JP2006073253A - 非水電解質電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】正極活物質には、リチウム、ニッケル、コバルト、マンガンを含有する層状構造のリチウム含有遷移金属酸化物とリチウムマンガン酸化物とが含まれ、且つ、上記リチウム含有遷移金属酸化物におけるニッケルとマンガンとのモル量が実質的に等量となるように規制されると共に、全遷移金属に対するコバルトのモル比が0.25以上0.70以下に規制されることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
そこで、マンガン酸リチウムにリチウムニッケルコバルト複合酸化物を混合することで高温保存特性を改善するような提案がなされ(下記特許文献1参照)、また、リチウムニッケル複合酸化物における結晶構造の安定性を高めるため、マンガンをさらに添加したリチウムニッケルコバルトマンガン酸化物とリチウムマンガン酸化物とを混合するような提案もされている(下記特許文献2参照)。
即ち、第1に、リチウム含有遷移金属酸化物におけるニッケルとマンガンとのモル量が実質的に等量となるように規制したことにある。ここで、ニッケルとマンガンとのモル量が実質的に等量であるということの意味合いは、ニッケルモル量とマンガンのモル量との比が略1であることをいう(以下、ニッケルのモル量とマンガンのモル量との比を表す場合にNi/Mn比と表示することがあり、また、この比が略1でいうことを表す場合にNi/Mn比≒1と表示することがある)。このように規制するのは、Ni/Mn比>1であると、余剰のニッケルがリチウムサイトヘ侵入することにより、リチウムサイトにおけるニッケルの占有率が大きくなって、リチウムの拡散を阻害し、負荷/出力特性が低下する一方、Ni/Mn比<1であると、電気化学的に不活性なマンガン酸化物の量が増え、結晶内のリチウムイオン導電性が損なわれるため、やはり負荷/出力特性が低下する。
リチウム含有遷移金属酸化物の如く層状構造を有する場合には、平面内でしかリチウムが移動できないのに対して、スピネル構造の如く8面体構造であれば、何れの面からもリチウムが侵入、離脱することができるので、リチウムの拡散経路が増大する。このため、リチウムの粒子内拡散が容易となって、負荷/出力特性が一層向上する。
上記構成の如く、リチウムマンガン酸化物に、アルミニウム、マグネシウム、又はこれらの混合物が含有されていれば、これらの金属と酸素との結合力が高まるため、その分だけ酸素とリチウムとの静電相互作用が弱まる。この結果、リチウムの拡散が容易となって、負荷/出力特性が更に向上する。
先ず、正極活物質として層状構造を有するLi1.01Ni0.33Co0.33Mn0.33O2(Ni/Mn比=1)と、正極活物質としてスピネル構造を有するLi1.1Al0.1Mn1.8O4とを質量比で7:3の割合で混合した混合正極活物質と、導電剤としての炭素と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)を溶かしたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液とを、混合正極活物質と導電剤と結着剤との質量比が90:5:5の割合となるように調整した後、これらを混練して、正極スラリーを作製した。次に、この正極スラリーを、正極集電体としてのアルミニウム箔上に塗布した後、乾燥し、更に圧延ローラーを用いて圧延し、導電タブを取り付けることで、正極を作製した。
負極活物質としての炭素材料(黒鉛)と、結着剤としてのSBR(スチレンブタジエンゴム)と、増粘剤としてのCMC(カルボキシメチルセルロース)との質量比が98:1:1の割合となるように調整した後、これらを水溶液中で混合して負極スラリーを作製した。次に、この負極スラリーを、負極集電体である銅箔の両面に塗布した後、乾燥し、更に圧延ローラーを用いて圧延し、導電タブを取り付けることで、負極を作製した。
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とを体積比で3:7の割合で混合した混合溶媒に、支持塩としてのLiPF6を1モル/リットルの割合で溶解させて調製した。
上記正、負極を、ポリエチレン製のセパレータを介して対向配置し、これらを渦巻状に巻き取って発電要素を作製した後、Ar雰囲気下のグローボックス中にて、発電要素を電解液とともに電池缶に封入することにより、定格容量1.4Ahの円筒型18650サイズの非水電解質二次電池を作製した。
(実施例1)
実施例1としては、前記発明を実施するための最良の形態で示した電池を用いた。
このようにして作製した電池を、以下、本発明電池A1と称する。
リチウム含有遷移金属酸化物として、Li1.01Ni0.33Co0.33Mn0.33O2の代わりに、Li1.01Ni0.25Co0.5Mn0.25O2(Ni/Mn比=1)を用いた他は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、本発明電池A2と称する。
リチウム含有遷移金属酸化物として、Li1.01Ni0.33Co0.33Mn0.33O2の代わりに、Li1.01Ni0.3Co0.4Mn0.3O2(Ni/Mn比=1)を用いた他は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、本発明電池A3と称する。
リチウム含有遷移金属酸化物として、Li1.01Ni0.33Co0.33Mn0.33O2の代わりに、Li1.01Ni0.17Co0.66Mn0.17O2(Ni/Mn比=1)を用いた他は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、本発明電池A4と称する。
