JP5396747B2 - プリプレグ及びそれを用いた基板 - Google Patents

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Description

本発明は、リグニン化合物を用いたプリプレグおよび基板に関するものである。
一般的な木質成分に、約30質量%含まれるリグニンは、セルロースに次いで豊富に生合成される物質である。このリグニンは一般に、3種類の異なるフェニルプロぺノール部分からなる三次元の架橋ポリマーであるが、その化学構造が極めて複雑であるため、有効な活用方法が確立されていない。しかしながら、化学構造として、芳香環と、フェノール性水酸基及びアルコール性水酸基を、豊富に含むことから、リグニンの有効利用法の一つとして樹脂原料が考えられる(例えば、特許文献1参照。)。前記樹脂原料として、リグニンに、エポキシ基等の架橋用官能基を導入する場合、リグニンにおける反応性の低いアルコール性水酸基が、前記官能基の導入を阻害する。舩岡らの報告では、フェノール性水酸基とアルコール性水酸基のモル比は、およそ0.8:1.0〜1.5:1.0程度である(例えば、非特許文献1参照。)。また、リグニンにエポキシ基等の架橋用官能基を導入する場合、アルコール性水酸基は反応性が劣るため、予めフェノール化合物を導入する必要があった。長谷川らはリグノフェノールのエポキシ化を検討しているが、フェノール性水酸基を増加させているにもかかわらず、エポキシ基の導入率が20%前後と低くなる問題があった(例えば、非特許文献2参照。)。そのため、これらのリグノフェノールやそのエポキシ化物は基板用途に適用した場合、プリプレグや基板の耐熱性が劣るという問題点があった。
特開2004−238539号公報 K. Mikame, M. Funaoka, Polym. J., 38, 585−591, 2006J . Kadota, K. Hasegawa, M. Funaoka Journal of Network Polymer. Japan, 27, 118−125, 2006
本発明はかかる状況に鑑みなされたもので、従来のリグノフェノールを用いた場合に比べても、耐熱性に優れるプリプレグならびにこのプリプレグを硬化させた基板を提供するものである。
本発明者らは、前記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、フェノール性水酸基又はそれ以外の反応性基を特定の割合で有するリグニン化合物及び架橋剤を含む樹脂組成物を用いることにより、優れた耐熱性と物性を実現できるプリプレグが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は下記第(1)項〜第(6)項により達成される。
(1) リグニン化合物と架橋剤を含む樹脂組成物を、基材に含浸させたプリプレグであって、前記リグニン化合物は、バイオマスを分解して得られるフェノール性水酸基とアルコール性水酸基をモル比として9:1から8:2の比率で有する数平均分子量が300〜2000のリグニン分解物、及び該リグニン分解物のフェノール性水酸基に反応性基を導入したリグニン誘導体から選ばれる1種又は2種であることを特徴とするプリプレグ。
(2) 前記樹脂組成物は、さらに充填材を含む第(1)項に記載のプリプレグ。
(3) 前記樹脂組成物は、前記リグニン化合物と前記架橋剤の合計量において、前記リグニン化合物の含有量が40〜95質量%、前記架橋剤の含有量が5〜60質量%である請求項1又は2に記載のプリプレグ。
(4) 前記反応性基が、エポキシ基である第(1)項〜第(3)項のいずれか1項に記載のプリプレグ。
(5) 前記リグニン化合物の軟化点は、68〜121℃である第(1)項〜第(4)項のいずれか1項に記載のプリプレグ。
(6) 第(1)項〜第(5)項のいずれか1項に記載のプリプレグ1枚又は2枚以上積層してなる積層体を硬化させたことを特徴とする基板。
本発明によれば耐熱性に優れるプリプレグを提供することができる。また、本発明のプリプレグを硬化した基板は耐熱性に優れるものである。
本発明は、リグニン化合物と架橋剤とを含む樹脂組成物を、基材に含浸させたプリプレグであって、前記リグニン化合物は、バイオマスを分解して得られるフェノール性水酸基とアルコール性水酸基をモル比として9:1から8:2の比率で有するリグニン化合物(以下リグニン分解物と称することがある。)、及び該リグニン化合物のフェノール性水酸基に反応性基を導入したリグニン誘導体から選ばれる1種または2種であることを特徴とするプリプレグである。これにより、耐熱性に優れたプリプレグを提供することができ、さらに該プリプレグを硬化した基板を提供できる。
上記リグニン化合物におけるフェノール性水酸基を有する構造としては、例えば、フェノール構造、グアヤコール構造及び2,6−ジメトシキフェノール構造などを挙げることができる。
本発明に用いるリグニン化合物におけるリグニン分解物は、バイオマスを分解して得られるものであって、フェノール性水酸基とアルコール性水酸基をモル比として9:1から8:2の比率で有するものである。
また、該リグニン化合物にフェノール性水酸基以外の反応性基を有するリグニン誘導体は、後述するエポキシ基、ビニル基、エチニル基、マレイミド基、シアネート基及びイソシアネート基等の反応性基を、前記フェノール性水酸基に導入したものである。
