JP2006127624A - 垂直磁気記録媒体の製造方法、垂直磁気記録媒体及び垂直磁気記録再生装置 - Google Patents

垂直磁気記録媒体の製造方法、垂直磁気記録媒体及び垂直磁気記録再生装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 軟磁性裏打ち膜を無電解メッキ法により形成する際に、軟磁性裏打ち膜に磁壁が発生するのを防止できる垂直磁気記録媒体の製造方法を提供すること。
【解決手段】 垂直磁気記録媒体の製造方法は、基板1上にコバルト、ニッケル及び鉄を組成元素として含む軟磁性裏打ち膜2を無電解メッキ法により形成する工程を備える。無電解メッキ法に用いられるメッキ液は、軟磁性裏打ち膜2の組成元素のイオンとしてコバルトイオン、ニッケルイオン及び鉄イオンを含み、更に、鉄イオンのモル濃度をコバルトイオンとニッケルイオンの合計モル濃度で割った値が0.5〜10の範囲に設定されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ハードディスクや光磁気記録媒体などに用いられ高密度記録媒体である垂直磁気記録媒体の製造方法、垂直磁気記録媒体、垂直磁気記録再生装置及び無電解メッキ液に関する。
近年、磁気記録の高密度化が渇望され、その解決方法として、磁気記録膜の磁性体の磁化容易軸を基板に対して垂直方向に配向させた磁性膜を利用した垂直磁気記録方式が採用されている。
一般に、垂直磁気記録方式においては、通常、垂直磁気記録膜の下側(基板側)に高飽和磁束密度を有する軟磁性裏打ち膜を付与した重畳型媒体とすることが広く知られている。その理由は、軟磁性裏打ち膜が磁気ヘッドから漏洩した磁界を強力に引き込み更に磁気ヘッドに戻す役割を担うことになり、磁気記録膜を薄くしなくとも磁気記録膜への飽和記録が容易となるからである。
上述した軟磁性裏打ち膜は、高透磁率かつ高飽和磁束密度のものが好ましいが、一般的には軟磁性裏打ち膜に軟磁性特性をもたせるために用いられる組成(元素)にはおのずと限界がある。従来では、軟磁性裏打ち膜に優れた軟磁性特性をもたせるために、軟磁性裏打ち膜は、例えば、コバルト、ニッケル及び鉄を組成元素として含んでおり、さらに特性改善のためにいくつかの添加元素を含んでいる(例えば特許文献1参照)。
なお、軟磁性裏打ち膜に関する技術文献として、特開2002−92843号公報(特許文献2)、特開2004−152367号公報(特許文献3)等が挙げられる。
特開2004−146033号公報 特開2002−92843号公報 特開2004−152367号公報
而して、上記垂直磁気記録媒体を用いて記録再生試験を行うとノイズが観測される。このノイズは、磁気記録膜由来の媒体ノイズと軟磁性裏打ち膜由来のスパイクノイズとに区別される。前者の媒体ノイズは従来の水平記録方式でも認められているものである。一方、後者のスパイクノイズは垂直磁気記録媒体に特有のものであり、軟磁性裏打ち膜に存在する磁壁からの漏れ磁場を磁気ヘッドが拾うために生じるものと考えられている。従って、磁壁のない軟磁性裏打ち膜の開発は、垂直磁気記録媒体の実用化を図る上で非常に重要である。
また、軟磁性裏打ち膜の成膜方法としては、スパッタ法もしくはメッキ法が検討されているが、軟磁性裏打ち膜に磁壁が発生しないようにするために、数多くの改良が成膜方法に応じて実施されている。例えば、成膜方法がスパッタ法であれば、軟磁性裏打ち膜の二層構造化(特許文献2参照)やアンチフェロ膜などの活用などが挙げられ、成膜方法が無電解メッキ法であれば、磁場中でのメッキ法(特許文献3参照)、薄膜化などが挙げられる。
ここで、軟磁性裏打ち膜の膜厚はできるだけ厚いほうが好ましいので低コストの観点からは、軟磁性裏打ち膜の成膜方法として無電解メッキ法を採用することが望ましい。しかしながら、無電解メッキ法では基板に磁場を印加しながら成膜する方法以外に有効な手段がなく、磁場の印加に起因する不具合、例えば、印加磁場が不安定であることにより品質格差が生じたり、メッキ位置において印加磁場の強度に差があることにより品質格差が生じたりしていた。また、成膜装置(メッキ装置)は基板への磁場印加手段を備えなければならないので、成膜装置の構造が複雑になっていた。無電解メッキ法ではこのような不具合を解消することが課題となっている。
本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、軟磁性裏打ち膜を無電解メッキ法により形成する際に、軟磁性裏打ち膜に磁壁が発生するのを防止できる垂直磁気記録媒体の製造方法、これにより得られた垂直磁気記録媒体、前記製造方法に好適に用いられる無電解メッキ液を提供することにある。
本発明者は、従来行われていた磁場中での無電解メッキ法に用いられていたメッキ液の組成について鋭意検討した結果、コバルト、ニッケル及び鉄を組成元素として含む軟磁性裏打ち膜を無電解メッキ法により形成する際に、鉄イオンを所定濃度含んだメッキ液を用い無電解メッキ反応を行うことにより、磁場を印加しない条件下でも磁壁がない又は殆ど存在していない軟磁性裏打ち膜を形成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は以下の手段を提供する。
