JP2008123633A - 磁気記録媒体用基板および磁気記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】低周波域ノイズおよび孤立スパイクノイズの低減を可能とした構造の垂直磁気記録媒体とそれを実現するための基板を提供すること。
【解決手段】シリコン基板として多結晶のものを用いることによりNiまたはNiP合金膜等の下地メッキ膜なしに基板上に軟磁性膜をメッキ法で成膜することを可能としている。下地メッキ膜を設けないために顕著なスパイクノイズ低減効果が得られる。10nm以上1000nm以下の厚みの酸化珪素膜106を主面に有する直径90mm以下の多結晶シリコン基板102上に、100nm以上1000nm以下の厚みのメッキ成膜された軟磁性裏打ち層102と磁気記録層103と保護層104と潤滑層105が順次積層されて記録媒体とされている。なお、酸化珪素膜106と軟磁性裏打ち層102との間に1nm以上200nm以下の厚みのPd含有膜107を設けるようにしてもよい。
【選択図】図2

Description

本発明は、磁気記録媒体製造用の基板およびそれを用いた磁気記録媒体に関する。
情報記録の技術分野において、文字や画像あるいは楽曲といった情報を磁気的に読み込み・書き出しする手段であるハードディスク装置は、パーソナルコンピュータを初めとする電子機器の一次外部記録装置や内蔵型記録手段として必須のものとなっている。このようなハードディスク装置には磁気記録媒体としてハードディスクが内蔵されているが、従来のハードディスクでは、ディスク表面に磁気情報を水平に書き込むいわゆる「面内磁気記録方式(水平磁気記録方式)」が採用されていた。
図1(A)は、水平磁気記録方式のハードディスクの一般的な積層構造を説明するための断面概略図で、非磁性基板1上に、スパッタリング法で成膜されたCr系下地層2、磁気記録層3および保護膜としてのカーボン層4が順次積層され、このカーボン層4の表面に液体潤滑剤を塗布して形成された液体潤滑層5が形成されている(例えば、特許文献1参照)。そして、磁気記録層3は、CoNiCr,CoCrPd,CoCrPt等の一軸結晶磁気異方性のCo合金であり、このCo合金の結晶粒がディスク面と水平に磁化されて情報が記録されることとなる。なお、磁気記録層3中の矢印は磁化方向を示している。
しかしながら、このような水平磁気記録方式では、記録密度を高めるために個々の結晶粒(磁区)のサイズを小さくすると隣接した磁区のN極同士およびS極同士が反発し合って磁化の打ち消し合いが生じるために高記録密度化のためには磁気記録層の厚みを薄くして結晶粒の垂直方向のサイズを小さくする必要があること、また、結晶粒の微細化(小体積化)が進むと熱エネルギによって結晶粒の磁化方向が乱されてデータが消失するという「熱揺らぎ」の現象が生じること、などの問題点が指摘され、高記録密度化には限界があるとされるようになった。
このような問題に鑑みて検討されるようになったのが「垂直磁気記録方式」である。この記録方式では、磁気記録層はディスク表面と垂直に磁化されるため、隣接ビットからの磁場が磁化方向と同じ方向となり、隣接ビットの間で閉磁路を形成するため、水平磁気記録に比較して自分自身の磁化による自己減磁場(以下、「反磁場」と呼ぶ)が少なく結果、磁化状態(磁気記録)の安定性が高くなる。
また、垂直に磁化方向が記録される場合には、隣接ビットの反磁界が相互に強め合うように作用するので、水平磁気記録方式とは異なり、結晶粒の垂直方向のサイズを小さくする必要はない。このため、結晶粒の水平方向のサイズを小さくしても、記録層厚を厚くして垂直方向を大きくとれば、全体としての結晶粒の体積が大きくなって「熱揺らぎ」の影響を小さくすることが可能である。さらに、磁気記録層である磁性膜厚の観点からは、記録密度が向上しても水平磁気記録方式の場合ほど薄くする必要がない。
つまり、垂直磁気記録方式は、反磁場の軽減とKuV値(Kuは磁気記録層の結晶磁気異方性エネルギ、Vは単位記録ビット体積を表す)を確保できるため、「熱揺らぎ」による磁化不安定性が低減され、記録密度の限界を大幅に拡大することが可能となる磁気記録方式であることから、超高密度記録を実現する方式として期待されている。
垂直磁気記録方式の記録媒体は、磁気記録情報の書込みや読み出しも基本的には従来のものと同様の技術によることができるが、異なる点が幾つかある。
図1(B)は、軟磁性裏打ち層の上に垂直磁気記録のための記録層を設けた「垂直二層式磁気記録媒体」としてのハードディスクの基本的な層構造を説明するための断面概略図で、非磁性基板11上に、軟磁性裏打ち層12、磁気記録層13、保護層14、潤滑層15が順次積層されている。ここで、軟磁性裏打ち層12には、パーマロイやCoZrTaアモルファスなどが典型的に用いられる。また、磁気記録層13としては、CoCr系合金、PtCo層とPdとCoの超薄膜を交互に数層積層させた多層膜、あるいは、SmCoアモルフアス膜などが用いられる。なお、磁気記録層3中の矢印は磁化方向を示している。
