JP3430058B2 - 正極活物質および非水電解質二次電池 - Google Patents

正極活物質および非水電解質二次電池

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JP3430058B2
JP3430058B2 JP03109199A JP3109199A JP3430058B2 JP 3430058 B2 JP3430058 B2 JP 3430058B2 JP 03109199 A JP03109199 A JP 03109199A JP 3109199 A JP3109199 A JP 3109199A JP 3430058 B2 JP3430058 B2 JP 3430058B2
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    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウムイオン二
次電池およびリチウム二次電池を含む非水電解質二次電
池の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】近年、ビデオカメラ、携帯電話機および
携帯パソコンなどのコードレス電子機器の発達はめざま
しく、これらの電源用電池としては、電池電圧が高く高
エネルギー密度で充電することができる非水電解質二次
電池が注目されている。このような非水電解質二次電池
に使用する正極活物質としては、LiV38,LiCo
2 ,LiNiO2 およびLiMn24などの多様なリ
チウム遷移金属複合酸化物の使用が検討されている。こ
れらの中でも、LiMn24などのマンガン系酸化物
は、非常に安価であることから特に有望視されている。
【0003】しかしながら、マンガン酸化物を正極活物
質として使用すると、次のような不都合が生じることが
知られている。第一に、非水電解質二次電池には4Vを
超える充電電圧が加えられるので、活性の高いマンガン
の触媒作用によって電解液が分解されてしまい、電池特
性が劣化するという不都合が生じる。第二に、正極活物
質の表面から溶け出したマンガンが非水電解液中を移動
して負極へ作用し、充放電を阻害するという不都合も生
じる。これらの不都合は、特に高温環境下では顕著であ
り、充放電サイクル特性の著しい劣化や保存特性の劣化
を招く。
【0004】そこで、第一の不都合を解消する目的で、
特開平9−35712号公報には、スピネル型リチウム
マンガン酸化物の表面のマンガンを他の遷移金属で置換
する技術が開示されている(従来技術1)。しかしなが
ら、この技術によっては、依然としてリチウムマンガン
酸化物の表面の大部分にマンガンが分布しているので、
マンガンの溶け出しを十分に抑制することができず、第
二の不都合を解消することはできない。
【0005】また、同様の目的で、特開平10−125
306号公報には、正極活物質をリチウムイオン伝導性
ポリマーで被覆する技術が開示されている(従来技術
2)。しかしながら、この技術によっても、正極活物質
にマンガン酸化物を使用すると、電解液がリチウムイオ
ン伝導性ポリマーの内部に浸透してマンガン酸化物の表
面と接触するので、同ポリマーの被覆を通して非水電解
液中にマンガンが溶けだしてしまう。それゆえ、従来技
術2によっても、やはり前述の第二の不都合を解消する
には至らない。
【0006】その結果、従来技術1によっても従来技術
2によっても、正極活物質に安価なマンガン酸化物を使
用している限り、高温環境下で使用すると充放電特性が
劣化してしまう非水電解液二次電池しか提供することが
できない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、正極
活物質に安価なマンガン酸化物を使用していながら、高
温環境下で使用されても充放電特性の劣化が少ない非水
電解質二次電池を提供することを解決すべき課題とす
る。これと共に、このような非水電解質二次電池に使用
するマンガン酸化物を主成分とする安価な正極活物質を
提供することをも、解決すべき課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、発明者は以下の手段を発明した。 (第1手段)本発明の第1手段は、請求項1記載の正極
活物質である。本手段の正極活物質を使用すれば、次の
ような利点をもつ非水電解質二次電池を製造することが
できるようになる。
【0009】すなわち、本手段では、図1に示すよう
に、正極活物質の主成分であるマンガン酸化物粒子の表
面が、マンガン酸化物粒子からマンガンの溶け出しを抑
制する溶出抑制層の非高分子被膜によって覆われてい
る。ここで、溶出抑制層は、非水電解質二次電池が構成
された場合に、マンガン酸化物粒子から非水電解質への
マンガンの溶け出しを抑制するのはもちろんのこと、溶
出抑制層自体からの非水電解質へマンガンを放出しない
ことが望ましい。また、充電時に比較的高電圧がかかっ
ても、非水電解質が溶出抑制層を通してマンガン酸化物
粒子に触れマンガンの活性作用を受けて変性することが
ないように、溶出抑制層は非水電解質を透過させない性
質を持っていることが望ましい。そこで、溶出抑制層に
