JP2004152424A - 磁気記録媒体、その製造方法、および磁気記録再生装置 - Google Patents

磁気記録媒体、その製造方法、および磁気記録再生装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ガラス基板が用いられた磁気記録媒体において、充分な磁気異方性を有し、電磁変換特性が良好な磁気記録媒体、その製造方法、および磁気記録再生装置を提供する。
【解決手段】表面に条痕を有するガラス基板1上に、配向調整層2、非磁性下地層3、磁性層4および保護層5が形成され、配向調整層2が、W−Ru系合金、W−Re系合金、Mo−Ru系合金、Mo−Re系合金から選ばれる少なくとも1つを含む。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハードディスク装置などに用いられる磁気記録媒体、磁気記録媒体の製造方法および磁気記録再生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
磁気記録再生装置の1種であるハ−ドディスク装置(HDD)は、現在その記録密度が年率60%で増えており、今後もその傾向は続くと言われている。このため、高記録密度に適した磁気記録用ヘッドおよび磁気記録媒体の開発が進められている。
磁気記録媒体では、磁気記録媒体用の基板にスパッタ法により金属膜を積層した構造が主流となっている。
現在一般的に用いられているハ−ドディスク装置用磁気記録媒体においては、非磁性基板上に非磁性下地層(Ni−Al系合金、Cr、Cr系合金等)、非磁性中間層(Co−Cr系合金、Co−Cr−Ta系合金等)、磁性層(Co−Cr−Pt−Ta系合金、Co−Cr−Pt−B系合金等)、保護層(カ−ボン等)が順次形成されており、その上に液体潤滑剤からなる潤滑層が形成されている。
【0003】
磁気記録媒体に用いられる基板としては、アルミニウム基板とガラス基板が広く用いられている。
アルミニウム基板としては、鏡面研磨したAl−Mg合金からなる基体上に、厚さ10μm程度のNi−P系合金膜(以下、NiP膜という)を無電解メッキで形成し、その表面をさらに鏡面研磨したものが多く用いられている。
ガラス基板としては、アモルファスガラスまたは結晶化ガラスからなり、表面を鏡面研磨したものが多く用いられている。
【0004】
高記録密度化に対応するため、磁性層に円周方向の磁気異方性を与えることによって、電磁変換特性を向上させる試みがなされている。
アルミニウム基板を用いる場合には、NiP膜表面に、円周方向に沿う条痕を機械的に形成する(「メカニカルテクスチャー加工」という)ことにより磁性層に円周方向の磁気異方性が与えることが提案されている。
【0005】
一方、ガラス基板は、アルミニウム基板に比べて、機械的特性(剛性など)に優れているため耐衝撃性が良好であり、しかも平坦性が高いため、高記録密度に適した基板であるといえる。
ガラス基板を用いた磁気記録媒体に円周方向の磁気異方性を付与することができれば、優れた電磁変換特性が得られることが期待される。
ガラス基板にメカニカルテクスチャー加工を施す方法としては、水酸基を含む溶液を用いた砥粒懸濁液と、プラスチック繊維からなる織布テープを用いることによって、微細かつ均一なテクスチャー条痕を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、微細かつ均一なテクスチャー条痕を形成するために、ダイアモンド砥粒とCeO砥粒を一緒に用いることが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
しかし、ガラス基板では、テクスチャー条痕を形成しただけでは充分な磁気異方性を得るのは難しい。
そのため、テクスチャー条痕が表面に形成されたガラス基板に、少なくともNiとPとを含むアモルファス層をスパッタ法により形成することによって磁気異方性を高めることが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。テクスチャー条痕が形成されたガラス基板に、上記アモルファス層を形成することは、NiP膜を有するアルミニウム基板と同じ特性を得る試みである。
【0007】
【特許文献1】
特許第3117438号明細書
【特許文献2】
米国特許第6248395号明細書
【特許文献3】
特開2001−209927号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記アモルファス層を用いた場合においても、高保磁力および高角型比を得ることは難しく、良好な電磁変換特性を得るのは難しい。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものである。本発明は、ガラス基板が用いられた磁気記録媒体において、充分な磁気異方性を有し、電磁変換特性が良好な磁気記録媒体、その製造方法、および磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記問題を解決するために鋭意検討した結果、表面に条痕を有するガラス基板上に配向調整層が形成され、この配向調整層が、W−Ru系合金、W−Re系合金、Mo−Ru系合金、およびMo−Re系合金から選ばれる少なくとも1つを含む構成によって、磁性層に充分な磁気異方性を与えることができることを見出し、本発明を完成した。すなわち本発明は以下に関する。
