JP2010287472A - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】電池の膨れを抑制しつつ、電池容量および安全性に優れた非水電解質二次電池を提供する。
【解決手段】正極、負極、正極と負極との間に介在するセパレータ、および非水電解質を含み、負極とセパレータとの間には、多孔質層が配されており、負極が、負極芯材および負極芯材に付着した負極合剤層を含み、負極合剤層が、黒鉛粒子と、黒鉛粒子間を接着する結着剤と、黒鉛粒子の表面を被覆する水溶性の第1高分子材料とを含み、多孔質層は、無機フィラーと、非水溶性の第2高分子材料とを含む、非水電解質二次電池。
【選択図】図1

Description

本発明は、負極活物質として黒鉛粒子を含む非水電解質二次電池に関し、特に黒鉛粒子および負極の表面の改良に関する。
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池には、負極活物質として様々な材料が用いられている。なかでも黒鉛材料が主流であり、天然黒鉛、人造黒鉛、黒鉛化メソフェーズカーボン粒子、黒鉛化メソフェーズカーボン繊維などが用いられている。
例えば黒鉛粒子を負極活物質として用いる場合、黒鉛粒子と結着剤とを、所定の分散媒の存在下で混合して、負極合剤スラリーを調製する。その際、結着剤には、一般にポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)などが用いられている。負極合剤スラリーを、銅箔などからなる負極芯材に塗布し、乾燥させて、負極合剤層が形成される。その後、負極合剤層は圧延ロールで圧延される。負極芯材と一体化された負極合剤層を、所定形状に裁断することにより、負極が得られる。
黒鉛粒子を含む負極においては、充電時に黒鉛粒子の表面で電解質成分が分解するため、充放電効率が低下しやすいという問題がある。そこで、特許文献1は、黒鉛粒子を水溶性の界面活性剤で被覆することを提案している。
特許文献2は、電池の安全性を向上させることを目的として、負極の表面に無機フィラーを含む多孔質層を形成することを提案している。
特開2003−168432号公報 国際公開2005/029614号
特許文献1の黒鉛粒子を用いることで、充放電時の非水電解質の分解を抑制できる。しかし、界面活性剤によって負極と非水電解質との親和性が高くなるため、非水電解質による膨潤によって電極の厚みが増加する。
特許文献2のように、負極の表面に無機フィラーを含む多孔質層を形成した場合、電池の安全性は向上するものの、多孔質層を含まない電池に比べると、エネルギー密度が小さくなる傾向がある。また、多孔質層がリチウムイオンの拡散を妨げることを避けるためには、多孔質層の空隙率を大きくする必要がある。しかし、空隙率を大きくすると、多孔質層の強度が低くなるため、多孔質層を厚く形成する必要がある。
そこで本発明は、電池の膨れを抑制しつつ、電池容量および安全性に優れた非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
本発明の非水電解質二次電池は、正極、負極、正極と負極との間に介在するセパレータ、および非水電解質を含み、負極とセパレータとの間には、多孔質層が配されており、負極が、負極芯材および負極芯材に付着した負極合剤層を含み、負極合剤層が、黒鉛粒子と、黒鉛粒子間を接着する結着剤と、黒鉛粒子の表面を被覆する水溶性の第1高分子材料とを含み、多孔質層が、無機フィラーと、非水溶性の第2高分子材料とを含む。
多孔質層は、負極合剤層の表面の少なくとも一部を覆っていることが好ましい。
第1高分子材料は、セルロース誘導体またはポリアクリル酸を含むことが好ましい。
第2高分子材料は、ポリフッ化ビニリデンまたはその変性体を含むことが好ましい。
ここでは10gの高分子を1000gの25℃の水と混合した場合に、完全に溶解する高分子を水溶性の高分子といい、1g以下しか溶解しない高分子を非水溶性の高分子という。
ポリフッ化ビニリデンの変性体は、フッ化ビニリデン単位とヘキサフルオロプロピレン単位とを含む共重合体(第1共重合体)を含むことが好ましい。第1共重合体全体に占めるフッ化ビニリデン単位の重量割合は80〜95重量%であることが好ましく、ヘキサフルオロプロピレン単位の重量割合は5〜20重量%であることが好ましい。
また、ポリフッ化ビニリデンの変性体は、フッ化ビニリデン単位とヘキサフルオロプロピレン単位とテトラフルオロエチレン単位とを含む共重合体(第2共重合体)を含むことが好ましい。第2共重合体全体に占めるフッ化ビニリデン単位の重量割合は50〜80重量%であることが好ましく、ヘキサフルオロプロピレン単位の重量割合は2〜10重量%であることが好ましく、テトラフルオロエチレン単位の重量割合は18〜40重量%であることが好ましい。
第2高分子材料は、アクリロニトリル単位を含んでいてもよい。
多孔質層の空隙率は、10〜45%であることが好ましい。
多孔質層の厚さは、1〜4μmであることが好ましく、1〜2.5μmであることがより好ましい。
本発明によれば、電池の膨れを抑制しつつ、電池容量および安全性に優れた非水電解質二次電池を提供することができる。
本発明の実施例に係る角型リチウムイオン二次電池において、電池缶の一部を切り欠いた正面図である。
