JP5110817B2 - 非水電解質電池 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン電池或いはポリマー電池等の非水電解質電池の改良に関し、特に高温におけるサイクル特性及び保存特性に優れ、高容量を特徴とする電池構成においても高い信頼性を発揮できる電池構造に関するものである。
近年、携帯電話、ノートパソコン、PDA等の移動情報端末の小型・軽量化が急速に進展しており、その駆動電源としての電池にはさらなる高容量化が要求されている。充放電に伴い、リチウムイオンが正、負極間を移動することにより充放電を行うリチウムイオン電池は、高いエネルギー密度を有し、高容量であるので、上記のような移動情報端末の駆動電源として広く利用されている。
ここで、上記移動情報端末は、動画再生機能、ゲーム機能といった機能の充実に伴って、更に消費電力が高まる傾向にあり、その駆動電源であるリチウムイオン電池には長時間再生や出力改善等を目的として、更なる高容量化や高性能化が強く望まれるところである。
こうした背景の中で、リチウムイオン電池の高容量化を図るために、発電要素に関与しない電池缶、セパレータ、正負両極の集電体(アルミ箔や銅箔)の薄型化(例えば、下記特許文献1参照)や、活物質の高充填化(電極充填密度の向上)を中心に研究、開発がなされてきたが、これらの対策もほぼ限界に近づきつつあり、今後の高容量化対策には材料の変更等の本質的な改良が必要となってきている。しかしながら、正負両活物質の変更による高容量化において、負極活物質ではSiやSn等の合金系負極が期待されるものの、正極活物質では、現状のコバルト酸リチウムを超える容量を有し、且つ、性能も同等以上である材料は殆ど見当たらない。
このような状況下、我々はコバルト酸リチウムを正極活物質として用いた電池の充電終止電圧を、現状の4.2Vから更に上の領域に利用深度(充電深度)を高めることによって高容量化が可能な電池を開発した。このように利用深度を高めることによって高容量化できる理由を簡単に説明すると、コバルト酸リチウムの理論容量は約273mAh/gであるが、4.2V仕様の電池(充電終止電圧が4.2Vの電池)ではこのうち160mAh/g程度しか利用しておらず、4.4Vまで充電終止電圧を引き上げることにより約200mAh/gまで使用することが可能であるという理由による。このように、4.4Vまで充電終止電圧を引き上げることにより、電池全体として10%程度の高容量化を達成できる。
しかしながら、コバルト酸リチウムを上記の如く高電圧で使用した場合には、充電された正極活物質の酸化力が強まり、電解液の分解が加速されるばかりでなく、脱リチウムされた正極活物質自体の結晶構造の安定性が失われ、結晶の崩壊によるサイクル劣化や保存劣化が最大の課題であった。我々が検討したところ、コバルト酸リチウムにジルコニア、アルミニウム、マグネシウムを添加することによって高電圧の室温条件下では4.2Vと類似の性能を出せることがわかっているが、前述したように、近年の起動端末は消費電力が大きく、高温環境下での連続使用に耐え得る等の高温駆動条件下での性能確保が必須であり、その意味では室温に限らず、高温での信頼性を確保できる技術の開発が急務であった。
特開2002−141042号公報
上述の如く、充電終止電圧を向上させた電池の正極では、結晶構造の安定性が失われて、特に高温での電池性能の劣化が顕著であることがわかった。このような現象について、詳細な原因は不明であるが、分析結果を見る限りでは、電解液の分解生成物や正極活物質からの元素の溶出(コバルト酸リチウムを用いた場合にはコバルトの溶出)が認められており、これが高温でのサイクル特性や保存特性が悪化する主要因となっているものと推測される。
特に、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、或いは、ニッケル−コバルト−マンガンのリチウム複合酸化物等の正極活物質を用いた電池系では、高温保存すると、コバルトやマンガンがイオンとなって正極から溶出し、これらの元素が負極で還元されることにより、負極やセパレータヘ析出し、電池内部抵抗の増加やそれに伴う容量低下等が問題となっている。更に、上述の如く、リチウムイオン電池の充電終止電圧を上昇させた場合には、結晶構造の不安定さが増加し、上記問題点が一層顕在化し、これまで4.2V仕様の電池系で問題のなかった50℃付近の温度でもこれらの現象が強まる傾向にある。また、セパレータの膜厚が薄く、空孔率の低いセパレータを用いた場合には、これらの現象がより強まる傾向にある。
例えば4.4V仕様の電池において、正極活物質としてコバルト酸リチウム、負極活物質として黒鉛を用い、保存試験(試験条件は、充電終止電圧4.4V、保存温度60℃、保存期間5日間)を行った場合には、保存後の残存容量が大幅に低下し、時には略ゼロまで低下する。そこで、この電池を解体したところ、負極、セパレータから多量のコバルトが検出されていることから、正極から溶出したコバルト元素により、劣化のモードが加速されていると考えられる。これは、コバルト酸リチウムの如く層状の正極活物質は、リチウムイオンの引き抜きにより価数が増加するが、4価のコバルトは不安定であることから結晶そのものが安定せず、安定な構造に変化しようとするため、コバルトイオンが結晶から溶出し易くなるということに起因するものと推測される。また、正極活物質としてスピネル型マンガン酸リチウムを用いた場合においても、一般に、マンガンの3価が不均化して2価のイオンで溶出し、正極活物質としてコバルト酸リチウムを用いた場合と同様の問題が生じることが知られている。
このように、充電された正極活物質の構造が不安定な場合には、特に高温での保存劣化やサイクル劣化が顕著になる傾向がある。そして、この傾向は正極活物質層の充填密度が高いほど起こり易いことも判明していることから、高容量設計の電池での問題が顕著となる。尚、負極のみならず、セパレータの物性にまで関与する理由としては、負極で還元された物質が堆積して、セパレータの微多孔を充填することに起因するものと推測される。
これらの対策として、正極活物質粒子表面を無機物で物理的に被覆したり、正極活物質粒子表面を有機物で化学的に被覆したりして、コバルト等が正極から溶出するのを抑制する試みがなされている。しかしながら、正極活物質は多少なりとも充放電に伴い膨張収縮を繰り返すために、上記の如く物理的に被覆した場合は、無機物等が脱落して被覆効果の消失が懸念される。一方、化学的に被覆した場合には、被覆膜の厚み制御が困難であって、無機粒子層の厚みが大きいときには、電池の内部抵抗の増加により本来の性能が出し難くなって電池容量の低下を招き、しかも、粒子全体を完全に被覆処理することが困難であるため、被覆効果が限定的となるといった課題が残る。したがって、これらに変わる手法が必要であった。
したがって、本発明は、高温におけるサイクル特性及び保存特性に優れ、高容量を特徴とする電池構成においても高い信頼性を発揮できる非水電解質電池の提供を目的としている。
