明 細 書
リチウムイオン二次電池用ポリマー及びそれを用いたリチウムイオン二次 電池
技術分野
[0001] 本発明は、リチウムイオン二次電池用ポリマー及びそれを用いたリチウムイオン二 次電池に関するものである。
背景技術
[0002] 携帯機器の小型高性能化と HEV等新規用途の拡大に伴!、、リチウムイオン二次 電池は高容量ィ匕と高出力化の 2極ィ匕が進行している。いずれの局面でも、電池内部 で発生する熱量の増カロと放熱性の低下が著しい環境が電池内部で形成されており、 安全性を確保する為には、電池材料の熱安定性向上が必要となっている。
[0003] 電池材料の熱安定性向上については、活物質では元素置換や粉末物性の制御が 、電解液ではイオン性溶媒を始めとする難燃性溶媒等が数多く検討されている。
[0004] し力しながら、セパレータにつ 、ては、高容量ィ匕では薄型化が望まれる反面、耐熱 性についても改善要望が高ぐシャットダウン等のセパレータの安全機能を保持した ままで薄型化を進めることが困難であった。特に薄型化に際しては、高温化での収縮 が大きくなることが問題となっており、セパレータの耐熱性向上と薄型化のバランスを 図ることが困難で、例えば、ポリプロピレン (PP)等の耐熱性榭脂をポリエチレン (PE) と積層構造にすると熱安定性は向上するが、張り合わせる厚みの問題や、製法上の 関係で、孔径ゃ気孔率等の物性が大きく変化し、従来セパレータと同等の性能を出 すことが難しい。
[0005] この他にポリエチレン(PE)製セパレータを用いたゲルポリマー電池として、ゲル電 解質によるセパレータ /電極間の接着性を保持し、収縮を抑制する手法が報告され ているが、ゲルポリマーは電解液電池と比較して、イオン伝導性に劣る為、接着によ るセパレータの熱収縮抑制効果は高 、ものの、高容量化には含液やハイレート放電 の面で不利となっており、巿場で要求される性能を満たすことは困難である。
[0006] またセパレータ /電極の密着性向上によるセパレータの熱収縮防止については、電
解液中で接着性を確保するためには、電解液に対して溶解の少な!ヽポリマーを使用 することが必要である力 この場合、ポリマー層のイオン伝導性が低くなり電池特性の 低下が顕著となる。これに対してゲルィ匕容易なポリマー電解質を用いた場合には、電 解液に溶解し易く十分な接着力が得られない。
[0007] このような背景のもと、エポキシ基或いはォキセタニル基を有するポリマーとして、特 許文献 1、特許文献 2にゲル電解質としての出願、特許文献 3、特許文献 4にセパレ ータの短絡防止としての出願、特許文献 5にセパレータに塗布して電極とセパレータ の接着に関する出願がなされている。
[0008] 特許文献 1、特許文献 2では、電池内電解液が全てゲル化される電池内重合方式 を、特許文献 3、特許文献 4ではエポキシ基或いはォキセタ-ル基を含む架橋性の 基を有するポリマーを予めセパレータに塗布または含液させたものに硬化剤を含む 電解液を注液し、架橋させてゲル電解質として用いる手法を採用することで、架橋ポ リマーによる補強効果でセパレータの熱収縮抑制を目的としている。し力しながら、前 者ではイオン伝導性の低下による充放電特性の低下、後者では、ポリマー総量が電 解液に対して低いことから、接着性の低下とポリマーの電解液中への溶解が問題で あり、高温保存等でガス発生が増加する問題があった。
[0009] また、特許文献 5にもポリマーをセパレータに塗布して電極とセパレータを接着する ことが開示されているが、これも電解液が注液された際に、ポリマーが電解液に溶解 するため十分な接着効果を発現し難!ヽ。
[0010] 電池内重合方式を採用したポリマー電池は他にも幾つか開示されている力 前述 の通り、電池内全ゲル型電池はイオン伝導性に乏しぐ特に高容量化電池では十分 な充放電性能を引き出すことが難しい。また、特許文献 3、特許文献 4、特許文献 5等 のように架橋性のポリマーをセパレータ上に塗工して、架橋剤を含む電解液を注入し て接着効果を得る方法が記載されて ヽるが、充放電性能から電解液に親和性の高 いポリマーを、量を少なく(薄膜)として用いる必要があるため、架橋剤を含む電解液 が注入された際に架橋前に電解液に溶解し、十分な接着効果が得られない上に、溶 解したポリマーが電池の充放電性能に悪影響を与えるという課題があった。
特許文献 1 :特開 2001— 176555号公報
特許文献 2:特開 2002— 110245号公報
特許文献 3 :特開 2003— 142158号公報
特許文献 4:特開 2003— 142159号公報
特許文献 5:特開 2004— 185920号公報
発明の開示
[0011] 本発明の目的は、リチウムイオン二次電池の正極及び負極と、それらの間に配置さ れるセパレータを接着させるためのポリマーであって、電池特性を低下させることなく 、セパレータの熱収縮を抑制することができ、より薄いセパレータを使用可能にするリ チウムイオン二次電池用ポリマー及びそれを用いたリチウムイオン二次電池を提供す ることにめる。
[0012] 本発明の第 1の局面に従うリチウムイオン二次電池用ポリマーは、正極、負極及び 電解液を備えるリチウムイオン二次電池の正極及び負極と、それらの間に配置される セパレータとを接着させるためのポリマーであって、(A)カチオン重合性を有するモノ マーユニットと、(B)電解液に対する親和性を付与するモノマーユニットと、(C)電解 液に対する難溶性を付与するモノマーユニットと、 (D)ァ-オン性及びノ-オン性の 親水基を含むモノマーユニットとを含み、乳化重合または懸濁重合によるラジカル重 合によって得られるポリマーであり、次式で定義されるエチレンカーボネート (EC)と ジェチルカーボネート (DEC)の混合溶媒〔EC: DEC = 5: 5 (重量比)〕への溶出率 が 10重量%以下であることを特徴としている。
[0013] ·溶出率 (重量%) = (混合溶媒に溶出されたポリマー重量 Z総ポリマー重量) X 10 0
[0014] モノマーユニット(C)は、例えば、ポリマー中において部分架橋しているユニットで あることが好ましい。このようなポリマーユニットとして、多官能ラジカル重合性モノマ 一により架橋しているモノマーユニット(C )が挙げられる。モノマーユニット(C )の具
1 1 体例としては、以下の式 1で表される多官能ラジカル重合性モノマーによるモノマー ユニットが挙げられる。
[0015] [化 1]
R1
(CH2=C-C00) 2~4- (X) (式 1)
[0016] (式中、 R1は—Hまたは—CHを表わし、 Xは水酸基化合物の残基を表わす。 )
3
また、本発明における他のモノマーユニット(C)として、難溶性の炭化水素基を有 するラジカル重合性モノマーによるモノマーユニット(C )が挙げられる。このようなモ
2
ノマーユニット(C )の具体例としては、以下の式 2で表されるラジカル重合性モノマー
2
によるモノマーユニットが挙げられる。
[0017] [化 2]
R2
CH2=C-C00R3 (式 2)
[0018] (式中 R2は、— Hまたは— CHを表わし、 R3は炭素数 8以上のアルキル基、炭素数
3
8以上の脂環アルキル基、及びアルキル置換脂環アルキル基の!/、ずれかの 1種以上 を表わす。 )
[0019] 本発明の第 2の局面に従うリチウムイオン二次電池用ポリマーは、正極、負極及び 電解液を備えるリチウムイオン二次電池の正極及び負極と、それらの間に配置される セパレータとを接着させるためのポリマーであって、(A)カチオン重合性を有するモノ マーユニットと、(B)電解液に対する親和性を付与するモノマーユニットと、(D)ァ- オン性、ノ-オン性の親水基を含むモノマーユニットとを含み、乳化重合または懸濁 重合によるラジカル重合によって得られるポリマーであり、モノマーユニット (A)の少 なくとも一部が脂環エポキシ基を有するラジカル重合性モノマーのラジカル重合によ つて与えられており、かつラジカル重合の際脂環エポキシ基を有するラジカル重合性 モノマーが含まれることにより、得られるポリマーが、次式で定義されるエチレンカー ボネート(EC)とジェチルカーボネート (DEC)の混合溶媒〔EC: DEC = 5: 5 (重量 比)〕への溶出率が 10重量%以下であることを特徴として 、る。
[0020] ·溶出率 (重量%) = (混合溶媒に溶出されたポリマー重量 Z総ポリマー重量) X 10
[0021] 本発明の第 2の局面のポリマーは、ラジカル重合の際、脂環エポキシ基を有するラ ジカル重合性モノマーが含まれていることにより、溶出率が 10重量%以下となること を特徴としている。すなわち、ラジカル重合の際、脂環エポキシ基を有するラジカル 重合性モノマーが含まれていることにより、ポリマーに難溶性が付与される。このメカ -ズムの詳細については不明である力 おそらぐラジカル重合の際、脂環エポキシ 基が一部開環することにより、ポリマーに何らかの架橋反応が生じているものと思わ れる。従って、脂環エポキシ基を有するラジカル重合性モノマーは、何らかの形で、 本発明の第 1の局面におけるモノマーユニット(C)になっているものと推測される。
