JP2007164963A - 磁気記録媒体用基板およびその製造方法ならびに磁気記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】低ノイズで良好な信号再生特性を有する垂直磁気記録媒体の製造に適する基板およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】メッキ成膜された軟磁性膜に熱処理を施すことで、メッキ工程に膜中に取り込まれた液性成分やガス成分を脱離させる。熱処理温度は、350℃以下100℃以上とすることが好ましい。この熱処理は、研磨工程前に実行される第1の熱処理と、この研磨工程後に実行される第2の熱処理との、少なくとも2回に分けると効果的である。第1の熱処理においては、膜中には多くの液性・ガス成分が含有されているため、これらの成分脱離により膜中に構造的欠陥が生じないように比較的緩やかな条件で実行する。したがって、第1の熱処理温度は、第2の熱処理の温度よりも低く設定することが好ましい。なお、第1および第2の熱処理を磁場印加環境下で実行することは、軟磁性膜に磁気的異方性を付与するのに有効である。
【選択図】図4

Description

本発明は、磁気記録媒体用基板およびその製造方法ならびに磁気記録媒体に関し、より詳細には、低ノイズで良好な信号再生特性を有する垂直磁気記録媒体の製造に適する基板およびその製造方法に関する。
情報記録の技術分野において、文字や画像あるいは楽曲といった情報を磁気的に読み込み・書き出しする手段であるハードディスク装置は、パーソナルコンピュータを初めとする電子機器の一次外部記録装置や内蔵型記録手段として必須のものとなっている。このようなハードディスク装置には磁気記録媒体としてハードディスクが内蔵されているが、従来のハードディスクでは、ディスク表面に磁気情報を水平に書き込むいわゆる「面内磁気記録方式(水平磁気記録方式)」が採用されていた。
図1は、水平磁気記録方式のハードディスクの一般的な積層構造を説明するための断面概略図で、非磁性基板1上に、スパッタリング法で成膜されたCr系下地層2、磁気記録層3および保護膜としてのカーボン層4が順次積層され、このカーボン層4の表面に液体潤滑剤を塗布して形成された液体潤滑層5が形成されている(例えば、特許文献1参照)。そして、磁気記録層3は、CoNiCr,CoCrTa,CoCrPt等の一軸結晶磁気異方性のCo合金であり、このCo合金の結晶粒がディスク面と水平に磁化されて情報が記録されることとなる。
しかしながら、このような水平磁気記録方式では、記録密度を高めるために個々の記録ビットのサイズを小さくすると、隣接した記録ビットのN極同士およびS極同士が反発し合って境界領域が磁気的に不鮮明になるので、高記録密度化のためには磁気記録層の厚みを薄くして結晶粒のサイズを小さくする必要がある。結晶粒の微細化(小体積化)と記録ビットの微小化が進むと熱エネルギによって結晶粒の磁化方向が乱されてデータが消失するという「熱揺らぎ」の現象が生じることが指摘され、高記録密度化には限界があるとされるようになった。つまり、KuV/kBT比が小さいと熱揺らぎの影響が深刻になる。ここで、Kuは記録層の結晶磁気異方性エネルギ、Vは記録ビットの体積、kBはボルツマン定数、Tは絶対温度(K)である。
このような問題に鑑みて検討されるようになったのが「垂直磁気記録方式」である。この記録方式では、磁気記録層はディスク表面と垂直に磁化されるため、N極とS極が交互に束ねられてビット配置され、磁区のN極とS極は隣接しあって相互に磁化を強めることとなる結果、磁化状態(磁気記録)の安定性が高くなる。つまり、垂直に磁化方向が記録される場合には、記録ビットの反磁界が低減されるので、水平磁気記録方式と比較すると、記録層の厚みをそれほど小さくする必要はない。このため、記録層厚を厚くして垂直方向を大きくとれば、全体としてKuV/kBT比が大きくなって「熱揺らぎ」の影響を小さくすることが可能である。
上述のように、垂直磁気記録方式は、反磁場の軽減とKuV値を確保できるため、「熱揺らぎ」による磁化不安定性が低減され、記録密度の限界を大幅に拡大することが可能となる磁気記録方式であることから、超高密度記録を実現する方式として期待されている。
図2は、軟磁性裏打ち層の上に垂直磁気記録のための記録層を設けた「垂直二層式磁気記録媒体」としてのハードディスクの基本的な層構造を説明するための断面概略図で、非磁性基板11上に、軟磁性裏打ち層12、磁気記録層13、保護層14、潤滑層15が順次積層されている。ここで、軟磁性裏打ち層12には、パーマロイやCoZrTaアモルファスなどが典型的に用いられる。また、磁気記録層13としては、CoCr系合金、PtCo層とPdとCoの超薄膜を交互に数層積層させた多層膜、あるいは、SmCoアモルフアス膜などが用いられる。
図2に示したように、垂直磁気記録方式のハードディスクでは、磁気記録層13の下地として軟磁性裏打ち層12が設けられ、その磁気的性質は「軟磁性」であり、層厚みは概ね100nm〜200nm程度とされる。この軟磁性裏打ち層12は、書き込み磁場の増大効果と磁気記録膜の反磁場低減を図るためのもので、磁気記録層13からの磁束の通り道であるとともに、記録ヘッドからの書き込み用磁束の通り道として機能する。つまり、軟磁性裏打ち層12は、永久磁石磁気回路における鉄ヨークと同様の役割を果たす。このため、書き込み時における磁気的飽和の回避を目的として、磁気記録層13の層厚に比較して厚く層厚設定される必要がある。
