JP2012022759A - 垂直磁気記録媒体および磁気記録再生装置 - Google Patents

垂直磁気記録媒体および磁気記録再生装置 Download PDF

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隆之 福島
Atsushi Hashimoto
篤志 橋本
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Abstract

【課題】垂直磁気記録層の結晶粒の分離と結晶粒径の微細化を両立することで、高密度の情報の記録再生が可能な磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】非磁性基板上に、少なくとも軟磁性裏打ち層と下地層と中間層と垂直磁気記録層を有する垂直磁気記録媒体において、垂直磁気記録層を1層以上の磁性層から構成し、その内の少なくとも1層を、Coを主成分とする強磁性結晶粒と酸化物粒界から構成し、その酸化物をCeの酸化物と、Si,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Nb,Mo,Pr,Sm,Eu,Tb,Yb,Ta,Wから選ばれる元素の酸化物を含む構成とする。また、Ceの酸化物を含む磁性層の酸化物の総量を4モル%〜15モル%の範囲内とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、ハードディスクドライブ等に用いられる垂直磁気記録媒体、およびこれを用いた磁気記録再生装置に関するものである。
近年、磁気ディスク装置、可撓性ディスク装置、磁気テープ装置等の磁気記録装置の適用範囲は著しく増大され、その重要性が増すと共に、これらの装置に用いられる磁気記録媒体について、その記録密度の著しい向上が図られつつある。特にMRヘッド、およびPRML技術の導入以来、面記録密度の上昇はさらに激しさを増し、近年ではさらにGMRヘッド、TMRヘッドなども導入され増加を続けている。
このように、磁気記録媒体については今後更に高記録密度化を達成することが要求されており、そのために磁性層の高保磁力化と高信号対雑音比(S/N比)、高分解能を達成することが要求されている。これまで広く用いられてきた長手磁気記録方式においては、線記録密度が高まるにつれて、磁化の遷移領域の隣接する記録磁区同士がお互いの磁化を弱めあおうとする自己減磁作用が支配的になるため、それを避けるために磁性層をどんどん薄くして形状磁気異方性を高める必要がある。
その一方で、磁性層の膜厚を薄くしていくと、磁区を保つためのエネルギー障壁の大きさと熱エネルギーの大きさが同レベルに近づいてきて、記録された磁化量が温度の影響によって緩和される現象(熱揺らぎ現象)が無視できなくなり、これが線記録密度の限界を決めてしまうといわれている。
このような中、長手磁気記録方式の線記録密度改良に応える技術として最近ではAFC(Anti Ferromagnetic Coupling)媒体が提案され、長手磁気記録で問題となる熱磁気緩和の問題を回避しようという努力がなされている。
また、今後いっそうの面記録密度を実現するための有力な技術として注目されているのが垂直磁気記録技術である。従来の長手磁気記録方式が、媒体を面内方向へ磁化させるのに対し、垂直磁気記録方式では媒体面に垂直な方向に磁化させることを特徴とする。このことにより、長手磁気記録方式で高線記録密度を達成する妨げとなる自己減磁作用の影響を回避することができ、より高密度記録に適していると考えられている。また一定の磁性層膜厚を保つことができるため、長手磁気記録で問題となっている熱磁気緩和の影響も比較的少ないと考えられている。
