JP2007280947A - 非水電解質電池及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、高温におけるサイクル特性及び保存特性に優れ、高容量を特徴とする電池構成においても高い信頼性を発揮できる非水電解質電池の提供を目的としている。
【解決手段】正極活物質を含む正極活物質層を有する正極、負極活物質を有する負極、及びこれら両極間に介装されたセパレータから成る電極体と、この電極体に含浸された非水電解質とを備えた非水電解質電池において、上記正極活物質には少なくともコバルト又はマンガンが含まれると共に、上記正極の充電終止電位がリチウム参照極電位に対して4.40V以上となるように構成され、しかも、上記正極活物質層の表面には、ポリマーが一部架橋構造を有し且つポリマーの分子量80万以上であるポリマー層が形成されていることを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、リチウムイオン電池等の非水電解質電池の改良に関し、特に高温におけるサイクル特性及び保存特性に優れ、高容量を特徴とする電池構成においても高い信頼性を発揮できる電池構造等に関するものである。
近年、携帯電話、ノートパソコン、PDA等の移動情報端末の小型・軽量化が急速に進展しており、その駆動電源としての電池にはさらなる高容量化が要求されている。充放電に伴い、リチウムイオンが正、負極間を移動することにより充放電を行うリチウムイオン電池は、高いエネルギー密度を有し、高容量であるので、上記のような移動情報端末の駆動電源として広く利用されている。
ここで、上記移動情報端末は、動画再生機能、ゲーム機能といった機能の充実に伴って、更に消費電力が高まる傾向にあり、その駆動電源であるリチウムイオン電池には長時間再生や出力改善等を目的として、更なる高容量化や高性能化が強く望まれるところである。
こうした背景の中で、リチウムイオン電池の高容量化を図るために、発電要素に関与しない電池缶、セパレータ、正負両極の集電体(アルミ箔や銅箔)の薄型化(例えば、下記特許文献1参照)や、活物質の高充填化(電極充填密度の向上)を中心に研究、開発がなされてきたが、これらの対策もほぼ限界に近づきつつあり、今後の高容量化対策には材料の変更等の本質的な改良が必要となってきている。しかしながら、正負両活物質の変更による高容量化において、負極活物質ではSiやSn等の合金系負極が期待されるものの、正極活物質では、現状のコバルト酸リチウムを超える容量を有し、且つ、性能も同等以上である材料は殆ど見当たらない。
このような状況下、我々はコバルト酸リチウムを正極活物質として用いた電池の充電終止電圧を、現状の4.2Vから更に上の領域に利用深度(充電深度)を高めることによって高容量化が可能な電池を開発した。このように利用深度を高めることによって高容量化できる理由を簡単に説明すると、コバルト酸リチウムの理論容量は約273mAh/gであるが、4.2V仕様の電池(充電終止電圧が4.2Vの電池)ではこのうち160mAh/g程度しか利用しておらず、4.4Vまで充電終止電圧を引き上げることにより約200mAh/gまで使用することが可能であるという理由による。このように、4.4Vまで充電終止電圧を引き上げることにより、電池全体として10%程度の高容量化を達成できる。
しかしながら、コバルト酸リチウムを上記の如く高電圧で使用した場合には、充電された正極活物質の酸化力が強まり、電解液の分解が加速されるばかりでなく、脱リチウムされた正極活物質自体の結晶構造の安定性が失われ、結晶の崩壊によるサイクル劣化や保存劣化が最大の課題であった。我々が検討したところ、コバルト酸リチウムにジルコニア、アルミニウム、マグネシウムを添加することによって高電圧の室温条件下では4.2Vと類似の性能を出せることが解かっているが、前述したように、近年の起動端末は消費電力が大きく、高温環境下での連続使用に耐え得る等の高温駆動条件下での性能確保が必須であり、その意味では室温に限らず、高温での信頼性を確保できる技術の開発が急務であった。
特開2002−141042号公報
上述の如く、充電終止電圧を向上させた電池の正極では、結晶構造の安定性が失われて、特に高温での電池性能の劣化が顕著であることが解かった。このような現象について、詳細な原因は不明であるが、分析結果を見る限りでは、電解液の分解物や正極活物質からの元素の溶出(コバルト酸リチウムを用いた場合にはコバルトの溶出)が認められており、これが高温でのサイクル特性や保存特性が悪化する主要因となっているものと推測される。
特に、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、或いは、ニッケル−コバルト−マンガンのリチウム複合酸化物等の正極活物質を用いた電池系では、高温保存すると、コバルトやマンガンがイオンとなって正極から溶出し、これらの元素が負極で還元されることにより、負極やセパレータヘ析出し、電池内部抵抗の増加やそれに伴う容量低下等が問題となっている。更に、上述の如く、リチウムイオン電池の充電終止電圧を上昇させた場合には、結晶構造の不安定さが増加し、上記問題点が一層顕在化し、これまで4.2V仕様の電池系で問題のなかった50℃付近の温度でもこれらの現象が強まる傾向にある。また、セパレータの膜厚が薄く、空孔率の低いセパレータを用いた場合には、これらの現象がより強まる傾向にある。
例えば4.4V仕様の電池において、正極活物質としてコバルト酸リチウム、負極活物質として黒鉛を用い、保存試験(試験条件は、充電終止電圧4.4V、保存温度60℃、保存期間5日間)を行った場合には、保存後の残存容量が大幅に低下し、時には略ゼロまで低下する。そこで、この電池を解体したところ、負極、セパレータから多量のコバルトが検出されていることから、正極から溶出したコバルト元素により、劣化のモードが加速されていると考えられる。これは、コバルト酸リチウムの如く層状の正極活物質は、リチウムイオンの引き抜きにより価数が増加するが、4価のコバルトは不安定であることから結晶そのものが安定せず、安定な構造に変化しようとするため、コバルトイオンが結晶から溶出し易くなるということに起因するものと推測される。また、正極活物質としてスピネル型マンガン酸リチウムを用いた場合においても、一般に、マンガンの3価が不均化して2価のイオンで溶出し、正極活物質としてコバルト酸リチウムを用いた場合と同様の問題が生じることが知られている。
このように、充電された正極活物質の構造が不安定な場合には、特に高温での保存劣化やサイクル劣化が顕著になる傾向がある。そして、この傾向は正極活物質層の充填密度が高いほど起こり易いことも判明していることから、高容量設計の電池での問題が顕著となる。尚、負極のみならず、セパレータの物性にまで関与する理由としては、正負極での反応副生成物がセパレータを通じて反対側の電極に移動し、更にそこで2次的な反応を生じるなど、セパレータ中の移動のし易さ、距離が大きく関与しているものと推測される。
