JP4412840B2 - リチウムポリマー電池およびその製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機電解液と前記有機電解液を保持したホストポリマーからなるゲル電解質をセパレータ層として正極と負極との間に介在させたリチウムポリマー電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機電解液を有し、リチウム含有複合酸化物を正極活物質、炭素材料を負極活物質とするリチウムイオン二次電池は、水溶液の電解液を有する二次電池に比べて電圧およびエネルギー密度が高く、かつ、低温特性が優れている。また、この電池は、負極にリチウム金属を用いていないことからサイクルの安定性、安全性にも優れており、急速に実用化されている。そして、セパレータ層として有機電解液およびそれを保持したホストポリマーからなるゲル電解質を用いたリチウムポリマー電池が、薄型・軽量の新規な電池として開発されつつある。
【0003】
リチウムイオン電池のセパレータは、電解液に溶解または膨潤しにくい材料からなるため、セパレータが電解液と反応することに起因して、電池のサイクル特性が劣化することは希である。また、リチウムイオン電池の正極および負極に含まれるバインダもサイクル特性の劣化には関与しない。
【0004】
しかし、リチウムポリマー電池は、セパレータとしてゲル電解質を用いているため、特に高温において、そのホストポリマーの化学的安定性や電解液との反応性が電池の劣化に大きく影響する。例えば、溶質として6フッ化リン酸リチウムを用いた電解液は、高温でポリエチレンオキサイドなどからなるホストポリマーと反応し、ホストポリマーの架橋体が形成する網目構造を切断する。その結果、ゲル電解質はゲル状態を保てなくなり、正極板と負極板とを接着する機能も低下する。
【0005】
ゲル電解質のホストポリマーとして、これまでに種々の高分子材料が提案されている。エチレンオキサイド単位を含む高分子材料(例えば米国特許第4,303,748号)は、有機電解液との親和性に優れているが、高温でゾル/ゲル転移を起こしたり、酸化されやすく、熱安定性に問題を有している。
【0006】
ポリアクリロニトリルからなる材料(例えばJ. Polym. Sci., 27, 4191 (1982))は、難燃性を有し、かつ、高いイオン伝導度を示すものの、親和性のよい電解液の種類が限られていることやゲルの熱安定性などに問題がある。
【0007】
フッ化ビニリデン単位を含む高分子材料(例えば米国特許第5,296,318号)は、電気化学的に安定な電位幅が広く、フッ素を含有するため難燃性を有するが、高温における電解液との親和性が低いという問題がある。
【0008】
ポリアクリレートからなる材料(例えば、J. Phys. Chem., 89, 987(1984))は、電解液の保持に優れるが、電気化学的に不安定である。
前記各材料を他のモノマーと共重合させる、化学的に架橋する、または他のポリマーとのポリマーアロイにする手法も提案されている。
【0009】
例えば、アルキレンオキシドとフッ素ポリマーとの混合物(特開平11−35765号公報)、ポリフッ化ビニリデンと、金属に対する結合能力を有するアクリレート単位を含有する共重合体と、メルカプト基などを有する有機化合物との混合物(特開平11−228902号公報)などが提案されている。しかし、これらの混合物を用いると、均一な混合状態のゲル電解質が得られないという問題がある。
【0010】
フルオロオレフィンと不飽和結合を有する炭化水素との共重合体(特開平11−39941号公報)、ガンマー線照射によりアクリル酸などをポリフッ化ビニリデンにグラフト結合させた共重合体(米国特許第6,037,080号)なども提案されている。しかし、これらの共重合体は、電解液との親和性が低く、有機電解液とゲル電解質を形成しにくいという問題がある。
【0011】
したがって、ゲル電解質を有さないリチウムイオン電池と比較した場合、ゲル電解質を有するリチウムポリマー電池は、一般に高温における保存性が劣っている。例えばリチウムポリマー電池を80℃で3日間保存した場合、1時間率の放電で得られる容量は、保存前の容量の80%以下に劣化してしまうことがある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、セパレータとしてのゲル電解質の高温における安定性を改良することにより、高温における保存特性がよく、信頼性に優れたリチウムポリマー電池を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ゲル電解質を構成するホストポリマーとして、例えば主鎖がポリフッ化ビニリデン構造を有し、側鎖が(メタ)アクリレート単位およびアルキレンオキシド単位を有する共重合体を用いることにより、高温での安定性に優れたゲル電解質を得ることができるという発見に基いている。
