JP2001126237A - 記録媒体用基板および記録媒体ならびに情報記録装置 - Google Patents

記録媒体用基板および記録媒体ならびに情報記録装置

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JP2001126237A
JP2001126237A JP29952599A JP29952599A JP2001126237A JP 2001126237 A JP2001126237 A JP 2001126237A JP 29952599 A JP29952599 A JP 29952599A JP 29952599 A JP29952599 A JP 29952599A JP 2001126237 A JP2001126237 A JP 2001126237A
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recording
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Takeshi Kuriwada
健 栗和田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】Al又はAl合金製基板を使用した記録媒体用
基板であって、研磨工程の短縮化を図ることが可能な樹
脂塗布法によって表面平滑性が付与され且つ非塗布部に
おける耐蝕性などの問題が解決された記録媒体用基板を
提供する。 【解決手段】Al又はAl合金製基板の全面にアルマイ
ト層を設け、当該アルマイト層の少なくとも片面に耐熱
性樹脂層を設けて成る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録媒体用基板お
よび記録媒体ならびに情報記録装置に関し、詳しくは、
平滑性に優れて高密度記録媒体に適した記録媒体用基板
および当該基板を使用した記録媒体ならびに当該記録媒
体を搭載した情報記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】記録媒体は基板上に記録層を形成して構
成され、記録層の構成により種々の記録媒体がある。そ
して、何れの記録媒体の場合においても、記録密度の向
上に伴い、一層高い表面平滑性を有する基板が求められ
ている。
【0003】基板に表面平滑性を付与する方法の一つと
して、基板上にポリイミド樹脂の前駆体溶液などを塗布
し、溶液の表面張力による自己レベリング効果によって
平滑な表面(熱硬化後の樹脂表面)を形成する方法があ
る(特開昭56−94521号公報)。斯かる樹脂被覆
方法は、中仕上げ状態の基板にも適用することが出来
(特開平9−161258号公報)、その場合は、機械
研磨を中心とする従来の研磨工程の大幅な短縮化が可能
であり、基板のコストダウンを達成することが出来る。
そして、樹脂の塗布方法としては、通常、平滑な樹脂表
面が得られ易いスピンコート法が採用される。
【0004】ところで、Al又はAl合金製基板にスピ
ンコート法によって樹脂を塗布せんとした場合、スピン
コート時に固定機構によって基板を保持する関係から非
塗布部が存在する。特にドーナツ状基板の場合は、セン
ターホールの周囲やその周縁部は塗布することが出来な
い。そのため、基板の非塗布部においては、耐蝕性など
が問題となる。斯かる問題は、基板の片面のみに樹脂層
と記録層を形成した片面型記録媒体の場合に顕著であ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑みなされたものであり、その目的は、Al又はAl合
金製基板を使用した記録媒体用基板であって、研磨工程
の短縮化を図ることが可能な樹脂塗布法によって表面平
滑性が付与され且つ非塗布部における耐蝕性などの問題
が解決された記録媒体用基板を提供することにある。ま
た、本発明の他の目的は、上記の基板を使用した記録媒
体ならびに当該記録媒体を搭載した情報記録装置を提供
することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の第1
の要旨は、Al又はAl合金製基板の全面にアルマイト
層を設け、当該アルマイト層の少なくとも片面に耐熱性
樹脂層を設けて成ることを特徴とする記録媒体用基板に
存する。
【0007】本発明の第2の要旨は、上記の記録媒体用
基板の耐熱性樹脂層の上に記録層を設けて成ることを特
徴とする記録媒体に存する。
【0008】そして、本発明の第3の要旨は、記録媒体
と、記録媒体を記録/再生方向に駆動させる駆動部と、
記録部と再生部を含む情報記録/再生ヘッドと、当該ヘ
ッドを記録媒体に対して相対運動させる手段と、当該ヘ
ッドへの記録信号入力と当該ヘッドからの再生信号出力
を行うための記録再生信号処理手段を有する情報記録装
置において、記録媒体が上記の記録媒体であることを特
徴とする情報記録装置に存する。
【0009】
【発明の実施の形態】先ず、本発明の記録媒体用基板に