(1)表面に条痕を有するガラス基板上に、配向調整層、非磁性下地層、磁性層および保護層をこの順で有し、前記配向調整層が、W−Ru系合金、W−Re系合金、Mo−Ru系合金、およびMo−Re系合金から選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする磁気記録媒体。
(2)前記配向調整層の厚さが、1nm〜30nmの範囲内であることを特徴とする(1)に記載の磁気記録媒体。
(3)前記ガラス基板が、アモルファスガラスからなるものであることを特徴とする(1)または(2)に記載の磁気記録媒体。
(4)前記条痕の線密度が、7500本/mm以上であることを特徴とする(1)〜(3)の何れか1つに記載の磁気記録媒体。
(5)保磁力の磁気的異方性指数(円周方向の保磁力/半径方向の保磁力)が、1.05以上であることを特徴とする(1)〜(4)の何れか1つに記載の磁気記録媒体。
(6)残留磁化量の磁気的異方性指数(円周方向の残留磁化量/半径方向の残留磁化量)が、1.05以上であることを特徴とする(1)〜(5)の何れか1つに記載の磁気記録媒体。
(7)前記非磁性下地層が、Ti、Mo、Al、Ta、W、Ni、B、SiおよびVから選ばれる少なくとも1つを含有するCr合金、またはCrを含むことを特徴とする(1)〜(6)の何れか1つに記載の磁気記録媒体。
(8)磁性層が、Co−Cr−Ta系合金、Co−Cr−Pt系合金、Co−Cr−Pt−Ta系合金、Co−Cr−Pt−B系合金、およびCo−Cr−Pt−B−X系合金(XはTaまたはCu)から選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする(1)〜(7)の何れか1つに記載の磁気記録媒体。
(9)表面に条痕を有するガラス基板上に、配向調整層、非磁性下地層、磁性層および保護層をこの順で有する磁気記録媒体を製造する方法において、前記配向調整層が、W−Ru系合金、W−Re系合金、Mo−Ru系合金、およびMo−Re系合金から選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
(10)(1)〜(8)の何れか1つに記載の磁気記録媒体と、磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備えたことを特徴とする磁気記録再生装置。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の磁気記録媒体の一実施形態を模式的に示したものであり、1はガラス基板、2は配向調整層、3は非磁性下地層、4は磁性層、5は保護層を示す。
ガラス基板1には、アモルファスガラス、結晶化ガラスを用いることができる。
アモルファスガラスとしては、汎用のソーダライムガラス、アルミノほう珪酸ガラス、アルミノシリケートガラスを使用できる。結晶化ガラスとしては、リチウム系結晶化ガラスを用いることができる。
特に、硬度などの物性が均一なアモルファスガラスを用いると、テクスチャー加工によって表面に均一な条痕を形成することができるため好ましい。
【0011】
ガラス基板1には、例えば固定砥粒を用いたラッピングテープや遊離砥粒によるメカニカルテクスチャー加工などにより、表面に条痕を形成する。
ガラス基板1表面に形成された条痕は、基板1の円周方向に沿うものであることが好ましい。
ここで、条痕は、半径方向の断面において山と谷との間の高低差が0.02nm〜20nmの範囲内(好ましくは0.05nm〜10nmの範囲内)にある表面凹凸であることが望ましい。
条痕の高低差を上記範囲とするのが望ましいのは、高低差をこの範囲とすることによって、磁気異方性を高め、電磁変換特性を良好にすることができるためである。高低差が20nmを越える条痕は、この条痕の近傍の条痕の均一性に悪影響を与えるおそれがある。
【0012】
条痕が表面に形成されたガラス基板1の表面平均粗さRaは、0.1nm〜1nm(1オングストローム〜10オングストローム)(1Å=10−10m)、好ましくは0.2nm〜0.8nm(2オングストローム〜8オングストローム)の範囲内とするのが望ましい。
表面平均粗さRaが0.1nm未満であると、ガラス基板1が過度に平滑になり磁気異方性を高める効果が薄れる。また表面平均粗さRaが1nmを越えると、媒体表面の平滑性が低くなりグライドハイト特性が低下し、記録再生時に磁気ヘッドのフライングハイトを低くするのが難しくなる。
ガラス基板1の表面平均粗さRaは、2nm以下とすることもできる。
【0013】
ガラス基板1は、表面の微小うねりWaが0.3nm以下(より好ましくは0.25nm以下)であるのが好ましい。特に端面のチャンファー部の面取り部と、側面部のうち少なくとも一方の表面平均粗さRaが10nm以下(より好ましくは9.5nm以下)のガラス基板1を用いることが、磁気ヘッドの飛行安定性にとって好ましい。
微少うねりWaは、例えば、表面粗さ測定装置P−12(KLM−Tencor社製)を用い、測定範囲80μmでの表面平均粗さとして測定することができる。
【0014】
ガラス基板1は、線密度が7500本/mm以上の条痕を有することが好ましい。線密度はガラス基板の半径方向に測定したものである。
