JP5241118B2 - 非水電解質電池 - Google Patents
非水電解質電池 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5241118B2 JP5241118B2 JP2007062818A JP2007062818A JP5241118B2 JP 5241118 B2 JP5241118 B2 JP 5241118B2 JP 2007062818 A JP2007062818 A JP 2007062818A JP 2007062818 A JP2007062818 A JP 2007062818A JP 5241118 B2 JP5241118 B2 JP 5241118B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- battery
- active material
- positive electrode
- electrode active
- separator
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/10—Energy storage using batteries
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P70/00—Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
- Y02P70/50—Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product
Landscapes
- Cell Separators (AREA)
- Secondary Cells (AREA)
- Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
Description
また、バインダーにより、フィラー粒子同士及び被覆層と負極活物質層とが強固に接着されているので、負極活物質層から被覆層が脱落するのを抑制でき、上記効果が長期間にわたって持続される。
セパレータの空孔体積を800(μm・%)以下となるように規制するのは、セパレータの空孔体積が小さいものほど析出物や副反応物の影響を受けやすく、特性劣化が著しくなるため、このように規制されたセパレータを有する電池に本発明を適用することにより、顕著な効果を発揮しうるからである。
また、このような電池ではセパレータの薄型化を達成できるので、電池のエネルギー密度の向上を図ることもできる。
このように、フィラー粒子として無機粒子、特にルチル型のチタニア及び/又はアルミナに限定するのは、これらのものは、電池内での安定性に優れ(リチウムとの反応性が低く)、しかもコストが安価であるという理由によるものである。また、ルチル構造のチタニアとするのは、アナターゼ構造のチタニアはリチウムイオンの挿入離脱が可能であり、環境雰囲気、電位によっては、リチウムを吸蔵して電子伝導性を発現するため、容量低下や、短絡の危険性があるからである。
このように規制するのは、フィラー粒子の平均粒径がセパレータの平均孔径より小さい場合には、電池を作成する際の巻き潰し時にセパレータが一部貫通して、セパレータに大きなダメージを与えることがあり、しかも、セパレータの微多孔内へフィラー粒子が侵入して、電池の諸特性を低下させることがあるため、これらの不都合を回避するためである。
尚、フィラー粒子の平均粒径は1μm以下のものが好ましく、また、スラリーの分散性を考慮すると、アルミニウム、シリコン、チタンで表面処理がなされているものが好ましい。
このような構成であれば、負極活物質層の全面に配置された被覆層が適度なフィルター機能を発揮するので、正極で反応した電解液の分解物や正極活物質から溶出するコバルトイオンやマンガンイオンが被覆層でトラップされて、コバルトやマンガンが負極やセパレータで析出するのを十分に抑制できる。これにより、負極やセパレータが受けるダメージが一層軽減されるので、高温でのサイクル特性の劣化や高温での保存特性の劣化を一層抑制することができる。尚、負極活物質層の全面が被覆層で覆われている場合であっても、フィラー粒子同士のみならず被覆層と負極活物質層とがバインダーによって強固に接着されているので、負極活物質層から被覆層が脱落するのを抑制できる。
上述した作用効果は、被覆層の厚みが大きい程発揮されるとはいうものの、被覆層の厚みが大きくなり過ぎると、電池内部抵抗の増大により負荷特性が低下したり、正負両極の活物質量が少なくなることによる電池エネルギー密度の低下を招来したりすることになるからである。また、薄くても効果はあるが、十分に効果を得るには薄すぎない方がいいからである。尚、被覆層は複雑に入り組んでいるため、厚みが小さい場合であっても上記トラップ効果は十分に発揮される。また、上記被覆層の厚みとは、片面での厚みをいうものとする。
このようにフィラー粒子に対するバインダー濃度の上限を定めるのは、バインダーの濃度が余り高くなると、リチウムイオンの活物質層への透過性が極端に低下し(電解液の拡散を阻害し)、電極間の抵抗が増加することにより、充放電容量の低下を招くからである。
このように規制するのは、充填密度が3.40g/cc未満である場合には、正極での反応は局所的な反応でなく全体的に反応するため、正極での劣化も均一に進行し、保存後の充放電反応に対してもさほど大きな影響はない。これに対して、充填密度が3.40g/cc以上である場合には、正極での反応は最表面層での局所的な反応に限定されるため、正極での劣化も最表面層での劣化が中心となる。このため、放電時の正極活物質中へのリチウムイオンの侵入、拡散が律速となるため、劣化の程度が大きくなる。このことから、正極活物質層の充填密度が3.40g/cc以上の場合に、本発明の作用効果がより発揮されることになる。
これは、正極がリチウム参照極電位に対して4.30V未満で充電されるような構成の電池では、被覆層の有無によって高温特性の差異は余りないが、正極がリチウム参照極電位に対して4.30V以上で充電されるような電池では、被覆層の有無によって高温特性の差異が顕著に現れるからである。特に、正極がリチウム参照極電位に対して4.40V以上、或いは4.45V以上で充電されるような電池では、この差異が顕著に出現する。
このような構造とするのは、以下に示す理由による。即ち、正極活物質としてコバルト酸リチウムを用いた場合には、充電深度が高まるにつれて、結晶構造は不安定になり、高温雰囲気ではより劣化が早まることになる。そこで、アルミニウム或いはマグネシウムを正極活物質(結晶内部)に固溶させることで、正極における結晶歪みの緩和を図っている。但し、これらの元素は結晶構造の安定化には大きく寄与するものの、初回充放電効率の低下や放電作動電圧の低下等を招来する。そこで、このような問題を緩和すべく、コバルト酸リチウム表面にジルコニアを固着している。
