WO2006104074A1

WO2006104074A1 - 吸収性物品及びその表面シート

Info

Publication number: WO2006104074A1
Application number: PCT/JP2006/306088
Authority: WO
Inventors: Rie Suzuki
Original assignee: Daio Paper Corporation
Priority date: 2005-03-29
Filing date: 2006-03-27
Publication date: 2006-10-05
Also published as: KR101404961B1; US8748692B2; JP4512512B2; CN101151005A; JP2006271650A; EP1870065A4; CN101151005B; KR20070118268A; US20090137976A1; EP1870065A1; EP1870065B1

Abstract

　【課題】立体感に富み、高いクッション性を有するとともに、肌との接触面積を最小化し、かつ凹凸エンボスの保形性を高めることにより、乾燥状態はもとより体液吸収時においても凹凸形状を持続的に維持し得るようにする。　【解決手段】透液性の表面シート３と、裏面シート２との間に吸収体４が介在された吸収性物品１において、前記表面シート３は、少なくとも肌当接面層を構成する不織布層３Ａと、この不織布層３Ａよりも非肌当接面側に積層されたプラスチックフィルム層３Ｂとを有する複層シートとされ、かつ前記プラスチックフィルム層３Ｂは前記不織布層よりも低融点素材を用いて構成されており、前記プラスチックフィルム層３Ｂの融点以上前記不織布層３Ａの融点未満の加熱条件下で、前記表面シート３に、外方に突出する多数の隆起部７，７…からなる凹凸状のエンボス加工を施すとともに、多数の開孔処理を施す。

Description

明細書

吸収性物品及びその表面シート

技術分野

[0001] 本発明は、立体感に富み、高いクッション性を有するとともに、肌との接触面積を低減することにより肌トラブルを無くし、かつ凹凸状エンボスの保形性に優れた表面シートを使用した吸収性物品及びその表面シートに関する。

背景技術

[0002] 従来より、吸収性物品の表面材として、肌への接触面積を低減させることにより湿り感を抑える、或いは質感を出すと共に感触性を高めるなど種々の目的に応じて適宜のエンボスパターンが付与されたものが巿場に提供されて、る。この種のものとしては、例えば下記特許文献 1〜5などを挙げることができる。

[0003] 下記特許文献 1では、平面部を有しないように多数の畝部と溝部とが交互に配列されており、上記畝部は凸状に湾曲し且つ上記溝部は凹状に湾曲しており、上記溝部は間隔をおいて配置された多数の開孔を有している不織布を表面シートとして使用した吸収性物品が開示されて、る。

[0004] また、下記特許文献 2では、頂部と該頂部の両側に連なって表面シートの裏面側へ曲がる両側壁部とから形成され、断面が下向き U字状を有し、互いに離間して縦方向に延びる複数の第 1リブと、頂部を有し前記第 1リブの両側壁部の間に連なって互いに離間する複数の第 2リブとから構成され、前記第 1リブと第 2リブとで開孔を画成し、第 2リブの頂部が第 1リブの頂部よりも低く形成された表面シートが開示されている

[0005] 下記特許文献 3では、表面シートから凹む多数の融着点力なる多数の融着線を画成し、該融着線が吸収性物品の縦軸に対して斜めに延びて格子模様の凹条溝を形成し、かつ前記融着点が融着線の各交差点間に複数個存在して格子目を形成している吸収性物品が開示されている。

[0006] 下記特許文献 4では、熱可塑性を有し、シート面にメルトパターン (エンボスパターン）が付与されてなるプラスチックシートであって、前記メルトパターンは、プラスチックシートの伸長条件下で、メルトパターンが形成されていない領域を結ぶ略伸長方向の仮想線が直線的に連続せず、ジグザグ状または菱形模様状となるように付与され、プラスチックシート面に前記メルトパターン配列に対応した凹凸状の皺を形成したプラスチックシートが開示されている。

[0007] 下記特許文献 5では、第 1及び第 2繊維層を構成する繊維集合体を積層した後、多数のピンが規則的に配設されたエンボス面 (エンボスロールの周面等）を、第 1繊維層側に圧接させることにより、各ピンに熱圧された部位における、第 1繊維層と第 2繊維層の構成繊維を溶融させて熱融着させることにより、シートの長手方向及び短手方向に不連続である多数の隆起部を有し、 0. 5cN/cm²圧下におけるシートの厚み 0. 5 〜10mmであり、隣接する隆起部同士間の最短距離が 0. 5〜15mmである表面シートを用いた吸収性物品が開示されている。