[0022] 以下、本発明の第 1の局面及び第 2の局面に共通する事項については、「本発明」 として説明する。
[0023] 本発明におけるモノマーユニット (A)としては、脂環エポキシ基を有するラジカル重 合性モノマー及び Zまたはォキセタ-ル基を有するラジカル重合性モノマーによるモ ノマーユニットが挙げられる。
[0024] 脂環エポキシ基を有するラジカル重合性モノマーの具体例としては、以下の式 3で 表わされる 3, 4—エポキシシクロへキシルメチルアタリレート、または 3, 4—エポキシ シクロへキシルメチルメタタリレートが挙げられる。
[0025] [化 3]
[0026] (式中、 R4は Hまたは CHを表わす。 )
3
[0027] ォキセタニル基を有するラジカル重合性モノマーの具体例としては、以下の式 4で 表わされるォキセタンアタリレートまたはォキセタンメタタリレートが挙げられる。
[0029] (式中、 R5は—Hまたは—CHを表わし、 R6は炭素数 1〜6のアルキル基を表わす。
3
)
[0030] 本発明におけるモノマーユニット(B)の具体例としては、以下の式 5で表わされるァ クリルエステルモノマー及びメタクリルエステルモノマー並びに以下の式 6で表わされ るビュルエステルモノマー力も選ばれる少なくとも一種のモノマーによるユニットが挙 げられる。
[0031] [化 5]
R7
CH2=C-C00R8 (式 5)
CH2=CH-0C0R9 (式 6)
[0032] (式中、 R7は— Hまたは— CHを表わし、 R8は炭素数 1〜6のアルキル基、―(CH
3 2
CH O)〜 CH、― (CH CH O)〜 C H、― (CH CH (CH ) 0)〜 CH、または
2 1 3 3 2 2 1 3 2 5 2 3 1 3 3
- (CH CH (CH ) θ)〜 C Hを表わし、 R9は CH、― C H、または— C Hを表
2 3 1 3 2 5 3 2 5 3 7 わす。)
[0033] 本発明におけるポリマーの溶出率は、上記式によって定義されるものであり、上記 混合溶媒に 24時間浸漬して抽出処理を行い、混合溶媒中に溶出したポリマーの量 力も求められるものである。本発明における溶出率は、本発明のポリマーの電解液に 対する難溶性を示すものであり、 10重量%以下であることが好ましぐさらに好ましく は 7重量%以下であり、さらに好ましくは 5重量%以下である。
[0034] し力しながら、本発明のポリマーは、単に難溶性であればよいというものではなぐ 難溶性であっても、電解液に対し膨潤及び Zまたは軟ィ匕するものであることが好まし
い。このような観点から、本発明のポリマーには、電解液に対する親和性を付与する モノマーユニット (B)が含まれて 、る。
[0035] 本発明のポリマーが、電解液に対して膨潤及び Zまたは軟ィ匕するものであることが 好ましい理由は以下の通りである。
[0036] すなわち、本発明においては、本発明のポリマーを電池内に配置した後、電解液 中に含まれるカチオン重合開始剤により、ポリマーを架橋反応させる必要がある。従 つて、電解液に対して膨潤及び/または軟化することにより、電解液中に含まれる力 チオン重合開始剤により、カチオン重合が開始され、ポリマーの架橋反応が生じる。 また、架橋反応後もポリマー内に電解液が存在していることにより、リチウムイオンの 移動が妨げられに《なり、電池特性の低下を最小にすることができる。また、膨潤及 び軟ィ匕することにより、電極とセパレータの間に侵入したポリマーによるこれら間の接 着性が高められる。
[0037] 本発明のポリマーはラジカル乳化重合あるいはラジカル懸濁重合によって、粒子状 ポリマーの乳化〜懸濁液として得ることができ、この乳化〜懸濁液を (好ましくは)希 釈して電池外装体内に注入することにより、ポリマー粒子を正負電極とセパレータの 間に配置することができる。
[0038] 脂環エポキシ基を有するモノマーはモノマー全量中 1.0〜40重量%程度配合して 水中でラジカル乳化重合あるいはラジカル懸濁重合すれば同時に部分的に内部架 橋して目的を達することができるが、 1.0重量%未満では電解液へ溶解し易くなり接 着効果が減少し、 40重量%以上では内部架橋度が大きくなり過ぎ、乾燥時のポリマ 一粒子の融合が不足することにより接着性が低下し好ましくなぐまた、電解液による 膨潤が生じ難くなるため電池特性が低下する場合があり好ましくない。
[0039] ォキセタニル基を含むラジカル重合性モノマーとしては、例えば、上記式 4で表され るォキセタ-ルアタリレート、ォキセタ-ルメタタリレートが用いられ、ポリマー粒子の内 部架橋には寄与しないが、その後注液される電解液中に含まれるカチオン重合開始 剤(LiPF、 LiBFを含む)で架橋し電極とセパレータの接着に寄与する。
6 4
[0040] 上記の脂環エポキシ基含有モノマーもカチオン重合開始剤 (LiPF、 LiBFを含む)
6 4 で架橋するため、脂環エポキシ基含有モノマーと併用する場合はモノマー全量中そ
の合計量が 40重量%を限度として使用され、脂環エポキシ基含有モノマーを使用す る場合は使用しなくても良 、。脂環エポキシ基含有モノマーを使用しな 、場合は 10 重量%〜40重量%使用され、 10重量%未満では架橋度が低く電解液へ溶解し易く なり接着性が不足し、 40重量%以上では電解液による膨潤が生じ難くなるため電池 特性が低下する場合があり、好ましくない。
[0041] また、電解液に難溶性のポリマーを得るにはポリマー中に長鎖アルキル基のような 電解液に難溶性を付与する基を含むラジカル重合性モノマー、例えば、上記式 2で 表される炭素数 8〜18程度の長鎖アルキルアタリレート〜メタタリレート、脂環アルキ ルアタリレート〜メタタリレート、アルキル置換脂環アルキルアタリレート〜メタタリレート 等をラジカル共重合することによって得ることができ、これらをモノマー全量に対し 10 〜70重量%程度配合してラジカル重合すれば目的を達することができ、 10重量%未 満では電解液へ溶解し易くなり接着効果が減少し、 70重量%以上では電解液による 膨潤が生じ難くなるため電池特性が低下する場合があり好ましくない。
[0042] また、 1分子中にラジカル重合性基を 2個以上有する多官能ラジカル重合性モノマ 一としては、上記式 1で表される多官能ラジカル重合性モノマー、例えばアルキレン グリコール〜ポリアルキレングリコールのジアタリレート、メタタリレート類;エチレングリ コールジアタリレート、ポリエチレングリコールジアタリレート、ポリエチレングリコールジ メタタリレート、ポリプロピレングリコールジアタリレート、ポリプロピレングリコールジメタ タリレートなど、:トリメチロールプロパン、グリセリン、あるいはこれらのアルキレンォキ シド付加物;トリメチロールプロパントリアタリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレ ート、グリセリントリアタリレート、グリセリントリメタタリレート、ポリオキシエチレン付カ卟リ メチロールプロパントリアタリレート、ポリオキシプロピレン付加グリセリントリメタタリレー トなど、:過剰当量の多価アルコールと多塩基酸のオリゴエステル類、例えばエチレン グリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコールなどのグリコール類のアジ ピン酸、セバシン酸等の 2塩基酸オリゴエステル類のアタリレート〜メタタリレート類:ポ リ Ί -ブチ口ラタトンの残存カルボン酸あるいはヒドロキシビバリン酸のような水酸基と カルボキシ基を有する化合物(のカルボキシル基を)と多価アルコールのオリゴエステ ルのアタリレート〜メタタリレート類などを用いることができ、これらはモノマー全量に
対し 0.1〜4重量%と比較的少量用いられ、 0.1重量%未満では電解液へ溶解し易く なり接着効果が減少し、 4重量%以上では内部架橋度が大きくなり過ぎ、乾燥時のポ リマー粒子の融合が不足することにより接着性が低下し好ましくなぐまた、電解液に よる膨潤が生じ難くなるため電池特性が低下する場合があり好ましくない。
[0043] その他、多官能ラジカル重合性モノマー、例えば、ジビュルベンゼン、ジァリルフタ レート、トリアリルトリメリテート、トリアリルイソシァヌレート、ァリルメタタリレート、ァリル アタリレートなどの多官能ビュル、アクリル、ァリルイ匕合物を用いても内部架橋すること ちでさる。
[0044] また、これら多官能ラジカル重合性モノマー以外に多官能メルカプト化合物、ェチ レングリコールビスチォグリコレート、ブタンジォーノレ
