JP4172412B2 - 垂直磁気記録媒体用基板及びそれを用いた垂直磁気記録媒体 - Google Patents

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Description

本発明は、垂直磁気記録媒体用基板及びそれを用いた垂直磁気記録媒体に関し、コンピュータの外部記憶装置を初めとする各種磁気記録装置に搭載され、特にハードディスク装置(HDD)に搭載して好適な垂直磁気記録媒体と、それに用いられる垂直磁気記録媒体用基板に関する。
磁気記録の高密度化を実現する技術として、従来の長手磁気記録方式に代えて、垂直磁気記録方式が注目されつつある。
特に、特許文献1に示されるように、情報を記録する役割を担う磁気記録層の下側に、磁気ヘッドから発生する磁束を通しやすく、かつ飽和磁束密度Bsの高い軟磁性裏打ち層と呼ばれる軟磁性膜を付与した二層垂直磁気記録媒体は、磁気ヘッドの発生磁界強度とその磁界勾配を増加させ、記録分解能を向上させるとともに媒体からの漏洩磁束も増加させうることから、高密度記録が可能な垂直磁気記録媒体として好適であることが知られている。
この軟磁性裏打ち層としては、スパッタリング法により形成した200nmから500nm程度の膜厚を有するNi−Fe合金膜やFe−Si−Al合金膜、あるいはCoを主体とするアモルファス合金膜等が一般的に用いられている。しかしながら、スパッタリング法によってこれらの比較的厚い膜を形成することは、生産コストや大量生産性の観点から好ましくない。
このような問題を解決するために、無電解めっき法により形成された軟磁性膜を、軟磁性裏打ち層として用いることが提案されている。たとえば特許文献2では、NiFeP膜をめっき法で作製し軟磁性裏打ち層として使用することが提案されている。
また、非特許文献1ではCoNiFePめっき膜が、同じく非特許文献2では強磁性NiPめっき膜が提案されている。
ここで、軟磁性裏打ち層が磁区構造を形成し、磁壁とよばれる磁化遷移領域が生じると、この磁壁から発生するスパイクノイズと呼ばれるノイズが垂直磁気記録媒体としての性能を劣化させることが知られている。したがって軟磁性裏打ち層としては磁壁の形成が抑制されていることが必要である。
前述のNiFePめっき膜では、磁壁が形成されやすいため、めっき膜上にMnIr合金薄膜をスパッタリング法により形成することで磁壁形成を抑制する必要のあることが、非特許文献3に記載されている。また、前述のCoNiFePめっき膜では、磁場中でめっきを行なうことで磁壁形成が抑制されると記載されており、強磁性NiPめっき膜では、スパイクノイズは発生しないとされている。
特許文献3では、保磁力Hcが30〜300OeのCoまたはCoNi合金からなる裏打ち層を、ディスク基板の円周方向に磁気異方性を有するように形成することで、スパイクノイズの発生が抑制できることも提案されている。この例では、裏打ち層の形成はスパッタリング法や蒸着法等の乾式成膜であるが、特許文献4にはHcを30Oe以上としてスパイクノイズの抑制が可能なCo−B膜をめっき法によって形成する方法が提案され、軟磁性裏打ち層としての使用可能性が示唆されている。
一方、現在実用化されている、長手磁気記録方式を用いたハードディスク装置用の磁気記録媒体(ハードディスク)では、Al合金基体上に無電解めっき法により形成した、P濃度が20原子パーセント(at%)程度で膜厚が8μmから15μm程度の非磁性Ni−Pめっき膜を有する非磁性基板が用いられている。
この非磁性Ni−Pめっき膜は主に、Al合金基体に存在する窪み等の欠陥を埋めるとともに、めっき膜表面のポリッシングにより平滑な表面を得るための役割を果たす。さらに、ハードディスク用基板として必要な表面硬度を保つために用いられている。すなわち、ハードディスク装置の動作時に、磁気ヘッドが磁気記録媒体に衝突した際に損傷しないように、基板がある程度の表面硬度を保つことが必要とされている。
特公昭58−91号公報 特開平7−66034号公報 特開平2−18710号公報 特開平5−1384号公報 ダイジェスト オブ 9th ジョイント スリーエム/インターマグ コンファレンス(Digest of 9thJoint MMM/Intermag Conference), EP12, P259 (2004) ダイジェスト オブ 9th ジョイント スリーエム/インターマグ コンファレンス(Digest of 9thJoint MMM/Intermag Conference), GD13, P368 (2004) 日本応用磁気学会誌, Vol.28, P289 (2004)
上述のNiFePめっき膜では、スパイクノイズ抑制のために、めっき膜上にMnIr合金薄膜をスパッタリング法により形成することで磁壁形成を抑制する必要があるが、磁壁形成抑制のためにスパッタリング法により新たな膜の付与が必要であることは、生産コストや大量生産性におけるめっき法の利点を損なうものであり、好ましくない。
