JP2007042580A - リチウム二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐短絡性および耐熱性に優れ、落下などの衝撃による容量低下が起こりにくく、かつ高容量なリチウム二次電池を提供する。
【解決手段】帯状の正極と負極とを、これらの間に介在する多孔質耐熱層とともに捲回してなる電極群と、非水電解質と、電池缶とを有し、電極群の上下方向の移動を規制する規制部を有し、規制部から電池缶の内側底面までの距離Aと、前記負極の幅Bとが、0.965≦B/A≦0.995を満たすリチウム二次電池。
【選択図】図1

Description

本発明は、耐短絡性および耐熱性に優れた高度な安全性を有するリチウム二次電池に関し、主に落下などの衝撃による容量低下を防止する技術に関する。
リチウム二次電池は、ポータブル機器を中心に高容量電源として注目されている。さらに、近年、電気自動車を中心に、高出力電源としてもリチウム二次電池が注目されつつある。一般にリチウム二次電池を含む化学電池では、正極と負極とを電気的に絶縁するとともに電解質を保持する役目をもつセパレータを有する。リチウム二次電池の場合、ポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレンなど)からなる微多孔質フィルムが、セパレータとして主に用いられている。正極と負極とを、これらの間に介在するセパレータとともに、円柱状または略楕円柱状に捲回することにより、リチウム二次電池の電極群が形成される。
円筒型リチウム二次電池は、例えば電動工具およびノート型PCの電源として用いられている。円筒型リチウム二次電池は、電池缶の開口端を封口板にかしめることにより封口される。封口板を電池缶の開口付近に固定するために、電池缶の側壁上部には、電池缶の内径が小さくなるように溝部(絞り部)が設けられている。なお、特許文献1では、負極の幅B(38mm)と、絞り部から電池缶の外側底面までの距離A(39.7mm)との関係をB/A=0.957とする高容量設計が提案されている。
角型リチウム二次電池は、例えば携帯電話およびデジタルスチールカメラの電源として用いられている。角型リチウム二次電池は、円筒型と比較して、機器内への収納性が高いため、普及が広がっている。角型リチウム二次電池の場合、円筒型とは異なり、電極と端子とを接続するリードが電池缶と接しやすい。電池缶と逆の極性を有するリードが電池缶と接触すると、短絡が発生する。そこで、電極群の上部と電池缶の蓋体(封口板)との間に、絶縁体(以下、上部絶縁体と称す)を設けることが一般的である。耐短絡性をより高くするために、電極群の下部と電池缶の底面との間に、絶縁体(以下、下部絶縁体と称す)を設けることも提案されている(特許文献2)。
通常、上部絶縁体の下面から電池缶の内側底面までの距離Aと、負極の幅Bとの関係が、B/A≦0.96を満たすように、角型リチウム二次電池の電極群が作製される。B/Aが大きいほど、電池を高容量化できる。しかし、この値が大きすぎると、電極群が歪みやすくなり、正極と負極とが直に接触する短絡が引き起こされる。特許文献2では、クッション材となる下部絶縁体を設けることにより、B/A=0.97にまで引き上げている。
ところで、極度な高温環境にリチウム二次電池を長時間保持した場合、微多孔質フィルムからなるセパレータは収縮しやすい。セパレータが収縮すると、正極と負極とが物理的に接触する内部短絡が発生する可能性がある。特に近年、リチウム二次電池の高容量化に伴い、セパレータが薄型化する傾向にある。よって、内部短絡の防止が、一層、重要視されつつある。一旦、内部短絡が発生すると、短絡電流に伴うジュール熱によって短絡部が拡大し、電池が過熱に至る場合もある。
そこで、仮に内部短絡が発生しても、短絡部の拡大を抑制する観点から、無機フィラー(固体微粒子)および結着剤を含む多孔質耐熱層を、電極活物質層に担持させることが提案されている。無機フィラーには、アルミナ、シリカなどが用いられている。多孔質耐熱層には、無機フィラーが充填されており、フィラー粒子同士は比較的少量の結着剤で結合されている(特許文献3)。多孔質耐熱層は、高温でも収縮しにくいので、内部短絡の発生時に、電池の過熱を抑止する働きがある。
特開平11−354084号公報 特開2004−31263号公報 特開平7−220759号公報
高容量で、耐短絡性に優れたリチウム二次電池を実現するために、特許文献1または2の提案と特許文献3の提案とを併用することが考えられる。これにより、内部短絡不良は顕著に低減する。しかし、落下などによる衝撃が電池に与えられた時に、顕著な容量低下が発生する。
本発明は、上記を鑑み、耐短絡性に優れるとともに、落下による容量低下を回避できる、高容量設計が可能なリチウム二次電池を提供することを目的とする。
本発明は、底部と側壁と上部開口とを有する電池缶と、電極群と、非水電解質と、電極群および非水電解質を収容した電池缶の上部開口を覆う封口板とを含むリチウム二次電池に関する。電極群は、帯状の正極と帯状の負極とを、これらの間に介在する多孔質耐熱層とともに捲回してなり、正極は、正極芯材とこれに担持された正極活物質層とを含み、負極は、負極芯材とこれに担持された負極活物質層とを含む。この電池は、電極群の上下方向の移動を規制する規制部を有し、規制部から電池缶の内側底面までの距離Aと、負極の幅Bとは、0.965≦B/A≦0.995を満たす。
なお、電池缶の内側底面が僅かな凹凸を有する場合もあるが、凹部と凸部との高さの差は通常0.05mm以下であるので無視できる。また、負極の幅Bとは、帯状の負極の短手方向の長さを意味する。すなわち、負極の幅Bは、柱状の電極群における電極部分の最大高さに相当する。
本発明のリチウム二次電池は、多孔質耐熱層と正極との間、または、多孔質耐熱層と負極との間に、微多孔質フィルムからなるセパレータを有してもよい。
多孔質耐熱層は、例えば、正極活物質層および負極活物質層より選ばれる少なくとも一方の表面に設けられている。
多孔質耐熱層は、例えば、絶縁性フィラーおよび結着剤を含む。結着剤の量は、絶縁性フィラー100重量部あたり、1〜10重量部が好適である。多孔質耐熱層の空隙率は、40〜80%が好適である。
絶縁性フィラーには、無機酸化物を用いることが好ましい。無機酸化物は、アルミナ、シリカ、マグネシア、チタニアおよびジルコニアよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
電極群が略円柱状であり、電池缶が円筒型である場合、規制部は、電池缶の側壁上部に電池缶の内径が小さくなるように設けられた溝部であることが好ましい。なお、溝の深さによって距離Aが変化する場合には、溝の最深部(電池缶の内側に最も突出した部分)から電池缶の内側底面までの距離が距離Aとなる。
本発明のリチウム二次電池は、電極群と封口板との間に設けられた絶縁体を有してもよい。このとき、電極群が略楕円柱状であり、電池缶が角型である場合、規制部は、絶縁体の下面であることが好ましい。角型リチウム二次電池の場合、規制部から電池缶の内側底面までの距離Aと、負極の幅Bとは、0.975≦B/A≦0.995を満たすことが望ましい。
