JP2006286161A - 磁気記録媒体及びその製造方法と磁気記録再生装置 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法と磁気記録再生装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 テクスチャ条痕が施され、且つNiPがメッキされたアルミニウム基板(Al−Mg合金)を用いて、円周方向の磁気異方性を有する、高保持力、高角型比で電磁変換特性の良好な磁気記録媒体及びその製造方法と磁気記録再生装置を提供する。
【解決手段】 表面に条痕を有するNiPまたはNiP合金がメッキされたアルミニウム基板上に、少なくとも配向調整層、非磁性下地層、磁性層及び保護膜をこの順で有する磁気記録媒体において、前記配向調整層が、Co、Ni及びFeから選ばれる何れか1種類以上と、W、Mo、Ta及びNbから選ばれる何れか1種類以上とを含むことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ハードディスク装置などに用いられる磁気記録媒体、磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録再生装置に関するものである。
磁気記録再生装置の一種であるハードディスク装置(HDD)は、現在、その記録密度が年率30%で増えており、今後もその傾向は続くと見込まれている。このため、高記録密度に適した磁気記録用ヘッドの開発、磁気記録媒体の開発が進められている。
ハードディスク装置に用いられる磁気記録媒体は、高記録密度化が要求されており、これに伴い保磁力の向上、媒体ノイズの低減が求められている。
ハードディスク装置に用いられる磁気記録媒体としては、磁気記録媒体用の基板にスパッタリング法により金属膜を積層した構造が主流となっている。また、磁気記録媒体に用いられる基板としては、アルミニウム基板とガラス基板が広く用いられている。
アルミニウム基板としては、鏡面研磨したAl−Mg合金の基体上にNi−P系合金膜を無電解メッキで10μm程度の厚さに形成し、その表面を更に鏡面仕上げしたもの等があげられる。
ガラス基板としては、アモルファスガラス、又は晶化ガラスが用いられたものの2種類があり、どちらのガラス基板も鏡面仕上げしたものが用いられる。
従来、一般的に用いられているハードディスク装置用磁気記録媒体においては、非磁性基板上に、非磁性下地層(Ni−Al系合金、Cr、Cr系合金等)、非磁性中間層(Co−Cr、Co−Cr−Ta系合金等)、磁性層(Co−Cr−Pt−Ta、Co−Cr−Pt−B系合金等)、保護膜(カーボン等)が順次成膜されており、その上に、液体潤滑剤からなる潤滑膜が形成されている。
また、磁気ディスク装置等の高記録密度化に伴い、磁気記録媒体を、円周方向に磁気異方性を持たせた構成として、電磁変換特性を良好にすることが求められている。このため、アルミニウム合金にNiPをメッキした基板(以下、アルミ基板と略称することがある)を用いた磁気記録媒体は、NiP表面の円周方向に機械的に溝を形成することにより(「メカニカルテクスチャ加工」と称される)、円周方向に異方性を持たせた構成としたものがある。
また、ガラス基板に上述のメカニカルテクスチャ加工を施した場合、ガラス基板自体に円周方向の磁気異方性を持たせることは困難であった。このため、テクスチャ条痕が施されたガラス基板上に配向調整層を形成することにより、円周方向の磁気異方性を発現させる構成の磁気記録媒体が、本出願人によって提案されている(例えば、特許文献1)。
特開2004−86936号公報
特許文献1に記載の磁気記録媒体では、ガラス基板をそのまま用いた場合には円周方向の磁気異方性を発現しないため、配向調整層を設けることにより、磁気異方性を発現させる構成としている。
しかしながら、磁気記録媒体において更なる高記録密度を達成するためには、磁気異方性の一層の向上が要求されるのに対して、特許文献1に記載の磁気記録媒体のガラス基板上に配向調整層を設けた構成では、高い磁気異方性を発現させるのが困難となり、良好な電磁変換特性が得られなくなる虞がある。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、テクスチャ条痕が施され、且つNiPがメッキされて円周方向の磁気異方性を有したアルミニウム基板(Al−Mg合金)を用い、さらに配向調整膜を設けることによって高い磁気異方性を有し、薄い膜厚の配向調整膜を用いた場合であっても、高保持力、高角型比で電磁変換特性の良好な磁気記録媒体及びその製造方法と磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
本出願人は、上記問題を解決するために鋭意努力検討した結果、テクスチャ条痕が施され、且つNiPがメッキされたアルミニウム基板(Al−Mg合金)に、配向調整層として、Co、Ni及びFeから選ばれる何れか1種類以上の成分と、W、Mo、Ta及びNbから選ばれる何れか1種類以上の成分から構成される合金層を用いることにより、磁気記録再生装置の特性を向上できることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は以下に関する。
(1)表面に条痕を有し、且つNiP又はNiP合金がメッキされたアルミニウム基板上に、少なくとも配向調整層、非磁性下地層、磁性層及び保護膜をこの順で有する磁気記録媒体において、前記配向調整層が、Co、Ni及びFeから選ばれる何れか1種類以上と、W、Mo、Ta及びNbから選ばれる何れか1種類以上とを含むことを特徴とする磁気記録媒体。
(2)前記配向調整層が、Co−W系合金、Co−Mo系合金、Co−Ta系合金、Co−Nb系合金、Ni−Ta系合金、Ni−Nb系合金、Fe−W系合金、Fe−Mo系合金、Fe−Nb系合金の中から選択される少なくとも1つの合金を含むことを特徴とする(1)に記載の磁気記録媒体。
