JP5219621B2 - 非水電解質電池 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン電池或いはポリマー電池などの非水電解質電池の改良に関し、特に高温サイクル特性に優れ、高容量を特徴とする電池構成においても高い信頼性を引き出すことができる電池構造に関するものである。
近年、携帯電話、ノートパソコン、PDA等の移動情報端末の小型・軽量化が急速に進展しており、その駆動電源としての電池にはさらなる高容量化が要求されている。充放電に伴い、リチウムイオンが正、負極間を移動することにより充放電を行うリチウムイオン電池は、高いエネルギー密度を有し、高容量であるので、上記のような移動情報端末の駆動電源として広く利用されている。
ここで、上記移動情報端末は、動画再生機能、ゲーム機能といった機能の充実に伴って、更に消費電力が高まる傾向にあり、その駆動電源であるリチウムイオン電池には長時間再生や出力改善等を目的として、更なる高容量化や高性能化が強く望まれるところである。
こうした背景の中で、リチウムイオン電池の高容量化を図るために、発電要素に関与しない電池缶、セパレータ、正負両極の集電体(アルミ箔や銅箔)の薄型化(例えば、下記特許文献1参照)や、活物質の高充填化(電極充填密度の向上)を中心に研究、開発がなされてきたが、これらの対策もほぼ限界に近づきつつあり、今後の高容量化対策には材料の変更等の本質的な改良が必要となってきている。しかしながら、正負両活物質の変更による高容量化において、負極活物質ではSiやSn等の合金系負極が期待されるものの、正極活物質では、現状のコバルト酸リチウムを超える容量を有し、且つ、性能も同等以上である材料は殆ど見当たらない。
このような状況下、我々はコバルト酸リチウムを正極活物質として用いた電池の充電終止電圧を、現状の4.2Vから更に上の領域に利用深度(充電深度)を高めることによって高容量化が可能な電池を開発、市販した。このように利用深度を高めることによって高容量化できる理由を簡単に説明すると、コバルト酸リチウムの理論容量は約273mAh/gであるが、4.2V仕様の電池(充電終止電圧が4.2Vの電池)ではこのうち160mAh/g程度しか利用しておらず、4.4Vまで充電終止電圧を引き上げることにより約200mAh/gまで使用することが可能であるという理由による。
しかしながら、コバルト酸リチウムを上記の如く高電圧で使用した場合には、充電された正極活物質の酸化力が強まり、電解液の分解が加速されるばかりでなく、脱リチウムされた正極活物質自体の結晶構造の安定性が失われ、結晶の崩壊によるサイクル劣化や保存劣化が最大の課題であった。
特開2002−141042号公報
上述の如く、充電終止電圧を向上させた電池の正極では、結晶構造の安定性が失われて、特に高温での電池性能の劣化が顕著であることがわかった。このような現象について、詳細な原因は不明であるが、分析結果を見る限りでは、電解液の分解物や正極活物質からの元素の溶出(コバルト酸リチウムを用いた場合にはコバルトの溶出)が認められており、これが高温でのサイクル特性や保存特性が悪化する主要因となっているものと推測される。
特に、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、或いは、ニッケル−コバルト−マンガンのリチウム複合酸化物等の正極活物質を用いた電池系では、高温保存すると、コバルトやマンガンがイオンとなって正極から溶出し、これらの元素が負極で還元されることにより、負極やセパレータヘ析出し、電池内部抵抗の増加やそれに伴う容量低下等が問題となっている。更に、上述の如く、リチウムイオン電池の充電終止電圧を上昇させた場合には、結晶構造の不安定さが増加し、上記問題点が一層顕在化し、これまで4.2V仕様の電池系で問題のなかった50℃付近の温度でもこれらの現象が強まる傾向にある。
例えば4.4V仕様の電池において、正極活物質としてコバルト酸リチウム、負極活物質として黒鉛を用い、保存試験(試験条件は、充電終止電圧4.4V、保存温度60℃、保存期間5日間)を行った場合には、保存後の残存容量が大幅に低下し、時には略ゼロまで低下する。このように、充電された正極活物質の構造が不安定な場合には、特に高温での保存劣化やサイクル劣化が顕著になる傾向がある。これは、正極活物質からの溶出物(コバルト、マンガン等)や電解液の分解物は、正極側から負極側に移動し、負極表面で還元分解することにより堆積するため、上記溶出物や分解物が負極活物質を覆い、リチウムの負極中への挿入を阻害することに起因するものと考えられる。
これらの対策として、本発明者らは、電極表面に無機粒子層を設けることを先に提案した。これにより、正極活物質からの溶出物や電解液の分解物を無機粒子層でトラップできるので、負極活物質が直接、堆積物に覆われるのを抑制できる。加えて、無機粒子層の存在により電解液の液回りが改善されるので、電極(特に電極の中央部)において電解液が不足するという事態を抑制できる。これらのことから、高温時の保存特性および高温時のサイクル特性等が改善されることを見出した。但し、上記トラップ効果や電解液の液回りの改善効果が十分でない場合があるので、改良の余地がある。
したがって、本発明は、高温における保存特性及び高温におけるサイクル特性に優れ、高容量を特徴とする電池構成においても高い信頼性を発揮できる非水電解質電池の提供を目的としている。
上記目的を達成するために本発明は、正極、負極、これら正負極間に配置されたセパレータ、及び、非水電解質を備え、且つ、上記正負両極のうち少なくとも一方の電極表面には無機粒子とバインダーとを含む無機粒子層が配置された非水電解質電池において、上記無機粒子が、球状又は実質的に球状の無機粒子と非球状の無機粒子とから構成されていることを特徴とする。
