JPH08143642A - 半導体封止用エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

半導体封止用エポキシ樹脂組成物

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JPH08143642A
JPH08143642A JP24342594A JP24342594A JPH08143642A JP H08143642 A JPH08143642 A JP H08143642A JP 24342594 A JP24342594 A JP 24342594A JP 24342594 A JP24342594 A JP 24342594A JP H08143642 A JPH08143642 A JP H08143642A
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保幸 村田
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典生 通岩
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義則 中西
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 硬化剤として、多価フェノール化合物のフェ
ノール性水酸基の50%以上を、安息香酸とナフトエ酸
から選ばれた少なくとも1種の芳香族カルボン酸によっ
てエステル化された芳香族エステル化合物(I)、及び
該芳香族エステル化合物(I)と多価フェノール化合物
との混合物(II)からなる群から選ばれた少なくとも
1種からなる硬化剤であって、全硬化剤中の全芳香族エ
ステル結合/全フェノール性水酸基のモル比が1/
(0.1〜1.0)である硬化剤を用い、かつ充填剤と
してシリカを全組成物に対して60〜95重量%配合し
た半導体封止用エポキシ樹脂組成物である。前記のエス
テル化に用いられる多価フェノール化合物、安息香酸、
ナフトエ酸、及び芳香族エステル化合物との混合に用い
られる多価フェノール化合物は、いずれもその芳香環に
置換基及び/又は置換原子を有することができる。 【効果】 このエポキシ樹脂組成物は、硬化性に優れ、
ゲルタイム及び成形時間が短かく、しかも低吸湿性に優
れた硬化物を与えるので、半導体封止用に有利に用いら
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、硬化性に優れ、低吸湿
性に優れた硬化物を与える半導体封止用エポキシ樹脂組
成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体素子の高集積化にしたがっ
て、半導体素子の封止材料に対して要求される諸特性は
厳しくなり、特にハンダ浴浸漬時の耐クラック性および
速硬化性が重要な課題となっている。しかし、現在一般
に用いられているエポキシ樹脂組成物では、要求特性を
充分に満足できなくなってきた。
【0003】すなわち、半導体装置の高集積化が進み、
半導体素子の大型化が著しいとともに、パッケージその
ものが小型化、薄型化している。また、半導体装置の実
装も表面実装へと移行している。表面実装においては半
導体装置がハンダ浴に直接浸漬され、高温にさらされる
際に、吸湿された水分の膨張のために、パッケージ全体
に大きな応力がかかり、封止材にクラックが入る。その
ために、耐ハンダクラック性の良好な封止材には、優れ
た低吸湿性が要求され、現在主として用いられているク
レゾールノボラック型エポキシ樹脂と、フェノールノボ
ラック樹脂硬化剤とからなるエポキシ樹脂封止材では、
低吸湿性が充分なものとはいえなくなってきた。
【0004】また、半導体装置の封止は、低圧トランス
ファー成形法によって行われるが、大量生産が必要にな
るにつれて、成形サイクルを上げるためにエポキシ樹脂
封止材には、速硬化性が要求されている。
【0005】エポキシ樹脂および、硬化剤のそれぞれに
ついて低吸湿化の研究は広く行われている。その代表的
な手法は、ジシクロペンタン骨格や、キシレン骨格など
の疎水基を導入するものであり(特開平4−24882
8号公報、特開平5−301946号公報など)、その
低吸湿化効果は、充分とはいえず、耐ハンダクラック性
も充分には改良されない。
【0006】特開昭62−53327号公報には、安息
香酸類やトリメリット酸やピロメリット酸をフェノール
化合物でエステル化してなる硬化剤を用いた低吸湿性硬
化物を与える硬化性エポキシ樹脂組成物が記載されてい
る。安息香酸類やナフタレン環にカルボキシル基を有す
るナフタレン系カルボン酸とフェノール化合物のエステ