また、上述のCoNiFePめっき膜においても、実際の量産工程においては、めっき浴中の基板に均一な磁界を印加することは困難である上、やはり大量生産性を損ねる可能性が高い。
さらに、Feを含むめっき膜は、高い飽和磁束密度Bsが得られるため軟磁性裏打ち層としては好適であるが、Feは二価のイオンと三価のイオンが共に安定に存在するため、一般にめっき浴の安定性を確保するのが困難であることが知られており、大量生産性に劣る面がある。
上述の強磁性NiPめっき膜は、NiのBsが0.65Tと低く、生産性の高い無電解めっきを行なうためにPを添加することによってさらにBsが低下することから、垂直磁気記録媒体としての記録再生特性を向上させる効果が相対的に乏しいことが予想される。
さらに、めっき法で作製した軟磁性下地層の保磁力と磁壁の形成について発明者らで検討を行なった結果、めっき膜の保磁力を30Oe以上としただけでは、磁壁の形成は抑制される傾向にあるものの完全に抑止することはできないこと、及び保磁力を増大させることで記録再生特性が劣化することが明らかとなった。
以上述べたとおり、従来技術を用いた場合には、高密度記録が可能で、かつスパイクノイズが抑制できる垂直磁気記録媒体の裏打ち層を、低生産コストや大量生産性を兼ね備えて実現することが困難であった。
さらに、ハードディスク用の基板として用いる場合、軟磁性めっき膜についても、その表面粗さや表面の硬度等をハードディスク用の基板としての使用に耐え得るように設定する必要がある。
本発明は、上述の点に鑑み、量産性に優れ、かつ垂直磁気記録媒体の軟磁性裏打ち層としても機能し、表面硬度も確保された垂直磁気記録媒体用基板及びその基板を用いた垂直磁気記録媒体を提供することを目的とする。
上述の課題を解決すべく鋭意検討した結果、発明者らは、Al合金からなる非磁性基体上に、少なくともNiを含む材料からなる密着層を形成し、さらに無電解めっき法により、少なくとも3at%以上20at%以下のPと、Pを除いたCoとNiの原子数比率(Co/(Co+Ni))で25at%以上のCoを含むCo−Ni−P合金からなる軟磁性下地層を形成し、密着層の膜厚を0.1μm以上、軟磁性下地層の膜厚を0.2μm以上とし、かつ密着層と軟磁性下地層の膜厚の和を3μm以上とすることで、量産性に優れ、かつ垂直磁気記録媒体の軟磁性裏打ち層としても機能し、表面硬度も確保された垂直磁気記録媒体用基板が実現できることを見出した。
ここで、Al合金からなる非磁性基体と軟磁性下地層の間にNi合金からなる密着層を介在させることで、Al合金からなる非磁性基体とCo−Ni−P合金からなる軟磁性下地層との密着性を高めることができる。そのための密着層の膜厚は0.1μm以上であることが望ましい。
一方、高密度記録が可能な垂直磁気記録媒体用の軟磁性裏打ち層として機能させるためには、軟磁性下地層の膜厚が0.2μm以上であることが必要である。
軟磁性下地層及び密着層の膜厚の上限は特に規定されないが、いずれも15μm以下、望ましくは7μm以下であることが、製造コストの観点から好適である。さらに、軟磁性下地層と密着層の膜厚の和は3μm以上であることが、基板表面の硬度を確保するために必要である。
密着層の材料としては、少なくともNiを含む材料であることが、非磁性基体と軟磁性下地層の密着性を向上させるために必要であり、例えばスパッタリング法で形成した純Ni、Ni−Co合金、Ni−P合金等のほか、無電解めっき法で形成したNi−P合金、Ni−B合金などが好適に使用できる。ここで、無電解めっき法により形成した、P濃度が20at%程度の非磁性NiP合金、あるいはこれに耐熱安定性を増すためにMo等を添加したNiMoP合金等の非磁性NiP系合金を密着層として用いた場合、高い生産性を維持でき、かつ非磁性の材料であるために記録再生特性には全く関与しないことから更に望ましい。
軟磁性下地層の組成については、P濃度が3at%未満では安定な無電解めっき膜を形成することが困難であり、またP濃度が20at%を超える場合、Bs値が低下しすぎて軟磁性裏打ち層としての機能を果たさない。Co濃度に関しては、Pを除いたCoとNiの原子数比率で25at%未満ではBs値が十分に高く維持できないため不適である。一方Co濃度の上限は特に規定されないが、Pを除いたCoとNiの原子数比率でCo濃度が90at%を超えるとCoNi合金は結晶磁気異方性定数の大きなhcp構造を形成し易くなり、保磁力が増大する可能性があることから望ましくない。すなわち、CoとNiの原子数比率で10at%以上のNiを含有させ、fcc構造を安定に形成しやすい組成にすることが望ましい。
さらに、Pを除いたCoとNiの原子数比率でCo濃度が50at%以上90at%未満であることが、高いBs値と優れた軟磁気特性が得られ、軟磁性裏打ち層として最も効果的に機能するため、更に好適である。
なお、耐食性の向上やめっき浴の安定化等の目的で、数at%以下のGeやPb等を軟磁性下地層中に含有することは、本発明の効果を何ら損なうものではない。