これらの対策として、正極活物質粒子表面を無機物で物理的に被覆したり、正極活物質粒子表面を有機物で化学的に被覆したりして、コバルト等が正極から溶出するのを抑制する試みがなされている。しかしながら、正極活物質は多少なりとも充放電に伴い膨張収縮を繰り返すために、上記の如く物理的に被覆した場合は、無機物等が脱落して被覆効果の消失が懸念される。一方、化学的に被覆した場合には、被覆膜の厚み制御が困難であって、ポリマー層の厚みが大きいときには、電池の内部抵抗の増加により本来の性能が出し難くなって電池容量の低下を招き、しかも、粒子全体を完全に被覆処理することが困難であるため、被覆効果が限定的となるといった課題が残る。したがって、これらに変わる手法が必要であった。
したがって、本発明は、高温におけるサイクル特性及び保存特性に優れ、高容量を特徴とする電池構成においても高い信頼性を発揮できる非水電解質電池及びその製造方法の提供を目的としている。
上記目的を達成するために本発明は、正極活物質を含む正極活物質層を有する正極、負極活物質を有する負極、及びこれら両極間に介装されたセパレータから成る電極体と、この電極体に含浸された非水電解質とを備えた非水電解質電池において、上記正極活物質には少なくともコバルト又はマンガンが含まれると共に、上記正極の充電終止電位がリチウム参照極電位に対して4.40V以上となるように構成され、しかも、上記正極活物質層の表面には、ポリマーが一部架橋構造を有し且つポリマーの分子量80万以上であるポリマー層が形成されていることを特徴とする。
上記構成であれば、正極活物質層の表面に配置されたポリマー層が適度なフィルター機能を発揮する。したがって、正極で反応した電解液の分解物や正極活物質から溶出するコバルトイオンやマンガンイオンがポリマー層でトラップされて、コバルトやマンガンがセパレータ及び負極で析出するのを抑制できる。これにより、負極やセパレータが受けるダメージが軽減されるので、高温でのサイクル特性の劣化や高温での保存特性の劣化を抑制することができる。また、ポリマー層は正極活物質粒子の表面ではなく正極活物質層の表面に配置されているので(大面積で塗工されるので)、ポリマー層の厚み制御はさほど困難ではなく、この結果、ポリマー層の厚みが大きくなることによる電池の内部抵抗の増大を抑えることができる。
ここで、正極の充電終止電位がリチウム参照極電位に対して4.40V以上となるように構成されるのは、正極がリチウム参照極電位に対して4.40V未満で充電されるような構成の電池では、ポリマー層の有無によって高温特性の差異は余りないが、正極がリチウム参照極電位に対して4.40V以上で充電されるような電池では、ポリマー層の有無によって高温特性の差異が顕著に現れるからである。
また、ポリマーが一部架橋構造を有し且つポリマーの分子量80万以上となるように規制するのは、このような構造のポリマーであれば電解液への溶出を抑制することができるからである。
尚、上記ポリマー層におけるポリマー材料としては、電解液を吸って適度に膨潤するものが好ましく、他の電池性能を落とさずに本作用効果を発揮するためには、少量で電解液系に近い電池構成にすることが必要である。また、多量の電解液中でポリマーが溶解しないことが必須要件であり、高分子量化や電解液との親和性の低いモノマー単位を含有することが必須である。更に、溶解性の面では高分子量化して不溶性を発現させる方法も有効であり、電池内で架橋反応が進行し、高分子量化するポリマー材料が好ましく、ラジカル重合以外の架橋反応を起こし得るポリマー材料が必須である。
ここで、正極活物質層の単位面積あたりに存在する上記ポリマー層の質量が3.3×10-4g/cm2以下であることが好ましい。
これは、正極活物質層の単位面積あたりに存在するポリマー層の質量が3.3×10-4g/cm2を超えると、ポリマー層が厚くなって電池の内部抵抗が増大し、これにより放電容量が低下するという問題が発生しうるからである。
また、セパレータの厚みをx(μm)とし、上記セパレータの空孔率をy(%)とした場合に、xとyとを乗じた値が1500(μm・%)以下、特に、800(μm・%)以下であることが好ましい。
このように規制するのは、セパレータの空孔体積が小さいものほど析出物や副反応物の影響を受けやすく、特性劣化が著しくなるため、このように規制されたセパレータを有する電池に本発明を適用することにより、顕著な効果を発揮しうるからである。
尚、このような電池ではセパレータの薄型化を達成できるので、電池のエネルギー密度の向上を図ることもできる。
更に、上記正極活物質層の充填密度は3.40g/cc以上であることが好ましい。
このように規制するのは、充填密度が3.40g/cc未満である場合には、正極での反応は局所的な反応でなく全体的に反応するため、正極での劣化も均一に進行し、保存後の充放電反応に対してもさほど大きな影響はない。これに対して、充填密度が3.40g/cc以上である場合には、正極での反応は最表面層での局所的な反応に限定されるため、正極での劣化も最表面層での劣化が中心となる。このため、放電時の正極活物質中へのリチウムイオンの侵入、拡散が律速となるため、劣化の程度が大きくなる。このことから、正極活物質層の充填密度が3.40g/cc以上の場合に、本発明の作用効果が十分に発揮されることになるからである。
加えて、上記正極活物質には、少なくともアルミニウム或いはマグネシウムが固溶されたコバルト酸リチウムが含まれており、且つ、このコバルト酸リチウム表面には、コバルト酸リチウムと電気的に接触したジルコニアが固着されていることが好ましい。
このような構造とするのは、以下に示す理由による。即ち、正極活物質としてコバルト酸リチウムを用いた場合には、充電深度が高まるにつれて、結晶構造は不安定になり、高温雰囲気ではより劣化が早まることになる。そこで、アルミニウム或いはマグネシウムを正極活物質(結晶内部)に固溶させることで、正極における結晶歪みの緩和を図っている。但し、これらの元素は結晶構造の安定化には大きく寄与するものの、初回充放電効率の低下や放電作動電圧の低下等を招来する。そこで、このような問題を緩和すべく、コバルト酸リチウム表面にジルコニアを固着している。
また、上記正極の充電終止電位がリチウム参照極電位に対して4.45V以上となるように構成されることが好ましい。
このような構成の電池では、ポリマー層の有無によって高温特性の差異がより顕著に現れるからである。
更に、50℃以上の雰囲気下で使用されることがある電池に適用することが望ましい。
これは、50℃以上の雰囲気下で使用された場合に電池の劣化が早くなるため、本発明を適用する効果が大きいからである。
本発明によれば、正極活物質層の表面に配置されたポリマー層が適度なフィルター機能を発揮するので、正極で反応した電解液の分解物や正極活物質から溶出するコバルトイオンやマンガンイオンがポリマー層でトラップされて、コバルトやマンガンが負極やセパレータで析出するのを抑制できる。これにより、負極やセパレータが受けるダメージが軽減されるので、高温でのサイクル特性の劣化や高温での保存特性の劣化を抑制することができるという優れた効果を奏する。
以下、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の最良の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能なものである。
〔正極の作製〕