垂直磁気記録媒体は、非磁性基板上に下地層、中間層、磁気記録層、保護層の順に成膜されるのが一般的である。また、保護層まで成膜した上で、表面に潤滑層を塗布する場合が多い。また、多くの場合、軟磁性裏打ち層とよばれる磁性膜が下地層の下に設けられる。下地層や中間層は磁気記録層の特性をより高める目的で形成される。具体的には、磁気記録層の結晶配向を整えると同時に磁性結晶の形状を制御する働きをするといわれている。
高記録密度化において優れた特性を有する垂直磁気記録媒体を製造するためには、磁性層の結晶構造と結晶粒の分離・粒径の微細化が重要である。垂直磁気記録媒体においては、多くの場合その磁性層の結晶構造はhcp構造をとるが、その(00・2)結晶面が基板面に対して平行であること、換言するならば結晶c軸[00・2]軸が垂直な方向にできるだけ乱れなく配列していることで、垂直方向への信号強度が増す。また、磁性層の結晶粒同士の分離が進み、交換結合を遮断できれば、高密度記録再生時にノイズを低減できる。
磁性層の材料としては、従来ではCoCrPtとSiやTiなどの酸化物の合金ターゲットが用いられている(例えば、特許文献1参照。)。これらの酸化物磁性層では、hcp構造をとるCoCrPt結晶粒を非磁性のSiやTiの酸化物粒界で取り囲むグラニュラ構造となり、結晶配向性と結晶粒の微細化・分離の両立が可能となる。SiやTiの酸化物が粒界材料として選ばれているのは、磁性元素のCoが酸化されると磁性を失うため、Coより酸化物になり易い、言い換えると酸化反応において、Coよりも自由エネルギーの変化量が大きい元素であるためである(例えば、特許文献2参照。)。
特開2004−327006号公報 特開2006−164440号公報
W.K.Choi et al.,"Densification of radio frequency sputtered silicon oxide films by rapid thermal annealing",Journal of applied physics,83(4)2308−2314(February,1998)
つまり、SiやTiの酸化物を用いるとCoが酸化されにくくなり、磁気モーメント量の低減を防ぐことができる。ただし、SiやTiの酸化物添加量が増加するとCoCrPt粒内に酸化物が入り込んでしまい、磁性結晶の配向性が悪化し、また結晶粒同士の分離が不十分になることでノイズも増えてしまう。一方で、磁気記録密度の向上のために粒径は微細化される傾向にあり、粒界の表面積は増大傾向にあるから酸化物の入り込み量は増加する。
このように、さらなる記録再生特性の向上のため、結晶粒径の微細化と結晶粒の分離を両立させ、記録再生特性に優れた垂直磁気記録媒体を得る必要がある。そこで、この問題を解決しかつ容易に製造が可能な垂直磁気記録媒体が要望されていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、垂直磁気記録層の結晶粒の分離と結晶粒径の微細化を両立することで、高密度の情報の記録再生が可能な磁気記録媒体を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成とした。
(1)非磁性基板上に、少なくとも軟磁性裏打ち層と下地層と中間層と垂直磁気記録層を有する垂直磁気記録媒体において、前記垂直磁気記録層は1層以上の磁性層から構成され、その内の少なくとも1層が、Coを主成分とする強磁性結晶粒と酸化物粒界から構成され、その酸化物がCeの酸化物と、Si,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Nb,Mo,Pr,Sm,Eu,Tb,Yb,Ta,Wから選ばれる元素の酸化物を含むことを特徴とする垂直磁気記録媒体。
(2)前記Ceの酸化物を含む磁性層が、酸化物の総量が4モル%〜15モル%の範囲内であり、酸化物の総量に対しCeの酸化物がモル比で10%〜50%の範囲内であることを特徴とする(1)に記載の垂直磁気記録媒体。
(3)前記Ceの酸化物を含む磁性層が、酸化物粒界の幅が平均値で、0.8nm〜2nmの範囲内であることを特徴とする(1)乃至(2)の何れか1項に記載の垂直磁気記録媒体。
