JP3650637B2 - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、取扱いが容易で、かつ耐熱性が高い硬化物、すなわち高温下での強度に優れた硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高分子材料の使用される用途が広がり、使用条件が苛酷になるにしたがって、高分子材料に対して要求される諸特性は厳しくなってきている。ある種の用途では、高分子材料が高温にさらされるため、軟化し強度が不足したり、分解劣化するため、長時間使用できないなどの問題が生じている。
【0003】
エポキシ樹脂組成物は、積層、塗装、接着、封止及び成形等の各種の分野で使用されているが上記のような理由で、現在一般に用いられているビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いたエポキシ樹脂組成物では、要求特性を充分に満足できなくなってきた。
【0004】
耐熱性を改良するために、ノボラック型エポキシ樹脂、三官能型エポキシ樹脂、四官能型エポキシ樹脂等の、多官能型エポキシ樹脂の使用が試みられているが、これらのエポキシ樹脂の硬化物では、高温下での強度が充分ではなく、またそれらのエポキシ樹脂は、高軟化点、高粘度で、硬化剤などとの相溶性も良くないという取扱い上の欠点もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、取扱いが容易で、かつ耐熱性の高い、すなわち高温下での強度に優れた硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記の課題を解決するために種々研究を重ねた結果、エポキシ樹脂としてビフェニル骨格を含有するエポキシ樹脂を用い、かつエポキシ樹脂硬化剤としてビフェニル骨格を含有するエポキシ樹脂硬化剤を用いることによりその目的を達成することができたのである。
【0007】
すなわち、本発明のエポキシ樹脂組成物は、(a)一般式(I)
【0008】
【化3】
(式中、各Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、又は他端が他の骨格と連結する2価以上の炭化水素基であり、各Rは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
で表わされるビフェニル骨格を含有するエポキシ樹脂、及び
【0009】
(b)一般式(I)
【0010】
【化4】
(式中、各Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、又は他端が他の骨格と連結する2価以上の炭化水素基であり、各Rは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
で表わされるビフェニル骨格を含有し、ビフェニル骨格の含有量が、ビフェニル骨格の分 子量を144として算出した値で29〜65重量%であり、軟化点が61〜94℃であるエポキシ樹脂硬化剤を必須成分として含有せしめてなり、かつ全エポキシ樹脂及び全エポキシ樹脂硬化剤の合計量に対するビフェニル骨格の含有量が、ビフェニル骨格の分子量を144として算出した値で28〜48重量%であることを特徴とする組成物である。
【0011】
本発明のエポキシ樹脂組成物で用いられる前記の一般式(I)で表わされるビフェニル骨格(以下において、「同ビフェニル骨格」又は単に「ビフェニル骨格」と略称することがある。)を含有するエポキシ樹脂としては、同ビフェニル骨格を含有する各種のフェノール類、同各種のアミン類又は同各種のカルボン酸類とエピハロヒドリンとをアルカリの存在下に、縮合反応させることによって得られる各種のエポキシ樹脂があげられる。
【0012】
そのエポキシ樹脂の製造原料としての同ビフェニル骨格を含有するフェノール類としては、たとえば4,4’−ビフェノール、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェノール、3,5−ジメチル−4,4’−ビフェノール、3,3’−ジブチル−4,4’−ビフェノール、3,5−ジブチル−4,4’−ビフェノール、3,3’−ジフェニル−4,4’−ビフェノール、3,3’−ジブロモ−4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール、3,3’−ジメチル−5,5’−ジブチル−4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラブチル−4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラブロモ−4,4’−ビフェノールなどの4,4’−ジヒドロキシビフェニル類;これらの各種の4,4’−ジヒドロキシビフェニル類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザールなどの種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂類;フェノール、クレゾール、キシレノール、プロピルフェノール、ブロモフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ジメチルハイドロキノン、ジブチルハイドロキノン、レゾルシン、メチルレゾルシン、ビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールノボラック樹脂などの種々のフェノール類とビフェニル−4,4’−ジアルデヒド、4−ヒドロキシビフェニル−4’−アルデヒドなどの種々のビフェニル骨格を含有するアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂類;前記の種々のフェノール類と4,4’−ジヒドロキシメチルビフェニル、4,4’−ジイソプロペニルビフェニルなどとの縮合反応で得られる多価フェノール樹脂などがあげられる。
【0013】
また、そのエポキシ樹脂の製造原料としての同ビフェニル骨格を含有するアミン類としては、たとえば4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,5−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニルなどの4,4’−ジアミノビフェニル類;これらの各種4,4’−ジアミノビフェニル類と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザールなどの種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価アミノ樹脂;アニリン、メチルアニリン、ジアミノジフェニルメタンなどの種々のアミン類と、ビフェニル−4,4’−ジアルデヒド、4−アミノビフェニル−4’−アルデヒドなどの種々のビフェニル骨格を含有するアルデヒド類との縮合反応で得られる多価アミノ樹脂;種々のアミン類と4,4’−ジヒドロキシメチルビフェニル、4,4’−ジイソプロペニルビフェニルなどとの縮合反応で得られる多価アミノ樹脂などがあげられる。
【0014】
さらには、そのエポキシ樹脂の製造原料としての同ビフェニル骨格を有するカルボン酸類としては、たとえばビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、3,5−ジメチルビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル−4,4’−ジカルボン酸などのビフェニル−4,4’−ジカルボン酸類、種々のフェノール類又は種々のアミン類とビフェニル−4−アルデヒド−4’−カルボン酸などのビフェニル骨格とカルボキシル基とを含有する種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂又は多価アミノ樹脂などがあげられる。
【0015】
これらの各種のビフェニル骨格を含有するフェノール類、アミン類、あるいはカルボン酸類の1種又は2種以上の混合物に常法によりエピハロヒドリンを反応させれば、本発明で用いられる前記のビフェニル骨格を含有するエポキシ樹脂が得られる。
【0016】
これらの各種のビフェニル骨格を含有するエポキシ樹脂の中でも、硬化物性などの点からビフェニル骨格を含有する各種のフェノール類から得られるエポキシ樹脂が好ましい。より好ましいものは、ビフェノール及びテトラメチルビフェノールから選ばれた少なくとも1種類のフェノール化合物と、エピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂である。
【0017】
また、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールから誘導されたエポキシ樹脂は、たとえばエピコートYX4000(油化シエルエポキシ株式会社商品名)として、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールから誘導されたエポキシ樹脂と、4,4’−ビフェノールから誘導されたエポキシ樹脂との混合エポキシ樹脂が、たとえばエピコートYL6121H(油化シエルエポキシ株式会社商品名)として市販されているから、本発明はこれらの市販品を用いて実施することができる。
【0018】
また、本発明のエポキシ樹脂組成物においては、前記のビフェニル骨格の含有量を前記した所定の範囲内に調整するために、或いは樹脂組成物の取扱い性や硬化物性の調整等のために、前記のビフェニル骨格を含有する特定のエポキシ樹脂に、それ以外の他のエポキシ樹脂を混合して使用することができる。
【0019】