図1(B)に示したように、垂直磁気記録方式のハードディスクでは、磁気記録層13の下地として軟磁性裏打ち層12が設けられ、その磁気的性質は「軟磁性」であり、層厚みは概ね100nm〜500nm程度とされる。この軟磁性裏打ち層12は、垂直磁気記録方式の記録媒体に特有のものであり、書き込み磁場の増大効果と磁気記録層13の反磁場低減に大変有効な膜であり、磁気記録層13からの磁束の通り道であるとともに、記録ヘッドからの書き込み用磁束の通り道として機能する。つまり、軟磁性裏打ち層12は、永久磁石磁気回路における鉄ヨークと同様の役割を果たす。このため、書き込み時における磁気的飽和の回避を目的として、磁気記録層13の層厚に比較して厚く層厚設定される必要がある。
積層構成の観点からは、軟磁性裏打ち層12は、水平磁気記録方式の記録媒体に設けられるCr系下地層2に対応するものであるが、その成膜は、水平記録媒体のCr系下地層2の成膜に比較して容易ではない。水平磁気記録方式におけるハードディスクの各層の厚みは通常はせいぜい20nm前後であり、全てドライプロセス(主にマグネトロンスパッタ)で形成される(特許文献1参照)。垂直二層式記録媒体においても、磁気記録層13と軟磁性裏打ち層12をドライプロセスで形成する方法が種々検討されているが、ドライプロセスで軟磁性裏打ち層12を形成する場合には、スパッタリング・ターゲットが飽和磁化の大きい強磁性体であること、しかも軟磁性裏打ち層12の厚みとして100nmもしくはそれ以上のものが必要とされることなどの理由により、膜厚均一性や組成均一性、ターゲット寿命、プロセスの安定性、そして何よりも成膜速度の低さから、量産性や生産性の上で大きな問題を抱えている。
また、高記録密度化のためには、磁気ディスク表面を浮上する磁気ヘッドの浮上高さ(フライングハイト)を極力低くする必要があるが、ドライプロセスにより成膜された比較的厚い膜はその表面平滑性が劣化しがちでヘッドクラッシュの原因ともなってしまう。
このような理由により、厚膜化が容易でしかも研磨加工が可能なメッキ法で、非磁性基板上に金属膜を被覆する試みが検討されている(例えば特許文献2参照)。
特開平5−143972号公報 特開2002−270426号公報 特開2005−108407号公報
しかし、軟磁性層をメッキ法により成膜した場合、磁気異方性を有する軟磁性層は磁化容易軸に対して垂直方向に磁化リップルが生じる。そして、この磁化リップルは低周波域でのノイズの発生要因のひとつと考えられる。また、軟磁性層を構成するメッキ膜面の数mmから数cmの範囲にわたり特定の方向に磁性を帯びた磁区が多数発生し、それら磁区の界面には磁壁が発生するが、このような磁壁を有する軟磁性層を裏打ち層として垂直二層式磁気記録媒体用ハードディスクに用いた場合、磁壁部分より発生する漏れ磁界によりスパイクノイズやマイクロスパイクノイズと呼ばれる孤立パルスノイズが発生し、信号再生特性が大きく損なわれる可能性がある。
本発明はかかる問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、低周波域ノイズおよび孤立スパイクノイズの低減を可能とした構造の垂直磁気記録媒体とそれを実現するための基板を提供することにある。
本発明は、上述の課題を解決するために、請求項1に記載の磁気記録媒体用基板は、主面上に10nm以上1000nm以下の厚みの酸化珪素膜を有する直径90mm以下の多結晶シリコン基板上に、メッキ法で成膜された100nm以上1000nm以下の厚みの軟磁性膜を備えている。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の磁気記録媒体用基板において、前記軟磁性膜は、CoとNiとFeからなる一群から選択される2つ以上の元素を含み、BとCとPとSからなる一群から選択された少なくとも1種の元素を含有する膜である。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の磁気記録用基板において、前記軟磁性膜の組成は、CoとFeとNiとPとBの含有量の合計を100重量%とした場合に、Co含有量が60重量%以上80重量%以下、Fe含有量が10重量%以上20重量%以下、Ni含有量が5重量%以上20重量%以下の範囲にある。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板において、前記酸化珪素膜と前記軟磁性膜との間に1nm以上200nm以下の厚みのPd含有膜を備えている。
請求項5に記載の磁気記録媒体は、請求項1乃至4の何れか1項に記載の基板上に磁気記録層を備えた記録媒体である。