は、マンガン元素が含まれていないリチウム系複合酸化
物などを使用して、溶出抑制層自体にマンガン元素が含
まれていないことが望ましい。
【0010】それゆえ、非水電解質二次電池の正極にお
いては、非水電解質が活性の高いマンガンに直接触れる
ことが防止されているので、マンガンの触媒作用によっ
て非水電解質が分解されてしまい電池特性が劣化すると
いう第一の不都合は回避される。また、同様の理由で、
正極活物質のマンガン酸化物粒子から非水電解質中への
マンガンの溶出が抑制されるので、溶出したマンガンが
非水電解質中を移動して負極に作用し非水電解質二次電
池の充放電を阻害するという第二の不都合も防止され
る。その結果、前述の第一の不都合も第二の不都合も解
消されるので、比較的高電圧で充電しても電池特性が劣
化せず、比較的高温で保管ないし使用しても充放電特性
が劣化することが防止される。
【0011】具体的には、単に裸のマンガン酸化物粒子
からなる非水電解質二次電池と、本発明の一実施例とし
ての非水電解質二次電池とを比較すると、図2および図
3に示すように、高温下での優れた充放電サイクル特性
および保存特性が実証される。すなわち、図2は、マン
ガン酸化物粒子に溶出抑制層がない比較例と、所定の溶
出抑制層がある本発明の非水電解質二次電池とを、60
℃の雰囲気中で充放電を繰り返した場合の放電容量の低
下を示すグラフである。図2から、充放電のサイクル数
が20程度までの初期容量だけは比較例の方がやや優れ
ているが、サイクル数が40程度を越えると本手段の正
極活物質をもつ本発明の非水電解質二次電池の方が放電
容量において勝り、高温充放電サイクル特性に優れるこ
とが明らかである。なお、初期容量に関しても、後述す
るように溶出抑制層をリチウムコバルト複合酸化物で形
成するなどの手段により、比較例よりも優れた実施例を
製造することが可能である。一方、図3は、初期の放電
容量を100%として、60℃の雰囲気中に300時間
放置された充電済みの非水電解質二次電池の放電容量の
回復率に関して、前述の比較例と本発明の一実施例との
高温保存特性を比較して示す棒グラフである。図3から
明らかなように、本発明の一実施例の方が数%程度、高
温保存による放電容量低下が改善されている。
【0012】したがって本手段によれば、主成分にマン
ガン酸化物を使用していて安価でありながら、高温環境
下で使用されても充放電特性の劣化が少ない非水電解質
二次電池の正極活物質を提供することができるという効
果がある。ここで、非水電解質とは、非水電解液だけを
いうのではなく、ゲル状の非水電解質や固体電解質(あ
る種のポリマー等)をも含む概念であり、溶媒に相当す
るイオン伝導性の高い媒体一般を含む概念である。それ
ゆえ、非水電解質二次電池は、非水電解液二次電池をも
含んではいるが、非水電解液二次電池よりも広い概念を
指している。
【0013】また、マンガン酸化物としては、リチウム
およびマンガンの複合酸化物や二酸化マンガンが代表的
であるが、電池性能やコストが許せば、その他のマンガ
ン酸化物を使用しても良い。なお、マンガン酸化物粒子
は、全表面が溶出抑制層によって覆われていることが最
も望ましいが、一部覆われていない表面があってもサイ
クル容量や保存特性が若干落ちるだけである。それゆ
え、マンガン酸化物粒子の全表面が溶出抑制層によって
覆われている必要は必ずしもないが、マンガン酸化物粒
子の表面のうちなるべく多くの部分が溶出抑制層によっ
て覆われていることが望ましい。
【0014】さらに、本手段の正極活物質を製造する方
法としては、たとえば次のような方法がある。先ず、溶
出抑制層を形成する原料として、リチウム原料とマンガ
ン以外の金属元素原料とを混合し、この混合物微粉末を
マンガン酸化物粒子に加えて混合する。しかる後、溶出
抑制層を形成する混合物微粉末とマンガン酸化物粒子と
の混合物を焼成して、本手段の正極活物質が得られる。
ここで前記リチウム原料としては、たとえば、Li2
3,LiOH・H2O,LiOHなどが挙げられる。ま
た、前記金属元素原料としては、たとえば、TiO2
25,WO3,MoO3 などの酸化物や、H2WO4
2MoO4などの酸を挙げることができる。焼成温度
は、500〜900℃に設定すると、十分な焼成作用が
得られる。また、焼成温度の維持時間は1〜30時間で
あることが好ましく、3〜20時間であることがより望
ましい。ただし、本手段の正極活物質の製造方法は、以
上の方法に限定されるものではない。
【0015】また、本手段では、溶出抑制層は、Ti,
V,Mo,Wのうちいずれかとのリチウム複合酸化物を
主成分として構成されている。それゆえ、溶出抑制層に
はMnはほとんど(または全く)含まれておらず、溶出
抑制層からMnが非水電解質に溶け出すことはないの
で、本手段の正極活物質が非水電解質二次電池に使用さ
れれば、その非水電解質二次電池は良好な耐久性を発揮
することができる。
【0016】なお、Ti,V,MoまたはWを採用した
場合については、後述の各実施例で非水電解質二次電池
の優れた性能が明らかにされているが、CoまたはNi
を採用した場合にも、同様に優れた電池性能が発揮され
る。溶出抑制層にCoまたはNiを採用した場合には、
溶出抑制層としての作用だけではなく、正極活物質とし