前記リグニン誘導体を含めたリグニン化合物は、架橋部位を多数有するため、プリプレグに用いた場合、耐熱性などの特性に優れたものとなる。
本発明に用いるリグニン化合物としては、上記の中でも、反応性や取扱いのし易さの上で、バイオマスを分解して得られるリグニン分解物が好ましい。
前記バイオマスとしては、リグニンを含有する植物及び前記植物の加工品などを挙げることができる。前記植物としては、例えば、ブナ、白樺及びナラなどの広葉樹、杉、松及び桧などの針葉樹、竹及び稲わらなどのイネ科植物などが挙げられる。本発明に用いるバイオマスの形状としては、ブロック、チップ、粉末等が挙げられる。
本発明に用いるリグニン化合物におけるリグニン分解物は、前記バイオマスを、溶媒存在下、高温高圧処理により分解することにより得ることができる。
リグニン化合物の製造方法の具体例としては、まず、前記バイオマスを一定の大きさに調整し、次いで、これを、溶媒、任意に触媒、と共に、撹拌機及び加熱装置付の耐圧容器に入れて、加熱及び加圧をしながら、撹拌して、前記バイオマスの分解処理を行う。次いで、耐圧容器の内容物をろ過して、ろ液を除去し、水不溶分を水で洗浄し、分離する。次いで、前記水不溶分を、リグニン化合物が可溶な溶媒、例えば、アセトンなどに浸漬して、リグニン化合物をアセトンに抽出して、前記アセトンを留去することにより、リグニン分解物としてリグニン化合物を得ることができる。
前記分解処理におけるバイオマスの大きさとしては、100μm〜1cm程度が好ましく、200μm〜500μmがより好ましい。このときバイオマスの形状としては、上記のように、ブロック状、チップ状、粉末状等のいずれであってよい。
前記分解処理における溶媒としては、水、メタノール及びエタノールなどのアルコール類、フェノール及びクレゾールなどのフェノール類、ケトン類、エーテル類などを挙げることができ、特に水を使用することが好ましい。溶媒の使用量としては、バイオマスに対して多量に用いるほど好ましいが、バイオマス質量の2質量倍から10質量倍程度が好ましく、3質量倍から5質量倍程度がより好ましい。また、バイオマスの分解を促進する上で、触媒として炭酸ナトリウムなどの無機塩基類を添加してもよい。
前記バイオマスを高温高圧で処理する条件としては、処理温度として通常は150℃から400℃が好ましく、さらに好ましくは200℃から380℃である。前記処理温度は、前記範囲外でも使用できるが、リグニン化合物の分子量は処理温度で制御可能であり、高温で処理すると低分子量体に、低温で処理すると高分子量体になる傾向がある。
上記処理における処理時間としては、通常は0分から480分が好ましく、さらに好ましくは30分から120分である。前記処理時間は、前記範囲外でも使用できるが、リグニン化合物のフェノール性水酸基当量は処理時間で制御可能であり、短時間処理でフェノール性水酸基当量は大きくなり、長時間処理では小さくなる傾向となる。なお、上記処理時間は耐圧容器内の温度が所定の温度に達したときから、冷却を始める(加熱を終了する)までの時間である。
前記高圧処理における圧力としては1.0MPaから40MPaが好ましく、さらに好ましくは1.5MPaから25MPaである。前記圧力は、前記範囲外でも使用できるが、より高圧で処理することで、長時間処理を施した場合と同等の効果が得られる。
上記範囲内の条件でバイオマスを処理することで、300から2,000程度と好ましい範囲の数平均分子量となると共に、さらには、本発明におけるリグニン化合物として、好ましいフェノール性水酸基当量である100から200程度のフェノール性水酸基当量に制御しやすくなる。
また、前記製造方法の具体例においては、フェノール性水酸基当量と分子量は独立に制御が可能であり、例えば、処理温度にかかわらず、短時間処理によりフェノール性水酸基当量(主にフェノール性水酸基)が200前後と大きいものが得られ、長時間処理により100前後で飽和して小さなフェノール性水酸基当量が得られる。
上記に例示した製造方法などで得られたリグニン分解物は、フェノール性水酸基とアルコール性水酸基をモル比として9:1から8:2の比率で有するものであることを特徴とする。
前記リグニン分解物は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量が300〜2,000であることが好ましい。前記範囲外でも使用できるが、300より小さいと、リグニン分解物として、単官能のモノマーやオリゴマーが存在し、硬化物とした場合に架橋密度が低下し、耐熱性に劣ることになる場合があり、2,000より大きいと、リグニン分解物の軟化点が高くなりすぎて、成形しにくくなる問題が発生する場合がある。数平均分子量については、リグニン誘導体においても同様である。
また、本発明に用いるリグニン化合物におけるリグニン誘導体は、前記リグニン分解物にフェノール性水酸基以外の反応性基を導入したものであり、樹脂原料として有用な反応性を有し、高い架橋密度を得ることができる。
前記リグニン誘導体が有する反応性基は、反応性を有する基であり、その反応性基が自己反応性を有し、2個以上の同じ反応性基が互いに反応し得るもの、または他の官能基との間で反応し得るものであればよく、例えば、エポキシ基、ビニル基及びエチニル基などの炭素−炭素不飽和結合基、マレイミド基、シアネート基、イソシアネート基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、硬化物の寸法安定性や耐水性、耐薬品性および電気絶縁性が高いことからエポキシ基が好ましい。
