JP3890313B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主には生理用ナプキン、おりものシート、失禁パッド、医療用パッド、トイレタリー等に使用される吸収性物品に係り、特に吸収体が比較的薄い場合であっても、肌に対する柔らかさを維持しながら紙綿ズレや紙綿割れを起こさないようにした吸収性物品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、パンティライナー、生理用ナプキン、失禁パッドなどの吸収性物品として、ポリエチレンシートまたはポリエチレンシートラミネート不織布などの不透液性裏面シートと、不織布または透液性プラスチックシートなどの透液性表面シートとの間に粉砕パルプ等の紙綿(高吸水性樹脂混入)からなる吸収体を介在したものが知られている。
【0003】
近年は、比較的嵩のある吸収性物品の場合には、持ち運びに不便である、または収納性が悪いなどの問題があるとともに、物流の効率化や省資源化などの要請から、体液排出部位における吸収体の厚みが8mm以下、好ましくは5mm以下の薄型吸収性物品が好まれる傾向にある。吸収性物品の薄型化に際しては、薄型化やコンパクト化が成されても吸水量を落とすことは出来ないため、必然的に高吸水性樹脂の含有率を上げたり、ポリマーシートを使用したりするとともに、吸収体に対して過酷なプレスを施すことにより薄型化を図ることが多く行われている。(例えば下記特許文献1,2等参照)
【特許文献1】
特開2003−38552号公報
【特許文献2】
特開2003−38574号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、吸収体をプレス加工により薄型化したものは、吸収体(粉砕パルプ)の積密度が極端に上がるため、吸収体が固くなり着用者がゴワ付き感を感じるようになる。また、生産後に紙綿が復元して厚みを増したり、吸収体が薄くかつ高吸水性樹脂が多く混入されているため、紙綿ズレ又は紙綿割れを起こし易いなどの問題があった。更には、吸収体が高密度化されているため、毛管現象による体液の拡散が大きく、吸収体の短辺方向(幅方向)への横漏れに対して不安感を与える場合があるなどの問題もあった。
【0005】
そこで本発明の主たる課題は、吸収体が比較的薄く固くなりがちな薄型吸収性物品の場合であっても、装着時に肌に対する柔らかさを与え、装着感を良好にするとともに、吸収体の紙綿ズレや紙綿割れを防止し、同時に体液の吸収体幅方向への拡散を抑制し得る吸収性物品を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、透液性表面シートと不透液性裏面シートとの間に吸収体が介在された吸収性物品において、
前記吸収体の上面側と下面側とにそれぞれ熱融着性繊維層を配置し、吸収性物品の略長手方向に沿う方向に付与した複数条の線状エンボスを施すことにより、吸収体の上面側に配置された熱融着性繊維層と、吸収体の下面側に配置された熱融着性繊維層とを互いに結合するとともに、前記複数条の線状エンボスの全部又は大部分は吸収体の前後端部において、長手方向中心線から徐々に離間する方向に曲線を描いて吸収体の周縁に至っていることを特徴とする吸収性物品が提供される。
【0007】
上記請求項1記載の発明においては、比較的薄くて固い吸収体の感触を和らげるために、吸収体の上面及び下面側にそれぞれ熱融着性繊維層を配置するとともに、吸収性物品の略長手方向に沿う方向に付与した複数条の線状エンボスを施すことにより、上面側熱融着性繊維層と、下面側熱融着性繊維層とを互いに結合するようにした。従って、前記熱融着繊維層の存在により装着時に肌面およびサイド面に対し柔軟性、クッション性を与えるようになるため装着感が良好となるとともに、熱融着繊維層同士の結合により吸収体の位置ズレが防止され紙綿ズレや紙綿割れが防止されるようになる。また、パルプが復元して厚みを増したりすることも同時に防止できるようになる。さらに、付随的効果として、非肌面側に配置された熱融着性繊維層により隠蔽性が向上し経血等を目立たないようにすることができる。
【0008】
前記エンボスとしては、吸収性物品の略長手方向に沿う方向に付与した複数条の線状エンボスとするのが望ましい。前記線状エンボスにより体液の幅方向への拡散が防止されるようになるとともに、線状エンボス部がヒンジ点となって吸収体が変形し易い状態となるため、足の付け根に対する当たりが弱くなり違和感が減って装着感が向上するようになる。なお、前記線状エンボスは連続線であっても良いし、間欠線であってもよい。
【0009】