本発明者らが鋭意実験を行ったところ、無機粒子として球状又は実質的に球状の無機粒子のみを用いた場合には、無機粒子層内において無機粒子が密に詰まっており、無機粒子層中に空隙がほとんどないため、正極活物質からの溶出物、電解液の分解物のトラップ効果は大きくなる。しかしながら、無機粒子層中に空隙がほとんどないと、電解液の浸透が阻害され、正極または負極中に十分に電解液が供給されないため、容量の低下及び電極反応の不均一化が起こり、サイクル特性等が低下する。
一方、無機粒子として非球状の無機粒子のみを用いた場合には、無機粒子層内において無機粒子が密に詰まっておらず、無機粒子層中に空隙は多く存在するので、電解液の浸透が良好となって、正極または負極中に十分に電解液が供給される。しかしながら、無機粒子層中に過剰に空隙が存在すると、溶出物や分解物をトラップする効果が小さくなるため、高温での保存特性やサイクル特性が低下する。加えて、無機粒子として非球状の無機粒子のみを用いた場合には、無機粒子層を形成する前のスラリーの分散性が悪く、スラリー中に凝集粒子や気泡が生じる。この場合、無機粒子層は数μmと薄いため、スラリー中の凝集粒子や気泡の影響を受けやすく、このような分散性の悪いスラリーを用いた塗工した場合は、塗工性が低下する(具体的には、絶縁性の高いバインダーが偏析したり、塗工厚みが一定でなくなり、均質な塗工膜が得ることが難しくなる)。この結果、電極における反応均一性が阻害されて、サイクル特性が更に低下する。
尚、非球状の無機粒子を用いた場合にスラリーの分散性が低くなるのは、微粒子の分散では、一般的にシェアをかけて分散するため、微粒子が非球状(特に、不定形)の場合は球状の場合に比べて解砕が起こり易く、この解砕された微粒子は互いに引力で凝集するという理由によるものと考えられる。
これに対して、無機粒子として球状又は実質的に球状の無機粒子と非球状の無機粒子とを混合したものを用いた場合には、球状又は実質的に球状の無機粒子が存在することにより、非球状の無機粒子のみから成る場合に比べて無機粒子層中の空隙の割合が少なくなり、上記溶出物や分解物のトラップ効果が十分に発揮される。また、球状又は実質的に球状の無機粒子が存在することにより、非球状の無機粒子のみから成る場合に比べてスラリーの分散性を向上させることができるので、絶縁性の高いバインダーが偏析したり、塗工厚みが一定でないという不都合が生じるのを抑制でき、電極反応の不均一化が抑えられる。加えて、非球状の無機粒子が存在することにより、球状又は実質的に球状の無機粒子のみから成る場合に比べて、無機粒子層中に多くの空隙を確保できるので、電解液の浸透が阻害されるのが抑制され、正極または負極に十分に電解液が供給される。これらのことから、高温における保存特性やサイクル特性を大幅に改善することが可能となる。
尚、実質的に球状の無機粒子とは球状の無機粒子と同等の作用効果を発揮できる無機粒子をいい、必ずしも真球である必要はない。例えば、球状の無機粒子の表面に若干の凹凸がある場合や、断面形状が若干の長円形となるようなもの等概ね球状の形状をしていれば良いのであり、また、1次粒子や2次粒子でも概ね球状となっているものであれば、十分な効果を得ることが出来る。
上記負極の表面に上記無機粒子層が配置されていることが望ましい。
正極の表面に無機粒子層を形成した場合には、正極活物質からの溶出物や電解液の分解物を無機粒子層で完全にトラップすることはできず、その一部が負極表面で反応し、負極表面を覆うことがある。このため、電解液の液回りが低下して、高温における保存特性やサイクル特性が低下したりすることがある。これに対して、負極の表面に無機粒子層を形成した場合には、無機粒子表面で正極からの溶出物や分解物をトラップするので、堆積物が負極表面を直接覆うのを抑制できる。このため、電解液の液回りの低下が抑えられるので、高温における保存特性やサイクル特性が低下したりするのを抑制できるからである。また、負極は充放電に伴う活物質の膨張、収縮量が正極よりも多くなるので、負極の方が電解液不足を生じ易く、正極よりも負極に電解液を供給する必要性が高くなるからである。
上記非球状の無機粒子が、棒状、鱗片状、不定形、繊維状、多角形状から成る群から選択される少なくとも1つの形状を成すことが望ましい。
このような形状であれば、上述した非球状の無機粒子の添加効果を一層発揮できるからである。但し、非球状の無機粒子はこれらの形状に限定するものではなく、球状又は実質的に球状の無機粒子を除く全ての無機粒子を含むものである。また、棒状、鱗片状、不定形、繊維状、多角形状のものを少なくとも1種含んでいれば良く、これらを2種以上含んでいても良いことは勿論である。
上記非球状の無機粒子の形状が不定形であることが望ましい。
非球状の無機粒子の中でも不定形の無機粒子は、上述した非球状の無機粒子の添加効果をより一層発揮できると共に、棒状や鱗片状等の無機粒子よりも平均粒径が1μm以下の微粒子を作製しやすいという利点もある。尚、無機粒子の平均粒径が1μm以下の微粒子が好ましいのは、無機粒子の平均粒径が大きくなると、それに伴って無機粒子層の厚みが大きくなるため、電池内において、電池の発電に直接関与する正極活物質や負極活物質の量が少なくなるという不都合を生じるからである。
尚、本明細書における平均粒径とは、レーザー回折法により求めた値をいう。
上記無機粒子の総量に対する上記不定形の無機粒子の割合が25質量%以上75質量%以下であることが望ましく、特に、40質量%以上75質量%以下であることが望ましい。
