JP2006338837A - ガラス基体へのめっき方法、垂直磁気記録媒体用ディスク基板の製造方法、垂直磁気記録媒体用ディスク基板及び垂直磁気記録媒体 - Google Patents

ガラス基体へのめっき方法、垂直磁気記録媒体用ディスク基板の製造方法、垂直磁気記録媒体用ディスク基板及び垂直磁気記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】 表面に適度な粗さを均一に欠陥なく付与することが可能なエッチング液を用いてガラス基板にエッチング処理を施した後に無電解めっき法により軟磁性めっき膜を形成することにより、ハードディスクとしての垂直磁気記録媒体の軟磁性裏打ち層に要求される磁気特性、膜厚、密着性、均一性、平滑性などを満足させる。
【解決手段】 ガラス基板の表面に、少なくとも、フッ化水素酸、フッ化物塩、親水性溶媒、及び水が混合されてなるエッチング液を用いてエッチング処理S2を施した後に、無電解めっきS7により軟磁性めっき膜を形成し、その軟磁性めっき膜に加熱処理S8、ポリッシュ加工S9を施す。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ガラス材料からなる基体へのめっき方法、そのめっき方法を用いる垂直磁気記録媒体用ディスク基板及び垂直磁気記録媒体の製造方法、並びにその製造方法を用いて製造される垂直磁気記録媒体用ディスク基板及び垂直磁気記録媒体に関し、特にハードディスク装置に搭載する垂直磁気記録媒体に用いて好適である。
近年、コンピュータやデジタル家電製品などの記憶装置としてハードディスク装置が多く用いられている。このハードディスク装置に搭載する磁気記録媒体としての磁気ディスク(ハードディスク)は、長手磁気記録方式の場合には、一般に、ディスク状非磁性基板の表面に無電解めっき法でNi−P層を形成し、そのNi−P層の表面に所要の平滑化処理、テクスチャリング処理などを施した後、その表面上に非磁性金属下地層、強磁性合金薄膜の磁気記録層、保護層などをスパッタリング法などで順次成膜することにより作製される。
従来、非磁性基板の材料としてはアルミニウム合金が用いられてきたが、ハードディスク装置の大容量化、小型化の進展に対応して磁気ディスクも平坦度が高く、小径、薄形のものが要求され、このような市場要求に対して、従来のアルミニウム合金基板では対応が難しいため、基板材料としてガラスが用いられるようになってきている。
その際、ガラス基板の表面にNi−P層を形成してアルミニウム合金基板の場合と同様な表面特性を有するものとすることが、良好な特性の磁気ディスクを得るために望まれているが、ガラス材料からなる基体上に無電解めっき法でめっき膜を密着性良く均一、平滑に形成することは技術的に難しく、その課題を解決するための無電解めっきの前後処理として種々の方法が提案されている。
例えば、塩化パラジウムおよび塩化スズ(II)を含む水溶液で処理し、次いで炭酸アルカリ水溶液、炭酸水素アルカリ水溶液、または両者の混合水溶液で処理した後、無電解めっきを行う方法(特許文献1参照)、クロム酸−硫酸混合溶液および硝酸溶液で二段階エッチング処理し、次いで強アルカリ性溶液でエッチングした後、希薄な塩化スズ(II)で増感処理し、さらに銀塩溶液およびパラジウム塩溶液で活性化処理した後、無電解めっきを行う方法(特許文献2参照)、硫酸と重クロム酸カリウムの温液で清浄化した後、塩酸で酸性にした塩化スズ(II)で増感、次いで塩化パラジウムの溶液で活性化した後、無電解めっきを行う方法(特許文献3参照)、アルカリ脱脂し、フッ化水素酸でエッチングした後、塩化スズ(II)の溶液で増感、次いで塩化パラジウムの溶液で活性化した後、無電解めっきを行う方法などが提案されている。
また、特許文献4には、良好な磁気ディスクを得るに十分な密着性と平滑性を有するNi−P層をガラス基板上に形成するための無電解Ni−Pめっき方法が提案されている。
これは、前処理として、ガラス基板をまず十分に脱脂し、続いてエッチングを行ってアンカー効果を高め、エッチング時に生じ基板表面に付着した異物を除去し、表面調整工程を施して基板表面を化学的に均一化し、続いて感受化処理、活性化処理を行った後、無電解Ni−Pめっきを行うものであり、エッチング液としてはフッ化水素酸とフッ化水素カリウムを含む水溶液を用い、表面異物除去には塩酸を用い、表面調整にはナトリウムメトキシドを含む水溶液を用いると好適とされている。
同様に、特許文献5には、ガラス基板表面に、水酸化カリウム溶液によるアルカリ脱脂処理,フッ酸によるエッチング処理,温純水処理,シランカップリング剤処理,塩化パラジウム水溶液によるアクチベーター処理,次亜リン酸ナトリウム水溶液によるアクサレーター処理を順次施した後、無電解Ni−Pめっきを行い、続いて、加熱処理を施すことによる磁気ディスク用ガラス基板への無電解Ni−Pめっき層の形成方法が提案されている。
一方、スパッタリング法にてNi−P等の下地層を形成する方法もあるが、通常ではガラスと金属の密着性は良くないので、ガラス基板上に直接下地層を成膜することは困難であり、その対策としてガラスとの密着性が金属の中で比較的良いとされるTiやCrを含む層をガラス基板上に形成し、これを密着層としてその上に下地層を成膜させなければならない。この方法は密着層であるTiやCrもガラスとの密着性が十分であるわけではないので、下地層または密着層の膜厚を厚くすると、膨張係数の差による応力により密着性が低下する問題がある。
一方、磁気記録の高密度化を実現する技術として、従来の長手磁気記録方式に代えて、垂直磁気記録方式が注目されつつある。
特に、特許文献6に示されるように、情報を記録する役割を担う磁気記録層の下側に、磁気ヘッドから発生する磁束を通しやすく、かつ飽和磁束密度Bsの高い軟磁性裏打ち層と呼ばれる軟磁性膜を付与した二層垂直磁気記録媒体は、磁気ヘッドの発生磁界強度とその磁界勾配を増加させ、記録分解能を向上させるとともに媒体からの漏洩磁束も増加させうることから、高密度記録が可能な垂直磁気記録媒体として好適であることが知られている。
この軟磁性裏打ち層として、200nmから500nm程度の膜厚を有するNi−Fe合金膜やFe−Si−Al合金膜、あるいはCoを主体とするアモルファス合金膜等をスパッタリング法により形成することが知られており、垂直磁気記録媒体の軟磁性裏打ち層としては、0.2μm〜3.0μmの比較的厚い膜が必要とされているが、スパッタリング法で成膜しようとすると、密着性の低下が問題となり、コストも高くなるので、スパッタリング法によってこれらの比較的厚い膜を形成することは、生産コストや大量生産性の観点から好ましくない。
このような問題を解決するために、無電解めっき法により形成された軟磁性膜を、軟磁性裏打ち層として用いることが提案されている。例えば特許文献7では、非磁性NiPめっき膜が付与されたAl合金ディスク基板上にNiFeP膜をめっき法で作製し、軟磁性裏打ち層として使用することが提案されている。
また、非特許文献1ではガラス基板上に形成されたCoNiFePめっき膜が、同じく非特許文献2では非磁性NiPめっき膜が付与されたAl合金ディスク基板上に形成された軟磁性NiPめっき膜が提案されている。