このようにAl2O3が正極内に含有されると、正極活物質が有する触媒性を緩和することができ、電解液と正極活物質または正極活物質に付着した導電性カーボン表面での電解液の分解反応を抑制することが可能となるからである。尚、このAl2O3を含有させるに際し、添加後に熱処理をしても良いが、当該処理は必ずしも必要ではなく、また、上述のアルミニウムの如くコバルト酸リチウムの結晶内部に固溶される必要はない。
上記アクリロニトリル単位を含む共重合体等は、電解液を吸収した後の膨潤によってフィラー粒子間の隙間を充填することができる他、フィラー粒子との結着力が強く、且つ、フィラー粒子の分散性を十分に確保してフィラー粒子の再凝集を防止することができ、しかも、非水電解質への溶出が少ないという特性を有するので、バインダーとして要求される機能を十分に備えているからである。
これは、50℃以上の雰囲気下で使用された場合に電池の劣化が早くなるため、本発明を適用する効果が大きいからである。
このような製造方法により、上述した非水電解質電池を作製することができる。
グラビアコート法又はダイコート法を用いれば、間欠塗工を実施できるので、エネルギー密度の低下を最小限に抑制することができ、且つ、当該方法であれば、スラリー中のバインダー濃度を低下させる(固形分濃度を可能な限り下げる)ことにより、薄膜層を精度良く塗工でき、しかも負極活物質層の内部方向にスラリー成分が浸透する前に溶剤除去を行えるので、負極の内部抵抗の上昇を抑制することができるからである。
先ず、正極活物質であるコバルト酸リチウム(Al及びMgがそれぞれ1.0mol%固溶されており、且つZrが0.05mol%表面に固着されているもの)と、炭素導電剤としてのアセチレンブラックと、結着剤としてのPVDFとを、95:2.5:2.5の質量比で混合した後、NMPを溶剤として特殊機化製コンビミックスを用いてこれらを攪拌し、正極合剤スラリーを調製した。次に、この正極合剤スラリーを正極集電体であるアルミニウム箔の両面に塗着し、更に、乾燥、圧延することにより、アルミニウム箔の両面に正極活物質層が形成された正極を作製した。尚、正極活物質層の充填密度は3.60g/ccとした。
炭素材料(人造黒鉛)と、CMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム)と、SBR(スチレンブタジエンゴム)とを、98:1:1の質量比で水溶液中にて混合して負極スラリーを作製した後、負極集電体である銅箔の両面に負極スラリーを塗着し、更に、乾燥、圧延することにより、負極集電体の両面に負極活物質層を形成した。尚、負極活物質層の充填密度は1.60g/ccとした。
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とが容積比で3:7の割合で混合された混合溶媒に、主としてLiPF6を1.0モル/リットルの割合で溶解させて調製した。
セパレータとしては、ポリエチレン(以下、PEと略すことがある)製微多孔膜(膜厚:18μm、平均孔径0.6μm、空孔率45%)を用いた。
正、負極それぞれにリード端子を取り付け、セパレータを介して渦巻状に巻き取ったものをプレスして、扁平状に押し潰した電極体を作製した後、電池外装体としてのアルミニウムラミネートフィルムの収納空間内に電極体を装填し、更に、当該空間内に非水電解液を注液した後に、アルミニウムラミネートフィルム同士を溶着して封止することにより電池を作製した。尚、この電池設計においては、正負両極の活物質量を調整することにより、充電終止電圧が4.4Vになるように規定し、且つ、この電位で正負極の容量比(負極の初回充電容量/正極の初回充電容量)が1.08になるように規定した。また、上記電池の設計容量は780mAhである。
セパレータの被覆層を作製する際に用いるバインダーの種類と分散処理方法とを変更して、どのようなバインダー及び分散処理方法を用いればスラリー中におけるバインダーの分散性に優れるのかを検討したので、その結果を表1に示す。
[1]使用したバインダー
PVDF(呉羽化学工業製KF1100であって、通常、リチウムイオン電池用正極に用いられるもの。以下、正極用PVDFと略すときがある)と、ゲルポリマー電解質用PVDF(PVDF−HFP−PTFE共重合体。以下、ゲル電解質用PVDFと略すときがある)と、アクリロニトリル単位を含むゴム性状高分子の3種類とを用いた。
ディスパー分散処理方法(3000rpmで30分)と、特殊機化製Filmicsによる分散処理方法(40m/minで30秒)と、ビーズミル分散処理方法(1500rpmで10分)とを用いた。尚、参考として、未処理のものについても調べた。
上記バインダーの種類と添加濃度とを変えつつ、上記分散処理方法にて処理を行い、1日経過後のフィラー粒子(ここでは酸化チタン〔TiO2〕粒子)の沈殿状況を判定した。
[1]バインダーの種類に関する実験結果
表1から明らかなように、両PVDF(正極用PVDFとゲル電解質用PVDF)では、添加量を増加するにつれて沈殿し難くなる傾向はあるものの、アクリロニトリル単位を含むゴム性状高分子に比べて沈殿し易い傾向にあるということが認められた。このことから、アクリロニトリル単位を含むゴム性状高分子をバインダーとして用いるのが好ましい。この理由を以下に述べる。
(I)電池の製造工程に耐え得る結着性を確保する機能
(II)電解液を吸収した後の膨潤によるフィラー粒子間の隙間を充填する機能
(III)フィラー粒子の分散性を確保する機能(再凝集防止機能)
(IV)電解液への溶出が少ないという特性
表1から明らかなように、サブミクロン単位の粒子の解砕(分散)を行う場合には、ディスパー分散法では殆どの場合に沈殿が生じているのに対して、Filmics法やビーズミル法等の解砕(分散)方法(塗料業界で一般に用いられる分散方法)では、殆どの場合に沈殿が生じていないことが認められる。特に、負極活物質層への均一な塗工を行うためにはスラリーの分散性の確保は極めて重要であることを考慮すれば、Filmics法やビーズミル法等の分散処理法を用いるのが望ましい。尚、表1には示していないが、超音波法による分散を行なった場合には、十分な分散性能を有していないことを確認した。
負極活物質層にスラリーを塗工して被覆層を形成する際の塗工方法を変更して、どのような塗工方法であれば良いのかを検討した。
(使用した塗工方法)
ディップコート法、グラビアコート法、ダイコート法、転写法を用いて、負極活物質層の両面にスラリーを塗工した。
本発明効果を最大に発揮しつつ、エネルギー密度の低下を最小限にするためには、間欠塗工を実施できる方法が望ましいが、上記塗工方法のうち、ディップコート法では間欠塗工を行うことは困難である。したがって、塗工方法としては、グラビアコート法、ダイコート法、転写法、或いはスプレーコート法を採用することが望ましい。
