JP6022316B2 - 吸収性物品 - Google Patents
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Description
図1に示すナプキン10は、肌当接面側に配置される表面シート1、非肌当接面側に配置される裏面シート2、及び両シート間に配置される吸収体3を有する。さらにナプキン10は、ウイング部5を有する。ウイング部5は、表面シート1の肌当接面側の両側で積層されたサイドシート4及び裏面シート2の延出部分で形成されている。
この区分は、使用目的等によって変わる吸収性物品の大きさに合わせて設定され得る。例えば、通常、昼用のナプキンなど前後対称に形成される場合は、ナプキンを縦方向に3等分した場合の中央部分が排泄部対応領域となる。夜用のナプキンなどは、後方に臀部を覆う左右幅広な後方フラップを有るため、排泄部対応領域はナプキンを長手方向に2等分した際の前側の中央寄りにある。また、昼用、夜用にかかわらず、ショーツの股下部に折り曲げて固定するウイングを備える場合は、該ウイングの存在する領域が排泄部対応領域となる。
この防漏溝6は、平面視して縦長の直線形状であり、排泄部対応領域Cにおいて横方向中央部分を挟んで両側に対をなし、前方部F及び後方部Rにまで及んで配されている。ここで「縦長」や「縦方向に沿う」とは、その長さ全体が示す方向が、横方向(X方向)でなく縦方向(Y方向)に向いていることをいう。ナプキン10の縦方向(Y方向)と完全に一致する場合に限らず、湾曲するなど縦方向(Y方向)から一部外れる部分があってもよい。
また、図示していないが、防漏溝6には、その底面位置に吸収体3よりは密度の高い低圧搾部分と低圧搾部分より密度の高い高圧搾部分が形成されており、高圧搾部分と低圧搾部分は防漏溝6の延びる方向に交互に配されている。これに代えて、低圧搾部分(および防漏溝壁面)に囲まれるように高圧搾部分が配されていても良い。
なかでも、貫通間隙部7のうち、防漏溝6近傍に配置されたものは、開孔8となった状態にある。この「開孔8」とは、吸収体3の構成繊維が無い領域が横方向に一定の開孔幅81で形成された穴を意味する。「パルプ繊維等の構成繊維が無い」とは、繊維等が全く無い状態に限らない。繊維が多少残っていても、後述するように、肌当接面側から非肌当接面側へと排泄液を取り込み導くことができる開孔幅がある空間をいう。別の観点から言えば、後述するように、裏面シート1の彩色21が表面シート1側から視認できる開孔幅がある空間をいう。
前述した開孔幅81の寸法は、肉眼で定規等を使って測定しても良いが、好ましくは、デジタルマイクロスコープを用いて測定する。例えば、KEYENCE社製デジタルマイクロスコープVHX−1000を用いて開孔幅81を拡大撮影し、寸法を測定することができる。
この領域Tは、吸収体の厚みやその剛性(繊維密度)、圧密化する圧搾力や圧搾時間によって異なってくる。そのため「近傍」領域Tを一義的に規定することは難しいが、この種の物品でなされる防漏溝形成のためのエンボス処理を基準とすると、防漏溝6の内方縁から15mmまでの領域であり、好ましくは10mmまでの領域である。領域Tにおいて開孔8をなす貫通間隙部7の列は、上記実施形態の3列に限らず、単数列でもよく、4列以上でもよい。また、領域Tにおける開孔幅81は、吸収体における横方向へと流れる排泄液を確実に吸収体内で固定化して液の横漏れを防止する観点から、0.5mm以上であることが好ましく、1.0mm以上であることがより好ましい。また、その上限値は7mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがより好ましい。開孔8の縦方向の長さは、5mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましく、15mm以上がさらに好ましい。その上限は、表面シート1と吸収体3における肌当接面側とが適度な面積で接触し、これによって排泄物を吸収体3内へ引込み易くなって、表面シート1上に排泄物が残り難くする観点から、90mm以下が好ましく、70mm以下がより好ましく、50mm以下がさらに好ましい。具体的には、開孔8の縦方向の長さは5mm以上90mm以下、特に10mm以上70mm以下、更に、15mm以上50mm以下とすることにより、開孔8の横方向への引きつれがおき難くなって開孔幅81を適度な大きさとすることが容易になる。
