体(A)と前記架橋剤(C)との相溶性が良好であり均質性が高くなる。したがって、樹脂組成物の成形性と硬化物の歪みに対する耐性との両立という観点から配合比率の最適化を図ることができ、寸法精度および歪みに対する耐性に優れた樹脂成形体が得られる。
さらには、上記架橋剤は架橋反応時における揮発成分の発生が穏やかであるため、揮発成分が硬化物の外部に放出されるのに伴って生じる膨れや亀裂等の不具合を抑えることができる。その結果、外観に優れた樹脂成形体が得られる。
なお、前記架橋剤(C)は、樹脂組成物の成形性の向上に寄与する。これは、前記架橋剤(C)の融点が低く、加熱時に成形材料の粘性が低下すること、および、前記架橋剤(C)が比較的遅架橋性であり、加熱されたときに徐々に架橋反応が進むためであると考えられる。
また、−CH2ORは、前述したようにメラミン残基の窒素原子、尿素残基の1級アミノ基の窒素原子、グリコリル残基の2級アミノ基の窒素原子、イミダゾリジノン残基の2級アミノ基の窒素原子および芳香環残基の芳香環の炭素原子のうちのいずれかに直接結合しているが、同一の窒素原子または炭素原子に2つ以上の「−CH2OR」が結合している場合、そのうちの少なくとも1つの「−CH2OR」が含む「R」はアルキル基であるのが好ましい。これにより、リグニン誘導体(A)を確実に架橋させることができる。
なお、本明細書においてメラミン残基とは、下記式(A)で表されるメラミン骨格を有する基のことをいう。
また、本明細書において尿素残基とは、下記式(B)で表される尿素骨格を有する基のことをいう。
また、本明細書においてグリコリル残基とは、下記式(C)で表されるグリコリル骨格を有する基のことをいう。
また、本明細書においてイミダゾリジノン残基とは、下記式(D)で表されるイミダゾリジノン骨格を有する基のことをいう。
また、本明細書において芳香環残基とは、芳香環(ベンゼン環)を有する基のことをいう。
また、上記式(1)で表される化合物としては、特に、下記式(2)〜(5)のうちのいずれかで表される化合物が好ましく用いられる。これらは、リグニン誘導体(A)中のフェノール骨格に含まれる芳香環上の架橋反応点に対して反応しリグニン誘導体(A)を確実に架橋するとともに、官能基同士の自己縮合反応により自己架橋を生じる。その結果、複数の異なる架橋構造を形成し、歪みに対する耐性、耐久性および外観に優れた硬化物が得られる。
[式(2)中、XはCH2ORまたは水素原子であり、Rは独立して炭素数1〜4のアルキル基または水素原子である。また、nは1〜3の整数を表す。]
[式(3)中、Rは独立して炭素数1〜4のアルキル基または水素原子である。]
[式(4)中、Rは独立して炭素数1〜4のアルキル基または水素原子である。]
[式(5)中、Rは独立して炭素数1〜4のアルキル基または水素原子である。]
また、上記式(2)で表される化合物としては、特に、下記式(6)または(7)で表される化合物が好ましく用いられる。これらは、リグニン誘導体(A)中のフェノール骨格に含まれる芳香環上の架橋反応点に対して反応しリグニン誘導体(A)を特に確実に架橋するとともに、官能基同士の自己縮合反応により自己架橋を生じる。その結果、歪みに対する耐性、耐久性および外観に優れた硬化物が得られる。
[式(6)中、nは1〜3の整数を表す。]
[式(7)中、nは1〜3の整数を表す。]
なお、上記式(1)で表される化合物の具体例としては、スミカノール507A(田岡化学工業製)、2,4,6−トリス[ビス(メトキシメチル)アミノ]−1,3,5−トリアジン(東京化成工業製)、ニカラックMW−30HM、ニカラックMW−390、ニカラックMW−100LM、ニカラックMX−750LM、ニカラックMX−290、ニカラックMX−280、ニカラックMX−270(いずれも三和ケミカル製)等が挙げられる。
また、上記式(1)で表される化合物のうち、Zがメラミン残基、尿素残基、グリコリル残基およびイミダゾリジノン残基のうちのいずれかであるものとしては、例えば、特開2005−43883号公報の化16、化18に記載された化合物等が挙げられる。
また、上記式(1)で表される化合物のうち、Zが芳香環残基であるものとしては、例えば、特開2005−37925号公報の化21〜化26に記載された化合物や、特開2005−43883号公報の化17に記載された化合物等が挙げられる。
一方、前記架橋剤(C)は、上記式(1)で表される化合物に代えて、またはこの化合物とともに、キヌクリジン、ピジンおよびヘキサメチレンテトラミンのうちの少なくとも1種の化合物を含むものであってもよい。このような架橋剤(C)を含む硬化物は、機械的強度に優れるとともに、耐久性および外観の高いものとなる。これは、キヌクリジン、ピジンおよびヘキサメチレンテトラミンがリグニン誘導体(A)を高密度かつ均一に架橋し、均質で剛直な骨格を形成するからである。
なお、キヌクリジン、ピジンおよびヘキサメチレンテトラミンにリグニン誘導体(A)からのプロトンが付加すると、カルボカチオンが生じる。このカルボカチオンはリグニン誘導体(A)に反応してメチレン結合を形成する。このようにして上述した均質で剛直な骨格が形成される。
前記樹脂組成物中の、架橋剤(B)と架橋剤(C)の合計含有量(J)は、リグニン誘導体(A)100質量部に対して、5〜100質量部が好ましく、10〜70質量部がより好ましい。合計含有量(J)が前記下限値未満であると架橋に長い時間を要するおそれがあり、前記上限値を超える場合、架橋しなかった架橋剤(B)および架橋剤(C)の少なくとも1つが残存するため樹脂成形体の外観が損なわれるおそれがある。
前記架橋剤(B)と、前記架橋剤(C)との重量の配合比[(B)/(C)]は、特に限定されないが、重量比で1〜50が好ましく、3〜40がより好ましい。リグニン誘導体(A)への架橋剤の量は、前記架橋剤(B)が架橋しうる水酸基の数と、前記架橋剤(C)が架橋しうる芳香族炭素の数に合わせた比率の量を添加する事が好ましいからである。重量の配合比[(B)/(C)]が、前記の範囲の場合、それぞれの架橋剤が過不足なくリグニン誘導体(A)と反応し架橋することができる。重量の配合比[(B)/(C)]が前記下限値未満の場合、前記樹脂成形体の表面の粗さが粗くなるおそれがあり、前記上限値を超えると硬化に時間がかかるおそれがある。