[1] 基板上にコバルト、ニッケル及び鉄を組成元素として含む軟磁性裏打ち膜を無電解メッキ法により形成する工程を備えた垂直磁気記録媒体の製造方法において、前記無電解メッキ法に用いられるメッキ液は、前記軟磁性裏打ち膜の組成元素のイオンとしてコバルトイオン、ニッケルイオン及び鉄イオンを含み、更に、鉄イオンのモル濃度をコバルトイオンとニッケルイオンの合計モル濃度で割った値が0.5〜10の範囲に設定されていることを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
[2] 基板上にコバルト、ニッケル及び鉄を組成元素として含む軟磁性裏打ち膜を無電解メッキ法により形成する工程を備えた垂直磁気記録媒体の製造方法において、前記無電解メッキ法に用いられるメッキ液は、前記軟磁性裏打ち膜の組成元素のイオンとしてコバルトイオン、ニッケルイオン及び鉄イオンを含み、更に、鉄イオンのモル濃度が0.05〜2モル/リットルの範囲に設定されていることを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
[3] 基板上にコバルト、ニッケル及び鉄を組成元素として含む軟磁性裏打ち膜を無電解メッキ法により形成する工程を備えた垂直磁気記録媒体の製造方法において、前記無電解メッキ法に用いられるメッキ液は、前記軟磁性裏打ち膜の組成元素のイオンとしてコバルトイオン、ニッケルイオン及び鉄イオンを含み、更に、鉄イオンのモル濃度をコバルトイオンとニッケルイオンの合計モル濃度で割った値が0.5〜10の範囲に設定され、且つ、鉄イオンのモル濃度が0.05〜2モル/リットルの範囲に設定されていることを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
[4] 前記メッキ液は、リン系及びホウ素系還元剤のうち少なくとも一方を含んでいる前項1〜3のいずれか1項記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
[5] 前記基板に磁場を印加しないで前記軟磁性裏打ち膜を形成する前項1〜4のいずれか1項記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
[6] 前記基板の活性化処理された面上に、前記軟磁性裏打ち膜を形成する前項1〜5のいずれか1項記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
[7] 前項1〜6のいずれか1項記載の垂直磁気記録媒体の製造方法により製造された垂直磁気記録媒体。
[8] 基板上にコバルト、ニッケル及び鉄を組成元素として含む軟磁性裏打ち膜が無電解メッキ法により形成された垂直磁気記録媒体において、前記軟磁性裏打ち膜は、鉄原子の含有率をコバルト原子とニッケル原子の合計含有率で割った値が0.5〜10の範囲に設定されていることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
[9] 前項7又は8記載の垂直磁気記録媒体と、該垂直磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備えたことを特徴とする垂直磁気記録再生装置。
[10] コバルト、ニッケル及び鉄を組成元素として含む軟磁性裏打ち膜を有する垂直磁気記録媒体の前記軟磁性裏打ち膜を、無電解メッキ法により形成するための無電解メッキ液において、前記軟磁性裏打ち膜の組成元素のイオンとしてコバルトイオン、ニッケルイオン及び鉄イオンを含み、更に、鉄イオンのモル濃度をコバルトイオンとニッケルイオンの合計モル濃度で割った値が0.5〜10の範囲に設定されていることを特徴とする無電解メッキ液。
[11] コバルト、ニッケル及び鉄を組成元素として含む軟磁性裏打ち膜を有する垂直磁気記録媒体の前記軟磁性裏打ち膜を、無電解メッキ法により形成するための無電解メッキ液において、前記軟磁性裏打ち膜の組成元素のイオンとしてコバルトイオン、ニッケルイオン及び鉄イオンを含み、更に、鉄イオンのモル濃度が0.05〜2モル/リットルの範囲に設定されていることを特徴とする無電解メッキ液。
[12] コバルト、ニッケル及び鉄を組成元素として含む軟磁性裏打ち膜を有する垂直磁気記録媒体の前記軟磁性裏打ち膜を、無電解メッキ法により形成するための無電解メッキ液において、前記軟磁性裏打ち膜の組成元素のイオンとしてコバルトイオン、ニッケルイオン及び鉄イオンを含み、更に、鉄イオンのモル濃度をコバルトイオンとニッケルイオンの合計モル濃度で割った値が0.5〜10の範囲に設定され、且つ、鉄イオンのモル濃度が0.05〜2モル/リットルの範囲に設定されていることを特徴とする無電解メッキ液。
[13] リン系及びホウ素系還元剤のうち少なくとも一方を含んでいる前項10〜12のいずれか1項記載の無電解メッキ液。
本発明では、軟磁性裏打ち膜に磁壁が発生するのを防止することができて、ノイズ特性に優れた垂直磁気記録媒体を得ることができる。さらに、軟磁性裏打ち膜の形成時に必ずしも磁場を印加することを要せず、したがって磁場の印加に起因する不具合を解消することができ、もって品質が均一な軟磁性裏打ち膜を形成することができるし、更には、成膜装置(メッキ装置)の簡素化を図ることができる。
本発明の無電解メッキ液によれば、本発明の垂直磁気記録媒体の軟磁性裏打ち膜を確実に形成することができる。