先ず、正極活物質であるコバルト酸リチウム(Al及びMgがそれぞれ1.0mol%固溶されており、且つZrが0.05mol%表面に電気的に接触しているもの)と、炭素導電剤としてのアセチレンブラックと、結着剤としてのPVDFとを、95:2.5:2.5の質量比で混合した後、NMPを溶剤として特殊機化製コンビミックスを用いてこれらを攪拌し、正極合剤スラリーを調製した。次に、この正極合剤スラリーを正極集電体であるアルミニウム箔の両面に塗着し、更に、乾燥、圧延することにより、アルミニウム箔の両面に正極活物質層を形成した。尚、上記正極活物質層の充填密度は3.60g/ccとした。
次に、オキセタニル基によって部分架橋され、且つ、分子量80万であるポリマーを、溶媒としてのエタノールに対して3質量%となるように溶解させてポリマー溶液を調製した。この後、上記アルミニウム箔の両面に正極活物質層が形成されたものを、上述のようにして作製したポリマー溶液に浸漬し、更に乾燥させることで、表面にポリマー層を有する正極を作製した。尚、上記ポリマー層のポリマーコート量は1.73×10-4g/cm2、ポリマーは3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート(5質量%)、3−エチルオキセタニルメタクリレート(19質量%)、メチルメタクリレート(30質量%)、n−ブチルアクリレート(42質量%)、p−スチレンスルホン酸リチウム(4質量%)のラジカル共重合体を用いた。
また、ポリマーの分子量の測定は、ゲルパーミエションクロマトグラフ(GPC)を用いて測定した。この際、ポリマーの溶媒にはテトラヒドロフランを用いた。更に、ポリマーの分子量はポリスチレン換算の重量平均分子量とした。
〔負極の作製〕
炭素材料(人造黒鉛)と、CMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム)と、SBR(スチレンブタジエンゴム)とを、98:1:1の質量比で水溶液中にて混合して負極スラリーを作製した後、負極集電体である銅箔の両面に負極スラリーを塗着し、更に、乾燥、圧延することにより負極を作製した。尚、負極活物質層の充填密度は1.60g/ccとした。
〔非水電解液の調製〕
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とが容積比で3:7の割合で混合された混合溶媒に、主としてLiPF6を1.0モル/リットルの割合で溶解させて調製した。
〔セパレータの種類〕
セパレータとしては、ポリエチレン(以下、PEと略すことがある)製微多孔膜(平均孔径0.6μm、膜厚23μm、空孔率48%)を用いた。
〔電池の組立〕
正、負極それぞれにリード端子を取り付け、セパレータを介して渦巻状に巻き取ったものをプレスして、扁平状に押し潰した電極体を作製した後、電池外装体としてのアルミニウムラミネートフィルムの収納空間内に電極体を装填し、更に、当該空間内に非水電解液を注液した後に、アルミニウムラミネートフィルム同士を溶着して封止することにより電池を作製した。尚、この電池設計においては、正負両極の活物質量を調整することにより、充電終止電圧が4.4Vになるように規定し、且つ、この電位で正負極の容量比(負極の初回充電容量/正極の初回充電容量)が1.08になるように規定した。また、上記電池の設計容量は780mAhである。
〔予備実験1〕
正極活物質層にポリマー溶液を塗工してポリマー層を形成する際の塗工方法を変更して、どのような塗工方法であれ良いのかを検討した。
(使用した塗工方法)
ディップコート法、グラビアコート法、ダイコート法、転写法、スプレーコート法を用いて、正極活物質層の両面にポリマー溶液を塗工した。尚、ポリマー溶液に用いる溶媒としては、正極活物質層への影響が少なく、短時間で乾燥でき、しかも正極活物質層に対する濡れ性が優れるということを考慮して、メタノール及びDMCを用いた。
(実験結果)
コーティングの厚みやコーティング量は、ポリマー溶液の固形分濃度を調整することで変更可能であって、適正なコーティング量であれば、何れのコーティング方法によっても本発明の効果を得ることを確認した。
また、溶媒としては、コーティング後に乾燥、除去できるものであれば種類は問わないことも確認した。尚、上記メタノール及びDMCよりも濡れ性が低い溶媒であっても、正極活物質材料を変更した場合には使用可能であり、また、界面活性剤を導入することによって使用可能である。
〔予備実験2〕
セパレータの種類により、セパレータの透気度がどの程度異なるかを調べるために、透気度測定を行なった。
(使用したセパレータ)
この実験をするにあたり、平均孔径と、膜厚と、空孔率とを変化させたセパレータ(PE製の微多孔膜から構成)を用いた。
(具体的な実験内容)
[1]セパレータの空孔率の測定
下記セパレータの透気度測定に先立って、以下のよにしてセパレータの空孔率を測定した。
先ず、フィルム(セパレータ)を一辺の長さが10cmとなるような正方形状に切り取り、質量(Wg)と厚み(Dcm)を測定する。更に、サンプル中の各材料の質量を計算で割り出し、それぞれの材質の質量〔Wi(i=1〜n)〕を真比重で除し、それぞれの材質の体積を仮定して、下記(1)式により空孔率(%)を算出する。
空孔率(%)=100−{(W1/真比重1)+(W2/真比重2)+…+(Wn/真比重n)}×100/(100D)・・・(1)
但し、本発明におけるセパレータは、PEのみから構成されているので、下記(2)式により算出することができる。
空孔率(%)=
100−{(PEの質量/PEの真比重)}×100/(100D)・・・(2)
[2]セパレータの透気度測定
本測定は、JIS P8177に準じて測定し、また測定装置としてはB型ガーレーデンソーメータ(東洋精機社製)を用いた。
具体的には、内筒(質量567g)の円孔(直径28.6mm、面積645mm2)に試料片を締め付け、外筒内の空気(100cc)が試験管円孔部から筒外へ透過させるのに要する時間を測定し、これを透気度とした。
(実験結果)
表1から明らかなように、セパレータの平均孔径が小さくなると、透気度が低下していることが認められる(例えば、セパレータS1〜S3)。但し、セパレータの平均孔径が小さくても、空孔率が大きくなれば透気度の低下が抑制される(セパレータS1とセパレータS2との比較)。また、セパレータの膜厚が大きくなれば、透気度が低下することも認められる(セパレータS5とセパレータS6との比較)。
〔予備実験3〕
上記背景技術の項で説明したように、電池の高容量化を図るためには正極活物質としてコバルト酸リチウムを用いることが好ましいが、問題点もある。そこで、当該問題点を解決、緩和すべく、コバルト酸リチウムに種々の元素を添加し、いかなる元素が好ましいかを検討した。
(添加元素選定における前提)
添加元素を選定するにあたり、先ず、コバルト酸リチウムの結晶構造を解析したので、その結果を図1〔参考文献:T.Ozuku et.al,J.Electrochem.Soc.Vol.141,2972(1994)〕に示す。
図1から明らかなように、リチウム参照極電位に対して約4.5V(電池電圧はリチウム参照極電位より0.1V低いので4.4V)以上にまで正極が充電されると結晶構造(特に、c軸における結晶構造)が大きく崩壊することが解かった。したがって、コバルト酸リチウムにおいては、充電深度が高まるにつれて結晶構造は不安定になることが認められ、更に、高温雰囲気に晒された場合には、より劣化が早まることも分かった。
