JP2002169241A - ハロゲン化銀写真乳剤 - Google Patents

ハロゲン化銀写真乳剤

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高感度で保存性が良好でかつ処理依存性の小
さいハロゲン化銀写真乳剤及びそのような乳剤を用いた
写真感光材料を提供すること。 【解決手段】 全粒子の円相当径の変動係数が30%以
下であり、全投影面積の70%以上が下記(i)、(i
i)および(iii)要件を満たすハロゲン化銀粒子で占め
られていることを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。 (i)(111)面を主表面とする沃塩臭化銀平板粒子 (ii)少なくとも一つの頂点部にエピタキシャル接合を
有する (iii)エピタキシャル部に少なくとも1本の転位線を
有する

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハロゲン化銀写真
感光材料及びこれに用いるハロゲン化銀写真乳剤に関す
るものである。さらに詳しくは、保存性ならびに現像処
理依存性に優れたハロゲン化銀写真乳剤及びハロゲン化
銀写真感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高感度のハロゲン化銀写真感光材料を得
るために平板状ハロゲン化銀粒子(以下、「平板粒子と
いう。」)を用いることは一般に良く知られている。こ
れら平板粒子の増感法としてエピタキシャル接合を用い
た増感法が特開昭58−108526ならびに59−1
33540号に開示されている。さらに、厚みがより薄
いまたは円相当径がより大きい平板粒子への適用につい
て特開平8−69069、8−101472、8−10
1474、8−101475、8−171162、8−
171163、8−101473、8−101476、
9−211762、9−211763号、米国特許第
5,612,176号、同第5,614,359号、同
第5,629,144号、同第5,631,126号、
同第5,691,127号、同5,726,007号に
開示されている。一方で円相当径がより小さい平板粒子
への適用について特開平10−221798、10−2
68457、10−339924号に開示されている。
しかしながら、塩化銀を主構成元素として用いるエピタ
キシャル増感方法は沃臭化銀を基本構成要素として組み
立てられた撮影用感光材料においては基本的に不安定で
ある。その理由は塩化銀の溶解度積が臭化銀および沃化
銀の溶解度積よりも大きく、容易にハロゲン変換を受け
ることに起因する。そのためにエピタキシャル乳剤を用
いた感光材料は保存時に感度の低下もしくはかぶりの上
昇という問題を引き起こす。さらにはエピタキシャル部
位の不安定な溶解性のために現像処理時のKBr量の変
動により大きく写真性能が動くという問題点を有してい
る。そのために、一般の撮影用感光感材への使用に対し
て汎用化できない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は従来のエピ
タキシャル乳剤ではエピタキシャル接合が粒子間で大き
くばらついていることに注目した。さらにこのばらつき
はエピタキシャル部に存在する転位線に関係することが
明らかになった。従来のエピタキシャル乳剤において
は、平板粒子によりエピタキシャル接合が平板粒子の頂
点に一つから六つある粒子、平板粒子の辺上にある粒
子、平板粒子の主表面上にある粒子、全くない粒子が混
在している。さらにこれらエピタキシャル部に存在する
転位線についてはさらに大きなばらつきがある。
【0004】本発明者はエピタキシャル接合を行う基盤
となる平板粒子の構造と組成、エピタキシャル接合時の
調製条件を従来にない構造、組成および条件に設定する
ことにより上記の問題が解決できることを見出した。さ
らに従来にないゼラチンを使用することによりエピタキ
シャル乳剤を用いた感光材料の保存性ならびに処理性の
問題をほぼ完全に解決することができた。
【0005】本発明は平板粒子の高感度化と保存性、処
理性の問題の解決を同時に満足させることができる手段
を提供しようとするものである。
【0006】すなわち、本発明の目的は、高感度で保存
性が良く、かつ処理依存性の小さなハロゲン化銀写真乳
剤及び写真感光材料を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的は、下記(1)
〜(11)の手段によって達成された。すなわち、 (1)全粒子の円相当径の変動係数が30%以下であ
り、全投影面積の70%以上が下記(i)、(ii)およ
び(iii)要件を満たすハロゲン化銀粒子で占められて
いることを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。 (i)(111)面を主表面とする沃塩臭化銀平板粒子 (ii)少なくとも一つの頂点部にエピタキシャル接合を
有する (iii)エピタキシャル部に少なくとも1本の転位線を
有する。
【0008】(2)全粒子の円相当径の変動係数が30
%以下であり、全投影面積の70%以上が下記(i)、
(ii)および(iii’)の要件を満たすハロゲン化銀粒
子で占められていることを特徴とするハロゲン化銀写真
乳剤。 (i)(111)面を主表面とする沃塩臭化銀平板粒子 (ii)少なくとも一つの頂点部にエピタキシャル接合を
有する (iii’)エピタキシャル部に網目状の転位線を有す
る。
【0009】(3)全粒子の円相当径の変動係数が30
%以下であり、全投影面積の70%以上が下記(i)、
(ii’)および(iii)の要件を満たすハロゲン化銀粒
子で占められていることを特徴とするハロゲン化銀写真
乳剤。 (i)(111)面を主表面とする沃塩臭化銀平板粒子 (ii’)全ての頂点部にエピタキシャル接合を有する (iii)エピタキシャル部に少なくとも1本の転位線を
有する。
【0010】(4)全投影面積の70%以上が(1)な
いし(3)の3要件に加えて、下記(iv)の要件を満た
すハロゲン化銀粒子で占められていることを特徴とする
(1)ないし(3)の何れか1項に記載のハロゲン化銀
写真乳剤。 (iv)エピタキシャル部以外には転位線を有しない。
【0011】(5)全投影面積の70%以上が(1)の
3要件に加えて、下記(v)、(vi)および(vii)の要
件を満たすハロゲン化銀粒子で占められていることを特
徴とする(1)に記載のハロゲン化銀写真乳剤。 (v)円相当径0.3μm以上1.2μm以下 (vi)塩化銀含量が1モル%以上6モル%以下 (vii)10モル%以上の沃化銀を含有する最外層が銀
換算で20%以下。
【0012】(6)全投影面積の70%以上が(1)な
いし(3)の3要件に加えて、下記(viii)の要件を満
たすハロゲン化銀粒子で占められていることを特徴とす
る(1)ないし(3)の何れか1項に記載のハロゲン化
銀写真乳剤。 (viii)最小の長さを有する辺の長さに対する最大の長
さを有する辺の長さの比が2以下である六角形平板粒
子。
【0013】(7)全投影面積の70%以上が(1)な
いし(3)の3要件に加えて、下記(ix)の要件を満た
すハロゲン化銀粒子で占められていることを特徴とする
(1)ないし(3)の何れか1項に記載のハロゲン化銀
写真乳剤。 (ix)厚み0.1μm以下である。
【0014】(8)全粒子の円相当径の変動係数が20
%以下であることを特徴とする(1)に記載のハロゲン
化銀写真乳剤。
【0015】(9)全投影面積の70%以上が(1)な
いし(3)の3要件に加えて、下記(x)の要件を満た
す粒子で占められていることを特徴とする(1)ないし
(3)の何れか1項に記載のハロゲン化銀写真乳剤。 (x)全ハロゲン化銀粒子の平均塩化銀含有率をCLモ
ル%とした場合に、塩化銀含有率が0.7ないし1.3
CLの範囲内にある。
【0016】(10)全投影面積の70%以上が(1)
ないし(3)の3要件に加えて、下記(xi)の要件を満
たす粒子で占められていることを特徴とする(1)ない
し(3)の何れか1項に記載のハロゲン化銀写真乳剤。 (xi)全ハロゲン化銀粒子の平均沃化銀含有率をIモル
%とした場合に、沃化銀含有率が0.7ないし1.3I
の範囲内にある。
【0017】(11)支持体上に少なくとも1層の感光
性ハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材
料において、該乳剤層に(1)ないし(3)の何れか1
項の乳剤を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真
感光材料。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に本発明のハロゲン化銀写真
乳剤について説明する。本発明で平板粒子とは2つの対
向する平行な(111)主表面を有するハロゲン化銀粒
子を言う。本発明において用いる平板粒子は1枚の双晶
面あるいは2枚以上の平行な双晶面を有する。双晶面と
は(111)面の両側ですべての格子点のイオンが鏡像
関係にある場合にこの(111)面のことをいう。
【0019】この平板粒子は、粒子を主表面に対して垂
直方向から見た時、三角形状、六角形状もしくはこれら
が丸みを帯びた円形状をしており、それぞれ互いに平行
な外表面を有している。
【0020】本発明の乳剤は全粒子の投影面積の70%
以上が最小の長さを有する辺の長さに対する、最大の長
さを有する辺の長さの比が2ないし1である六角形の平
板粒子であることが好ましい。より好ましくは全粒子の
投影面積の90%以上が最小の長さを有する辺の長さに
対する、最大の長さを有する辺の長さの比が2ないし1
である六角形の平板粒子である。さらに好ましくは全投
影面積の90%以上が最小の長さを有する辺の長さに対
する、最大の長さを有する辺の長さの比が1.5ないし
1である平板粒子である。平板粒子の主表面の形が丸み
を帯びた三角形状や六角形状である場合、主表面の辺の
長さは各辺を延長することにより形成される仮想の三角
形や六角形の辺の長さとする。上記六角形以外の平板粒
子が混入すると本発明のエピタキシャル乳剤の調製が困
難となり保存性、処理依存性の問題が解決できにくい。
【0021】本発明の乳剤は全粒子の円相当径の変動係
数が30%以下である。本発明の乳剤は単分散性である
ことが好ましい。本発明において用いる全ハロゲン化銀
粒子の投影面積の円相当径の変動係数は25%以下であ
ることが好ましく、特に好ましくは20%以下である。
ここで円相当径の変動係数とは個々のハロゲン化銀粒子
の円相当径の分布の標準偏差を平均円相当径で割った値
である。単分散性が悪化するとエピタキシャル沈着が粒
子間で不均一となるために本発明のエピタキシャル乳剤
の調製が困難となる。
【0022】平板粒子の円相当径は、例えばレプリカ法
による透過電子顕微鏡写真を撮影して個々の粒子の投影
面積と等しい面積を有する円の直径(円相当径)を求め
る。厚みはエピタキシャル沈着のために単純にはレプリ
カの影(シャドー)の長さからは算出できない。しかし
ながらエピタキシャル沈着する前のレプリカの影の長さ
を測定することにより算出できる。もしくはエピタキシ
ャル沈着後でも平板粒子を塗布した試料を切断しその断
面の電子顕微鏡写真を撮影して容易にもとめることがで
きる。
【0023】本発明において用いる平板粒子は全投影面
積の70%以上が円相当径0.3μm以上1.2μm以
下であることが好ましい。より好ましくは全投影面積の
70%以上が円相当径0.5μm以上1.0μm以下で
ある。特に好ましくは全投影面積の70%以上が厚み
0.1μm以下である。一般に、円相当径が小さく厚み
が薄いほど粒子個数が増加しエピタキシャル沈着の粒子
間分布が通常大きくなるところ、本発明の乳剤は、この
ような円相当径が小さく、厚みが薄い場合においてもエ
ピタキシャル沈着の粒子間分布が小さい乳剤である。
【0024】本発明において用いる平板粒子のハロゲン
化銀組成は沃塩臭化銀である。基本的にホスト平板粒子
が沃臭化銀もしくは沃塩臭化銀でありエピタキシャル沈
着部位が塩化銀もしくは塩臭化銀もしくは沃塩臭化銀の
組み合わせからなる。塩化銀含量は1モル%以上6モル
%以下が好ましい。より好ましくは塩化銀含量は2モル
%以上5モル%以下である。沃化銀含量は好ましくは2
モル%以上である。より好ましくは沃化銀含量は2モル
%以上10モル%以下である。
【0025】本発明のホスト平板粒子は10モル%以上
の沃化銀を含有する最外層が銀換算で20%以下である
ことが好ましい。ここで最外層の沃化銀含量は最外層の
銀に対するモル%である。最外層よりも内側の構造につ
いては任意であるが沃化銀含量は基本的には最外層より
も少ない。最外層は好ましくは銀換算で5%以上20%
以下である。より好ましくは10%以上15%以下であ
る。最外層の沃化銀含量は好ましくは15モル%以上3
0モル%以下である。この条件を逸脱するとエピタキシ
ャル沈着が粒子間で不均一となり転位線が入らず本発明
の効果は得られにくい。
【0026】本発明においては好ましくは、全ハロゲン
化銀粒子の平均塩化銀含有率をCLモル%とした場合
に、全投影面積の70%以上が塩化銀含有率が0.7C
Lないし1.3CLの範囲内にあり、特に好ましくは
0.8CLないし1.2CLの範囲内にある。本発明の
乳剤はエピタキシャル沈着が粒子間で均一であるので基
本的に粒子間の塩化銀含有率の分布は単分散である。さ
らに、好ましくは全ハロゲン化銀粒子の平均沃化銀含有
率をIモル%とした場合に、全投影面積の70%以上が
沃化銀含有率が0.7Iないし1.3Iの範囲内にあ
り、特に好ましくは0.8Iないし1.2Iの範囲内に
ある。粒子間の沃化銀含有率の分布が単分散であること
によりエピタキシャル沈着が粒子間で均一となる。各々
の粒子の塩化銀ならびに沃化銀含有率の測定には通常、
EPMA法(Electron Probe Micr
o Analyzer法)が有効である。乳剤粒子を互
いに接触しないように分散させた試料を作成し、電子線
を放射することにより放射されるX線を分析することに
より、電子線を照射した極微小領域の元素分析を行うこ
とができる。この時、測定は電子線による試料損傷を防
ぐため低温に冷却して行うことが好ましい。
【0027】本発明の乳剤は全投影面積の70%以上が
少なくとも一つの頂点部にエピタキシャル接合を有する
平板粒子である。より好ましくは全投影面積の90%以
上が少なくとも一つの頂点部にエピタキシャル接合を有
する平板粒子である。ここで頂点部とは平板粒子を主表
面に対して垂直方向から見た時に1つの頂点を中心と
し、この頂点と、この頂点を構成する2つの辺とが形成
する扇形であって、これら2辺の内、短い方の辺の長さ
の1/3を半径とする扇形内の部分を意味する。この頂
点部の少なくとも一つ、最大で六つの頂点部にエピタキ
シャル接合を有する粒子が本発明のエピタキシャル乳剤
である。平板粒子の主表面の形が丸みを帯びた三角形状
や六角形状である場合、主表面の頂点及び辺は、各辺を
延長することにより形成される仮想の三角形や六角形の
それぞれ頂点及び辺とする。通常は本発明のエピタキシ
ャル乳剤以外に平板粒子の主表面もしくは頂点部以外の
辺上にエピタキシャル接合が形成される。本発明のエピ
タキシャル乳剤の判断は以下のようにおこなうことがで
きる。平板粒子のレプリカによる電子顕微鏡写真から任
意に100粒子以上を抽出し、一つ以上の頂点部にエピ
タキシャル接合を有する粒子、頂点部を構成する辺以外
の辺上もしくは頂点部以外の主表面上のみにエピタキシ
ャル接合を有する粒子ならびにエピタキシャル接合を有
しない粒子の3つの分類にクラス分けする。一つ以上の
頂点部にエピタキシャル接合を有する粒子が全投影面積
の70%以上あれば本発明のエピタキシャル乳剤に相当
する。より好ましくは全投影面積の90%以上が本発明
のエピタキシャル粒子である。
【0028】エピタキシャル部は塩化銀または塩臭化銀
または沃塩臭化銀である。好ましくはホスト平板粒子よ
りも塩化銀含有率は1モル%以上高い。より好ましくは
ホスト平板粒子よりも塩化銀含有率は10モル%以上高
い。但し、エピタキシャル部の塩化銀含有率は50モル
%以下が好ましい。エピタキシャル部の臭化銀含有率は
30モル%以上が好ましく、50モル%以上が特に好ま
しい。エピタキシャル部の沃化銀含有率は1モル%以上
20モル%以下が好ましい。エピタキシャル部の銀量は
ホスト平板粒子の銀量の1モル%以上10モル%以下で
あることが好ましく、2モル%以上7モル%以下が更に
好ましい。
【0029】本発明の乳剤は全投影面積の70%以上が
エピタキシャル部に少なくとも1本の転位線を有する平
板粒子からなる。好ましくは全投影面積の80%以上が
エピタキシャル部に少なくとも1本の転位線を有する平
板粒子からなる。本発明の乳剤はより好ましくは全投影
面積の70%以上がエピタキシャル部に網目状の転位線
を有する平板粒子からなる。最も好ましくは全投影面積
の80%以上がエピタキシャル部に網目状の転位線を有
する平板粒子からなる。ここで網目状の転位線とは、本
数として数えられないような複数の転位線が網の目のよ
うに交錯した転位線である。二つ以上の頂点部にエピタ
キシャル接合を有する平板粒子において、必ずしも各エ
ピタキシャル部に転位線が存在する必要はない。少なく
とも一つの頂点部に接合したエピタキシャル部に1本の
転位線、好ましくは網目状の転位線を含んでいれば本発
明のエピタキシャル乳剤に相当する。好ましくは全投影
面積の70%以上の粒子が、網目状の転位線を含むエピ
タキシャル部を有する。
【0030】本発明において、全投影面積の70%以上
がエピタキシャル部以外には転位線が存在しないことが
好ましい。転位線はエピタキシャル沈着の優先的な沈着
位を提供し本発明のエピタキシャル平板粒子の形成を阻
害する。好ましくは全投影面積の70%以上が転位線が
ゼロである。この場合、エピタキシャル沈着した部位を
除く。最も好ましくは全投影面積の90%以上が転位線
がゼロである。平板粒子の転位線は、例えばJ.F.H
amilton,Phot.Sci.Eng.,11、
57、(1967)やT.Shiozawa,J.So
c.Phot.Sci.Japan,35、213、
(1972)に記載の、低温での透過型電子顕微鏡を用
いた直接的な方法により観察することができる。すなわ
ち乳剤から粒子に転位線が発生するほどの圧力をかけな
いよう注意して取り出したハロゲン化銀粒子を電子顕微
鏡観察用のメッシュにのせ、電子線による損傷(プリン
トアウト等)を防ぐように試料を冷却した状態で透過法
により観察を行う。この時粒子の厚みが厚い程、電子線
が透過しにくくなるので高圧型(0.25μmの厚さの
粒子に対して200kV以上)の電子顕微鏡を用いた方
がより鮮明に観察することができる。このような方法に
より得られた粒子の写真より、主表面に対して垂直方向
から見た場合の各粒子についての転位線の位置および数
を求めることができる。
【0031】本発明の乳剤は好ましくは全投影面積の7
0%以上、より好ましくは全投影面積の80%以上が、
ホスト平板粒子の頂点部の主表面上に段丘状にエピタキ
シャル接合せず、ホスト平板粒子の側面方向に張り出し
てエピタキシャル接合する平板粒子からなる。主表面の
頂点からホスト平板粒子の側面方向に張り出してエピタ
キシャル接合する平板粒子と、ホスト平板粒子の頂点部
の主表面上に段丘状にエピタキシャル接合する平板粒子
との区別は以下のようにして行う。平板粒子のレプリカ
法電子顕微鏡写真から任意に100粒子以上を抽出し、
1粒子あたりのエピタキシャル部の総投影面積のうち頂
点部と重ならない側面方向に張り出した部分の面積が6
0%以上ある粒をホスト平板粒子の側面方向に張り出し
てエピタキシャル接合する平板粒子と定義する。エピタ
キシャル沈着後にこの形状を保つように制御しなければ
エピタキシャル沈着が再配列されることにより転位線が
消えてしまう。
【0032】以上の条件を満足する本発明のエピタキシ
ャル平板乳剤は乳剤のpBrを下げることが可能とな
る。ここでpBrとは臭素イオン濃度の逆数の対数であ
る。pBrを3.5以下に下げることが可能となったこ
とにより保存性を著しく改良することができる。さらに
沃臭化銀を基本構成要素として組み立てられた撮影用感
光材料の中に組み込むことができ処理依存性の問題は解
決できる。より好ましくは本発明の乳剤は40℃でのp
Brが3.0以下であり、特に好ましくは2.5以下で
ある。
【0033】以下に上述した本発明のエピタキシャル乳
剤の具体的な調製法についてホスト平板粒子の調製とエ
ピタキシャル部の調製の2つに分けて詳しく説明する。
まず本発明のエピタキシャル乳剤の調製に必要なホスト
平板粒子について詳述する。本発明のホスト平板粒子の
粒子内沃化銀の分布については2重構造以上の多重構造
粒子であることが好ましい。ここで沃化銀の分布につい
て構造をもっているとは各構造間で沃化銀含量が0.5
モル%以上、より好ましくは1モル%以上異なっている
ことを意味する。本発明において、ホスト平板粒子の
「最外層」とは、沃化銀の分布についての多重構造の最
も外側にある層状の相をいう。
【0034】この沃化銀の分布についての構造は、基本
的には粒子の調製工程の処方値から計算により求めるこ
とができる。各構造間での界面では沃化銀含有率の変化
は急激に変化する場合となだらかに変化する場合があり
得る。これらの確認のためには、分析上の測定精度を考
慮する必要があるが、前述した、EPMA法が有効であ
る。同手法により平板粒子を主表面に垂直方向から見た
場合の粒子内沃化銀分布が解析できるが、同試料を固
め、ミクロトームで超薄切片にカットした試料を用いる
ことにより平板粒子の断面の粒子内沃化銀分布も解析す
ることができる。
【0035】本発明においてホスト平板粒子は最外層の
沃化銀含量が10モル%以上であることが好ましい。最
外層は全銀量に対して20%以下であることが好まし
く、より好ましくは5%以上20%以下であって、その
沃化銀含有量が15モル%以上30モル%以下である。
ここで最外層の比率とはホスト平板粒子調製工程におけ
る最終粒子を得るのに使用した銀量に対する最外層の調
製に用いた銀量の比率を意味する。沃化銀含有量とは最
外層の調製に用いた銀量に対する最外層の調製に用いた
沃化銀量のモル比率の%を意味し、その分布については
均一でも不均一でも良い。沃化銀含有量の分布が不均一
な場合、沃化銀量は、最外層における平均値である。よ
り好ましくは最外層の比率は全銀量に対して10%以上
15%以下であって、その沃化銀含有量が15モル%以
上25モル%以下である。
【0036】ホスト平板粒子の調製は基本的には核形
成、熟成ならびに成長の3工程の組み合わせよりなる。
核形成の工程においては米国特許第4,713,320
号および同第4,942,120号に記載のメチオニン
含量の少ないゼラチンを用いること、米国特許第4,9
14,014号に記載の高pBrで核形成を行うこと、
特開平2−222940号に記載の短時間で核形成を行
うことは本発明において用いる粒子の核形成工程におい
てきわめて有効である。本発明において特に好ましくは
20℃から40℃の温度で低分子量の酸化処理ゼラチン
の存在下で攪拌下、硝酸銀水溶液とハロゲン水溶液と低
分子量の酸化処理ゼラチンを一分以内に添加することで
ある。この時、系のpBrは2以上が好ましくpHは7
以下が好ましい。硝酸銀水溶液の濃度は0.6モル/リ
ットル以下の濃度が好ましい。以上の核形成法を用いる
ことにより本発明のエピタキシャル乳剤の形成が容易に
なる。
【0037】熟成工程においては米国特許第5,25
4,453号記載の低濃度のベースの存在下でおこなう
こと、米国特許第5,013,641号記載の高いpH