本発明の非水電解質二次電池は、負極とセパレータとの間に多孔質層を含む。本発明の好ましい一態様において、多孔質層は負極合剤層の少なくとも一部を覆っている。負極合剤層は、黒鉛粒子と、黒鉛粒子間を接着する結着剤と、黒鉛粒子の表面を被覆する水溶性の第1高分子材料とを含む。水溶性の第1高分子材料で黒鉛粒子の表面を被覆することで、非水電解質に対する負極の膨潤性が向上する。負極の膨潤性が向上すると、分極が抑制され、負極中でのリチウムイオンの拡散性が向上する点で好ましいが、負極の厚みが増加しやすくなる。
多孔質層は、非水溶性の第2高分子材料を含むため、負極への過度の非水電解質の侵入を抑制する作用を有する。その効果は多孔質層の空隙率が小さいほど大きくなる。負極への過度の非水電解質の侵入を良好に抑制する観点から、多孔質層は、負極に形成されることがより好ましいが、セパレータに形成されていてもよい。
水溶性の第1高分子材料の種類は、特に限定されないが、セルロース誘導体、ポリアクリル酸等を用いることが好ましい。なかでも、黒鉛粒子間の接着性が向上し、サイクル特性が向上する点から、セルロース誘導体を用いることが好ましい。セルロース誘導体としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのNa塩などが好ましい。セルロース誘導体の分子量は、1万〜100万が好適である。
また、第1高分子材料としてポリアクリル酸を用いるのも好ましい。ポリアクリル酸は緻密な膜を形成しやすく化学的安定性が高いため、負極活物質の表面における非水電解質の分解を抑制することができる。ポリアクリル酸の分子量は、5万〜100万が好適である。
負極合剤層に含まれる水溶性の第1高分子材料の量は、黒鉛粒子100重量部あたり、0.5〜2.5重量部が好ましく、0.5〜1.5重量部が更に好ましく、0.5〜1.0重量部が特に好ましい。水溶性の第1高分子材料の量が上記範囲に含まれる場合、水溶性の第1高分子材料が黒鉛粒子の表面を高い被覆率で被覆することができる。また、黒鉛粒子表面が水溶性の第1高分子材料で過度に被覆されることがなく、負極の内部抵抗の上昇も抑制される。
本態様においては、多孔質層が負極合剤層の表面の少なくとも一部を覆っている。黒鉛粒子の表面は水溶性の第1高分子材料で覆われているため、非水電解質による負極の膨潤性が大きくなっているが、多孔質層で負極合剤層の少なくとも一部を覆うことで、非水電解質による負極の過度の膨潤が抑制される。
非水溶性の第2高分子材料は、ポリフッ化ビニリデンまたはその変性体であることが好ましい。ポリフッ化ビニリデンの変性体としては、例えば、フッ化ビニリデン単位とヘキサフルオロプロピレン単位とを含む共重合体、フッ化ビニリデン単位とヘキサフルオロプロピレン単位とテトラフルオロエチレン単位とを含む共重合体、フッ化ビニリデン単位とヘキサフルオロプロピレン単位とペルフルオロアルコキシビニルエーテル単位とを含む共重合体等が挙げられる。第2高分子材料のうち、これらの共重合体が主要成分として少なくとも90重量%以上含まれていればよい。第2高分子材料は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
第2高分子材料はフッ化ビニリデン単位とヘキサフルオロプロピレン単位とを含む共重合体(第1共重合体)を含んでもよい。第2高分子材料がヘキサフルオロプロピレン単位を含むことで、多孔質層のイオン透過性が更に良好になり、多孔質層の抵抗が低減される。よって、非水電解質二次電池のサイクル特性が更に向上する。第2高分子材料が第1共重合体である場合、共重合体全体に占めるヘキサフルオロプロピレン単位の重量割合は、5〜20重量%であることが好ましく、6〜10重量%であることが更に好ましい。共重合体全体に占めるフッ化ビニリデン単位の重量割合は、80〜95重量%であることが好ましく、90〜94重量%であることが更に好ましい。
また、第2高分子材料はフッ化ビニリデン単位とヘキサフルオロプロピレン単位とテトラフルオロエチレン単位とを含む共重合体(第2共重合体)を含んでもよい。第2高分子材料がヘキサフルオロプロピレン単位を含むことで、上記のように非水電解質二次電池のサイクル特性が向上する。更に、第2高分子材料がテトラフルオロエチレン単位を含むことで、多孔質層の強度が更に向上する。
第2高分子材料が第2共重合体である場合、多孔質層と、負極またはセパレータとの接着性を十分に確保する観点から、共重合体全体に占めるフッ化ビニリデン単位の重量割合は50〜80重量%であることが好ましく、60〜75重量%であることがより好ましい。
第2共重合体全体に占めるヘキサフルオロプロピレン単位の重量割合は2〜10重量%であることが好ましく、3〜8重量%であることがより好ましい。
第2共重合体全体に占めるテトラフルオロエチレン単位の重量割合は18〜40重量%であることが好ましく、25〜38重量%であることがより好ましい。
ヘキサフルオロプロピレン単位およびテトラフルオロエチレン単位の重量割合がそれぞれ上記の範囲であることで、多孔質層と電極との接着性を十分に確保することができる。
その他にも、非水溶性の第2高分子材料として、アクリロニトリル単位を含む高分子材料を用いてもよい。アクリロニトリル単位を含む高分子材料としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)およびこれらの誘導体等が挙げられる。