特許文献 1：特開平 8 - 302555号公報

特許文献 2：実開平 10— 112号公報

特許文献 3：特開平 7— 328060号公報

特許文献 4 :特開 2002— 160293号公報

特許文献 5：特開 2003— 126147号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0008] し力しながら、上記特許文献 1記載の表面シートの場合には、確かに畝部と溝部とが交互に配列されることにより、シート面に立体感が表出されるものである力前記畝部が線状に肌と接触することになり、肌との接触面積が多ぐ擦れ、カブレ、かゆみなどの肌トラブルを効果的に防止することができないとともに、排血時のベた付き感を解消し得ていない。また、不織布に畝部と溝部とによる波状加工は保形性が十分ではなぐ座ったり、就寝時に圧力を受けた状態が持続すると次第に波状加工の凹凸程度が徐々に減少するなどの問題があった。

[0009] また、上記特許文献 2記載の表面シートの場合は、第 1リブが線状に肌と接触することになり、肌との接触面積が多ぐ擦れ、カブレ、かゆみなどの肌トラブルを効果的に防止することができないとともに、排血時のベた付き感を解消し得ていない。また、第 1リブ及び第 2リブ力なるシート構造が特殊な構造を成し、製造工程が複雑化するため実施化には至つて!ヽなヽ。

[0010] 更に、上記特許文献 3の吸収性物品の場合には、単に表面シート面に対し機能的に特定の形状のエンボスを付与したに過ぎず、到底、高い凹凸感ゃ柔らかい風合いを与え得るものではない。

[0011] 上記特許文献 4記載のプラスチックシートの場合には、平滑なプラスチックシート面力醸し出される冷たい見栄えや感触を克服し得るものであるけれども、シート面全体にランダムな皺による風合いはアイロンを掛ける前のハンカチなどに近い布地のような外観を呈するものであって、立体感にはやや乏しいものである。

[0012] 上記特許文献 5記載の表面シートは、多数の隆起部が肌面側に突出形成されているため、肌との接触面積を最小化できるとともにクッション性にも優れている。しかし、表面側からのエンボス加工により凹部に相当する繊維部分を圧接によって熱融着させ高密度化させているため、排出された経血等が毛細管現象により前記凹部に吸収され、吸収体側に抜けづらくなる。そのため、経血量が多い場合などは表面シートに保水された経血等によってべた付き感が感じられるようになる。また、隆起部の繊維部分は乾燥状態で隆起量を確保することができるが、湿った状態になると繊維が自然に圧縮され (萎んだ状態)隆起量が小さくなり、クッション性が極端に低下するなど、凹凸の保形性が十分でな!ヽなどの問題があった。

[0013] そこで本発明の課題は、立体感に富み、高いクッション性を有するとともに、肌との接触面積を最小化し、擦れ、カブレ、かゆみなどの肌トラブルを効果的に防止し肌触り感を向上させ、かつ体液吸収時におけるベた付き感を無くし、さらに凹凸エンボスの保形性を高めることにより、乾燥状態はもとより体液吸収時においても凹凸形状を持続的に維持し得る吸収性物品及びその表面シートを提供することにある。

課題を解決するための手段

[0014] 前記課題を解決するために請求項 1に係る本発明として、透液性の表面シートと、裏面シートとの間に吸収体が介在された吸収性物品にお、て、

前記表面シートは、少なくとも肌当接面層を構成する不織布層と、この不織布層よりも非肌当接面側に積層されたプラスチックフィルム層とを有する複層シートとされ、かつ前記プラスチックフィルム層は前記不織布層よりも低融点素材を用いて構成されており、

前記プラスチックフィルム層の融点以上前記不織布層の融点未満の加熱条件下で、前記表面シートに、外方に突出する多数の隆起部からなる凹凸状のエンボス加工を施してあるとともに、多数の開孔処理を施してあることを特徴とする吸収性物品が提供される。