でおこなうことは、本発明の平板粒子乳剤の熟成工程に
おいて用いることが可能である。米国特許第5,14
7,771号,同第5,147,772号、同第5,1
47,773号、同第5,171,659号、同第5,
210,013号ならびに同第5,252,453号に
記載のポリアルキレンオキサイド化合物を熟成工程もし
くは後の成長工程で添加することが可能である。本発明
においては熟成工程は好ましくは50℃以上80℃以下
の温度で行われる。核形成直後または熟成途中にpBr
は2以下に下げることが好ましい。また核形成直後から
熟成終了時までに追加のゼラチンが好ましくは添加され
る。特に好ましいゼラチンはアミノ基が95%以上コハ
ク化またはトリメリット化に修飾されたものである。こ
れらのゼラチンを用いることにより本発明のエピタキシ
ャル乳剤の調製は容易になる。
【0038】本発明の成長工程においては米国特許第
4,672,027号および同第4,693,964号
に記載の硝酸銀水溶液と臭化物を含むハロゲン水溶液と
沃化銀微粒子乳剤を同時に添加することが好ましく用い
られる。沃化銀微粒子乳剤は実質的に沃化銀であれば良
く、混晶となり得る限りにおいて臭化銀および/または
塩化銀を含有していても良い。好ましくは100%沃化
銀である。沃化銀はその結晶構造においてβ体、γ体な
らびに米国特許第4,672,026号に記載されてい
るようにα体もしくはα体類似構造があり得る。本発明
においては、その結晶構造の制限は特にはないが、β体
とγ体の混合物、さらに好ましくはβ体が用いられる。
沃化銀微粒子乳剤は米国特許第5,004,679号等
に記載の添加する直前に形成したものでも良いし、通常
の水洗工程を経たものでもいずれでも良い。沃化銀微粒
子乳剤は、米国特許第4,672,026号等に記載の
方法で容易に形成しうる。粒子形成時のpI値を一定に
して粒子形成を行う、銀塩水溶液と沃化物塩水溶液のダ
ブルジェット添加法が好ましい。ここでpIは系のI -
イオン濃度の逆数の対数である。温度、pI、pH、ゼ
ラチン等の保護コロイド剤の種類、濃度、ハロゲン化銀
溶剤の有無、種類、濃度等に、特に制限はないが、粒子
のサイズは0.1μm以下、より好ましくは0.07μ
m以下が本発明に都合が良い。微粒子であるために粒子
形状は完全には特定できないが粒子サイズの分布の変動
係数は25%以下が好ましい。特に20%以下の場合に
は、本発明の効果が著しい。ここで沃化銀微粒子乳剤の
サイズおよびサイズ分布は、沃化銀微粒子を電子顕微鏡
観察用のメッシュにのせ、カーボンレプリカ法ではなく
直接、透過法によって観察して求める。これは粒子サイ
ズが小さいために、カーボンレプリカ法による観察では
測定誤差が大きくなるためである。粒子サイズは観察さ
れた粒子と等しい投影面積を有する円の直径と定義す
る。粒子サイズの分布についても、この等しい投影面積
円直径を用いて求める。本発明において最も有効な沃化
銀微粒子は粒子サイズが0.06μm以下0.02μm
以上であり、粒子サイズ分布の変動係数が18%以下で
ある。
【0039】上述の粒子形成後、好ましくは米国特許第
2,614,929号等に記載の通常の水洗およびp
H、pI、ゼラチン等の保護コロイド剤の濃度調整なら
びに含有沃化銀の濃度調整が行われる。pHは5以上7
以下が好ましい。pI値は沃化銀の溶解度が最低になる
pI値もしくはその値よりも高いpI値に設定すること
が好ましい。保護コロイド剤としては、平均分子量10
万程度の通常のゼラチンが好ましく用いられる。平均分
子量2万以下の低分子量ゼラチンも好ましく用いられ
る。また上記の分子量の異なるゼラチンを混合して用い
ると都合が良い場合がある。乳剤1kgあたりのゼラチ
ン量は好ましくは10g以上100g以下である。より
好ましくは20g以上80g以下である。乳剤1kgあ
たりの銀原子換算の銀量は好ましくは10g以上100
g以下である。より好ましくは20g以上80g以下で
ある。沃化銀微粒子乳剤は、通常あらかじめ溶解して添
加するが、添加時には系の撹拌効率を十分に高める必要
がある。好ましくは撹拌回転数は、通常よりも高めに設
定される。撹拌時の泡の発生を防じるために消泡剤の添
加は効果的である。具体的には、米国特許第5,27
5,929号の実施例等に記述されている消泡剤が用い
られる。
【0040】本発明の成長工程において最も好ましく用
いられるのは特開平2−188741号に記載の方法で
ある。添加の直前に調製した臭化銀または沃臭化銀また
は沃塩臭化銀の超微粒子乳剤を平板粒子の成長時に連続
添加し該超微粒子乳剤を溶解させて平板粒子を成長させ
る。超微粒子乳剤を調製するための外部混合機は強力な
攪拌能力を有しており、該混合機に硝酸銀水溶液とハロ
ゲン水溶液とゼラチンが添加される。ゼラチンは硝酸銀
水溶液および/またはハロゲン水溶液と事前もしくは直
前に混合して添加することができるしゼラチン水溶液単
独で添加することもできる。ゼラチンは分子量が通常の
ものより小さいものが好ましく10000から5000
0が特に好ましい。アミノ基がフタル化またはコハク化
またはトリメリット化に90%以上修飾されたゼラチン
および/またはメチオニン含量を低下させた酸化処理ゼ
ラチンは特に好ましく用いられる。この方法を用いるこ
とにより本発明のエピタキシャル乳剤の調製は容易にな
る。
【0041】本発明においてはホスト平板粒子の対向す
る(111)主表面を連結する側面は全側面の75%以
下が(111)面から構成されていることが特に好まし
い。
【0042】ここで全側面の75%以下が(111)面
から構成されるとは、全側面の25%よりも高い比率で
(111)面以外の結晶学的な面が存在するということ
である。通常その面は(100)面であるとして理解し
うるが、それ以外の面、すなわち(110)面や、より
高指数の面である場合も含みうる。本発明においては全
側面の70%以下が(111)面から構成されていると
効果が顕著である。
【0043】全側面の75%以下が(111)面から構
成されているか否かは、その平板粒子のシャドーをかけ
たカーボンレプリカ法による電子顕微鏡写真から容易に
判断しうる。通常側面の75%以上が(111)面から
構成されている場合、6角形平板粒子においては、(1
11)主表面に直接連結する6つの側面はたがい違いに
(111)主表面に対して鋭角と、鈍角で接続する。一
方、全側面の75%以下が(111)面から構成されて
いる場合、6角形平板粒子においては、(111)主表
面に直接連結する6つの側面は(111)主表面に対し
てすべて鈍角で接続する。シャドーイングを50℃以下
の角度でかけることにより主表面に対する側面の鈍角と
鋭角の判断ができる。好ましくは30°以下10°以上
の角度でシャドーイングすることにより鈍角と鋭角の判
断は容易となる。
【0044】さらに、(111)面と(100)面の比
率を求める方法として増感色素の吸着を用いた方法が有
効である。日本化学会誌、1984、6巻、ページ94
2〜947に記載されている手法を用いて(111)面
と(100)面の比率を定量的に求めることができる。
該比率と前述した平板粒子の円相当直径と厚みを用いて
全側面における(111)面の比率を計算して求めるこ
とができる。この場合、平板粒子は該円相当直径と厚み
を用いて円柱であると仮定する。この仮定によって総表
面積に対する側面の比率を求めることができる。前述の
増感色素の吸着を用いて求めた(100)面の比率を上
記の側面の比率で割った値に100をかけた値が全側面
における(100)面の比率である。100からその値
をひけば全側面における(111)面の比率が求まるこ
とになる。本発明においては全側面における(111)
面の比率が65%以下であると、さらに好ましい。
【0045】本発明においてホスト平板粒子乳剤の全側
面の75%以下を(111)面にする手法について説明
する。最も一般的には、ホスト平板粒子乳剤の側面の
(111)面の比率は平板粒子乳剤の調製時のpBrに
て決定しうる。好ましくは最外層形成に要する銀量の3
0%以上の添加を側面の(111)面の比率が減少、す
なわち側面の(100)面の比率が増加するようなpB
rに設定する。より好ましくは最外層形成に要する銀量
の50%以上の添加を側面の(111)面の比率が減少
するようなpBrに設定する。
【0046】別の方法として全銀量が添加された後に、
側面の(100)面の比率が増加するようなpBrに設
定し、熟成をすることによって、その比率を増加させる
ことも可能である。
【0047】側面の(100)面の比率が増加するよう
なpBrとは、系の温度、pH、ゼラチン等の保護コロ
イド剤の種類、濃度、ハロゲン化銀溶剤の有無、種類、
濃度等によりその値は広範に変化しうる。通常は、好ま
しくはpBr2.0以上5以下である。さらに好ましく
はpBr2.5以上4.5以下である。しかしながら、
上述したようにこのpBrの値は例えばハロゲン化銀溶
剤等の存在によって容易に変化しうる。
【0048】本発明で用いることができるハロゲン化銀
溶剤としては、米国特許第3,271,157号、同第
3,531,286号、同第3,574,628号、特
開昭54−1019号、同54−158917号等に記
載された(a)有機チオエーテル類、特開昭53−82
408号、同55−77737号、同55−2982号
等に記載された(b)チオ尿素誘導体、特開昭53−1
44319号に記載された(c)酸素または硫黄原子と
窒素原子とにはさまれたチオカルボニル基を有するハロ
ゲン化銀溶剤、特開昭54−100717号に記載され
た(d)イミダゾール類、(e)亜硫酸塩、(f)アン
モニア、(g)チオシアネート等があげられる。特に好
ましい溶剤としては、チオシアネート、アンモニアおよ
びテトラメチルチオ尿素がある。また用いられる溶剤の
量は種類によっても異なるが、例えばチオシアネートの
場合、好ましい量はハロゲン化銀1モル当り1×10-4
モル以上1×10-2モル以下である。
【0049】平板粒子乳剤の側面の面指数を変化させる
方法として欧州特許第515894A1号等を参考にす
ることができる。また米国特許第5,252,453号
等に記載のポリアルキレンオキサイド化合物を用いるこ
ともできる。有効な方法として米国特許第4,680,
254号、同第4,680,255号、同第4,68
0,256号ならびに同第4,684,607号等に記
載の面指数改質剤を用いることができる。通常の写真用
分光増感色素も上記と同様な面指数の改質剤として用い
ることができる。
【0050】本発明において、ホスト平板粒子は転位線
を持たないことが好ましい。以上に詳述した核形成、熟
成、成長工程を組み合わせて用いることにより転位線を
消失させることができる。
【0051】本発明のエピタキシャル乳剤の調製に必要
なエピタキシャル接合について詳述する。エピタキシャ
ル沈着はホスト平板粒子の形成後すぐにおこなっても良
いしホスト平板粒子の形成後、通常の脱塩を行った後に
行っても良い。エピタキシャル沈着前に好ましくはPA
GI法に準じて測定された分子量分布において、分子量
約200万以上の高分子量成分が5%以上30%以下、
かつ分子量約10万以下の低分子量成分が55%以下の
範囲にあるゼラチンを含有していることが好ましい。特
に好ましくはPAGI法に準じて測定された分子量分布
において、分子量約200万以上の高分子量成分が5%
以上15%以下、かつ分子量約10万以下の低分子量成
分が50%以下の範囲にあるゼラチンを含有している。
高分子量ゼラチンはエピタキシャル接合を行う時に全ゼ
ラチン量の10質量%以上、好ましくは30%以上、よ
り好ましくは50%以上含有される。塗布前までにこの
ゼラチンを添加しても有効であるが効果は小さくなる。
以下に本発明のエピタキシャル乳剤の調製に重要な高分
子量ゼラチンについて詳述する。
【0052】本発明の乳剤に用いられるゼラチン(以
下、「本発明のゼラチン」ともいう。)は、コラーゲン
組織をアルカリまたは酸によりその構造を分解して水溶
性を付与したものである。アルカリ処理ゼラチンの場合
は、その分子量に基づいて、サブα(低分子量)、α
(分子量約10万)、β(分子量約20万)、γ(分子
量約30万)およびボイド(高分子量)等からなる。
【0053】本発明におけるゼラチンの成分の比率、す
なわち分子量分布は国際的に決められたPAGI法に準
じて、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法(以下
「GPC法」と記す)で測定したものである。この方法
に関しては大野隆司、小林裕幸、水澤伸也、"日本写真
学会誌"、47巻4号、1984年、237〜247頁
等に詳述されている。
【0054】本発明に係わるゼラチンの分子量分布の測
定条件を下記に示す。 (測定条件) カラム:Shodex Asahipak GS-620 7G(8mmI.D.×500mm)
×2 ガードカラム:Shodex Asahipak GS-1G 7B 溶離液:0.2モル/リットルりん酸バッファー(pH
6.8) 流速:0.8ミリリットル/分 カラム温度:50℃ 検出:UV230nm サンプル濃度:0.5wt% 横軸にリテンションタイム(Retention Time)縦軸に吸光
度をとって得られるGPC曲線は、まず排除限界のピー
クが現われ、次にゼラチンのβ成分、α成分のピークが
現われ、さらにリテンションタイムが長くなるにつれて
裾を引くような形になる。
【0055】本発明における分子量約200万以上の高
分子量成分の占める割合は、排除限界のピークの面積の
全体に占める割合を算出することにより求める。具体的
には、リテンションタイム17分位に現われるGPC曲
線の極小点から横軸に対して垂線を引き、その垂線より
高分子量側の部分(高分子量成分)の面積の全体の面積
に占める割合を算出する。また、分子量約10万以下の
低分子量成分の占める割合は、α成分以下の面積の全体
に占める割合を算出することにより求める。具体的に
は、リテンションタイム23分位に現われるβ成分ピー
クとα成分ピークとの間のGPC曲線の極小点から横軸
に対して垂線を引き、その垂線より低分子量側の部分
(低分子量成分)の面積の全体の面積に占める割合を算
出する。
【0056】本発明の効果を発現するためには、分子量
約200万以上の高分子量成分が5%以上15%以下、
かつ分子量約10万以下の低分子量成分が50%以下で
あることが特に好ましい。高分子量成分が多すぎると濾
過性が急激に悪化するため好ましくない。また、低分子
量成分が多すぎる場合および/または高分子量成分が少
なすぎる場合には本発明の効果が充分に発現しない。
【0057】ゼラチンの一般的な製法に関してはよく知
られており、例えばティー・エイチ・ジェームズ(T. H.
James)著、ザ・セオリー・オブ・ザ・フォトグラフィ
ック・プロセス(The Theory of the Photographic Proc
ess)第4版、1977年[マクミラン(Macmillan) 社
刊]、55頁、科学写真便覧(上)、72〜75頁(丸
善株式会社)、菊地真一著、写真化学、1976年(共
立出版)213頁、赤堀四郎、水島三郎編、蛋白質化
学、1955年(共立出版)453頁等に記載されてい
る。
【0058】例えば、アルカリ処理ゼラチンの場合は、
原料の骨や皮のカルシウムを除去した後、石灰処理漬け
してコラーゲン構造をほぐし、その後温水で抽出し、濃
縮、乾燥して製造される。一般には抽出番数を1〜7段
階とって抽出が行われ、抽出温度は抽出番数と共に上昇
させていく。
【0059】本発明のゼラチンの製造法としては下記の
二つに大別される。 1.ゼラチンの架橋を行わない方法 例えば下記のような方法が用いられる。 製法 上記製法中の抽出操作で抽出後期のゼラチン抽
出液を使用して抽出初期のゼラチン抽出液を排除する。 製法 上記製法中、抽出以後乾燥までの製造工程にお
いて処理温度を40℃未満とする。 製法 ゼラチンゲルを冷水(15℃)透析する。[ザ
・ジャーナル・オブ・フォトグラフィックサイエンス(T
he Journal of Photographic Science)、23巻33頁
(1975)参照]。 製法 イソプロピルアルコールの使用による分画法。
[ディスカッションズ・オブ・ザ・フアラディ・ソサイ
エティ(Discussions of the Faraday Society)、18
巻、288頁(1954)参照]。 上記の製法を単独もしくは組み合わせて用いることによ
り、本発明のゼラチンを得ることができる。
【0060】2.ゼラチン架橋剤を用いる方法 本発明で用いられるゼラチンは、ゼラチンを架橋させる
ことで分子量分布を制御したものがより好ましく用いら
れる。架橋方法としては酵素によってゼラチン分子間の
架橋する方法と、架橋剤を添加して架橋剤がゼラチン分
子間に化学結合を作ってゼラチン分子を架橋する方法と
の二つがある。
【0061】本発明で用いられる酵素による方法の代表
的な方法として、トランスグルタミナーゼで架橋された
ゼラチンについて述べる。トランスグルタミナーゼ酵素
は、蛋白質であるゼラチンのグルタミン残基のγ−カル
ボキシアミド基と各種一級アミンとの間のアシル転移反
応を触媒する機能によってゼラチンを架橋する事ができ
る。トランスグルタミナーゼは動物由来、植物由来、微
生物由来のものがあり例えば、動物由来のものとして
は、モルモットの肝臓などの哺乳類の臓器、血液より抽
出したもの、また植物由来のものとしては、エンドウ豆
より抽出、微生物由来のものとしては放線菌より抽出さ
れている。本発明ではトランスグルタミナーゼ活性を示
すものであれば、どの様な起源のものも好ましく用いる
事ができる。
【0062】本発明で用いられるトランスグルタミナー
ゼは、例えばClark 等の方法(Achives of Biochemistr
y and Biophysics, 79, 338 (1959))、Connel等の方法
(J.Bilogical Chemistry, 246 (1971))、特開平4−
207149号記載の方法、特開平6−30770号記
載の方法のいずれで合成されたものでも好ましく用いる
事ができる。これらのトランスグルタミナーゼとしては
商品名アクテバ(味の素(株)製)があげられる。本発
明で用いられるトランスグルタミナーゼ活性は、ベンジ
ルオキシカルボニルLグルタミニルグリシンとヒドロキ
シアミンを反応させ、生成したヒドロキサム酸の量を求
める事により測定できる。この測定により1分間に1×
10-6モルのヒドリキサム酸を生成するトランスグルタ
ミナーゼ活性を1ユニット(unit)とする。本発明で用い
られるトランスグルタミナーゼは、使用されるゼラチン
によって異なるが、ゼラチン1gに対して1×10-6
ル以上のヒドロキサム酸を生成する量を添加して分子量
分布を制御するのが好ましい。
【0063】架橋剤によりゼラチンを架橋する方法とし
ては、これまでゼラチンの硬化剤として知られている架
橋剤は全てこれを使用する事ができる。以下にその代表
的な化合物をあげる。
【0064】A.無機架橋剤(無機硬膜剤) カチオン性のクロム錯体;錯体の配位子としてはヒドロ
キシル基、シュウ酸基、クエン酸基、マロン酸基、乳酸
塩、酒石酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、硫酸塩、
塩化物、硝酸塩。 アルミニウム塩;特に硫酸塩、カリみょうばん、アンモ
ニウムみょうばん。上記の化合物はゼラチンのカルボキ
シル基を架橋する。
【0065】B.有機架橋剤(有機硬膜剤) 1.アルデヒド系架橋剤;もっともよく使われるのはホ
ルムアルデヒドである。またジアルデヒドでも有効な架
橋ができ、その例としてはグリオキザール、スクシンア
ルデヒド、特にグルタルアルデヒドが有効である。ジグ
リコアルデヒドや種々の芳香族ジアルデヒド、またジア
ルデヒドスターチ、植物ガムのジアルデヒド誘導体も本
発明の架橋に用いられる。
【0066】2.N−メチロール化合物およびその他の
保護されたアルデヒド架橋剤;ホルムアルデヒドと種々
の脂肪族直鎖或いは環状のアミド、尿素、含窒素ヘテロ
環との縮合によって得られるN−メチロール化合物。具
体的には2,3−ジヒドロキジオキサン、ジアルデヒド
とそのヘミアセタールの酢酸エステル、2,5−メトキ
シテトラヒドロフラン等があげられる。
【0067】3.ケトン架橋剤;ジケトン、キノン類の
化合物。よく知られているジケトンとして、2,3−ブ
タンジオン、CH3COCOCH3など。キノンとして
は、p−ベンゾキノンがよく知られている。 4.スルホン酸エステルとスルホニルハライド;代表的
化合物としてビス(スルホニルクロリド)類およびビス
(スルホニルフロリド)類がある。
【0068】5.活性ハロゲン化合物;2個以上の活性
ハロゲン原子をもつ化合物。代表的化合物としてケト
ン、エステル、アミドの単純なビス−α−クロロ或いは
ビス−α−ブロモ誘導体、ビス(2−クロロエチル尿
素)、ビス(2−クロロエチル)スルフォン、ホスホー
ルアミジックハライド等があげられる。 6.エポキサイド;ブタジエンジオキサイドが代表的化
合物としてあげられる。
【0069】7.活性オレフィン;2個以上の二重結
合、特に隣接する電子吸引基によって活性化された無置
換ビニル基をもつ多くの化合物はゼラチンの架橋剤とし
て有効である。この化合物の例としては、ジビニルケト
ン、レゾルシノールビス(ビニルスルホナート)、4,
6−ビス(ビニルスルホナート)、4,6−ビス(ビニ
ルスルホニル)−m−キシレン、ビス(ビニルスルホニ
ルアルキル)エーテル或いはアミン、1,3,5−トリ
アクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、ジアクリ
ルアミド、1,3−ビス(アクリロイル)尿素等があげ
られる。
【0070】8.s−トリアジン系化合物;下記一般式
(H−I)で示される化合物。
【0071】
【化1】
【0072】式中、R1は水酸基、−OM基(Mは1価
の金属原子)、炭素数1〜10のアルキル基(例えばメ
チル、エチル、2−エチルヘキシル)、−N(R2)(R3)
基(R2、R3はそれぞれ炭素数1〜10のアルキル基、
炭素数6〜15のアリール基を表し、互いに同じであっ
ても異なっても良い。)、−NHCOR4(R4は水素原
子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のア
リール基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数6
〜20アリールチオ基を表わす。)、あるいは炭素数1
〜20のアルコキシ基を表わす。また前記一般式(H−
I)で示されるシアヌルクロリド系硬膜剤については特
公昭47−6151号、同47−33380号、同54
−25411号、特開昭56−130740号に詳細な
記載がある。また一般式(H−I)の化合物と類似した
構造を持つ特公昭53−2726号、特開昭50−61
219号、同56−27135号等に記載されている化
合物も本発明に有用である。
【0073】9.ビニルスルホン系化合物;下記一般式
(H−II)で示される化合物。
【0074】
【化2】
【0075】上記一般式中、X1およびX2は−CH=C
2又は、−CH2CH2Yのいずれかであり、X1および
2は同じであっても異なっても良い。Yは求核性基に
より置換されるか、塩基によってHYの形で脱離し得る
基(例えば、ハロゲン原子、スルホニルオキシ、硫酸モ
ノエステル等)を表す。Lは2価の連結基であり、置換
されていても良い。一般式(H−II)で表わされるビニ
ルスルホン系硬膜剤については、例えば特公昭47−2
4259号、同50−35807号、特開昭49−24
435号、同53−41221号、同59−18944
号等の公報に詳細な記載がある。