このような構成の基板を、ハードディスク用のディスク基板として用いるためには、軟磁性下地層の表面粗さRaが0.5nm以下であり、かつ微小表面うねりWaが0.5nm以下であることが、情報の記録及び再生を行なう磁気ヘッドの浮上量を10nm程度あるいはそれ以下にするために必要である。このような平滑な表面を得るためには、軟磁性下地層の表面を、酸化アルミニウムあるいはコロイダルシリカ等の遊離砥粒を用いてポリッシングを行なうことが有効である。
また、軟磁性下地層の形成後あるいは上述の平滑化処理後に加熱処理を行なっても良いが、本発明のめっき膜においては加熱処理を行なわなくとも所望の特性を得ることができる。
一方、このようなCoNiPめっき軟磁性下地層における磁壁の形成抑制について鋭意検討した結果、軟磁性下地層の、ディスク基板円周方向に磁場を印加して測定した磁化曲線から得られる膜厚・残留磁化積Mrcδとディスク基板半径方向に磁場を印加して測定した磁化曲線から得られる膜厚・残留磁化積Mrrδの比、Mrrδ/Mrcδを0.33から3.00の間に制御することが必要であることが明らかとなった。
Mrrδ/Mrcδが0.33未満ではディスク基板円周方向に、3.00を超える場合にはディスク半径方向に磁化が向き易くなるため、その方向に沿った磁壁が形成し易くなり、スパイクノイズが発生するため望ましくない。
この際、Hc値は磁壁形成と強い相関がみられず、上述の特許文献3,4にあるようにHcが30Oe以上であるよりはむしろ、Hcが20Oe程度以下であるほうが、記録再生特性を向上できることも明らかとなった。
さらに、以上説明した本発明による垂直磁気記録媒体用基板を用い、その上に少なくとも非磁性シード層、磁気記録層及び保護層を順次形成した垂直磁気記録媒体は、発明者らの検討によれば、ディスク基板最表面の軟磁性下地層が軟磁性裏打ち層として機能することから、二層垂直磁気記録媒体としての良好な記録再生特性を有しており、かつ、軟磁性裏打ち層が量産性の高い無電解めっき法により形成されていることから、これらの層を例えばスパッタリング法で形成する必要がないために非常に安価に製造することができる。
また、基板最表面の軟磁性下地層と非磁性シード層の間に、膜厚と飽和磁束密度の積が150G・μm以上、かつ膜厚50nm以下の軟磁性補助層を少なくとも付与した場合、この軟磁性補助層と軟磁性下地層が共に軟磁性裏打ち層として働くことで更に二層垂直媒体としての性能が向上し、かつ軟磁性下地層から発生するランダムなノイズを低減する効果をも発揮する。
軟磁性補助層としては、膜厚と飽和磁束密度の積が150G・μm以上であることが、軟磁性裏打ち層としての性能を向上させるためには好適である。この際、膜厚を50nm以下とすることが好ましく、50nmより厚くした場合には軟磁性補助層に磁壁が形成され易くなり、スパイクノイズが発生すること、及び生産性が劣化することから好ましくない。
本発明によれば、量産性に優れ、垂直磁気記録媒体の軟磁性裏打ち層としても機能し、表面硬度も確保され、かつスパイクノイズの少ない垂直磁気記録媒体用基板が実現することができる。
さらに、本発明による垂直磁気記録媒体用基板を用いた、本発明による垂直磁気記録媒体は、良好な記録再生特性を有しており、かつ、軟磁性裏打ち層が量産性の高い無電解めっき法により形成されていることから、軟磁性裏打ち層として必要な比較的厚い膜を例えばスパッタリング法で形成する必要がないために非常に安価に製造することができる。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。
(基板の実施形態)
図1に、本発明に係る垂直磁気記録媒体用基板の実施形態の構成を示す。この図に示す実施形態の垂直磁気記録媒体用基板10は、非磁性基体1と、その上の密着層2と、その上の軟磁性下地層3とから構成されている。
図示はしていないが、密着層2と軟磁性下地層3は、非磁性基体1の他面側にも同様に設けることができる。
非磁性基体1としては、従来のハードディスク用基板に用いられている円板状(ディスク状)のAl−Mg合金板やそれに類する材料を用いることができる。ディスク状以外の形状(例えばドラム状)のものを使用する場合は、後述のディスク円周方向をヘッド走行方向、ディスク半径方向を媒体面上でヘッド走行方向と直交する方向に置き換えれば、本発明の効果は損なわれない。
密着層2の材料としては、少なくともNiを含む材料であることが、非磁性基体1と軟磁性下地層3の密着性を向上させるために必要であり、例えばスパッタリング法で形成した純Ni、Ni−Co合金、Ni−P合金等のほか、無電解めっき法で形成したNi−P合金、Ni−B合金などが好適に使用できる。
ここで、無電解めっき法により形成したP濃度が20at%程度の非磁性NiP合金、あるいはこれに耐熱安定性を増すためにMo等を添加したNiMoP合金等の非磁性NiP系合金を密着層2として用いた場合、高い生産性を維持でき、かつ非磁性の材料であるために記録再生特性には全く関与しないことから更に望ましい。