このようにして開孔8では、横方向への液の拡散力を抑制し、防漏溝6に到達する液を大幅に低減することができる。その結果、排泄液の液量が多い場合でも液の横漏れを効果的に抑制することができる。また、厚み方向に貫通した開孔8の空間は、吸収体3の肌当接面側にある排泄液を吸収体3の非肌当接面側へと導くことができる。これは、経血等のように、高粘性ゆえに吸収体内部への透過速度の遅い排泄液の固定化に効果的である。これにより吸収されずに吸収体3の表面に残った液が少なくなり、表面シート側への液戻りも抑えられ、良好な装着感が得られる。また非肌当接面側での吸収によって、経血等の場合、その赤みが隠蔽されることとなるので、使用者に対して視覚的に吸収性能を印象付けることができる。
この中央部から側部へと段階的な機能シフトにより、繰り返しの排泄があったり一度に多量の排泄があったりしても、貫通間隙部7Aにまで到達する液が効果的に抑制され得る。その結果、防漏溝6に最近接する貫通間隙部7Aでの液移行抑制を確実なものとすることができる。
以上の作用を有する貫通間隙部7の存在により、吸収体3全体の吸収性能と防漏性が高められている。
一方、各貫通間隙部7の間に配される分離吸収部32〜35は、壁部73及び74のようには密度は高められず、壁部に対して相対的に低密度部とされている。これによりこの部分の通液抵抗は相対的に低くされ、連続する縦方向において液をより拡散させやすい構造となっている。つまり、高密度部である壁部73及び74で保持しきれない液を分離吸収部32〜35が引き取って縦方向へと拡散させることができる。この連携が、さらに吸収体3の吸収性能の向上と横漏れ防止性能の向上を促進させて好ましい。
このように、圧搾部37の繊維密度(M1)、細堤吸収部36の繊維密度(M2)、及び貫通間隙部7Aの壁部73Aの繊維密度(M3)がなす、密(M1)−粗(M2)−密(M3)の構造が一体となって、積層構造体38をなしている。この積層構造体38の粗密構造が、他の貫通間隙部の間の粗密構造に比して、吸収性能に優れ、横漏れ防止性が高く好ましい。
またナプキン10を着衣Wに装着した状態において、低目付け部9を起点として吸収体3の後方部R及び前方部Fが曲がり易いため、前後端部の縦方向の曲がり応力(図5の矢印F1)は排泄部対応領域Cに及び難くなる。これにより吸収体3の排泄部対応領域Cにおいては、前後端部からの縦方向の湾曲に影響されず、貫通間隙部7による吸収体3の側部に対する横方向の作用が好適に奏され易くなる。つまり、貫通間隙部7の変形性が、着用者の股下部の横方向の湾曲(図5の矢印F2)に基づく外力に好適に追従し、吸収体3側部におけるフィット性及び防漏性を高め得る。
さらに、使用時にナプキン10を展開して見た際に、排泄部対応領域Cを中心に裏面シート2の彩色21が見える。これを基準に装着位置を定めることができる。特に、装着時に両側のウイング部5を幅方向に伸長させると、切り込み状態の貫通間隙部7D及び7Eからも彩色21が見える。これにより貫通間隙部7A〜7Eにおいて彩色21が動きのあるものとして使用者に強く引用づけられ、使用者の興味をかきたてるものとなる。
さらに、表面シート1に映りこむ彩りが経血等の赤みを打ち消す作用を奏する。特に裏面シート2の彩色21が赤みに対し補色の関係にあれば、赤みの隠蔽に効果的である。これにより、使用後の廃棄時の使用者の不快感が軽減され清潔感をも与えることができる。特に、貫通間隙部7周辺の吸収体3内部に液を集めて固定化し、表面に液が残り難いでの、貫通間隙部7から見える裏面シート2の彩色21による赤み隠蔽性は効果的なものとなる。