ビスチォグリコレート、トリメチロールプロパントリス-チォグリコレート、ペンタエリスリト ールテトラキス-チォグリコレートなどを用いても内部架橋することもできる。
[0045] 尚、勿論、これらの電解液への溶解を防止する方法は上記の方法を複数併用して も良い。
[0046] 以上、電解液に難溶性のポリマーはこれらの方法によって得ることができる力 難溶 性と適度な膨潤性を調整するため、上記式 5及び 6で表される、電解液に対し親和性 の大きな比較的高極性のアクリルエステルモノマー、メタクリルエステルモノマー、ビ -ルエステルモノマー類が用いられる力 脂環エポキシ基を含むラジカル重合性モノ マーを用いて電解液難溶性とする場合はモノマー全量中その残り量である 60〜98重 量%、脂環エポキシ基を含むラジカル重合性モノマーを用いず電解液に難溶性を付 与する基を含むラジカル重合性モノマーを用いる場合はモノマー全量中その残り量 である 10〜80重量%、脂環エポキシ基を含むラジカル重合性モノマーを用いず多官 能ラジカル重合性モノマーを用いる場合はモノマー全量中その残り量である 56〜89. 9重量%が用いられる。
[0047] これらのポリマー粒子は水中乳化重合、水中懸濁重合によってその分散液として好 適に製造することができ、乳化重合は通常の方法で可能である。重合開始剤は水溶 性のラジカル重合開始剤である過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモ-ゥ ム、過硫酸リチウムなどの過硫酸塩、;2,2,-ァゾビス(1-ィミノ- 2-ェチルプロパン)ジ
ノヽイド口クロライド、 2,2, -ァゾビス [2- (2-イミダゾリン- 2-ィル)プロパン]、 2,2-ァゾビス [ 2-メチル - N- (2-ヒドロェチル)プロピオンアミド]、などをモノマー総量に対し 0.01〜数 重量%程度使用される。また、必要に応じて油溶性ラジカル重合開始剤である Ν,Ν'- ァゾビスイソブチ口-トリル、ベンゾィルパーオキサイドなどを併用することもできる。乳 ィ匕剤としてはアルキル硫酸塩、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルナフタレン硫酸塩 などのァ-オン系;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキ ルフエノールエーテルなどのノ-オン系;などの通常の各種界面活性剤に加え、ラジ カル重合性基を有する反応性乳化剤と称されるラジカル重合性基とァ-オン親水基 あるいはノニオン親水基を有する化合物;
スルホェチルメタタリレートのアルカリ金属〜アンモ-ゥム塩、スルホェチルアタリレー トのアルカリ金属〜アンモ-ゥム塩、 Ρ-スチレンスルホン酸のアルカリ金属〜アンモ- ゥム塩、ポリエチレングリコールメタタリレート、ポリエチレングリコールアタリレートなど が用いられるが、反応性乳化剤を用いることが好ましぐ中でもァニオン性基がリチウ ム塩であるァニオン反応性乳化剤を用いることが更に好ましぐこれら反応性乳化剤 は 0.1〜20重量%程度用いる。
[0048]
、ては窒素ガス等の不活性ガスを導入、攪拌しつつ、モノマー総量 に対し、水が 60〜500重量%の存在下で行われ、重合温度はラジカル重合開始剤の 半減期温度によって変わってくる力 50°C〜80°Cに加温して 3時間〜 20時間程度行 われ、必要に応じてポリマー濃度、 pHなどを調整して製造され、また、必要に応じてメ ルカブタン類などの分子量調整剤を使用することもできる。
[0049] 懸濁重合は、分散助剤としてポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩類、カルボキ シメチルセルローズ(CMC)、ェチルセルローズなどの水溶性高分子を溶解した水中 で行われるが、上記のような反応性乳化剤をラジカル重合させた水溶性高分子、中 でもァ-オン性基を有する反応性乳化剤のリチウム塩をラジカル重合した水溶性高 分子などを 0.05〜数重量%程度溶解した水中にモノマーを分散させた状態で重合を 行えば好適に製造することができる。
[0050] 重合開始剤は基本的に油溶性重合開始剤: Ν,Ν'-ァゾビスイソプチ口-トリル、 2,2, -ァゾビス(2-メチルブチ口-トリル)、ジメチル 2,2,—ァゾビス(2-メチルプロピオネート
)、ベンゾィルパーオキサイドが用いられる力 必要に応じ、水溶性のラジカル重合開 始剤である過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモ-ゥム、過硫酸リチウム などの過硫酸塩、;2,2,-ァゾビス(1-ィミノ- 2-ェチルプロパン)ジハイド口クロライド、 2, 2, -ァゾビス [2- (2-イミダゾリン- 2-ィル)プロパン]、 2,2-ァゾビス [2-メチル -N- (2-ヒド ロェチル)プロピオンアミド]などを併用する。
[0051] 重合条件については窒素ガス等の不活性ガスを導入、攪拌しつつ、モノマー総量 に対し、水が 60〜500重量%の存在下で行われ、重合温度はラジカル重合開始剤の 半減期温度によって変わってくる力 50°C〜80°Cに加温して 3時間〜 20時間程度行 われ、必要に応じてポリマー濃度、 pHなどを調整して製造される。また、必要に応じ てメルカブタン類などの分子量調整剤を使用することもできる。
[0052] ポリマー粒子の粒子径は、電極/セパレータの間隙より大き過ぎる場合は粒子が侵 入し難くなり接着効果が不足することが考えられるが、通常の乳化重合で得られる粒 子径は数ミクロン以下であるため問題はない。懸濁重合では粒子径が 100ミクロン以 上に達する場合があり、その場合は後述の分散助剤の種類と量、乳化重合で用いる 乳化剤の併用、攪拌条件などを調整し、得られる粒子径を数十ミクロン以下とするこ とが好ましい。
[0053] 本発明においては、ポリマー分散液を予め正極及び負極とセパレータを組み込ん だリチウムイオン二次電池容器内に注液するが、ポリマー粒子の濃度を好ましくは 0.1 〜5.0重量%の希薄な状態で、正極活物質 lg当りポリマーとして 0.01〜0.06g注液す る。
[0054] 通常、ポリマー粒子の分散液は 20〜40重量%程度の濃度で供給されるので、この 分散液を希釈して用いる。希釈は水を用いることもできる力 リチウムイオン二次電池 の電極バインダーとして CMCなどの水溶性高分子、 SBRなどのラテックスが用いられ ている場合には、電極に損傷を与える場合があり水溶性有機溶媒を用いることが望 ましい。
[0055] 水溶性有機溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の水に自由混和 するアルコール類、:アセトン、 2-ブタノンなどのケトン系、:2-メトキシエタノール、 2- エトキシエタノール、 2—メトキシ (2-プロパノール)、 2-ブトキシエタノールなどのグリコ
ールエーテル系、:ジメトキシェタン、メトキシェトキシェタンなどのエーテル系、:ジォ キサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル系、: γ -ブチロラタトン、 Ν-メチルピロリ ドン、 Ν,Ν'-ジメチルホルムアミド等を用いることができ、少量であれば非水溶性溶媒 を併用することちできる。
[0056] この水溶性溶媒は後工程である乾燥で除去するため揮散性の大きい比較的低沸 点の溶媒が好ましぐメタノール、エタノール、イソプロパノール、 2-メトキシエタノール 、 2-エトキシエタノール、ジメトキシェタンなどが好ましく用いられる。
[0057] 本発明ではポリマーの乳化〜懸濁液は水溶性溶媒でポリマー濃度を 0.1〜5重量 %と希薄な濃度とし、正極活物質 lg当りポリマーとして 0.01〜0.06gと極めて少量を用 V、て良好な接着性と優れた電池特性を保持し、且つ電池の膨れ等の問題がな!、の が特徴である。
[0058] 0.1〜5重量%と希薄なポリマー濃度とすることにより、少量のポリマーを均一に電極 とセパレータ間隙へと浸透させることができる。
[0059] 〔ポリマー分散液の製法〕
希釈は水を用いることもできる力 リチウムイオン二次電池の負極の結着剤として水 溶性の CMC (カルボキシメチルセルロース)や SBR等のラテックスが用いられて!/、る場 合には、電極に損傷を与える場合があり水溶性の有機溶媒を用いることが望ましい。
[0060] 水溶性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の水に自由 混和するアルコール類、
アセトン、 2-ブタノン等のケトン系、 2-メトキシエタノール、 2-エトキシエタノール、 2-メ トキシ (2-プロパノール)、 2-ブトキシエタノールなどのグリコールエーテル系、 ジメトキシェタン、メトキシェトキシエーテル等のエーテル系、 γ -ブチロラタトン、 Ν-メ チルピロリドン、 Ν,Ν'-ジメチルホルムアミド等を用いることができ、少量であれば非水 溶性溶媒を併用することもできる。