【0014】
本発明は、リチウム含有複合酸化物を活物質とする正極と、リチウムの吸蔵・放出が可能な材料を活物質とする負極と、有機電解液および前記有機電解液を保持したホストポリマーからなるゲル電解質とを有し、前記正極と前記負極との間に前記ゲル電解質がセパレータ層として介在したリチウムポリマー二次電池において、前記ホストポリマーが、(メタ)アクリレート単位およびアルキレンオキシド単位を含む側鎖ならびにフッ化ビニリデン単位を含む主鎖を有する共重合体の架橋体であることを特徴とするリチウムポリマー電池に関する。
【0015】
前記共重合体において、前記側鎖部分の重量比率は1〜30重量%である。
前記側鎖は、平均分子量300〜1600のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートからなる。
【0016】
前記正極および前記負極の少なくとも一方は、酸素含有基を有する変性ポリフッ化ビニリデンからなるバインダを含有することが好ましい。
前記正極は、酸素含有基を有する変性フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合体からなるバインダを含有することが好ましい。
前記負極は、(メタ)アクリレート単位を含むポリマーのアイオノマーからなるバインダを含有することが好ましい。
前記負極は、アクリロニトリル単位、スチレン単位およびブタジエン単位を含む粒子状ゴムからなるバインダを含有することが好ましい。
【0017】
本発明は、また、正極板と、(メタ)アクリレート単位およびアルキレンオキシド単位を含む側鎖およびフッ化ビニリデン単位を含む主鎖を有する共重合体であり、前記側鎖が、平均分子量300〜1600のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートからなるセパレータ層と、負極板とを、前記セパレータ層を前記正極と前記負極との間に介在させて積層することにより電極群を得る工程、電池ケース内に前記電極群を収容後、前記電池ケース内に熱重合開始剤および有機電解液を入れ、前記電池ケースを封止する工程、および封止後の電池を加熱して前記共重合体を架橋させる工程を有し、
前記共重合体において、前記側鎖部分の重量比率が1〜30重量%であることを特徴とするリチウムポリマー電池の製造法に関する。
【0018】
前記方法によれば、ホストポリマーからなるセパレータ層に有機電解液を含有させた後に熱重合によりホストポリマーを架橋させるため、緻密で化学的に安定な網目構造を有する高温での安定性、耐酸化性に優れたゲル電解質が得られる。その結果、ポリマー電池の高温保存特性も向上する。
得られたゲル電解質においては、ホストポリマーの架橋体と電解液とが充分に親和しており、セパレータ層と正極および負極の表面との密着性も高い。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明で用いるホストポリマーは、主鎖および側鎖からなる分岐構造を有する共重合体の架橋体である。前記共重合体の分子量は10万〜150万程度である。主鎖はフッ化ビニリデン単位を含むため、高温における安定性に優れている。一方、側鎖はアルキレンオキシド単位を含むため、電解液との親和性に優れており、ホストポリマーに優れたゲル形成機能を付与する。
側鎖は重合性の二重結合を有する(メタ)アクリレート単位を含む。従って、前記共重合体に電解液を膨潤させた後に前記共重合体を架橋させることができる。得られたホストポリマーは、高温における安定性および電解液との親和性に優れており、均質な網目構造を有し、ゲル電解質は高温での安定性に優れたものとなる。
【0020】
前記共重合体の主鎖は、特にポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ペンタフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン共重合体などの構造を有することが好ましい。主鎖部分の分子量は、10万〜100万であることが好ましい。