ル化物は低吸湿性に優れた硬化物を与えることができる
が、そのエステル基(芳香族エステル結合)はエポキシ
基との反応速度がおそいため、同公報に記載の硬化性エ
ポキシ樹脂組成物は速硬化性の要求を満すことができな
いものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、硬化性に優
れ、すなわち速硬化性で、かつ低吸湿性に優れた硬化物
を与えることができる半導体封止用エポキシ樹脂組成物
を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記の課
題を解決するために種々研究を重ねた結果、芳香族環ど
うしを直接に結合せしめる芳香族エステル結合とフェノ
ール性水酸基との両方を有する芳香族エステル化合物、
又は同芳香族エステル化合物とフェノール性水酸基を有
する多価フェノール化合物との混合物をエポキシ樹脂の
硬化剤として用いることにより、その目的を達成するこ
とができたのである。
【0009】すなわち、本発明の半導体封止用エポキシ
樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤、充填剤及び硬化
促進剤を含有するエポキシ樹脂組成物において、前記の
硬化剤として、芳香族環に置換基及び/又は置換原子を
有しうる多価フェノール化合物のフェノール性水酸基の
50%以上を、ベンゼン環に置換基及び/又は置換原子
を有しうる安息香酸とナフタレン環に置換基及び/又は
置換原子を有しうるナフトエ酸とから選ばれた少なくと
も1種の芳香族カルボン酸によってエステル化されてな
る芳香族エステル化合物(I)、及び該芳香族エステル
化合物(I)と芳香族環に置換基及び/又は置換原子を
有しうる多価フェノール化合物との混合物(II)から
なる群から選ばれた少なくとも1種からなる硬化剤であ
って、全硬化剤中の全芳香族エステル結合/全フェノー
ル性水酸基のモル比が1/(0.1〜1.0)である硬
化剤を用い、かつ前記の充填剤としてシリカ粉末を全組
成物に対して60〜95重量%用いたことを特徴とする
組成物である。
【0010】本発明で用いる硬化剤は、硬化反応に関与
する基として、芳香族環どうしを直接に結合せしめるカ
ルボン酸エステル結合(本明細書では、これを「芳香族
エステル結合」と略称する)と、フェノール性水酸基と
の両方が含まれているのが特徴である。
【0011】そして、芳香族エステル結合は、エポキシ
基との硬化反応に際し、フェノール系硬化剤やアミン系
硬化剤を用いて硬化させた場合のような吸湿性を増加さ
せる水酸基を全く生成しないから、低吸湿性に優れた硬
化物を与えるのに寄与する。
【0012】なお、エステル結合が脂肪族鎖どうしを結
合せしめるエステル結合である場合、或いは芳香族環と
脂肪族環とを結合せしめるエステル結合である場合に
は、それらのエステル結合はエポキシ基と全く反応しな
いか、又は反応したとしてもその反応速度が著しくおそ
い。これに対し、芳香族エステル結合はこれらエステル
結合に較べれば反応速度が速いのである。
【0013】しかも、本発明で用いる硬化剤は、芳香族
エステル結合1モルに対し0.1〜1.0モルのフェノ
ール性水酸基が含まれており、このフェノール性水酸基
がエポキシ基との反応速度が著しく速いから、速硬化性
と低吸湿性との両方を満足せしめることができるのであ
る。そして、全硬化剤中のエステル結合の割合が多くな
りすぎると、低吸湿性に優れた硬化物を与えることがで
きるが、硬化速度がおそくなりすぎて実用的でなくな
る。また、フェノール性水酸基の割合が多くなりすぎる
と、硬化速度が速いが、硬化物の低吸湿性が損なわれる
ようになる。そのために、本発明の硬化剤は、全硬化剤
中の全芳香族エステル結合/全フェノール性水酸基のモ
ル比が1/(0.1〜1.0)になるようにするのであ
る。
【0014】次に、本発明の半導体封止用エポキシ樹脂
を構成する各成分について以下に詳述する。
【0015】本発明で使用するエポキシ樹脂としては、
たとえば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、テト
ラメチルビフェノールF、ビスフェノールAD、ハイド
ロキノン、メチルハイドロキノン、ジメチルハイドロキ
ノン、ジブチルハイドロキノン、レゾルシン、メチルレ
ゾルシン、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、
ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシジフェニルエー
テル、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラッ
ク樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペ
ンタジエンフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、
フェノールアラルキル樹脂、ナフトールノボラック樹脂
などの種々のフェノール類;種々のフェノール類と、ヒ
ドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリ
オキザールなどの種々のアルデヒド類との縮合反応で得
られる多価フェノール樹脂等の各種のフェノール系化合
物と、エピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹
脂;ジアミノジフェニルメタン、アミノフェノール、キ
シレンジアミンなどの種々のアミン化合物と、エピハロ
ヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂;メチルヘキサ
ヒドロフタル酸、ダイマー酸などの種々のカルボン酸類
と、エピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂な
どが挙げられる。
【0016】それらエポキシ樹脂の中では、常温で結晶
性の固体であり、成型時には溶融して低粘度の液体とな
る融点40〜170℃の結晶性エポキシ樹脂が好まし
い。それらの結晶性エポキシ樹脂としては、ビスフェノ
ールA、ビスフェノールF、テトラメチルビフェノール
F、ハイドロキノン、ジメチルハイドロキノン、ジブチ
ルハイドロキノン、ビフェノール、テトラメチルビフェ
ノール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシジフェ
ニルエーテル等のフェノール系化合物と、エピハロヒド
リンとから製造されるエポキシ樹脂が挙げられるが、硬
化物性等からビフェノール、及びテトラメチルビフェノ
ールから選ばれた少なくとも1種のフェノール化合物
と、エピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂が
好ましい。
【0017】また硬化物を難燃化するために、使用する
エポキシ樹脂の一部を臭素化エポキシ樹脂とすることが
できる。その臭素化エポキシ樹脂としては、たとえば、
臭素化ビスフェノールA又は臭素化フェノールノボラッ
ク樹脂と、エピハロヒドリンとから製造されるエポキシ
樹脂などが挙げられる。
【0018】本発明で使用する硬化剤は、前述のとお
り、芳香族環に置換基及び/又は置換原子を有しうる多
価フェノール化合物のフェノール性水酸基の50%以上
を、ベンゼン環に置換基及び/又は置換原子を有しうる
安息香酸とナフタレン環に置換基及び/又は置換原子を
有しうるナフトエ酸とから選ばれた少なくとも1種の芳
香族カルボン酸によってエステル化されてなる芳香族エ
ステル化合物(I)、及び該芳香族エステル化合物
(I)と芳香族環に置換基及び/又は置換原子を有しう
る多価フェノール化合物との混合物(II)からなる群
から選ばれた少なくとも1種からなる硬化剤であって、
全硬化剤中の全芳香族エステル結合/全フェノール性水
酸基のモル比が1/(0.1〜1.0)である硬化剤で
ある。
【0019】その芳香族エステル化合物(I)を得るた
めの原料の芳香族環に置換基及び/又は置換原子を有し
うる多価フェノール化合物としては、たとえば、ビスフ
ェノールA、ビスフェノールF、レゾルシン、ハイドロ
キノン、ジヒドロキシナフタレン、ビフェノール、テト
ラメチルビフェノール、テトラブロモビスフェノール
A、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック
樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペン
タジエンフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、フ
ェノールアラルキル樹脂、ナフトールノボラック樹脂、
臭素化フェノールノボラック樹脂などの種々の多価フェ
ノール類;種々のフェノール類と、ヒドロキシベンズア
ルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザールなどの
種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノ
ール樹脂等があげられる。
【0020】その芳香族エステル化合物(I)を得るた
めの前記の多価フェノール化合物の芳香族カルボン酸に
よるエステル化反応は、必ずしも遊離カルボン酸をエス
テル化剤として使用する必要がなく、それ以外の種々の
エステル化剤を用いて行なうことができる。すなわち、