多孔質層は、イオン伝導性を有する必要があり、空隙を形成するために無機フィラーを含んでいる。無機フィラーを含む多孔質層は、優れた耐熱性を有するため、万一セパレータが溶融した場合であっても、多孔質層によって正極と負極との短絡を防ぐことができる。これにより、非水電解質二次電池の安全性が更に大きく向上する。
無機フィラーとしては、例えば、アルミナ、ジルコニア、シリカ、チタニア、マグネシアなどを用いることができる。なかでも、アルミナを用いることが好ましく、α−アルミナが特に好ましい。アルミナは、非水電解質と反応したり、酸化、還元されたりしにくいため、電池に悪影響を及ぼしにくい。α−アルミナは化学的に安定であり、高純度のα−アルミナは特に安定である。無機フィラーは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機フィラーの平均粒子径は特に限定されないが、0.1〜5μmであることが好ましい。2種以上の無機フィラーを組み合わせて用いる場合、それぞれの無機フィラーの平均粒子径は、異なっていてもよい。なお、平均粒子径とは、無機フィラーの体積粒度分布におけるメディアン径(D50)を意味する。
多孔質層の空隙率は、非水電解質による負極の膨潤性を確保でき、かつ過度の膨潤を抑制するのに適した値であることが望まれる。リチウムイオン伝導性を確保する観点から、多孔質層の空隙率は、通常50〜70%が好適とされている。一方、本発明の負極材料は上記のように優れた膨潤性を有するため、多孔質層の空隙率を通常より小さくしてもよい。第1高分子材料の作用により、空隙率が小さい場合でも、負極合剤層には十分量の非水電解質が浸透できるからである。むしろ、空隙率が小さい方が、負極の過度の膨潤が抑制され、負極の厚みの増加を防止することができる。更に、多孔質層の強度が高まり、安全性の向上効果も大きくなる。上記の観点から、多孔質層の空隙率は10〜45%であることが好ましく、30〜45%であることが更に好ましい。多孔質層の空隙率は、例えば無機フィラーに対する第2高分子材料の重量割合で制御できる。また、無機フィラーの平均粒子径も空隙率に影響を与える。
第2高分子材料の量は、無機フィラー100重量部あたり、1〜900重量部が好適である。本発明の一態様、例えば、第2高分子材料がポリフッ化ビニリデンまたはその変性体である場合においては、無機フィラー100重量部あたり、50〜900重量部が更に好適である。
また、本発明の別の一態様、例えば、第2高分子材料がアクリロニトリル単位を含む場合においては、無機フィラー100重量部あたり、1〜10重量部が更に好適である。なお、第2高分子材料がその他の高分子材料、例えばポリフッ化ビニリデンまたはその変性体である場合においても、第2高分子材料の量は、無機フィラー100重量部あたり、1〜10重量部としてもよい。
多孔質層の空隙率は、例えば以下の方法で測定することができる。
まず、無機フィラーと、第2高分子材料と、液状成分とを混合し、メディアレス分散を行い、多孔質層の前駆体であるスラリーを調製する。得られたスラリーを、ドクターブレード等を用いて金属箔上に所定の厚さに塗布する。塗膜を乾燥させることで、多孔質層の試験片が得られる。この試験片の空隙率を、以下の方法で求めればよい。
多孔質層の試験片の空隙を含まない真体積V1と、空隙を含む見かけ体積V2とを測定する。真体積V1は、多孔質層の試験片の重量、無機フィラーの真密度、第2高分子材料の真密度および無機フィラーと第2高分子材料との重量割合から計算により求められる。見かけ体積V2は、多孔質層の試験片の寸法(厚さおよび面積)から求められる。空隙率Pは、V1およびV2から、次式:
P(%)={(V2−V1)/V2}×100
により求められる。
多孔質層の空隙率を小さくすると、多孔質層の強度を高められる。よって、本発明の場合、多孔質層の厚さを従来よりも薄くしても、十分な強度を確保することができる。これにより、非水電解質二次電池の安全性を確保しつつ、体積エネルギー密度をより大きくすることができる。非水電解質二次電池の安全性と、体積エネルギー密度とを優れたバランスで両立させる観点から、多孔質層の厚さは、平均で1〜4μmであることが好ましく、1〜3μmであることがより好ましく、1〜2.5μmであることが更に好ましく、1〜2μmであることが特に好ましい。一方、従来の多孔質層の厚さは、通常、平均で3〜4μmである。なお、厚さの平均値は、任意の位置で多孔質層の厚さを10点測定し、その平均値を求めればよい。多孔質層の厚さは、例えば市販の厚み測定器((株)ニコン製)により測定することができる。
次に、負極材料である黒鉛粒子について説明する。ここでは、黒鉛粒子とは、黒鉛構造を有する領域を含む粒子の総称である。よって、黒鉛粒子には、天然黒鉛、人造黒鉛、黒鉛化メソフェーズカーボン粒子などが含まれる。
広角X線回折法で測定される黒鉛粒子の回折像は、(101)面に帰属されるピークと、(100)面に帰属されるピークとを有する。ここで、(101)面に帰属されるピークの強度I(101)と、(100)面に帰属されるピークの強度I(100)との比は、0.01<I(101)/I(100)<0.25を満たすことが好ましく、0.08<I(101)/I(100)<0.20を満たすことが更に好ましい。なお、ピークの強度とは、ピークの高さを意味する。