線密度を7500本/mm以上とするのが好ましいとしたのは、線密度をこの範囲とすることによって、磁気的特性(例えば保磁力)、電磁変換特性(例えばSNR(Signal to Noise Ratio)、PW50)が良好となるからである。線密度は、20000本/mm以上とすれば、磁気特性および電磁変換特性を良好にする効果がよりいっそう顕著になる。
線密度は、200000本/mm以下とするのが好ましい。線密度が200000本/mmを越える場合には、条痕の間隔(例えば5nm(50オングストローム)未満)に比べて、非磁性下地層3および磁性層4における結晶粒径が大きくなり、磁気異方性が低下する。
【0015】
条痕の線密度の測定には、例えば測定装置として、AFM(Atomic Force Microscope。Digital Instrument社(米国)製)を用いることができる。
以下、線密度の測定条件の一例を挙げる。
試料であるガラス基板の半径方向にプローブを走査し、AFMのスキャン画像を得る。スキャン幅は1μm、スキャンレートは1Hz、測定数は256、モードはタッピングモードとする。
次いで、Flatten Orderの次数を2として、平滑化処理のひとつであるPlane Fit Auto処理を、Scan画像に対してX軸とY軸とに実施して画像の平滑化補正を行う。平滑化補正済みの画像に対して、約0.5μm×約0.5μmのボックスを設定してその範囲の線密度を算出する。線密度はX軸中心線とY軸中心線の両方に沿ったゼロ交差点の総数を1mmあたりに換算して算出する。すなわち、線密度は半径方向距離1mmあたりのテクスチャー条痕の山および谷の数となる。
試料の複数箇所について上記測定を行い、測定値の平均値および標準偏差を求め、平均値をもってガラス基板の条痕の線密度とする。測定箇所数は、平均値および標準偏差を求めるのに十分な数とすることができる。この測定箇所数は10点以上とするのが好ましい。例えば測定箇所数を10点とする場合には、そのうちの最大値および最小値を除いた8点について平均値、標準偏差を求めると、異常測定値を除くことができるため測定精度を向上させることができる。
【0016】
配向調整層2は、直上に形成される非磁性下地層3の結晶配向性を整え、さらにはその上に形成される磁性層4の結晶配向性を調整し、磁性層4の円周方向の磁気異方性を向上させるためのものである。また配向調整層2は、結晶配向性を調整するだけでなく、非磁性下地層3および磁性層4中の結晶粒を微細化する結晶粒微細化層としても機能する。
【0017】
配向調整層2は、W−Ru系合金、W−Re系合金、Mo−Ru系合金、およびMo−Re系合金から選ばれる少なくとも1つを含む。配向調整層2は、W−Ru系合金、W−Re系合金、Mo−Ru系合金、Mo−Re系合金のうちいずれかからなることが好ましい。
なお、本発明において「系」とは、当該成分以外の成分が含有される場合も含むことを意味する。例えばW−Ru系合金は、WとRu以外に他の成分を含んでいてもよい。
【0018】
配向調整層2を構成する合金の組成は特に限定されるものではないが、この合金を構成する各元素が25at%以上であることが好ましい。
W−Ru系合金においては、Wの含有率が25at%〜75at%の範囲内であり、Ruの含有率が25at%〜75at%の範囲内であることが好ましい。
W−Re系合金においては、Wの含有率が25at%〜75at%の範囲内であり、Reの含有率が25at%〜75at%の範囲内であることが好ましい。
Mo−Ru系合金においては、Moの含有率が25at%〜75at%の範囲内であり、Ruの含有率が25at%〜75at%の範囲内であることが好ましい。
Mo−Re系合金においては、Moの含有率が25at%〜75at%の範囲内であり、Reの含有率が25at%〜75at%の範囲内であることが好ましい。
各元素の含有率が上記範囲の下限値未満である場合、または上限値を越える場合には、非磁性下地層3および磁性層4の結晶配向が十分でなくなり、保磁力が低下する。
【0019】
配向調整層2には、補助的効果(非磁性下地層3の結晶配向性向上、結晶粒微細化など)を有する元素を添加しても良い。添加元素としてはTi、V、Cr、Mn、Zr、Hf、Ru、B、Al、Si、Pが例示される。
添加元素の合計含有率は20at%以下であることが好ましい。合計含有率が20at%を越えると、非磁性下地層3の結晶配向性を整える効果が低下してしまう。合計含有率は0.1at%以上とするのが好ましい。この合計含有率が0.1at%未満では上記補助的効果が低下する。
【0020】
配向調整層2は、上記材料(W−Ru系合金、W−Re系合金、Mo−Ru系合金、およびMo−Re系合金から選ばれる少なくとも1つ)からなる構成とすることもできるし、上記材料からなる構成層を含む多層構造を有する構成とすることもできる。
【0021】
配向調整層2の厚さは1nm(10オングストローム)〜30nm(300オングストローム)の範囲内であることが好ましい。
配向調整層2の厚さが1nm未満では、非磁性下地層の結晶配向が十分でなくなり保磁力が低下する。配向調整層2の厚さが30nmを越えると磁性層4の円周方向の磁気異方性が低下してしまう。
配向調整層2の厚さは2nm(20オングストローム)〜10nm(100オングストローム)の範囲とすると、磁性層4の円周方向の磁気異方性をより高めることができるため望ましい。
