JP5219728B2 - 吸収性物品の表面シート - Google Patents

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Description

本発明は、使い捨ておむつ、失禁パッド、生理用ナプキン、パンティライナー(おりものシート)等の吸収性物品に用いられる表面シートに関する。
従来、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収体を備えた吸収性物品の表面シートとして、2層以上の層を積層してなる多層構造を有し、液透過用の開孔が多数形成された表面シートが知られている。斯かる構成の表面シートに関し、本出願人は先に、肌対向面側が凹状をなし吸収体対向面側が吸収体に向かって突出し且つ壁部及び底部から構成された多数の凹陥部を有し、該凹陥部に液透過用の開孔が形成された表面シートを提案した。
即ち、本出願人は、表面シート層及び裏面シート層の2層からなる積層シートに前記凹陥部を形成し、該凹陥部の前記壁部における該表面シート層に、該表面シート層を厚み方向に貫通する前記開孔を形成した開孔シートを提案し(特許文献1参照)、また、フィルム層及び繊維層の2層からなる積層シートに前記凹陥部を形成し、該凹陥部の前記壁部に、該壁部を厚み方向に貫通する前記開孔を形成した吸収性物品の表面材を提案した(特許文献2参照)。また本出願人は、前記凹陥部の前記壁部及び前記底部それぞれに前記開孔を形成することも提案した(特許文献3参照)。特許文献1に記載の開孔シートは、着用時の加圧によって凹陥部が容易に変形して開孔が潰されるため、吸収性能を維持しつつ液戻りを効果的に防止し得る。液戻り(ウエットバック)は、吸収体に吸収された液体が肌当接面に戻る現象であり、吸収性物品の着用感の低下を招く原因となり得る。また、特許文献2及び3に記載の表面シートは、着用時の加圧によっても開孔が完全には閉塞しないため、液透過性と液戻り防止性との両立を図ることができる。
しかし、吸収性物品やその表面シートに要求される性能は年々高まっており、特許文献1〜3に記載の技術は、加圧時における開孔の変形性等の点で改善の余地があり、近年における高い要求に充分に応えられないおそれがある。
特許第2859703号公報 特許第2831677号公報 特開平4−114647号公報
従って本発明の目的は、液透過性及び液戻り防止性に優れた吸収性物品の表面シートを提供することにある。
本発明は、吸収体を備えた実質的に縦長の吸収性物品の該吸収体を覆い、使用者の肌側に向けられる肌対向面及び該吸収体側に向けられる吸収体対向面を有する吸収性物品の表面シートであって、前記肌対向面を形成する上層、疎水性の中層、及び前記吸収体対向面を形成する親水性の下層を順次積層してなる多層構造を備え、該中層は、その吸収性物品幅方向の破断伸度が50〜500%且つ吸収性物品長手方向の座屈強度が0.1〜10Nであり、前記表面シートは、前記肌対向面側が凹状をなし且つ前記吸収体対向面側が前記吸収体に向かって突出する複数の凹陥部を有し、前記凹陥部が壁部及び底部から構成され、該壁部の一部に、該壁部をその厚み方向に貫通する開孔が形成されており、6.6×102Paの加圧下での前記表面シートの厚み方向の歪みが30%以下であり、且つ6.6×103Paの加圧下での該歪みが80%以上である、吸収性物品の表面シートを提供することにより、前記目的を達成したものである。
また本発明は、吸収体を備えた実質的に縦長の吸収性物品の該吸収体を覆い、使用者の肌側に向けられる肌対向面及び該吸収体側に向けられる吸収体対向面を有する吸収性物品の表面シートであって、前記肌対向面を形成する上層、疎水性の中層、及び前記吸収体対向面を形成する親水性の下層を順次積層してなる多層構造を備え、該中層は、その吸収性物品幅方向の破断伸度が50〜500%且つ吸収性物品長手方向の座屈強度が0.1〜10Nであり、前記中層及び前記下層からなる積層体は、前記上層側に向けられる上層対向面側が凹状をなし且つ前記吸収体対向面側が前記吸収体に向かって突出する複数の凹陥部を有し、前記上層が、前記凹陥部を構成せずに前記積層体の前記上層対向面を被覆しており、前記凹陥部が壁部及び底部から構成され、該壁部の一部に、該壁部をその厚み方向に貫通する開孔が形成されており、6.6×102Paの加圧下での前記表面シートの厚み方向の歪みが30%以下であり、且つ6.6×103Paの加圧下での該表面シートの厚み方向の歪みが80%以上である、吸収性物品の表面シートを提供することにより、前記目的を達成したものである。
本発明の吸収性物品の表面シートは、液透過性及び液戻り防止性に優れており、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収体を備えた吸収性物品の表面シートとして好適に用いられる。
以下、本発明の吸収性物品の表面シート(以下、表面シートともいう)について、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施形態の表面シートを模式的に示す斜視図、図2は、図1のI−I線断面を模式的に示す斜視図である。