ついて説明する。本発明の記録媒体用基板は、Al又は
Al合金製基板の全面にアルマイト層を設け、当該アル
マイト層の少なくとも片面に耐熱性樹脂層を設けて成
る。
【0010】Al合金としては、従来公知のAl合金、
例えばAl−Mg合金などが使用される。Al又はAl
合金製基板は、表面粗さRaが1〜20nm且つRmax
が100nm以下のものを使用するのが好ましい。更に
は、表面うねりWaが1〜4nm且つWmax が30nm
以下のものを使用するのが一層好ましい。すなわち、本
発明においては、仕上げ研磨(最終研磨)を施していな
い段階の基板を使用するのが基板のコストダウンが図ら
れる点において推奨される。そして、上記の様な表面特
性は、片面型記録媒体の場合には、耐熱性樹脂層を設け
られる片面のみについて要求される。代表的な基板であ
るドーナツ状基板の寸法の一例を示せば次の表1の通り
である。斯かるドーナツ状基板の場合、表面うねりWa
およびWmax は、記録方向とラジアル方向の両者につい
て存在するが、上記の各値は、この両者について満足す
るのが好ましい。
【0011】
【表1】
【0012】アルマイト層(陽極酸化被膜層)は、例え
ば、クロム酸、硫酸、シュウ酸、ホウ酸、スルファミン
酸などの酸性浴中での陽極酸化処理により形成される
が、硫酸中での陽極酸化処理が最も良好な結果を与え
る。硫酸中での陽極酸化の場合、硫酸濃度は100〜3
00g/l、溶存アルミニウム濃度は2〜15g/l、
液温は15〜30℃、電解電圧は5〜20V、電流密度
は0.5〜3A/dm2 の範囲に設定するのがよい。
【0013】酸性浴中にドーナツ状基板を浸漬する際に
使用する保持具としては、例えば、「ディッピング法に
より磁気ディスクの表面を処理する際に使用する磁気デ
ィスクの保持具」として本出願人によって提案された次
の様な保持具を使用することが出来る。
【0014】(1)昇降ポールより水平方向に突出した
左右1対のアームから成り、各アームは、その上部が片
刃状に形成され且つ刃面同士を対向させて同一高さで平
行に配置され、刃線に沿った左右のアームの同一位置に
複数のV型溝を備え、そして、上記片刃の刃先角度は3
0°未満になされ、しかも、上記V型溝の底部には当該
V型溝に連なる凹状のスリットを備えている磁気ディス
クの保持具(特開平8−281189号公報)。
【0015】(2)昇降ポールより水平方向に突出した
左右1対の1組のアームの複数組みから成り、各アーム
は、その上部が片刃状に形成され且つ同一高さで平行に
配置され、刃線に沿った各アームの同一位置に複数のV
型溝を備え、そして、左右1対の各アームの間隔は、デ
ィッピング処理液から引き上げる際に毛管現象によりデ
ィッピング処理液を吸引除去し得るに十分な距離になさ
れている磁気ディスクの保持具(特開平8−28119
0号公報)。
【0016】上記の様な保持具の使用により、ドーナツ
状基板の全面にアルマイト層が設けられる。アルマイト
層の厚さは、通常1〜20μm、好ましくは3〜10μ
mとされる。アルマイト層の厚さが1μm未満の場合
は、樹脂非塗布部の耐蝕性などを十分に高めることが困
難であり、20μmを超える場合は記録媒体の薄型化が
困難である。
【0017】アルマイト層は多孔性の状態でもよいが、
必要に応じて封孔処理を施こしてもよい。封孔処理は、
加圧水蒸気または沸騰水による処理によっても行い得る
が、封孔処理剤を使用するのが効率的であり好ましい。
封孔処理剤を使用した封孔処理としては、例えば、主成
分としてフッ化ニッケルを含有する水溶液を使用する低
温封孔処理、例えば、主成分として酢酸ニッケルを含有
する水溶液を使用する高温封孔処理が挙げられる。
【0018】低温封孔処理の場合、フッ化ニッケル水溶
液の濃度は、適宜選択し得るが、3〜6g/lの範囲内
が最も効果的である。フッ化ニッケル水溶液のpHは、
4.5〜6.5、好ましくは5.5〜6.0の範囲がよ
い。pH調節剤としては、シュウ酸、ホウ酸、蟻酸、酢
酸、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、アンモニア水
等を用いることができる。
【0019】また、低温封孔処理における処理温度は、
封孔処理をスムーズに進めるため、25〜40℃、好ま
しくは30〜35℃の範囲、フッ化ニッケル水溶液のp
Hは、4.5〜6.5、好ましくは5.5〜6.0の範
囲がよい。処理時間は、被膜の平均膜厚1μm当り1〜
3分の範囲内が好ましい。また、フッ化ニッケル水溶液
には、被膜物性を改良するため、フッ化ニッケル、酢酸
コバルト、硫酸ニッケル、界面活性剤などを添加しても
よい。
【0020】高温封孔処理の場合は、酢酸ニッケル水溶
液の他、酢酸コバルト、酢酸鉛、酢酸ニッケル−コバル
ト、硝酸バリウム等の金属塩水溶液を使用することが出
来るが、特に酢酸ニッケルを使用するのが好ましい。酢
酸ニッケル水溶液の濃度は、3〜20g/lの範囲内が
好ましい。酢酸ニッケル水溶液のpHは、5.0〜6.