ての作用をも溶出抑制層が発揮するので、後述のような
初期容量の低下がほとんど無く、より優れた電池性能が
得られる。(第2手段) 本発明の第2手段は、請求項2記載の正極活物質であ
る。
【0017】(第3手段)本発明の第3手段は、請求項
3記載の正極活物質である。すなわち本手段では、マン
ガン酸化物は、リチウムおよびマンガンの複合酸化物と
二酸化マンガンとのうちいずれかである。前述の第1手
段においては、マンガン酸化物として他のものも採用で
きるのであるが、本手段では、比較的安価であり原料の
入手や製造も容易な物という観点から限定を加えた。リ
チウムおよびマンガンの複合酸化物(リチウムマンガン
複合酸化物)としては、たとえば、LiMn24,Li
1+XMn2-x4 ,Li1+XMn2-x-yMey4(ただしM
eはMn以外の金属元素)などを採用することができ
る。
【0018】したがって本手段によれば、前述の第1手
段または第2手段の効果に加えて、比較的安価であり原
料の入手や製造も容易であるとの効果を生じる。 (第4手段)本発明の第4手段は、請求項4記載の正極
活物質である。本手段では、マンガン酸化物粒子と溶出
抑制層との配合重量比に関して、1:0.001ないし
1:0.01であるとの限定が加えられている。ここ
で、マンガン酸化物粒子と溶出抑制層との配合重量比が
1:0.001を割り込んで小さいと、高温環境下では
溶出抑制層のマンガンの溶出抑制作用が小さくなってし
まい、高温下での非水電解質二次電池の保存特性が劣化
してしまう。逆に同配合重量比が1:0.01を超えて
大きいと、溶出抑制層の被膜が厚くなり、同被膜がもつ
電気抵抗が大きくなって非水電解質二次電池の内部抵抗
が増大するという不都合を生じる。したがって、本手段
のように配合重量比の範囲が限定されていれば、非水電
解質二次電池の高温下での保存特性の劣化が有効に防が
れていながら、あまり非水電解質二次電池の内部抵抗も
大きくならないで済む。その結果、非水電解質二次電池
の初期性能をあまり低下させることなく、高温下でも耐
久性のある非水電解質二次電池を提供することができる
ようになる。
【0019】したがって本手段によれば、前述の第1手
段ないし第3手段の効果に加えて、初期性能の低下が少
なく高温下でも耐久性のある非水電解質二次電池を製造
することができるようになるという効果がある。 (第5手段)本発明の第5手段は、請求項5記載の非水
電解質二次電池である。
【0020】すなわち本手段では、前述の第1手段ない
し第4手段のうちいずれかの正極活物質を正極にもつこ
とを特徴とするので、各手段のもつ効果のうちいずれか
が発揮される。すなわち、正極活物質の主成分として安
価なマンガン酸化物を使用していながら、高温環境下で
使用されても充放電特性の劣化が少ない非水電解質二次
電池を提供することが可能になる。
【0021】したがって、本手段の非水電解質二次電池
によれば、安価でありながら、初期性能があまり低下せ
ず、高温下での長期使用にも優れた耐久性を発揮するこ
とができるという効果がある。なお、本手段の非水電解
質二次電池の負極活物質としては、リチウム金属やリチ
ウム合金の他にも、リチウムイオンを電気化学的に吸蔵
および放出することができる各種の物質を採用すること
ができる。たとえば、黒鉛、コークスおよび有機高分子
化合物等の炭素系材料や、正極活物質に比べて電位が低
いSnOおよびTiO2 等の金属酸化物などを採用する
ことができる。
【0022】また、本手段の非水電解質二次電池の非水
電解質としては、前述のように非水電解液に限定される
ことはないが、リチウム塩を支持電解質とし、同支持電
解質を各種の有機溶媒に溶解させた非水電解液が代表的
である。ここで支持電解質としては、たとえば、LiC
lO4 ,LiBF4 ,LiPF6 ,LiCF3SO3,L
iN(CF3SO22 ,LiN(C25SO22,Li
N(CF3SO2)(C 49SO2)などを採用すること
ができる。これらの中でもフッ素を含む支持電解質が含
まれた非水電解液では、遊離したフッ酸による正極活物
質からのマンガンの溶け出しが溶出抑制層によって有効
に防止されるので、本手段のもつ効果が著しく発揮され
る。一方、非水電解液の有機溶媒としては、たとえば、
プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,
2−ジメトキシエタン、ジメチルカーボネート、ジエチ
ルカーボネート、エチルメチルカーボネート、テトラヒ
ドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒ
ドロピラン等を採用することができる。これらの中でも
カーボネート系の有機溶媒を含む非水電解液では、4V
以上の比較的高電圧で充放電が行われるので、正極活物
質のうちマンガンがほとんど非水電解液に触れることが
ない本手段の非水電解質二次電池の効果は、顕著に現れ
る。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の正極活物質および非水電
解質二次電池の実施の形態については、当業者に実施可
能な理解が得られるよう、本発明の正極活物質を正極に
もつ非水電解質二次電池の実施例と比較例とを対照しつ