(3)前記アルミニウム基板が、Al−Mg合金の基体上にNi−P系合金膜を無電解メッキで形成したものであることを特徴とする(1)または(2)に記載の磁気記録媒体。
(4)前記配向調整膜の膜厚が、1オングストローム〜50オングストロームの範囲内であることを特徴とする(1)〜(3)の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
(5)前記条痕の線密度が、7500(本/mm)以上であることを特徴とする(1)〜(4)の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
(6)前記磁性層の磁気的異方性指数(円周方向の保持力/半径方向の保持力)が、1.05以上であることを特徴とする(1)〜(5)の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
(7)残留磁化量の磁気的異方性指数(円周方向の残留磁化量/半径方向の残留磁化量)が、1.05以上であることを特徴とする(1)〜(6)の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
(8)前記非磁性下地層が、Cr層、または、Ti、Mo、Al、Ta、W、Ni、B、Si、V及びMnから選ばれる1種以上を含有するCr合金層を含むことを特徴とする(1)〜(7)の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
(9)前記磁性層が、Co−Cr−Pt系合金、Co−Cr−Pt−Ta系合金、Co−Cr−Pt−B系合金、Co−Cr−Pt−B−Y系合金(YはTa、または、Cuである)から選ばれる何れか1種以上を含むことを特徴とする(1)〜(8)の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
(10)(1)〜(9)の何れか1項に記載の磁気記録媒体と、磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備えた磁気記録再生装置。
本発明の磁気記録媒体は、表面に条痕を有し、NiP又はNiP合金がメッキされたアルミニウム基板上に、少なくとも配向調整層、非磁性下地層、磁性層及び保護膜をこの順で有する磁気記録媒体において、前記配向調整層が、Co、Ni及びFeから選ばれる何れか1種類以上の成分と、W、Mo、Ta及びNbから選ばれる何れか1種類以上とを含む構成であるため、円周方向において高い磁気異方性を発現させることができる。
従って、電磁変換特性が向上し、高記録密度に適した磁気記録媒を得ることができる。
以下、本発明に係る磁気記録媒体の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1及び図2は、本実施形態の磁気記録媒体を説明する図であり、この磁気記録媒体1は、表面に条痕を有し、且つNiP又はNiP合金がメッキされたアルミニウム基板上に、少なくとも配向調整層、非磁性下地層、磁性層及び保護膜をこの順で有する磁気記録媒体において、配向調整層がCo、Ni及びFeから選ばれる何れか1種類以上と、W、Mo、Ta及びNbから選ばれる何れか1種類以上とを含むことを特徴とする。
図1は、本実施形態の磁気記録媒体1の構成を模式的に示したものであり、2はアルミニウム基板(アルミ基板)、3は配向調整膜、4は非磁性下地層、5は磁性層、6は保護膜を示す。
アルミニウム基板2としては、鏡面研磨したAl−Mg合金の基体上にNi−P系合金膜を無電解メッキで5〜15μm程度の厚さに形成し、その表面を更に鏡面仕上げしたものである。
アルミ基板2には、例えば、固定砥粒を用いたラッピングテープや遊離砥粒によるメカニカルテクスチャ加工などにより、表面に条痕を形成する。アルミ基板2表面に形成された条痕は、基板円周方向に沿うものであることが好ましい。
条痕が表面に形成されたアルミ基板2の表面平均粗さRaは、0.1nm〜1nm(1オングストローム〜10オングストローム)、好ましくは0.2nm〜0.8nm(2オングストローム〜8オングストローム)の範囲内とするのが望ましい。
アルミ基板2の表面平均粗さRaが0.1nm未満であると、アルミ基板2が過度に平滑になり、磁性層4の磁気異方性を高める効果が薄れる。また、表面平均粗さRaが1nmを越えると、媒体表面の平滑性が低くなってグライドハイト特性が低下し、記録再生時において磁気ヘッドのフライングハイトを低くするのが難しくなる。
アルミ基板2の表面は、線密度が7500(本/mm)以上の条痕を有していることが好ましい。ここで説明する線密度は、アルミ基板2の半径方向に測定したものである。
線密度を7500(本/mm)以上とした理由としては、条痕の効果が磁気的特性(例えば保磁力の向上効果)、電磁変換特性(例えばSNR(Signal to Noise Ratio)、PW50の向上効果)により反映されるからである。さらに好ましくは、線密度が20000(本/mm)以上の条痕を有していれば、上述の効果がより一層顕著になる。
なお、線密度の上限は、200000(本/mm)である。線密度が200000(本/mm)を超えると、条痕の線間隔が50オングストローム未満となってしまい、非磁性下地層の粒径の方が大きくなり、磁気記録媒体の磁気異方性を低下させる。
条痕は、アルミ基板2に対して主に円周方向で形成されているのが好ましい。ここで、条痕とは、半径方向の断面において山と谷との間の高低の距離が0.02nm〜20nmの範囲内(より好ましくは、0.05nm〜10nmの範囲内)の、アルミ基板2表面の凹凸形状のことである。
条痕の山と谷の間の高低距離を上述の範囲とすれば、磁気異方性の発現に伴う電磁変換特性の向上に対して有効となる。
条痕の山と谷の高低の距離が20nmを超える場合、アルミ基板2表面の凹凸が大きすぎ、近傍の条痕の均一性に影響を与えるおそれがある。
条痕は、例えば、固定砥粒を用いたラッピングテープや遊離砥粒によるメカニカルテクスチャ加工などにより形成するのが好ましい。