密着層2の膜厚は0.1μm以上であることが、非磁性基体1と軟磁性下地層3との密着性を確保するために必要である。
密着層2上に形成される軟磁性下地層3としては、無電解めっき法により形成したCo−Ni−P合金からなる軟磁性下地層が用いられる。
この軟磁性下地層3は、3at%以上20at%以下のPと、Pを除いたCoとNiの原子数比率で25at%のCoを含むCo−Ni−P合金であることが必要である。Pが3at%未満では安定な無電解めっき膜を形成することが困難であり、またPが20at%以上では、Bs値が低下しすぎて二層垂直磁気記録媒体の軟磁性裏打ち層としての機能を果たさない。
一方、Pを除いたCoとNiの原子数比率でCo濃度が25at%未満ではBs値が十分に高く維持できないため不適である。Co濃度の上限は特に規定されないが、Pを除いたCoとNiの原子数比率でCo濃度が90at%を超えると、一般にCoNi合金は結晶磁気異方性定数の大きなhcp構造を形成し易くなり、保磁力が増大する可能性があることからPを除いたCoとNiの原子数比率でのCo濃度は90at%以下であることが望ましい。すなわち、CoとNiの原子数比率で10at%以上のNiを含有させ、fcc構造を安定に形成しやすい組成にすることが望ましい。
さらに、Pを除いたCoとNiの原子数比率でCo濃度が50at%以上90at%未満であることが、高いBs値と優れた軟磁気特性が得られ、軟磁性裏打ち層として最も効果的に機能するため、更に好適である。
なお、耐食性の向上やめっき浴の安定化等の目的で、数at%以下のGeやPb等を軟磁性下地膜中に含有することは、本発明の効果を何ら損なうものではない。
軟磁性下地層3の膜厚は0.2μm以上であることが、垂直磁気記録媒体用の軟磁性裏打ち層として機能させるためには必要である。軟磁性下地層3及び密着層2の膜厚の上限は特に規定されないが、いずれも15μm以下、望ましくはいずれも7μm以下であることが、製造コストの観点から好適である。
さらに、密着層2と軟磁性下地層3の膜厚の和は3μm以上であることが、基板表面の硬度を確保するために必要である。一方、膜厚の和の上限は特に制限されないが、やはり製造コストの観点からは15μm以下、望ましくは7μm以下であることが好適である。
以上述べたような密着層2を構成する非磁性Ni−P系合金、あるいは軟磁性下地層3を構成するCo−Ni−P合金のめっき膜は、従来から知られているような、次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする通称カニゼンめっき法を用い、めっき浴組成、温度、pHを適切に制御することによって形成できる。
一方、これらの構成の垂直磁気記録媒体用基板10を、ハードディスク用のディスク基板として用いるためには、軟磁性下地層3の表面粗さRaが0.5nm以下であり、かつ微小表面うねりWaが0.5nm以下であることが、情報の記録及び再生を行なう磁気ヘッドの浮上量を10nm程度あるいはそれ以下にするために必要である。
ここで、表面粗さRaは、原子間力顕微鏡AFMを用いて5μm四方の領域の表面形状を測定した際の三次元画像の中心線表面粗さを示しており、また微小表面うねりWaは、Zygo社製光学式表面形状測定機を用いて、1mm四方の領域を長波長500μm、短波長50μmのフィルターを通して、測定したうねりを示している。
このような表面形状を実現するためには、軟磁性下地層3の表面を、遊離砥粒を用いたポリッシングにより平滑化することが有効である。ポリッシング処理は、従来の非磁性Ni−P膜の平滑化処理とほぼ同様な技術が活用でき、例えば、発泡ウレタン性のポリッシングパッドを貼った両面研磨盤を用いて、酸化アルミニウムあるいはコロイダルシリカの縣濁液を研磨剤として供給しながら、研摩することによって行なうことができる。
なお、磁気記録媒体の作製に通常使用される、Al合金基体上に膜厚10μm程度の非磁性Ni−Pめっきが施され、さらにその表面がポリッシングにより平滑化された磁気記録媒体用基板を用い、その基板表面を清浄化したのちに本発明のCo−Ni−P合金からなる軟磁性下地層を無電解めっき法により形成した場合でも、基板の構成としては上述した図1の垂直磁気記録媒体用基板10と同一であり、非磁性Ni−Pめっき層は密着層2としての効果を奏することから、本発明の効果は損なわれない。
ただし、表面粗さRaを0.5nm以下とするためには、発明者らの検討によればCo−Ni−P合金からなる軟磁性下地層3を無電解めっきした後に、再度上述のような平滑化処理が必要になることから、生産性やコストの観点からは、密着層2である非磁性Ni−P層のめっき後に平滑化処理をせずに連続して軟磁性下地層3のめっきを行なった方が望ましい。
また、軟磁性下地層3の形成後あるいは上述の平滑化処理後に加熱処理を行なっても良いが、本発明のめっき膜においては加熱処理を行なわなくとも所望の特性を得ることができる。