0の範囲がよい。pH調節剤としては、アンモニア水、
酢酸ナトリウム等を使用することが出来る。
【0021】また、高温封孔処理における処理温度は、
65〜100℃、好ましくは80〜98℃の範囲がよ
い。この場合も、酢酸ニッケル水溶液には、被膜物性を
改良するため、酢酸ナトリウム、有機カルボン酸塩、ア
ニオン系、ノニオン系界面活性剤などを添加してもよ
い。
【0022】なお、低温封孔処理や高温封孔処理に好適
に使用される封孔処理剤としては、日科化学(株)製の
「ハードウォール−3」、日本化学産業(株)製の「ア
ルマイトシーラ」、奥野製業(株)製の「トップシール
DX」等が挙げられる。
【0023】アルマイト層の少なくとも片面に設けられ
る耐熱性樹脂層の構成樹脂としては、例えば、ポリイミ
ド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンサルフ
ァイド樹脂、シリコン樹脂、シリコンポリエステル樹
脂、フッ素樹脂などが挙げられる。これらの中ではポリ
イミド樹脂が好適に使用される。
【0024】本発明で使用する好ましいポリイミド樹脂
は、次の(a)及び(b)の条件を満足する反応生成物
の熱硬化反応で得られる。
【0025】(a)ビフェニルテトラカルボン酸二無水
物とジアミノジフェニルエーテルとを反応させて得ら
れ、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物−ジアミノジ
フェニルエーテルポリアミド酸を含有し、(b)芳香環
に直結したHに対するアミド基のHのモル比が0.5以
下である反応生成物。
【0026】上記のジアミノジフェニルエーテルには、
P,P’−ジアミノジフェニルエーテル、P,m’−ジ
アミノジフェニルエーテル等の異性体があるが、その何
れであってもよい。
【0027】下記の一般式(I)は、上記の反応生成物
に主成分として含有されるビフェニルテトラカルボン酸
二無水物−ジアミノジフェニルエーテルポリアミド酸
(ポリイミド樹脂の前駆体)の繰返し構造を表す。そし
て、(a)〜(e)は芳香環に直結したH、(f)アミ
ド基のHを表す。
【0028】
【化1】
【0029】上記のHモル比は、1H−NMRの測定結
果に基づいて算出した値であり、好ましくは0.25以
下、更に好ましくは0.1以下である。上記のHモル比
の下限は通常0.01である。
【0030】本発明においては、上記の様な特定の反応
生成物(ポリイミド樹脂の前駆体)を使用することによ
り、表面に泡などが存在しない鏡面状の塗膜が得られ、
表面平滑性に一層優れるポリイミド樹脂層が形成され
る。
【0031】ポリイミド樹脂層は次の様にして形成され
る。先ず、触媒の存在下、必要に応じ、ジメチルアセト
アミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン
等の極性溶媒中、室温で上記の出発物質を反応させてポ
リイミド樹脂の前駆体を形成する。この前駆体を含む反
応生成物をそのままワニスとして使用しするか、また
は、前述の極性溶媒と更に混合してワニスを調製する。
次いで、基板の表面に上記のワニスを塗布した後に熱硬
化させる。
【0032】ポリイミド樹脂の前駆体のワニス中の濃度
(溶液中の濃度)は、塗布ムラを少なくし且つ塗布時間
を短縮する観点から、通常5〜60重量%、好ましくは
10〜50重量%とされる。また、ワニスの粘度(25
℃における値)は、通常5〜500cp、好ましくは1
50〜200cpとされる。
【0033】ワニスの塗布方法は、平滑な樹脂表面が得
られ易いスピンコート法が推奨される。スピンコート法
に使用されるスピンコーター(回転式塗布装置)は、原
理的には、アウターカップ、その内側に配置され且つ回
転軸に支承されたインナーカップ、その中央部に配置さ
れたドーナツ状基板の固定機構、上記ドーナツ状基板の
表面部の中央部にワニスを供給する手段から構成され、
ドーナツ状基板の表面部の中央部に供給されたワニスは
インナーカップの回転(ドーナツ状基板の回転)による
遠心力によって流延される。
【0034】ワニスを塗布した後の熱硬化は、通常、次
の様に行われる。先ず、塗膜を例えば60〜200℃で