(添加元素選定の具体的内容)
上記結晶構造の崩壊を緩和すべく、鋭意検討した結果、Mg或いはAlを結晶内部に固溶させることが非常に有効であることがわかった。尚、両者の効果は略同じであるが、後述する他の特性面の低下割合はMgの方が影響が小さい。したがって、Mgを固溶させる方がより好ましい。
しかし、これらの元素は結晶構造の安定化には大きく寄与するものの、初回充放電効率の低下や放電作動電圧の低下等を招くことがある。そこで、これらの問題を緩和すべく、本発明者が鋭意実験を行ったところ、Zr、Sn、Ti、Nb等の4価又は5価の元素を添加することで、放電作動電圧が大きく改善されることが分かった。そこで、4価又は5価の元素が添加されたコバルト酸リチウムを分析したところ、これらの元素はコバルト酸リチウム粒子の表面に存在し、基本的にはコバルト酸リチウムと固溶しておらず、電気的に直接接触した状態を保持していた。詳細は不明な点も多いが、これらの元素はコバルト酸リチウムと電解液との界面の抵抗である界面電荷移動抵抗を大幅に低下させており、これが放電作動電圧の向上に寄与しているものと推測される。
ただ、コバルト酸リチウムと上記元素とが電気的に直接接触している状態を確保するためには、上記元素材料を添加した後に焼成をする必要がある。この場合、通常、上記元素のうちSn、Ti、Nb等は、コバルト酸リチウムの結晶成長を阻害するように働くため、コバルト酸リチウム自体の安全性が低下する傾向にある(結晶子が小さいと安全性は低下傾向にある)。こうした中で、Zrはコバルト酸リチウムの結晶成長を阻害させることなく、しかも、放電作動電圧の改善が出来る点で優れていることが分かった。
以上のことから、リチウム参照極電位で4.3V以上、特に4.4V以上でコバルト酸リチウムを使用する際には、Al或いはMgをコバルト酸リチウムの結晶内部に固溶させてコバルト酸リチウムの結晶構造を安定化し、且つ、これらの元素を固溶させることに起因する特性低下を補完するために、Zrがコバルト酸リチウムの粒子表面に電気的に直接接触しうる構造であることが好ましいことが分かった。
尚、Al、Mg、及びZr添加比率は特に限定するものではない。
〔後述の実験を行う前提(動作環境について)〕
前記背景技術の項で説明したように、近年、携帯機器は高容量化と高出力化とが進展している。特に、携帯電話では、カラー映像化や動画、ゲームに使用できる等の高機能化が要求されており、消費電力は一層増加する傾向にある。現在、こうした高機能携帯電話の機能の充実に伴って、これらの電源である電池の高容量化等が望まれるところであるが、そこまでは電池性能が向上していないため、ユーザーは充電をしながらテレビを見たり、ゲームをしたり等の使用することが多い。このような状況下では、電池は常にフル充電で使用されることになり、また、消費電力が大きくなる等の影響で50〜60℃の仕様環境になることが多い。
このように、従来の通話やメールだけの使用環境から、動画、ゲーム等の携帯機器の高機能化に伴って使用環境が大きく変化したため、電池においては、室温から50〜60℃付近まで幅広い作動温度域を保障することが必要になってきている。特に、高容量化、高出力化は電池内部で発生する熱量も多く、電池の動作環境も高温化しつつあり、高温での信頼性を確保する必要がある。
このようなことを考慮して、我々は40〜60℃環境下でのサイクル試験や60℃雰囲気での保存試験による性能の改善に力を入れている。具体的には、従来の保存試験は、室温放置の加速度的な試験の意味合いが強かったが、電池の高性能化に伴い、材料の限界レベルまで能力を引き出すこともあって、室温放置の加速試験的意味合いは徐々に薄れており、実使用レベルの耐久性試験に近い試験へと移行しつつある。こうした状況を鑑み、今回は、充電保存試験(作製した電池の充電終止電圧が高いほど劣化の条件は厳しくなるため、4.2V設計の電池は80℃で4日間、それ以上の設計の電池は60℃で5日間)での比較を重視して従来技術との差異を検討することとした。
尚、本発明の効果を具体的に解かり易く説明するために5つの実施例に分けて以下で説明する。
〔第1実施例〕
充電終止電圧を4.40V、正極活物質層の充填密度を3.60g/cc、正極活物質層の表面に形成されたポリマー層の物性(ポリマーの分子量及びポリマーの添加量)を固定する一方、セパレータを変化させ、セパレータの物性と充電保存特性との関係を調べたので、その結果を以下に示す。
(実施例1)
実施例1としては、前記最良の形態で示した電池を用いた。
このようにして作製した電池を、以下、本発明電池A1と称する。
(実施例2)
セパレータとして、平均孔径0.1μm、膜厚12μm、空孔率38%のものを用いた他は、実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、本発明電池A2と称する。
(比較例1)
正極にポリマー層を設けない他は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Z1と称する。
(比較例2)
セパレータとして、平均孔径0.1μm、膜厚12μm、空孔率38%のものを用いた他は、上記比較例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Z2と称する。
(比較例3)
セパレータとして、平均孔径0.1μm、膜厚16μm、空孔率47%のものを用いた他は、上記比較例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Z3と称する。
(比較例4)
セパレータとして、平均孔径0.05μm、膜厚20μm、空孔率38%のものを用いた他は、上記比較例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Z4と称する。
(比較例5)
セパレータとして、平均孔径0.6μm、膜厚18μm、空孔率45%のものを用いた他は、上記比較例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Z5と称する。
(比較例6)
セパレータとして、平均孔径0.6μm、膜厚27μm、空孔率52%のものを用いた他は、上記比較例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Z6と称する。
(実験)
本発明電池A1、A2及び比較電池Z1〜Z6の充電保存特性(充電保存後の残存容量)について調べたので、その結果を表2に示す。また、ここで得られた結果をもとに、セパレータの物性と充電保存後の残存容量の相関について検討したので、その結果を図2に示す。尚、充放電条件及び保存条件は、下記の通りである。
[充放電条件]
・充電条件
1.0It(750mA)の電流で、電池電圧が設定電圧(電池の設計電圧であり、本実験では全ての電池において4.40V)となるまで定電流充電を行なった後、設定電圧で電流値が1/20It(37.5mA)になるまで充電を行うという条件。
・放電条件
1.0It(750mA)の電流で、電池電圧が2.75Vまで定電流放電を行なうという条件。
尚、充放電の間隔は10分である。