前記複数条の線状エンボスの方向はショーツの伸び方向に一致させるのが望ましい。すなわち、本発明者による試験の結果、吸収体の前後端部においては、長手方向中心線から徐々に離間する方向に曲線を描いて吸収体の周縁に至るように線状エンボスを付与するのが望ましいことが判明した。
【0010】
請求項に係る本発明として、前記複数条の線状エンボスの間隔は1〜30mmであり、かつエンボスの底部溝幅は0.05〜5mmである請求項記載の吸収性物品が提供される。装着時に肌に対する柔らかさを与え、装着感を良好にするとともに、吸収体の紙綿ズレや紙綿割れを防止するには、線状エンボスは上記数値範囲で付与するのが望ましい。
【0011】
請求項に係る本発明として、前記熱融着性繊維層として不織布が配置されるとともに、単一シートにより前記吸収体を周方向に包み込んである請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0012】
請求項4に係る本発明として、前記結合部において、吸収体のパルプが高密度化された状態である請求項1〜3いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0013】
請求項に係る本発明として、前記上下面に夫々配置された熱融着性繊維層がエンボス加工によって結合された吸収体は、KES圧縮試験機によるWC値(圧縮エネルギー)が0.8gf・cm/cm2以上であり、かつ湿潤時引張強度が0.4N以上である請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品が提供される。肌に対する柔らかさと、吸収体の紙綿ズレや紙綿割れ防止とをバランス良く両立させるには、上記数値範囲とするのが望ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。図1は本発明に係る薄型生理用ナプキン1の一部破断斜視図である。
【0015】
薄型生理用ナプキン1は、主にはパンティライナー、生理用ナプキン、おりものシート、失禁パッドなどの用途に供されるもので、例えば図1に示されるように、不透液性裏面シート2と、透液性表面シート3との間に、吸収体4が介在されるとともに、前記吸収体4は上面側と下面側とにそれぞれ熱融着性繊維層6,6を配置し、エンボス加工を施すことにより、吸収体の上面側に配置された熱融着性繊維層6と、吸収体の下面側に配置された熱融着性繊維層6とを互いに結合した構造となっている。前記吸収体4の周囲においては、前記不透液性裏面シート2と透液性表面シート3とがホットメルト接着剤等の接着手段によって接合されている。
【0016】
前記不透液性裏面シート2は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、この他に防水フィルムを介在して実質的に不透液性を確保した上で不織布シート(この場合には、防水フィルムと不織布とで不透液性裏面シートを構成する。)などを用いることができる。近年はムレ防止の観点から透湿性を有するものが好適に用いられる傾向にある。この遮水・透湿性シート材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートが好適に用いられる。
【0017】
前記透液性表面シート3としては、無孔または有孔の不織布または多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。前記不織布を構成する素材繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができる。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維やサイド−バイ−サイド型繊維、分割型繊維等の複合繊維を好適に用いることもできる。
【0018】
加工法については、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアレイド法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。
【0019】
これら不透液性裏面シート2と透液性表面シート3との間に介在される吸収体4は、たとえばパルプ中に高吸水性樹脂を混入したもの、或いはパルプ中に化学繊維を混入させるとともに、高吸水性樹脂を混入したものが使用される。前記吸収体4は、形状保持、および経血等を速やかに拡散させるとともに、一旦吸収した経血等の逆戻りを防止するためにクレープ紙(図示せず)によって囲繞することもできる。
【0020】
