JP2006099948A - 磁気記録媒体および磁気記録再生装置 - Google Patents

磁気記録媒体および磁気記録再生装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、条痕が表面に形成されたガラス基板を用いる磁気記録媒体において、配向調整膜、非磁性下地層の組み合わせを最適化することにより、円周方向の磁気異方性を有する、高保持力、高角型比で電磁変換特性の良好な磁気記録媒体と磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、配向調整膜2がCo、NiおよびFeから選ばれる何れか1種類以上と、W、Mo、TaおよびNbから選ばれる何れか1種類以上とを含み、かつ、非磁性下地層3が少なくともCrFe系合金を含むことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ハードディスク装置などに用いられる磁気記録媒体および該磁気記録媒体を備えた磁気記録再生装置に関するものである。
磁気記録再生装置の1種であるハ−ドディスク装置(HDD)は、現在その記録密度が年率60%で増えており今後もその傾向は続くと言われている。従って高記録密度に適した磁気記録用ヘッドの開発、磁気記録媒体の開発が進められている。
この種のハ−ドディスク装置に用いられる磁気記録媒体は、高記録密度化が要求されており、これに伴い保磁力の向上、媒体ノイズの低減が求められている。
従来から、ハ−ドディスク装置に用いられる磁気記録媒体として、磁気記録媒体用の基板にスパッタリング法により金属膜を積層した構造が主流となっている。磁気記録媒体に用いられる基板としては、アルミニウム基板とガラス基板が広く用いられている。アルミニウム基板とは、鏡面研磨したAl−Mg合金の基体上にNi−P系合金膜を無電解メッキで10μm程度の厚さに形成し、その表面を更に鏡面仕上げしたものである。ガラス基板にはアモルファスガラスと結晶化ガラスの2種類が知られているが、どちらのガラス基板も鏡面仕上げしたものが用いられている。
現在一般的に用いられているハ−ドディスク装置用磁気記録媒体においては、非磁性基板上に非磁性下地層(Cr、Cr系合金等)、非磁性中間層(Co−Cr、Co−Cr−Ta系合金等)、磁性層(Co−Cr−Pt−Ta、Co−Cr−Pt−B系合金等)、保護膜(カ−ボン等)が順次成膜されており、その上に液体潤滑剤からなる潤滑膜が形成されている。
また、磁気ディスク装置などの高記録密度化に伴い、円周方向の磁気異方性を有した磁気記録媒体とすることによる電磁変換特性の良好なものが求められている。そのために、現在、アルミニウム合金にNiPをメッキした基板(「アルミ基板」ともいう。)を用いた磁気記録媒体はNiP表面に機械的に溝を円周方向に入れる(「メカニカルテクスチャー加工」という。)ことにより円周方向に磁気異方性を持たせている。
一方、非磁性基板、例えばガラス基板は耐衝撃性にすぐれた剛性を有し、かつ、すぐれた平坦性を有するので、高記録密度に適した非磁性基板と言える。非磁性基板にガラスを用いた磁気記録媒体に円周方向の磁気異方性を付与することができれば、優れた電磁変換特性が得られることが期待される。
本発明者は、以下の特許文献1に記載の如く、メカニカルテクスチャー加工を施したガラス基板に、配向調整膜としてCo、NiおよびFeから選ばれる何れか1種類以上と、W、Mo、TaおよびNbから選ばれる何れか1種類以上とを含む合金を使用することにより、円周方向の磁気異方性を付与することに成功している。
配向調整膜の直上に非磁性下地層が成膜される場合、配向調整膜と非磁性下地層の組み合わせを最適化することが、磁気記録媒体のSNR特性向上の点から好ましい。
一般的に、アルミ基板の場合、非磁性下地層の直下にはNiPが、ガラス基板の場合には、非磁性下地層の直下にはNiAlなどが用いられている。このような場合、非磁性下地層はNiPやNiAlなどとの組み合わせで特性が出るように開発されることになる。
したがって、今までの非磁性下地層はアルミ基板においてNiPやNiAlなどとの組み合わせで特性が出るように開発されたものであり、配向調整膜が設けられるガラス基板を用いた磁気記録媒体に対して開発されたものではなかった。
また、磁気記録媒体の分野において、磁気記録媒体を構成するための層の1つに、CrやFeを含む合金を使用することは、特許文献2、3に見受けられるが、前記特許文献2においてCrやFeを含む合金の下地層は、アルミ基板上のNiP層の上に直接積層形成されており、特許文献3においてCrやFeを含む合金は、可撓性高分子支持体の上に直接積層形成されていた。
特開2004−86936号公報 特開2003−99917号公報(段落「0010」〜「0016」、段落「0035」〜「0036」、図1等参照) 特開2004−171693号公報(段落「0012」〜「0014」、表1、図1等参照、)
即ち、従来公知の非磁性下地層はNiPやNiAlなどとの組み合わせで特性が出るように開発されたものであり、ガラス基板を具備する磁気記録媒体において配向調整膜としてCo、NiおよびFeから選ばれる何れか1種類以上と、W、Mo、TaおよびNbから選ばれる何れか1種類以上とを含む合金の配向調整層に関係し、何ら検討されてはいなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものである。本発明は、条痕が表面に形成されたガラス基板を用いる磁気記録媒体において、配向調整膜、非磁性下地層の組み合わせを最適化することにより、円周方向の磁気異方性を有する、高保持力、高角型比で電磁変換特性の良好な磁気記録媒体および磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
