JP2000163743A - 磁気ディスク用ガラス基板への無電解Ni−Pめっき層の形成方法 - Google Patents

磁気ディスク用ガラス基板への無電解Ni−Pめっき層の形成方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】非磁性基板としてのガラス基板上に、良好な磁
気ディスクを得るに十分な密着性,均一性を有し、テク
スチャー加工前のポリッシング加工を省くことが可能な
ほどの十分な平滑性を有するNi−P層を形成すること
ができる無電解Ni−Pめっき方法を提供する。 【解決手段】ガラス基板表面に、脱脂処理,エッチング
処理,温純水処理,シランカップリング処理,アクチベ
ーター処理,アクサレーター処理を順次施した後、無電
解Ni−Pめっきを行い、続いて、加熱処理を施してN
i−P層を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、非磁性基板とし
てガラス基板を用いる磁気ディスクの製造において、ガ
ラス基板に無電解めっき法でNi−P層を形成する方法
に関し、詳しくはそのめっきの前後処理法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータなどの情報処理装置
の外部記憶装置として固定磁気ディスク装置が多く用い
られる。この固定磁気ディスク装置に搭載される磁気デ
ィスクは、一般に、ディスク状非磁性基板の表面に無電
解めっき法でNi−P層を形成し、そのNi−P層表面
に所要の平滑化処理,テクスチャリング処理などを施し
た後、その上に非磁性金属下地層,強磁性合金薄膜の磁
性層,保護層,液体潤滑剤層を順次形成することにより
作製される。
【0003】従来、非磁性基板材料としてはアルミニウ
ム系合金が用いられてきた。近年、固定磁気ディスク装
置の高容量化,小型化,軽量化が急速に進んでおり、そ
れに対応して磁気ディスクも従来よりも平坦度が高く、
小径,薄形のものが要求されてきている。このような市
場の要求に対して、従来のアルミニウム系合金からなる
基板では対応が難しく、基板材料としてガラスが用いら
れるようになってきている。
【0004】ところで、ガラス基板に無電解めっき法で
Ni−P層を密着性良く均一,平滑に形成することは技
術的に難しい。良好な磁気ディスクを得るに十分な密着
性,均一性,平滑性を有するNi−P層を形成するため
に、無電解めっきの前後処理として種々の方法が提案さ
れている。
【0005】例えば、塩化パラジウムおよび塩化第一ス
ズを含む水溶液で処理し、次いで炭酸アルカリ水溶液,
炭酸水素アルカリ水溶液,または両者の混合水溶液で処
理した後、無電解めっきを行う方法(特開平1−176
079号公報)、クロム酸−硫酸混合溶液および硝酸溶
液で二段階エッチング処理し、次いで強アルカリ性溶液
でエッチングした後、希薄な塩化第一スズ溶液で増感処
理し、さらに銀塩溶液およびパラジウム塩溶液で活性化
処理した後無電解めっきを行う方法(特開昭53−19
932号公報)、硫酸と重クロム酸塩カリウムの温液で
清浄化した後、塩酸で酸性にした塩化第一スズで増感、
次いで塩化パラジウムの溶液で活性化した後、無電解め
っきを行う方法(特開昭48−85614号公報)、ア
ルカリ脱脂し、フッ化水素酸でエッチングした後、塩化
第一スズの溶液で増感、次いで塩化パラジウムの溶液で
活性化した後、無電解めっきを行う方法などが提案され
ている。
【0006】また、前処理として、ガラス基板をまず十
分に脱脂し、続いてエッチングを行って物理的アンカー
効果を高め、エッチング時に生じ基板表面に付着した異
物を除去し、表面調整工程を施して基板表面を化学的に
均一化し、続いて感受化処理,活性化処理を行った後、
無電解Ni−Pぬっきを行う方法が特開平7−3348
41号公報で開示されている。エッチング液としてはフ
ッ化水素酸とフッ化水素カリウムを含む水溶液を用い、
表面異物除去には塩酸を用い、表面調整にはナトリウム
メトキシドを含む水溶液を用いると好適とされる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ような既知の方法でガラス基板上に形成されたNi−P
層では、良好な磁気ディスクを得るに必要な密着性,均