このような樹脂組成物は、溶融粘度が低いため成形性が高く、例えば各種成形法により成形される際の成形性(形状転写性)に富んでいるとともに、架橋により硬化後の耐溶剤性に優れたものとなる。このため、成形型の形状が複雑な場合や、充填材の添加量が多い場合、硬化触媒を添加した場合にも、寸法精度が高く歪みに対する耐性に優れた樹脂成形体を製造することができる。また、前記樹脂組成物は、芯材に対する含浸性が高く、硬化速度に優れるため、耐久性および外観に優れた積層板を製造することができる。
前記耐溶剤性とは、本発明の樹脂成形体の有機溶剤への耐性を意味するものである。前記耐溶剤性は、例えば、前記樹脂成形体を有機溶剤中に一定時間浸漬したあと、取り出して乾燥させる。次いで、前記乾燥後の樹脂成形体の重量を測定し、浸漬前の樹脂成形体からの重量減少量を算出する。前記重量減少量が少ないものほど耐溶剤性が高いと評価することができる。重量減少は、前記樹脂成形体のなかの、架橋されていない成分や低分子成分などが有機溶剤へ溶出するために発生するものと考えられる。
なお、本発明の樹脂組成物は、リグニン誘導体(A)、架橋剤(B)および架橋剤(C)以外に、触媒、潜在性触媒、充填剤、その他の添加剤を含んでいてもよい。
(触媒)
本発明の樹脂組成物は、触媒を含んでいてもよい。前記触媒は、樹脂組成物の架橋や硬化を促進できるものであれば種々のものを用いることができる。
前記架橋剤(B)基がエポキシ化合物である場合、前記触媒としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールのようなイミダゾール類、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノナン−5−エン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミンのような3級アミン類、トリフェニルホスフィン、テトラ−n−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート等の一般的なエポキシ樹脂用触媒が挙げられる。
前記架橋剤(B)基がジイソシアネート化合物である場合、前期触媒としては、有機錫化合物、カルボン酸錫塩、カルボン酸鉛塩、カルボン酸ビスマス塩等が挙げられる。
前記触媒を添加する場合は、前記触媒の添加量は、樹脂(A)と架橋剤(B)と架橋剤(C)の合計含有量(J)100重量部に対し、0.01〜5.0重量部が好ましく、0.1〜2.5重量部がさらに好ましい。
また、後述するようにリグニン誘導体(A)に反応性官能基が導入されている場合、さらにその反応性官能基の種類に応じた触媒を適宜選択して用いるようにしてもよい。
具体的には、反応性官能基がエポキシ基である場合、前記触媒としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールのようなイミダゾール類、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノナン−5−エン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミンのような3級アミン類、トリフェニルホスフィン、テトラ−n−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート等の一般的なエポキシ樹脂用触媒が挙げられる。
また、反応性官能基がイソシアネート基である場合、硬化剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアミン系化合物等の一般的なイソシアネート樹脂用触媒が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。
また、反応性官能基がビニル基である場合、硬化剤としては、例えば、ブチルリチウム、ナトリウムエトキシドのようなアニオン系重合開始剤、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、過酸化ベンゾイル(BPO)のようなラジカル重合開始剤等の一般的なビニル基含有化合物の重合開始剤が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。
また、反応性官能基がエチニル基である場合、硬化剤としては、例えば、5塩化モリブデン、5塩化タングステン、ノルボルナジエンロジウムクロリドダイマー等の一般的なエチニル基含有化合物の重合触媒が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。
また、反応性官能基がマレイミド基である場合、硬化剤としては、例えば、BPOのようなパーオキサイド、前述したアニオン系重合開始剤等の一般的なマレイミド基含有化合物の重合開始剤が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。
また、反応性官能基がシアネート基である場合、硬化としては、例えば、ナフテン酸コバルトのような金属触媒等の一般的なシアネート基含有化合物の重合触媒が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。
触媒を添加する場合は、その触媒の添加量は、樹脂(A)と架橋剤(B)と架橋剤(C)の合計含有量(J)100重量部に対し、0.05〜3.0重量部が好ましく、0.2〜2.5重量部がさらに好ましい。
(潜在性触媒)
また、上記硬化剤に加え、温度に応じて架橋剤(C)の架橋反応の有無または架橋反応の速度を異ならせる潜在性触媒を含んでいてもよい。このような潜在性触媒を含むことにより、本発明の樹脂組成物は、加熱されたときに架橋剤(C)の架橋反応を開始させたり、あるいは、架橋反応の反応速度を高めたりすることができるものとなる。これにより、上記樹脂組成物を成形型のキャビティに充填する際には架橋反応を生じさせないあるいは反応速度が遅くなるようにし、成形が完了した時点で温度を上昇させ、架橋反応を生じさせたりあるいは反応速度を速くさせたりすることができる。その結果、キャビティに対して隙間なく成形材料を充填することができ、均質で歪みに対する耐性、耐久性および外観に優れた樹脂成形体が得られる。