前記共重合体の側鎖を構成するアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどが挙げられる。これらの単位は側鎖に単独で含まれていてもよく、複数種含まれていてもよい。側鎖は、特にポリアルキレンオキシド構造の末端に(メタ)アクリレート基を有することが好ましい。
【0021】
前記重合体おいて、側鎖部分の重量比率は、1〜30重量%、さらには1〜10重量%であることが好ましい。
側鎖の重量比率が1重量%未満では、ホストポリマーのゲル形成機能が不充分であり、30重量%を超えると、高温におけるホストポリマーの安定性が低下する。
【0022】
側鎖は、例えばポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートからなることが好ましい。ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートの平均分子量は300〜1600である。平均分子量が300未満では、ホストポリマーのゲル形成機能が不充分であり、1600を超えると、高温におけるホストポリマーの安定性が低下する。
【0023】
前記共重合体は、例えばポリフッ化ビニリデンを酸化してOH基、COOH基、O2ラジカル基などの酸素含有基を導入し、その酸素含有基とポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとを反応させれば得ることができる。
【0024】
前記共重合体の製造方法の一例について説明する。
まず、反応器中でポリフッ化ビニリデン(平均分子量10万〜100万)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解し、酸素バブリング下、50〜90℃、好ましくは70℃程度で6〜72時間、好ましくは24時間程度、ポリフッ化ビニリデンの酸化反応を行う。
【0025】
電極のバインダとして用いる後述の酸素含有基を有する変性ポリフッ化ビニリデンや酸素含有基を有する変性フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合体は、上記のような方法で得ることができる。
【0026】
その後、前記反応器に例えば平均分子量1100程度のポリエチレングリコールジアクリレートを添加し、3〜48時間、好ましくは12時間程度反応させる。ポリフッ化ビニリデンと反応したポリエチレングリコールジアクリレートの量は、反応前のポリフッ化ビニリデンの重量と反応後に得られた共重合体との重量変化から容易に見積もることができる。
【0027】
ポリエチレングリコールジアクリレートとポリフッ化ビニリデンとの反応は、最初にポリエチレングリコールジアクリレートとポリフッ化ビニリデンとの均一溶液をつくり、アミンなどのアルカリ性物質の共存下、酸素雰囲気または電子線照射下で反応させてもよい。
【0028】
次に、ゲル電解質からなるセパレータ層の形成方法の一例について説明する。まず、無機フィラーと得られた共重合体とをNMPに分散させてスラリーを調製する。無機フィラーの使用量は、得られた共重合体100重量部に対して10〜100重量部であり、NMPの使用量は、得られた共重合体100重量部に対して100〜500重量部である。
【0029】
無機フィラーとしては、表面に疎水化処理を施した二酸化ケイ素、酸化アルミニウムなどの微粒子を用いることができる。次いで、前記スラリーを負極板上に塗着し、乾燥し、無機フィラーと共重合体を含んだセパレータ層を形成する。
【0030】
この負極板と正極板とを前記セパレータ層が中心になるように積層し、捲回して電極群を作製する。前記電極群を電池ケース内に収容した後、共重合体の重量に対して0.01〜1重量%、好ましくは0.1重量%程度の熱重合開始剤を添加した有機電解液を減圧注液し、電池ケースを封止する。熱重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル(和光純薬工業製のV−65(商品名))などが好ましい。そして、50〜80℃、好ましくは70℃程度で15分〜4時間、好ましくは1時間程度の加熱を行うと、セパレータ層中の共重合体が架橋し、ゲル電解質からなるセパレータ層が電池内で形成される。
【0031】