以下、本発明について、その一実施形態を説明するための図面に基づいて詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る垂直磁気記録媒体の断面図である。
本実施形態の垂直磁気記録媒体(10)は、例えばコンピュータのハードディスクに用いられるものであり、同図に示すように、基板(1)上に、軟磁性材料からなる軟磁性裏打ち膜(2)と、垂直磁気記録膜(3)と、保護膜(4)とが順次積層された構成のものであり、詳述すると重畳型垂直磁気記録媒体である。
基板(1)は、円板状の非磁性材料からなり、具体的には、アルミニウム(その合金を含む、以下同じ。)、ガラス、シリコン等からなり、特にアルミニウム又はガラスからなることが好ましい。基板(1)の結晶構造としては、単結晶、多結晶、アモルファス等が挙げられる。
この基板(1)上には被覆膜(1a)が形成されている。被覆膜(1a)は、基板(1)とは異なる非磁性材料からなり、具体的にはNi−P等からなる。この被覆膜(1a)としては、密着層、シード層、触媒化処理層等が挙げられる。
なお本発明では、基板(1)上に触媒金属からなる金属核(図示せず)が形成されていても良い。
軟磁性裏打ち膜(2)は、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)及び鉄(Fe)を組成元素として含んでおり、具体的には、CoNiFe、CoNiFeX(但し、XはP及びBからなる群から選択される少なくとも1種の元素)などからなる。このように、Co、Ni及びFeを組成元素として含む軟磁性裏打ち膜(2)は、優れた軟磁性特性を有している。さらに、この軟磁性裏打ち膜(2)には磁壁がないか又は殆ど存在していない。
軟磁性裏打ち膜(2)の飽和磁束密度Bsは0.2〜2.0Tが好ましく、0.8〜2.0Tがより好ましい。
軟磁性裏打ち膜(2)の厚さは50〜5000nmの範囲に設定されるのが好ましく、200〜3000nmの範囲に設定されるのがより好ましい。
軟磁性裏打ち膜(2)中の平均粒子径は5nm以下であることが好ましく、3nm以下であることがより好ましい。また、この粒子の結晶性としてはアモルファス状であることが好ましい。
なお本発明では、軟磁性裏打ち膜(2)は、基板(1)に対し垂直方向に配向した磁化容易軸を有しても良い。このような磁化容易軸は、軟磁性裏打ち膜(2)に磁壁を形成しにくくするために大変有効である。このときの垂直方向への配向度を示す垂直磁気異方性磁界Hkは5〜50Oeが好ましく、10〜30Oeがよりが好ましい。なお、1Oeは約79A/mである。
また、軟磁性裏打ち膜(2)の保磁力Hcは、特に限定されるものではないが、1〜100Oeが好ましく、5〜50Oeがより好ましい。
垂直磁気記録膜(3)は、磁化容易軸が基板(1)に対し垂直方向に配向した磁性膜からなり、具体的には、Co系合金(例えば、CoCrPt、CoCrPtB、CoCrPt−SiO2、Co/Pd多層、CoB/PdB多層、CoSiO2/PdSiO2多層)、Pd系合金(例えばPd−Pt・Mn、Pd−B)等が挙げられる。ただし本発明では、垂直磁気記録膜(3)の材質は上記のものに限定されるものではない。
垂直磁気記録膜(3)は、Co系合金からなる1層構造とすることもできるし、Co系合金からなる層と、Co系合金とは異なる材料からなる層とを含む2層以上の構造とすることもできる。また、Co系合金からなる層とPd系合金からなる層とを積層した構造や、TbFeCo等のアモルファス層と上記の合金層とを含む複合構造とすることも可能である。
垂直磁気記録膜(3)の厚さは、例えば3〜60nm(より好ましくは5〜40nm)とすることが好ましい。なお本発明では、垂直磁気記録膜(3)の厚さはこれに限定されるものではない。
保護膜(4)は、垂直磁気記録膜(3)を保護するためのもので、保護膜(4)として必要な機械的強度や耐酸化性を有しており、具体的には例えばカーボンからなる。
次に、上記垂直磁気記録媒体(10)の製造方法を以下に説明する。
上記垂直磁気記録媒体(10)の製造方法は、基板(1)上に軟磁性裏打ち膜(2)を形成する工程と、該軟磁性裏打ち膜(2)上に垂直磁気記録膜(3)を形成する工程と、該垂直磁気記録膜(3)上に保護膜(4)を形成する工程とを備えている。
まず、本実施形態では、基板(1)上に軟磁性裏打ち膜(2)を形成する前に、該軟磁性裏打ち膜(2)の成膜促進のために、基板(1)の表面(詳述すると、基板(1)の軟磁性裏打ち膜形成予定面)を公知の手段により活性化処理する。この活性化処理の方法としては、例えば、基板(1)上に、被覆膜(1a)としてシード層や触媒化処理層等を無電解メッキ法やスパッタ等などの公知の手段により形成する方法や、基板(1)上に触媒金属からなる金属核を形成する方法が挙げられる。また、基板(1)上にNi−P膜が形成されている場合には、Ni−P膜の表面に酸又はアルカリ洗浄により脱脂/エッチング処理を施しても良い。
触媒化処理としては、慣用の一液型Pd触媒化法や二液型Pd触媒化法、置換によりPd触媒化法などが挙げられる。また、活性化処理の前にリン酸処理、酸処理などの公知の前処理、酸素プラズマなどによりアッシング処理を施してもよい。