積層構成の観点からは、軟磁性裏打ち層12は、水平磁気記録方式のハードディスクで設けられるCr系下地層2に対応するものであるが、その成膜は、水平記録媒体のCr系下地層2の成膜に比較して容易ではない。
水平磁気記録方式におけるハードディスクの各層の厚みはせいぜい20nm前後であり、全てドライプロセス(主にマグネトロンスパッタ)で形成される(特許文献1参照)。垂直二層式記録媒体においても、磁気記録層13と軟磁性裏打ち層12をドライプロセスで形成する方法が種々検討されているが、ドライプロセスで軟磁性裏打ち層12を形成する場合には、スパッタリング・ターゲットが飽和磁化の大きい強磁性体であること、しかも軟磁性裏打ち層12の厚みとして100nmもしくはそれ以上のものが必要とされることなどの理由により、膜厚均一性や組成均一性、ターゲット寿命、プロセスの安定性、そして何よりも成膜速度の低さから、量産性や生産性の上で大きな問題を抱えている。
また、高記録密度化のためには、磁気ディスク表面を浮上する磁気ヘッドの浮上高さ(フライングハイト)を極力低くする必要があるが、ドライプロセスにより成膜された比較的厚い膜はその表面平滑性が劣化しがちでヘッドクラッシュの原因ともなってしまう。
このような理由により、厚膜化が容易でしかも研磨加工が可能なメッキ法で、軟磁性裏打ち層12を形成する試みが検討されている(例えば特許文献2参照)。
特開平5−143972号公報 特開2005−108407号公報
軟磁性層をメッキ法により成膜した場合、軟磁性層を構成するメッキ膜面の数mmから数cmの範囲にわたり特定の方向に磁性を帯びた磁区が多数発生し、それら磁区の界面には磁壁が発生する。このような磁壁を有する軟磁性層を裏打ち層として垂直二層式磁気記録媒体用ハードディスクに用いた場合、磁壁部分より発生する漏れ磁界によりスパイクノイズやマイクロスパイクノイズと呼ばれる孤立パルスノイズが発生し、信号再生特性が大きく損なわれる可能性がある。
そこで、本発明者らは、簡便な方法にて優れた特性を有する垂直二層式磁気記録媒体を得るべく、メッキ法により軟磁性膜を形成する条件ならびに適用可能な軟磁性膜の種類について鋭意研究を重ね、磁気記録媒体を形成する基板上に無電解メッキ法にてCo、Ni、Feの群から選択される2種以上の金属からなる合金からなり、かつ、基板の面内周方向に異方性を有する軟磁性膜を裏打ち層として用いると、軟磁性膜中での磁壁の発生が抑制され、スパイクノイズの低減に有効であることを見出した(特許文献2)。
ここで、「異方性」とは、面内径方向の磁化飽和磁場強度(Hd)と面内周方向の磁化飽和磁場強度(Hc)との差(δH=Hd−Hc)を意味し、δHが正の場合(Hd−Hc>0)には面内径方向が磁化容易方向であり、δHが負の場合(Hd−Hc<0)には面内周方向が磁化容易方向であることを意味する。
しかしながら、特許文献2に記載の軟磁性膜を裏打ち層として備える垂直磁気記録媒体においても、スパイクノイズが高記録密度の垂直磁気記録媒体として実用上問題のないレベルで低減されているわけではない。
本発明者らはスパイクノイズの起源について更に鋭意検討を行った結果、メッキ湿式プロセスに由来する液性成分やガス中成分がノイズの一因になっているとの知見を得た。垂直二層式磁気記録媒体用の軟磁性裏打ち層をメッキ法により成膜した場合、この軟磁性裏打ち層には湿式メッキプロセスに由来する種々の成分(不純物やガス成分、液性成分)が取り込まれる。本発明者らは、これらの成分のうち、メッキ浴中に添加した還元剤などに由来するB,P,C,Sなどの不純物は軟磁性膜の磁気特性に概ね良好な軟磁気特性をもたらすものである一方、ガス成分や液性成分が軟磁性裏打ち層に取り込まれると磁気記録媒体のノイズ発生原因となることを見出した。
本発明は、メッキ成膜された軟磁性裏打ち層中に含有されるノイズ発生要因成分を低減させた垂直磁気記録媒体用基板を提供し、当該軟磁性裏打ち層上に形成された磁気記録層の低ノイズ化を図り、良好な信号生成特性を有する垂直磁気記録媒体を提供することを目的とする。
本発明は、かかる課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、磁気記録媒体用基板であって、直径90mm以下の円板形状を有する非磁性基板と、該基板の主面上に設けられた軟磁性裏打ち層とを備え、前記軟磁性裏打ち層は、CoとNiとFeからなる群から選択される少なくとも2種の元素と、BとCとPとSからなる群から選択される少なくとも1種の元素とを含有するメッキ層であり、前記メッキ層は、メッキ成膜後の熱処理の履歴を2回以上有していることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の磁気記録媒体用基板において、前記メッキ層の層厚は、150nm〜1000nmであり、前記熱処理温度は100〜350℃の温度範囲であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