条痕の線密度を測定する際は、例えば測定装置として、AFM(Atomic Force Microscope。Degital Instrument社(米国)製)を用いることができる。
線密度の測定条件は以下のようにする。
スキャン幅は1μm、スキャンレートは1Hz、測定数は256、モードはタッピングモードとする。試料であるアルミ基板の半径方向にプローブを走査し、AFMのスキャン画像を得る。Flatten Orderの次数を2として、平滑化処理のひとつであるPlane Fit Auto処理を、Scan画像に対してX軸とY軸とに実施して画像の平滑化補正を行う。平滑化補正済みの画像に対して、約0.5μm×約0.5μmのボックスを設定して、その範囲の線密度を算出する。線密度は、X軸中心線とY軸中心線の両方に沿ったゼロ交差点の総数を1mm当りに換算して算出する。すなわち、線密度は半径方向1mm当りのテクスチャ条痕の山と谷の数となる。
アルミ基板の面内の各箇所を測定して、その測定値の平均値、標準偏差を求める。その平均値をもってアルミ基板の条痕の線密度とする。測定箇所の個数は、平均値、標準偏差を求められる個数とすることができる。たとえば、測定数は10点程度とすれば、上述の平均値、標準偏差を求めることが可能となる。また、その内の最大値、最小値を除いた8点で平均値、標準偏差を求めることにより、測定異常値を除くことができ、測定精度を向上させることができる。
配向調整膜3は、直上に形成される非磁性下地膜4の結晶配向性を整え、さらにはその上に形成される磁性層5の結晶配向性を調整し、磁性層5の円周方向の磁気異方性を向上させるためのものである。また、配向調整膜3は、結晶配向性を調整するだけでなく、非磁性下地膜4及び磁性層5中の結晶粒を微細化する結晶粒微細化膜としても機能する。
配向調整膜3には、Co、Ni及びFeから選ばれる何れか1種類以上の成分と、W、Mo、Ta及びNbから選ばれる何れか1種類以上の成分から構成される合金層を用いることが出来る。
配向調整膜3に用いられる合金層の組成は、特に限定されないが、Co、Ni及びFeの合計含有率が25at%〜70at%の範囲内であり、W、Mo、Ta及びNbの合計含有率が30at%〜75at%の範囲内であることが好ましい。
Co、Ni及びFeの合計含有率が25at%未満の場合は、非磁性下地層4の結晶配向が十分とならず、保持力を低下させる。Co、Ni及びFeの合計含有率が70at%超えると、配向調整膜3が磁化を持ってしまうため、好ましくない。
Mo、Ta及びNbの合計含有率が30at%未満の場合、磁性層5の円周方向の磁気異方性が低下してしまう。Mo、Ta及びNbの合計含有率が75at%を超えると、非磁性下地層4の結晶配向が十分とならず、保持力を低下させる。
上述の配向調整膜3には、より好ましくは、Co−W系合金、Co−Mo系合金、Co−Ta系合金、Co−Nb系合金、Ni−Ta系合金、Ni−Nb系合金、Fe−W系合金、Fe−Mo系合金、Fe−Nb系合金の中から選択される少なくとも1つの合金層を用いることが望ましい。本出願人の鋭意努力により、Fe構造を含む合金を用いることが、磁性層の円周方向の磁気異方性をより向上させることを見いだした。これらの合金層の組成範囲としては、Fe構造を25%以上含有することが、磁性層5の円周方向の磁気異方性をより向上させる点で効果がある。即ち、CoW系合金のWの組成範囲は、30at%〜85at%の範囲内であることが好ましい。CoMo系合金のMoの組成範囲は、30at%〜85at%の範囲内であることが好ましい。CoTa系合金のTaの組成範囲は、38at%〜65at%の範囲内であることが好ましい。CoNb系合金のNbの組成範囲は、37at%〜86at%の範囲内であることが好ましい。NiTa系合金のTaの組成範囲は、38at%〜63at%の範囲内であることが好ましい。NiNb系合金のNbの組成範囲は、31at%〜86at%の範囲内であることが好ましい。Fe−W系合金のWの組成範囲は、37at%〜86at%の範囲内であることが好ましい。Fe−Mo系合金のMoの組成範囲は、35at%〜85at%の範囲内であることが好ましい。Fe−Nb系合金のNbの組成範囲は、40at%〜86at%の範囲内であることが好ましい。
Co−W系合金、Co−Mo系合金、Co−Ta系合金、Co−Nb系合金、Ni−Ta系合金、Ni−Nb系合金、Fe−W系合金、Fe−Mo系合金、Fe−Nb系合金は、それぞれ単独で用いた場合でも特性を発揮でき、また、これらの内、複数が組み合わされた合金であっても同様の特性を発現する。例えば、Co−W−Mo系合金、Co−Ni−Nb系合金、Co−W−Mo−Ta系合金等でも同様の特性を発現する。
本実施形態の磁気記録媒体1に用いられる配向調整膜3の膜厚は、1オングストローム〜50オングストロームの範囲内であるとことが好ましい。
配向調整膜3の膜厚が1オングストローム未満の場合、非磁性下地層4の結晶配向が十分とならず、保持力を低下させる。配向調整膜3の膜厚が50オングストロームを超えると、磁性層5の円周方向の磁気異方性が低下してしまう。
また、配向調整膜3の膜厚は5オングストローム〜20オングストロームの範囲内であることが、磁性層5の円周方向の磁気異方性を向上させる点で、さらに好ましい。
ガラス基板に対して配向調整膜を適用させる場合は、配向調整膜の膜厚は20オングストローム〜100オングストロームが最適であるが、アルミ基板に対して配向調整膜を適用させる場合、5オングストローム〜20オングストロームが最適である。これが、配向調整膜を基板に対して適用させる際の、ガラス基板とアルミニウム基板との大きな相違点である。
本実施形態で説明する配向調整膜3には、補助的効果を有する元素を添加しても良い。
添加元素としては、例えば、Ti,V,Cr,Mn,Zr,Hf,Ru,B,Al,Si,P等が挙げられる。
