JP5213534B2 - 非水電解質二次電池及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池及びその製造方法に関するものである。
近年、携帯電話、ノートパソコン、PDAなどの移動情報端末の小型・軽量化が急速に進展しており、その駆動電源としての電池にはさらなる高容量化が要求されている。二次電池の中でも高エネルギー密度であるリチウムイオン二次電池の高容量化は年々進んでいる。さらに、これらの移動情報端末は、動画再生、ゲーム機能などの娯楽機能の充実が進み、さらに消費電力が向上する傾向にある。そのため、駆動電源であるリチウムイオン二次電池には、長時間の再生や出力改善等の高容量化及び高性能化が強く望まれている。
リチウムイオン二次電池の正極活物質として一般に用いられているコバルト酸リチウムの理論容量は、約273mAh/gであり、充電終止電圧を4.2Vとした場合、この内160mAh/g程度しか利用されていない。充電終止電圧を4.4Vまで上げることにより、約200mAh/gまで使用することが可能となり、電池全体として10%程度の高容量化を達成することができる。
しかしながら、高い電圧で使用すると、充電された正極活物質の酸化力が強まり、電解液の分解が加速されるばかりでなく、リチウムが脱離した正極活物質自体の結晶構造の安定性が失われ、結晶崩壊によるサイクル劣化や保存劣化が問題となる。
充電終止電圧を高めた電池においては、上述のように、正極活物質の結晶構造の安定性が失われる。特に、高温での電池性能の劣化が顕著になる。詳細な原因は不明であるが、本発明者らが検討したところによれば、電解液の分解物や正極活物質からの元素の溶出(コバルト酸リチウムを用いた場合にはコバルトの溶出)が認められており、これが高温保存時の保存特性の低下の主な要因となるものと推測される。
特に、コバルト酸リチウムやマンガン酸リチウム、ニッケル−コバルト−マンガンのリチウム複合酸化物等の正極活物質を用いた電池系においては、高温保存劣化により、負極やセパレータへのCoやMnの析出が認められており、イオンとなって溶出したこれらの元素が、負極で還元されて析出することにより、内部抵抗増加や、それに伴う容量低下等が問題となる。リチウムイオン二次電池の充電終止電圧を高めた場合、結晶構造の不安定さが増加し、これまで4.2V仕様の電池系で問題がなかった50℃付近の温度でも、これらの現象が強まる傾向がある。
例えば、4.4Vの充電終止電圧とした電池系においては、コバルト酸リチウム/黒鉛の活物質の組み合わせで、60℃で5日間保存試験を行った場合、残存容量は大幅に低下し、場合によってはほぼ0まで低下する。この電池を解体した結果、負極及びセパレータから多量のコバルト(Co)が検出されており、正極から溶出した元素により、劣化のモードが加速されていると考えられる。層状構造を有する正極活物質は、リチウムイオンの引き抜きにより、価数が増加するが、コバルトの4価は不安定であることから、結晶そのものが安定せず、安定な構造に変化しようとするため、Coイオンが結晶から溶出しやすいことに起因するものと推測される。このように、充電された正極活物質の構造が不安定な場合には、特に高温での保存劣化やサイクル劣化が顕著になる傾向にある。この傾向は、正極の充電密度が高いほど起こりやすいことも判明しており、特に高容量設計の電池では課題である。セパレータの物性が保存劣化等に関与する理由としては、負極で還元された物質が堆積して、セパレータの微多孔を充填することに起因するものと推測される。
また、正極活物質としてスピネル型マンガン酸リチウムを用いた場合、充電終止電圧が4.2Vであっても、正極活物質からMn等が溶出し、溶出したMn等により、サイクル劣化や保存劣化が生じるという問題がある。
特許文献1においては、上記の問題を解消するため、セパレータの少なくとも一方の表面上に、無機粒子とバインダーとを含む無機粒子層を設けることが提案されている。
また、高温での保存劣化やサイクル劣化を抑制する方法として、正極表面上に上記無機粒子層を設けることが考えられる。しかしながら、無機粒子層を形成するスラリーの溶媒として、N−メチル−ピロリドン(NMP)等の有機溶媒を用いた場合、スラリーの分散安定性は良好であるが、スラリーを正極上に塗布した際、溶媒やバインダーが電極内部に拡散し、正極中のバインダーが膨潤し、エネルギー密度が低下するという問題を生じる。従って、無機粒子層を形成する溶媒として水を用いることが、環境面からも好ましい。
しかしながら、正極表面上にこのような無機粒子層を設けた場合、充放電サイクルの際に、正極と負極との間に微少短絡を生じるという問題があった。本発明者らは、このような微少短絡が生じる原因について検討した結果、無機粒子に含まれるFeなどの不純物が原因であることがわかった。また、このようなFe等の不純物は、無機粒子の表面上に、SiOやAlなどの表面処理層を形成する際に導入されるものであることもわかった。