[保存条件]
上記充放電条件で充放電を1回行い、再度、上記充電で設定電圧まで充電した電池を60℃で5日間放置するという条件である。
[残存容量の算出]
上記電池を室温まで冷却し、上記放電条件と同一の条件で放電を行って残存容量を測定し、保存試験後1回目の放電容量と保存試験前の放電容量とを用いて、下記(3)式より、残存容量を算出した。
残存容量(%)=
保存試験後1回目の放電容量/保存試験前の放電容量×100・・・(3)
[考察]
(1)ポリマー層を設けたことの利点に関する考察
表2の結果から明らかなように、全ての電池において、電池の設計電圧を4.40V、正極活物質層の充填密度を3.60g/ccとしているにも関わらず、正極活物質層の表面にポリマー層が形成された本発明電池A1、A2は、比較電池Z1〜Z6に比べて残存容量が大きく改善されることが分かる。このような実験結果となった理由を、以下、詳述する。
充電保存特性が低下する要因としてはいくつか考えられるが、リチウム参照極基準で正極活物質を4.50V(電池電圧〔放電終止電圧〕はこれより0.1V低いため、4.40V)付近まで使用していることを考慮すれば、
(I)正極の充電電位が高くなることによる強酸化雰囲気での電解液の分解
(II)充電された正極活物質の構造が不安定化することによる劣化
といった点が主たる要因として考えられる。
これらは、単に、正極や電解液が劣化するという問題を引き起こすだけではなく、特に、(I)や(II)により起こると考えられる電解液の分解物や正極活物質からの元素の溶出等に起因して、セパレータの目詰まりや負極への堆積による負極活物質の劣化等にも影響するものと考えられる。詳細は後述するが、特に本結果を考慮すると、後者のセパレータや負極に関する影響が大きいと考えられる。
このようなことから、比較電池Z1〜Z6では、電解液の分解物や正極から溶出したCo等が、セパレータに目詰まりしたり、負極に堆積にして負極活物質の劣化を引き起こしたりすることにより、残存容量が低下したものと考えられる。これに対して、ポリマー層が形成された正極を有する本発明電池A1、A2では、電解液の分解物や正極から溶出したCo等が、ポリマー層でトラップされ、セパレータや負極へ移動し、堆積→反応(劣化)、目詰まりすることを抑制している、即ち、ポリマー層がフィルター機能を発揮する。これにより、残存容量の低下が抑制されたものと考えられる。
(2)セパレータに関する考察
また、上述の如く、ポリマー層を有する正極を用いた本発明電池A1、A2では充電保存特性が改善されるが、その改善率は、セパレータの膜厚が薄いものほど高い。更に、セパレータの物性の一つであって膜厚が大きく関与する空孔体積(膜厚×空孔率)を指標にした場合、図2に示すように、約800(単位:μm・%)を境に本発明の効果が顕著に現れることが分かった。
このような結果となったのは、以下に示す理由によるものと考えられる。
一般的に、セパレータの膜厚を薄くすると機械的強度が低下するために、これを補うべく空孔率は下げざるを得ない。したがって、セパレータの膜厚を薄くした場合には、空孔体積は減少する。ところが、上述の如く、電解液の分解生成物や正極から溶出したCo、Mn等の元素は、負極上に析出するのみならず、セパレータの空孔内にも析出する。この結果、空孔体積が小さいセパレータを用いた比較電池Z2〜Z4では、セパレータの目詰まりが生じ易くなって、保存特性が著しく低下する。
これに対して、本発明電池A2では、ポリマー層がフィルター機能を発揮するために、電解液の分解物や正極から溶出したCo等がポリマー層でトラップされる。したがって、空孔体積が小さい場合であっても、セパレータが目詰まりすることを抑制できるので、残存容量の低下が抑制されたものと考えられる。
尚、セパレータの膜厚を増加させた場合は電池のエネルギー密度の低下に直結するため、ある程度の厚み(一般的には20μm前後)を保持して、平均孔径を大きくすることにより、空孔率を上げることが一般的に好まれる。
尚、我々が鋭意検討した結果、ポリマー層を形成した正極を用いた場合に使用できるセパレータとしては、
(I)セパレータの膜厚を余り大きくした場合には、電池のエネルギー密度の低下を招来する。したがって、エネルギー密度が確保できる程度の膜厚であること。
(II)セパレータの空孔率を余り大きくした場合には、セパレータの強度低下を招来する。したがって、セパレータの強度が保持可能な空孔率を有すること。
上記(I)(II)から、本発明が適用できるセパレータの空孔体積は、膜厚×空孔率で算出して1500(単位:μm・%)以下であることを見出した。
(3)まとめ
以上の結果から、4.4V仕様の電池において、セパレータの物性等に関係なく、ポリマー層が形成された正極を有する電池では充電保存特性は大きく向上する。
尚、本作用効果を有効に、且つ、効率良く発揮する上で、セパレータの空孔体積は1500(μm・%)以下であることが望ましく、特に800(μm・%) であるとその効果を顕著に発揮できる。
〔第2実施例〕
セパレータを2種類用い(S1とS5)、正極活物質層の充填密度を3.60g/ccとし、正極活物質層の表面に形成されたポリマー層の物性(ポリマーの分子量及びポリマーの添加量)を固定する一方、充電終止電圧を変化させ、充電終止電圧と充電保存特性との関係を調べたので、その結果を以下に示す。
(比較例1)
充電終止電圧が4.20Vとなるように電池設計を行い、この電位で正負極の容量比が1.08になるように設計した他は、前記第1実施例の比較例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Y1と称する。
(比較例2)
充電終止電圧が4.30Vとなるように電池設計を行い、この電位で正負極の容量比が1.08になるように設計した他は、前記第1実施例の比較例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Y2と称する。
(比較例3)
充電終止電圧が4.35Vとなるように電池設計を行い、この電位で正負極の容量比が1.08になるように設計した他は、前記第1実施例の比較例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Y3と称する。
(比較例4)
充電終止電圧が4.20Vとなるように電池設計を行い、この電位で正負極の容量比が1.08になるように設計した他は、前記第1実施例の実施例2と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Y4と称する。
(比較例5)
正極にポリマー層を形成しない他は、上記比較例4と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Y5と称する。
(比較例6)
充電終止電圧が4.30Vとなるように電池設計を行い、この電位で正負極の容量比が1.08になるように設計した他は、前記第1実施例の比較例2と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Y6と称する。
(比較例7)
充電終止電圧が4.35Vとなるように電池設計を行い、この電位で正負極の容量比が1.08になるように設計した他は、前記第1実施例の比較例2と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Y7と称する。