の磁気記録媒体用基板において、前記非磁性基板はシリコンウエーハであり、前記基板主面と前記メッキ層との間に、NiまたはNiPの下地メッキ層を備えていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の磁気記録媒体用基板において、前記下地メッキ層の層厚は、10nm〜1000nmであることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板において、前記軟磁性裏打ち層の表面粗さが、Ra値で0.4nm以下であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、磁気記録媒体であって、請求項1乃至5の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板の軟磁性裏打ち層上に磁気記録層が設けられていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、磁気記録媒体用基板の製造方法において、直径90mm以下の円板形状を有する非磁性基板の主面上に軟磁性裏打ち層を形成する無電解メッキ工程と、該無電解メッキ工程後の熱処理工程とを備え、前記無電解メッキ工程は、CoとNiとFeからなる群から選択される少なくとも2種の金属イオンおよびBとCとPとSからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含有するメッキ浴中に前記基板を浸漬させて前記軟磁性裏打ち層のメッキ成膜が実行され、前記熱処理工程は、100〜350℃の温度で実行されることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法において、前記熱処理工程は、150〜300℃の温度で実行されることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項7または8に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法において、前記軟磁性裏打ち層のメッキ成膜後の研磨工程を備え、前記熱処理工程は、前記研磨工程前に実行される第1の熱処理工程と、前記研磨工程後に実行される第2の熱処理工程とを備えていることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法において、前記第2の熱処理工程の処理温度は、前記第1の熱処理工程の処理温度よりも30℃以上高く設定されていることを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項9または10に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法において、前記第1および第2の熱処理工程の少なくとも一方を、100Oe〜5kOeの磁場印加環境下で実行することを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、請求項7乃至11の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法において、前記熱処理工程は、清浄化された大気中または不活性ガス雰囲気中、もしくは真空中で実行されることを特徴とする。
請求項13に記載の発明は、請求項7乃至12の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法において、前記基板としてシリコンウエーハが選択され、前記無電解メッキ工程に先立ち、Niイオンを含有するメッキ浴もしくはNiイオンを含有する浴に燐系還元剤を添加したメッキ浴中に前記シリコンウエーハを浸漬させてNiまたはNiPの下地メッキ層を成膜する工程を備えていることを特徴とする。
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法において、前記下地メッキ層の成膜工程に先立ち、前記シリコンウエーハ表面上の酸化膜を除去する基板表面処理工程を備えていることを特徴とする。
本発明の磁気記録媒体用基板に設けられる軟磁性裏打ち層は、メッキ湿式プロセスに由来する液性成分やガス中成分の含有量を大幅に低減させたので、磁壁発生が抑制され、磁気記録層からのスパイクノイズ低減を図ることが可能となるとともに、ヘッド磁束の増大により良好な書き込み特性を有する高記録密度の磁気記録媒体が得られる。
また、本発明の磁気記録媒体用基板は、軟磁性裏打ち層が湿式の無電解メッキにより成膜されるものであるため、蒸着法等によるドライプロセス成膜に比較して製造プロセスが大幅に簡便化され、かつ、生産性にも優れている。
さらに、軟磁性裏打ち層のメッキ成膜後に研磨を施すことにより、その膜厚および表面平坦性を制御することが可能なため、ヘッド浮上特性に優れた磁気記録媒体の製造に適する。