一性,平滑性を十分に満足することはできなかった。磁
気ディスク用基板として十分な平滑性を有するガラス基
板を用いても、形成されたNi−P層が十分平滑でない
ために、従来と同様に、Ni−P層表面のテクスチャー
加工前にポリッシング加工を施すことが必要であった。
【0008】この発明は、上述の点に鑑みてなされたも
のであって、非磁性基板としてのガラス基板上に、良好
な磁気ディスクを得るに十分な密着性,均一性を有し、
テクスチャー加工前のポリッシング加工を省くことが可
能なほどの十分な平滑性を有するNi−P層を形成する
ことができる無電解Ni−Pめっき方法を提供すること
を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、この発明
によれば、ガラス基板表面に脱脂処理,エッチング処
理,温純水処理,シランカップリング剤処理,アクチベ
ーター処理,アクサレーター処理を順次施した後、無電
解Ni−Pめっきを行い、続いて、加熱処理を施す方法
を採ることによって解決される。
【0010】ガラス基板表面を脱脂して清浄にし、エッ
チングにより既存の酸化膜(O2 膜)を除去したのち、
温純水処理することにより表面に均一に新しい酸化膜
(O膜)が形成される。このようにして表面が酸化膜
(O膜)に覆われたガラス基板表面をガラスとNiおよ
びPを強固に結合するように作用するシランカップリン
グ剤で処理し、続いて、アクチベーター処理,アクサレ
ーター処理を施した後、無電解Ni−Pめっきを行い、
続いて、加熱処理を施すことにより密着性に優れた無電
解Ni−Pめっき層を均一,かつ平滑に形成することが
できる。
【0011】シランカップリング剤処理以降の反応例を
以下に示す。例えば、下記構造式に示すような
【0012】
【化1】 アミノ系シランカップリング剤をガラス基板表面に接触
させると、ガラス基板表面と反応(3H2 O加水分解)
して、
【0013】
【化2】 続いて、アクチベターとして、例えばPdCl2 を用い
て、PdCl2 水溶液でアクチベター処理を行うと、
【0014】
【化3】 続いて、アクサレーターとして、例えば次亜リン酸ナト
リウムを用いて、次亜リン酸ナトリウム水溶液でアクサ
レーター処理を行うと、
【0015】
【化4】 続いて、無電解Ni−Pめっきを行うと、Niは
【0016】
【化5】 のように反応付着し、続いて加熱処理を行うと
【0017】
【化6】 のように反応してNiがガラス表面に強固に付着する。
Pについても、前記二式においてNiがPに替わるだけ
で同様にガラス表面に強固に付着する。
【0018】上記のような反応作用によりガラス基板表
面に密着性良く,均一,平滑なNi−P層が形成され
る。温純水処理は温度約90℃以上の温純水により約1
分間以上行うことが望ましい。
【0019】シランカップリング剤としてはアミノ系シ
ランカップリング剤が好ましい。また、アクチベーター
としては塩化パラジウム、アクサレーターとしては次亜
リン酸ナトリウムが好適に用いられる。また、加熱処理
は200℃以上290℃以下の温度で約15分以上行う
ことが望ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】ガラス基板表面を、例えばKOH
によりアルカリ脱脂して表面に付着している油脂その他
の汚染物を除去し、続いて、例えばHFにより酸エッチ
ングを行って既存の酸化膜(O2 膜)を除去する。この
ようにして清浄化されたガラス基板表面を約90℃以上
の温純水により約1分間以上処理して酸化膜(O膜)を
新たに形成したのち、例えばアミノ系シランカップリン
グ剤で処理する。続いて、表面を例えば塩化パラジウム
水溶液で活性化処理(アクチベーター処理)し、さら
に、例えば次亜リン酸ナトリウム水溶液で反応促進化処
理(アクサレーター処理)した後、無電解Ni−Pめっ
き処理を行ってNi−Pめっき層を成膜し、続いて20
0℃以上290℃以下の温度で約15分以上の加熱処理
を施す。このようにして、ガラス基板上に良好な磁気デ
ィスクを得るに必要な密着性,均一性,平滑性を十分に
有するNi−P層を形成することができる。
【0021】
【実施例】以下、この発明の具体的な実施例について説
明する。 実施例1 ガラス基板として結晶化ガラス板を用い、その表面に下