第1実施形態の表面シート1は、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッド等の吸収体を備えた吸収性物品の肌当接面に用いられるもので、使用者の肌側に向けられる肌対向面1A及び該吸収体側に向けられる吸収体対向面1Bを有する。表面シート1は、肌対向面1Aを形成する上層2、疎水性の中層3、及び吸収体対向面1Bを形成する親水性の下層4を順次積層してなる多層構造を備えている。該多層構造を構成する各層間は、接着剤等の接合手段により接合されている。
表面シート1は、肌対向面1A側が凹状をなし且つ吸収体対向面1B側が吸収体に向かって突出する複数の凹陥部5を有している。凹陥部5は、平面視して四角形形状をしており、表面シート1の全体に亘って略均一に分布するように多数形成されている。このように、肌対向面1A側が凹状をなす凹陥部5が多数形成されていることにより、該凹陥部5が形成されておらず肌対向面1A全体が略平坦状に形成されている場合に比して、表面シート1を吸収性物品に組み込んだときに肌対向面1Aが肌に貼りつきにくくなり、着用者の肌と表面シート1との間に隙間が形成されるようになるため、該吸収性物品の通気性が高まり、着用時のムレを効果的に防止することができる。
表面シート1における凹陥部5が形成されていない部位(非凹陥部)は、該表面シート1が吸収性物品に組み込まれたときに該吸収性物品の着用者の肌に接する頂部21となっている。頂部21は略平坦状に形成されている。また、頂部21は凹陥部5の周囲に連続して形成されている。第1実施形態における頂部21は、図1に示すように、表面シート1の一方向(図1中X方向)及び該一方向に直交する方向(図1中Y方向)の両方向に連続直線状に存在している。即ち図1においては、直線LXに沿って頂部21が連続直線状に延びており、また直線LYに沿って頂部21が連続直線状に延びている。
凹陥部5は、壁部51及び底部52から構成されている。より具体的には、凹陥部5は、略平坦状に形成されている表面シート1の頂部21から陥没して形成されており、吸収体対向面1B側に陥没した底部52と、凹陥部5の周囲を形成すると共に頂部21と底部52とを連結する壁部51とから構成されている。頂部21と壁部51とは折曲線11により、壁部51と底部52とは折曲線12により、それぞれ境界が形成されている。底部52は平面視して四角形形状をしている。
凹陥部5を形成する壁部51の一部には、該壁部51をその厚み方向に貫通する開孔6が形成されている。第1実施形態における開孔6は、平面視して四角形形状の凹陥部5の内面を形成する、相対向する一対の壁部51,51それぞれに形成されている。開孔6は、底部52を画成する折曲線12(四角形形状の底部52の一辺)から頂部21に向かって所定高さに亘って形成されており、該折曲線12を一辺とする略四角形形状をしている。尚、相対向する他の一対の壁部51,51及び凹陥部5の底部52は、何れも開孔しておらず、これらの部位には開孔は形成されていない。
開孔6は、表面シート1が吸収性物品に組み込まれたときに液の透過孔として機能する。開孔6の形状は、四角形形状に限定されず、液透過性等を考慮して適宜設定することができる。開孔6の大きさ(開孔面積)は、好ましくは0.1〜5mm2、更に好ましくは1〜3mm2である。また、1個の凹陥部5において全壁部51の総面積に占める全開孔6の総開孔面積の割合(開孔面積率)は、充分な液透過性を確保すると共に、壁部51に一定の強度を付与し後述する開孔6の開閉動作を確実に発現させる観点から、好ましくは1〜50%、更に好ましくは5〜40%である。尚、開孔6の大きさ(開孔面積)は、無荷重下の大きさであり、例えば断面を撮影した顕微鏡写真から求める。
凹陥部5は、表面シート1が0〜6.6×102Pa程度の無荷重下あるいは低荷重下にあるときはその立体形状が略維持されるが、表面シート1が6.6×103Pa以上の高荷重下にあるときは弾性変形し、壁部51の開孔6が僅かな細隙を残す程度まで潰されるようになされている。また、高荷重下にある表面シート1にかかっている荷重を取り除くと、凹陥部5は元の立体形状に回復し、これにより開孔6の開孔状態も回復する。即ち開孔6は、低荷重下ではその開孔状態(開孔面積)を略維持し、高荷重下では実質的に閉塞するように(開孔面積が略ゼロになるように)なされており、表面シート1にかかる圧力の変化に応じて開閉動作可能になされている。
一般に、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品の着用時において、排泄時に表面シートにかかる体圧等の圧力は6.6×102Pa程度以下の比較的低圧であるため、上述したように斯かる低圧下で開孔状態を維持し得る開孔6は、排泄時に液の透過孔として充分に機能する。一方、例えば吸収性物品の着用者が座位の姿勢をとっている場合などは、表面シートにかかる体圧等の圧力は通常6.6×103Pa程度以上となるところ、上述したように斯かる圧力下では開孔6は実質的に閉塞しているため、いわゆる液戻り(表面シートを透過して吸収体に一旦吸収保持された液が該表面シートの表面に浸出する現象)が抑制される。このように、第1実施形態の表面シート1は、上述した開孔6の開閉動作によって優れた液透過性及び液戻り防止性を発現することができる。