乾燥した後、不活性ガス(窒素)雰囲気中、例えば20
0〜600℃で焼成して硬化させる。
【0035】ポリイミド樹脂以外の耐熱性樹脂の場合も
上記と同様にワニスを調製して塗布した後に熱硬化させ
て耐熱性樹脂層が形成される。ワニスを調製時の溶媒や
熱硬化などの条件は、使用する樹脂によって適宜選択さ
れる。更に、本発明においては、UV硬化型耐熱性樹脂
も使用することが出来る。
【0036】耐熱性樹脂層の厚さは、通常0.1〜10
μm、好ましくは0.5〜5μmとされる。耐熱性樹脂
層の厚さが0.1μm未満の場合は、Al又はAl合金
製基板表面に十分に平滑な表面を形成することが困難で
あり、10μmを超える場合は耐熱性樹脂層全体の平坦
化が困難である。そして、この様にして形成された耐熱
性樹脂層の表面粗さRaは、通常1nm以下、好ましく
は0.5nm以下である。
【0037】次に、本発明の記録媒体について説明す
る。本発明の記録媒体は、上記の記録媒体用基板の耐熱
性樹脂層の上に記録層を設けて成る。記録層の種類によ
り種々の記録媒体を構成することが出来る。以下、磁気
記録媒体を例に挙げて説明する。
【0038】記録媒体、特に磁気記録媒体の場合は、耐
熱性樹脂層上にNiP、NiAl等の非磁性合金層を形
成することが好ましい。非磁性合金層の形成手段は任意
である。例えば、無電解メッキ法、スパッタリング法、
真空蒸着法、CVD法などの公知の薄膜形成手段を利用
することが出来る。非磁性合金層の厚さは、通常10〜
200nm、好ましくは20〜100nmとされる。
【0039】耐熱性樹脂層または非磁性合金層の上に
は、例えばCrを主成分とする種子層等の下地層を形成
した後、Co合金磁性層を形成するのが好ましい。
【0040】Crを主成分とする種子層の材料として
は、純Crや酸化Crの他、Co層との結晶マッチング
等の目的により、V、Ti、Mo、Zr、Hf、Ta、
W、Ge、Nb、Si、Cu、B等の元素が添加された
Cr等が使用される。これらの中では純Crが好まし
い。また、Ti、Mo、W、V、Ta、Si、Nb、Z
r及びHfの群から選択される1種または2以上の元素
が添加されたCrも好ましい。添加元素の含有量は、通
常1〜50原子%、好ましくは5〜30原子%、更に好
ましくは5〜20原子%の範囲である。
【0041】Crを主成分とする種子層の厚さは、その
異方性を発現させ得るに十分な厚さであればよく、通常
0.1〜50nm、好ましくは0.3〜30nm、更に
好ましくは0.5〜10nmである。Crを主成分とす
る種子層の成膜時は基板加熱を行っても行わなくてもよ
い。
【0042】Co合金磁性層としては、通常、純Coの
他、CoNi、CoSm、CoCrTa、CoNiC
r、CoCrPt等のCo合金磁性材料が使用される。
これらのCo合金に更にNi、Cr、Pt、Ta、W、
B等の元素やSiO2 等の化合物を添加したCo合金で
あってもよい。斯かるCo合金としては、例えば、Co
CrPtTa、CoCrPtB、CoNiPt、CoN
iCrPtB等が挙げられる。Co合金磁性層の膜厚
は、通常5〜50nm、好ましくは10〜30nmであ
る。
【0043】本発明においては、前記の下地層(第1下
地層)とCo合金磁性層との間に、Crを主成分とする
第2下地層を設けてもよい。この第2下地層の材料に
は、Crを主成分とする種子層と同様の材料を使用する
ことが出来、両者の元素組成は同一であっても異ってい
てもよい。第2下地層の厚さは、目的とする磁気記録媒
体の諸特性にあわせて任意に設定できるが、通常1〜1
00nm、好ましくは5〜50nmである。
【0044】通常、磁性層の上には、任意の保護層を形
成し、次いで潤滑層を形成する。保護層としては、炭素
(C)、水素化C、窒素化C、アルモファスC、SiC
等の炭素質層、SiO2、Zr23 、TiN等が使用
される。また、保護層は、2層以上の層から構成されて
いてもよい。保護層の厚さは、通常1〜50nm、好ま
しくは5〜30nmである。潤滑層に使用する潤滑剤と
しては、フッ素系潤滑剤、炭化水素系潤滑剤およびびこ
れらの混合物などが挙げられ、通常1〜4nmの厚さで
潤滑層を形成する。