また、裏面シート2の彩色21は、使用目的や、対象とする使用者の嗜好に合わせて適宜設定することができる。例えば、裏面シート2の肌当接面側全面に同一の色を配設したものであっても良いし、防漏溝6や複数の貫通間隙部7の列70A〜70Eに合わせて色を変えるなどして外側に向かって色が変化して見えるようにしてもよい。
本発明においては、貫通間隙部7が吸収体を厚み方向に完全に貫通することが、色彩21の視認性の観点からは好ましい。一方で、排泄物が裏面シート2側から見え難くする観点からは、吸収コアの表裏面をコアラップシートで被覆した吸収体の形態においては、表面側コアラップシートと吸収コアを貫通し、かつ裏面側コアラップシートを貫通しないような貫通間隙部7とすることも可能である。そのようにしても、上述した防漏性を確保することは可能である。
まず、図6(a)に示されるように、吸収体3となる吸収体連続体300に対して、一対の防漏溝6となる予定位置600の間で、縦横に断続的にスリット加工が施される。このスリットされた部分が貫通間隙部7となる。その際、前記「防漏溝6の近傍」となる領域Tに必ずスリット700の縦方向の間欠列が施されるようにする。領域Tのスリット700の間欠列は、1列でもよいし、2列以上であってもよい。スリット加工は、この種の物品に用いられる方法により得られる。スリット形成装置900としては、例えば、ロータリーカッターやシェアカッター、レーザーカッター、超音波カッターなどが挙げられる。
このようにして形成された貫通間隙部7は、切り込まれた部分の両脇の壁部73,74にある吸収体連続体3の構成繊維が圧密化されている。つまり、壁部73,74の繊維密度は、スリットされていない部分よりも高められている。
次いで、図6(b)に示されるように、防漏溝6となる予定位置600にエンボスロール901を用いて、表面シート1の連続体100と共に圧搾して厚み方向に変形させ、加熱して接合固定する。これにより、防漏溝6が形成される。このとき、貫通間隙部7では、吸収体の繊維がスリット加工によって非連続な状態であるため、特に領域Tにおいて、エンボスによる厚み方向の変形の影響を受けて壁部73側が防漏溝6側へ引き寄せられる。これにより、開孔8が形成される。それとともに、壁部73の繊維が防漏溝6側へと引き寄せられて厚みが薄くされ、結果、スリットされた状態よりも密度が高められ、該高密度の層の横幅が厚くなる。
以上のように、貫通間隙部7がなす開孔8は、防漏溝6のエンボス処理を伴って形成されたものであり、単に吸収体3の構成繊維をくり抜いて形成したものとは異なる。また構成繊維のくり抜きがないため、単なる開孔と比べて吸収性能の低下がなく好ましい。
その後の工程において、吸収体3は表面シート1や裏面シート2と合わせられ、ナプキンが最終的な個別包装による折り畳み等による厚み方向の力を受けることで、防漏溝6周辺以外のスリット部分は、液の拡散抑制効果を奏しない程度に断裂状態がなくなる。
また、この貫通間隙部7がなす開孔8の形状は、図3や図4に示されるものに限定されない。開孔8の平面形状は、全体として縦長で、幅方向への開孔を縦方向の何れかの位置に有する形状であれば種々の形状を採用できる。この場合、前記形状は、上下左右が対称である場合に限らず、不均整な形状であってもよい。防漏溝6側が大きく膨らんだ開孔形状であってもよい。また「開孔幅81」の貫通間隙部7における縦方向位置が、各貫通間隙部同士で同でなくてもよい。さらに開孔8の断面形状は、肌当接面側の幅と非肌当接面側の幅が同じでなくてもよい。前述した吸収体3の分断によって、貫通間隙部7は肌当接面側と非肌当接面側が同程度に開いた形状となっているが、後述の液の取り込み性を考慮すると、肌当接面側が広いテーパ状であることが好ましく、非肌当接面側は透明性を有する程度に広がっていればよい。この透明化は、防漏溝6を部分的に太くする、深くする、湾曲する等で制御できる。なお、透明化とは、透過性が高く彩色21が識別できる程度であればよく、ナプキンの肌当接面側から見える彩色の状態と裏面シート2の彩色21が同じ程度であることを意味しない。