【0076】10.カルバモイルアンモニウム塩;下記
一般式(H−III)で示される化合物。
【0077】
【化3】
【0078】式中、R1、R2は炭素数1〜10のアルキ
ル基(例えばメチル基、エチル基、2−エチルヘキシル
基など)、炭素数6〜15のアリール基(例えばフェニ
ル基、ナフチル基など)、または炭素数7〜15のアラ
ルキル基(例えばベンジル基、フェネチル基など)を表
わし、互いに同じであっても異なっても良い。また
1、R2は互いに結合して窒素原子と共に複素環を形成
することも好ましい。R3は水素原子、置換あるいは無
置換の炭素数1〜10のアルキル基(例えば、メチル
基、2−スルホエチル基)、炭素数6〜15のアリール
基(例えば、フェニル基)、炭素数7〜15のアラルキ
ル基(例えば、ベンジル基)、又はカルバモイル基を表
す。X-は陰イオンを表わす。一般式(H−III)で表わ
されるカルバモイルアンモニウム塩系硬膜剤についての
詳細な記載は、特公昭56−12853号、同58−3
2699号、特開昭49−51945号、同51−59
625号、同61−9641号に詳しい。
【0079】11.下記一般式(H−IV)で示される化
合物。
【0080】
【化4】
【0081】R1、R2、R3およびX-の定義は一般式
(H−III)における定義と全く同様であり、これらの化
合物はベルギー特許第825,726号に詳しい。
【0082】12.アミジニウム塩系化合物;下記一般
式(H−V)で示される化合物。
【0083】
【化5】
【0084】R1、R2、R3およびR4は炭素数1〜20
のアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基、または
炭素数6〜20のアリール基であり、それぞれ同じであ
っても異なっても良い。Yは一般式(H−V)で表わさ
れる化合物が求核試薬と反応した際に脱離し得る基を表
わし、好ましい例としてハロゲン原子、スルホニルオキ
シ基、1−ピリジニウミル基等をあげられる。X-は陰
イオンを表わす。一般式(H−V)で表わされるアミジ
ニウム塩系硬膜剤については特開昭60−225148
号に詳細な記述がある。
【0085】13.カルボジイミド系化合物;下記一般
式(H−VI)で示される化合物。
【0086】
【化6】
【0087】式中、R1は炭素数1〜10のアルキル基
(例えばメチル基、エチル基など)、炭素数5〜8のシ
クロアルキル基、炭素数3〜10のアルコキシアルキル
基、または炭素数7〜15のアラルキル基を表わす。R
2はR1に定義された基を表わす。これらのカルボジイミ
ド系硬膜剤については、特開昭51−126125号、
同52−48311号に詳しい。
【0088】14.リジニウム塩基系化合物;下記一般
式(H−VII)で示される化合物。
【0089】
【化7】
【0090】式中、R1は炭素数1〜10のアルキル
基、炭素数6〜15のアリール基、または炭素数7〜1
5のアラルキル基を表わす。これらの基は置換されても
良い。R2、R3は水素原子、ハロゲン原子、アシルアミ
ド基、ニトロ基、カルバモイル基、ウレイド基、アルコ
キシ基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラ
ルキル基などの置換基を表わし、それぞれ同じであって
も異なっても良い。またR2とR3が結合してピリジニウ
ム環骨格と共に縮合環を形成することも好ましい。Yは
一般式(H−VII)で表わされる化合物が求核試薬と反応
した際に脱離し得る基を表わす。X-は陰イオンを表わ
す。これらのピリジニウム塩基硬膜剤については、特公
昭58−50699号、特開昭57−44140号、同
57−46538号に詳細な記載がある。
【0091】15.ピリジニウム塩系化合物;下記一般
式(H−VIII)で示される化合物。
【0092】
【化8】
【0093】式中、R1、R2の定義は一般式(H−II
I)におけるR1、R2の定義と全く同様であり、R3は炭
素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜15のアリール
基または炭素数7〜15のアラルキル基を表わす。X-
は陰イオンを表わす。一般式(H−VIII)で表わされる
ピリジニウム塩系硬膜剤については特開昭52−544
27号に詳しく記載されている。
【0094】本発明で用いられる硬膜剤としては前記の
一般式(H−I)〜一般式(H−VIII)で表わされる化合
物の他にも、特開昭50−38540号、同52−93
470号、同56−43353号、同58−11392
9号、米国特許第3,321,313号に記載された化
合物等も好ましい。
【0095】以下に本発明に使用される化合物の具体的
な例を分類してあげるが、本発明はこれに限定されるも
のではない。
【0096】
【化9】
【0097】
【化10】
【0098】本発明の乳剤に用いられるゼラチンの製造
においては、これまであげてきた架橋剤をゼラチン溶液
に添加して、ゼラチン分子間架橋を起こさせる。その際
の条件は、各架橋剤によって異なっているが、一定の反
応温度と反応時間を設定してGPC法によってゼラチン
の分子量分布を測定する事によって、反応条件を決定す
る事ができる。その際、ゼラチン溶液の粘度測定する事
で架橋の進行を追跡する事ができる。添加された架橋剤
は全部を反応させる事が望ましいが、未反応で残った場
合は、架橋反応後ゼラチン溶液の限外濾過などにより残
存した架橋剤を除去する事ができる。本発明のゼラチン
の分子量分布は、架橋剤の添加量や架橋反応の温度、時
間、pH等の架橋反応の条件を調節することにより制御
できる。
【0099】本発明のゼラチンとしては、上記の架橋剤
いずれか1種または2種以上を組み合わせて架橋された
ゼラチンを好ましく用いることができる。一般式(H−
I)で表されるs−トリアジン系化合物、一般式(H−I
I)で表されるビニルスルホン系化合物、一般式(H−I
II)で表されるカルバモイルアンモニウム塩または一般
式(H−VI)で表されるカルボジイミド系化合物を用い
て架橋されたゼラチンが好ましい。特に、写真性能への
影響が少ない点で一般式(H−II)で表されるビニルス
ルホン系化合物が好ましい。
【0100】本発明のゼラチンの製造に用いる元ゼラチ
ンとしては、アルカリ処理ゼラチン、酸処理ゼラチンの
いずれも使用可能だが、写真性能に悪影響を及ぼす不純
物含量が少ない点でアルカリ処理ゼラチンがより好まし
い。特に不純物イオンや不純物を除去する脱イオン処理
や限外濾過処理を施したアルカリ処理ゼラチンを用いる
ことが好ましい。また、本発明において好ましく用いら
れる架橋されたゼラチンの元ゼラチンとしても、アルカ
リ処理ゼラチンが好ましい。
【0101】米国特許第5,318,889号では、酸
処理ゼラチンをビニルスルホン化合物で架橋することに
より高分子量化したゼラチンが開示されている。該特許
で開示されたゼラチンは、本発明のゼラチンの分子量分
布には及ばないものであったが、酸処理ゼラチンの場合
には高分子量成分を本発明のゼラチンと同等まで増加さ
せた場合でも、写真感度を低下させるなど写真性能上の
欠点のあることが明らかになっている。
【0102】本発明のゼラチンは、下記の各種修飾処理
を施されていても良い。例えば、アミノ基を修飾したフ
タル化ゼラチン、コハク化ゼラチン、トリメリットゼラ
チン、ピロメリットゼラチン、カルボキシル基を修飾し
たエステル化ゼラチン、アミド化ゼラチン、イミダゾー
ル基を修飾したホルミル化ゼラチン、メチオニン基を減
少させた酸化処理ゼラチンや増加させた還元処理ゼラチ
ンなどが挙げられる。
【0103】一方、それ以外の親水性コロイドも用いる
ことができる。例えば、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他
の高分子とのグラフトポリマー、アルブミン、カゼイン
のような蛋白質;ヒドロキシエチルセルロース、カルボ
キシメチルセルロース、セルロース硫酸エステル類のよ
うなセルロース誘導体、アルギン酸ソーダ、澱粉誘導体
のような糖誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニル
アルコール部分アセタール、ポリ−N−ビニルピロリド
ン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル
アミド、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾー
ルのような単一あるいは共重合体の如き多種の合成親水
性高分子物質を用いることができる。ゼラチンとしては
石灰処理ゼラチンのほか、酸処理ゼラチンやBull.
Soc.Sci.Photo.Japan.No.16.
P30(1966)に記載されたような酵素処理ゼラチ
ンを用いてもよく、また、ゼラチンの加水分解物や酵素
分解物も用いることができる。
【0104】本発明のエピタキシャル乳剤の調製のため
にはpH、pAg、ゼラチン種と濃度、粘度を選択す
る。特にpHは重要であり、好ましくは4以上5.5以
下である。特に好ましくは4.5以上5以下である。こ
のpHに設定することによりエピタキシャル沈着を粒子
間で均一におこなうことができ、本発明の効果が顕著に
なる。
【0105】本発明のエピタキシャル接合の部位指示剤
には増感色素を利用する。用いる色素の量や種類を選択
することによって、エピタキシャルの沈着位置をコント
ロールすることができる。色素は、飽和被覆量の50%
から90%を添加することが好ましい。用いられる色素
には、シアニン色素、メロシアニン色素、複合シアニン
色素、複合メロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色
素、ヘミシアニン色素、スチリル色素およびヘミオキソ
ノール色素が包含される。特に有用な色素は、シアニン
色素に属する色素である。これらの色素類には、塩基性
複素環核としてシアニン色素類に通常利用される核のい
ずれをも適用できる。すなわち、例えば、ピロリン核、
オキサゾリン核、チオゾリン核、ピロール核、オキサゾ
ール核、チアゾール核、セレナゾール核、イミダゾール
核、テトラゾール核、ピリジン核;これらの核に脂環式
炭化水素環が融合した核;及びこれらの核に芳香族炭化
水素環が融合した核、即ち、例えば、インドレニン核、
ベンゾインドレニン核、インドール核、ベンゾオキサド
ール核、ナフトオキサゾール核、ベンゾチアゾール核、
ナフトチアゾール核、ベンゾセレナゾール核、ベンゾイ
ミダゾール核、キノリン核が適用できる。これらの核は
炭素原子上に置換基を有していてもよい。
【0106】これらの増感色素は単独に用いてもよい
が、それらの組合せを用いてもよく、増感色素の組合せ
は特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。その代
表例は米国特許第2,688,545号、同第2,97
7,229号、同第3,397,060号、同第3,5
22,052号、同第3,527,641号、同第3,
617,293号、同第3,628,964号、同第
3,666,480号、同第3,672,898号、同
第3,679,428号、同第3,703,377号、
同第3,769,301号、同第3,814,609
号、同第3,837,862号、同第4,026,70
7号、英国特許第1,344,281号、同第1,50
7,803号、特公昭43−4936号、同53−12
375号、特開昭52−110618号、同52−10
9925号に記載されている。増感色素とともに、それ
自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質
的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を同
時または別個に添加してもよい。
【0107】増感色素の吸着時にホスト平板粒子の最外
層の極表面層の沃化銀含量を最外層よりもさらに高くし
ておくとエピタキシャル乳剤の調製に好ましい。増感色
素の添加に先立って沃素イオンを添加することが行われ
る。本発明においては前述したAgI微粒子乳剤を添加
してホスト平板粒子の表面の沃化銀含量を高くすること
が最も好ましく用いられる。これにより粒子間の沃化銀
含量の分布が均一となり増感色素の吸着も均一になる。
これにより本発明のエピタキシャル乳剤の調製が可能と
なる。これら沃素イオンもしくは沃化銀の添加量はホス
ト平板粒子の銀量で1モルに対して1×10-4から1×
10-2モルの範囲が好ましく1×10-3から5×10-3
モルの範囲が特に好ましい。
【0108】エピタキシャル部の形成法はハロゲンイオ
ンを含む溶液とAgNO3を含む溶液の同時添加でも別
々の添加でも良く、ホスト平板粒子よりも粒径の小さな
AgCl微粒子、AgBr微粒子、AgI微粒子の添加、あるいは
それらの混晶粒子の添加等と適宜組み合わせて添加して
形成しても良い。AgNO3溶液を添加する場合は添加
時間は30秒以上10分以内であることが好ましく、1
分以上5分以内が特に好ましい。本発明のエピタキシャ
ル乳剤を形成するためには添加する硝酸銀溶液の濃度は
1.5モル/リットル以下の濃度が好ましく特に0.5
モル/リットル以下の濃度が好ましい。この時系中の攪
拌は効率良く行う必要があり、系中の粘度は低い方が好
ましい。
【0109】エピタキシャル部の銀量はホスト平板粒子
の銀量の1モル%以上10モル%以下であることが好ま
しく、2モル%以上7モル%以下が更に好ましい。少な
すぎるとエピタキシャル乳剤の調製ができないし、多す
ぎても不安定になる。
【0110】エピタキシャル部の形成時のpBrは3.
5以上が好ましく、特に4.0以上が好ましい。温度は
35℃以上45℃以下で行うことが好ましい。このエピ
タキシャル部の形成時に6シアノ金属錯体がドープされ
ているのが好ましい。
【0111】6シアノ金属錯体のうち、鉄、ルテニウ
ム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム又は
クロムを含有するものが好ましい。金属錯体の添加量
は、ハロゲン化銀(エピタキシャル部とホスト部を合わ
せた全銀量)1モル当たり10-9乃至10-2モルの範囲
であることが好ましく、ハロゲン化銀1モル当たり10
-8乃至10-4モルの範囲であることがさらに好ましい。
金属錯体は、水または有機溶媒に溶かして添加すること
ができる。有機溶媒は水と混和性を有することが好まし
い。有機溶媒の例には、アルコール類、エーテル類、グ
リコール類、ケトン類、エステル類、及びアミド類が含
まれる。 金属錯体としては、下記式(I)で表される
6シアノ金属錯体が特に好ましい。6シアノ金属錯体を
使用した乳剤を用いることにより、高感度の感光材料が
得られ、しかも感光材料を長期間保存したときでも被り
の発生を抑制するという効果が得られる。
【0112】(I)[M(CN)6n- (式中、Mは鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、
ロジウム、イリジウムまたはクロムであり、nは3また
は4である。)。6シアノ金属錯体の具体例を以下に示
す。 (I-1) [Fe(CN)64- (I-2) [Fe(CN)63- (I-3) [Ru(CN)64- (I-4) [Os(CN)64- (I-5) [Co(CN)63- (I-6) [Rh(CN)63- (I-7) [Ir(CN)63- (I-8) [Cr(CN)64-
【0113】6シアノ錯体の対カチオンは、水と混和し
やすく、ハロゲン化銀乳剤の沈殿操作に適合しているイ
オンを用いることが好ましい。対イオンの例には、アル
カリ金属イオン(例、ナトリウムイオン、カリウムイオ
ン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、リチウムイオ
ン)、アンモニウムイオンおよびアルキルアンモニウム
イオンが含まれる。
【0114】本発明の乳剤はエピタキシャル沈着後に前
述した増感色素および/または後述するかぶり防止剤お
よび/または安定剤を添加することが好ましい。本発明
においてはこの後以降にpBrを下げることが好まし
い。本発明外のエピタキシャル乳剤はこのpBrの低下
によりエピタキシャルの破壊がおこり写真性能が低感度
のものとなる。一方、本発明のエピタキシャル乳剤にお
いてはこのpBrの低下が可能となり、保存性、処理性
において顕著な効果を発揮できるようになる。好ましく
は40℃でのpBrを3.5以下に下げる。より好まし
くは本発明の乳剤は40℃でのpBrが3.0以下であ
り、特に好ましくは2.5以下である。pBrの低下は
KBr、NaBr等の臭素イオンを添加することにより
基本的に行われる。
【0115】エピタキシャル沈着後、通常は水洗を行
う。水洗の温度は目的に応じて選べるが、5℃〜50℃
の範囲で選ぶことが好ましい。水洗時のpHも目的に応じ
て選べるが2〜10の間で選ぶことが好ましい。さらに
好ましくは3〜8の範囲である。水洗時のpAgも目的に
応じて選べるが5〜10の間で選ぶことが好ましい。水
洗の方法としてヌードル水洗法、半透膜を用いた透析
法、遠心分離法、凝析沈降法、イオン交換法のなかから
選んで用いることができる。凝析沈降法の場合には硫酸
塩を用いる方法、有機溶剤を用いる方法、水溶性ポリマ
ーを用いる方法、ゼラチン誘導体を用いる方法などから
選ぶことができる。
【0116】本発明の乳剤はエピタキシャル沈着後に化
学増感を行うことが好ましい。本発明で好ましく実施し
うる化学増感の一つはカルコゲン増感と貴金属増感の単
独又は組合せであり、ジェームス(T.H.Jame
s)著、ザ・セオリー・オブ・ザ・フォトグラフィック
・プロセス、第4版、マクミラン社刊、1977年、
(The Theory of the Photog
raphic Process,4th ed,Mac
millan,1977)67〜76頁に記載されるよ
うに活性ゼラチンを用いて行うことができるし、またリ
サーチ・ディスクロージャー、120巻、1974年4
月、12008;リサーチ・ディスクロージャー、34
巻、1975年6月、13452、米国特許第2,64
2,361号、同第3,297,446号、同第3,7
72,031号、同第3,857,711、同第3,9
01,714号、同第4,266,018号、および同
第3,904,415号、並びに英国特許第1,31
5,755号に記載されるようにpAg5〜10、pH5〜
8および温度30〜80℃において硫黄、セレン、テル
ル、金、白金、パラジウム、イリジウムまたはこれら増
感剤の複数の組合せとすることができる。貴金属増感に
おいては、金、白金、パラジウム、イリジウム等の貴金
属塩を用いることができ、中でも特に金増感、パラジウ
ム増感および両者の併用が好ましい。金増感の場合に
は、塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオ
ーリチオシアネート、硫化金、金セレナイドのような公
知の化合物を用いることができる。パラジウム化合物は
パラジウム2価塩または4価の塩を意味する。好ましい
パラジウム化合物は、R2PdX6またはR2PdX4で表
わされる。ここでRは水素原子、アルカリ金属原子また
はアンモニウム基を表わす。Xはハロゲン原子を表わし
塩素、臭素または沃素原子を表わす。
【0117】具体的には、K2PdCl4、(NH42
dCl6、Na2PdCl4、(NH42PdCl4、Li
2PdCl4、Na2PdCl6またはK2PdBr4が好ま
しい。金化合物およびパラジウム化合物はチオシアン酸
塩あるいはセレノシアン酸塩と併用することが好まし
い。
【0118】硫黄増感剤として、ハイポ、チオ尿素系化
合物、ロダニン系化合物および米国特許第3,857,
711号、同第4,266,018号および同第4,0
54,457号に記載されている硫黄含有化合物を用い
ることができる。いわゆる化学増感助剤の存在下に化学
増感することもできる。有用な化学増感助剤には、アザ
インデン、アザピリダジン、アザピリミジンのごとき、
化学増感の過程でカブリを抑制し、且つ感度を増大する
ものとして知られた化合物が用いられる。化学増感助剤
改質剤の例は、米国特許第2,131,038号、同第
3,411,914号、同第3,554,757号、特
開昭58−126526号および前述ダフィン著「写真
乳剤化学」、138〜143頁に記載されている。
【0119】本発明の乳剤は金増感を併用することが好
ましい。金増感剤の好ましい量としてハロゲン化銀1モ
ル当り1×10-4〜1×10-7モルであり、さらに好ま
しいのは1×10-5〜5×10-7モルである。パラジウ
ム化合物の好ましい範囲はハロゲン化銀1モル当たり1
×10-3から5×10-7モルである。チオシアン化合物
あるいはセレノシアン化合物の好ましい範囲はハロゲン
化銀1モル当たり5×10-2から1×10-6モルであ
る。
【0120】本発明において用いるハロゲン化銀粒子に
対して使用する好ましい硫黄増感剤量はハロゲン化銀1
モル当り1×10-4〜1×10-7モルであり、さらに好
ましいのは1×10-5〜5×10-7モルである。
【0121】本発明の乳剤に対して好ましい増感法とし
てセレン増感がある。セレン増感においては、公知の不
安定セレン化合物を用い、具体的には、コロイド状金属
セレニウム、セレノ尿素類(例えば、N,N−ジメチル
セレノ尿素、N,N−ジエチルセレノ尿素)、セレノケ
トン類、セレノアミド類のようなセレン化合物を用いる
ことができる。セレン増感は硫黄増感あるいは貴金属増
感あるいはその両方と組み合せて用いた方が好ましい場
合がある。
【0122】テルル増感においては、不安定テルル化合
物を用い、特開平4−224595号、同4−2713
41号、同4−333043号、同5−303157
号、同6−27573号、同6−175258号、同6
−180478号、同6−208184号、同6−20
8186号、同6−317867号、同7−14057
9号、同7−301879号、同7−301880号な
どに記載されている不安定テルル化合物を用いることが
できる。
【0123】具体的には、ホスフィンテルリド類(例え
ば、ノルマルブチル−ジイソプロピルホスフィンテルリ
ド、トリイソブチルホスフィンテルリド、トリノルマル
ブトキシホスフィンテルリド、トリイソプロピルホスフ
ィンテルリド)、ジアシル(ジ)テルリド類(例えば、
ビス(ジフェニルカルバモイル)ジテルリド、ビス(N
−フェニル−N−メチルカルバモイル)ジテルリド、ビ
ス(N−フェニル−N−メチルカルバモイル)テルリ
ド、ビス(N−フェニル−N−ベンジルカルバモイル)
テルリド、ビス(エトキシカルボニル)テルリド)、テ
ルロ尿素類(例えば、N,N’−ジメチルエチレンテル
ロ尿素)、テルロアミド類、テルロエステル類などを用
いればよい。好ましくはホスフィンテルリド類、ジアシ
ル(ジ)テルリド類である。
【0124】本発明に用いられる写真乳剤には、感光材
料の製造工程、保存中あるいは写真処理中のかぶりを防
止し、あるいは写真性能を安定化させる目的で、種々の
化合物を含有させることができる。すなわちチアゾール
類、例えば、ベンゾチアゾリウム塩、ニトロイミダゾー
ル類、ニトロベンズイミダゾール類、クロロベンズイミ
ダゾール類、ブロモベンズイミダゾール類、メルカプト
チアゾール類、メルカプトベンゾチアゾール類、メルカ
プトベンズイミダゾール類、メルカプトチアジアゾール
類、アミノトリアゾール類、ベンゾトリアゾール類、ニ
トロベンゾトリアゾール類、メルカプトテトラゾール類
(特に1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール);
メルカプトピリミジン類;メルカプトトリアジン類;例