[0061] また、この水溶性溶媒は後工程である乾燥で除去するため揮散性の大き!/、比較的 低沸点の溶媒が好ましぐメタノール、エタノール、イソプロパノール、 2-メトキシェタノ ール、 2-エトキシエタノール、ジメトキシェタン等が好適である。
[0062] 実施例において、ポリマーの分散液はエタノールでポリマー濃度を 1〜10重量%と
なるように希釈して用いた。
[0063] 〔ポリマー溶出率の測定〕
本発明では、ポリマー電解質は接着剤としての機能を果たしており、 ECや DEC等 の電解液に使用される有機溶媒へ溶出した場合は、接着性の低下だけではなぐ熱 溶着部にポリマーが嚙むことによるラミネート部の封止の信頼性の低下、高温保存時 におけるポリマーの分解に起因するガス発生等が問題になる。従って、本発明方法 のようにポリマー電解質を使用した場合は、電解液との親和性を確保しつつ、溶解性 を減少させることが重要となる。
[0064] 通常、分子量の増加によって有機溶剤への溶解量は減少する力 〔ポリマーの製 法〕に従って作製したポリマーは、その分子量が大きすぎる為に正確に分子量を測 定することが困難である。
[0065] 本ポリマー作製方法に従えば、分子量が百万以上の有機溶剤に溶出し難いポリマ 一を作製することが可能であるが、具体的にその物性値を規定する為に、 EC:DEC=5 :5とした有機溶媒へ 24時間浸漬して抽出処理を行い、有機溶剤中へのポリマーの溶 出量を規定している。
[0066] 本来は電池内部へ注液する電解液に対する溶出率により規定するべきであるが、 電解液の組成によりその溶出率は若干変化するが大きな差異は確認できな力つた為 、EC/DEC = 5/5溶媒を基準とした抽出率を用いて規格ィ匕を行った。
(発明の効果)
[0067] 本発明によれば、電池特性を低下させることなぐセパレータの熱収縮を抑制する ことができ、より薄いセパレータを使用可能にすることができる。
図面の簡単な説明
[0068] [図 1]図 1は、本発明電池 T1と比較電池 Rl〜5の耐ショート特性の結果を示す図であ る。
発明を実施するための最良の形態
[0069] 以下、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるもの ではなぐその趣旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能なも のである。
[0070] 〔ポリマーの製法〕
(製造例 1ポリマー P1の製造)
窒素ガスで置換した 500mlの 4口コルベンに 3,4-エポキシシクロへキシルメチルァク リレート 4.0g、 3-ェチルォキセタニルメタタリレート 16.0g、メチルメタタリレート 25.0g、 n- ブチルアタリレート 35.0g、 p-スチレンスルホン酸リチウム 3.0g、およびイオン交換水 15 5.0gを仕込み、窒素ガスを導入、攪拌、昇温した。約 60°Cに達した後、過硫酸アンモ -ゥム 0.2g、水酸化リチウム (LiOH' l/2H O)0.1gを 5.0gのイオン交換水に溶解して添
2
カロ、加熱攪拌を続け、発熱に注意しながら 75°Cまで昇温、 75°Cを保ちながら重合を 続けた。
[0071] 10〜20分後に乳白色になり重合が始まる力 この状態を保ったまま 3時間反応を続 け、過硫酸アンモ-ゥム O.lgをイオン交換水 2.0gに溶解してカ卩え、更に 75°Cで 2時間 を続け重合を完結させ、次いで 30〜40°Cまで冷却、水酸化リチウムの 1重量%溶液を 用いて pH6〜8まで中和、次いで 300メッシュのろ過網でろ過、乳白色の乳化重合液 ポリマー P1を得た。
[0072] ポリマー P1の 105°C、 3時間加熱乾燥後の不揮発分は 34.4重量%で、レーザー光拡 散粒度分布計による粒子径はメジアン径で 0.14ミクロンであった。上記ポリマーをポリ プロピレン不織布に含浸し、 100°Cで 30分熱風乾燥後、炭酸エチレン Z炭酸ジェチ ル =50/50 (重量比)の混合溶媒に 24時間浸漬し、 105°Cで 5時間減圧乾燥して、溶 出率を測定した。溶出率は、 0.14重量%であった。
[0073] (製造例 2ポリマー P2の製造)
窒素ガスで置換した 500mlの 4口コルベンに 3-ェチルォキセタ-ルメタタリレート 16.0 g、メチルメタタリレート 30.0g、 n-ブチルアタリレート 30.0g、ネオペンチルグリコールの ヒドロキシピノ リン酸エステルに γ -力プロラタトンを付加重合して得られる両末端水 酸基ポリエステルオリゴマーのジアタリレート(商品名カャラッド ΗΧ- 220、 日本化薬株 式会社製)を 4.0g、 p-スチレンスルホン酸リチウム 3.0g、およびイオン交換水 155.0gを 仕込み、窒素ガスを導入、攪拌、昇温した。約 60°Cに達した後、過硫酸アンモ-ゥム 0.2g、水酸化リチウム(LiOH' l/2H O) 0.1gを 5.0gのイオン交換水に溶解して添加、
2
加熱攪拌を続け、発熱に注意しながら 75°Cまで昇温、 75°Cを保ちながら重合を続け
た。
[0074] 10〜20分後に乳白色になり重合が始まる力 この状態を保ったまま 3時間反応を続 け、過硫酸アンモ-ゥム O.lgをイオン交換水 2.0gに溶解してカ卩え、更に 75°Cで 2時間 を続け重合を完結させた。次いで 30〜40°Cまで冷却、水酸化リチウム (LiOH' l/2H 0
2
)の 1重量%溶液を用いて PHを 6〜8に中和、次いで 300メッシュのろ過網でろ過し、乳 白色の乳化重合液ポリマー P2を得た。
[0075] ポリマー P2の 105°C、 3時間加熱乾燥後の不揮発分は 35.3重量%で、レーザー光拡 散粒度分布計による粒子径はメジアン径で 0.22ミクロンであった。上記ポリマーをポリ プロピレン不織布に含浸し、 100°Cで 30分熱風乾燥後、炭酸エチレン/炭酸ジェチル =50/50 (重量比)の混合溶媒に 24時間浸漬し、 105°Cで 5時間減圧乾燥して、溶出率 を測定した。溶出率は、 0.96重量%であった。
[0076] (製造例 3ポリマー P3の製造)
窒素ガスで置換した 500mlの 4口コルベンに 3,4-エポキシシクロへキシルメチルァク リレート 4.0g、 3-ェチルォキセタニルメタタリレート 16.0g、メチルメタタリレート 20.0g、ラ ゥリルメタタリレート 20.0g、 p-スチレンスノレホン酸リチウム 3.0g、およびイオン交換水 15 5gを仕込み、窒素ガスを導入、攪拌、昇温した。約 60°Cに達した後、過硫酸アンモ- ゥム 0.2g、水酸化リチウム (LiOH' l/2H O)0. lgを 5.0gのイオン交換水に溶解して添カロ
2
、加熱攪拌を続け、発熱に注意しながら 75°Cまで昇温、 75°Cを保ちながら重合を続 けた。
[0077] 10〜20分後に乳白色になり重合が始まる力 この状態を保ったまま 3時間反応を続 け、過硫酸アンモ-ゥム O.lgをイオン交換水 2.0gに溶解してカ卩え、更に 75°Cで 2時間 を続け重合を完結させ、次いで 30〜40°Cまで冷却、水酸化リチウム (LiOH' l/2H 0)
2 の 1重量%溶液を用いて PHを 6〜8に中和、次いで 300メッシュのろ過網でろ過、乳白 色の乳化重合液ポリマー P3を得た。
[0078] ポリマー P3の 105°C、 3時間加熱乾燥後の不揮発分は 34.5重量%で、レーザー光拡 散粒度分布計による粒子径はメジアン径で 0.18ミクロンであった。上記ポリマーをポリ プロピレン不織布に含浸し、 100°Cで 30分熱風乾燥後、炭酸エチレン Z炭酸ジェチ ル =50/50 (重量比)の混合溶媒に 24時間浸漬し、 105°Cで 5時間減圧乾燥して、溶出
率を測定した。溶出率は、 0.47重量%であった。
[0079] (製造例 4ポリマー P4の製造)
窒素ガスで置換した 500mlの 4口コルベンに 3,4-エポキシシクロへキシルメチルァク リレート 4.0g、 3-ェチルォキセタニルメタタリレート 16.0g、メチルメタタリレート 25.0g、 n- ブチルアタリレート 35.0g、アルキルプ口ぺニルフエノールのエチレンォキシド付カロ重 合物(商品名アクアロン RN-30、 65重量%濃度、第一工業製薬株式会社製) 4.6g、お よびイオン交換水 155.0gを仕込み、窒素ガスを導入、攪拌、昇温した。約 60°Cに達し た後、過硫酸アンモ-ゥム 0.2g、水酸化リチウム (LiOH' l/2H O) 0.1gを 5.0gのイオン
2
交換水に溶解して添加、加熱攪拌を続け、発熱に注意しながら 75°Cまで昇温、 75°C を保ちながら重合を続けた。