本発明は、シリコン基板として多結晶のものを用いることによりNiまたはNiP合金膜等の下地メッキ膜なしに基板上に軟磁性膜をメッキ法で成膜することを可能としたので、低周波域ノイズおよび孤立スパイクノイズの低減を可能とした構造の垂直磁気記録媒体とそれを実現するための基板が得られる。
また、本発明の磁気記録媒体は、軟磁性膜を無電解メッキにより成膜するため、蒸着法等による成膜に比較してプロセスが大変簡便となり、軟磁性膜が厚膜の場合であっても高い生産性が維持されるとともに、膜の密着力が強いため、メッキ後の研磨によりその表面粗さのレベルを所定のものとする加工が容易であり、磁気記録媒体として極めて優れたヘッド浮上特性を有する。
以下に、図面を参照して本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本発明者は、簡便な方法にて優れた特性を有する垂直二層式磁気記録媒体を得るべく、メッキ法により軟磁性膜を形成する条件ならびに適用可能な軟磁性膜の種類について鋭意研究を重ね、磁気記録媒体を形成する基板上に無電解メッキ法にてCo、Ni、Feの群から選択される2種以上の金属からなる合金からなり、かつ、基板の面内周方向に異方性を有する軟磁性膜を裏打ち層として用いると、軟磁性膜中での磁壁の発生が抑制され、スパイクノイズの低減に有効であることを既に見出している(特許文献3)。
本発明者の更なる検討の結果、(1)単結晶シリコン基板上にメッキ法で成膜された密着力の強い軟磁性膜を形成するために、単結晶シリコン基板上にNiまたはNiP合金膜を予め成膜させこの膜(核付け層)上に軟磁性膜を成膜することが有効であること、(2)単結晶シリコン基板上にNiまたはNiP合金膜を形成する際に、Ni濃度とSi濃度が傾斜的に変化するように成膜すると、シリコン基板との密着力が向上すること、が明らかとなってきた。
さらに、(3)単結晶シリコン基板上に無電解めっき法にてCo、Ni、Feからなる群から選択される2種以上の元素からなる合金を用いて軟磁性膜を成膜する際、基板の面内周方向に異方性を有する軟磁性膜を積層させると、スパイクノイズの発生原因となる磁壁の発生抑止に有効であること、(4)メッキ法によっても面内径方向に異方性を有する軟磁性膜が成膜可能であり、面内周方向に異方性をもつ軟磁性膜と同様に良好なS/N比が得られること、(5)軟磁性膜中にBとPを含有させることにより、メッキ法で積層した軟磁性膜の結晶状態の制御が可能であり、これにより磁化リップルおよびスパイクノイズの低減が可能であること、も明らかになった。
本発明は、このような知見に基づいて更に鋭意検討を行った結果、シリコン基板として多結晶のものを用いることにより上述のNiまたはNiP合金膜等の下地メッキ膜なしに基板上に軟磁性膜をメッキ法で成膜することが可能となること、下地メッキ膜を設けないためにスパイクノイズ低減効果が顕著であること、また、軟磁性膜中にBとPを有意に含有させることによりメッキ法で積層させる軟磁性膜の結晶状態が磁化リップルとスパイクノイズの低減に効果的なものとなること、との新たな知見を得たことに基づくものである。
図2(A)および(B)は、本発明の磁気記録媒体の積層構造例を説明するための図で、これらの図において、符号101は直径90mm以下の多結晶シリコン基板、102はメッキ法で成膜された100nm以上1000nm以下の厚みの軟磁性裏打ち層、103は磁気記録層、104は保護層、105は潤滑層であり、多結晶シリコン基板101と軟磁性裏打ち層102との間には、10nm以上1000nm以下の厚みの酸化珪素膜106が設けられている。また、図2(B)中の符号107は、酸化珪素膜106と軟磁性裏打ち層102との間に設けられる1nm以上200nm以下の厚みのPd含有膜である。以下に、多結晶シリコン基板および各層毎に説明する。
多結晶シリコン基板(101):本発明で用いるシリコン基板は多結晶であり、その基板直径は90mm以下とされる。これは、後述の軟磁性裏打ち層102のメッキ成膜工程において、基板面上に均質なメッキ液の流れを形成するためである。この点は後述する。また、多結晶シリコン基板101の電気抵抗は特別な制限はないが、表面抵抗率で概ね0.1Ω/cm2以上100Ω/cm2のものが用いられ、例えば、0.5Ω/cm2以上50Ω/cm2のものとされる。この抵抗値は、シリコン結晶中に含まれるB、P、N、As、Sn等のドーパント量で決まることとなる。
酸化珪素膜(106):本発明の磁気記録媒体用基板には、多結晶シリコン基板101の主面に、10nm以上1000nm以下の厚みの酸化珪素膜106を有している。この酸化珪素膜106は、用意した多結晶シリコン基板101に表面処理を施し、表面をエッチングして自然酸化膜を除去するとともに、新たな酸化膜を形成して得られたものである。なお、酸化珪素膜106は多孔質状の膜であり、その厚みは10nm以上1000nm以下とされる。酸化珪素膜106が多孔質の膜であることにより、その空隙が後述する軟磁性裏打ち層102と多結晶シリコン基板101の密着強度の向上に効果的に作用する。
