JP2003034746A - 燃料電池用セパレータを形成するためのフェノール樹脂成形材料 - Google Patents

燃料電池用セパレータを形成するためのフェノール樹脂成形材料

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JP2003034746A
JP2003034746A JP2001223709A JP2001223709A JP2003034746A JP 2003034746 A JP2003034746 A JP 2003034746A JP 2001223709 A JP2001223709 A JP 2001223709A JP 2001223709 A JP2001223709 A JP 2001223709A JP 2003034746 A JP2003034746 A JP 2003034746A
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Koji Inagaki
孝司 稲垣
Tomozo Sakaguchi
知三 坂口
Terumasa Yoshinaga
輝政 吉永
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 射出成形法により燃料電池のセパレータを形
成するのに適し、このため複雑な形状の成形体を形成で
きて、炭化焼成後に機械加工を施さなくてもセパレータ
を形成可能な、特別な成形材料を得る。 【解決手段】 フェノール樹脂材料を成形加工した後に
炭化焼成することにより燃料電池セパレータを形成する
ための成形材料が、硬化性を有するフェノール樹脂と、
フェノール樹脂をCステージまで硬化させた粒状フェノ
ール樹脂とを含有し、ディスクキュアー法で測定した熱
流動性が100〜200mmの範囲である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は燃料電池用セパレー
タを形成するためのフェノール樹脂成形材料に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料電池は、低公害で高い発電効率を持
つ次世代の発電装置として期待されている。この燃料電
池の種類としては、電解質の種類により、アルカリ型、
リン酸型、固体高分子型、溶融炭酸塩型、固体電解質型
などがある。これらの燃料電池には、水素含有ガス(ア
ノードガス)と酸素含有ガス(カソードガス)との電気
化学反応により起電力を生ずる単位電池と、積層された
隣合う単位電池間に介在した燃料電池用セパレータ(以
下、「セパレータ」と略称する)とが備えられている。
セパレータは、隣り合う単位電池双方の電極と接触し
て、これら単位電池間を電気的に接続するとともに反応
ガスを分離する作用をなす。このようなセパレータの素
材としては、リン酸型燃料電池及び固体高分子型燃料電
池には黒鉛系材料やチタン合金などが使用され、溶融炭
酸塩型燃料電池にはNi/SUSクラッド材などが使用
されている。
【0003】また、アルカリ型、リン酸型、固体高分子
型など比較的低温で動作する燃料電池には、動作温度を
安定させる目的でセパレータの片側に冷却水を流すため
の溝を備えていたり、特開平10−162842号公報
に開示されているように放熱フィンのような突起を備え
たセパレータが考えられている。
【0004】上記セパレータに要求される特性として
は、導電性を有すること、ガス透過性が小さいこと、軽
量であること、耐熱性及び耐食性があること、アノード
ガス及びカソードガスと反応しないことなどである。セ
パレータの導電性は比電気抵抗が小さいほど好ましく、
比電気抵抗が大きいと燃料電池の内部抵抗の増大を招
き、発電ロスを生じる。実用上は10-2〜10-6Ω・c
mであるものが好適である。
【0005】セパレータがステンレスやチタン系合金な
どのような耐食性のある金属などよりなるものは、耐熱
性及び導電性に優れているものの、電解質によるイオン
化が生じたり、加工に困難を伴ったり、重量が大となる
などの問題があった。
【0006】特開平10−334927号公報には、熱
硬化性樹脂などに導電性フィラー(例えば黒鉛粉末、カ
ーボンファイバー)を混ぜ込んだ樹脂製セパレータが開
示されている。しかし、このようなセパレータは、軽量
であるが、耐食性及び耐熱性が低い、ガス不透過性が劣