本発明によれば、耐短絡性および耐熱性に優れ、落下などの衝撃による容量低下が起こりにくく、かつ高容量なリチウム二次電池を提供することが可能となる。
本発明は、底部と側壁と上部開口とを有する電池缶と、電極群と、非水電解質と、電極群および非水電解質を収容した電池缶の上部開口を覆う封口板とを含むリチウム二次電池に関する。電極群は、帯状の正極と帯状の負極とを、これらの間に介在する多孔質耐熱層とともに捲回したものである。正極は、正極芯材とこれに担持された正極活物質層とを含み、負極は、負極芯材とこれに担持された負極活物質層とを含む。本発明の電池は、電極群の上下方向の移動を規制する規制部を有する。ここで、規制部から電池缶の内側底面までの距離Aと、負極の幅Bとは、0.965≦B/A≦0.995を満たす。
本発明者らは、鋭意検討の結果、多孔質耐熱層を有する電極群に関して、以下の2つの知見を得ている。
第1に、多孔質耐熱層を有する電極群は、充放電に伴う変形が、従来の多孔質耐熱層を有さない電極群に比べて小さくなる。これは、正極、負極およびセパレータに比べて、多孔質耐熱層の表面平滑性が低く、電極とセパレータの滑りもしくは位置ずれが起こりにくいためと考えられる。
第2に、電極群の適度な変形が起こらない場合、電池缶内に電極群がしっかりと固定されにくい。よって、電池を落下した際に、電極群内の電極の位置ずれが発生し、容量低下が起こることがある。
上記知見に基づき、本発明では、規制部から電池缶の内側底面までの距離Aに対する、負極の幅Bの比(B/A)を、従来に比べて大きく設定している。また、B/A比が0.965≦B/A≦0.995を満たす場合には、特に落下に対する電極群内の電極の位置ずれが顕著に抑制され、容量低下が起こりにくくなる。
B/A比が0.96を超えると、電極群の歪みが大きくなるため、通常は短絡が発生しやすくなる。また、リチウム二次電池の負極の幅は、通常、正極よりも大きく設定されている。よって、負極の変形が特に問題となる。しかし、本発明の場合、電極群が多孔質耐熱層を有するため、電極群の上面または下面付近において、負極の端部が僅かに変形しても、短絡は発生しにくい。よって、B/A比を0.965以上に設定することが可能である。本発明によれば、負極の幅を、規制部から電池缶の内側底面までの距離Aに近づけることにより、高容量化を達成しつつ、落下に対する耐性も向上させることができる。
B/A比が0.965未満の場合、単に高容量化が困難になるだけではなく、電池の落下時に、電極群内の電極の位置ずれによる容量低下が起こりやすくなる。一方、B/A比が0.995を超える場合、電極群の上面または下面付近において、負極が顕著に変形する。よって、多孔質耐熱層が破損され、内部短絡が起こりやすくなる。
0.965≦B/A≦0.995が満たされる限り、内部短絡が起こりにくく、高容量で、かつ落下に対する耐性に優れたリチウム二次電池を得ることができる。
本発明のリチウム二次電池は、微多孔質フィルムからなるセパレータを有してもよく、有さなくてもよい。セパレータは、多孔質耐熱層と正極との間に設けてもよく、多孔質耐熱層と負極との間に設けてもよい。セパレータは、構造的に脆い多孔質耐熱層を支持する役目を果たす。よって、落下に対する耐性を更に向上させる観点からは、電池がセパレータを有することが望ましい。
微多孔質フィルムの材質には、ポリオレフィンを用いることが好ましく、ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレンなどであることが好ましい。ポリエチレンとポリプロピレンの両方を含む微多孔質フィルムを用いることもできる。微多孔質フィルムの厚みは、多孔質耐熱層を支持する作用を確保し、かつ高容量設計を維持する観点から、8〜20μmが好ましい。
多孔質耐熱層は、正極活物質層の表面だけに設けてもよく、負極活物質層の表面だけに設けてもよく、正極活物質層の表面と負極活物質層の表面に設けてもよい。ただし、内部短絡を確実に回避する観点からは、正極活物質層よりも大面積に設計される負極活物質層の表面に設けることが望ましい。多孔質耐熱層は、芯材の片面にある活物質層だけに設けてもよく、芯材の両面にある活物質層に設けてもよい。また、多孔質耐熱層は、活物質層の表面に接着されていることが望ましい。
多孔質耐熱層は、独立したシート状であってもよい。ただし、シート状に形成された多孔質耐熱層は、機械的強度が余り高くないため、取り扱いが困難になる場合がある。また、多孔質耐熱層は、セパレータの表面に設けてもよい。ただし、セパレータは高温下で収縮するため、多孔質耐熱層の製造条件に細心の注意を払う必要がある。これらの懸念を払拭する観点からも、正極活物質層または負極活物質層の表面に多孔質耐熱層を設けることが望ましい。
多孔質耐熱層は、絶縁性フィラーおよび結着剤を含むことが好ましい。このような多孔質耐熱層は、絶縁性フィラーと少量の結着剤とを含む原料ペーストを、ドクターブレードやダイコートなどの方法で、電極活物質層またはセパレータの表面に塗布し、乾燥させることにより形成される。原料ペーストは、絶縁性フィラーと結着剤と液状成分とを、双椀式練合機などで混合することにより調製される。
また、高耐熱性樹脂の繊維を膜状に成形したものを多孔質耐熱層に用いることもできる。高耐熱性樹脂には、アラミド、ポリアミドイミドなどが好ましく用いられる。ただし、絶縁性フィラーおよび結着剤を含む多孔質耐熱層の方が、高耐熱性樹脂の繊維からなる膜よりも、結着剤の作用により構造的強度が高くなるので好ましい。
多孔質耐熱層の厚みは、0.5〜20μmが好ましく、1〜10μmが更に好ましい。多孔質耐熱層の厚みが0.5μm未満では、内部短絡を抑制する効果が低下する。また、厚みが20μmを超えると、正極と負極との間隔が過剰に広がるため、出力特性が低下することがある。
絶縁性フィラーには、高耐熱性樹脂の繊維もしくはビーズなどを用いることもできるが、無機酸化物を用いることが好ましい。無機酸化物は硬質であるため、充放電に伴って電極が膨張しても、正極と負極との間隔を適性範囲内に維持することができる。無機酸化物のなかでも、特にアルミナ、シリカ、マグネシア、チタニア、ジルコニアなどは、リチウム二次電池の使用環境下において電気化学的な安定性が高い点で好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
絶縁性フィラーおよび結着剤を含む多孔質耐熱層においては、その機械的強度を維持するとともにイオン伝導性を確保する観点から、結着剤の量が、絶縁性フィラー100重量部あたり、1〜10重量部が好ましく、2〜8重量部が更に好ましい。結着剤および増粘剤のほとんどは、非水電解質で膨潤する性質を有する。よって、結着剤の量が10重量部を超えると、結着剤の過度な膨潤により、多孔質耐熱層の空隙が塞がれ、イオン伝導性が低下し、電池反応が阻害される場合がある。一方、結着剤の量が1重量部未満では、多孔質耐熱層の機械的強度が低下する場合がある。