【0045】また、本発明の磁気記録媒体においては、
磁性層が2種以上の積層構造であってもよい。更に、C
rを主成分とする第2下地層と磁性層との間に非磁性C
oCr等の中間層を設けてもよい。
【0046】磁気記録媒体の各層を形成する成膜方法と
しては、例えば、直流(マグネトロン)スパッタリング
法、高周波(マグネトロン)スパッタリング法、ECR
スパッタリング法、真空蒸着法などの物理的蒸着法が挙
げられる。
【0047】成膜時の条件は、特に制限されず、到達真
空度、基板加熱の方式と基板温度、スパッタリングガス
圧、バイアス電圧などは、成膜装置により適宜決定すれ
ばよい。例えば、通常のスパッタリング成膜の場合、到
達真空度は1×10-6Torr以下、必要に応じて加熱
される基板の温度は、通常〜400℃、好ましくは10
0〜300℃、更に好ましくは150〜250℃である
が、耐熱性樹脂層のガラス転移温度以下で行う。スパッ
タリングガス圧は1×10-3〜20×10-3Torr、
バイアス電圧は一般的には0〜−500Vである。成膜
の際、磁性層のCrの偏析を促進するため、基板を10
0〜350℃程度に加熱することが好ましい。基板の加
熱は下地層の形成前に行ってもよい。
【0048】本発明の記録媒体は、前記の記録媒体用基
板の耐熱性樹脂層の上に記録層を設けて構成されるた
め、片面のみに耐熱性樹脂層が設けられている記録媒体
用基板を使用した場合は片面型記録媒体が構成される。
従来、Al又はAl合金製基板の片面のみに記録層を含
む各種の機能層を形成した片面型記録媒体は変形(反
り)が起こる問題があると言われている。しかしなが
ら、本発明の片面型記録媒体の場合は、意外にも、基板
の表面に設けられる耐熱性樹脂層の樹脂としての性質が
作用し、上記の様な変形は皆無である。
【0049】次に、本発明の情報記録装置について説明
する。本発明の情報記録装置は、前記の本発明に係る記
録媒体を使用する点を除き、従来の情報記録装置と同様
であり、記録媒体と、記録媒体を記録/再生方向に駆動
させる駆動部と、記録部と再生部を含む情報記録/再生
ヘッドと、当該ヘッドを記録媒体に対して相対運動させ
る手段と、当該ヘッドへの記録信号入力と当該ヘッドか
らの再生信号出力を行うための記録再生信号処理手段を
有する。
【0050】そして、磁気ヘッドの再生部をMRヘッド
で構成することにより、高記録密度においても十分な信
号強度を得ることが出来、1平方インチ当たり2ガビッ
ト以上の高記録密度を持った磁気記憶装置を実現するこ
とが出来る。また、従来より低い高さで上記の磁気ヘッ
ド浮上させた場合(浮上量:0.01μm 以上0.05
μm 未満)は、出力が向上して高い装置S/Nが得ら
れ、大容量で高信頼性の磁気記憶装置を実現することが
出来る。また、最尤復号法による信号処理回路を組み合
わせた場合は、更に記録密度が向上し、例えば、トラッ
ク密度10kTPI以上、線記録密度200KFCI以
上、1平方インチ当たり2G ビット以上の記録密度の条
件下で記録・再生する場合にも十分なS/Nが得られ
る。
【0051】更に、相互の磁化方向が外部磁界によって
相対的に変化することによって大きな抵抗変化を生じる
複数の導電性磁性層およびその導電性磁性層の間に配置
された導電性非磁性層から成るGMR ヘッド、また
は、スピン・バルブ効果を利用したGMR ヘッドによ
って磁気ヘッドの再生部を構成した場合は、信号強度を
更に高めることが出来、1平方インチ当たり3ギガビッ
ト以上、240KFCI以上の線記録密度を持った信頼
性の高い磁気記憶装置の実現が可能となる。
【0052】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明は、その要旨を超えない限り以下の実施
例に限定されるものではない。なお、表面粗さRaの測
定は、テンコール社製の「P−12」を使用し、測定
長:240μm、針押し付け力:3mg、走査速度:1
0μm/s、サンプリング周期:200Hz、カットオ
フ値:1.4〜80μmの条件で行った。また、表面う
ねりWaの測定は、テンコール社製の「P−12」を使
用し、測定長:5000μm、針押し付け力:3mg、
走査速度:100μm/s、サンプリング周期:100