金属核としては、Ni核、Cu核等が挙げられる。Ni核やCu核の形成方法としては、シリコンウエハ等の基板(1)上に直接NiやCuを析出させる方法が挙げられる。なお、金属核は非磁性であることが好ましい。
シード層を基板(1)上に形成する場合は、後述する軟磁性裏打ち膜(2)形成用の無電解メッキ液中の還元剤に対して活性を有する金属でシード層を形成することが好ましく、例えば、Ni、Cu又はそれらの合金からなるシード層を好ましくは5〜100nm(特に好ましくは10〜50nm)の厚さで形成することがよい。
シード層の形成方法としては、スパッタ、蒸着などの乾式法や、置換メッキ、無電解メッキなどの湿式法が挙げられる。なお、無電解メッキ法によりシード層を形成する場合は、シード層を形成する前に金属核を形成することが好ましい。この場合、慣用のPd活性化処理により形成することが望ましい。また、この場合も、金属核を形成する前に、リン酸処理、酸処理などの公知の前処理、酸素プラズマなどによりアッシング処理を施してもよい。
次いで、基板(1)の活性化処理された面上に軟磁性裏打ち膜(2)を無電解メッキ法により形成する。
この無電解メッキ法に用いられる無電解メッキ液は、軟磁性裏打ち膜(2)の組成元素のイオンとしてコバルト(Co)イオン、ニッケル(Ni)イオン及び鉄(Fe)イオンを含んでおり、好ましくは、更に、還元剤と、前記組成元素(即ちCo、Ni及びFe)のイオンの錯化剤とを含んでいることが良い。
ここで、軟磁性裏打ち膜(2)の組成元素としてCo、Ni及びFeを採用した理由について以下に説明する。
従来、無電解メッキ法によって軟磁性裏打ち膜(2)を形成する場合には、CoとNiを主要な組成元素として含む軟磁性裏打ち膜(2)が検討されていた。その理由は、鉄は基本的には軟磁性材料であるが、無電解メッキではメッキ反応が起こりにくいため、鉄の軟磁性裏打ち膜(2)への所定量以上の添加は困難と考えられていた。そのため、従来では、CoとNiを主要な組成元素として含む軟磁性裏打ち膜(2)を無電解メッキ法により形成していた。しかしながら、この方法によれば、軟磁性裏打ち膜(2)中に磁場配向が生じ、これが磁壁となって現れてくるので、スパイクノイズが発生していた。
そこで、この問題を解決するため、本発明者は鋭意研究した結果、コバルトイオンとニッケルイオンを含み、更に鉄イオンを所定濃度含んだメッキ液を用いて、無電解メッキ法により軟磁性裏打ち膜を形成することで、無電解メッキ反応が安定的に進行し、さらにこの無電解メッキ反応で形成された軟磁性裏打ち膜(2)には磁壁が発生しないか又は殆ど発生しないことを見出し、本発明を完成させた。
さらに、本発明者は、基板(1)に磁場を印加しないで、すなわち基板(1)に磁場が印加されていない状態で、該基板(1)上に軟磁性裏打ち膜(2)を形成した場合であっても、軟磁性裏打ち膜(2)に磁壁が発生しないか又は殆ど発生しないことを見出した。
無電解メッキ法としては、従来から行われているように、図2に示すように、軟磁性裏打ち膜の成膜装置(メッキ装置)(20)を用い、軟磁性裏打ち膜(2)の形成時に、メッキ反応による水素発生に起因する軟磁性裏打ち膜(2)中のピット、欠陥を防止するために、基板(1)をメッキ液(21)中に浸漬した状態で回転させることが好ましい。同図では、基板(1)はその中心孔に基板回転装置(22)が装着されて吊り下げた状態でメッキ液(21)中に浸漬されるとともに、この浸漬状態で基板(1)が基板回転装置(22)により円周方向に回転される。このときの基板(1)の回転数、回転方法などは特に限定するものではなく、例えば回転数は概ね1〜10回転/分である。また、この成膜時には基板(1)をメッキ液(21)中で上下に揺動させてもよい。なお同図において、(23)は基板の揺動装置、(24)はメッキ液の撹拌装置である。
さらに、本実施形態では、メッキ液(21)中に浸漬された基板(1)に磁場を印加しないで軟磁性裏打ち膜(2)を形成する。したがって、この成膜装置(20)は、必ずしも基板(1)への磁場印加手段を備えることを要しない。ただし本発明では、基板(1)に磁場を印加しながら軟磁性裏打ち膜(2)を形成してもよい。
メッキ液(21)において、コバルトイオン、ニッケルイオン及び鉄イオン等の金属イオンの供給源としては、硫酸コバルト、硫酸ニッケル、硫酸鉄等の水溶性のコバルト塩、ニッケル塩、鉄塩等が挙げられる。
更に、鉄イオンのモル濃度を[Feイオン]、コバルトイオンのモル濃度を[Coイオン]及びニッケルイオンのモル濃度を[Niイオン]と表記するとき、鉄イオンのモル濃度をコバルトイオンとニッケルイオンの合計モル濃度で割った値、すなわち[Feイオン]/([Coイオン]+[Niイオン])の値が0.5〜10の範囲に設定されていることが好ましい。この値が0.5未満であれば、所望の効果が得られず、軟磁性裏打ち膜(2)に磁壁が発生する。一方、この値が10を超えると、無電解メッキ反応が進行しなくなる。その理由は、鉄は元来、無電解メッキ反応の阻害物質だからである。この値の特に好ましい範囲は1.5〜5.5である。
また、このメッキ液(21)を用いて形成された軟磁性裏打ち膜(2)は、通常、鉄原子の含有率をコバルト原子とニッケル原子の合計含有率で割った値が0.5〜10の範囲に設定される。