る、強度が低いなどの問題があった。
【0007】一方、人造黒鉛などの黒鉛系の素材よりな
るセパレータは、軽量かつ耐食性に優れているが、ガス
透過性に劣るいう問題があった。また、機械的な加工が
金属材料に比べ困難であるにもかかわらず、アノードガ
ス及びカソードガスの流路となる溝を形成するために切
削加工が必要であり、このため加工コストが高いなどの
問題があった。
【0008】また、アモルファスカーボン製のセパレー
タが提案されている。この場合は、フラン樹脂、フェノ
ール樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂を圧縮成
形し、その後炭化焼成して、セパレータが製造される。
しかしこの場合は、その熱硬化性樹脂の特性から圧縮成
形法により成形体を得ることしかできず、かつ、平板状
のような単純形状の成形体しか得ることができなかっ
た。そのため量産性に欠け、さらに炭化焼成後にアノー
ドガス及びカソードガスの流路となる溝を形成するため
の座ぐりなどの切削加工が必要であった。ところが、ア
モルファスカーボン材は、機械的な加工が金属材料に比
べ非常に困難であるため、座ぐりなどの切削加工を施す
とかなりのコストアップになるなどの問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、この
ような問題点を解決して、射出成形法によりセパレータ
を形成するのに適し、このため複雑な形状の成形体を形
成できて、炭化焼成後に機械加工を施さなくてもセパレ
ータを形成可能な、特別な成形材料を得ることができる
ようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
本発明は、フェノール樹脂材料を成形加工した後に炭化
焼成することにより燃料電池セパレータを形成するため
の成形材料が、硬化性を有するフェノール樹脂と、フェ
ノール樹脂をCステージまで硬化させた粒状フェノール
樹脂とを含有し、ディスクキュアー法で測定した熱流動
性が100〜200mmの範囲であるようにしたもので
ある。
【0011】このような構成であると、硬化性を有する
ことにもとづき流動性を有するフェノール樹脂に、固体
の粒状フェノール樹脂が含有された構成であるため、成
形時には全体として良好な流動性を有し、しかも粒状フ
ェノール樹脂は元から硬化した状態にあるため、全体と
して硬化性が良好な、フェノール樹脂成形材料が得られ
る。
【0012】また本発明では、硬化性を有するフェノー
ル樹脂として熱流動性の高いものを使用するとともに、
Cステージまで硬化させたフェノール樹脂として、粒状
の、硬化性を有するフェノール樹脂の流動性を大きく阻
害させることのないものを使用することで、上記のよう
に成形材料のディスクキュアー法で測定した熱流動性を
100〜200mmの範囲とすることができ、これによ
り成形時の硬化速度と流動性とがともに良好になって、
好ましい成形性が得られる。
【0013】このような成形材料は、燃料電池用セパレ
ータを特に射出成形法で成形するのに適し、したがって
複雑な形状の成形体を形成できて、炭化焼成後に機械加
工を施さなくてもセパレータを形成することができる。
しかも、得られた焼成品は、アモルファス状態のカーボ
ンにて形成されることになるが、炭素比率の高い高純度
なものとなる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の成形材料は、その全体
(硬化性を有するフェノール樹脂とフェノール樹脂をC
ステージまで硬化させた粒状フェノール樹脂とを配合さ
せたもの)が、ディスクキュアー法で測定した熱流動性
が100〜200mmの範囲であることが必要である。
この熱流動性が100mm未満であると、成形時の硬化
速度は速いが流動性に乏しくなる。またこの熱流動性が
200mmを超えると、反対に流動性は良好になるが成
形時の硬化速度が遅くなるとともに、気体を噛み込みや
すくなって成形品に気泡が生じる原因となる。すなわ
ち、本発明では、硬化性を有するフェノール樹脂として
熱流動性の高いものを使用するとともに、Cステージま
で硬化させたフェノール樹脂として、粒状の、硬化性を
有するフェノール樹脂の流動性を大きく阻害させること
のないものを使用することで、上記のように成形材料の
熱流動性を100〜200mmの範囲とすることがで