その代表的なエステル化方法としては、下記の一般式で
表わされるエステル化剤を用いてエステル化させる方法
があげられる。
【0021】
【化1】 (式中Aは、置換若しくは無置換のフェニル基又は置換
若しくは無置換のナフチル基であり、Rは、水酸基、ア
ルコキシ基、置換若しくは無置換のフェノキシ基、置換
若しくは無置換のナフトキシ基、置換若しくは無置換の
ベンゾエート基、置換若しくは無置換のナフトエート
基、又はハロゲン原子である。)
【0022】そのエステル化反応は、原料の多価フェノ
ール化合物やエステル化剤の種類や組合せ等に応じて種
々の条件を用いた種々の方法で行なわせることができる
が、その代表的なエステル化の条件及び方法は、両原料
成分を反応媒体としての溶媒の存在下又は無溶媒で混合
し、触媒の存在下で0〜150℃の温度で、1〜10時
間混合しながら反応させる。反応の終了後、未反応のエ
ステル化剤、副生成物、溶媒等を除去することにより、
目的の芳香族エステル化合物(I)が得られる。
【0023】その反応触媒としては、たとえば、トリメ
チルアミン、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミ
ン、ジメチルアニリン、ピリジンなどのアミン類、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸
化物、カリウム−t−ブトキシド、ナトリウムエトキシ
ドなどのアルカリ金属アルコラート、ブチルリチウム、
ビフェニルナトリウムなどのアルキル金属類、塩酸、硫
酸、シュウ酸、フルオロ酢酸、トルエンスルホン酸、酸
性を示す有機酸塩類、フッ化ホウ酸、ヘテロポリ酸類、
ポリリン酸類、活性白土等の酸性触媒などがあげられ
る。
【0024】またその反応溶媒としては、アセトン、メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケト
ン類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化
水素類、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエー
テルなどのエーテル類、ジメチルスルホキシド、ジメチ
ルホルムアミドなどの非プロトン性極性溶媒等の不活性
な有機溶媒や水などがあげられる。
【0025】このようにして製造される芳香族エステル
化合物(I)は、たとえば、多価フェノール化合物とし
てフェノールノボラック樹脂を、エステル化剤(ベンゾ
エート化剤)として塩化ベンゾイルを用いた場合は、下
記の構造式で表される繰返し単位を持つ化合物(化合物
の混合物)である。
【0026】
【化2】 (式中n1 は、平均値で1〜10の数であり、n2 は、
平均値で0〜10の数であり、かつn1 +n2 は2以上
の数である。)
【0027】上記の反応におけるエステル化率、すなわ
ちベンゾエート化率又はナフトエート化率{上記構造式
の場合には、n1 ÷(n1 +n2 )×100}は、50
%以上になるようにする。未反応のフェノール性水酸基
はエポキシ基と反応する官能基であるので、エポキシ樹
脂の速硬化に寄与するが、前述のようにフェノール性水
酸基とエポキシ基との反応時に硬化物の耐湿性を低下さ
せる水酸基を生成するので、エステル化率が50%未満
になると、芳香族エステル結合よりもフェノール性水酸
基の方が多くなり、硬化物の耐湿性を低下させることに
なり、本発明の硬化剤として使用できなくなる。
【0028】そして、以上のようにして製造された芳香
族エステル化合物(I)に、全芳香族エステル結合/全
フェノール性水酸基のモル比が1/(0.1〜1.0)
である条件を満足する量のフェノール性水酸基が含まれ
ている場合には、その芳香族エステル化合物(I)はそ
のままで本発明の硬化剤として使用することができる。
【0029】一方、その芳香族エステル化合物(I)に
フェノール性水酸基が全く含まれていない場合、含まれ
ているがその量が全芳香族エステル結合/全フェノール
性水酸基のモル比=1/(0.1〜1.0)の条件を満
すに足りない場合、或いはフェノール性水酸基の量がこ
の条件を満足してはいるが、なお少量すぎる場合、及び
その他必要があるなどの場合には、その芳香族エステル
化合物(I)に、芳香族環に置換基及び/又は置換原子
を有しうる多価フェノール化合物を混合した混合物(I
I)にし、その混合物を本発明の硬化剤として使用する
のである。しかしこの場合も、全硬化剤中の全芳香族エ
ステル結合/全フェノール性水酸基のモル比=1/
(0.1〜1.0)の条件を満足せしめる必要があるの
は、勿論である。
【0030】芳香族エステル化合物(I)と混合して用
いられる芳香族環に置換基及び/又は置換原子を有しう