添加元素の合計含有率は20at%以下であることが好ましい。合計含有率が20at%を超えると、上述した配向調整膜の効果が低下してしまう。合計含有率の下限は、0.1at%であり、含有率が0.1at%未満では添加元素の効果が無くなる。
非磁性下地層4には、Cr層、又は、CrとTi、Mo、Al、Ta、W、Ni、B、Si、V及びMnから選ばれる1種もしくは2種類以上とからなるCr合金層を用いることが好ましい。
非磁性下地膜4は、1層で構成することも可能だが、2層以上の構成とすることが好ましい。
配向調整膜3の直上に用いられる1層目のCr層41には、Cr、CrMn系合金、CrFe系合金を用いることが、円周方向の磁気異方性を向上させる点で好ましい。
2層目に用いるCr層42としては、Crのみでは格子定数が小さいので、Cr−Mo,Cr−W,Cr−V、Cr−Ti系合金等のように、Mo,W,V、Ti等を添加してCrの格子定数を広げ、磁性層5のCo合金と格子定数がマッチングするようにすることが、磁気記録媒体のSNR特性向上の点から好ましい。
また、上述のCr層、または、Cr合金層にBを添加すれば、結晶微細化に効果があり、磁気記録媒体のSNR特性向上の点から好ましい。
非磁性下地層4のCr層、又は、Cr合金層の結晶配向は、(100)面を優先配向面とするのが好ましい。これにより、非磁性下地層4の上に形成した磁性層5のCo合金の結晶配向がより強く(11・0)を示すので、磁気的特性、例えば保持力(Hc)が向上する効果が得られ、また、記録再生特性、例えば、SNRが向上する効果が得られる。
なお、上述の結晶面表記の中の「・」は、結晶面を表すミラーブラベー指数の省略形を示す。すなわち、結晶面を表わすのにCoのような六方晶系では、通常(hkil)と4つの指数で表わすが、この中で「i」に関してはi=−(h+k)と定義されており、この「i」の部分を省略した形式では、(hk・l)と表記する。
磁性層5は、直下の非磁性下地層4の、例えば、(100)面と充分に良く格子がマッチングするCoを主原料としたCo合金であって、hcp構造である材料とするのが好ましい。例えば、Co−Cr−Ta系、Co−Cr−Pt系、Co−Cr−Pt−Ta系、Co−Cr−Pt−B−Ta系、Co−Cr−Pt−B−Cu系合金、Co−Cr−Pt−B−Ag系合金から選ばれた何れか1種を含むものとするのが好ましい。
例えば、Co−Cr−Pt系合金の場合、Crの含有量は10at%〜27at%の範囲内、Ptの含有量は8at%〜16at%の範囲内とするのが、SNR向上の点から好ましい。
また、例えば、Co−Cr−Pt−B系合金の場合、Crの含有量は10at%〜27at%の範囲内、Ptの含有量は8at%〜16at%の範囲内、Bの含有量は1at%〜20at%の範囲内とするのが、SNR向上の点から好ましい。
また、例えば、Co−Cr−Pt−B−Ta系合金の場合、Crの含有量は10at%〜27at%の範囲内、Ptの含有量は8at%〜16at%の範囲内、Bの含有量は1at%〜20at%の範囲内、Taの含有量は1at%〜4at%の範囲内とするのが、SNR向上の点から好ましい。
また、例えば、Co−Cr−Pt−B−Cu系合金の場合、Crの含有量は10at%〜27at%の範囲内、Ptの含有量は8at%〜16at%の範囲内、Bの含有量は2at%〜20at%の範囲内、Cuの含有量は1at%〜10at%の範囲内とするのが、SNR向上の点から好ましい。
また、例えば、Co−Cr−Pt−B−Ag系合金の場合、Crの含有量は10at%〜27at%の範囲内、Ptの含有量は8at%〜16at%の範囲内、Bの含有量は2at%〜20at%の範囲内、Cuの含有量は1at%〜10at%の範囲内とするのがSNR向上の点から好ましい。
磁性層5の膜厚は、10nm以上であれば熱揺らぎの観点から問題ないが、高記録密度への要求から40nm以下であるのが好ましい。40nmを越えると、磁性層5の結晶粒径が増大してしまい、好ましい記録再生特性が得られない。
磁性層5は、多層構造としても良く、その材料は、上述した材料の中から選択した何れかを用いた組み合わせとすることができる。
磁性層5を多層構造とした場合、非磁性中間層の直上は、Co−Cr−Pt−B−Ta系合金、又は、Co−Cr−Pt−B−Cu系合金、又は、Co−Cr−Pt−B系合金からなるものであるのが、記録再生特性の、SNR特性の改善の点から好ましい。最上層は、Co−Cr−Pt−B−Cu系合金、又は、Co−Cr−Pt−B系合金からなるものであるのが、記録再生特性の、SNR特性の改善の点から好ましい。
非磁性下地層4と磁性層5との間に、Co合金のエピタキシャル成長を助長するため、非磁性中間層を設けるのが好ましい。これにより、磁気的特性、例えば、保磁力の向上効果が得られ、また、記録再生特性、例えば、SNRの向上効果が得られる。非磁性中間層はCo、Crを含むものとすることができる。Co−Cr系合金としては、Co−Cr系合金、Co−Cr−Zr系合金、Co−Cr−Zr−Ru系合金、Co−Cr−Ta系合金などから選ばれた何れか1種を含むものとするのが好ましい。
例えば、Co−Cr系合金の場合、Crの含有量は25at%〜40at%の範囲内とするのが、SNR向上の点から好ましい。
また、例えば、Co−Cr―Zr系合金の場合、Crの含有量は15at%〜30at%の範囲内、Zrの含有量は2at%〜10at%の範囲内とするのが、SNR向上の点から好ましい。
また、例えば、Co−Cr―Zr―Ru系合金の場合、Crの含有量は15at%〜30at%の範囲内、Zrの含有量は2at%〜10at%の範囲内、Ruの含有量は2at%〜10at%の範囲内とするのが、SNR向上の点から好ましい。
また、例えば、Co−Cr―Ta系合金の場合、Crの含有量は15at%〜30at%の範囲内、Taの含有量は1at%〜10at%の範囲内とするのが、SNR向上の点から好ましい。
非磁性中間層の膜厚は0.5nm〜3nmの範囲内であるのが、SNR向上の点から好ましい。