黒鉛粒子の平均粒子径は、14〜22μmが好ましく、16〜20μmが更に好ましい。平均粒子径が上記範囲に含まれる場合、負極合剤層における黒鉛粒子の滑り性が向上し、黒鉛粒子の充填状態が良好となり、黒鉛粒子間の接着強度の向上に有利である。黒鉛粒子の充填状態が良好となる結果、負極の過度の膨潤がより起こりにくくなる。なお、平均粒子径とは、黒鉛粒子の体積粒度分布におけるメディアン径(D50)を意味する。黒鉛粒子の体積粒度分布は、市販のレーザー回折式の粒度分布測定装置により測定することができる。
黒鉛粒子の平均円形度は、0.90〜0.95が好ましく、0.91〜0.94が更に好ましい。平均円形度が上記範囲に含まれる場合、負極合剤層における黒鉛粒子の滑り性が向上し、黒鉛粒子の充填性の向上や、黒鉛粒子間の接着強度の向上に有利である。なお、平均円形度は、4πS/L2(ただし、Sは黒鉛粒子の正投影像の面積、Lは正投影像の周囲長)で表される。例えば、任意の100個の黒鉛粒子において、その平均円形度が上記範囲であることが好ましい。
黒鉛粒子の比表面積Sは、3〜5m2/gが好ましく、3.5〜4.5m2/gが更に好ましい。比表面積が上記範囲に含まれる場合、負極合剤層における黒鉛粒子の滑り性が向上し、黒鉛粒子間の接着強度の向上に有利である。また、黒鉛粒子の表面を被覆する水溶性の第1高分子材料の好適量を少なくすることができる。
黒鉛粒子の表面は、水溶性の第1高分子材料で被覆されている。水溶性の第1高分子材料による黒鉛粒子表面の被覆の程度(被覆量)が小さいと、第1高分子材料で被覆された状態の黒鉛粒子のBET比表面積は大きくなり、被覆量が大きくなるほど、第1高分子材料で被覆された状態の黒鉛粒子のBET比表面積は小さくなる。すなわち、水溶性の第1高分子材料による黒鉛粒子表面の被覆の程度は、第1高分子材料で被覆された状態の黒鉛粒子のBET比表面積によって評価することができる。
黒鉛粒子の表面を水溶性の第1高分子材料で被覆するために、以下の製造方法で負極を製造することが望ましい。ここでは、方法Aおよび方法Bを例示する。
まず、方法Aについて説明する。
方法Aは、黒鉛粒子と、水と、水に溶解した第1高分子材料とを混合し、得られた混合物を乾燥させて、乾燥混合物とする工程(工程(i))を含む。
例えば、第1高分子材料を水に溶解させて、第1高分子材料を含む水溶液を調製する。得られた第1高分子材料を含む水溶液と黒鉛粒子とを混合し、その後、水分を除去して、混合物を乾燥させる。このように、混合物を一旦乾燥させることにより、黒鉛粒子の表面に第1高分子材料が効率的に付着し、第1高分子材料による黒鉛粒子表面の被覆率が高められる。
第1高分子材料を含む水溶液の粘度は、25℃において、1000〜10000cPに制御することが好ましい。粘度は、B型粘度計を用い、周速度20mm/sで、5mmφのスピンドルを用いて測定する。また、第1高分子材料を含む水溶液100重量部と混合する黒鉛粒子の量は、50〜150重量部が好適である。
混合物の乾燥温度は80〜150℃が好ましく、乾燥時間は1〜8時間が好適である。
次に、得られた乾燥混合物と、結着剤と、液状成分とを混合し、負極合剤スラリーを調製する(工程(ii))。この工程により、第1高分子材料で被覆された黒鉛粒子の表面に、結着剤が付着する。黒鉛粒子間の滑り性が良好なため、黒鉛粒子表面に付着した結着剤は、十分なせん断力を受け、黒鉛粒子表面に有効に作用する。
そして、得られた負極合剤スラリーを、負極芯材に塗布し、乾燥させて、負極合剤層を形成することにより、負極が得られる(工程(iii))。負極合剤スラリーを負極芯材に塗布する方法は、特に限定されない。例えば、ダイコータを用いて、負極芯材の原反に負極合剤スラリーを所定パターンで塗布する。塗膜の乾燥温度も特に限定されない。乾燥後の塗膜は、圧延ロールで圧延し、所定厚さに制御される。圧延工程により、負極合剤層と負極芯材との接着強度や、黒鉛粒子間の接着強度が高められる。
さらに、工程(iii)で得られた負極合剤層の表面に、第2高分子材料と、分散媒と、無機フィラーとを含む、多孔質層の前駆体であるスラリーを塗布し、乾燥させる。これにより、負極合剤層の表面の少なくとも一部に多孔質層を形成することができる(工程(iv))。こうして得られた多孔質層を有する負極合剤層を、負極芯材とともに所定形状に裁断することにより、負極が完成する。なお、分散媒には、有機溶媒、例えばN−メチル−2−ピロリドン、メチルエチルケトン等を用いることが好ましい。これにより、多孔質層を形成する際に、負極合剤層の不必要な膨潤を避けることができる。上記では、負極合剤層の表面に多孔質層を形成する場合について説明したが、セパレータに多孔質層を形成する場合、セパレータに上記のスラリーを塗布して、多孔質層を形成すればよい。
次に、方法Bについて説明する。
方法Bは、黒鉛粒子と、結着剤と、水と、水に溶解した水溶性の第1高分子材料とを混合し、得られた混合物を乾燥させて、乾燥混合物とする工程(工程(i))を含む。
例えば、第1高分子材料を水に溶解させて、第1高分子材料を含む水溶液を調製する。第1高分子材料を含む水溶液の粘度は、方法Aと同様でよい。次に、得られた第1高分子材料を含む水溶液と、結着剤と、黒鉛粒子とを混合し、その後、水分を除去して、混合物を乾燥させる。このように、混合物を一旦乾燥させることにより、黒鉛粒子の表面に第1高分子材料と結着剤とが効率的に付着する。よって、第1高分子材料による黒鉛粒子表面の被覆率が高められると同時に、結着剤が黒鉛粒子表面に良好な状態で付着する。結着剤は、第1高分子材料を含む水溶液に対する分散性を高める観点から、水を分散媒とするディスパージョンの状態で第1高分子材料を含む水溶液と混合することが好ましい。