[0080] 10〜20分後に乳白色になり重合が始まる力 この状態を保ったまま 3時間反応を続 け、過硫酸アンモ-ゥム O.lgをイオン交換水 2.0gに溶解してカ卩え、更に 75°Cで 2時間 を続け重合を完結させ、次いで 30〜40°Cまで冷却し、水酸化リチウム(LiOH' l/2H
2
0)の 1重量%溶液を用いて pHを 6〜8に中和し、次いで 300メッシュのろ過網でろ過、 乳白色の乳化重合液ポリマー P4を得た。
[0081] ポリマー P4の 105°C、 3時間加熱乾燥後の不揮発分は 33.5重量%で、不揮発分から 換算した重合率は 33.5重量%、レーザー光拡散粒度分布計による粒子径はメジアン 径で 0.19ミクロンであつ。上記ポリマーをポリプロピレン不織布に含浸し、 100°Cで 30 分熱風乾燥後、炭酸エチレン Z炭酸ジェチル =50/50 (重量比)の混合溶媒に 24時間 浸漬し、 105°Cで 5時間減圧乾燥して、溶出率を測定した。溶出率は、 5.11重量%で めつに。
[0082] (製造例 5ポリマー P5の製造)
窒素ガスで置換した 500mlの 4口コルベンに 3,4-エポキシシクロへキシルメチルァク リレート 4.0g、 3-ェチルォキセタニルメタタリレート 16.0g、メチルメタタリレート 25.0g、 n -ブチルアタリレート 35.0g、アルキルプ口ぺニルフエノールのエチレンォキシド付カロ重 合物のスルホン酸塩 (商品名アクアロン HS-1025、濃度 25重量%、第一工業製薬製) 12.0g、およびイオン交換水 155.0gを仕込み、窒素ガスを導入、攪拌、昇温した。約 60 °Cに達した後、過硫酸アンモ-ゥム 0.2g、水酸化リチウム (LiOH' l/2H O) 0.1gを 5.0g
のイオン交換水に溶解して添加、加熱攪拌を続け、発熱に注意しながら 75°Cまで昇 温、 75°Cを保ちながら重合を続けた。
[0083] 10〜20分後に乳白色になり重合が始まる力 この状態を保ったまま 3時間反応を続 け、過硫酸アンモ-ゥム O.lgをイオン交換水 2.0gに溶解してカ卩え、更に 75°Cで 2時間 を続け重合を完結させ、次いで 30〜40°Cまで冷却、水酸化リチウム (LiOH' l/2H 0)
2 の 1重量%溶液を用いて PHを 6〜8に中和、次いで 300メッシュのろ過網でろ過、乳白 色の乳化重合液ポリマー P5を得た。
[0084] ポリマー P5の 105°C、 3時間加熱乾燥後の不揮発分は 34.9重量%で、レーザー光拡 散粒度分布計による粒子径はメジアン径で 0.13ミクロンであった。上記ポリマーをポリ プロピレン不織布に含浸し、 100°Cで 30分熱風乾燥後、炭酸エチレン/炭酸ジェチル = 50/50 (重量比)の混合溶媒に 24時間浸漬し、 105°Cで 5時間減圧乾燥して、溶出 率を測定した。溶出率は、 2.25重量%であった。
[0085] (製造例 6ポリマー P6の製造)
窒素ガスで置換した 500mlの 4口コルベンに 3,4-エポキシシクロへキシルメチルァク リレート 4.0g、メチルメタタリレート 31.7g、 n-ブチルアタリレート 44.3g、 p-スチレンスル ホン酸リチウム 3.0g、およびイオン交換水 155.0gを仕込み、窒素ガスを導入、攪拌、 昇温した。約 60°Cに達した後、過硫酸アンモ-ゥム 0.2g、水酸化リチウム (LiOH' l/2H O) 0.1gを 5.0gのイオン交換水に溶解して添加、加熱攪拌を続け、発熱に注意しなが
2
ら 75°Cまで昇温、 75°Cを保ちながら重合を続けた。
[0086] 10〜20分後に乳白色になり重合が始まる力 この状態を保ったまま 3時間反応を続 け、過硫酸アンモ-ゥム O.lgをイオン交換水 2.0gに溶解してカ卩え、更に 75°Cで 2時間 を続け重合を完結させ、次いで 30〜40°Cまで冷却、水酸化リチウム (LiOH' l/2H 0)
2 の 1重量%溶液を用いて PHを 6〜8に中和、次いで 300メッシュのろ過網でろ過、乳白 色の乳化重合液ポリマー P5を得た。
[0087] ポリマー P6の 105°C、 3時間加熱乾燥後の不揮発分は 34.9重量%で、レーザー光拡 散粒度分布計による粒子径はメジアン径で 0.30ミクロンであった。上記ポリマーをポリ プロピレン不織布に含浸し、 100°Cで 30分熱風乾燥後、炭酸エチレン/炭酸ジェチル = 50/50 (重量比)の混合溶媒に 24時間浸漬し、 105°Cで 5時間減圧乾燥して、溶出
率を測定した。溶出率は、 4.23重量%であった。
[0088] (製造例 7ポリマー P7の製造)
窒素ガスで置換した 500mlの 4口コルベンに 3,4-エポキシシクロへキシルメチルァク リレート 25.0g、メチルメタタリレート 31.25g、 n-ブチルアタリレート 43.75g、 p-スチレン スルホン酸リチウム 3.75g、およびイオン交換水 155.0gを仕込み、窒素ガスを導入、攪 拌、昇温した。約 60°Cに達した後、過硫酸アンモ-ゥム 0.2g、水酸化リチウム (LiOH' l /2H O) 0.1gを 5.0gのイオン交換水に溶解して添加、加熱攪拌を続け、発熱に注意し
2
ながら 75°Cまで昇温、 75°Cを保ちながら重合を続けた。
[0089] 10〜20分後に乳白色になり重合が始まる力 この状態を保ったまま 3時間反応を続 け、過硫酸アンモ-ゥム O.lgをイオン交換水 2.0gに溶解してカ卩え、更に 75°Cで 2時間 を続け重合を完結させ、次いで 30〜40°Cまで冷却、水酸化リチウム (LiOH' l/2H 0)
2 の 1重量%溶液を用いて PHを 6〜8に中和、次いで 300メッシュのろ過網でろ過、乳白 色の乳化重合液ポリマー P7を得た。
[0090] ポリマー P7の 105°C、 3時間加熱乾燥後の不揮発分は 34.4重量%で、レーザー光拡 散粒度分布計による粒子径はメジアン径で 0.30ミクロンであった。上記ポリマーをポリ プロピレン不織布に含浸し、 100°Cで 30分熱風乾燥後、炭酸エチレン/炭酸ジェチル = 50/50 (重量比)の混合溶媒に 24時間浸漬し、 105°Cで 5時間減圧乾燥して、溶出 率を測定した。溶出率は、 1.41重量%であった。
[0091] (製造例 8ポリマー Q1の製造)
窒素ガスで置換した 500mlの 4口コルベンに 3-ェチルォキセタ-ルメタタリレート 20.0 g、メチルメタタリレート 30.0g、 n-ブチルアタリレート 30.0g、 p-スチレンスルホン酸リチウ ム 3.0g、およびイオン交換水 155.0gを仕込み、窒素ガスを導入、攪拌、昇温した。約 6 0°Cに達した後、過硫酸アンモ-ゥム 0.2g、水酸化リチウム (LiOH' l/2H O) 0.1gを 5.0
2
gのイオン交換水に溶解して添加、加熱攪拌を続け、発熱に注意しながら 75°Cまで昇 温、 75°Cを保ちながら重合を続けた。
[0092] 10〜20分後に乳白色になり重合が始まる力 この状態を保ったまま 3時間反応を続 け、過硫酸アンモ-ゥム O.lgをイオン交換水 2.0gに溶解してカ卩え、更に 75°Cで 2時間 を続け重合を完結させ、次いで 30〜40°Cまで冷却、水酸化リチウム (LiOH' l/2H 0)
の 1重量%溶液を用いて PHを 6〜8に中和、次いで 300メッシュのろ過網でろ過、乳白 色の乳化重合液ポリマー Q1を得た。
[0093] ポリマー Q1の 105°C、 3時間加熱乾燥後の不揮発分は 33.3重量%で、レーザー光 拡散粒度分布計による粒子径はメジアン径で 0.17ミクロンであった。上記ポリマーを ポリプロピレン不織布に含浸し、 100°Cで 30分熱風乾燥後、炭酸エチレン/炭酸ジェ チル =50/50 (重量比)の混合溶媒に 24時間浸漬し、 105°Cで 5時間減圧乾燥して、 溶出率を測定した。溶出率は、 20.83重量%であった。
[0094] (製造例 9ポリマー Q2の製造)
窒素ガスで置換した 500mlの 4口コルベンにメチルメタタリレート 38.0g、 n_ブチルァク リレート 38.0g、ネオペンチルグリコールのヒドロキシピバリン酸エステルに γ -力プロラ タトンを付加重合して得られる両末端水酸基ポリエステルオリゴマーのジァクリレート( 商品名カャラッド ΗΧ-220、 日本ィ匕薬株式会社製)を 4.0g、 P-スチレンスルホン酸リチ ゥム 3.0g、およびイオン交換水 155.0gを仕込み、窒素ガスを導入、攪拌、昇温した。 約 60°Cに達した後、過硫酸アンモ-ゥム 0.2g、水酸化リチウム (LiOH' l/2H O)0.1gを
2
5.0gのイオン交換水に溶解して添加、加熱攪拌を続け、発熱に注意しながら 75°Cま で昇温、 75°Cを保ちながら重合を続けた。
[0095] 10〜20分後に乳白色になり重合が始まる力 この状態を保ったまま 3時間反応を続 け、過硫酸アンモ-ゥム O.lgをイオン交換水 2.0gに溶解してカ卩え、更に 75°Cで 2時間 を続け重合を完結させ、次いで 30〜40°Cまで冷却、水酸化リチウム (LiOH' l/2H 0)