しかしながら、このような表面処理層が形成されていない高純度の無機粒子を用いて水系スラリーを調製した場合、水系スラリー中において無機粒子を均一に分散させることができず、無機粒子層を形成するための、分散性が良好な安定したスラリーを得ることができないということがわかった。
なお、本発明においては、正極表面に無機粒子層を形成しているが、電極上にこのような無機粒子層を形成する従来技術として、特許文献2及び特許文献3においては、正極または負極の表面に多孔質絶縁層を形成し、釘刺しなどに対する安定性を向上させることが提案されている。また、特許文献4においては、多孔質層に意図的に凹凸を形成し、これにより電池内への電解液の吸液性を向上させることが提案されている。特許文献5には、正極中に分散剤が含まれることにより、スラリーの分散安定性を改善させることが提案されている。特許文献6には、本発明において好ましく用いられるZr及びMgを含有したコバルト酸リチウムが開示されている。
特開2007−280911号公報 特許3371301号公報 国際公開WO2005/057691A1号パンフレット 特開2005−259467号公報 特公昭60−041829号公報 特開2005−50779号公報
本発明の目的は、正極と負極の間に微少短絡が生じるのを抑制することができ、かつ高温時の保存特性を改善することができ、充放電効率の低下を抑制することができる非水電解質二次電池及びその製造方法を提供することにある。
本発明は、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、非水電解質と、正極及び負極の間に設けられるセパレータと、正極の表面上に設けられる無機粒子層とを備える非水電解質二次電池であって、無機粒子層が、リチウムを吸蔵放出しない純度99.9重量%以上の無機粒子と、ポリカルボン酸塩からなる分散剤と、水系バインダーとを含むことを特徴としている。
本発明においては、正極の表面上に設ける無機粒子層中の無機粒子として、純度99.9重量%以上の無機粒子を用いている。このため、Feなどの不純物を少なくすることができ、正極と負極の間に微少短絡が生じるのを抑制することができる。
また、本発明においては、無機粒子層中にポリカルボン酸塩からなる分散剤が含まれているので、無機粒子を均一に分散させた水系スラリーを用いて、無機粒子層を形成することができる。このため、無機粒子が均一に分散された無機粒子層を形成することができる。このような無機粒子層を正極表面上に形成することにより、正極とセパレータとの間において、適度なフィルタ機能を発揮させることができる。これにより、正極での反応による非水電解質の分解物や、正極活物質から溶出する元素(例えば、CoやMnイオン)を無機粒子層でトラップして、負極表面やセパレータにこれらが析出するのを防止することができる。このため、負極やセパレータに生じるダメージを軽減することができ、高温時の保存特性を改善することができると共に、充放電効率の低下を抑制することができる。
本発明においては、上述のように、ポリカルボン酸塩からなる分散剤が無機粒子層に含まれているので、水系スラリーにより無機粒子層を形成する場合、無機粒子の分散安定性の高いスラリーを作製することができる。このため、均一に無機粒子が分散した無機粒子層を形成することができ、無機粒子層の機能を十分に発揮させることができる。
また、本発明において、分散剤として用いているポリカルボン酸塩は、電池内において電気化学的に反応しにくいものである。このため、無機粒子層中にポリカルボン酸塩が含まれることによる電池特性の低下は生じない。
本発明において用いるポリカルボン酸塩は、カルボキシル基(−COOH)のHの部分にカチオンが置換されている形態を有する化合物である。ポリカルボン酸塩は、例えば、不飽和炭化水素と低級不飽和脂肪酸との共重合物として得られるポリカルボン酸のカルボキシル基(−COOH)のHの部分にカチオンを置換したものが挙げられる。不飽和炭化水素としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、スチレン、プロペニルベンゼン、スチルベン、ビニルナフタレンなどが挙げられる。低級不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸、イソクロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、アリルマロン酸、グルタコン酸、チグリン酸、ビニル酢酸、アトロバ酸、ベンゾイルアクリル酸等が挙げられる。
ポリカルボン酸塩を形成するカチオンとしては、特に限定されるものではなく、例えば、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属などの無機カチオン、4級アミン類などの有機カチオンなどが挙げられる。好ましくは、アンモニウムまたはナトリウムのカチオンが挙げられる。