酸化珪素膜106の厚みを上述の範囲とするのは、厚さが10nm未満であると、酸化珪素膜106の上への軟磁性裏打ち層102の成膜が安定し難いためである。これは、酸化珪素膜106の多孔質の空隙に軟磁性膜の一部が進入してくることによるものと考えられる。また、酸化珪素膜106の厚みが1000nmを超えると、その上に形成される軟磁性裏打ち層102との間で生じる応力に耐えられなくなり、剥がれ易くなるためである。
このような酸化珪素膜106の形成は、以下のような工程で実行される。先ず、表面処理剤として、酸またはアルカリと酸化剤の組合せを選択する。酸としては、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸でも、蟻酸や酢酸等の有機酸の何れでもよいが、無機酸の方が取り扱い易い。アルカリとしては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムあるいはアンモニア水等がよい。酸化剤としては、酸との組み合わせでは過硫酸ナトリウムや過マンガン酸カリウム等が好ましく、アルカリとの組み合わせでは過酸化水素や過硫酸ナトリウムを選択することが好ましい。
エッチングおよび酸化の条件としては、例えば、苛性ソーダ等のアルカリ水溶を用いる場合には濃度2〜60重量%で、30〜100℃の液中で過酸化水素や過硫酸ナトリウム等の酸化剤を用いてエッチングしながら酸化を行い、多孔質酸化珪素膜を得る。酸化珪素膜の厚さは、酸化剤の濃度と反応時間によって制御される。例えば、酸化剤の濃度が0.01モル/リットル以上1モル/リットルの場合、0.5分以上20分以下の処理時間となる。
Pd含有膜(107):本発明において必須ではないが、図2(B)に図示したように、酸化珪素膜106と軟磁性裏打ち層102との間に厚み1nm以上200nm以下のPd含有膜107を設けることとすると、密着強度の向上という効果が得られる。
このPd含有膜107は、公知の一般的な手法(メッキ法、蒸着法、スパッタ法等)で成膜されたパラジウムを含有する膜である。例えば、パラジウム水溶液を用いた処理を施すなどにより形成することが可能である。この場合の条件としては、パラジウム源として、塩化パラジウム、硫酸パラジウム、硝酸パラジウム、テトラアンミンパラジウムクロライド等の化合物を用い、溶液中のパラジウム濃度が0.001モル/リットル以上0.1モル/リットル以下となるように薬液調合してその薬液中に多孔質の酸化珪素膜106を主面に備えた多結晶シリコン基板101を浸漬させることで成膜を行う。
軟磁性裏打ち層(102):軟磁性裏打ち層102は、無電解メッキとして知られる一般的な方法で成膜した後に、このメッキ膜を所定の厚み(100nm以上1000nm以下)まで研磨して厚み調整する。本発明では、この軟磁性膜を、CoとNiとFeからなる一群から選択される2つ以上の元素を含み、BとCとPとSからなる一群から選択された少なくとも1種の元素を含有する膜とする。例えば、この軟磁性膜の組成は、CoとFeとNiとPとBの含有量の合計を100重量%とした場合に、Co含有量が60重量%以上80重量%以下、Fe含有量が10重量%以上20重量%以下、Ni含有量が5重量%以上20重量%以下の範囲にある。なお、この軟磁性膜の組成は、メッキ液の組成調整により制御される。
軟磁性膜の組成は、磁気特性の観点から、当該膜を立方晶結晶とする必要から定められる。したがって、メッキ浴の組成もメッキ膜の磁気特性を軟磁性膜としてのものとすると同時にその結晶構造を立方晶とする組成とされる。無電解メッキには、金属の硫化物浴又は塩化物浴の何れを用いることも可能であるが、具体的な浴組成例としては、ニッケル、コバルト及び鉄から選ばれる2つ以上の金属イオンを含む「硫酸ニッケルと硫酸コバルト混合浴」、あるいはこの混合浴にさらに硫酸鉄を含む混合浴等が挙げられ、その好ましい濃度は0.01〜0.5Nである。このような金属元素選択とするのは、Co、Ni、およびFeは何れも無電解メッキが可能であるものの、単独元素のメッキ膜からは良好な軟磁気特性得ることが困難なためである。なお、メッキ浴の温度は40〜100℃の範囲に設定することが好ましい。
無電解メッキで用いられる還元剤としては、燐系の還元剤と硼素系の還元剤を同時に用いる。燐系還元剤としては次亜燐酸(H2PO2)や次亜燐酸ナトリウム等を、硼素系還元剤としてはジメチルアミンボラン(DMAB:(CH32HNBH3)を用いることができる。
軟磁性膜は、無電解メッキ時に燐系還元剤と硼素系還元剤を同時使用するため、PおよびBの軽元素が膜中に有意に取り込まれることとなる。このPおよびBの膜中への取り込まれが乾式成膜法(スパッタ法など)で成膜された軟磁性膜と顕著に異なる点である。