2 の 1重量%溶液を用いて PHを 6〜8に中和、次いで 300メッシュのろ過網でろ過、乳白 色の乳化重合液ポリマー Q2を得た。
[0096] ポリマー Q2の 105°C、 3時間加熱乾燥後の不揮発分は 34.3重量%で、レーザー光 拡散粒度分布計による粒子径はメジアン径で 0.21ミクロンであった。上記ポリマーを ポリプロピレン不織布に含浸し、 100°Cで 30分熱風乾燥後、炭酸エチレン/炭酸ジェ チル =50/50 (重量比)の混合溶媒に 24時間浸漬し、 105°Cで 5時間減圧乾燥して、 溶出率を測定した。溶出率は、 1.84重量%であった。
[0097] 表 1に、ポリマー P1〜P7及びポリマー Q1〜Q2のモノマー等の配合割合を示す。な お、単位は gである。また、溶出率も併せて示す。表 1における記号は、以下の通りで
ある。
[0098] CEM:3,4-エポキシシクロへキシルメチルアタリレート
OXM:3-ェチルォキセタニルメタタリレート
MMA:メチルメタタリレート
n- BA:n-ブチルアタリレート
LMA:ラウリノレメタタリレート
TCDM:トリシクロ [5 ·2 · 1 ·02'°]デ力-ルメタタリレート、商品名 FA- 513Μ(日立化 成株式会社製)
ΗΧ220 :ネオペンチルグリコールのヒドロキシピバリン酸エステルに γ—力プロ ラタトンを付加重合して得られる両末端水酸基ポリエステルオリゴマーのジァクリレー ト、商品名カャラッド ΗΧ-220(日本ィ匕薬株式会社製)
Liss:p_スチレンスノレホン酸リチウム
NR- 1:アルキルプ口ぺ-ルフエノールのエチレンォキシド付加重合物、濃度 65 重量%、商品名アクアロン RN-30(第一工業製薬株式会社製)
AR- 2:アルキルプ口ぺ-ルフエノールのエチレンォキシド付カ卩重合物のスルホ ン酸塩、濃度 25重量0 /0、商品名アクアロン HS- 1025(第一工業製薬製)
[0099] [表 1]
[0100] 表 2に、各ポリマーの溶出量をまとめて示す,
[0101] [表 2]
ホリマ- 本発明 P1 本発明 P2 本発明 P3 本発明 P4 本発明 P5
溶出率 (重量 ¾) 1. 83 0. 96 0. 47 5. 11 2. 25
ホ'リマ- 本発明 P6 本発明 P7 比較 Q1 比較 Q2
溶出率 (重量 ¾) 4. 23 1. 41 20. 83 1. 84
[0102] 従来、例えば、前述特許文献はカチオン架橋性ポリマーが用いられているがいず れも電解液 (の溶媒)に溶解するポリマーを前提としている。その理由は電池内電解 液をすベてゲルィ匕させるため、予め電解液に溶解しておいた後に架橋してゲルとす ること、あるいはセパレータに塗工するためポリマーを溶液として液状ィ匕しなければな らないこと〖こよる。本発明は溶媒に溶解し難いポリマーをラジカル乳化重合、あるい はラジカル懸濁重合して用いることに特徴がある。
[0103] 本発明ポリマー P1,P6,P7,Q1の比較より、
(Q1)ォキセタ-ル基を有するモノマーを含んで ヽても溶出率は大き ヽ(20.83重量 %)
(P1)ォキセタニル基を有し、且つ脂環エポキシ以外の C成分を含まないが、溶出率 は低く抑えられている(1.83重量%)
(P6,7)脂環エポキシ以外の C成分を含まな 、が溶出率が低く抑えられて 、る (4.23, 1.41重量%)
となり、脂環エポキシ基の存在により、溶媒中への溶出が抑制されていることが確認 できる。脂環エポキシ基の開環による架橋反応が生じていることはほぼ間違いと考え られる。従って、 A成分である脂環エポキシが特異的に一部 C成分としても機能してい ると考免られる。
[0104] 脂環エポキシ基を有するモノマーをラジカル乳化重合、ラジカル懸濁重合すること によって (部分的に)架橋する理由については、詳細は不明であるが、水の存在下で ラジカル重合することによって一部の脂環エポキシ基が開環重合 (架橋)するものと 推察される。この開環重合 (架橋)した脂環エポキシ基は赤外吸収スペクトル分析で は観察される程ではなくその比率は小さ 、と考えられる。ォキセタ-ル基を有するモ ノマ一は同じ条件したで製造したポリマーの溶出率が大きく開環重合し難いことが確 認されている力 ォキセタン環はエポキシ環に比べ環のひずみエネルギーが小さく 開環重合し難 ヽこと〖こよるものと考えられる。
[0105] 本発明ポリマー P3ではォキセタ-ル基を含むモノマーと脂環エポキシと高級アルキ ルモノマーを、本発明ポリマー P6では脂環エポキシをそれぞれ重合させることにより E C/DEC溶媒への溶出率は 5%以下となり、良好な接着性を示した。ォキセタニル基を 含むラジカル重合性ポリマー単独では分子内部に架橋部位を作る反応が進行し難 V、ため、脂環エポキシモノマーや多官能ラジカル重合性モノマーを併用する必要が ある。
[0106] また、モノマー糸且成は同じである本発明ポリマー Pl、 4、 5は異なる乳化剤を用いた 力 いずれを用いても溶出率は 3%以下であった。反応開始剤としては、水溶性のラジ カル重合開始剤である過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモ-ゥム、過硫 酸リチウム等の過硫酸塩、;2,2,-ァゾビス(1-ィミノ- 2-ェチルプロパン)ジハイド口クロ ライド、 2,2, -ァゾビス [2- (2-イミダゾリン- 2-ィル)プロパン]、 2,2-ァゾビス [2-メチル -N - (2-ヒドロェチル)プロピオンアミド]、等をモノマー総量に対し 0.01〜数重量%程度 使用される。また、必要に応じて油溶性ラジカル重合開始剤である Ν,Ν'-ァゾビスイソ プチ口-トリル、ベンゾィルパーオキサイド等を併用することもできる。乳化剤としては アルキル硫酸塩、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルナフタレン硫酸塩等のァ-ォ ン系,
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフエノールエーテ ル等のノ-オン系等の通常の各種界面活性剤に加え、ラジカル重合性基を有する反 応性乳化剤と称されるラジカル重合性基とァ-オン親水基あるいはノ-オン親水基を 有する化合物,
スルホェチルメタタリレートのアルカリ金属〜アンモ-ゥム塩、スルホェチルアタリレー ト酸のアルカリ金属〜アンモ-ゥム塩、 Ρ-スチレンスルホン酸のアルカリ金属〜アンモ ニゥム塩、ポリエチレングリコールメタタリレート、ポリエチレングリコールアタリレートな どが用いられるが、反応性乳化剤を用いることが好ましぐ中でもァニオン性基がリチ ゥム塩であるァニオン反応性乳化剤を用いることが更に好ましぐこれら反応性乳化 剤は 0.1〜20重量%程度用いることが出来る。同じモノマー組成であっても重合開始 剤の量や種類によりポリマーの構造や分子量は変わることが一般に知られて 、る。本 発明ポリマー Pl、 Ρ4、 Ρ5は同モノマー組成であるが異なる反応性重合開始剤を用い
てポリマーを合成した。いずれの開始剤においても接着効果は発現したが、中でも p -スチレンスルホン酸リチウムを用いたときに、特に優れた特性を示した。溶出率のみ でなく電池特性への影響も考慮すると、中でも P-スチレンスルホン酸リチウムを用いる ことが好ましい。アルカリ金属に関しては、電池内での溶解ゃ充放電阻害等を考慮 すると Liであることが好まし 、。
[0107] 比較ポリマー Q1はォキセタニル基を含んでいるがポリマー内で部分架橋されてい ない為、電解液を注液すると、カチオン重合による架橋前にポリマーが電解液に溶 解するため十分な接着効果が発現し難!ヽ。
[0108] 比較ポリマー Q2は、溶出率が 1.84と低く抑えられている力 接着効果は得られなか つた。従って、溶出率を低く抑えるだけで不十分であり、カチオン重合性基を含むこと が必要であると考えられる。
[0109] また、各ポリマーにおけるモノマーの配合割合を表 3に示す。表 3においては重量
%でモノマーの配合割合を示して 、る。
[0110] [表 3]
[0111] 上記のポリマー P1〜P7及びポリマー Q1〜Q2を用いて、リチウム二次電池を作製し た。正極及び負極の作製、非水電解液の調製、及び電池の組み立ては以下のように して行った。
[0112] 〔正極の作製〕
正極はコバルト酸リチウムを炭素導電剤、 SP300、アセチレンブラックを 92 : 3 : 2の質 量比で混合して正極合剤粉末とし、混合装置 (例えば、ホソカワミクロン製メカノフユ 一ジョン装置 (AM- 15F) )内に 200gを充填する。これを、回転数 1500rpmで 10分間作 動させて、圧縮 '衝撃'せん断作用を起こさせて混合して正極合剤とした。ついで、こ の正極合剤にフッ素系榭脂結着剤 (PVDF)を 97: 3の質量比になるように NMP溶剤中
で混合して正極合剤スラリーとし、アルミ箔の両面に塗着し、乾燥後圧延して極板とし た。但し、メカノフュージョンでの混合は行わなくても良ぐそのまま材料をスラリー状 態で混合しても良ぐまた他の方法で混合しても良い。
[0113] ここでは正極活物質としてコバルト酸リチウムを用いた力 これに限定されるもので はなぐスピネル型マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウムに代表されるリチウム-ッ ケル複合酸化物やオリビン型リン酸化合物等でも構わない。
[0114] 尚、用いた正極のサイズは 380.0mm X 52.0mmであり、活物質塗布部は表裏それぞ れ、 339.0mm X 50.0mmと 271.0mm X 50.0mmである。塗布重量は 382mg/10cm2 (芯体 重量除く)であり、電極重量は 5.83g、活物質重量は 5.36gであった。
[0115] 〔負極の作製〕
負極は炭素材 (黒鉛)と CMC (カルボキシメチルセルロースナトリウム)、 SBR (スチレン ブタジエンゴム)を 98:1: 1の質量比で水溶液中にて混合し、銅箔の両面に塗着した後 、乾燥後圧延して極板とした。ここでは一般的な負極活物質を用いたが、グラフアイト •コ一タス ·酸化スズ ·金属リチウム ·珪素 ·およびそれらの混合物等であってもリチウム イオンを挿入脱離できうるものであれば構わな 、。
[0116] 尚、用いた負極のサイズは 347.0mm X 52.0mmであり、活物質塗布部は表裏それぞ れ 347.0mm X 52mmと 289.0mm X 52.0mmである。塗布重量は 171mg/cm2 (芯体重量除 く)であり、電極重量は 2.83g、活物質重量は 2.61gであった。
[0117] 〔非水電解液の調製〕
電解液には、主として LiPFを 1.0mol/lの割合で EC:DECを 3:7の容積比で溶解'混
6
合したものを用いた。尚、電解液としても特に本実施例に限定されるものではなぐ Li 塩としては例えば LiBF ,
4
LiPF , LiN(SO CF ) , LiN(SO C F ) ,
6 2 3 2 2 2 5 2
LiPF (C F ) [但し、 Kx<6,
6-x n 2n+l x
n=l or 2]等が挙げられ、これらの 1種もしくは 2種以上を混合して使用できる。支持塩 の濃度は特に限定されないが、電解液 1リットル当り 0.8- 1.5モルが望ましい。また、溶 媒種としては EC,
PC, GBL, DEC, EMC, DMC等のカーボネート系溶媒が好ましぐ更に好ましくは環
状カーボネートと鎖状カーボネートの組合せが好ましい。尚、ゲルポリマー電解質に ついては実施例及び比較例で詳細を記載する。
[0118] 〔電池の組立〕
電池の構成は正'負極それぞれにリード端子を取り付け、セパレータを介して渦巻 状に巻き取ったものをプレスして、扁平状に押し潰した電極体を電池外装体としてァ ルミ-ゥムラミネートを用いたものに入れて注液を行 ヽ、封止して試験用電池とした。 尚、本試作電池の設計容量は 780mAhである。
[0119] (本発明電池 T1)
ポリマーの製法 1で得られたポリマー P1を固形分濃度が 2重量%となるようにェタノ ールで希釈したポリマー分散液を作製した。前述の製法に従 ヽ作製した正負極をポ リエチレン製のセパレータを介して渦巻状に巻き取ったものを電池外装としてアルミ
-ゥムラミネートを用いた外装体に挿入後、ポリマー分散液を 3ml注液し、 l/3atmで 5 min保持の含液工程を 2回繰り返した後に、余剰なポリマー分散液を除去後、電池を クランプに挟んだ状態で 105°C-2.5時間の真空減圧乾燥を行 、、次 、で窒素雰囲気 下のドライボックス中で電解液を注液して本発明電池 T1を作製した。
[0120] (本発明電池 T2)
製造例 1で得られたポリマー P1を固形分濃度が 3重量%となるように希釈したポリマ 一分散液を 3ml注液した以外は、本発明電池 T1と同様の方法で本発明電池 T2を作 製した。
[0121] (本発明電池 T3)
製造例 1で得られたポリマー P1を固形分濃度が 5重量%となるように希釈したポリマ 一分散液を 3ml注液した以外は、本発明電池 T1と同様の方法で本発明電池 T3を作 製した。
[0122] (本発明電池 T4)
製造例 2で得られたポリマー P2を固形分濃度が 2重量%となるように希釈したポリマ 一分散液を 3ml注液した以外は、本発明電池 T1と同様の方法で本発明電池 T4を作 製した。
[0123] (本発明電池 T5)
製造例 3で得られたポリマー P3を固形分濃度が 2重量%となるように希釈したポリマ 一分散液を 3ml注液した以外は、本発明電池 T1と同様の方法で本発明電池 T5を作 製した。
[0124] (本発明電池 T6)
製造例 4で得られたポリマー P4を固形分濃度が 2重量%となるように希釈したポリマ 一分散液を 3ml注液した以外は、本発明電池 T1と同様の方法で本発明電池 T6を作 製した。
[0125] (本発明電池 T7)
製造例 5で得られたポリマー P5を固形分濃度が 2重量%となるように希釈したポリマ 一分散液を 3ml注液した以外は、本発明電池 T1と同様の方法で本発明電池 T7を作 製した。
[0126] (本発明電池 T8)
製造例 6で得られたポリマー P6を固形分濃度が 2重量%となるように希釈したポリマ 一分散液を 3ml注液した以外は、本発明電池 T1と同様の方法で本発明電池 T7を作 製した。
[0127] (本発明電池 T9)
製造例 7で得られたポリマー P7を固形分濃度が 2重量%となるように希釈したポリマ 一分散液を 3ml注液した以外は、本発明電池 T1と同様の方法で本発明電池 T9を作 製した。
[0128] (比較電池 R1)
前述の製法に従い作製した正負極をポリエチレン製のセパレータを介して渦巻状 に巻き取ったものをアルミニウムラミネート外装体に挿入後、 105°C-2.5時間の真空減 圧乾燥を行 ヽ、次 、で窒素雰囲気下のドライボックス中で電解液を注液して比較電 池 R1を作製した。
[0129] (比較電池 R2)
比較電池 R1と同様に作製した電池に、トリプロピレングリコールジアタリレート (分子 量力 S300程度のもの)と、電解液 (1.0M LiPF
6
EC/DEC=3/7)とが質量比で 1:18となるように混合した後、この混合溶液に重合開始
剤として t-へキシルバーォキシビバレートを 3000ppm添カ卩したものを注液 (4ml)した後 、 60°Cで 3時間加熱して硬化処理をして、比較電池 R2を作製した。
[0130] (比較電池 R3)
前述の製法に従って作製した正極上に THFにポリフッ化ビ-リデン (PVDF)を 5重量 %となるように溶解させた溶液を塗工した後に湿式で卷取りを行 ヽ、電池をクランプ に挟んだ状態で 105°C-2.5時間の真空減圧乾燥を行い、その後は比較電池 R1と同 様の方法で比較電池 R3を作製した。
[0131] (比較電池 R4)
前述の製法に従い作製した正負極をポリエチレン製のセパレータを介して渦巻状 に巻き取ったものをアルミニウムラミネート外装体に挿入後、電解液を 4ml注液し、 60 °Cで 12時間硬化処理をして比較電池 R4を作製した。
[0132] 尚、電解液は(1)ォキセタ-ル基を含むラジカル重合性モノマーとアクリルモノマー を共重合させてなる分子量約 40万のポリマー (分子内架橋なし)を溶解させた電解液 ( Li電解質なし、 EC/DEC=3/7)と、 (2) LiPFを添カ卩した電解液 (EC/DEC=3/7)を混合
6
し、 LiPF濃度が 1.0M、かつ、電解液とポリマーが質量比で 60:1となるように注液直前
6
に調製した。この種のポリマーは LiPFを重合開始剤として架橋反応が進行するため
6
に、注液前工程で(1)ポリマー入り電解液と (2) Li電解質を含む電解液を混合する必 要がある。
[0133] (比較電池 R5)
前述の製法に従い作製した負極上に、製造例 1で得られたポリマー P1を 5重量%と なるようにエタノールで希釈したポリマー分散液を塗工した負極を乾燥後、その後は 比較電池 R1と同様の方法で比較電池 R5を作製した。
[0134] (比較電池 R6)
製造例 1で得られたポリマー P1を固形分濃度が 1重量%となるように希釈したポリマ 一分散液を 3ml注液した以外は、本発明電池 T1と同様の方法で比較電池 R6を作製 した。
[0135] (比較電池 R7)
製造例 1で得られたポリマー P1を固形分濃度が 10重量%となるように希釈したポリ
マー分散液を 3ml注液した以外は、本発明電池 Tlと同様の方法で比較電池 R7を作 製した。
[0136] (比較電池 R8)
製造例 7で得られたポリマー Q1を固形分濃度力 ¾重量%となるように希釈したポリマ 一分散液を 3ml注液した以外は、本発明電池 T1と同様の方法で比較電池 R8を作製 した。