上記目的を達成するために本発明は、正極活物質を含む正極活物質層を有する正極と、負極と、これら両極間に介装されたセパレータとから成る電極体と、溶媒及びリチウム塩から成る非水電解質とを備え、この非水電解質が上記電極体に含浸された非水電解質電池において、上記正極活物質には少なくともコバルト又はマンガンが含まれると共に、上記正極と上記セパレータとの間には無機粒子とバインダーとが含まれた無機粒子層が形成され、且つ、上記リチウム塩にはLiBFが含まれ、しかも、リチウム参照極電位に対して4.40V以上となるまで上記正極が充電されることを特徴とする。
上記の如く電解液にLiBFが添加されていれば、LiBF由来の皮膜が正極活物質の表面に形成され、この皮膜の存在により、正極活物質を構成する物質(コバルトイオンやマンガンイオン)の溶出や、正極表面上での電解液の分解を抑制することができる。したがって、コバルトイオンやマンガンイオン、或いは電解液の分解生成物が負極表面に析出するのが抑えられる。
但し、LiBF由来の皮膜により完全に正極活物質を覆うことは難しく、正極活物質を構成する物質の溶出や、正極表面上での電解液の分解を十分に抑えることは難しい。そこで、正極とセパレータとの間に無機粒子層を形成すると、コバルトイオン等や正極上での分解生成物が無機粒子層でトラップされ、これら物質がセパレータや負極へ移動し、堆積→反応(劣化)したり、セパレータが目詰まりしたりするのが抑制される。即ち、無機粒子層がフィルター機能を発揮し、コバルト等が負極又はセパレータで析出するのが抑制される。これにより、充電保存特性の低下が十分に抑制されることになる。
ここで、無機粒子層がフィルター機能を発揮するのは、無機粒子層に含まれるバインダーが電解液を吸収して膨潤することにより、無機粒子間が膨潤したバインダーによって適度に埋められることによるものと考えられる。そして、複数の無機粒子が絡む層が形成されることにより複雑に入り組んだフィルター層が形成され、これにより、物理的なトラップ効果も高くなるものと考えられる。
また、リチウム参照極電位に対して4.40V以上となるまで正極の充電を行なうという限定があるのは、以下に示す理由による。即ち、上述の如く、LiBFは正極表面に皮膜を形成して、正極活物質からの溶出物や電解液の分解等を抑制することができるという利点を発揮するとはいうものの、LiBFは正極との反応性が高いため、リチウム塩の濃度が低下して電解液の伝導度が低下するという欠点もある。したがって、正極の充電がリチウム参照極電位に対して4.40V未満となる場合(正極の構造にさほど負荷がかかっていない場合)にまで、LiBFを添加すると、LiBFを添加することによる上記欠点が前面に押し出され、かえって電池特性が低下するからである。
更に、上記構成であれば、バインダーにより無機粒子同士が強固に接着されているので、無機粒子が脱落するのを長期間に亘って抑制できるという効果もある。
尚、リチウム塩にLiBFが含まれず、且つ無機粒子層が形成されていない電池において、リチウム参照極電位に対して4.40V以上となるまで正極の充電を行なった場合には、電池を保存した後の再充電の際に、充電カーブが蛇行し、充電量が大幅に増加する挙動が確認されたが、本発明の構成であれば、このような異常充電挙動が生じるのを解消できるという効果があるということも確認している。
また、電解液にLiBFを添加する先行例が開示されているが(WO2006/54604号公報)、単に、電解液にLiBFを添加するだけでは本発明の作用効果を発揮しえないことは、上述のことから明らかである。
上記正極活物質層の表面、及び/又は上記セパレータにおける正極側の表面に上記無機粒子層が形成されていれば良い。また、これらの場合において、正極活物質層の表面の全面、セパレータにおける正極側の表面の全面に上記無機粒子層が形成されていることが望ましい。
無機粒子層は正極活物質層の表面及び/又はセパレータにおける正極側の表面に形成すれば良いのであるが、これらの全面に無機粒子層が形成されていれば、無機粒子層におけるコバルトイオンやマンガンイオンのトラップ効果が十分に発揮されるので、高温でのサイクル特性の劣化や高温での保存特性の劣化を一層抑制することができる。
上記非水電解質の総量に対する上記LiBFの割合が、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが望ましい。
上記のように規制するのは、非水電解質の総量に対するLiBFの割合が0.1質量%未満の場合には、LiBFの量が少な過ぎるために保存特性改善効果が十分に発揮されない一方、非水電解質の総量に対するLiBFの割合が5.0質量%を超える場合には、LiBFの副反応に伴う放電容量の低下、及び放電負荷特性の低下が著しくなるからである。
上記リチウム塩にはLiPFが含まれており、このLiPFの濃度が0.6モル/リットル以上2.0モル/リットル以下であることが望ましい。
LiBFは、充放電により反応し消費されるため、電解質がLiBF単独の場合には、十分な伝導度を確保できず、放電負荷特性が低下してしまう。したがって、リチウム塩にはLiPFが含まれていることが望ましい。また、リチウム塩にLiPFが含まれている場合であっても、LiPFの濃度が低すぎると、上記と同様の不都合があるので、LiPFの濃度は0.6モル/リットル以上であることが好ましい。尚、LiPFの濃度が2.0モル/リットル以下であるのが好ましいのは、LiPFの濃度が2.0モル/リットルを超えると電解液の粘度が高くなり、電池内での液まわりが低下するという理由によるものである。
上記無機粒子がルチル型のチタニア及び/又はアルミナから構成されるのが望ましい。
このように、無機粒子としてルチル型のチタニア及び/又はアルミナが好ましいのは、これらのものは、電池内での安定性に優れ(リチウムとの反応性が低く)、しかもコストが安価であるという理由によるものである。また、ルチル構造のチタニアとするのは、アナターゼ構造のチタニアはリチウムイオンの挿入離脱が可能であり、環境雰囲気、電位によっては、リチウムを吸蔵して電子伝導性を発現するため、容量低下や、短絡の危険性があるからである。
但し、無機粒子の種類による本作用効果への影響は非常に小さいので、無機粒子としては上述のものの他に、ジルコニア、マグネシア等の無機粒子を用いても良い。
上記無機粒子の平均粒径が上記セパレータの平均孔径よりが大きくなるように規制されることが望ましい。
このように規制するのは、無機粒子の平均粒径がセパレータの平均孔径より小さい場合には、電池を作成する際の巻き潰し時にセパレータが一部貫通して、セパレータに大きなダメージを与えることがあり、しかも、セパレータの微多孔内へ無機粒子が侵入して、電池の諸特性を低下させることがあるため、これらの不都合を回避するためである。
上記無機粒子の平均粒径は1μm以下のものが好ましく、また、スラリーの分散性を考慮すると、アルミニウム、シリコン、チタンで表面処理がなされているものが好ましい。
尚、本明細書において平均粒径という場合には、BET法により測定した値をいうものとする。
上記無機粒子層の厚みが4μm以下であることが望ましい。
上述した作用効果は、無機粒子層の厚みが大きい程発揮されるとはいうものの、無機粒子層の厚みが大きくなり過ぎると、電池内部抵抗の増大により負荷特性が低下したり、正負両極の活物質量が少なくなることによる電池エネルギー密度の低下を招来したりすることになるからである。このようなことを考慮すれば、無機粒子層の厚みは2μm以下であることが特に望ましい。