配向調整層2の厚さは、2nm〜30nmとすることもできる。
【0022】
非磁性下地層3は、Ti、Mo、Al、Ta、W、Ni、B、SiおよびVから選ばれる少なくとも1つを含有するCr合金、またはCrを含むことが好ましい。
非磁性下地層3は、上記Cr合金またはCrからなる構成であってもよいし、上記Cr合金またはCrからなる構成層を含む多層構造を有する構成であってもよい。
Cr合金として、Cr−Mo系合金、Cr−W系合金、Cr−V系合金、およびCr−Ti系合金から選ばれる少なくとも1つを用いる場合には、Crを用いる場合に比べ、結晶の格子定数を大きくすることができるため、Co合金からなる磁性層4との間の結晶構造の整合性を高めることができる。このため、磁性層4の結晶性を良好とし、磁気記録媒体の記録再生特性(SNRなど)を向上させることができる。
Bを含むCr合金(Cr−B系合金)を用いる場合には、結晶粒を微細化し、磁気記録媒体の記録再生特性(SNRなど)を向上させることができる。
【0023】
非磁性下地層3は、(100)面が優先配向面であるのが好ましい。これによって、磁性層4を構成するCo合金の結晶配向が、強く(11・0)を示すようになるため、磁気的特性(例えば保磁力)、記録再生特性(SNRなど)を向上させることができる。
なお、結晶面表記の中の「・」は、結晶面を表すミラ−ブラベ−指数の省略形を示す。すなわち、Coのような六方晶系では、結晶面を、通常4つの指数を用いて(hkil)と表わすが、この中で「i」に関してはi=−(h+k)と定義されているため、この「i」を省略し、(hk・l)と表記する。
【0024】
磁性層4には、直下に位置する非磁性下地層3に対して結晶構造の整合性が高い材料を用いるのが好ましい。特に、Coを主成分とするCo合金であって、hcp構造を有する材料が好ましい。
磁性層4は、Co−Cr−Ta系合金、Co−Cr−Pt系合金、Co−Cr−Pt−Ta系合金、Co−Cr−Pt−B系合金、およびCo−Cr−Pt−B−X系合金(XはTaまたはCu)から選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。
Co−Cr−Pt系合金を用いる場合には、Crの含有率は10at%〜25at%の範囲内、Ptの含有率は8at%〜16at%の範囲内とするのがSNR向上の点から好ましい。
Co−Cr−Pt−B系合金を用いる場合には、Crの含有率は10at%〜25at%の範囲内、Ptの含有率は8at%〜16at%の範囲内、Bの含有率は1at%〜20at%の範囲内とするのがSNR向上の点から好ましい。
Co−Cr−Pt−B−Ta系合金を用いる場合には、Crの含有率は10at%〜25at%の範囲内、Ptの含有率は8at%〜16at%の範囲内、Bの含有率は1at%〜20at%の範囲内、Taの含有率は1at%〜4at%の範囲内とするのがSNR向上の点から好ましい。
Co−Cr−Pt−B−Cu系合金を用いる場合には、Crの含有率は10at%〜25at%の範囲内、Ptの含有率は8at%〜16at%の範囲内、Bの含有率は1at%〜20at%の範囲内、Cuの含有率は1at%〜4at%の範囲内とするのがSNR向上の点から好ましい。
【0025】
磁性層4に、Bを含む合金(例えばCo−Cr−Pt−B系合金、Co−Cr−Pt−B−X系合金)を用いる場合には、非磁性下地層3と磁性層4との境界付近において、B濃度が1at%以上となる領域におけるCr濃度が40at%以下となっているのが好ましい。
Cr濃度をこの範囲とすることによって、CrとBとが高濃度で共存するのを防ぎ、CrとBとの共有結合性化合物の生成を極力抑え、磁性層4中の結晶配向性の劣化を防ぐことができる。
【0026】
磁性層4の厚さは、熱揺らぎ特性の点から15nm以上とするのが好ましい。この厚さは、高記録密度化の観点から40nm以下とするのが好ましい。この厚さが40nmを越えると、磁性層4の結晶粒径が大きくなり、好ましい記録再生特性が得られにくい。
【0027】
磁性層4は、複数の構成層を積層した多層構造としてもよい。各構成層の材料としては、上述の材料(Co−Cr−Ta系合金、Co−Cr−Pt系合金、Co−Cr−Pt−Ta系合金、Co−Cr−Pt−B系合金、およびCo−Cr−Pt−B−X系合金(XはTaまたはCu)から選ばれる少なくとも1つ)を挙げることができる。
磁性層4を多層構造とした場合、構成層のうち非磁性下地層3の直上に位置するものは、Co−Cr−Pt−B−Ta系合金、Co−Cr−Pt−B−Cu系合金、Co−Cr−Pt−B系合金のうちいずれか1つからなることが好ましい。これによって、記録再生特性、特にSNRを改善することができる。
上記構成層のうち最上層は、Co−Cr−Pt−B−Cu系合金またはCo−Cr−Pt−B系合金からなるものとすると、記録再生特性、特にSNRの点から好ましい。
【0028】
磁性層4の保磁力の磁気的異方性指数(OR)は、1.05以上(好ましくは1.1以上)とするのが好ましい。この磁気的異方性指数は、円周方向の保磁力/半径方向の保磁力で表される。
この磁気異方性指数が1.05以上であると、磁気的特性(例えば保磁力)、電磁変換特性(例えばSNR、PW50)の向上効果が得られる。
【0029】