本発明者等は上記問題を解決するために、鋭意努力検討した結果、配向調整膜がCo、NiおよびFeから選ばれる何れか1種類以上と、W、Mo、TaおよびNbから選ばれる何れか1種類以上とを含み、かつ、前記非磁性下地層が少なくともCrFe系合金を含むことを特徴とする膜構成の組み合わせを用いることにより、磁気記録再生装置の特性を向上できることを見出し、本発明を完成した。
即ち本発明は以下に関する。
(1)本発明の磁気記録媒体は、表面に条痕を有するガラス基板上に、少なくとも配向調整膜、非磁性下地層、磁性層及び保護膜をこの順で有する磁気記録媒体において、前記配向調整膜がCo、NiおよびFeから選ばれる何れか1種類以上と、W、Mo、TaおよびNbから選ばれる何れか1種類以上とを含み、かつ、前記非磁性下地層が少なくともCrFe系合金を含むことを特徴とする。
(2)本発明の磁気記録媒体は、前記非磁性下地層に用いられるCrFe系合金におけるFeの含有量が1〜50at%であることを特徴とする。
(3)本発明の磁気記録媒体は、前記配向調整膜が、Co−W系合金、Co−Mo系合金、Co−Ta系合金、Co−Nb系合金、Ni−Ta系合金、Ni−Nb系合金、Fe−W系合金、Fe−Mo系合金、Fe−Nb系合金の中から選択される少なくとも1つの合金を含むことを特徴とする。
(4)本発明の磁気記録媒体は、前記非磁性下地層の膜厚を10Å〜300Åの範囲内とすることができる。
(5)本発明の磁気記録媒体は、前記配向調整膜の膜厚を10Å〜300Åの範囲内とすることができる。
(6)本発明の磁気記録媒体は、前記ガラス基板をアモルファスガラスとすることができる。
(7)本発明の磁気記録媒体は、前記条痕の線密度を7500(本/mm)以上とすることができる。
(8)本発明の磁気記録媒体は、前記磁性層の磁気的異方性指数(円周方向の保持力/半径方向の保持力)を1.05以上とすることができる。
(9)本発明の磁気記録媒体は、前記磁性層の残留磁化量の磁気的異方性指数(円周方向の残留磁化量/半径方向の残留磁化量)を1.05以上とすることができる。
(10)本発明の磁気記録媒体は、前記非磁性下地層が少なくとも2層以上により構成され、1層にCrFe系合金、その他の層にCr層、または、Ti、Mo、Al、Ta、W、Ni、B、Si、MnおよびVから選ばれる1種以上を含有するCr合金層を含むことを特徴とする。
(11)本発明の磁気記録媒体は、前記磁性層が、Co−Cr−Pt系合金、Co−Cr−Pt−Ta系合金、Co−Cr−Pt−B系合金、Co−Cr−Pt−B−Y系合金(YはTa、または、Cuである。)から選ばれる何れか1種以上を含むことを特徴とする。
(12)本発明の磁気記録再生装置は、先の何れか1項に記載の磁気記録媒体と、前記磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備えたことを特徴とする。
本発明の磁気記録媒体は、表面に条痕を有するガラス基板上に、少なくとも配向調整膜、非磁性下地層、磁性層及び保護膜をこの順で有する磁気記録媒体において、前記配向調整膜がCo、NiおよびFeから選ばれる何れか1種類以上と、W、Mo、TaおよびNbから選ばれる何れか1種類以上とを含み、かつ、前記非磁性下地層が少なくともCrFe系合金を含むことを特徴とする磁気記録媒体であるので、円周方向の磁気異方性が発現し、電磁変換特性が向上する。その結果、高記録密度に適した磁気記録媒が得られる。
図1は、本発明の磁気記録媒体の一実施形態を模式的に示したものであり、1はガラス基板、2は前記ガラス基板1上に形成された配向調整膜、3は前記配向調整膜2上に形成された非磁性下地層、4は前記非磁性下地層3上に形成された磁性層、5は前記磁性層4上に形成された保護膜を示す。
前記ガラス基板1に用いられるガラスとしては、アモルファスガラス、結晶化ガラスがあり、アモルファスガラスとしては、汎用のソーダライムガラス、アルミノほう珪酸ガラス、アルミノシリケートガラスなどを使用できる。また結晶化ガラスとしては、リチウム系結晶化ガラスなどを用いることができる。なかでも特に、硬度などの物性が均一なアモルファスガラスを用いると、表面に均一なテクスチャ加工を施すことができるために好ましい。
ガラス基板1には、例えば固定砥粒を用いたラッピングテープや遊離砥粒によるメカニカルテクスチャ加工などにより、表面に条痕(テクスチャー溝)を形成する。ガラス基板1の表面に形成された条痕は基板円周方向に沿うものであることが好ましい。条痕が表面に形成されたガラス基板1の表面の平均粗さRaは、0.1nm〜1nm(1Å〜10Å)、好ましくは0.2nm〜0.8nm(2Å〜8Å)の範囲内とするのが望ましい。
表面の平均粗さRaが0.1nm未満であると、ガラス基板1が過度に平滑になり、磁性膜4の磁気異方性を高める効果が薄れる。また、表面平均粗さRaが1nmを越えると、媒体表面の平滑性が低くなりグライドハイト特性が低下し、記録再生時において磁気ヘッドのフライングハイトを低くするのが難しくなる。
ガラス基板1の表面は、線密度が7500(本/mm)以上の条痕を有していることが好ましい。線密度はガラス基板の半径方向に測定したものである。線密度が7500(本/mm)以上としたのは、条痕の効果が磁気的特性(例えば保磁力の向上効果。)、電磁変換特性(例えばSNR(Signal to Noise Ratio)、PW50の向上効果。)により反映されるからである。さらに好ましくは線密度が20000(本/mm)以上の条痕を有していれば上述の効果がより一層顕著になる。