ここで、無機粒子層は複雑に入り組んでいるため、厚みが小さい場合であっても上記トラップ効果は十分に発揮される。また、電解液にはLiBFが添加されており、このLiBF由来の皮膜が正極活物質の表面に形成されることにより、正極活物質を構成する物質(コバルトイオンやマンガンイオン)の溶出や、正極表面上での電解液の分解を抑制することができるので、無機粒子層を単独で形成した場合(LiBFを添加しない場合)に比べて、無機粒子層の厚みを小さくしても問題ない。このようなことを考慮すれば、無機粒子層の厚みは1μm以上あれば良い。
以上より、無機粒子層の厚みは1μm以上4μm以下であることが望ましく、特に1μm以上2μm以下であることが望ましい。尚、上記無機粒子層の厚みとは、片面での厚みをいうものとする。
上記無機粒子に対するバインダーの濃度が30質量%以下に規制するのが望ましい。
このように上限を定めるのは、バインダーの濃度が余り高くなると、リチウムイオンの活物質層への透過性が極端に低下し、電極間の抵抗が増加することにより、充放電容量の低下を招くからである。このようなことを考慮すれば、無機粒子に対するバインダーの濃度が10質量%以下であることが更に望ましく、その中でも5質量%以下であることが特に望ましい。
上記正極活物質層の充填密度が3.40g/cc以上であることが望ましい。
このように規制するのは、充填密度が3.40g/cc未満である場合には、正極での反応は局所的な反応でなく全体的に反応するため、正極での劣化も均一に進行し、保存後の充放電反応に対してもさほど大きな影響はない。これに対して、充填密度が3.40g/cc以上である場合には、正極での反応は最表面層での局所的な反応に限定されるため、正極での劣化も最表面層での劣化が中心となる。このため、放電時の正極活物質中へのリチウムイオンの侵入、拡散が律速となるため、劣化の程度が大きくなる。このことから、正極活物質層の充填密度が3.40g/cc以上の場合に、本発明の作用効果がより発揮されることになる。
リチウム参照極電位に対して4.45V以上、好ましくは4.50V以上となるまで上記正極が充電されるような構成であることが好ましい。
これは、正極がリチウム参照極電位に対して4.45V以上で充電されるような電池では、LiPFの添加の有無及び無機粒子層の有無によって高温特性の差異が顕著に現れるからである。特に、正極がリチウム参照極電位に対して4.50V以上で充電されるような電池では、この差異が顕著に出現する。
上記正極活物質には、少なくともアルミニウム或いはマグネシウムが固溶されたコバルト酸リチウムが含まれており、且つ、このコバルト酸リチウム表面にはジルコニアが固着されていることが望ましい。
このような構造とするのは、以下に示す理由による。即ち、正極活物質としてコバルト酸リチウムを用いた場合には、充電深度が高まるにつれて、結晶構造は不安定になり、高温雰囲気ではより劣化が早まることになる。そこで、アルミニウム或いはマグネシウムを正極活物質(結晶内部)に固溶させることで、正極における結晶歪みの緩和を図っている。但し、これらの元素は結晶構造の安定化には大きく寄与するものの、初回充放電効率の低下や放電作動電圧の低下等を招来する。そこで、このような問題を緩和すべく、コバルト酸リチウム表面にジルコニアを固着している。
更に、50℃以上の雰囲気下で使用されることがある電池に適用することが望ましい。
これは、50℃以上の雰囲気下で使用された場合に電池の劣化が早くなるため、本発明を適用する効果が大きいからである。
上記セパレータの厚みをx(μm)とし、上記セパレータの空孔率をy(%)とした場合に、xとyとを乗じた値が800(μm・%)以下となるように規制される電池に適用するのが好ましい。
セパレータの空孔体積を800(μm・%)以下となるように規制するのは、セパレータの空孔体積が小さいものほど析出物や反応生成物の影響を受けやすく、特性劣化が著しくなるため、このように規制されたセパレータを有する電池に本発明を適用することにより、顕著な効果を発揮しうるからである。但し、セパレータの空孔体積が1500(μm・%)以下の場合には、上記作用効果は十分に発揮され、さらに、セパレータの空孔体積が1500(μm・%)以上の場合であっても、上記作用効果が発揮されることがある。
尚、セパレータの空孔体積が小さい電池ではセパレータの薄型化を達成できるので、電池のエネルギー密度の向上を図ることもできる。
本発明によれば、電解液にLiBFが添加されることによりLiBF由来の皮膜が正極活物質の表面に形成されるので、正極で反応した電解液の分解生成物や正極活物質から溶出するコバルトイオンやマンガンイオンの量が減少する。加えて、正極とセパレータとの間に配置された無機粒子層が適度なフィルター機能を発揮するので、上記分解生成物やコバルトイオンが無機粒子層でトラップされて、コバルトやマンガンが負極やセパレータで析出するのを十分に抑制できる。これにより、負極やセパレータが受けるダメージが飛躍的に軽減されるので、高温でのサイクル特性の劣化や高温での保存特性の劣化を抑制することができるという優れた効果を奏する。また、バインダーにより、無機粒子同士、及び、無機粒子層と正極活物質層又はセパレータとが強固に接着されているので、正極活物質層又はセパレータから無機粒子層が脱落するのを抑制できるという効果もある。
以下、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の最良の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能なものである。
〔正極の作製〕
先ず、正極活物質であるコバルト酸リチウム(Al及びMgがそれぞれ1.0mol%固溶されており、且つZrが0.05mol%表面に固着されているもの)と、炭素導電剤としてのアセチレンブラックと、結着剤としてのPVDFとを、95:2.5:2.5の質量比で混合した後、NMPを溶剤として特殊機化製コンビミックスを用いてこれらを攪拌し、正極合剤スラリーを調製した。次に、この正極合剤スラリーを正極集電体であるアルミニウム箔の両面に塗着し、更に、乾燥、圧延することにより、正極集電体の両面に正極活物質層を形成した。
次に、溶剤としてアセトンに、無機粒子であるTiO〔ルチル型であって粒径0.38μm、チタンエ業(株)製KR380〕をアセトンに対して10質量%、バインダーとしてのアクリロニトリル構造(単位)を含む共重合体(ゴム性状高分子)をTiOに対して10質量%混合し、特殊機化製Filmicsを用いて混合分散処理を行い、TiOが分散されたスラリーを調製した。次に、上記正極活物質層の全面に、当該スラリーをダイコート法を用いて塗布した後、溶剤を乾燥、除去して、正極活物質層の一方の面に無機粒子層を形成した。次いで、これと同様にして、正極活物質層における他方の面の全面に、無機粒子層を形成した。尚、上記無機粒子層の厚みは両面で4μm(片面2μm)であり、また、正極活物質層の充填密度は3.60g/ccとした。
〔負極の作製〕