このようなCoNiPめっき軟磁性下地層3における磁壁の形成抑制については、軟磁性下地層3の、ディスク基板円周方向に磁場を印加して測定した磁化曲線から得られる膜厚・残留磁化積Mrcδとディスク基板半径方向に磁場を印加して測定した磁化曲線から得られる膜厚・残留磁化積Mrrδの比、Mrrδ/Mrcδを0.33から3.00の間に制御することが必要である。Mrrδ/Mrcδが0.33未満ではディスク基板円周方向に、3.00を超える場合にはディスク基板半径方向に磁化が向き易くなるため、その方向に沿った磁壁が形成し易くなり、スパイクノイズが発生するため望ましくない。
この際、Hc値は磁壁形成と強い相関がみられず、上述の特許文献3,4にあるようにHcが30Oe以上であるよりはむしろ、Hcが20Oe程度以下であるほうが、記録再生特性を向上できるために望ましい。
Mrrδ/Mrcδの値は、めっき浴中での非磁性基体の回転速度とめっき浴組成を適切に調整することで制御することができる。めっき中の非磁性基体に磁場を印加してもMrrδ/Mrcδの値は制御可能だが、実際の量産工程においては、めっき浴中の基板に均一な磁界を印加することは困難である上、大量生産性を損ねる可能性が高いことから望ましくない。
(媒体の実施形態)
次に、本発明に係る垂直磁気記録媒体の実施形態の構成を図2に示す。この図に示す実施形態の垂直磁気記録媒体は、図1に示す垂直磁気記録媒体用基板10上に、少なくとも非磁性シード層20、磁気記録層30及び保護層40が順次形成された構造を有している。
基板10は、形状がディスク状であるディスク基板とすることが好ましく、図示はしていないが、非磁性シード層20、磁気記録層30及び保護層40は、基板10の他面側にも同様に設けることができる。
非磁性シード層20には、磁気記録層30の結晶配向や結晶粒径等を好ましく制御するための材料を、特に制限なく用いることができる。例えば、磁気記録層30がCoCrPt系合金からなる垂直磁化膜であれば、非磁性シード層20としてはCoCr系合金やTi、あるいはTi系合金、Ruやその合金等を使用することができ、磁気記録層30がCo系合金等とPtあるいはPd等を積層した、いわゆる積層垂直磁化膜である場合には、非磁性シード層20としてPtやPd等を用いることができる。また、非磁性シード層20の上や下に更にプレシード層や中間層等を設けることも、本発明の効果を妨げるものではない。
磁気記録層30としては、垂直磁気記録媒体としての記録再生を担うことができるいかなる材料をも用いることができる。すなわち、上述のCoCrPt系合金や酸化物を添加したCoCrPt系合金、Co系合金等とPtあるいはPd等を積層した膜等のいわゆる垂直磁化膜を用いることができる。
保護層40としては、例えばカーボンを主体とする薄膜が用いられる。また、そのカーボンを主体とする薄膜と、その上に例えばパーフルオロポリエーテル等の液体潤滑剤を塗布してなる液体潤滑剤層とからなるものとすることもできる。
なお、これらの非磁性シード層20、磁気記録層30及び保護層40はスパッタリング法、CVD法、真空蒸着法、めっき法などのいずれの薄膜形成方式でも形成することが可能である。
このようにして作製された垂直磁気記録媒体は、基板10の非磁性下地層3(図1)が軟磁性裏打ち層として機能することから、二層垂直磁気記録媒体としての良好な記録再生特性を有しており、かつ、軟磁性裏打ち層が量産性の高い無電解めっき法により形成されていることから、これらの層を例えばスパッタリング法で形成する必要がないために非常に安価に製造することができる。
(軟磁性補助層を付与した媒体の実施形態)
図3に、本発明に係る垂直磁気記録媒体の軟磁性補助層を付与した実施形態の構成を示す。この図に示す実施形態の垂直磁気記録媒体は、図1に示す垂直磁気記録媒体用基板10上に、少なくとも軟磁性補助層100、非磁性シード層20、磁気記録層30及び保護層40が順次形成された構造を有している。
基板10は、形状がディスク状であるディスク基板とすることが好ましく、図示はしていないが、軟磁性補助層100、非磁性シード層20、磁気記録層30及び保護層40は、基板10の他面側にも同様に設けることができる。
非磁性シード層20、磁気記録層30及び保護層40については、図2に示す垂直磁気記録媒体と同様な材料を適宜使用することができる。
軟磁性補助層100は、膜厚と飽和磁束密度の積が150G・μm以上、かつ膜厚50nm以下であることが望ましく、例えば飽和磁束密度が10,000GのCoZrNbアモルファス軟磁性層15〜50nm、あるいは、同じく15,000GのFeTaC軟磁性層10〜50nmなどを用いることができる。
このような軟磁性補助層100を付与した場合、この軟磁性補助層100と軟磁性下地層3(図1)が共に軟磁性裏打ち層として働くことで更に二層垂直媒体としての性能が向上し、かつ軟磁性下地層3から発生するランダムなノイズを低減する効果をも発揮する。