上記潜在性触媒としては、例えば、加熱により酸性物質を放出する化合物が挙げられる。この酸性物質は、上記架橋剤(C)による架橋反応を促進させるよう作用する。これにより、加熱したときの硬化速度が速くなり、樹脂成形体の外観が向上するとともに製造効率を高めることができる。
また、加熱により酸性物質を放出する化合物は、加熱により2以下の解離定数pKaを有する酸性物質を放出する化合物であるのが好ましい。潜在性触媒としてこのような酸性物質が放出される化合物を含むことにより、架橋剤(C)による架橋反応を特に促進させることができる。
2以下の解離定数pKaを有する酸性物質としては、例えば、シュウ酸(pKa=1.3)、p−トルエンスルホン酸(pKa=1.7)等が挙げられる。
また、このような酸性物質を放出する化合物としては、例えば、シクロヘキシル=4−メチルベンゼンスルホネート、2−メチルシクロヘキシル=4−メチルベンゼンスルホネート、3−メチルシクロヘキシル=4−メチルベンゼンスルホネート、4−メチルシクロヘキシル=4−メチルベンゼンスルホネート、4−ブチルシクロヘキシル=4−メチルベンゼンスルホネート、4−シクロヘキシルシクロヘキシル=4−メチルベンゼンスルホネート、2,6−ジメチルシクロヘキシル=4−メチルベンゼンスルホネート、2,4−ジメチルシクロヘキシル=4−メチルベンゼンスルホネート、3,4−ジメチルシクロヘキシル=4−メチルベンゼンスルホネート、3,5−ジメチルシクロヘキシル=4−メチルベンゼンスルホネート、2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル=4−メチルベンゼンスルホネート、2−ヒドロキシシクロヘキシル=4−メチルベンゼンスルホネート、4−ヒドロキシシクロヘキシル=4−メチルベンゼンスルホネート、シクロヘキシル=4−ビフェニルスルホネート及び4,4’−ビシクロヘキシル=ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)のようなベンゼンスルホン酸シクロヘキシル類、シクロヘキシル=1−ナフタレンスルホネート及びシクロヘキシル=2−ナフタレンスルホネートのようなナフタレンスルホン酸シクロヘキシル類といった各種の芳香族スルホン酸シクロヘキシル類等が挙げられる。このような芳香族スルホン酸シクロヘキシル類は、酸性物質を安定的に放出する一方、架橋剤(B)による架橋反応を阻害し難いことから、潜在性触媒として有用である。
また、これらの中でも特にベンゼンスルホン酸ヘキシル類が好ましく用いられ、さらには、シクロヘキシル=4−メチルベンゼンスルホネート、3−メチルシクロヘキシル=4−メチルベンゼンスルホネート、3,5−ジメチルシクロヘキシル=4−メチルベンゼンスルホネート、4−ブチルシクロヘキシル=4−メチルベンゼンスルホネート、2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル=4−メチルベンゼンスルホネート、2−ヒドロキシシクロヘキシル=4−メチルベンゼンスルホネート、および4−ヒドロキシシクロヘキシル=4−メチルベンゼンスルホネートからなる群から選択される少なくとも一種がより好ましく用いられ、とりわけシクロヘキシル=4−メチルベンゼンスルホネートがさらに好ましく用いられる。これらのベンゼンスルホン酸ヘキシル類によれば、上記芳香族スルホン酸シクロヘキシル類がもたらす効果がより顕著なものとなる。
また、上述した化合物において酸性物質が放出される加熱温度は120〜150℃程度であるのが好ましい。このような温度範囲は、リグニン誘導体(A)と、架橋剤(B)および架橋剤(C)とを含む樹脂組成物を硬化する処理の温度に非常に近いため、例えばこの温度範囲より低温で樹脂成形体を成形し、その後、この温度範囲まで昇温することによって、優れた成形性と硬化後の耐溶剤性とを高度に両立させることができる。
(充填材)
本発明の樹脂組成物には、充填剤を含んでいてもよい。充填材としては、例えば、タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラスのようなケイ酸塩、酸化チタン、アルミナのような酸化物、溶融シリカ(溶融球状シリカ、溶融破砕シリカ)、結晶シリカのようなケイ素化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイトのような炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムのような水酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウムのような硫酸塩または亜硫酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウムのようなホウ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素のような窒化物等の粉末、ガラス繊維、炭素繊維等の繊維片といった無機充填材の他、木粉、パルプ粉砕粉、布粉砕粉、熱硬化性樹脂硬化物粉、アラミド繊維のような有機充填材等が挙げられる。このうち、充填材としては、特に、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、ケイ素酸化物、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、木粉、パルプ粉砕粉、および布粉砕粉のうちの少なくとも1種を含むものが好ましく用いられる。これらの充填材は、樹脂組成物から製造された樹脂成形体の膨張率を低くすることができる。
この場合、充填材の含有量は、リグニン誘導体(A)100質量部に対して、10〜1000質量部であるのが好ましく、20〜500質量部であるのがより好ましく、100〜400質量部であるのがさらに好ましい。充填材の含有率が前記下限値を下回ると、樹脂組成物から製造された樹脂成形体の膨張率を十分に低下させることができないおそれがある。一方、充填材の含有率が前記上限値を上回ると、充填材の割合が多すぎるため、樹脂組成物の成形性が低下するおそれがある。
また、充填材の平均粒径は、0.1〜500μm程度であるのが好ましく、0.2〜300μm程度であるのがより好ましい。充填材の平均粒径が前記範囲内であることにより、樹脂組成物から製造された樹脂成形体は、低膨張率と優れた成形性とを高度に両立するものとなる。なお、充填材の平均粒径とは、充填材の粒度分布において、体積の累積で50%の部分に分布する粉末の粒径を指す。