また、フィラー粒子を分散させる溶剤は、一般に電池に用いられるNMP等であっても良いが、上述のことを考慮すれば、揮発性の高いものが特に好ましい。このようなものとしては、水、アセトン、シクロヘキサン等が例示される。
セパレータの孔径を変更して、被覆層を形成する際に用いるスラリー中のフィラー粒子(ここでは酸化チタン〔TiO2〕粒子)がどのような粒子サイズであれ良いのかを検討したので、その結果を表2に示す。尚、参考のため、表2には、被覆層を形成していないものの結果も併せて示す。
(使用したセパレータ)
平均孔径が、各0.1μm、0.6μmのセパレータを用いた。
正極と、被覆層を有する負極との間にセパレータを配置して、これらを巻回した後、セパレータの断面をSEM観察した。尚、スラリー中の酸化チタン粒子の平均粒径は0.38μmである。
また、実際のラミネート型電池を作製し(但し、非水電解液は注入せず)、各電池に200Vを印加して電池内部でのショートの有無を確認するという耐圧検査も実施した。
(実験結果)
尚、フィラー粒子の平均粒径は粒度分布法にて測定した値である。
セパレータの種類により、セパレータの透気度がどの程度異なるかを調べるために、透気度測定を行なった。
(使用したセパレータ)
この実験をするにあたり、平均孔径と、膜厚と、空孔率とを変化させたセパレータ(PE製の微多孔膜から構成)を用いた。
[1]セパレータの空孔率の測定
下記セパレータの透気度測定に先立って、以下のようにしてセパレータの空孔率を測定した。
先ず、フィルム(セパレータ)を一辺の長さが10cmとなるような正方形状に切り取り、質量(Wg)と厚み(Dcm)を測定する。更に、サンプル中の各材料の質量を計算で割り出し、それぞれの材質の質量〔Wi(i=1〜n)〕を真比重で除し、それぞれの材質の体積を仮定して、下記(1)式により空孔率(%)を算出する。
空孔率(%)=100−{(W1/真比重1)+(W2/真比重2)+…+(Wn/真比重n)}100/(100D)・・・(1)
空孔率(%)=
100−{(PEの質量/PEの真比重)}100/(100D)・・・(2)
本測定は、JIS P8177に準じて測定し、また測定装置としてはB型ガーレーデンソーメータ(東洋精機社製)を用いた。
具体的には、内筒(質量567g)の円孔(直径28.6mm、面積645mm2)に試料片を締め付け、外筒内の空気(100cc)が試験管円孔部から筒外へ透過させるのに要する時間を測定し、これを透気度とした。
(実験結果)
上記背景技術の項で説明したように、電池の高容量化を図るためには正極活物質としてコバルト酸リチウムを用いることが好ましいが、問題点もある。そこで、当該問題点を解決、緩和すべく、コバルト酸リチウムに種々の元素を添加し、いかなる元素が好ましいかを検討した。
添加元素を選定するにあたり、先ず、コバルト酸リチウムの結晶構造を解析したので、その結果を図1〔参考文献:T.Ozukuet.al,J.Electrochem.Soc.Vol.141,2972(1994)〕に示す。
図1から明らかなように、リチウム参照極電位に対して約4.5V(電池電圧はリチウム参照極電位より0.1V低いので4.4V)以上にまで正極が充電されると結晶構造(特に、c軸における結晶構造)が大きく崩壊することがわかった。したがって、コバルト酸リチウムにおいては、充電深度が高まるにつれて結晶構造は不安定になることが認められ、更に、高温雰囲気に晒された場合には、より劣化が早まることもわかった。
上記結晶構造の崩壊を緩和すべく、鋭意検討した結果、Mg或いはAlを結晶内部に固溶させることが非常に有効であることがわかった。尚、両者の効果は略同じであるが、後述する他の特性面の低下割合はMgの方が影響が小さい。したがって、Mgを固溶させる方がより好ましい。
尚、Al、Mg、及びZr添加比率は特に限定するものではない。
前記背景技術の項で説明したように、近年、携帯機器は高容量化と高出力化とが進展している。特に、携帯電話では、カラー映像化や動画、ゲームに使用できる等の高機能化が要求されており、消費電力は一層増加する傾向にある。現在、こうした高機能携帯電話の機能の充実に伴って、これらの電源である電池の高容量化等が望まれるところであるが、そこまでは電池性能が向上していないため、ユーザーは充電をしながらテレビを見たり、ゲームをしたり等の使用することが多い。このような状況下では、電池は常にフル充電で使用されることになり、また、消費電力が大きくなる等の影響で50〜60℃の仕様環境になることが多い。
尚、本発明の効果を具体的に解かり易く説明するために、5つの実施例に分けて以下に説明する。
充電終止電圧を4.40V、正極活物質層の充填密度を3.60g/cc、負極活物質層の表面に形成された被覆層の物性(フィラー粒子の種類、バインダー濃度、及び被覆層の厚み)を固定する一方、セパレータを変化させ、セパレータの物性と充電保存特性との関係を調べたので、その結果を以下に示す。
(実施例1)
実施例1としては、前記最良の形態で示した電池を用いた。
このようにして作製した電池を、以下、本発明電池A1と称する。
セパレータとして、平均孔径0.1μm、膜厚12μm、空孔率38%のものを用いた他は、実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、本発明電池A2と称する。
負極に被覆層を設けない他は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Z1と称する。
セパレータとして、平均孔径0.1μm、膜厚12μm、空孔率38%のものを用いた他は、上記比較例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Z2と称する。
セパレータとして、平均孔径0.1μm、膜厚16μm、空孔率47%のものを用いた他は、上記比較例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Z3と称する。
セパレータとして、平均孔径0.05μm、膜厚20μm、空孔率38%のものを用いた他は、上記比較例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Z4と称する。
セパレータとして、平均孔径0.6μm、膜厚23μm、空孔率48%のものを用いた他は、上記比較例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Z5と称する。
セパレータとして、平均孔径0.6μm、膜厚27μm、空孔率52%のものを用いた他は、上記比較例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Z6と称する。
本発明電池A1、A2及び比較電池Z1〜Z6の充電保存特性(充電保存後の残存容量)について調べたので、その結果を表4に示す。また、ここで得られた結果をもとに、セパレータの物性と充電保存後の残存容量の相関について検討したので、その結果を図2に示す。尚、充放電条件及び保存条件は、下記の通りである。