保磁力の磁気的異方性指数は、保磁力が高い場合、実際より低めに測定されてしまうことがある。
これを補正するため、残留磁化量の磁気的異方性指数も指標として用いるのが好ましい。
残留磁化量の磁気的異方性指数(MrtOR)は、円周方向の残留磁化量(Mrt)と、半径方向の残留磁化量(Mrt)の比(MrtOR:円周方向のMrt/半径方向のMrt)で表される。
残留磁化量の磁気異方性指数が1.05以上(好ましくは1.1以上)であると、磁気的特性(例えば保磁力)、電磁変換特性(例えばSNR、PW50)の向上効果が得られる。
なお、ORおよびMrtORの値は、磁性層4の全ての磁区が円周方向を向いた場合、分母に相当する、半径方向の保磁力または残留磁化量が0となるため、無限大となる。
保磁力の磁気的異方性指数、および残留磁化量の磁気的異方性指数の測定にはVSM(Vibrating Sample Magnetometer)を使用することができる。
【0030】
非磁性下地層3と磁性層4との間には、磁性層4のエピタキシャル成長を助長することを目的として、非磁性中間層を設けるのが好ましい。これによって、磁気的特性(例えば保磁力)の向上効果、記録再生特性(例えばSNR)の向上効果が得られる。
非磁性中間層は、CoおよびCrを含むものとすることができる。Co−Cr系合金を用いた場合、非磁性中間層のCrの含有率は25at%〜45at%の範囲内であるのがSNR向上の点から好ましい。非磁性中間層の厚さは0.5nm〜3nmの範囲内であるのがSNR向上の点から好ましい。
図2は、非磁性中間層を形成した磁気記録媒体の一例を示すもので、この磁気記録媒体では、非磁性下地層3と磁性層4との間に非磁性中間層6が形成されている。
【0031】
非磁性下地層3と磁性層4との間には、反強磁性結合層を設けることもできる。これによって、熱減磁を改善することができる。
反強磁性結合層は、安定化層の上に非磁性結合層を設けた構成とすることができる。
安定化層には磁性材料が用いられる。この材料としては、Co−Ru系合金、Co−Cr系合金、Co−Cr−Pt系合金、Co−Cr−Pt−B系合金、Co−Cr−Ta系合金などを用いることができる。
非磁性結合層にはRuを用いることが好ましい。非磁性結合層の厚さは0.8nm前後(例えば0.6〜1.0nm)であると、安定化層と磁性層4との間の反強磁性結合強度を大きくすることができるため好ましい。
図3は、反強磁性結合層を形成した磁気記録媒体の一例を示すもので、この磁気記録媒体では、非磁性下地層3と磁性層4との間に反強磁性結合層7が形成されている。反強磁性結合層7は、安定化層8上に非磁性結合層9を設けた構成とされている。
【0032】
保護層5は、従来の公知の材料、例えば、カーボン、SiC、それらを主成分とした材料を使用することができる。
保護層5の厚さは、1〜10nmとするのが、高記録密度で使用した場合の磁気的スペーシング、および媒体の耐久性の点から好ましい。磁気的スペーシングとは、磁気ヘッドのリードライト素子と磁性層との距離を表す。磁気的スペーシングが狭くなるほど電磁変換特性は向上する。なお保護層5はヘッドのリードライト素子と磁性層の間に存在するため、磁気的スペーシングを広げる要因となる。
保護層5上には、必要に応じ、パーフルオロポリエーテルなどのフッ素系潤滑剤等からなる潤滑層を設けることができる。
【0033】
次に、図1に示す磁気記録媒体を製造する方法の一例を説明する。
ガラス基板1の表面に、テクスチャー加工などにより条痕を形成する。
条痕を形成する方法としては、固定砥粒および/または遊離砥粒を用いた機械的加工(メカニカルテクスチャー加工)を採用することができる。
例えば、ガラス基板1の表面に研磨テープを押し当て、研磨砥粒を含む研磨スラリーを基板1と研磨テープとの間に供給し、基板1を回転させるとともに、研磨テープを基板1上で走行させる方法をとることができる。
基板1の回転数は200rpm〜1000rpmの範囲内とすることができる。研磨スラリーの供給量は10ml/分〜100ml/分の範囲内とすることができる。研磨テープの送り速度は、1.5mm/分〜150mm/分の範囲内とすることができる。研磨スラリーに含まれる砥粒の粒径は、D90(累積質量%が90質量%に相当する時の粒径値)が0.05μm〜0.3μmとなるように設定することができる。基板1への研磨テープの押し付け力は1kgf〜15kgf(9.8N〜147N)の範囲内とすることができる。
テクスチャー加工の際には、条痕の線密度が7500本/mm以上(好ましくは20000本/mm以上)となるように上記各条件を設定するのが好ましい。
テクスチャー加工の際には、オッシレーションを行うことができる。オッシレーションとは、研磨テープを基板1上で走行させると同時に、この研磨テープを基板1の半径方向に揺動させる操作のことである。オッシレーション回数は60〜1200回/分とすると、表面研削量が均一になるため好ましい。
テクスチャー加工の方法としては、研磨テープを用いたメカニカルテクスチャー以外に、固定砥粒を用いた方法、固定砥石を用いた方法、レーザー加工を用いた方法を挙げることができる。
【0034】
ガラス基板1を成膜装置のチャンバ内に収容し、ガラス基板1上に、配向調整層2、非磁性下地層3、磁性層4をスパッタ法により形成する。
スパッタ法により上記各層を形成する際の操作条件は、例えば次のとおりとすることができる。