さらに湾曲した防漏溝6を形成することで、図2に示すような長手方向に配された貫通間隙部7(スリット部)の延在方向と交差することとなる。このような位置関係とすることは、防漏溝6が湾曲した部分では、スリットの延在方向との交差程度によって吸収体3を幅方向に引伸ばす効果を弱めて、長手方向に引き伸ばす効果を奏することとなる。このため、湾曲した防漏溝6、特に幅方向に延びるようになった防漏溝6の部位の周辺においては貫通間隙部7が閉じるので、長手方向への液拡散が抑えられて液が幅方向にも分散し易くなり、防漏溝6による防漏効果を奏し易くなる。この他、端部溝62が中央溝61と離間する形態など無端環状でなくてもよく、また、中央溝が横方向に2重の配置とされていてもよい。
第2実施形態の生理用ナプキン20は、第1実施形態の生理用ナプキン10における吸収体3に代えて、中高部吸収体38と下層吸収体39の2層からなるものとしたものである。中高部吸収体38は、排泄部対応領域Cの横方向中央部において、下層吸収体39よりも幅狭な形状で下層吸収体39の肌当接面側に載置されている。これにより、中高部吸収部38が、肌当接面側に隆起した中高部をなし、ナプキン装着時における着用者の排泄部に密着して液を素早く吸収することができる。なお、ナプキン装着時における着用者の排泄部に密着して液を素早く吸収することができるという観点から、中高部吸収体38と下層吸収体39とが一体に形成されていてもよい。防漏溝6は、上層吸収体38の両側外方で表面シート1と下層吸収体39との圧搾により形成されている。
このように点エンボス69では、吸収体3を圧搾することで排泄液が集まり易くなる。これでは、吸収体3のよれを防止できでもそこからの液漏れを引き起こしかねない。これに対し、点エンボス69に至る液拡散経路を切断するように、点エンボス69の近傍に貫通間隙部79を設けておくことが好ましい。たとえば、吸収体の排泄部対応領域Cの幅方向中心点と点エンボス69とを結ぶ線上で、かつ点エンボス69の近傍に貫通間隙部79を設けておくことが好ましい。この場合、防漏溝6近傍の貫通間隙部7の場合と同様に、貫通間隙部79は、前記点エンボス69の圧搾による繊維の引き込みで貫通間隙部79の壁部が引き寄せられて、開孔89をなすこととなる。貫通間隙部79がなす開孔89は、点エンボス69の手前で液を捕捉して素早く固定化することができる。これにより、点エンボス69に液が滞留し難くなり、液漏れを効果的に防止することができる。また、点エンボス69における剛性の高まりが貫通間隙部79により緩和されて分散されて、肌触りが良化され得る。
例えば、表面シート1としては、排泄された体液を速やかに吸収し、吸収体に伝達する観点と肌触りのよさの観点とから親水化処理が施された各種不織布や開孔フィルム等の液透過性のシートを用いることが好ましい。表面シート1は親水化処理された熱可塑性樹脂繊維であり、かつ、該繊維が2次クリンプ又は3次クリンプのような立体捲縮がなされた繊維であることが好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、及びこれらの複合繊維を作成し、所定の長さにカットしてステープルを形成する前の段階で、各種親水化剤を塗工する。親水化剤としては、αオレフィンスルホン酸塩に代表される各種アルキルスルホン酸塩、アクリル酸塩、アクリル酸塩/アクリルアミド共重合体、エステルアミド、エステルアミドの塩、ポリエチレングリコール及びその誘導物、水溶性ポリエステル樹脂、各種シリコーン誘導物、各種糖類誘導物、及びこれらの混合物など、当業者公知の親水化剤による親水化処理を用いることができる。
<3>前記貫通間隙部列は幅方向に断続的に配置されて複数の列となっており、前記貫通間隙部における横方向の開孔幅は、前記防漏溝に近い位置にある貫通間隙部のものほど大きくなっている<2>記載の吸収性物品。
<4>前記吸収体において、前記貫通間隙部の壁部の繊維密度が、前記壁部周辺の繊維密度よりも高くされている<1>〜<3>の何れか1に記載の吸収性物品。
<5>前記開孔の横方向長さが0.5mm以上7mm以下である<1>〜<4>の何れか1に記載の吸収性物品。