多孔質耐熱層に用いる結着剤は、特に限定されないが、ポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFと略記)、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと略記)、ポリアクリル酸系ゴム粒子(例えば日本ゼオン(株)製のBM−500B(商品名))などが好ましい。ここで、PTFEやBM−500Bは、増粘剤と組み合わせて用いることが好ましい。増粘剤は、特に限定されないが、カルボキシメチルセルロース(以下、CMCと略記)、ポリエチレンオキシド(以下、PEOと略記)、変性アクリロニトリルゴム(例えば日本ゼオン(株)製のBM−720H(商品名))などが好ましい。
絶縁性フィラーおよび結着剤を含む多孔質耐熱層の空隙率は、その機械的強度を維持するとともに落下に対する耐性を向上させる観点から、40〜80%が好適であり、45〜65%が更に好適である。多孔質耐熱層は、正極、負極およびセパレータに比べて表面平滑性が低いため、電極とセパレータの滑り(位置ずれ)が過度に抑制されている。そのため、電極群の位置ずれが生じやすい。一方、多孔質耐熱層の空隙率を40〜80%に制御し、多孔質耐熱層に適量の非水電解質を含ませることにより、電極群が適度に膨張する。よって、電極群が電池缶の内側面を押圧するようになる。この空隙率を40〜80%にすることによる効果と、B/A比の適正化による効果とが相乗的に奏されることにより、落下に対する耐性が一層高められる。空隙率が40%未満では、非水電解質が多孔質耐熱層中に十分に浸透しないため、電極群を適度に膨張させることができない。一方、空隙率が80%を超えると、多孔質耐熱層の機械的強度が低下する。
なお、多孔質耐熱層の空隙率は、絶縁性フィラーのメディアン径を変えたり、結着剤の量を変えたり、原料ペーストの乾燥条件を変えたりすることによって制御できる。例えば、乾燥温度を高くするか、乾燥に用いる熱風の風量を大きくすれば、空隙率は相対的に高くなる。空隙率は、多孔質耐熱層の厚さ、絶縁性フィラーおよび結着剤の量、絶縁性フィラーおよび結着剤の真比重などから計算により求めることができる。多孔質耐熱層の厚さは、極板断面のSEM写真を数箇所(例えば10箇所)撮影し、それらの厚みの平均値から求めることができる。また、水銀ポロシメータにより空隙率を求めることもできる。
円筒型リチウム二次電池は、略円形の断面を有する柱状(円柱状)の電極群を有する。また、円筒型リチウム二次電池は、図1に示すような円筒型の電池缶100を有する。円筒型の電池缶の一方の底面は、開口しており、他方の底面は平坦な底部110により閉じられている。一般的な円筒型リチウム二次電池の場合、電池缶の開口端部が封口板120の周縁部にかしめられ、上部開口が封口されている。この場合、電極群の上下方向の移動を規制する規制部は、電池缶100の側壁上部に電池缶100の内径が小さくなるように設けられた溝部130となる。このような溝部130は、封口板120を固定する役割も果たす。
角型リチウム二次電池は、略楕円形の断面を有する柱状(略楕円柱状)の電極群を有する。また、角型リチウム二次電池は、図2に示すような角型(略直方体)の電池缶200を有する。角型の電池缶の一方の底面は、開口しており、他方の底面は平坦な底部210により閉じられている。一般的な角型リチウム二次電池の場合、電池缶の上部開口は、開口端部と金属製の封口板220とを溶接することにより封口されている。また、封口板220と電極群との間には、電極リードと電池缶200との接触を防止するための絶縁体(上部絶縁体)230が設けられている。絶縁体230には穴が設けられており、そこを電極リードが通っているため、絶縁体はほとんど移動しない。よって、電極群の上下方向の移動を規制する規制部は、絶縁体230の下面となる。
なお、絶縁体の厚みは、その機能を確保するとともにデッドスペースを削減する観点から、電池缶の高さの2〜10%の範囲とすることが好ましい。
円筒型リチウム二次電池の場合、規制部となる溝部の縦断面は、工法状の制限により、V字状もしくはU字状となる。よって、規制部の溝の深さによって、距離Aは変化する。この場合、溝の最深部から電池缶の内側底面までの距離が距離Aとなる。この場合、B/A比が0.965以上であれば、落下に対する十分な耐性を得ることができる。ただし、円筒型リチウム二次電池の場合、0.970≦B/A≦0.990であることが、特に高容量と落下に対する耐性とのバランスの点で好ましい。
一方、角型リチウム二次電池の場合、規制部となる絶縁体の下面は平滑である。よって、落下に対する顕著な耐性を得るためには、B/A比を0.975以上とすることが望ましい。また、角型リチウム二次電池の場合、0.975≦B/A≦0.990であることが、特に高容量と落下に対する耐性とのバランスの点で好ましい。
正極は、正極芯材とその両面に担持された正極活物質層とを含む。正極芯材は捲回に適した帯状であり、Al、Al合金などからなる。正極活物質層は、正極活物質を必須成分として含み、導電剤、結着剤などを任意成分として含むことができる。これらの材料は、特に限定されない。ただし、正極活物質には、リチウム含有遷移金属酸化物が好ましく用いられる。リチウム含有遷移金属酸化物のなかでも、コバルト酸リチウムおよびその変性体、ニッケル酸リチウムおよびその変性体、マンガン酸リチウムおよびその変性体などが好ましい。
負極は、負極芯材とその両面に担持された負極活物質層を含む。負極芯材は捲回に適した帯状であり、Cu、Cu合金などからなる。負極の幅Bは、負極芯材の幅と同義である。負極活物質層は、負極活物質を必須成分として含み、導電剤、結着剤などを任意成分として含むことができる。これらの材料は、特に限定されない。ただし、負極活物質には、各種天然黒鉛、各種人造黒鉛、シリサイドなどのシリコン含有複合材料、リチウム金属、各種合金材料などが好ましく用いられる。
正極または負極の結着剤には、例えばPTFE、PVDF、スチレンブタジエンゴムなどを用いることができる。導電剤には、例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、各種グラファイトなどを用いることができる。
非水電解質は、リチウム塩を非水溶媒に溶解したものが好ましい。リチウム塩は、特に限定されないが、LiPF6、LiBF4などが好ましい。リチウム塩は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。非水溶媒も特に限定されないが、例えばエチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)などが好ましく用いられる。非水溶媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
電池缶の材質は、リチウム二次電池の作動電圧範囲において電気化学的に安定でなければならない。例えば、鉄やアルミニウムを用いることが好ましい。また、電池缶には、ニッケルやスズによるめっきが施されていてもよい。
図1は、本発明の円筒型リチウム二次電池の一例の断面模式図である。