Hz、カットオフ値:80〜450μmの条件で行っ
た。
【0053】実施例1基板として、仕上げ研磨工程前の
Al合金製3.5インチディスク(外径:95mm、内
径:25mm、厚さ:0.8mm、表面粗さRa:1
1.0nm、Rmax:68nm、記録方向およびラジ
アル方向の表面うねりWa:2.3nm、Wmax:1
8.0nm)を使用した。
【0054】(1)アルマイト層の形成:次の要領で上
記の基板の全面にアルマイト層を設けた。先ず、脱脂剤
(キザイ(株)製「NG−#30」)の30g/l水溶
液中、60℃で5分間脱脂洗浄を行なった後、7%硝酸
に25℃で1分間浸漬し、更に、水洗後、180g/l
の硫酸電解液中(溶存アルミニウム濃度7g/l)で
1.2A/dm2 の電流密度で陽極酸化を行ない、平均
膜厚6μmの陽極酸化被膜を形成した。次いで、水洗
後、酢酸ニッケルを主成分とする高温封孔剤(奥野製薬
工業(株)製「トップシールDX−500」)の10g
/l水溶液に95℃で30分間浸漬した後、略常温に冷
却した前記高温封孔剤を基板に振り掛けながら引き上げ
て封孔処理を行なった。
【0055】上記の各処理は、特開平8−281189
号公報の図1〜4に示されたのと同様の保持具、すなわ
ち、昇降ポールより水平方向に突出した左右1対のアー
ムから成り、各アームは、その上部が片刃状に形成され
且つ刃面同士を対向させて同一高さで平行に配置され、
刃線に沿った左右のアームの同一位置に複数のV型溝を
備え、そして、上記片刃の刃先角度は30°未満になさ
れ、しかも、上記V型溝の底部には当該V型溝に連なる
凹状のスリットを備えている保持具を使用し、左右1対
のアームの複数のV字型溝に複数の基板の各センターホ
ールの周縁部を係止させることにより、複数の基板を互
いに接触させることなく垂直に保持して行った。基板の
係止部における液溜まりは殆ど無く、従って、均一厚さ
で且つ基板の全面に亘ってアルマイト層が形成された。
【0056】(2)耐熱性樹脂層の形成:先ず、次の要
領で耐熱性樹脂層形成用のワニスを調製した。すなわ
ち、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とジアミノジ
フェニルエーテルとをN−メチルピロリドン100重量
部中にて反応させ、ビフェニルテトラカルボン酸二無水
物−p,m’−ジアミノジフェニルエーテルポリアミド
酸(ポリイミド樹脂の前駆体)45重量部を含有する反
応生成物を得た。これとN−メチルピロリドンとを混合
し、粘度(25℃)160cpのワニスを調製した。ポ
リイミド樹脂の前駆体の、芳香環に直結したH(本文中
の一般式(I)におけるa〜e)に対するアミド基のH
(本文中の一般式(I)におけるf)のモル比(1H−
NMRの測定値から算出)は0.03であった。なお、
1H−NMRの測定条件は次の通りである。
【0057】<1H−NMRの測定条件>試料5.0m
gを重水素化ジメチルスルホキシド0.6mlに溶解
し、バリアン社製の核磁気共鳴装置「Inova50
0」を使用して行なった。
【0058】次いで、アルマイト層が設けられた前記の
基板の片面(アルマイト層面)に上記のワニスを塗布し
た。塗布は、スピンコーターのインナーカップの中央部
に配置された固定機構で基板を保持し、2000rp
m、10secの条件下でスピンコートした。得られた
塗膜は、表面に泡などが存在しない鏡面状の塗膜であっ
た。次いで、窒素雰囲気中、徐々に昇温し約80℃で3
0分乾燥した後、更に、徐々に昇温し300℃で30分
間焼成して硬化させ、平均厚さ2.0μmのポリイミド
樹脂層を形成した。ポリイミド樹脂層の平均表面粗さR
aは0.5nmであった。
【0059】(3)磁気記録媒体の製造および磁気記録
装置の組み立て:上記で得られた記録媒体用基板を使用
し、次の要領で磁気記録媒体を製造した。先ず、スパッ
タリングにより、記録媒体用基板の片面のポリイミド樹
脂層の表面に、順次、NiP層(100nm)、Cr層
(20nm)、CoCrTa層(15nm)、C層(1
0nm)を成膜した。次いで、C層の表面に潤滑層を塗
布し、片面型磁気記録媒体を得た。そして、得られた片