・充電条件
1.0It(750mA)の電流で、電池電圧が設定電圧(電池の設計電圧であり、本実験では全ての電池において4.40V)となるまで定電流充電を行なった後、設定電圧で電流値が1/20It(37.5mA)になるまで充電を行うという条件。
・放電条件
1.0It(750mA)の電流で、電池電圧が2.75Vまで定電流放電を行なうという条件。
尚、充放電の間隔は10分である。
上記充放電条件で充放電を1回行い、再度、上記充電条件で設定電圧まで充電した電池を60℃で5日間放置するという条件である。
[残存容量の算出]
上記電池を室温まで冷却し、上記放電条件と同一の条件で放電を行って残存容量を測定し、保存試験後1回目の放電容量と保存試験前の放電容量とを用いて、下記(3)式より、残存容量を算出した。
残存容量(%)=
保存試験後1回目の放電容量/保存試験前の放電容量×100・・・(3)
(1)被覆層を設けたことの利点に関する考察
表4の結果から明らかなように、全ての電池において、電池の設計電圧を4.40V、正極活物質層の充填密度を3.60g/ccとしているにも関わらず、負極活物質層の表面に被覆層が形成された本発明電池A1、A2は、比較電池Z1〜Z6に比べて残存容量が大きく改善されることが分かる。このような実験結果となった理由を、以下、詳述する。
(I)正極の充電電位が高くなることによる強酸化雰囲気での電解液の分解
(II)充電された正極活物質の構造が不安定化することによる劣化
といった点が主たる要因として考えられる。
上記試験終了後に電池を解体し、セパレータおよび負極面の変色等を観察したところ、被覆層が形成されていない比較電池では、充電保存後はセパレータが茶色っぽく変色しており、負極にも同様に堆積物が確認できたのに対して、被覆層が形成された本発明電池では、セパレータおよび負極表面への堆積物、変色は観測されず、被覆層に変色がみられた。この結果より、正極での反応物が被覆層で移動抑制されることにより、セパレータおよび負極のダメージが軽減されているものと推測される。
また、これらの反応物は負極へ移動することにより還元され、さらに次の反応が進行する自己放電などの循環的な副反応に発展する可能性が高いが、負極近傍でトラップされることにより、反応物の循環反応を抑制できる他、反応物自身が皮膜形成剤的な効果を示している可能性も考えられる。
また、上述の如く、被覆層を有する負極を用いた本発明電池A1、A2では充電保存特性が改善されるが、その改善率は、セパレータの膜厚が薄いものほど高い。更に、セパレータの物性の一つであって膜厚が大きく関与する空孔体積(膜厚×空孔率)を指標にした場合、図2に示すように、約800(単位:μm・%)を境に本発明の効果が顕著に現れることがわかった。
(I)エネルギー密度が確保できる程度の膜厚であること
(II)負極に形成された被覆層から脱落したフィラー粒子の微多孔内部への侵入による電池不良を削減することが可能な程度に微多孔の平均孔径を有すること
(III)セパレータの強度が保持可能な空孔率を有すること
という3点から、本発明が適用できるセパレータの空孔体積は、膜厚×空孔率で算出して1500(単位:μm・%)以下であることが望ましいことを見出した。
以上の結果から、4.4V仕様の電池において、セパレータの材質等に関係なく、被覆層が形成された負極を有する電池では充電保存特性は大きく向上し、特にセパレータの空孔体積(膜厚×空孔率)が、1500(単位:μm・%)以下、その中でも800(単位:μm・%)以下であるとその効果を顕著に発揮できる。
セパレータを2種類用い(S1とS2)、正極活物質層の充填密度を3.60g/ccとし、負極活物質層の表面に形成された被覆層の物性(フィラー粒子の種類、バインダー濃度、及び被覆層の厚み)を固定する一方、充電終止電圧を変化させ、充電終止電圧と充電保存特性との関係を調べたので、その結果を以下に示す。
(実施例1)
充電終止電圧が4.20Vとなるように電池設計を行い、この電位で正負極の容量比が1.08になるように設計した他は、前記第1実施例の実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、本発明電池B1と称する。
充電終止電圧が4.20Vとなるように電池設計を行い、この電位で正負極の容量比が1.08になるように設計した他は、前記第1実施例の実施例2と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、本発明電池B2と称する。
負極に被覆層を形成しない他は、それぞれ、上記実施例1、2と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下それぞれ、比較電池Y1、Y2と称する。
充電終止電圧が4.30Vとなるように電池設計を行い、この電位で正負極の容量比が1.08になるように設計した他は、上記比較例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Y3と称する。
充電終止電圧が4.30Vとなるように電池設計を行い、この電位で正負極の容量比が1.08になるように設計した他は、上記比較例2と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Y4と称する。
充電終止電圧が4.35Vとなるように電池設計を行い、この電位で正負極の容量比が1.08になるように設計した他は、上記比較例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Y5と称する。
充電終止電圧が4.35Vとなるように電池設計を行い、この電位で正負極の容量比が1.08になるように設計した他は、上記比較例2と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Y6と称する。
本発明電池B1、B2及び比較電池Y1〜Y6の充電保存特性(充電保存後の残存容量)について調べたので、その結果を表5及び表6に示す。尚、同表には、前記本発明電池A1、A2及び前記比較電池Z1、Z2の結果についても示す。
また、代表的な例として、比較電池Z2及び本発明電池A2における充放電特性の比較を行なったので、前者の特性を図3に、後者の特性を図4に示す。
尚、充放電条件及び保存条件は、下記の通りである。
前記第1実施例の実験と同様の条件である。
[保存条件]
本発明電池A1、A2及び比較電池Z1、Z2、Y3〜Y6については前記第1実施例の実験と同様の条件であり、本発明電池B1、B2及び比較電池Y1、Y2については、80℃で4日間放置するという条件である。
前記第1実施例の実験と同様にして算出した。