また、充填材の形状としては、例えば、フレーク状、樹枝状、球状、繊維状等が挙げられ、特に限定されない。
なお、充填材が繊維状の場合は、繊維径0.5〜100μm、繊維長1〜50mm程度であるのが好ましい。
(その他の添加剤)
本発明の樹脂組成物は、上記の成分以外に、必要に応じて、メトキシナトリウム、t−ブトキシカリウムのようなアルカリ金属塩、酢酸カルシウムのようなアルカリ土類金属塩、Na2O、K2Oのようなアルカリ金属酸化物、CaO、BaOのようなアルカリ土類金属酸化物といった硬化促進剤を含んでいてもよい。
かかる各種添加剤としては、例えば、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシランのようなシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、アルミニウム/ジルコニウムカップリング剤のような各種カップリング剤、カーボンブラック、ベンガラのような着色剤、ポリエチレンワックス、高級脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、ケトン・アミン類、水素硬化油のような合成ワックス、パラフィンワックス、モンタンワックスのような天然ワックス、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛のような高級脂肪酸およびその金属塩類、パラフィンのような離型剤、カーボンブラックのような顔料、スダンブラックBのような染料、シリコーンオイル、シリコーンゴムのような低応力化成分、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、フォスファゼンのような難燃剤、酸化ビスマス水和物のような無機イオン交換体、内部離型剤等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせたものが用いられる。
また、樹脂組成物が離型剤を含む場合、離型剤の含有量は、リグニン誘導体(A)100質量部に対して0.01〜10質量部であるのが好ましく、0.1〜5質量部であるのがより好ましい。なお、離型剤の含有量が前記未満である場合、樹脂組成物を成形型に充填して成形したとき、離型性が不十分となるおそれがあり、一方、離型剤の含有量が前記上限値を上回る場合、樹脂組成物の硬化性が低下するおそれがある。
なお、本発明の樹脂組成物は、作業性を高める観点から塊状が好ましく、樹脂組成物の成形安定性を高める観点からペレット状または板状が更に好ましい。
次に、本発明の樹脂組成物を製造する方法の一例について説明する。
本発明の樹脂組成物を製造する方法は、[1]バイオマスを溶媒存在下におき、これらを高温高圧下で分解処理する工程と、[2]処理物中の固形成分を極性溶媒で処理し、極性溶媒に対する不溶分と溶解液とを分離する工程と、[3]溶解液を乾燥させ、溶質(リグニン誘導体(A))を回収する工程と、[4]回収した溶質と架橋剤(B)と、架橋剤(C)とを混合し、樹脂組成物を得る工程と、を有する。また処理条件によっては水層と有機層が得られ、有機層を分離して蒸留することで樹脂組成物が得られる。以下、各工程の一例について順次説明する。
[1]
まず、バイオマスを溶媒存在下におき、高温高圧下で分解処理する。バイオマスとは、前述したように植物または植物の加工品であるが、この植物としては、例えば、ブナ、白樺、ナラのような広葉樹、スギ、マツ、ヒノキのような針葉樹、竹、稲わらのようなイネ科植物、椰子殻等が挙げられる。
そして、分解処理にあたり、バイオマスをブロック状、チップ状、粉末状等に粉砕しておくことが好ましい。その場合、粉砕後の大きさが100μm〜1cm程度であるのが好ましく、200〜1000μm程度であるのがより好ましい。このような大きさのバイオマスを用いることにより、液中でのバイオマスの分散性を高めるとともに、バイオマスの分解処理を効率よく行うことができる。
本工程において用いる溶媒としては、例えば、水の他、メタノール、エタノールのようなアルコール類、フェノール、クレゾールのようなフェノール類、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類、アセトニトリルのようなニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミドのようなアミド類等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合溶媒が用いられる。
また、溶媒としては特に水が好ましく用いられる。水としては、例えば、超純水、純水、蒸留水、イオン交換水等が用いられる。水を用いることにより、リグニン誘導体(A)の意図しない変性が抑制されるとともに、分解処理に伴って発生する廃液が水性であることから、環境負荷を最小限に抑えることができる。溶媒の使用量としては、バイオマスに対して多いほどよいが、好ましくはバイオマスに対して1〜20質量倍程度であるのが好ましく、2〜10質量倍程度であるのがより好ましい。
次に、溶媒存在下においたバイオマスを高温高圧下で分解処理する。これにより、バイオマスは、リグニン、セルロース、ヘミセルロース、およびその他のそれらの分解物や反応物等に分解される。
高温高圧環境の生成においては、オートクレーブのような耐圧容器が用いられる。また、この耐圧容器としては、加熱手段や撹拌手段を備えているものが好ましく用いられ、高温高圧下でバイオマスを撹拌するようにするのが好ましい。また、必要に応じて容器内の温度など圧力に影響を与える要因とは独立に加圧する手段を備えていてもよい。かかる手段としては、例えば、容器内にアルゴンガス等の不活性ガスを導入する手段等が挙げられる。
分解処理における条件は、処理温度が150〜400℃であるのが好ましく、180〜350℃であるのがより好ましく、220〜320℃であるのがさらに好ましい。処理温度が前記範囲内であれば、分解後に得られるリグニン誘導体(A)の分子量を最適化することができる。これにより、樹脂組成物の成形性と硬化後の耐溶剤性とをより硬度に両立させることができる。
また、分解処理における処理時間は、480分以下であるのが好ましく、30〜360分であるのがより好ましい。処理時間が前記範囲内であれば、分解後に得られるリグニン誘導体(A)の芳香族プロトンと脂肪族プロトンの比率が適切な値となり、かつ、樹脂組成物の成形性と硬化後の機械的特性とを高度に両立させることができる。
さらに、分解処理における圧力は、1〜40MPaであるのが好ましく、1.5〜25MPaであるのがより好ましく、3〜20MPaであるのがさらに好ましい。圧力が前記範囲内であれば、バイオマスの分解効率を格段に高めることができ、その分、処理時間の短縮化を図ることができる。
なお、分解工程の前処理として、バイオマスと前記溶媒とを十分に撹拌し、両者をなじませる工程を行うのが好ましい。これにより、バイオマスの分解を特に最適化することができる。撹拌温度は、0〜150℃程度であるのが好ましく、10〜130℃程度であるのがより好ましい。また、撹拌時間は、1〜120分程度であるのが好ましく、5〜60分程度であるのがより好ましい。さらに、撹拌方法としては、ボールミル、ビーズミル等の各種ミル、撹拌翼を備えた撹拌機等を用いた方法、ホモジナイザー、ジェットポンプなどによる水流攪拌を用いた方法等が挙げられる。
また、溶媒中には、必要に応じて、分解処理を促進する触媒、酸化剤を添加するようにしてもよい。この触媒としては、例えば、炭酸ナトリウムのような無機塩基類、酢酸、ギ酸のような無機酸類等が挙げられ、酸化剤としては、過酸化水素等が挙げられる。これらの触媒および酸化剤の添加量は、水溶媒中の濃度で0.1〜10質量%程度であるのが好ましく、0.5〜5質量%程度であるのがより好ましい。
さらに、上記分解処理の前処理として、バイオマスと前記水溶媒とを十分に撹拌し、両者をなじませる工程を行うのが好ましい。これにより、バイオマスの分解を特に最適化することができる。
なお、撹拌温度としては、0〜150℃程度であるのが好ましく、10〜130℃程度であるのがより好ましい。
また、撹拌時間としては、1〜120分程度であるのが好ましく、5〜60分程度であるのがより好ましい。
さらに、撹拌方法としては、ボールミル、ビーズミル等の各種ミル、撹拌翼を備えた撹拌機等を用いた方法、ホモジナイザー、ジェットポンプなどによる水流攪拌を用いた方法等が挙げられる。
また、分解処理において用いる溶媒は、亜臨界または超臨界の状態(条件)で用いられるのが好ましい。亜臨界または超臨界の状態にある溶媒は、触媒等の特別な添加成分なしにバイオマスの分解処理を促進することができる。このため、煩雑な分離プロセスを用いずに、バイオマスを短時間で分解処理することが可能となり、リグニン誘導体(A)の製造コストの低減および製造工程の簡略化を図ることができる。
一例として、水の臨界温度は約374℃、臨界圧力は約22.1MPaである。
[2]
次に、耐圧容器内の処理物を濾過する。そして濾液を除去し、濾別した固形成分を回収する。そして、回収した固形成分を、リグニンが可溶な溶媒に浸漬する。リグニンが可能な溶媒に浸漬した固形成分は、溶媒に溶解する成分(可溶分)と溶媒に不溶な成分(不溶分)とに分離する。
リグニンが可溶な溶媒としては、各種極性溶媒が用いられ、特にメタノール、エタノール等の低級アルコール類、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類を含むものが好ましく用いられる。これらの極性溶媒を用いることにより、回収した固形成分から、極性溶媒に溶解するリグニン誘導体(A)とこの極性溶媒に不溶なリグニン誘導体(A)とを分離して抽出することができる。
浸漬時間は、特に限定されないが、1〜48時間程度であるのが好ましく、2〜30時間程度であるのがより好ましい。また、浸漬時に溶媒の沸点以下で加温することも可能である。
[3]
次に、浸漬工程により得られた処理物を濾過する。そして濾液(溶解液)からリグニンが可溶な溶媒を留去し、乾燥させた溶質(リグニン誘導体(A))を回収する。
一方、濾過により、処理物から不溶分も回収される。
なお、リグニン二次誘導体を含む樹脂組成物を得る際には、抽出されたリグニン誘導体(A)に対して反応性官能基を含む化合物を接触させることにより、リグニン誘導体(A)に反応性官能基を導入するようにしてもよい。
反応性官能基を導入する方法としては、例えば、リグニン誘導体(A)と反応性官能基を含む化合物とを混合する方法が用いられ、混合後、必要に応じて触媒等を添加するようにしてもよい。
具体的には、エポキシ基を導入する場合、リグニン誘導体(A)とエピクロロヒドリンと溶媒とを混合し、これに減圧還流下で水酸化ナトリウム等の塩基触媒を添加すればよい。
また、ビニル基を導入する場合、リグニン誘導体(A)とハロゲン化アリルまたはハロゲン化ビニルベンジル等のビニル基を含むハロゲン化合物と溶媒とを混合し、これに加熱攪拌下で水酸化ナトリウム等の塩基触媒を添加すればよい。
また、エチニル基を導入する場合、リグニン誘導体(A)とハロゲン化プロパルギルまたはハロゲン化フェニルアセチレン等のエチニル基を含むハロゲン化合物と溶媒とを混合し、これに加熱攪拌下で水酸化ナトリウム等の塩基触媒を添加すればよい。
また、シアネート基を導入する場合、リグニン誘導体(A)とハロゲン化シアネートと溶媒とを混合し、これに加熱攪拌下で水酸化ナトリウム等の塩基触媒を添加すればよい。
また、マレイミド基を導入する場合、リグニン誘導体(A)とパラクロロニトロベンゼンとを混合する。これにより、リグニン誘導体(A)のフェノール性水酸基にクロロ基が反応し、エーテル結合を介して結合したポリニトロ化リグニンが得られる。次いで、ポリニトロ化リグニンを還元することで、ポリアミノ化リグニンに変換され、さらに無水マレイン酸と反応させることで、マレイミド基が導入される。
また、イソシアネート基を導入する場合、リグニン誘導体(A)と無水マレイン酸とを混合することで、リグニン誘導体(A)中の水酸基がカルボキシル基に変換される。その後、混合物をジフェニルリン酸アジド存在下で加熱することにより、イソシアネート基が導入される。
[4]
次に、回収した溶質(リグニン誘導体(A))と、架橋剤(B)と、架橋剤(C)とを、任意の方法および順序で混合する。必要に応じて、触媒、潜在性触媒、充填剤、および各種添加剤を、任意の方法および順序で混合する。これにより、樹脂成形体が調製される。
また、混合する際には、熱板や、加圧ニーダー、ロール、コニーダー、二軸押し出し機等の混練機等を用い、混合物が硬化する温度未満で加熱溶融混練する。加熱する際の具体的な加熱温度は、選択する組成に応じて若干異なるが、好ましくは50〜130℃程度とされる。前記混合物を冷却したものを粉砕することにより、顆粒状の樹脂組成物が得られる。
また、樹脂組成物を調製する際には、必要に応じて有機溶媒を添加するようにしてもよい。有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセルソルブ、アセトン、メチルセルソルブ、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、キノリン、シクロペンタノン、キシレン、m−クレゾール、クロロホルム等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。
なお、必要に応じて、希釈剤を添加するようにしてもよい。希釈剤としては、例えば、ブチルセロソルブ、カルビトール、酢酸ブチルセロソルブ、酢酸カルビトール、エチレングリコールジエチルエーテル、α−テルピネオール等の比較的沸点の高い有機溶媒が挙げられる。
さらには、前述したその他の添加剤を混合してもよい。
<樹脂成形体>
次に、本発明の樹脂組成物から製造される樹脂成形体について説明する。例えば、樹脂成形体は、本発明の樹脂組成物を成形した時または後で、硬化させることにより製造される。
具体的には、樹脂組成物を成形金型内で加熱加圧成形した後、硬化させることにより製造される。
加熱加圧成形時の温度は、100〜280℃程度であるのが好ましく、120〜250℃程度であるのがより好ましい。また、圧力は、0.5〜20MPa程度であるのが好ましく、1〜10MPa程度であるのがより好ましい。
得られる樹脂成形体は、例えば、半導体部品、航空機部品、自動車部品、産業用機械部品、電子部品、電気部品、機構部品等の用途に適用される。
なお、成形方法は特に限定されず、本発明の樹脂成形体は、公知の成形法、例えば、射出成形法、圧縮成形法、押出成形法、キャスト成形法等を用いて成形品とすることができる。このようにして得られる成形品の形態は、どのような形態であってもよく、例えば、成形材料を最終成形品にする前の中間成形品であっても、最終成形品であってもよい。
なお、樹脂成形体は、加熱されることにより、リグニン誘導体(A)が架橋剤(B)および架橋剤(C)で架橋されて硬化するが、脱アルコール反応や脱水反応に伴う縮合反応や付加反応などによって、架橋剤(B)および架橋剤(C)とリグニン誘導体(A)の架橋反応点とが架橋するものと考えられる。
さらに、リグニン誘導体(A)がメチロール化されている場合、脱水縮合反応が生じ、架橋剤(C)とメチロール基とが架橋するとともに、架橋剤(C)同士やリグニン誘導体(A)同士が自己縮合する。
以上のような反応により、樹脂組成物が硬化する際、上記反応に伴う揮発成分の発生が穏やかであるため、膨れやボイド等の不具合を効果的に抑えることができる。
以上、本発明について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、樹脂組成物には任意の成分が添加されていてもよい。
また、樹脂組成物を紙や布帛等の芯材に含浸させることにより、機械的特性、耐久性および外観に優れた樹脂板を製造することができる。芯材としては、例えば、薄葉紙、クラフト紙、チタン紙、リンター紙、板紙、石膏ボード用原紙、コート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙、和紙等の各種紙、ガラス繊維、石綿繊維、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、炭素繊維、金属繊維、鉱物繊維のような無機質繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維のような合成樹脂繊維または天然繊維等の各種繊維の不織布または織布等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の複合体が用いられる。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.樹脂組成物および樹脂成形体の製造
(実施例1)
(1)リグニン誘導体(A)の抽出
スギ木粉(60メッシュアンダー)100gと、純水からなる溶媒400gと、を混合し、これを1Lオートクレーブに導入した。そして内容物を300rpmで攪拌しながら、前処理として室温で15分間撹拌を行い、スギ木粉と溶媒とを十分になじませた後、300℃、10MPaで60分間処理して、スギ木粉を分解した。
次いで、得られた分解物を濾過し、濾別された固形成分を回収した。
次いで、得られた固形成分を極性溶媒であるアセトンに浸漬し、アセトンに対する不溶分と可溶分とに分離した。これを濾過し、濾別された溶解液を回収した。
次いで、溶解液を乾燥させて溶質を回収することによって、リグニン誘導体(A)を得た。
(2)樹脂組成物の調製
次いで、得られたリグニン誘導体(A)100質量部と、架橋剤(B)としてソルビトール型グリシジルエーテル化合物(官能基当量191)30重量部と、2−メチルイミダゾール0.5重量部と、シリカ粉末(電気化学社製、平均粒径15μm)400質量部と、架橋剤(C)としてヘキサメチレンテトラミン10質量部と、を熱ロールで80℃にて混練し、計5分間混練してシート状の混練物を得た。
次いで、シート状の混練物を冷却させた後、これを粉砕することにより、平均粒径3mmの顆粒状の樹脂組成物を得た。
(3)樹脂成形体の製造
次に、得られた顆粒状の樹脂組成物をタブレットマシンに供給し、外径20mmのタブレットとした。
次いで、トランスファー成形により、175℃、6.9MPaの成形条件で5分間成形し、平均厚さ1.6mmの板状の仮成形体を得た。さらに、得られた仮成形体を175℃6時間加熱して本発明の樹脂成形体を得た。
(4)リグニン誘導体の数平均分子量の評価
得られたリグニン誘導体(A)をテトラヒドロフランに溶解させ、測定サンプルを作製した。次に、GPCシステム「HLC−8320GPC(東ソー製)」に、スチレン系ポリマー充填剤を充填した有機系汎用カラムである「TSKgelGMHXL(東ソー製)」、および「G2000HXL(東ソー製)」を直列に接続した。
このGPCシステムに、前記測定サンプルを200μL注入し、40℃において、溶離液のテトラヒドロフランを1.0mL/minで展開し、示差屈折率(RI)、および紫外吸光度(UV)を利用して保持時間を測定した。別途作製しておいた標準ポリスチレンの保持時間と分子量の関係を示した検量線から、前記リグニン誘導体(A)の数平均分子量を算出した。
なお、検量線を作成するために使用する標準ポリスチレンの分子量としては、数平均分子量が427,000、190,000、96,400、37,900、18,100、10,200、5,970、2,630、1,050および500の標準ポリスチレン(東ソー製)のものを用いた。
測定結果は、表1に示した。
(5)リグニン誘導体のカルボキシル基の有無の評価
得られたリグニン誘導体(A)について、13C−NMR分析を実施し、172〜180ppmのピークの吸収の有無によって確認した。
測定結果は、表1に示した。
(6)仮成形体の硬化度の評価
得られた樹脂組成物を、175℃10分加熱成形し、仮成形体を作製した。得られた仮成形体を粉砕し、迅速溶媒抽出装置「ソクテストSER148/6(アクタック社製)」を用いて、円筒ろ紙に入れた仮成形体を沸騰したアセトン溶媒に浸漬し、1時間煮沸した。次いで、円筒ろ紙をアセトン溶媒から引き上げ、機器上部で冷えて液化したアセトンが円筒ろ紙中のサンプルに滴下させて、1時間リンスを行った。得られたアセトン抽出液を12時間風乾し、さらに50℃2時間減圧下で乾燥させた。乾燥して得られた抽出固形分の重量をアセトン溶出分重量とした。得られたアセトン溶出分重量を用いて、以下の式によって硬化度を算出した。なお、硬化物中の樹脂含有量は樹脂組成物の組成から算出した。
硬化度(%)=(硬化物中の樹脂含有量−アセトン溶出分重量)/硬化物中の樹脂含有量×100
なお、仮成形体の硬化度の評価基準は以下のとおりである。
◎:硬化度が80%以上である
○:硬化度が70%以上、80%未満である
△:硬化度が60%以上、70%未満である
×:硬化度が60%未満である
測定結果は、表1に示した。
(7)樹脂成形体の硬化度の評価
得られた樹脂組成物を、175℃10分の条件で処理し、次いで180℃で6時間処理することで、加熱成形して樹脂成形体を得た。得られた樹脂成形体を粉砕し、迅速溶媒抽出装置「ソクテストSER148/6(アクタック社製)」を用いて、円筒ろ紙に入れた仮成形体を沸騰したアセトン溶媒に浸漬し、1時間煮沸した。次いで、円筒ろ紙をアセトン溶媒から引き上げ、機器上部で冷えて液化したアセトンが円筒ろ紙中のサンプルに滴下させて、1時間リンスを行った。得られたアセトン抽出液を12時間風乾し、さらに50℃2時間減圧下で乾燥させた。乾燥して得られた抽出固形分の重量をアセトン溶出分重量とした。得られたアセトン溶出分重量を用いて、以下の式によって硬化度を算出した。なお、硬化物中の樹脂含有量は樹脂組成物の組成から算出した。
硬化度(%)=(硬化物中の樹脂含有量−アセトン溶出分重量)/硬化物中の樹脂含有量×100
なお、樹脂成形体の硬化度の評価基準は以下のとおりである。
◎:硬化度が95%以上である
○:硬化度が90%以上、95%未満である
△:硬化度が85%以上、90%未満である
×:硬化度が85%未満である
測定結果は、表1に示した。
(8)ゲルタイムの評価
シリカ粉末を添加しない樹脂組成物を作製し、JIS K 6910に規定の方法に準拠し175℃におけるゲルタイム(ゲル化時間)を測定した。
測定結果は、表1に示した。
(9)樹脂成形体の曲げ破断時歪みの評価
得られたリグニン樹脂成形体について、JIS−C6481に規定の方法に準じて、破断するまでの曲げ試験を行った。そして、試験前寸法に対する試験後寸法の変化の割合(曲げ破断時伸び)を評価した。
なお、曲げ破断時歪みの評価基準は以下のとおりである。
〇:曲げ破断時歪みが0.5%以上である
×:曲げ破断時歪みが0.5%未満である
測定結果は、表1に示した。
(10)樹脂成形体の外観の評価
得られた樹脂成形体について、外観を目視で確認し、評価した。
なお、外観の評価基準は以下のとおりである。
◎:成形品の表面が平滑で、ひずみ、しわ、斑点が認められない
○:成形品の表面に肉眼では分からない凹凸が認められる、または、ひずみ、しわ、斑点が1〜2個である
△:成形品の表面に肉眼で分かる凹凸が認められる、または、ひずみ、しわ、斑点が3〜5個である
×:成形品の表面に肉眼で分かる著しい凹凸が認められる、または、ひずみ、しわ、斑点が6個以上である
測定結果は、表1に示した。
(実施例2)
架橋剤(B)をグリセロール型グリシジルエーテル化合物(官能基当量144)30重量部に変更した以外は、実施例1と同様にした。
(実施例3)
架橋剤(B)をエポキシ化亜麻仁油(官能基当量112)30重量部に変更した以外は、実施例1と同様にした。
(実施例4)
バイオマスの分解処理温度を290℃に変更し、バイオマスの処理圧力を9MPaに変更した以外は、実施例1と同様にした。
(実施例5)
バイオマスの分解処理温度を250℃に変更し、バイオマスの処理圧力を4MPaに変更した以外は、実施例1と同様にした。
(実施例6)
バイオマスの分解処理時間を180分に変更し、架橋剤(B)をグリセロール型グリシジルエーテル化合物(官能基当量144)30重量部に変更した以外は、実施例1と同様にした。
(実施例7)
架橋剤(B)をグリセロール型グリシジルエーテル化合物(官能基当量144)30重量部に変更し、架橋剤(C)をヘキサメチレンテトラミン7.5重量部に変更した以外は、実施例1と同様にした。
(実施例8)
バイオマスを孟宗竹に変更し、バイオマスの分解処理温度を270℃に変更し、バイオマスの分解圧力を7MPaに変更し、架橋剤(B)をソルビトール型グリシジルエーテル化合物(官能基当量191)20重量部とグリセロール型グリシジルエーテル化合物(官能基当量144)10重量部に変更し、架橋剤(C)をヘキサメチレンテトラミン8重量部に変更した以外は、実施例1と同様にした。
(実施例9)
架橋剤(C)をヘキサメチレンテトラミン6重量部とキヌクリジン2重量部とピジン2重量部とに変更した以外は、実施例1と同様にした。
(実施例10)
架橋剤(C)をヘキサメトキシメチルメラミン7重量部とニカラックMX−290(三和ケミカル社製)1重量部とニカラックMX−280(三和ケミカル社製)1重量部とニカラックMX−270(三和ケミカル社製)1重量部とに変更した以外は、実施例1と同様にした。
(実施例11)
架橋剤(B)をグリセロール型グリシジルエーテル化合物(官能基当量144)45重量部に変更し、架橋剤(C)をヘキサメチレンテトラミン0.5重量部に変更した以外は、実施例1と同様にした。
(実施例12)
架橋剤(B)をソルビトール型グリシジルエーテル化合物(官能基当量191)75重量部に変更し、架橋剤(C)をヘキサメチレンテトラミン1重量部に変更した以外は、実施例1と同様にした。
(実施例13)
架橋剤(B)をヘキサメチレンジイソシアネート(官能基当量84)30重量部に変更した以外は、実施例1と同様にした。
(比較例1)
樹脂をノボラック型フェノール樹脂に変更した以外は、実施例1と同様にした。
(比較例2)
架橋剤(B)を添加しないように変更した以外は、実施例1と同様にした。
(比較例3)
架橋剤(C)を添加しないように変更した以外は、実施例1と同様にした。
表1から明らかなように、各実施例で得られたリグニン誘導体(A)は、ゲルタイムの値が成形性の観点から好ましい30〜90秒となるため、このようなリグニン誘導体(A)を含む樹脂組成物は、成形性に優れたものとなる。
また、表1から明らかなように、各実施例で得られた樹脂組成物および樹脂成形体は、耐溶剤性の目安となる硬化度が高く、歪みに対する耐性に優れ、外観にも優れたものとなる。
以上のことから、本発明によれば、耐溶剤性を損なうことなく、成形性および歪みに対する耐性に優れた樹脂組成物、および、樹脂成形体が得られる。

Claims (10)

  1. リグニン誘導体(A)と、
    芳香族を有さないエポキシ化合物としてポリエチレングリコール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、ヘキサンジオール型エポキシ樹脂、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、ペンタエリスリトール型エポキシ樹脂、グリセロール型エポキシ樹脂、ポリグリセロール型エポキシ樹脂、ソルビトール型エポキシ樹脂、大豆油由来エポキシ樹脂、亜麻仁油由来エポキシ樹脂、および、米糠油由来エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種、ならびに、芳香族を有さないイソシアネート化合物としてノルボルネンメタンジイソシアネート、から選ばれる少なくとも1種の架橋剤(B)と、
    架橋剤(B)とは架橋点が異なりかつ種類の異なる架橋剤(C)と、
    を含有することを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記架橋剤(C)は、キヌクリジン、ピジン、ヘキサメチレンテトラミンおよび下記式(1)で表される化合物のうちの少なくとも1種を含有するものである請求項1に記載の樹脂組成物。
    Z−(CHOR) (1)
    [式(1)中のZはメラミン残基、尿素残基、グリコリル残基、イミダゾリジノン残基および芳香環残基のうちのいずれか1種である。また、mは2〜14の整数を表す。また、Rは独立して炭素数1〜4のアルキル基または水素原子である。ただし、−CHORは、メラミン残基の窒素原子、尿素残基の1級アミノ基の窒素原子、グリコリル残基の2級アミノ基の窒素原子、イミダゾリジノン残基の2級アミノ基の窒素原子および芳香環残基の芳香環の炭素原子のいずれかに直接結合している。]
  3. 前記架橋剤(C)は、下記式(2)〜(5)のうちのいずれかで表されるものを少なくとも1種を含有するものである請求項2に記載の樹脂組成物。
    [式(2)中、XはCHORまたは水素原子であり、Rは独立して炭素数1〜4のアルキル基または水素原子である。また、nは1〜3の整数を表す。]
    [式(3)中、Rは独立して炭素数1〜4のアルキル基または水素原子である。]
    [式(4)中、Rは独立して炭素数1〜4のアルキル基または水素原子である。]
    [式(5)中、Rは独立して炭素数1〜4のアルキル基または水素原子である。]
  4. 前記架橋剤(C)は、下記式(6)または(7)で表される化合物を含むものである請求項2に記載の樹脂組成物。
    [式(6)中、nは1〜3の整数を表す。]
    [式(7)中、nは1〜3の整数を表す。]
  5. 前記芳香族を有さないエポキシ化合物および芳香族を有さないイソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種の架橋剤(B)は、官能基当量が400以下であるものを含有するものである請求項1ないし4のいずれかに記載の樹脂組成物。
  6. 前記リグニン誘導体(A)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析により測定されたポリスチレン換算の数平均分子量が200〜2000であるものを含有するものである請求項1ないし5のいずれかに記載の樹脂組成物。
  7. 前記リグニン誘導体(A)100重量部に対し、前記芳香族を有さないエポキシ化合物および芳香族を有さないイソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種の架橋剤(B)と前記架橋剤(C)の含有量の合計が5〜100重量部である請求項1ないしのいずれかに記載の樹脂組成物。
  8. 前記芳香族を有さないエポキシ化合物および芳香族を有さないイソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種の架橋剤(B)の含有量を、前記架橋剤(C)の含有量で除した比率[(B)/(C)]が1〜50である請求項1ないしのいずれかに記載の樹脂組成物。
  9. 前記リグニン誘導体(A)は、カルボキシル基を含有するものである請求項1ないしのいずれかに記載の樹脂組成物。
  10. 請求項1ないしのいずれかに記載の樹脂組成物の成形体であることを特徴とする樹脂成形体。
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