面型磁気記録媒体と、記録媒体を記録/再生方向に駆動
させる駆動部と、記録部と再生部を含む情報記録/再生
ヘッドと、当該ヘッドを記録媒体に対して相対運動させ
る手段と、当該ヘッドへの記録信号入力と当該ヘッドか
らの再生信号出力を行うための記録再生信号処理手段を
有する磁気記録装置を組み立てた。
【0060】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、Al又は
Al合金製基板を使用した記録媒体用基板であって、研
磨工程の短縮化を図ることが可能な樹脂塗布法によって
表面平滑性が付与され且つ非塗布部における耐蝕性など
の問題が解決された記録媒体用基板が提供され、本発明
の工業的価値は大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AA19B AB10A AB31A AB31E AK01C AK01D AK49C AK49D AS00E BA05 BA06 BA07 BA10A BA10E BA13 DD07A DD07C DD07D GB90 JA20B JA20C JA20D JB02 JG06E JJ03C JJ03D JK15 YY00A YY00B YY00C YY00D 5D006 CA01 CB02 CB03 CB04 CB07 CB08 FA00

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Al又はAl合金製基板の全面にアルマ
    イト層を設け、当該アルマイト層の少なくとも片面に耐
    熱性樹脂層を設けて成ることを特徴とする記録媒体用基
    板。
  2. 【請求項2】 アルマイト層が封孔処理されている請求
    項1に記載の記録媒体用基板。
  3. 【請求項3】 耐熱性樹脂がポリイミド樹脂である請求
    項1又は2に記載の記録媒体用基板。
  4. 【請求項4】 ポリイミド樹脂が次の(a)及び(b)
    の条件を満足する反応生成物の熱硬化反応で得られたも
    のである請求項3に記載の記録媒体用基板。 (a)ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とジアミノ
    ジフェニルエーテルとを反応させて得られ、ビフェニル
    テトラカルボン酸二無水物−ジアミノジフェニルエーテ
    ルポリアミド酸を含有し、(b)芳香環に直結したHに
    対するアミド基のHのモル比が0.5以下である反応生
    成物。
  5. 【請求項5】 Al又はAl合金製基板の表面粗さRa
    が1〜20nm且つRmax が100nm以下、アルマイ
    ト層の厚さが1〜20μm、耐熱性樹脂層の厚さが0.
    1〜10μm、耐熱性樹脂層の表面粗さRaが1nm以
    下である請求項1〜4の何れかに記載の記録媒体用基
    板。
  6. 【請求項6】 Al又はAl合金製基板の表面うねりW
    aが1〜4nm且つWmax が30nm以下である請求項
    5に記載の記録媒体用基板。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6の何れかに記載の記録媒体
    用基板の耐熱性樹脂層の上に記録層を設けて成ることを
    特徴とする記録媒体。
  8. 【請求項8】 耐熱性樹脂層と記録層との間に非磁性合
    金層を有する請求項7に記載の記録媒体。
  9. 【請求項9】 記録層が磁気記録層である請求項7又は
    8に記載の記録媒体。
  10. 【請求項10】 記録媒体と、記録媒体を記録/再生方
    向に駆動させる駆動部と、記録部と再生部を含む情報記
    録/再生ヘッドと、当該ヘッドを記録媒体に対して相対
    運動させる手段と、当該ヘッドへの記録信号入力と当該
    ヘッドからの再生信号出力を行うための記録再生信号処
    理手段を有する情報記録装置において、記録媒体が請求
    項7〜9の何れかに記載の記録媒体であることを特徴と
    する情報記録装置。
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