き、これにより成形時の硬化速度と流動性とがともに良
好になって、好ましい成形性が得られることになる。
【0015】硬化性を有するフェノール樹脂としては、
レゾール樹脂や硬化剤を配合したノボラック樹脂などを
用いることができる。具体的には、ユニチカ社製の「ユ
ニベックス(商品名)」や、カネボウ社製の「ベルパー
ル(商品名)」や、住友デュレス社製の「スミライトレ
ジン(商品名)」などを、好適に用いることができる。
【0016】このうち、硬化剤を配合したノボラック樹
脂すなわち自己硬化性を有するノボラック樹脂として
は、常温における粒子径が50μm以上、好ましくは1
00μm以上で、ディスクキュアー法で測定した熱流動
性が120〜220mm、好ましくは120〜180m
mのものを用いる。
【0017】ここで、粒子径とは、粒体の平均最大径、
すなわち最大径(外接球直径)の平均値を表す。粒子径
が50μm未満の場合は、後述する混練押出機への供給
が安定して行い難くなる。粒子径の上限に特に制限はな
いが、実用的な粒子径の範囲としては、100〜400
0μmが適当である。粒体の形状は球形、円筒形、円柱
形、立方体形等のいずれでもよいが、粒子径が小さい場
合は球形の方が成形等に際しての輸送性が優れている。
【0018】熱流動性とは、上述のように常温にては固
体であるが、加熱状態にて負荷をかけたときに流動性を
示す特性をいう。しかし、硬化性を有するフェノール樹
脂は、通常の熱可塑性樹脂の場合と異なって、ある程度
以上の長時間にわたって流動性を示す温度にて加熱を続
けると、分子内及び分子間での縮合が始まって架橋し、
これによって硬化する性質をもっている。そこで、熱流
動性を表す尺度として、JIS規格のディスクキュアー
法で測定した160°Cにおける所定荷重下の試料樹脂
円板の流れ(直径の伸び:mm)で表す。この熱流動性
は、具体的には、JIS−K−6911 1995
5.3.2〔成形材料(円板式)〕の方法に基づいて、
試料2gを160°Cで1分間1145kgの荷重で熱
プレスし、形成される円板の直径(最長径と最短径の平
均値)から求める。
【0019】この熱流動性が120mm未満の場合は、
本発明の成形材料の成形性が悪くなる傾向がある。一
方、熱流動性が220mmを越える樹脂は、硬化反応に
必要な時間が長くなるため、本発明の成形材料の生産性
が悪く、しかも、硬化反応によって生成する水分等が成
形品内へ閉じ込められるため、欠陥製品となるおそれが
ある。
【0020】硬化性を有するフェノール樹脂は、ゲルタ
イムが70秒以下であることが好適である。このゲルタ
イムは、硬化性の指標となるもので、JIS K 69
10ゲル化時間 D法 により測定されるものである。
すなわち、150±1℃の温度に保持した鋼板上に、
0.50±0.05gの試料をのせ、スパキュラで直径
約3cmの円状にかき広げ、約1回/秒の速度で練り合
わせ、試料とスパキュラとの間に糸を引かなくなるまで
の時間をゲルタイムとするものである。このゲルタイム
が70秒を超えると、硬化速度が遅くなって成形性に劣
るものとなる。
【0021】本発明において使用可能な樹脂である硬化
性を有するノボラック樹脂の製造法としては、各種の方
法が採用され、例えば特開平4−159320号公報に
記載されている方法のように、ヘキサメチレンテトラミ
ンのようなアルカリ触媒兼メチレン架橋剤及び懸濁安定
剤の存在下、水媒体中でノボラック樹脂を懸濁重合させ
る方法(自己硬化型変性ノボラック樹脂法)を、好適に
採用することができる。この方法によれば、粒状変性ノ
ボラック樹脂すなわち極めて高純度で真球状に近い球状
微粒体のノボラック樹脂が得られる。粒子径の大きな成
形原料を得るには、上記微粒体を造粒して所定の粒度に
調製する方法が有効である。
【0022】ノボラック樹脂に配合される硬化剤として
はヘキサメチレンテトラミンなどが好適であるが、その
配合割合は、ノボラック樹脂100質量%に対してヘキ
サメチレンテトラミン10〜20質量%が好ましい。配
合割合が10質量%未満であると所要の硬化性が得られ
ず、また20質量%を越して配合させても飽和状態とな
って硬化反応に寄与しなくなるので無駄である。上記の
懸濁重合時に硬化剤を添加することによって、この硬化
剤をノボラック樹脂中に均一に分散させることができ
る。
【0023】硬化性を有するフェノール樹脂は、水分含
有量が1質量%以下にされていることが好ましく、0.