不定形の無機粒子の割合が少なくなりすぎると、無機粒子層中の空隙率が低くなり過ぎて電解液の浸透性が低下するため、サイクル特性が低下する場合がある。一方、不定形の無機粒子の割合が多くなり過ぎると、無機粒子層中の空隙率が高くなり過ぎてトラップ効果が十分に働かず、高温での保存特性の向上効果が十分に発揮されない場合がある。加えて、不定形の無機粒子の割合が多くなり過ぎると、スラリーの分散性が低下して塗工性が低下するため、電極の反応均一性が阻害され、高温でのサイクル特性等の電池諸特性が低下する場合もある。
上記無機粒子がルチル型のチタニア又はアルミナから成ることが望ましい。
このように、無機粒子として無機粒子、特にルチル型のチタニア又はアルミナに限定するのは、これらのものは、電池内での安定性に優れ(リチウムとの反応性が低く)、しかもコストが安価であるという理由によるものである。また、ルチル構造のチタニアとするのは、アナターゼ構造のチタニアはリチウムイオンの挿入離脱が可能であり、環境雰囲気、電位によっては、リチウムを吸蔵して電子伝導性を発現するため、容量低下や、短絡の危険性があるからである。また、ルチル型のチタニアはスラリーの分散性に優れているので、均質な無機粒子層を作製することができるという利点もある。
但し、無機粒子の種類による本作用効果への影響は非常に小さいので、無機粒子としては上述のものの他に、ジルコニア、マグネシア等の無機粒子であっても良い。
また、無機粒子層の厚みが大きくなり過ぎるのを防止すべく、無機粒子は平均粒径が1μm以下のものが好ましく、また、スラリーの分散性を考慮するとアルミニウムやケイ素、チタンで表面処理されているものが特に好ましい。
上記不定形の無機粒子がアルミナから成り、上記球状の無機粒子がチタニアから成ることが望ましい。
このように規制するのは、アルミナは焼結することで不定形の粒子が得やすく、しかも、平均粒径を1μm以下に制御し易い。また、チタニアはインク業界では一般的に使用されており、平均粒径が1μm以下のものが安価に入手可能だからである。
上記無機粒子に対する上記バインダーの割合が30質量%以下であることが望ましく、10質量%以下、特に5質量%以下であることが更に望ましい。
このように無機粒子に対するバインダー濃度の上限を定めるのは、バインダーの濃度が余り高くなると、リチウムイオンの活物質層への透過性が極端に低下し(電解液の拡散を阻害し)、電極間の抵抗が増加することにより、充放電容量の低下を招くからである。但し、無機粒子に対するバインダーの割合が1質量%未満になると無機粒子層における結着性が低下するので、無機粒子に対するバインダーの割合が1質量%以上であることが望ましい。
上記無機粒子の平均粒径がセパレータの平均孔径より大きいことが望ましい。
このように規制するのは、無機粒子の平均粒径がセパレータの平均孔径より小さい場合には、電池を作製する際の巻き潰し時に、無機粒子がセパレータの一部を貫通して、セパレータに大きなダメージを与えることがあり、しかも、セパレータの微多孔内へ無機粒子が侵入して、電池の諸特性を低下させることがあるため、これらの不都合を回避するためである。
上記正極における正極活物質として層状構造のものを用いる場合には、リチウム参照極電位に対して正極が4.30V以上充電されることが望ましく、上記正極における正極活物質としてスピネル構造のものを用いる場合には、リチウム参照極電位に対して正極が4.20V以上充電されることが望ましい。
これは、正極活物質として層状構造のものを用いる場合には、リチウム参照極電位に対して正極が4.30V以上充電されると、容量が増加する利点を発揮する反面、コバルト等が溶出するという不都合が生じる。また、正極活物質としてスピネル構造のものを用いる場合には、リチウム参照極電位に対して正極が4.20V以上充電されると、マンガン等が溶出するという不都合が生じる。したがって、上記構成の電池では、無機粒子層の有無によって高温における保存特性やサイクル特性の差異が顕著に現れるからである。
尚、正極活物質としてコバルト酸リチウムを用いる場合には、上記コバルト等が溶出するという不都合を回避すべく、コバルト酸リチウムにアルミニウム、ジルコニウム、マグネシウムが添加或いは固溶されていることが好ましい。
上記無機粒子層の厚みが1μm以上4μm以下であること、特に、1μm以上2μm以下であることが望ましい。
上述したトラップ効果は、無機粒子層の厚みが大きい程発揮されるとはいうものの、無機粒子層の厚みが大きくなり過ぎると、電池内部抵抗の増大により負荷特性が低下したり、正負両極の活物質量が少なくなることによる電池エネルギー密度の低下を招来したりすることになるからである。また、薄くても効果はあるが、トラップ効果等を十分に得るには薄すぎない方がいいからである。尚、ここでいう無機粒子層の厚みとは、片面での厚みをいう。
本発明によれば、高温における保存特性及び高温におけるサイクル特性に優れ、高容量を特徴とする電池構成においても高い信頼性を発揮できるという優れた効果を奏する。
以下、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能なものである。
〔正極の作製〕
先ず、正極活物質であるコバルト酸リチウム(Al及びMgがそれぞれ1.0mol%固溶されており、且つZrが0.05mol%表面に固着されているもの)と、炭素導電剤としてのアセチレンブラックと、結着剤としてのPVDFとを、95:2.5:2.5の質量比で混合した後、NMPを溶剤としてプライミクス製コンビミックスを用いてこれらを攪拌し、正極合剤スラリーを調製した。次に、この正極合剤スラリーを正極集電体であるアルミニウム箔の両面に塗着し、更に、乾燥、圧延することにより、アルミニウム箔の両面に正極活物質層が形成された正極を作製した。尚、正極活物質層の充填密度は3.60g/ccとした。