ガラス基板1は、加熱することにより非磁性下地層3および磁性層4の結晶配向性を向上させることができる。ガラス基板1の加熱温度は100℃〜400℃の範囲であることが好ましい。
チャンバ内の真空度は10−4〜10−7Paとすることができる。スパッタ用ガスとしてはArガスを用いることができる。供給電力は0.2〜2.0kWとするのが好ましい。各層を形成する際には、放電時間と供給電力を調節することによって、形成する層の厚さを調節することができる。
各層を形成する際には、各層の材料と同じ組成の材料からなるスパッタリング用ターゲットを用いることができる。
【0035】
配向調整層2は、その表面を酸素含有ガスに曝露するのが好ましい。この酸素含有ガスとしては、例えば5×10−4Pa以上の酸素ガスを含むアルゴン酸素混合ガスなどが使用できる。酸素含有ガスとしては、曝露用ガス(アルゴンなど)と水とを含むものを用いることもできる。曝露時間は、0.5秒〜15秒の範囲内とするのが好ましい。
曝露処理を行うには、配向調整層2を形成したガラス基板1をチャンバから取出し、外気または酸素含有ガスに曝露させる方法をとることができる。また、このガラス基板1をチャンバから取り出さず、チャンバ内に酸素含有ガスを導入し、この酸素含有ガスに配向調整層2を曝露する方法をとることもできる。
チャンバ内で配向調整層2を酸素含有ガスに曝露する法は、基板1をチャンバから取り出す操作が不要であるため、効率的な製造が可能となる。この場合には、例えばチャンバ内の真空度が10−6Pa以下において、5×10−4Pa以上の酸素ガスを含む酸素含有ガスを用いるのが好ましい。酸素含有ガス中の酸素分圧は5×10−2Pa以下とするのが好ましい。
【0036】
磁性層4に、Bを含む合金(例えばCo−Cr−Pt−B系合金、Co−Cr−Pt−B−X系合金)を用いる場合には、非磁性下地層3と磁性層4との境界付近において、B濃度が1at%以上となる領域におけるCr濃度が40at%以下となるような条件で磁性層4を形成するのが好ましい。
【0037】
以下、各層の形成方法の具体例を示す。
W−Ru系合金、W−Re系合金、Mo−Ru系合金、Mo−Re系合金などからなるスパッタリング用ターゲットを用いて、この材料からなる配向調整層2をガラス基板1上に形成する。
次いで、Cr−Mo系合金、Cr−W系合金、Cr−V系合金、Cr−Ti系合金、Cr−B系合金、Crなどからなるスパッタリング用ターゲットを用いて、この材料からなる非磁性下地層3を形成する。
次いで、Co−Cr−Ta系合金、Co−Cr−Pt系合金、Co−Cr−Pt−Ta系合金、Co−Cr−Pt−B系合金、Co−Cr−Pt−B−Ta系合金、Co−Cr−Pt−B−Cu系合金などからなるスパッタリング用ターゲットを用いて、この材料からなる磁性層4を形成する。
【0038】
次いで、保護層5を、従来公知のスパッタ法、プラズマCVD法により形成する。保護層5上には、潤滑層を、従来公知のスピンコート法、ディップ法により形成することができる。
【0039】
図4は、上記磁気記録媒体を用いた磁気記録再生装置の例を示すものである。
ここに示す磁気記録再生装置は、図1に示す構成の磁気記録媒体20と、磁気記録媒体20を回転駆動させる媒体駆動部21と、磁気記録媒体20に情報を記録再生する磁気ヘッド22と、この磁気ヘッド22を磁気記録媒体20に対して相対運動させるヘッド駆動部23と、記録再生信号処理系24とを備えている。
記録再生信号処理系24は、外部から入力されたデ−タを処理して記録信号を磁気ヘッド22に送ったり、磁気ヘッド22からの再生信号を処理してデ−タを外部に送ることができるようになっている。
磁気ヘッド22には、再生素子として異方性磁気抵抗効果(AMR)を利用したMR(magnetoresistance)素子だけでなく、巨大磁気抵抗効果(GMR)を利用したGMR素子などを有するものを用いることができる。GMR素子を用いることによって、より高記録密度化が可能となる。
【0040】
上記磁気記録媒体では、表面に条痕を有するガラス基板1上に配向調整層2が形成され、配向調整層2が、W−Ru系合金、W−Re系合金、Mo−Ru系合金、およびMo−Re系合金から選ばれる少なくとも1つを含むので、磁性層4に高い磁気異方性を与えることができる。
このため、磁気的特性(例えば保磁力)、電磁変換特性(例えばSNR、PW50)の向上が可能となる。
従って、高記録密度に適した磁気記録媒体を得ることができる。
また、アルミニウム基板に比べて平坦性が高いガラス基板1を用いるので、グライドハイト特性が良好となる。従って、エラー特性を悪化させることなく高記録密度化が可能となる。
【0041】
上記製造方法では、配向調整層2、非磁性下地層3、磁性層4を一連の工程で形成することができるため、上記磁気記録媒体を効率よく作製することができる。
【0042】
上記磁気記録再生装置では、上記磁気記録媒体を用いるので、磁性層4に高い磁気異方性を与え、優れた磁気的特性および電磁変換特性を得ることができる。
従って、高記録密度に適した磁気記録再生装置を得ることができる。
【0043】
【実施例】
(実施例1)
図2に示す磁気記録媒体を次のようにして作製した。
ガラス基板1としては日本板硝子製アモルファスガラスGD−7(外径65mm、内径20mm、厚さ0.635mm)を使用した。