表5及び表6から明らかなように、充電保存試験において、セパレータが同一であるにも関わらず、負極活物質層の表面に被覆層が形成された本発明電池は、被覆層が形成されていない比較電池に比べて充電保存後の残存容量が大幅に改善されることが認められる(例えば、本発明電池B1と比較電池Y1を比較した場合や、本発明電池B2と比較電池Y2を比較した場合)。特に、セパレータの空孔体積が800μm・%よりも小さく、充電終止電圧が4.30V以上の比較電池Y4、Y6、Z2では、充電保存特性の劣化の程度が非常に大きくなる傾向があるのに対して、負極に被覆層を設けた本発明電池A2では、充電保存特性の劣化が抑制されていることが認められる。
充電終止電圧を4.40V、正極活物質層の充填密度を3.60g/cc、セパレータをS1に固定する一方、負極活物質層の表面に形成された被覆層の物性(フィラー粒子の種類及びバインダー濃度、被覆層の厚み)を変化させ、被覆層の物性と充電保存特性との関係を調べたので、その結果を以下に示す。
負極の被覆層形成時に用いるスラリーとして、フィラー粒子(酸化チタン)に対するバインダー濃度が、それぞれ、30質量%、20質量%、15質量%、5質量%のものを用いた他は、前記第1実施例の実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下それぞれ、本発明電池C1〜C4と称する。
負極の被覆層形成時に用いるスラリーとして、アセトンに対するフィラー粒子(酸化チタン)の割合を20質量%とし、そのフィラー粒子に対するバインダー濃度をそれぞれ10質量%、5質量%、2.5質量%、1質量%としたものを用いた他は、前記第1実施例の実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下それぞれ、本発明電池C5〜C8と称する。
(実施例9)
負極の被覆層形成時に用いるスラリー中のフィラー粒子として、酸化アルミニウム(粒径0.64μm、住友化学製AKP−3000)を用いた他は、前記第1実施例の実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、本発明電池C9と称する。
負極の被覆層の厚みを、それぞれ、両面で1μm、2μm(片面では、各々0.5μm、1μm)としたものを用いた他は、前記第1実施例の実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、本発明電池C10、C11と称する。
本発明電池C1〜C11の充電保存特性(充電保存後の残存容量)について調べたので、その結果を表7及び表8に示す。尚、同表には、前記本発明電池A1及び前記比較電池Z1の結果についても示す。
尚、充放電条件、保存条件、及び残存容量の算出方法については、前記第1実施例の実験と同様の条件である。
(1)全体考察
表7及び表8から明らかなように、充電保存試験において、負極活物質層の表面に被覆層が形成された本発明電池A1、C1〜C11は、被覆層が形成されていない比較電池Z1に比べて充電保存後の残存容量が大幅に改善されることが認められる。
これは、上記第1実施例の実験で示した理由と同様の理由によるものと考えられる。
本発明電池A1及び本発明電池C1〜C8を比べると、充電保存後の残存容量は、アセトンに対するフィラー粒子(酸化チタン)濃度やフィラー粒子に対するバインダー濃度で、本発明の効果が多少変動していることが認められ、更に詳細に検討すると、アセトンに対するフィラー粒子濃度が変わると、フィラー粒子に対するバインダー濃度の最適値が変動していることが認められる。
a.フィラー粒子に対するバインダー濃度の下限を規制する理由
フィラー粒子に対するバインダー濃度が余りに低すぎると、フィラー粒子間及びフィラー粒子と負極活物質層との間で機能できるバインダーの絶対量が少なくなり過ぎて、被覆層と負極活物質層との接着強度が低くなって、被覆層が負極活物質層から剥がれ易くなるからである。また、スラリーに対するフィラー粒子濃度により、フィラー粒子に対するバインダー濃度の下限値が異なるのは、スラリーに対するフィラー粒子濃度が高い場合は当該濃度が低い場合に比べて、スラリー中のバインダー濃度が高くなることによるものである。例えば、本発明電池A1と本発明電池C5とは、共に、フィラー粒子に対するバインダー濃度は10質量%である。しかしながら、スラリー中のバインダー濃度は、本発明電池A1では1/111≒0.9質量%(これは、アセトンを100質量部とした場合、フィラー粒子は10質量部、バインダーは1質量部となり、スラリーの総量は111質量部となるからである)のに対して、本発明電池C5では2/122≒1.6質量%(これは、アセトンを100質量部とした場合、フィラー粒子は20質量部、バインダーは2質量部となり、スラリーの総量は122質量部になるからである)となることから明らかである。
以上の事を考慮すると、スラリーに対するバインダー濃度は可能な限り低いことが好ましいが、電池作製時の加工に耐え得る物理的強度やフィルターの効果、スラリー中の無機粒子の分散性の確保等を考慮すると、上述の範囲であることが望ましい。
本発明の作用効果を考慮した場合、被覆層の厚みが大きいほど、また、フィラー粒子に対するバインダーの濃度が高いほど、フィルターの機能は高まるものと推測されるが、これらは電極間の抵抗増加(距離及びリチウムイオン透過性)とのトレードオフの関係にあると考えられる。表7及び表8には示していないが、スラリーに対するフィラー粒子濃度に依存するとはいうものの、一般的に、フィラー粒子に対するバインダー濃度が50質量%を超える場合には、電池は設計容量の半分程度しか充放電できず、電池としての機能が大幅に低下することがわかった。これは、被覆層のフィラー粒子間をバインダーが充填していたり、バインダーが負極活物質層表面一部を被覆してしまうために、リチウムイオンの透過性が極端に低下したためと推測される。
以上の理由により、フィラー粒子に対するバインダー濃度の上限は少なくとも50質量%以下(望ましくは30質量%以下)であることが望ましく、特に、上述の如くスラリーに対するフィラー粒子濃度に応じて、フィラー粒子に対するバインダー濃度の上限を規制するのが好ましい。尚、スラリーに対するフィラー粒子濃度により、フィラー粒子に対するバインダー濃度の上限値が異なるのは、上記a.フィラー粒子に対するバインダー濃度の下限を規制する理由で記載した理由と同様の理由である。
本発明電池A1と本発明電池C9とを比較した場合、充電保存後の残存容量について、両者に殆ど差異がないことが認められる。したがって、本発明の作用効果は、フィラー粒子の種類には余り影響されないことがわかる。
本発明電池A1及び本発明電池C10と本発明電池C11とを比較した場合、被覆層の厚みが両面で2μm以上(片面では1μm以上)の本発明電池A1及び本発明電池C10は、被覆層の厚みが両面で1μm(片面では0.5μm)の本発明電池C11に比べて、充電保存後の残存容量が多くなっていることが認められる。但し、被覆層の厚みが大きくなり過ぎると、表7及び表8には示していないが、電池の負荷特性の低下やエネルギー密度の低下を招来する。これらのことを考慮すると、被覆層の厚みは、片面で4μm以下、特に2μm以下、さらに望ましくは1μm以上2μm以下に規制することが好ましい。尚、上記本発明電池A1、本発明電池C10、C11では片面での被覆層の厚みは両面での厚みの1/2とした(即ち、一方の面の被覆層の厚みと他方の面の被覆層の厚みを同等とした)が、このような構成に限定するものではなく、一方の面の被覆層の厚みと他方の面の被覆層の厚みを異ならしめても良い。但し、この場合にも、各被覆層の厚みは上記範囲であることが望ましい。