リチウム含有遷移金属酸化物として、Li1.01Ni0.33Co0.33Mn0.33O2の代わりに、Li1.01Ni0.6Co0.3Mn0.1O2(Ni/Mn比=6)を用いた他は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池X1と称する。
リチウム含有遷移金属酸化物として、Li1.01Ni0.33Co0.33Mn0.33O2の代わりに、Li1.01Ni0.5Co0.3Mn0.2O2(Ni/Mn比=2.5)を用いた他は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池X2と称する。
リチウム含有遷移金属酸化物として、Li1.01Ni0.33Co0.33Mn0.33O2の代わりに、Li1.01Ni0.3Co0.3Mn0.4O2(Ni/Mn比=0.75)を用いた他は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池X3と称する。
正極活物質として、Li1.01Ni0.5Co0.3Mn0.2O2(Ni/Mn比=2.5)のみを用いた他は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池X4と称する。
正極活物質として、Li1.01Ni0.33Co0.33Mn0.33O2(Ni/Mn比=1)のみを用いた他は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池X5と称する。
正極活物質として、Li1.01Ni0.3Co0.3Mn0.4O2(Ni/Mn比=0.75)のみを用いた他は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池X6と称する。
本発明電池A1〜A4及び比較電池X1〜X6のIV抵抗について調べたので、その結果を表1に示す。また、本発明電池A1〜A4及び比較電池X1〜X3のIV抵抗については、図1にも示している。尚、具体的な実験条件は、以下の通りである。
先ず、1400mAの電流でSOC50%まで充電した後、SOC50%を中心として280mA、700mA、2100mA、4200mAの電流で10秒間、充電と放電とをそれぞれ行い、各10秒後の電池電圧を電流値に対してプロットし、その傾きをIV抵抗とした。
(実施例1)
実施例としては、前記第1実施例の実施例1で示した本発明電池A1を用いた。
リチウムマンガン酸化物として、Li1.1Al0.1Mn1.8O4の代わりに、Li1.07Mg0.04Mn1.89O4を用いた(添加元素として、Alの代わりにMgを用いた)他は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、本発明電池B1と称する。
リチウムマンガン酸化物として、Li1.1Al0.1Mn1.8O4の代わりに、Li1.1Mn1.9O4を用いた(添加元素を添加していない)他は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、本発明電池B2と称する。
上記本発明電池A1、B1、B2の負荷特性について調べたので、その結果を表2に示す。具体的な実験条件は、下記の通りである。
(1)電池の定格容量の測定
・1400mA(1C)の電流で電池電圧4.2Vまで定電流充電を行った後、4.2V定電圧で電流が70mA(1/20C)となるまで充電を行った。
・470mA(1/3C)の電流で電池電圧3.0Vまで定電流放電を行い、この際の電池容量を測定し、これを定格容量とした。
・1400mA(1C)の電流で電池電圧4.2Vまで定電流充電を行った後、4.2V定電圧で電流が70mA(1/20C)となるまで充電を行った。
・4200mA(3C)の電流で電池電圧3.0Vまで定電流放電を行い、この際の電池容量を測定し、これを高率放電容量とした。
下記式で示す3C放電時の負荷率を算出した。
3C放電時の負荷率=高率放電容量/定格容量×100(%)
(1)上記実施例では、リチウム含有遷移金属酸化物とリチウムマンガン酸化物との質量比を7:3としているが、この比率に限定するものではなく、1:9〜9:1の範囲であれば良く、特に6:4〜9:1の範囲であることが好ましい。このような範囲に規制することで、元来リチウム遷移金属酸化物と比べ、レート特性に優れるスピネル構造を有するマンガン酸化物と混合することで、両酸化物間での電流分担効果が十分に発現する。
Claims (3)
- リチウムの吸蔵、放出が可能な正極活物質を含む正極と、リチウムの吸蔵、放出が可能な負極活物質を含む負極と、リチウムイオン伝導性を有する非水電解液とを備えた非水電解質電池において、
上記正極活物質には、リチウム、ニッケル、コバルト、マンガンを含有する層状構造のリチウム含有遷移金属酸化物とリチウムマンガン酸化物とが含まれ、且つ、上記リチウム含有遷移金属酸化物におけるニッケルとマンガンとのモル量が実質的に等量となるように規制されると共に、全遷移金属に対するコバルトのモル比が0.25以上0.70以下に規制されることを特徴とする非水電解質電池。 - 前記リチウムマンガン酸化物がスピネル構造を有する、請求項1記載の非水電解質電池。
- 前記リチウムマンガン酸化物には、アルミニウム及び/又はマグネシウムが含有されている、請求項1又は2記載の非水電解質電池。
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