ここで、軟磁性裏打ち層が磁区構造を形成し、磁壁とよばれる磁化遷移領域が生じると、この磁壁から発生するスパイクノイズと呼ばれるノイズが垂直磁気記録媒体としての性能を劣化させることが知られている。したがって軟磁性裏打ち層としては磁壁の形成が抑制されていることが必要である。
前述のNiFePめっき膜では、磁壁が形成されやすいため、めっき膜上にMnIr合金薄膜をスパッタリング法により形成することで磁壁形成を抑制する必要のあることが、非特許文献3に記載されている。また、前述のCoNiFePめっき膜では、磁場中でめっきを行うことで磁壁形成が抑制されると記載されており、軟磁性NiPめっき膜では、スパイクノイズは発生しないとされている。
特許文献8では、保磁力Hcが30〜300OeのCo又はCoNi合金からなる裏打ち層を、ディスク基板の円周方向に磁気異方性を有するように形成することで、スパイクノイズの発生が抑制できることも提案されている。この例では、裏打ち層の形成はスパッタリング法や蒸着法等の乾式成膜であるが、特許文献9にはHcを30Oe以上としてスパイクノイズの抑制が可能なCo−B膜をめっき法によって形成する方法が提案され、軟磁性裏打ち層としての使用可能性が示唆されている。
特開平1−176079号公報 特開昭53−19932号公報 特開昭48−85614号公報 特開平7−334841号公報 特開2000−163743号公報 特公昭58−91号公報 特開平7−66034号公報 特開平2−18710号公報 特開平5−1384号公報 第9回 ジョイント スリーエム/インターマグ コンファレンスの抄録(Digest of 9th Joint MMM/Intermag Conference), EP-12, P.259 (2004) 第9回 ジョイント スリーエム/インターマグ コンファレンスの抄録(Digest of 9th Joint MMM/Intermag Conference), GD-13, P.368 (2004) 日本応用磁気学会誌, Vol.28, No.3, P.289-294 (2004)
しかしながら、上述のNiFePめっき膜では、スパイクノイズ抑制のために、めっき膜上にMnIr合金薄膜をスパッタリング法により形成することで磁壁形成を抑制する必要があるが、磁壁形成抑制のためにスパッタリング法により新たな膜の付与が必要であることは、生産コストや大量生産性におけるめっき法の利点を損なうものであり、好ましくない。
また、上述のCoNiFePめっき膜においても、実際の量産工程においては、めっき浴中の基板に均一な磁界を印加することは困難であるうえ、やはり大量生産性を損ねる可能性が高い。さらに、Feを含むめっき膜は、高いBsが得られるため軟磁性裏打ち層としては好適であるが、Feは二価のイオンと三価のイオンが共に安定に存在するため、一般にめっき浴の安定性を確保するのが困難であることが知られており、大量生産性に劣る面がある。
さらに、めっき法で作製した軟磁性裏打ち層の保磁力と磁壁の形成については、めっき膜の保磁力を30Oe以上としただけでは、磁壁の形成は抑制される傾向にあるものの完全に抑止することはできないこと、及び保磁力を増大させることで記録再生特性が劣化することが明らかとなった。
このような課題を解決するため、本出願人は、特願2004−121889「垂直磁気記録媒体用ディスク基板及びそれを用いた垂直磁気記録媒体」において、3at%以上20at%以下のPと、CoとNiの原子数比率(Co/(Co+Ni))で45at%以上のCoを含むCo−Ni−P合金膜からなり、かつその膜厚が0.2μm以上3μm以下である軟磁性下地層を無電解めっき法によりガラス基板上に形成することで、量産性に優れ、かつスパイクノイズが発生しないものとすることについて提案した。
一方、上述のとおり、ハードディスク装置に搭載される磁気記録媒体用のディスク基板としては、非磁性NiPめっき膜が付与されたAl合金基板の他に、結晶化ガラス又は化学強化ガラスを用いたガラスディスク基板も用いられており、ガラスディスク基板は、強度が高いことから、主として耐衝撃性が高いことが要求される持ち運び可能なハードディスク装置用の磁気記録媒体に使用されているが、ガラスディスク基板を垂直磁気記録媒体用のディスク基板として用いる場合にも、上述の無電解めっき法による軟磁性めっき膜の裏打ち層としての形成は生産性の向上のために有効である。
また、非磁性Ni−P合金からなる無電解めっき膜は、既にハードディスク用のAl合金基板に使用されている実績があり、その大量生産のための作製方法やポリッシングによる表面平滑化技術が良く知られている。したがって、ガラス基板においても無電解めっき法により非磁性又は軟磁性のめっき膜を良好な特性の磁気ディスクを得るのに十分な膜厚で、密着性良く且つ十分な平滑性を保持する下地層として形成し、磁気記録媒体のための基板として使用できれば、生産コストの観点から非常に有望である。
このため、ガラス基板に無電解めっきを施す種々の方法が提案されていることは上述のとおりであるが、その中でもシランカップリング剤を用いる方法が有効である。これは、無電解めっきの前処理として、ガラス基板に酸処理等を施し、ガラス基板表面の官能基をSi−OH基(シラノール基)に変成させた後、引き続きシランカップリング剤と縮合反応させてガラス基板とシランカップリング剤を結合させた後、続いてPd触媒液に浸漬してシランカップリング剤のアミノ基とPd触媒金属を結合させ、この触媒金属表面で無電解めっき膜を形成するものである。なお、これに用いるシランカップリング剤は、一分子中に機能分離した2官能基を兼ね備えた材料が市販されており、水溶液中で加水分解し、相互で縮合反応しながらガラス基板表面のSi−OH基と化学結合する官能基(メトキシ基、エトキシ基等)を持ち、且つめっき触媒であるPd等の金属成分との結合が可能な官能基(アミノ基)も持つものである。
しかしながら、上述のような既知の無電解めっきの前後処理方法を用いて、ガラス基板上にCo−Ni−P膜を始め、Ni−PやNi−Fe−P、Co−Ni−Fe−Pなどの軟磁性膜やNi−Pなどの非磁性膜を無電解めっき法により形成する場合には、良好な磁気ディスクを得るに十分な膜厚(1μm以上3μm以下の膜厚)及びその膜厚での十分な密着性、均一性、平滑性を満足することはできなかった。
すなわち、発明者らの検討によれば、ガラス基板上に、シランカップリング剤処理(例えば、3−アミノプロピルエトキシシラン水溶液への浸漬)、Pd触媒化処理(例えば、塩化パラジウム溶液への浸漬)などを順次施した後、無電解めっき法によりめっき膜を形成する方法を採用する場合には、ガラス基板とシランカップリング剤層の界面の結合力が弱いと、めっき反応中の膜応力により、めっき析出中に膜ふくれが発生したり、膜ふくれには至らぬまでも、次のポリッシュ工程において端面膜剥れや微小膜剥れなどの密着不良が現れることがあることが分かった。
このような密着不良を改善するための方策として、ガラス表面活性化処理の適正化によるガラス表面官能基の制御、アニール条件適正化、軟磁性膜用下地バッファ層形成、ガラス表面への粗さ付与によるアンカー効果の利用、等種々の方法が検討され、特に、フッ化水素酸やフッ化物塩との混合物によるエッチング液を用いることで、意識的にガラス表面を粗化させアンカー効果により十分なめっき膜厚や密着性を保持させることは一旦可能ではあるが、しかし現在の磁気記録媒体の表面精度(均一性や欠陥レベル)を満足させることはできなかった。