なお、線密度の好ましい上限は、200000(本/mm)である。線密度が200000(本/mm)を超えると、条痕の線間隔が50Å未満となってしまい、非磁性下地層の粒径の方が大きくなり、磁気記録媒体の磁気異方性を低下させる。
条痕は基板に対して主に円周方向を有しているのが好ましい。ここで、条痕とは、半径方向の断面において山と谷との間の高低の距離が0.02nm〜20nmの範囲内(より好ましくは、0.05nm〜10nmの範囲内。)の、表面の凹凸形状のことである。この範囲の表面の凹凸形状による磁気異方性が電磁変換特性の向上に有効だからである。また、20nmを越えた条痕は、凹凸が大きすぎるので近傍の条痕の均一性に影響を与えるおそれがある。
条痕は、例えば固定砥粒を用いたラッピングテープや遊離砥粒によるメカニカルテクスチャ加工などにより形成するのが好ましい。
条痕の線密度は、例えば測定装置として、AFM(Atomic Force Microscope。Degital Instrument社(米国)製)を用いることができる。
線密度の測定条件は次のようにする。スキャン幅は1μm、スキャンレートは1Hz、測定数は256、モードはタッピングモードとする。試料であるガラス基板の半径方向にプローブを走査し、AFMのスキャン画像を得る。Flatten Orderの次数を2として平滑化処理のひとつであるPlane Fit Auto処理を、Scan画像に対してX軸とY軸とに実施して画像の平滑化補正を行う。平滑化補正済みの画像に対して、約0.5μm×約0.5μmのボックスを設定してその範囲の線密度を算出する。線密度はX軸中心線とY軸中心線の両方に沿ったゼロ交差点の総数を1mm当りに換算して算出する。すなわち、線密度は半径方向1mm当りのテクスチャー条痕の山と谷の数となる。
試料面内の各箇所を測定してその測定値の平均値、標準偏差を求める。その平均値をもってガラス基板の条痕の線密度とする。測定箇所の個数は、平均値、標準偏差を求められる個数とすることができる。たとえば、測定数は10点とすることができる。また、そのうちの最大値、最小値を除いた8点で平均値、標準偏差を求めると測定異常値を除くことができるので測定精度を向上させることができる。
配向調整膜2は、直上に形成される非磁性下地層3の結晶配向性を整え、さらにはその上に形成される磁性膜4の結晶配向性を調整し、磁性膜4の円周方向の磁気異方性を向上させるためのものである。また、配向調整膜2は、結晶配向性を調整するだけでなく、非磁性下地層3および磁性膜4中の結晶粒を微細化する結晶粒微細化膜としても機能する。
配向調整膜2には、Co、NiおよびFeから選ばれる何れか1種類以上の成分とW、Mo、TaおよびNbから選ばれる何れか1種類以上の成分から構成される合金層を用いることが出来る。
上述の配向調整膜2に用いられる合金層の組成は特に限定されるものではない。しかし、好ましくは、Co、Ni及びFeの合計含有率が25at%〜70at%の範囲内であり、W、Mo、Ta及びNbの合計含有率が30at%〜75at%の範囲内であることが望ましい。
Co、Ni及びFeの合計含有率が25at%未満では非磁性下地層の結晶配向が十分ではなく保持力を低下させる。Co、Ni及びFeの合計含有率が70at%超えると、配向調整膜が磁化を持ってしまい好ましくない。Mo、Ta及びNbの合計含有率が30at%未満では、磁性膜の円周方向の磁気異方性が低下してしまう。Mo、Ta及びNbの合計含有率が75at%を超えると非磁性下地層の結晶配向が十分ではなく保持力を低下させる。
上述の配向調整膜2には、より好ましくはCo−W系合金、Co−Mo系合金、Co−Ta系合金、Co−Nb系合金、Ni−Ta系合金、Ni−Nb系合金、Fe−W系合金、Fe−Mo系合金、Fe−Nb系合金の中から選択される少なくとも1つの合金層を用いることが望ましい。本発明者等の鋭意努力により、Fe7W6構造を含む合金を用いることが磁性膜の円周方向の磁気異方性をより向上させることを見いだした。これらの合金層の組成範囲はFe7W6構造を25%以上含有することが磁性膜の円周方向の磁気異方性をより向上させるために効果がある。すなわち、CoW系合金のWの組成範囲は30at%〜85at%が好ましい。CoMo系合金のMoの組成範囲は30at%〜85at%が好ましい。CoTa系合金のTaの組成範囲は38at%〜65at%が好ましい。
CoNb系合金のNbの組成範囲は37at%〜86at%が好ましい。NiTa系合金のTaの組成範囲は38at%〜63at%が好ましい。NiNb系合金のNbの組成範囲は31at%〜86at%が好ましい。Fe−W系合金のWの組成範囲は37at%〜86at%が好ましい。Fe−Mo系合金のMoの組成範囲は35at%〜85at%が好ましい。Fe−Nb系合金のNbの組成範囲は40at%〜86at%が好ましい。
Co−W系合金、Co−Mo系合金、Co−Ta系合金、Co−Nb系合金、Ni−Ta系合金、Ni−Nb系合金、Fe−W系合金、Fe−Mo系合金、Fe−Nb系合金はそれぞれ単独でも特性は発揮するし、これらのいくつかが組み合わさった合金でも同様の特性を発現する。例えば、Co−W−Mo系合金、Co−Ni−Nb系合金、Co−W−Mo−Ta系合金などでも同様の特性を発現する。
本発明における配向調整膜2の膜厚は10Å〜300Åの範囲内であるとことが好ましい。配向調整膜の膜厚が10Å未満では、非磁性下地層の結晶配向が十分ではなく保持力を低下させる。配向調整膜の膜厚が300Åを超えると磁性膜の円周方向の磁気異方性が低下してしまう。さらに好ましくは、配向調整膜の膜厚は20Å〜100Åの範囲内である方が、磁性膜の円周方向の磁気異方性を上げるために望ましい。