[0015] 上記請求項 1記載の本発明においては、表面シートを少なくとも肌当接面層を構成する不織布層と、この不織布層よりも非肌当接面側に積層されたプラスチックフィルム層とを有する複層シートで構成するとともに、前記プラスチックフィルム層は前記不織布層よりも低融点素材を用いるようにしてある。そして、プラスチックフィルム層の融点以上前記不織布層の融点未満の加熱条件下で、前記表面シートに、外方に突出する多数の隆起部力なる凹凸状のエンボス力卩ェを施すとともに、多数の開孔処理を施すようにしてある。

[0016] 従って、前記表面シートに形成されるエンボスは、外方に突出する多数の隆起部からなる凹凸状のエンボスとすることにより、肌との接触面積を最小化し、擦れ、カブレ、かゆみなどの肌トラブルを効果的に防止できるとともに、肌触り感が向上し、かつ体液吸収時におけるベた付き感を無くすことが可能となる。

[0017] また、エンボス加工処理に当たり、プラスチックフィルム層の融点以上前記不織布層の融点未満の加熱条件下で行うことにより、前記プラスチックフィルム層は加熱によって半溶融又は溶融状態で変形を起こすため、エンボス加工処理後はその凹凸曲線形状がしつ力りと保形されるようになるため、乾燥状態でのクッション性はもちろんのこと、湿潤状態であっても凹凸形状が保たれるようになる。また、表面層を構成する不織布層は、エンボス時に熱影響をあまり受けずに済むため、風合いを維持することがでさる。

[0018] 請求項 2に係る本発明として、前記表面シートは、肌当接面層を構成する不織布層と、この不織布層の非肌当接面側に積層されたプラスチックフィルム層とからなる 2層の複層シートとされる請求項 1記載の吸収性物品が提供される。

[0019] 上記請求項 2記載の本発明は、前記表面シートの基材構造を、具体的に肌当接面層を構成する不織布層と、この不織布層の非肌当接面側に積層されたプラスチックフィルム層とからなる 2層の複層シートとするものである。

[0020] 請求項 3に係る本発明として、前記表面シートは、肌当接面層を構成する不織布層と、この不織布層の非肌当接面側に積層されたプラスチックフィルム層、このプラスチックフィルム層の非肌当接面側に積層された不織布層からなる 3層の複層シートとされる請求項 1記載の吸収性物品が提供される。

[0021] 上記請求項 3記載の本発明は、前記表面シートの基材構造を、具体的に肌当接面層を構成する不織布層と、この不織布層の非肌当接面側に積層されたプラスチックフィルム層、このプラスチックフィルム層の非肌当接面側に積層された不織布層からなる 3層の複層シートとするものである。

[0022] 請求項 4に係る本発明として、前記不織布層の素材はポリプロピレンであり、前記プラスチックフィルム層の素材はポリエチレンである請求項 1〜3いずれかに記載の吸収性物品が提供される。

[0023] 上記請求項 4記載の本発明では、具体的に表面シートを構成する前記不織布層の素材をポリプロピレンとし、前記プラスチックフィルム層の素材をポリエチレンとするものである。ここで、前記ポリプロピレンの融点は 165°Cであり、前記ポリエチレンの融点は低密度で 115°C、高密度で 137°Cである。

[0024] 請求項 5に係る本発明として、前記凹凸状のエンボス加工は、凸状部が多数配列された凸側エンボスロールと、前記凸状部に対応して多数の凹状部が形成された凹側エンボスロールとによる前記凸状部と前記凹状部との嚙み合わせによって付与してある請求項 1〜4いずれかに記載の吸収性物品が提供される。

[0025] 上記請求項 5記載の本発明では、凹凸状のエンボス加工は、凸状部が多数配列された凸側エンボスロールと、前記凸状部に対応して多数の凹状部が形成された凹側エンボスロールとによる前記凸状部と前記凹状部との嚙み合わせによって付与するものである。凸状部と凹状部との嚙み合わせによってエンボスを付与することにより、表面シートに対して繊維の高密度領域と、低密度領域との極端な繊維密度差を作らずに済むため、体液を繊維の高密度領域に保水させることがなくなり、体液吸収時におけるベた付き感が解消されるようになる。 [0026] 請求項 6に係る本発明として、前記凹状部の深さを前記凸状部の高さよりも大きく形成してある凸側エンボスロール及び凹側エンボスロールを用いる請求項 5記載の吸収性物品が提供される。