本発明において用いるポリカルボン酸塩の固形分酸価は、200mgKOH/g以上であることが好ましい。固形分酸価が200mgKOH/g未満であると疎水基の割合が高くなるため、分散剤としての機能が十分に発揮されず、スラリーの分散安定性が低下する場合がある。固形分酸価のさらに好ましい範囲は、200〜550mgKOH/gの範囲内である。固形分酸価が550mgKOH/gより高くなると、疎水基に対する親水基の割合が高くなるため、分散剤は保水剤のような機能を発揮し、分散剤に溶媒である水が吸着する。この分散剤に含まれた水は、通常の電極乾燥温度及び電池乾燥温度である100℃程度では蒸発しないため、無機粒子層中に分散剤と共に存在し続け、電池特性の低下を引き起こす場合がある。固形分酸価のさらに好ましい範囲としては、200〜300mgKOH/gの範囲が挙げられる。
200〜550mgKOH/gの範囲内の固形分酸価を有するポリカルボン酸塩としては、例えば、サンノプコ社製商品名「SNディスパーサント5027」、「SNディスパーサント5029」及び「SNディスパーサント5468」などが挙げられる。
なお、本発明において、ポリカルボン酸塩の固形分酸価とは、試料1g(樹脂の場合は固形分)に含まれる酸基のモル量と同じモル量に相当する水酸化カリウムのmg数である。水酸化カリウムの分子量は56.1とする。
ポリカルボン酸塩の平均分子量は、1000以上2000000未満であることが好ましく、さらには5000〜200000未満であることが好ましい。ポリカルボン酸塩の平均分子量は、分子量既知のポリエチレングリコールを標準物質として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
本発明において、無機粒子層内の分散剤の濃度は、無機粒子100重量部に対して0.1〜5重量部の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは0.2〜3重量部の範囲内である。分散剤の濃度が、無機粒子100重量部に対して0.1重量部未満であると、分散剤としての効果が十分に発揮されず、スラリーの分散安定性が低下する場合がある。このため、無機粒子層内における無機粒子の分散性が悪くなり、高温時の保存特性の改善や充放電効率の低下の抑制の効果が十分に得られない場合がある。また、5重量部を越えると、分散剤の凝集が生じ、電池内での水分の影響が無視できなくなる場合がある。
無機粒子層の形成に用いる無機粒子としては、ルチル型酸化チタン(ルチル型チタニア)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化マグネシウム(マグネシア)などを用いることができる。平均粒子径としては、1μm以下のものが好ましく、さらに好ましくは0.1〜0.8μmの範囲内のものである。また、平均粒子径は、セパレータの平均孔径よりも大きいことが好ましい。セパレータの平均孔径よりも無機粒子の平均粒子径を大きくすることにより、セパレータへのダメージを軽減し、セパレータの微多孔内に無機粒子が侵入するのを抑制することができる。電池内での安定性(すなわち、リチウムとの反応性)やコストを考慮すれば、酸化アルミニウム、及びルチル型の酸化チタンが特に好ましい。
本発明において用いる無機粒子は、純度99.9重量%以上の無機粒子である。このような無機粒子を用いることにより、正極と負極の間に微少短絡が生じるのを抑制することができる。本発明の無機粒子のさらに好ましい純度は99.99重量%以上である。本発明の無機粒子は、純度99.9重量%以上であるので、一般には、表面処理層を有しない無機粒子が用いられる。従って、Al、Si、Tiなどの金属の酸化物によって表面処理されていない無機粒子が用いられる。本発明においては、ポリカルボン酸塩を分散剤として用いているので、このような表面処理層が設けられていない無機粒子を用いても、分散剤の凝集を生じることなく、無機粒子が良好に分散された無機粒子層を形成することができる。従って、無機粒子層によるフィルタ機能を十分に発揮することができ、高温時の保存特性を改善することができ、充放電効率の低下を抑制することができる。
無機粒子層における水系バインダーは、特にその材質は制約されるものではないが、(1)無機粒子の分散性確保(再凝集防止)、(2)電池の製造工程に耐え得る密着性の確保、(3)非水電解質を吸収した後の膨潤による無機粒子間の隙間の充填、(4)非水電解質の溶出が少ないなどの性質を総合的に満足するものが好ましい。電池性能を確保するためには、少量のバインダー量でこれらの効果を発揮することが好ましい。従って、無機粒子層における水系バインダーは、無機粒子及び分散剤の合計100重量部に対して30重量部以下であることが好ましく、さらに好ましくは10重量部以下であり、さらに好ましくは5重量部以下である。無機粒子層中における水系バインダーの下限値は、0.1重量部以上が一般的である。水系バインダーの材質としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリロニトリル(PAN)、スチレンブタジエンゴム(SBR)などや、その変性体及び誘導体、アクリロニトリル単位を含む共重合体、ポリアクリル酸誘導体などが好ましく用いられる。特に、少量の添加で、上記(1)及び(3)の特性を重視する場合には、アクリロニトリル単位を含む共重合体が好ましく用いられる。