軟磁性補助層100としては、膜厚と飽和磁束密度の積が150G・μm以上であることが、軟磁性裏打ち層としての性能を向上させるためには好適である。この際、膜厚を50nm以下とすることが好ましく、50nmより厚くした場合には軟磁性補助層100に磁壁が形成され易くなり、スパイクノイズが発生すること、及び生産性が劣化することから好ましくない。
図1に示す基板10が、ハードディスク用のディスク基板であって、ディスク状の非磁性基体1の表裏両面に密着層2及び軟磁性層3をそれぞれ備える場合の本発明の基板の実施例と、その基板10の両面に図2又は図3に示す磁気記録層30等の各層をそれぞれ備えるハードディスクとしてなる本発明の媒体の実施例について以下に記す。
〔実施例1〕
(図1に示す基板の作製)
図1に示す非磁性基体1として公称直径3.5インチのディスク状のAl−Mg合金板を用い、これをアルカリ洗浄及び酸エッチングによって表面を清浄化し、無電解Ni−Pめっきの初期反応層としてジンケート(置換亜鉛めっき)を施した。その後、市販のハードディスク基板用無電解Ni−Pめっき液(上村工業社製ニムデンHDX)をNi濃度6.0±0.1g/L、pH4.5±0.1、液温92±1℃に管理しためっき浴を用いて、膜厚を0から10μmまで変化させた非磁性Ni−P合金からなる密着層2を形成した。この非磁性Ni−Pめっき膜の平均P濃度は20at%であった。
引き続いて、表1に示すめっき浴(1)を用いて、膜厚を0.5から10μmまで変化させたCo−Ni−P合金からなる軟磁性下地層3を形成した。めっき浴中の基板は、10rpmの速度で回転させた。形成された軟磁性下地層3中の平均P濃度は15at%、Pを除いたCoとNiの原子数比率での平均Co濃度は71at%であった。
Figure 0004172412
さらに、軟磁性下地層3の表面を平均粒径60nmのコロイダルシリカと発泡ウレタン製研磨パッドを用いてポリッシングし、表面粗さRaが0.3nm、微小表面うねりWaが0.2nmである、図1に示す垂直磁気記録媒体用基板10を作製した。
ポリッシングによる研磨量は膜厚に換算して0.5μm程度であり、以下の全ての記述では、ポリッシング後の軟磁性下地層3の膜厚について記してある。
なお、密着層2を形成せずに軟磁性下地層3を形成した場合、及び密着層2の膜厚が0.05μmの場合には、軟磁性下地層3に膨れが生じていたため、ポリッシング処理及び後述のスパッタリング成膜を行なわなかった。
(図2に示す媒体の作製)
さらに、この垂直磁気記録媒体用ディスク基板10を洗浄後、スパッタリング装置内に導入し、ランプヒータを用いて基板表面温度が200℃になるように10秒間加熱を行なった後、Tiターゲットを用いてTiからなる非磁性シード層20を10nm、引き続きCo70Cr20Pt10ターゲットを用いてCoCrPt合金からなる磁気記録層30を30nm成膜し、最後に、保護層40として、カーボンターゲットを用いてカーボンからなる保護膜を8nm成膜後、真空装置から取り出した。これらのスパッタリング成膜はすべてArガス圧5mTorr下でDCマグネトロンスパッタリング法により行なった。その後、パーフルオロポリエーテルからなる液体潤滑剤層2nmをディップ法により形成し、図2に示す垂直磁気記録媒体とした。
(評価)
このようにして作製した垂直磁気記録媒体(ハードディスク)を、垂直磁気記録用の単磁極型磁気ヘッドとともにハードディスク装置内に組み込み、このハードディスク装置に50Gの衝撃を1msの間に与えた後、光学顕微鏡によって垂直磁気記録媒体上に生じた傷の度合いを観察した。
表2に、密着層及び軟磁性下地層のそれぞれの膜厚に対する、媒体上の傷の度合いの変化を示す。
Figure 0004172412
密着層と軟磁性下地層の膜厚の和が3μmより薄い場合には媒体表面に傷が生じているのに対し、膜厚の和が3μm以上の場合には媒体表面の損傷が確認できない。
次に、これらの垂直磁気記録媒体に対し、スピンスタンドテスターを用いて垂直磁気記録媒体用の単磁極型磁気ヘッドによる記録再生特性の測定を行なった。
図4に、300kFCI(Flux Change per Inch)の記録密度における信号再生出力の、磁気ヘッドの書きこみ電流依存性を示す。
軟磁性下地層の膜厚が0すなわち軟磁性下地層がない場合には、再生出力はほとんど得られない。また、軟磁性下地層の膜厚が0.2μmより薄い場合には、再生出力が比較的低く、再生出力が書きこみ電流に対して飽和しないことがわかる。
このように、書きこみ電流に対する再生出力の飽和が遅い場合、高い出力を得るために大きな電流値が必要となる上、再生出力が飽和していない領域では、書きこみ電流の変動に対して再生出力が大きく変化してしまうため、実用上好ましくない。
一方、軟磁性裏打ち層の膜厚が0.2μm以上の場合には、十分な再生出力が得られ、かつ低い電流値で再生出力が飽和するため、実用的に優れた媒体であることがわかる。