炭素材料(人造黒鉛)と、CMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム)と、SBR(スチレンブタジエンゴム)とを、98:1:1の質量比で水溶液中にて混合して負極スラリーを作製した後、負極集電体である銅箔の両面に負極スラリーを塗着し、更に、乾燥、圧延することにより、負極集電体の両面に負極活物質層を形成した。尚、負極活物質層の充填密度は1.60g/ccとした。
〔非水電解液の調製〕
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とが容積比で3:7の割合で混合された混合溶媒に、LiPFを1.0モル/リットル(M)の割合で、LiBFを電解液の総量に対して1質量%の割合で、それぞれ溶解させることにより調製した。
〔セパレータの種類〕
セパレータとしては、ポリエチレン(以下、PEと略すことがある)製微多孔膜(膜厚:16μm、平均孔径0.1μm、空孔率47%)を用いた。
〔電池の組立〕
正、負極それぞれにリード端子を取り付け、セパレータを介して渦巻状に巻き取ったものをプレスして、扁平状に押し潰した電極体を作製した後、電池外装体としてのアルミニウムラミネートフィルムの収納空間内に電極体を配置し、更に、当該空間内に非水電解液を注液した後に、アルミニウムラミネートフィルム同士を溶着して封止することにより電池を作製した。尚、この電池では、充電終止電圧が4.40V(リチウム参照極基準に対する正極電位が4.50V)になるように電池設計を行い、且つ、この電位で正負極の容量比(負極の初回充電容量/正極の初回充電容量)が1.08になるように正負両極の活物質量を調整した。また、上記電池の設計容量は780mAhである。
〔第1実施例〕
充電終止電圧とセパレータの物性とを固定する一方、無機粒子層の有無とリチウム塩の種類とを変化させ、無機粒子層の有無及びリチウム塩の種類、濃度と充電保存特性(残存容量)との関係を調べたので、その結果を以下に示す。
(実施例1)
実施例1としては、前記最良の形態で示した電池を用いた。
このようにして作製した電池を、以下、本発明電池A1と称する。
(実施例2、3)
電解液の総量に対するLiBFの割合を、それぞれ、3質量%、5質量%とした他は、実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下それぞれ、本発明電池A2、A3と称する。
(比較例1)
電解液にLiBFを添加しない他は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Z1と称する。
(比較例2)
正極に無機粒子層を形成しない他は、上記比較例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Z2と称する。
(比較例3〜5)
正極に無機粒子層を形成しない他は、上記実施例1〜3と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下それぞれ、比較電池Z3〜Z5と称する。
(実験)
本発明電池A1〜A3及び比較電池Z1〜Z5の充電保存特性(充電保存後の残存容量)について調べたので、その結果を表1に示す。尚、充放電条件及び保存条件は、下記の通りである。
[充放電条件]
・充電条件
1.0It(750mA)の電流で、電池電圧が設定電圧(上記充電終止電圧であり、本実験では全ての電池において4.40V[リチウム参照極基準に対する正極電位では4.50V])となるまで定電流充電を行なった後、設定電圧で電流値が1/20It(37.5mA)になるまで充電を行うという条件。
・放電条件
1.0It(750mA)の電流で、電池電圧が2.75Vまで定電流放電を行なうという条件。
尚、充放電の間隔は10分である。
[保存条件]
上記充放電条件で充放電を1回行い、再度、上記充電条件で設定電圧まで充電した電池を60℃で5日間放置するという条件である。
[残存容量の算出]
上記電池を室温まで冷却し、上記放電条件と同一の条件で放電を行って残存容量を測定し、保存試験後1回目の放電容量と保存試験前の放電容量とを用いて、下記(1)式より、残存容量を算出した。
残存容量(%)=
(保存試験後1回目の放電容量/保存試験前の放電容量)×100・・・(1)
[考察]
(1)全体考察
表1の結果から明らかなように、全ての電池において充電終止電圧とセパレータの物性とが同一であるのにも関わらず、正極(正極活物質層の表面)に無機粒子層が形成され且つ電解液にLiBFが添加された本発明電池A1〜A3は、正極に無機粒子層が形成されず且つ電解液にLiBFが添加されていない比較電池Z2、正極に無機粒子層が形成されているが電解液にLiBFが添加されていない比較電池Z1、及び電解液にLiBFが添加されているが正極に無機粒子層が形成されていない比較電池Z3〜Z5に比べて、残存容量が多くなっている(充電保存特性が向上している)ことが認められる。この理由を、下記電解液にLiBFを添加することの利点に関する考察、及び、無機粒子層を形成したことの利点に関する考察に分けて説明する。
(2)電解液にLiBFを添加することの利点に関する考察
先ず、正極に無機粒子層が形成されていない電池(比較電池Z2〜Z5)同士を比較した場合には、電解液にLiBFが添加された比較電池Z3〜Z5は、電解液にLiBFが添加されていない比較電池Z2に比べて、残存容量が多くなっていることが認められる。一方、正極に無機粒子層が形成された電池(本発明電池A1〜A3、比較電池Z1)同士を比較した場合においても、電解液にLiBFが添加された本発明電池A1〜A3は、電解液にLiBFが添加されていない比較電池Z1に比べて、残存容量が多くなっていることが認められる。これは、以下に示す理由によるものと考えられる。
先ず、なぜ充電保存特性が低下するのかを考えてみると、その要因としてはいくつか考えられるが、リチウム参照極基準で正極活物質を4.50V(電池電圧はこれより0.1V低いため、4.40V)付近まで使用していることを考慮すれば、
(I)正極の充電電位が高くなることによる強酸化雰囲気での電解液の分解
(II)充電された正極活物質の構造が不安定化することによる劣化
といった点が主たる要因として考えられる。
これらは、単に、正極や電解液が劣化するという問題を引き起こすだけではなく、特に、(I)や(II)により起こると考えられる電解液の分解生成物や正極活物質からの元素の溶出等に起因して、セパレータの目詰まりや負極への堆積による負極活物質の劣化等にも影響するものと考えられる。
そこで、上記の如く電解液にLiBFを添加すると、LiBF由来の皮膜が正極活物質の表面に形成される。したがって、この皮膜の存在により、正極活物質を構成する物質(CoイオンやMnイオン)の溶出や、正極表面上での電解液の分解を抑制することができるということに起因して、充電保存特性の低下を抑制できるものと考えられる。
・充電保存特性の改善効果が上記LiBFの添加効果である根拠
正極からの溶出物や分解生成物の有無を簡易的に調べる方法として、セパレータ等の着色状態を調べる方法がある。当該方法により調べることができるのは、正極から溶出したCoイオン等は電解液と反応してセパレータ等に付着するが、そのときの反応に応じてセパレータの着色状態が変化するからである。