すなわち、強化ガラスに用いられる所謂アモルファス系ガラス表面に、エッチング液を用い、適度な粗さを付与することは技術的に難しい。一般にシリコン基板のエッチング液として用いられるフッ化水素酸系の水溶液や市販のフッ化水素酸/フッ化アンモニウム混合水溶液(バッフアードフッ酸)をガラス基板へ用いると、ガラス基板表面が一様に、均一にエッチングされるため、適度な粗さを付与することは困難であり、むしろ逆に粗さを低下させる作用を示す。また、市販のフッ化水素酸/フッ化アンモニウム混合水溶液(バッファードフッ酸)では、ガラス基板表面にケイフッ化アンモニムの反応生成物が析出してしまい、その後に洗浄しても除去が困難なため、その結果、欠陥として基板表面に残存しやすく、不適当である。
本発明は、上述の点に鑑み、表面に適度な粗さを均一に欠陥なく付与することが可能なエッチング液を用いてガラス材料からなる基体の表面にエッチング処理を施した後に無電解めっきを施すことにより、密着性の優れためっき膜を形成することが可能なガラス基体へのめっき方法を提供し、以って、そのめっき方法を用いてディスク状のガラス基板上に軟磁性めっき膜を垂直磁気記録のための軟磁性裏打ち層として利用される軟磁性下地層として形成することにより、ハードディスクとしての垂直磁気記録媒体の軟磁性裏打ち層に要求される磁気特性、膜厚、密着性、均一性、平滑性などを満足させることが可能な軟磁性下地層を有する垂直磁気記録媒体用ディスク基板及び垂直磁気記録媒体の製造方法、並びにその製造方法を用いて製造される垂直磁気記録媒体用ディスク基板及び垂直磁気記録媒体を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明のガラス基体へのめっき方法は、ガラス材料からなる基体の表面に、少なくとも、フッ化水素酸、フッ化物塩、親水性溶媒、及び水が混合されてなるエッチング液を用いてエッチング処理を施した後に、無電解めっきを施すことを特徴とする。
ここで、エッチング液は、フッ化水素酸に加えてそれ以外の無機酸がさらに混合され、無機酸が、硫酸、塩酸、及び硝酸からなる群なら選ばれた少なくとも1種のものからなり、フッ化物塩が、フッ化アンモニウム、フッ化ナトリウム、フッ化水素アンモニウム、及びケイフッ化アンモニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種のものからなり、親水性溶媒が、アルコール及びグリコールからなる群から選ばれた少なくとも1種のものからなるものとすることができる。
そして、エッチング処理を施した基体の表面に、ガラス活性化処理、シランカップリング剤処理、Pd触媒化処理、及びPd結合化処理を順次施した後に、無電解めっきを施すことが、無電解めっき膜の密着性を高めるうえで好ましい。
さらに、本発明の垂直磁気記録媒体用ディスク基板の製造方法は、ディスク状のガラス基板を基体としてその表面に、上述の本発明のめっき方法を用いて、少なくとも、エッチング処理を施した後に、無電解めっきにより軟磁性めっき膜を垂直磁気記録のための軟磁性裏打ち層として利用される軟磁性下地層として形成することを特徴とする。
ここで、エッチング処理を施す前の表面粗さRaが0.5nm以下であるガラス基板の表面にエッチング処理を施して当該ガラス基板の表面粗さRaを30〜200nmとし、無電解めっきにより形成した軟磁性めっき膜の表面にポリッシュ加工を施して表面粗さRaを0.5nm以下とすることにより軟磁性下地層を形成することが、記録密度を高めるために要求される表面粗さを満足させるうえで好ましい。
そして、本発明の垂直磁気記録媒体の製造方法は、上述の本発明の製造方法を用いて垂直磁気記録媒体用ディスク基板を製造し、その垂直磁気記録媒体用ディスク基板上に、少なくとも非磁性シード層、磁気記録層、保護層を順次形成し、当該ディスク基板の軟磁性下地層を、当該磁気記録層のための軟磁性裏打ち層の少なくとも一部として利用することを特徴とする。
このような本発明の製造方法により製造される垂直磁気記録媒体用ディスク基板は、エッチング処理を施されてRa30〜200nmの表面粗さを有するディスク状のガラス基板と、ガラス基板上に形成された密着層と、密着層上に形成された触媒層と、触媒層上に無電解めっきにより形成され、ポリッシュ加工を施されてRa0.5nm以下の表面粗さを有する軟磁性めっき膜からなる軟磁性下地層とを備えることを特徴とする。
ここで、ガラス基板は、化学強化ガラス又は結晶化ガラスからなるものとすることができる。
さらに、本発明の垂直磁気記録媒体は、上述の本発明の垂直磁気記録媒体用ディスク基板上に、少なくとも非磁性シード層、磁気記録層、及び保護層を順次形成し、当該ディスク基板の軟磁性下地層を、当該磁気記録層のための軟磁性裏打ち層の少なくとも一部として利用することを特徴とする。
本発明のめっき方法によれば、ガラス材料からなる基体の表面がエッチング処理により欠陥が少なく均一に粗化され、その表面に無電解めっきが施されるので、1μm以上の厚膜であってもめっき膜を密着性良く均一に形成することができる。
本発明の垂直磁気記録媒体用ディスク基板の製造方法によれば、本発明のめっき方法を用いてエッチング処理を施した後に無電解めっきにより軟磁性めっき膜を垂直磁気記録のための軟磁性裏打ち層として利用される軟磁性下地層として形成することにより、垂直磁気記録媒体の軟磁性裏打ち層に要求される磁気特性、膜厚、密着性、均一性、平滑性を満足する軟磁性下地層を量産性に優れた無電解めっき法でガラス基板上に形成することができる。
従って、本発明の垂直磁気記録媒体によれば、本発明の製造方法を用いて製造されるディスク基板上に磁気記録層を形成することにより、無電解めっき法でガラス基板上に形成した軟磁性めっき膜からなる軟磁性下地層を軟磁性裏打ち層として利用するので、その厚膜を例えばスパッタリング法で形成するものと比較して量産性に優れ、非常に安価なものとすることができる。
以下に、本発明のガラス基体へのめっき方法を用いて垂直磁気記録媒体用ディスク基板を製造する場合の実施形態について説明するが、本発明のガラス基体へのめっき方法は、この用途に限定されるものではなく、面内磁気記録媒体のガラス基板に非磁性Ni−P層などを無電解めっき法で形成する場合は勿論、一般的なガラス材料からなる基体の表面に無電解めっき法により非磁性又は磁性めっき膜を密着性良く均一に形成する際にも用いることができる。
一般的なガラス材料からなる基体としては、例えば、液晶・PDP・FED・EL等のフラットパネルディスプレイ用ガラスや、複写機等の情報機器デバイス用ガラス、その他にも光通信用デバイス、自動車関連、医療関連、建材用ガラス等が挙げられる。
<垂直磁気記録媒体用ディスク基板の実施形態>
図2に示すように、本発明の実施形態の垂直磁気記録媒体用ディスク基板10は、エッチング処理を施されてRa30〜200nmの表面粗さを有するディスク状のガラス基板1と、ガラス基板1上に形成されたシランカップリング剤からなる密着層2と、密着層2上に形成されたPd触媒金属からなる触媒層3と、触媒層3上に無電解めっき法で形成され、ポリッシュ加工を施されてRa0.5nm以下の表面粗さを有する軟磁性めっき膜からなる軟磁性下地層4とを備えてなる。