その混合して使用することができる他のエポキシ樹脂としては、たとえばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ジブチルハイドロキノン、レゾルシン、メチルレゾルシン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシナフタレン、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールノボラック樹脂、臭素化ビスフェノールA、臭素化フェノールノボラック樹脂などの種々のフェノール類や、これらの種々のフェノール類と、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザールなどの種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂等の各種のフェノール系化合物と、エピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂;ジアミノジフェニルメタン、アミノフェノール、キシレンジアミンなどの種々のアミン化合物と、エピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂;メチルヘキサヒドロフタル酸、ダイマー酸などの種々のカルボン酸類と、エピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂などが挙げられる。
【0020】
これらの他のエポキシ樹脂の使用割合は、全エポキシ樹脂及び全エポキシ樹脂硬化剤の合計量に対する同ビフェニル骨格の含有量が前記した範囲(28〜48重量%)となる量である。
【0021】
次に、本発明のエポキシ樹脂組成物で用いられる前記の一般式(I)で表わされるビフェニル骨格を含有し、ビフェニル骨格の含有量が、ビフェニル骨格の分子量を144として算出した値で29〜65重量%であり、軟化点が61〜94℃であるエポキシ樹脂硬化剤としては、同ビフェニル骨格を含有する各種のフェノール類、同ビフェニル骨格を含有する各種のアミン類、同ビフェニル骨格を含有する各種のカルボン酸類、及び同ビフェニル骨格を含有する各種の活性エステル類があげられる。
【0022】
そのエポキシ樹脂硬化剤としての同ビフェニル骨格を含有するフェノール類としては、前記の同ビフェニル骨格を含有するエポキシ樹脂の製造原料として前記したのと同様のフェノール類のうちビフェニル骨格の含有量が、ビフェニル骨格の分子量を144として算出した値で29〜65重量%であり、軟化点が61〜94℃である化合物があげられる。
【0023】
また、そのエポキシ樹脂硬化剤としての同ビフェニル骨格を含有するアミン類としては、前記の同ビフェニル骨格を含有するエポキシ樹脂の製造原料として前記したのと同様のアミン類のうちビフェニル骨格の含有量が、ビフェニル骨格の分子量を144として算出した値で29〜65重量%であり、軟化点が61〜94℃である化合物があげられる。
【0024】
また、そのエポキシ樹脂硬化剤としての同ビフェニル骨格を含有するカルボン酸類としては、前記の同ビフェニル骨格を含有するエポキシ樹脂の製造原料として前記したのと同様のカルボン酸類のうちビフェニル骨格の含有量が、ビフェニル骨格の分子量を144として算出した値で29〜65重量%であり、軟化点が61〜94℃である化合物があげられる。
【0025】
さらに、そのエポキシ樹脂硬化剤としての同ビフェニル骨格を含有する活性エステル類としては、前記の同ビフェニル骨格を含有するエポキシ樹脂の製造原料として前記したのと同様の各種のフェノール類を、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、アクリル酸又はナフトエ酸などの種々のカルボン酸でエステル化したエステル化合物類;前記の同ビフェニル骨格を含有するエポキシ樹脂の製造原料として前記したのと同様のカルボン酸類を、メタノール、エタノール、フェノール、ナフトールなどでエステル化したエステル化合物類のうちビフェニル骨格の含有量が、ビフェニル骨格の分子量を144として算出した値で29〜65重量%であり、軟化点が61〜94℃である化合物があげられる。
【0026】
これら各種のビフェニル骨格を含有するエポキシ樹脂硬化剤の中でも、硬化物性などの点から、ビフェニル骨格を含有するフェノール類、又はビフェニル骨格を含有する活性エステル類が好ましい。
【0027】
また、本発明のエポキシ樹脂組成物においては、同ビフェニル骨格の含有量を前記した所定の範囲内に調整するために、或いは樹脂組成物の取扱い性や硬化物性の調整等のために、同ビフェニル骨格を含有する特定のエポキシ樹脂硬化剤に、それ以外の他のエポキシ樹脂硬化剤を併用(混合して使用)することができる。
【0028】
その混合して使用することのできる他のエポキシ樹脂硬化剤としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ハイドロキノン、レゾルシン、メチルレゾルシン、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールノボラック樹脂、臭素化ビスフェノールA、臭素化フェノールノボラック樹脂などの種々のフェノール類;これらの種々のフェノール類と、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザールなどの種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂等の各種のフェノール樹脂類;それら各種のフェノール(樹脂)類のフェノール性水酸基の全部もしくは一部をベンゾエート化あるいはアセテート化などのエステル化することによって得られる活性エステル化合物;メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ピロメリット酸、メチルナジック酸等の酸無水物類;ジエチレントリアミン、イソホロンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド等のアミン類などがあげられる。