えば、オキサドリンチオンのようなチオケト化合物;ア
ザインデン類、例えば、トリアザインデン類、テトラア
ザインデン類(特に4−ヒドロキシ置換(1,3,3
a,7)テトラアザインデン類)、ペンタアザインデン
類のようなかぶり防止剤または安定剤として知られた、
多くの化合物を加えることができる。例えば、米国特許
第3,954,474号、同第3,982,947号、
特公昭52−28660号に記載されたものを用いるこ
とができる。好ましい化合物の一つに特開昭63−21
2932号に記載された化合物がある。かぶり防止剤お
よび安定剤は粒子形成前、粒子形成中、粒子形成後、水
洗工程、水洗後の分散時、エピタキシャル形成時、化学
増感前、化学増感中、化学増感後、塗布前のいろいろな
時期に目的に応じて添加することができる。乳剤調製中
に添加して本来のかぶり防止および安定化効果を発現す
る以外に、粒子の晶壁を制御する、粒子サイズを小さく
する、粒子の溶解性を減少させる、化学増感を制御す
る、色素の配列を制御するなど多目的に用いることがで
きる。
【0125】本発明の乳剤調製時、例えば粒子形成時、
エピタキシャル形成時、脱塩工程、化学増感時、塗布前
に金属イオンの塩を存在させることは目的に応じて好ま
しい。粒子にドープする場合には粒子形成時、粒子表面
の修飾あるいは化学増感剤として用いる時は粒子形成
後、化学増感終了前に添加することが好ましい。粒子全
体にドープする場合と粒子のコアー部のみ、あるいはシ
ェル部のみにドープする方法も選べる。例えば、Mg、
Ca、Sr、Ba、Al、Sc、Y、La、Cr、M
n、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ru、R
h、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Au、Cd、H
g、Tl、In、Sn、Pb、Biを用いることができ
る。これらの金属はアンモニウム塩、酢酸塩、硝酸塩、
硫酸塩、燐酸塩、水酸塩あるいは6配位錯塩、4配位錯
塩など粒子形成時に溶解させることができる塩の形であ
れば添加できる。例えば、CdBr2、CdCl2、Cd
(NO32、Pb(NO32、Pb(CH3COO)2
3[Fe(CN)6]、(NH44[Fe(C
N)6]、K3IrCl6、(NH43RhCl6、K4
u(CN)6があげられる。配位化合物のリガンドとし
てハロ、アコ、シアノ、シアネート、チオシアネート、
ニトロシル、チオニトロシル、オキソ、カルボニルのな
かから選ぶことができる。これらは金属化合物を1種類
のみ用いてもよいが2種あるいは3種以上を組み合せて
用いてよい。
【0126】金属化合物は水またはメタノール、アセト
ンのような適当な有機溶媒に溶かして添加するのが好ま
しい。溶液を安定化するためにハロゲン化水素水溶液
(例えば、HCl、HBr)あるいはハロゲン化アルカ
リ(例えば、KCl、NaCl、KBr、NaBr)を
添加する方法を用いることができる。また必要に応じ酸
・アルカリなどを加えてもよい。金属化合物は粒子形成
前の反応容器に添加しても粒子形成の途中で加えること
もできる。また水溶性銀塩(例えば、AgNO3)ある
いはハロゲン化アルカリ水溶液(例えば、NaCl、K
Br、KI)に添加しハロゲン化銀粒子形成中連続して
添加することもできる。さらに水溶性銀塩、ハロゲン化
アルカリとは独立の溶液を用意し粒子形成中の適切な時
期に連続して添加してもよい。さらに種々の添加方法を
組み合せるのも好ましい。
【0127】本発明のハロゲン化銀写真乳剤を粒子形成
中、粒子形成後でかつ化学増感前あるいは化学増感中、
あるいは化学増感後に還元増感することは好ましい。こ
こで、還元増感とは、ハロゲン化銀乳剤に還元増感剤を
添加する方法、銀熟成と呼ばれるpAg1〜7の低pAgの雰
囲気で成長あるいは熟成させる方法、高pH熟成と呼ばれ
るpH8〜11の高pHの雰囲気で成長あるいは熟成させる
方法のいずれを選ぶこともできる。また2つ以上の方法
を併用することもできる。還元増感剤を添加する方法は
還元増感のレベルを微妙に調節できる点で好ましい方法
である。
【0128】還元増感剤としては、例えば、第一錫塩、
アスコルビン酸およびその誘導体、アミンおよびポリア
ミン類、ヒドラジン誘導体、ホルムアミジンスルフィン
酸、シラン化合物、ボラン化合物が公知である。本発明
において用いる還元増感にはこれら公知の還元増感剤を
選んで用いることができ、また2種以上の化合物を併用
することもできる。還元増感剤としては塩化第一錫、二
酸化チオ尿素、ジメチルアミンボラン、アスコルビン酸
およびその誘導体が好ましい化合物である。還元増感剤
の添加量は乳剤製造条件に依存するので添加量を選ぶ必
要があるが、ハロゲン化銀1モル当り10-7〜10-3
ルの範囲が適当である。
【0129】還元増感剤は、例えば、水あるいはアルコ
ール類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド
類のような有機溶媒に溶かし粒子成長中に添加される。
あらかじめ反応容器に添加するのもよいが、粒子成長の
適当な時期に添加する方法が好ましい。また水溶性銀塩
あるいは水溶性アルカリハライドの水溶性にあらかじめ
還元増感剤を添加しておき、これらの水溶液を用いてハ
ロゲン化銀粒子を沈澱せしめてもよい。また粒子成長に
伴って還元増感剤の溶液を何回かに分けて添加しても連
続して長時間添加するのも好ましい方法である。
【0130】本発明の乳剤の製造工程中に銀に対する酸
化剤を用いることが好ましい。銀に対する酸化剤とは、
金属銀に作用して銀イオンに変換せしめる作用を有する
化合物をいう。特にハロゲン化銀粒子の形成過程および
化学増感過程において副生するきわめて微小な銀粒子
を、銀イオンに変換せしめる化合物が有効である。ここ
で生成する銀イオンは、例えば、ハロゲン化銀、硫化
銀、セレン化銀のような水に難溶の銀塩を形成してもよ
く、又、硝酸銀のような水に易溶の銀塩を形成してもよ
い。銀に対する酸化剤は、無機物であっても、有機物で
あってもよい。無機の酸化剤としては、例えば、オゾ
ン、過酸化水素およびその付加物(例えば、NaBO2
・H22・3H2O、2NaCO3・3H22、Na42
7・2H22、2Na2SO4・H22・2H2O)、ペ
ルオキシ酸塩(例えば、K228、K226、K22
8)、ペルオキシ錯体化合物(例えば、K2[Ti(O
2)C2 4]・3H2O、4K2SO4・Ti(O2)OH
・SO4・2H2O、Na3[VO(O2)(C242
・6H2O)、過マンガン酸塩(例えば、KMnO4)、
クロム酸塩(例えば、K2Cr27)のような酸素酸
塩、沃素や臭素のようなハロゲン元素、過ハロゲン酸塩
(例えば、過沃素酸カリウム)、高原子価の金属の塩
(例えば、ヘキサシアノ第二鉄酸カリウム)およびチオ
スルフォン酸塩がある。また、有機の酸化剤としては、
p−キノンのようなキノン類、過酢酸や過安息香酸のよ
うな有機過酸化物、活性ハロゲンを放出する化合物(例
えば、N−ブロムサクシンイミド、クロラミンT、クロ
ラミンB)が例として挙げられる。
【0131】本発明において用いる好ましい酸化剤は、
オゾン、過酸化水素およびその付加物、ハロゲン元素、
チオスルフォン酸塩の無機酸化剤及びキノン類の有機酸
化剤である。前述の還元増感と銀に対する酸化剤を併用
するのは好ましい態様である。酸化剤を用いたのち還元
増感を施こす方法、その逆方法あるいは両者を同時に共
存させる方法のなかから選んで用いることができる。こ
れらの方法は粒子形成工程でも化学増感工程でも選んで
用いることができる。
【0132】本発明で得られるハロゲン化銀乳剤を用い
て製造される感光材料は、少なくとも1層の感光層を備
えていればよい。好ましくは、支持体上に青感色性層、
緑感色性層、赤感色性層のハロゲン化銀乳剤層を各々少
なくとも1層設けられており、青感色性層、緑感色性層
及び赤感色性層のうち、少なくとも1つが、感度の互い
に異なる2層以上から構成されていればよく、ハロゲン
化銀乳剤層および非感光性層の層数および層順に特に制
限はない。典型的な例としては、支持体上に、実質的に
感色性は同じであるが感光度の異なる複数のハロゲン化
銀乳剤層から成る感色性層を少なくとも1つ有するハロ
ゲン化銀写真感光材料であり、該感光性層は青色光、緑
色光、および赤色光の何れかに感色性を有する単位感光
性層であり、多層ハロゲン化銀カラー写真感光材料にお
いては、一般に単位感光性層の配列が、支持体側から順
に赤感色性層、緑感色性層、青感色性層の順に設置され
る。しかし、目的に応じて上記設置順が逆であっても、
また同一感色性層中に異なる感光性層が挾まれたような
設置順をもとり得る。
【0133】上記のハロゲン化銀感光性層の間および最
上層、最下層には各層の中間層等の非感光性層を設けて
もよい。該中間層には、特開昭61−43748号、同
59−113438号、同59−113440号、同6
1−20037号、同61−20038号に記載される
ようなカプラー、DIR化合物が含まれていてもよく、
通常用いられるように混色防止剤を含んでいてもよい。
【0134】各単位感光性層を構成する複数のハロゲン
化銀乳剤層は、西独特許第1,121,470号あるい
は英国特許第923,045号に記載されるように高感
度乳剤層、低感度乳剤層の2層構成を好ましく用いるこ
とができる。通常は、支持体に向かって順次感光度が低
くなる様に配列するのが好ましく、また各ハロゲン乳剤
層の間には非感光性層が設けられていてもよい。また、
特開昭57−112751号、同62−200350
号、同62−206541号、同62−206543号
に記載されているように支持体より離れた側に低感度乳
剤層、支持体に近い側に高感度乳剤層を設置してもよ
い。
【0135】具体例として支持体から最も遠い側から、
例えば低感度青感光性層(BL)/高感度青感光性層
(BH)/高感度緑感光性層(GH)/低感度緑感光性
層(GL)/高感度赤感光性層(RH)/低感度赤感光
性層(RL)の順、またはBH/BL/GL/GH/R
H/RLの順、またはBH/BL/GH/GL/RL/
RHの順等に設置することができる。
【0136】また特公昭55−34932号公報に記載
されているように、支持体から最も遠い側から青感光性
層/GH/RH/GL/RLの順に配列することもでき
る。
【0137】また特開昭56−25738号、同62−
63936号明細書に記載されているように、支持体か
ら最も遠い側から青感光性層/GL/RL/GH/RH
の順に設置することもできる。
【0138】また特公昭49−15495号に記載され
ているように上層を最も感光度の高いハロゲン化銀乳剤
層、中層をそれよりも低い感光度のハロゲン化銀乳剤
層、下層を中層よりも更に感光度の低いハロゲン化銀乳
剤層を配置し、支持体に向かって感光度が順次低められ
た感光度の異なる3層から構成される配列が挙げられ
る。このような感光度の異なる3層から構成される場合
でも、特開昭59−202464号に記載されているよ
うに、同一感色性層中において支持体より離れた側から
中感度乳剤層/高感度乳剤層/低感度乳剤層の順に配置
されてもよい。その他、高感度乳剤層/低感度乳剤層/
中感度乳剤層、あるいは低感度乳剤層/中感度乳剤層/
高感度乳剤層などの順に配置されていてもよい。また、
4層以上の場合にも、上記の如く配列を変えてよい。
【0139】本発明の乳剤を用いる好ましい層は、低感
度乳剤層である。低感度乳剤層としては、赤感色性低感
度乳剤層、緑感色性低感度乳剤層及び青感色性低感度乳
剤層のいずれにも使用することができるが、赤感色性低
感度乳剤層が好ましい。より好ましくは高感度乳剤層に
エピタキシャル接合を有しないハロゲン化銀乳剤を含有
させ,低感度層に本発明の乳剤を用いる場合である。エ
ピタキシャル接合を有しないハロゲン化銀乳剤として
は、特開平11−174606号、同11−29583
2号などに記載のフリンジ部に転位線を含有する平板粒
子乳剤が好ましく用いられる。この使用法により感光材
料の性能を向上させる一方で塗布銀量を低減させること
が可能となる。各乳剤層で使用される乳剤の銀量(銀原
子単位での質量)は、好ましくは0.3から3g/m2
であり、より好ましくは0.5から2g/m2である。
上記のように、それぞれの感光材料の目的に応じて種々
の層構成、配列を選択することができる。
【0140】本発明に関する感光材料には、前記の種々
の添加剤が用いられるが、それ以外にも目的に応じて種
々の添加剤を用いることができる。これらの添加剤は、
より詳しくはリサーチ・ディスクロージャー Item
17643(1978年12月)、同 Item 18
716(1979年11月)および同 Item 30
8119(1989年12月)に記載されており、その
該当個所を後掲の表にまとめて示した。
【0141】 添加剤種類 RD17643 RD18716 RD308119 1 化学増感剤 23頁 648 頁右欄 996 頁 2 感度上昇剤 同 上 3 分光増感剤、 23〜24頁 648 頁右欄〜 996 右〜998右 強色増感剤 649 頁右欄 4 増 白 剤 24頁 647 頁右欄 998 右 5 かぶり防止剤、 24〜25頁 649 頁右欄 998 右〜1000右 および安定剤 6 光吸収剤、 25〜26頁 649 頁右欄〜 1003左〜1003右 フィルター染料、 650 頁左欄 紫外線吸収剤 7 ステイン防止剤 25頁右欄 650 左〜右欄 1002右 8 色素画像安定剤 25頁 1002右 9 硬 膜 剤 26頁 651 頁左欄 1004右〜1005左 10 バインダー 26頁 同 上 1003右〜1004右 11 可塑剤、潤滑剤 27頁 650 頁右欄 1006左〜1006右 12 塗布助剤、 26〜27頁 同 上 1005左〜1006左 表面活性剤 13 スタチック 27頁 同 上 1006右〜1007左 防 止 剤 14 マット剤 1008左〜1009左。
【0142】また、ホルムアルデヒドガスによる写真性
能の劣化を防止するために、米国特許4,411,98
7号や同第4,435,503号に記載されたホルムア
ルデヒドと反応して、固定化できる化合物を感光材料に
添加することが好ましい。
【0143】本発明には種々のカラーカプラーを使用す
ることができ、その具体例は前出のリサーチ・ディスク
ロージャーNo.17643、VII−C〜G、および同N
o.307105、VII−C〜Gに記載された特許に記載
されている。
【0144】イエローカプラーとしては、例えば米国特
許第3,933,501号、同第4,022,620
号、同第4,326,024号、同第4,401,75
2号、同第4,248,961号、特公昭58−107
39号、英国特許第1,425,020号、同第1,4
76,760号、米国特許第3,973,968号、同
第4,314,023号、同第4,511,649号、
欧州特許第249,473A号、等に記載のものが好ま
しい。
【0145】マゼンタカプラーとしては5−ピラゾロン
系及びピラゾロアゾール系の化合物が好ましく、米国特
許第4,310,619号、同第4,351,897
号、欧州特許第73,636号、米国特許第3,06
1,432号、同第3,725,067号、リサーチ・
ディスクロージャーNo.24220(1984年6
月)、特開昭60−33552号、リサーチ・ディスク
ロージャーNo.24230(1984年6月)、特開昭
60−43659号、同61−72238号、同60−
35730号、同55−118034号、同60−18
5951号、米国特許第4,500,630号、同第
4,540,654号、同第4,556,630号、国
際公開WO88/04795号に記載のものが特に好ま
しい。
【0146】シアンカプラーとしては、フェノール系及
びナフトール系カプラーが挙げられ、米国特許第4,0
52,212号、同第4,146,396号、同第4,
228,233号、同第4,296,200号、同第
2,369,929号、同第2,801,171号、同
第2,772,162号、同第2,895,826号、
同第3,772,002号、同第3,758,308
号、同第4,334,011号、同第4,327,17
3号、西独特許公開第3,329,729号、欧州特許
第121,365A号、同第249,453A号、米国
特許第3,446,622号、同第4,333,999
号、同第4,775,616号、同第4,451,55
9号、同第4,427,767号、同第4,690,8
89号、同第4,254,212号、同第4,296,
199号、特開昭61−42658号等に記載のものが
好ましい。
【0147】ポリマー化された色素形成カプラーの典型
例は、米国特許第3,451,820号、同第4,08
0,211号、同第4,367,282号、同第4,4
09,320号、同第4,576,910号、英国特許
第2,102,137号、欧州特許第341,188A
号に記載されている。発色色素が適度な拡散性を有する
カプラーとしては、米国特許第4,366,237号、
英国特許第2,125,570号、欧州特許第96,5
70号、西独特許(公開)第3,234,533号に記
載のものが好ましい。
【0148】発色色素の不要吸収を補正するためのカラ
ード・カプラーは、リサーチ・ディスクロージャーNo.
17643のVII−G項、同No.307105のVII−G
項、米国特許第4,163,670号、特公昭57−3
9413号、米国特許第4,004,929号、同第
4,138,258号、英国特許第1,146,368
号に記載のものが好ましい。また、米国特許第4,77
4,181号に記載のカップリング時に放出された蛍光
色素により発色色素の不要吸収を補正するカプラーや、
米国特許第4,777,120号に記載の現像主薬と反
応して色素を形成しうる色素プレカーサー基を離脱基と
して有するカプラーを用いることも好ましい。
【0149】カップリングに伴って写真的に有用な残基
を放出する化合物もまた本発明で好ましく使用できる。
現像抑制剤を放出するDIRカプラーは、前述のRD1
7643、VII −F項及び同No.307105、VII −
F項に記載された特許、特開昭57−151944号、
同57−154234号、同60−184248号、同
63−37346号、同63−37350号、米国特許
第4,248,962号、同第4,782,012号に
記載されたものが好ましい。
【0150】現像時に画像状に造核剤もしくは現像促進
剤を放出するカプラーとしては、英国特許第2,09
7,140号、同第2,131,188号、特開昭59
−157638号、同59−170840号に記載のも
のが好ましい。また、特開昭60−107029号、同
60−252340号、特開平1−44940号、同1
−45687号に記載の現像主薬の酸化体との酸化還元
反応により、かぶらせ剤、現像促進剤、ハロゲン化銀溶
剤等を放出する化合物も好ましい。
【0151】その他、本発明の感光材料に用いることの
できる化合物としては、米国特許第4,130,427
号等に記載の競争カプラー、米国特許第4,283,4
72号、同第4,338,393号、同第4,310,
618号等に記載の多当量カプラー、特開昭60−18
5950号、特開昭62−24252号等に記載のDI
Rレドックス化合物放出カプラー、DIRカプラー放出
カプラー、DIRカプラー放出レドックス化合物もしく
はDIRレドックス放出レドックス化合物、欧州特許第
173,302A号、同第313,308A号に記載の
離脱後復色する色素を放出するカプラー、RD.No.1
1449、同24241、特開昭61−201247号
等に記載の漂白促進剤放出カプラー、米国特許第4,5
55,477号等に記載のリガンド放出カプラー、特開
昭63−75747号に記載のロイコ色素を放出するカ
プラー、米国特許第4,774,181号に記載の蛍光
色素を放出するカプラーが挙げられる。
【0152】本発明に使用するカプラーは、種々の公知
の分散方法により感光材料に導入できる。水中油滴分散
法に用いられる高沸点溶媒の例は、例えば、米国特許第
2,322,027号に記載されている。
【0153】水中油滴分散法に用いられる常圧での沸点
が175℃以上の高沸点有機溶剤の具体例としては、フ
タル酸エステル類(例えば、ジブチルフタレート、ジシ
クロヘキシルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタ
レート、デシルフタレート、ビス(2,4−ジ−ter
t−アミルフェニル)フタレート、ビス(2,4−ジ−
tert−アミルフェニル)イソフタレート、ビス
(1,1−ジエチルプロピル)フタレート);リン酸ま
たはホスホン酸のエステル類(例えば、トリフェニルホ
スフェート、トリクレジルホスフェート、2−エチルヘ
キシルジフェニルホスフェート、トリシクロヘキシルホ
スフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、
トリドデシルホスフェート、トリブトキシエチルホスフ
ェート、トリクロロプロピルホスフェート、ジ−2−エ
チルヘキシルフェニルホスホネート);安息香酸エステ
ル類(例えば、2−エチルヘキシルベンゾエート、ドデ
シルベンゾエート、2−エチルヘキシル−p−ヒドロキ
シベンゾエート);アミド類(例えば、N,N−ジエチ
ルドデカンアミド、N,N−ジエチルラウリルアミド、
N−テトラデシルピロリドン);アルコール類またはフ
ェノール類(例えば、イソステアリルアルコール、2,
4−ジ−tert−アミルフェノール);脂肪族カルボ
ン酸エステル類(例えば、ビス(2−エチルヘキシル)
セバケート、ジオクチルアゼレート、グリセロールトリ
ブチレート、イソステアリルラクテート、トリオクチル
シトレート);アニリン誘導体(例えば、N,N−ジブ
チル−2−ブトキシ−5−tert−オクチルアニリ
ン);炭化水素類(例えば、パラフィン、ドデシルベン
ゼン、ジイソプロピルナフタレン)を例示することがで
きる。
【0154】また補助溶剤としては、例えば、沸点が約
30℃以上、好ましくは50℃以上かつ約160℃以下
の有機溶剤が使用でき、典型例としては、例えば、酢酸
エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、メチルエチ
ルケトン、シクロヘキサノン、2−エトキシエチルアセ
テート、ジメチルホルムアミドが挙げられる。ラテック
ス分散法の工程、効果および含浸用ラテックスの具体例
は、例えば、米国特許第4,199,363号、西独特
許出願(OLS)第2,541,274号および、同第
2,541,230号に記載されている。
【0155】本発明のカラー感光材料中には、フェネチ
ルアルコールや特開昭63−257747号、同62−
272248号、および特開平1−80941号に記載
の、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オ
ン、n−ブチル−p−ヒドロキシベンゾエート、フェノ
ール、4−クロル−3,5−ジメチルフェノール、2−
フェノキシエタノール、2−(4−チアゾリル)ベンゾ
イミダゾールのような各種の防腐剤もしくは防黴剤を添
加することが好ましい。
【0156】本発明は種々の感光材料に適用することが
できるが、種々の白黒およびカラー感光材料に適用する
場合が好ましい。例えば、一般用もしくは映画用のカラ
ーネガフィルム、スライド用もしくはテレビ用のカラー
反転フィルム、カラーペーパー、カラーポジフィルムお
よびカラー反転ペーパーを代表例として挙げることがで
きる。本発明は、カラーデュープ用フィルムにも特に好
ましく使用できる。
【0157】本発明に使用できる適当な支持体は、例え
ば、前述のRD.No.17643の28頁、同No.