なお、軟磁性下地層の膜厚が同じ場合、密着層の膜厚が異なっていても、再生出力の書きこみ電流依存性はほぼ同等であった。
〔実施例2〕
密着層2の膜厚を5.0μm、軟磁性下地層3の膜厚を1.5μmとし、軟磁性下地層3中の平均P濃度を、表3のめっき浴(2)に示す範囲でめっき浴の条件を変更することによって3at%から25at%まで変化させた以外は実施例1と同様にして、図1に示す垂直磁気記録媒体用基板10を作製した。このとき、軟磁性下地層3中のPを除いたCoとNiの原子数比率での平均Co濃度は、67at%から72at%の範囲であった。ここで、P濃度が3at%以下の場合には、めっき浴が非常に不安定であり、量産に耐えられるものではないことが判明した。
Figure 0004172412
さらに、実施例1と同様にして図2に示す垂直磁気記録媒体を作製した。
これらの媒体に対し、実施例1と同様に記録再生特性の測定を行なった。
図5に、300kFCIの記録密度における信号再生出力の、磁気ヘッドの書きこみ電流依存性を示す。
軟磁性下地層中の平均P濃度が20at%以下の場合には、十分な再生出力が得られているが、22at%以上では再生出力が低下すると共にその飽和が遅くなり、軟磁性裏打ち層としての機能が十分ではない。
〔実施例3〕
密着層2の膜厚を5.0μm、軟磁性下地層3の膜厚を1.5μmとし、軟磁性下地層3中のPを除いたCoとNiの原子数比率での平均Co濃度を、表4のめっき浴(3)に示す範囲でめっき浴の条件を変更することによって18.8at%から90.9at%まで変化させた以外は実施例1と同様にして、図1に示す垂直磁気記録媒体用基板10を作製した。このとき、軟磁性下地層3中の平均P濃度は、10at%から20at%の範囲であった。
Figure 0004172412
さらに、実施例1と同様にして図2に示す垂直磁気記録媒体を作製した。
これらの媒体に対し、実施例1と同様に記録再生特性の測定を行なった。
図6に、300kFCIの記録密度における信号再生出力の、磁気ヘッドの書きこみ電流依存性を示す。
軟磁性下地層中のPを除いたCoとNiの原子数比率での平均Co濃度が18.8at%の場合には、再生出力が弱く、再生出力が書きこみ電流に対して飽和しないことがわかる。Pを除いたCoとNiの原子数比率での平均Co濃度が26.8at%及び42.2at%の場合には比較的再生出力が高く、かつ再生出力の飽和も早いことがわかる。さらにPを除いたCoとNiの原子数比率での平均Co濃度が51.8at%から80.0at%の範囲で最も再生出力が高く、飽和も最も早くなっていた。一方、Pを除いたCoとNiの原子数比率での平均Co濃度が90.9at%の場合には、再生出力が低下すると共にその飽和が遅くなり、軟磁性裏打ち層としての機能が十分ではないことが示唆される。
〔実施例4〕
密着層2の膜厚を5.0μm、軟磁性下地層3の膜厚を1.5μmとし、めっき浴中での基板の回転数を0〜20rpmまで変更させると共に、めっき液温を変化させることで軟磁性下地層3のめっきによる堆積速度を変更した以外は実施例1と同様にして、図1に示す垂直磁気記録媒体用基板10を作製した。
このときの軟磁性下地層中の平均P濃度は10at%から20at%、Pを除いたCoとNiの原子数比率での平均Co濃度は67at%から72at%の範囲であった。
この基板を8mm角の大きさに切断し、片面側のめっき膜を研磨して除去したのち、振動試料型磁力計(VSM)を用いてディスク半径方向とディスク円周方向のそれぞれの磁化曲線を測定し、それぞれの残留磁化MrrとMrc、及び保磁力HcrとHccを測定した。
図7には、典型的な磁化曲線と、残留磁化及び保磁力の定義を示す。作製した軟磁性下地層のMrrδ/Mrcδ値は0.05から12の間であった。
さらに、切断していないディスク基板を用い、実施例1と同様にして図2に示す垂直磁気記録媒体を作製した。
これらの垂直磁気記録媒体に対し、スピンスタンドテスターを用いて垂直磁気記録媒体用の単磁極型磁気ヘッドによるスパイクノイズの測定を行なった。
測定は、まず磁気ヘッドの書きこみ素子に50mAの直流電流を印加して垂直磁気記録媒体を直流消磁したのち、書きこみ素子の電流を0にして、書きこみを行なわずに垂直磁気記録媒体から発生する信号を読み出した。
表5に、それぞれの垂直磁気記録媒体におけるスパイクノイズの発生の有無と、対応する基板の磁化曲線から得られたMrrδ/Mrcδ値及びHcrとHccの平均値Hcの関係を示す。
Figure 0004172412
Mrrδ/Mrcδ値が0.33から3.0の間である垂直磁気記録媒体からはスパイクノイズの発生がみられないことがわかる。また、スパイクノイズの発生が見られない媒体のHcは20Oe以下であった。
〔実施例5〕
密着層2の膜厚を5.0μm、軟磁性下地層3の膜厚を1.5μmとした以外は実施例1と同様にして、図1に示す垂直磁気記録媒体用基板10を作製した。この基板を実施例4に記載の方法でVSMにより測定したMrrδ/Mrcδ値は1.5であった。