5質量%以下にされていることがより好ましい。水分含
有量が1質量%を越えると、成形の際に成形品中に気孔
が残り、また成形条件によっては加水分解等の劣化現象
が派生することもある。硬化性を有するフェノール樹脂
が、上述の懸濁重合法によって得られた粒状のノボラッ
ク樹脂すなわち変性ノボラック樹脂である場合には、通
常、重合後に2〜10重量%の水分を含有するので、そ
の使用に先立っては、水分が上記範囲内に低減するよう
に乾燥しておくのが有効である。この際の乾燥法として
は、変性ノボラック樹脂を真空中又は乾燥空気循環下で
60〜120°Cの温度に加熱する方法が推奨される。
【0024】本発明で使用されるCステージまで硬化さ
せた粒状フェノール樹脂としては、硬化性を有するノボ
ラック樹脂をCステージまで硬化させたものなどを使用
することもできるが、上記の懸濁重合法によって形成さ
れた粒状レゾール樹脂をCステージまで硬化させたもの
を特に好適に使用することができる。その粒子径は、射
出成形時の流動性の観点にたてば、0.1〜100μm
であるのが望ましい。粒子径が100μmを超えると、
所望の流動性を得にくくなる。反対に粒子径が0.1μ
m未満では、重合時の水切りネットが詰まるなどして生
産性が低下しやすくなる。なお、粒度分布は、シャープ
な分布よりも、微粒のものが混在した方が、射出成形時
の成形性が良好になる。
【0025】このような粒状フェノール樹脂は、変性レ
ゾール樹脂の製造の際の反応時に0.1〜100μmに
粒径制御して得られた樹脂を固液濾過し、乾燥した後、
140〜240℃の温度域内の所定温度で硬化処理する
ことにより得られる。このような懸濁重合法によって得
られた粒状フェノール樹脂は真球状になり、このように
微小な真球状であると、下記のCステージまで硬化させ
た状態で硬化性を有するフェノール樹脂と配合させて成
形に供したときに樹脂全体の流動性が低下することがな
く、したがって射出成形に好適に使用することができ
る。
【0026】ここで、Cステージとは、熱処理により樹
脂の硬化が完了した状態をいい、熱処理を行っていない
加熱溶融が可能なAステージのものや、加熱溶融する状
態を残して熱処理を行ったBステージのものとは区別さ
れるものである。そして、このCステージまで硬化させ
た粒状フェノール樹脂は、熱流動性が0〜60mmであ
ることが好適である。
【0027】このCステージまで硬化させた粒状フェノ
ール樹脂を硬化性を有するフェノール樹脂と配合するこ
とで、本発明のフェノール樹脂成形材料を得ることがで
きる。このとき、硬化性を有するフェノール樹脂とCス
テージまで硬化させた粒状フェノール樹脂との配合割合
は、(硬化性を有するフェノール樹脂)/(Cステージ
まで硬化させた粒状フェノール樹脂)=90〜35質量
%/10〜65質量%であるのが好適である。Cステー
ジまで硬化させた粒状フェノール樹脂の量が10質量%
未満であったり、または65質量%を超えると、所望の
フェノール樹脂成形材料が得られ難い傾向がある。
【0028】なお、Cステージまで硬化させた粒状フェ
ノール樹脂の配合割合は、その粒径によって変化させる
のが好適である。すなわち、粒径が大きくなると、それ
につれて、硬化性を有するフェノール樹脂に配合させて
射出成形に供したときの材料全体の流動性が低下するた
め、その場合は配合割合を下げて流動性が極端に低下し
ないようにする必要がある。また、粒径が小さくなる
と、それにつれて射出成形時の材料全体の流動性が上昇
するため、その場合は配合割合を上げて材料全体の硬化
性を向上させることができる。
【0029】本発明の成形材料は、硬化性を有するフェ
ノール樹脂とフェノール樹脂をCステージまで硬化させ
た粒状フェノール樹脂とが二軸混練押出機などによって
混練押出されることによって形成されるが、この押出機
への食い込み性と、押出時における押出スクリューから
の型離れ性とを向上させるために、離型剤を含有してい
ることが好適である。この離型剤としては、低表面張力
物質を用いるのが好適である。
【0030】この低表面張力物質は、表面張力が低い物
質であって、例えば常温(25℃)で臨界表面張力が3
5ダイン/cm以下の物質が望ましく、かつ低表面張力
物質に特有の潤滑性、離型性、非付着性等の特性を有す
る化合物が好適である。この低表面張力物質としては、
融点が30〜160℃、好ましくは40〜80℃であっ
て、常温にて固体状である、低融点化合物を用いる。融
点が30℃未満では成形時に計量不良が起こる傾向にあ
り、融点が160℃を超えると成形機のシリンダー内で