[0027] 上記請求項 6記載の本発明では、前記凹状部の深さを前記凸状部の高さよりも大きく形成してある凸側エンボスロール又は凹側エンボスロールを用いるようにするものである。すなわち、凹状部と凸状部とが接触するような部分を無くしながらエンボスを付与することにより、表面シートの不織布層に繊維の高密度領域を作らずにエンボスを付与することができる。

[0028] 請求項 7に係る本発明として、前記表面シートに形成された凹凸状エンボスの凹部間隔は 3〜7mmの範囲としてある請求項 1〜6いずれかに記載の吸収性物品が提供される。

[0029] 上記請求項 7記載の本発明は、表面シートに形成された凹凸状エンボスの凹部間隔は 3〜7mmの範囲とするものである。後述の実施例に示されるように、凹部間隔を 3〜7mmの範囲とする隆起部の配置パターンとすることにより、立体感に富み、高いクッション性を有することができる。その結果、肌触り感を向上させ、体液吸収時におけるベた付き感を無くすことができる。

[0030] 請求項 8に係る本発明として、前記表面シートにおいて、多数の開孔は少なくとも凹部を含む範囲に形成してある請求項 1〜 7いずれかに記載の吸収性物品が提供される。

[0031] 上記請求項 8記載の本発明では、表面シートにおいて、多数の開孔は少なくとも凹部を含む範囲に形成するようにしたものであり、表面シートの隆起部を伝わって凹部に流動した体液を、滞留させずに速やかに吸収体へ吸収させることができる。

[0032] 請求項 9に係る本発明として、前記表面シートの非肌当接面側に親水性繊維層からなるセカンドシートを積層し、該セカンドシートを前記表面シートと共にエンボスカロェを施してある請求項 1〜8いずれかに記載の吸収性物品が提供される。

[0033] 上記請求項 9記載の本発明では、親水性のセカンドシートと表面シートとを別体として重ねた場合には、セカンドシートと表面シートとの間（特にエンボス凸部の部位）に空間ができるため、セカンドシートを前記表面シートと共にエンボス力卩ェを施すことにより、表面シートに存在する体液を速やかにセカンドシートで吸収し、吸収体に吸収させ得るようになり、体液の表面残りを無くすことができる。また、セカンドシートによつてより高いクッション性を持たせることができる。

[0034] 請求項 10に係る本発明として、前記セカンドシートはエアースルー不織布としてある請求項 9記載の吸収性物品が提供される。

[0035] 上記請求項 10記載の本発明では、前記セカンドシートとしてエアースルー不織布を用いるものである。エアスルー不織布の嵩高性により表面シートに対して高いタツシヨン性を与えることができる。

[0036] 請求項 11に係る本発明として、少なくとも肌当接面層を構成する不織布層と、この不織布層よりも非肌当接面側に積層されたプラスチックフィルム層とを有する複層シートとされ、かつ前記プラスチックフィルム層は前記不織布層よりも低融点素材を用いて構成されており、前記プラスチックフィルム層の融点以上前記不織布層の融点未満の加熱条件下で、前記表面シートに、外方に突出する多数の隆起部からなる凹凸状のエンボス力卩ェを施してあるとともに、多数の開孔処理を施してあることを特徴とする吸収性物品のための表面シートが提供される。

発明の効果

[0037] 以上詳説のとおり本発明によれば、立体感に富み、高いクッション性を有するとともに、肌との接触面積を最小化し、擦れ、カブレ、かゆみなどの肌トラブルを効果的に防止し肌触り感を向上させ、かつ体液吸収時におけるベた付き感を無くすことができる。また、プラスチックフィルム層のみを半溶融又は溶融状態で変形を起こさせるようにしたため、表面不織布層の風合いを保ちながら、凹凸エンボスの保形性を高めることができ、乾燥状態はもとより体液吸収時においても凹凸形状を維持し得るようになる発明を実施するための最良の形態

[0038] 以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。図 1は本発明に係る薄型生理用ナプキン 1の一部破断斜視図である。

[0039] 〔吸収性物品 1の構造〕

生理用ナプキン 1は、主にはパンティライナー、生理用ナプキン、おりものシート、失禁パッドなどの用途に供されるもので、例えば図 1に示されるように、不透液性裏面シート 2と、透液性表面シート 3 (以下、単に表面シートという。）との間に、吸収体 4または同図に示されるように、クレープ紙 5によって囲繞された吸収体 4が介在されるとともに、前記表面シート 3と吸収体 4との間に親水性のセカンドシート 6を配置した構造となっている。前記吸収体 4の周囲においては、前記不透液性裏面シート 2と表面シート 3とがホットメルト接着剤等の接着手段によって接合されている。