18716の647頁右欄から648頁左欄、および同
No.307105の879頁に記載されている。
【0158】本発明の感光材料は、乳剤層を有する側の
全親水性コロイド層の膜厚の総和が28μm以下である
ことが好ましく、23μm以下がより好ましく、18μ
m以下が更に好ましく、16μm以下が特に好ましい。
また膜膨潤速度T1/2が30秒以下が好ましく、20秒
以下がより好ましい。ここでの膜厚は、25℃相対湿度
55%調湿下(2日)で測定した膜厚を意味する。ま
た、膜膨潤速度T1/2は当該技術分野において公知の手
法に従って測定することができ、例えばエー・グリーン
(A.Green)らによりフォトグラフィック・サイ
エンス・アンド・エンジニアリング(Photogr.
Sci.Eng.)、19巻、2号、124〜129頁
に記載の型のスエロメーター(膨潤計)を使用すること
により測定できる。なお、T1/2は発色現像液で30
℃、3分15秒処理した時に到達する最大膨潤膜厚の9
0%を飽和膜厚とし、飽和膜厚の1/2に到達するまで
の時間と定義する。膜膨潤速度T1/2は、バインダーと
してのゼラチンに硬膜剤を加えること、あるいは塗布後
の経時条件を変えることによって調整することができ
る。
【0159】本発明の感光材料は、乳剤層を有する側の
反対側に、乾燥膜厚の総和が2μm〜20μmの親水性
コロイド層(バック層と称す)を設けることが好まし
い。このバック層には、例えば、前述の光吸収剤、フィ
ルター染料、紫外線吸収剤、スタチック防止剤、硬膜
剤、バインダー、可塑剤、潤滑剤、塗布助剤、表面活性
剤を含有させることが好ましい。このバック層の膨潤率
は150〜500%が好ましい。
【0160】本発明に従ったカラー写真感光材料は、前
述のRD.No.17643の28〜29頁、同No.
18716の651頁左欄〜右欄、および同No.30
7105の880〜881頁に記載された通常の方法に
よって現像処理することができる。
【0161】本発明の感光材料の現像処理に用いる発色
現像液は、好ましくは芳香族第一級アミン系発色現像主
薬を主成分とするアルカリ性水溶液である。この発色現
像主薬としては、アミノフェノール系化合物も有用であ
るが、p−フェニレンジアミン系化合物が好ましく使用
され、その代表例としては3−メチル−4−アミノ−
N,Nジエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N
−エチル−N−β−ヒドロキシエチルアニリン、3−メ
チル−4−アミノ−N−エチル−N−β−メタンスルホ
ンアミドエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N
−エチル−β−メトキシエチルアニリン、及びこれらの
硫酸塩、塩酸塩もしくはp−トルエンスルホン酸塩など
が挙げられる。これらの中で、特に、3−メチル−4−
アミノ−N−エチル−N−β−ヒドロキシエチルアニリ
ンの硫酸塩が好ましい。これらの化合物は目的に応じ2
種以上併用することもできる。
【0162】発色現像液は、例えば、アルカリ金属の炭
酸塩、ホウ酸塩もしくはリン酸塩のようなpH緩衝剤、
塩化物塩、臭化物塩、沃化物塩、ベンズイミダゾール
類、ベンゾチアゾール類もしくはメルカプト化合物のよ
うな現像抑制剤またはかぶり防止剤を含むのが一般的で
ある。また必要に応じて、ヒドロキシルアミン、ジエチ
ルヒドロキシルアミン、亜硫酸塩、N,N−ビスカルボ
キシメチルヒドラジンの如きヒドラジン類、フェニルセ
ミカルバジド類、トリエタノールアミン、カテコールス
ルホン酸類の如き各種保恒剤;エチレングリコール、ジ
エチレングリコールのような有機溶剤;ベンジルアルコ
ール、ポリエチレングリコール、四級アンモニウム塩、
アミン類のような現像促進剤;色素形成カプラー、競争
カプラー、1−フェニル−3−ピラゾリドンのような補
助現像主薬;粘性付与剤;アミノポリカルボン酸、アミ
ノポリホスホン酸、アルキルホスホン酸、ホスホノカル
ボン酸に代表されるような各種キレート剤を用いること
ができる。キレート剤としては、例えば、エチレンジア
ミン四酢酸、ニトリル三酢酸、ジエチレントリアミン五
酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチ
ルイミノジ酢酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−
ジホスホン酸、ニトリロ−N,N,N−トリメチレンホ
スホン酸、エチレンジアミン−N,N,N,N−テトラ
メチレンホスホン酸、エチレンジアミン−ジ(o−ヒド
ロキシフェニル酢酸)及びそれらの塩を代表例として挙
げることができる。
【0163】また、反転処理を実施する場合は、通常黒
白現像を行なってから発色現像する。この黒白現像液に
は、例えば、ハイドロキノンのようなジヒドロキシベン
ゼン類、例えば、1−フェニル−3−ピラゾリドンのよ
うな3−ピラゾリドン類、または例えば、N−メチル−
p−アミノフェノールのようなアミノフェノール類の公
知の黒白現像主薬を単独であるいは組み合わせて用いる
ことができる。これらの発色現像液及び黒白現像液のp
Hは、9〜12であることが一般的である。また、これ
らの現像液の補充量は、処理するカラー写真感光材料に
もよるが、一般に感光材料1平方メートル当たり3リッ
トル(以下、リットルを「L」とも表記する。)以下で
あり、補充液中の臭化物イオン濃度を低減させておくこ
とにより500ミリリットル(以下、ミリリットルを
「mL」とも表記する。)以下にすることもできる。補
充量を低減する場合には、処理液の空気との接触面積を
小さくすることによって液の蒸発、空気酸化を防止する
ことが好ましい。
【0164】処理槽での写真処理液と空気との接触面積
は、以下に定義する開口率で表わすことができる。即
ち、 開口率=[処理液と空気との接触面積(cm2)]÷[処
理液の容量(cm3)]。
【0165】上記の開口率は0.1以下であることが好
ましく、より好ましくは0.001〜0.05である。
このように開口率を低減させる方法としては、処理槽の
写真処理液面に、例えば浮き蓋のような遮蔽物を設ける
方法に加えて、特開平1−82033号に記載された可
動蓋を用いる方法、特開昭63−216050号に記載
されたスリット現像処理方法を挙げることができる。開
口率を低減させることは、発色現像及び黒白現像の両工
程のみならず、後続の諸工程、例えば、漂白、漂白定
着、定着、水洗、安定化の全ての工程において適用する
ことが好ましい。また、現像液中の臭化物イオンの蓄積
を抑える手段を用いることにより、補充量を低減するこ
ともできる。発色現像処理の時間は通常2〜5分の間で
設定されるが、高温高pHとし、かつ発色現像主薬を高
濃度に使用することにより、更に処理時間の短縮を図る
こともできる。
【0166】発色現像後の写真乳剤層は通常漂白処理さ
れる。漂白処理は定着処理と同時に行なわれてもよいし
(漂白定着処理)、個別に行なわれてもよい。更に処理
の迅速化を図るため、漂白処理後に漂白定着処理する処
理方法でもよい。さらに、二槽の連続した漂白定着浴で
処理すること、漂白定着処理の前に定着処理すること、
又は漂白定着処理後に漂白処理することも目的に応じ任
意に実施できる。漂白剤としては、例えば、鉄(III)の
ような多価金属の化合物、過酸類(特に、過硫酸ソーダ
は映画用カラーネガフィルムに適する)、キノン類、ニ
トロ化合物が用いられる。代表的漂白剤としては、鉄
(III)の有機錯塩、例えば、エチレンジアミン四酢酸、
ジエチレントリアミン五酢酸、シクロヘキサンジアミン
四酢酸、メチルイミノ二酢酸、1,3−ジアミノプロパ
ン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸のような
アミノポリカルボン酸類との錯塩、または、例えば、ク
エン酸、酒石酸、リンゴ酸との錯塩を用いることができ
る。これらのうち、エチレンジアミン四酢酸鉄(III)錯
塩、及び1,3−ジアミノプロパン四酢酸鉄(III)錯塩
をはじめとするアミノポリカルボン酸鉄(III)錯塩は、
迅速処理と環境汚染防止の観点から好ましい。さらに、
アミノボリカルボン酸鉄(III)錯塩は、漂白液において
も、漂白定着液においても特に有用である。これらのア
ミノポリカルボン酸鉄(III)錯塩を用いた漂白液又は漂
白定着液のpHは通常4.0〜8であるが、処理の迅速
化のためにさらに低いpHで処理することもできる。
【0167】漂白液、漂白定着液及びそれらの前浴に
は、必要に応じて漂白促進剤を使用することができる。
有用な漂白促進剤の具体例は、次の明細書に記載されて
いる:例えば、米国特許第3,893,858号、西独
特許第1,290,812号、同第2,059,988
号、特開昭53−32736号、同53−57831
号、同53−37418号、同53−72623号、同
53−95630号、同53−95631号、同53−
104232号、同53−124424号、同53−1
41623号、同53−18426号、リサーチ・ディ
スクロージャーNo.17129号(1978号7月)
に記載のメルカプト基またはジスルフィド基を有する化
合物;特開昭51−140129号に記載のチアゾリジ
ン誘導体;特公昭45−8506号、特開昭52−20
832号、同53−32735号、米国特許第3,70
6,561号に記載のチオ尿素誘導体、西独特許第1,
127,715号、特開昭58−16235号に記載の
沃化物塩;西独特許第966,410号、同第2,74
8,430号に記載のポリオキシエチレン化合物類;特
公昭45−8836号に記載のポリアミン化合物;その
他特開昭49−40943号、同49−59644号、
同53−94927号、同54−35727号、同55
−26506号、同58−163940号記載の化合
物;臭化物イオン等が使用できる。なかでも、メルカプ
ト基またはジスルフィド基を有する化合物が促進効果が
大きい観点で好ましく、特に米国特許第3,893,8
58号、西独特許第1,290,812号、特開昭53
−95630号に記載の化合物が好ましい。更に、米国
特許第4,552,884号に記載の化合物も好まし
い。これらの漂白促進剤は感材中に添加してもよい。撮
影用のカラー感光材料を漂白定着するときに、これらの
漂白促進剤は特に有効である。
【0168】漂白液や漂白定着液には上記の化合物の他
に、漂白ステインを防止する目的で有機酸を含有させる
ことが好ましい。特に好ましい有機酸は、酸解離定数
(pKa)が2〜5である化合物で、具体的には、例え
ば、酢酸、プロピオン酸、ヒドロキシ酢酸を挙げること
ができる。
【0169】定着液や漂白定着液に用いられる定着剤と
しては、例えば、チオ硫酸塩、チオシアン酸塩、チオエ
ーテル系化合物、チオ尿素類、多量の沃化物塩を挙げる
ことができる。このなかではチオ硫酸塩の使用が一般的
であり、特にチオ硫酸アンモニウムが最も広範に使用で
きる。また、チオ硫酸塩と、例えば、チオシアン酸塩、
チオエーテル系化合物、チオ尿素の併用も好ましい。定
着液や漂白定着液の保恒剤としては、亜硫酸塩、重亜硫
酸塩、カルボニル重亜硫酸付加物あるいは欧州特許第2
94,769A号に記載のスルフィン酸化合物が好まし
い。更に、定着液や漂白定着液には、液の安定化の目的
で、各種アミノポリカルボン酸類や有機ホスホン酸類の
添加が好ましい。
【0170】本発明において、定着液または漂白定着液
には、pH調整のためにpKaが6.0〜9.0の化合
物、好ましくはイミダゾール、1−メチルイミダゾー
ル、1−エチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール
の如きイミダゾール類を0.1〜10モル/L添加する
ことが好ましい。
【0171】脱銀工程の時間の合計は、脱銀不良が生じ
ない範囲で短い方が好ましい。好ましい時間は1分〜3
分、更に好ましくは1分〜2分である。また、処理温度
は25℃〜50℃、好ましくは35℃〜45℃である。
好ましい温度範囲においては脱銀速度が向上し、かつ処
理後のステイン発生が有効に防止される。
【0172】脱銀工程においては、撹拌ができるだけ強
化されていることが好ましい。撹拌強化の具体的な方法
としては、特開昭62−183460号に記載の感光材
料の乳剤面に処理液の噴流を衝突させる方法や、特開昭
62−183461号に回転手段を用いて撹拌効果を上
げる方法が挙げられる。更には、液中に設けられたワイ
パーブレードと乳剤面を接触させながら感光材料を移動
させ、乳剤表面を乱流化することによってより撹拌効果
を向上させる方法や、処理液全体の循環流量を増加させ
る方法が挙げられる。このような撹拌向上手段は、漂白
液、漂白定着液、定着液のいずれにおいても有効であ
る。撹拌の向上は、乳剤膜中への漂白剤および、定着剤
の供給を速め、結果として脱銀速度を高めるものと考え
られる。また、前記の撹拌向上手段は漂白促進剤を使用
した場合により有効であり、促進効果を著しく増加させ
たり、漂白促進剤により定着阻害作用を解消させること
ができる。
【0173】本発明の感光材料の現像に用いられる自動
現像機は、特開昭60−191257号、同60−19
1258号、同60−191259号に記載の感光材料
搬送手段を有していることが好ましい。前記の特開昭6
0−191257号に記載のとおり、このような搬送手
段は前浴から後浴への処理液の持込みを著しく削減で
き、処理液の性能劣化を防止する効果が高い。このよう
な効果は、各工程における処理時間の短縮や処理液補充
量の低減に特に有効である。
【0174】本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料
は、脱銀処理後、水洗及び/又は安定工程を経るのが一
般的である。水洗工程での水洗水量は、感光材料の特性
(例えば、カプラーのような使用素材による)、用途、
更には、例えば、水洗水温、水洗タンクの数(段数)、
向流、順流のような補充方式、その他種々の条件に応じ
て広範囲に設定し得る。このうち、多段向流方式におけ
る水洗タンク数と水量の関係は、Journal of
the Society of Motion Pi
cture and Television Engi
neers 第64巻、P.248〜253(1955
年5月号)に記載の方法で求めることができる。
【0175】前記文献に記載の多段向流方式によれば、
水洗水量を大幅に減少し得るが、タンク内における水の
滞留時間の増加によりバクテリアが繁殖し、生成した浮
遊物が感光材料に付着するというような問題が生じる。
本発明のカラー感光材料の処理おいては、このような問
題の解決策として、特開昭62−288838号に記載
のカルシウムイオン、マグネシウムイオンを低減させる
方法を極めて有効に用いることができる。また、特開昭
57−8542号に記載の、例えば、イソチアゾロン化
合物やサイアベンダゾール類、塩素化イソシアヌール酸
ナトリウムのような塩素系殺菌剤、その他、例えば、ベ
ンゾトリアゾールのような、堀口博著「防菌防黴剤の化
学」(1986年)三共出版、衛生技術会編「微生物の
滅菌、殺菌、防黴技術」(1982年)工業技術会、日
本防菌防黴学会編「防菌防黴剤事典」(1986年)に
記載の殺菌剤を用いることもできる。
【0176】本発明の感光材料の処理おける水洗水のp
Hは、4〜9、好ましくは5〜8である。水洗水温およ
び水洗時間も、例えば感光材料の特性、用途に応じて種
々設定し得るが、一般には、15〜45℃で20秒〜1
0分、好ましくは25〜40℃で30秒〜5分の範囲が
選択される。更に、本発明の感光材料は、上記水洗に代
えて、直接安定液によって処理することもできる。この
ような安定化処理においては、特開昭57−8543
号、同58−14834号、同60−220345号に
記載の公知の方法はすべて用いることができる。
【0177】また、前記水洗処理に続いて、更に安定化
処理する場合もある。その例として、撮影用カラー感光
材料の最終浴として使用される、色素安定化剤と界面活
性剤を含有する安定浴を挙げることができる。色素安定
化剤としては、例えば、ホルマリンやグルタルアルデヒ
ドのようなアルデヒド類、N−メチロール化合物、ヘキ
サメチレンテトラミンあるいはアルデヒド亜硫酸酸付加
物を挙げることができる。この安定浴にも、各種キレー
ト剤や防黴剤を加えることができる。
【0178】上記水洗及び/又は安定液の補充に伴うオ
ーバーフロー液は脱銀工程のような他の工程において再
利用することもできる。例えば自動現像機を用いた処理
において、上記の各処理液が蒸発により濃縮化する場合
には、水を加えて濃縮補正することが好ましい。
【0179】本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料
には、処理の簡略化及び迅速化の目的で発色現像主薬を
内蔵させても良い。内蔵させるためには、発色現像主薬
の各種プレカーサーを用いるのが好ましい。例えば、米
国特許第3,342,597号記載のインドアニリン系
化合物、例えば、同第3,342,599号、リサーチ
・ディスクロージャーNo.14,850及び同No.
15,159に記載のシッフ塩基型化合物、同No.1
3,924に記載のアルドール化合物、米国特許第3,
719,492号に記載の金属塩錯体、特開昭53−1
35628号に記載のウレタン系化合物を挙げることが
できる。
【0180】本発明のハロゲン化銀カラー感光材料は、
必要に応じて、発色現像を促進する目的で、各種の1−
フェニル−3−ピラゾリドン類を内蔵しても良い。典型
的な化合物は、例えば、特開昭56−64339号、同
57−144547号、および同58−115438号
に記載されている。
【0181】本発明における各種処理液は、10℃〜5
0℃において使用される。通常は33℃〜38℃の温度
が標準的であるが、より高温にして処理を促進し処理時
間を短縮したり、逆により低温にして画質の向上や処理
液の安定性の改良を達成することができる。
【0182】また、本発明のハロゲン化銀感光材料は、
米国特許第4,500,626号、特開昭60−133
449号、同59−218443号、同61−2380
56号、欧州特許第210,660A2号などに記載さ
れている熱現像感光材料にも適用できる。また、本発明
のハロゲン化銀カラー写真感光材料は、特公平2−32
615号、実公平3−39784号などに記載されてい
るレンズ付きフィルムユニットに適用した場合に、より
効果を発現しやすく有効である。
【0183】
【実施例】以下に実施例をもって本発明を具体的に説明
する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。 (実施例−1)本発明のエピタキシャル乳剤について詳
しく説明する。 (本発明の乳剤の調製)KBr0.87g、平均分子量
20000の低分子量酸化処理ゼラチン0.95gを含
む水溶液1100mLを35℃に保ち撹拌した。AgN
3(3.0g)水溶液とKBr(2.1g)と平均分
子量20000の低分子量酸化処理ゼラチン28g)を
含む水溶液を40秒間に渡り添加した。KBr2.6g
を含む水溶液を添加した後、50℃に昇温した。平均分
子量100000の琥珀化ゼラチン32gを含む水溶液
を添加した後、カテコールジスルホン酸ナトリウム塩を
71g含む水溶液を添加した。その後、第1成長として
AgNO3(231.4g)水溶液とKBr水溶液をダ
ブルジェット法で流量加速して添加した。この時、銀電
位を飽和カロメル電極に対して−20mVに保った。途
中で6塩化イリジウムカリウム(0.1mg)を含む水
溶液を添加した。AgNO3の添加終了時にベンゼンチ
オスルホン酸ナトリウム(2mg)を含む水溶液を添加
した。その後、最外層成長としてAgNO3水溶液(3
4.1g)とKIを含むKBr水溶液を14分間に渡っ
て添加した。KIの濃度は沃化銀含量が12モル%にな
るように調整した。この時、銀電位を飽和カロメル電極
に対して30mVに保った。
【0184】この後、ゼラチン14gを添加した。この
ゼラチンは、牛骨を原料とするアルカリ処理オセイン1
番抽出ゼラチン(PAGI法により測定された分子量分
布は、高分子量成分が2.5%、低分子量成分が60.
0%)を、詳細な説明に記載の架橋剤H−VI−3で架橋
したゼラチンである。PAGI法により測定された分子
量分布は、高分子量成分が12.4%、低分子量成分が
48.3%である。温度を40℃に降温した後、フェノ
キシエタノール9.7mlを添加し、さらにKI(0.