〔負極の作製〕
炭素材料(人造黒鉛)と、CMC(カルボキシメチルセルロース)と、SBR(スチレンブタジエンゴム)とを、98:1:1の質量比で水溶液中にて混合して負極合剤スラリーを調製した後、負極集電体である銅箔の両面に負極合剤スラリーを塗着し、更に、乾燥、圧延することにより、負極集電体の両面に負極活物質層を形成した。尚、負極活物質層の充填密度は1.60g/ccとした。
次に、溶剤としてNMPに、無機粒子とバインダーとしてのアクリロニトリル構造(単位)を含む共重合体(ゴム性状高分子)とを混合し、プライミクス製Filmicsを用いて混合分散処理を行い、無機粒子が分散された無機粒子スラリーを調製した。上記無機粒子としては、球状のルチル型チタニア(チタン工業(株)製KR380であって、平均粒径0.38μm、タップ密度0.77g/ccである。その写真を図1に示す)と、不定形(非球状であって、具体的には略テトラポット形状)のアルミナ(住友化学(株)製AKP3000であって、平均粒径0.60μm、タップ密度0.60g/ccである。その写真を図2に示す)とを、質量比で25:75の割合で混合したものを用いた。また、無機粒子スラリーの総量に対する固形分(無機粒子とバインダーとから成る)の割合は35質量%であり、また、無機粒子の総量に対するバインダーの割合は3質量%である。
次いで、上記負極活物質層における一方の面の全面に、上記無機粒子スラリーをマイクログラビア法を用いて塗布した後、溶剤を乾燥、除去して、負極活物質層の一方の面に無機粒子層を形成した。次いで、これと同様にして、負極活物質層における他方の面の全面に、無機粒子層を形成し、これにより負極を作製した。尚、上記無機粒子層の厚みは両面で4μm(片面2μm)である。
〔非水電解液の調製〕
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とが容積比で3:7の割合で混合された混合溶媒に、主としてLiPF6を1.0モル/リットルの割合で溶解させて調製した。
〔電池の組立〕
正、負極それぞれにリード端子を取り付け、ポリエチレン製微多孔膜から成るセパレータ(平均孔径0.1μm)を介して渦巻状に巻き取ったものをプレスして、扁平状に押し潰した電極体を作製した後、電池外装体としてのアルミニウムラミネートフィルムの収納空間内に電極体を装填し、更に、当該空間内に非水電解液を注液した後に、アルミニウムラミネートフィルム同士を溶着して封止することにより電池を作製した。尚、この電池設計においては、正負両極の活物質量を調整することにより、充電終止電圧が4.40Vになるように規定し、且つ、この電位で正負極の容量比(負極の初回充電容量/正極の初回充電容量)が1.08になるように規定した。また、上記電池の設計容量は850mAhである。尚、充電終止電圧は、4.40V以上に限るものではないが、充電終止電圧が高いほど、より本発明の効果が大きく現れる。
(実施例1)
実施例1としては、前記最良の形態で示した電池を用いた。
このようにして作製した電池を、以下、本発明電池A1と称する。
(実施例2)
無機粒子としての球状のルチル型チタニアと不定形のアルミナとの割合を、質量比で50:50としたこと以外は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、本発明電池A2と称する。
また、実施例2で用いた無機粒子スラリーを本発明スラリーa2と称する。
(実施例3)
無機粒子としての球状のルチル型チタニアと不定形のアルミナとの割合を、質量比で75:25としたこと以外は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、本発明電池A3と称する。
(比較例1)
負極に無機粒子層を設けない以外は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Z1と称する。
(比較例2)
無機粒子として球状のルチル型チタニアのみを用いたこと以外は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Z2と称する。
また、比較例2で用いた無機粒子スラリーを比較スラリーz2と称する。
(比較例3)
無機粒子として不定形のアルミナのみを用いたこと以外は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Z3と称する。
また、比較例3で用いた無機粒子スラリーを比較スラリーz3と称する。
(比較例4)
無機粒子としてアルミナのみを用い、且つ、そのアルミナとして球状のアルミナ(住友化学(株)製AKP50であって、平均粒径0.3μm、タップ密度1.1g/cc)を用いたこと以外は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Z4と称する。
また、比較例4で用いた無機粒子スラリーを比較スラリーz4と称する。
(実験1)
本発明スラリーa2及び比較スラリーz2〜z4における分散性(スラリーの凝集状態および気泡の有無)を評価したので、その結果を図3〜図5及び表1に示す。図3は本発明スラリーa2における評価を示すグラフ、図4は比較スラリーz2における評価を示すグラフ、図5は比較スラリーz3における評価を示すグラフである。また、当該評価には、センサテクノロジー製アピアランスモニターを用いた。