以下に、図面を参照して本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本発明の磁気記録媒体用基板は垂直磁気記録用のもので、軟磁性裏打ち層上に磁気記録層を形成することで、垂直二層式磁気記録媒体としてのハードディスクが得られる。すなわち、本発明の磁気記録媒体用基板は、図2に示したように、非磁性基板11上に電解メッキにより成膜された軟磁性裏打ち層12が設けられている。そして、この軟磁性裏打ち層12上に垂直磁気記録用の磁気記録層13を形成し、さらに、保護層14および潤滑層15を順次積層することで、本発明の磁気記録媒体が得られる。なお、図3に示したように、非磁性基板11としてSi基板を用いる場合には、軟磁性裏打ち層12との間に、NiまたはNiPの下地メッキ層(核付け膜)16を設ける。
以下に、各層ごとの構成を順次説明する。
非磁性基板11:本発明の磁気記録媒体用基板に用いられる非磁性基板としては、従来から磁気記録媒体の製造に用いられているアルミ基板にNi−P無電解メッキを施した基板やガラス基板の他、Si基板を用いることができる。なお、ガラス基板を用いる場合には、スパッタ法などにより予め導電性の膜を付与することが必要である。
また、Si基板は必ずしも単結晶基板である必要はないが、単結晶Si基板を用いると表面の原子配列が面内で一様でありメッキ工程における表面化学的状態や表面電位状態も面内で均質となるという利点がある。つまり、非磁性基板11として単結晶Si基板を用いると、後述するNiやNiPの下地メッキ層(核付け膜)16を成膜する際に単結晶Si基板11上への直接置換メッキが可能であり、しかも、メッキ不均一に起因する磁気的な不均一を抑制できるという利点がある。以下では、非磁性基板11が単結晶Si基板であるとして説明する。
単結晶Si基板は、CZ(チョコラルスキー)法あるいはFZ(フローティングゾーン)法により結晶育成されたものが容易に入手可能であり、基板の面方位に特に制限はなく、(100)、(110)あるいは(111)などの任意の面方位であってよい。また、基板中に含まれる不純物として、Siとの原子比で10%程度(〜1022atoms/cm3)のドナーやアクセプターあるいは酸素、炭素、窒素といった軽元素を含んでいてもよい。
なお、非磁性基板11が単結晶Si基板であるか否かを問わず、本発明においてはその基板直径は90mm以下とされる。これは、後述の軟磁性裏打ち層12の電解メッキ成膜工程において、基板面上に均質なメッキ液の流れを形成するためである。この点は後述する。
Si基板の表面処理:上述したように、本発明の非磁性基板11としてSi基板を用いる場合には、Si基板11と軟磁性裏打ち層12との間に下地メッキ層16を設ける。このため、下地メッキ層16の成膜に先立ち、Si基板11の表面活性化処理が施される。この表面活性化処理により、その後の下地メッキ層の置換メッキが容易化されて膜の密着性が高まる。
この表面活性化処理は、Si基板11の表面に自然形成された酸化膜の除去が主たるものであるが、この処理の過程でSi基板11の極表面のSi原子がエッチングされて基板表面が化学的に活性化される。
このエッチング処理は、酸処理やアルカリ処理あるいは電解処理といった種々の手法によることが可能である。たとえば、苛性ソーダなどのアルカリ水溶液を用いてエッチングを施す場合には、アルカリ濃度2〜60重量%の水溶液を液温30〜100℃とし、Si基板の表面酸化膜を除去するとともにSi基板の表面を僅かに腐食させる。
下地メッキ層16:下地メッキ層16は、上記の表面活性化処理が施されたSi基板の表面に、NiまたはNiPを置換メッキすることで成膜される。下地メッキ層16をNi層とする場合には、元素成分で0.01N以上、好ましくは0.05〜0.3NのNiイオンを含むメッキ液を用い、このメッキ液中にSi基板11を浸漬させてメッキ成膜する。また、下地メッキ層16をNiP層とする場合には、燐(P)系還元剤を上記のメッキ液に添加してメッキ成膜を実行する。なお、このようにして得られたNi層やNiP層の表面を、Cu膜やPd膜あるいはAu膜などで修飾するようにしてもよい。
下地メッキ層16の厚みは、10〜1000nmが好ましく、より好ましくは50〜700nmである。これは、下地メッキ層16が10nmより薄いと、その後の軟磁性裏打ち層12のメッキ工程において、金属(合金)の多結晶粒径が不均一となりやすく、1000nmよりも厚いと結晶粒が肥大化してしまうためである。
軟磁性裏打ち層12:軟磁性裏打ち層12は、無電解メッキとして知られる一般的な方法で成膜した後に、このメッキ膜を所定の厚みまで研磨して150〜1000nmとする。
このような厚み範囲とするのは、軟磁性裏打ち層12の厚みが1000nmよりも厚いと、後述の熱処理工程で膜中に取り込まれた液性成分やガス成分の脱離が困難となること、および、ハードディスクを信号再生させた際に、軟磁性裏打ち層12から発生する磁気的ノイズが大きくなり、記録媒体としてのS/N特性の低下を招き易くなるためであり、150nm未満の厚みとすると、軟磁性特性が下地メッキ層16の影響を受け易くなること、および、磁気記録層13の下地としての磁気透過特性が不十分となって記録媒体としてのオーバーライト特性が低下してしまうためである。