(4)前記Ceの酸化物を含む磁性層が、強磁性結晶の平均粒径が、3nm〜10nmの範囲内であることを特徴とする(1)乃至(3)の何れか1項に記載の垂直磁気記録媒体。
(5)前記Ceの酸化物を含む磁性層が、膜厚が1nm〜20nmの範囲内であり、これを含む垂直磁気記録層の総膜厚が2nm〜40nmの範囲内であることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の垂直磁気記録媒体。
(6)軟磁性裏打ち層が、非結晶質構造もしくは微結晶構造であることを特徴とする(1)乃至(5)の何れか1項に記載の垂直磁気記録媒体。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法で製造した磁気記録媒体と、前記磁気記録媒体に対する情報の記録再生を行う磁気ヘッドとを備えることを特徴とする磁気記録再生装置。
本発明によれば、磁性層のCo結晶を均一に分離した酸化物粒界を形成し、かつ、磁性層を構成する強磁性結晶粒の平均粒径が極めて微細な高記録密度特性に優れた垂直磁気記録媒体を供することができる。
本発明の垂直磁気記録媒体の断面構造を示す図である。 本発明の垂直磁気記録再生装置の構造を示す図である。
以下本発明の内容を具体的に説明する。
本発明の垂直磁気記録媒体(磁気記録媒体と略すこともある。)10は、図1に示すように、非磁性基板1上に少なくとも軟磁性裏打ち層2、その直上の膜の配向性を制御する配向制御層を構成する下地層3及び中間層4、磁化容易軸(結晶c軸)が基板に対し主に垂直に配向した垂直磁気記録層(磁気記録層と略すこともある。)5、保護層6を有する垂直磁気記録媒体であって、磁気記録層の少なくとも1層は、強磁性の結晶粒と非磁性である酸化物の結晶粒界とから構成されるグラニュラ構造の磁性層とする。またこの磁性層の材料は、今後のさらなる記録密度の向上が期待される、ECC媒体や、ディスクリートトラックメデイア、パターンメディアのような新しい垂直磁気記録媒体においても適用可能である。
本発明の磁気記録媒体に使用される非磁性基板としては、Alを主成分とした例えばAl−Mg合金等のAl合金基板や、通常のソーダガラス、アルミノシリケート系ガラス、アモルファスガラス類、シリコン、チタン、セラミックス、サファイア、石英、各種樹脂からなる基板など、非磁性基板であれば任意のものを用いることができる。中でもAl合金基板や結晶化ガラス、アモルファスガラス等のガラス製基板を用いられることが多い。ガラス基板の場合、ミラーポリッシュ基板やRa<1(Å)のような低Ra基板などが好ましい。軽度であれば、テクスチャが入っていても構わない。
磁気ディスクの製造工程においては、まず基板の洗浄・乾燥が行われるのが通常であり、本発明においても各層の密着性を確保する見地からもその形成前に洗浄、乾燥を行うことが望ましい。洗浄については、水洗浄だけでなく、エッチング(逆スパッタ)による洗浄も含まれる。また、基板サイズも特に限定しない。
次に、磁気記録媒体の各層について説明する。
軟磁性裏打ち層(裏打ち層と略すこともある。)は多くの垂直磁気記録媒体に設けられている。磁気記録媒体に信号を記録する際、ヘッドからの記録磁界を導き、磁気記録層に対して記録磁界の垂直成分を効率よく印加する働きをする。材料としてはFeCo系合金、CoZrNb系合金、CoTaZr系合金などいわゆる軟磁気特性を有する材料ならば使用することができる。軟磁性裏打ち層は、表面粗さ(Ra)を低減することにより、ヘッドの浮上量を低減させることができ、さらなる高記録密度化へとつながる。この観点から、軟磁性裏打ち層材料としては非晶質もしくは微結晶構造であることが好ましい。特に二つの軟磁性層間にRuなどの極薄い非磁性薄膜をはさみ、軟磁性層間にAFCを持たせた裏打ち層も多く用いられるようになっており、本発明でも使用することができる。裏打ち層の総膜厚は20(nm)〜120(nm)程度であるが、記録再生特性とOW特性とのバランスにより適宜決定される。