尚、上記アピアランスモニターについて若干の説明をする。アピアランスモニターは、管内を流れる流体に近赤外線を照射し、透過光および散乱光の強度を検出することで、粒度や濃度をインラインで測定することが可能である。出力レベルは平均粒度に相関しており、その振れ幅が粒度の振れ幅に相関しているため、無機粒子の凝集やスラリー中の気泡を検出することができる。
無機粒子として不定形のアルミナを用いた比較スラリーz3では、図5に示すように、出力が大きく振れ、無機粒子スラリー中に凝集粒子や気泡が検出された。これは、以下に示す理由によるものと考えられる。微粒子はシェアをかけて分散させることが一般的で、当該分散中に微粒子が解砕する。この際、微粒子として不定形のものを用いると、シェアをかけることで微粒子の解砕が特に起こりやすく、この解砕された微粒子同士は、無機粒子スラリー中に適度なバインダーがなければ引力により引き合って凝集するということに起因するものと考えられる。
上記の如く凝集粒子や気泡が生じて、無機粒子スラリーの分散性が低下すると、負極表面に無機粒子スラリーを塗工した場合に無機粒子層の均質性に大きく影響することがわかっており、このような分散性の悪い不定形のアルミナのみを用いたスラリーで塗工した場合は、表1から明らかなように、塗工性が低下し、均質な無機粒子層を作製することは困難となる。そして、このような不均質な無機粒子層は、電極の反応均一性等の低下を招来して、後述する如く電池特性が低下する。
一方、無機粒子として球状のチタニアを用いた比較スラリーz2では、図4に示すように、凝集粒子や気泡が見られず、分散性及び塗工性は良好であった。しかし、無機粒子層の断面を見ると、無機粒子が球状のため密に詰まっており、不定形の無機粒子を用いた場合と比べて、無機粒子層中の空隙がほとんど無いことが認められた。このように、無機粒子層中に空隙がほとんど無ければ、電解液の浸透性が低下するため、後述する如く高温サイクル特性等の低下を招く。
尚、図には示していないが、球状のアルミナを用いた比較スラリーz4では、凝集粒子や気泡が見られ、分散性及び塗工性に劣ることが認められた。したがって、同じ球状の無機粒子であっても、分散性及び塗工性の点においては、チタニアの方がアルミナより好ましいことがわかった。
また、無機粒子として球状のチタニアと不定形のアルミナとを用いた本発明スラリーa2では、図3に示すように、無機粒子スラリー中に凝集粒子や気泡もなく分散性および塗工性に優れた無機粒子スラリーが得られた。これは、無機粒子として不定形の微粒子のみを用いた比較スラリーz3では、上述の如く、微粒子の解砕を伴って無機粒子の凝集を生じるが、本発明スラリーa2では、解砕され易い不定形のアルミナのみならず解砕され難い球状のチタニアが添加されているので短時間で分散でき、分散性の良いスラリーを得ることができるからである。加えて、無機粒子層の断面を観察すると、不定形のアルミナのみで形成した場合と比べて空隙が若干小さくなっており、しかも、膜厚も一定で均質な無機粒子層が形成可能である。
(実験2)
本発明電池A1〜A3及び比較電池Z1〜Z3における保存特性(高温保存後の残存容量率)とサイクル特性(サイクル寿命)とを調べたので、その結果を表2に示す。また、ここで得られた結果をもとに、不定形アルミナの割合とサイクル寿命との相関について検討したので、その結果を図6に示す。尚、充放電条件及び保存条件は、下記の通りである。
[充放電条件]
1.0It(850mA)の電流で、電池電圧が4.4Vとなるまで定電流充電を行なった後、1.0It(850mA)の電流で、電池電圧が3.0Vまで定電流放電を行なうという条件。
尚、充放電の間隔は10分である。
[高温保存特性]
・保存条件
上記充放電条件で充放電を1回行い、再度、上記充電条件で設定電圧まで充電した電池を60℃で20日間放置するという条件である。
・残存容量の算出
上記電池を室温まで冷却し、上記放電条件と同一の条件で放電を行って残存容量を測定し、保存試験後1回目の放電容量と保存試験前の放電容量とを用いて、下記(1)式より、残存容量率を算出した。
残存容量率(%)=
(保存試験後1回目の放電容量/保存試験前の放電容量)×100・・・(1)
〔充放電サイクル特性〕
45℃において、上記充放電条件で充放電を繰り返し行ない、1サイクル目の放電容量の80%に達するまでのサイクル数を測定し、これをサイクル寿命とした。尚、表2においては、比較電池Z1のサイクル寿命を100とした指数で表している。
〔高温保存特性についての考察〕
表2から明らかなように、負極表面に無機粒子層が形成された本発明電池A1〜A3及び比較電池Z2、Z3は、負極表面に無機粒子層が形成されていない比較電池Z1と比べて、高温保存特性(高温充電保存後の残存容量率)が向上していることがわかる。これは、高温充電保存時には正極活物質から元素が溶出したり電解液の分解が生じたりするが、本発明電池A1〜A3及び比較電池Z2、Z3の如く無機粒子層が存在していれば、正極活物質からの溶出物や電解液の分解物を当該無機粒子層でトラップすることができるので、負極やセパレータのダメージが軽減され、高温保存特性が向上するものと考えられる。