軟磁性膜の厚みは、先ず、1000nm〜2000nm程度に厚めに成膜し、これに熱処理を施した後に研磨して100nm以上1000nm以下に調整する。最終厚みが100nm未満では、その下に設けられている多孔質酸化珪素膜106の表面状態の影響を受けて目的とする軟磁性膜の表面平滑性を確保することが困難となりノイズも高くなる。また、1000nmを越える厚膜とすると膜強度が低下し易くなるので望ましくない。
メッキ成膜直後の厚さは、研磨後の最終膜厚の2〜6倍程度とするのがよい。これは、メッキ成分や水分が軟磁性膜中に残留し易くこれが腐食の原因となるため、これを気化させて除去する目的で熱処理を施すが、その熱処理の際に、軟磁性膜の表面が酸化したり、気化に伴って膜に孔が開いたりする。このような「変質層」を取り除くためにCMP処理などの研磨を施す際の「取りしろ」を確保しておくためである。
研磨後の軟磁性膜は、その上に磁気記録層103が成膜されるものであるため、研磨後の表面は平滑なものであることが望ましい。したがって、研磨後の軟磁性膜の表面精度はAFM(原子間力顕微鏡)やZygo社製の非接触三次元表面形状測定装置)を用いて表面粗さ(Rms)を測定した場合の平坦度が0.5nm以下であることが好ましい。また、Phase Shifter社製のOpti-Flatで測定した湾曲度(マイクロウェビネス:μWa)が1nm以下、好ましくは0.5nm以下とする。
図3に例示したように、本発明の軟磁性膜は無電解メッキ時に、50エルステッド(Oe)以上5キロエルステッド(kOe)以下の磁場を基板に対して印加しつつ、かつ、メッキ浴中で基板を回転させながら成膜される。すなわち、メッキ浴201を溜めた浴槽202を、磁石から発生する磁力線203がメッキ浴201中を通るように、永久磁石磁気回路のN極202aとS極202bとの間に配置し、このメッキ浴201に基板100を浸漬させ、基板100面と磁力線203の成す角度を設定して外部磁場が印加される。
なお、基板に対する磁場方向と磁場中の基板の位置により軟磁性の磁気的異方性方向を制御することができる。例えば、基板の径方向に磁気的異方性を持たせる場合には、基板面に対して、45°以上90°以下の方向で磁場を印加し、基板位置は磁場中心にあることが望ましい。また、基板の周方向に磁気的異方性を持たせる場合には、基板面に対して0°以上45°未満の方向で磁場印加し、基板位置は磁場中心からずらすことが好ましい。
本発明においては、無電解メッキ時に磁場を印加することにより、磁化方向が面内にある軟磁性膜を得る。つまり、軟磁性膜は、基板の径方向または周方向に磁気的異方性を有する。このような異方性の軟磁性膜は、磁壁発生が顕著に抑えられ、スパイクノイズが抑制される。
この無電解メッキ工程中の基板表面近傍におけるメッキ液の流れ方は、得られる軟磁性膜の磁気異方性に影響を及ぼす。また、メッキされる基板の直径が90mmを超えると基板面に均質なメッキ液の流れを形成することが困難となる。これが多結晶シリコン基板として直径90mm以下のものを選択する理由である。したがって、メッキ成膜時の液循環を調整したり、パドル等の攪拌子を用いてメッキ液を攪拌したり、あるいは被メッキ基板を自公転させたりすることでメッキ浴中の液流を調整することが好ましい。これらのうち、浴中で被メッキ基板を自公転させる方法は、液流速を適切なものとするのに簡便かつ効果的な方法である。したがって、浴中での被メッキ基板の自公転と、メッキ液の循環や攪拌とを適宜組み合わせることでメッキ浴中の液流が調整される。
メッキ成膜された軟磁性膜中には、僅かではあるが、残留メッキ液成分や水分が含まれており、これが腐食の原因となるので、成膜後に50℃以上350℃以下(好ましくは100℃以上250℃以下)の熱処理を施して、これらを除去する。この熱処理は、大気中、減圧下、真空中、加圧下、不活性雰囲気中、還元雰囲気中の何れで行ってもよい。なお、この熱処理を、50Oe以上5kOe以下の磁場を印加させながら、すなわち、磁気的異方性を高めるための磁場印加を加えながら、実行してもよい。
軟磁性膜の磁気的異方性の測定は、主に、軟磁性膜をメッキ成膜した基板を切り出して得た試料をVSM(振動試料型磁力計)測定、あるいは、カー効果を利用した磁化曲線の測定で行う。一般的には、基板面内の周方向と径方向の2方向につき測定を行う。VSM測定では磁化の絶対値も含めて磁化曲線が厳密に求められるが、測定試料の切り出し(試料の破壊)が必要なため、軟磁性膜の残留応力の様子が非破壊時とは異なる場合もあり得ることから、正確な測定とはならない場合もあり得る。