円柱状の電極群は、正極101と負極102とを、これらの間に介在するセパレータ103と多孔質耐熱層(図示せず)とともに捲回することにより構成されている。セパレータ103は、多孔質耐熱層と正極101との間に介在している。ただし、多孔質耐熱層が十分な厚さを有する場合には、セパレータ103は必須ではない。電極群は、円筒型の電池缶100に挿入されている。電池缶100の側壁上部には、他の部位よりも内径が小さくなるように溝部130が設けられている。溝部130は、電極群を電池缶100に収容した後に形成される。溝部130の縦断面はU字状である。その後、電池缶100に非水電解質が注入される。溝部130の上に封口板120を配置し、封口板120の周縁部に電池缶100の開口端部をかしめることにより、電池缶100の開口部が封口される。
電極群の上下には、それぞれ厚みを無視できる上部絶縁板106および下部絶縁板107が配されている。正極101の芯材には、正極リード104の一端が接続されており、他端は封口板120の下面の内部端子108aに接続されている。内部端子108aは外部正極端子108と導通している。負極102の芯材には、負極リード(図示せず)の一端が接続されており、他端は電池缶100の内側底面に接続されている。
図2は、本発明の角型リチウム二次電池の一例の断面模式図である。
略楕円柱状の電極群201は、正極と負極とを、これらの間に介在するセパレータと多孔質耐熱層とともに捲回することにより構成されている。電極群201は、略直方体(角型)の電池缶200に挿入されている。電極群201を電池缶200に収容した後、電池缶200もしくは正極リード202と、負極リード203との短絡を防ぐための絶縁体230が電極群201の上面に配置される。絶縁体230は、電池缶200の開口付近に固定されている。
封口板220には、絶縁ガスケット206で囲まれた負極端子207が設置されている。負極リード203は、負極端子207と接続される。一方、正極リード202は、封口板220の下面と接続される。
非水電解質は、封口板220の注液孔から電池缶200に注入される。その後、注液孔は封栓209で溶接により塞がれる。電池缶200の開口に封口板220を配置し、開口端部と封口板220とをレーザ溶接することにより、電池缶200の上部開口が封口される。
次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
本実施例では、図1に示すような円筒型リチウム二次電池について説明する。
《電池1》
(i)正極の作製
コバルト酸リチウム3kgと、呉羽化学(株)製のPVDF#1320(PVDFを12重量%含むN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記)溶液)1kgと、アセチレンブラック90gと、適量のNMPとを、双腕式練合機で攪拌し、正極合剤ペーストを調製した。このペーストを厚さ15μmのアルミニウム箔からなる正極芯材の両面に塗布し、乾燥し、圧延して、正極活物質層を形成し、総厚が160μmの正極を得た。正極は56.5mm幅の帯状に裁断した。
(ii)負極の作製
人造黒鉛3kgと、日本ゼオン(株)製のBM−400B(変性スチレンブタジエンゴムを40重量%含む水性分散液)75gと、CMC30gと、適量の水とを、双腕式練合機で攪拌し、負極合剤ペーストを調製した。このペーストを厚さ10μmの銅箔からなる負極芯材の両面に塗布し、乾燥し、圧延して、負極活物質層を形成し、総厚が180μmの負極を得た。負極は57.5mm幅の帯状に裁断した。
(iii)多孔質耐熱層の形成
メディアン径0.3μmのアルミナ(絶縁性フィラー)970gと、日本ゼオン(株)製のBM−720H(変性ポリアクリロニトリルゴム(結着剤)を8重量%含むNMP溶液)375gと、適量のNMPとを、双腕式練合機で攪拌し、原料ペーストを調製した。この原料ペーストを、負極活物質層の表面に塗布し、130℃の熱風を1.5m/分の風速で4分間当てて乾燥し、厚さ5μmの多孔質耐熱層を形成した。多孔質耐熱層の空隙率は50%であった。空隙率は、断面SEM撮影により求めた多孔質耐熱層の厚みと、蛍光X線分析によって求めた一定面積の多孔質耐熱層中に存在するアルミナ量と、アルミナおよび結着剤の真比重と、アルミナと結着剤との重量比から計算により求めた。
(iv)非水電解質の調製
エチレンカーボネート(EC)と、ジメチルカーボネート(DMC)と、エチルメチルカーボネート(EMC)との体積比1:1:1の混合溶媒に、1モル/リットルの濃度でLiPF6を溶解させ、さらに全体の3重量%相当のビニレンカーボネートを添加して、非水電解質を得た。
(v)電池の組み立て
正極と、両面に多孔質耐熱層が設けられた負極とを、これらの間に厚さ10μmのポリエチレン製の微多孔質フィルムからなるセパレータ(セルガード(株)製、幅60.7mm)を介在させて捲回し、円柱状の電極群を構成した。
続いて、ニッケルめっきを施した鉄製の円筒型の電池缶(内径18mm)に、電極群を挿入した。なお、電極群の上下には絶縁板がもうけられているが、これらは極めて薄いため、その厚さは無視できる。その後、電池缶の側壁上部に、電池缶の内径が小さくなるように溝部を形成した。溝部の縦断面はU字状であり、溝部の深さは1.5mmとした。電池缶の内側底面から溝の最深部までの距離Aは60.5mmとした。
次に、電極群の中心の空洞部に、非水電解質を5.5g注入し、電極群に非水電解質を含浸させた。その後、電池缶の溝部上に封口板を配置し、電池缶の開口端部を封口板の周縁部にかしめた。その結果、内径18mm、高さ65.0mm、設計容量2200mAhの円筒型リチウム二次電池が完成した。距離A(60.5mm)に対する負極の幅B(57.5mm)の比:B/Aは、0.950であった。
《電池2〜5》
負極の幅Bを、58.5mm、59.2mm、60.2mmまたは61.2mmとし、正極の幅をそれぞれ57.5mm、58.2mm、59.2mmまたは60.2mmとし、設計容量をそれぞれ2239mAh、2266mAh、2305mAhまたは2244mAhとしたこと以外、電池1と同様の円筒型リチウム二次電池2〜5を作製した。各電池におけるB/A比は、それぞれ0.967(電池2)、0.979(電池3)、0.995(電池4)または1.012(電池5)であった。
《電池6》
多孔質耐熱層を負極活物質層の代わりに正極活物質層の表面に形成したこと以外、電池3と同様の円筒型リチウム二次電池を作製した。
《電池7》
多孔質耐熱層を負極活物質層の代わりに正極活物質層の表面に形成したこと以外、電池4と同様の円筒型リチウム二次電池を作製した。
《電池8》
多孔質耐熱層の厚みを15μmとし、セパレータを用いずに電極群を作製したこと以外、電池3と同様の円筒型リチウム二次電池を作製した。
《電池9》
多孔質耐熱層のアルミナを同じメディアン径を有するマグネシアに変更したこと以外、電池3と同様の円筒型リチウム二次電池を作製した。
《電池10》
多孔質耐熱層のアルミナを同じメディアン径を有するシリカに変更したこと以外、電池3と同様の円筒型リチウム二次電池を作製した。
《電池11》