無電解メッキ浴としては、硫化物浴または塩化物浴の何れを用いることも可能であり、その浴中に含有される金属種としても種々のものを採用し得るが、メッキ膜の磁気特性を軟磁性膜としてのものとすると同時にその結晶構造を立方晶とする必要から、Co、Ni、Feからなる群から選択される少なくとも2種の元素を含有する金属塩含有のメッキ浴が選ばれる。このような金属元素選択とするのは、Co、Ni、およびFeは何れも無電解メッキが可能であるものの、単独元素のメッキ膜からは良好な軟磁気特性得ることが困難なためである。具体的な浴組成としては、例えば、硫酸ニッケルと硫酸コバルト混合浴、あるいは硫酸鉄を含む混合浴などが例示され、その好ましい濃度は0.01〜0.5Nである。なお、メッキ浴の温度は40〜100℃の範囲に設定することが好ましい。
また、このようなメッキ浴には、BとCとPとSからなる群から選択される少なくとも1種の元素がメッキ膜中に有意に含有されるように、必要に応じて、浴に含まれる金属イオンに応じた還元剤が添加される。このような還元剤としては、例えば、次亜燐酸(H2PO2)やジメチルアミンボラン(DMAB:(CH32HNBH3)などがある。メッキ膜中に、B、C、P、およびSのうちの少なくとも1種の元素を含有させるのは膜の軟磁気特性を考慮してのものであり、これらの元素の少なくとも1種を有意に含有させる点は、スパッタリング法などの乾式成膜法との大きな相違点である。
なお、無電解メッキ工程中の基板表面近傍におけるメッキ液の流れ方は、得られる軟磁性メッキ膜の磁気異方性に影響を及ぼす。また、被メッキ基板の直径が90mmを超えると基板面に均質なメッキ液の流れを形成することが困難となる。したがって、メッキ成膜時の液循環を調整したり、パドル等の攪拌子を用いてメッキ液を攪拌したり、あるいは被メッキ基板を自公転させたりすることでメッキ浴中の液流を調整することが好ましい。これらのうち、浴中で被メッキ基板を自公転させる方法は、液流速を適切なものとするのに簡便かつ効果的な方法である。したがって、浴中での被メッキ基板の自公転と、メッキ液の循環や攪拌とを適宜組み合わせることでメッキ浴中の液流が調整される。なお、本発明者らの実験結果によれば、自公転速度は10rpm〜100rpmとすることが好ましく、より好ましくは20rpm〜80rpmである。
軟磁性膜の研磨:軟磁性膜のメッキ成膜後の研磨工程は、コロイダルシリカやセリアなどの無機微粒子を用いた両面バフ研磨で行われ、表裏面の軟磁性膜の厚み調整と同時に表面粗さ制御も兼ねるものである。この工程は、基本的にはSi単結晶ウエハの研磨加工と同じであり、軟磁性膜への研磨ダメージを最小にしつつ両面膜厚を調整し、清浄で表面平滑性に優れた研磨加工が施される。磁気ヘッドの低浮上性確保の観点からは、研磨後の軟磁性膜面は平滑であるほどよいが、ヘッド浮上安定性を勘案すると、Ra値で0.4nm以下であれば充分である。Ra値がこの値を超えると、磁気ヘッドを低浮上(10nm以下)で飛ばすことが難しくなる。
軟磁性膜の熱処理:本発明においては、メッキ成膜された軟磁性膜に熱処理を施すことで、メッキ工程に膜中に取り込まれた液性成分やガス成分を脱離させて膜中濃度の低減化が図られる。このような成分脱離により、軟磁性膜の磁気的特性のみならず、耐食性が向上する。
熱処理温度は、高すぎると軟磁性膜の結晶粒径(平均的には5〜8nmと考えられる)が肥大化して磁気特性が劣化(例えば保磁力Hcが増大)する結果をもたらしてしまうため、350℃以下とすることが好ましい。また、液性成分や残留ガスの脱離のために必要な温度は100℃程度と考えられるが、液性成分(例えば水やメッキ液など)が単純に空孔や欠陥に捕獲されているとは限らず、結晶水のような形態で取り込まれている場合もあるため、100℃以上の温度とすることが好ましい。より好ましい温度範囲は、150〜300℃である。
この熱処理の回数や温度は、成膜された軟磁性膜の厚みや組成などにより適切に選択されることとなるが、上述の研磨工程前に実行される第1の熱処理と、この研磨工程後に実行される第2の熱処理との、少なくとも2回に分けると効果的である。この場合、第1および第2の熱処理工程の少なくとも一方は、100Oe〜5kOeの磁場印加環境下で実行することが好ましい。
図4は、メッキ成膜後に第1の熱処理工程を設け、軟磁性膜の研磨工程の後に第2の熱処理工程を設けた場合の、磁気記録媒体用基板の製造プロセス例を説明するためのフローチャートで、基板として単結晶Siウエーハを用い、表面活性化処理(S11)の後に下地メッキ層の成膜を行い(S12)、この上に軟磁性膜をメッキ成膜する(S13)。
第1の熱処理(S14)においては、軟磁性メッキ膜は研磨加工(S15)の前であり、その厚みが比較的厚いため、膜中には多くの液性成分やガス成分が含有されている。したがって、これらの成分の脱離によって膜中に構造的な欠陥が生じないように比較的緩やかな条件で実行することが重要である。このような理由により、第1の熱処理温度は、第2の熱処理(S16)の温度よりも低く設定することが好ましい。例えば、第1の熱処理温度は、100℃から250℃で行えば液性成分やガス成分は概ね脱離させることができ、メッキ膜強度を上げることができる。これにより熱処理後のメッキ膜研磨加工における剥離を低減させることが可能となる。第2の熱処理温度は、第1の熱処理工程の処理温度よりも30℃以上高くすることにより、加工ダメージの緩和がより効果的に行われる。例えば、第2の熱処理温度を150℃から300℃で行うことが好ましい。