さらに、メッキ液(21)中の総金属塩のモル濃度は、軟磁性裏打ち膜(2)中の欠陥防止の観点から0.01〜3.0モル/リットル、特に0.05〜0.3モル/リットルの範囲に設定することが好ましい。したがって、鉄イオンのモル濃度は0.0033〜2.7モル/リットルの範囲に設定されていることが好ましい。しかし、現実的にはメッキ液濃度が低すぎると処理量が減るし、濃すぎるとメッキ欠陥が増大するので、鉄イオンのモル濃度は0.05〜2.0モル/リットルの範囲に設定されていることが好ましい。すなわち、鉄イオンのモル濃度が0.05未満では、メッキ液全体の濃度が低すぎて生産性が低下するので好ましくない。一方、2.0モル/リットルを超えると、軟磁性裏打ち膜(2)中の欠陥が多くなるので好ましくない。その理由は、上述したように、鉄は元来、無電解メッキ反応の阻害物質だからである。鉄イオンのモル濃度の特に好ましい範囲は0.1〜1.5モル/リットルである。
さらに、メッキ液(21)において、[Feイオン]/([Coイオン]+[Niイオン])の値が0.5〜10の範囲に設定され、且つ、鉄イオンのモル濃度が0.05〜2.0モル/リットルの範囲に設定されていることが特に好ましい。
還元剤としては、リン系還元剤及びホウ素系還元剤からなる群から選択される少なくとも1種の還元剤が用いられる。リン系還元剤としては、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム(NaH2PO2・H20)等が用いられる。ホウ素系還元剤としては、ジメチルアミンボラン(DMAB)等が用いられる。なお本発明では、リン系還元剤やホウ素系還元剤の種類は、金属塩の種類に応じて適宜選択されるものであり、上述のものに限定されるものではない。さらに、その濃度も適宜設定されるものであり、例えば、メッキ液(21)に対して概ね0.01〜1.0モル/リットル、特に0.01〜0.5モル/リットルの範囲に設定されることが好ましい。
錯化剤としては、上記金属イオンの公知の錯化剤が用いられ、具体的には、クエン酸ナトリウム(Na3657・2H2O)、酒石酸ナトリウム(Na2446・2H2O)、グリシン(NH2CH2COOH)等のカルボン酸塩、硫酸アンモニウム((NH42SO4)等のアンモニウム塩等が用いられる。また、その濃度は、メッキ液(21)中の金属塩総濃度に応じて適宜設定されるものであり、例えば、0.05モル/リットル以上が好ましく、0.1〜1.0モル/リットルの範囲に設定することがより好ましい。また、メッキ液(21)には亜リン酸等の結晶調整剤を含有させることが好ましく、特に、0.01モル/リットル以上の濃度で含有させることが好ましい。
また、上記メッキ液(21)には、ホウ素等のpH緩衝剤を含有させてもよい。また、軟磁性裏打ち膜(2)の均一性を向上させるために界面活性剤を含有させてもよい。界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリエチレングリコールを用いることが好ましい。さらに、膜(2)の平滑性を向上させるために慣用の添加剤を含有させてもよい。
成膜時におけるメッキ液(21)の温度、pHは、メッキ液(21)の組成により適宜決定されるが、例えば、液温(浴温)は50℃以上(特に70〜95℃の範囲)が好ましく、pHは6.5以上(特に7〜10の範囲)が好ましい。また、成膜された軟磁性裏打ち膜(2)を軟磁気特性の向上のために熱処理してもよい。この場合、熱処理温度は150〜300℃の範囲であることが好ましい。
上記メッキ液(21)を用いて軟磁性裏打ち膜(2)を無電解メッキ法により形成することにより、軟磁性裏打ち膜(2)に磁壁が発生するのを防止することができる。軟磁性裏打ち膜(2)における磁壁の有無は、OSA(Optical Surface Analyzer)にて簡便に判断することができる。すなわち、軟磁性裏打ち膜(2)に磁壁がある場合には、基板面内に濃淡のはっきりした模様が観察される(図5参照)。一方、磁壁がない場合には、一様な模様が観察される(図4参照)。
次いで、軟磁性裏打ち膜(2)上に垂直磁気記録膜(3)を形成する。この成膜方法としては、公知の方法が用いられ、具体的には、スパッタ法、蒸着法などの乾式法、電気メッキや無電解メッキ法などの湿式法が用いられる。ただし本発明では、成膜方法はこれらに限定されるものではない。また、垂直磁気記録膜(3)を形成する前に、軟磁性裏打ち膜(2)の表面を機械研磨、CMP等により平滑化してもよい。
次いで、垂直磁気記録膜(3)上に保護膜(4)を形成する。この成膜方法としては、所望の保護膜(4)を形成できれば特に限定されず、スパッタ法などの公知の方法が用いられる。
以上の工程を順次経て、所望する垂直磁気記録媒体(10)が得られる。
而して、上記実施形態の垂直磁気記録媒体(10)の製造方法によれば、軟磁性裏打ち膜(2)を形成するための無電解メッキ法に用いられたメッキ液(21)は、軟磁性裏打ち膜(2)の組成元素のイオンとしてCoイオン、Niイオン及びFeイオンを含み、更に、[Feイオン]/([Coイオン]+[Niイオン])の値が0.5〜10の範囲に設定されることにより、軟磁性裏打ち膜(2)に磁壁が発生するのを防止することができる。したがって、スパイクノイズの発生を防止することができ、優れたノイズ特性を有する垂直磁気記録媒体(10)が得られる。