[0040] 前記不透液性裏面シート 2は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、この他に防水フィルムを介在して実質的に不透液性を確保した上で不織布シート (この場合には、防水フィルムと不織布とで不透液性裏面シートを構成する。）などを用いることができる。近年はムレ防止の観点力透湿性を有するものが好適に用いられる傾向にある。この遮水 ·透湿性シート材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のォレフィン系榭脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートが好適に用いられる。

[0041] 前記表面シート 3は、少なくとも肌当接面層を構成する不織布層と、この不織布層よりも非肌当接面側に積層されたプラスチックフィルム層とを有する複層シートが使用され、外方に突出する多数の隆起部 7, 7· ··からなる凹凸状のエンボス力卩ェが施されているとともに、多数の開孔処理を施されたものが使用される。なお、この表面シート 3 については後段でさらに具体的に詳述する。

[0042] 前記不透液性裏面シート 2と表面シート 3との間に介在される吸収体 4は、たとえばパルプ中に高吸水性榭脂を混入したもの、或、はノルプ中に化学繊維を混入させるとともに、高吸水性榭脂を混入したものが使用される。前記吸収体 4は、図示のよう〖こ、形状保持、および経血等を速やかに拡散させるとともに、一旦吸収した経血等の逆戻りを防止するためにクレープ紙 5によって囲繞するのが望ましい。前記ノルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶融パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、ァセテート等の人工セルロース繊維力なるものが挙げられ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能および価格の面で好適に使用される。

[0043] 前記高吸水性榭脂としては、たとえばポリアクリル酸塩架橋物、自己架橋したポリアクリル酸塩、アクリル酸エステル酢酸ビニル共重合体架橋物のケンィ匕物、イソブチレン'無水マレイン酸共重合体架橋物、ポリスルホン酸塩架橋物や、ポリエチレンォキシド、ポリアクリルアミドなどの水膨潤性ポリマーを部分架橋したもの等が挙げられる。これらの内、吸水量、吸水速度に優れるアクリル酸またはアクリル酸塩系のものが好適である。前記吸水性能を有する高吸水性榭脂は製造プロセスにおいて、架橋密度および架橋密度勾配を調整することにより吸水力と吸水速度の調整が可能である。前記高吸水性榭脂の含有率は 10〜60%とするのが望ましい。高吸水性榭脂含有率が 10%未満の場合には、十分な吸収能を与えることができず、 60%を超える場合にはパルプ繊維間の絡み合いが無くなり、シート強度が低下し破れや割れ等が発生し易くなる。

[0044] 前記透液性表面シート 3と吸収体 4との間に配置される親水性セカンドシート 6は、体液に対して親水性を有するものであればよい。具体的には、レーヨンゃキュブラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることにより素材自体に親水性を有するものを用いるか、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のォレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維を親水化剤によって表面処理し親水性を付与した繊維を用いることができる。このセカンドシート 6は、好ましくは前記表面シート 3の裏面側にホットメルト又は熱融着 (エンボス）により接合され、両シートを積層状態としたまま表面シート 3と共にエンボス力卩ェを施すのが望まし、。

[0045] 〔表面シート 3の構造〕

前記表面シート 3は、少なくとも肌当接面層を構成する不織布層と、この不織布層よりも非肌当接面側に積層されたプラスチックフィルム層とを有する複層シートからなり、外方に突出する多数の隆起部 7, 7···からなる凹凸状のエンボス力卩ェを施してあるとともに、多数の開孔処理を施してある透液性シートが使用される。

[0046] 前記表面シート 3の基材構成は、具体的には図 2(A)に示されるように、疎水性不織布層 3AZプラスチックフィルム層 3B力もなる 2層構造のシートや、図 2(B)に示されるように、疎水性不織布層 3AZプラスチックフィルム 3BZ疎水性不織布層 3C力なる 3層構造のシート基材、或、は疎水性不織布層 3AZプラスチックフィルム層 3BZ親水性不織布層 3C力もなる 3層構造のシート基材を用いることができる。 [0047] 前記不織布層 3A、 3Cを構成する素材繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のォレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レ一ヨンゃキュブラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、エアスルー法、スノンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、エアスルー法、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。不織布の繊維は、長繊維または短繊維の、ずれでもよヽが、好ましくはタオル地の風合!ヽを出すため短繊維を使用するのがよい。また、エンボス処理を容易とするために、比較的低融点のポリエチレンまたはポリプロピレン等のォレフィン系繊維のものを用いるのがよい。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維やサイドバイサイド型繊維、分割型繊維等の複合繊維を好適に用いることもできる。