特に、本発明のように薄型生理用ナプキン1とする場合には、プレス加工によって前記吸収体4を薄型化する。体液排出部(中高部が形成される場合を含む。)における吸収体4の厚みは、8mm以下、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下のものが対象とされる。前記吸収体4の平面形状は、図示されるように、小判状としてもよいし、或いは股間部への当たりを和らげるためにフィットカット形状(ひょうたん形状)としてもよい。
【0021】
前記パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶融パルプ、機械パルプ、製紙用パルプ、溶解パルプ、合成パルプ、化学繊維等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能および価格の面で好適に使用される。
【0022】
前記高吸水性樹脂としては、たとえばポリアクリル酸塩架橋物、自己架橋したポリアクリル酸塩、アクリル酸エステル−酢酸ビニル共重合体架橋物のケン化物、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体架橋物、ポリスルホン酸塩架橋物や、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミドなどの水膨潤性ポリマーを部分架橋したもの等が挙げられる。これらの内、吸水量、吸水速度に優れるアクリル酸またはアクリル酸塩系のものが好適である。前記吸水性能を有する高吸水性樹脂は製造プロセスにおいて、架橋密度および架橋密度勾配を調整することにより吸水力と吸水速度の調整が可能である。前記高吸水性樹脂の含有率は10〜60%とするのが望ましい。高吸水性樹脂含有率が10%未満の場合には、十分な吸収能を与えることができず、60%を超える場合にはパルプ繊維間の絡み合いが無くなり、シート強度が低下し破れや割れ等が発生し易くなる。
【0023】
前記透液性表面シート3と吸収体4との間、および前記不透液性裏面シート2と吸収体4との間にそれぞれ配置される熱融着性繊維層6,6は、例えば不織布を好適に用いることができる。
【0024】
前記不織布6,6の配置態様としては、別体の2枚の不織布6,6をそれぞれ透液性表面シート3と吸収体4との間、および前記不透液性裏面シート2と吸収体4との間にそれぞれ配置することもできるが、好ましくは図3に示されるように、吸収体4の周囲を包み込むように配置するのが望ましい。同図(A)は吸収体4の上面側において端部同士を重ね合わすように上巻きした場合の横断面図であり、同図(B)は吸収体4の下面側において端部同士を重ね合わすように下巻きした場合の横断面図である。前記上巻きの場合は、肌面側において2枚の不織布が重なり合うことによってより高い柔軟性を与えることが出来るようになる。また、下巻きした場合は、非肌面側における隠蔽性をより向上できるようになる。
【0025】
前記不織布6としては、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることにより素材自体に親水性を有するものを用いるか、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維を親水化剤によって表面処理し親水性を付与した繊維を用いることにより親水性を有するようにする。また、前記不透液性裏面シート2と吸収体4との間に配置される不織布6としては、親水性または撥水性のいずれであっても良いが、好ましくは撥水性を有することが好ましい。前述のように、1枚の単一シートによって吸収体4を包み込む場合は、図4に示されるように、シートの肌面側部分については親水性を有し、非肌面側部分については撥水性を有するように加工処理を施すのが望ましい。即ち、素材自体が親水性を有する場合には、非肌面側領域を撥水化処理し、素材自体が撥水性を有する場合には、肌面側領域を親水化処理するようにし、肌面と非肌面とに異なる性質を与えるようにする。
【0026】
不織布は加工法によって物性が異なるが、装着時に肌当接面及び/又は側面部分に、肌に対する柔らかさ(ソフト感)を与え、装着感を良好にするとともに、非肌面側における隠蔽性を高め得る不織布を使用するのが望ましい。このような条件を満足する不織布としては、エアースルー不織布を用いるのが良い。エアースルー不織布は、その嵩高性によりクッション性を向上させることができるとともに、外面側からの距離を確保できるため隠蔽性も向上するようになる。また、肌に対して柔らかさを与えるには、前記不織布として目付け10g/m2以上、好ましくは15g/m2以上、より好ましくは20g/m2以上のものを用いるのが望ましい。なお、不織布6と吸収体4とはホットメルト接着剤によって接合することが望ましいが、接合しない状態のまま後述のエンボス7を付与するようにしてもよい。