る多価フェノール化合物としては、たとえば、フェノー
ルノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフ
ェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンフェ
ノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、テルペンフェ
ノール樹脂、ナフトールノボラック樹脂などの種々のフ
ェノール樹脂類、さらには種々のフェノール類と、ヒド
ロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオ
キザールなどの種々のアルデヒド類との縮合反応で得ら
れる多価フェノール樹脂等の各種のフェノール樹脂類な
どがあげられる。
【0031】本発明の組成物における硬化剤の使用量
は、全エポキシ樹脂中のエポキシ基1モルに対し、全硬
化剤中の全芳香族エステル結合と全フェノール性水酸基
の合計量が0.5〜2.0モルになる量が好ましく、特
に0.7〜1.2モルになる量がより好ましい。
【0032】次に、本発明の半導体封止用エポキシ樹脂
組成物には、充填剤としてシリカ粉末が配合される。そ
のシリカ粉末充填剤の種類としては、溶融シリカ又は結
晶性シリカであり、その形状としては、破砕型又は球状
である。各種のシリカ粉末は、単独でまたは、2種以上
混合して用いられ、その使用量は、組成物全体の60〜
95重量%であり、好ましくは70〜92重量%であ
る。
【0033】また、本発明の半導体封止用エポキシ樹脂
組成物に用いられる硬化促進剤は、エポキシ樹脂中のエ
ポキシ基と硬化剤中の芳香族エステル結合との反応及び
エポキシ基とフェノール性水酸基との反応を促進する化
合物である。
【0034】その硬化促進剤としては、たとえば、トリ
ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス
(ジメトキシフェニル)ホスフィン、トリス(ヒドロキ
シプロピル)ホスフィン、トリス(シアノエチル)ホス
フィンなどのホスフィン系化合物、テトラフェニルホス
ホニウムテトラフェニルボレート、メチルトリブチルホ
スホニウムテトラフェニルボレート、メチルトリシアノ
エチルホスホニウムテトラフェニルボレートなどのホス
ホニウム塩、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイ
ミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2
−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メ
チルイミダゾール、2,4−ジシアノ−6−〔2−メチ
ルイミダゾリル−(1)〕−エチル−S−トリアジン、
2,4−ジシアノ−6−〔2−ウンデシルイミダゾリル
−(1)〕−エチル−S−トリアジンなどのイミダゾー
ル系化合物、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダ
ゾリウムトリメリテート、2−メチルイミダゾリウムイ
ソシアヌレート、2−エチル−4−メチルイミダゾリウ
ムテトラフェニルボレート、2−エチル−1,4−ジメ
チルイミダゾリウムテトラフェニルボレートなどのイミ
ダゾリウム塩、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメ
チル)フェノール、ベンジルジメチルアミン、テトラメ
チルブチルグアニジン、N−メチルピペラジン、2−ジ
メチルアミノ−1−ピロリンなどのアミン類、トリエチ
ルアンモニウムテトラフェニルボレートなどのアンモニ
ウム塩、1,5−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−
ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−
5−ノネン、1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)−
オクタンなどのジアザビシクロ系化合物、それらのジア
ザビシクロ系化合物のテトラフェニルボレート塩、フェ
ノール塩、フェノールノボラック塩、2−エチルヘキサ
ン酸塩などがあげられる。
【0035】それらの硬化促進剤となる化合物の中で
は、ホスフィン系化合物、イミダゾール系化合物、ジア
ザビシクロ系化合物、及びそれらの塩が好ましい。
【0036】それらの硬化促進剤は、単独で又は2種以
上を混合して用いられ、その使用量は、エポキシ樹脂に
対して0.1〜7重量%、好ましくは1〜5重量%であ
る。