47g)水溶液を添加した。増感色素I、II、IIIを6
9:30:1のモル比で飽和被覆量の70%の比率で添
加した。但し増感色素は、特開平11−52507号に
記載の方法で作成した固体微分散物として、使用した。
すなわち硝酸ナトリウム0.8質量部および硫酸ナトリ
ウム3.2質量部をイオン交換水43質量部に溶解し、
増感色素13質量部を添加し、60℃の条件下でディゾ
ルバー翼を用い2000rpmで20分間分散すること
により、増感色素の固体分散物を得た。ヘキサシアノル
テニウム(II)酸カリウム(3.2mg)を含む水溶液
を添加した後、AgNO3(12.66g)水溶液とK
Br(4.66g)とKI(0.88g)とNaCl
(3.83g)を含む水溶液を1分6秒間に渡ってダブ
ルジェット法で添加した。
【0185】エピタキシャル部形態安定化剤I(60m
g)を添加した後、通常の水洗を行なった。この時、温
度は35℃に保った。前述のゼラチン77gを添加した
後、40℃でpHを6.5に、銀電位をNaCl水溶液
を用いて飽和カロメル電極に対して80mVに調整し
た。エピタキシャル部形態安定化剤兼保存性改良剤II
(6mg)を添加した後、50℃に昇温し、ハロゲン化
銀1モルに対して、チオシアン酸カリウム(1.1×1
-4モル)、塩化金酸(5.5×10-6モル)、チオ硫
酸ナトリウム(1.9×10-5モル)およびN,N−ジ
メチルセレノ尿素(4.7×10-6モル)を添加し最適
に化学増感を施した。かぶり防止剤I(12.1×10
-4モル)添加して化学増感を終了した。
【0186】本発明の乳剤は平均円相当径0.70μ
m、円相当径の変動係数19%、平均厚み0.70μ
m、平均アスペクト比10.0の平板粒子であった。ま
た、全投影面積の90%以上が円相当径0.5μm以上
0.90μm以下、厚み0.08μm以下の、最小の長
さを有する辺の長さに対する最大の長さを有する辺の長
さの比が5以下である主表面が(111)面の六角形平
板粒子であり、6つの頂点部全てにエピタキシャル接合
を有していた。低温での透過電子顕微鏡観察の結果、全
投影面積の90%以上の粒子がエピタキシャル部以外の
主表面部には転位線を持たず、かつエピタキシャル部に
網目状の転位線を有していた。図1に代表的な写真(倍
率 10万倍)を示す。本粒子は12モル%の沃化銀を
含有する最外層が銀換算で12%の粒子である。エピタ
キシャル部は銀換算で4.5%であり組成はAgBr
(52)Cl(40)I(8)である。また全投影面積
の90%以上が平均塩化銀含有率および平均沃化銀含有
率に対して30%以内の範囲に入っていた。
【0187】
【化11】
【0188】(比較例の乳剤の調製)KBr0.87
g、平均分子量20000の低分子量酸化処理ゼラチン
0.95gを含む水溶液1100mLを35℃に保ち撹
拌した。AgNO3(3.0g)水溶液とKBr(2.
1g)と平均分子量20000の低分子量酸化処理ゼラ
チン28g)を含む水溶液を40秒間に渡り添加した。
KBr2.6gを含む水溶液を添加した後、50℃に昇
温した。平均分子量100000の琥珀化ゼラチン32
gを含む水溶液を添加した後、カテコールジスルホン酸
ナトリウム塩を71g含む水溶液を添加した。その後、
第1成長としてAgNO3(199.9g)水溶液とK
Br水溶液をダブルジェット法で流量加速して添加し
た。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して−20
mVに保った。途中で6塩化イリジウムカリウム(0.
1mg)を含む水溶液を添加した。さらに続けてAgN
3(32.5g)水溶液とKBrとKIを含む水溶液
をダブルジェット法で流量加速して添加した。この時、
銀電位を飽和カロメル電極に対して−20mVに保ち、
沃化銀含量が6.1モル%になるように調整した。Ag
NO3の添加終了時にベンゼンチオスルホン酸ナトリウ
ム(2mg)を含む水溶液を添加した。その後、AgN
3水溶液(34.1g)とKIを含むKBr水溶液を
14分間に渡って添加した。KIの濃度は沃化銀含量が
6.1モル%になるように調整した。
【0189】この時、銀電位を飽和カロメル電極に対し
て30mVに保った。この後、ゼラチン14gを添加し
た。このゼラチンは、牛骨を原料とするアルカリ処理オ
セイン1番抽出ゼラチン(PAGI法により測定された
分子量分布は、高分子量成分が2.5%、低分子量成分
が60.0%)である。温度を40℃に降温した後、K
I(0.47g)水溶液を添加した。増感色素I、II、
IIIを69:30:1のモル比で飽和被覆量の70%の
比率で添加した。但し増感色素は、特開平11−525
07号に記載の方法で作成した固体微分散物として、使
用した。すなわち硝酸ナトリウム0.8質量部および硫
酸ナトリウム3.2質量部をイオン交換水43質量部に
溶解し、増感色素13質量部を添加し、60℃の条件下
でディゾルバー翼を用い2000rpmで20分間分散
することにより、増感色素の固体分散物を得た。ヘキサ
シアノルテニウム(II)酸カリウム(3.2mg)を含
む水溶液を添加した後、AgNO3(12.66g)水
溶液とKBr(5.13g)とKI(0.22g)とN
aCl(3.83g)を含む水溶液を1分6秒間に渡っ
てダブルジェット法で添加した。そして通常の水洗を行
なった。
【0190】この時、温度は35℃に保った。前述のゼ
ラチン77gを添加した後、40℃でpHを6.5に、
銀電位をNaCl水溶液を用いて飽和カロメル電極に対
して80mVに調整した。50℃に昇温し、ハロゲン化
銀1モルに対して、チオシアン酸カリウム(1.1×1
-4モル)、塩化金酸(5.5×10-6モル)、チオ硫
酸ナトリウム(1.9×10-5モル)およびN,N−ジ
メチルセレノ尿素(4.7×10-6モル)を添加し最適
に化学増感を施した。かぶり防止剤I(12.1×10
-4モル)添加して化学増感を終了した。
【0191】この乳剤は平均円相当径0.70μm、円
相当径の変動係数19%、平均厚み0.70μm、平均
アスペクト比10.0の平板粒子であった。また、全投
影面積の90%以上が円相当径0.5μm以上0.90
μm以下、厚み0.08μm以下の、最小の長さを有す
る辺の長さに対する最大の長さを有する辺の長さの比が
5以下である主表面が(111)面の六角形平板粒子で
あり、少なくとも1つの頂点部にエピタキシャル接合を
有していた。低温での透過電子顕微鏡観察の結果、全投
影面積の40%以上の粒子がエピタキシャル部以外の主
表面部に1本以上の転位線を有しており、かつ全投影面
積の50%以上の粒子がエピタキシャル部に転位線は観
測されなかった。本粒子は6モル%の沃化銀を含有する
最外層が銀換算で24%の粒子である。エピタキシャル
部は銀換算で4.5%であり組成はAgBr(58)C
l(40)I(2)である。また全投影面積の90%以
上が平均塩化銀含有率および平均沃化銀含有率に対して
30%以内の範囲に入っていた。
【0192】下塗り層を設けてある三酢酸セルロースフ
ィルム支持体に下記表−1に示すような塗布条件で上記
の化学増感を施した乳剤を保護層を設けて塗布し、試料
No.701と702を作成した。
【0193】
【表1】
【0194】これらの試料を40℃、相対湿度70%の
条件下に14時間放置した。その後、富士フィルム
(株)製ゼラチンフィルターSC−50と連続ウェッジ
を通して1/100秒間露光した。富士写真フィルム
(株)製ネガプロセサーFP−350を用い、以下に記
載の方法で(液の累積補充量がその母液タンク容量の3
倍になるまで)処理した。
【0195】 (処理方法) 工 程 処理時間 処理温度 補充量* 発色現像 3分15秒 38℃ 45mL 漂 白 1分00秒 38℃ 20mL 漂白液オーバーフローは漂白定着 タンクに全量流入 漂白定着 3分15秒 38℃ 30mL 水洗(1) 40秒 35℃ (2) から(1) への向流配管方式 水洗(2) 1分00秒 35℃ 30mL 安 定 40秒 38℃ 20mL 乾 燥 1分15秒 55℃ *補充量は35mm幅1.1m長さ当たり(24Ex.1本相当)。
【0196】次に、処理液の組成を記す。 (発色現像液) タンク液(g) 補充液(g) ジエチレントリアミン五酢酸 1.0 1.1 1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 2.0 2.0 亜硫酸ナトリウム 4.0 4.4 炭酸カリウム 30.0 37.0 臭化カリウム 1.4 0.7 ヨウ化カリウム 1.5mg − ヒドロキシアミン硫酸塩 2.4 2.8 4−[N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ] −2−メチルアニリン硫酸塩 4.5 5.5 水を加えて 1.0L 1.0L pH(水酸化カリウムと硫酸にて調整) 10.05 10.10。
【0197】 (漂白液) タンク液、補充液共通(単位 g) エチレンジアミン四酢酸第二鉄アンモニウム二水塩 120.0 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 10.0 臭化アンモニウム 100.0 硝酸アンモニウム 10.0 漂白促進剤 0.005モル (CH32N-CH2-CH2-S-S-CH2-CH2-N(CH32・2HCl アンモニア水(27%) 15.0mL 水を加えて 1.0L pH(アンモニア水と硝酸にて調整) 6.3。
【0198】 (漂白定着液) タンク液(g) 補充液(g) エチレンジアミン四酢酸第二鉄アンモニウム二水塩 50.0 − エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 5.0 2.0 亜硫酸ナトリウム 12.0 20.0 チオ硫酸アンモニウム水溶液(700g/L) 240.0 mL 400.0 mL アンモニア水(27%) 6.0 mL − 水を加えて 1.0 L 1.0 L pH(アンモニア水と酢酸にて調整) 7.2 7.3。
【0199】(水洗液) タンク液、補充液共通 水道水をH型強酸性カチオン交換樹脂(ロームアンドハ
ース社製アンバーライトIR−120B)と、OH型ア
ニオン交換樹脂(同アンバーライトIR−400)を充
填した混床式カラムに通水してカルシウム及びマグネシ
ウムイオン濃度を3mg/L以下に処理し、続いて二塩
化イソシアヌール酸ナトリウム20mg/Lと硫酸ナト
リウム0.15g/Lを添加した。この液のpHは6.
5〜7.5の範囲にあった。
【0200】 (安定液) タンク液、補充液共通(単位 g) p−トルエンスルフィン酸ナトリウム 0.03 ポリオキシエチレン−p−モノノニルフェニルエーテル (平均重合度10) 0.2 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.05 1,2,4−トリアゾール 1.3 1,4−ビス(1,2,4−トリアゾール−1− イルメチル)ピペラジン 0.75 水を加えて 1.0L pH 8.5。
【0201】処理済みの試料を緑色フィルタ−で濃度測
定した。また露光前に50℃、相対湿度60%の条件に
14日保存した試料についても同様の評価を行い保存性
について評価した。以上により得られた、かぶりプラス
0.2の濃度での感度値、かぶり値を表−2に示す。
【0202】
【表2】
【0203】表−2の結果から明らかなように、本発明
の全投影面積の70%以上が少なくとも一つの頂点部に
エピタキシャル接合を有しエピタキシャル部に少なくと
も1本の転位線を有する平板粒子をもちいることにより
かぶりが低く高感度な感光材料が得られる。さらに保存
後のかぶり変化、感度変化が小さい。
【0204】(実施例−2)ホスト平板の沃化銀の構造
について説明する。 (平板粒子乳剤aの調製)KBr4.1g、平均分子量
20000の低分子量酸化処理ゼラチン7.1gを含む
水溶液1500mLを40℃に保ち撹拌した。AgNO
3(8.4g)水溶液とKBr(5.9g)とKI
(1.11g)を含む水溶液を40秒間に渡り添加し
た。平均分子量100000の琥珀化ゼラチン35.5
gを含む水溶液を添加した後58℃に昇温した。その
後、第1成長としてAgNO3(184.7g)水溶液
とKBr水溶液をダブルジェット法で流量加速して添加
した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して−2
0mVに保った。途中で6塩化イリジウムカリウムとベ
ンゼンチオスルホン酸ナトリウムを添加した。その後、
最外層成長としてAgNO3水溶液(21.5g)とK
Iを含むKBr水溶液を5分間に渡って添加した。KI
の濃度は沃化銀含量が17モル%になるように調整し
た。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して0mV
に保った。通常の水洗を行い、平均分子量100000
のゼラチンを添加し、40℃でpH5.5、銀電位30
mVに調整した。この乳剤を乳剤aとした。
【0205】乳剤aは平均円相当径0.83μm、円相
当径の変動係数19%、平均厚み0.086μm、平均
アスペクト比9.7の平板粒子であった。また、全投影
面積の90%以上が円相当径0.5μm以上1.0μm
以下、厚み0.1μm以下の、最小の長さを有する辺の
長さに対する最大の長さを有する辺の長さの比が1.5
以下である主表面が(111)面の六角形平板粒子で占
められていた。低温での透過電子顕微鏡観察の結果、転
位線は観測されなかった。また側面の(111)面比率
は65%であった。本粒子は17モル%の沃化銀を含有
する最外層が銀換算で10%の粒子である。
【0206】(平板粒子乳剤b、c、d、e、f、g、
h、i、jの調製)乳剤aの第1成長と最外層成長の銀
量比および最外層の沃化銀含量を変更することにより乳
剤b、c、d、e、f、g、h、i、jを調製した。粒
子形状等は銀電位等を調整することにより乳剤aに合わ
せた。表3に平板粒子乳剤の最外層の銀量と沃化銀含量
についてまとめて示す。なお、乳剤b〜jの円相当径の
変動係数は、乳剤aのものとほぼ同等であった。
【0207】
【表3】
【0208】(エピタキシャル接合)ホスト平板粒子乳
剤a〜jに以下に示したからのエピタキシャル沈着
を行った。 ホスト平板粒子乳剤を40℃で溶解しKI水溶液をホ
スト平板粒子の銀量1モルに対して2.4×10-3モル
添加した。増感色素I、II、IIIを69:30:1のモ
ル比で飽和被覆量の70%の比率で添加した。但し増感
色素は、特開平11−52507号に記載の方法で作成
した固体微分散物として、使用した。すなわち硝酸ナト
リウム0.8質量部および硫酸ナトリウム3.2質量部
をイオン交換水43質量部に溶解し、増感色素13質量
部を添加し、60℃の条件下でディゾルバー翼を用い2
000rpmで20分間分散することにより、増感色素
の固体分散物を得た。ヘキサシアノルテニウム(II)酸
カリウムを8.1×10-6モル(以降ホスト平板粒子の
銀量1モルに対して)添加した後KBr水溶液を1.1
8×10-2モル添加した。その後、1モル/Lの硝酸銀
水溶液3.56×10-2モルとNaCl水溶液3.14
×10-2モルをダブルジェット法で10分間に渡って定
流量で添加した。添加終了時の銀電位は飽和カロメル電
極に対して+85mVであった。かぶり防止剤Iを3.
87×10-5モル添加した後、乳剤を50℃に昇温し、
チオシアン酸カリウム(6.6×10-4モル)、塩化金
酸(7.9×10-6モル)、チオ硫酸ナトリウム(2.
7×10-5モル)およびN,N−ジメチルセレノ尿素
(4.7×10-6モル)を添加し最適に化学増感を施し
た。かぶり防止剤Iを6.6×10-4モル添加して化学
増感を終了した。
【0209】ホスト平板粒子乳剤を38℃で溶解しA
gI微粒子乳剤をホスト平板粒子の銀量1モルに対して
2.4×10-3モル添加した。増感色素I、II、IIIを
69:30:1のモル比で飽和被覆量の70%の比率で
添加した。但し増感色素は、特開平11−52507号
に記載の方法で作成した固体微分散物として、使用し
た。すなわち硝酸ナトリウム0.8質量部および硫酸ナ
トリウム3.2質量部をイオン交換水43質量部に溶解
し、増感色素13質量部を添加し、60℃の条件下でデ
ィゾルバー翼を用い2000rpmで20分間分散する
ことにより、増感色素の固体分散物を得た。ヘキサシア
ノルテニウム(II)酸カリウムを8.1×10-6モル
(以降ホスト平板粒子の銀量1モルに対して)添加した
後KBr水溶液を1.18×10-2モル添加した。Na
Cl水溶液を3.14×10-2モル添加した後、0.1
モル/Lの硝酸銀水溶液3.56×10-2モルを1分間
に渡って定流量で添加した。添加終了時の銀電位は飽和
カロメル電極に対して+85mVであった。かぶり防止
剤Iを3.87×10-5モル添加した後、と同様に化
学増感を行った。
【0210】ホスト平板粒子乳剤を38℃で溶解しp
Hを5.0に調整した。AgI微粒子乳剤をホスト平板
粒子の銀量1モルに対して2.4×10-3モル添加し
た。増感色素I、II、IIIを69:30:1のモル比で
飽和被覆量の70%の比率で添加した。但し増感色素
は、特開平11−52507号に記載の方法で作成した
固体微分散物として、使用した。すなわち硝酸ナトリウ
ム0.8質量部および硫酸ナトリウム3.2質量部をイ
オン交換水43質量部に溶解し、増感色素13質量部を
添加し、60℃の条件下でディゾルバー翼を用い200
0rpmで20分間分散することにより、増感色素の固
体分散物を得た。ヘキサシアノルテニウム(II)酸カリ
ウムを8.1×10-6モル(以降ホスト平板粒子の銀量
1モルに対して)添加した後KBr水溶液を1.18×
10-2モル添加した。その後、0.1モル/Lの硝酸銀
水溶液3.56×10-2モルとNaCl水溶液3.14
×10 -2モルをダブルジェット法で2分間に渡って定流
量で添加した。添加終了時の銀電位は飽和カロメル電極
に対して+85mVであった。かぶり防止剤Iを3.8
7×10-5モル添加した後、と同様に化学増感を行っ
た。
【0211】ホスト平板粒子乳剤に上記エピタキシャル
接合を組み合わせて調製した乳剤についてEPMA法を
用いて粒子間の沃化銀含量と塩化銀含量の分布を測定し
た。
【0212】またレプリカでの電子顕微鏡観察からエピ
タキシャル沈着の様子を観察した。結果をまとめて表−
4に示す。塩化銀含量の平均値は、2.1モル%であっ
た。
【0213】
【表4−1】
【0214】
【表4−2】
【0215】追加で低温での透過型電子顕微鏡観察を行
いエピタキシャル部の転位線観察を行った。結果を表−
5に示す。
【0216】
【表5】
【0217】表−4と表−5の結果から明らかなよう
に、ホスト平板粒子乳剤の最外層の沃化銀含量と銀量な
らびにエピタキシャル接合の方法に応じて、少なくとも
一つの頂点部にエピタキシャル接合を有する粒子の比
率、エピタキシャル部に転位線を有する粒子の比率が変
化する。最外層の沃化銀含量と銀量が本発明の好ましい
範囲の場合に少なくとも一つの頂点部にエピタキシャル
接合を有し、エピタキシャル部に転位線を有する粒子の
比率が高くなることが判る。全ハロゲン化銀粒子の平均
塩化銀含有率をCLモル%とした場合に、塩化銀含有率
が0.7CLないし1.3CLの範囲内にある比率が高
いほど、少なくとも一つの頂点部にエピタキシャル接合
を有する粒子の比率が増加する。全ハロゲン化銀粒子の
平均沃化銀含有率をIモル%とした場合に、沃化銀含有
率が0.7Iないし1.3Iの範囲内にある比率が高い
ほど少なくとも一つの頂点部にエピタキシャル接合を有
する粒子の比率が増加する。また本発明の好ましい最外
層の沃化銀含量と銀量を満足する場合でもエピタキシャ
ル接合の方法により、少なくとも一つの頂点部にエピタ
キシャル接合を有する粒子の比率が大きく変化する。こ
の時、エピタキシャル接合時のpHを本発明の好ましい
範囲にすることによりエピタキシャル接合を少なくとも
一つの頂点部に有する粒子の比率が顕著に増加できるこ
とが判る。
【0218】下塗り層を設けてある三酢酸セルロースフ
ィルム支持体に実施例1の塗布条件で上記の化学増感を
施した乳剤を保護層を設けて塗布し、試料No.1〜3
0を作成した。
【0219】実施例1と同様に露光、処理を行った。処
理済みの試料を緑色フィルタ−で濃度測定した。また露
光前に50℃、相対湿度60%の条件に14日保存した
試料についても同様の評価を行い保存性について評価し
た。以上により得られた、かぶりプラス0.2の濃度で
の感度値、かぶり値を表−6に示す。
【0220】
【表6】
【0221】表−6の結果から明らかなように、本発明
の、少なくとも一つの頂点部にエピタキシャル接合を有
し、エピタキシャル部に転位線を有する粒子の比率が高
くなるとかぶりが低く高感度になる。特定塩化銀含有率
をCLモル%とした場合に塩化銀含有率が0.7ないし
1.3CLの範囲内にある比率が高いほど、効果が大き
い。特定沃化銀含有率をIモル%とした場合に沃化銀含
有率が0.7ないし1.3Iの範囲内にある比率が高い
ほど効果が大きい。また、エピタキシャル接合時のpH
を本発明の好ましい範囲にすることにより本発明の効果
が顕著になる。また保存後のかぶり変化、感度変化が小
さい。なお、ホスト平板粒子に転位線が存在するものを
用いた場合には本発明の効果はより小さかった。
【0222】(実施例−3)本発明のゼラチンの効果に
ついて説明する。以下の乳剤調製において用いたゼラチ
ンは以下のゼラチンである。
【0223】(ゼラチン1) 牛骨を原料とするアルカ
リ処理オセイン1番抽出ゼラチン。PAGI法により測
定された分子量分布は、高分子量成分が2.5%、低分
子量成分が60.0%である。 (ゼラチン2)ゼラチン1の水溶液に、50℃、pH
9.0の条件下で無水フタル酸を加えて化学反応させた
後、残留するフタル酸を除去して乾燥させたゼラチン。
ゼラチン中のアミノ基の95%が化学修飾されている。 (ゼラチン3)ゼラチン1の水溶液に、分解酵素を作用
させて低分子量化して、平均分子量を15000とした
後、酵素を失活させて乾燥させたゼラチン。
【0224】(ゼラチン4)ゼラチン1の2番抽出品と
3番抽出品の混合物。PAGI法により測定された分子
量分布は、高分子量成分が9.8%、低分子量成分が4
9.5%である。 (ゼラチン5)ゼラチン1の6番抽出品と7番抽出品の
混合物。PAGI法により測定された分子量分布は、高
分子量成分が32.0%、低分子量成分が30.5%で
ある。 (ゼラチン6)ゼラチン1を詳細な説明に記載のトラン
スグルタミナ−ゼ酵素で架橋したゼラチン。PAGI法
により測定された分子量分布は、高分子量成分が10.