非磁性下地層4と磁性層5との間に、磁気記録媒体の熱減磁を改善するため、図示略の反強磁性結合層を設けることもできる。この技術を用いた磁気記録媒体では、上記2つの磁性層の磁化方向が互いに逆になることにより、磁気的に記録再生に関与している部分が、記録層全体の厚さよりも、実質的には薄くなるため、SNRの向上を図ることができる。一方、記録層全体の結晶粒子の体積は大きくなるため、熱的な不安定さの改善を図ることができる。
この技術を用いた媒体は、AFC媒体(AntiFerromagnetically−Coupled Media)、又は、SFM(Synthetic Ferrimagnetic Media)と一般的に呼ばれている。ここではAFC媒体と称する。
反強磁性結合層は、安定化層と非磁性結合層から形成される。安定化層には磁性を有したCo−Ru系合金、Co−Cr系合金、Co−Cr−Zr系合金、Co−Cr−Zr−Ru系合金、Co−Cr−Ta系合金などから選ばれた何れか1種を含むものとするのが好ましい。
例えば、Co−Ru系合金の場合、Ruの含有量は15at%〜25at%の範囲内とするのが、SNR向上の点から好ましい。
例えば、Co−Cr系合金の場合、Crの含有量は15at%〜25at%の範囲内とするのが、SNR向上の点から好ましい。
例えば、Co−Cr―Zr系合金の場合、Crの含有量は15at%〜25at%の範囲内、Zrの含有量は2at%〜10at%の範囲内とするのが、SNR向上の点から好ましい。
例えば、Co−Cr―Zr―Ru系合金の場合、Crの含有量は15at%〜20at%の範囲内、Zrの含有量は2at%〜10at%の範囲内、Ruの含有量は2at%〜10at%の範囲内とするのが、SNR向上の点から好ましい。
例えば、Co−Cr―Ta系合金の場合、Crの含有量は15at%〜20at%の範囲内、Taの含有量は1at%〜10at%の範囲内とするのがSNR向上の点から好ましい。
非磁性結合層は、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Ru系合金、Rh系合金、Ir系合金、Cr系合金、Re系合金から選ばれる何れか1種からなることが好ましい。
これらの物質は、結合性エネルギー係数(Exchange Energy Constant)が大きいので、非磁性結合層に用いることによって、この層の上下に設けられた磁性層の磁化の反転の度合いを大きくすることができる。
特に、Ruは上記物質の中で最も結合性エネルギー係数が大きいため、非磁性結合層には、Ruを使用することが最も好ましい。
なお、結合性エネルギー係数とは、上下に設けられた磁性層の交換相互作用の強さを表す値であり、その値が大きいほど良い。
非磁性結合層の厚さは、0.5〜1.5nm(より好ましくは0.6〜1.0nm)の範囲内であることが好ましい。非磁性結合層の厚さを上述の範囲内とすることにより、十分な反強磁性結合が得られる。
保護膜6は、従来の公知の材料、例えば、カーボン、SiCの単体またはそれらを主成分とした材料を使用することができる。保護膜6の膜厚は、1nm〜10nmの範囲内であるのが、高記録密度状態で使用した場合の、磁気的スペーシングの低減、及び耐久性の点から好ましい。
磁気的スペーシングとは、ヘッドのリードライト素子と磁性層との距離を表す。磁気的スペーシングが狭くなるほど、電磁変換特性は向上する。なお、保護膜6はヘッドのリードライト素子と磁性層の間に存在するので、磁気的スペーシングを広げる要因となる。
保護膜6上には、必要に応じて、例えば、パーフルオロポリエーテルのフッ素系潤滑剤からなる潤滑層を設けることができる。
本実施形態の磁気記録媒体1の磁性層は、1.05以上(より好ましくは1.1以上)の磁気的異方性指数(OR)を有していることが好ましい。磁気異方性指数は、(円周方向の保持力/半径方向の保持力)で表される。
磁気異方性指数が1.05以上だと、より優れた磁気的特性、例えば、保磁力の向上効果が得られ、また、より優れた電磁変換特性、例えば、SNR、PW50の向上効果が得られる。磁気的異方性指数は、円周方向の保持力(Hc)と、半径方向のHcの比として定義されるが、磁気記録媒体の保持力が高保持力化したために、磁気的異方性指数が低めに測定されることがある。
磁気記録媒体1では、この点を補足するために、残留磁化量の磁気的異方性指数も合わせて使用する。残留磁化量の磁気的異方性指数(MrtOR)は、円周方向の残留磁化量(Mrt)と、半径方向の残留磁化量(Mrt)の比(MrtOR=円周方向のMrt/半径方向のMrt)で定義される。残留磁化量の磁気異方性指数が1.05以上、より好ましくは1.1以上であれば、より優れた磁気的特性、例えば、保磁力の向上効果が得られ、より優れた電磁変換特性、例えば、SNR、PW50の向上効果が得られる。
なお、OR、及びMrtORの値の上限は、理想的には磁性層の全ての磁区が円周方向を向いた場合であり、この場合には、磁気異方性指数の分母が0となり、無限大となる。
磁気的異方性指数、及び残留磁化量の磁気的異方性指数の測定には、VSM(Vibrating Sample Magnetometer)を使用する。
図2は、本実施形態の磁気記録媒体1を用いた磁気記録再生装置11の例を示すものである。
この磁気記録再生装置11は、図1に示す構成の磁気記録媒体1と、該磁気記録媒体1を回転駆動させる媒体駆動部12と、磁気記録媒体1に情報を記録再生する磁気ヘッド13と、この磁気ヘッド13を磁気記録媒体1に対して相対運動させるヘッド駆動部14と、記録再生信号処理系15とを備えている。
記録再生信号処理系15は、外部から入力されたデ−タを処理して記録信号を磁気ヘッド13に送ることや、磁気ヘッド13からの再生信号を処理してデ−タを外部に送ることができるようになっている。磁気記録再生装置11に用いる磁気ヘッド13には、再生素子として巨大磁気抵抗効果(GMR)を利用したMR(magnetoresistance)素子だけでなく、トンネル磁気抵抗効果(TMR)を利用したGMR素子などを有したより高記録密度に適したヘッドを用いることができる。