第1実施形態の表面シート1は、上述した開孔6の開閉動作を発現させる観点から、6.6×102Pa(5g/cm2)の加圧下での該表面シート1の厚み方向の歪みが30%以下、好ましくは0〜20%であり、且つ6.6×103Pa(50g/cm2)の加圧下での該歪みが80%以上、好ましくは85〜100%である。6.6×102Paの加圧下での前記歪みが30%以下ということは、それよりも加圧力の低い6.6×102Pa未満の加圧下での前記歪みが30%以下ということである。また、6.6×103Paの加圧下での前記歪みが80%以上ということは、それよりも加圧力の高い6.6×103Pa超の加圧下での前記歪みが80%以上ということである。前記両歪みの何れか一方でも前記範囲外であると、上述した開孔6の開閉動作が困難となり、液透過性及び液戻り防止性の低下を招くおそれがある。前記両歪みをそれぞれ前記範囲内とすることは、後述するように中層3として特定の物性を有するものを用いることにより実現することができる。前記歪みは次のようにして測定される。
<加圧下での表面シートの厚み方向の歪みの測定方法>
無荷重下及び加圧下(6.6×102Paの加圧下又は6.6×103Paの加圧下)それぞれにおける表面シートの厚みを、KEYENCE製厚み計LK−085を用いて測定し、それらの測定値を下記の計算式に当てはめて、所定の加圧下での表面シートの厚み方向の歪みを算出した。 加圧下での表面シートの厚み方向の歪み(%)={(無荷重下の表面シートの厚み−加圧下の表面シートの厚み)/無荷重下の表面シートの厚み}×100
表面シート1は、凹陥部5の立体形状の変形後の回復性や吸収性物品に組み込まれたときの着用感の向上等の観点から以下の構成を有することが好ましい。即ち、表面シート1の坪量は、好ましくは30〜150g/m2、更に好ましくは50〜100g/m2である。また、凹陥部5の開口の大きさ(頂部21で測定した凹陥部5の開口面積)は、好ましくは0.3〜5mm2、更に好ましくは0.5〜2mm2である。また、表面シート1の見掛け厚みT(図2参照)は、好ましくは0.3〜2mm、更に好ましくは0.5〜1.5mmであり、該厚みTに対する頂部21の厚み(実質厚み)T1の割合は、好ましくは15〜70%、更に好ましくは20〜50%である。また、凹陥部5の個数は、表面シート
cm2当り、好ましくは20〜50個、更に好ましくは30〜40個である。尚、前記厚みT、T1は、何れも無荷重下の厚みであり、KEYENCE製厚み計LK−085を用いて測定する。
表面シート1を構成する各層について説明すると、表面シート1の肌対向面1Aを形成する上層2は、親水性でも疎水性でも良く、肌触りの良いシート材が好ましく用いられる。上層2としては、例えば、吸収性物品の表面シートに従来用いられている各種の不織布を特に制限なく用いることができる。上層2を構成する不織布としては、例えば、エアースルー不織布、エアレイド不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布等を用いることができる。これらの中でも特にエアースルー不織布は、肌触りが良いため上層2として本発明で好ましく用いられる。
上層2を構成する不織布の構成繊維は、立体形状の安定性に優れた凹陥部5を形成する観点から、熱融着性繊維、特に熱可塑性ポリマー材料からなる繊維が好ましい。熱可塑性ポリマー材料としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミドなどが挙げられる。またこれらの熱可塑性ポリマー材料の組合せからなる芯鞘型あるいはサイド・バイ・サイド型等の複合繊維も好ましく用いられる。これらの繊維は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上層2の坪量は、好ましくは8〜50g/m2、更に好ましくは15〜30g/m2である。また、上層2の無荷重下における厚みは、好ましくは0.02〜0.5mm、更に好ましくは0.03〜0.2mmである。該厚みはKEYENCE製厚み計LK−085を用いて測定される。尚、後述する中層3及び下層4の厚みも同様の方法で測定される。
中層3は、上層2に隣接して積層される疎水性の層であり、表面シート1の主たる特徴の一つである、上述した開閉動作可能な開孔6の形成及びその開閉動作の制御に関して中心的な役割を担うものである。中層3は、その吸収性物品幅方向の破断伸度が50〜500%、好ましくは60〜300%且つ吸収性物品長手方向の座屈強度が0.1〜10N、好ましくは1〜5Nである。ここで、吸収性物品長手方向とは、表面シート1が組み込まれる、実質的に縦長の(一方向に長い)吸収性物品の長辺に沿う方向であり、吸収性物品幅方向とは、該吸収性物品長手方向と直交する方向である。尚、吸収性物品がパンツ型である場合は、そのサイドシール部を剥がして該吸収性物品を平面状に拡げた状態での長手方向及び幅方向を意味する。中層3の伸度が前記範囲外あるいは座屈強度が前記範囲外では、表面シート1の製造時において開孔6の形成が困難となったり、表面シート1の使用時において開孔6の開閉動作が充分に発現しなかったりするおそれがある。前記伸度及び前記座屈強度はそれぞれ次のようにして測定される。
<伸度の測定方法>
中層から長手方向25mm、幅方向80mmの矩形形状を切り出してこれを測定サンプルとし、テンシロン引張試験機(株式会社テイ・エス・エンジニアリング製、OLIENTEC TENSILON「RTA−100」)により、チャック間隔30mmで測定サンプルを保持し、引張強度300mm/minで引っ張って破断時の伸度を測定した。
<座屈強度の測定方法>
中層から長手方向140mm、幅方向45mmの矩形形状を切り出し、その切り出し片を、その長手方向が周方向になるように丸め且つ切り出し片の長手方向両端部の重なり幅が5mm程度となるようにして円筒を作り、その切り出し片の重なり部をステープル(マックス(株)製No.10−1Mの針)を用いて幅方向に10mm間隔で3箇所止着して、円筒形状の測定サンプルを得る。尚、ステープル(針)の向きは、その長さ方向を円筒形状の測定サンプルの周方向に略一致させる。得られた測定サンプルをテンシロン圧縮試験機(株式会社テイ・エス・エンジニアリング製、OLIENTEC TENSILON「RTA−100」)にセットし、圧縮プレートにより、円筒形状の測定サンプルの軸方向に、50mm/分の圧縮速度で該測定サンプルを圧縮する。圧縮プレートの初期位置は、圧縮前の測定サンプルの幅(円筒形状の測定サンプルの軸方向の長さ、45mm)よりも広い47mm程度とする。測定サンプルの圧縮は、測定サンプルの幅が30mmとなる位置まで行い、その圧縮過程における最大点荷重を座屈強度とする。
中層3としては、疎水性で且つ弾性(本発明において弾性とは、「伸ばすことが出来、かつ元の長さに対して100%伸ばした状態(即ち元の長さの200%の長さになった状態)から力を解放したときに、元の長さの135%以下の長さまで戻る性質をいう。)を有するシート材が好ましく用いられる。中層3が弾性を有していると、凹陥部5の上述した変形及び該変形後の立体形状の回復が繰り返し安定的に行われるようになると共に、その変形速度及び回復速度が増加するため、開孔6の開閉動作も繰り返し安定的に行われるようになり且つ開閉速度が増加し、これにより吸収性物品の着用者の動き(体圧の変化)に開孔6が即応できるようになり、その結果表面シート1の液透過性及び液戻り防止性の更なる向上が図られる。
中層3を構成するシート材としては、吸収性物品幅方向の破断伸度が50〜500%且つ吸収性物品長手方向の座屈強度が0.1〜10Nであれば、特に際限なく用いることができる。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド等の樹脂フィルム;不織布;SBS(スチレン−ブタジエン−スチレン)、SIS(スチレン−イソプレン−スチレン)、SEBS(スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン)、SEPS(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン)等のスチレン系エラストマーフィルム、オレフィン系エラストマーフィルム(エチレン系のα-オレフィンエラストマー、エチレン・ブテン・オクテン等を共重合したプロピレン系エラストマー)、ポリエステル系エラストマーフィルム、ポリウレタン系エラストマーフィルム等が挙げられる。これらの中でも特にエラストマーフィルムは、中層3として本発明で好ましく用いられる。エラストマーフィルムは、疎水性で且つ弾性を有しているため、これを中層3として用いることにより、凹陥部5の上述した変形及び該変形後の立体形状の回復が繰り返し安定的に行われるようになると共に、その変形速度及び回復速度が増加するため、開孔6の開閉動作も繰り返し安定的に行われるようになり且つ開閉速度が増加し、これにより吸収性物品の着用者の動き(体圧の変化)に開孔6が即応できるようになり、その結果表面シート1の液透過性及び液戻り防止性の更なる向上が図られる
中層3の坪量は、好ましくは10〜50g/m2、更に好ましくは15〜35g/m2である。また、中層3の無荷重下における厚みは、好ましくは0.01〜0.5mm、更に好ましくは0.02〜0.3mmである。
下層4は、中層3に隣接して積層され表面シート1の吸収体対向面1Bを形成する親水性の層であり、主として、表面シート1が吸収性物品に組み込まれたときにその肌対向面1A上に排泄された液を引き込んで吸収体へと導く役割を担うものである。下層4としては、このような下層4の役割を考慮すると、セルロース繊維を含んで構成されていることが好ましい。セルロース繊維を含んで構成されている下層4は、毛管現象によって液を吸い込む力が強力なため、該下層4を含む表面シート1は、液の引き込み性が高く液透過性に特に優れる。下層4中のセルロース繊維の含有量は、下層4の全質量に対して、好ましくは50質量%以上、更に好ましくは70〜100質量%である。
セルロース繊維を含む下層4としては、例えば、紙、不織布等が挙げられる。これらの中でも特に紙は、液の引き込み性が強いため下層4として本発明で好ましく用いられる。
前記セルロース繊維としては、例えば、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹クラフトパルプ(LBKP)、綿等の天然セルロース繊維;レーヨンやキュプラ等の再生セルロース繊維、嵩高性の架橋パルプ等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも特に嵩高性の架橋パルプは、液の引き込み性が強いため本発明で好ましく用いられる。
下層4の坪量は、好ましくは12〜50g/m2、更に好ましくは20〜35g/m2である。また、下層4の無荷重下における厚みは、好ましくは0.01〜0.4mm、更に好ましくは0.02〜0.3mmである。
第1実施形態の表面シート1は、吸収体を備えた実質的に縦長の(一方向に長い)吸収性物品の表面シートとして用いられる。吸収性物品は、主として尿や経血等の排泄体液を吸収保持するために用いられるものである。吸収性物品には、例えば使い捨ておむつ、失禁パッド、生理用ナプキン、パンティライナー(おりものシート)等が包含されるが、これらに限定されるものではなく、人体から排出される液の吸収に用いられる物品を広く包含する。
吸収性物品は、典型的には、表面シート、裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を具備している。吸収体及び裏面シートとしては、当該技術分野において通常用いられている材料を特に制限無く用いることができる。例えば吸収体としては、パルプ繊維等の繊維材料からなる繊維集合体又はこれに吸収性ポリマーを保持させたものを、ティッシュペーパーや不織布等の被覆シートで被覆してなるものを用いることができる。裏面シートとしては、熱可塑性樹脂のフィルムや、該フィルムと不織布とのラミネート等の液透過性ないし撥水性のシートを用いることができる。裏面シートは水蒸気透過性を有していても良い。吸収性物品は更に、該吸収性物品の具体的な用途に応じた各種部材を具備していても良い。そのような部材は当業者に公知である。例えば吸収性物品を使い捨ておむつや生理用ナプキンに適用する場合には、表面シート上の左右両側部に一対又は二対以上の立体ガードを配置することができる。
第1実施形態の表面シート1は、上述したように圧力の変化に応じて開閉動作可能な開孔6を備えているため、吸収体を備えた実質的に縦長の吸収性物品の表面シートとして用いられた場合に優れた液透過性及び液戻り防止性を奏する。即ち、表面シート1が組み込まれた吸収性物品の着用時において、尿等の体液の排泄時には表面シート1にかかる体圧等の圧力が低いため凹陥部5は殆ど変形せず、図1及び図2に示すように開孔6の開孔状態が維持されているため、肌対向面1Aに向けて着用者の身体から排泄された体液が、頂部21から凹陥部5内にあるいは直接凹陥部5内に入った場合、該体液は、相対向する一対の開孔状態の開孔6,6を通って表面シート1の下方に配されている吸収体に吸収される。また、例えば吸収性物品の着用者が座っている場合のように、表面シート1に高い圧力がかかり、これにより液戻りが懸念されるような場合には、図3に示すように凹陥部5が弾性変形して開孔6が実質的に閉塞しているため、吸収体から表面シート1への液の移動が遮断され、その結果液戻りが抑制される。凹陥部5を構成する壁部51及び底部52の構成部材の一つである中層3は疎水性であるため、体液が壁部51及び底部52を透過することはなく、そのため表面シート1の液透過性は、主として上述した開孔6の開閉動作によって制御される。特に、中層3が弾性を有している場合は、開孔6の開閉動作の繰り返し安定性が向上し且つ開閉速度が速まるため、液透過性及び液戻り防止性の更なる向上が図られる。また、下層4がセルロース繊維を含んで構成されている場合は、下層4の液引き込み性が高まるため、液透過性の更なる向上が図られる。
また第1実施形態の表面シート1においては、上述したように凹陥部5の底部52が開孔していないため、底部52が開孔している場合に比して凹陥部5の形態が安定しており、吸収性物品着用時における体液の排泄時に表面シート1にかかる体圧程度では、凹陥部5は殆ど変形せず、また表面シート1に高い圧力がかかって変形してもその圧力から解放されたときの回復力に優れている。また、凹陥部5が開孔していない底部52を有していることで、吸収体に移行した体液が該底部52によって隠蔽されるため、例えば生理用ナプキンの表面シートとして用いたときに、使用後のナプキンにおいて経血が目立つことを防止することができる。
また、液戻り防止性に優れた第1実施形態の表面シート1を吸収性物品の表面シートとして使用することにより、吸収体が吸収可能な量を超えて排泄液が出た場合においても、開孔6が閉塞することにより該排泄液が表面に液戻りしないため、該吸収性物品における吸収体の低坪量化や吸収性ポリマーの不使用が可能となり、吸収性物品の製造コストの低減や着用感の向上を図ることが可能となる。
第1実施形態の表面シート1は、例えば次のようにして製造することができる。図4には、第1実施形態の表面シート1を製造する際に用いられる装置の一例の概要が示されている。本実施例装置は、図4に示すように、ロールユニット70から積層シート1’を供給すると、積層シート1’が位置規制装置71を通過して該積層シート1’に横振れのない状態で該積層シート1’を賦形装置80に引き渡し、賦形装置80では積層シート1’が通過するとその間に、図5に示すように多数の凹陥部5及び開孔6を有する表面シート1を成形して賦形装置80の下流側にある位置規制装置72へ引き渡し、更に位置規制装置72から表面シート1を次工程へ引き渡すように構成されている。尚、図4において、符合73は賦形装置80に加圧力を付与する加圧装置である。
積層シート1’は、多層構造の表面シート1を構成する各層(上層2、中層3、下層4)が積層され一体化されている略平坦状の多層構造のシート状物であり、これに凹陥部5及び開孔6を形成することにより表面シート1となる。積層シート1’を構成する各層については、それぞれ上述した通りである。積層シート1’の各層間は、接着剤等の接合手段により接合されている。
賦形装置80は、積層シート1’に多数の凹陥部5及び開孔6を形成して表面シート1とする装置であり、図5に示すように、周面に多数の凸部81を有する凸ロール82と、周面に凸部81に対応する凹部83を多数有する凹ロール84を具備している。凸ロール82及び凹ロール84は、同期して図5中矢印で示す方向に回転駆動するようになされており、両ロール82,84の回転に伴い、個々の凸部81が対応する凹部83内に順次挿入されるように構成されている。各凸部81は、凸ロール82の周方向及び軸方向にそれぞれ所定間隔をもってロールの周面に縦横に規則正しく配列されている。各凸部81は、四角形形状の頂面81aと4つの壁面81bとを有し、相対向する各壁面81b,81bは頂面81aにおける間隔よりも凸ロール82の周面における間隔の方が大きくなるように、それぞれ僅かに傾斜した略四角錐台形状を呈している。各凹部83は、凸部81に合致した形状をしている。
図5に示すように、回転するロール82,84間に積層シート1’を導入すると、積層シート1’は、凹ロール84における凹部83以外の部分が裏面に接触した状態において、凸部81による凹部83への押し込み部位へと搬送され、該押し込み部位において、積層シート1’の凹部83上に位置する部位が凸部81によって押圧され該凹部83内へと押し込まれる。この押し込みによって、積層シート1’の一部が変形して凹陥部5が発生すると共に、該凹陥部5の壁部シート1’の流れ方向(MD)と直交する方向(CD)の壁部〕を構成する、引張応力に対する破断時の限界伸び量の小さい各層(上層2,中層3,下層4)が破断して開孔6が形成される。また積層シート1’において、凸部81による押し込みがなされない部位は、上述した表面シート1の頂部21(非凹陥部)となる。こうして、表面シート1を製造することができる。
上述した押し込みによる積層シート1’における凹陥部5及び開孔6の形成過程を、図6に基づいて更に詳述すると、加圧装置73(図4参照)によって凸ロール82と凹ロール84間に押し付け力を付与すると、凸ロール82の凸部81が積層シート1’を介して凹ロール84の凹部83内に徐々に挿入される。この挿入初期の状態では図6(a)に示す如く、積層シート1’は、凸部81の頂面81aに接触して直接押圧される固定区域1’aの周囲に、凸部81の壁面81b及び凹部83の内面の何れにも接触しない非固定区域1’bが生じるように、凹部83内に押し込まれる。そして、両ロール82,84の回転に伴って凸部81が徐々に凹部83内に挿入されるにつれて、固定区域1’aを中心に積層シート1’が伸長し、非固定区域1’bに凸部81の壁面81bの高さ方向に沿った引張応力が加わり、該非固定区域1’bを延伸する。この延伸によって非固定区域1’bの伸び量が該非固定区域1’bを構成する各層(上層2,中層3,下層4)の伸び限界値を超えると、凸部81の壁面81bに沿って該各層が図6(b)に示すように破断する。即ち、引張応力に対する破断時の限界伸び量の小さい、上層2,中層3及び下層4それぞれは、凹陥部5における前記CDと略平行な壁部(シート1’の流れ方向と直交する方向の壁部)において図6(b)に示すように破断し、これにより当該部に当該部を厚み方向に貫通する開孔6が形成される。一方、凹陥部5における前記MDと略平行な壁部(シート1’の流れ方向の壁部)においては、各層2,3,4は何れもある程度延伸されるものの破断するには至らず、開孔は形成されない。
開孔6の形成後、両ロール82,84が更に回転して接触部位が非接触状態になっても、積層シート1’における、凸部81によって押圧された部位である凹陥部5は、凸部81が離れた後も押し込まれたままで完全には嵩が回復せず、凹陥部としての形状が維持される。また、各凹陥部5における開孔6の形成されていない相対向する一対の壁部、即ち前記MDと略平行な一対の壁部(シート1’の流れ方向の壁部)51,51を構成する各層(上層2,中層3及び下層4)は、何れも前記押し込み前に比して伸長した状態で固定されている。
以上のようにして、多数の凹陥部5及び開孔6が形成された表面シート1が得られる。得られた表面シート1において、凹陥部5の底部52は、主として積層シート1’における、凸部81の頂面81aに直接押圧された前記固定区域1’aから構成され、開孔6の形成されていない相対向する一対の壁部51,51は、主として積層シート1’における前記非固定区域1’bから構成されている。
図7には、本発明の表面シートの第2実施形態が示されている。第2実施形態については、上述した第1実施形態の表面シート1と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、第1実施形態の表面シート1についての説明が適宜適用される。
