JP4271632B2 - エポキシ樹脂結晶化物 - Google Patents
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Description
一般的に、エポキシ樹脂は、硬化剤を代表とする種々の添加剤と混合(配合)し、硬化性エポキシ樹脂組成物として成形され硬化されて使用されるが、配合時に各成分が均一に混合されていないと硬化反応が十分に進行しなかったり、硬化物が不均質になるなどの現象が起き、その性能が十分に発現できない。
(1) 4,4'−ジヒドロキシ−3,3',5,5'−テトラメチルビフェニルとエピハロヒドリンとから誘導されたエポキシ当量が180〜210であるエポキシ樹脂の結晶化物であって、DSC装置を用いて毎分10℃の速度で昇温して測定した50℃から130℃の間の吸熱量と80℃から125℃の間の吸熱量との比が1.03以上であることを特徴とするエポキシ樹脂結晶化物。
(4) 前記DSC装置を用いて毎分10℃の速度で昇温して測定した50℃から130℃の間の吸熱量と80℃から125℃の間の吸熱量との比が1.05以上、1.50以下であり、吸熱のピーク温度が110℃以下であることを特徴とする(3) 項記載のエポキシ樹脂結晶化物の製造方法。
50℃から130℃の間の吸熱量と80℃から125℃の間の吸熱量との比が小さすぎると、硬化剤などとの相溶が遅くなり、本発明の効果が十分ではない。吸熱量の比が大きすぎる結晶は、結晶化が十分に完結しておらず、固体としての取り扱いが困難になる。吸熱のピーク温度が高すぎる結晶は、硬化剤などとの相溶が遅くなる。
好ましい結晶化時の温度は他の条件により異なるが、通常は10〜90℃、好ましくは、20〜80℃である。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物には、本発明のエポキシ樹脂結晶化物以外のエポキシ樹脂も配合することができる。その併用できるエポキシ樹脂としては特に指定は無く、本発明のエポキシ樹脂結晶化物以外のエポキシ樹脂であればどのようなエポキシ樹脂でも使用可能である。
硬化剤成分としてエポキシ基の重合を開始するタイプの硬化剤を使用する場合は、全エポキシ樹脂成分100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、より好ましくは、0.3〜5重量部である。
その無機充填剤の種類としては、たとえば、溶融シリカ、結晶性シリカ、ガラス粉、アルミナ、炭酸カルシウムなどがあげられる。その形状としては、破砕型又は球状である。各種の無機充填剤は、単独で又は、2種以上混合して用いられる。その使用量は、組成物全体の30〜95重量%であり、好ましくは50〜95重量%、より好ましくは70〜93重量%である。
その硬化促進剤としては、たとえば、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホスフィン、トリス(ヒドロキシプロピル)ホスフィン、トリス(シアノエチル)ホスフィンなどのホスフィン化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、メチルトリブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、メチルトリシアノエチルホスホニウムテトラフェニルボレートなどのホスホニウム塩、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、2,4−ジシアノ−6−[2−メチルイミダゾリル−(1)]−エチル−S−トリアジン、2,4−ジシアノ−6−[2−ウンデシルイミダゾリル−(1)]−エチル−S−トリアジンなどのイミダゾール類、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート、2−メチルイミダゾリウムイソシアヌレート、2−エチル−4−メチルイミダゾリウムテトラフェニルボレート、2−エチル−1,4−ジメチルイミダゾリウムテトラフェニルボレートなどのイミダゾリウム塩、2,4,6− トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン、テトラメチルブチルグアニジン、N−メチルピペラジン、2−ジメチルアミノ−1−ピロリンなどのアミン類、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレートなどのアンモニウム塩、1,5−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−5−ノネン、1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)−オクタンなどのジアザビシクロ化合物、それらジアザビシクロ化合物のテトラフェニルボレート、フェノール塩、フェノールノボラック塩、2−エチルヘキサン酸塩などがあげられる。
それらの硬化促進剤は、単独で又は2種以上混合して用いられ、その使用量は全エポキシ樹脂成分に対して、0.1〜7重量%である。