そこで、上記試験終了後に電池を解体し、セパレータの変色等を観察したので、その結果を表1に併せて示す。表1から明らかなように、正極に無機粒子層が形成されていない電池(比較電池Z2〜Z5)同士を比較した場合には、電解液にLiBFが添加された比較電池Z3〜Z5ではやや着色する程度であるのに対して、電解液にLiBFが添加されていない比較電池Z2では着色の度合いが大きくなっていることが認められる。一方、正極に無機粒子層が形成された電池(本発明電池A1〜A3、比較電池Z1)同士を比較した場合においても、電解液にLiBFが添加された本発明電池A1〜A3では着色していなかったのに対して、電解液にLiBFが添加されていない比較電池Z1ではやや着色していることが認められた。この結果からすると、LiBFが添加された場合には、正極活物質を構成する物質(CoイオンやMnイオン)の溶出や、正極表面上での電解液の分解を抑制できるので、セパレータ及び負極のダメージが軽減されているものと推測される。
(3)無機粒子層を形成したことの利点に関する考察
先ず、電解液にLiBFが添加されていない電池(比較電池Z1、Z2)同士を比較した場合には、正極に無機粒子層が形成された比較電池Z1は、正極に無機粒子層が形成されていない比較電池Z2に比べて、残存容量が多くなっていることが認められる。一方、電解液にLiBFが添加された電池(本発明電池A1〜A3、比較電池Z3〜Z5)同士を比較した場合には、正極に無機粒子層が形成された本発明電池A1〜A3は、正極に無機粒子層が形成されていない比較電池Z3〜Z5に比べて、残存容量が多くなっていることが認められる。これは、以下に示す理由によるものと考えられる。
上述の如く、電解液にLiBFを添加すると、LiBF由来の皮膜が正極活物質の表面に形成されるが、LiBF由来の皮膜により完全に正極活物質を覆うことは難しく、正極活物質からのCoイオン等の溶出や電解液の分解を完全に抑えることは難しかった。
そこで、上記の如く、正極に無機粒子層を形成すると、正極上で分解された電解液成分や正極から溶出したCoイオン等が、無機粒子層でトラップされ、セパレータや負極へ移動し、堆積→反応(劣化)、目詰まりすることが抑制される、即ち、無機粒子層がフィルター機能を発揮し、Co等が負極で析出するのが抑制される。この結果、無機粒子層が形成された電池では無機粒子層が形成されていない電池に比べて充電保存性能が改善するものと考えられる。
・充電保存特性の改善効果が上記フィルター効果である根拠
表1から明らかなように、電解液にLiBFが添加されていない電池(比較電池Z1、Z2)同士を比較した場合には、正極に無機粒子層が形成された比較電池Z1ではやや着色する程度であるのに対して、正極に無機粒子層が形成されていない比較電池Z2では着色の度合いが大きくなっていることが認められる。一方、電解液にLiBFが添加された電池(本発明電池A1〜A3、比較電池Z3〜Z5)同士を比較した場合には、正極に無機粒子層が形成された本発明電池A1〜A3では着色していなかったのに対して、正極に無機粒子層が形成されていない比較電池Z3〜Z5やや着色していることが認められた。この結果より、正極での反応生成物が無機粒子層で移動抑制されることにより、セパレータ及び負極のダメージが軽減されているものと推測される。
尚、無機粒子層のバインダーは、セパレータ作製時には透気性を阻害するほどではないが、電解液注液後に約2倍以上に膨潤するものが多く、これにより、適度に無機粒子層の無機粒子間が充填される。この無機粒子層は複雑に入り組んでおり、また、バインダー成分により無機粒子同士が強固に接着されているため、強度が向上すると共に、フィルター効果が十分に発揮される(厚みが小さくても入り組んだ構造であり、トラップ効果が高くなる)ものと考えられる。
また、単にポリマー層のみでフィルター層を形成した場合でも充電保存特性はある程度改善するが、この場合、フィルター効果はポリマー層の厚みに依存するため、ポリマー層の厚みを大きくしなければ効果が十分に発揮されず、しかも、ポリマーの膨潤で完全に無多孔の構造になっていないとフィルターの機能は小さくなる。更に、正極の全面を覆うことになるので、正極への電解液の浸透性が悪化し、負荷特性が低下する等の悪影響が大きくなる。したがって、フィルター効果を発揮しつつ、他の特性への影響を最小限にするためには、単にポリマーのみでフィルター層を形成するよりも、無機粒子(本例では、酸化チタン)を含む無機粒子層(フィルター層)を形成することが有利である。
(4)まとめ
上記(2)(3)より、電解液にLiBFが添加されることにより、正極活物質を構成する物質(CoイオンやMnイオン)の溶出や、正極表面上での電解液の分解を抑制することができ、且つ、正極に無機粒子層を形成することによりフィルター効果が発揮されるという相乗効果により、本発明電池A1〜A3では充電保存特性が飛躍的に向上するものと考えられる。
(5)上記実験におけるその他の考察
本発明電池A1〜A3を比較した場合、電解液に添加するLiBFの濃度が高いほど、充電保存特性の改善効果が大きくなっていることが認められる。このことからすれば、電解液に添加するLiBFの濃度を高めれば、問題が解決するのではないかとも考えられる(極論すれば、LiBFの濃度を極めて高くすれば、無機粒子層は必要ではないとも考えられる)。但し、電解液に添加するLiBFの濃度を余り高めると、充電保存特性以外の電池特性(初期充放電効率等)が低下することを、本発明者らは見出した。そこで、このことについて、下記第2実施例にて説明する。
〔第2実施例〕
充電終止電圧とセパレータの物性とを固定し、且つ全ての電池の正極表面に無機粒子層を配置する一方、リチウム塩の濃度を1.0Mに固定し(但し、本発明電池A1を除く)、LiPFとLiBFとの混合割合を変化させ、LiPFとLiBFとの混合割合と充電保存特性(残存容量)、初期充放電特性(初期充放電効率)との関係を調べたので、その結果を以下に示す。
(実施例1)
電解液のリチウム塩として、0.9MのLiPFと0.1MのLiBFとを用いた他は、前記第1実施例の実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、本発明電池B1と称する。
(実施例2)
電解液のリチウム塩として、0.5MのLiPFと0.5MのLiBFとを用いた他は、前記第1実施例の実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、本発明電池B2と称する。
(実験)
本発明電池B1、B2、前記本発明電池A1(リチウム塩の濃度は1.0Mではない)及び前記比較電池Z1の充電保存特性(残存容量)と初期特性(初期充放電効率)について調べたので、その結果を表2に示す。
尚、充放電条件、保存条件、及び残存容量の算出方法については、前記第1実施例の実験と同様の条件である。
また、初期充放電効率は、前記第1実施例の実験と同様の条件で充放電を行い、以下の(2)式により算出した。
初期充放電効率(%)=
(電池作製後1回目の放電容量/電池作製後1回目の充電容量)×100・・・(2)
[考察]