また、磁気記録再生装置11は、アルミ基板2に直接テクスチャ加工を施して製造した磁気記録媒体1を用いているので、安価であり、且つ高記録密度を実現している。
また、磁気記録再生装置11では、平均粗さが小さくまた微小うねりも小さい磁気記録媒体1を用いているので、電磁変換特性が向上しているのに加え、スペーシングロスを低減させるためにヘッドを低浮上状態で使用してもエラー特性が良好であるという特徴を有している。
本実施形態の磁気記録媒体1を用いることにより、高記録密度に適した磁気記録再生装置を製造することが可能となる。
以下に、本発明に係る磁気記録媒体の製造方法の一例について説明する。
アルミ基板2としては、Al−Mg合金に、NiP、又はNiP系合金を無電解メッキで10μm厚に形成したものを用いることが好ましい。
アルミ基板2は、平均表面粗さRaが2nm(20オングストローム)以下であることが好ましく、1nm以下であることがより好ましい。
また、表面の微小うねり(Wa)が0.3nm以下(より好ましくは0.25nm以下)であることが好ましい。端面のチャンファー部の面取り部、側面部の少なくとも一方に、表面平均粗さRaが10nm以下(より好ましくは9.5nm以下)のものを用いることが、磁気ヘッドの飛行安定性の点で好ましい。
微少うねり(Wa)は、例えば、表面粗さ測定装置P−12(KLM−Tencor社製)を用い、測定範囲80μmでの表面平均粗さとして測定することができる。
最初に、アルミ基板2の表面に線密度が7500(本/mm)以上の条痕が形成されるように、基板の表面にテクスチャ加工を施す。例えば、アルミ基板2の表面に線密度が7500(本/mm)以上であるテクスチャ条痕が形成されるように、アルミ基板の表面に固定砥粒、又は/及び、遊離砥粒を用いた機械的加工(「メカニカルテクスチャ加工」ともいう)により、円周方向にテクスチャを施す。
例えば、アルミ基板2の表面に研磨テープを押し付けて接触させ、アルミ基板2と研磨テープとの間に研磨砥粒を含む研磨スラリーを供給して基板を回転させるとともに、研磨テープを送ることによるテクスチャ加工を行う。基板の回転は200rpm〜1000rpmの範囲内とすれば良い。研磨スラリーの供給量は10ml/分〜100ml/分の範囲内とすれば良い。研磨テープの送り速度は、1.5mm/分〜150mm/分の範囲内とすれば良い。研磨スラリーに含まれる砥粒の粒径はD90(累積質量%が90質量%に相当する時の粒径値)で0.05μm〜0.3μmとすれば良い。テープの押し付け力は1kgf〜15kgf(9.8N〜147N)の範囲内とすれば良い。線密度が7500(本/mm)以上、より好ましくは20000(本/mm)以上のテクスチャ条痕を形成するように、これらの条件を、適宜設定すればよい。
テクスチャ条痕が表面に形成されたアルミ基板2の表面平均粗さRaは、0.1nm〜1nm(1オングストローム〜10オングストローム)の範囲内とすることが好ましく、0.2nm〜0.8nm(2オングストローム〜8オングストローム)の範囲内とすることがより好ましい。
また、アルミ基板2には、オッシレーションを加えたテクスチャ加工を施すこともできる。
オッシレーションとは、テープをアルミ基板2の円周方向に走行させると同時に、テープをアルミ基板の半径方向に揺動させる操作のことである。オッシレーションの条件は、60回/分〜1200回/分とするのが好ましい。
テクスチャ加工の方法としては、線密度が7500(本/mm)以上のテクスチャ条痕を形成する方法を用いれば良く、上述したようなメカニカルテクスチャによる方法以外に、固定砥粒を用いた方法、固定砥石を用いた方法、及びレーザー加工を用いた方法等を用いることができる。
膜を形成するためのスパッタリングの条件は、例えば、以下のようにする。
膜を形成する際に用いるチャンバ内は、真空度が10−4Pa〜10−7Paの範囲内となるように真空排気する。チャンバ内に、テクスチャ条痕が表面に形成されたアルミ基板2を収容して、スパッタ−用ガスとしてArガスを導入し、放電によってスパッタ成膜をおこなう。この時、供給するパワ−は0.2kW〜2.0kWの範囲内とし、放電時間と供給するパワ−を調節することによって、所望の膜厚を得ることができる。
配向調整膜3と非磁性下地層4との間には、その表面を酸素雰囲気に曝露する工程を有することが好ましい。曝露する酸素雰囲気は、例えば、5×10−4Pa以上の酸素ガスを含む雰囲気とするのが好ましい。また、曝露用の雰囲気ガスを水と接触させたものを用いても良い。また、曝露時間は、0.5秒〜15秒の範囲内とするのが好ましい。
また、例えば、配向調整膜3を形成後、チャンバ内から取出して外気雰囲気、又は酸素雰囲気中に曝露させることが好ましい。または、チャンバ内から取り出さず、チャンバ内に大気、又は酸素を導入して曝露させる方法を用いることも好ましい。特に、チャンバ内で曝露させる方法は、真空室から取り出すような煩雑な工程が不要となり、非磁性下地層、磁性層の成膜を含め、一連の成膜工程として、チャンバ内で、続けて処理することができるので好ましい。この場合、例えば、到達真空度が10−6Pa以下において、5×10−4Pa以上の酸素ガスを含む雰囲気とするのが好ましい。なお、酸素による暴露時の酸素ガス圧の上限としては、大気圧での暴露も可能であるが、5×10−2Pa以下とするのが好ましい。
アルミ基板2は、加熱することにより非磁性下地層4、及び、磁性層5の結晶配向性を向上させることが出来る。アルミ基板2の加熱温度は100℃〜300℃の範囲であることが好ましい。また、配向調整膜3を成膜後、加熱することがより好ましい。
非磁性下地層4を形成した後、15nm〜40nmの膜厚を有した磁性層5を、磁性材料からなるスパッタリング用ターゲットを用いて、上述したようなスパッタリング法により形成する。この時、スパッタリング用ターゲットは、Co−Cr−Ta系、Co−Cr−Pt系、Co−Cr−Pt−Ta系、Co−Cr−Pt−B−Ta系、Co−Cr−Pt−B−Cu系、Co−Cr−Pt−B−Ag系から選択した、何れか1種を含むものを材料として用いることができる。例えば、Co−Cr−Pt系合金の場合、Crの含有量は10at%〜27at%の範囲内、Ptの含有量は8at%〜16at%の範囲内とすることができる。例えば、Co−Cr−Pt−B−Ta系合金の場合、Crの含有量は10at%〜27at%の範囲内、Ptの含有量は8at%〜16at%の範囲内、Bの含有量は1at%〜20at%の範囲内、Taの含有量は1at%〜4at%の範囲内とすることができる。例えば、Co−Cr−Pt−B−Cu系合金の場合、Crの含有量は10at%〜27at%の範囲内、Ptの含有量は8at%〜16at%の範囲内、Bの含有量は1at%〜20at%の範囲内、Cuの含有量は1at%〜10at%の範囲内とすることができる。Co−Cr−Pt−B−Ag系合金の場合、Crの含有量は10at%〜27at%の範囲内、Ptの含有量は8at%〜16at%の範囲内、Bの含有量は1at%〜20at%の範囲内、Agの含有量は1at%〜10at%の範囲内とすることができる。
ここで、非磁性下地層4のCrまたはCr合金の結晶配向は優先配向面が(100)を示しているように形成するのが好ましい。
磁性層5を形成した後、公知の方法、例えばスパッタリング法、プラズマCVD法またはそれらの組み合わせを用いて保護膜6、例えばカーボンを主成分とする保護膜を形成する。
さらに、保護膜6上には、必要に応じて、パーフルオロポリエーテルのフッ素系潤滑剤をディップ法、スピンコ−ト法などを用いて塗布し、潤滑層を形成する。
以下に示す各実施例及び比較例の各条件にて、本発明に係る磁気記録媒体及び従来の磁気記録媒体を作製し、グライドテスタを用いて、テスト条件のグライド高さを0.4μインチとしてグライドテストを行ない、合格した磁気記録媒体について、各種特性試験を行った。
[特性試験項目]
上述のグライドテストで合格した磁気記録媒体サンプルについて、リードライトアナライザ(GUZIK社(米国)製:RWA1632)を用いて記録再生特性を調べた。
記録再生特性は、再生信号出力(TAA)、孤立波再生出力の半値幅(PW50)、SNR、オ−バライト(OW)等の電磁変換特性を測定した。
記録再生特性の評価には、再生部に巨大磁気抵抗(GMR)素子を有する複合型薄膜磁気記録ヘッドを用いた。
ノイズの測定は500kFCIのパタ−ン信号を書き込んだ時の、1MHzから375kFCI相当周波数までの積分ノイズを測定した。再生出力を250kFCIで測定し、SNR=20×log(再生出力/1MHzから375kFCI相当周波数までの積分ノイズ)として算出した。
保磁力(Hc)及び角形比(S*)の測定にはカー効果式磁気特性測定装置(日立電子エンジニアリング社(日本)製:RO1900)を用いた。磁気的異方性指数(OR)、及び残留磁化量の磁気的異方性指数(MrtOR)の測定にはVSM(理研電子社(日本)製:BHV−35)を用いた。
[実施例1]
Alからなる基体(外径95mm、内径25mm、厚さ1.270mm)の表面に、無電解メッキでNiP膜(厚さ12μm)を形成し、その表面にテクスチャ加工を施して表面平均粗さRaを0.5nmにした非磁性基板(アルミ基板)を作製した。
この非磁性基板を、DCマグネトロンスパッタ装置(アネルバ社製:C3010)のチャンバ内に収容し、このチャンバ内を、真空到達度が2×10―7Torr(2.7×10―5Pa)となるまで排気した。
この非磁性基板上に、CoW合金(Co:50at%、W:50at%)からなる配向調整層(厚さ1nm)を形成した後、250℃に加熱した。
次いで、配向調整層の表面を酸素ガスにさらした。酸素ガスの圧力は0.05Paとし、処理時間は5秒間とした。
この非磁性基板上に、非磁性下地層を形成した。非磁性下地層は、CrMn合金(Cr:80at%、Mn:20at%)からなる第1構成層(厚さ2nm)上に、CrMoB合金(Cr:80at%、Mo:20at%、B:5at%)からなる第2構成層(厚さ3nm)を有する多層構造とした。
次いで、CoCrZr合金(Co:70at%、Cr:23at%、Zr:7at%)からなる非磁性中間層(厚さ2nm)を形成した。
次いで、磁性層を設けた。磁性層としては、CoCrPtB合金(Co:60at%、Cr:25at%、Pt:14at%、B:6at%)からなる第一構成層(厚さ10nm)を形成した。さらに、その直上に、CoCrPtB合金(Co:60at%、Cr:10at%、Pt:15at%、B:15at%)からなる第二構成層(厚さ10nm)を形成した。
上記各層を形成する際には、スパッタガスとしてArを用い、その圧力は6mTorr(0.8Pa)とした。
次いで、カーボンからなる保護層(厚さ3nm)を、CVDにより形成した。
次いで、保護層表面に、パーフルオロポリエーテルからなる潤滑剤を塗布して潤滑層(厚さ2nm)を形成し、本発明に係る磁気記録媒体を得た。
[実施例2〜32]
配向調整膜の合金組成と膜厚を、表1に示す数値とした点を除き、実施例1と同様の処理を行って、本発明に係る磁気記録媒体を得た。
[実施例34]
非磁性中間層の代わりに安定化層と反強磁性結合層を設けた。安定化層には、CoCrZr合金(Co:79at%、Cr:18at%、Zr:3at%)からなるターゲットも用いて2nm積層した。非磁性結合層には、Ruからなるターゲットも用いて0.8nm積層した。これ以外については、実施例1と同様の処理を行って、本発明に係る磁気記録媒体を得た。
[比較例1]
配向調整膜を施さない点を除き、実施例1と同様の処理を行って、従来の磁気記録媒体を得た。
[比較例2]
配向調整膜を施さない点を除き、実施例34と同様の処理を行って、従来の磁気記録媒体を得た。
[比較例3〜6]
配向調整膜の膜厚を、表1に示す数値とした点を除き、実施例1と同様の処理を行って、従来の磁気記録媒体を得た。
[比較例7〜8]
テクスチャ加工による条痕の線密度を、表1に示す数値とした点を除き、実施例1と同様の処理を行って、従来の磁気記録媒体を得た。
各実施例及び比較例の磁気記録媒体の、特性試験結果を表1に示す
Figure 2006286161
実施例1〜6では、配向調整膜Co−W系合金(Co:50at%、W:50at%)の膜厚を変化させている。
膜厚に対してSNRがピークを有しており、10〜20オングストロームの範囲において、特に優れていることが分かる。
但し、比較例4及び5に示すように、1〜100オングストロームの範囲であっても、配向調整膜を成膜していない比較例1に比べれば、磁気異方性が優れており、その結果としてSNRが優れていることが分かる。
なお、比較例3に示すように、配向調整膜の膜厚が1オングストローム未満(本例では0.5オングストローム)のときは、TAAが低下してしまい、電磁変換特性の点で劣っている。
また、比較例6に示すように、配向調整膜の膜厚が200オングストロームのときは、磁気異方性は優れているが粒径粗大化が生じてしまい、SNRが低下している。
また、実施例3、及び実施例7〜34に示すように、本発明に係る磁気記録媒体では、配向調整膜の膜厚が1nmと非常に薄い場合であっても、磁気異方性を向上させる大きな効果を発揮していることが明らかである。
これは、配向調整膜の膜厚が1nmと非常に薄く形成されている場合、膜質に不均一性が残っており、これが配向調整膜の粒径の微細化に寄与しているためと考えられる。配向調整膜の粒径が微細化されると、磁気異方性も向上するため、磁気記録媒体の磁気記録特性を向上させることができる。
実施例7〜30では、配向調整膜の合金組成を変化させている。
配向調整膜に、Co−W系合金、Co−Mo系合金、Co−Ta系合金、Co−Nb系合金、Ni−Ta系合金、Ni−Nb系合金、Fe−W系合金、Fe−Mo系合金、Fe−Nb系合金を用いることによって、良好な円周方向の磁気異方性が得られることが分かり、記録再生特性に優れることが明らかである。
実施例31〜33では、配向調整膜に3元系合金を用いている。
配向調整膜に、Co−W−Mo系合金、Co−W−Ta系合金、Co−Ni−W系合金を用いることによって、良好な円周方向の磁気異方性が得られることが分かり、電磁変換特性に優れることが明らかである。
なお、実施例34と比較例2との比較から分かるように、AFC媒体において、配向調整膜による、円周方向の磁気異方性の発現効果が見られ、電磁変換特性に優れることが明らかである。
また、各実施例と比較例7、8との比較からわかるように、条痕の線密度を7500(本/mm)以上、より好ましくは20000(本/mm)以上200000(本/mm)未満とすることにより、良好な磁気異方性が得られることが明らかである。
本発明に係る磁気記録媒体の一例を説明する概略断面図である。 本発明に係る磁気記録媒体を用いた磁気記録再生装置を説明する概略図である。
符号の説明
1…磁気記録媒体、2…アルミニウム基板、3…配向調整膜、4…非磁性下地層、5…磁性層、6…保護膜、11…磁気記録再生装置、13…磁気ヘッド

Claims (10)

  1. 表面に条痕を有し、且つNiP又はNiP合金がメッキされたアルミニウム基板上に、少なくとも配向調整層、非磁性下地層、磁性層及び保護膜をこの順で有する磁気記録媒体において、
    前記配向調整層が、Co、Ni及びFeから選ばれる何れか1種類以上と、W、Mo、Ta及びNbから選ばれる何れか1種類以上とを含むことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 前記配向調整層が、Co−W系合金、Co−Mo系合金、Co−Ta系合金、Co−Nb系合金、Ni−Ta系合金、Ni−Nb系合金、Fe−W系合金、Fe−Mo系合金、Fe−Nb系合金の中から選択される少なくとも1つの合金を含むことを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 前記アルミニウム基板が、Al−Mg合金の基体上にNi−P系合金膜を無電解メッキで形成したものであることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
  4. 前記配向調整膜の膜厚が、1オングストローム〜50オングストロームの範囲内であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
  5. 前記条痕の線密度が、7500(本/mm)以上であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
  6. 前記磁性層の磁気的異方性指数(円周方向の保持力/半径方向の保持力)が、1.05以上であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
  7. 残留磁化量の磁気的異方性指数(円周方向の残留磁化量/半径方向の残留磁化量)が、1.05以上であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
  8. 前記非磁性下地層が、Cr層、または、Ti、Mo、Al、Ta、W、Ni、B、Si、V及びMnから選ばれる1種以上を含有するCr合金層を含むことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
  9. 前記磁性層が、Co−Cr−Pt系合金、Co−Cr−Pt−Ta系合金、Co−Cr−Pt−B系合金、Co−Cr−Pt−B−Y系合金(YはTa、または、Cuである)から選ばれる何れか1種以上を含むことを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
  10. 請求項1〜9の何れか1項に記載の磁気記録媒体と、磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備えた磁気記録再生装置。

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