本発明のポリマー電池においては、正極と負極との間に前記ゲル電解質からなるセパレータ層が介在している。前記正極および負極は、活物質とそのバインダを含んでいる。正極活物質としては、例えばLiNiO2、LiMn2O4、LiMnO2、LiV3O8などのリチウム含有複合酸化物が用いられる。また、負極活物質としては、天然黒鉛、人造黒鉛、黒鉛化炭素繊維などの炭素材料、Si、Sn、Al、B、Ge、P、Pbなどからなる合金や酸化物、Li3N、Li3-xCoxNなどの窒化物が用いられる。
【0032】
ゲル電解質を形成する有機電解液は、溶質を有機溶媒に溶解したものである。溶質としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2などが用いられる。また、有機溶媒としては、プロピレンカーボネイト、ブチレンカーボネイト、メチルプロピルカーボネイト、エチルプロピルカーボネイトなどの環状または鎖状カーボネイト、γ−ブチロラクトン、プロピオン酸エチルなどの環状または鎖状エステルが用いられる。溶質や有機溶媒は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
ポリマー電池においては、充放電により、溶媒和したリチウムイオンが正極と負極との間を移動する。バインダとして電解液で膨潤しやすい材料を用いた場合、リチウムイオンの移動に伴い電解液も電極内へ移動し、極板を膨張させる。特に負極においては、充電時に移動した溶媒による極板の膨張が大きく、極板内の電子ネットワークの破壊、活物質粒子の遊離等が起こりやすい。従って、正極および負極に含まれるバインダとしては、電解液に膨潤しにくく、活物質を接合する能力が高く、かつ、金属集電体との接合性やゲル電解質からなるセパレータ層との接合性が良いものが望まれる。
【0034】
従来、バインダとしては、ポリフッ化ビニリデンなどが多用されている。ポリフッ化ビニリデンの構造においては、フッ素と水素とが交互に配列しており、各モノマー単位が分極していることから、分子内および分子間に双極子相互作用を起こすことが知られている。ただし、ポリフッ化ビニリデンなどはフッ素を含んでいるため、表面エネルギーが小さく、化学的な接着作用があまり期待できない。
【0035】
本発明の好ましい態様においては、正極のバインダとして酸素含有基を有する例えば分子量10万〜100万の変性ポリフッ化ビニリデン、酸素含有基を有する例えば分子量10万〜100万の変性フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合体を用いる。これらのポリマーは、ポリフッ化ビニリデンやフッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合体に、水酸基、カルボニル基、カルボキシル基などの酸素含有基を導入して化学的な接着機能を付与したものである。これらのバインダを用いると、酸素含有基の作用により、金属集電体と電極合剤間、電極合剤内の粒子間および正極とセパレータ層間における接着力を従来よりも高めることができる。酸素含有基は、変性する前のポリマーの重量に対して0.1〜2重量%程度の量を導入すれば有効に作用する。
【0036】
酸素含有基は、上述したようにNMP中での脱フッ酸(HF)反応に付随する酸化反応により、ポリフッ化ビニリデンやフッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合体に導入することができる。この酸化反応は、水酸化リチウム、アミンなどのアルカリ性物質の共存により加速される。酸素含有基を有する変性ポリフッ化ビニリデンや酸素含有基を有する変性フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合体は、いくつかのメーカーから入手可能である。市販の材料として、例えばアトフィナ社(旧エルフアトケム社)製のMKBポリマー、呉羽化学工業社製の#9130などを挙げることができる。
【0037】
ただし、正極のリチウム含有複合酸化物にアルカリ性の不純物が混入しやすいため、変性フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合体を用いる方が、脱HF反応とそれに伴う正極合剤の高粘度化を抑制できる点から、酸素含有基を有する変性ポリフッ化ビニリデンを用いるよりも好ましい。
【0038】
正極に含まれるバインダの量は、正極活物質100重量部に対して1〜10重量部が好適である。