【0037】本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物
には、必要に応じてカップリング剤、可塑剤、顔料等を
適宜に配合することができる。
【0038】また、難燃助剤として、三酸化アンチモ
ン、リン酸などを適宜に配合することができる。
【0039】本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物
は、硬化性に優れ、低吸湿性に優れた硬化物を与えるの
で半導体封止の分野で有利に使用することができる。
【0040】
【実施例】以下に、本発明の半導体封止用エポキシ樹脂
組成物で用いられる芳香族エステル化合物の合成例、硬
化剤例、実施例及び比較例をあげてさらに詳述する。
【0041】芳香族エステル化合物の合成例1〜4 温度計、攪拌装置、冷却管を備えた内容量3000ml
の三つ口フラスコに、多価フェノール化合物として、フ
ェノールノボラック樹脂又はテルペンフェノールノボラ
ック樹脂、ベンゾエート化剤として塩化ベンゾイル、又
はナフトエート化剤としてナフトエ酸塩化物、及びピリ
ジンを表1に示した量仕込み、30℃で2時間保持して
反応を行わせた。
【0042】続いて、メチルイソブチルケトン1000
gを加えて生成物を完全に溶解させたのち、水洗して副
生塩等を除き、さらにメチルイソブチルケトンを減圧除
去して目的の芳香族エステル化合物を得た。
【0043】これら芳香族エステル化合物のフェノール
性水酸基含有量、芳香族エステル結合含有量、全エステ
ル結合/全水酸基モル比、及び軟化点を測定し表1に示
した。
【0044】
【表1】
【0045】表1の注: *1 ・・・フェノールノボラック樹脂(群栄化学社製、水
酸基当量103、軟化点85℃) *2 ・・・テルペンフェノールノボラック樹脂(油化シエ
ルエポキシ株式会社商品名 エピキュア MP402、
水酸基当量175、軟化点130℃)
【0046】硬化剤例1〜5 表2に示したように、硬化剤例1、又は硬化剤例3は、
合成例1又は合成例3で得られた芳香族エステル化合物
に、フェノールノボラック樹脂(群栄化学社製)を40
g、又は50gそれぞれ加えて140℃で溶融混合して
硬化剤とした。
【0047】また、硬化剤例2、硬化剤例4、又は硬化
剤例5は、合成例2、合成例4、又は合成例1で得られ
た各芳香族エステル化合物をそのまま硬化剤とした。
【0048】これらの各硬化剤のフェノール性水酸基含
有量、芳香族エステル結合含有量、全エステル結合/全
水酸基モル比、及び軟化点は、表2にそれぞれ示すとお
りであった。
【0049】
【表2】
【0050】表2の注: *1 ・・・フェノールノボラック樹脂(群栄化学社製、水
酸基当量103、軟化点85℃)
【0051】実施例1〜5 比較例1〜3 表3に示したように、エポキシ樹脂としてテトラメチル
ビフェノールから誘導されたエポキシ樹脂(A)、ビフ
ェノールとテトラメチルビフェノールから誘導されたエ
ポキシ樹脂(B)、オルソクレゾールノボラック型エポ
キシ樹脂(C)、及び臭素化エポキシ樹脂として臭素化
ビスフェノールA型エポキシ樹脂をそれぞれ用い、硬化
剤として硬化剤例1〜5の硬化剤、市販のフェノールノ
ボラック樹脂(D)、及び市販のフェノールアラルキル
樹脂(E)をそれぞれ用い、シリカ粉末としていずれも
粉砕型溶融シリカ粉末を用い、硬化促進剤として1,5
−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセン、2
−フェニルイミダゾール、又はテトラフェニルホスホニ
ウム−テトラフェニルボレートをそれぞれ用い、さらに
難燃剤として三酸化アンチモン、シリカ粉末の表面処理
剤として市販のエポキシシラン、及び離型剤としてカル
ナバワックスをそれぞれ用いて各エポキシ樹脂組成物を
配合した。
【0052】次いで、各配合物をそれぞれミキシングロ
ールを用いて70〜130℃の温度で5分間溶融混合し
た。得られた各溶融混合物をシート状で取り出し、粉砕
して各成形材料を得た。
【0053】これらの各成形材料を用い低圧トランスフ
ァー成形機で金型温度180℃、成形時間120秒〜3
00秒で成形して、各試験片を得、180℃で8時間ポ
ストキュアーさせた。また、各成形材料のゲルタイム、
成形時間を測定した。
【0054】各成形材料のゲルタイム、成形時間及び各
試験片のポストキュアー後の吸湿率、及びガラス転移温
度を試験した結果は表3に示すとおりであり、実施例1
〜5の各成形材料は、比較例1の成形材料に較べてゲル
タイム及び成形時間が著しく短くて硬化性に優れてお
り、しかも硬化物の吸湿性及びガラス転移温度の点でも
遜色がない。また、比較例2及び3の成形材料に較べる
と、吸湿性及びガラス転移温度の点で著しく優れてい
る。