本発明における水系バインダーは、例えば、エマルション樹脂または水溶性樹脂の形態として用いることができる。
無機粒子層の厚みとしては、4μm以下が好ましく、0.5μm〜4μmの範囲内であることがさらに好ましく、特に好ましくは0.5〜2μmの範囲内である。無機粒子層の厚みが薄すぎると、無機粒子層を形成することにより得られる効果が不十分となる場合があり、無機粒子層の厚みが厚すぎると、電池の負荷特性が低下したり、エネルギー密度が低下するおそれがある。
無機粒子層を形成するためのスラリー作製の際の溶媒としては、水を用いることが好ましい。無機粒子層を形成するスラリーの溶媒としてNMP等の溶媒を用いた場合、スラリーの分散安定性は良好であるが、溶媒やバインダーの電極内部への拡散により正極中のバインダーが膨潤し、エネルギー密度が低下するといった問題がある。そのため、無機粒子層作製時に用いる溶媒は環境負荷も考慮して水が最も優れている。
また、スラリーの分散方法としては、特殊機化製filmicsやビーズミルを用いた湿式分散法が好適である。特に、本発明において用いる無機粒子の粒子径は小さいことが好ましいので、機械的に分散処理を施さないと、スラリーの沈降が激しく、均質な膜を形成することができない。このため、塗料の分散に用いる分散法が好ましく用いられる。
正極表面の上に無機粒子層を形成する方法としては、ダイコート法、グラビアコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スプレーコート法等が挙げられる。特に、グラビアコート法及びダイコート法が好ましく用いられる。また、溶媒やバインダーの電極内部への拡散による接着強度の低下等を考慮すると、早いスピードで塗工可能で、乾燥時間の早い方法が望ましい。スラリー中の固形分濃度は、塗工方法によっても大きく異なるが、機械的に厚みの制御が困難な、スプレーコート法、ディップコート法、カーテンコート法は、固形分濃度が低いことが好ましく、3〜30重量%の範囲が好ましい。また、ダイコート法やグラビアコート法等においては、固形分濃度が高くても良く、5〜70重量%程度が好ましい。
本発明において用いる正極活物質としては、層状構造を有するものが挙げられる。特に、層状構造を有するリチウム含有遷移金属酸化物が好ましく用いられる。このようなリチウム遷移金属酸化物としては、コバルト酸リチウム、コバルト−ニッケル−マンガンのリチウム複合酸化物、アルミニウム−ニッケル−マンガンのリチウム複合酸化物、アルミニウム−ニッケル−コバルトの複合酸化物などのコバルトまたはマンガンを含むリチウム複合酸化物が挙げられる。特に好ましくは、正極の充電終止電圧を4.30V(vs.Li/Li)以上とすることにより、容量が増加する正極活物質が好ましく用いられる。正極活物質は、単独で用いてもよく、他の正極活物質と混合して用いてもよい。
コバルト酸リチウムは、充電深度が高まるにつれて結晶構造が不安定になることが知られている。このため、コバルト酸リチウムを用いる場合、コバルト酸リチウムにZr及びMgが添加されていることが好ましい。Zr及びMgを添加することにより、安定な充放電サイクル特性を得ることができる。Zrの添加量は、コバルト酸リチウムにおけるリチウム以外の金属元素の合計量の0.01〜3.0モル%の範囲であることが好ましい。また、Mgの添加量は、コバルト酸リチウムにおけるリチウム以外の金属元素の合計量の0.01〜3.0モル%の範囲内であることが好ましい。Zrは、特許文献6に開示されているように、コバルト酸リチウムの表面に粒子の状態で付着して含有されていることが好ましい。Zr及びMgをこのような範囲内で添加することにより、安定な充放電サイクル特性を得ることができる。
また、コバルト酸リチウムを高い充電終止電位で用いると、容量は増加するものの、熱安定性が低下する。コバルト酸リチウムにAlを添加することにより、熱安定性を高めることができる。Alの添加量は、コバルト酸リチウム中のリチウム以外の金属元素の合計量の0.01〜3.0モル%の範囲内であることが好ましい。
従って、本発明において用いるコバルト酸リチウムには、Zr、Mg、及びAlが添加されていることが好ましい。
本発明において用いられる正極の充填密度は、3.40g/cm以上であることが好ましい。これは、正極の充填密度が高くなるにつれて、保存後の残存率が低下する傾向を示すためである。この原因は、電解液に接する表面積と、副反応を生じる箇所の劣化の程度に起因した現象と推測される。充填密度が低い場合は局所的な反応ではなく、全体的に均一に劣化が進行するため、保存後の充放電反応に対してもさほど大きな影響はない。これに対して、充填密度が高い場合は、最表面層での劣化が中心となり、放電時の正極活物質中へのLiイオンの侵入及び拡散が律速となるため、劣化の程度が大きくなるものと推測される。従って、正極の充填密度が3.40g/cm以上である場合に、本発明の作用効果が大きく発揮される。正極の充填密度は、さらに好ましくは3.40〜3.90g/cmの範囲内である。