前記リグニン誘導体の製造方法は、当業者において、一般的に、フェノール性水酸基に、反応性基を、共有結合を介して結合させる公知の方法を用いることができ、適宜、反応性基の導入方法は選択することができる。具体例としては、上記で得られたリグニン分解物のフェノール性水酸基に、前記反応性基を導入して得ることができる。
以下に、反応性基の導入方法の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
反応性基としてエポキシ基を導入する場合、例えば、上記で得たリグニン分解物を、エピクロロヒドリンに溶解し、減圧還流下、水酸化ナトリウムなどの塩基触媒を用いて反応させることで得られる。
また、反応性基としてビニル基を導入する場合、例えば、ハロゲン化アリル及びハロゲン化ビニルベンジル等のビニル基を含むハロゲン化合物と、上記で得たリグニン分解物を、溶剤に溶解し、加熱して、水酸化ナトリウムなどの塩基触媒を用いて反応させることで得られる。
本発明に用いる架橋剤としては、リグニン化合物のフェノール性水酸基あるいはフェノール核に反応しうるものや反応性基を有するリグニン化合物(リグニン誘導体)の反応性基と反応する官能基を有するものであれば、特に限定されるものではない。
リグニン化合物としてリグニン分解物を用いる場合の架橋剤としては、リグニン化合物に含まれるフェノール性水酸基に対しては、オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂及びビスフェノールA型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂;ヘキサメチレンジイソシアネート及びトルエンジイソシアネート等のウレタン樹脂;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド及びパラホルムアルデヒド等のアルデヒド類;ポリオキシメチレンなどのアルデヒド源;ヘキサメチレンテトラミン;レゾール型フェノール樹脂;等の通常のフェノール樹脂に用いる公知の架橋剤や、リグニン分解物に含まれる芳香環に対しては、親電子置換反応して架橋し得る化合物などを挙げることができる。
前記レゾール型フェノール樹脂は、特に限定されないが、油変性レゾール型フェノール樹脂を含んでも良い。油変性レゾール型フェノール樹脂としては、例えば桐油、アマニ油、紅花油及びクルミ油等の乾性油により変性された乾性油変性レゾール型フェノール樹脂;大豆油、綿実油及び胡麻油等の半乾性により変性された半乾性油変性レゾール型フェノール樹脂等が挙げられる。これらの中でも、プリプレグや基板における打ち抜き性を考慮する場合、桐油変性レゾール型フェノール樹脂が好ましい。
また、反応性基を有するリグニン化合物(リグニン誘導体)を用いる場合の架橋剤としては、該反応性基と反応する架橋剤又は自己架橋性の反応性基を有する架橋剤であれば良い。
リグニン誘導体として、エポキシ基を有するリグニン化合物を用いた場合の架橋剤としては、一般的なエポキシ樹脂用硬化剤であればよく、例えば、ノボラック型フェノール樹脂などのフェノール樹脂;本発明のフェノール性水酸基を有するリグニン化合物;ジエチレントリアミン、m−キシリレンジアミン及びN−アミノエチルピペラジン等のアミン系化合物;無水フタル酸、無水コハク酸及び無水マレイン酸等の酸無水物;ジシアンジアミド、グアニジン類、2−メチルイミダゾール;2−エチル−4−メチルイミダゾール等のエポキシ樹脂のアニオン系硬化剤などが挙げられる。エポキシ基の自己架橋においては、例えば、2−メチルイミダゾール及び2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7などのアニオン系重合開始剤;トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート及びジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート等のスルホニウム塩、並びにフェニルジアゾニウムヘキサフルオロポスフェート及びフェニルジアゾニウムテトラフルオロボレート等のジアゾニウム塩などのカチオン系重合開始剤;などが挙げられる。これらの中でも、反応性などの上で、リグニン化合物が好ましい。
リグニン誘導体として、イソシアネート基を有するリグニン化合物を用いた場合の架橋剤としては、一般的なイソシアネート樹脂用硬化剤であればよく、例えば、フェノール樹脂、リグニン分解物、ポリビニルアルコール及びポリアミン系化合物などを挙げることができる。
リグニン誘導体として、ビニル基を有するリグニン化合物を用いた場合の架橋剤としては、一般的なビニル基含有化合物の重合開始剤であればよく、例えば、ブチルリチウム及びナトリウムエトキシド等のアニオン重合開始剤;アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)及び過酸化ベンゾイル(BPO)等のラジカル重合開始剤などを挙げることができる。