一方、カー効果を利用した磁化曲線の測定は非破壊で磁化曲線が測定可能で、しかも測定エリアも2〜3mm程度の狭い領域であるため、基板面内での分布を求めるための多点計測をも容易である。しかし、得られる情報はあくまでも「カー回転角」でしかないため、磁化の絶対値を知ることはできない。また、カー効果は膜表面での可視光反射によるため、膜の極表面の情報でしかなく、膜全体の磁化曲線とは異なる可能性がある。このように、上記何れの測定法もそれぞれの短所を有しているので、両手法を使い分けて、磁気的異方性を把握する必要がある。
上述したように、本発明の磁気記録媒体が備える軟磁性膜は、基板面内の周方向と径方向の磁化曲線に異方性があり、例えば、径方向が磁化容易方向で、径方向と周方向の異方性が5Oe以上である。ここで、磁気的異方性とは、上述した測定から得られる周方向と径方向の磁化曲線において、磁化が飽和する外部磁場強度の差をいう。
図4は、磁気的異方性の意味を説明するための、面内での周方向および径方向の磁化曲線の概念図である。この図に示した例では、径方向の磁化飽和磁場強度は周方向のそれに比較して高く、この差(δH)が「磁気的異方性」である。磁気的異方性が5Oe以上の径方向磁気異方性を付与することとすると、例えば軟磁性裏打ち層12から発生するスパイクノイズを極めて効果的に抑制できる。なお、この磁気的異方性を2kOe以上とすることはプロセス上困難ではあるが、2kOe未満の異方性で充分なノイズ抑制効果が得られる。
磁気記録層103:上述のようにして得られた磁気記録媒体用基板上に磁気記録層を設けて記録媒体とする。軟磁性裏打ち層102の上に設けられる磁気記録層103は、軟磁性裏打ち層102の上に直接形成してもよいが、結晶粒径および磁気特性の整合をとるなどのために、必要に応じて、種々の中間膜を設け、この中間膜上に形成するようにしてもよい。中間膜としては、例えばRu膜などが用いられる。また、中間膜を複数層積層させるようにしてもよい。
磁気記録層103の組成は、層面に垂直な方向に磁化容易な磁区を形成可能な磁性材料であれば特別な制限はない。スパッタ法成膜する場合には、たとえば、Co−Cr系合金膜、Fe−Pt合金膜、CoCr−Siグラニュール膜、Co/Pd多層膜などを用いることができる。また、湿式法により成膜する場合には、たとえば、Co−Ni系メッキ膜やマグネトプランバイト相よりなるバリウム・フェライトの塗布膜などを用い得る。
磁気記録層103の厚みは、概ね5〜100nm程度が好ましく、より好ましくは10〜50nm程度である。また、磁気記録層13は、その保磁力が、好ましくは0.5〜10kOeとなるように成膜され、より好ましくは3〜6kOeとなるように成膜される。
保護層104および潤滑層105:磁気記録層103の上面に設けられる保護層104は、従来の磁気記録媒体に用いられてきた材料で形成することができる。たとえば、スパッタ法やCVD法により形成される非晶質カーボン系の保護膜をはじめ、アルミナ(Al23)などの結晶質の保護膜を用いることができる。また、この保護層104の上面に設けられる潤滑層105もまた、従来の磁気記録媒体に用いられてきた材料を塗布して形成することができ、その剤種及び塗布方法についての制限は特にない。たとえば、フッ素系油脂を塗布して単分子膜を形成するなどにより潤滑層15を形成する。なお、これら保護層104および潤滑層105の厚みは何れも、例えば2〜20nm程度とされる。
以下に、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
ポリシリコン(純度「7ナイン」:99.99999%)を原料として得られた直径200mmの多結晶シリコン基板から、コア抜き、芯取り、およびラップを行い直径65mmの多結晶シリコン基板(Pドープのn型)を得た。この多結晶シリコン基板の表面を、平均粒径15nmのコロイダルシリカを研磨剤として両面研磨し、表面粗さ(Rms)が5nmの基板を得た。なお、「Rms」は平方平均粗さであり、AFM(原子間力顕微鏡)を用いて測定した値である。
この多結晶シリコン基板を、液温45℃の苛性ソーダ浴(0.5モル/リットル)に5分間浸漬して表面の薄い酸化膜を除去し、純水洗浄の後、苛性ソーダ(1モル/リットル)と過酸化水素(0.1モル/リットル)の混合水溶液(液温45℃)に10分間浸漬して基板表面に多孔質の酸化珪素膜(厚み350nm)を成膜した。
図5は、得られた酸化珪素膜の平面透過電子顕微鏡像(TEM像)で、このTEM写真からは数十nm程度のサイズの濃淡の分布が観察され、酸化珪素膜が多孔質であることが確認できる。
酸化珪素膜形成後の基板を純水で洗浄した後、0.005モル/リットルの濃度の塩化パラジウム水溶液に塩酸を0.0001モル/リットル添加した活性化浴を調合し、25℃に加熱した浴中に基板を0.5分間浸漬させ、酸化珪素膜上にパラジウムの膜を成膜した。このパラジウム膜の厚みは概ね30nmであった。