つ、明確かつ十分に説明する。 [実施例] (実施例1:A1)本発明の実施例1としての正極活物
質と同正極活物質を正極にもつ非水電解質二次電池は、
次のようにして調製された。
【0024】すなわち、先ず、19.9gのLi2CO3
と86.3gのTiO2 とを乳鉢で一様に混合し、モル
比でLi/Ti=1/2の混合物(混合物1)を作成し
た。次いで、予め900℃で焼成して用意しておいた
1.8kgのLi1.12Mn1.884 に対し、混合物1を
10.6gだけ加えてさらに乳鉢で一様になるまで混合
して新たな混合物(混合物2)を得た。そして、混合物
2をアルミナ製の坩堝に投入し、空気中において650
℃の温度で20時間をかけて焼成した結果、Li 1.12
1.884 からなるマンガン酸化物粒子と、その表面を
覆うリチウムチタン複合酸化物からなる被膜である溶出
抑制層とを形成した。なお、この時のLi 1.12Mn1.88
4 に対するリチウムチタン複合酸化物の配合重量比
率、すなわちマンガン酸化物と溶出抑制層との配合重量
比は、1:0.005(0.5重量%)である。
【0025】その結果、マンガン酸化物を主成分とする
マンガン酸化物粒子と、同マンガン酸化物の表面を覆う
非高分子被膜であり同マンガン酸化物粒子からのマンガ
ンの溶出を抑制する溶出抑制層とからなる正極活物質が
製造された。ここで、マンガン酸化物は、ほぼ純粋なリ
チウムおよびマンガンの酸化物であり、一方、溶出抑制
層は、ほぼ純粋なリチウムチタン複合酸化物、すなわち
Tiとのリチウム複合酸化物である。また、マンガン酸
化物と溶出抑制層との配合重量比の1:0.005とい
う値は、1:0.001ないし1:0.01の範囲の中
間的な値に相当する。
【0026】なお、この正極活物質のうちマンガン酸化
物粒子の直径はおおよそ4μmであり、同粒子の表面を
覆っている溶出抑制層の厚さはおおむね0.003〜
0.01μmであろうと計算上推定される。また、あく
までも推測であるが、容量維持率の88%という高さか
ら、溶出抑制層はマンガン酸化物粒子の表面の大部分を
覆っているものと考えられる。
【0027】本実施例の正極活物質の効果を確認する目
的で、前記正極活物質を正極にもつ非水電解質二次電池
を次のようにして作成した。正極は、先ず正極活物質を
含むペーストづくりから始めた。すなわち、86重量%
の本実施例の正極活物質と、導電材としての10重量%
のグラファイトと、バインダーとしての4重量%のPV
DF(ポリフッ化ビニリデン)とを、溶剤としてのN−
メチル−2−ピロリドン中に溶かしてペーストを作成し
た。しかる後、同ペーストをアルミニウム箔からなる集
電体の一方の表面に所定の重量および膜厚で一様に塗布
し、同ペーストの乾燥後に正極活物質が一方の表面に保
持されたアルミニウム箔を直径14mmの円盤状に打ち
抜いた。そして、アルミニウム箔の表面に保持された正
極活物質等を加圧成形して幾分圧縮した後、真空乾燥さ
せることによって正極を作成した。
【0028】一方、負極は、所定の厚さの金属リチウム
箔を直径15mmの円盤状に打ち抜いて作成された。ま
た、非水電解質としての非水電解液は、体積比3:7で
混合されたエチレンカーボネートとジエチルカーボネー
トとの混合溶液に、溶質である電解質としてLiPF6
を1モル/リットルの割合で溶かすことにより調整され
た。なお、セパレータとしては、厚さが25μmで空孔
率が40%のポリエチレン製の多孔質膜を採用した。
【0029】そして、以上のようにして作成された正
極、負極および非水電解液を用いて、容器の直径が20
mmで厚さが3.0mmの扁平な本発明の非水電解質二
次電池を組立て、実施例1の非水電解質二次電池A1を
作成した。実施例1の非水電解質二次電池A1の主要諸
元は、次の表1に示すように、溶出抑制層の被膜はTi
とのリチウム複合酸化物で形成されており、マンガン酸
化物粒子に対する溶出抑制層の重量比は1:0.005
(0.5重量%)である。また、後述のように裸のマン
ガン酸化物を正極活物質として作成した比較例B9に対
する単位重量あたりの初期放電容量は97%であった。
さらに、充放電サイクル試験を行った結果、この初期放
電容量に対する容量維持率は0.88(88%)であ
り、後述の各比較例のうちいずれよりも高い値をマーク
した。なお、充放電サイクル試験は、各実施例および各
比較例で同一の条件で行われている。すなわち充放電サ
イクル試験は、恒温槽内の60℃の高温環境において、
充電電流密度0.5mA/cm2 で4.3Vまで充電し
た後、放電電流密度0.5mA/cm2 で3Vまで放電
する試験工程を一サイクルとして行われた。そして、5
0サイクル目での放電容量を初期放電容量で割った値
を、その非水電解質二次電池の容量維持率として表1に
記載した。
【0030】
【表1】
【0031】(実施例2:A2)実施例2は、溶出抑制
層の出発物質の一方としてTiO2 に代えてV25を使
用した点を除いて、実施例1と同様である。すなわち、
本実施例では、19.2gのLi2CO3と94.7gの
25とを乳鉢で一様に混合し、実施例1と同様にモル
比でLi/V=1/2の混合物(混合物1)を作成し
た。次いで、予め900℃で焼成して用意しておいた