充電終止電圧を4.40V、被覆層の厚みを4μm、セパレータとしてS2を用い、正極活物質層の充填密度を変化させ、正極活物質層の充填密度と充電保存特性との関係を調べたので、その結果を以下に示す。
正極活物質層の充填密度を3.20g/ccとした他は、前記第1実施例の実施例2と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、本発明電池D1と称する。
正極活物質層の充填密度を3.20g/ccとした他は、前記第1実施例の比較例2と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池X1と称する。
正極活物質層の充填密度を3.40g/ccとした他は、前記第1実施例の比較例2と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池X2と称する。
正極活物質層の充填密度を3.80g/ccとした他は、前記第1実施例の比較例2と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池X3と称する。
本発明電池D1及び比較電池X1〜X3の充電保存特性(充電保存後の残存容量)について調べたので、その結果を表9に示す。尚、同表には、前記本発明電池A2及び前記比較電池Z2の結果についても示す。
尚、充放電条件、保存条件、及び残存容量の算出方法については、前記第1実施例の実験と同様の条件である。
以上の結果から、特に正極活物質層の充填密度が3.40g/cc以上である場合に特に効果的に発揮される。負極活物質層の充填密度や活物質の種類については特に限定するものではない。
充電終止電圧を4.40V、正極活物質層の充填密度を3.60g/cc、セパレ
ータをS1に、負極活物質層の表面に形成された被覆層の物性(フィラー粒子の種類及びバインダー濃度、厚み)を固定させた一方、正極にAl2O3を添加して、充電保存特性との関係を調べたので、その結果を以下に示す。
正極の作製において、コバルト酸リチウムとアセチレンブラックとを混合する前に、コバルト酸リチウムにAl2O3を1質量%添加し、乾式にて混合した以外は、前記第1実施例の実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、本発明電池Eと称する。
負極活物質層の表面に被覆層を設けない負極を用いたこと以外は上記実施例と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、比較電池Wと称する。
本発明電池E及び比較電池Wの充電保存特性(充電保存後の残存容量)について調べたので、その結果を表10に示す。尚、同表には、前記本発明電池A1及び前記比較電池Z1の結果についても示す。
尚、充放電条件、保存条件、及び残存容量の算出方法については、前記第1実施例の実験と同様の条件である。
表10から明らかなように、充電保存試験において、正極にAl2O3が混合され且つ負極活物質層の表面に被覆層が形成された本発明電池Eは、負極活物質層の表面に被覆層が形成されておらず、しかも正極にAl2O3が混合されていない比較電池Z1のみならず、負極活物質層の表面に被覆層が形成されていないが正極にAl2O3が混合された比較電池Wや、正極にAl2O3が混合されていないが負極活物質層の表面に被覆層が形成された本発明電池A1に比べて充電保存後の残存容量が大幅に改善されることが認められる。
また、正極内部に添加されるAl2O3量について調べたところ、正極活物質に対して、0.1質量%5質量%以下(特に、1質量%以上5質量%以下)であることが好ましいことがわかった。これは、0.1質量%未満になるとAl2O3の添加効果を十分に発揮することができない一方、5質量%を超えると正極活物質の量が少なくなって電池容量が低下するからである。
(1)バインダーの材質としては、アクリロニトリル単位を含む共重合体に限定するものではなく、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やPVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PAN(ポリアクリロニトリル)、SBR(スチレンブタジエンゴム)等やその変性体及び誘導体、ポリアクリル酸誘導体等であっても良い。ただし、少量添加でバインダーとしての効果を発揮するには、アクリロニトリル単位を含む共重合体やポリアクリル酸誘導体が好ましい。
Claims (14)
- 正極活物質を含む正極活物質層を有する正極、負極活物質を含む負極活物質層を有する負極、及びこれら両極間に介装されたセパレータから成る電極体と、この電極体に含浸された非水電解質とを備えた非水電解質電池において、
上記正極活物質には少なくともコバルト又はマンガンが含まれると共に、上記負極活物質層の表面にはフィラー粒子とバインダーとが含まれた被覆層が形成され、
上記セパレータの厚みをx(μm)とし、上記セパレータの空孔率をy(%)とした場合に、xとyとを乗じた値が800(μm・%)以下であって、上記セパレータの厚みが16μm以下である、非水電解質電池。 - 上記フィラー粒子が無機粒子を備える、請求項1に記載の非水電解質電池。
- 上記無機粒子がルチル型のチタニア及び/又はアルミナを含む、請求項2記載の非水電解質電池。
- 上記フィラー粒子の平均粒径が上記セパレータの平均孔径より大きい、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解質電池。
- 上記負極活物質層の全面に上記被覆層が形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水電解質電池。
- 上記被覆層の厚みが1μm以上4μm以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水電解質電池。
- 上記フィラー粒子に対するバインダーの濃度が30質量%以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の非水電解質電池。
- 上記正極活物質層の充填密度が3.40g/cc以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の非水電解質電池。
- リチウム参照極電位に対して4.30V以上となるまで上記正極が充電される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の非水電解質電池。