【0029】
これらの他のエポキシ樹脂硬化剤の使用割合は、全エポキシ樹脂及び全エポキシ樹脂硬化剤の合計量に対する同ビフェニル骨格の含有量が前記した範囲(28〜48重量%)となる量である。
【0030】
本発明のエポキシ樹脂組成物におけるエポキシ樹脂硬化剤の使用量は、全エポキシ樹脂成分中のエポキシ基1モルに対して、全エポキシ樹脂硬化剤成分中のエポキシ基と反応する基の合計量が0.5〜2.0モルになる量が好ましく、より好ましくは0.7〜1.2モルになる量である。
【0031】
本発明における全エポキシ樹脂及び全エポキシ樹脂硬化剤の合計量に対する同ビフェニル骨格の含有量は、同ビフェニル骨格の分子量を144として算出した値で28〜48重量%、好ましくは30〜45重量%になるようにするが、これは、たとえば使用するビフェニル骨格を含有するエポキシ樹脂やビフェニル骨格を含有するエポキシ樹脂硬化剤のビフェニル骨格の含有量が低くすぎたり、或いは混合して使用する他のエポキシ樹脂や他のエポキシ樹脂硬化剤の割合が多すぎたりして、ビフェニル骨格の含有量が前記の範囲よりも少なくなると、硬化物の高温下での強度が低下してくるし、また使用するビフェニル骨格を含有するエポキシ樹脂やビフェニル骨格を含有するエポキシ樹脂硬化剤のビフェニル骨格の含有量が高すぎたり、或いは混合して使用する他のエポキシ樹脂や他のエポキシ樹脂硬化剤の割合が少なすぎたりして、ビフェニル骨格の含有量が前記の範囲よりも多くなると、エポキシ樹脂組成物の軟化点や粘度が上昇したり、エポキシ樹脂と硬化剤との相溶性が悪くなるために、組成物の取扱い性が悪くなったり、硬化物性が不均一になるなどの欠点が生じる、からである。
【0032】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、他の一般のエポキシ樹脂組成物と同様に、各種添加剤を配合することができる。それら各種添加剤としては、たとえば硬化促進剤、充填材、カップリング剤、難燃剤、可塑剤、溶剤、反応性希釈剤、顔料等が挙げられ、必要に応じてこれらを適宜に配合することができる。
【0033】
その硬化促進剤としては、たとえば2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類;2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン、1,5−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセン(DBU)、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア(DCMU)などのアミン類;トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホスフィンなどの有機リン化合物など、及びこれらの各種の塩類などがあげられる。
【0034】
その充填材としては、たとえば溶融シリカ、結晶性シリカ、ガラス粉、アルミナ、炭酸カルシウムなどがあげられる。また、その難燃剤としては、三酸化アンチモン、リン酸などがあげられ、さらに使用するエポキシ樹脂の一部を臭素化エポキシ樹脂として用いることによっても難燃化することができる。
【0035】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、取扱いが容易で、かつ耐熱性が高い硬化物、すなわち高温下での強度に優れた硬化物を与えるので、接着、注型、封止、成形、積層、塗装等の用途に有利に用いることができる。
【0036】
【実施例】
以下に、エポキシ樹脂硬化剤製造例、実施例及び比較例をあげてさらに詳述する。
【0037】
エポキシ樹脂硬化剤製造例1
温度計、攪拌装置、冷却管を備えた内容量1000mlの三つ口フラスコに、4,4’−ビフェノール93g、フェノール188g、メトキシプロパノール400g、及びシュウ酸3gを仕込み、100℃に昇温して均一に溶解させた。次いで、36%ホルムアルデヒド水溶液120gを、前記の溶解液の内温を100℃に保ちながら1時間かけて滴下した。その後、100℃で3時間保って反応させた。
【0038】
続いて、反応生成物を次第に昇温しながら水とメトキシプロパノールを留去し、最終的に180℃、3mmHgの減圧下で3時間保って、水、メトキシプロパノール及び未反応のフェノールを完全に除去し、ビフェニル骨格含有エポキシ樹脂硬化剤を得た。
【0039】