(実験)
比較電池Y1〜Y7の充電保存特性(充電保存後の残存容量)について調べたので、その結果を表3に示す。尚、同表には、前記本発明電池A1、A2及び前記比較電池Z1、Z2の結果についても示す。
また、代表的な例として、比較電池Z2及び本発明電池A2における充放電特性の比較を行なったので、前者の特性を図3に、後者の特性を図4に示す。
尚、充放電条件及び保存条件は、下記の通りである。
[充放電条件]
前記第1実施例の実験と同様の条件である。
[保存条件]
比較電池Y2、Y3、Y6、Y7については前記第1実施例の実験と同様の条件であり、比較電池Y1、Y4、Y5については、80℃で4日間放置するという条件である。
[残存容量の算出]
前記第1実施例の実験と同様にして算出した。
[考察]
表3から明らかなように、正極にポリマー層が形成されず且つ空孔体積が456μm・%のセパレータS1を用いた比較電池Y5〜Y7、Z2を比較した場合、充電終止電圧が4.35V以上(リチウム参照極電位に対する正極電位が4.45V以上)の比較電池Y7、Z2は、充電終止電圧が4.35V未満の比較電池Y5、Y6に比べて残存容量が著しく小さくなっていることが確認された。また、比較電池Y6、Y7、Z2では、残存容量確認後の再充電の際に、充電カーブが蛇行し、充電量が大幅に増加する挙動が確認された(比較電池Z2の充放電特性を示す図3における蛇行部1参照)。一方、正極にポリマー層が形成されず且つ空孔体積が1104μm・%のセパレータS5を用いた比較電池Y1〜Y3、Z1を比較した場合、空孔体積の低い上記比較電池Y5〜Y7、Z2に比べると劣化は起こり難いが、充電終止電圧4.40Vの比較電池Z1では異常充電挙動が確認された。これに対して、本発明電池A1、A2では、セパレータの空孔体積の大小に関わらず残存容量の低下が抑制され、且つ、異常充電挙動も確認できなかった。
このような結果となったのは、以下に示す理由によるものと考えられる。
一般に、充電終止電圧を上げると、正極活物質の結晶構造が不安定化し、Co、Mnの溶出が起こり易くなる。また、充電終止電圧を上げると、高酸化状態になることから電解塩の分解が起こり易くなり、LiPF6といったFを含む塩においてはHFを発生し、CoやMnの溶出を促進するものと推測される。これらのことに起因して、充電終止電圧の高く、空孔体積が小さなセパレータを用いた比較電池Y7、Z2では、CoやMnの溶出が顕著になる結果、異常充電挙動が出現したり、残存容量が低下したりするものと考えられる。
これに対して、本発明電池においては、正極表面上に形成されたポリマー層がフィルターとして機能し、溶解したCo、Mn等がセパレータや負極に移動することを抑制できるので、空孔体積が大きな本発明電池A1のみならず、空孔体積が小さな本発明電池A2においても、残存容量が低下したり異常充電が発生したりすることが抑えられる。更に、ポリマー層の存在により、正極活物質層の表面において電解液が分解も阻害しているものと推測される。
尚、充電終止電圧が4.20Vの場合には、共にセパレータの空孔体積が小さいにも関わらず、ポリマー層を有する比較電池Y4はポリマー層を有しない比較電池Y5に比べて、残存容量が略同等であることが認められる。これは、充電終止電圧が4.20Vの場合と充電終止電圧が4.30V以上の場合との挙動を比較する限りでは、両者の劣化モードは大きく異なっていることに起因するものと考えられる。
この理由については、これは推測の範囲を出ないが、充電終止電圧が4.20Vの保存試験では、正極の構造はさほど負荷がかかっておらず、その影響で電解液の分解に起因する影響はあるものの、正極からのCoの溶出等の影響は小さいものと推測される。したがって、ポリマー層の有無による改善効果は殆どない。これに対して、電池の充電終止電圧(保存電圧)が高くなるほど、充電された正極の結晶構造の安定性は低下するばかりでなく、一般にリチウムイオン電池に用いられる環状カーボネートや鎖状カーボネートの耐酸化電位の限界にも近づくため、これまでにリチウムイオン電池が使用されてきた電圧で予想される以上の副反応物や電解液の分解が進行し、その影響で負極やセパレータのダメージが増加したためと推測される。
以上のことから、充電終止電圧が4.30V(リチウム参照極に対する正極電位は4.40V)以上においてのみ本発明の効果が発現するものと考えられる。また、セパレータの空孔体積が800μm・%以下である場合に、本発明の構成とすることが特に有効であるということも分かる。
〔第3実施例〕
セパレータを2種類用い(S1とS5)、充電終止電圧を4.40Vとし、正極活物質層の表面に形成されたポリマー層の物性(ポリマーの分子量及びポリマーの添加量)を固定する一方、正極活物質層の充填密度を変化させ、正極活物質層の充填密度と充電保存特性との関係を調べたので、その結果を以下に示す。
(実施例)
正極活物質層の充填密度を3.20g/ccとした他は、前記第1実施例の実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、本発明電池Bと称する。
(比較例1)
正極活物質層の充填密度を3.20g/ccとした他は、前記第1実施例の比較例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池X1と称する。
(比較例2)
正極活物質層の充填密度を3.20g/ccとした他は、前記第1実施例の比較例2と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池X2と称する。
(比較例3)
正極活物質層の充填密度を3.40g/ccとした他は、前記第1実施例の比較例2と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池X3と称する。
(比較例4)
正極活物質層の充填密度を3.80g/ccとした他は、前記第1実施例の比較例2と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池X4と称する。
(実験)
本発明電池B及び比較電池X1〜X4の充電保存特性(充電保存後の残存容量)について調べたので、その結果を表4に示す。尚、同表には、前記本発明電池A1、A2及び前記比較電池Z1、Z2の結果についても示す。
尚、充放電条件、保存条件、及び残存容量の算出方法については、前記第1実施例の実験と同様の条件である。
表4から明らかなように、空孔体積が1104μm・%のセパレータS5を用いた場合、正極活物質層の充填密度が3.20g/ccであれば、本発明電池Bのみならず、比較電池X1においてもある程度の残存容量を有することが認められるが、正極活物質層の充填密度が3.60g/ccになると、本発明電池A1ではある程度の残存容量であることが認められるものの、比較電池Z1は本発明電池A1に比べて残存容量が大幅に低下していることが認められる。
また、空孔体積が456μm・%のセパレータS1を用いた場合、正極活物質層の充填密度が3.20g/ccであれば、比較電池X2においてもある程度の残存容量を有することが認められるが、正極活物質層の充填密度が3.40g/cc以上になると、本発明電池A2ではある程度の残存容量であることが認められるものの、比較電池X3、X4、Z2では残存容量が著しく低下していることが認められる。