1.8kgのLi1.12Mn1.884 に対し、混合物1を
11.4gだけ加えてさらに乳鉢で一様になるまで混合
し、新たな混合物(混合物2)を得た。そして、混合物
2をアルミナ製の坩堝に投入し、空気中において650
℃の温度で20時間をかけて焼成した結果、Li1.12
1.884 からなるマンガン酸化物粒子と、その表面を
覆うリチウムバナジウム複合酸化物からなる被膜である
溶出抑制層とを形成した。なお、この時のLi1.12Mn
1.884 に対するリチウムバナジウム複合酸化物の配合
重量比率、すなわちマンガン酸化物と溶出抑制層との配
合重量比は、実施例1と同じ1:0.005(0.5重
量%)である。
【0032】また、以上の正極活物質を採用している点
を除けば、正極を作成する方法を始め、実施例2の非水
電解質二次電池A2を作成する方法は、実施例1と同様
である。さらに、初期放電容量および容量維持率も、実
施例1と同様の試験方法で測定された。その結果、前記
表1に示すように、単位重量あたりの初期容量は、前述
の実施例1よりも約2%少なく95%に留まっている。
また、充放電サイクル試験での50サイクル目の容量維
持率も、実施例1よりも0.01だけ少ない0.87で
ある。しかしながら、本実施例の容量維持率もまた、後
述の各比較例のいずれよりも高い値をマークしている。
【0033】(実施例3:A3)実施例3は、溶出抑制
層の出発物質の一方としてTiO2 に代えてH2WO4
使用した点を除いて、実施例1と同様である。すなわ
ち、本実施例では、13.9gのLi2CO3と94.2
gのH2WO4とを乳鉢で一様に混合し、実施例1とは異
なってモル比でLi/W=1/1の混合物(混合物1)
を作成した。次いで、予め900℃で焼成して用意して
おいた1.8kgのLi1.12Mn1.884 に対し、混合
物1を10.8gだけ加えてさらに乳鉢で一様になるま
で混合し、新たな混合物(混合物2)を得た。そして、
混合物2をアルミナ製の坩堝に投入し、空気中において
650℃の温度で20時間をかけて焼成した結果、Li
1.12Mn1.884 からなるマンガン酸化物粒子と、その
表面を覆うリチウムタングステン複合酸化物からなる被
膜である溶出抑制層とを形成した。なお、この時のLi
1.12Mn1.884 に対するリチウムタングステン複合酸
化物の配合重量比率、すなわちマンガン酸化物と溶出抑
制層との配合重量比は、実施例1と同じ1:0.005
(0.5重量%)である。
【0034】また、以上の正極活物質を採用している点
を除けば、正極を作成する方法を始め、実施例3の非水
電解質二次電池A3を作成する方法は、実施例1と同様
である。さらに、初期放電容量および容量維持率も、実
施例1と同様の試験方法で測定された。その結果、前記
表1に示すように、単位重量あたりの初期容量は、前述
の実施例1よりも約1%少なく96%に留まっている。
また、充放電サイクル試験での50サイクル目の容量維
持率も、実施例1よりも0.01だけ少ない0.87で
ある。しかしながら、本実施例の容量維持率もまた、後
述の各比較例のいずれよりも高い値をマークしている。
【0035】(実施例4:A4)実施例4は、溶出抑制
層の出発物質の一方としてTiO2 に代えてMoO3
使用した点を除いて、実施例1と同様である。すなわ
ち、本実施例では、22.0gのLi2CO3と85.9
gのMoO3 とを乳鉢で一様に混合し、実施例1とは異
なってモル比でLi/Mo=1/1の混合物(混合物
1)を作成した。次いで、予め900℃で焼成して用意
しておいた1.8kgのLi1.12Mn1.884 に対し、
混合物1を10.8gだけ加えてさらに乳鉢で一様にな
るまで混合し、新たな混合物(混合物2)を得た。そし
て、混合物2をアルミナ製の坩堝に投入し、空気中にお
いて650℃の温度で20時間をかけて焼成した結果、
Li1.12Mn1.884 からなるマンガン酸化物粒子と、
その表面を覆うリチウムモリブデン複合酸化物からなる
被膜である溶出抑制層とを形成した。なお、この時のL
1.12Mn1.884 に対するリチウムモリブデン複合酸
化物の配合重量比率、すなわちマンガン酸化物と溶出抑
制層との配合重量比は、実施例1と同じ1:0.005
(0.5重量%)である。
【0036】また、以上の正極活物質を採用している点
を除けば、正極を作成する方法を始め、実施例4の非水
電解質二次電池A4を作成する方法は、実施例1と同様
である。さらに、初期放電容量および容量維持率も、実
施例1と同様の試験方法で測定された。その結果、前記
表1に示すように、単位重量あたりの初期容量は、前述
の実施例1よりも約1%少なく96%に留まっている。
また、充放電サイクル試験での50サイクル目の容量維
持率も、実施例1よりも0.01だけ少ない0.87で
ある。しかしながら、本実施例の容量維持率もまた、後
述の各比較例のいずれよりも高い値をマークしている。
【0037】(実施例5〜12:A5〜A12)実施例
1〜4と同様にTi,V,WまたはMoとのリチウム複
合酸化物からなる溶出抑制層の被膜を、リチウムマンガ
ン酸化物の表面を覆って形成した。そして、同被膜のリ
チウムマンガン酸化物Li1.12Mn1.884 に対する重
量比を、前記表1に示すように、1:0.001(0.