【0039】
負極のバインダとしては、酸素含有基を有する分子量10万〜100万の変性ポリフッ化ビニリデンが挙げられる。また、セパレータ層との接合性の点などからは、(メタ)アクリレート単位を含むポリマーのアイオノマーや、アクリロニトリル単位、スチレン単位およびブタジエン単位を含む粒子状ゴムが好ましい。
【0040】
前記アイオノマーとしては、例えばエチレン単位およびアクリル酸エステル単位を含むポリマーのアイオノマーが好ましい。
前記粒子状ゴムは、アクリロニトリル単位、スチレン単位およびブタジエン単位に加えて、さらに2−エチルヘキシルアクリレートなどのアクリル酸エステル単位を含んでいることが好ましい。
【0041】
負極に含まれるバインダの量は、負極活物質100重量部に対して0.5〜10重量部、さらには1〜3重量部が好適である。
【0042】
図1に、平形ポリマー電池の一例の断面図を示す。1は電池ケースであり、アルミニウム箔と樹脂のラミネートフィルムなどからできている。2は正極リードや負極リードを固定するためのポリプロピレン製の絶縁テープである。3はアルミニウム製の正極リードであり、正極板4と接続されている。5は正極板と負極板との間に介在するゲル電解質からなるセパレータ層である。6は負極板であり、銅製の負極リード7が接続されている。
【0043】
正極板4は、正極合剤をアルミニウム箔の正極集電体上に塗着し、乾燥し、圧延後、所定寸法に切断し、正極リードを溶着したものである。正極合剤は、例えば正極活物質であるリチウムコバルト複合酸化物および導電剤であるアセチレンブラックの混合物を酸素含有基を有する変性フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレンのNMP溶液に分散させたものである。
【0044】
負極板6は、負極合剤を銅箔の負極集電体上に塗着し、乾燥し、圧延後、所定寸法に切断し、負極リードを溶着したものである。負極合剤は、例えば負極活物質である黒鉛を酸素含有基を有する変性フッ化ビニリデンのNMP溶液に分散させたものである。
なお、図1には代表として捲回された電極群を有する平形電池を示したが、折り畳み式の電極群、積層型の電極群を用いることも可能である。
【0045】
【実施例】
次に、実施例に基づいて、本発明を具体例に説明する。
【0046】
《実施例1》
正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)を、負極活物質として黒鉛を用い、図1に示した平形ポリマー電池を作製した。
まず、LiCoO2と導電剤としてのアセチレンブラックとを、重量比90:10で混合したものを、バインダとしての変性ポリフッ化ビニリデン(アトフィナ社製のMKB、平均分子量500,000)のNMP溶液に分散させ、正極合剤を得た。この正極合剤をアルミニウム箔の集電体の両面に塗着し、乾燥し、圧延し、所定寸法に切断し、正極リードを溶着し、正極板とした。
【0047】
次に、黒鉛粉末を正極で用いたのと同じ変性ポリフッ化ビニリデンのNMP溶液に分散させ、負極合剤を得た。この負極合剤を銅箔の集電体の両面に塗着し、乾燥し、圧延し、所定寸法に切断し、負極リードを溶着し、負極板とした。
【0048】
一方、ポリエチレングリコールジアクリレート(平均分子量1100)と正極および負極で用いたのと同じ変性ポリフッ化ビニリデンとの共重合体100重量部を、100重量部のNMPに溶かした溶液を準備した。前記共重合体におけるポリエチレングリコールジアクリレート部の重量比率は8重量%であった。この溶液に表面を疎水化処理した二酸化珪素の微粒子(日本アエロジル社製のRX200)を30重量部分散させ、セパレータ層用のペーストを調製した。
得られたペーストを負極板の両面に塗着し、乾燥し、約15μmのセパレータ層を形成した。そして、正極と負極を互いに対向するように配置し、圧延して両極を一体化し、長円形に捲回し、電極群とした。
【0049】
得られた電極群をアルミニウムとポリエチレンと変性ポリプロピレンとのラミネートフィルムからなる電池ケース内に収容し、電解液を注液した。その後、減圧処理を数回行った後、電池ケースの開口部を溶着して密閉した。電解液としては、エチレンカーボネイトとジエチルカーボネイトとエチルメチルカーボネイトとを、体積比1:1:1で混合した混合溶媒に、溶質である6フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1.5モル/リットルの濃度で溶解させたものを用いた。また、電解液には、熱重合開始剤として和光純薬(株)製のV−65をセパレータ層の共重合体成分に対して0.1重量%添加した。