記表1に示す工程および条件で無電解めっき法でNi−
P層を成膜する。
【0022】
【表1】 続いて、下記表2に示す条件で加熱処理を行った。
【0023】
【表2】 上述のようにしてNi−P層を無電解めっきされ加熱処
理を施された各ガラス基板について、Ni−P層の密着
性を碁盤目試験(JIS K 5400 6.15によ
る)により評価した。その結果を表3に示す。
【0024】
【表3】 表3に見られるように、表1の工程,条件で無電解めっ
きし、温度200℃以上で15分間以上加熱処理するこ
とにより、ガラス基板上に無電解めっきで密着性の優れ
たNi−P層が形成されることが判る。
【0025】また、表面粗さ計でガラス基板のめっき前
表面粗さとめっき後の表面粗さとしてそれぞれ中心線平
均粗さRa および最大高さRmax を評価し、さらに、め
っき後の表面状態を調べたところ、表4に示す結果が得
られた。
【0026】
【表4】 表4に見られるように、めっき後においても表面粗さは
ほとんど変化せず、また表面欠陥の発生も認められなか
った。
【0027】実施例2 ガラス基板として強化ガラスを用い、実施例1と同様
に、表1に示した工程,条件でNi−P層を無電解めっ
きし、続いて温度280℃で1時間熱処理を行って、ガ
ラス基板上にNi−P層を形成した。
【0028】このようにして無電解めっきでNi−P層
の形成されたガラス基板について、実施例1に準じて密
着性を評価したところ実施例1と同様に良好であった。
また、ガラス基板のめっき前の表面粗さとめっき後の表
面粗さも実施例1と同様ほとんど変わらなかった。さら
に、めっき後の表面状態を評価したところ、表5に示す
結果が得られた。
【0029】
【表5】 表5に見られるように、強化ガラス基板においても無電
解めっきで密着性,表面状態ともに良好なNi−P層が
形成できることが判る。
【0030】
【発明の効果】この発明によれば、ガラス基板表面に脱
脂処理,エッチング処理,温純水処理,シランカップリ
ング剤処理,アクチベーター処理,アクサレーター処理
を順次施した後、無電解Ni−Pめっきを行い、続い
て、加熱処理を施すことにより、ガラス基板上に、良好
な磁気ディスクを得るに十分な密着性,均一性を有し、
テクスチャー加工前のポリッシング加工を省くことが可
能なほどの十分な平滑性を有するNi−P層を形成する
ことが可能となる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラス基板表面に脱脂処理,エッチング処
    理,温純水処理,シランカップリング剤処理,アクチベ
    ーター処理,アクサレーター処理を順次施した後、無電
    解Ni−Pめっきを行い、続いて、加熱処理を施すこと
    を特徴とする磁気ディスク用ガラス基板への無電解Ni
    −Pめっき層の形成方法。
  2. 【請求項2】温純水処理が温度約90℃以上の温純水に
    よる約1分間以上の処理であることを特徴とする請求項
    1記載の磁気ディスク用ガラス基板への無電解Ni−P
    めっき層の形成方法。
  3. 【請求項3】シランカップリング剤がアミノ系シランカ
    ップリング剤であることを特徴とする請求項1または2
    記載の磁気ディスク用ガラス基板への無電解Ni−Pめ
    っき層形成方法。
  4. 【請求項4】アクチベーターが塩化パラジウムであるこ
    とを特徴とする請求項1,2,3のいずれかに記載の磁
    気ディスク用ガラス基板への無電解Ni−Pめっき層形
    成方法。
  5. 【請求項5】アクサレーターが次亜リン酸ナトリウムで
    あることを特徴とする請求項1,2,3,4のいずれか
    に記載の磁気ディスク用ガラス基板への無電解Ni−P
    めっき層形成方法。
  6. 【請求項6】加熱処理が温度200℃以上で15分間以
    上の処理であることを特徴とする請求項1,2,3,
    4,5のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板へ
    の無電解Ni−Pめっき層の形成方法。
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