但し、不定形のアルミナ(非球状の無機粒子)を用いて無機粒子層を形成した比較電池Z3は、球状のチタニア(球状の無機粒子)を用いて無機粒子層を形成した比較電池Z2、及び、球状のチタニアと不定形のアルミナとを混合したものを用いて無機粒子層を形成した本発明電池A1〜A3に比べて、高温保存特性が低下していることがわかる。これは、不定形のアルミナを用いて無機粒子層を形成した比較電池Z3では、無機粒子層中の空隙が大きくなり過ぎて、上記トラップ効果が低減される。これに対して、球状のチタニアを用いて無機粒子層を形成した比較電池Z2では、無機粒子層中の空隙が小さくなり、また、球状のチタニアと不定形のアルミナとを混合したものを用いて無機粒子層を形成した本発明電池A1〜A3では、球状のチタニアと不定形のアルミナとの混合比率を変えることにより無機粒子層中の空隙の割合を制御することが可能となるので、上記トラップ効果が十分に発揮されるという理由によるものと考えられる。
〔充放電サイクル特性についての考察〕
また、表2から明らかなように、球状のチタニアと不定形のアルミナとを混合したものを用いて無機粒子層を形成した本発明電池A1〜A3は、不定形のアルミナを用いて無機粒子層を形成した比較電池Z3や球状のチタニアを用いて無機粒子層を形成した比較電池Z2に比べて、高温時におけるサイクル特性が向上していることがわかる。これは、以下に示す理由によるものと考えられる。
負極表面に設けられた無機粒子層は、上記トラップ効果を発揮する他に、電解液の液回りを改善しサイクル特性を向上させる効果もある。ところが、球状のチタニアを用いて無機粒子層を形成した比較電池Z2では、当該無機粒子層の断面を観察すると、無機粒子が球状のため密に詰まっており、上述の如く無機粒子層中の空隙の割合が少なくなる。このように、無機粒子層中の空隙が少なければ、上記電解液の液回りを改善するという作用が発揮され難く、負極への電解液の浸透が不十分となって、サイクル特性の向上効果を十分に発揮することができない。
また、不定形のアルミナを用いて無機粒子層を形成した比較電池Z3では、当該無機粒子層の断面を観察すると、球状のチタニアを用いて無機粒子層を形成した比較電池Z2よりも空隙が多く存在するので、電解液の液回りを改善するという作用が十分に発揮され、負極に対して十分に電解液が浸透すると考えられる。しかし、上述の如く、高温時には正極での元素の溶出反応や電解液の分解反応が起こり易いが、空隙の多い無機粒子層では溶出物や分解物をトラップする効果が小さくなるため、サイクル特性が低下する。また、不定形のアルミナを用いて無機粒子層を形成する場合にはスラリーの分散性が悪く、均質な塗工膜が得ることが難しいため、絶縁性の高いバインダーが偏析したり、塗工厚みが一定でないことが起こる。そのため、電極反応の不均一化が起こり、このような点からもサイクル特性が低下する。
これに対して、球状のチタニアと不定形のアルミナとを混合したものを用いて無機粒子層を形成した本発明電池A1〜A3では、無機粒子層中の空隙比率を所望値に制御できるので、電解液の液回りを改善するという作用を発揮しつつ、溶出物や分解物をトラップすることが可能となる。加えて、不定形のアルミナだけではなく球状のチタニアをも含んでおり、スラリーの分散性を向上させることができるので、絶縁性の高いバインダーが偏析したり、塗工厚みが一定でないという不都合が生じるのを抑制できる。この結果、電極反応の不均一化が抑えられて、サイクル特性が向上する。尚、図6から明らかなように、不定形のアルミナの割合が40質量%以上75質量%以下に規制した場合にはサイクル特性が飛躍的に向上することが認められた。
(実験3)
球状のルチル型チタニア(チタン工業(株)製KR380)と、不定形のアルミナ(住友化学(株)製AKP3000)とを、所定の比率で混合したときのかさ密度とタップ密度とを調べたので、その結果を表3及び図7に示す。また、ルチル型チタニアが全く添加されていない場合(試料1)のタップ密度を100としたときの各試料(試料2〜試料7)のタップ密度の割合を表3及び図8に示す。
表3、図7及び図8から明らかなように、無機粒子として不定形のアルミナ(非球状の無機粒子)のみを用いた試料1は、無機粒子として球状のルチル型チタニア(球状の無機粒子)のみを用いた試料7よりもタップ密度が低くなっている。ここで、アルミナとチタニアの真密度は共に約3.9g/ccであって略等しいため、タップ密度が低いということは、単位体積中に占める無機粒子の割合が小さいということ(換言すれば、単位体積中に空隙が多いということ)を示しており、不定形のアルミナのみを用いた試料1と、球状のルチル型チタニアのみを用いた試料7とを用いて、負極表面に各々無機粒子層を形成した場合には、前者の方が後者よりも無機粒子層中の空隙率が大きくなることがわかる。
また、球状の無機粒子と非球状の無機粒子を所定の比率で混合させた試料2〜試料6のタップ密度は試料1のタップ密度と試料7のタップ密度との間の値を示しており、また、それらのタップ密度は、粒子の混合比率によって制御することが可能となる。つまり、球状の無機粒子と非球状の無機粒子との混合比率を変化させることで、無機粒子層中の空隙率を制御することが可能となり、電解液の浸透とフィルター効果の両方を発揮することが可能となる。特に、非球状粒子の割合を20質量%以上混合させた場合に、タップ密度および無機粒子層中の空隙率を制御することが十分可能となり、最適な空隙率を得ることができる。尚、表4からは必ずしも明らかではないが、本発明者らが調べたところ、タップ密度は0.60g/cc以上0.79g/cc以下(特に、0.65g/cc以上0.75g/cc以下)で空隙率の最適化を図ることができることがわかった。
このように規制することにより、タップ密度が大きくなり過ぎることによって、無機粒子が密に詰まり無機粒子層中の空隙率が低くなり過ぎるのを抑制できる一方、タップ密度が低くなり過ぎることによって、無機粒子が粗となって無機粒子層中の空隙率が高くなり過ぎるのを抑制できる。また、タップ密度が低くなり過ぎると、無機粒子の粒径も大きくなり、数μmの厚みで無機粒子を形成することが困難となるが、上記の如く規制すれば、このような不都合を回避できる。尚、タップ密度の低い無機粒子を作製する方法としては、無機粒子を焼結する方法等がある。