また、メッキ液(21)において、Feイオンのモル濃度が0.05〜2モル/リットルの範囲に設定されていることにより、上記の場合と同じく、軟磁性裏打ち膜(2)に磁壁が発生するのを防止することができる。したがって、スパイクノイズの発生を防止することができ、優れたノイズ特性を有する垂直磁気記録媒体(10)が得られる。
さらに、メッキ液(21)において、[Feイオン]/([Coイオン]+[Niイオン])の値が0.5〜10の範囲に設定され、且つ、Feイオンのモル濃度が0.05〜2モル/リットルの範囲に設定されていることにより、軟磁性裏打ち膜(2)に磁壁が発生するのを確実に防止することができる。したがって、スパイクノイズの発生を確実に防止することができ、より優れたノイズ特性を有する垂直磁気記録媒体(10)が得られる。
さらに、メッキ液(21)は、リン系及びホウ素系還元剤のうち少なくとも一方を含んでいることにより、軟磁性裏打ち膜(2)に磁壁が発生するのを更に確実に防止することができる。
さらに、上記実施形態の垂直磁気記録媒体(10)の製造方法によれば、基板(1)に磁場を印加しないで軟磁性裏打ち膜(2)を形成することができる。したがって、磁場の印加に起因する不具合、例えば、印加磁場が不安定であることにより品質格差が生じたり、メッキ位置において印加磁場の強度に差があることにより品質格差が生じたりする不具合を解消することができ、もって品質が均一な軟磁性裏打ち膜(2)を形成することができる。更には、成膜装置(20)は必ずしも基板(1)への磁場印加手段を備えることを要しないので、成膜装置(20)の構造の簡素化を図ることができる。
さらに、基板(1)の活性化処理された面上に軟磁性裏打ち膜(2)を形成することにより、無電解メッキ反応がより安定的に進行し、もって軟磁性裏打ち膜(2)に磁壁が発生するのをより一層確実に防止することができる。
さらに、上記メッキ液(21)を用いて形成された軟磁性裏打ち膜(2)は、通常、鉄原子の含有率をコバルト原子とニッケル原子の合計含有率で割った値が0.5〜10の範囲に設定される。このように、この値が0.5〜10の範囲に設定されることにより、磁壁がない又は殆ど存在していない軟磁性裏打ち膜(2)を得ることができる。したがって、スパイクノイズの発生を防止することができ、優れたノイズ特性を有する垂直磁気記録媒体(10)が得られる。なお、この値の好ましい範囲は1.5〜5.5である。
また、この垂直磁気記録媒体(10)を公知の複合型磁気ヘッドと組み合わせることにより、垂直磁気記録再生装置を構成することができる。図3(a)及び(b)は、それぞれ、本実施形態の垂直磁気記録媒体(10)を搭載した垂直磁気記録再生装置(30)、及びこれに用いられた磁気ヘッド(32)の概念図を示している。
この垂直磁気記録再生装置(30)は、互いに平行に配設された複数個の円板状の垂直磁気記録媒体(10)と、該各媒体(10)に情報を記録再生する同図(b)に示した磁気ヘッド(32)とを備える。
この垂直磁気記録再生装置(30)では、複数個の媒体(10)は、スピンドルからなる媒体駆動部(31)により同軸回転される。そして、この回転状態の媒体(10)の垂直磁気記録膜(3)に、ヘッド駆動部(33)により駆動される磁気ヘッド(32)によって情報が記録再生される。なお、(34)は、媒体(10)に記録再生する情報を処理する記録再生信号処理部である。
磁気ヘッド(32)は、詳述すると複合型磁気ヘッドであり、主磁極(32a)と補助磁極(32b)とが連結部(32c)を介して互いに連結された構成となっている。連結部(32c)にはコイル(32d)が装着されている。この磁気ヘッド(32)は3.0kOe以上の書き込み磁界を発生できることが好ましい。
この垂直磁気記録再生装置(30)によれば、本実施形態の垂直磁気記録媒体(10)に情報を確実に記録再生できることはもとより、更に、記録再生時においてスパイクノイズの発生を防止することができる。
以上で、本発明の一実施形態について説明したが、本発明では上記実施形態に限定されるものではく、様々に設定変更可能である。
例えば、上記実施形態では、垂直磁気記録媒体(10)の基板(1)上には、軟磁性裏打ち膜(2)、垂直磁気記録膜(3)及び保護膜(4)が順次積層されているが、本発明では、隣り合う膜間にバッファ膜等の中間膜が介在されていてもよい。
以下、本発明の実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
直径2.5インチのアルミニウム基板を準備した。この基板上に被覆膜としてNi−P膜を無電解メッキ法により形成した。そして、Ni−P膜の表面を平均粗さRaが1.5nmになるように平滑化した。次いで、活性化処理として、基板を硝酸1:リン酸1:硫酸1:水10(容積比)の混酸浴中に30秒間浸漬したのち、水で洗浄することにより、清浄なNi−P膜表面を露出させて活性化処理した。
その後直ちに、表1に示したメッキ液(メッキ浴)を用いて無電解メッキ法により膜厚3000nmのCoNiFePの軟磁性裏打ち膜を、基板の活性化処理された面(即ちNi−P膜の表面)上に形成した。この成膜は、図2に示した成膜装置(20)を用い、基板をその中心孔に基板回転装置を装着して吊り下げた状態でメッキ液中に浸漬するとともに、この浸漬状態で基板を円周方向に6.5回転/分の回転数で回転させながら、基板に磁場を印加しないで行った。