次に、得られた乾燥混合物と、液状成分とを混合し、負極合剤スラリーを調製する(工程(ii))。この工程により、水溶性の第1高分子材料と結着剤で被覆された黒鉛粒子が、液状成分である程度膨潤し、黒鉛粒子間の滑り性が良好となる。
そして、得られた負極合剤スラリーを、方法Aと同様に、負極芯材に塗布し、乾燥させ、圧延して、負極合剤層を形成することにより、負極が得られる(工程(iii))。
さらに、方法Aと同様に、工程(iii)で得られた負極合剤層の表面に、第2高分子材料と、分散媒と、無機フィラーとを含む、多孔質層の前駆体であるスラリーを塗布し、乾燥させる。これにより、負極合剤層の表面の少なくとも一部に多孔質層を形成することができる(工程(iv))。こうして得られた多孔質層を有する負極合剤層を、方法Aと同様に、負極芯材とともに所定形状に裁断することにより、負極が完成する。多孔質層は、方法Aと同様に、セパレータに形成してもよい。
方法Aおよび方法Bで、負極合剤スラリーを調製する際に用いる液状成分は、特に限定されないが、水、アルコール水溶液などが好ましく、水が最も好ましい。ただし、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMP)などの非水溶媒を用いてもよい。
負極合剤層に含ませる結着剤は、特に限定されないが、粒子状であり、ゴム弾性を有する結着剤が好ましい。粒子状の結着剤の平均粒子径は、0.10〜0.30μmであることが好ましい。なお、結着剤の平均粒子径は、例えば、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、加速電圧200kV)により、10個の結着剤粒子のSEM写真を撮影し、これらの最大径の平均値として求める。
粒子状であり、ゴム弾性を有し、平均粒子径が十分に小さい結着剤としては、特にスチレン単位およびブタジエン単位を含む高分子が好ましい。このような高分子は、弾性に優れ、負極電位で安定である。
負極合剤層に含まれる結着剤の量は、黒鉛粒子100重量部あたり、0.4〜1.5重量部が好ましく、0.4〜1.0重量部が更に好ましく、0.4〜0.7重量部が特に好ましい。水溶性の第1高分子材料が黒鉛粒子の表面を被覆している場合、黒鉛粒子間の滑り性が良好であるため、黒鉛粒子表面に付着した結着剤は、十分なせん断力を受け、黒鉛粒子表面に有効に作用する。また、粒子状で平均粒子径の小さい結着剤は、黒鉛粒子の表面と接触する確率が高くなる。よって、結着剤の量が少量でも十分な結着性が発揮される。
負極合剤層は、更に、導電剤などの任意成分を含んでも良いが、負極合剤全体に占める任意成分の量は、5重量%以下とすることが望ましい。例えば、負極合剤層は、黒鉛粒子100重量部あたり1〜3重量部、好ましくは1〜2重量部の導電剤を含むことができる。導電剤としては、カーボンブラック、カーボンナノファイバなどが好ましい。
負極芯材としては、金属箔などが用いられる。リチウムイオン二次電池の負極を作製する場合には、一般に銅箔、銅合金箔などが負極芯材として用いられる。なかでも銅箔(0.2モル%以下の銅以外の成分が含まれていてもよい)が好ましく、特に電解銅箔が好ましい。
正極は、非水電解質二次電池の正極として用いることのできるものであれば、特に限定ない。正極は、例えば、正極活物質と、カーボンブラックなどの導電剤と、ポリフッ化ビニリデンなどの結着剤とを含む正極合剤スラリーを、アルミニウム箔などの正極芯材に塗布し、乾燥し、圧延することにより得られる。正極活物質としては、リチウム含有遷移金属酸化物が好ましい。リチウム含有遷移金属化合物の代表的な例としては、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24、LiMnO2、LiNi1-yCoy2(0<y<1)、LiNi1-y-zCoyMnz2(0<y+z<1)などを挙げることができる。
非水電解質としては、非水溶媒およびこれに溶解するリチウム塩からなる液状の電解質が好ましい。非水溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの環状カーボネート類と、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどの鎖状カーボネート類との混合溶媒が一般的に用いられる。また、γ−ブチロラクトンやジメトキシエタンなども用いられる。リチウム塩としては、無機リチウムフッ化物やリチウムイミド化合物などが挙げられる。無機リチウムフッ化物としては、LiPF6、LiBF4等が挙げられ、リチウムイミド化合物としてはLiN(CF3SO22等が挙げられる。
セパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどからなる微多孔性フィルムが一般に用いられている。セパレータの厚みは、例えば10〜30μmである。
本発明は、円筒型、扁平型、コイン型、角型など、様々な形状の非水電解質二次電池に適用可能であり、電池の形状は特に限定されない。
次に、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明する。ただし、本発明が下記の実施例に限定されるわけではない。
《実施例1》
(a)負極の作製
工程(i)