1重量%)または1:0.01(1重量%)で混合して
各実施例の正極活物質を作成した。これら二種類の混合
重量比は、望ましい混合重量比である1:0.001な
いし1:0.01の範囲の下限値および上限値である。
【0038】また、実施例1と同様にして、アルミニウ
ム箔からなる集電体の一方の表面にそれぞれの正極活物
質等を加圧成形した正極をもつ非水電解質二次電池の実
施例5〜12(A5〜A12)を作成した。これらの実
施例の評価については、後述の比較評価の項で説明す
る。 (実施例13:A13)本実施例の正極活物質は、溶出
抑制層を形成するための出発物質の一方に、Li2CO3
に代えてLiOHを採用した点が実施例1と異なってい
る。
【0039】すなわち、本実施例では、12.9gのL
iOHと86.3gのTiO2 とを乳鉢で一様に混合
し、実施例1とは異なってモル比でLi/Ti=1/1
の混合物(混合物1)を作成した。次いで、予め900
℃で焼成して用意しておいた1.8kgのLi1.12Mn
1.884 に対し、混合物1を9.92gだけ加えてさら
に乳鉢で一様になるまで混合し、新たな混合物(混合物
2)を得た。そして、混合物2をアルミナ製の坩堝に投
入し、空気中において650℃の温度で20時間をかけ
て焼成した結果、Li1.12Mn1.884 からなるマンガ
ン酸化物粒子と、その表面を覆うリチウムチタニウム複
合酸化物からなる被膜である溶出抑制層とを形成した。
なお、この時のLi1.12Mn1.884 に対するリチウム
チタニウム複合酸化物の配合重量比率、すなわちマンガ
ン酸化物と溶出抑制層との配合重量比は、実施例1と同
じ1:0.005(0.5重量%)である。
【0040】また、正極を作成する方法を始め、実施例
13の非水電解質二次電池A13を作成する方法は、実
施例1と同様である。さらに、初期放電容量および容量
維持率も、実施例1と同様の試験方法で測定された。本
実施例(A13)の評価についても、後述の比較評価の
項で説明する。 (実施例14:A14)本実施例の正極活物質も、溶出
抑制層を形成するための出発物質の一方にLiOHを採
用した点が実施例3と異なっている。
【0041】すなわち、本実施例では、16.4gのL
iOHと79.7gのWO3 とを乳鉢で一様に混合し、
実施例3とは異なってモル比でLi/W=2/1の混合
物(混合物1)を作成した。次いで、予め900℃で焼
成して用意しておいた1.8kgのLi1.12Mn1.88
4 に対し、混合物1を9.61gだけ加えてさらに乳鉢
で一様になるまで混合し、新たな混合物(混合物2)を
得た。そして、混合物2をアルミナ製の坩堝に投入し、
空気中において650℃の温度で20時間をかけて焼成
した結果、Li1.12Mn1.884 からなるマンガン酸化
物粒子と、その表面を覆うリチウムタングステン複合酸
化物からなる被膜である溶出抑制層とを形成した。な
お、この時のLi1.12Mn1.884 に対するリチウムタ
ングステン複合酸化物の配合重量比率、すなわちマンガ
ン酸化物と溶出抑制層との配合重量比は、実施例3と同
じ1:0.005(0.5重量%)である。
【0042】また、正極を作成する方法を始め、実施例
14の非水電解質二次電池A14を作成する方法は、実
施例1と同様である。さらに、初期放電容量および容量
維持率も、実施例1と同様の試験方法で測定された。本
実施例(A14)の評価についても、後述の比較評価の
項で説明する。 (実施例15:A15)本実施例の正極活物質も、溶出
抑制層を形成するための出発物質の一方にLiOHを採
用した点が実施例4と異なっている。
【0043】すなわち、本実施例では、24.8gのL
iOHと74.5gのMoO3 とを乳鉢で一様に混合
し、実施例4とは異なってモル比でLi/Mo=2/1
の混合物(混合物1)を作成した。次いで、予め900
℃で焼成して用意しておいた1.8kgのLi1.12Mn
1.884 に対し、混合物1を9.93gだけ加えてさら
に乳鉢で一様になるまで混合し、新たな混合物(混合物
2)を得た。そして、混合物2をアルミナ製の坩堝に投
入し、空気中において650℃の温度で20時間をかけ
て焼成した結果、Li1.12Mn1.884 からなるマンガ
ン酸化物粒子と、その表面を覆うリチウムモリブデン複
合酸化物からなる被膜である溶出抑制層とを形成した。
なお、この時のLi1.12Mn1.884 に対するリチウム
モリブデン複合酸化物の配合重量比率、すなわちマンガ
ン酸化物と溶出抑制層との配合重量比は、実施例4と同
じ1:0.005(0.5重量%)である。
【0044】また、正極を作成する方法を始め、実施例
15の非水電解質二次電池A15を作成する方法は、実
施例1と同様である。さらに、初期放電容量および容量
維持率も、実施例1と同様の試験方法で測定された。本
実施例(A15)の評価についても、後述の比較評価の
項で説明する。 [比較例] (比較例1〜8:B1〜B8)比較例1〜8の正極活物
質では、前述の各実施例と同様に、マンガン酸化物粒子
にはLi1.12Mn1.884 が採用された。同様に溶出抑
制層の出発物質には、Li2CO3と、実施例1〜4に対
応する四種の金属元素を含む酸化物等とが採用されて、
リチウム系複合酸化物からなる溶出抑制層が形成されて
いる。ただし、前記表1に示すように、マンガン酸化物
粒子に対する溶出抑制層の重量比は、望ましい範囲
(0.1〜1重量%)から外れて設定されており、0.