本発明における配向調整膜2には、補助的効果を有する元素を添加しても良い。添加元素としてはTi,V,Cr,Mn,Zr,Hf,Ru,B,Al,Si,Pなどが例示される。添加元素の合計含有率は20at%以下であることが好ましい。合計含有率が20at%を超えると上述の配向調整膜の効果が低下してしまう。合計含有量の下限は、0.1at%であり、含有量が0.1at%未満では添加元素の効果が無くなる。
前記非磁性下地層3には、CrFe系合金を用いることができる。Feの含有量は1〜50at%である。含有量が1at%未満ではFe添加の効果が無く、50at%を超えるとCrFe系合金が磁化をもってしまうので好ましくない。さらには、Feの含有量が5〜30at%であれば、Fe添加の効果がより強くなり好ましい。
本発明におけるCrFe系合金には、補助的効果を有する元素を添加しても良い。添加元素としてはTi,V,Mn,Co,Ni,Cu、Zr,Nb、Mo、Ru、Ag,Hf,Ta、W、Re,B,Al,Si,Pなどが例示される。添加元素の合計含有率は20at%以下であることが好ましい。合計含有率が20at%を超えると上述のCrFe系合金膜の効果が低下してしまう。合計含有量の下限は、0.1at%であり、含有量が0.1at%未満では添加元素の効果が無くなる。
非磁性下地層3が少なくとも2層以上により構成される場合は1層にCrFe系合金が用いられるが、その他の層にはCr層、または、Ti、Mo、Al、Ta、W、Ni、B、Si、MnおよびVから選ばれる1種以上を含有するCr合金層を含むものを用いることができる。
特にCrFe系合金層では格子定数が小さいので、Cr−Mo,Cr−W,Cr−V、Cr−Ti系合金などのように、Mo,W,V、Tiなどを添加してCrの格子定数を広げ、磁性層4のCo合金と格子定数がマッチングするようにすることが、磁気記録媒体のSNR特性向上の点から好ましい。また、これらのCr合金層にBを添加することは、結晶微細化に効果があり、磁気記録媒体のSNR特性向上の点から好ましい。
非磁性下地層3が少なくとも2層以上により構成される場合、CrFe系合金層は配向調整膜2の直上に成膜されることが、結晶微細化に効果があり、磁気記録媒体のSNR特性向上の点から好ましい。
本発明における非磁性下地層3の膜厚は10Å〜300Åの範囲内であるとことが好ましい。非磁性下地層3の膜厚が10Å未満では、非磁性下地層の結晶配向が十分ではなく保持力を低下させる。非磁性下地層3の膜厚が300Åを超えると磁性膜4の円周方向の磁気異方性が低下してしまう。さらに好ましくは、CrFe系合金膜の膜厚が5Å〜100Åの範囲内であり、その他のCr−Mo,Cr−W,Cr−V、Cr−Ti系合金などの膜厚が5Å〜100Åの範囲内である方が、磁性膜の保持力、角型を向上させるために好ましい。
非磁性下地層3のCr合金の結晶配向は、(100)面を優先配向面とするのが好ましい。その結果、非磁性下地層の上に形成した磁性層4のCo合金の結晶配向がより強く(11・0)を示すので、磁気的特性例えば保持力(Hc)の向上効果、記録再生特性例えばSNRの向上効果が得られる。
なお、結晶面表記の中の「・」は、結晶面を表すミラ−ブラベ−指数の省略形を示す。
すなわち、結晶面を表わすのにCoのような六方晶系では、通常(hkil)と4つの指数で表わすが、この中で「i」に関してはi=−(h+k)と定義されており、この「i」の部分を省略した形式では、(hk・l)と表記する。
前記磁性層4は、直下の非磁性下地層の、例えば(100)面と充分に良く格子がマッチングするCoを主原料としたCo合金であって、hcp構造である材料とするのが好ましい。例えば、Co−Cr−Ta系、Co−Cr−Pt系、Co−Cr−Pt−Ta系、Co−Cr−Pt−B−Ta系、Co−Cr−Pt−B−Cu系合金から選ばれた何れか1種を含むものとするのが好ましい。
例えば、Co−Cr−Pt系合金の場合、Crの含有量は10at%〜25at%の範囲内、Ptの含有量は8at%〜16at%の範囲内とするのがSNR向上の点から好ましい。
例えば、Co−Cr−Pt−B系合金の場合、Crの含有量は10at%〜25at%の範囲内、Ptの含有量は8at%〜16at%の範囲内、Bの含有量は1at%〜20at%の範囲内とするのがSNR向上の点から好ましい。
例えば、Co−Cr−Pt−B−Ta系合金の場合、Crの含有量は10at%〜25at%の範囲内、Ptの含有量は8at%〜16at%の範囲内、Bの含有量は1at%〜20at%の範囲内、Taの含有量は1at%〜4at%の範囲内とするのがSNR向上の点から好ましい。
例えば、Co−Cr−Pt−B−Cu系合金の場合、Crの含有量は10at%〜25at%の範囲内、Ptの含有量は8at%〜16at%の範囲内、Bの含有量は2at%〜20at%の範囲内、Cuの含有量は1at%〜10at%の範囲内とするのがSNR向上の点から好ましい。
前記磁性層4の膜厚は10nm以上であれば熱揺らぎの観点から問題ないが、高記録密度への要求から40nm以下であるのが好ましい。40nmを越えると、磁性層4の結晶粒径が増大してしまい、好ましい記録再生特性が得られないからである。磁性層4は、多層構造としても良く、その材料は上記のなかから選ばれる何れかを用いた組み合わせとすることができる。磁性層4を多層構造とした場合、非磁性下地層の直上は、Co−Cr−Pt−B−Ta系合金またはCo−Cr−Pt−B−Cu系合金またはCo−Cr−Pt−B系合金からなるものであるのが、記録再生特性の、SNR特性の改善の点からは好ましい。最上層は、Co−Cr−Pt−B−Cu系合金またはCo−Cr−Pt−B系合金からなるものであるのが、記録再生特性の、SNR特性の改善の点からは好ましい。