図示はしてないが、密着層2、触媒層3、及び軟磁性下地層4は、ガラス基板1の他面側にも同様に設けることができる。
軟磁性下地層4としては、Co−Ni−P合金、Ni−Fe−P合金、Co−Ni−Fe−P合金、Ni−P合金(P濃度<5at%)などからなる軟磁性めっき膜を採用することができる。
特に、軟磁性下地層4にCo−Ni−P合金を採用する場合には、特願2004−309723「垂直磁気記録媒体用ディスク基板及びそれを用いた垂直磁気記録媒体」にて提案したとおり、軟磁性下地層4は、3at%以上20at%以下のPと、CoとNiの原子数比率(Co/(Co+Ni))で45at%以上のCoを含むCo−Ni−P合金膜からなり、かつその膜厚が0.2μm以上3μm以下であることが望ましい。
ここで、軟磁性下地層4の膜厚は、軟磁性裏打ち層として機能させるためには、0.2μm以上であることが必要であり、また生産性を考慮すれば、3μm以下であることが望ましい。
さらに、軟磁性下地層4の組成については、P濃度が3at%未満では安定な無電解めっき膜を形成することが困難であり、またP濃度が20at%を超える場合、飽和磁束密度Bs値が低下しすぎて軟磁性裏打ち層としての機能を果たさない。
Co濃度に関しては、CoとNiの原子数比率(Co/(Co+Ni))で45at%未満では飽和磁束密度Bs値が十分に高く維持できないことと、飽和磁歪定数が負で絶対値の大きな値になることから望ましくない。
一方、Co濃度の上限は特に規定されないが、CoとNiの原子数比率(Co/(Co+Ni))で90at%を超えると、CoNi合金は結晶磁気異方性定数の大きなhcp構造を形成し易くなり、保磁力が増大する可能性があることから望ましくない。すなわち、CoとNiの原子数比率(Ni/(Co+Ni))で10at%以上のNiを含有させ、fcc構造を安定に形成しやすい組成にすることが望ましい。
<垂直磁気記録媒体用ディスク基板の製造方法の実施形態>
このような実施形態の垂直磁気記録媒体用ディスク基板10の製造方法は、図1に示すように、ガラス材料からなる基体としてのガラス基板1の表面に、アルカリ脱脂処理S1、エッチング処理S2、ガラス活性化処理S3、シランカップリング剤処理S4、Pd触媒化処理S5、Pd結合化処理S6、無電解めっきS7、加熱処理S8、及びポリッシュ加工S9を順次施す各工程からなる。
ここで、無電解めっきS7に用いる無電解めっき液の組成を変更することにより、上述したような種々の用途に本発明のガラス基体へのめっき方法を適用することが可能である。
以下に、この実施形態の各工程について説明する。
(アルカリ脱脂処理S1)
この実施形態の第1の工程は、ガラス基板1の表面のアルカリ脱脂処理S1である。アルカリ脱脂処理S1は、塩基性無機化合物水溶液による1段階の処理で行ってもよいが、アルカリ性洗剤溶液による処理と、塩基性無機化合物水溶液による処理との2段階で行うことが好ましい。
本工程において用いることができるアルカリ性洗剤は、その溶液が9.0〜11.0のpHを呈するものであり、具体的にはアニオン系界面活性剤などを含む。アルカリ性洗剤の溶液は、1〜10質量%のアルカリ性洗剤を含むことが好ましい。アルカリ性洗剤溶液による処理は、ガラス基板1をアルカリ性洗剤溶液に浸漬することにより行うことが好ましく、必要に応じて洗剤溶液の攪拌、洗剤溶液に対する超音波照射などの手段を併用してもよい。通常の場合、この処理は、20〜70℃の温度において、1〜10分間にわたって実施される。
本工程において用いることができる塩基性無機化合物は、NaOH、KOH、LiOH、Ba(OH)等を含む。塩基性無機化合物水溶液は、1〜15質量%、より好ましくは5〜10質量%の塩基性無機化合物を含むことが好ましく、そのpHは13.0〜14.0である。塩基性無機化合物水溶液による処理は、ガラス基板1を塩基性無機化合物水溶液に浸漬することにより行うことが好ましく、必要に応じて該水溶液の攪拌、該水溶液に対する超音波照射などの手段を併用してもよい。通常の場合、この処理は、20〜70℃の温度において、1〜10分間にわたって実施される。
アルカリ脱脂処理S1を実施することによって、ガラス基板1上に付着していた有機物皮膜やパーティクル類を除去して、ガラス基板1の表面を清浄化することができる。
(エッチング処理S2)
次に、ガラス基板1にエッチング処理S2を施す。本工程は、ガラス基板1の表面に適度で均一な粗さを付与するための工程であり、この課題を解決すべく発明者らはエッチング液組成を検討した結果、フッ化水素酸単独またはフッ化水素酸とその他の無機酸との混合物、フッ化物塩、親水性溶媒、及び水の全てを混合してなるエッチング液を用い、エッチング処理を施すことことで、ガラス基板1の表面に適度で均一な粗さの付与ができることを見出した。
ここで、その他の無機酸としては、硫酸、塩酸、硝酸等が好適であり、フッ化物塩としては、フッ化アンモニウム、フッ化ナトリウム、フッ化水素アンモニウム、ケイフッ化アンモニウム等が好適であり、さらに親水性溶媒としては、アルコールやグリコール等が好適である。
さらに、前記エッチング液の組成濃度は、好ましくはフッ化水素酸が10〜20質量%であり、その他の無機酸が0〜10質量%であり、フッ化物塩が10〜20質量%であり、親水性溶媒が10〜30質量%であり、これらの割合で全てを混合したエッチング水溶液を用いることが好適である。
前記エッチング液組成の中で特に表面均一性へ大きな効果が得られる成分は、親水性溶媒の添加であり、この親水性溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールに代表されるアルコール類やエチレングリコールに代表されるグリコール類が挙げられる。
すなわち、フッ化水素酸単独またはフッ化水素酸と硫酸、塩酸、硝酸等の無機酸との混合物、及びフッ化物塩を含むエッチング液に、アルコール類を代表とする親水性溶媒を添加することにより、ガラスとの反応生成物であり且つ表面欠陥源となるケイフッ化アンモニウムの析出物が生成しなくなり、その結果として、基板表面欠陥の非常に少ない均一な表面粗化基板を得ることを見出した。
密着不良を改善するための方策として、ガラス表面活性化処理の適正化によるガラス表面官能基の制御、アニール条件適正化、軟磁性膜用下地バッファ層形成、等種々の方法が検討されるが、本手法は、ガラス基板への粗さ付与によるアンカー効果にてめっき膜の密着性を向上させるものである。
ガラス基板の表面を粗すことは、磁気記録媒体としてさらなる記録密度の向上を図るためには、記録再生特性の観点から本来好ましくないが、しかし2〜3μmの厚膜化めっき膜を形成し、次工程のポリッシュ加工にて、めっき膜表面の粗さ、欠陥等を初期化できる範囲であれば、めっき以前の基板において、ある程度の粗さ付与を施すことは一向に構わないと言える。
(ガラス活性化処理S3)