本発明において用いる負極活物質は、特に限定されるものではなく、非水電解質二次電池の負極活物質として用いることができるものであれば用いることが可能である。負極活物質としては、黒鉛及びコークスなどの炭素材料、酸化錫などの金属酸化物、ケイ素及び錫などのリチウムと合金化してリチウムを吸蔵することができる金属、金属リチウムなどが挙げられる。本発明における負極活物質としては、特に黒鉛などの炭素材料が好ましく用いられる。
本発明の非水電解質二次電池においては、上述のように、正極の充電終止電位が4.30V(vs.Li/Li)以上となるように充電されることが好ましい。このように正極の充電終止電位が従来よりも高くなるように充電されることにより、充放電容量を高めることができる。また、正極の充電終止電位を高くすることにより、正極活物質からCoやMnなどの遷移金属が溶出しやすくなるが、本発明によれば、このようにして溶出したCoやMnが、負極表面上に堆積することによる高温保存特性の劣化を抑制することができる。
また、本発明の非水電解質二次電池は、高温時の保存特性に優れるものであり、例えば、動作環境が50℃以上であるような非水電解質二次電池に用いることにより、その効果を顕著に発揮することができるものである。
本発明において、正極の充電終止電位は、より好ましくは4.35V(vs.Li/Li)以上、さらに好ましくは4.40V(vs.Li/Li)以上となるように充電される。負極活物質として炭素材料を用いる場合、負極の充電終止電位は約0.1V(vs.Li/Li)となるので、正極の充電終止電位が4.30V(vs.Li/Li)の場合は、充電終止電圧が4.20Vとなり、正極の充電終止電位が4.40V(vs.Li/Li)の場合、充電終止電圧は4.30Vとなる。
なお、正極の充電終止電位を4.35V(vs.Li/Li)以上にすると、60℃の保存試験において、電池容量の残存率が急激に低下することがわかっている。正極の充電終止電位が高くなると、正極活物質からCo等の溶質や電解液の分解反応が多く起こるため、正極の充電終止電位の上昇とともに、容量残存率が低下すると考えられる。
本発明において用いる非水電解質の溶媒としては、従来よりリチウム二次電池の電解質の溶媒として用いられているものを用いることができる。これらの中でも、環状カーボネートと鎖状カーボネートの混合溶媒が特に好ましく用いられる。具体的には、環状カーボネートと鎖状カーボネートの混合比(環状カーボネート:鎖状カーボネート)を、1:9〜5:5の範囲内とすることが好ましい。
環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどが挙げられる。鎖状カーボネートとしては、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどが挙げられる。
また、上記環状カーボネートと、1,2−ジメタキシエタン、1,2−ジエトキシエタンなどのエーテル系溶媒との混合溶媒を用いてもよい。
本発明において用いる非水電解質の溶質としては、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiC(CFSO、LiC(CSO、LiAsF、LiClO、Li10Cl10、Li12Cl12など及びそれらの混合物が例示される。特に、LiXF(式中、Xは、P、As、Sb、B、Bi、Al、Ga、またはInであり、XがP、AsまたはSbのときyは6であり、XがB、Bi、Al、Ga、またはInのときYは4である)、リチウムペルフルオロアルキルスルホン酸イミドLiN(C2m+1SO)(C2n+1SO)(式中、m及びnはそれぞれ独立して1〜4の整数である)、及びリチウムペルフルオロアルキルスルホン酸メチドLiC(C2p+1SO)(C2q+1SO)(C2r+1SO)(式中、p、q及びrはそれぞれ独立して1〜4の整数である)からなるグループより選ばれる少なくとも1種が好ましく用いられる。
また、電解質として、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリルなどのポリマー電解質に、電解液を含浸したゲル状ポリマー電解質や、LiI、LiNなどの無機固体電解質などを用いてもよい。
本発明の非水電解質二次電池の電解質は、イオン導電性を発現させる溶質としてのリチウム化合物と、これを溶解・保持する溶媒が、電池の充電時や放電時あるいは保存時の電圧で分解されない限り、制約なく用いることができる。
本発明において、正極の充電容量に対する負極の充電容量比(負極充電容量/正極充電容量)は、1.0〜1.1の範囲であることが好ましい。正極と負極の充電容量比を1.0以上に設定しておくことにより、負極の表面に金属リチウムが析出するのを防止することができる。従って、電池のサイクル特性及び安全性を高めることができる。また、正極と負極の充電容量比が1.1を越えると、体積当りのエネルギー密度が低下するため好ましくない場合がある。なお、このような正極と負極の充電容量比は、電池の充電終止電圧に対応して設定されるものである。