本発明では、裏打ち層の上に、磁気記録層の配向性を制御する配向制御層を設ける。配向制御層は複数層から構成し、基板側から下地層、中間層と呼ぶ。下地層の材料としては、Taや、(111)面配向するfcc構造を有する金属または合金、例えばNi、Ni−Nb、Ni−Ta、Ni−V、Ni−W、Ptなど、が用いられる。
また、軟磁性裏打ち層が微結晶または非晶質構造をとる場合でも、材料や成膜条件によってRaが大きくなることがあるため、裏打ち層と配向制御層の間に非磁性の非晶質層を成膜することでRaを下げ、磁気記録層の結晶配向性を向上させることができる。下地層上の中間層の材料は、磁気記録層と同様にhcp構造をとる、RuやRe、またはそれらの合金が一般的である。中間層の働きは、磁気記録層の配向を制御することにあるので、hcp構造をとらなくても磁気記録層の配向を制御できる材料であれば、用いることができる。
本発明における垂直磁気記録層がグラニュラ構造をとるため、中間層は成膜ガス圧を高くして表面の凹凸をつけることが好ましい。ただし、ガス圧を上げることで中間層の結晶配向性が悪化し、また表面粗さが大きくなりすぎる恐れがある。配向性と表面凹凸の両立のため、ガス圧の最適化または、中間層を2層化し低ガス圧成膜層と高ガス圧成膜層に分けて成膜することが行われる。
磁気記録層は文字通り、実際に信号の記録がなされる層である。
本発明における磁気記録層は、1層以上からなり、その少なくとも1層が、酸化物と、Coを主成分とする合金の強磁性結晶粒から構成されるグラニュラ構造をとるものとし、グラニュラ構造を形成する酸化物が、Ceの酸化物と、Si,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Nb,Mo,Pr,Sm,Eu,Tb,Yb,Ta,Wから選ばれる元素の酸化物を含むものである。ここで磁性層の強磁性結晶粒としては、CoCrPtRu、CoCrRu,CoCrPtRuB,CoPtRu、CoPtRuB,CoCrRuBなどが用いられる。
本発明のグラニュラ構造を形成する酸化物は、Ceの酸化物と、Si,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Nb,Mo,Pr,Sm,Eu,Tb,Yb,Ta,Wから選ばれる元素の酸化物を含むことから、酸化物はCe酸化物を含めた二種類以上を組み合わせたものとなる。これらの酸化物の総量は、Ceの酸化物を含むグラニュラ構造の磁性層において、5モル%〜15モル%の範囲内であることが好ましい。またこれらの酸化物総量に対しCeの酸化物がモル比で10%〜50%の範囲内、最も好ましくは25%〜40%の範囲内で混合されていることが好ましい。また酸化物で形成された粒界の幅が平均値で0.8nm〜2nmの範囲内であることが好ましい。またこの磁性層の膜厚は1nm〜20nmの範囲内が好ましい。また強磁性結晶は平均粒径が3nm〜12nmの範囲内が好ましい。本発明の磁気記録媒体は、このような磁性層を含むことによりノイズ特性の優れたものとすることができる。なお、上記の平均粒径や粒界幅は、基板面に対して垂直方向から見た平面視であり、平面TEM画像から測定することができる。
本発明において、磁性層は一層でも可能であるが、上記の構成の磁性層を多層構造としても良い。その場合、磁性層の強磁性材料及び酸化物は前記した材料の中で種類を変えて用いることが可能である。磁性層が複数の場合、その総膜厚が2(nm)以上40(nm)以下であることが好ましい。
本願発明では、中間層の上に直接磁性層を構成することもできるが、中間層と磁性層の間に非磁性の合金と酸化物からなるグラニュラ構造をとる下地層を挿入することが好ましい。その酸化物は磁性層同様に、Ceの酸化物と、Si,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Nb,Mo,Ce,Pr,Sm,Eu,Tb,Yb,Ta,Wからなる群から選ばれる元素の酸化物を含む構成とすることが好ましい。