このエポキシ樹脂硬化剤は、フェノール性水酸基当量100g/eq.、軟化点94℃、ビフェニル骨格含有量29重量%の黄赤色の固体であった。
【0040】
エポキシ樹脂硬化剤製造例2
温度計、攪拌装置、冷却管を備えた内容量2000mlの三つ口フラスコに、4,4’−ビフェノール93g、及びピリジン300gを仕込み、50℃に昇温して均一に溶解させた。次いで、その溶液に無水酢酸105gを、溶液の内温を60℃に保ちながら、1時間かけて滴下したのち、さらに60℃で3時間保って反応させた。
【0041】
続いて、反応生成物にメチルイソブチルケトン500gを加えて溶解させたのち、水洗して副生塩を除き、さらにメチルイソブチルケトンを減圧除去してエポキシ樹脂硬化剤を得た。
【0042】
このエポキシ樹脂硬化剤は、活性エステル基当量110g/eq.、軟化点61℃、ビフェニル骨格含有量65重量%の黄色固体であった。
【0043】
実施例1〜3及び比較例1〜4
表1に示したように、エポキシ樹脂として市販のエポキシ樹脂をそれぞれ用い、またエポキシ樹脂硬化剤として上記の製造例で得られたエポキシ樹脂又は市販の硬化剤をそれぞれ用い、さらに硬化促進剤としていずれもトリフェニルホスフィンを用い、それらを表1に記載のような組合わせで配合して各種のエポキシ樹脂組成物とした。
【0044】
その実際の配合・硬化は、まずエポキシ樹脂と硬化剤とを100〜120℃の温度で5分間溶融混合したのち、硬化促進剤をす早く混合して金型に流し込み、180℃に8時間加熱して硬化させた。ただし比較例4の場合には、樹脂と硬化剤の相溶性が悪く、注型操作を行なうことができなかった。
【0045】
得られた各樹脂組成物のビフェニル骨格含有量は表1に示すとおりであり、また上記の注型硬化物を切削して得られた各試験片の230℃における曲げ強度及び曲げ弾性率を試験した結果は、表1にそれぞれ示すとおりであった。
【0046】
【表1】
【0044】
表1の注
市販品A:3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールか
ら誘導されたエポキシ樹脂(油化シエルエポキシ株式会社商品名
エピコートYX4000、エポキシ当量186、ビフェニル骨格
含有量41重量%)
市販品B:4,4’−ビフェノールから誘導されたエポキシ樹脂と、3,3
’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールから誘導
されたエポキシ樹脂との混合物(油化シエルエポキシ株式会社商
品名 エピコートYL6121H、エポキシ当量172、ビフェ
ニル骨格含有量45重量%)
市販品C:オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化シエルエポキ
シ株式会社商品名 エピコート180S65、エポキシ当量21
0)
市販品D:4,4’−ビフェノール(ビフェノール骨格含有量77重量%)
市販品E:フェノールノボラック樹脂(群栄化学株式会社製、水酸基当量1
03、軟化点85℃)
*1 :樹脂組成物が相溶性が悪くて、注型できず、試験片が作成できな
いので、測定できなかった。
【0047】
表1から明らかなように、各実施例のエポキシ樹脂組成物は、比較例1〜3のエポキシ樹脂組成物と較べて高温(230℃)における曲げ強度及び曲げ弾性率の著しく高い硬化物を与えることができるので、高温で使用される成形物の製造に適するものである。
【0048】
【発明の効果】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、溶融粘度が低く、相溶性が良好であって、取扱い性に優れ、かつ耐熱性の高い、すなわち高温下での強度の高い硬化物を与えるので、接着、注型、封止、成形、積層等の分野で有利に用いることができる。
Claims (3)
- (a)一般式(I)
で表わされるビフェニル骨格を含有するエポキシ樹脂、及び
(b)一般式(I)
で表わされるビフェニル骨格を含有し、ビフェニル骨格の含有量が、ビフェニル骨格の分子量を144として算出した値で29〜65重量%であり、軟化点が61〜94℃であるエポキシ樹脂硬化剤を必須成分として含有せしめてなり、かつ全エポキシ樹脂及び全エポキシ樹脂硬化剤の合計量に対するビフェニル骨格の含有量が、ビフェニル骨格の分子量を144として算出した値で28〜48重量%であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。 - ビフェニル骨格を含有するエポキシ樹脂が、ビフェノール及びテトラメチルビフェノールから選ばれた少なくとも1種のフェノール化合物と、エピハロヒドリンとの反応で得られたエポキシ樹脂である請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
- ビフェニル骨格を含有するエポキシ樹脂硬化剤が、ビフェニル骨格含有フェノール化合物及びビフェニル骨格含有活性エステル化合物から選ばれた少なくとも1種である請求項1又は請求項2に記載のエポキシ樹脂組成物。
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