熱処理工程を複数の工程に分けると、それぞれの熱処理工程の処理条件を緩やかなものとすることが可能なため、軟磁性膜に与えるダメージ抑制され、また、成分脱離に起因する構造的欠陥も生じ難く、さらには、研磨加工後の熱処理により研磨に伴う膜中の加工ダメージの緩和も可能となるなどの利点がある。
なお、これらの第1および第2の熱処理の少なくとも一方を、磁場印加環境下で実行すると、軟磁性膜に磁気的な異方性を付与したり、あるいは、メッキ成膜工程での基板自公転条件との組み合わせにより軟磁性膜を磁気的に等方性とすることが可能である。
熱処理工程の雰囲気は、好ましくない成分を脱離させるという観点からは、清浄化処理が施された大気でよい。しかし、大気雰囲気中で熱処理を施すと、雰囲気中の酸素によって軟磁性膜表面上に酸化膜が形成されるおそれがある。したがって、このような酸化膜の形成を回避したい場合には、不活性ガス雰囲気(例えば、Arガス雰囲気)中で熱処理を施すことが好ましい。なお、真空中で熱処理することも可能である。しかし、真空中で熱処理する場合には、脱離する成分の急激な増大により膜中に構造的な欠陥を発生させる可能性があることに留意する必要がある。具体的には、昇温の際のランピング速度を緩やかなものとして欠陥発生を抑制するなどが必要となる。
磁気記録層13:軟磁性裏打ち層12の上に設けられる磁気記録層13は、垂直磁化記録を行うための硬磁性材料からなる。なお、この磁気記録層13は、軟磁性裏打ち層12の上に直接形成してもよいが、結晶粒径および磁気特性の整合をとるなどのために、必要に応じて、種々の中間膜を設け、この中間膜上に形成するようにしてもよい。中間膜としては、例えばRu膜などが用いられる。また、中間膜を複数層積層させるようにしてもよい。
磁気記録層13の組成は、層面に垂直な方向に磁化容易な磁区を形成可能な硬磁性材料であれば特別な制限はない。スパッタ法成膜する場合には、たとえば、Co−Cr系合金膜、Fe−Pt合金膜、CoCr−Siグラニュール膜、Co/Pd多層膜などを用いることができる。また、湿式法により成膜する場合には、たとえば、Co−Ni系メッキ膜やマグネトプランバイト相よりなるバリウム・フェライトの塗布膜などを用い得る。
磁気記録層13の厚みは、概ね5〜100nm程度が好ましく、より好ましくは10〜50nm程度である。また、磁気記録層13は、その保磁力が、好ましくは0.5〜10キロエルステッド(kOe)となるように成膜され、より好ましくは3〜6キロエルステッド(kOe)となるように成膜される。
保護層14および潤滑層15:磁気記録層13の上面に設けられる保護層14は、従来の磁気記録媒体に用いられてきた材料で形成することができる。たとえば、スパッタ法やCVD法により形成される非晶質カーボン系の保護膜をはじめ、アルミナ(Al23)などの結晶質の保護膜を用いることができる。また、この保護層14の上面に設けられる潤滑層15もまた、従来の磁気記録媒体に用いられてきた材料を塗布して形成することができ、その剤種及び塗布方法についての制限は特にない。たとえば、フッ素系油脂を塗布して単分子膜を形成するなどにより潤滑層15を形成する。なお、これら保護層14および潤滑層15の厚みは何れも、例えば2〜20nm程度とされる。
以下に、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例)本実施例では、非磁性基板として単結晶Si基板を用いた。CZ法で結晶育成された直径200mm(8インチ)のSi単結晶から、コア抜き、芯取り、およびラッピングを行い、直径65mmの(100)Si単結晶の板(Pドープのn型)を得た。このSi単結晶の板を、平均粒径15nmのコロイダルシリカを含有するスラリーを用いて両面研磨し、表面粗さ(Rms)4nmのSi基板を得た。なお、Rmsは平方平均粗さ(2乗平均表面粗さ)であり、AFM(原子間力顕微鏡)を用いて測定した。
このSi基板を、2質量%の苛性ソーダ水溶液(液温45℃)に3分間浸漬して基板表面の薄い表面酸化膜を除去するとともに、極表面のSiをエッチングする表面活性化処理を行い、引き続いて、0.1Nの硫酸ニッケル水溶液に硫酸アンモニウムを0.5N添加した下地メッキ浴を調合して液温80℃に保持した浴中に5分間浸漬して下地Niメッキ層を得た。
次に、硫酸アンモニウム0.2N、硫酸ニッケル0.02N、硫酸コバルト0.1N、硫酸鉄0.01N、還元剤としてジメチルアミンボラン0.04N含むメッキ液を調合し、この液温を65℃となるように加熱・保持した。なお、液温を65℃としたのは、軟磁性裏打ち層を無電解メッキする際の膜成長速度を0.1μm/minとするためである。
図5は、上記のメッキ浴を用いて軟磁性膜をメッキ成膜する際の様子を説明するための概念図で、メッキ浴18を溜めた浴槽17を、磁石から発生する磁力線20がメッキ浴18中を通るように、永久磁石磁気回路のN極19aとS極19bとの間に配置し、このメッキ浴18に下地メッキ層を形成したSi基板10を浸漬させ、Si基板10面と磁力線20の成す角度が概ね垂直となるように450〜600エルステッド(Oe)の外部磁場を印加した。