リチウム塩濃度を1.0Mに固定し、且つ、正極表面に無機粒子層を形成した場合において、LiBFが添加された本発明電池B1、B2は、LiBFが添加されていない比較電池Z1に比べて残存容量が多くなっている(充電保存特性が向上している)ことが認められる。これは、LiBF由来の皮膜が正極表面に形成され、正極活物質からの溶出物や電解液の分解を根本から抑制しているとともに、LiBFの効果によっても抑制できなかった溶解物や分解生成物を無機粒子層でトラップすることができるということに起因するものと考えられる。また、このことは、比較電池Z1ではセパレータにやや着色がみられるのに対して、本発明電池B1、B2ではセパレータの着色がないということから裏づけられる。
ここで、LiBFの割合が0.5Mの本発明電池B2は、LiBFの割合が0.1Mの本発明電池B1に比べて、残存容量が一層多くなっていることが認められる。これはLiBFの添加量が多くなれば、正極表面に形成される皮膜が厚くなるため、正極活物質からの溶出物や電解液の分解等をさらに抑制することができるためである。
但し、LiBFの割合が0.5Mの本発明電池B2は、LiBFの割合が0.1Mの本発明電池B1に比べて、初期特性(初期充放電効率)が低下していることが認められる。これは、LiBFの添加量を多くすると、上述の如く、正極表面に形成される皮膜が厚くなるため、充放電に関与できるLiが減少するという理由によるものと考えられる。尚、上記実験では行なっていないが、リチウム塩におけるLiBFの割合が多いと、LiBFは正極との反応性が高いということに起因して、リチウム塩の濃度低下により電解液の伝導度が低下し、負荷特性の低下が生じるおそれもある。
その一方、LiBFの割合が0.1Mの本発明電池B1では、初期特性は改善されるが、充電保存特性の改善効果は小さくなる。これは、LiBF由来の皮膜が正極全体を覆えず、完全に正極からの溶出や電解液の分解を抑制できなかったからである。
以上より、初期特性を低下させず、充電保存特性を改善させるためには、リチウム塩濃度及びLiBFの添加量により正極表面の皮膜厚みのコントロールが重要となり、さらに、完全に抑制できなかった正極からの溶出物や電解液の分解生成物を無機粒子層によりトラップすることが重要となる。そのようなことを考慮して、本発明者らが検討したところ、電解液中のLiPFの濃度を、0.6M以上2.0M以下にした場合において、非水電解質の総量に対するLiBFの割合を、0.1質量%以上5.0質量%以下に規制することが好ましいことがわかった。これにより、LiBFの皮膜による初期特性や負荷特性の低下を抑制しつつ、充電保存特性を大幅に改善することが可能となる。
〔第3実施例〕
セパレータの物性を固定する一方、充電終止電圧、無機粒子層の有無、及びLiBFの添加の有無(電解液の総質量に対するLiBFの割合は3質量%で固定)を変化させ、充電終止電圧、無機粒子層の有無、及びLiBFの添加の有無と充電保存特性(残存容量)との関係を調べたので、その結果を以下に示す。
(実施例1、2)
充電終止電圧がそれぞれ、4.30V、4.35V(リチウム参照極基準に対する正極電位がそれぞれ、4.40V、4.45V)となるように電池設計を行い、且つ、各電位で正負極の容量比が1.08になるように設計した他は、前記第1実施例の実施例2と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下それぞれ、本発明電池C1、C2と称する。
(比較例1)
充電終止電圧が4.20V(リチウム参照極基準に対する正極電位が、4.30V)となるように電池設計を行い、且つ、その電位で正負極の容量比が1.08になるように設計した他は、前記第1実施例の実施例2と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Y1と称する。
(比較例2〜4)
電解液にLiBFを添加しない他は、それぞれ、上記比較例1、上記実施例1、上記実施例2と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下それぞれ、比較電池Y2、Y5、Y8と称する。
(比較例5〜7)
正極表面に無機粒子層を形成しない他は、それぞれ、上記比較例1、上記実施例1、上記実施例2と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下それぞれ、比較電池Y3、Y6、Y9と称する。
(比較例8〜10)
電解液にLiBFを添加せず、且つ、正極表面に無機粒子層を形成しない他は、それぞれ、上記比較例1、上記実施例1、上記実施例2と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下それぞれ、比較電池Y4、Y7、Y10と称する。
(実験)
本発明電池C1、C2及び比較電池Y1〜Y10の充電保存特性(充電保存後の残存容量)について調べたので、その結果を表3に示す。尚、同表には、前記本発明電池A1及び前記比較電池Z1、Z2、Z4の結果についても示す。
尚、充放電条件、保存条件、及び残存容量の算出方法については、前記第1実施例の実験と同様の条件である(但し、保存条件において、充電終止電圧が4.20Vの比較電池Y1〜Y4においては、80℃で4日間放置するという条件とした)。
[考察]
(1)充電終止電圧4.20V(リチウム参照極基準に対する正極電位が4.30V)の場合の考察
表3から明らかなように、充電終止電圧4.20Vの場合には、無機粒子層が正極表面に形成され且つLiBFが添加された比較電池Y1は、無機粒子層が正極表面に形成されず且つLiBFが添加されていない比較電池Y4や、無機粒子層が正極表面に形成されているがLiBFが添加されていない比較電池Y2に比べて、残存容量が少なく(充電保存特性が低下している)ことが認められる。これは、以下に示す理由によるものと考えられる。
充電終止電圧が4.20Vの場合には、正極の構造はさほど負荷がかかっておらず、そのため正極からのCoイオンやMnイオンの溶出が少なく、また電解液等の分解による反応生成物の量も少なくなる。これに対して、上述の如く、LiBFは正極表面に皮膜を形成して、正極活物質からの溶出物や電解液の分解等をさらに抑制することができるという利点を発揮するとはいうものの、LiBFは正極との反応性が高いため、リチウム塩の濃度が低下して電解液の伝導度が低下するという欠点もある。したがって、正極からのCoイオンの溶出等の影響が小さくなる場合にまでLiBFを添加すると、LiBFを添加することによる利点よりもLiBFを添加することによる欠点が前面に押し出される。このため、上述した実験結果となったものと考えられる。
尚、付随的なことではあるが、無機粒子層が正極表面に形成され且つLiBFが添加された比較電池Y1は、LiBFが添加されているが無機粒子層が正極表面に形成されていない比較電池Y2と比べた場合、充電保存特性は殆ど変わらない。したがって、充電終止電圧4.20Vの場合には、無機粒子層を形成しても余り意味がないということがわかる。
(2)充電終止電圧4.30V以上(リチウム参照極基準に対する正極電位が、4.40V以上)の場合の考察