この基板の軟磁性裏打ち膜の平均粒子径はTEM観察から2〜5nmであり、X線回折からこの粒子はアモルファスであることが判明した。また、軟磁性裏打ち膜の飽和磁束密度Bsは1.1Tであった。また、OSA(Optical Surface Analyzer)により軟磁性裏打ち膜における磁壁の有無を観察したところ、軟磁性裏打ち膜には磁壁が発生していないことを確認した。このときのOSAによる軟磁性裏打ち膜の観察写真を図4に示す。また、この軟磁性裏打ち膜の特性を表3にまとめて示す。
(実施例2)
実施例1において、軟磁性裏打ち膜の形成に用いたメッキ液の組成のうち、金属塩の総濃度は変更せずに、Feイオンのモル濃度を0.05モル/リットル、及び、[Feイオン]/([Coイオン]+[Niイオン])の値を0.5に設定したこと以外は、実施例1と同様に軟磁性裏打ち膜を形成した。この軟磁性裏打ち膜の特性を表3にまとめて示す。
(実施例3)
実施例1において、軟磁性裏打ち膜の形成に用いたメッキ液の組成のうち、金属塩の総濃度は変更せずに、Feイオンのモル濃度を0.1モル/リットル、及び、[Feイオン]/([Coイオン]+[Niイオン])の値を1.5に設定したこと以外は、実施例1と同様に軟磁性裏打ち膜を形成した。この軟磁性裏打ち膜の特性を表3にまとめて示す。
(実施例4)
直径2.5インチのガラス基板を準備した。この基板の表面は平均粗さRaが0.5nm以下に設定されている。この基板を化学洗浄したのち、この基板上にDCマグネトロンスパッタリング法により、被覆膜として、膜厚10nmのTi膜からなる密着層と膜厚20nmのNi膜からなるシード層とを順次形成した。
次いで、実施例1において、軟磁性裏打ち膜の形成に用いたメッキ液の組成のうち、金属塩の総濃度は変更せずに、Feイオンのモル濃度を1.0モル/リットル、及び、[Feイオン]/([Coイオン]+[Niイオン])の値を8.5に設定したこと以外は、実施例1と同様に軟磁性裏打ち膜を形成した。なお、軟磁性裏打ち膜の成膜時におけるメッキ液中での基板の回転数は3回転/分とした。この軟磁性裏打ち膜の特性を表3にまとめて示す。
(実施例5)
直径2.5インチのアルミニウム基板を準備した。この基板上に被覆膜としてNi−P膜を無電解メッキ法により形成した。そして、実施例1と同様の手順により、清浄なNi−P膜表面を露出させて活性化処理した。
その後直ちに、表2に示したメッキ液(メッキ浴)を用いて無電解メッキ法により膜厚300nmのCoNiFeBの軟磁性裏打ち膜を、基板の活性化処理された面(即ちNi−P膜の表面)上に形成した。この成膜方法は実施例1と同じである。この軟磁性裏打ち膜の特性を表3にまとめて示す。
(実施例6)
実施例5において、軟磁性裏打ち膜の形成に用いたメッキ液の組成のうち、金属塩の総濃度は変更せずに、Feイオンのモル濃度を2.0モル/リットル、及び、[Feイオン]/([Coイオン]+[Niイオン])の値を10.0に設定したこと以外は、実施例5と同様に軟磁性裏打ち膜を形成した。この軟磁性裏打ち膜の特性を表3にまとめて示す。
(比較例1)
実施例1において、軟磁性裏打ち膜の形成に用いたメッキ液の組成のうち、Feイオンを含んでいないこと以外は、実施例1と同様に軟磁性裏打ち膜を形成した。この軟磁性裏打ち膜の特性を表3にまとめて示す。
(比較例2)
実施例1において、軟磁性裏打ち膜の形成に用いたメッキ液の組成のうち、金属塩の総濃度は変更せずに、Feイオンのモル濃度を0.001モル/リットル、及び、[Feイオン]/([Coイオン]+[Niイオン])の値を0.3に設定したこと以外は、実施例1と同様に軟磁性裏打ち膜を形成した。この軟磁性裏打ち膜の特性を表3にまとめて示す。
また、OSAにより軟磁性裏打ち膜における磁壁の有無を観察したところ、軟磁性裏打ち膜には磁壁が多数発生していたことを確認した。このときのOSAによる軟磁性裏打ち膜の観察写真を図5に示す。
(比較例3)
実施例1において、軟磁性裏打ち膜の形成に用いたメッキ液の組成のうち、金属塩の総濃度は変更せずに、Feイオンのモル濃度を3.0モル/リットル、及び、[Feイオン]/([Coイオン]+[Niイオン])の値を15.0に設定したこと以外は、実施例1と同様に軟磁性裏打ち膜の形成を試みた。しかしながら、無電解メッキ反応が起こらず、軟磁性裏打ち膜を形成することができなかった。
表3に示すように、実施例1〜6では、軟磁性裏打ち膜に磁壁が発生していないことを確認し得た。さらに、軟磁性裏打ち膜の形成時に基板に磁場を印加しなくても磁壁の発生を防止できることを確認し得た。したがって、本発明に係る垂直磁気記録媒体の製造方法は、生産性に優れていることは明らかである。
本発明の一実施形態に係る垂直磁気記録媒体の断面図である。 同垂直磁気記録媒体の軟磁性裏打ち膜を形成するための成膜装置(メッキ装置)を示す斜視図である。 同垂直磁気記録媒体を用いた垂直磁気記録再生装置を示す概略図であり、(a)は全体構成を示し、(b)は磁気ヘッドを示す。 実施例1におけるOSAによる軟磁性裏打ち膜の観察写真である。 比較例2におけるOSAによる軟磁性裏打ち膜の観察写真である。
符号の説明
1…基板
1a…被覆膜
2…軟磁性裏打ち膜
3…垂直磁気記録膜
4…保護膜
10…垂直磁気記録媒体
20…成膜装置
21…メッキ液
22…基板回転装置
23…揺動装置
24…撹拌装置