- リチウム参照極電位に対して4.40V以上となるまで上記正極が充電される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の非水電解質電池。
- リチウム参照極電位に対して4.45V以上となるまで上記正極が充電される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の非水電解質電池。
- 上記正極活物質には、少なくともアルミニウム或いはマグネシウムが固溶されたコバルト酸リチウムが含まれており、且つ、このコバルト酸リチウム表面にはジルコニアが固着されている、請求項1〜11のいずれか1項に記載の非水電解質電池。
- 上記正極には、Al 2 O 3 が添加されている、請求項1〜12のいずれか1項に記載の非水電解質電池。
- 上記バインダーが、アクリロニトリル単位を含む共重合体、又はポリアクリル酸誘導体を備える、請求項1〜13のいずれか1項に記載の非水電解質電池。
Priority Applications (7)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007062818A JP5241118B2 (ja) | 2006-03-17 | 2007-03-13 | 非水電解質電池 |
US12/293,388 US9077024B2 (en) | 2006-03-17 | 2007-03-16 | Non-aqueous electrolyte battery and method of manufacturing the same |
PCT/JP2007/055444 WO2007108424A1 (ja) | 2006-03-17 | 2007-03-16 | 非水電解質電池及びその製造方法 |
KR1020087025117A KR20080110817A (ko) | 2006-03-17 | 2007-03-16 | 비수전해질 전지 및 그 제조 방법 |
CN2007800177851A CN101449417B (zh) | 2006-03-17 | 2007-03-16 | 非水电解质电池及其制造方法 |
US14/729,401 US9761880B2 (en) | 2006-03-17 | 2015-06-03 | Non-aqueous electrolyte battery and method of manufacturing the same |
US15/657,893 US10388960B2 (en) | 2006-03-17 | 2017-07-24 | Non-aqueous electrolyte battery and method of manufacturing the same |
Applications Claiming Priority (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006074556 | 2006-03-17 | ||
JP2006074556 | 2006-03-17 | ||
JP2006204940 | 2006-07-27 | ||
JP2006204940 | 2006-07-27 | ||
JP2007062818A JP5241118B2 (ja) | 2006-03-17 | 2007-03-13 | 非水電解質電池 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008053206A JP2008053206A (ja) | 2008-03-06 |
JP5241118B2 true JP5241118B2 (ja) | 2013-07-17 |
Family
ID=39237029
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007062818A Active JP5241118B2 (ja) | 2006-03-17 | 2007-03-13 | 非水電解質電池 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5241118B2 (ja) |
Families Citing this family (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5260851B2 (ja) * | 2006-09-28 | 2013-08-14 | Necエナジーデバイス株式会社 | リチウムイオン二次電池 |
US8524394B2 (en) | 2007-11-22 | 2013-09-03 | Samsung Sdi Co., Ltd. | Negative electrode and negative active material for rechargeable lithium battery, and rechargeable lithium battery including same |
KR100913176B1 (ko) | 2007-11-28 | 2009-08-19 | 삼성에스디아이 주식회사 | 리튬 이차 전지용 음극 및 이를 포함하는 리튬 이차 전지 |
JP5598472B2 (ja) * | 2009-07-29 | 2014-10-01 | 日本ゼオン株式会社 | 二次電池用多孔膜及び二次電池 |
WO2011155060A1 (ja) * | 2010-06-11 | 2011-12-15 | トヨタ自動車株式会社 | リチウム二次電池およびその製造方法 |
JP5832915B2 (ja) * | 2011-02-24 | 2015-12-16 | 株式会社日立製作所 | リチウムイオン電池の製造方法 |
JP5900054B2 (ja) * | 2012-03-16 | 2016-04-06 | 東洋インキScホールディングス株式会社 | 合材スラリーおよびその製造方法とそれを用いた電極、電池 |
JP6959507B2 (ja) * | 2017-07-11 | 2021-11-02 | 株式会社豊田自動織機 | リチウムイオン二次電池 |
CN110998960B (zh) | 2017-07-25 | 2023-07-07 | 株式会社村田制作所 | 锂离子二次电池 |
WO2019021941A1 (ja) | 2017-07-25 | 2019-01-31 | 株式会社村田製作所 | リチウムイオン二次電池 |
Family Cites Families (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
ATE310321T1 (de) * | 1995-06-28 | 2005-12-15 | Ube Industries | Nichtwässrige sekundärbatterie |