これは電解液に接する表面積の問題と、副反応の生じる箇所の劣化の程度に起因した現象と推測される。具体的には、正極活物質層の充填密度が低い場合(3.40g/cc未満の場合)には、局所的な反応でなく、全体的に均一に劣化が進行するため、保存後の充放電反応に対してもさほど大きな影響は出ない。これに対して、充填密度が高い場合(3.40g/cc以上の場合)には最表面層での劣化が中心となり、ポリマー層を有しない比較電池では、放電時の正極活物質中へのリチウムイオンの侵入・拡散が律速になって劣化の程度が大きくなる一方、ポリマー層を有する本発明電池ではポリマー層の存在により、最表面層での劣化が抑制されるので、放電時の正極活物質中へのリチウムイオンの侵入・拡散が律速とならず、劣化の程度が小さくなるものと推測される。
また、比較電池Z1、Z2、X1〜X4では、前記第2実施例の実験で延べた異常充電が発生しているのに対して、本発明電池A1、A2、Bでは異常充電が発生していないことも認められた。
以上の結果から、特に正極活物質層の充填密度が3.40g/cc以上である場合に、本発明の効果が特に発揮されることが分かる。
〔第4実施例〕
充電終止電圧を4.40V、正極活物質層の充填密度を3.60g/cc、セパレータをS1に固定する一方、正極活物質層の表面に形成されたポリマー層の物性(ポリマーの分子量)を変化させ、ポリマーの分子量と充電保存特性との関係を調べたので、その結果を以下に示す。
(比較例)
正極のポリマー層形成時に用いるポリマー溶液として、ポリマーがPVdF(HFP−PTFEとの共重合体:分子量30万)から成るものを用いた他は、前記第1実施例の実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Wと称する。
(実験)
比較電池Wの充電保存特性(充電保存後の残存容量)について調べたので、その結果を表5に示す。尚、同表には、前記本発明電池A1及び前記比較電池Z1の結果についても示す。
尚、充放電条件、保存条件、及び残存容量の算出方法については、前記第1実施例の実験と同様の条件である。
[考察]
表5から明らかなように、充電保存試験において、正極活物質層の表面にポリマー層が形成され、且つポリマーの分子量が80万以上の本発明電池A1は、ポリマー層が形成されていない比較電池Z1、及び、正極活物質層の表面にポリマー層が形成されているが、ポリマーの分子量が30万(ポリマーはPVdF)の比較電池Wに比べて充電保存後の残存容量が大幅に改善されることが認められる。
このように、本発明電池A1が理由として、ポリマー層が形成されていない比較電池Z1のみならず、ポリマー層が形成された比較電池Wと比べても残存容量が大きくなるのは、以下に示す理由によるものと考えられる。即ち、本発明電池A1に用いたポリマー種は、オキセタニル基による架橋基を有し、分子量が高いため電解液に対して溶解し難い。一方、比較電池Wに用いたPVdFは架橋構造を有さず、分子量も低いことから電解液に解け易い。したがって、正極活物質層の表面でのポリマー層の形成が困難となって、残存容量を向上させるという効果を十分に発現しないものと推測される。尚、分子量の大きいPVDFを用いることも考えられるが、この場合には、電解液への膨潤性の低下や塗工時に可溶な溶媒種が存在しなくなる等の問題があり、予め分子量の大きいポリマーをキャストすることは、実際上困難である。
そこで、本発明に用いたポリマーのように、分子量がもともとある程度大きく、架橋により更に高分子化して、電解液への不溶性を高められるものが好ましい。また、数百単位でのモノマーの重合では、粘性が低いことから電極内部に浸透し易く、電極抵抗の増加や電解液の浸透性の低下が問題になる。また、これらは架橋点が数多く存在することから、未反応部位が残り易く、電池性能にも悪影響を与える可能性が高い。その意味では、予めある程度高分子量化し、純度を高めたものを電極上で架橋し、更に高分子量化することが望ましい。
ここで、電極上での架橋反応については、既に高分子量化の際にラジカル重合反応を実施しており、反応停止後に更にラジカル重合を行うことは非常に困難であるため(選択的に高分子量化、架橋反応でラジカル反応を多段に制御することは困難であるため)、ラジカル重合とは異なる方式での架橋反応を採用することが望ましい。したがって、カチオン重合、脱水縮合重合等の重合方式で架橋反応が進行することが好ましく、具体的には、オキセタニル基やエポキシ基を有する官能基を利用したカチオン重合や、多官能イソシアネート−水酸基の脱水縮合によるウレタン結合の形成等が望ましい(部分的に高分子間を連結し、電解液に対して難溶解性を付加する)。
本発明に必要なポリマー材料は、これらの架橋官能基を含むことは必須であるが、電解液との親和性(リチウムイオンの透過性やポリマーの膨潤に必要)、造膜性(均一な腹を形成すること)、電解液への難溶性(電解液への溶出を抑制すること)のバランスをとった組成にすることが必要である。電解液との親和性を高めるモノマー種としては、アクリルエステルモノマーやメタクリルエステルモノマーが挙げられる。また、造膜性を高めるモノマーとしては、長鎖アルキル基を有するモノマーやスチレン構造を有するモノマーが挙げられる。また、電解液への難溶性を高めるモノマーとしては、前述の高分子量化を果たす架橋官能基を有するモノマー等が挙げられる。この他にも様々なモノマー種が挙げられるが、これらを組み合わせて、適切な配合組成で重合することにより、プレポリマー(架橋前高分子)は合成できる。尚、架橋官能基を有するモノマーのプレポリマー中の割合は、上記バランスを考慮すると、5質量%以上25質量%以下が望ましい。また、プレポリマーの合成はラジカル重合であることが望ましく、それぞれ必要な官能基を有するモノマー種の組合せが種々選択できる。これにより、難溶解性且つ適度な膨潤性を有するポリマーを得ることができる。
尚、分子量が40万のポリマーと、分子量が60万とのポリマーとをそれぞれ用いた場合にもポリマーの溶出率が大きくて、電解液中に溶出することを確認した。このように電解液中に溶出すると、本発明の効果が得られないという問題が発生する他、アルミラミネート電池では、渦巻電極体に電解液を注入した後、熱溶着により電池を封止する際に、封止部にポリマーが存在することにより、アルミラミネートの封止性が著しく低下するという問題があり、更に、高温保存時にガスが発生するという問題もある。したがって、ポリマーの分子量は80万以上であることが必須である。
ここで、通常、分子量の増加によって有機溶剤への溶解量は減少するが、その分子量が大きすぎる場合(分子量がおおよそ100万以上の場合)には、正確に分子量を測定することが困難である(前述のGPCを用いても測定が困難である)。そこで、具体的にポリマーの物性値を規定するためには、混合有機溶媒(例えば、ECとDECとの体積比が1:1のもの)へ24時間浸漬して抽出処理を行い、有機溶剤中へのポリマーの溶出量を測定し、下記(4)式から溶出比率を算出することにより規定できる。但し、有機溶媒としては上記のものに限定するものではなく、同程度の抽出率を示すのであればその有機溶媒も使用可能である。