本発明の製造方法は、上記本発明の非水電解質二次電池を製造することができる方法であり、無機粒子、ポリカルボン酸塩からなる分散剤、及び水系バインダーを含む水系スラリーを調製する工程と、水系スラリーを正極の表面上に塗布して無機粒子層を形成する工程と、無機粒子層を表面上に形成した正極と、負極と、非水電解質と、セパレータを用いて、非水電解質二次電池を製造する工程とを備えることを特徴としている。
本発明の製造方法においては、ポリカルボン酸塩からなる分散剤を含む水系スラリーを調製しているので、純度99.9重量%以上の無機粒子を用いても、良好な分散状態の水系スラリーを調製することができる。このため、無機粒子が良好な状態で分散した無機粒子層を正極の表面上に形成することができ、無機粒子層による適度なフィルタ機能を有効に発揮させることができ、非水電解質二次電池の高温時の保存特性を改善することができ、充放電効率の低下を抑制することができる。
本発明によれば、正極と負極の間に微少短絡を生じるのを抑制することができ、かつ高温時の保存特性を改善することができ、充放電効率の低下を抑制することができる非水電解質二次電池とすることができる。
以下、本発明を具体的な実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能なものである。
(実施例1)
Al及びMgがそれぞれ1.0モル%固溶されており、Zrが0.05モル%含有されているコバルト酸リチウムを作製した。なお、このコバルト酸リチウムにおいて、Zrは、粒子の表面に付着した状態で存在している。この正極活物質と、炭素導電剤であるアセチレンブラックと、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)と、95:2.5:2.5の質量比で混合して、NMPを溶剤として混合機を用いて混合し、正極合剤スラリーを調製した。
調製したスラリーをアルミニウム箔の両面に塗布し、乾燥後、圧延して正極とした。なお、正極の充填密度は、3.60g/cmとした。
〔無機粒子層の形成〕
溶剤として水を用い、酸化アルミニウム(Al、平均粒子径0.6μm、表面処理層無、住友化学社製商品名「AKP3000」)を無機粒子として用い、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム塩(固形分酸価:230mgKOH/g、サンノプコ社製商品名「SNディスパーサント5027」)を用い、水系バインダーとして、SBRを用いて、無機粒子層形成のための水系スラリーを調製した。
無機粒子の固形分濃度を30重量%とし、分散剤を無機粒子100重量部に対して1重量部となるように用い、バインダーを無機粒子及び分散剤の合計100重量部に対し3重量部となるように用いて水系スラリーを調製した。この水系スラリーを用いて、正極の両面上にグラビア方式で塗工し、溶媒である水を乾燥・除去して、正極の両面上に無機粒子層を形成した。無機粒子層の厚みは、2μmとし、両面の合計で4μmとなるように形成した。
〔負極の作製〕
負極活物質として炭素材料(黒鉛)を用い、CMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム)、SBR(スチレンブタジエンゴム)を用いて、負極活物質、CMC、及びSBRが、98:1:1の質量比となるように混合し、負極合剤層形成用スラリーを調製した。
この負極合剤層形成用スラリーを、銅箔の両面上に塗布した後乾燥し、圧延して負極とした。
なお、負極活物質の充填密度は1.60g/cmとした。
〔非水電解液の調製〕
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)を3:7の体積比で混合した溶媒に、LiPFを1モル/リットルとなるように溶解して、非水電解液を調製した。
〔電池の組立〕
上記正極及び上記負極にそれぞれリード端子を取り付け、セパレータを介して渦巻状に巻き取ったものをプレスして扁平状に押し潰した電極体を作製した。この電極体を、電池外装体としてのアルミニウムラミネート内に挿入した後、上記非水電解液を注入し、封止して試験用電池とした。なお、電池の設計容量は850mAhとした。
また、充電終止電圧が4.4Vとなるように電池設計を行い、この電位で正極及び負極の容量比(負極の初回充電容量/正極の初回充電容量)が1.08となるように設計した。
また、セパレータとしては、平均孔径が0.1μmで、膜厚が16μm、空孔率が47%である微多孔質ポリエチレン膜を用いた。
以上のようにして作製したリチウム二次電池を、本発明電池T1とした。
(実施例2)
分散剤として、ポリカルボン酸アンモニウム塩(固形分酸価:250mgKOH/g、サンノプコ社製商品名「SNディスパーサント5029」)を用いる以外は、実施例1と同様にして電池を作製した。この電池を本発明電池T2とした。