前記非磁性下地層3と磁性層4との間にCo合金のエピタキシャル成長を助長する目的として非磁性中間層を設けるのが好ましい。これにより、磁気的特性、例えば保磁力の向上効果、記録再生特性、例えばSNRの向上効果が得られる。非磁性中間層はCo、Crを含むものとすることができる。Co−Cr系合金としたときCrの含有量は25at%〜45at%の範囲内であるのがSNR向上の点から好ましい。非磁性中間層の膜厚は0.5nm〜3nmの範囲内であるのがSNR向上の点から好ましい。
前記非磁性下地層3と磁性層4との間に磁気記録媒の熱減磁を改善するために、反強磁性結合層を設けることもできる。反強磁性結合層は安定化層と非磁性結合層から形成される。安定化層には磁性を有したCo−Ru系合金、Co−Cr系合金、Co−Cr−Pt系合金、Co−Cr−Pt−B系合金、Co−Cr−Ta系合金などを用いることができる。非磁性結合層にはRuを用いることが好ましい。Ruの膜厚は0.8nm前後であると反強磁性結合強度が極大値になるので好ましい。
前記磁性層4にBを含む場合には、非磁性下地層3と磁性層4との境界付近において、B濃度が1at%以上の領域におけるCr濃度が40at%以下となっているのが好ましい。CrとBとが高濃度で共存するのを防ぎ、CrとBとの共有結合性化合物の生成を極力抑え、その結果それによる磁性層中の配向の低下を防ぐことができるからである。
前記保護膜5は、従来の公知の材料、例えば、カ−ボン、SiCの単体またはそれらを主成分とした材料を使用することができる。保護膜の膜厚は1nm〜10nmの範囲内であるのが高記録密度状態で使用した場合の、磁気的スペ−シングの低減または耐久性の点から好ましい。磁気的スペーシングとは、磁気ヘッドのリードライト素子と磁性層との距離を表す。磁気的スペーシングが狭くなるほど電磁変換特性は向上する。なお、保護膜5はヘッドのリードライト素子と磁性層の間に存在するので、磁気的スペーシングを広げる要因となる。
保護膜5上には必要に応じ例えばパ−フルオロポリエ−テルのフッ素系潤滑剤からなる潤滑層を設けることができる。
本発明の磁気記録媒体の磁性層4は、1.05以上(より好ましくは1.1以上)である磁気的異方性指数(OR)を有しているものが好ましい。磁気異方性指数は、(円周方向の保持力/半径方向の保持力)で表される。
磁気異方性指数が1.05以上であると、より磁気的特性例えば保磁力の向上効果、電磁変換特性、例えばSNR、PW50の向上効果が得られる。磁気的異方性指数は円周方向の保持力(Hc)と半径方向のHcの比として定義されるが、磁気記録媒体の保持力が高保持力化したために、磁気的異方性指数が低めに測定されたしまうことがある。
本発明においては、この点を補足するために、残留磁化量の磁気的異方性指数も合わせて使用する。残留磁化量の磁気的異方性指数(MrtOR)は、円周方向の残留磁化量(Mrt)と半径方向の、残留磁化量(Mrt)の比(MrtOR=円周方向のMrt/半径方向のMrt)で定義される。残留磁化量の磁気異方性指数が1.05以上、より好ましくは1.1以上であると、より磁気的特性例えば保磁力の向上効果、電磁変換特性、例えばSNR、PW50の向上効果が得られる。
なお、ORおよびMrtORの値の上限は、理想的には磁性膜の全ての磁区が円周方向を向いた場合であり、この場合には磁気異方性指数の分母が0となり、無限大となる。
磁気的異方性指数、および残留磁化量の磁気的異方性指数の測定にはVSM(Vibrating Sample Magnetometer)を使用する。
図2は、上記磁気記録媒体を用いた磁気記録再生装置の一例を示すものである。
図2に示す磁気記録再生装置は、図1に示す構成の磁気記録媒体10と、磁気記録媒体10を回転駆動させる媒体駆動部11と、磁気記録媒体10に情報を記録再生する磁気ヘッド12と、この磁気ヘッド12を磁気記録媒体10に対して相対運動させるヘッド駆動部13と、記録再生信号処理系14とを備えて構成されている。
記録再生信号処理系14は、外部から入力されたデ−タを処理して記録信号を磁気ヘッド12に送ったり、磁気ヘッド12からの再生信号を処理してデ−タを外部に送ることができるようになっている。
本発明の磁気記録再生装置に用いる磁気ヘッド12には、再生素子として異方性磁気抵抗効果(AMR)を利用したMR(magnetoresistance)素子だけでなく、巨大磁気抵抗効果(GMR)を利用したGMR素子などを有した、より高記録密度に適した磁気ヘッドを用いることができる。
また、本発明の磁気記録再生装置は、磁気記録媒体のガラス基板1に直接テクスチャー加工を施して製造した磁気記録媒体10を用いているので、安価で高記録密度な磁気記録再生装置である。
また、本発明の磁気記録再生装置は、平均粗さが小さくまた微小うねりも小さい磁気記録媒体10を用いているので、電磁変換特性が向上しているのに加えて、スペーシングロスを低減させるために磁気ヘッドを低浮上状態で使用してもエラー特性が良好である磁気記録再生装置である。
上記磁気記録再生装置によれば、高記録密度に適した磁気記録再生装置を製造することが可能となる。
次に本発明に係る磁気記録媒体の製造方法の一例を説明する。
ガラス基板1としては、アモルファスガラス、結晶化ガラスのどちらも用いることができるが、例えばテクスチャー加工を行った際に条痕がより均一に入ることから、アモルファスガラスを使用することが好ましい。
ガラス基板1は、平均表面粗さRaが2nm(20Å)以下、好ましくは1nm以下であるとことが望ましい。
また、表面の微小うねり(Wa)が0.3nm以下(より好ましくは0.25nm以下。)であるのが好ましい。端面のチャンファ−部の面取り部、側面部の少なくとも一方の、いずれの表面平均粗さRaが10nm以下(より好ましくは9.5nm以下。)のものを用いることが磁気ヘッドの飛行安定性にとって好ましい。微少うねり(Wa)は、例えば、表面粗さ測定装置P−12(KLM−Tencor社製)を用い、測定範囲80μmでの表面平均粗さとして測定することができる。
最初に、ガラス基板の表面に線密度が7500(本/mm)以上である条痕を形成するように、基板の表面にテクスチャー加工を施す。例えば、ガラス基板の表面に線密度が7500(本/mm)以上であるテクスチャー条痕が形成されるように、基板の表面に固定砥粒または/および遊離砥粒を用いた機械的加工(「メカニカルテクスチャー加工」ともいう。)により円周方向にテクスチャを施す。例えば、基板の表面に研磨テープを押し付け接触させ、基板と研磨テープとの間に研磨砥粒を含む研磨スラリーを供給して、基板を回転させると供に、研磨テープを送ることによるテクスチャー加工をおこなう。
ここでの基板の回転は200rpm〜1000rpmの範囲内とすることができる。研磨スラリーの供給量は10ml/分〜100ml/分の範囲内とすることができる。研磨テープの送り速度は、1.5mm/分〜150mm/分の範囲内とすることができる。研磨スラリーに含まれる砥粒の粒径はD90(累積質量%が90質量%に相当する時の粒径値)で0.05μm〜0.3μmとすることができる。テープの押し付け力は1kgf〜15kgf(9.8N〜147N)の範囲内とすることができる。線密度が7500(本/mm)以上(より好ましくは20000(本/mm)以上。)のテクスチャー条痕を形成するように、これらの条件を設定するのが好ましい。
テクスチャー条痕が表面に形成されたガラス基板1の表面平均粗さRaは0.1nm〜1nm(1Å〜10Å)、好ましくは0.2nm〜0.8nm(2Å〜8Å)の範囲内とするのが望ましい。
オッシレーションを加えたテクスチャー加工を施すことができる。オッシレーションとは、テープを基板の円周方向に走行させると同時に、テープを基板の半径方向に揺動させる操作のことである。オッシレーションの条件は60回/分〜1200回/分とするのが好ましい。
テクスチャー加工の方法としては、線密度が7500(本/mm)以上のテクスチャー条痕を形成する方法を用いることができ、前述したメカニカルテクスチャーによる方法以外に固定砥粒を用いた方法、固定砥石を用いた方法、レーザー加工を用いた方法を用いることができる。
ガラス基板1上に各膜を形成するためのスパッタリングの条件は、例えば次のように設定する。形成に用いるチャンバ内は真空度が10−4Pa〜10−7Paの範囲内となるまで排気する。チャンバ内にテクスチャー条痕が表面に形成されたガラス基板を収容して、スパッタ−用ガスとしてArガスを導入して放電させてスパッタ成膜をおこなう。このとき、供給するパワ−は0.2kW〜2.0kWの範囲内とし、放電時間と供給するパワ−を調節することによって、所望の膜厚を得ることができる。
配向調整膜2と非磁性下地層3の間には、その表面を酸素雰囲気に曝露する工程を有することが好ましい。曝露する酸素雰囲気は、例えば5×10−4Pa以上の酸素ガスを含む雰囲気とするのが好ましい。また曝露用の雰囲気ガスを水と接触させたものを用いることもできる。また曝露時間は、0.5秒〜15秒の範囲内とするのが好ましい。例えば、配向調整膜を形成後チャンバから取出し外気雰囲気または酸素雰囲気中に曝露させることが好ましい。またはチャンバから取り出さずチャンバ内に大気または酸素を導入して曝露させる方法を用いることも好ましい。
特に、チャンバ内で曝露させる方法は、真空室から取り出すような煩雑な工程がいらないので、非磁性下地層3、磁性層4の成膜を含めて一連の成膜工程として続けて処理することができるので好ましい。その場合は例えば、到達真空度が10−6Pa以下において5×10−4Pa以上の酸素ガスを含む雰囲気とするのが好ましい。なお、酸素による暴露時の酸素ガス圧の上限であるが、大気圧での暴露も可能であるが、好ましくは、5×10−2Pa以下とするのが良い。
ガラス基板1は加熱することにより非磁性下地層3、および、磁性層4の結晶配向性を向上させることが出来る。ガラス基板の加熱温度は100℃〜400℃の範囲であることが好ましい。また、配向調整膜2を成膜後、加熱することがより好ましい。
非磁性下地層3を形成した後、10nm〜40nmの膜厚を有した磁性層4を磁性層4の材料からなるスパッタリング用タ−ゲットを用いて同様にスパッタリング法により形成する。スパッタリング用タ−ゲットはCo−Cr−Ta系、Co−Cr−Pt系、Co−Cr−Pt−Ta系、Co−Cr−Pt−B−Ta系、Co−Cr−Pt−B−Cu系から選ばれた何れか1種を含むものを原料としたものを用いることができる。例えば、Co−Cr−Pt系合金の場合、Crの含有量は10at%〜25at%の範囲内、Ptの含有量は8at%〜16at%の範囲内とすることができる。例えば、Co−Cr−Pt−B−Ta系合金の場合、Crの含有量は16at%〜24at%の範囲内、Ptの含有量は8at%〜16at%の範囲内、Bの含有量は2at%〜8at%の範囲内、Taの含有量は1at%〜4at%の範囲内とすることができる。例えば、Co−Cr−Pt−B−Cu系合金の場合、Crの含有量は16at%〜24at%の範囲内、Ptの含有量は8at%〜16at%の範囲内、Bの含有量は2at%〜8at%の範囲内、Cuの含有量は1at%〜10at%の範囲内とすることができる。