これに対して、充電終止電圧4.30V以上の場合には、無機粒子層が正極表面に形成され且つLiBFが添加された本発明電池C1、C2、A2は、同一の充電終止電圧の電池同士で比較した場合(例えば、本発明電池C1の場合には、比較電池Y5〜Y7と比較した場合)、無機粒子層が正極表面に形成されず且つLiBFが添加されていない比較電池Y7、Y10、Z2や、LiBFが添加されているが無機粒子層が正極表面に形成されていない比較電池Y6、Y9、Z4や、無機粒子層が正極表面に形成されているがLiBFが添加されていない比較電池Y5、Y8、Z1に比べて、残存容量が多くなっている(充電保存特性が向上している)ことが認められる。更に、充電終止電圧が高くなればなるほど、本発明電池と比較電池とにおける充電保存特性の差異が大きくなっている(例えば、本発明電池C1と比較電池Y5〜Y7との差異よりも、本発明電池C2と比較電池Y8〜Y10との差異の方が大きくなっている)ことが認められる。これは、以下に示す理由によるものと考えられる。
電池の充電終止電圧(保存電圧)が高くなればなるほど、充電された正極の結晶構造の安定性は低下するばかりでなく、一般にリチウムイオン電池に用いられる環状カーボネートや鎖状カーボネートの耐酸化電位の限界にも近づくため、これまでに非水電解液二次電池が使用されてきた電圧から予想される以上のCoイオン等の溶出や電解液の分解が進行する。したがって、このような場合に、LiBFを添加する意義と無機粒子層を形成する意義とがある。
具体的には、上記のような場合にLiBFを添加すると、正極表面にLiBF由来の皮膜が形成されることで、正極からのCoイオンやMnイオンの溶出、電解液の分解を抑制し、正極の劣化を抑制するという作用効果が十分に発揮される、即ち、上述したようなLiBFを添加することによる欠点を凌駕するような利点が発揮されることになる。このことは、比較電池Y7、Y10、Z2と比較電池Y6、Y9、Z4とを比較(同一の充電終止電圧の電池同士で比較)すると明らかである。
但し、LiBFを添加するのみでは、わずかながら正極活物質からCoイオンやMnイオンが溶出したり、電解液の分解等が起こるために、保存後の残存容量の低下を招く。そこで、正極表面に無機粒子層を形成することにより、LiBF由来の皮膜で完全に抑制できなかった反応生成物等を無機粒子層で完全にトラップすることにより、反応生成物等がセパレータや負極へ移動し、堆積→反応(劣化)・目詰まりすることを抑制し、これによって充電保存特性を大幅に改善することができる。このことは、本発明電池C1、C2、A2と比較電池Y6、Y9、Z4とを比較(同一の充電終止電圧の電池同士で比較)すると明らかである。
〔第4実施例〕
上記第1実施例〜第3実施例と比べて、セパレータの物性と、無機粒子層の配置位置と、電解液の総質量に対するLiBFの割合とを変えた場合に、無機粒子層の有無及びLiBFの添加の有無と充電保存特性(残存容量)との関係を調べたので、その結果を以下に示す。
(実施例)
セパレータとして、孔径が0.1μm、膜厚が12μm、空孔率が38%のものを用い、且つ、正極表面に無機粒子層を形成せずセパレータ表面(正極側の表面)に無機粒子層(厚さ:2μm)を形成し、しかも電解液の総量に対するLiBFの割合を1質量%とした他は、前記第1実施例の実施例2と同様にして電池を作製した。尚、上記セパレータ表面への無機粒子層の作製は、正極活物質層の表面に無機粒子層を作製する場合と同様にして行った。
このようにして作製した電池を、以下、本発明電池Dと称する。
(比較例1)
電解液にLiBFを添加しない他は、上記実施例と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池X1と称する。
(比較例2)
セパレータ表面(正極側の表面)に無機粒子層を形成しない他は、上記実施例と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池X2と称する。
(比較例3)
電解液にLiBFを添加せず、且つ、セパレータ表面(正極側の表面)に無機粒子層を形成しない他は、上記実施例と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池X3と称する。
(実験)
本発明電池D1及び比較電池X1〜X3の充電保存特性(充電保存後の残存容量)について調べたので、その結果を表4に示す。
尚、充放電条件、保存条件、及び残存容量の算出方法については、前記第1実施例の実験と同様の条件である。
表4から明らかなように、セパレータ表面に無機粒子層を形成し且つ電解液にLiBFを添加した本発明電池Dは、セパレータ表面に無機粒子層を形成しているが電解液にLiBFを添加していない比較電池X1、LiBFを添加しているがセパレータ表面に無機粒子層を形成しない比較電池X2、及び、電解液にLiBFを添加せず且つセパレータ表面に無機粒子層を形成していない比較電池X3よりも残存容量が多くなっている(充電保存特性が向上している)ことが認められる。
これは、上述した理由と同様の理由であり、電解液にLiBFを添加することによって、正極活物質を構成する物質(CoイオンやMnイオン)の溶出抑制効果と、正極表面上での電解液の分解抑制効果とが発揮され、セパレータ表面に無機粒子層を形成することによってフィルター効果が発揮されるという理由によるものと考えられる。したがって、無機粒子層は正極表面に形成することに限定されず、セパレータ表面(正極側の表面)に形成しても良いということがわかる。
〔その他の事項〕
(1)無機粒子層に用いるバインダーとしては、上記アクリロニトリル構造(単位)を含む共重合体(ゴム性状高分子)に限定するものではなく、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やPVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PAN(ポリアクリロニトリル)、SBR(スチレンブタジエンゴム)等やその変性体及び誘導体、ポリアクリル酸誘導体等であっても良い。
ここで、本作用効果を発揮するためには、バインダーとして、以下の機能或いは特性が要求される。
(I)電池の製造工程に耐え得る結着性を確保する機能
(II)電解液を吸収した後の膨潤による無機粒子間の隙間を充填する機能
(III)無機粒子の分散性確保(再凝集防止)
(IV)電解液への溶出が少ないという特性
したがって、(II)の機能と(IV)の特性とを満たすことを前提に、少量の添加でも上記(I)(III)の機能を満たすには、バインダーとしてアクリロニトリル単位を含む共重合体を用いることが特に望ましい。
(2)スラリーの分散方法としては、上記Filmics法に限定するものではなく、ビーズミル法、ディスパー分散法を用いることもできる。但し、本発明では使用する無機粒子の粒径が小さくて、機械的に分散処理を施さないとスラリーの沈降が激しく、均質な膜を作製することができないということを考慮すれば、Filmics法、ビーズミル法といった塗料業界で塗料の分散に用いる方法(湿式分散方法)が好適である。
また、スラリー作製時の溶媒としては、上記アセトンの他に、NMP、シクロヘキサノン、水などが例示されるが、これらに限定されるものではない。