[0048] 一方、前記プラスチックシート層 3Bの素材としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のォレフィン系榭脂、ポリエステル、ナイロン等のポリアミド系榭脂、エチレン酢酸ビュル共重合体 (EVA)などを好適に使用することができる。

[0049] 本表面シート 3では、前記プラスチックフィルム層 3Bの素材が前記不織布層 3A、 3 Cの素材よりも相対的に低融点となるように、前記不織布素材群及びプラスチックフィルム素材群力それぞれの素材が選定される。そして、エンボスカ卩ェ処理に当たっては、前記プラスチックフィルム層 3Bの融点以上前記不織布層 3A、 3Cの融点未満の加熱条件下で、図 3に示されるように、前記表面シート 3に、外方に突出する多数の隆起部 7, 7· ··からなる凹凸状のエンボス加工を施すとともに、多数の開孔処理（図示せず）を施したものである。

[0050] 最も一般的な素材組合せの例としては、前記不織布層 3A、 3Cの素材をポリプロピレンとし、前記プラスチックフィルム層 3Bの素材をポリエチレンとした組合せ例を挙げることができる。前記ポリプロピレンの融点は 165°Cであり、前記ポリエチレンの融点は低密度で 115°C、高密度で 137°Cであるから、エンボス加工時のロール加熱温度は 115°C ( 137°C)を超え 165°C未満の温度に設定することにより、前記プラスチックフィルム層 3Bのみが半溶融又は溶融状態で変形を起こすため、エンボス加工処理後はその凹凸曲線形状がしっかりと保形されるようになるため、乾燥状態でのクッション性はもちろんのこと、湿潤状態であっても凹凸形状が保たれるようになる。なお、前記不織布層 3A、 3Bの融点を超える加熱温度に設定した場合には、表層を構成する不織布層 3Aの表面全体が塑性化及び硬化するため、表面の風合ヽ及び肌触り感が損なわれるようになる。

[0051] 前記表面シート 3にエンボス加工を施すには、図 4に示されるように、凸状部 10a、 1 Oa…が多数配列された凸側エンボスロール 10と、図 5に示されるように、前記凸状部 10aに対応して多数の凹状部 1 la、 1 la- ··が形成された凹側エンボスロール 11とを用い、これら凸側エンボスロール 10と凹側エンボスロール 11との間に前記表面シート 3を通過させることにより、前記凸状部 10aと前記凹状部 11aとの嚙み合わせによつて付与することができる。

[0052] この場合、前記凸側エンボスロール 10の凸状部 10aの高さ hiは、 1. 5〜2. 5mm程度とするのが望ましぐ前記凹側エンボスロール 11の凹状部 11aの深さ h2は 1. 7〜2 . 7mm程度とするのが望ましい。また、前記凹状部 11aの深さを前記凸状部 10aの高さよりも大きく形成し、図 6に示されるように、嚙み合わせ状態で前記凸状部 10aが凹状部 11aに接触せずに、全体に亘り所定の隙間、具体的には 0. 1〜0. 5mm、好ましくは 0. 2〜0. 4mmの隙間が形成されるようにするのが望ましい。凹状部 11aと凸状部 10aとが接触するような部分を無くしながらエンボスを付与することにより、表面シート 3の不織布層 3Aに繊維の高密度領域を作らずにエンボスを付与することができるよつになる。

[0053] 前記表面シート 3に形成された凹凸状エンボスの凹部間隔 P (図 5参照）は、 3〜7m m、好ましくは 3〜6mmの範囲に設定するのが望ましい。前記凹部間隔 Pが 3mm未満の場合は隆起部 7, 7が接近し過ぎるため、立体感に乏しくなり、所望のクッション性が得られな、。前記凹部間隔 Pが 7mmを超える場合には間隔が広すぎて所望のタツシヨン性が得られなくなる。また、凹部が肌と接触するようになるため、肌触り感が悪くなるとともに、体液吸収時におけるベた付き感を解消することができな、。

[0054] 前記肌と接触する不織布層 3A、中間のプラスチックフィルム層 3B及び下層の不織布層 3Cの各目付け量は、それぞれ 10〜20g/m²、 5〜15g/m²、 10〜20g/m²とするのが望ましい。この場合、ベた付き感を解消するため表層の前記不織布層 3Aについては、 10〜15g/m²の範囲とし目付け量を相対的に少なくするのが望ましい。

[0055] 一方、前記表面シート 3に形成される開孔は、 1個当たりの開孔面積が 0. 35〜0.