ここで、非磁性下地層3のCr合金の結晶配向は優先配向面が(100)を示しているように形成するのが好ましい。
非磁性下地層3と磁性層4との間に非磁性中間層を設ける場合は、Co−Cr系合金(Crの含有量は25at%〜45at%の範囲内。)を原料としたスパッタリング用タ−ゲットを用いるのが好ましい。このとき、磁性層4にBを含む場合には、非磁性下地層3と磁性層4との境界付近において、B濃度が1at%以上の領域におけるCr濃度が40at%以下となるようなスパッタ−条件で成膜するのが好ましい。
磁性層4を形成した後、公知の方法、例えばスパッタリング法、プラズマCVD法またはそれらの組み合わせを用いて保護膜5、たとえばカ−ボンを主成分とする保護膜5を形成する。
さらに、保護膜上には必要に応じパ−フルオロポリエ−テルのフッ素系潤滑剤をディップ法、スピンコ−ト法などを用いて塗布し潤滑層を形成する。
(実施例1)
ガラス基板としてHOYA(株)製アモルファスガラスN5を使用した。ガラス基板のサイズは外径65mm、内径20mm、板厚0.635mmである。
上記ガラス基板にメカニカルテクスチャー加工を施した。メカニカルテクスチャー加工の条件は以下の通りである。スラリーに含まれる砥粒はD90が0.15μmのダイアモンド砥粒を使用した。スラリーは50ml/分で加工が開始される前に2秒間滴下した。
研磨テープにはポリエステル製の織物布を使用した。研磨テープの送りは75mm/分とした。ディスクの回転数は600rpmとした。ディスクの揺動は120回/分とした。
テープの押し付け力は2.0kgf(19.6N)とした。加工時間は10秒とした。基板表面を、Degital Instrument社製AFMで測定したところ、平均粗さRaが4オングストローム、線密度が25000本/mmのテクスチャー条痕を有するガラス基板が得られた。
この基板を十分に洗浄し乾燥した後、DCマグネトロンスパッタ装置(アネルバ社(日本)製C3010)内にセットした。真空到達度を2×10−7Torr(2.7×10−5Pa)まで排気した後、配向調整膜として、Co―W合金(Co:50at%、W:50at%)からなるタ−ゲットも用いて常温にて10nm積層した。
その後、基板を250℃に加熱した。加熱後、酸素暴露を0.05Paで5秒間実施した。非磁性下地層として、Cr−Fe合金(Cr:80at%、Fe:20at%)からなるタ−ゲットを用いて5nm積層した。さらに非磁性下地層として、Cr−Mo―B合金(Cr:85at%、Mo:15at%、B:5at%)からなるターゲットを用いて5nm積層した。非磁性中間層としてはCo―Cr合金(Co:65at%、Cr:35at%)からなるタ−ゲットを用いて2nm積層した。磁性層としてCo−Cr−Pt−B合金(Co:60at%、Cr:22at%、Pt:12at%、B:6at%)からなるタ−ゲットを用いて磁性層であるCoCrPtB合金層を20nmの膜厚で形成し、保護膜(カ−ボン)5nmを積層した。成膜時のAr圧は3mTorr(0.4Pa)とした。パ−フルオロポリエ−テルからなる潤滑剤20nmをディップ法で塗布し潤滑層を形成した。
その後グライドテスタ−を用いて、テスト条件のグライド高さを0.4μインチとして、グライドテストを行ない、合格した磁気記録媒体をリ−ドライトアナライザ−RWA1632(GUZIK社(米国)製)を用いて記録再生特性を調べた。記録再生特性は、再生信号出力(TAA)、孤立波再生出力の半値幅(PW50)、SNR、オ−バライト(OW)などの電磁変換特性を測定した。記録再生特性の評価には、再生部に巨大磁気抵抗(GMR)素子を有する複合型薄膜磁気記録ヘッドを用いた。ノイズの測定は500kFCIのパタ−ン信号を書き込んだ時の、1MHzから375kFCI相当周波数までの積分ノイズを測定した。再生出力を250kFCIで測定し、SNR=20×log(再生出力/1MHzから375kFCI相当周波数までの積分ノイズ)として算出した。
保磁力(Hc)および角形比(S*)の測定にはカ−効果式磁気特性測定装置(RO1900、日立電子エンジニアリング社(日本)製)を用いた。磁気的異方性指数(OR)、および残留磁化量の磁気的異方性指数(MrtOR)の測定にはVSM(BHV−35、理研電子社(日本)製)を用いた。
(実施例2〜19、比較例1〜3)
配向調整膜の合金組成と膜厚、非磁性下地膜の合金組成と膜厚を表1に示すとおりにした以外は、実施例1と同様の処理をした。
(実施例20)
非磁性中間層の代わりに反強磁性結合層を設けた。安定化層にはCo−Ru合金(Co:80at%、Ru:20at%)からなるタ−ゲットも用いて2nm積層した。非磁性結合層にはRuからなるタ−ゲットも用いて0.8nm積層した。これ以外は、実施例1と同様の処理をした。
実施例1〜20、比較例1〜3の保持力(Hc)、角型比、磁気的異方性指数(OR)、および残留磁化量の磁気的異方性指数(MrtOR)、電磁変換特性の結果を表1、表2に示す。
Figure 2006099948
実施例1〜7は配向調整膜Co−W系合金(Co:50at%、W:50at%)の膜厚の傾向を示す。実施例1〜7から分かるように、Cr―Fe合金、Cr−Mo−B合金の膜厚が10〜100Åの範囲で良好な円周方向の磁気異方性が得られており、電磁変換特性が優れている。実施例9〜11では、Cr―Fe合金へのB,Ru,Moの添加で良好な結果が得られていることが分かる。