多孔質耐熱層のアルミナを同じメディアン径を有するチタニアに変更したこと以外、電池3と同様の円筒型リチウム二次電池を作製した。
《電池12》
多孔質耐熱層のアルミナを同じメディアン径を有するジルコニアに変更したこと以外、電池3と同様の円筒型リチウム二次電池を作製した。
《電池13》
以下の要領で多孔質耐熱層を形成した。
1kgのNMPに対し、乾燥した無水塩化カルシウムを65g添加し、反応槽内で80℃に加温して完全に溶解させた。得られた塩化カルシウムのNMP溶液を常温に戻した後、パラフェニレンジアミンを32g添加し、完全に溶解させた。この後、反応槽を20℃の恒温室に入れ、テレフタル酸ジクロライド58gを、1時間をかけてNMP溶液に滴下した。その後、NMP溶液を20℃の恒温室内で1時間放置し、重合反応を進行させることにより、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(以下、PPTAと略記)を合成した。
反応終了後、NMP溶液(重合液)を、恒温室から真空室に入れ替え、減圧下で30分間撹拌して脱気した。得られた重合液を、さらに塩化カルシウムのNMP溶液で希釈し、 PPTA濃度が1.4重量%であるアラミド樹脂のNMP溶液を調製した。
得られたアラミド樹脂のNMP溶液を、セパレータの片面に、ドクターブレードにより塗布し、80℃の熱風(風速0.5m/秒)で乾燥した。その後、アラミド樹脂の膜を、純水で十分に水洗し、塩化カルシウムを除去すると同時に膜に微孔を形成し、乾燥させた。こうしてセパレータの片面に、厚み5μmの多孔質耐熱層を形成した。多孔質耐熱層の空隙率は48%であった。電極群は、多孔質耐熱層と正極とが接するように構成した。負極活物質層には多孔質耐熱層は設けなかった。上記の他は電池3と同様にして円筒型リチウム二次電池を作製した。
《電池14》
以下の要領で多孔質耐熱層を形成した。
無水トリメリット酸モノクロライド21gと、ジアミノジフェニルエーテル20gとを、NMP1kgに添加し、室温で混合し、ポリアミド酸のNMP溶液(ポリアミド酸濃度3.9重量%)を調製した。得られたポリアミド酸のNMP溶液を、セパレータの片面に、ドクターブレードにより塗布した。その後、塗膜を80℃の熱風(風速0.5m/秒)で乾燥させると同時に、ポリアミド酸を脱水閉環させて、ポリアミドイミドを生成させた。こうしてセパレータの片面に、厚み5μmの多孔質耐熱層を形成した。多孔質耐熱層の空隙率は47%であった。電極群は、多孔質耐熱層と正極とが接するように構成した。負極活物質層には多孔質耐熱層は設けなかった。上記の他は電池3と同様にして円筒型リチウム二次電池を作製した。
《電池15》
電池13の場合と同様に調製したアラミド樹脂のNMP溶液を、平滑なステンレス鋼(SUS)板上に、ドクターブレードを用いて塗布し、塗膜を120℃で、真空減圧下で、10時間乾燥させた。その後、塗膜をSUS板から剥がし、厚さ15μmの独立したシート状の多孔質耐熱層を得た。得られた多孔質耐熱層の空隙率は51%であった。正極と負極とを、これらの間にシート状の多孔質耐熱層を介在させて、セパレータを介さずに捲回して電極群を構成した。負極活物質層には多孔質耐熱層は設けなかった。上記の他は電池3と同様にして円筒型リチウム二次電池を作製した。
《電池16》
電池14の場合と同様に調製したポリアミド酸のNMP溶液を、平滑なステンレス鋼(SUS)板上に、ドクターブレードを用いて塗布し、塗膜を80℃の熱風(風速0.5m/秒)で乾燥させると同時に、ポリアミド酸を脱水閉環させた。その後、塗膜をSUS板から剥がし、厚さ15μmの独立したシート状の多孔質耐熱層を得た。得られた多孔質耐熱層の空隙率は52%であった。正極と負極とを、これらの間にシート状の多孔質耐熱層を介在させて、セパレータを介さずに捲回して電極群を構成した。負極活物質層には多孔質耐熱層は設けなかった。上記の他は電池3と同様にして円筒型リチウム二次電池を作製した。
《電池17》
以下の要領で多孔質耐熱層を形成した。
メディアン径0.3μmのアルミナ995gと、日本ゼオン(株)製のBM−720Hを62.5gと、適量のNMPとを、双腕式練合機で攪拌し、原料ペーストを調製した。この原料ペーストを、負極活物質層の表面に塗布し、130℃の熱風を1.5m/分の風速で4分間当てて乾燥し、厚さ5μmの多孔質耐熱層を形成した。多孔質耐熱層の空隙率は61%であった。その他は電池3と同様にして円筒型リチウム二次電池を作製した。
《電池18》
以下の要領で多孔質耐熱層を形成した。
メディアン径0.3μmのアルミナ990gと、日本ゼオン(株)製のBM−720Hを125gと、適量のNMPとを、双腕式練合機で攪拌し、原料ペーストを調製した。この原料ペーストを、負極活物質層の表面に塗布し、130℃の熱風を1.5m/分の風速で4分間当てて乾燥し、厚さ5μmの多孔質耐熱層を形成した。多孔質耐熱層の空隙率は57%であった。その他は電池3と同様にして円筒型リチウム二次電池を作製した。
《電池19》
以下の要領で多孔質耐熱層を形成した。
メディアン径0.3μmのアルミナ900gと、日本ゼオン(株)製のBM−720Hを1250gと、適量のNMPとを、双腕式練合機で攪拌し、原料ペーストを調製した。この原料ペーストを、負極活物質層の表面に塗布し、130℃の熱風を1.5m/分の風速で4分間当てて乾燥し、厚さ5μmの多孔質耐熱層を形成した。多孔質耐熱層の空隙率は42%であった。その他は電池3と同様にして円筒型リチウム二次電池を作製した。
《電池20》
以下の要領で多孔質耐熱層を形成した。
メディアン径0.3μmのアルミナ800gと、日本ゼオン(株)製のBM−720Hを2500gと、適量のNMPとを、双腕式練合機で攪拌し、原料ペーストを調製した。この原料ペーストを負極活物質層の表面に塗布し、130℃の熱風を1.5m/分の風速で4分間当てて乾燥し、厚さ5μmの多孔質耐熱層を形成した。多孔質耐熱層の空隙率は35%であった。その他は電池3と同様にして円筒型リチウム二次電池を作製した。
《電池21〜25》
多孔質耐熱層の原料ペーストの塗布後、乾燥の際の熱風の風速を、それぞれ0.5m/分、1m/分、2m/分、5m/分または8m/分としたこと以外、電池3と同様にして円筒型リチウム二次電池21〜25を作製した。各電池における多孔質耐熱層の空隙率は、それぞれ30%(電池21)、42%(電池22)、60%(電池23)、78%(電池24)または89%(電池25)であった。
《電池26》
セパレータの厚さを15μmとし、多孔質耐熱層を設けなかったこと以外、電池1と同様の円筒型リチウム二次電池を作製した。
《電池27》
セパレータの厚さを15μmとし、多孔質耐熱層を設けなかったこと以外、電池2と同様の円筒型リチウム二次電池を作製した。
《電池28》
セパレータの厚さを15μmとし、多孔質耐熱層を設けなかったこと以外、電池3と同様の円筒型リチウム二次電池を作製した。
《電池29》
セパレータの厚さを15μmとし、多孔質耐熱層を設けなかったこと以外、電池4と同様の円筒型リチウム二次電池を作製した。
《電池30》
セパレータの厚みを15μmとし、多孔質耐熱層を設けなかったこと以外、電池5と同様の円筒型リチウム二次電池を作製した。