まず、水溶性の第1高分子材料であるカルボキシメチルセルロース(以下、CMC、分子量35万)を水に溶解し、CMC濃度1重量%の水溶液を得た。天然黒鉛粒子(平均粒子径18μm、平均円形度0.92、BET比表面積4.5m2/g)100重量部と、CMC水溶液100重量部とを混合し、混合物の温度を25℃に制御しながら攪拌した。その後、混合物を80℃で5時間乾燥させ、乾燥混合物を得た。乾燥混合物において、黒鉛粒子100重量部あたりのCMC量は1重量部であり、乾燥混合物のBET比表面積は3.5m2/gであった。
工程(ii)
得られた乾燥混合物101重量部(すなわち黒鉛100重量部+CMC1重量部)と、スチレン単位およびブタジエン単位を含み、ゴム弾性を有する結着剤(スチレンーブタジエン共重合体、SBR)0.6重量部を含む分散液1.25重量部と、10重量部の水とを混合し、負極合剤スラリーを調製した。なお、SBRは平均粒子径0.18μmの粒子状のものを用い、水を分散媒とする分散液(JSR(株)製、SBR含有量48重量%)の状態で他の成分と混合した。
工程(iii)
得られた負極合剤スラリーを、負極芯材である電解銅箔(厚さ10μm、Ra=0.20μm、Rz=0.63μm)の両面にダイコータを用いて塗布し、塗膜を110℃で乾燥させた。その後、乾燥塗膜を圧延ローラで線圧250トン/cmで圧延して、厚さ145μm、負極合剤層1cm3あたりの黒鉛粒子の重量1.6gの負極合剤層を形成した。負極合剤層を負極芯材とともに所定形状に裁断することにより、負極を得た。
工程(iv)
フッ化ビニリデン(VDF)単位の重量割合が60重量%であり、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)単位の重量割合が3重量%であり、テトラフルオロエチレン(TFE)単位の重量割合が37重量%である共重合体からなるポリフッ化ビニリデンの変性体(第2高分子材料)100重量%と、無機フィラーである平均粒子径0.4μmのアルミナ50重量%と、分散媒である適量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)とを混合して、不揮発分が25重量%である多孔質層の前駆体であるスラリーを調製した。スラリーを上記で得られた負極合剤層の表面に塗布し、塗膜を80℃で乾燥させて、厚さ1.5μm、空隙率40%の多孔質層を形成した。
(b)正極の作製
正極活物質である100重量部のLiCoO2に対し、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)を4重量部添加し、適量のNMPとともに混合し、正極合剤スラリーを調製した。得られた正極合剤スラリーを、正極芯材である厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に、ダイコータを用いて塗布し、塗膜を乾燥させ、更に、圧延して、正極合剤層を形成した。正極合剤層を正極芯材とともに所定形状に裁断することにより、正極を得た。
(c)非水電解質の調製
エチレンカーボネート(EC)と、ジメチルカーボネート(DMC)と、エチルメチルカーボネート(EMC)との体積割合1:1:1の混合溶媒に、1モル/リットルの濃度でLiPF6を溶解させて非水電解質を調製した。非水電解質には3重量%のビニレンカーボネート(VC)を含ませた。
(d)電池の組み立て
図3に示すような角型リチウムイオン二次電池を作製した。
負極と正極とを、これらの間に厚さ20μmのポリエチレン製の微多孔質フィルムからなるセパレータ(セルガード(株)製のA089(商品名))を介して捲回し、断面が略楕円形の電極群11を構成した。電極群11はアルミニウム製の角型の電池缶10に収容した。電池缶10は、底部10aと、側壁10bとを有し、上部は開口しており、その形状は略矩形である。側壁10bの主要平坦部の厚みは80μmとした。その後、電池缶10と正極リード12または負極リード13との短絡を防ぐための絶縁体14を、電極群11の上部に配置した。次に、絶縁ガスケット16で囲まれた負極端子17を中央に有する矩形の封口板15を、電池缶10の開口に配置した。負極リード13は、負極端子17と接続した。正極リード12は、封口板15の下面と接続した。開口の端部と封口板15とをレーザで溶接し、電池缶10の開口を封口した。その後、封口板15の注液孔から2.5gの非水電解質を電池缶10に注入した。最後に、注液孔を封栓19で溶接により塞ぎ、高さ50mm、幅34mm、内空間の厚み約5.2mm、設計容量850mAhの角型リチウムイオン二次電池aを完成させた。
得られた電池に対して、以下の評価を行った。
電池厚みを測定した後、25℃環境下で、以下の条件を1サイクルとして、100サイクル充放電を行った。初期の電池厚みに対する、100サイクル後の電池厚みの増加率(%)を求めた。結果を表1に示す。
<サイクル試験条件>
定電流充電:充電電流値850mA、充電終止電圧4.2V
定電圧充電:充電電圧値4.2V、充電終止電流100mA
定電流放電:放電電流値850mA、放電終止電圧3V
Figure 2010287472
《比較例1》
多孔質層を形成しなかったこと以外、実施例1と同様にして、電池bを作製した。得られた電池に対して、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