[0137] (比較電池 R9)
製造例 8で得られたポリマー Q2を固形分濃度力 ¾重量%となるように希釈したポリマ 一分散液を 3ml注液した以外は、本発明電池 T1と同様の方法で比較電池 R9を作製 した。
[0138] 〔電池の評価〕
•充電試験
lC(750mA)の電流で 4.2Vまで定電流充電を行!、、 4.2V定電圧で電流 C/20(37.5m A)になるまで充電した。
[0139] ·放電試験
1 C(750mA)の電流で 2.75 Vまで定電流放電を行つた。
[0140] ·休止
充電試験と放電試験の間隔は 1 Ominとした。
[0141] 〔耐ショート特性の評価〕
本作用効果による耐サーマル特性の向上を確認する目的で、 2.75Vまで放電した 電池を 120°Cから 160°Cまで各温度 lOminの保持時間を経て 10°C毎に昇温し、電池電 圧の測定によりショートの有無を確認した。セパレータが収縮して電極間絶縁性が失 われた場合は、急激な電圧低下等が見られる為に、本手法ではポリマー電解質によ るセパレータ /電極間の接着性を評価することが出来る。
[0142] 〔充電保存特性の評価〕
作製した電池を上記充放電条件にて 1サイクルさせた後に、再度 4.2Vまで充電させ て電池の厚みを測定した。この充電状態の電池を、 80°C雰囲気の恒温槽に放置して 4日経過後の電池の厚みを測定した。ポリマーや電解液の分解が見られた場合は、
分解ガス等による電池の膨れが見られる為、電池膨れを基に高温での反応性を評価 した。
[0143] 〔放電負荷特性の評価〕
作製した電池を上記充放電条件にて 1サイクルさせた後に、再度 4.2Vまで充電させ 、 3C(2250mA)の電流で放電を行い、放電容量を算出した。 1C放電時の容量と 3C放 電時の容量を比較し、 3C/1Cの放電効率を算出して、ハイレート放電性能を評価し た。
[0144] [表 4]
[0145] くポリマーの接着性評価 >
本発明電池 T1と比較電池 R1-5の耐ショート特性を調べた。その結果を表 4と図 1〖こ 示している。
[0146] ポリマー未添カ卩の比較電池 R1では加温により、 130°Cでセパレータの熱収縮に起 因して正負極間のショートが発生する。それに対し、各種ゲルポリマーを用いた比較 電池 R2-4では、ゲル電解質により電極とセパレータが接着されており、耐ショート性 は大きく向上している。しかし、電極全面にイオン伝導性の低いポリマー層が存在し、 且つ、電解液すべてがゲルィ匕している為、放電性能の低下が顕著である。一方、本 発明電池 T1では放電性能を低下させずに、従来技術と同等の良好な耐ショート性を 得ることが出来た。電極とセパレータが接した状態でポリマーを注液することにより、 ポリマーが電極内部へ浸透する前に電極とセパレータが接着したこと、及びポリマー が電解液中へ溶出しないために少量で良好な接着効果を発現したものと考えられる 。また、同じポリマーを用いても製法の異なる比較電池 R5では耐ショート性の向上が 確認できなかった。ポリマーを負極上に塗布した場合、電極内部へポリマー粒子が 浸透してしまい、接着に必要な電極表面のポリマー層が形成され難いためと考えら
れる。
[0147] ォキセタニル基を有するポリマーは、 LiPFや LiBFのリチウムイオンが触媒的に作
6 4
用して、架橋部位のカチオン重合が進行し、ポリマー間の結合がより強固になる。分 子量が高い為にエタノールを除去した時点である程度の接着性は発現しているが、 注液後の高温エージングにより、上述のカチオン重合が進み、より接着性が強化され る為に、ごく少量のポリマー量でも高い接着性を発現できる。また、カチオン重合を開 始する触媒は、電池に必要な Li電解質である為、特に電池性能に影響を与えるよう な開始剤を添加することがない。カチオン重合を開始する Li電解質としては、 LiPFと
6
LiBFが好適である。その他の電解質は、試験の結果、重合開始の機能を保有しな
4
いことから、電池内部には LiPF又は LiBFが少量含まれていることが必要である。
6 4
[0148] <放電特性 >
表 4に示すように、負荷特性については、電池内部が完全に電解液である比較電 池 R1が最も良好な性能を示し、電池内部のゲルィ匕度が高まるほど、ハイレートでの放 電性能が低下した。今後、更に高容量ィ匕が進行した場合は、ノ、ィレート放電性能の 低下は更に顕著になるものと考えられ、その意味では比較電池 R2や R4等の全ゲル 型の電池は不向きであると考えられる。比較電池 R3についても、湿式で PVDFを塗工 する関係上、電極内部にポリマーが幾分浸透し、放電性能が低下する傾向が見られ る。セパレータ /電極間の接着性を確保する為には、ポリマー量がある程度必要であ り、電池内架橋タイプでない PVDFでは、ある程度分子量が高ぐゲル化し易い組成 が必要であり、そういった意味では接着性と放電特性の両立は困難な傾向にある。 本発明電池 T1は、電池内架橋タイプであり、ごく少量で接着性を確保できることから 、放電性能と接着性の両立が可能である。電極とセパレータの間のみが接着されて おり、周りの電解液はゲルイ匕していないために、電解液の移動が自由であり、そのた めイオン伝導性が損なわれな力つたことに起因すると考えられる。
[0149] <保存特性 >
表 4に示すように、比較電池 R1と比較して、接着性の良好な電池は、電極間の距離 が狭くなるため、電極と反応する余剰な電解液が少なぐ分解ガスの発生が少ない。 但し、ォキセタン系の全ゲル型ポリマー電池である比較電池 R4は、ォキセタニル基の
重合による結合部位が充電保存時の酸ィ匕に弱い傾向にあり、この部位の分解により ガス発生が増加する傾向にある。特開 2003-142158、特開 2002-110245、特開 2004- 185920等ではこの種のポリマー電解質が用いられている力 ポリマーが電解液中へ 溶出するため、良好な接着性が得られない。本発明電池 T1や比較電池 R5にもォキ セタ-ル基を含むポリマーが含まれている力 全ゲル型のポリマーと異なり、ォキセタ -ル基の数も少なぐポリマー添加量自体が少ないことから、ガス発生増加等の悪影 響も大幅に改善されている。
[0150] <電池内ポリマー添カ卩量の比較 >
ポリマー添カ卩量の最適値を調べる目的で本発明電池 T1-3と比較電池 Rl、 R6-7の 耐ショート特性と負荷特性と充電保存特性について調べた。その結果を表 5に示す。
[0151] [表 5]
[0152] ポリマー添カ卩量が少ない比較電池 R6では、セパレータと電極の界面に存在するポ リマー量不足で、十分な耐ショート性能が得られな力 た。接着効果を発現するため には 2重量%以上に希釈したポリマー分散液を用いることが必要であり、分析の結果 、この際に電池内に含まれるポリマー量は正極活物質 lg当り O.Olgであることが解か つた o
[0153] また、ポリマー量を増加させると接着効果は向上するものの、比較電池 R7では負荷 特性の低下が顕著である。先に述べた PVDF系ポリマー電池である比較電池 R3の負 荷特性を基準に評価すると、添加するポリマー量は希釈液濃度で 5重量%までがこ れ以上の性能を発現可能な添加量であり、これが添加量の上限であることが望まし い。分析の結果、この際に電池内に含まれるポリマー量は正極活物質 lg当り 0.06gで あることが解力つた。
[0154] このこと力ら、ポリマー添力卩量は正極活物質 lgあたり 0.01-0.06gであることが望まし
い。尚、ポリマー量の規定に関しては、本来電解液濃度を基準にすることが好ましい 力 本電池は作製上、その規定が困難であり、電池内で基準となる正極活物質あたり の量で算出した。
次に、これらのポリマーを用いて作製した本発明電池 T4-9及び比較電池 R8-9で耐 ショート性、負荷特性、保存特性を調べた。その結果を表 6に示す。
[0155] [表 6]
[0156] 本発明電池 T4-9は 160°Cまでショートが確認されず、高い耐ショート性を有すること が確認された。これは表 6に示した溶出率の結果と一致するものであり、接着による耐 ショート性を確保するには溶出率が 10重量 %以下である必要があることが解力つた。ま た、比較電池 R8は耐ショート性には優れる力 ポリマーの溶出率が大きく電解液中へ 溶出する為、熱溶着により封止をする際に封止部にポリマーが嚙んでしまい、ラミネ 一トの封止性が顕著に低下した。また、電解液中へ溶出したポリマーの分解により、 充電保存後のガス発生が増加した。これより、充電保存後のガス発生を減らすために は、溶出率の低下が必要であることが明ら力となった。一方、溶出率は小さいがカチ オン重合基を含まな 、ポリマー Q2を用いた比較電池 R9では、接着効果が得られな 力つたことから、接着効果を発現するためにはポリマー内にカチオン重合性基を含む 必要がある。