各電池に対し、慣らし充放電を2度行った後、45℃環境下で7日間保存した。その後、以下の評価を行った。多孔質耐熱層の特徴、電池設計および評価結果を、それぞれ表1、2および3に示す。
(内部短絡検査)
各電池を100個ずつ作製し、20℃環境下で、以下の条件で充電を行い、開回路電圧を測定した。その後、電池を45℃環境下に10日間放置し、再び開回路電圧を測定した。45℃環境下に放置する前後の開回路電圧差が0.3V以上であった電池は、内部短絡電池と見なした。内部短絡電池の発生率を表3に記す。
定電流充電:充電電流値1500mA/充電終止電圧4.2V
定電圧充電:充電電圧値4.2V/充電終止電流100mA
(落下試験)
内部短絡検査を合格した電池に対し、20℃環境下で、以下の条件で充放電を行い、放電容量を求めた。
定電流充電:充電電流値1500mA/充電終止電圧4.2V
定電圧充電:充電電圧値4.2V/充電終止電流100mA
定電流放電:放電電流値2200mA/放電終止電圧3V
その後、20℃環境下において、この電池を16cmの高さから30回落下させ、その後、上述の条件で充放電を行い、放電容量を求めた。落下試験後の放電容量の、落下試験前の放電容量に対する割合を百分率で求めた。得られた値を「耐落下性」として表3に記す。
(落下試験後の内部短絡検査)
落下試験後の電池に対し、落下試験前と同様の内部短絡検査を行った。その結果を「落下後の内部短絡の発生率」として表3に記す。
(高出力特性)
各電池に対して、20℃環境下で、以下の条件で充放電を行い、放電容量を求めた。
定電流充電:充電電流値1500mA/充電終止電圧4.2V
定電圧充電:充電電圧値4.2V/充電終止電流100mA
定電流放電:放電電流値440mA/放電終止電圧3V
定電流充電:充電電流値1500mA/充電終止電圧4.2V
定電圧充電:充電電圧値4.2V/充電終止電流100mA
定電流放電:放電電流値4400mA/放電終止電圧3V
4400mA放電時の容量の、440mA放電時の容量に対する割合を百分率で求めた。得られた値を「高出力特性」として表3に記す。
(釘刺し試験)
各電池に対して、充電電流値2200mAで、終止電圧4.35Vまで充電を行った。20℃環境下において、充電状態の電池の側面に、直径2.7mmの鉄釘を5mm/秒の速度で突き刺し、電池温度を電池の側面に付した熱電対で測定した。90秒後の到達温度を表3に記す。
Figure 2007042580
Figure 2007042580
Figure 2007042580
規制部である溝部から電池缶の内側底面までの距離Aに対して、負極の幅Bが小さすぎる電池1は、容量密度が小さい上に、耐落下性が低かった。落下試験後の電池1を分解したところ、電極群内の電極の巻きずれが発生していることがわかった。
電池1は、多孔質耐熱層の作用により、内部短絡は免れたものの、正極と負極とが対峙する有効面積が減少したことにより、容量低下が起こったことがわかる。多孔質耐熱層を設けることによって変形しにくくなった電極群は、電池缶の内部でしっかりと固定されにくいため、落下を繰り返すと、電極群内の電極の巻きずれが生じると考えられる。
一方、溝部から電池缶の内側底面までの距離Aに対して、負極の幅Bが大きすぎる電池5は、耐短絡性が低い。内部短絡と見なされた電池5を分解したところ、電極群の上部において、負極の表面に設けられた多孔質耐熱層が破壊していた。また、セパレータも破れていることがわかった。
B/A比が0.965〜0.995である電池2〜4は、耐短絡性が高い上に、耐落下性も向上した。本発明の電池には、セパレータの他に多孔質耐熱層が設けられている。よって、正極より大きく設けられた負極が電極群の上部で僅かに変形しても、セパレータと多孔質耐熱層との二重構造によって、変形部位の絶縁性が確保される。また、B/A比が大きいことから、溝部と電池缶の内側底面とで電極群をしっかりと狭持できたため、耐落下性が向上したと考えられる。
多孔質耐熱層を設けなかった電池26〜30は、規制部の位置によらず、耐落下性は優れていた。多孔質耐熱層を有さない電極群は、適度に変形するため、電池缶内にしっかりと固定されたと考えられる。これにより、電池を落下させても、容量低下を起こす電極群の巻きずれが抑制されたと考えられる。しかし、電池26〜30は、釘刺し試験時の過熱が著しかった。また、電池2〜4と同様の位置に規制部を設けた電池27〜29は、耐短絡性が低下した。電池27〜29では、負極の僅かな変形が起こっていると考えられる。しかし、多孔質耐熱層が存在しないため、負極の変形によってセパレータが破損した際に、内部短絡を防げなかったものと考えられる。
多孔質耐熱層を正極活物質の表面に形成した電池6および7のうち、負極の幅を長くした電池7は、耐短絡性が幾分低かった。これは、多孔質耐熱層を負極活物質層よりも幅の狭い正極活物質層の表面に設けたため、電極群の上部において、負極の表面と正極の上端とが接触したと考えられる。
セパレータを用いなかった電池8は、落下後の耐短絡性が幾分低かった。多孔質耐熱層は、セパレータに比べて構造的に脆弱である。よって、落下の衝撃により、多孔質耐熱層が部分的に破壊され、短絡が発生したものと考えられる。
耐熱性樹脂からなる多孔質耐熱層をセパレータの表面に設けた電池13および14は、落下後の耐短絡性が幾分低かった。耐熱性樹脂からなる多孔質耐熱層は、絶縁性フィラーと結着剤とを含む多孔質耐熱層と比較して機械的強度が低い。よって、落下の衝撃によって、短絡が発生したものと考えられる。
独立したシート状の多孔質耐熱層を用い、セパレータを用いなかった電池15および16は、電池13および14よりも、さらに落下後の耐短絡性が低かった。このことは、耐熱性樹脂からなる多孔質耐熱層の強度の低さや、セパレータによる多孔質耐熱層の強度向上の効果がないことと関連している。
多孔質耐熱層に含まれる結着剤の含有量を0.5重量%とした電池17は、落下後の耐短絡性が幾分低かった。これは、結着剤の含有量の低さにより、フィラー粒子相互の密着力が弱まり、多孔質耐熱層の機械的強度が低下したためと考えられる。
一方、結着剤の含有量を20重量%とした電池20は、高出力特性が低かった。これは、過剰の結着剤により、多孔質耐熱層の空隙率が低くなった上に、非水電解質により過剰の結着剤が膨潤し、多孔質耐熱層の空隙が塞がれ、イオン伝導性が低下したためと考えられる。一方、結着剤の含有量が1〜10重量%である電池18〜19は、耐短絡性と高出力特性が、いずれも良好であった。
乾燥条件を制御することにより、多孔質耐熱層の空隙率を30%とした電池21は、耐落下性が幾分低かった。これは、多孔質耐熱層の空隙が少ないため、多孔質耐熱層に非水電解質を十分に浸透させることができず、電極群の膨張が小さかったためである。よって、落下に伴う電極群の移動を防ぐことができなかったと考えられる。多孔質耐熱層の空隙率を89%とした電池25は、落下後の耐短絡性が幾分低かった。これは、多孔質耐熱層の機械的強度が低いためと考えられる。