05重量%または5重量%である。このような条件で比
較例1〜8の正極活物質が製造された。なお、これらの
正極活物質は、前述の第4手段の条件を満足していない
だけで第1手段ないし第3手段の条件は満足しているか
ら、本来は実施例として扱うべきものである。しかし、
比較例1〜8は、第4手段の条件をも満足している前述
の各実施例に比較していささか見劣りがするので、あえ
て比較例として扱うことにした。
【0045】また、正極を作成する方法を始め、比較例
1〜8の非水電解質二次電池B1〜B8を作成する方法
は、実施例1と同様である。さらに、初期放電容量およ
び容量維持率も、実施例1と同様の試験方法で測定され
た。これらの各比較例(B1〜B8)の評価について
も、後述の比較評価の項で説明する。 (比較例9:B9)本比較例の正極活物質は、前述の各
実施例および各比較例と同様にマンガン酸化物粒子には
Li1.12Mn1.884 を採用しているが、マンガン酸化
物粒子の表面を覆う溶出抑制層はもっていない。すなわ
ち、本比較例の正極活物質は、厳密な意味でも本発明の
実施例ではなく、従来技術ないし通常技術ともいうべき
類のものである。なお、本比較例の非水電解質二次電池
B9も、正極活物質が異なるだけで、あとは前述の各実
施例および各比較例と同様の方法で作成された。
【0046】前記表1に示す各実施例および各比較例の
初期放電容量は、本比較例の非水電解質二次電池B9の
初期放電容量を100%の基準値として、比較された値
である。ただし、充放電サイクル試験での容量維持率
は、各実施例および各比較例において、それぞれの初期
放電容量を1として各個に算定された値である。 [比較検討]以上の各実施例および各比較例の正極活物
質に対してX線回折測定を実施したところ、全ての例の
正極活物質について互いにピークパターンの変化やピー
ク位置のシフトなどの違いは見られなかった。すなわ
ち、全ての実施例と比較例1〜8において、比較例9の
Li1.12Mn1.884 からなるマンガン酸化物粒子だけ
の正極活物質の場合と同様のピークパターンおよびピー
ク位置が得られた。それゆえ、正極活物質の核となるL
1.12Mn1.884 のマンガン酸化物粒子に構造的な変
化はなく、単に添加したそれぞれの元素とのリチウム複
合酸化物からなる溶出抑制層の被膜に、マンガン酸化物
粒子の表面が覆われているものと推定できる。このよう
なX線回折測定の結果を踏まえて再び前記表1を見直す
と、各非水電解質二次電池の性能の差は、マンガン酸化
物粒子の表面に付着した溶出抑制層の違いによって生じ
ているものと考えることができる。
【0047】すなわち、実施例1〜4の各非水電解質二
次電池(A1〜A4)を互いに比較して検討してみる
と、リチウムチタン複合酸化物の溶出抑制層をもつ正極
活物質を採用した非水電解質二次電池A1が最も優れた
性能を発揮している。つまり、非水電解質二次電池A1
においては、初期放電容量が基準となるB9の97%で
あり、高温雰囲気中での充放電サイクル試験の結果とし
ての容量維持率は、初期放電容量の88%である。すな
わち、高温雰囲気中での充放電サイクル試験の結果で
も、B9の初期放電容量に比べて97%×88%=85
%もの放電容量を維持しており、B9の容量維持率であ
る74%を11%も凌駕している。
【0048】したがって、実施例1の非水電解質二次電
池A1によれば、正極活物質の主成分に安価なマンガン
酸化物を使用していながら、高温環境下で使用されても
充放電特性の劣化が少なくなるという効果がある。実施
例1〜4の非水電解質二次電池A1〜A4のうちで最も
性能が劣っているのが、リチウムバナジウム酸化物で溶
出抑制層を形成したA2である。それでも、非水電解質
二次電池A2は、初期放電容量こそB9の95%と劣っ
ているものの、充放電サイクル試験の試験後の容量維持
率は86%をマークしている。それゆえ、非水電解質二
次電池A2は、95%×86%=82%とB9の容量維
持率74%よりも8%も高い放電容量を維持しており、
高温下での充放電サイクル特性は基準となる比較例9よ
り優れていることが立証された。
【0049】また、溶出抑制層の添加元素としてそれぞ
れタングステンとモリブデンとを使用した実施例3およ
び実施例4の非水電解質二次電池A3,A4は、互いに
同等な性能を持つ。すなわち、非水電解質二次電池A
3,A4の初期放電容量は、いずれもB9の96%であ
り、充放電サイクル試験での容量維持率はいずれも87
%である。したがって、実施例3および実施例4の非水
電解質二次電池A3,A4は、実施例1の非水電解質二
次電池A1と実施例2の非水電解質二次電池A2との中
間的な性能を発揮し、やはり高温下での充放電サイクル
特性は基準となる比較例9より優れている。
【0050】以上の検討から、溶出抑制層を形成するリ
チウム複合酸化物に添加する元素としては、Ti,V,
W,MoのうちTiが最も優れており、高温下での充放
電サイクル特性が極めて優れていることが明らかになっ
た。次に、マンガン酸化物粒子に対する溶出抑制層の重
量比がそれぞれ0.1%,0.5%,1%である非水電
解質二次電池A5,A1,A6を互いに比較した。する
と、初期放電容量は、溶出抑制層の重量比が低い方が高
い傾向にあることが明らかになった。しかし、充放電サ
イクル試験での容量維持率は、逆に溶出抑制層の重量比
が高い方が高い傾向にあることが明らかになった。以上
のことから考察すると、溶出抑制層の重量比が0.1重
量%では溶出抑制層の厚さが不足しているか、あるいは
溶出抑制層に覆われていないマンガン酸化物粒子の表面
が多いものと推測される。その結果、正極活物質の溶出