本発明における磁気記録媒体は、各層を形成するための材料をターゲットとし、スパッタにより製造することができる。
本願発明の磁性層を形成するターゲットとしては、Coを必須成分とし、好ましくはさらにCrを含み、例えばCoCr−X−Y、CoCrPt−X−Y、CoCrPtRu−X−Y、CoCrPtB−X−Y、CoCrPtRuB−X−YなどのCo系合金が使用される。ここでXはCeを含む酸化物、YはSi,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Nb,Mo,Ce,Pr,Sm,Eu,Tb,Yb,Ta,Wからなる群から選ばれる元素の酸化物である。
一般に、スパッタ粒子のエネルギーは酸化物の結合エネルギーよりも大きい。そのため、金属酸化物を含む合金ターゲットがスパッタされる際には、酸化物が酸素原子と金属原子とに分離して飛散し、それらの粒子が基板にたどり着いた後に、再び金属原子が酸化して酸化物を形成する、と考えられる。
前記の現象を鑑みると、一度分離した酸素のスパッタ粒子が全て金属原子再酸化に関わっているとは考えにくく、スパッタ成膜された酸化物は酸素欠損している(たとえば、非特許文献1参照)。本願発明の組成物を含むターゲットを用いてスパッタ成膜した場合、この酸素欠損状態はより金属に近い状態であるため、スパッタ粒子の成膜直後のモビリティの高い状態における表面拡散時に、金属の磁性粒内部から磁性粒表面、酸化物粒界の内部にかけて徐々に酸素欠損量が少なくなっていく構造をとると考えられる。このような構造をとれば、本来なじみの悪い金属と酸化物の界面をなじませ、界面活性剤で分散させた水と油のように金属磁性粒を包むような構造をとることができると考えられる。
すなわち、本発明によれば、常温でCeOとCeの二種類の酸化物が存在できるCeを粒界酸化物に使用することで、酸素量の異なる二種類の酸化物の存在比変化によって上記酸素欠損のグラデーションをつけることができる。その結果、粒界に金属成分が析出しにくく、強磁性結晶粒を均一に分離した酸化物粒界を形成し、かつ、垂直磁性層を構成する強磁性結晶粒の平均粒径が極めて微細な高記録密度特性の磁気記録媒体を作製できる。
以上のことから、Ceの酸化物と組み合わせる酸化物も複数の酸化状態を取れることが望ましいと考えられ、この観点から、Si,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Nb,Mo,Ce,Pr,Sm,Eu,Tb,Yb,Ta,Wからなる群から選ばれる元素の酸化物が好ましく、この中でも特に、Si,Cr,Coからなる群から選ばれる元素の酸化物が好ましい。
一方、本願発明の組成物を含まないターゲットを用いてスパッタ成膜した場合、磁性粒子表面部に酸素量グラデーションをもった酸化物を設けるのが困難となり、酸化物構成元素が金属として存在することになり、磁性粒のCoを粒界に析出させる原因となる。そしてこの粒界のCoが他の磁性粒と磁気交換結合の橋渡しをするため磁性層の磁気分離が悪くなる。
以上の各層の成膜には通常DCマグネトロンスパッタリング法またはRFスパッタリング法が用いられる。RFバイアス、DCバイアス、パルスDC、パルスDCバイアス、Oガス、HOガス導入、Nガスを用いることも可能である。そのときのスパッタリングガス圧力は各層ごとに特性が最適になるように適宜決定されるが、一般に0.1Pa〜30Pa程度の範囲に調整され、さらに製造された媒体の性能を見ながら微調整される。
保護層はヘッドと媒体との接触によるダメージから媒体を保護するためのものであり、カーボン膜、SiO膜などが用いられるが、多くの場合はカーボン膜が用いられる。膜の形成にはスパッタリング法、プラズマCVD法などが用いられるが、近年ではプラズマCVD法が用いられることが多い。マグネトロンプラズマCVD法も可能である。膜厚は1(nm)〜10(nm)程度であり、好ましくは2(nm)〜6(nm)程度、さらに好ましくは2(nm)〜4(nm)である。