【0055】
【表3】
【0056】表3の注 A:テトラメチルビフェノールから誘導されたエポキシ
樹脂(油化シエルエポキシ社商品名 エピコートYX4
000H、エポキシ当量193) B:ビフェノールおよびテトラメチルビフェノールから
誘導されたエポキシ樹脂(油化シエルエポキシ社商品名
エピコートYL6121H、エポキシ当量173) C:オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化
シエルエポキシ社商品名 エピコート180H65、エ
ポキシ当量205) D:フェノールノボラック樹脂(群栄化学社製、水酸基
当量103、軟化点85℃) E:フェノールアラルキル樹脂(三井東圧社商品名 ミ
レックスXL225LL、水酸基当量173、軟化点7
8℃) F:1,5−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウン
デセン G:2−フェニルイミダゾール H:テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレー
ト *1:臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シ
エルエポキシ社商品名 エピコート5050、エポキシ
当量385、臭素含有量49%) *2:破砕型溶融シリカ粉末(龍森社商品名 RD−
8) *3:エポキシシラン(信越化学工業社商品名 KBM
−403) *4:175℃ *5:85℃、85%RH 168時間後の吸湿率 *6:YMAを用いて熱膨張曲線の転移点より求めた。
【0057】
【発明の効果】本発明のエポキシ樹脂組成物は、硬化性
に優れ、ゲルタイム及び成形時間が短かく、しかも低吸
湿性に優れた硬化物を与えるので、半導体封止用に有利
に使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 23/29 23/31

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エポキシ樹脂、硬化剤、充填剤及び硬化
    促進剤を含有するエポキシ樹脂組成物において、前記の
    硬化剤として、芳香族環に置換基及び/又は置換原子を
    有しうる多価フェノール化合物のフェノール性水酸基の
    50%以上を、ベンゼン環に置換基及び/又は置換原子
    を有しうる安息香酸とナフタレン環に置換基及び/又は
    置換原子を有しうるナフトエ酸とから選ばれた少なくと
    も1種の芳香族カルボン酸によってエステル化されてな
    る芳香族エステル化合物(I)、及び該芳香族エステル
    化合物(I)と芳香族環に置換基及び/又は置換原子を
    有しうる多価フェノール化合物との混合物(II)から
    なる群から選ばれた少なくとも1種からなる硬化剤であ
    って、全硬化剤中の全芳香族エステル結合/全フェノー
    ル性水酸基のモル比が1/(0.1〜1.0)である硬
    化剤を用い、かつ前記の充填剤としてシリカ粉末を全組
    成物に対して60〜95重量%用いたことを特徴とする
    半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 エポキシ樹脂が、融点40〜170℃の
    結晶性エポキシ樹脂である請求項1に記載の半導体封止
    用エポキシ樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 エポキシ樹脂が、ビフェノール及びテト
    ラメチルビフェノールから選ばれた少なくとも1種のフ
    ェノール化合物とエピハロヒドリンとの反応で得られた
    エポキシ樹脂である請求項1又は請求項2に記載の半導
    体封止用エポキシ樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 全エポキシ樹脂の全エポキシ基/全硬化
    剤の全芳香族エステル結合と全フェノール性水酸基との
    合計モル比が1/(0.7〜1.2)である請求項1〜
    請求項3の各項のいずれかに記載の半導体封止用エポキ
    シ樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 硬化促進剤が、ホスフィン系化合物、イ
    ミダゾール系化合物、ジアザビシクロ系化合物及びそれ
    らの塩から選ばれた少なくとも1種の化合物である請求
    項1〜請求項4の各項のいずれかに記載の半導体封止用
    エポキシ樹脂組成物。
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