上記ガラス基板1にメカニカルテクスチャー加工を施した。メカニカルテクスチャー加工の条件は以下の通りである。
D90が0.15μmであるダイアモンド砥粒を含むスラリーを、ガラス基板1と研磨テープとの間に50ml/分で2秒間滴下した後、ガラス基板1を回転させるとともに、研磨テープを基板1上で走行させた。
研磨テープにはポリエステル製の織物布を使用した。研磨テープの送り速度は75mm/分とした。ガラス基板1の回転数は600rpmとした。オッシレーション回数は120回/分とした。基板1に対する研磨テープの押付力は2.0kgf(19.6N)とした。加工時間は10秒とした。
【0044】
ガラス基板1表面を、Digital Instrument社製AFMで測定したところ、表面平均粗さRaが4オングストローム(0.4nm)であり、線密度が25000本/mmである円周方向のテクスチャー条痕を有するガラス基板1が得られた。
この基板1を十分に洗浄し乾燥した後、DCマグネトロンスパッタ装置(アネルバ社(日本)製C3010)内にセットした。チャンバ内の真空到達度を2×10−7Torr(2.7×10−5Pa)とした後、W−Re合金(W:50at%、Re:50at%)からなるタ−ゲットを用いて、このW−Re合金からなる配向調整層2(厚さ1nm)を常温で形成した。
【0045】
次いで、基板1を250℃に加熱した後、チャンバ内に酸素ガスを導入し、配向調整層2の表面をこの酸素ガスに曝露した。酸素ガス圧力は0.05Paとした。曝露処理時間は5秒間とした。
次いで、Cr−Ti―B合金(Cr:83at%、Ti:15at%、B:2at%)からなるタ−ゲットを用いて、このCr−Ti―B合金からなる非磁性下地層3(厚さ8nm)を形成した。
次いで、Co―Cr合金(Co:65at%、Cr:35at%)からなるタ−ゲットを用いて、このCo―Cr合金からなる非磁性中間層6(厚さ2nm)を形成した。
次いで、Co−Cr−Pt−B合金(Co:60at%、Cr:22at%、Pt:12at%、B:6at%)からなるタ−ゲットを用いて、このCo−Cr−Pt−B合金からなる磁性層4(厚さ20nm)を形成した。
次いで、カーボンからなる保護層5(厚さ5nm)を形成した。
上記各層を形成する際には、スパッタ用ガスとしてArを用い、その圧力は3mTorr(0.4Pa)とした。
次いで、パーフルオロポリエーテルからなる潤滑剤を用い、ディップ法により保護層5表面に潤滑層(厚さ2nm)を形成し、磁気記録媒体を得た。
【0046】
(実施例2〜20)
配向調整層2の組成と厚さを表1に示すとおりにした以外は、実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
【0047】
(実施例21)
図3に示す磁気記録媒体を次のようにして作製した。
非磁性下地層3と磁性層4との間に、非磁性中間層6に代えて反強磁性結合層7を形成した磁気記録媒体を作製した。
反強磁性結合層7を形成する際には、非磁性下地層3上に、Co−Ru合金(Co:80at%、Ru:20at%)からなるタ−ゲットを用いて、このCo−Ru合金からなる安定化層8(厚さ2nm)を形成し、次いで、Ruからなるタ−ゲットを用いて、Ruからなる非磁性結合層9(厚さ0.8nm)を形成した。その他の条件は実施例1に準じた。
これによって、非磁性下地層3と磁性層4との間に、安定化層8と非磁性結合層9とからなる反強磁性結合層7を備えた磁気記録媒体を得た。
【0048】
(比較例1〜20)
ガラス基板にメカニカルテクスチャー加工を施さないこと、および配向調整層の組成と厚さを表2に示すとおりにした以外は、実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
【0049】
(比較例21〜23)
配向調整層に、Ni−P合金(Ni:80at%、P:20at%)を用いて磁気記録媒体を作製した。その他の条件は実施例1に準じた。
【0050】
上記各実施例および比較例について、グライドテスタ−を用い、グライド高さを0.4μinch(1μinch≒25.4nm)としてグライドテストを行ない、このテストで問題が生じなかった磁気記録媒体について、リ−ドライトアナライザ−RWA1632(GUZIK社(米国)製)を用いて記録再生特性を調べた。
記録再生特性については、電磁変換特性(再生信号出力(TAA)、孤立波再生出力の半値幅(PW50)、SNR、オ−バライト(OW))を測定した。
記録再生特性の評価には、再生部に巨大磁気抵抗(GMR)素子を有する複合型薄膜磁気記録ヘッドを用いた。
ノイズについては、500kFCIのパタ−ン信号を書き込んだ時の、1MHzから375kFCI相当周波数までの積分ノイズを測定した。再生出力は250kFCIで測定した。SNRは20×log(再生出力/1MHzから375kFCI相当周波数までの積分ノイズ)として算出した。
保磁力(Hc)および角形比(S*)の測定にはカー効果式磁気特性測定装置(RO1900、日立電子エンジニアリング社(日本)製)を用いた。
保磁力の磁気的異方性指数(OR)、および残留磁化量の磁気的異方性指数(MrtOR)の測定にはVSM(BHV−35、理研電子社(日本)製)を用いた。
結果を表1および表2に示す。
【0051】
【表1】
Figure 2004152424
【0052】
【表2】