この磁場印加環境下で、Si基板10を60rpmで自転させながら20分間の無電解メッキを行って、下地メッキ層上に、Ni−Co−Feを主成分としS,C,Bを含有する厚み1200nmの軟磁性膜を得た。
このようにして得られた軟磁性膜は、その磁化容易軸が面内径方向であり、面内径方向の磁化飽和磁場強度(Hd)と面内周方向の磁化飽和磁場強度(Hc)との差(δH=Hd−Hc)が概ね20エルステッドの異方性が得られた。また、保磁力も略5エルステッド(Oe)以下であり、良好な軟磁気特性を示した。
この軟磁性膜を設けたSi基板に、Arガス雰囲気中で1時間、120℃、150℃、および200℃の3通りの温度で第1の熱処理を施して膜中の液性成分やガス成分の脱離を行い、続いて、コロイダルシリカを懸濁させたスラリーを用いて軟磁性膜の膜厚を約600nmに調厚する研磨を施し、これを軟磁性裏打ち層とした。なお、研磨後の2乗平均表面粗さ(Rms)は0.4nmであった。この軟磁性裏打ち層に、Arガス雰囲気中で周方向に500Oeの磁場を、径方向に1kOeの磁場を、それぞれの試料に印加しながら、1時間、200℃、250℃、および300℃の3通りの温度で第2の熱処理を施して残留している液性成分やガス成分の更なる脱離を行った。
表1(1Aおよび1B)は、第1の熱処理前(メッキ成膜後)および第2の熱処理後における保磁力(Hc)および第2の熱処理後の表面欠陥検査結果を纏めたものである。何れの条件においても、良好な軟磁性特性が得られており、熱処理後の欠陥発生も認められていない。第2熱処理(磁場中)後の異方性方位やHcは、磁場中熱処理の磁場印加方向により変わるが、Hcはほぼ同じような良好な値が得られた。
Figure 2007164963
Figure 2007164963
このような2段熱処理後の各Si基板を200℃に保持し、軟磁性裏打ち層からのガス発生レベルをGC−MASS装置で調べたところ、何れの基板からも発生ガスは殆ど検出されなかった。したがって、上記の2段熱処理条件により、軟磁性膜中に取り込まれていた液性成分やガス成分は、その殆どが膜中から脱離したものと考えられる。
この軟磁性裏打ち層上に垂直磁気記録層をスパッタ成膜した。スパッタリング条件は、基板温度を180℃に維持した状態で、Co:Cr:Pt=76:19:5(質量%)の組成の磁性膜を厚み15nm成膜して磁気記録層を得た。この磁気記録層の保磁力は、膜面と垂直な方向の保磁力が4.5キロエルステッド(kOe)、膜面と平行な方向の保磁力が500エルステッド(Oe)であった。
この磁気記録層上に厚み10nmのアモルファスカーボンを被覆し、さらにディップ法によりフッ素潤滑膜を塗布して垂直磁気記録媒体を得た。
この垂直磁気記録媒体をスピンスタンドに設置してDCイレーズを実施した後、浮上高10nmのナノスライダーヘッドにより書き込みを実施して再生信号のノイズレベル測定を行った結果、エンベローブパターン中にスパイクノイズは認められなかった。また、そのS/N比の平均レベルは21dBと良好であった。
(比較例)第1および第2の熱処理温度以外の条件を実施例と同様にして軟磁性裏打ち層を得、この膜の第1の熱処理前(メッキ成膜後)および第2の熱処理後における保磁力(Hc)および第2の熱処理後の表面欠陥レベルについて調べた。第2熱処理における磁場は周方向で500Oeである。
表2は、これらの結果を纏めたものである。熱処理条件は、第1熱処理が90℃で第2熱処理が90℃の場合(何れも100℃未満)と、第1熱処理が360℃で第2熱処理が380℃の場合(何れも350℃超)の2通りとした。
Figure 2007164963
第1熱処理が90℃で第2熱処理が90℃の場合の軟磁性裏打ち層は、軟磁性特性(保磁力Hc)や表面欠陥レベルは良好であったものの、膜を200℃の温度に保持してGC−MASS装置で発生ガスを調べたところ、主として水および水素ガスの発生が顕著に認められた。また、この軟磁性裏打ち層上に磁気記録層を形成して垂直磁気記録媒体とした状態では、表面荒れがひどく、磁気ヘッド浮上に支障を来たすほどであった。これは、磁気記録層を成膜する際には真空中で200℃程度にまで基板加熱されるため、この過程で、軟磁性裏打ち層中に残留する成分が急激に脱離することに起因するものと考えられる。
また、第1熱処理が360℃で第2熱処理が380℃の場合の軟磁性裏打ち層においては、第2の熱処理後において保磁力Hcの増加が認められ、また、表面欠陥数も増加していた。この表面欠陥の増加は、熱処理温度が350℃超と高いために、軟磁性膜中に取り込まれていた液性成分やガス成分が熱処理中に急激に脱離することに起因するものと考えられる。また、この軟磁性裏打ち層上に磁気記録層を形成した垂直磁気記録媒体では表面荒れがひどく、磁気ヘッド浮上可能なトラックは僅かで磁気記録媒体としての特性測定そのものが実施できなかった。
本発明は、低ノイズで良好な信号再生特性を有する垂直磁気記録媒体の製造に適する基板およびその製造方法を提供する。
水平磁気記録方式のハードディスクの一般的な積層構造を説明するための断面概略図である。 軟磁性裏打ち層の上に垂直磁気記録のための記録層を設けた垂直二層式磁気記録媒体の基本的な層構造を説明するための断面概略図である。 非磁性基板としてSi基板を用い、下地メッキ層(核付け膜)を設けた、本発明の垂直二層式磁気記録媒体の基本的な層構造を説明するための断面概略図である。 メッキ成膜後に第1の熱処理工程を設け、軟磁性膜の研磨工程の後に第2の熱処理工程を設けた場合の、磁気記録媒体用基板の製造プロセス例を説明するためのフローチャートである。 軟磁性膜をメッキ成膜する際の様子を説明するための概念図である。