30…垂直磁気記録再生装置
31…媒体駆動部
32…磁気ヘッド
32a…主磁極
32b…補助磁極
32c…連結部
32d…コイル
33…ヘッド駆動部
34…記録再生信号処理部

Claims (13)

  1. 基板上にコバルト、ニッケル及び鉄を組成元素として含む軟磁性裏打ち膜を無電解メッキ法により形成する工程を備えた垂直磁気記録媒体の製造方法において、
    前記無電解メッキ法に用いられるメッキ液は、前記軟磁性裏打ち膜の組成元素のイオンとしてコバルトイオン、ニッケルイオン及び鉄イオンを含み、更に、鉄イオンのモル濃度をコバルトイオンとニッケルイオンの合計モル濃度で割った値が0.5〜10の範囲に設定されていることを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
  2. 基板上にコバルト、ニッケル及び鉄を組成元素として含む軟磁性裏打ち膜を無電解メッキ法により形成する工程を備えた垂直磁気記録媒体の製造方法において、
    前記無電解メッキ法に用いられるメッキ液は、前記軟磁性裏打ち膜の組成元素のイオンとしてコバルトイオン、ニッケルイオン及び鉄イオンを含み、更に、鉄イオンのモル濃度が0.05〜2モル/リットルの範囲に設定されていることを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
  3. 基板上にコバルト、ニッケル及び鉄を組成元素として含む軟磁性裏打ち膜を無電解メッキ法により形成する工程を備えた垂直磁気記録媒体の製造方法において、
    前記無電解メッキ法に用いられるメッキ液は、前記軟磁性裏打ち膜の組成元素のイオンとしてコバルトイオン、ニッケルイオン及び鉄イオンを含み、更に、鉄イオンのモル濃度をコバルトイオンとニッケルイオンの合計モル濃度で割った値が0.5〜10の範囲に設定され、且つ、鉄イオンのモル濃度が0.05〜2モル/リットルの範囲に設定されていることを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
  4. 前記メッキ液は、リン系及びホウ素系還元剤のうち少なくとも一方を含んでいる請求項1〜3のいずれか1項記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
  5. 前記基板に磁場を印加しないで前記軟磁性裏打ち膜を形成する請求項1〜4のいずれか1項記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
  6. 前記基板の活性化処理された面上に、前記軟磁性裏打ち膜を形成する請求項1〜5のいずれか1項記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項記載の垂直磁気記録媒体の製造方法により製造された垂直磁気記録媒体。
  8. 基板上にコバルト、ニッケル及び鉄を組成元素として含む軟磁性裏打ち膜が無電解メッキ法により形成された垂直磁気記録媒体において、
    前記軟磁性裏打ち膜は、鉄原子の含有率をコバルト原子とニッケル原子の合計含有率で割った値が0.5〜10の範囲に設定されていることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  9. 請求項7又は8記載の垂直磁気記録媒体と、該垂直磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備えたことを特徴とする垂直磁気記録再生装置。
  10. コバルト、ニッケル及び鉄を組成元素として含む軟磁性裏打ち膜を有する垂直磁気記録媒体の前記軟磁性裏打ち膜を、無電解メッキ法により形成するための無電解メッキ液において、
    前記軟磁性裏打ち膜の組成元素のイオンとしてコバルトイオン、ニッケルイオン及び鉄イオンを含み、更に、鉄イオンのモル濃度をコバルトイオンとニッケルイオンの合計モル濃度で割った値が0.5〜10の範囲に設定されていることを特徴とする無電解メッキ液。
  11. コバルト、ニッケル及び鉄を組成元素として含む軟磁性裏打ち膜を有する垂直磁気記録媒体の前記軟磁性裏打ち膜を、無電解メッキ法により形成するための無電解メッキ液において、
    前記軟磁性裏打ち膜の組成元素のイオンとしてコバルトイオン、ニッケルイオン及び鉄イオンを含み、更に、鉄イオンのモル濃度が0.05〜2モル/リットルの範囲に設定されていることを特徴とする無電解メッキ液。
  12. コバルト、ニッケル及び鉄を組成元素として含む軟磁性裏打ち膜を有する垂直磁気記録媒体の前記軟磁性裏打ち膜を、無電解メッキ法により形成するための無電解メッキ液において、
    前記軟磁性裏打ち膜の組成元素のイオンとしてコバルトイオン、ニッケルイオン及び鉄イオンを含み、更に、鉄イオンのモル濃度をコバルトイオンとニッケルイオンの合計モル濃度で割った値が0.5〜10の範囲に設定され、且つ、鉄イオンのモル濃度が0.05〜2モル/リットルの範囲に設定されていることを特徴とする無電解メッキ液。
  13. リン系及びホウ素系還元剤のうち少なくとも一方を含んでいる請求項10〜12のいずれか1項記載の無電解メッキ液。
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