次に、電池を60℃で1時間加熱し、セパレータ層の共重合体を架橋させ、ポリマー電池を完成した。
【0050】
《実施例2》
前記共重合体におけるポリエチレングリコールジアクリレート部の重量比率を1重量%にしたこと以外、実施例1と同様にポリマー電池を作製した。
【0051】
《実施例3》
前記共重合体におけるポリエチレングリコールジアクリレート部の重量比率を30重量%にしたこと以外、実施例1と同様にポリマー電池を作製した。
【0052】
《実施例4》
ポリエチレングリコールジアクリレートの平均分子量を310とし、前記共重合体におけるポリエチレングリコールジアクリレート部の重量比率を12重量%にしたこと以外、実施例1と同様にポリマー電池を作製した。
【0053】
《実施例5》
ポリエチレングリコールジアクリレートの平均分子量を1600とし、前記共重合体におけるポリエチレングリコールジアクリレート部の重量比率を8重量%にしたこと以外、実施例1と同様にポリマー電池を作製した。
【0054】
《実施例6》
ポリエチレングリコールジアクリレートの代わりに平均分子量1100のポリエチレングリコールジメタクリレートを用い、前記共重合体におけるポリエチレングリコールジメタクリレート部の重量比率を5重量%にしたこと以外、実施例1と同様にポリマー電池を作製した。
【0055】
《実施例7》
正極のバインダーとして変性フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合体を用い、負極のバインダとしてスチレン単位、ブタジエン単位、2−エチルヘキシルアクリレート単位およびアクリロニトリル単位を含む粒子状ゴム(日本ゼオン(株)製のBM400B)を用いたこと以外、実施例1と同様にポリマー電池を作製した。
【0056】
《実施例8》
正極のバインダーとして変性フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合体を用い、負極のバインダーとして変性ポリフッ化ビニリデンを用いたこと以外、実施例1と同様にポリマー電池を作製した。
【0057】
《実施例9》
正極のバインダーとして変性ポリフッ化ビニリデン(アトフィナ社製のMKB)を用い、負極のバインダとしてエチレン含有比率80%のエチレン−アクリル酸塩共重合体を用いたこと以外、実施例1と同様にポリマー電池を作製した。
【0058】
《実施例10》
正極のバインダとしてポリフッ化ビニリデン(アトフィナ社製の301F)を用い、負極のバインダとしてフッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合体(アトフィナ社製の2801)を用いたこと以外、実施例1と同様にポリマー電池を作製した。
【0059】
《比較例1》
セパレータ層用のペーストとして、100重量部のフッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合体(アトフィナ社製の2801)を100重量部のNMPに溶かした溶液に30重量部の表面を疎水化処理した二酸化珪素の微粒子(日本アエロジル社製のRX200)を分散させたものを用い、電解液に熱重合開始剤V−65を添加せず、60℃1時間の加熱を省いたこと以外、実施例1と同様にポリマー電池を作製した。
【0060】
《比較例2》
フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合体の代わりに、ポリエチレンオキサイド(平均分子量20万)を用いたこと以外、比較例1と同様にポリマー電池を作製した。
【0061】
《参考例1》
平均分子量1100のポリエチレングリコールジアクリレートの代わりにエチレングリコールジメタクリレート(分子量198)を用い、共重合体におけるエチレングリコールジメタクリレート部の重量比率を12重量%にしたこと以外、実施例1と同様にポリマー電池を作製した。
【0062】
《参考例2》
平均分子量1100のポリエチレングリコールジアクリレートの代わりに平均分子量3000のポリエチレングリコールジアクリレートを用い、共重合体におけるエチレングリコールジメタクリレート部の重量比率を15重量%にしたこと以外、実施例1と同様にポリマー電池を作製した。