次に、ガラス活性化処理S3を実施する。このガラス活性化処理S3は、ガラス基板1の表面の官能基を反応性に富むシラノール基(Si−OH)に変性させ、後述するシランカップリング剤との反応に対してガラス基板1の表面を活性化するための処理であり、ガラス基板1を0.001質量%〜1質量%のフッ化水素酸などの希酸水溶液に浸漬することによって実施される。
通常の場合、この処理は、20〜50℃の温度において、1〜10分間にわたって実施される。
(シランカップリング剤処理S4)
次に、ガラス活性化処理S3が施されたガラス基板1に対してシランカップリング剤処理S4を施して、ガラス基板1上にシランカップリング剤からなる密着層2を形成する。
本工程において用いることができるシランカップリング剤は、アルキル基上にN置換基(アミノ基)を有するアルキルトリアルコキシシラン類(いわゆる、アミノ系シランカップリング剤)であり、好ましくは以下の一般式で示される構造を有するものを含む。
(CH2m+1O)3Si(CH2)nNHR (I)
式中、Rは、H、C2pNH、CONHおよびCからなる群から選択され、m,n,pはそれぞれ正の整数を表す。好ましくは、mは1または2であり、nは2〜4の整数であり、およびpは2〜4の整数である。より好ましくは、以下の式(II)〜(IX)の化合物、またはそれら化合物の混合物が用いられる。
(CH3O)3SiC3H6NH2 (II)
[3−アミノプロピルトリメトキシシラン]
(C2H5O)3SiC3H6NH2 (III)
[3−アミノプロピルトリエトキシシラン]
(CH3O)3SiC3H6NHC2H4NH2 (IV)
[N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン]
(C2H5O)3SiC3H6NHC2H4NH2 (V)
[N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン]
(CH3O)3SiC3H6NHC6H5 (VI)
[N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン]
(C2H5O)3SiC3H6NHCONH2 (VII)
[3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン]
(C2H5O)3SiC3H6N=C(C4H9)CH3 (VIII)
[3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)−
プロピルアミン]
(CH3O)2(CH3)SiC3H6NHC2H4NH2 (IX)
[N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン]
シランカップリング剤は、通常0.1〜4.0質量%の水溶液として用いられる。ただし、水溶性が低いシランカップリング剤(例えば、式(VII)の化合物)の場合には、0.1〜2.0質量%の酢酸を含む酢酸水または水−アルコール(例えば、メタノール、エタノールなど)混合溶媒(さらに酢酸を含んでもよい)に溶解させて用いてもよい。
シランカップリング剤処理S3は、ガラス基板1をシランカップリング剤溶液に浸漬することによって行うことが好ましく、必要に応じて該溶液の攪拌、該溶液に対する超音波照射などの手段を併用してもよい。通常の場合、この処理は、20〜30℃の温度において、1〜10分間にわたって実施される。形成されるシランカップリング剤からなる密着層2は、10〜50nmの膜厚を有する。
シランカップリング剤は、以下のスキーム1に示すように、水溶液または水性溶液中の水分によりアルコキシ基が加水分解されてシラノール基を生成し、さらに部分的に縮合してオリゴマー状態となる。この状態において、ガラス活性化処理S2によってガラス基板1の表面上に生成されたシラノール基と水素結合的な強い吸着状態を形成する。
Figure 2006338837
(Pd触媒化処理S5)
次に、シランカップリング剤からなる密着層2が形成されたガラス基板1に対して、Pd触媒化処理S5を実施する。Pd触媒化処理S5は、密着層2が形成されたガラス基板1を、Pdの二価イオンを含む水溶液に浸漬することにより実施される。Pdの二価イオンを含む化合物としては、塩化パラジウム(PdCl)などを用いることができる。その塩化パラジウムの水溶液に、NaOH、KOHなどのアルカリ性化合物を添加して、Pdイオンとシランカップリング剤のN−官能基(アミノ基、イミノ基、ウレイド基など)との反応を促進してもよい。好ましくは、PdイオンをPdCl換算で0.01〜1.0質量%、アルカリ性化合物をKOH換算で0.01〜1.0質量%含む水溶液を用いて、本工程が実施される。通常の場合、この処理は、20〜30℃の温度において、1〜10分間にわたって実施される。
本工程により、シランカップリング剤のN−官能基に対して、Pdイオンが配位結合などを介して結合され、無電解めっきの触媒となる触媒層3が形成される。形成された触媒層3は、1〜10nmの膜厚を有する。
(Pd結合化処理S6)
引き続いて、Pd結合化処理S6を実施する。本工程は、好ましくは、次亜リン酸(HPO)の水溶液に対して、触媒層3が形成されたガラス基板1を浸漬することによって行われる。次亜リン酸水溶液で処理することで、Clと錯化合物を形成しているPdからClが解離し、シランカップリング剤のアミノ基と触媒成分としてのPdの間で強固な結合状態が成立する。その際、過剰の遊離Pdが除去される。次亜リン酸の水溶液は、好ましくは0.1〜1.0質量%の次亜リン酸を含む。通常の場合、本工程は、20〜30℃の温度において、1〜5分間にわたって実施される。
(無電解めっきS7)
次に、触媒層3が形成されたガラス基板1に対して、無電解めっきS7を施すことにより、軟磁性下地層4とするための軟磁性めっき膜を形成する。本工程は、ガラス基板1を無電解めっき液に浸漬することによって行われる。その無電解めっき液を変えることにより種々の組成のめっき膜を形成することができる。形成する軟磁性めっき膜の膜厚は、0.2μm以上とすることが軟磁性裏打ち層として必要であり、生産性の観点から3μm以下とすることが望ましい。
また、本工程により形成する軟磁性めっき膜は、軟磁性裏打ち層として利用するものであるから、Co−Ni−P合金膜を採用する場合には、3at%以上20at%以下のPと、CoとNiの原子数比率(Co/(Co+Ni))で45at%以上のCoを含むCo−Ni−P合金膜からなり、かつその膜厚が0.2μm以上3μm以下であることが望ましい。
(加熱処理S8)
次に、軟磁性めっき膜が形成されたガラス基板1に対して加熱処理S8を施す。本工程においては、スキーム1に示したように、水素結合的な吸着状態にあるガラス基板1の表面のシラノール基と、密着層2を構成するシランカップリング剤のシラノール基とを脱水縮合させ、それらの間に強固な化学結合(共有結合)を形成させ、ガラス基板1と密着層2との間、ひいてはガラス基板1と軟磁性めっき膜からなる軟磁性下地層4との間の密着性を向上させることができる。また、この加熱処理S8により軟磁性下地層4の軟磁気特性を向上させることもできる。