また、上述した球状のルチル型チタニア(チタン工業(株)製KR380)、不定形のアルミナ(住友化学(株)製AKP3000)、及び、長円形のマグネシア(協和化学工業(株)製500−04R)、球状のアルミナ(住友化学(株)製AKP50)のかさ密度とタップ密度とを調べたので、その結果を表4に示す。表4から明らかなように、長円形のマグネシアと球状のアルミナとのタップ密度は、各々0.48g/cc、1.12g/ccであり、本発明の無機粒子として用いることが可能である。
〔その他の事項〕
(1)上記実施例では負極活物質層の表面に無機粒子層を設けているが、正極活物質層の表面に無機粒子層を設けても良いことは勿論である。
(2)電池の充電電圧等に応じて球状又は実質的に球状の無機粒子と非球状の無機粒子との比率を変化させることにより、より非水電解質電池の性能向上を図ることができる。具体的には、電池の充電電圧が高くなる場合には、溶出物や分解物が増えるので、球状又は実質的に球状の無機粒子の割合を多くして、無機粒子層中の空隙率を低くすることにより、トラップ効果を大きくする等である。
(3)球状の無機粒子と非球形の無機粒子とを混合することにより無機粒子層中の空隙率を規制するのみならず、粒径の異なる球状の無機粒子を混合することによっても無機粒子層中の空隙率を規制することが可能である。但し、この場合には、小径の無機粒子のみならず大径の無機粒子をも用いる必要があるため、無機粒子層の厚みが大きくなるという不都合がある。
(4)無機粒子層に用いるバインダーは、特に制約はないが、本作用効果を発揮するためには、以下の機能或いは特性を有することが望ましい。
(I)電池の製造工程に耐え得る結着性を確保する機能
(II)電解液を吸収した後の膨潤による無機粒子間の隙間を充填する機能
(III)無機粒子の分散性を確保する機能(再凝集防止機能)
(IV)電解液への溶出が少ないという特性
上記機能或いは特性を有するものとしては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やPVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PAN(ポリアクリロニトリル)、SBR(スチレンブタジエンゴム)などやその変性体及び誘導体、アクリロニトリル単位を含む共重合体、ポリアクリル酸誘導体などが例示される。特に、少量添加で(I)や(III)の物性を満たし、且つスラリーの分散性や電極の柔軟性に優れるアクリロニトリル単位を含む共重合体を用いることが好ましい。
(5)無機粒子スラリー作製時の溶媒としては、上記NMPの他にアセトン、シクロヘキサノン、水などが使用できるが、これに限定されるものではない。また、無機粒子スラリーの分散方法としては、上記Filmicsの他に、ビーズミル、ロールミル方式の湿式分散方法が好適である。特に、本発明では使用する無機粒子の粒径が小さく、機械的に分散処理を施さないとスラリーの沈降が激しく、均質な膜を作製することができないため、塗料業界で塗料の分散に用いる方法が好適である。
負極上への無機粒子の塗工方法は、上記マイクログラビアコートの他に、ダイコート、ディップコート、カーテンコート、スプレーコート等が使用できるが、余剰部分(不要部分)への塗工によるエネルギー密度の低下を抑制する為に間欠塗布を行うことや、厚みの精度(薄膜塗工)を制御することなどを考慮すると、グラビアコートやダイコートが望ましい。また、溶剤やバインダーの負極活物質層内部への拡散による接着強度低下(負極バインダーの溶解による負極活物質層と無機粒子層との接着強度低下、無機粒子層へのバインダー染み込みによる極板抵抗の増加)等の問題もあり、速いスピードで塗工可能で、乾燥時間の早く出来る方法が望ましい。無機粒子スラリー中の固形分濃度は、塗工方法によっても大きく異なるが、機械的に厚みの制御が困難な、スプレーコート、ディップコート、カーテンコート方式では固形分濃度が低いことが好ましく、3〜30質量%が望ましい。また、ダイコートやグラビアコート等では固形分濃度は高くても良く、5−70質量%程度が好ましい。
(6)本発明に用いる電解液の溶媒は特に限定されるものではないが、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどの環状カーボネートと、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどの鎖状カーボネートとの混合溶媒が例示される。また、前記環状カーボネートと1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンなどのエーテル系溶媒との混合溶媒も例示される。
電解液の溶質としては、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiN(C25SO22、LiN(CF3SO2)(C49SO2)、LiC(CF3SO23、LiC(C25SO23、LiAsF6、LiClO4、Li210Cl10、Li212Cl12など及びそれらの混合物が例示される。特にLiXFy(式中、XはP、As、Sb、B、Bi、Al、GaまたはInであり、XがP、AsまたはSbのときyは6であり、XがBi、Al、GaまたはInのときyは4である)と、リチウムペルフルオロアルキルスルホン酸イミドLiN(Cm2m+1SO2)(Cn2n+1SO2)(式中、m及びnはそれぞれ独立して1〜4の整数である)、または、リチウムペルフルオロアルキルスルホン酸メチドLiN(Cp2p+1SO2)(Cq2q+1SO2)(Cr2r+1SO2)(式中、p、q及びrはそれぞれ独立して1〜4の整数である)との混合溶媒が好ましく用いられる。これらの中でも、LiPF6とLiN(C25SO22との混合溶媒が特に好ましく用いられる。尚、溶質の濃度は特に限定されないが、電解液1リットル当り1.0−1.8モルが望ましい。