【0063】
《参考例3》
共重合体のホストポリマーにおけるポリエチレングリコールジアクリレート部の重量比率を0.5重量%にしたこと以外、実施例1と同様にポリマー電池を作製した。
【0064】
《参考例4》
平均分子量1100のポリエチレングリコールジアクリレートの代わりに平均分子量3000のポリエチレングリコールジアクリレートを用い、共重合体におけるポリエチレングリコールジアクリレート部の重量比率を40重量%にしたこと以外、実施例1と同様にポリマー電池を作製した。
【0065】
電池の評価
実施例1〜10、比較例1〜2および参考例1〜4の電池の充放電を20℃で10回繰り返した。充放電の条件は、充電終止電圧4.2V、放電終止電圧3.0Vおよび1時間率のレートとした。その後、各電池を80℃で3日間の保存し、保存後の各電池を上記と同じ条件で充放電した。保存後の電池の放電容量を保存前の電池の放電容量で割った値を、容量維持率として100分率で表1および2に示す。表1には実施例1〜6および参考例1〜4ならびに比較例1〜2の結果を、表2には実施例7〜10の結果を示す。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
表1において、本発明の実施例の電池は、ゲル電解質のホストポリマーとして(メタ)アクリレート単位およびアルキレンオキシド単位を含む側鎖ならびにフッ化ビニリデン単位を含む主鎖を有する共重合体の架橋体を用いているため、ホストポリマーとしてフッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合体を用いた電池よりも、高温保存後の容量維持率が改良されている。
【0069】
この結果は、フッ化ビニリデン単位を含むホストポリマーからなるゲル電解質が有する高温における相分離または電解液の遊離という問題が改善されたことによると考えられる。すなわち、比較例1で用いたフッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合体は、室温付近では安定なゲルを形成し得るが80℃では電解液と分離する傾向がある。遊離した電解液は、正極または負極と副反応を起こすため、電池の自己放電の原因となる。また、一旦遊離した電解液はホストポリマに再吸収されにくいため、セパレータ層が不均一になり、充放電反応も不均一になって活物質の利用率が低下すると考えられる。
【0070】
一方、本発明で用いたホストポリマーは、電解液との親和性が高いため、高温でも安定なゲルを形成し得る。従って、電池の自己放電やセパレータ層の不均一化が抑制されていると考えられる。
【0071】
比較例2の電池は途中で充放電できなくなったため、表に結果が示されていない。これは、ホストポリマーとしてポリエチレンオキシドのみを用いているため、高温でゲル電解質のゾル−ゲル転移やエチレンオキシド基の酸化分解反応が起こったためと考えられる。
【0072】
(メタ)アクリレート単位およびアルキレンオキシド単位を含む側鎖の大きさは、実施例4および5ならびに参考例1および2から明らかなように、平均分子量300〜1600の場合に、高温保存特性を改良する効果が顕著である。これは、側鎖が短すぎると、電解液を保持する機能が不充分となり、側鎖が長すぎると、エチレンオキシド部分の性質が強く現れ、高温で分解されやすくなるためと考えられる。また、上記と同様に、側鎖部分の重量比率が少なすぎると、ポリフッ化ビニリデン部分の性質が強く現れ、多すぎるとポリエチレンオキシド部分の性質が強く現れる。
【0073】
表2は、正極のバインダとして変性フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合体を用い、負極のバインダとしてスチレン単位、ブタジエン単位、アクリル酸エステル単位を含む粒子状ゴムを用いた実施例7の電池が、最も高い容量維持率を有することを示している。また、正極のバインダとして変性していないポリフッ化ビニリデンを用い、負極のバインダとして変性していないフッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合体を用いた実施例10の電池は、高温での容量維持率の改良効果が比較的小さくなっている。このように高温での容量維持率の改良効果に差があるのは、極板とセパレータ層のホストポリマとの接合性や極板の変形の程度に差があるためと考えられる。