1%、低分子量成分が48.6%である。
【0225】(ゼラチン7)ゼラチン1を詳細な説明に
記載の架橋剤H−I−1で架橋したゼラチン。PAGI
法により測定された分子量分布は、高分子量成分が6.
6%、低分子量成分が49.1%である。 (ゼラチン8)ゼラチン1を詳細な説明に記載の架橋剤
H−II−4で架橋したゼラチン。PAGI法により測定
された分子量分布は、高分子量成分が11.8%、低分
子量成分が42.5%である。 (ゼラチン9)ゼラチン1を詳細な説明に記載の架橋剤
H−VI−3で架橋したゼラチン。PAGI法により測定
された分子量分布は、高分子量成分が8.2%、低分子
量成分が48.2%である。
【0226】(ゼラチン10)ゼラチン1を詳細な説明
に記載の架橋剤H−VI−3で架橋したゼラチン。PAG
I法により測定された分子量分布は、高分子量成分が2
6.0%、低分子量成分が34.7%である。 (ゼラチン11)ゼラチン1を詳細な説明に記載の架橋
剤H−VI−3で架橋したゼラチン。PAGI法により測
定された分子量分布は、高分子量成分が34.3%、低
分子量成分が29.9%である。 (ゼラチン12)ゼラチン1を詳細な説明に記載の架橋
剤H−VI−3で架橋したゼラチン。PAGI法により測
定された分子量分布は、高分子量成分が12.4%、低
分子量成分が48.3%である。上記のゼラチン1〜1
2は、全て脱イオン処理を行った後、5%水溶液の35
℃におけるpHが6.0になるように調整されている。
【0227】(平板粒子乳剤kの調製)KBr4.1
g、ゼラチン3を1.9g含む水溶液1500mLを3
5℃に保ち撹拌した。AgNO3(8.4g)水溶液と
KBr(5.9g)とKI(1.11g)とゼラチン3
を4.7g含む水溶液を30秒間に渡り添加した。ゼラ
チン2を35.5g含む水溶液を添加した後58℃に昇
温した。その後、第1成長としてAgNO3(184.
7g)水溶液とKBr水溶液とゼラチン3の水溶液を特
開平10−43570号に記載の磁気カップリング誘導
型攪拌機を有する別のチャンバ−内で添加直前混合して
添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して
−25mVに保った。途中で6塩化イリジウムカリウム
とベンゼンチオスルホン酸ナトリウムを添加した。
【0228】その後、最外層成長としてAgNO3水溶
液(21.5g)とKBr水溶液と予め調製したAgI
超微粒子乳剤をトリプルジェット法で10分間に渡って
添加した。AgI超微粒子乳剤の添加量は沃化銀含量が
17モル%になるように調整した。この時、銀電位を飽
和カロメル電極に対して0mVに保った。通常の水洗を
行い、ゼラチン1を銀換算で1モルあたり50g添加
し、40℃でpH5.0、銀電位30mVに調整した。
この乳剤を乳剤kとした。乳剤kは平均円相当径0.7
6μm、円相当径の変動係数18%、平均厚み0.06
8μm、平均アスペクト比11.2の平板粒子であっ
た。また、全投影面積の90%以上が円相当径0.5μ
m以上1.0μm以下、厚み0.08μm以下の、最小
の長さを有する辺の長さに対する最大の長さを有する辺
の長さの比が1.5以下である主表面が(111)面の
六角形平板粒子で占められていた。低温での透過電子顕
微鏡観察の結果、転位線は観測されなかった。また側面
の(111)面比率は60%であった。本粒子は17モ
ル%の沃化銀を含有する最外層が銀換算で10%の粒子
である。
【0229】(平板粒子乳剤l、m、n、o、p、q、
r、s、tの調製)乳剤kの水洗後に添加するゼラチン
1を各々ゼラチン4〜12に変更することにより乳剤l
〜tを調製した。粒子形状等は乳剤kと同じである。
(エピタキシャル接合)乳剤k〜tを38℃で溶解し、
AgI微粒子乳剤をホスト平板粒子の銀量1モルに対し
て2.8×10-3モル添加した。実施例1で使用した増
感色素I、II、IIIを69:30:1のモル比で飽和被
覆量の75%の比率で添加した。但し増感色素は、特開
平11−52507号に記載の方法で作成した固体微分
散物として、使用した。すなわち硝酸ナトリウム0.8
質量部および硫酸ナトリウム3.2質量部をイオン交換
水43質量部に溶解し、増感色素13質量部を添加し、
60℃の条件下でディゾルバー翼を用い2000rpm
で20分間分散することにより、増感色素の固体分散物
を得た。ヘキサシアノルテニウム(II)酸カリウムを
2.7×10-5モル(以降ホスト平板粒子の銀量1モル
に対して)添加した後、AgI微粒子乳剤を3.9×1
-3モル添加した。その後、0.1モル/Lの硝酸銀水
溶液3.56×10-2モルとNaCl(3.14×10
-2モル)とKBr(1.18×10-2モル)を含む水溶
液をダブルジェット法で2分間に渡って定流量で添加し
た。添加終了時の銀電位は飽和カロメル電極に対して+
85mVであった。実施例1で使用したかぶり防止剤I
を4.01×10-5モル添加した後、乳剤を50℃に昇
温し、チオシアン酸カリウム(3.3×10-4モル)、
塩化金酸(8.3×10-6モル)、チオ硫酸ナトリウム
(1.3×10-5モル)およびN,N−ジメチルセレノ
尿素(9.2×10-6モル)を添加し最適に化学増感を
施した。かぶり防止剤Iを6.9×10-4モル添加して
化学増感を終了した。
【0230】レプリカでの電子顕微鏡観察からエピタキ
シャル沈着の様子を観察した。また乳剤のろ過性を評価
した。乳剤を45℃で溶解し、各溶液のろ過圧変化率
(ろ過開始20分後のろ過圧値をろ過開始直後の初期ろ
過圧値で割った値(変化率1の変化なしが好ましい)の
測定を行った。ろ過条件はろ過断面積3.14cm2
ろ過流量100mL/分、ろ過フィルター孔サイズ5μ
mで行った。また実施例1と同様に塗布し試料No.1
01〜110を作成し、露光、現像を行った。以上の結
果をまとめて表−7に示す。
【0231】
【表7】
【0232】追加で低温での透過型電子顕微鏡観察を行
った。エピタキシャル部の転位線についての結果を表−
8に示す。
【0233】
【表8】
【0234】表−7、表−8から明らかなように本発明
の好ましいゼラチンを使用することにより、ろ過性が良
化し、少なくとも一つの頂点部にエピタキシャル接合を
有し、エピタキシャル部に転位線を有する粒子の比率が
増加する。またフレシュの感度/かぶり比ならびに保存
後の感度/かぶり比も顕著に改良される。但し、高分子
量成分を増加しすぎたゼラチンを用いた乳剤では極端に
ろ過性が悪化する。なお、本発明の好ましいゼラチンの
効果は円相当径が1.2μmよりも大きな平板粒子を用
いた場合には小さかった。
【0235】(実施例−4)多層カラ−写真感光材料に
おける本発明の乳剤の効果を示す。以下の製法によりハ
ロゲン化銀乳剤Em−AからEm−Mを調製した。
【0236】(Em−Aの製法)フタル化率97%のフ
タル化した分子量15000の低分子量ゼラチン31.
7g、KBr31.7gを含む水溶液42.2Lを35
℃に保ち激しく攪拌した。AgNO3316.7gを含
む水溶液1583mLとKBr221.5g、分子量1
5000の低分子量ゼラチン52.7gを含む水溶液1
583mLをダブルジェット法で1分間に渡り添加し
た。添加終了後、直ちにKBr52.8gを加えて、A
gNO3398.2gを含む水溶液2485mLとKB
r291.1gを含む水溶液2581mLをダブルジェ
ット法で2分間に渡り添加した。添加終了後、直ちにK
Br44.8gを添加した。その後、40℃に昇温し、
熟成した。熟成終了後、フタル化率97%のフタル化し
た分子量100000のゼラチン923gとKBr7
9.2gを添加し、AgNO35103gを含む水溶液
15947mLとKBr水溶液をダブルジェット法で最
終流量が初期流量の1.4倍になるように流量加速して
10分間に渡り添加した。この時、銀電位を飽和カロメ
ル電極に対して−60mVに保った。水洗した後、ゼラ
チンを加えpH5.7、pAg8.8、乳剤1kg当た
りの銀換算の質量131.8g、ゼラチン質量64.1
gに調整し、種乳剤とした。
【0237】フタル化率97%のフタル化ゼラチン46
g、KBr1.7gを含む水溶液1211mLを75℃
に保ち激しく攪拌した。前述した種乳剤を9.9g加え
た後、変成シリコンオイル(日本ユニカ−株式会社製
品、L7602)を0.3g添加した。H2SO4を添加
してpHを5.5に調整した後、AgNO37.0gを
含む水溶液67.6mLとKBr水溶液をダブルジェッ
ト法で最終流量が初期流量の5.1倍になるように流量
加速して6分間に渡り添加した。この時、銀電位を飽和
カロメル電極に対して−20mVに保った。ベンゼンチ
オスルホン酸ナトリウム2mgと二酸化チオ尿素2mg
を添加した後、AgNO3105.6gを含む水溶液3
28mLとKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量
が初期流量の3.7倍になるように流量加速して56分
間に渡り添加した。この時、0.037μmの粒子サイ
ズのAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が27mol%
になるように同時に流量加速して添加し、かつ銀電位を
飽和カロメル電極に対して−50mVに保った。AgN
345.6gを含む水溶液121.3mLとKBr水
溶液をダブルジェット法で22分間に渡り添加した。こ
の時、銀電位を飽和カロメル電極に対して+20mVに
保った。
【0238】82℃に昇温し、KBrを添加して銀電位
を−80mVに調整した後、前述したAgI微粒子乳剤
をKI質量換算で6.33g添加した。添加終了後、直
ちに、AgNO366.4gを含む水溶液206.2m
Lを16分間に渡り添加した。添加初期の5分間はKB
r水溶液で銀電位を−80mVに保った。水洗した後、
ゼラチンを添加し40℃でpH5.8、pAg8.7に
調整した。化合物11および12を添加した後、60℃
に昇温した。増感色素11および12を添加した後に、
チオシアン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウ
ム、N,N−ジメチルセレノウレアを添加し最適に化学
増感した。化学増感終了時に化合物13および化合物1
4を添加した。ここで、最適に化学増感するとは、増感
色素ならびに各化合物をハロゲン化銀1molあたり1
-1から10-8molの添加量範囲から選択したことを
意味する。
【0239】
【化12】
【0240】
【化13】
【0241】
【化14】
【0242】
【化15】
【0243】
【化16】
【0244】
【化17】
【0245】(Em−Bの製法)低分子量ゼラチン0.
96g、KBr0.9gを含む水溶液1192mLを4
0℃に保ち、激しく攪拌した。AgNO31.49gを
含む水溶液37.5mLとKBrを1.05g含む水溶
液37.5mLをダブルジェット法で30秒間に渡り添
加した。KBrを1.2g添加した後、75℃に昇温し
熟成した。熟成終了後、アミノ基をトリメリット酸で化
学修飾した分子量100000のトリメリット化ゼラチ
ン、35gを添加し、pHを7に調整した。二酸化チオ
尿素6mgを添加した。AgNO329gを含む水溶液
116mLとKBr水溶液をダブルジェット法で最終流
量が初期流量の3倍になるように流量加速して添加し
た。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して−20
mVに保った。AgNO3110.2gを含む水溶液4
40.6mLとKBr水溶液をダブルジェット法で最終
流量が初期流量の5.1倍になるように流量加速して3
0分間に渡り添加した。この時、Em−Aの調製で使用
したAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が15.8mo
l%になるように同時に流量加速して添加し、かつ銀電
位を飽和カロメル電極に対して0mVに保った。
【0246】AgNO324.1gを含む水溶液96.
5mLとKBr水溶液をダブルジェット法で3分間に渡
り添加した。この時、銀電位を0mVに保った。エチル
チオスルホン酸ナトリウム26mgを添加した後、55
℃に降温し、KBr水溶液を添加し銀電位を−90mV
に調整した。前述したAgI微粒子乳剤をKI質量換算
で8.5g添加した。添加終了後、直ちにAgNO3
7gを含む水溶液228mLを5分間に渡り添加した。
この時、添加終了時の電位が+20mVになるようにK
Br水溶液で調整した。Em−Aとほぼ同様に水洗し、
化学増感した。
【0247】(Em−Cの製法)1g当たり35μmo
lのメチオニンを含有する分子量100000のフタル
化率97%のフタル化ゼラチン1.02g、KBr
0.9gを含む水溶液1192mLを35℃に保ち、激
しく攪拌した。AgNO34.47gを含む水溶液、4
2mLとKBr3.16g含む水溶液、42mLをダブ
ルジェット法で9秒間に渡り添加した。KBrを2.6
g添加した後、63℃に昇温し、熟成した。熟成終了
後、Em−Bの調製で使用した分子量100000のト
リメリット化ゼラチン41.2gとNaCl 18.5
gを添加した。pHを7.2に調整した後、ジメチルア
ミンボラン8mgを添加した。AgNO326gを含む
水溶液203mLとKBr水溶液をダブルジェット法で
最終流量が初期流量の3.8倍になるように添加した。
この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して−30mV
に保った。
【0248】AgNO3110.2gを含む水溶液44
0.6mLとKBr水溶液をダブルジェット法で最終流
量が初期流量の5.1倍になるように流量加速して24
分間に渡り添加した。この時、Em−Aの調製で使用し
たAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が2.3mol%
になるように同時に流量加速して添加し、かつ銀電位を
飽和カロメル電極に対して−20mVに保った。1Nの
チオシアン酸カリウム水溶液10.7mLを添加した
後、AgNO324.1gを含む水溶液153.5mL
とKBr水溶液をダブルジェット法で2分30秒間に渡
り添加した。この時、銀電位を10mVに保った。KB
r水溶液を添加して銀電位を−70mVに調整した。前
述したAgI微粒子乳剤をKI質量換算で6.4g添加
した。添加終了後、直ちにAgNO357gを含む水溶
液404mLを45分間に渡り添加した。この時、添加
終了時の電位が−30mVになるようにKBr水溶液で
調整した。Em−Aとほぼ同様に水洗し、化学増感し
た。
【0249】(Em−Dの製法)Em−Cの調製におい
て核形成時のAgNO3添加量を2.3倍に変更した。
そして、最終のAgNO357gを含む水溶液404m
Lの添加終了時の電位が+90mVになるようにKBr
水溶液で調整するように変更した。それ以外はEm−C
とほぼ同様にして調製した。
【0250】(Em−Eの製法)分子量15000の低
分子量ゼラチン0.75g、KBr 0.9g、Em−
Aの調製で使用した変成シリコンオイル0.2gを含む
水溶液1200mLを39℃に保ち、pHを1.8に調
整し激しく攪拌した。AgNO30.45gを含む水溶
液と1.5mol%のKIを含むKBr水溶液をダブル
ジェット法で16秒間に渡り添加した。この時、KBr
の過剰濃度を一定に保った。54℃に昇温し熟成した。
熟成終了後、1g当たり35μmolのメチオニンを含
有する分子量100000のフタル化率97%のフタル
化ゼラチン20gを添加した。pHを5.9に調整した
後、KBr2.9gを添加した。AgNO328.8g
を含む水溶液288mLとKBr水溶液をダブルジェッ
ト法で53分間に渡り添加した。この時、Em−Aの調
製で使用したAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が4.
1mol%になるように同時に添加し、かつ銀電位を飽
和カロメル電極に対して−60mVに保った。KBr
2.5gを添加した後、AgNO387.7gを含む水
溶液とKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初
期流量の1.2倍になるように流量加速して63分間に
渡り添加した。この時、上述のAgI微粒子乳剤をヨウ
化銀含有率が10.5mol%になるように同時に流量
加速して添加し、かつ銀電位を−70mVに保った。
【0251】二酸化チオ尿素1mgを添加した後、Ag
NO341.8gを含む水溶液132mLとKBr水溶
液をダブルジェット法で25分間に渡り添加した。添加
終了時の電位を+20mVになるようにKBr水溶液の
添加を調整した。ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム2
mgを添加した後、pHを7.3に調整した。KBrを
添加して銀電位を−70mVに調整した後、上述のAg
I微粒子乳剤をKI質量換算で5.73g添加した。添
加終了後、直ちにAgNO366.4gを含む水溶液6
09mLを10分間に渡り添加した。添加初期の6分間
はKBr水溶液で銀電位を−70mVに保った。水洗し
た後、ゼラチンを添加し40℃でpH6.5、pAg
8.2に調整した。化合物11および12を添加した
後、56℃に昇温した。上述したAgI微粒子乳剤を銀
1molに対して0.0004mol添加した後、増感
色素13および14を添加した。チオシアン酸カリウ
ム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウム、N,N−ジメチル
セレノウレアを添加し最適に化学増感した。化学増感終
了時に化合物13および14を添加した。
【0252】
【化18】
【0253】
【化19】
【0254】(Em−Fの製法)Em−Eの調製におい
て核形成時のAgNO3添加量を4.12倍に変更した
以外はEm−Eとほぼ同様にして調製した。但しEm−
Eの増感色素を増感色素12、15、16および17に
変更した。
【0255】
【化20】
【0256】
【化21】
【0257】
【化22】
【0258】(Em−Gの製法)分子量15000の低
分子量ゼラチン0.70g、KBr 0.9g、KI
0.175g、Em−Aの調製で使用した変成シリコン
オイル0.2gを含む水溶液1200mLを33℃に保
ち、pHを1.8に調製し激しく攪拌した。AgNO3
1.8gを含む水溶液と3.2mol%のKIを含むK
Br水溶液をダブルジェット法で9秒間に渡り添加し
た。この時、KBrの過剰濃度を一定に保った。62℃
に昇温し熟成した。熟成終了後、1g当たり35μmo
lのメチオニンを含有する分子量100000のアミノ
基をトリメリット酸で化学修飾したトリメリット化ゼラ
チン27.8gを添加した。pHを6.3に調製した
後、KBr2.9gを添加した。AgNO327.58
gを含む水溶液270mLとKBr水溶液をダブルジェ
ット法で37分間に渡り添加した。この時、分子量15
000の低分子量ゼラチン水溶液とAgNO3水溶液と
KI水溶液を特開平10−43570号に記載の磁気カ
ップリング誘導型攪拌機を有する別のチャンバ−内で添
加前直前混合して調製した粒子サイズ0.008μmの
AgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が4.1mol%に
なるように同時に添加し、かつ銀電位を飽和カロメル電
極に対して−60mVに保った。
【0259】KBr2.6gを添加した後、AgNO3
87.7gを含む水溶液とKBr水溶液をダブルジェッ
ト法で最終流量が初期流量の3.1倍になるように流量
加速して49分間に渡り添加した。この時、上述の添加
前直前混合して調製したAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含
有率が7.9mol%になるように同時に流量加速し、
かつ銀電位を−70mVに保った。二酸化チオ尿素、1
mgを添加した後、AgNO341.8gを含む水溶液
132mLとKBr水溶液をダブルジェット法で20分
間に渡り添加した。添加終了時の電位を+20mVにな
るようにKBr水溶液の添加を調整した。78℃に昇温
し、pHを9.1に調整した後、KBrを添加して電位
を−60mVにした。Em−Aの調製で使用したAgI
微粒子乳剤をKI質量換算で5.73g添加した。添加
終了後、直ちにAgNO366.4gを含む水溶液32
1mLを4分間に渡り添加した。添加初期の2分間はK
Br水溶液で銀電位を−60mVに保った。Em−Fと
ほぼ同様に水洗し、化学増感した。
【0260】(Em−Hの製法)イオン交換した分子量
100000のゼラチン17.8g、KBr6.2g、
KI 0.46gを含む水溶液を45℃に保ち激しく攪
拌した。AgNO311.85gを含む水溶液とKBr
を3.8g含む水溶液をダブルジェット法で45秒間に
渡り添加した。63℃に昇温後、イオン交換した分子量
100000のゼラチン24.1gを添加し、熟成し
た。熟成終了後、AgNO3133.4gを含む水溶液
とKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流
量の2.6倍になるように20分間に渡って添加した。
この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して+40mV
に保った。
【0261】また添加開始10分後にK2IrCl6
0.1mg添加した。NaClを7g添加した後、Ag
NO3を45.6g含む水溶液とKBr水溶液をダブル
ジェット法で12分間に渡って添加した。この時、銀電
位を+90mVに保った。また添加開始から6分間に渡
って黄血塩を29mg含む水溶液100mLを添加し
た。KBrを14.4g添加した後、Em−Aの調製で
使用したAgI微粒子乳剤をKI質量換算で6.3g添
加した。添加終了後、直ちにAgNO342.7gを含
む水溶液とKBr水溶液をダブルジェット法で11分間
に渡り添加した。この時、銀電位を+90mVに保っ
た。Em−Fとほぼ同様に水洗し、化学増感した。
【0262】(Em−Iの製法)Em−Hの調製におい
て核形成時の温度を35℃に変更した以外はほぼ同様に
して調製した。
【0263】(Em−Jの製法)フタル化率97%の分
子量100000のフタル化ゼラチン0.38g、KB
r 0.9gを含む水溶液1200mLを60℃に保
ち、pHを2に調整し激しく攪拌した。AgNO31.