<6>前記開孔の縦方向長さが5mm以上90mm以下である<1>〜<5>の何れか1に記載の吸収性物品。
<7>前記吸収体において、前記防漏溝の圧搾部分と、該防漏溝に最も近い前記貫通間隙部の壁部と、その間に存在する縦方向へ連続した吸収部それぞれの密度がこの順に大きい<1>〜<6>の何れか1に記載の吸収性物品。
<8>前記吸収体の縦方向の前後端部に、横長の低目付け部が複数断続的に設けられている<1>〜<7>の何れか1に記載の吸収性物品。
<9>前記貫通間隙部同士、及び前記貫通間隙部と前記低目付け部とが交差しない配置とされている<8>記載の吸収性物品。
<10>前記裏面シートの肌当接面側に彩色が施されており、前記表面シートから前記吸収体の貫通間隙部を介して前記彩色が視認可能とされている<1>〜<9>の何れか1に記載の吸収性物品。
<11>前記表面シートに貫通孔又はエンボスが配設されている<1>〜<10>の何れか1に記載の吸収性物品。
<12>前記吸収体は、前記横方向の中央領域において肌当接面側に隆起した中高部を有し、前記貫通間隙部は前記中高部にも配設されている<1>〜<11>の何れか1に記載の吸収性物品。
<13>前記中高部以外の吸収体の領域に防漏溝が配設されており、該防漏溝の近傍に貫通間隙部がなす開孔が複数配設されている<12>記載の吸収性物品。
<14>前記防漏溝は、前記吸収性物品の排泄部対応領域の横方向両側で、平面視、横方向外方へ向かって湾曲した縦長の形状である<1>〜<13>の何れか1に記載の吸収性物品。
<15>前記各貫通間隙部の間には、該貫通間隙部によって部分的に切り出された分離吸収部がある<1>〜<14>の何れか1に記載の吸収性物品。
<16>前記吸収性物品が生理用ナプキンである、<1>〜<15>の何れか1に記載の吸収性物品。
まず、パルプ(NBKP 針葉樹晒しクラフトパルプ)の坪量を200g/m2、粒子状の吸水ポリマーの坪量を50g/m2となるように均一に混合積繊した吸収性コアをコアラップシート(坪量16g/m2の吸収紙)で被覆して吸収体とした。吸収体厚みは2.0mmであった。前記吸収体の肌当接面側おいて、一対の防漏溝予定位置に挟まれた領域に、切り込みとしての貫通間隙部を複数断続的に形成した。前記貫通間隙部を縦方向に8個配した列を横方向に10列配した。貫通間隙部の縦方向の長さは50mmとした。この貫通間隙部の形成は、ロータリーカッターを用いて前述の方法で形成した。このうち、前記防漏溝予定位置の内側から25mmの領域に前記貫通間隙部の列が5列配設されるようにし、防漏溝側の3列の貫通間隙部が防漏溝の近傍となる。
次いで、吸収体の肌当接面側に、繊維径4dtexの芯鞘型複合繊維(芯がポリプロピレン、鞘がポリエチレン)を重量比50%、及び繊維径3.3dtexの芯鞘型複合繊維(芯がポリエチレンテレフタレート、鞘がポリエチレン)を重量比50%にし、それぞれの繊維をカード機を通してウェブとし、該ウェブを重ねて、ヒートエンボスすることで作成した2層構造の表面シートを被覆した。表面シート側から吸収体にかけて、防漏溝予定位置にエンボス処理を施し、防漏溝を形成した。これにより、前記防漏溝の近傍の領域にある貫通間隙部が開孔をなしていることが確認された。その開孔幅は、最も広いもので1.2mm、最も狭いもので0.3mmであった。一方、防漏溝の近傍にない貫通間隙部は、切り込み状態のままで、開孔とはなっていなかった。
次いで、前記吸収体の非肌当接面側に、坪量30g/m2の非透湿ポリエチレン製フィルムからなる裏面シートをホットメルト接着剤を用いて接合した。さらに、前記表面シートの肌当接面側の両側に、坪量20g/m2のエアスルー不織布からなる一対のサイドシートを積層してホットメルト接着剤で接合した。さらに、前記サイドシートと前記裏面シートは両者が有する横方向の幅広部分を貼り合わせてウイング部を形成した。該ウイング部の非肌当接面側に粘着剤からなる、着衣に固定するための粘着層を形成した。こうして得られた生理用ナプキンを実施例のサンプル1とした。