潤滑性が乏しく、安定した成形性が得られない傾向にあ
る。
【0031】低表面張力物質の代表的な例としては、ラ
ウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の高級脂肪
酸;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウ
ム等の高級脂肪酸金属塩;ラウリン酸モノグリセライ
ド、エチルステアレート、ステアリン酸モノグリセライ
ド、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステ
アレート等の高級脂肪酸エステル;トリラウリン、トリ
ステアリン、硬化ひまし油等の固形油脂類;ステアリン
酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド等の高
級脂肪酸アマイド;セチルアルコール、ステアリルアル
コール等の高級脂肪族アルコール;ステアリルメタクリ
レート、ステアリルアクリレート等の高級脂肪族(メ
タ)アクリレート;パラフィンワックス等のワックス状
炭化水素;パーフルオロオクタン酸、9H−ヘキサデカ
フルオロノナノン酸等の含多価フッ素高級脂肪酸;N−
エチルパーフルオロオクチルスルホンアミド等の含多価
フッ素高級脂肪族スルホンアミド;2−(パーフルオロ
オクチル)沃化エチル、2−(パーフルオロデシル)沃
化エチル等の含多価フッ素高級脂肪族沃化物;1H,1
H,9H−ヘキサデカフルオロノナノール、2−(パー
フルオロオクチル)エタノール、2−(パーフルオロデ
シル)エタノール等の含多価フッ素高級脂肪族アルコー
ル;2−(パーフルオロデシル)メチルメタクリレー
ト、1H,1H,11H−アイコサフルオロウンデシル
アクリレート等の含多価フッ素高級脂肪族(メタ)アク
リレート;パーフルオロドデカン等の含多価フッ素高級
脂肪族炭化水素;2−(P−オキシ安息香酸メチル・ヘ
キサフルオロプロペン3量体付加物等の含多価フッ素脂
肪族芳香族化合物;ペンタフルオロベンズアミド等の含
多価フッ素芳香族炭化水素;TFEワックス(テトラフ
ルオロエチレンテロマー)、CTFEテロマー(クロロ
トリフルオロエチレンテロマー)等の含多価フッ素オリ
ゴマー化合物等;あるいはこれらの誘導体、これらの一
種以上よりなる混合物並びにこれらに重合触媒等の添加
物を配合した組成物等の低表面張力物質が挙げられる。
【0032】この低表面張力物質の量は、全フェノール
樹脂(硬化性を有するフェノール樹脂とフェノール樹脂
をCステージまで硬化させた粒状フェノール樹脂との合
計)100質量%に対して0.1〜5質量%、好ましく
は0.2〜3質量%である。低表面張力物質の量がフェ
ノール樹脂100質量%に対して0.1質量%未満で
は、成形の際に、成形機のシリンダー内で閉塞が起こ
り、連続して成形を行うことが困難になることがある。
他方、低表面張力物質の量が5質量%を越えると、成形
性の向上効果が頭打ちとなる。
【0033】低表面張力物質すなわち離型剤は、適宜の
方法によってフェノール樹脂に添加することができる
が、たとえば、硬化性を有するフェノール樹脂とフェノ
ール樹脂をCステージまで硬化させた粒状フェノール樹
脂とを二軸混練押出機などによって混練押出させる際に
添加するのが好適である。
【0034】
【実施例】実施例1 表1に示したように、熱流動性が160mm、ゲルタイ
ムが60秒、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを
15質量%含有した、熱硬化性を有するフェノール樹脂
(ユニチカ社製 「ユニベックス」 Nタイプ)55質
量%を用いた。また、Cステージまで硬化させた粒状フ
ェノール樹脂として、粒径10μm、熱流動性30mm
の、Cステージまで硬化させた粒状フェノール樹脂(ユ
ニチカ社製 「ユニベックス」 Cタイプ)45質量%
を用いた。そして、これらの樹脂を互いに混合させると
ともに、離型剤を1.0質量%添加して溶融混練を行
い、熱流動性が125mmの樹脂混合物を得た。
【0035】得られた混合物を成形用材料として、射出
成形機を用いて射出成形し、溝付きの、燃料電池用セパ
レータを焼成するための成形品を成形加工して、その成
形性を判断した。その結果を表1に示す。
【0036】なお、本実施例1および下記の各実施例・
比較例においては、成形性の判定は次のようにした。す
なわち、射出成形時において有害な食い込み不良等の問