表1から、黒鉛粒子が第1高分子材料で被覆されており、かつ多孔質層を有する角型電池aは、多孔質層を有さない角型電池bに比べて、厚み増加率が2%小さくなっていた。電池缶を具備した捲回型の電池において、厚み増加率が大きくなると、電池を小型、薄型の機器に使用することが困難となる。よって、厚み増加率の低減は極めて重要である。
《実施例2》
第1高分子材料として、表2に示すものを用いたこと以外、実施例1と同様にして負極を作製し、その表面に実施例1と同様の多孔質層を形成した。なお、電池Aの負極は、実施例1の電池aと同様の負極である。
次に、上記負極を用いて、厚み増加率を評価するためのコイン型電池A〜Cを作製した。具体的には、直径12.5mmφに打ち抜いた上記の負極を浅底の有底ケースにスペーサを介して載置し、負極上にセパレータ(厚さ16μm、旭化成(株)製のND416)を配置した。次に直径18mmφに打ち抜いた対極であるリチウム箔を、封口板の内面に貼り付け、セパレータを介して対極と負極とを対向させ、非水電解質を注入し、封口板で有底ケースの開口を封口した。
得られたコイン型電池の充放電を下記条件で3回行い、最後に負極にリチウムが挿入された状態まで分極させて終了した。コイン型電池を分解し、負極を取り出し、厚みを測定した。コイン型電池の組立直前の負極厚みに対する、3.5サイクル充放電後の負極厚みから、増加率(%)を求めた。結果を表2に示す。
<充放電試験条件>
定電流充電:充電電流値0.15mA/cm2、充電終止電圧0.01V
定電流放電:放電電流値0.15mA/cm2、放電終止電圧1.5V
Figure 2010287472
表2より、負極材料である黒鉛粒子の表面を第1高分子材料で被覆した電池A〜Cは、いずれも厚み増加率が小さくなっていることがわかった。なかでも、分子量35万のCMCを用いた電池Aは、厚み増加率が特に小さかった。電池Aでは、黒鉛粒子を被覆している第1高分子材料であるCMCの分子量が高いため、黒鉛粒子表面にネットワーク的で強固な接着性を有する樹脂面が構築される比率が大きくなり、表面接着性が高くなる。これにより、充放電反応に伴う粒子間の膨張をより抑制することができたと考えられる。
《実施例3》
第2高分子材料、第2高分子材料と無機フィラーとの重量割合、多孔質層の厚さおよび多孔質層の空隙率をそれぞれ表3に示すように変化させたこと以外、実施例2の電池Aと同様にして、コイン型電池D〜Fを作製した。得られた電池に対して、実施例2と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 2010287472
表3より、第2高分子材料として、PVDF、VDF単位とHFP単位とを含む共重合体(P(VDF−HFP))、VDF単位とHFP単位とTFE単位とを含む共重合体(P(VDF−HFP−TFE))、またはポリアクリロニトリル(PAN)を用いた電池D〜Fは、いずれも厚み増加率が小さくなっていることがわかった。なかでも、P(VDF−HFP−TFE)共重合体を用いた電池Aは、厚み増加率が特に小さかった。
《実施例4》
第2高分子材料として、P(VDF−HFP)共重合体を用い、共重合体全体に占めるVDF単位の重量割合を表4のように変化させたこと以外、実施例2の電池Aと同様にして、コイン型電池G〜Hを作製した。得られた電池に対して、実施例2と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
Figure 2010287472
表4から、第2高分子材料に含まれるフッ化ビニリデン単位の重量割合が80〜95重量%である電池E、GおよびHは、いずれも厚み増加率が小さくなっていることがわかった。
《実施例5》
第2高分子材料として、P(VDF−HFP−TFE)共重合体を用い、共重合体全体に占めるVDF単位の重量割合、HFP単位の重量割合およびTFE単位の重量割合を、表5のように変化させたこと以外、実施例2の電池Aと同様にして、コイン型電池Iを作製した。得られた電池に対して、実施例2と同様の評価を行った。結果を表5に示す。
Figure 2010287472
表5より、第2高分子材料として、VDF単位とHFP単位とTFE単位とを、上記の重量割合で含む共重合体を用いた電池Iは、厚み増加率が小さくなっていることがわかった。これは、PTFEは非水電解質との親和性が低いため、PTFEを含む共重合体とすることで、非水電解質の負極への膨潤を抑制することができたためと考えられる。
《実施例6》
多孔質層の平均の厚さと空隙率を表6のように変化させたこと以外、実施例2の電池Aと同様にして、コイン型電池J〜Pを作製した。多孔質層の空隙率は、第2高分子材料の重量割合を変化させることで調節した。実施例2と同様の評価に加えて、以下の評価を行った。
<安全性試験>
内部短絡発生時における安全性を評価するため、以下に示す条件で釘刺し試験を行った。まず、表6に示す多孔質層を用いて、実施例1と同様にして角型電池をそれぞれ作製した。作製した電池に対して、室温環境下で、4.2Vの定電圧充電(終止電流100mA)を行った。
室温環境下で、充電後の電池に対して、ステンレス鋼製の釘(直径2.7mm)を、20mm/sの速度で電池を貫通するまで突き刺した。その後、電池表面温度の最高温度を測定した。結果を表6に示す。
<容量維持率の評価>
また、表6に示す多孔質層を用いて、実施例1と同様にして角型電池をそれぞれ作製し、実施例1と同様の充放電条件で、300サイクルの充放電を行い、電池の初期容量(1サイクル目の容量)に対する300サイクル充放電後の容量の比を、容量維持率とした。結果を表6に示す。