符号の説明
1、11 非磁性基板
2 Cr系下地層
3、13 磁気記録層
4、14 保護層
5、15 潤滑層
10 下地メッキ層を形成したSi基板
12 軟磁性裏打ち層
16 下地メッキ層(核付け膜)
17 浴槽
18 メッキ浴
19a,19b 磁石
20 磁力線

Claims (14)

  1. 直径90mm以下の円板形状を有する非磁性基板と、該基板の主面上に設けられた軟磁性裏打ち層とを備え、
    前記軟磁性裏打ち層は、CoとNiとFeからなる群から選択される少なくとも2種の元素と、BとCとPとSからなる群から選択される少なくとも1種の元素とを含有するメッキ層であり、
    前記メッキ層は、メッキ成膜後の熱処理の履歴を2回以上有していることを特徴とする磁気記録媒体用基板。
  2. 前記メッキ層の層厚は、150nm〜1000nmであり、前記熱処理温度は100〜350℃の温度範囲であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体用基板。
  3. 前記非磁性基板はシリコンウエーハであり、前記基板主面と前記メッキ層との間に、NiまたはNiPの下地メッキ層を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記録媒体用基板。
  4. 前記下地メッキ層の層厚は、10nm〜1000nmであることを特徴とする請求項3に記載の磁気記録媒体用基板。
  5. 前記軟磁性裏打ち層の表面粗さが、Ra値で0.4nm以下であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板。
  6. 請求項1乃至5の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板の軟磁性裏打ち層上に磁気記録層が設けられていることを特徴とする磁気記録媒体。
  7. 直径90mm以下の円板形状を有する非磁性基板の主面上に軟磁性裏打ち層を形成する無電解メッキ工程と、該無電解メッキ工程後の熱処理工程とを備え、
    前記無電解メッキ工程は、CoとNiとFeからなる群から選択される少なくとも2種の金属イオンおよびBとCとPとSからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含有するメッキ浴中に前記基板を浸漬させて前記軟磁性裏打ち層のメッキ成膜が実行され、
    前記熱処理工程は、100〜350℃の温度で実行されることを特徴とする磁気記録媒体用基板の製造方法。
  8. 前記熱処理工程は、150〜300℃の温度で実行されることを特徴とする請求項7に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
  9. 前記軟磁性裏打ち層のメッキ成膜後の研磨工程を備え、
    前記熱処理工程は、前記研磨工程前に実行される第1の熱処理工程と、前記研磨工程後に実行される第2の熱処理工程とを備えていることを特徴とする請求項7または8に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
  10. 前記第2の熱処理工程の処理温度は、前記第1の熱処理工程の処理温度よりも30℃以上高く設定されていることを特徴とする請求項9に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
  11. 前記第1および第2の熱処理工程の少なくとも一方を、100Oe〜5kOeの磁場印加環境下で実行することを特徴とする請求項9または10に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
  12. 前記熱処理工程は、清浄化された大気中または不活性ガス雰囲気中、もしくは真空中で実行されることを特徴とする請求項7乃至11の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
  13. 前記基板としてシリコンウエーハが選択され、前記無電解メッキ工程に先立ち、
    Niイオンを含有するメッキ浴もしくはNiイオンを含有する浴に燐系還元剤を添加したメッキ浴中に前記シリコンウエーハを浸漬させてNiまたはNiPの下地メッキ層を成膜する工程を備えていることを特徴とする請求項7乃至12の何れか1項に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
  14. 前記下地メッキ層の成膜工程に先立ち、前記シリコンウエーハ表面上の酸化膜を除去する基板表面処理工程を備えていることを特徴とする請求項13に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
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