次に、この基板を、硫酸アンモニウム(0.2モル/リットル)、硫酸コバルト(0.1モル/リットル)、硫酸ニッケル(0.01モル/リットル)、硫酸鉄(0.02モル/リットル)、還元剤としての亜燐酸(0.3モル/リットル)およびジメチルアミンボラン(0.1モル/リットル)を含むメッキ液を建浴し、無電解メッキによる成膜速度が0.1μm/minとなるように浴温を68℃に設定した。
このメッキ液中に基板を浸漬させ、基板面に対して垂直に500Oeの磁場を印加しながら基板を回転数40rpmで自転させつつ、12分の無電解メッキを行い、厚み約1.2μmの軟磁性膜を得た。磁気特性測定の結果、この軟磁性膜の保磁力は2Oeで、径方向に磁気的異方性を有する良好な軟磁気特性を示していた。
磁気特性測定の後、軟磁性膜の組成を蛍光X線分析法とIPC法で分析した。その結果、膜の主成分は、Co、Ni、Fe、P、Bのそれぞれにつき、69wt%、14.4wt%、16wt%、0.1wt%、0.5wt%であった。
このようにして得られた軟磁性膜付き基板に、大気中で150℃の径方向磁場中熱処理を施した。磁場印加にはSmCo系磁石を用い、磁場強度約1kOeとし、基板を磁気回路の相対回転数差約30rpmで回転させながら、約1時間の磁場中熱処理を実行した。
次に、平均粒径10nmのコロイダルシリカを用いて両面研磨を施して軟磁性膜の厚みを約200nmに調厚した。この調厚後の軟磁性膜の表面をAFMで表面粗さ測定した結果、Rms値が0.2nmで、マイクロウェビネス(μWa)の値として0.4nmを得た。
この軟磁性膜上に、垂直磁気記録層、保護層(厚み15nmのアモルファスカーボン)、潤滑層(ディップ形成フッ素潤滑膜)を設けて垂直磁気記録媒体を得た。この磁気記録媒体をスピンスタンドに設置しDCイレーズを実施後、浮上高10nmのナノスライダーヘッドにより書き込みを行い再生信号の測定を行った結果、低周波域の20HzでのS/N比の平均レベルは40dBと良好であった。
ポリシリコン(いわゆる「金属珪素」であり純度「4ナイン」:99.99%)を原料として得られた直径200mmの多結晶シリコン基板から、コア抜き、芯取り、およびラップを行い直径65mmの多結晶シリコン基板(Pドープのn型)を得た。この多結晶シリコン基板の表面を、平均粒径15nmのコロイダルシリカを研磨剤として両面研磨し、表面粗さ(Rms)が5nmの基板を得た。
この多結晶シリコン基板を、液温45℃のアンモニア水溶液(1モル/リットル)に5分間浸漬して表面の薄い酸化膜を除去し、純水洗浄の後、苛性ソーダ(0.3モル/リットル)と過酸化水素(0.01モル/リットル)の混合水溶液(液温45℃)に5分間浸漬して基板表面に多孔質の酸化珪素膜(厚み250nm)を成膜した。
酸化珪素膜形成後の基板を純水で洗浄した後、0.01モル/リットルの濃度のテトラアミンパラジウムクロライド水溶液に塩化アンモニウムを0.001モル/リットル添加した活性化浴を調合し、25℃に加熱した浴中に基板を5分間浸漬させ、酸化珪素膜上にパラジウムの膜を成膜した。このパラジウム膜の厚みは概ね100nmであった。
次に、この基板を、硫酸アンモニウム(0.3モル/リットル)、硫酸コバルト(0.12モル/リットル)、硫酸ニッケル(0.02モル/リットル)、硫酸鉄(0.03モル/リットル)、還元剤としての次亜燐酸ナトリウム(0.2モル/リットル)およびジメチルアミンボラン(0.05モル/リットル)を含むメッキ液を建浴し、無電解メッキによる成膜速度が0.08μm/minとなるように浴温を65℃に設定した。
このメッキ液中に基板を浸漬させ、基板面に対して水平に500Oeの磁場を印加しながら基板を回転数20rpmで自転させつつ、15分の無電解メッキを行い、厚み約1.2μmの軟磁性膜を得た。磁気特性測定の結果、この軟磁性膜の保磁力は3Oeで、周方向に磁気的異方性を有する良好な軟磁気特性を示していた。
磁気特性測定の後、軟磁性膜の組成を蛍光X線分析法とIPC法で分析した。その結果、膜の主成分は、Co、Ni、Fe、P、Bのそれぞれにつき、75wt%、8wt%、14.9wt%、0.2wt%、0.1wt%であった。
このようにして得られた軟磁性膜付き基板に、Ar雰囲気中で250℃の周方向磁場中熱処理を施した。磁場印加にはSmCo系磁石を用い、磁場強度約1kOeとし、基板を磁気回路の相対回転数差約30rpmで回転させながら、約4時間の磁場中熱処理を実行した。
次に、平均粒径10nmのコロイダルシリカを用いて両面研磨を施して軟磁性膜の厚みを約700nmに調厚した。この調厚後の軟磁性膜の表面をAFMで表面粗さ測定した結果、Rms値が0.5nmで、マイクロウェビネス(μWa)の値として0.5nmを得た。
この軟磁性膜上に、垂直磁気記録層、保護層(厚み15nmのアモルファスカーボン)、潤滑層(ディップ形成フッ素潤滑膜)を設けて垂直磁気記録媒体を得た。この磁気記録媒体をスピンスタンドに設置しDCイレーズを実施後、浮上高10nmのナノスライダーヘッドにより書き込みを行い再生信号の測定を行った結果、20HzでのS/N比の平均レベルは50dBと良好であった。