Figure 2004152424
【0053】
表1および表2より、以下の事項が確認された。
(1)W−Ru合金、W−Re合金、Mo−Ru合金、Mo−Re合金のうちいずれかを配向調整層2に用いた実施例1〜21では、これ以外の材料(Ni−P合金)を用いた比較例21〜23に比べ、保磁力、角形比、磁気異方性が高く、電磁変換特性に優れている。
(2)実施例1〜21は、テクスチャー加工を行わない比較例1〜20に比べ、保磁力、角形比、磁気異方性が高く、電磁変換特性の点で優れている。
(3)実施例1〜7の比較より、W−Re系合金からなる配向調整層2の厚さを2.5〜30nm(25〜300オングストローム)とすることによって、良好な磁気異方性が得られ、電磁変換特性を向上させることができる。配向調整層2の厚さは2.5〜10nm(25〜100オングストローム)とするのがさらに好ましい。
(4)実施例19、20の結果より、3元系合金であるW−Mo−Re系合金またはW−Mo−Ru系合金を配向調整層2に用いる場合でも、良好な磁気異方性が得られ、電磁変換特性を向上させることができる。
【0054】
【発明の効果】
本発明の磁気記録媒体では、表面に条痕を有するガラス基板上に配向調整層が形成され、配向調整層が、W−Ru系合金、W−Re系合金、Mo−Ru系合金、およびMo−Re系合金から選ばれる少なくとも1つを含むので、磁性層に高い磁気異方性を与えることができる。
このため、磁気的特性(例えば保磁力)、電磁変換特性(例えばSNR、PW50)の向上が可能となる。
従って、高記録密度に適した磁気記録媒体を得ることができる。
また、アルミニウム基板に比べて平坦性が高いガラス基板を用いるので、グライドハイト特性が良好となる。従って、エラー特性を悪化させることなく高記録密度化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の一実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明の磁気記録媒体の他の実施形態を示す断面図である。
【図3】本発明の磁気記録媒体のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【図4】本発明の磁気記録再生装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1・・・ガラス基板、2・・・配向調整層、3・・・非磁性下地層、4・・・磁性層、5・・・保護層

Claims (10)

  1. 表面に条痕を有するガラス基板上に、配向調整層、非磁性下地層、磁性層および保護層をこの順で有する磁気記録媒体において、
    前記配向調整層が、W−Ru系合金、W−Re系合金、Mo−Ru系合金、およびMo−Re系合金から選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 前記配向調整層の厚さが、1nm〜30nmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 前記ガラス基板が、アモルファスガラスからなるものであることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
  4. 前記条痕の線密度が、7500本/mm以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
  5. 保磁力の磁気的異方性指数(円周方向の保磁力/半径方向の保磁力)が、1.05以上であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
  6. 残留磁化量の磁気的異方性指数(円周方向の残留磁化量/半径方向の残留磁化量)が、1.05以上であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
  7. 前記非磁性下地層が、Ti、Mo、Al、Ta、W、Ni、B、SiおよびVから選ばれる少なくとも1つを含有するCr合金、またはCrを含むことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
  8. 磁性層が、Co−Cr−Ta系合金、Co−Cr−Pt系合金、Co−Cr−Pt−Ta系合金、Co−Cr−Pt−B系合金、およびCo−Cr−Pt−B−X系合金(XはTaまたはCu)から選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
  9. 表面に条痕を有するガラス基板上に、配向調整層、非磁性下地層、磁性層および保護層をこの順で有する磁気記録媒体を製造する方法において、
    前記配向調整層が、W−Ru系合金、W−Re系合金、Mo−Ru系合金、およびMo−Re系合金から選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  10. 請求項1〜8の何れか1項に記載の磁気記録媒体と、磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備えたことを特徴とする磁気記録再生装置。
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