(実施例3)
分散剤として、ポリカルボン酸アンモニウム塩(固形分酸価:500mgKOH/g、サンノプコ社製商品名「SNディスパーサント5468」)を用いる以外は、実施例1と同様にして電池を作製した。この電池を本発明電池T3とした。
(実施例4)
無機粒子として、酸化チタン(TiO、平均粒子径:0.25μm、表面処理層無、石原産業社製商品名「CR−EL」)を用いる以外は、実施例1と同様にして電池を作製した。この電池を本発明電池T4とした。
(比較例1)
正極の表面上に無機粒子層を形成しないこと以外は、実施例1と同様にして電池を作製した。この電池を比較電池R1とした。
(比較例2)
分散剤を使用せずに実施例1と同様にして無機粒子層形成用水系スラリーを調製した。得られた水系スラリーは、無機粒子が凝集しており、良好な状態で無機粒子層を正極の表面上に形成できなかった。この正極を用いた電池を比較電池R2としたが、この電池については無機粒子層を良好な状態で形成することができなかったので、電池の保存特性の評価を実施することができなかった。
(比較例3)
無機粒子として、表面処理酸化チタン(平均粒子径:0.38μm、表面処理層有、チタン工業社製商品名「KR380」)を用い、分散剤を使用せずに、無機粒子層形成用水系スラリーを調製した。この水系スラリーを正極の表面上に塗布して、実施例1と同様にして無機粒子層を形成した。この無機粒子層を形成した正極を用いて、実施例1と同様にして、電池を作製した。この電池を比較電池R3とした。
(比較例4)
無機粒子として、表面処理層を有しない酸化チタン(平均粒子径:0.25μm、表面処理層無、石原産業社製商品名「CR−EL」)を用い、分散剤を使用せずに、無機粒子層形成用水系スラリーを調製した。しかしながら、この水系スラリーは、無機粒子が凝集しており、良好な状態で無機粒子層を形成することができるものではなかった。従って、この正極を用いた比較電池R4については、電池の保存特性を評価していない。
(比較例5)
分散剤として、ポリカルボン酸アンモニウム塩の代わりに、CMC(ダイセル化学工業社製商品番号名「1380」)を用いる以外は、実施例1と同様にして無機粒子層形成用水系スラリーを調製した。しかしながら、この水系スラリーは、無機粒子が凝集しており、良好な状態で無機粒子層を形成することができるものではなかった。従って、本比較例の比較電池R5については電池の保存特性を評価していない。
(比較例6)
無機粒子として、実施例4と同様の酸化チタンを用い、分散剤として、比較例5と同様のCMCを用いて無機粒子層形成用水系スラリーを調製した。しかしながら、この水系スラリーは、無機粒子が凝集しており、良好な状態で無機粒子層を形成することができるものではなかった。従って、本比較例の比較電池R6については、電池の保存特性を評価していない。
〔無機粒子の不純物の測定〕
上記の実施例及び比較例において用いた酸化アルミニウム及び酸化チタンの純度、表面処理層の有無、平均粒子径を表1に示す。
また、表1に示す酸化アルミニウム及び酸化チタンを用いて調製した無機粒子層形成用水系スラリー500gを用いて、これらの無機粒子中に含まれる不純物を評価した。具体的には、スラリー500gと、不純物回収用磁石を、蓋付ポリ容器に入れ、容器ごと1時間振盪した。その後、磁石を回収し、水で洗浄した後、SEM及びEDXを用いて、磁石に付着した不純物の大きさ及び組成を評価した。100μmより大きな径を有する不純物粒子について、その有無を評価し、表1に結果を示した。100μmを越える径を有する不純物粒子の有無については、SEMで観察した。
Figure 0005213534
表1に示すように、表面処理層を有する酸化チタンにおいてのみ100μmを越える径を有する不純物粒子が認められた。表面処理層を有していない酸化アルミニウム及び酸化チタンにおいては、100μmを越える径の不純物粒子は認められなかった。
また、不純物粒子の組成をEDXで評価したところ、Feを含む不純物(Fe単独またはSUS)であることがわかった。
このような不純物は、酸化チタンの表面に表面処理層を形成する際に導入されるものであると思われる。
以上の結果より、無機粒子の表面に表面処理層を形成した場合、無機粒子の純度は99.9重量%より小さくなる傾向にあることがわかる。
また、表面処理層を有する無機粒子が、純度99.9重量%以上である場合は、Feを含む不純物の影響は少ないものの、無機粒子全体が表面処理層に覆われていないため、本発明のようにポリカルボン酸塩からなる分散剤を使用しなければ無機粒子の凝集が起こり、分散性が低下する。
〔電池の保存特性の評価〕
以下の条件で充放電サイクル試験を1回行い、再度充電した電池を60℃で20日間放置した。その後、電池を室温まで冷却し、1Cレートで放電を行って、残存率を以下の式から算出した。
残存率(%)=〔(保存試験後1回目の放電容量)/(保存試験前の放電容量)〕×100
<充放電条件>
・充電条件