溶出比率(質量%)=
有機溶剤に含まれるポリマーの質量/総ポリマー質量×100・・・(4)
〔第5実施例〕
充電終止電圧を4.40V、正極活物質層の充填密度を3.60g/cc、セパレータをS1に固定する一方、正極活物質層の表面に形成されたポリマーの添加量(ポリマーの塗工量)を変化させ、ポリマーの添加量と充電保存特性との関係を調べたので、その結果を以下に示す。
(実施例)
正極のポリマー層形成時に用いるポリマー溶液として、ポリマーの添加量が5質量%(ポリマー塗工量が3.30×10-4g/cm)のものを用いた他は、前記第1実施例の実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、本発明電池Cと称する。
(実験)
本発明電池Cの充電保存特性(充電保存後の残存容量)について調べたので、その結果を表6に示す。尚、同表には、前記本発明電池A1及び前記比較電池Z1の結果についても示す。
尚、充放電条件、保存条件、及び残存容量の算出方法については、前記第1実施例の実験と同様の条件である。
[考察]
表6から明らかなように、ポリマーの添加量が3質量%の本発明電池A1のみならず、ポリマーの添加量が5質量%の本発明電池Cでも、比較電池Z1より残存容量が大きくなっていることが認められる。
ここで、Co、Mn等の移動を阻止するという観点からはポリマー層が厚い(ポリマーの塗工量〔添加量〕が多い)方が好ましく、本発明電池Cよりも更にポリマー添加量を増加していくと、残存容量が大きくなっていくことを確認した。しかし、ポリマー添加量の増加に伴い、電池の内部抵抗が増加する。そのため、保存前の電池容量に関しては、ポリマー層が形成されていない比較電池Z1と比べた場合、ポリマーの添加量が5質量%の本発明電池Cでは89.0%しか電池容量(1.0Itでの放電比率)がなく、また、ポリマーの添加量が10質量%の電池では31.8%しか電池容量(1.0Itでの放電比率)がないことが確認された。
これらのことから、ポリマー層の膜厚が大きくなって電池の内部抵抗が増大し、これにより放電容量が低下するという問題を抑制するためには、ポリマー塗工量は3.3×l0-4g/cm2以下が好ましいということが分かる。
〔その他の事項〕
(1)ポリマー溶液を作製する際、溶媒やポリマー種を特に限定するものではないが、用いるポリマー種に適した溶媒を用いることが望ましい。特に、正極はNMP−PVDFで作製されており、PVDFが可溶な溶媒種を用いると、正極そのものへのダメージがあり、その意味ではNMPやアセトンは好ましくない。
(2)正極活物質としては、上記コバルト酸リチウムに限定するものではなく、コバルト−ニッケル−マンガンのリチウム複合酸化物、アルミニウム−ニッケル−マンガンのリチウム複合酸化物、アルミニウム−ニッケル−コバルトの複合酸化物等のコバルト或いはマンガンを含むリチウム複合酸化物や、スピネル型マンガン酸リチウム等でも構わない。好ましくはリチウム参照極電位で4.3Vの比容量に対して、それ以上の充電により容量増加する正極活物質であり、且つ層状構造であることが好ましい。また、これらの正極活物質は単独で用いても良く、他の正極活物質と混合されていても良い。
(3)正極合剤の混合方法としては、湿式混合法に限定するものではなく、事前に正極活物質と導電剤を乾式混合した後に、PVDFとNMPを混合、攪拌するような方法であっても良い。
(4)負極活物質としては、上記黒鉛に限定されるものではなく、グラファイト、コークス、酸化スズ、金属リチウム、珪素、及びそれらの混合物等、リチウムイオンを挿入脱離できうるものであればその種類は問わない。
(5)電解液のリチウム塩としては、上記LiPF6に限定されるものではなく、LiBF4、LiN(SO2CF32、LiN(SO2252、LiPF6-X(Cn2n+1X[但し、1<x<6、n=1又は2]等でも良く、これら2種以上を混合して使用することもできる。リチウム塩の濃度は特に限定されないが、電解液1リットル当り0.8〜1.5モルに規制するのが望ましい。また、電解液の溶媒としては上記エチレンカーボネート(EC)やジエチルカーボネート(DEC)に限定するものではないが、プロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン(GBL)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)等のカーボネート系溶媒が好ましく、更に好ましくは環状カーボネートと鎖状カーボネートの組合せが望ましい。
本発明は、例えば携帯電話、ノートパソコン、PDA等の移動情報端末の駆動電源で、特に高容量が必要とされる用途に適用することができる。また、高温での連続駆動が要求される高出力用途で、HEVや電動工具といった電池の動作環境が厳しい用途にも展開が期待できる。
コバルト酸リチウムの結晶構造の変化と電位との関係を示すグラフである。 充電保存後の残存容量とセパレータの空孔体積との関係を示すグラフである。 比較電池Z2における充放電容量と電池電圧との関係を示すグラフである。 本発明電池A2における充放電容量と電池電圧との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 蛇行部

Claims (8)

  1. 正極活物質を含む正極活物質層を有する正極、負極活物質を有する負極、及びこれら両極間に介装されたセパレータから成る電極体と、この電極体に含浸された非水電解質とを備えた非水電解質電池において、
    上記正極活物質には少なくともコバルト又はマンガンが含まれると共に、上記正極の充電終止電位がリチウム参照極電位に対して4.40V以上となるように構成され、しかも、上記正極活物質層の表面には、ポリマーが一部架橋構造を有し且つポリマーの分子量80万以上であるポリマー層が形成されていることを特徴とする非水電解質電池。
  2. 上記正極活物質層の単位面積あたりに存在する上記ポリマー層の質量が3.3×10-4g/cm2以下である、請求項1記載の非水電解質電池。
  3. 上記セパレータの厚みをx(μm)とし、上記セパレータの空孔率をy(%)とした場合に、xとyとを乗じた値が1500(μm・%)以下となるように規制される、請求項1又は2記載の非水電解質電池。
  4. 上記xとyとを乗じた値が800(μm・%)以下となるように規制される、請求項3記載の非水電解質電池。
  5. 上記正極活物質層の充填密度が3.40g/cc以上である、請求項1〜4記載の非水電解質電池。
  6. 上記正極活物質には、少なくともアルミニウム或いはマグネシウムが固溶されたコバルト酸リチウムが含まれており、且つ、このコバルト酸リチウム表面には、コバルト酸リチウムと電気的に接触したジルコニアが固着されている、請求項1〜5記載の非水電解質電池。
  7. 上記正極の充電終止電位がリチウム参照極電位に対して4.45V以上となるように構成される、請求項1〜6記載の非水電解質電池。
  8. 50℃以上の雰囲気下で使用されることがある、請求項1〜7記載の非水電解質電池。
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