60mm²,好ましくは 0. 47〜0. 54mm²とし、開孔率 10〜19%、好ましくは 11〜14% の割合で形成する。前記開孔面積が 0. 35mm²未満の場合には、開孔面積が小さすぎて開孔壁部に体液が滞留するようになる。また、開孔面積が 0. 60mm²を超える場合には、開孔を通して体液の逆戻りが発生するようになるため好ましくない。一方、開孔率が 10%未満の場合には、開孔率カ、さ過ぎて表面に排出された体液を速やかに透過させることができなくなる。また、 19%を超える場合には体液の逆戻りが発生するようになり好ましくない。

[0056] 前記開孔は、隆起部 7、 7を除く凹部に限定して付与するか、凹部を含む範囲に形成するのが望ましい。前記開孔を少なくとも凹部を含む範囲に形成することにより、表面シート 3の隆起部 7, 7…を伝わって凹部に流動した体液を速やかに吸収体 4側へ吸収させることができるよう〖こなる。

[0057] 前記開孔を形成するには、プラスチックフィルム層 3Bを軟ィ匕温度付近まで軟ィ匕させて、多数の開孔を有する支持体の上面に位置させた状態で、支持体の下方から吸引したり、支持体の上面力空気圧で加圧し開孔を形成する方法、加熱針を突き刺す方法などを採用することができる。また、前記開孔処理は不織布層 3A (3C)とブラスチックフィルム層 3Bとを積層させた後に行、、積層させた各層のすベてに開孔を形成するようにしても良いが、少なくともプラスチックフィルム層 3Bに対して成されておればよい。この場合の開孔処理は、プラスチックフィルム層 3Bに対して開孔を形成した後、不織布層 3A(3B)を積層させるようにしてする。

実施例

[0058] (1)凹側間隔 Pの違いによるクッション性試験

本実施例では、前記凹部間隔 Pの違いによるクッション性の差異にっ、て調べた。試験は、前記凸側エンボスロール 10の凸状部 10aの高さ hiは 1. 8mm、凹側ェンボスロール 11の凹状部 11aの深さ h2は 1. 8mmで固定し、凹部間隔 Pを 2. 5〜10mmの範囲で変化させたものを作製するとともに、エンボス加工無しとした各供試体にっヽて、クッション性の指標値として、 KES圧縮試験機による WC値 (圧縮エネルギー）を gi験し 7こ。

[0059] 前記 KES圧縮試験機〔カトーテック株式会社製〕は、人間の指先で物体に触れた時に感じる感覚をシミュレートするための試験機で、圧縮エネルギー、圧縮硬さ、圧縮回復性などを測定することができる。測定は図 7(A)に示されるように、サンプルをスピード： 0. lcm/sec、圧縮面積： 2cm²、 SENS : 2 (力計 200g/10v)、 DEF感度： 5、圧縮荷重： 50gf/cm²の条件で圧縮し、圧力と変形量との相関図から LC (圧縮硬さ）、 WC (圧縮エネルギー）および RC (圧縮回復性)を算出する。

[0060] 前記 LC (圧縮硬さ）は、図 7(B)に示される圧力と変形量との相関図において、〔a + bの面積〕 Z〔 Δ ABCの面積〕で示され、値が 1に近づくほど圧縮硬さが硬いという評価になる。前記 WC (圧縮エネルギー）は〔a+bの面積〕で示され、値が大きいほど圧縮され易!、との評価になる。最後の RC (圧縮回復性）は〔bの面積〕 /〔a+bの面積〕で示され、値が 100%に近付くほど回復性があるとの評価になる。これらの試験項目の内、官能評価で判る柔らかさ（クッション性）につ、ては、 WC (圧縮エネルギー）を指標とするのが好適とされる。

[0061] 上記試験結果を下表 1に示すとともに、図 8に示す。

[0062] [表 1]