(3)無機粒子層の形成方法としては、上記ダイコート法に限定するものではなく、グラビアコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スプレーコート法等を用いることもできる。但し、余剰部分(不要部分)への塗工によるエネルギー密度の低下を抑制するために間欠塗布を行うことや、厚みの精度を制御(薄膜塗工を実施)することなどを考慮すると、グラビアコート法やダイコート法を用いるのが望ましい。また、溶剤やバインダーが電極内部へ拡散することによる接着強度低下(既存バインダーの溶融による正極活物質層の接着強度低下、無機粒子層へのバインダー染み込みによる極板抵抗の増加)等の問題を回避するためには、塗工時間や乾燥時間の短い方法を用いるのが好ましいが、この点においても上記グラビアコート法等を用いるのが好ましい。
また、スラリー中の固形分(フィラー粒子とバインダーと)の濃度は、塗工方法によっても大きく異なるが、機械的に厚みの制御が困難な、スプレーコート法、ディップコート法、又はカーテンコート法を用いる場合には固形分濃度が低いことが好ましく、3〜30質量%程度であることが望ましい。一方、ダイコート法又はグラビアコート法を用いる場合には固形分濃度は高くても良いということを考慮すれば、5〜70質量%程度であることが望ましい。
(4)LiBFと共に混合するリチウム塩としては、上記LiPFに限定されるものではなく、LiN(SOCF、LiN(SO、LiPF6−X(C2n+1[但し、1<x<6、n=1又は2]等でも良く、これら2種以上を混合して使用することもできる。また、電解液の溶媒としては上記エチレンカーボネート(EC)やジエチルカーボネート(DEC)に限定するものではないが、プロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン(GBL)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)等のカーボネート系溶媒が好ましく、更に好ましくは環状カーボネートと鎖状カーボネートの組合せが望ましい。
(5)正極活物質としては、上記コバルト酸リチウムに限定するものではなく、コバルト−ニッケル−マンガンのリチウム複合酸化物、アルミニウム−ニッケル−マンガンのリチウム複合酸化物、アルミニウム−ニッケル−コバルトの複合酸化物等のコバルト或いはマンガンを含むリチウム複合酸化物や、スピネル型マンガン酸リチウム等でも構わない。好ましくはリチウム参照極電位で4.30Vの比容量に対して、それ以上の充電により容量増加し且つ層状構造する正極活物質であることが好ましい。なぜなら、このような正極活物質は、充電深度の増加により、結晶構造が不安定化して結晶からの元素溶出が起こり易くなるからである。また、これらの正極活物質は単独で用いても良く、他の正極活物質と混合して用いても良い。
(6)正極スラリーの作製方法としては、湿式混合法に限定するものではなく、事前に正極活物質と導電剤を乾式混合した後に、PVDFとNMPを混合、攪拌するような方法であっても良い。
(7)負極活物質としては、上記黒鉛に限定されるものではなく、グラファイト、コークス、酸化スズ、金属リチウム、珪素、及びそれらの混合物等、リチウムイオンを挿入脱離できうるものであればその種類は問わない。
(8)本発明は液系の電池に限定するものではなく、ゲル系のポリマー電池にも適用することができる。この場合のポリマー材料としては、ポリエーテル系固体高分子、ポリカーボネート系固体高分子、ポリアクリロニトリル系固体高分子、オキセタン系ポリマー、エポキシ系ポリマー及びこれらの2種以上からなる共重合体もしくは架橋した高分子若しくはPVDFが例示され、このポリマー材料とリチウム塩と電解質を組合せてゲル状にした固体電解質を用いることができる。
本発明は、例えば携帯電話、ノートパソコン、PDA等の移動情報端末の駆動電源で、特に高容量が必要とされる用途に適用することができる。また、高温での連続駆動が要求される高出力用途で、HEVや電動工具といった電池の動作環境が厳しい用途にも展開が期待できる。

Claims (17)

  1. 正極活物質を含む正極活物質層を有する正極と、負極と、これら両極間に介装されたセパレータとから成る電極体と、溶媒及びリチウム塩から成る非水電解質とを備え、この非水電解質が上記電極体に含浸された非水電解質電池において、
    上記正極活物質には少なくともコバルト又はマンガンが含まれると共に、上記正極と上記セパレータとの間には無機粒子とバインダーとが含まれた無機粒子層が形成され、且つ、上記リチウム塩にはLiBFが含まれ、
    上記セパレータの厚みをx(μm)とし、上記セパレータの空孔率をy(%)とした場合に、xとyとを乗じた値が800(μm・%)以下となるように規制され、
    上記セパレータの厚みが12μm以上16μm以下であり、上記空孔率が38%以上47%以下であることを特徴とする非水電解質電池。
  2. 上記正極活物質層の表面に上記無機粒子層が形成されている、請求項1記載の非水電解質電池。
  3. 上記正極活物質層の表面の全面に上記無機粒子層が形成されている、請求項2記載の非水電解質電池。
  4. 上記セパレータにおける正極側の表面に上記無機粒子層が形成されている、請求項1〜3記載の非水電解質電池。
  5. 上記セパレータにおける正極側の表面の全面に上記無機粒子層が形成されている、請求項4記載の非水電解質電池。
  6. 上記非水電解質の総量に対する上記LiBFの割合が、0.1質量%以上5.0質量%以下である、請求項1〜5記載の非水電解質電池。
  7. 上記リチウム塩にはLiPFが含まれており、このLiPFの濃度が0.6モル/リットル以上2.0モル/リットル以下である、請求項6記載の非水電解質電池。
  8. 上記無機粒子がルチル型のチタニア及び/又はアルミナから成る、請求項1〜7記載の非水電解質電池。
  9. 上記無機粒子の平均粒径が上記セパレータの平均孔径より大きくなるように規制される、請求項1〜8記載の非水電解質電池。
  10. 上記無機粒子層の厚みが4μm以下である、請求項1〜9記載の非水電解質電池。
  11. 上記フィラー粒子に対するバインダーの濃度が30質量%以下である、請求項1〜10記載の非水電解質電池。
  12. 上記正極活物質層の充填密度が3.40g/cc以上である、請求項1〜11記載の非水電解質電池。
  13. リチウム参照極電位に対して4.40V以上となるまで上記正極が充電される、請求項1〜12記載の非水電解質電池。
  14. リチウム参照極電位に対して4.45V以上となるまで上記正極が充電される、請求項1〜12記載の非水電解質電池。
  15. リチウム参照極電位に対して4.50V以上となるまで上記正極が充電される、請求項1〜12記載の非水電解質電池。
  16. 上記正極活物質には、少なくともアルミニウム或いはマグネシウムが固溶されたコバルト酸リチウムが含まれており、且つ、このコバルト酸リチウム表面にはジルコニアが固着されている、請求項1〜15記載の非水電解質電池。
  17. 50℃以上の雰囲気下で使用されることがある、請求項1〜16記載の非水電解質電池。
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