比較例1では、実施例1の生理用ナプキンにおいて貫通間隙部を形成しない吸収体を用い、該吸収体と表面シートとを圧搾した点エンボスを前後端部に複数形成した。これを比較例1のサンプル2とした。
比較例2では、実施例1の生理用ナプキンにおいて貫通間隙部を形成しない吸収体を用いたものとした。なお、比較例の点エンボスは形成しなかった。これを比較例2のサンプル3とした。
生理用ナプキンのサンプルを生理用ショーツに固定し、人体の動的モデルに装着した。
動的モデルの歩行動作を開始させ、歩行動作開始より1分後に、液排泄点より2gの馬血を注入した(1回目)。更に1回目の液注入終了より3分後に3gの馬血を注入した(2回目)。更に2回目の液注入終了より3分後に2gの馬血を注入した(3回目)。3回目以降の液注入は液注入後から3分後に2gの馬血を繰り返し注入し、生理用ナプキンのウイング部から液が染み出した時点で終了し、最大吸収量とした。
実施例の生理用ナプキンは、比較例1及び2の生理用ナプキンよりも最大吸収量が多く、製品幅方向からの液の滲出がなかった。これにより、本発明の貫通間隙部を有する吸収性物品が液の横漏れ防止性に優れることが分かった。前記表1の結果において、実施例1の動的最大吸収量は、比較例1のものよりも10%向上しており、比較例2のものよりも約22%向上している。この動的最大吸収量の差1gないし2gは、肌の濡れた感じや着衣の汚れなどの着用者の不快感を解消するという観点から大きな効果の差であるといえる。
2 裏面シート
3 吸収体
6 防漏溝
7 貫通間隙部
8 開孔
10,20 生理用ナプキン
Claims (8)
- 肌当接面側に配置される表面シート、非肌当接面側に配置される裏面シート、及び該両シート間に配置される吸収体を備え、着用者の腹側部から股下部を介して背側部に亘って配される方向を縦方向、該縦方向と直交する方向を横方向とする吸収性物品であって、
前記表面シートと吸収体とが一体的に圧搾されてなる防漏溝が、前記吸収性物品の排泄部対応領域において縦方向に沿って配設されており、
前記吸収体には、吸収体の厚み方向に貫通した縦長の貫通間隙部が配設されており、前記防漏溝の近傍に配置された前記貫通間隙部が開孔幅0.5mm以上7mm以下を有する開孔とされており、該開孔の縦方向長さが5mm以上90mm以下であり、
前記貫通間隙部は縦方向及び幅方向に断続的に配置されて複数の列となっており、前記貫通間隙部における横方向の開孔幅は、前記防漏溝に近い位置にあるものほど大きくなっている吸収性物品。 - 前記吸収体において、前記貫通間隙部の壁部の繊維密度が、前記壁部周辺の繊維密度よりも高くされている請求項1記載の吸収性物品。
- 前記吸収体の縦方向の前後端部に、横長の低目付け部が複数断続的に設けられている請求項1又は2に記載の吸収性物品。
- 前記裏面シートの肌当接面側に彩色が施されており、前記表面シートから前記吸収体の貫通間隙部を介して前記彩色が視認可能とされている請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
- 前記表面シートに貫通孔又はエンボスが配設されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
- 前記吸収体は、前記横方向の中央領域において肌当接面側に隆起した中高部を有し、前記貫通間隙部は前記中高部にも配設されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
- 前記中高部以外の吸収体の領域に防漏溝が配設されており、該防漏溝の近傍に貫通間隙部がなす開孔が複数配設されている請求項6記載の吸収性物品。
- 前記防漏溝は、前記吸収性物品の排泄部対応領域の横方向両側で、平面視、横方向外方へ向かって湾曲した縦長の形状である請求項1〜7のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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