Figure 2010287472
表6から、多孔質層の厚さが1〜4μmである電池Aおよび電池K〜電池Oにおいても、厚み増加率が小さくなっていることがわかった。また、電池Aおよび電池K〜電池Oは、いずれも多孔質層の厚さを薄くしているが、空隙率を小さくしているため、多孔質層の厚さが5μmである電池Pと同等の安全性が得られることがわかった。
本発明によれば、電池の厚みの増加を抑制し、安全性を確保しつつ、多孔質層を薄くできる。すなわち、電池の膨れを抑制しつつ、電池の安全性と、優れた体積エネルギー密度とを両立することができる。なかでも、多孔質層の厚さを1〜3μmとすることで、体積エネルギー密度をより大きくすることができる。
《比較例2》
黒鉛粒子の表面を第1高分子材料で被覆しなかったこと以外、実施例2の電池Aと同様にして、コイン型電池Qを作製した。得られた電池に対して、実施例2と同様の評価を行った。結果を表7に示す。また、黒鉛粒子の表面を第1高分子材料で被覆しなかったこと以外、実施例1と同様にして角型電池を作製し、実施例1と同様の充放電条件で、300サイクルの充放電を行い、容量維持率の評価を行った。結果を表7に示す。
《比較例3》
多孔質層の厚さを表7のように変化させたこと以外、比較例2の電池Qと同様にして、コイン型電池R〜Wを作製した。得られた電池に対して、実施例2と同様の評価を行った。結果を表7に示す。また、多孔質層の厚さを表7のように変化させたこと以外、比較例2と同様にして角型電池を作製し、同様の充放電条件で、300サイクルの充放電を行い、電池の初期容量(1サイクル目の容量)に対する300サイクル充放電後の容量の比を、容量維持率とした。結果を表7に示す。
Figure 2010287472
表7より、黒鉛粒子の表面を第1高分子材料で被覆していない電池Q〜Wは、黒鉛粒子間同士の接着面に十分な樹脂量が確保できていないため、いずれも電池厚みの増加率が大きくなっていることがわかった。
本発明によれば、電池の膨れを抑制しつつ、電池容量および安全性に優れた非水電解質二次電池を提供することができる。本発明の非水電解質二次電池は、携帯電子機器、パソコン、デジタルスチルカメラ等の機器の電源として有用である。
10 電池缶
11 電極群
12 正極リード
13 負極リード
14 絶縁体
15 封口板
16 絶縁ガスケット
17 負極端子
19 封栓

Claims (10)

  1. 正極、負極、前記正極と前記負極との間に介在するセパレータ、および非水電解質を含み、
    前記負極と前記セパレータとの間には、多孔質層が配されており、
    前記負極が、負極芯材および前記負極芯材に付着した負極合剤層を含み、
    前記負極合剤層が、黒鉛粒子と、前記黒鉛粒子間を接着する結着剤と、前記黒鉛粒子の表面を被覆する水溶性の第1高分子材料とを含み、
    前記多孔質層が、無機フィラーと、非水溶性の第2高分子材料とを含む、非水電解質二次電池。
  2. 前記多孔質層が、前記負極合剤層の表面の少なくとも一部を覆っている、請求項1記載の非水電解質二次電池。
  3. 前記第1高分子材料が、セルロース誘導体またはポリアクリル酸を含む、請求項1または2記載の非水電解質二次電池。
  4. 前記第2高分子材料が、ポリフッ化ビニリデンまたはその変性体を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
  5. 前記ポリフッ化ビニリデンの変性体が、フッ化ビニリデン単位とヘキサフルオロプロピレン単位とを含む共重合体を含み、前記共重合体全体に占めるフッ化ビニリデン単位の重量割合が80〜95重量%であり、ヘキサフルオロプロピレン単位の重量割合が5〜20重量%である、請求項1〜4のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
  6. 前記ポリフッ化ビニリデンの変性体が、フッ化ビニリデン単位とヘキサフルオロプロピレン単位とテトラフルオロエチレン単位とを含む共重合体を含み、前記共重合体全体に占めるフッ化ビニリデン単位の重量割合が50〜80重量%であり、ヘキサフルオロプロピレン単位の重量割合が2〜10重量%であり、テトラフルオロエチレン単位の重量割合が18〜40重量%である、請求項1〜5のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
  7. 前記第2高分子材料が、アクリロニトリル単位を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
  8. 前記多孔質層の空隙率が、10〜45%である、請求項1〜7のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
  9. 前記多孔質層の厚さが、1〜4μmである、請求項1〜8のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
  10. 前記多孔質層の厚さが、1〜2.5μmである、請求項1〜9のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
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