温度計、撹拌装置、冷却管を備えた内容量5Lの三つ口フラスコに、4,4'−ジヒドロキシ−3,3',5,5'−テトラメチルビフェニル 363g、エピクロルヒドリン 1665g、及び2−プロパノール 600gを仕込み、50℃に昇温して溶解させたのち、48.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液273gを1時間かけて滴下した。その間に徐々に昇温し、滴下終了時には系内が70℃になるようにした。その後、70℃で30分間保持して反応を行わせた。その反応終了後、水洗して副生塩及び過剰の水酸化ナトリウムを除去した。次いで、生成物から減圧下で過剰のエピクロルヒドリン及び2−プロパノールを留去して、粗製エポキシ樹脂を得た。
上記製造例で製造した溶融状態のテトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂50gをガラス製の容器にとり、徐々に冷却して樹脂温が70℃になった時点で別途用意したテトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂の結晶粉末3gを加え素早く混合した。そのまま放冷したところ、樹脂温が105℃になった時点から、25分後にほぼ完全に結晶化し、固形として取り扱える状態になった。
DSCデータの測定は、TAインスツルメント社製MDSC2920型装置を使用し、サンプル量約10mg、昇温速度毎分10℃でおこなった。吸熱量の計算は、コンピューターによる自動計算でおこなった。(図1及び図2のDSCチャート参照)
上記製造例で製造した溶融状態のテトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂50gをガラス製の容器にとり、徐々に冷却して樹脂温が70℃になった時点からガラス棒で5分間激しく撹拌した。撹拌中に結晶が一部析出し始めた。そのまま放冷したところ、樹脂温が105℃になった時点から、15分後にほぼ完全に結晶化し、固形として取り扱える状態になった。
このエポキシ樹脂結晶化物のエポキシ当量、50℃から130℃の間の吸熱量、80℃から125℃の間の吸熱量、それらの比、及び吸熱のピーク温度を表1に示した。
上記製造例で製造した溶融状態のテトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂50gをガラス製の容器にとり、静置し、放冷した。結晶の析出は非常に遅く、樹脂温が105℃になった時点から、3時間後にほぼ完全に結晶化し、固形として取り扱える状態になった。
このエポキシ樹脂結晶化物のエポキシ当量、50℃から130℃の間の吸熱量、80℃から125℃の間の吸熱量、それらの比、及び吸熱のピーク温度を表1に示した。(図3及び図4のDSCチャート参照)
上記製造例で製造した溶融状態のテトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂50gをガラス製の容器にとり、メチルイソブチルケトン50gに約100℃で溶解した。徐々に冷却して約20℃で約5時間保持した。析出した針状結晶を濾別した後、50℃で約5時間真空乾燥してメチルイソブチルケトンを除去し、エポキシ樹脂結晶化物を得た。
このエポキシ樹脂結晶化物のエポキシ当量、50℃から130℃の間の吸熱量、80℃から125℃の間の吸熱量、それらの比、及び吸熱のピーク温度を表1に示した。
表2に示したように、エポキシ樹脂成分として、実施例1、2又は比較例1、2で製造したエポキシ樹脂結晶化物、硬化剤成分として、フェノールアラルキル樹脂、無機充填剤として溶融シリカ粉末、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン、離型剤としてカルナバワックスを用いた。
次いで、各成分を粉砕して混合した後、ミキシングロールを用いて70℃で5分間混練した。得られた各混合物はシート状に取り出し、粉砕して各硬化性エポキシ樹脂組成物を得た。
実施例3、4で製造した硬化性エポキシ樹脂組成物は、比較例3、4で製造した硬化性エポキシ樹脂組成物に較べて硬化性、耐熱性及び機械的強度に優れていた。
Claims (3)
- 4,4’−ジヒドロキシビフェニル−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニルとエピハロヒドリンとから誘導されたエポキシ当量が180から210であるエポキシ樹脂を、105℃以上の溶融状態から冷却し、105℃より低い温度になってから2時間以内にほぼ完全に結晶化させることによって製造されており、DSC装置を用いて毎分10℃の速度で昇温して測定した50℃から130℃の間の吸熱量と80℃から125℃の間の吸熱量との比が1.03以上であるエポキシ樹脂結晶化物。
- 前記105℃以上の溶融状態から冷却し、105℃より低い温度になってから2時間以内にほぼ完全に結晶化させる際に、105℃より低い温度で結晶核を加える方法及び剪断力を加える方法のいずれか一方もしくは両方の方法で結晶化させることを特徴とする請求項1記載のエポキシ樹脂結晶化物。
- 前記DSC装置を用いて毎分10℃の速度で昇温して測定した50℃から130℃の間の吸熱量と80℃から125℃の間の吸熱量との比が1.05以上、1.50以下であり、吸熱のピーク温度が110℃以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂結晶化物。
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