図2は、上記垂直磁気記録媒体を用いた垂直磁気記録再生装置の一例を示すものである。図2に示す磁気記録再生装置は、図1に示す構成の磁気記録媒体50と、磁気記録媒体50を回転駆動させる媒体駆動部51と、磁気記録媒体50に情報を記録再生する磁気ヘッド52と、この磁気ヘッド52を磁気記録媒体50に対して相対運動させるヘッド駆動部53と、記録再生信号処理系54とを備えて構成されている。
記録再生信号処理系54は、外部から入力されたデ−タを処理して記録信号を磁気ヘッド52に送り、磁気ヘッド52からの再生信号を処理してデ−タを外部に送ることができるようになっている。
本発明の磁気記録再生装置に用いる磁気ヘッド52には、再生素子として異方性磁気抵抗効果(AMR)を利用したMR(Magneto Resistance)素子だけでなく、巨大磁気抵抗効果(GMR)を利用したGMR素子、トンネル効果を利用したTuMR素子などを有した、より高記録密度に適した磁気ヘッドを用いることができる。
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明する。
(実施例1、比較例1)
HD用ガラス基板をセットした真空チャンバをあらかじめ1.0×10−5(Pa)以下に真空排気した。
次に、この基板上にスパッタリング法を用いて軟磁性裏打ち層CoNbZrを50(nm)、下地層としてfcc構造をとるNiWを5(nm)、ガス圧0.6(Pa)のAr雰囲気中でそれぞれ成膜した。中間層としては、RuをArガス圧0.6(Pa)、膜厚10(nm)で成膜後、ガス圧を上げて10(Pa)にしてさらに10(nm)で成膜した。
実施例の磁気記録層の膜組成は、基板側からグラニュラ構造磁性層と非グラニュラ構造磁性層の2層構造とし、グラニュラ構造磁性層は、92(Co12Cr18Pt)−6(SiO)−2(CeO)(実施例1−1)、92(Co12Cr18Pt)−4(SiO)−4(CeO)(実施例1−2)、90(Co12Cr18Pt)−6(SiO)−4(CeO)(実施例1−3)、92(Co12Cr18Pt)−4(Cr)−4(CeO)(実施例1−4)、92(Co12Cr18Pt)−4(CoO)−4(CeO)(実施例1−5)とした。なお、前記実施例1−1の膜組成の92,6,2は各組成物のモル比が、92モル%,6モル%,2モル%であることを示し、Co12Cr18Ptは磁性粒子の組成が、Crが12モル%、Ptが18モル%、残り(70モル%)がCoであることを意味する(以下同様。)。この磁性層は、膜厚が10(nm)で、ガス圧3(Pa)のAr雰囲気中で成膜した。比較例の磁性層の膜組成は、94(Co12Cr18Pt)−6(CeO)、90(Co12Cr18Pt)−10(SiO)、94(Co12Cr18Pt)−6(Y)とし、膜厚10(nm)で、ガス圧3(Pa)のAr雰囲気中で成膜した(比較例1−1〜3)。また、実施例1−1〜5、比較例1−1〜3の非グラニュラ構造磁性層は、Co21Cr14Pt1B、膜厚6nmとした。
次いで実施例、比較例ともに保護層としてC膜(5nm)を成膜して垂直磁気記録媒体とした。
得られた垂直磁気記録媒体(実施例1−1〜5と比較例1−1〜3)について、潤滑剤を塗布し、米国GUZIK社製リードライトアナライザ1632及びスピンスタンドS1701MPを用いて、記録再生特性の評価を行った。この際、静磁気特性が悪く保磁力(Hc)が3000(Oe)(1Oeは約79A/m)以下の磁気記録媒体に対しては正常な読み書きが行えないためSNR測定ができなかった。その後、Kerr測定装置により静磁気特性の評価を行った。最後に、磁性層の平面TEM画像から、磁性層の平均結晶粒径・粒界幅解析を行った。
各測定から求まった、信号雑音比(SNR)、保磁力(Hc)、Co基磁性結晶粒の平均粒径、酸化物の粒界幅の結果を表1に一覧表にして示した。いずれのパラメータも垂直磁気記録媒体の性能を評価する際に広く用いられる指標である。