抑制層の重量比が0.1重量%の非水電解質二次電池A
5は、裸のマンガンリチウム酸化物からなるマンガン酸
化物粒子を正極活物質とする比較例9の非水電解質二次
電池B9に比較的近い性質を持っている。
【0051】一方、充放電サイクル試験での維持された
放電容量は、B9の初期放電容量を100%として、非
水電解質二次電池A5,A1,A6についてそれぞれ8
0%,85%,87%である。したがって、溶出抑制層
の重量比が0.1重量%ないし1重量%であれば、B9
の初期放電容量に対して充放電サイクル試験でも80%
台の放電容量が発揮されることが明らかになった。ま
た、溶出抑制層の重量比が0.1重量%ないし1重量%
の範囲であれば、50回の充放電サイクル試験の成績は
溶出抑制層の重量比が大きいほど優れていた。ただし、
比較例2の非水電解質二次電池B2のように、溶出抑制
層の重量比が5重量%もあると、50回の充放電サイク
ル試験の成績は逆に下がってしまうが、さらに長期に渡
って充放電サイクル試験を行うと好成績が得られる可能
性がある。また、比較例1の非水電解質二次電池B1の
ように、溶出抑制層の重量比が0.05重量%にしかす
ぎないと、初期放電容量は高いものの容量維持率は低く
なってしまうので、高温環境下での長期使用には好適で
はないものの、B9よりは好成績を発揮できる。それゆ
え、非水電解質二次電池に要求される使用温度および充
放電サイクル寿命について定まれば、マンガン酸化物粒
子に対する溶出抑制層の重量比に関して、自ずから適正
な値が定まるものと考えられられる。
【0052】同様に、溶出抑制層をリチウムバナジウム
複合酸化物で形成した正極活物質をもつ非水電解質二次
電池B3,A7,A2,A8,B4を互いに比較して
も、前述のB1,A5,A1,A6,B2と同様の傾向
が見られる。また、溶出抑制層をリチウムタングステン
複合酸化物で形成した正極活物質をもつ非水電解質二次
電池B5,A9,A3,A10,B6を互いに比較して
も、同様の傾向が認められる。さらに、溶出抑制層をリ
チウムモリブデン複合酸化物で形成した正極活物質をも
つ非水電解質二次電池B7,A11,A4,A12,B
8を互いに比較しても、同様の傾向が認められる。
【0053】なお、実施例13〜15を前述の実施例
1,3,4とそれぞれ比較すると、溶出抑制層を形成す
るリチウム複合酸化物の添加元素とリチウム元素とのモ
ル比が異なっていても、電池特性に大幅な変動はないこ
とが分かる。したがって、本発明の正極活物質を正極に
もつ非水電解質二次電池は、裸のマンガン酸化物粒子を
正極活物質とする非水電解質二次電池に比べ、高温環境
下での長期使用においてより大きな放電容量を発揮する
ことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の正極活物質の構成を模式的に示す断
面図
【図2】 本発明の非水電解質二次電池の高温充放電サ
イクル特性を示すグラフ
【図3】 本発明の非水電解質二次電池の高温保存特性
を示すグラフ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長谷川 順 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式 会社デンソー内 (72)発明者 沼田 幸一 広島県竹原市塩町1丁目5番1号 三井 金属鉱業株式会社 電池材料研究所内 (72)発明者 石田 新太郎 広島県竹原市塩町1丁目5番1号 三井 金属鉱業株式会社 電池材料研究所内 (56)参考文献 特開 平8−162114(JP,A) 特開 平8−222219(JP,A) 特開 平9−115514(JP,A) 特開 平4−329267(JP,A) 特開 平6−111819(JP,A) 特開 平7−288127(JP,A) 特開 平8−250120(JP,A) 特開 平11−185758(JP,A) 特開2000−133272(JP,A) 特開2000−90915(JP,A) 国際公開97/023918(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 4/00 - 4/62

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マンガン酸化物を主成分とするマンガン酸
    化物粒子と、 該マンガン酸化物粒子の表面を覆う非高分子被膜であり
    該マンガン酸化物粒子からのマンガンの溶出を抑制する
    溶出抑制層と、からなり、該溶出抑制層は、Ti,V,Mo,Wのうち
    いずれかとのリチウム複合酸化物を主成分として構成さ
    れている ことを特徴とする正極活物質。
  2. 【請求項2】前記溶出抑制層は、リチウムタングステン
    複合酸化物を主成分として構成されている、 請求項1記載の正極活物質。
  3. 【請求項3】前記マンガン酸化物は、リチウムおよびマ
    ンガンの複合酸化物と二酸化マンガンとのうちいずれか
    である、 請求項1〜2のうちいずれかに記載の正極活物質。
  4. 【請求項4】前記マンガン酸化物粒子と前記溶出抑制層
    との配合重量比は、1:0.001ないし1:0.01
    である、 請求項1〜3のうちいずれかに記載の正極活物質。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のうちいずれかに記載の正極
    活物質を正極にもつことを特徴とする非水電解質二次電
    池。
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