リグニン誘導体として、エチニル基を有するリグニン化合物を用いた場合の架橋剤としては、一般的なエチニル基含有化合物の重合触媒であればよく、例えば、5塩化モリブデン、5塩化タングステン及びノルボルナジエンロジウムクロリドダイマーなどを挙げることができる。
リグニン誘導体として、マレイミド基を有するリグニン化合物を用いた場合の架橋剤としては、一般的なマレイミド基含有化合物の重合開始剤であればよく、例えば、BPO等のパーオキサイド及び前記アニオン系重合開始剤などを挙げることができる。
リグニン誘導体として、シアネート基を有するリグニン化合物を用いた場合の架橋剤としては、一般的なシアネート基含有化合物の重合触媒であればよく、例えば、ナフテン酸コバルトなどの金属触媒などを挙げることができる。
本発明に用いる樹脂組成物は、リグニン化合物と架橋剤を含むものであり、これらの成分を混合して得られる。また、リグニン化合物は、バイオマスを分解して得られるフェノール性水酸基とアルコール性水酸基をモル比として9:1から8:2の比率で有するリグニン化合物、及び該リグニン化合物のフェノール性水酸基に反応性基を導入したリグニン誘導体から選ばれる1種又は2種を用いることができ、上記リグニン化合物及びリグニン誘導体においては、それぞれの1種又は2種以上を用いることができる。
樹脂組成物におけるリグニン化合物と架橋剤の含有量としては、リグニン化合物と架橋剤の合計量において、リグニン化合物を40〜95質量%用いることが好ましく、50〜90質量%用いることがより好ましい。また架橋剤は5〜60質量%用いることが好ましく、10〜50質量%用いることがより好ましい。
本発明に用いる樹脂組成物は、リグニン化合物と架橋剤の他に、必要に応じて任意に充填材を含んでいても良い。前記充填材としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、クレー、アルミナ、マイカ及びガラス繊維などの無機充填材、木粉、パルプ、粉砕布及び熱硬化性樹脂硬化物粉などの有機充填材等が挙げられ、これらの1種類以上を使用することができるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、無機充填剤は、難燃性を改善するのに効果がある。
上記リグニン樹脂組成物における充填材の含有量としては、リグニン化合物と架橋剤の合計量100質量部に対して10〜900質量部が好ましく、20〜500質量部がより好ましい。
上記の成分に加えて、本発明の目的を阻害しない範囲で、任意に、着色剤、酸化防止剤、還元剤、紫外線不透過剤等の各種添加剤を加えることができる。これらは、1種類を用いても2種類以上を併用してもよい。
また、プリプレグの製造において、樹脂組成物をワニスとして用いる場合に有機溶剤を使用することができる。有機溶剤は、リグニン化合物および架橋剤と相溶するものであれば、特に限定されない。具体的には、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセルソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルおよびそのアセテート、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミドなどが挙げられ、これらは1種あるいは2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
上記ワニスにおいて有機溶剤の使用量としては、リグニン樹脂組成物100質量部に対して、20〜400質量部が好ましく、50〜200質量部がより好ましい。
本発明のプリプレグは、上記樹脂組成物を、基材に含浸するものである。
本発明に用いる基材としては、ガラス織布、ガラス不繊布等のガラス繊維基材、クラフト紙、リンター紙等の紙材、アラミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維等の合成繊維等の織布や不織布からなる有機合成繊維基材、金属繊維、カーボン繊維、鉱物繊維等の織布や不織布からなる無機繊維基材、これらのマット類等が挙げられ、これらの基材の原料繊維は単独又は混合して使用してもよい。
本発明のプリプレグは、上記基材に、上記樹脂組成物を含浸させた後、乾燥して製造することができる。このとき、樹脂組成物は通常、有機溶媒を用いてワニスとして用いることができるが、粉末状としても用いても良い。
樹脂組成物を基材に含浸させる方法は通常の方法を使用することができる。例えば、基材を樹脂ワニスに浸漬して含浸させる方法、各種コーターにより塗布する方法、スプレーによる吹き付け法などが挙げられる。
乾燥して得られたプリプレグにおいて、ワニスに使用した有機溶剤が80質量%以上揮発していることが好ましい。
プリプレグを製造する乾燥条件は、通常、乾燥温度80〜180℃程度で、乾燥時間はワニスのゲル化時間を考慮して、目的のプリプレグ特性に合わせて自由に選択することができる。
上記プリプレグの製造条件等を説明したが、これらに限定されない。
本発明によれば、樹脂含浸率はプリプレグの全質量に対するリグニン化合物と架橋剤の合計質量の割合で表され、30〜80質量%であることが好ましく、40〜70質量%であることがより好ましい。樹脂分は、目的のプリプレグの性能、及びプリプレグを積層して得られる基板における絶縁層の厚さに合わせて適宜決定することができる。また、ワニスの含浸量は、ワニス固形分と基材の総量に対して、ワニス固形分が35〜70質量%になるようにされることが好ましい。
本発明の基板は、上記プリプレグを、1枚又は2枚以上を積層して得られる積層体を硬化させたものである。
本発明の基板の製造方法は次の通りである。
本発明におけるプリプレグ又はそれを複数枚積層した積層体に、通常150〜280℃、好ましくは180℃〜250℃の範囲の温度で、通常0.5〜20MPa、好ましくは1〜8MPaの範囲の圧力で、加熱しながら加圧して成形することにより、単層の基板及び上記積層体より得られる積層板である基板を製造することができる。
また、上記製造工程において、必要に応じて、上記プリプレグ又は積層体の片面又は両面に金属箔を積層して、加熱加圧して成形することにより金属張積層板を製造することができる。金属箔を使用して金属張積層板とすることにより、金属層に回路加工を施してプリント配線回路板とすることができる。
本発明に用いられる金属箔は、銅箔やアルミニウム箔が一般的に用いられるが、通常積層板に用いられている5〜200μmのものを使用できる。また、ニッケル、ニッケル−リン、ニッケル−スズ合金、ニッケル−鉄合金、鉛、鉛−スズ合金等を中間層とし、この両面に0.5〜15μmの銅層と10〜300μmの銅層を設けた3層構造の複合箔或いはアルミニウムと銅箔を複合した2層構造複合箔を用いることができる。
前記基板積は、例えば、プリント配線板用、マザーボード用、更には半導体チップを搭載した半導体プラスチックパッケージ用等に好適に使用される。
以下、本発明について実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はなんらこれらに限定されない。
実施例1
[リグニン分解物ワニスの製造]
孟宗竹粉(60メッシュアンダー)15gと純水80gを、300mlオートクレーブに導入し、内容物を300rpmで攪拌しながら、1.6MPa、200℃で120分間処理して、孟宗竹を分解した。次いで、分解物をろ過し、純水で洗浄することで、水不溶部10.0gを分離した。この水不溶部をアセトン200mlに8時間浸漬した後、ろ過することでアセトン可溶部を回収した。次いで、前記アセトン可溶部より、アセトンを留去後、乾燥することで、リグニン分解物(A)3.2gを得た。次いで、上記リグニン分解物の製造の操作を繰り返して得たリグニン分解物(A)をメタノールで希釈して樹脂分50質量%のリグニン分解物(A)ワニス330gを得た。
上記で得られたリグニン分解物(A)について1H−NMRにより測定した結果から、7から8ppmに芳香環、3.5から4ppm付近にメトキシ基、0.5から3ppmにかけてアルキル基のピークが見られ、リグニン分解物であることを確認した。
上記で得られたリグニン分解物のOH当量は、以下の方法で決定した。共栓三角フラスコに、無水酢酸/ピリジン(1/3容量比)混合溶液4.0gと、上記で得たリグニン分解物1.0gを入れて溶解させた。この溶液を60℃で3時間保持した後、純水1mlを添加した。このようにして得られた溶液を、pH=10を終点として、0.1mol/LのNaOH水溶液で滴定したところ、リグニン分解物(A)のOH当量は118であった。
また、上記で得られたリグニン分解物中のフェノール性OH基とアルコール性OH基のモル比(以下P/A比)は以下の方法で決定した。上記で得られたリグニン分解物(A)1.0gを、無水酢酸/ピリジン(1/3容量比)混合溶液4.0gを用いて、前記リグニン分解物をアセチル化した。この反応溶液より、未反応の無水酢酸およびピリジンを留去し、乾燥して得られたアセチル化したリグニン分解物(A)を用いて、1H−NMRにより測定した。アセチル基由来のプロトンの積分比(フェノール性OH基に結合したアセチル基由来:2.2〜2.6ppm、アルコール性OH基に結合したアセチル基由来:1.6〜2.2ppm)から、モル比を決定したところ、前記P/A比は8.9:1.1であった。
また、上記で得られたリグニン分解物(A)の分子量は、テトラヒドロフランを溶離液として、ポリスチレン換算のゲル浸透クロマトグラフィーにより測定したところ、数平均分子量(Mn)=1000、分子量分布(Mw/Mn)=2.02であった。
[レゾール型フェノール樹脂の製造]
攪拌機、冷却管を備えた300mL3つ口フラスコにフェノール240g、37質量%ホルムアルデヒド水溶液240g、トリエチルアミン4.8gからなる混合物を、60℃で2時間反応させ、次に減圧下で濃縮し、これをメタノールで希釈して樹脂分50質量%のレゾール型フェノール樹脂ワニス670gを得た。
[基材含浸用の樹脂ワニスの調整]
上記で得られたリグニン分解物(A)ワニス33質量部とレゾール型フェノール樹脂ワニス67質量部とを混合し、基材含浸用の樹脂ワニス1000gを得た。
[プリプレグ及び積層板の製造]
次に、上記で得られた基材含浸用の樹脂ワニスを樹脂含有率55質量%(プリプレグ全体に対する割合)となるように、クラフト紙(坪量135g/m2)へ、ディップコーター装置で塗工し、160℃で5分間乾燥してプリプレグを得た。このプリプレグ8枚とその表裏両面に接着剤つき銅箔(FSM日本電解(株)製、厚さ18μm)を重ね合わせ、200℃、5MPa、10分加熱加圧成形して、厚さ1.6mmの積層板を得た。
半田耐熱性について、JIS−C6481に準じて、上記で得られた積層板を用いて、煮沸2時間の吸湿処理を行った後、260℃の半田槽に180秒間浮かべた後の、外観の異常の有無を調べた。目視で異常の見られないものを異常なしとした。
実施例2
[桐油変性レゾール型フェノール樹脂の製造]
フェノール115gと桐油72gを、パラトルエンスルホン酸の存在下、95℃で2時間反応させ、更にパラホルムアルデヒド47g、ヘキサメチレンテトラミン2.2g、トルエン2000gを加えて、90℃で2時間反応後、減圧下で濃縮し、これをトルエンとメタノールの混合溶媒で希釈して樹脂分50質量%の桐油変性レゾール型フェノール樹脂ワニス420gを得た。
実施例1における基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、リグニン分解物(A)ワニス33質量部とレゾール型フェノール樹脂ワニス67質量部を、リグニン分解物(A)ワニス42質量部、レゾール型フェノール樹脂ワニス16質量部、上記で得られた桐油変性レゾール型フェノール樹脂ワニス42質量部とした以外は、実施例1と同様にし、積層板を得た。
実施例3
[エポキシ基を有するリグニン誘導体ワニスの製造]
攪拌装置、冷却器、滴下ロートの付いた100mlの三つ口フラスコに、実施例1と同様にして得たリグニン分解物(A)1.2gと、エピクロロヒドリン100.0gを導入し、100mmHgの圧力下で減圧還流しながら、20質量%濃度のNaOH水溶液2.0gを30分かけて滴下した。その後、90分間減圧還流状態を保持して反応混合物を得た。反応混合物は、不溶部を濾過して取り除き、エピクロロヒドリン可溶部を単離した。このエピクロロヒドリン可溶部からエピクロロヒドリンを留去し、乾燥することで、リグニン誘導体(D)(エポキシ化リグニン)0.8gを得た。
上記で得られたエポキシ基を有するリグニン誘導体(D)の構造を1H−NMRで確認したところ、リグニン誘導体のピークに加えて2.7、2.9、3.3、3.5、3.9ppmにエポキシ基由来のピークが観測された。
エポキシ基を有するリグニン誘導体(D)の分子量は、ポリスチレン換算のゲル浸透クロマトグラフィーにより測定したところ、Mn=950、Mw/Mn=3.67であった。
エポキシ基を有するリグニン誘導体(D)のエポキシ当量は、1H−NMRで測定のところ、390であった。
上記リグニン誘導体の製造の操作を繰り返して得たエポキシ基を有するリグニン誘導体(D)をメタノールで希釈して樹脂分50質量%のリグニン誘導体(D)ワニス790gを得た。
[ノボラック型フェノール樹脂ワニスの製造]
ノボラック型フェノール樹脂(軟化点:105℃、水酸基当量:104)をメタノールで希釈して樹脂分50質量%のノボラック型フェノール樹脂ワニスを得た。
実施例1における紙基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、リグニン分解物(A)ワニス33質量部とレゾール型フェノール樹脂ワニス67質量部を、上記で得られたエポキシ基を有するリグニン誘導体(D)ワニス79質量部と上記で得られたノボラック型フェノール樹脂ワニス21質量部に2−メチルイミダゾール2質量部を加えたものにした以外は、実施例1と同様にし、積層板を得た。
実施例4
実施例1における基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、リグニン分解物(A)ワニス33質量部とレゾール型フェノール樹脂ワニス67質量部を、実施例3と同様にして得られたエポキシ基を有するリグニン誘導体(D)ワニス77質量部、リグニン分解物(A)ワニス23質量部に2−メチルイミダゾール2質量部を加えたものにした以外は、実施例1と同様にし、積層板を得た。
実施例5
実施例1における基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、リグニン分解物(A)ワニス33質量部とレゾール型フェノール樹脂ワニス67質量部を、実施例3と同様にして得られたエポキシ基を有するリグニン誘導体(D)ワニス98質量部に2−メチルイミダゾール2質量部を加えたものにした以外は、実施例1と同様にし、積層板を得た。
実施例6
実施例1において、リグニン分解物の製造における処理温度200℃を300℃に変更した以外は、実施例1と同様に行い、リグニン分解物(B)3.6gを得た。ここで得られたリグニン分解物(B)を、実施例1と同様にして評価のところ、水酸基当量=171、P/A比=8.5:1.5、軟化点88℃、Mn=570、Mw/Mn=1.24であった。
上記リグニン分解物の製造を繰り返して得られたリグニン分解物(B)をメタノールで希釈して樹脂分50質量%のリグニン分解物(B)ワニス330gを得た。
実施例1における基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、リグニン分解物(A)ワニス33質量部を、上記で得たリグニン分解物(B)ワニス33質量部に変更した以外は、実施例1と同様にし、積層板を得た。
実施例7
実施例2における基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、リグニン分解物(A)ワニス42質量部を実施例6と同様にして得られたリグニン分解物(B)ワニス42質量部に変更した以外は、実施例2と同様にし、積層板を得た。
実施例8
実施例3のリグニン誘導体の製造において、リグニン分解物(A)1.2gを、実施例6と同様にして得たリグニン分解物(B)1.2gに変更した他は、実施例3と同様に行い、エポキシ基を有するリグニン誘導体(E)0.9gを得た。ここで得られたエポキシ基を有するリグニン誘導体(E)を、実施例3と同様にして評価のところ、分子量は、ポリスチレン換算のゲル浸透クロマトグラフィーにより測定したところ、Mn=750、Mw/Mn=2.89であった。
エポキシ基を有するリグニン誘導体(E)のエポキシ当量は、1H−NMRで測定のところ、540であった。
上記リグニン誘導体の製造を繰り返して得られたエポキシ基を有するリグニン誘導体(E)をメタノールで希釈して樹脂分50質量%のリグニン誘導体(E)ワニス840gを得た。
実施例1において、基材含浸用の樹脂ワニスを、上記で得たリグニン誘導体(E)ワニス84質量部、実施例3と同様にして得られたノボラック型フェノール樹脂ワニス16質量部及び2−メチルイミダゾール2質量部を混合したものに変更した以外は、実施例1と同様にし、積層板を得た。
実施例9
実施例1において、基材含浸用の樹脂ワニスを、実施例8と同様にして得たエポキシ基を有するリグニン誘導体(E)ワニス76質量部、実施例6と同様にして得たリグニン分解物(B)ワニス24質量部及び2−メチルイミダゾール2質量部を混合したものにした以外は、実施例1と同様にし、積層板を得た。
実施例10
実施例1において、基材含浸用の樹脂ワニスを、実施例8と同様にして得たエポキシ基を有するリグニン誘導体(E)ワニス98質量部及び2−メチルイミダゾール2質量部を混合したものにした以外は、実施例1と同様にし、積層板を得た。
実施例11
実施例1において、リグニン分解物の製造における処理温度200℃を150℃に変更した以外は、実施例1と同様に行い、リグニン分解物(C)3.5gを得た。ここで得られたリグニン分解物(C)を、実施例1と同様にして評価のところ、水酸基当量=122、P/A比=8.1:1.9、軟化点121℃、Mn=1800、Mw/Mn=1.82であった。
上記リグニン分解物の製造を繰り返して得られたリグニン分解物(C)をメタノールで希釈して樹脂分50質量%のリグニン分解物(C)ワニス330gを得た。
実施例1において、基材含浸用の樹脂ワニスを、リグニン分解物(A)ワニス33質量部を上記で得たリグニン分解物(C)ワニス33質量部に変更した以外は、実施例1と同様にし、積層板を得た。
実施例12
実施例2における基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、リグニン分解物(A)ワニス33質量部を実施例11と同様にして得られた(C)ワニス33質量部に変更した以外は、実施例2と同様にし、積層板を得た。
実施例13
実施例3のリグニン誘導体の製造において、リグニン分解物(A)1.2gを、実施例11と同様にして得たリグニン分解物(C)1.2gに変更した他は、実施例3と同様に行い、エポキシ基を有するリグニン誘導体(F)0.7gを得た。ここで得られたエポキシ基を有するリグニン誘導体(F)を、実施例3と同様にして評価のところ、分子量は、ポリスチレン換算のゲル浸透クロマトグラフィーにより測定したところ、Mn=2000、Mw/Mn=3.47であった。
エポキシ基を有するリグニン誘導体(F)のエポキシ当量は、1H−NMRで測定のところ、620であった。
上記リグニン誘導体の製造を繰り返して得られたエポキシ基(F)を有するリグニン誘導体をメタノールで希釈して樹脂分50質量%のリグニン誘導体(F)ワニス860gを得た。
実施例1において、基材含浸用の樹脂ワニスを、上記で得たリグニン誘導体(F)ワニス96質量部、実施例3と同様にして得られたノボラック型フェノール樹脂ワニス14質量部及び2−メチルイミダゾール2質量部を混合したものに変更した以外は、実施例1と同様にし、積層板を得た。
実施例14
実施例1において、基材含浸用の樹脂ワニスを、実施例13と同様にして得たエポキシ基を有するリグニン誘導体(F)ワニス84質量部、実施例11同様にして得たリグニン分解物(C)ワニス16質量部及び2−メチルイミダゾール2質量部を混合したものにした以外は、実施例1と同様にし、積層板を得た。
実施例15
実施例1において、基材含浸用の樹脂ワニスを、実施例13と同様にして得たエポキシ基を有するリグニン誘導体(F)ワニス98質量部及び2−メチルイミダゾール2質量部を混合したものにした以外は、実施例1と同様にし、積層板を得た。
実施例16
攪拌機、冷却管を備えた1L3つ口フラスコに実施例1の操作を繰り返して得たリグニン分解物(A)100g、アセトン300mL、炭酸カリウム5g、アリルブロミド100gを導入し、3時間還流加熱した。反応混合物から溶媒を除去し、酢酸エチルに残渣を溶解した。有機相を2質量%塩酸、純水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、1Lのヘキサンに再沈殿し、乾燥することで、ビニル基を有するリグニン誘導体(G)88gを得た。
上記で得られたビニル基を有するリグニン誘導体(G)の構造を1H−NMRで確認したところ、リグニン誘導体のピークに加えて6.1、5.4、5.3、4.7ppmにアリル基由来のピークが観測された。内部標準として添加したピリジンとの積分比からビニル基当量は512g/モルであった。
ビニル基を有するリグニン誘導体(G)の分子量、分子量分布、軟化点は実施例1と同様に評価し、それぞれMn=1150、Mw/Mn=2.86、93℃であった。
上記リグニン誘導体の製造の操作を繰り返して得たビニル基を有するリグニン誘導体(G)をメタノールで希釈して樹脂分50質量%のリグニン誘導体(G)ワニス990gを得た。
実施例1において、基材含浸用の樹脂ワニスを、上記と同様にして得たリグニン誘導体(G)ワニス99質量部にアゾビスイソブチロニトリル1質量部を添加したものにした以外は、実施例1と同様にし、積層板を得た。
実施例17
破砕状溶融シリカ粉末(平均粒径10μm)にメタノールを加えて50質量%に調整した溶融シリカワニス330gを得た。
実施例1において、基材含浸用の樹脂ワニスを、実施例1と同様にして得たリグニン分解物(A)ワニス22質量部、実施例1と同様にして得たレゾール型フェノール樹脂ワニス45質量部及び上記で得た溶融シリカワニス33質量部を混合したものにした以外は、実施例1と同様にし、積層板を得た。
比較例1
非特許文献1(K. Mikame, M. Funaoka, Polym. J., 38, 585−591, 2006)に準じて、リグノフェノール誘導体を以下の方法で合成した。孟宗竹粉10gを、500ml容ビーカーにとり、p−クレゾールのアセトン溶液(リグニン構成単位当たり3モル倍量のフェノール誘導体を含む)を加え、ガラス棒で撹拌し、24時間静置させた。その後、アセトンを完全に留去して、p−クレゾール収着木粉を得た。この竹粉に対して、72質量%硫酸100mlを加え、30℃で、1時間激しく撹拌した後、混合物を、大過剰の水に投入、不溶解区分を回収、脱酸し、乾燥して、リグノフェノール誘導体を得た。このリグノフェノール誘導体を、実施例1と同様にして評価のところ、Mn=3600、OH当量=143g/eq、P/A比=5.8:4.2であった。
このリグノフェノール誘導体をメタノールで希釈して樹脂分50質量%のリグノフェノール誘導体ワニスを得た。
実施例1において、基材含浸用ワニスを、上記で得られたリグノフェノール誘導体ワニス37質量部と、実施例1と同様にして得られたレゾール型フェノール樹脂ワニス63質量部を混合したものにした以外は、実施例1と同様にし、積層板を得た。
比較例2
非特許文献2(Kadota, K. Hasegawa, M. Funaoka Journal of Network Polymer. Japan, 27, 118−125, 2006)に準じて、比較例1で得たリグノフェノール誘導体を以下の方法でエポキシ化した。攪拌装置、冷却器、滴下ロートの付いた100mlの三つ口フラスコに、比較例1で得たリグノフェノール誘導体1.4gとエピクロロヒドリン100.0gを導入し、100mmHgに減圧還流しながら、20%NaOH水溶液1.0gを30分かけて滴下した。その後、90分間減圧還流状態を保持した。反応混合物から不溶部を濾過して除き、エピクロロヒドリン可溶部からエピクロロヒドリンを留去、乾燥することで、エポキシ化リグノフェノール二次誘導体1.3gを得た。得られたエポキシ基を有するリグノフェノール二次誘導体を実施例3と同様にして評価のところ、Mn=2400、エポキシ当量は790であった。
このエポキシ基を有するのリグノフェノール二次誘導体をメタノールで希釈して樹脂分50質量%のエポキシ基を有するリグノフェノール二次誘導体ワニスを得た。
実施例1において、基材含浸用ワニスを、上記で得られたエポキシ基を有するリグノフェノール二次誘導体ワニス100質量部と、2−メチルイミダゾール2質量部を混合したものにした以外は、実施例1と同様にし、積層板を得た。
Figure 0005396747
表1から、本発明のプリプレグを用いた基板は、比較例に比べて、耐熱性に優れるものであった。

Claims (6)

  1. リグニン化合物と架橋剤を含む樹脂組成物を、基材に含浸させたプリプレグであって、前記リグニン化合物は、バイオマスを分解して得られるフェノール性水酸基とアルコール性水酸基をモル比として9:1から8:2の比率で有する数平均分子量が300〜2000のリグニン分解物、及び該リグニン分解物のフェノール性水酸基に反応性基を導入したリグニン誘導体から選ばれる1種又は2種であることを特徴とするプリプレグ。
  2. 前記樹脂組成物は、さらに充填材を含む請求項1に記載のプリプレグ。
  3. 前記樹脂組成物は、前記リグニン化合物と前記架橋剤の合計量において、前記リグニン化合物の含有量が40〜95質量%、前記架橋剤の含有量が5〜60質量%である請求項1又は2に記載のプリプレグ。
  4. 前記反応性基が、エポキシ基である請求項1〜3のいずれか1項に記載のプリプレグ。
  5. 前記リグニン化合物の軟化点は、68〜121℃である請求項1〜4のいずれか1項に記載のプリプレグ。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載のプリプレグ1枚又は2枚以上積層してなる積層体を硬化させたことを特徴とする基板。
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