JP3644099B2 (ja) * | 1995-11-29 | 2005-04-27 | 宇部興産株式会社 | 非水二次電池およびその製造方法 |
JP4061668B2 (ja) * | 1997-04-21 | 2008-03-19 | 宇部興産株式会社 | リチウムイオン非水電解質二次電池 |
JP3661417B2 (ja) * | 1998-06-18 | 2005-06-15 | 宇部興産株式会社 | 非水二次電池 |
EP1643583A4 (en) * | 2003-07-29 | 2010-01-20 | Panasonic Corp | LITHIUM ION SECONDARY BATTERY |
EP1734600B1 (en) * | 2004-02-18 | 2008-11-26 | Panasonic Corporation | Secondary battery |
JP4454340B2 (ja) * | 2004-02-23 | 2010-04-21 | パナソニック株式会社 | リチウムイオン二次電池 |
JP2005243303A (ja) * | 2004-02-24 | 2005-09-08 | Tomoegawa Paper Co Ltd | 電気化学素子用部材及びその製造方法、並びにそれを用いた電気化学素子 |
JP2005259639A (ja) * | 2004-03-15 | 2005-09-22 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | リチウム二次電池およびその製造方法 |
JP4794824B2 (ja) * | 2004-04-05 | 2011-10-19 | パナソニック株式会社 | リチウムイオン二次電池およびその製造法 |
JP2005322610A (ja) * | 2004-04-05 | 2005-11-17 | Mitsubishi Chemicals Corp | リチウム二次電池 |
JP4754790B2 (ja) * | 2004-07-30 | 2011-08-24 | パナソニック株式会社 | 電池用電極の製造方法 |
JP5095098B2 (ja) * | 2004-11-19 | 2012-12-12 | パナソニック株式会社 | 非水電解質二次電池 |
-
2007
- 2007-03-13 JP JP2007062818A patent/JP5241118B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2008053206A (ja) | 2008-03-06 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4958484B2 (ja) | 非水電解質電池及びその製造方法 | |
US10388960B2 (en) | Non-aqueous electrolyte battery and method of manufacturing the same | |
JP5241118B2 (ja) | 非水電解質電池 | |
JP5219387B2 (ja) | 非水電解質二次電池 | |
EP2365571B1 (en) | Nonaqueous electrolyte secondary battery | |
JP5110817B2 (ja) | 非水電解質電池 | |
JP2007280911A5 (ja) | ||
KR20090007710A (ko) | 비수 전해질 전지 및 그 제조 방법 | |
KR20080105162A (ko) | 비수전해질 전지 및 그 제조 방법 | |
JP5219621B2 (ja) | 非水電解質電池 | |
KR20090016401A (ko) | 비수전해질 전지 및 이 전지에 이용되는 부극 | |
JP5110818B2 (ja) | 非水電解質電池 | |
JP2010192127A (ja) | 非水電解質二次電池及びその製造方法 | |
JP2008226537A (ja) | 非水電解質二次電池及びその製造方法 | |
EP4064384A1 (en) | Negative electrode plate, electrochemical device, and electronic device | |
JP2011192634A (ja) | 非水電解質二次電池 | |
JP5241120B2 (ja) | 非水電解質電池 | |
JP2012049060A (ja) | 非水電解質二次電池用正極及びその正極を用いた非水電解質二次電池 | |
EP3451437B1 (en) | Lithium ion secondary cell charging method, lithium ion secondary cell system, and power storage device | |
JP5241119B2 (ja) | 非水電解質電池 | |
JP2007280947A (ja) | 非水電解質電池及びその製造方法 | |
WO2012128071A1 (ja) | 非水電解質二次電池 | |
JP2010010093A (ja) | 二次電池用電極群の製造方法および二次電池の製造方法 | |
CN104396057A (zh) | 非水电解质二次电池和制造非水电解质二次电池的方法 | |
JP7386987B2 (ja) | 負極の前リチウム化方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20100127 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130108 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20130131 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20130305 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20130402 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160412 Year of fee payment: 3 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 5241118 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160412 Year of fee payment: 3 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |