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Description
本発明は、立体感に富み、高いクッション性を有するとともに、肌との接触面積を低減することにより肌トラブルを無くし、かつ凹凸状エンボスの保形性に優れた表面シートを使用した吸収性物品に関する。
従来より、吸収性物品の表面材として、肌への接触面積を低減させることにより湿り感を抑える、或いは質感を出すと共に感触性を高めるなど種々の目的に応じて適宜のエンボスパターンが付与されたものが市場に提供されている。この種のものとしては、例えば下記特許文献1、2などを挙げることができる。
下記特許文献1では、無数の孔部を有する表面材に、それぞれ凸状曲面からなり、連続した平面を形成していない無数の頂部と、それぞれ凹状曲面からなる無数の底部と、上記頂部及び上記底部をそれぞれ連結する曲面状壁部とを具備した吸収性物品の表面材が開示されている。
また、下記特許文献2では、表面シートに多数の凸部及び凹部を有し、少なくとも肌対向面が不織布から構成されており、前記凸部の頂部及び/又はその近傍において、少なくとも不織布に開孔が形成されている吸収性物品が開示されている。
特開平5−228173号公報
特開2002−238947号公報
しかしながら、上記特許文献1記載の表面材の場合には、確かに平面状の表面材より肌との接触面積が少なくなり、擦れ、カブレ、かゆみなどの肌トラブルを低減できるようになるが、必ずしも十分ではなかった。
また、上記特許文献2記載の吸収性物品の場合は、多数の凸部の頂部及び/又はその近傍において、少なくとも不織布に開孔が形成されているため、保形性が十分ではなく、座ったり、就寝時に圧力を受けた状態が持続すると次第に波状加工の凹凸程度が徐々に減少するなどの問題があった。さらに、前記開孔部から、一旦吸収された液が肌側に戻る逆戻りが生じ、肌がべた付き、カブレ、かゆみなどの肌トラブルがあった。
そこで、本発明の主たる課題は、肌との接触面積を最小化し、擦れ、カブレ、かゆみなどの肌トラブルを効果的に防止し肌触り感を向上させ、かつ体液吸収時におけるべた付き感を無くし、さらに凹凸エンボスの保形性を高めることにより、乾燥状態はもとより体液吸収時においても凹凸形状を持続的に維持し得る吸収性物品を提供することにある。
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、透液性の表面シートと裏面シートとの間に吸収体が介在された吸収性物品において、
前記表面シートは、肌当接面層を構成する不織布層と、この不織布層の非肌当接面側に積層されたプラスチックフィルム層とからなる2層の複層シートとされ、前記表面シートの裏面側に親水性のセカンド不織布シートが貼り合わされた状態で、エンボスを規則的パターンで付与することにより、エンボス線又はエンボス影響線によって網目状に画成された多数の画成領域を形成するとともに、各画成領域が外方に突出する隆起部を成し、かつ前記各画成領域の略中央部に内方に凹陥する窪み部を有し、この窪み部において前記表面シートと前記セカンド不織布シートとが熱融着されていることを特徴とする吸収性物品が提供される。
前記表面シートは、肌当接面層を構成する不織布層と、この不織布層の非肌当接面側に積層されたプラスチックフィルム層とからなる2層の複層シートとされ、前記表面シートの裏面側に親水性のセカンド不織布シートが貼り合わされた状態で、エンボスを規則的パターンで付与することにより、エンボス線又はエンボス影響線によって網目状に画成された多数の画成領域を形成するとともに、各画成領域が外方に突出する隆起部を成し、かつ前記各画成領域の略中央部に内方に凹陥する窪み部を有し、この窪み部において前記表面シートと前記セカンド不織布シートとが熱融着されていることを特徴とする吸収性物品が提供される。
上記請求項1記載の本発明では、エンボスを規則的パターンで付与することにより、エンボス線又はエンボス影響線によって網目状に画成された多数の画成領域を形成するとともに、前記各画成領域が外方に突出する隆起部を成し、かつ前記各画成領域の略中央部に内方に凹陥する窪み部を有するため、単に多数の隆起部が設けられたものより、肌との接触面積が小さくなるとともに、最も強く肌と当たる画成領域の略中央部(頂部)を窪ませることにより、擦れ、カブレ、かゆみなどの肌トラブルが効果的に防止でき、肌触り感が向上する。また、画成領域の略中央部に内方に凹陥する窪み部が設けられることにより隆起部の保形性が高まり、乾燥状態はもとより体液吸収時においても凹凸形状を持続的に維持し得るようになる。
また、前記表面シートは、肌当接面層を構成する不織布層と、この不織布層の非肌当接面側に積層されたプラスチックフィルム層とからなる2層の複層シートとされ、前記表面シートの裏面側に親水性のセカンド不織布シートが貼り合わされた状態で前記エンボスが付与されているため、隆起部同士間の凹部や、画成領域の略中央部に形成された窪み部からの体液の吸収が素早くできるようになり、体液吸収時のべた付き感が無くなり、カブレ、かゆみなどの肌トラブルを防止できる。
さらに、前記窪み部において、前記表面シートと前記セカンド不織布シートとが熱融着されていることにより、肌触り感を損なわずに、窪み部においてセカンド不織布シートへの体液吸収がスムーズに行われ、表面のべた付き感がなくなる。
請求項2に係る本発明として、前記表面シートに多数の開孔処理を施してあるとともに、前記窪み部の平面形状の面積が、前記表面シートの開孔面積より大きい請求項1記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項2記載の本発明は、表面シートから内側へ速やかな体液の浸透がなされるように、表面シートに多数の開孔処理を施す場合の形態例を示したものであり、窪み部の内部に開孔が形成されることにより、窪み部に流入した体液を速やかに吸収体側に透過させることができる。
以上詳説のとおり本発明によれば、肌との接触面積を最小化し、擦れ、カブレ、かゆみなどの肌トラブルを効果的に防止し肌触り感を向上させ、かつ体液吸収時におけるべた付き感を無くし、さらに凹凸エンボスの保形性を高めることにより、乾燥状態はもとより体液吸収時においても凹凸形状を持続的に維持し得る吸収性物品が提供される。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。図1は本発明に係る生理用ナプキン1の一部破断斜視図である。
〔吸収性物品1の構造〕
生理用ナプキン1は、主にはパンティライナー、生理用ナプキン、おりものシート、失禁パッドなどの用途に供されるもので、例えば図1に示されるように、不透液性裏面シート2と、透液性表面シート3(以下、単に表面シートという。)との間に、吸収体4または同図に示されるように、クレープ紙5によって囲繞された吸収体4が介在されるとともに、前記表面シート3と吸収体4との間に親水性のセカンドシート6を配置した構造となっている。前記吸収体4の周囲においては、前記不透液性裏面シート2と表面シート3とがホットメルト接着剤等の接着手段によって接合されている。
生理用ナプキン1は、主にはパンティライナー、生理用ナプキン、おりものシート、失禁パッドなどの用途に供されるもので、例えば図1に示されるように、不透液性裏面シート2と、透液性表面シート3(以下、単に表面シートという。)との間に、吸収体4または同図に示されるように、クレープ紙5によって囲繞された吸収体4が介在されるとともに、前記表面シート3と吸収体4との間に親水性のセカンドシート6を配置した構造となっている。前記吸収体4の周囲においては、前記不透液性裏面シート2と表面シート3とがホットメルト接着剤等の接着手段によって接合されている。
前記不透液性裏面シート2は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、この他に防水フィルムを介在して実質的に不透液性を確保した上で不織布シート(この場合には、防水フィルムと不織布とで不透液性裏面シートを構成する。)などを用いることができる。近年はムレ防止の観点から透湿性を有するものが好適に用いられる傾向にある。この遮水・透湿性シート材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートが好適に用いられる。
前記表面シート3は、少なくとも肌当接面層を構成する不織布層と、この不織布層よりも非肌当接面側に積層されたプラスチックフィルム層とを有する複層シートが使用され、エンボスを規則的パターンで付与することにより、エンボス線又はエンボス影響線によって網目状に画成された多数の画成領域K、K…を形成するとともに、各画成領域K、K…が外方に突出する隆起部7を成し、かつ前記各画成領域Kの略中央部に内方に凹陥する窪み部8を有するものが使用される。なお、この表面シート3については後段でさらに具体的に詳述する。
前記不透液性裏面シート2と表面シート3との間に介在される吸収体4は、たとえばパルプ中に高吸水性樹脂を混入したもの、或いはパルプ中に化学繊維を混入させるとともに、高吸水性樹脂を混入したものが使用される。前記吸収体4は、図示のように、形状保持、および経血等を速やかに拡散させるとともに、一旦吸収した経血等の逆戻りを防止するためにクレープ紙5によって囲繞するのが望ましい。前記パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶融パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能および価格の面で好適に使用される。
前記高吸水性樹脂としては、たとえばポリアクリル酸塩架橋物、自己架橋したポリアクリル酸塩、アクリル酸エステル−酢酸ビニル共重合体架橋物のケン化物、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体架橋物、ポリスルホン酸塩架橋物や、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミドなどの水膨潤性ポリマーを部分架橋したもの等が挙げられる。これらの内、吸水量、吸水速度に優れるアクリル酸またはアクリル酸塩系のものが好適である。前記吸水性能を有する高吸水性樹脂は製造プロセスにおいて、架橋密度および架橋密度勾配を調整することにより吸水力と吸水速度の調整が可能である。前記高吸水性樹脂の含有率は1〜60%とするのが望ましい。高吸水性樹脂含有率が1%未満の場合には、十分な吸収能を与えることができず、60%を超える場合にはパルプ繊維間の絡み合いが無くなり、シート強度が低下し破れや割れ等が発生し易くなる。
本発明では、図1に示されるように吸収体4が1層でフラットの場合と、排出口に対応する領域に中高部を形成した場合とで前記高吸水性樹脂の混入形態を変えることが望ましい。すなわち、吸収体4がフラットの場合は、下層側に多く分布するように高吸水性樹脂を偏在させることによりゲルブロック現象を防止するのが望ましい。この場合、吸収体4のパルプ目付けは70g/m2以上、高吸水性樹脂の目付けを10g/m2以上とすることが望ましい。一方、吸収体4に中高部を形成した場合は、中高部での吸収性能を確保するため、中高部吸収体の目付けは周辺部吸収体の目付けよりも大きくする一方で、高吸水性樹脂については中高部の目付けを周辺部より小さくするのが望ましい。具体的には、中高部のパルプ目付けを200g/m2以上、その他周辺部のパルプ目付けを100g/m2以上とし、高吸水性樹脂の目付けは前述の通り10g/m2以上とすることが好ましい。
前記透液性表面シート3と吸収体4との間に配置される親水性のセカンド不織布シート6は、体液に対して親水性を有するものであればよい。具体的には、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることにより素材自体に親水性を有するものを用いるか、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維を親水化剤によって表面処理し親水性を付与した繊維を用いることができる。このセカンド不織布シート6は、前記表面シート3の裏面側に重ねた状態とし、両シートを積層状態としたまま表面シート3と共にエンボス加工が施される。この際、前記セカンド不織布シート6は表面シート3よりも張力を掛けた状態としエンボス加工を施すことにより、エンボス加工後に表面シート3が縮んでエンボス跡がはっきりと表出するようになる。
前記セカンド不織布シート6と吸収体4とは、前記セカンド不織布シート6の下面、特にエンボスの付与部位においてホットメルト接着剤等により接合されているのが望ましい。前記セカンド不織布シート6と吸収体4とが接合していることにより、経血等を前記セカンド不織布シート6のエンボス部から速やかに吸収体4に浸透させ吸収させることができるようになる。
〔表面シート3及びセカンド不織布シート6の構造〕
前記表面シート3は、図2に示されるように、肌当接面層を構成する不織布層3Aと、この不織布層3Aの非肌当接面側に積層されたプラスチックフィルム層3Bとからなる2層の複層シートからなり、エンボスを規則的パターンで付与することにより、エンボス線又はエンボス影響線によって網目状に画成された多数の画成領域K、K…を形成するとともに、各画成領域Kが外方に突出する隆起部7を成し、かつ前記各画成領域Kの略中央部に内方に凹陥する窪み部8を有する透液性シートが使用される。さらに、前記表面シート3には、多数の開孔処理を施したものが使用されることが望ましい。
前記表面シート3は、図2に示されるように、肌当接面層を構成する不織布層3Aと、この不織布層3Aの非肌当接面側に積層されたプラスチックフィルム層3Bとからなる2層の複層シートからなり、エンボスを規則的パターンで付与することにより、エンボス線又はエンボス影響線によって網目状に画成された多数の画成領域K、K…を形成するとともに、各画成領域Kが外方に突出する隆起部7を成し、かつ前記各画成領域Kの略中央部に内方に凹陥する窪み部8を有する透液性シートが使用される。さらに、前記表面シート3には、多数の開孔処理を施したものが使用されることが望ましい。
前記エンボス線とは、図4、図6及び図7に示されるように、連続する直線状ラインのエンボスや、破線状の不連続の直線状ラインのエンボスを言い、前記エンボス影響線とは、図5に示されるように、ドット状エンボスを格子配列又は千鳥配列等の規則的パターン等の規則的パターンで付与することにより、各ドット状エンボス間を繋ぐライン部分がエンボスの影響によって表面シートを圧縮することによって生じた窪み線を言う。
前記各画成領域Kは、周囲を囲むエンボス線やエンボス影響線によって外方に突出する隆起部7を成し、かつ各画成領域Kの略中央部に内方に凹陥する窪み部8が設けられることにより、単に多数の隆起部が設けられたものより、肌との接触面積が小さくなるとともに、最も強く肌と当たる画成領域の略中央部(頂部)を窪ませることにより、擦れ、カブレ、かゆみなどの肌トラブルが効果的に防止でき、肌触り感が向上できる。また、各画成領域Kの略中央部に内方に凹陥する窪み部8が設けられることにより、 隆起部7の保形性を高めることができ、乾燥状態はもとより体液吸収時においても凹凸形状を持続的に維持し、前記肌トラブルが防止できるようになる。
前記不織布層3Aを構成する素材繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、エアスルー法、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、スパンボンド法はドレープ性に富む点で優れ、エアスルー法、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。不織布の繊維は、長繊維または短繊維のいずれでもよいが、好ましくはタオル地の風合いを出すため短繊維を使用するのがよい。また、エンボス処理を容易とするために、比較的低融点のポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系繊維のものを用いるのがよい。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維やサイド−バイ−サイド型繊維、分割型繊維等の複合繊維を好適に用いることもできる。
一方、前記プラスチックフィルム層3Bの素材としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリエステル、ナイロン等のポリアミド系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)などを好適に使用することができる。
エンボス加工処理に当たっては、図2に示されるように、肌当接面層を構成する不織布層3Aと、この不織布層3Aの非肌当接面側に積層されたプラスチックフィルム層3Bとからなる2層の複層シートからなる前記表面シート3単独か、その裏面側に前記セカンド不織布シート6を重ね合わせた状態で、多数の開孔処理(図示せず)を施した後、図3に示されるように、前記表面シート3に、エンボスMを各種格子形の線状パターンや格子配列又は千鳥配列のドットパターンなどの規則的パターンで付与することにより、エンボス線又はエンボス影響線によって網目状に画成された多数の画成領域K、K…を形成するとともに、各画成領域Kが外方に突出する隆起部7,7…を成し、かつ前記各画成領域Kの略中央部にエンボス付与によって内方に凹陥する窪み部8を形成するようにする。
前記表面シート3と親水性のセカンド不織布シート6とを重ね合わせた状態でエンボス加工を施すことにより、経血等がセカンド不織布シート6を介して吸収体4に吸収されやすくなり、表面のべた付き感がなくなるとともに、一度吸収した体液の逆戻りなどがなくなり、さらさら感が持続でき、肌のカブレやかゆみなどの肌トラブルを効果的に防止できる。
また、前記窪み部8において、前記表面シート3と前記セカンド不織布シート6とが熱融着されていることが望ましい。窪み部8において表面シート3とセカンド不織布シート6とが熱融着されることにより、肌触り感を損なわずに、窪み部8においてセカンド不織布シート6への体液吸収がスムーズに行われ、表面のべた付き感がなくなる。