さらに、実施例12〜19では配向調整膜の合金組成を変化させた。Co−Mo系合金、Co−Ta系合金、Co−Nb系合金、Ni−Ta系合金、Ni−Nb系合金、Fe−W系合金、Fe−Mo系合金、Fe−Nb系合金でCr−Fe合金との組み合わせで良好な円周方向の磁気異方性が得られており、記録再生特性が優れている。実施例20から分かるように、反強磁性結合媒体においても良好な結果が得られていることが分かる。
一方、比較例1,2から分かるように、Cr−Fe合金が無い場合には、電磁変換特性は、何れも実施例よりも劣っている。さらに、Cr−Fe合金を使用していても配向調整膜にNi−P合金を用いた場合は、電磁変換特性は、何れも実施例よりも劣っている。
Figure 2006099948
表2に示す実施例21は95Cr−5Feの組成の非磁性下地層を用いた例を示し、実施例22は99Cr−1Feの組成の非磁性下地層を用いた例を示す。Feの添加量は1原子%から効果が出始めるが、添加量5原子%で磁気特性の面で確実に効果が出始める。
Feの添加量を50%とした実施例23の試料では、非磁性下地層が若干磁気を帯び始める。
実施例24は95Cr−5Feの組成の非磁性下地層単層の試料、実施例25は99Cr−1Feの組成の非磁性下地層単層の試料、実施例26は80Cr−20Feの組成の非磁性下地層単層の試料、実施例27は50Cr−50Feの組成の非磁性下地層単層の試料、実施例28は48Cr−52Feの組成の非磁性下地層単層の試料であるが、いずれの試料においても比較例4のCr単層の下地層よりも高い保磁力を示し、同等レベルかあるいはそれ以上の良好な電気変換特性を得られた。
比較例4は、非磁性下地層を薄くし過ぎた試料であるが、保磁力、角形比、電磁変化特性のいずれにおいても低下傾向が見られ、逆に非磁性下地層を厚くし過ぎた試料では保磁力と角形比は良好なものの、その他の電磁変換特性の面で低下傾向が見られた。
図1は本発明に係る磁気記録媒体の第1実施形態を示す部分断面図。 図2は本発明に係る磁気記録再生装置の一例を示す構成図である。
符号の説明
1…ガラス基板、 2…配向調整膜、 3…非磁性下地層、 4…磁性層、 5…保護膜、 10…磁気記録媒体、 11…媒体駆動部、 12…磁気ヘッド、 13…ヘッド駆動部、 14…記録再生信号処理系

Claims (12)

  1. 表面に条痕を有するガラス基板上に、少なくとも配向調整膜、非磁性下地層、磁性層及び保護膜をこの順で有する磁気記録媒体において、前記配向調整膜がCo、NiおよびFeから選ばれる何れか1種類以上と、W、Mo、TaおよびNbから選ばれる何れか1種類以上とを含み、かつ、前記非磁性下地層が少なくともCrFe系合金を含むことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 前記非磁性下地層に用いられるCrFe系合金におけるFeの含有量が1〜50at%であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 前記配向調整膜が、Co−W系合金、Co−Mo系合金、Co−Ta系合金、Co−Nb系合金、Ni−Ta系合金、Ni−Nb系合金、Fe−W系合金、Fe−Mo系合金、Fe−Nb系合金の中から選択される少なくとも1つの合金を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
  4. 前記非磁性下地層の膜厚が、10Å〜300Åの範囲内であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
  5. 前記配向調整膜の膜厚が、10Å〜300Åの範囲内であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
  6. 前記ガラス基板が、アモルファスガラスであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
  7. 前記条痕の線密度が、7500(本/mm)以上であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
  8. 前記磁性層の磁気的異方性指数(円周方向の保持力/半径方向の保持力)が、1.05以上であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
  9. 前記磁性層の残留磁化量の磁気的異方性指数(円周方向の残留磁化量/半径方向の残留磁化量)が、1.05以上であることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
  10. 前記非磁性下地層が少なくとも2層以上により構成され、1層にCrFe系合金、その他の層にCr層、または、Ti、Mo、Al、Ta、W、Ni、B、Si、MnおよびVから選ばれる1種以上を含有するCr合金層を含むことを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
  11. 前記磁性層が、Co−Cr−Pt系合金、Co−Cr−Pt−Ta系合金、Co−Cr−Pt−B系合金、Co−Cr−Pt−B−Y系合金(YはTa、または、Cuである。)から選ばれる何れか1種以上を含むことを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
  12. 請求項1〜11の何れか1項に記載の磁気記録媒体と、前記磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備えたことを特徴とする磁気記録再生装置。

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