この軟磁性めっき膜からなる軟磁性下地層4に上述のCo−Ni−P合金膜を採用する場合には、加熱処理を行わなくとも所望の特性を得ることができるが、密着性向上のためには加熱処理を行うことが好ましく、加熱処理温度が100℃程度の場合には、ガラス基板1と軟磁性下地層4の両者の熱膨張の差により誘導される磁気異方性が軟磁性下地層4の磁気特性やノイズ特性を悪化させることはほとんど無い。
また、本工程は、軟磁性めっき膜の酸化を防止するため、N、He、Arなどの不活性ガス雰囲気下又は真空中での無酸素状態で行うことが好ましい。
(ポリッシュ加工S9)
次に、無電解めっきS7により形成した軟磁性めっき膜の表面を平滑化して軟磁性下地層4とするためのポリッシュ加工S9を行う。この場合、軟磁性めっき膜の表面を、遊離砥粒を用いたポリッシングにより平滑化することが有効である。ポリッシュ加工は、例えば、発泡ウレタン性のポリッシングパッドを貼った両面研磨盤を用いて、酸化アルミニウムあるいはコロイダルシリカの縣濁液を研磨剤として供給しながら、研磨することによって行うことができる。なお、ポリッシュ加工S9の後に加熱処理を行うことも可能である。
<垂直磁気記録媒体の実施形態>
次に、上述の実施形態の垂直磁気記録媒体用ディスク基板10を用いる本発明の垂直磁気記録媒体の実施形態について説明する。
図3に示すように、この実施形態の垂直磁気記録媒体は、図2に示す垂直磁気記録媒体用ディスク基板10上に、少なくとも非磁性シード層20、磁気記録層30及び保護層40が順次形成された構造を有している。
図示はしてないが、非磁性シード層20、磁気記録層30及び保護層40は、垂直磁気記録媒体用ディスク基板10の他面側にも同様に設けることができる。
非磁性シード層20には、磁気記録層30の結晶配向や結晶粒径等を好ましく制御するための材料を、特に制限なく用いることができる。例えば、磁気記録層30がCoCrPt系合金からなる垂直磁化膜であれば、非磁性シード層20としてはCoCr系合金やTi、あるいはTi系合金、Ruやその合金等を使用することができ、磁気記録層30がCo系合金等とPtあるいはPd等を積層した、いわゆる積層垂直磁化膜である場合には、非磁性シード層20としてPtやPd等を用いることができる。また、非磁性シード層20の上や下に更にプレシード層や中間層等を設けることも、本発明の効果を妨げるものではない。
磁気記録層30としては、垂直磁気記録媒体としての記録再生を担うことができるいかなる材料をも用いることができる。すなわち、上述のCoCrPt系合金や酸化物を添加したCoCrPt系合金、Co系合金等とPtあるいはPd等を積層した膜等のいわゆる垂直磁化膜を用いることができる。
保護層40としては、例えばカーボンを主体とする薄膜が用いられる。また、そのカーボンを主体とする薄膜と、その上に例えばパーフルオロポリエーテル等の液体潤滑剤を塗布してなる液体潤滑剤層とからなるものとすることもできる。
なお、これらの非磁性シード層20、磁気記録層30、保護層40はスパッタリング法、CVD法、真空蒸着法、めっき法などのいずれの薄膜形成方式でも形成することが可能である。
このように形成された垂直磁気記録媒体は、ディスク基板10の軟磁性下地層4が軟磁性裏打ち層として機能することから、二層垂直磁気記録媒体としての良好な記録再生特性を有しており、かつ、軟磁性裏打ち層が量産性の高い無電解めっき法により形成されていることから、この層を例えばスパッタリング法で形成する必要がないために非常に安価に製造することができる。
以下に、上述の実施形態を具体的にした本発明の垂直磁気記録媒体用ディスク基板及びその製造方法の実施例を比較例と共に説明する。
表1に、以下の実施例で用いる工程および主要条件をまとめて示す。
Figure 2006338837
〔実施例1〕
ガラス基板としてアルミノシリケートボロン系非晶質化学強化ガラス板(Ra=0.25nm)をガラス基板1として用い、以下の(1)〜(9)の工程を順次行って、無電解めっきによりCo−Ni−P合金ならなる軟磁性めっき膜を軟磁性下地層4として形成した。
(1)アルカリ脱脂処理S1として、濃度7.5質量%、温度50℃のKOH水溶液に浸漬して、3分間にわたって処理した。
(2)エッチング処理S2として、濃度12質量%のフッ化水素酸+18質量%のフッ化アンモニウム+12質量%のエチルアルコール+水のエッチング液を調整し、温度20℃で3分間にわたって処理した。
(3)ガラス活性化処理S3として、温度20℃で、濃度1.0質量%のHSO水溶液に、3分間浸漬し処理し、引き続き温度20℃で、濃度0.05質量%のHF水溶液に浸漬して、3分間にわたって処理した。
(4)シランカップリング剤処理S4として、濃度1.0質量%、温度20℃の3−アミノプロピルトリエトキシシラン(式(III)の化合物)水溶液に浸漬して、3分間にわたって処理した。
(5)Pd触媒化処理S5として、温度20℃のPdCl(濃度1.0質量%)+NaOH(濃度0.2質量%)水溶液に浸漬して、3分間にわたって処理した。
(6)Pd結合化処理S6として、濃度1.0質量%、温度20℃のHPO水溶液に浸漬して、3分間にわたって処理した。
(7)無電解めっきS7として、次の(a)〜(e)からなるめっき浴組成のめっき液に温度90℃で75分間にわたって浸漬処理し、膜厚3.0μmのCo−Ni−P合金からなる軟磁性めっき膜を軟磁性下地層4とすべく形成した。
(a)金属成分:硫酸ニッケル 10g/L
(b)金属成分:硫酸コバルト 10g/L
(c)還元剤:次亜リン酸ナトリウム 20g/L
(d)錯化剤:クエン酸ナトリウム 60g/L
(e)緩衝剤:ホウ酸 30g/L
(8)加熱処理S8として、Nガス雰囲気下、100℃で6時間にわたって加熱処理した。
(9)ポリッシュ加工S9として、発泡ウレタン製のポリッシングパッドを貼った両面研磨盤を用いて、コロイダルシリカの縣濁液を研磨剤として供給しながら、軟磁性めっき膜を1.0μm研磨し、膜厚2.0μmの軟磁性下地層4とした。
〔実施例2〕
実施例1の工程(2)を以下の(2B)に変更したことを除いて、実施例1の手順を繰り返して実施した。
(2B)エッチング処理S2として、濃度12質量%のフッ化水素酸+18質量%のフッ化アンモニウム+12質量%のエチルアルコール+水のエッチング液を調整し、温度20℃で5分間にわたって処理した。
〔実施例3〕
実施例1の工程(2)を以下の(2C)に変更したことを除いて、実施例1の手順を繰り返して実施した。
(2C)エッチング処理S2として、濃度10質量%のフッ化水素酸+15質量%のフッ化アンモニウム+23質量%のエチルアルコール+水のエッチング液を調整し、温度20℃で3分間にわたって処理した。
〔実施例4〕
実施例1の工程(2)を以下の(2D)に変更したことを除いて、実施例1の手順を繰り返して実施した。
(2D)エッチング処理S2として、濃度10質量%のフッ化水素酸+15質量%のフッ化アンモニウム+23質量%のエチルアルコール+水のエッチング液を調整し、温度20℃で5分間にわたって処理した。
〔実施例5〕
実施例1の工程(2)を以下の(2E)に変更したことを除いて、実施例1の手順を繰り返して実施した。
(2E)エッチング処理S2として、濃度11質量%のフッ化水素酸+17質量%のフッ化アンモニウム+5質量%の硫酸+11質量%のエチルアルコール+水のエッチング液を調整し、温度20℃で3分間にわたって処理した。