題がなく、得られた成形品に多量の気泡や欠陥等が生じ
ていない場合に良好と判断し、それ以外の場合は不良と
判断した。
【0037】
【表1】 実施例2〜13 表1に示した条件で成形用の混合物を作成し、同様に射
出成形を行った。その結果を表1に示す。 実施例14〜19 表2に示した条件で成形用の混合物を作成し、同様に射
出成形を行った。その結果を表2に示す。
【0038】
【表2】 比較例1 表2に示したように、熱流動性が125mm、ゲルタイ
ムが60秒、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを
15質量%含有した、熱硬化性を有するフェノール樹脂
55質量%を用いた。また、Cステージまで硬化させた
粒状フェノール樹脂として、粒径10μm、熱流動性3
0mmの、Cステージまで硬化させた粒状フェノール樹
脂45質量%を用いた。そして、これらの樹脂を互いに
混合させるとともに、離型剤を1.0質量%添加して溶
融混練を行い、熱流動性が88mmの樹脂混合物を得
た。
【0039】得られた混合物を成形用材料として、射出
成形機を用いて射出成形し、溝付きの、燃料電池用セパ
レータを焼成するための成形品を成形加工して、その成
形性を判断した。その結果を表2に示す。 比較例2〜5 表1に示した条件で成形用の混合物を作成し、比較例1
と同様に射出成形を行った。その結果を表2に示す。
【0040】実施例1〜13のものは、いずれも成形性
が良好であった。実施例14のものは、硬化性を有する
フェノール樹脂のゲルタイムが100秒と長かったた
め、成形サイクルが若干長くかかったが、そのほかの成
形性は良好であった。
【0041】実施例15のものは、硬化性を有するフェ
ノール樹脂における硬化剤の含有量が少なかったため、
成形サイクルが若干長くかかったが、そのほかの成形性
は良好であった。
【0042】実施例16のものは、反対に硬化剤の含有
量が多かったため、若干の気泡の発生が見られたが、そ
のほかの成形性は良好であった。実施例17のものは、
フェノール樹脂をCステージまで硬化させた粒状フェノ
ール樹脂の熱流動性が80mmと高過ぎる傾向にあり、
そのため成形サイクルが若干長くかかったが、そのほか
の成形性は良好であった。
【0043】実施例18のものは、離型剤の含有量が少
なかったため、成形機のスクリューの食い込み不良が生
じる傾向にあったが、そのほかの成形性は良好であっ
た。実施例19のものは、離型剤の含有量が多かったた
め、若干の気泡の発生が見られたが、そのほかの成形性
は良好であった。
【0044】これに対し比較例1のものは、その全体の
熱流動性が88mmと低過ぎたため、射出成形すること
ができなかった。比較例2のものは、その全体の熱流動
性が210mmと高過ぎたため、多量の気泡が発生し
て、成形性が悪かった。
【0045】比較例3のものは、フェノール樹脂をCス
テージまで硬化させた粒状フェノール樹脂を含有してい
なかったため、成形サイクルが著しく長くかかり、性形
成が悪かった。
【0046】比較例4および5のものは、比較例1と同
様に全体の熱流動性が低過ぎたため、射出成形すること
ができなかった。
【0047】
【発明の効果】本発明のフェノール樹脂成形材料は、硬
化性を有するフェノール樹脂と、フェノール樹脂をCス
テージまで硬化させた粒状フェノール樹脂とを含有する
ようにしたため、硬化性を有することにもとづき流動性
を有するフェノール樹脂に、固体の粒状フェノール樹脂
が含有された構成であり、ディスクキュアー法で測定し
た熱流動性が100〜200mmの範囲であるため、成
形時には全体として良好な流動性を有し、しかも粒状フ
ェノール樹脂は元から硬化した状態にあるため、全体と
して硬化性が良好な、フェノール樹脂成形材料が得られ
る。このような成形材料は、燃料電池用セパレータを特
に射出成形法で成形するのに適し、したがって複雑な形
状の成形体を形成できて、炭化焼成後に機械加工を施さ
なくてもセパレータを形成することができる。しかも、
得られた成形品は、アモルファス状態のカーボンにて形
成されることになるが、炭素比率の高い高純度なものと
なる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉永 輝政 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 Fターム(参考) 4J002 AE033 AE053 BD153 CC04W CC04X EB067 EC027 EF057 EG037 EH057 EH107 EP017 EP027 EU186 EV287 FD146 FD167 GD00 GQ00 5H026 AA02 AA03 AA04 AA06 BB01 EE05 EE18 HH00 HH01 HH05 HH08