【0074】
実施例8および9の電池は、負極のバインダとして、電解液で膨潤しにくく、集電体−負極合剤間および活物質粒子間を接合する能力が高い変性ポリフッ化ビニリデンや(メタ)アクリレート単位を含むポリマーのアイオノマーを用いている。従って、これらの電池は、電解液に膨潤しやすいフッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合体を用いた実施例10の電池と比較して、高温での安定性が、さらに改善されている。
【0075】
すなわち、フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合体を用いた場合、充電状態で高温にすると負極のバインダと電解液とがゲルを形成し、それに伴って負極が膨張して負極板内の電子ネットワークが切断されることから、電池の容量が減少しやすいと考えられる。一方、負極のバインダとして電解液に膨潤しにくく、バインダとしての能力が高く、セパレータ層との接合性も良い変性ポリフッ化ビニリデンまたは(メタ)アクリレート単位を含むポリマーのアイオノマーを用いると、負極の変形が最小限に抑えられ、電池の高温における保存特性が効果的に改善できるものと考えられる。
【0076】
【発明の効果】
本発明によれば、ゲル電解質のホストポリマーとして、(メタ)アクリレート単位およびアルキレンオキシド単位を含む側鎖ならびにフッ化ビニリデン単位を含む主鎖を有する共重合体の架橋体を用い、好ましくは正極および負極のバインダとして、電解液で膨潤しにくいバインダを用いるため、高温における保存安定性に優れた信頼性の高いポリマー電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリマー電池の一例の横断面図である。
【符号の説明】
1 電池ケース
2 絶縁テープ
3 正極リード
4 正極
5 セパレータ層
6 負極
7 負極リード
Claims (6)
- リチウム含有複合酸化物を活物質とする正極と、リチウムの吸蔵・放出が可能な材料を活物質とする負極と、有機電解液および前記有機電解液を保持したホストポリマーからなるゲル電解質とを有し、前記正極と前記負極との間に前記ゲル電解質がセパレータ層として介在したリチウムポリマー二次電池において、
前記ホストポリマーが、(メタ)アクリレート単位およびアルキレンオキシド単位を含む側鎖ならびにフッ化ビニリデン単位を含む主鎖を有する共重合体の架橋体であり、
前記側鎖が、平均分子量300〜1600のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートからなり、
前記共重合体において、前記側鎖部分の重量比率が1〜30重量%であることを特徴とするリチウムポリマー電池。 - 前記正極および前記負極の少なくとも一方が、酸素含有基を有する変性ポリフッ化ビニリデンからなるバインダを含有する請求項1記載のリチウムポリマー電池。
- 前記正極が、酸素含有基を有する変性フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合体からなるバインダを含有する請求項1記載のリチウムポリマー電池。
- 前記負極が、(メタ)アクリレート単位を含むポリマーのアイオノマーからなるバインダを含有する請求項1記載のリチウムポリマー電池。
- 前記負極が、アクリロニトリル単位、スチレン単位およびブタジエン単位を含む粒子状ゴムからなるバインダを含有する請求項1記載のリチウムポリマー電池。
- 正極板と、(メタ)アクリレート単位およびアルキレンオキシド単位を含む側鎖およびフッ化ビニリデン単位を含む主鎖を有する共重合体であり、前記側鎖が、平均分子量300〜1600のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートからなるセパレータ層と、負極板とを、前記セパレータ層を前記正極と前記負極との間に介在させて積層することにより電極群を得る工程、
電池ケース内に前記電極群を収容後、前記電池ケース内に熱重合開始剤および有機電解液を入れ、前記電池ケースを封止する工程、および
封止後の電池を加熱して前記共重合体を架橋させる工程を有し、
前記共重合体において、前記側鎖部分の重量比率が1〜30重量%であることを特徴とするリチウムポリマー電池の製造法。
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