〔実施例6〕
実施例1の工程(2)を以下の(2F)に変更したことを除いて、実施例1の手順を繰り返して実施した。
(2F)エッチング処理S2として、濃度11質量%のフッ化水素酸+17質量%のフッ化アンモニウム+5質量%の硫酸+11質量%のエチルアルコール+水のエッチング液を調整し、温度20℃で5分間にわたって処理した。
〔比較例1〕
実施例1の工程(2)を省略したこと以外は、実施例1の手順を繰り返して実施した。
〔比較例2〕
実施例1の工程(2)を以下の(2G)に変更したことを除いて、実施例1の手順を繰り返して実施した。
(2G)エッチング処理S2として、濃度1質量%のフッ化水素酸+水のエッチング液を調整し、温度20℃で5分間にわたって処理した。
〔比較例3〕
実施例1の工程(2)を以下の(2H)に変更したことを除いて、実施例1の手順を繰り返して実施した。
(2H)エッチング処理S2として、濃度5質量%のフッ化水素酸+水のエッチング液を調整し、温度20℃で5分間にわたって処理した。
〔比較例4〕
実施例1の工程(2)を以下の(2I)に変更したことを除いて、実施例1の手順を繰り返して実施した。
(2I)エッチング処理S2として、濃度10質量%のフッ化水素酸+水のエッチング液を調整し、温度20℃で5分間にわたって処理した。
〔比較例5〕
実施例1の工程(2)を以下の(2J)に変更したことを除いて、実施例1の手順を繰り返して実施した。
(2J)エッチング処理S2として、濃度0.5質量%のフッ化水素酸+40質量%のフッ化アンモニウム+水(市販商品名:ダイキン工業製BHF1100)のエッチング液を用い、温度20℃で5分間にわたって処理した。
〔比較例6〕
実施例1の工程(2)を以下の(2K)に変更したことを除いて、実施例1の手順を繰り返して実施した。
(2K)エッチング処理S2として、濃度4.8質量%のフッ化水素酸+36質量%のフッ化アンモニウム+水(市販商品名:ダイキン工業製BHF110)のエッチング液を用い、温度20℃で5分間にわたって処理した。
〔比較例7〕
実施例1の工程(2)を以下の(2L)に変更したことを除いて、実施例1の手順を繰り返して実施した。
(2L)エッチング処理S2として、濃度7.2質量%のフッ化水素酸+35質量%のフッ化アンモニウム+水(市販商品名:ダイキン工業製BHF16)のエッチング液を用い、温度20℃で5分間にわたって処理した。
〔比較例8〕
実施例1の工程(2)を以下の(2M)に変更したことを除いて、実施例1の手順を繰り返して実施した。
(2M)エッチング処理S2として、濃度15質量%のフッ化水素酸+20質量%のフッ化アンモニウム+水のエッチング液を調整し、温度20℃で3分間にわたって処理した。
〔比較例9〕
実施例1の工程(2)を以下の(2N)に変更したことを除いて、実施例1の手順を繰り返して実施した。
(2N)エッチング処理S2として、濃度15質量%のフッ化水素酸+20質量%のフッ化アンモニウム+水のエッチング液を調整し、温度20℃で5分間にわたって処理した。
〔比較例10〕
実施例1の工程(2)を以下の(2O)に変更したことを除いて、実施例1の手順を繰り返して実施した。
(2O)エッチング処理S2として、濃度20質量%のフッ化水素酸+30質量%のフッ化アンモニウム+水のエッチング液を調整し、温度20℃で3分間にわたって処理した。
〔比較例11〕
実施例1の工程(2)を以下の(2P)に変更したことを除いて、実施例1の手順を繰り返して実施した。
(2P)エッチング処理S2として、濃度20質量%のフッ化水素酸+30質量%のフッ化アンモニウム+水のエッチング液を調整し、温度20℃で5分間にわたって処理した。
〔比較例12〕
実施例1の工程(2)を以下の(2Q)に変更したことを除いて、実施例1の手順を繰り返して実施した。
(2Q)エッチング処理S2として、濃度12質量%のフッ化水素酸+19質量%のフッ化アンモニウム+6質量%の硫酸+水のエッチング液を調整し、温度20℃で3分間にわたって処理した。
〔比較例13〕
実施例1の工程(2)を以下の(2R)に変更したことを除いて、実施例1の手順を繰り返して実施した。
(2R)エッチング処理S2として、濃度12質量%のフッ化水素酸+19質量%のフッ化アンモニウム+6質量%の硫酸+水のエッチング液を調整し、温度20℃で5分間にわたって処理した。
(評価)
上述の実施例1〜6及び比較例1〜13で得られたCo−Ni−P合金からなるめっき膜が形成された各ガラス基板について、エッチング処理後およびポリッシュ加工後の表面粗さRaを原子間力顕微鏡(AFM)にて測定し、めっき後の外観膨れを光学顕微鏡観察(倍率:×50)で評価し、めっき膜の密着性をクロスカット剥離試験(JIS K 5600−3−4)により、ポリッシュ加工後の基板表面欠陥数を光学式表面欠陥分析装置にて評価した。
また、上記で得られためっき基板を垂直磁気記録媒体として用いるには、無電解めっきにより形成されたCo−Ni−P膜が軟磁気特性を示していることが必要とされるが、VSM(振動試料型磁力計)により磁気特性を測定した結果、全ての実施例、及びめっき後の膜膨れのない比較例のめっき基板において十分な軟磁気特性が現れた。図4にVSMによる典型的なB-Hループ(磁化曲線)を示す。
これらの測定・評価結果をエッチング処理条件と共に表2にまとめて示す。
Figure 2006338837
表2から分かるように、エッチング液組成として、フッ化水素酸単独またはフッ化水素酸と硫酸、塩酸、硝酸等のその他の無機酸との混合物、フッ化物塩、親水性溶媒、及び水の全てを混合してなり、その組成濃度が、フッ化水素酸が10〜20質量%、硫酸、塩酸、硝酸等のその他の無機酸が0〜10質量%、フッ化物塩が10〜20質量%、親水性溶媒が10〜30質量%の範囲内にある実施例1〜6においては、ガラス基板表面にRa30〜200nmの適度な粗さを密着性向上のために付与することができる。その粗さはエッチング処理条件を実施例1〜6のように変えることにより任意に選択することができる。
そして、実施例1〜6においては、その粗さを密着性向上のために付与したガラス基板であっても、その表面に無電解めっきを施した後にポリッシュ加工を施してなるめっき基板の表面粗さRaは0.5nm以下であり、表面欠陥数は100個/面未満であって、磁気ディスク基板として全く問題のないレベルにまで初期化されていることが分かる。
一方、比較例1〜13においては、エッチング処理を行わなかったり、行ってもエッチング液組成が不適正な場合には、ガラス基板表面の粗さ付与が不十分となり、その結果アンカー作用が不足してめっき膜の密着性が低下し、めっき中に膨れが発生してしまったり、また膨れまでは至らなくても、次工程のポリッシュ加工で部分的膜剥れや基板端面膜剥れが発生してしまう不具合が発生することとなり(比較例1〜7)、また、エッチング液組成によっては、めっき膜密着性は満足しても、基板表面欠陥数が100個/面以上となり、磁気ディスク用基板としての表面精度・均一性を保持することができなくなる(比較例8〜13)。
特に、親水性溶媒(エチルアルコール)を含まないこと以外は実施例1〜6とほぼ同等成分のエッチング液を用いる比較例8,9,12,13と実施例1〜6とを対比すれば、親水性溶媒の添加により基板表面欠陥数が低減されることが分かる。