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェノール樹脂材料を成形加工した後に
    炭化焼成することにより燃料電池セパレータを形成する
    ための成形材料であって、硬化性を有するフェノール樹
    脂と、フェノール樹脂をCステージまで硬化させた粒状
    フェノール樹脂とを含有し、ディスクキュアー法で測定
    した熱流動性が100〜200mmの範囲であることを
    特徴とする燃料電池用セパレータを形成するためのフェ
    ノール樹脂成形材料。
  2. 【請求項2】 硬化性を有するフェノール樹脂は、ノボ
    ラック樹脂に硬化剤を含有させたものであることを特徴
    とする請求項1記載の燃料電池用セパレータを形成する
    ためのフェノール樹脂成形材料。
  3. 【請求項3】 硬化性を有するフェノール樹脂は、ノボ
    ラック樹脂100質量%に対して硬化剤としてのヘキサ
    メチレンテトラミン5〜25質量%を含有したものであ
    ることを特徴とする請求項2記載の燃料電池用セパレー
    タを形成するためのフェノール樹脂成形材料。
  4. 【請求項4】 硬化性を有するフェノール樹脂は、ディ
    スクキュアー法で測定した熱流動性が120〜220m
    mであることを特徴とする請求項1から3までのいずれ
    か1項記載の燃料電池用セパレータを形成するためのフ
    ェノール樹脂成形材料。
  5. 【請求項5】 硬化性を有するフェノール樹脂は、ゲル
    タイムが70秒以下であることを特徴とする請求項1か
    ら4までのいずれか1項記載の燃料電池用セパレータを
    形成するためのフェノール樹脂成形材料。
  6. 【請求項6】 フェノール樹脂をCステージまで硬化さ
    せた粒状フェノール樹脂は、ディスクキュアー法で測定
    した熱流動性が0〜60mmであることを特徴とする請
    求項1から5までのいずれか1項記載の燃料電池用セパ
    レータを形成するためのフェノール樹脂成形材料。
  7. 【請求項7】 フェノール樹脂をCステージまで硬化さ
    せた粒状フェノール樹脂の粒径が0.1〜100μmで
    あることを特徴とする請求項1から6までのいずれか1
    項記載の燃料電池用セパレータを形成するためのフェノ
    ール樹脂成形材料。
  8. 【請求項8】 硬化性を有するフェノール樹脂の含有量
    が90〜35質量%であり、フェノール樹脂をCステー
    ジまで硬化させた粒状フェノール樹脂の含有量が10〜
    65質量%であることを特徴とする請求項1から7まで
    のいずれか1項記載の燃料電池用セパレータを形成する
    ためのフェノール樹脂成形材料。
  9. 【請求項9】 樹脂100質量%に対して離型剤を0.
    1〜5質量%含有したものであることを特徴とする請求
    項1から8までのいずれか1項記載の燃料電池用セパレ
    ータを形成するためのフェノール樹脂成形材料。
  10. 【請求項10】 硬化性を有するフェノール樹脂は懸濁
    重合法によって形成された粒状変性ノボラック樹脂であ
    り、フェノール樹脂をCステージまで硬化させた粒状フ
    ェノール樹脂は懸濁重合法によって形成された粒状レゾ
    ール樹脂をCステージまで硬化させたものであることを
    特徴とする請求項1から9までのいずれか1項記載の燃
    料電池用セパレータを形成するためのフェノール樹脂成
    形材料。
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Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001143719A (ja) * 1999-11-11 2001-05-25 Unitika Ltd 燃料電池用セパレータ及びその製造方法
JP2003026900A (ja) * 2001-07-17 2003-01-29 Unitika Ltd 射出成形用樹脂材料の製造方法

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