第2実施形態の表面シート1は、上層2に凹陥部5が形成されておらず、肌当接面1Aが略平坦状に形成されている点で、第1実施形態の表面シート1と異なる。即ち、第2実施形態の表面シート1においては、図7に示すように、中層3及び下層4からなる積層体7における、上層2側に向けられる上層対向面7A側が凹状をなし且つ吸収体対向面1B側が吸収体に向かって突出する複数の凹陥部5を有している。そして、第2実施形態における上層2は、凹陥部5を構成せずに積層体7の上層対向面7Aの略全面を被覆している。上層2と積層体7とは、該積層体7の頂部71において接着剤等の接合手段によって接合されている。
第2実施形態における凹陥部5は、略平坦状に形成されている積層体7の頂部71から陥没して形成されており、吸収体対向面1B側に陥没した底部52と、凹陥部5の周囲を形成すると共に頂部71と底部52とを連結する壁部51とから構成されている。第2実施形態における積層体7の頂部71は、第1実施形態における表面シート1の頂部21と同様に形成されている。第2実施形態の表面シート1によっても第1実施形態と同様の効果が奏される。
本発明の吸収性物品の表面シートは、前記実施形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。例えば凹陥部5は千鳥状に配されていても良い。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は斯かる実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
図4に示す装置を用いて上述した方法により、図1に示す表面シート1を製造し、これを実施例1のサンプルとした。図4に示す装置に導入される積層シート1’は、次のように構成された上層2、中層3、下層4を順次積層してなり、各層間は接着剤で接合されている。
上層2:繊維径3.3dtexの芯鞘型複合繊維〔芯がポリエチレンテレフタレート(PET)、鞘がポリエチレン(PE)、容積比(PET/PE)=40/60〕をカード機に通してウェブとし、このウェブを熱風処理により不織布化して得られるエアースルー不織布。上層2(エアースルー不織布)の坪量25g/m2、無荷重下における厚み0.2mm。
中層3:坪量30g/m2、無荷重下における厚み0.1mm、吸収性物品幅方向の破断伸度70%、吸収性物品長手方向の座屈強度2Nのメルトブロー不織布。
下層4:針葉樹クラフトパルプ(NBKP)を湿式抄紙してなる紙。下層4(紙)の坪量30g/m2、無荷重下における厚み0.1mm。
〔実施例2〕
実施例1において、中層3として前記メルトブロー不織布に代えて、坪量16g/m2、無荷重下における厚み0.05mm、吸収性物品幅方向の破断伸度200%、吸収性物品長手方向の座屈強度3Nのオレフィン系エラストマーフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして表面シートを製造し、これを実施例2のサンプルとした。
〔実施例3〕
実施例1において、下層4として前記紙に代えて、エアースルー不織布を用いた以外は実施例1と同様にして表面シートを製造し、これを実施例3のサンプルとした。該エアースルー不織布は、繊維径2.2dtexの芯鞘型複合繊維〔芯がPET、鞘がPE、容積比(PET/PE)=40/60〕をカード機に通してウェブとし、このウェブを熱風処理により不織布化して得られるもので、該エアースルー不織布の坪量25g/m2、無荷重下における厚み0.2mmである。
〔比較例1〕
実施例1において、中層3として前記メルトブロー不織布に代えて、坪量30g/m2、無荷重下における厚み0.1mm、吸収性物品幅方向の破断伸度25%、吸収性物品長手方向の座屈強度44Nのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして表面シートを製造し、これを比較例1のサンプルとした。
〔比較例2〕
実施例1において、中層3として前記メルトブロー不織布に代えて、坪量16g/m2、無荷重下における厚み0.05mm、吸収性物品幅方向の破断伸度180%、吸収性物品長手方向の座屈強度0.05Nのポリエチレンフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして表面シートを製造し、これを比較例2のサンプルとした。
実施例及び比較例の表面シートについて、中層の伸度及び座屈強度、並びに6.6×102Pa及び6.6×103Paそれぞれの加圧下での該表面シートの厚み方向の歪みを、それぞれ前述した方法により測定した。
また、実施例及び比較例の表面シートを用いて、次のようにして生理用ナプキンを作製し、この生理用ナプキンについて、以下の方法により液通過時間及び液戻り量をそれぞれ測定した。これらの結果を下記表1に示す。
花王株式会社の市販の生理用ナプキン(商品名「ロリエさらさらクッション肌きれい吸収」)から表面シートを取り除き、その代わりに、実施例及び比較例の各表面シートを配置し、その周囲を固定して評価用の生理用ナプキンを得た。
<液通過時間及び液戻り量の測定>
生理用ナプキンを水平に置き、該生理用ナプキンの上に、直径1cmの注入口のついたアクリル板を重ねて、該注入口から脱繊維馬血(日本バイオテスト(株)製)6gを注入し、脱繊維馬血が該生理用ナプキンに全て吸収されるまでの時間を測定し、その測定時間を液通過時間とした。更に、脱繊維馬血が全て吸収されてから3分間その状態を保持した後、前記アクリル板を取り除き、前記生理用ナプキンにおける表面シートの肌当接面上に、縦7cm、横10cmの矩形形状で坪量30g/m2の吸収紙(市販のティッシュペーパー)を10枚重ねたもの(2枚重ねのティッシュペーパー5組)を載せた。更にその上に圧力が6.6×103Paになるように重りを載せて2分間加圧した。加圧後、重り及び吸収紙を取り除き、取り除いた吸収紙の重さを測定し、その測定値から、予め求めておいた該吸収紙の使用前(乾燥状態)の重さを差し引いて、吸収紙に吸収された脱繊維馬血量を求めた。この値を液戻り量とした。前記液通過時間が短いほど、液透過性に優れ高評価となり、また前記液戻り量が少ないほど、液戻り防止性に優れ高評価となる。
Figure 0005219728
表1に示す結果から、実施例の表面シートを用いた生理用ナプキン(吸収性物品)は、液透過性及び液戻り防止性に優れていることが判る。特に実施例2の表面シートは、主として、その中層が疎水性で且つ弾性を有するシート材(エラストマーフィルム)であるため、中層が弾性を有していないシート材(メルトブロー不織布)である実施例1及び3の表面シートに比して、液透過性及び液戻り防止性により優れている。これに対して、比較例1の表面シートを用いた生理用ナプキンは、主として、6.6×103Paの加圧下での該表面シートの厚み方向の歪みが80%を大きく下回っているため、液戻り量が多く、液戻り防止性が劣っている。また、比較例2の表面シートを用いた生理用ナプキンは、液戻りは見られなかったものの、主として、6.6×102Paの加圧下での該表面シートの厚み方向の歪みが30%を大きく上回っているため、液通過時間が180秒を超え、液透過性に劣っており、そのために液が吸収体まで透過せずに漏れを発生してしまうことが判る。
図1は、本発明の第1実施形態の表面シートを模式的に示す斜視図である。 図2は、図1のI−I線断面を模式的に示す斜視図である。 図3は、図1に示す表面シートの開孔が閉塞している状態を模式的に示す斜視図である。 図4は、図1に示す表面シートを製造する際に用いられる装置の一例の概要を示す構成図である。 図5は、図4に示す装置における賦形装置の要部を模式的に示す斜視図である。 図6(a)及び(b)は、それぞれ、図5に示す賦形装置において積層シートに凹陥部及び開孔を形成する状態を模式的に示す説明図である。 図7は、本発明の第2実施形態の表面シートを模式的に示す図2相当図である。
符号の説明
1 表面シート
2 上層
3 中層
4 下層
5 凹陥部
6 開孔
7 中層と下層との積層体
21,71 頂部
51 壁部
52 底部
1A 肌対向面
1B 吸収体対向面
7A 積層体の上層対向面

Claims (4)

  1. 吸収体を備えた実質的に縦長の吸収性物品の該吸収体を覆い、使用者の肌側に向けられる肌対向面及び該吸収体側に向けられる吸収体対向面を有する吸収性物品の表面シートであって、
    前記肌対向面を形成する上層、疎水性の中層、及び前記吸収体対向面を形成する親水性の下層を順次積層してなる多層構造を備え、該中層は弾性を有するシート材であり該中層の吸収性物品幅方向の破断伸度が60300%且つ該中層の吸収性物品長手方向の座屈強度がNであり、
    前記表面シートは、前記肌対向面側が凹状をなし且つ前記吸収体対向面側が前記吸収体に向かって突出する複数の凹陥部を有し、
    前記凹陥部が壁部及び底部から構成され、該壁部の一部に、該壁部をその厚み方向に貫通する開孔が形成されており、
    6.6×102Paの加圧下での前記表面シートの厚み方向の歪みが30%以下であり、且つ6.6×103Paの加圧下での該表面シートの厚み方向の歪みが80%以上である、吸収性物品の表面シート。
  2. 吸収体を備えた実質的に縦長の吸収性物品の該吸収体を覆い、使用者の肌側に向けられる肌対向面及び該吸収体側に向けられる吸収体対向面を有する吸収性物品の表面シートであって、
    前記肌対向面を形成する上層、疎水性の中層、及び前記吸収体対向面を形成する親水性の下層を順次積層してなる多層構造を備え、該中層は弾性を有するシート材であり該中層の吸収性物品幅方向の破断伸度が60300%且つ該中層の吸収性物品長手方向の座屈強度がNであり、
    前記中層及び前記下層からなる積層体は、前記上層側に向けられる上層対向面側が凹状をなし且つ前記吸収体対向面側が前記吸収体に向かって突出する複数の凹陥部を有し、前記上層が、前記凹陥部を構成せずに前記積層体の前記上層対向面を被覆しており、
    前記凹陥部が壁部及び底部から構成され、該壁部の一部に、該壁部をその厚み方向に貫通する開孔が形成されており、
    6.6×102Paの加圧下での前記表面シートの厚み方向の歪みが30%以下であり、且つ6.6×103Paの加圧下での該表面シートの厚み方向の歪みが80%以上である、吸収性物品の表面シート。
  3. 前記下層がセルロース繊維を含んで構成されている、請求項1又は2記載の吸収性物品の表面シート。
  4. 前記開孔は、前記表面シートにかかる圧力が6.6×10 2 Pa以下の低荷重下又は無荷重下では、その開孔状態を略維持し、該圧力が6.6×10 3 Pa以上の高荷重下では、実質的に閉塞するようになされている、請求項1〜3の何れか一項に記載の吸収性物品の表面シート。
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