96gを含む水溶液とKBr 1.67g、KI0.1
72gを含む水溶液をダブルジェット法で30秒間に渡
り添加した。熟成終了後、1g当たり35μmolのメ
チオニンを含有する分子量100000のアミノ基をト
リメリット酸で化学修飾したトリメリット化ゼラチン1
2.8gを添加した。pHを5.9に調整した後、KB
r2.99g、NaCl 6.2gを添加した。AgN
327.3gを含む水溶液60.7mLとKBr水溶
液をダブルジェット法で31分間に渡り添加した。この
時、銀電位を飽和カロメル電極に対して−50mVに保
った。AgNO365.6gを含む水溶液とKBr水溶
液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の2.1倍
になるように流量加速して37分間に渡り添加した。こ
の時、Em−Aの調製で使用したAgI微粒子乳剤をヨ
ウ化銀含有量が6.5mol%になるように同時に流量
加速して添加し、かつ銀電位を−50mVに保った。
【0264】二酸化チオ尿素1.5mgを添加した後、
AgNO341.8gを含む水溶液132mLとKBr
水溶液をダブルジェット法で13分間に渡り添加した。
添加終了時の銀電位を+40mVになるようにKBr水
溶液の添加を調整した。ベンゼンチオスルホン酸ナトリ
ウム2mgを添加した後、KBrを添加して銀電位を−
100mVに調整した。上述のAgI微粒子乳剤をKI
質量換算で6.2g添加した。添加終了後、直ちにAg
NO388.5gを含む水溶液300mLを8分間に渡
り添加した。添加終了時の電位が+60mVになるよう
にKBr水溶液の添加で調整した。水洗した後、ゼラチ
ンを添加し40℃でpH6.5、pAg8.2に調整し
た。化合物11および12を添加した後、61℃に昇温
した。増感色素18、19、20および21を添加した
後、K2IrCl6、チオシアン酸カリウム、塩化金酸、
チオ硫酸ナトリウム、N,N−ジメチルセレノウレアを
添加し最適に化学増感した。化学増感終了時に化合物1
3および14を添加した。
【0265】
【化23】
【0266】
【化24】
【0267】
【化25】
【0268】
【化26】
【0269】(Em−Kの製法)分子量15000の低
分子量ゼラチン4.9g、KBr5.3gを含む水溶液
1200mLを60℃に保ち激しく攪拌した。AgNO
38.75gを含む水溶液27mLとKBr6.45g
を含む水溶液36mLを1分間に渡りダブルジェット法
で添加した。75℃に昇温した後、AgNO36.9g
を含む水溶液21mLを2分間に渡り添加した。NH4
NO326g、1N,NaOH56mLを順次、添加し
た後、熟成した。熟成終了後pHを4.8に調製した。
AgNO3141gを含む水溶液438mLとKBrを
102.6g含む水溶液458mLをダブルジェット法
で最終流量が初期流量の4倍になるように添加した。5
5℃に降温した後、AgNO37.1gを含む水溶液2
40mLとKIを6.46g含む水溶液をダブルジェッ
ト法で5分間に渡り添加した。KBrを7.1g添加し
た後、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム4mgとK2
IrCl60.05mg添加した。AgNO357.2g
を含む水溶液177mLとKBr40.2gを含む水溶
液223mLを8分間に渡ってダブルジェット法で添加
した。Em−Jとほぼ同様に水洗し、化学増感した。
【0270】(Em−Lの製法)Em−Kの調製におい
て核形成時の温度を40℃に変更した以外は、ほぼ同様
にして調製した。
【0271】(Em−Mの製法)Em−Jとほぼ同様に
して調製した。但し化学増感はEm−Fとほぼ同様の方
法で行った。
【0272】Em−AからEm−Mのハロゲン化銀乳剤
の特性値を表−9にまとめて示した。
【0273】
【表9】
【0274】1)支持体 本実施例で用いた支持体は、下記の方法により作成し
た。
【0275】ポリエチレン−2,6−ナフタレートポリ
マー100質量部と紫外線吸収剤としてTinuvin
P.326(チバ・ガイギーCiba−Geigy社
製)2質量部とを乾燥した後、300℃にて溶融後、T
型ダイから押し出し、140℃で3.3倍の縦延伸を行
い、続いて130℃で3.3倍の横延伸を行い、さらに
250℃で6秒間熱固定して厚さ90μmのPEN(ポ
リエチレンナフタレート)フィルムを得た。なおこのP
ENフィルムにはブルー染料、マゼンタ染料及びイエロ
ー染料(公開技法:公技番号94−6023号記載のI
−1、I−4、I−6、I−24、I−26、I−2
7、II−5)を適当量添加した。さらに、直径20cm
のステンレス巻き芯に巻き付けて、110℃、48時間
の熱履歴を与え、巻き癖のつきにくい支持体とした。
【0276】2)下塗層の塗設 上記支持体は、その両面にコロナ放電処理、UV放電処
理、さらにグロー放電処理をした後、それぞれの面にゼ
ラチン0.1g/m2、ソウジウムα−スルホジ−2−
エチルヘキシルサクシネート0.01g/m2、サリチ
ル酸0.04g/m2、p−クロロフェノール0.2g
/m2、(CH2=CHSO2CH2CH2NHCO)2CH
20.012g/m2、ポリアミド−エピクロルヒドリン
重縮合物0.02g/m2の下塗液を塗布して(10c
c/m2、バーコーター使用)、下塗層を延伸時高温面
側に設けた。乾燥は115℃、6分実施した(乾燥ゾー
ンのローラーや搬送装置はすべて115℃となってい
る)。
【0277】3)バック層の塗設 下塗後の上記支持体の片方の面にバック層として下記組
成の帯電防止層、磁気記録層さらに滑り層を塗設した。
【0278】3−1)帯電防止層の塗設 平均粒径0.005μmの酸化スズ−酸化アンチモン複
合物の比抵抗は5Ω・cmの微粒子粉末の分散物(2次
凝集粒子径約0.08μm)を0.2g/m2、ゼラチ
ン0.05g/m2、(CH2=CHSO2CH2CH2
HCO)2CH20.02g/m2、ポリ(重合度10)
オキシエチレン−p−ノニルフェノール0.005g/
2及びレゾルシンと塗布した。
【0279】3−2)磁気記録層の塗設 3−ポリ(重
合度15)オキシエチレン−プロピルオキシトリメトキ
シシラン(15質量%)で被覆処理されたコバルト−γ
−酸化鉄(比表面積43m2/g、長軸0.14μm、
単軸0.03μm、飽和磁化89emu/g、Fe+2
Fe+3=6/94、表面は酸化アルミ酸化珪素で酸化鉄
の2質量%で処理されている)0.06g/m2をジア
セチルセルロース1.2g/m2(酸化鉄の分散はオー
プンニーダーとサンドミルで実施した)、硬化剤として
25C(CH2OCONH−C63(CH3)NCO)
30.3g/m2を、溶媒としてアセトン、メチルエチル
ケトン、シクロヘキサノンを用いてバーコーターで塗布
し、膜厚1.2μmの磁気記録層を得た。マット剤とし
てシリカ粒子(0.3μm)と3−ポリ(重合度15)
オキシエチレン−プロピルオキシトリメトキシシラン
(15質量%)で処理被覆された研磨剤の酸化アルミ
(0.15μm)をそれぞれ10mg/m2となるよう
に添加した。乾燥は115℃、6分実施した(乾燥ゾー
ンのローラーや搬送装置はすべて115℃)。X−ライ
ト(ブルーフィルター)での磁気記録層のDBの色濃度
増加分は約0.1、また磁気記録層の飽和磁化モーメン
トは4.2Am2/kg、保磁力7.3×104A/m、
角形比は65%であった。
【0280】3−3)滑り層の調製 ジアセチルセルロース(25mg/m2)、C613CH
(OH)C1020COOC4081(化合物a,6mg/
2)/C50101O(CH2CH2O)16H(化合物b,
9mg/m2)混合物を塗布した。なお、この混合物
は、キシレン/プロピレンモノメチルエーテル(1/
1)中で105℃で溶融し、常温のプロピレンモノメチ
ルエーテル(10倍量)に注加分散して作製した後、ア
セトン中で分散物(平均粒径0.01μm)にしてから
添加した。マット剤としてシリカ粒子(0.3μm)と
研磨剤の3−ポリ(重合度15)オキシエチレンプロピ
ルオキシトリメトキシシラン(15質量%)で被覆され
た酸化アルミ(0.15μm)をそれぞれ15mg/m
2となるように添加した。乾燥は115℃、6分行った
(乾燥ゾーンのローラーや搬送装置はすべて115
℃)。滑り層は、動摩擦係数0.06(5mmφのステ
ンレス硬球、荷重100g、スピード6cm/分)、静
摩擦係数0.07(クリップ法)、また後述する乳剤面
と滑り層の動摩擦係数も0.12と優れた特性であっ
た。
【0281】4)感光層の塗設 次に、前記で得られたバック層の反対側に、下記の組成
の各層を重層塗布し、カラーネガ感光材料である試料2
01を作成した。 (感光層の組成)各層に使用する素材の主なものは下記
のように分類されている; ExC:シアンカプラー UV :紫外線吸収剤 ExM:マゼンタカプラー HBS:高沸点有機溶剤 ExY:イエローカプラー H :ゼラチン硬化剤 (具体的な化合物は以下の記載で、記号の次に数値が付
けられ、後ろに化学式が挙げられている) 各成分に対応する数字は、g/m2単位で表した塗布量
を示し、ハロゲン化銀については銀換算の塗布量を示
す。
【0282】 第1層(第1ハレーション防止層) 黒色コロイド銀 銀 0.155 0.07μmの表面かぶらせAgBrI(2) 銀 0.01 ゼラチン 0.87 ExC−1 0.002 ExC−3 0.002 Cpd−2 0.001 HBS−1 0.004 HBS−2 0.002。
【0283】 第2層(第2ハレーション防止層) 黒色コロイド銀 銀 0.066 ゼラチン 0.407 ExM−1 0.050 ExF−1 2.0×10-3 HBS−1 0.074 固体分散染料 ExF−2 0.015 固体分散染料 ExF−3 0.020。
【0284】 第3層(中間層) 0.07μmのAgBrI(2) 0.020 ExC−2 0.022 ポリエチルアクリレートラテックス 0.085 ゼラチン 0.294。
【0285】 第4層(低感度赤感乳剤層) 実施例2の乳剤a 銀 0.323 ExC−1 0.109 ExC−3 0.044 ExC−4 0.072 ExC−5 0.011 ExC−6 0.003 Cpd−2 0.025 Cpd−4 0.025 HBS−1 0.17 ゼラチン 0.80。
【0286】 第5層(中感度赤感乳剤層) Em−K 銀 0.21 Em−L 銀 0.62 ExC−1 0.14 ExC−2 0.026 ExC−3 0.020 ExC−4 0.12 ExC−5 0.016 ExC−6 0.007 Cpd−2 0.036 Cpd−4 0.028 HBS−1 0.16 ゼラチン 1.18。
【0287】 第6層(高感度赤感乳剤層) Em−J 銀 1.47 ExC−1 0.18 ExC−3 0.07 ExC−6 0.029 ExC−7 0.010 ExY−5 0.008 Cpd−2 0.046 Cpd−4 0.077 HBS−1 0.25 HBS−2 0.12 ゼラチン 2.12。
【0288】 第7層(中間層) Cpd−1 0.089 固体分散染料ExF−4 0.030 HBS−1 0.050 ポリエチルアクリレートラテックス 0.83 ゼラチン 0.84。
【0289】 第8層(赤感層へ重層効果を与える層) Em−E 銀 0.560 Cpd−4 0.030 ExM−2 0.096 ExM−3 0.028 ExY−1 0.031 ExG−1 0.006 HBS−1 0.085 HBS−3 0.003 ゼラチン 0.58。
【0290】 第9層(低感度緑感乳剤層) Em−G 銀 0.39 Em−H 銀 0.28 Em−I 銀 0.35 ExM−2 0.36 ExM−3 0.045 ExG−1 0.005 HBS−1 0.28 HBS−3 0.01 HSB−4 0.27 ゼラチン 1.39。
【0291】 第10層(中感度緑感乳剤層) Em−F 銀 0.20 Em−G 銀 0.25 ExC−6 0.009 ExM−2 0.031 ExM−3 0.029 ExY−1 0.006 ExM−4 0.028 ExG−1 0.005 HBS−1 0.064 HBS−3 2.1×10-3 ゼラチン 0.44。
【0292】 第11層(高感度緑感乳剤層) Em−M 銀 0.99 ExC−6 0.004 ExM−1 0.016 ExM−3 0.036 ExM−4 0.020 ExM−5 0.004 ExY−5 0.003 ExM−2 0.013 ExG−1 0.005 Cpd−4 0.007 HBS−1 0.18 ポリエチルアクリレートラテックス 0.099 ゼラチン 1.11。
【0293】 第12層(イエローフィルター層) 黄色コロイド銀 銀 0.047 Cpd−1 0.16 油溶性染料ExF−5 0.010 固体分散染料ExF−6 0.010 HBS−1 0.082 ゼラチン 1.057。
【0294】 第13層(低感度青感乳剤層) Em−B 銀 0.18 Em−C 銀 0.20 Em−D 銀 0.07 ExC−1 0.041 ExC−8 0.012 ExY−1 0.035 ExY−2 0.71 ExY−3 0.10 ExY−4 0.005 Cpd−2 0.10 Cpd−3 4.0×10-3 HBS−1 0.24 ゼラチン 1.41。
【0295】 第14層(高感度青感乳剤層) Em−A 銀 0.75 ExC−1 0.013 ExY−2 0.31 ExY−3 0.05 ExY−6 0.062 Cpd−2 0.075 Cpd−3 1.0×10-3 HBS−1 0.10 ゼラチン 0.91。
【0296】 第15層(第1保護層) 0.07μmのAgBrI(2) 銀 0.30 UV−1 0.21 UV−2 0.13 UV−3 0.20 UV−4 0.025 F−18 0.009 F−19 0.005 F−20 0.005 HBS−1 0.12 HBS−4 5.0×10-2 ゼラチン 2.3。
【0297】 第16層(第2保護層) H−1 0.40 B−1(直径1.7μm) 5.0×10-2 B−2(直径1.7μm) 0.15 B−3 0.05 S−1 0.20 ゼラチン 0.75。
【0298】更に、各層に適宜、保存性、処理性、圧力
耐性、防黴・防菌性、帯電防止性及び塗布性をよくする
ために、W−1ないしW−5、B−4ないしB−6、F
−1ないしF−18及び、鉄塩、鉛塩、金塩、白金塩、
パラジウム塩、イリジウム塩、ルテニウム塩、ロジウム
塩が含有されている。また、第8層の塗布液にハロゲン
化銀1モル当たり8.5×10-3グラム、第11層に
7.9×10-3グラムのカルシウムを硝酸カルシウム水
溶液で添加し、試料を作製した。第4層の実施例2で調
製した乳剤aを乳剤a、aに変更することにより
試料201から203を作成した。
【0299】有機固体分散染料の分散物の調製 下記、
ExF−3を次の方法で分散した。即ち、水21.7m
L及び5%水溶液のp−オクチルフェノキシエトキシエ
トキシエタンスルホン酸ソーダ3mL並びに5%水溶液
のp−オクチルフェノキシポリオキシエチレンエーテル
(重合度10)0.5gとを700mLのポットミルに
入れ、染料ExF−3を5.0gと酸化ジルコニウムビ
ーズ(直径1mm)500mLを添加して内容物を2時
間分散した。この分散には中央工機製のBO型振動ボー
ルミルを用いた。分散後、内容物を取り出し、12.5
%ゼラチン水溶液8gに添加し、ビーズを濾過して除
き、染料のゼラチン分散物を得た。染料微粒子の平均粒
径は0.24μmであった。
【0300】同様にして、ExF−4の固体分散物を得
た。染料微粒子の平均粒径は、0.45μmであった。
ExF−2は欧州特許出願公開(EP)第549,48
9A号明細書の実施例1に記載の微小析出(Micro
precipitation)分散方法により分散し
た。平均粒径は0.06μmであった。
【0301】ExF−6の固体分散物を以下の方法で分
散した。水を18%含むExF−6のウェットケーキ2
800gに4000gの水及びW−2の3%溶液を37
6g加えて攪拌し、ExF−6の濃度32%のスラリー
とした。次にアイメックス(株)製ウルトラビスコミル
(UVM−2)に平均粒径0.5mmのジルコニアビー
ズを1700mL充填し、スラリーを通して周速約10
m/sec、吐出量0.5L/minで8時間粉砕し
た。平均粒径は0.52μmであった。
【0302】上記各層の形成に用いた化合物は、以下に
示すとおりである。
【0303】
【化27】
【0304】
【化28】
【0305】
【化29】
【0306】
【化30】
【0307】
【化31】
【0308】
【化32】
【0309】
【化33】
【0310】
【化34】
【0311】
【化35】
【0312】
【化36】
【0313】
【化37】
【0314】
【化38】
【0315】
【化39】
【0316】
【化40】
【0317】
【化41】
【0318】これらの試料を40℃、相対湿度70%の
条件下で14時間硬膜処理を施した。その後、富士フイ
ルム(株)製ゼラチンフィルターSC−39(カットオ
フ波長が390nmである長波長光透過フィルター)と
連続ウェッジを通して1/100秒間露光した。現像は富士
写真フイルム社製自動現像機FP−360Bを用いて以
下により行った。尚、漂白浴のオーバーフロー液を後浴
へ流さず、全て廃液タンクへ排出する様に改造を行っ
た。このFP−360Bは発明協会公開技法94−49
92号に記載の蒸発補正手段を搭載している。
【0319】処理工程及び処理液組成を以下に示す。 (処理工程) 工程 処理時間 処理温度 補充量* タンク容量 発色現像 3分 5秒 37.8 ℃ 20 mL 11.5L 漂 白 50秒 38.0 ℃ 5 mL 5L 定着 (1) 50秒 38.0 ℃ − 5L 定着 (2) 50秒 38.0 ℃ 8 mL 5L 水 洗 30秒 38.0 ℃ 17 mL 3L 安定 (1) 20秒 38.0 ℃ − 3L 安定 (2) 20秒 38.0 ℃ 15 mL 3L 乾 燥 1分30秒 60.0 ℃ *補充量は感光材料35mm幅1.1m当たり(24Ex.1本相当)。
【0320】安定液及び定着液は(2)から(1)への
向流方式であり、水洗水のオーバーフロー液は全て定着
浴(2)へ導入した。尚、現像液の漂白工程への持ち込
み量、漂白液の定着工程への持ち込み量、及び定着液の
水洗工程への持ち込み量は感光材料35mm幅1.1m
当たりそれぞれ2.5mL、2.0mL、2.0mLで
あった。また、クロスオーバーの時間はいずれも6秒で
あり、この時間は前工程の処理時間に包含される。上記
処理機の開口面積は発色現像液で100cm2、漂白液
で120cm2、その他の処理液は約100cm2であっ
た。
【0321】以下に処理液の組成を示す。 (発色現像液) タンク液(g) 補充液(g) ジエチレントリアミン五酢酸 3.0 3.0 カテコール−3,5−ジスルホン酸 ジナトリウム 0.3 0.3 亜硫酸ナトリウム 3.9 5.3 炭酸カリウム 39.0 39.0 ジナトリウム−N,N−ビス(2−スル ホナートエチル)ヒドロキシルアミン 1.5 2.0 臭化カリウム 1.3 0.3 沃化カリウム 1.3mg − 4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3, 3a,7−テトラザインデン 0.05 − ヒドロキシルアミン硫酸塩 2.4 3.3 2−メチル−4−〔N−エチル−N− (β−ヒドロキシエチル)アミノ〕 アニリン硫酸塩 4.5 6.5 水を加えて 1.0L 1.0L pH(水酸化カリウムと硫酸にて調整) 10.05 10.18。
【0322】 (漂白液) タンク液(g) 補充液(g) 1,3−ジアミノプロパン四酢酸第二 鉄アンモニウム一水塩 113 170 臭化アンモニウム 70 105 硝酸アンモニウム 14 21 コハク酸 34 51 マレイン酸 28 42 水を加えて 1.0L 1.0L pH〔アンモニア水で調整〕 4.6 4.0。
【0323】(定着(1)タンク液)上記漂白タンク液
と下記定着タンク液の5対95(容量比)混合液(pH
6.8)。
【0324】 (定着(2)) タンク液(g) 補充液(g) チオ硫酸アンモニウム水溶液 240mL 720 mL (750g/L) イミダゾール 7 21 メタンチオスルホン酸アンモニウム 5 15 メタンスルフィン酸アンモニウム 10 30 エチレンジアミン四酢酸 13 39 水を加えて 1.0L 1.0L pH〔アンモニア水、酢酸で調整〕 7.4 7.45。
【0325】(水洗水)水道水をH型強酸性カチオン交
換樹脂(ロームアンドハース社製アンバーライトIR−
120B)と、OH型強塩基性アニオン交換樹脂(同ア
ンバーライトIR−400)を充填した混床式カラムに
通水してカルシウム及びマグネシウムイオン濃度を3m
g/L以下に処理し、続いて二塩化イソシアヌール酸ナ
トリウム20mg/Lと硫酸ナトリウム150mg/L
を添加した。この液のpHは6.5〜7.5の範囲にあ
った。
【0326】 (安定液) タンク液、補充液共通 (単位g) p−トルエンスルフィン酸ナトリウム 0.03 ポリオキシエチレン−p−モノノニルフェニルエーテル 0.2 (平均重合度10) 1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン・ナトリウム 0.10 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.05 1,2,4−トリアゾール 1.3 1,4−ビス(1,2,4−トリアゾール−1− イルメチル)ピペラジン 0.75 水を加えて 1.0L pH 8.5。
【0327】発色現像液の補充量を半分にして同様の処
理を行った。結果を表−10に示す。
【0328】
【表10】
【0329】表−10から明らかなように、本発明の乳
剤を低感度層に用いることにより感度が高くかつ現像処
理依存性が改良された感材を得ることができることが判
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の代表的なハロゲン化銀乳剤の
電子顕微鏡写真(倍率10万倍)である。
フロントページの続き (72)発明者 森 貴慶 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写真 フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2H023 BA03 BA04

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 全粒子の円相当径の変動係数が30%以
    下であり、全投影面積の70%以上が下記(i)、(i
    i)および(iii)要件を満たすハロゲン化銀粒子で占め
    られていることを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。 (i)(111)面を主表面とする沃塩臭化銀平板粒子 (ii)少なくとも一つの頂点部にエピタキシャル接合を
    有する (iii)エピタキシャル部に少なくとも1本の転位線を
    有する
  2. 【請求項2】 全粒子の円相当径の変動係数が30%以
    下であり、全投影面積の70%以上が下記(i)、(i
    i)および(iii’)の要件を満たすハロゲン化銀粒子で
    占められていることを特徴とするハロゲン化銀写真乳
    剤。 (i)(111)面を主表面とする沃塩臭化銀平板粒子 (ii)少なくとも一つの頂点部にエピタキシャル接合を
    有する (iii’)エピタキシャル部に網目状の転位線を有する
  3. 【請求項3】 全粒子の円相当径の変動係数が30%以
    下であり、全投影面積の70%以上が下記(i)、(i
    i’)および(iii)の要件を満たすハロゲン化銀粒子で
    占められていることを特徴とするハロゲン化銀写真乳
    剤。 (i)(111)面を主表面とする沃塩臭化銀平板粒子 (ii’)全ての頂点部にエピタキシャル接合を有する (iii)エピタキシャル部に少なくとも1本の転位線を
    有する
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