以上のとおり、本発明の方法を用いることによって、ガラス基板1上に無電解めっき法により形成するCo−Ni−P合金膜からなる軟磁性下地層4に関して、2.0μmレベルの厚膜化を達成でき、膨れなどの欠陥もなく、かつ十分な密着性に優れた層として得ることができる。さらに、軟磁性下地層4の表面は、用いたガラス基板1の表面粗さ(Ra=0.50nm以下)とほぼ同等レベルの表面粗さを有しており、且つ表面欠陥数も100個/面未満であり、その値は磁気ディスク用基板として要求される表面粗さ・表面品質レベルに十分保持されている。
なお、本発明の方法は、ガラス基板上に無電解めっき法により形成するCo−Ni−P合金膜にのみ限定されるものではなく、同様に無電解めっき法で形成できるNi−PやNi−Fe−P、Co−Ni−Fe−Pなどからなる軟磁性合金膜を軟磁性下地層4に採用する場合においても、良好な磁気ディスクを得るに十分な膜厚(1μm以上3μm以下膜厚)およびその膜厚での十分な密着性、均一性、平滑性を満足することができる。
次に、このようにして作製した垂直磁気記録媒体用ディスク基板を用いて垂直磁気記録媒体を作製するため、上記実施例1〜6で得られた垂直磁気記録媒体用ディスク基板10をスパッタリング装置内に導入し、ランプヒータを用いて基板表面温度が200℃になるように10秒間加熱を行った後、Tiターゲットを用いてTiからなる非磁性シード層20を10nm、引き続きCo70Cr20Pt10ターゲットを用いてCoCrPt合金からなる磁気記録層を30を30nm成膜し、最後にカーボンターゲットを用いてカーボンからなる保護層40を8nm成膜後、真空装置から取り出した。これらのスパッタリング成膜はすべてArガス圧5mTorr下でDCマグネトロンスパッタリング法により行った。その後、パーフルオロポリエーテルからなる液体潤滑材層2nmをディップ法により形成することで、図3に示す垂直磁気記録媒体を得ることができる。
以上のような本発明の実施例によれば、ディスク状のガラス基板の表面に、少なくとも、フッ化水素酸、フッ化物塩、親水性溶媒、及び水が混合されてなるエッチング液を用いてエッチング処理を施した後に、無電解めっきにより軟磁性めっき膜を形成し、その軟磁性めっき膜に加熱処理、ポリッシュ加工を施すことにより、垂直磁気記録のための軟磁性裏打ち層として利用される軟磁性下地層を形成するようにしたので、垂直磁気記録媒体の軟磁性裏打ち層に要求される磁気特性、膜厚、密着性、均一性、平滑性を満足する軟磁性下地層を量産性に優れた無電解めっき法でガラス基板上に形成することができる。
本発明に係る垂直磁気記録媒体用ディスク基板の製造方法の実施形態を示す工程図である。 本発明に係る垂直磁気記録媒体用ディスク基板の実施形態を示す断面模式図である。 本発明に係る垂直磁気記録媒体の実施形態を示す断面模式図である。 本発明に係る垂直磁気記録媒体用ディスク基板の実施例のVSMによる典型的なM−Hループ図である。
符号の説明
1 ガラス基板
2 密着層
3 触媒層
4 軟磁性下地層
10 垂直磁気記録媒体用ディスク基板
20 非磁性シード層
30 磁気記録層
40 保護層
S1 アルカリ脱脂処理
S2 エッチング処理
S3 ガラス活性化処理
S4 シランカップリング剤処理
S6 Pd触媒化処理
S6 Pd結合化処理
S7 無電解めっき
S8 加熱処理
S9 ポリッシュ加工

Claims (11)

  1. ガラス材料からなる基体の表面に、少なくとも、フッ化水素酸、フッ化物塩、親水性溶媒、及び水が混合されてなるエッチング液を用いてエッチング処理を施した後に、無電解めっきを施すことを特徴とするガラス基体へのめっき方法。
  2. 前記エッチング液は、フッ化水素酸に加えてそれ以外の無機酸がさらに混合されてなることを特徴とする請求項1に記載のガラス基体へのめっき方法。
  3. 前記無機酸が、硫酸、塩酸、及び硝酸からなる群なら選ばれた少なくとも1種のものからなることを特徴とする請求項2に記載のガラス基体へのめっき方法。
  4. 前記フッ化物塩が、フッ化アンモニウム、フッ化ナトリウム、フッ化水素アンモニウム、及びケイフッ化アンモニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種のものからなり、前記親水性溶媒が、アルコール及びグリコールからなる群から選ばれた少なくとも1種のものからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガラス基体へのめっき方法。
  5. 前記エッチング処理を施した前記基体の表面に、ガラス活性化処理、シランカップリング剤処理、Pd触媒化処理、及びPd結合化処理を順次施した後に、前記無電解めっきを施すことを特徴とする請求項4に記載のガラス基体へのめっき方法。
  6. ディスク状のガラス基板を基体としてその表面に、請求項1〜5のいずれかに記載のめっき方法を用いて、前記エッチング処理を施した後に、前記無電解めっきにより軟磁性めっき膜を垂直磁気記録のための軟磁性裏打ち層として利用される軟磁性下地層として形成することを特徴とする垂直磁気記録媒体用ディスク基板の製造方法。
  7. 前記エッチング処理を施す前の表面粗さRaが0.5nm以下であるガラス基板の表面に前記エッチング処理を施して当該ガラス基板の表面粗さRaを30〜200nmとし、前記無電解めっきにより形成した軟磁性めっき膜の表面にポリッシュ加工を施して表面粗さRaを0.5nm以下とすることにより前記軟磁性下地層を形成することを特徴とする請求項6に記載の垂直磁気記録媒体用ディスク基板の製造方法。
  8. 請求項6又は7に記載の製造方法を用いて垂直磁気記録媒体用ディスク基板を製造し、その垂直磁気記録媒体用ディスク基板上に、少なくとも非磁性シード層、磁気記録層、保護層を順次形成し、当該ディスク基板の前記軟磁性下地層を、当該磁気記録層のための軟磁性裏打ち層の少なくとも一部として利用することを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
  9. エッチング処理を施されてRa30〜200nmの表面粗さを有するディスク状のガラス基板と、
    前記ガラス基板上に形成された密着層と、
    前記密着層上に形成された触媒層と、
    前記触媒層上に無電解めっきにより形成され、ポリッシュ加工を施されてRa0.5nm以下の表面粗さを有する軟磁性めっき膜からなる軟磁性下地層と
    を備えることを特徴とする垂直磁気記録媒体用ディスク基板。
  10. 前記ガラス基板が、化学強化ガラス又は結晶化ガラスからなることを特徴とする請求項9に記載の垂直磁気記録媒体用ディスク基板。
  11. 請求項9又は10に記載の垂直磁気記録媒体用ディスク基板上に、少なくとも非磁性シード層、磁気記録層、及び保護層を順次形成し、当該ディスク基板の前記軟磁性下地層を、当該磁気記録層のための軟磁性裏打ち層の少なくとも一部として利用することを特徴とする垂直磁気記録媒体。
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