前記画成領域Kを形成するためのエンボスのパターンは、例えば、図4〜7に示されるように、平面視で種々の形態に施すことができる。図4は、菱形格子状に付与したエンボス線9によって画成領域Kを画成した例であり、表面シート3の隆起部7とエンボス線9による凹条部とが明確に区別できるようにしたものである。図5は、図4の菱形格子状エンボスの各交点に対応する部分にのみドットエンボス10を付与した例であり、各ドット状エンボス10,10間を繋ぐライン部分がエンボス10の影響によって表面シート3を圧縮(引張)することによって生じた窪み線11、11…によって画成領域Kが画成されるようにしたものである。このように交点部にのみエンボス10を付与し、このエンボス10による窪み影響線によって画成領域Kを形成することによって、全体的に柔らかな触感とすることが可能となり風合いが良好となる。図6は、図4の菱形格子の各交点部でエンボス線が不連続となるように破線状のエンボス線12,12…を付与した例であり、各エンボス線が交差する交点部にエンボスを有しないため、シートが硬くなるのを防止でき、肌触り感を柔らかくできる効果がある。また、図7は、図4の菱形格子状のエンボス線13、13…を破線状とした例である。
前記各画成領域Kは、図4〜図7の図示例では菱形としているが、図8に示されるように、(A)四角形、(B)三角形、(C)五角形、(D)六角形などの多角形、(E)円や楕円など任意の形状とすることが可能である。
一方、前記窪み部8の平面視形状は、図示例では円形としているが、三角形、四角形、五角形、六角形など任意の多角形や楕円など任意形状で形成することが可能である。
また、前記窪み部8の平面形状の面積は、表面シート3から内側へ速やかな体液の浸透がなされるように、表面シート3に多数の開孔処理(後段で詳述)が施される場合、窪み部8、8…を確実に形成するとともに、窪み部8による上記作用効果を十分に発揮するため、窪み部8の平面形状の面積を表面シート3の開孔面積より大きくすることが好ましい。具体的には、窪み部8の平面形状の面積は、0.5mm2以上、好ましくは0.6mm2以上とするのが望ましい。また、体液の逆戻りを防止するため、表面シート3への形成割合は、10個/cm2以下とすることが好ましい。なお、窪み部8は、1つの画成領域Kに対し、複数個設けるようにしてもよい。
前記表面シート3に形成される開孔は、1個当たりの開孔面積が0.20〜0.60mm2、好ましくは0.47〜0.54mm2とし、開孔率10〜30%、好ましくは11〜20%の割合で形成するのが良い。前記開孔面積が0.20mm2未満の場合には、開孔面積が小さすぎて開孔壁部に体液が滞留するようになる。また、開孔面積が0.60mm2を超える場合には、開孔を通して体液の逆戻りが発生するようになるため好ましくない。一方、開孔率が10%未満の場合には、開孔率が小さ過ぎて表面に排出された体液を速やかに透過させることができなくなる。また、開孔率が30%を超える場合には体液の逆戻りが発生するようになり好ましくない。
前記開孔を形成するには、プラスチックフィルム層3Bを軟化温度付近まで軟化させて、多数の開孔を有する支持体の上面に位置させた状態で、支持体の下方から吸引したり、支持体の上面から空気圧で加圧し開孔を形成する方法、加熱針を突き刺す方法などを採用することができる。また、前記開孔処理は不織布層3Aとプラスチックフィルム層3Bとを積層させた後に行い、積層させた各層のすべてに開孔を形成するようにしても良いが、少なくともプラスチックフィルム層3Bに対して成されておればよい。この場合の開孔処理は、プラスチックフィルム層3Bに対して開孔を形成した後、不織布層3Aを積層させるようにする。
1…吸収性物品(生理用ナプキン)、2…不透液性裏面シート、3…透液性表面シート、4…吸収体、5…クレープ紙、6…セカンドシート、7…隆起部、8…窪み部、K…画成領域
Claims (2)
- 透液性の表面シートと裏面シートとの間に吸収体が介在された吸収性物品において、
前記表面シートは、肌当接面層を構成する不織布層と、この不織布層の非肌当接面側に積層されたプラスチックフィルム層とからなる2層の複層シートとされ、前記表面シートの裏面側に親水性のセカンド不織布シートが貼り合わされた状態で、エンボスを規則的パターンで付与することにより、エンボス線又はエンボス影響線によって網目状に画成された多数の画成領域を形成するとともに、各画成領域が外方に突出する隆起部を成し、かつ前記各画成領域の略中央部に内方に凹陥する窪み部を有し、この窪み部において前記表面シートと前記セカンド不織布シートとが熱融着されていることを特徴とする吸収性物品。 - 前記表面シートに多数の開孔処理を施してあるとともに、前記窪み部の平面形状の面積が、前記表面シートの開孔面積より大きい請求項1記載の吸収性物品。
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