一方、多孔質耐熱層の空隙率を40〜80%とした電池22〜24は、耐落下性、落下後の耐短絡性が、いずれも良好であった。空隙率が適正化されたため、多孔質耐熱層の機械的強度が維持されたと考えられる。さらに、多孔質耐熱層が適度に非水電解質で膨張したため、電極群の移動が防がれたものと考えられる。
本実施例では、図2に示すような角型リチウム二次電池について説明する。
《電池31》
正極の総厚を150μm、正極の幅を42.7mmに変更し、負極の総厚を150μm、負極の幅を43.7mmに変更し、セパレータの幅を47mmに変更し、形状を楕円柱状にしたこと以外、実施例1と同様に、電極群を作製した。
得られた電極群を、高さ49mm(底部の肉厚0.5mm)、幅34mm、厚み5.2mmのアルミニウム製の角型の電池缶の中に挿入した。電極群の上に厚さ1.5mmの絶縁体を配置した後、電池缶内に実施例1と同様の非水電解質を2.5g注入した。電池缶の内側底面から絶縁体の下面までの距離Aは46.0mmであった。なお、電極群の下部は、絶縁シートによって電池缶から絶縁されている。絶縁シートは極めて薄いため、その厚さは無視できる。
その後、厚さ1.0mmで長方形の封口板を、電池缶の開口に載置し、開口端部と封口板の周縁部とをレーザ溶接した。その結果、高さ50mm、幅34mm、厚み5.2mm、設計容量950mAhの角型リチウム二次電池が完成した。距離A(46.0mm)に対する負極の幅B(43.7mm)の比:B/Aは、0.95であった。
《電池32〜35》
負極の幅Bを、44.6mm、45mm、45.7mmまたは46.5mmとし、正極の幅をそれぞれ43.6mm、44mm、44.7mmまたは45.5mmとし、設計容量をそれぞれ970mAh、979mAh、994mAhまたは1012mAhとしたこと以外、電池31と同様の角型リチウム二次電池32〜35を作製した。各電池におけるB/A比は、それぞれ0.970(電池32)、0.978(電池33)、0.993(電池34)または1.011(電池35)であった。
《電池36および37》
多孔質耐熱層を正極活物質層の表面に形成したこと以外、電池33および34と同様の角型リチウム二次電池36および37をそれぞれ作製した。
《電池38》
多孔質耐熱層の厚みを15μmとし、セパレータを用いずに電極群を作製したこと以外、電池33と同様の角型リチウム二次電池を作製した。
《電池39〜42》
多孔質耐熱層のアルミナを、同じメディアン径を有するマグネシア、シリカ、チタニアまたはジルコニアに変更したこと以外、電池33と同様の角型リチウム二次電池39〜42をそれぞれ作製した。
《電池43〜50》
実施例1の電池13〜20と同様の多孔質耐熱層を用いたこと以外、実施例33と同様の角型リチウム二次電池43〜50をそれぞれ作製した。
《電池51〜55》
多孔質耐熱層の原料ペーストの塗布後、乾燥の際の熱風の風速を、それぞれ0.5m/分、1m/分、2m/分、5m/分または8m/分としたこと以外、電池33と同様にして角型リチウム二次電池51〜55を作製した。各電池における多孔質耐熱層の空隙率は、それぞれ30%(電池51)、42%(電池52)、60%(電池53)、78%(電池54)または89%(電池55)であった。
《電池56〜60》
セパレータの厚さを15μmとし、多孔質耐熱層を設けなかったこと以外、電池31〜35と同様の角型リチウム二次電池56〜60をそれぞれ作製した。
各電池に対し、慣らし充放電を2度行った後、45℃環境下で7日間保存した。その後、以下の評価を行った。多孔質耐熱層の特徴、電池設計および評価結果を、それぞれ表4、5および6に示す。
(内部短絡検査)
以下の条件で充電を行ったこと以外、実施例1の場合と同様に、耐短絡性を評価した。結果を表6に示す。
定電流充電:充電電流値665mA/充電終止電圧4.2V
定電圧充電:充電電圧値4.2V/充電終止電流100mA
(落下試験)
以下の条件で充放電を行ったこと以外、実施例1の場合と同様に、「耐落下性」を評価した。結果を表6に示す。
定電流充電:充電電流値665mA/充電終止電圧4.2V
定電圧充電:充電電圧値4.2V/充電終止電流100mA
定電流放電:放電電流値950mA/放電終止電圧3V
(落下試験後の内部短絡検査)
落下試験後の電池に対し、落下試験前と同様の内部短絡検査を行った。その結果を「落下後の短絡発生率」として表6に示す。
(高出力特性)
各電池に対して、20℃環境下で、以下の条件で充放電を行い、放電容量を求めた。
定電流充電:充電電流値665mA/充電終止電圧4.2V
定電圧充電:充電電圧値4.2V/充電終止電流100mA
定電流放電:放電電流値190mA/放電終止電圧3V
定電流充電:充電電流値665mA/充電終止電圧4.2V
定電圧充電:充電電圧値4.2V/充電終止電流100mA
定電流放電:放電電流値1900mA/放電終止電圧3V
1900mA放電時の容量の、190mA放電時の容量に対する割合を百分率で求めた。得られた値を「高出力特性」として表6に示す。
(釘刺し試験)
各電池に対して、充電電流値950mAで、終止電圧4.35Vまで充電を行ったこと以外、実施例1の場合と同様に、釘刺し後、90秒後の到達温度を評価した。結果を表6に示す。
Figure 2007042580
Figure 2007042580
Figure 2007042580
規制部である絶縁体の下面から電池缶の内側底面までの距離Aに対して、負極の幅Bが小さすぎる電池31は、容量密度が小さい上に、耐落下性が低かった。落下試験後の電池31を分解したところ、電極群内の電極の巻きずれが発生していることがわかった。
電池31は、多孔質耐熱層の作用により、内部短絡は免れたものの、正極と負極とが対峙する有効面積が減少したことにより、容量低下が起こったことがわかる。多孔質耐熱層を設けることによって変形しにくくなった電極群は、電池缶の内部でしっかりと固定されにくいため、落下を繰り返すと、電極群の巻きずれが生じると考えられる。
一方、絶縁体の下面から電池缶の内側底面までの距離Aに対して、負極の幅Bが大きすぎる電池35は、耐短絡性が低い。内部短絡と見なされた電池35を分解したところ、電極群の上部において、負極の表面に設けられた多孔質耐熱層が破壊していた。また、セパレータも破れていることがわかった。
B/A比が0.975〜0.995である電池33〜34は、耐短絡性が高い上に、耐落下性も向上した。本発明の電池には、セパレータの他に多孔質耐熱層が設けられている。よって、正極より大きく設けられた負極が電極群の上部で僅かに変形しても、セパレータと多孔質耐熱層との二重構造によって、変形部位の絶縁性が確保される。また、B/A比が大きいことから、絶縁体の下面と電池缶の内側底面とで電極群をしっかりと狭持できたため、耐落下性が向上したと考えられる。
しかし、B/A比が0.965〜0.975である電池32は、B/A比が同範囲である円筒型の電池2(実施例1)と比較して、耐落下性がやや低かった。円筒型電池の場合、規制部である溝部は緩やかなV字もしくはU字状の断面を有する。よって、電極群の上端部は、溝部の傾斜から圧力を受けている。これに対し、角型電池の場合、規制部である絶縁体の下面は平面であるため、溝部のような傾斜が存在しない。このことが、より有効なB/A比の範囲に、差を生じさせたと考えられる。