さらに、この垂直磁気記録媒体用基板10を洗浄後、スパッタリング装置内に導入し、Ni80Fe20ターゲットを用いてNiFe合金からなる軟磁性補助層100を、0〜100nmまで膜厚を変更して形成した後、引き続いて基板加熱以降は実施例1と同様にして、図3示す垂直磁気記録媒体を作成した。
なお、このようにして形成した軟磁性補助層100の飽和磁束密度は10,000Gであった。
これらの垂直磁気記録媒体に対し、スピンスタンドテスターを用いて垂直磁気記録媒体用の単磁極型磁気ヘッドによる記録再生特性の測定を行なった。
図8に、370kFCI(Flux Change per Inch)の記録密度における対信号雑音比SNRの軟磁性補助層膜厚依存性を示す。
軟磁性補助層の膜厚が15nmより薄い場合、すなわち膜厚と飽和磁束密度の積が150G・μm以下の場合には、SNR値の向上の効果が乏しい。15nm以上の軟磁性補助層を形成することで、軟磁性補助層のない場合に比べて0.5dBないし1dBのSNR改善がみられることがわかる。
一方、膜厚が15nm以上の領域ではSNRはほぼ一定であるが、50nm以上の軟磁性補助層を形成した媒体では、軟磁性補助層から発生したと思われるスパイクノイズが検出され、垂直磁気記録媒体としては不適当であった。
本発明に係る垂直磁気記録媒体用基板の実施形態の構成を示す断面模式図である。 本発明に係る垂直磁気記録媒体の実施形態の構成を示す断面模式図である。 本発明に係る垂直磁気記録媒体の軟磁性補助層を付与したの実施形態の構成を示す断面模式図である。 軟磁性下地層膜厚の異なる垂直磁気記録媒体の300kFCIの記録密度における信号再生出力の、磁気ヘッドの書きこみ電流依存性を示す図である。 軟磁性下地層中の平均P濃度の異なる垂直磁気記録媒体の300kFCIの記録密度における信号再生出力の、磁気ヘッドの書きこみ電流依存性を示す図である。 軟磁性下地層中のPを除いたCoとNiの原子数比率での平均Co濃度の異なる垂直磁気記録媒体の300kFCIの記録密度における信号再生出力の、磁気ヘッドの書きこみ電流依存性を示す図である。 軟磁性下地層の典型的な磁化曲線と、残留磁化及び保磁力の定義を示す図で、(a)はディスク半径方向、(b)はディスク円周方向のものである。 370kFCIの記録密度における対信号雑音比SNRの軟磁性補助層膜厚依存性を示す図である。
符号の説明
1 非磁性基体
2 密着層
3 軟磁性下地層
10 基板
20 非磁性シード層
30 磁気記録層
40 保護層
100 軟磁性補助層

Claims (7)

  1. Al合金からなる非磁性基体と、
    該非磁性基体上に形成され、少なくともNiを含む材料からなる密着層と、
    該密着層上に無電解めっき法により形成され、3at%以上20at%以下のPと、Pを除いたCoとNiの原子数比率(Co/(Co+Ni))で25at%以上のCoを含むCo−Ni−P合金からなる軟磁性下地層とを備え、
    前記密着層の膜厚が0.1μm以上で、前記軟磁性下地層の膜厚が0.2μm以上であり、かつ前記密着層と前記軟磁性下地層の膜厚の和が3μm以上であることを特徴とする垂直磁気記録媒体用基板。
  2. 前記密着層が、無電解めっき法により形成された非磁性Ni−P合金からなることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体用基板。
  3. 前記基板が、ハードディスク用のディスク基板であることを特徴とする請求項1又は2に記載の垂直磁気記録媒体用基板。
  4. 前記軟磁性下地層の表面粗さRaが0.5nm以下であり、かつ微小表面うねりWaが0.5nm以下であることを特徴とする請求項3に記載の垂直磁気記録媒体用基板。
  5. 前記軟磁性下地層の、ディスク基板円周方向に磁場を印加して測定した磁化曲線から得られる膜厚・残留磁化積Mrcδとディスク基板半径方向に磁場を印加して測定した磁化曲線から得られる膜厚・残留磁化積Mrrδの比、Mrrδ/Mrcδが0.33から3.00の間にあることを特徴とする請求項3又は4に記載の垂直磁気記録媒体用基板。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の垂直磁気記録媒体用基板上に、少なくとも非磁性シード層、磁気記録層及び保護層を順次形成し、当該基板の前記軟磁性下地層を、当該磁気記録層のための軟磁性裏打ち層の少なくとも一部として利用することを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  7. 前記基板の前記軟磁性下地層と前記非磁性シード層の間に、膜厚と飽和磁束密度の積が150G・μm以上、かつ膜厚50nm以下の軟磁性補助層を少なくとも付与したことを特徴とする請求項6に記載の垂直磁気記録媒体。
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