比較例:チョクラルスキ(CZ)法で結晶成長させて得た直径200mmの単結晶シリコン基板から、コア抜き、芯取り、ラップを行い、直径65mmの(100)単結晶シリコン基板(Pドープのn型基板)を得た後、平均粒径15nmのコロイダルシリカにより両面研磨し、その表面粗さをRms値で0.5nmとした。
この基板を45℃、0.5モル/リットルの苛性ソーダに5分間浸漬して基板表面の薄い表面酸化膜を除去した。純水で洗浄後、0.2モル/リットルの硫酸ニッケル水溶液に硫酸アンモニウムを1.0モル/リットル添加したNiメッキ浴を調合し、80℃に加熱した浴中に5分間浸漬してNi下地メッキ膜を得た。
次に、この基板を、硫酸アンモニウム(0.2モル/リットル)、硫酸コバルト(0.1モル/リットル)、硫酸ニッケル(0.01モル/リットル)、硫酸鉄(0.02モル/リットル)、還元剤としてのジメチルアミンボラン(0.05モル/リットル)を含むメッキ液を建浴し、無電解メッキによる成膜速度が0.1μm/minとなるように浴温を68℃に設定した。
このメッキ液中に基板を浸漬させ、基板面に対する磁場印加なしに、基板を回転数40rpmで自転させつつ、12分の無電解メッキを行い、厚み約1.2μmの軟磁性膜を得た。磁気特性測定の結果、この軟磁性膜の保磁力は4Oeの良好な軟磁気特性を示していた。
このようにして得られた軟磁性膜付き基板に、大気中で350℃の周方向磁場中熱処理を施した。磁場印加にはSmCo系磁石を用い、磁場強度約1kOeとし、基板を磁気回路の相対回転数差約30rpmで回転させながら、約1時間の磁場中熱処理を実行した。
次に、平均粒径10nmのコロイダルシリカを用いて両面研磨を施して軟磁性膜の厚みを約600nmに調厚した。この調厚後の軟磁性膜の表面をAFMで表面粗さ測定した結果、Rms値5nmを得た。
さらに、この軟磁性膜上に、垂直磁気記録層、保護層(厚み15nmのアモルファスカーボン)、潤滑層(ディップ形成フッ素潤滑膜)を設けて垂直磁気記録媒体を得た。この磁気記録媒体をスピンスタンドに設置しDCイレーズを実施後、浮上高10nmのナノスライダーヘッドにより書き込みを行い再生信号の測定を行った結果、20HzでのS/N比の平均レベルは80dBであり、実施例1および2の値に比較して高い値となった。つまり、本発明は、基板を多結晶シリコン基板とすることにより下地メッキ層を不要として、低周波域でのノイズ低減とスパイクノイズ低減が実現される。
本発明は、低周波域ノイズおよび孤立スパイクノイズの低減を可能とした構造の垂直磁気記録媒体とそれを実現するための基板を提供する。
水平磁気記録方式(A)および垂直磁気記録方式(A)のハードディスクの一般的な積層構造を説明するための断面概略図である。 本発明の磁気記録媒体の積層構造例を説明するための図である。 軟磁性膜をメッキ成膜する際の様子を説明するための概念図である。 磁気的異方性の意味を説明するための、面内での周方向および径方向の磁化曲線の概念図である。 酸化珪素膜のTEM像である。
符号の説明
1、11 非磁性基板
2 Cr系下地層
3、13、103 磁気記録層
4、14、104 保護層
5、15、105 潤滑層
12、102 軟磁性裏打ち層
100 基板
101 多結晶シリコン基板
106 酸化珪素膜
107 Pd含有膜
201 メッキ浴
202 浴槽
203 磁力線
202a N極
202b S極

Claims (5)

  1. 主面上に10nm以上1000nm以下の厚みの酸化珪素膜を有する直径90mm以下の多結晶シリコン基板上に、メッキ法で成膜された100nm以上1000nm以下の厚みの軟磁性膜を備えた磁気記録媒体用基板。
  2. 前記軟磁性膜は、CoとNiとFeからなる一群から選択される2つ以上の元素を含み、BとCとPとSからなる一群から選択された少なくとも1種の元素を含有する請求項1に記載の磁気記録媒体用基板。
  3. 前記軟磁性膜の組成は、CoとFeとNiとPとBの含有量の合計を100重量%とした場合に、Co含有量が60重量%以上80重量%以下、Fe含有量が10重量%以上20重量%以下、Ni含有量が5重量%以上20重量%以下の範囲にある請求項2に記載の磁気記録媒体用基板。
  4. 前記酸化珪素膜と前記軟磁性膜との間に1nm以上200nm以下の厚みのPd含有膜を備えている請求項1乃至3の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板。
  5. 請求項1乃至4の何れか1項に記載の基板上に磁気記録層を備えた磁気記録媒体。
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