多孔質耐熱層を設けなかった電池56〜60は、規制部の位置によらず、耐落下性は優れていた。多孔質耐熱層を有さない電極群は、適度に変形するため、電池缶内でしっかりと固定されたと考えられる。これにより、電池を落下させても、容量低下を起こす電極群の巻きずれが抑制されたと考えられる。しかし、電池56〜60は、釘刺し試験時の過熱が著しかった。また、電池32〜34と同様の位置に規制部を設けた電池57〜59は、耐短絡性が低下した。電池57〜59では、負極の僅かな変形が起こっていると考えられる。しかし、多孔質耐熱層が存在しないため、負極の変形によってセパレータが破損した際に、内部短絡を防げなかったものと考えられる。
多孔質耐熱層を正極活物質層の表面に形成した電池36および37のうち、負極の幅を長くした電池37は、耐短絡性が幾分低かった。これは、多孔質耐熱層を負極活物質層よりも幅の狭い正極活物質層の表面に設けたため、電極群の上部において、負極の表面と正極の上端とが接触したためと考えられる。
セパレータを用いなかった電池38は、落下後の耐短絡性が幾分低かった。多孔質耐熱層は、セパレータに比べて構造的に脆弱である。よって、落下の衝撃により、多孔質耐熱層が部分的に破壊され、短絡が発生したものと考えられる。
耐熱性樹脂からなる多孔質耐熱層をセパレータの表面に設けた電池43および44は、落下後の耐短絡性が幾分低かった。耐熱性樹脂からなる多孔質耐熱層は、絶縁性フィラーと結着剤とを含む多孔質耐熱層と比較して機械的強度が低い。よって、落下の衝撃によって、短絡が発生したものと考えられる。
独立したシートの多孔質耐熱層を用い、セパレータを用いなかった電池45および46は、電池43および44よりも、さらに落下後の耐短絡性が低かった。このことは、耐熱性樹脂からなる多孔質耐熱層の強度の低さや、セパレータによる多孔質耐熱層の強度向上の効果がないことと関連している。
多孔質耐熱層に含まれる結着剤の含有量を0.5重量%とした電池47は、落下後の耐短絡性が幾分低かった。これは、結着剤の含有量の低さにより、フィラー粒子相互の密着力が弱まり、機械的強度が低下したためと考えられる。
一方、結着剤の含有量を20重量%とした電池50は、高出力特性が幾分低かった。これは、過剰の結着剤により、多孔質耐熱層の空隙率が低くなった上に、非水電解質により過剰の結着剤が膨潤し、多孔質耐熱層の空隙が塞がれ、イオン伝導性が低下したためと考えられる。一方、結着剤の含有量が1〜10重量%である電池48〜49は、耐短絡性と高出力特性が、いずれも良好であった。
乾燥条件を制御することにより、多孔質耐熱層の空隙率を30%とした電池51は、耐落下性が幾分低かった。これは、多孔質耐熱層の空隙が少ないため、多孔質耐熱層に非水電解質を十分に浸透させることができず、電極群の膨張が小さかったためである。よって、落下に伴う電極群の移動を防ぐことができなかったと考えられる。多孔質耐熱層の空隙率を89%とした電池55は、落下後の耐短絡性が幾分低かった。これは、多孔質耐熱層の機械的強度が低いためと考えられる。
一方、多孔質耐熱層の空隙率を40〜80%とした電池52〜54は、耐落下性、耐落下後の耐短絡性が、いずれも良好であった。空隙率が適正化されたため、機械的強度が維持され、さらに、多孔質耐熱層が適度に非水電解質で膨潤したため、電極群の移動が防がれたものと考えられる。
本発明のリチウム二次電池は、耐短絡性および耐熱性に優れ、高度な安全性を有し、かつ落下などの衝撃による容量低下も起こりにくいことから、あらゆるポータブル機器(例えば携帯情報端末、携帯電子機器など)の電源として利用可能である。ただし、本発明のリチウム二次電池の用途は特に限定されず、家庭用小型電力貯蔵装置、自動二輪車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車などの電源に用いることもできる。
本発明の円筒型リチウム二次電池の一例の断面模式図である。 本発明の角型リチウム二次電池の一例の断面模式図である。
符号の説明
100 円筒型の電池缶
101 正極
102 負極
103 セパレータ
104 正極リード
106 上部絶縁板
107 下部絶縁板
108 外部正極端子
108a 内部端子
110 底部
120 封口板
130 溝部
200 角型の電池缶
201 電極群
202 正極リード
203 負極リード
206 絶縁ガスケット
207 負極端子
209 封栓
210 底部
220 封口板
230 絶縁体

Claims (11)

  1. 底部と側壁と上部開口とを有する電池缶と、電極群と、非水電解質と、前記電極群および前記非水電解質を収容した前記電池缶の上部開口を覆う封口板とを含むリチウム二次電池であって、
    前記電極群は、帯状の正極と帯状の負極とを、これらの間に介在する多孔質耐熱層とともに捲回してなり、前記正極は、正極芯材とその両面に担持された正極活物質層とを含み、前記負極は、負極芯材とその両面に担持された負極活物質層とを含み、
    前記電池は、前記電極群の上下方向の移動を規制する規制部を有し、前記規制部から前記電池缶の内側底面までの距離Aと、前記負極の幅Bとが、0.965≦B/A≦0.995を満たす、リチウム二次電池。
  2. 前記多孔質耐熱層と前記正極との間、または、前記多孔質耐熱層と前記負極との間に、微多孔質フィルムからなるセパレータを有する、請求項1記載のリチウム二次電池。
  3. 前記正極および前記負極の少なくとも一方の電極において、前記芯材の両面に担持された2つの活物質層のうちの少なくとも一方の表面に、前記多孔質耐熱層が担持されている、請求項1記載のリチウム二次電池。
  4. 前記多孔質耐熱層が、絶縁性フィラーおよび結着剤を含む、請求項1記載のリチウム二次電池。
  5. 前記絶縁性フィラーが、無機酸化物からなる、請求項4記載のリチウム二次電池。
  6. 前記無機酸化物が、アルミナ、シリカ、マグネシア、チタニアおよびジルコニアよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項5記載のリチウム二次電池。
  7. 前記結着剤の量が、前記絶縁性フィラー100重量部あたり、1〜10重量部である、請求項4記載のリチウム二次電池。
  8. 前記多孔質耐熱層の空隙率が、40〜80%である、請求項4記載のリチウム二次電池。
  9. 前記電極群が略円柱状であり、前記電池缶が円筒型であり、前記規制部が、前記電池缶の側壁上部に前記電池缶の内径が小さくなるように設けられた溝部である、請求項1記載のリチウム二次電池。
  10. 前記封口板と前記電極群との間に設けられた絶縁体を更に有し、前記電極群が略楕円柱状であり、前記電池缶が角型であり、前記規制部が、前記絶縁体の下面である、請求項1記載のリチウム二次電池。
  11. 前記規制部から前記電池缶の内側底面までの距離Aと、前記負極の幅Bとが、0.975≦B/A≦0.995を満たす、請求項10記載のリチウム二次電池。
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