[0063] 図 8に示されるように、横軸を凹部間隔とし、縦軸を圧縮仕事量としたグラフにおいて、全体として上方側に突出する凸曲線となり、凹部間隔 Pを 3〜7mmの範囲に設定した場合が特にクッション性が高いことが判明している。

図面の簡単な説明

[0064] [図 1]本発明に係る吸収性物品 1の一部は段斜視図である。

[図 2]透液性表面シート 3の基材断面構成 (エンボス加工前）を示す図である。 [図 3]透液性表面シート 3の基材断面構成 (エンボス加工後）を示す図である。

[図 4]凸側エンボスロール 10を示す、（A)は平面図、（B)はその B-B線矢視図である。

[図 5]凹側エンボスロール 11を示す、（A)は平面図、（B)はその B-B線矢視図である。

[図 6]凸側エンボスロール 10と、凹側エンボスロール 11との嚙み合わせ状態を示す図である。

[図 7](A)は KES圧縮試験機による試験要領図であり、（B)は KES圧縮試験結果を示す圧力と変形量との相関図である。

[図 8]実施例の試験結果を示すグラフである。

符号の説明

1…吸収性物品（生理用ナプキン）、 2…不透液性裏面シート、 3…透液性表面シート、 4…吸収体、 5…クレープ紙、 6…セカンドシート、 7…隆起部、 10· ··凸側エンボスロール、 10a…凸状部、 11· ··凹側エンボスロール、 11a…凹状部

Claims

請求の範囲

[1] 透液性の表面シートと、裏面シートとの間に吸収体が介在された吸収性物品において、

前記プラスチックフィルム層の融点以上前記不織布層の融点未満の加熱条件下で、前記表面シートに、外方に突出する多数の隆起部からなる凹凸状のエンボス加工を施してあるとともに、多数の開孔処理を施してあることを特徴とする吸収性物品。

[2] 前記表面シートは、肌当接面層を構成する不織布層と、この不織布層の非肌当接面側に積層されたプラスチックフィルム層とからなる 2層の複層シートとされる請求項 1 記載の吸収性物品。

[3] 前記表面シートは、肌当接面層を構成する不織布層と、この不織布層の非肌当接面側に積層されたプラスチックフィルム層、このプラスチックフィルム層の非肌当接面側に積層された不織布層からなる 3層の複層シートとされる請求項 1記載の吸収性物

P

PPo

[4] 前記不織布層の素材はポリプロピレンであり、前記プラスチックフィルム層の素材はポリエチレンである請求項 1〜3いずれかに記載の吸収性物品。

[5] 前記凹凸状のエンボス加工は、凸状部が多数配列された凸側エンボスロールと、前記凸状部に対応して多数の凹状部が形成された凹側エンボスロールとによる前記凸状部と前記凹状部との嚙み合わせによって付与してある請求項 1〜4いずれかに記載の吸収性物品。

[6] 前記凹状部の深さを前記凸状部の高さよりも大きく形成してある凸側エンボスロール及び凹側エンボスロールを用いる請求項 5記載の吸収性物品。

[7] 前記表面シートに形成された凹凸状エンボスの凹部間隔は 3〜7mmの範囲としてある請求項 1〜6いずれかに記載の吸収性物品。

[8] 前記表面シートにおいて、多数の開孔は少なくとも凹部を含む範囲に形成してある請求項 1〜 7 、ずれかに記載の吸収性物品。

[9] 前記表面シートの非肌当接面側に親水性繊維層力なるセカンドシートを積層し、該セカンドシートを前記表面シートと共にエンボス力卩ェを施してある請求項 1〜8いずれかに記載の吸収性物品。

[10] 前記セカンドシートはエアースルー不織布としてある請求項 9記載の吸収性物品。

[11] 少なくとも肌当接面層を構成する不織布層と、この不織布層よりも非肌当接面側に積層されたプラスチックフィルム層とを有する複層シートとされ、かつ前記プラスチックフィルム層は前記不織布層よりも低融点素材を用いて構成されており、前記プラスチックフィルム層の融点以上前記不織布層の融点未満の加熱条件下で、前記表面シートに、外方に突出する多数の隆起部力なる凹凸状のエンボス力卩ェを施してあるとともに、多数の開孔処理を施してあることを特徴とする吸収性物品のための表面シー