表1の実施例1−1〜5と比較例1−1〜3より、CeOと複数価数をとれる酸化物(ここではSiO、Cr、CoO)を組み合わせることにより、単体として添加したときに比べて優れた静磁気特性、電磁気変換特性が得られていることが分かる。また、比較例1−1〜3より、1つの酸化物しか存在できない酸化物(Y)から構成される比較例1−3に比較して複数の酸化物が常温で存在できる元素の酸化物(CeO,SiO)からなる比較例1−1〜2は広い粒界幅を有し、結果として優れた静磁気特性、電磁気変換特性が得られている。
Figure 2012022759
(実施例2)
実施例1と同様に磁気記録媒体を製造したが、磁性層は基板側から、第1磁性層として、92(Co12Cr18Pt)−6(SiO)−2(CeO)、第2磁性層として、90(Co17Cr16Pt)−6(SiO)−4(CeO)、第3磁性層として、Co21Cr14Pt1Bの3層構造とし、第1磁性層と第2磁性層の間に膜厚1nmのRu層を設けた。また、第1磁性層の膜厚は3nm、第2磁性層の膜厚は5nm、第3磁性層の膜厚は5nmとした。この磁気記録媒体の電磁変換特性を実施例1と同様に評価したところ、SNRは12.8dB、Hcは5210Oe、第1、2磁性結晶粒の平均粒径は7.3nm、酸化物の粒界幅は1.3nmであった。
1・・・非磁性基板
2・・・軟磁性裏打ち層
3・・・下地層
4・・・中間層
5・・・垂直磁気記録層
6・・・保護層
10、50・・・磁気記録媒体
51・・・媒体駆動部
52・・・磁気ヘッド
53・・・ヘッド駆動部
54・・・記録再生信号系

Claims (7)

  1. 非磁性基板上に、少なくとも軟磁性裏打ち層と下地層と中間層と垂直磁気記録層を有する垂直磁気記録媒体において、前記垂直磁気記録層は1層以上の磁性層から構成され、その内の少なくとも1層が、Coを主成分とする強磁性結晶粒と酸化物粒界から構成され、その酸化物がCeの酸化物と、Si,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Nb,Mo,Pr,Sm,Eu,Tb,Yb,Ta,Wから選ばれる元素の酸化物を含むことを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  2. 前記Ceの酸化物を含む磁性層が、酸化物の総量が4モル%〜15モル%の範囲内であり、酸化物の総量に対しCeの酸化物がモル比で10%〜50%の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
  3. 前記Ceの酸化物を含む磁性層が、酸化物粒界の幅が平均値で、0.8nm〜2nmの範囲内であることを特徴とする請求項1乃至2の何れか1項に記載の垂直磁気記録媒体。
  4. 前記Ceの酸化物を含む磁性層が、強磁性結晶の平均粒径が、3nm〜10nmの範囲内であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の垂直磁気記録媒体。
  5. 前記Ceの酸化物を含む磁性層が、膜厚が1nm〜20nmの範囲内であり、これを含む垂直磁気記録層の総膜厚が2nm〜40nmの範囲内であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の垂直磁気記録媒体。
  6. 軟磁性裏打ち層が、非結晶質構造もしくは微結晶構造であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の垂直磁気記録媒体。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法で製造した磁気記録媒体と、前記磁気記録媒体に対する情報の記録再生を行う磁気ヘッドとを備えることを特徴とする磁気記録再生装置。
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