1C(850mA)の電流で4.4Vまで定電流充電を行い、定電圧で電流C/20(42.5mA)になるまで充電した。
・放電条件
1C(850mA)の電流で3.0Vまで定電流放電を行った。
・休止
上記充電と上記放電の間に10分間休止させた。
60℃における保存特性(残存率)を表2に示す。また、表2には、以下の基準で評価したスラリー分散性を併せて示す。
〇:スラリー作製直後に沈殿/凝集は見られず、1時間後もスラリーの沈殿が見られない
△:スラリー作製直後は沈殿/凝集は見られないが、1時間後に目視で沈殿が見られる
×:無機粒子が凝集し、塗工が不可能である
また、表2には、使用した無機粒子の種類、分散剤の種類、及び分散剤の固形分酸価を併せて示す。
Figure 0005213534
表2に示す結果から明らかなように、本発明に従う実施例の電池T1〜T4においては、無機粒子層を形成するためのスラリーの分散性が良好であり、また、電池の保存特性においても優れている。
無機粒子層を形成していない比較電池R1においては、本発明電池T1〜T4に比べ、保存特性が悪くなっている。このことから、本発明に従い、正極の表面に無機粒子層を形成することにより、高温時の保存特性が改善されることがわかる。
また、本発明電池T1〜T4と、比較電池R2及びR4〜R6との比較から明らかなように、本発明に従い、無機粒子層形成用スラリーにおいて、ポリカルボン酸塩からなる分散剤を用いることにより、無機粒子が良好に分散されたスラリーを調製できることがわかる。従って、このようなスラリーを用いて無機粒子層を形成することにより、良好な分散状態の無機粒子層を形成することができ、無機粒子層のフィルタ的機能を十分に発揮させ、高温時における保存特性を改善することができる。
また、比較電池R3と比較電池R4との比較から明らかなように、無機粒子として、表面処理層を有する無機粒子を用いることにより、スラリーにおける分散性は改善される。しかしながら、このような表面処理層を有する無機粒子は、表1に示すように、Feなどの不純物を多量に含むものであるので、微少短絡の原因となり、良好な電池特性を得ることができない。
以上のように、本発明によれば、正極と負極の間に微少短絡が生じるのを抑制することができ、かつ高温時の保存特性を改善することができ、充放電効率の低下を抑制することができる。
本発明の非水電解質二次電池は、例えば、携帯電話、ノートパソコン、PDA等の移動情報端末の駆動源で、特に高容量が必要とされる用途に用いることができる。また、高温での連続駆動が要求される高出力用途で、HEVや電動工具などの電池の動作環境が厳しい使用用途においても用いることができる。

Claims (10)

  1. 正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、非水電解質と、前記正極及び前記負極の間に設けられるセパレータと、前記正極の表面上に設けられる無機粒子層とを備える非水電解質二次電池であって、
    前記無機粒子層が、リチウムを吸蔵放出しない純度99.9重量%以上の無機粒子と、固形分酸価が200〜550mgKOH/gの範囲内であるポリカルボン酸塩を含む分散剤と、水系バインダーとを含み
    前記無機粒子層内の前記分散剤の濃度が、前記無機粒子100重量部に対して0.1〜5重量部の範囲である、非水電解質二次電池。
  2. 前記無機粒子が表面処理層を有しない無機粒子である請求項1に記載の非水電解質二次電池。
  3. 前記無機粒子層内の前記水系バインダーの濃度が、前記無機粒子及び前記分散剤の合計100重量部に対して30重量部以下である、請求項1または2に記載の非水電解質二次電池。
  4. 前記無機粒子の平均粒子径が1μm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
  5. 前記無機粒子が、ルチル型チタニア及びアルミナから選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
  6. 前記セパレータの平均孔径が前記無機粒子の平均粒子径よりも小さい、請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
  7. 前記無機粒子層の厚みが4μm以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
  8. 前記正極の充填密度が3.40g/cm 以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
  9. 前記正極が、Li参照電位に対して4.30V以上となるまで充電される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
  10. 前記正極が、Li参照電位に対して4.40V以上となるまで充電される、請求項9に記載の非水電解質二次電池。
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