更に、電解質として、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリルなどのポリマー電解質に電解液を含侵したゲル状ポリマー電解質や、LiI、Li3Nなどの無機固体電解質が例示される。本発明のリチウム二次電池の電解質は、イオン導電性を発現させる溶媒としてのリチウム化合物と、これを溶解・保持する溶媒が電池の充電時や放電時、あるいは、保存時の電圧で分解しない限り、制約なく用いることができる。
(7)正極活物質としては、上記コバルト酸リチウムに限定するものではなく、コバルト−ニッケル−マンガンのリチウム複合酸化物、アルミニウム−ニッケル−マンガンのリチウム複合酸化物、アルミニウム−ニッケル−コバルトの複合酸化物等のコバルト或いはマンガンを含むリチウム複合酸化物や、スピネル型マンガン酸リチウム等でも構わない。好ましくはリチウム参照極電位で4.3Vの比容量に対して、それ以上の充電により容量増加する正極活物質であり、且つ層状構造であることが好ましい。また、これらの正極活物質は単独で用いても良く、他の正極活物質と混合されていても良い。また、コバルト酸リチウムを用いる場合は、Zr,Mg,Alが添加されていることが好ましい。
(8)正極合剤の混合方法としては、湿式混合法に限定するものではなく、事前に正極活物質と導電剤を乾式混合した後に、PVDFとNMPを混合、攪拌するような方法であっても良い。
(9)負極活物質としては、上記黒鉛に限定されるものではなく、グラファイト、コークス、酸化スズ、金属リチウム、珪素、及びそれらの混合物等、リチウムイオンを挿入脱離できうるものであればその種類は問わない。
本発明は、例えば携帯電話、ノートパソコン、PDA等の移動情報端末の駆動電源で、特に高容量が必要とされる用途に適用することができる。また、高温での連続駆動が要求される高出力用途で、HEVや電動工具といった電池の動作環境が厳しい用途にも展開が期待できる。
球状粒子(チタン工業(株)製KR380)のSEM画像である。 非球状粒子(住友化学(株)製AKP3000)のSEM画像である。 本発明スラリーa2における分散性の評価を示すグラフである。 比較スラリーz2における分散性の評価を示すグラフ、 比較スラリーz3における分散性の評価を示すグラフである。 不定形のアルミナの割合とサイクル寿命との関係を示すグラフである。 不定形のアルミナの割合と密度との関係を示すグラフである。 不定形のアルミナの割合と密度の増加率との関係を示すグラフである。

Claims (10)

  1. 正極、負極、これら正負極間に配置されたセパレータ、及び、非水電解質を備え、且つ、上記正負両極のうち少なくとも一方の電極表面には無機粒子とバインダーとを含む無機粒子層が配置された非水電解質電池において、
    上記無機粒子が、球状又は実質的に球状の無機粒子と不定形の無機粒子とから構成され、上記無機粒子の総量に対する上記不定形の無機粒子の割合が、25質量%以上75質量%以下である、非水電解質電池。
  2. 上記負極の表面に上記無機粒子層が配置されている、請求項1記載の非水電解質電池。
  3. 上記無機粒子の総量に対する上記不定形の無機粒子の割合が、40質量%以上75質量%以下である、請求項1または2記載の非水電解質電池。
  4. 上記無機粒子がルチル型のチタニア又はアルミナから成る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解質電池。
  5. 上記不定形の無機粒子がアルミナから成り、上記球状の無機粒子がルチル型のチタニアから成る、請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水電解質電池。
  6. 上記無機粒子に対する上記バインダーの割合が30質量%以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水電解質電池。
  7. 上記無機粒子の平均粒径がセパレータの平均孔径より大きい、請求項1〜6のいずれか1項に記載の非水電解質電池。
  8. 上記正極における正極活物質として層状構造のものを用いる場合には、リチウム参照極電位に対して正極が4.30V以上充電される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の非水電解質電池。
  9. 上記正極における正極活物質としてスピネル構造のものを用いる場合には、リチウム参照極電位に対して正極が4.20V以上充電される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の非水電解質電池。
  10. 上記無機粒子層の厚みが1μm以上4μm以下である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の非水電解質電池。
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