【0027】
本吸収体4では、エンボス加工を施すことにより、吸収体4の上面側に配置された熱融着性繊維層6と、吸収体4の下面側に配置された熱融着性繊維層6とを互いに結合し、吸収体4の紙綿ズレや紙綿割れを防止し、同時に体液の吸収体幅方向への拡散を抑制し得るようにしている。
【0028】
前記エンボス7としては、吸収体4の応力方向に沿って形成することにより、紙綿割れを起こさせるような分力を発生させないようにするのが望ましい。換言すれば、下着が伸びる方向或いは吸収体が割れ易い方向に沿ってエンボスを付与するのが望ましい。従って、図1に示される生理用ナプキン1の例では、生理用ナプキン1の略長手方向に沿う方向に複数条の線状エンボス7,7…を付与するようにしている。前記線状エンボス7,7…の間隔Pは1〜30mm、好ましくは2〜15mmとするのが望ましい。線状エンボス7,7…の間隔Pが1mm未満の場合は線状エンボス7,7…によって吸収体4が硬く成りすぎて柔らかさを満足し得ない。一方、線状エンボス7,7…の間隔Pが30mmを超える場合には、紙綿ズレや割れを効果的に防止し得ない。また、前記線状エンボス7の底部溝幅Mは0.05〜5mm、好ましくは0.03〜3mmとするのが望ましい。溝幅Mが5mmを超える場合には、溝の空間部分が感じられるようになり装着感が悪化するとともに、エンボス部において上下の熱融着繊維層の間に多くの粉砕パルプが介在されるようになり、上下の熱融着繊維層同士を結合するのが困難となる。逆に0.05mm未満の場合には、溝幅が小さ過ぎて熱融着性繊維層(不織布6)に切れが生じるようになる。
【0029】
模式的に図2の横断面図に示されるように、前記線状エンボス7,7によって挟まれた吸収体部分4aが不織布6,6による袋状空間内に封じ込められるようになり、吸収体4の紙綿ズレや紙綿割れが防止されるようになる。また、不織布6,6同士を線状エンボス7,7…により結合することにより、パルプが復元して厚みを増したりすることも同時に防止できるようになる。
【0030】
また同時に、横方向に拡散しようとする体液は、吸収体4内に浸透し不織布6,6の結合部(エンボス部7)に至ると、実質的に不織布6,6同士が直に結合されている場合には、それ以上の横方向への拡散が防止されるとともに、エンボス部において吸収体4のパルプが高密度化された状態である場合には、高密度化されたエンボスラインに沿って体液が拡散されるようになるため、横方向への拡散が防止されるようになる。
【0031】
さらに、前記各線状エンボス7,7…部がヒンジ点となって吸収体4が容易に変形し易い状態となるため、足の付け根に対する当たりが弱くなり違和感が減って装着感が向上するようになる。
【0032】
吸収体4に対して前記線状エンボス7,7…加工を施すには、図5に示されるように、ロール表面に周方向に連続した多数の凸条8aを有するエンボスロール8と、前記凸条8a対応位置に凸条9aを有するアンビルロール9とを対向配置し、両ロール8,9の間に不織布6で巻いた吸収体ストリップ4’を通過させ、吸収体ストリップ4’に連続的に線状エンボス7,7…を施すようにする。
【0033】
ところで、前記線状エンボス7,7…の方向はショーツの伸びの方向と一致させることが望ましいことは前述した通りであるが、ダミー人形によって装着時における下着の伸びを計測したところ、図6に示されるような結果を得た。図6中に示される矢印はベクトル表記であり「方向」と「量」を示している。同図から分かるように、排血部位Hの前後端部ではそれぞれ、長手方向中心線Lから徐々に離間する方向に曲線を描くように、外側にベクトル線が向いていることが判明した。従って、前記線状エンボス7としては、図7に示されるように、前記ベクトル線に沿うように、吸収体4の前後端部において、線状エンボス7,7…の全部又は大部分が長手方向中心線Lから徐々に外方に離間する方向に曲線を描いて吸収体4の周縁に至っているパターンとするのが望ましい。図7(A)は線状エンボス7を連続線とした例であり、図7(B)は線状エンボスを間欠線とした例であり、図7(C)は排血部付近にハニカムエンボス8を付与するとともに、その他の領域に線状エンボス7を付与した例である。
【0034】
一方、本発明の生理用ナプキン1において、肌に対する柔らかさと、吸収体の紙綿ズレや紙綿割れ防止とをバランス良く両立させるには、肌に対する柔らかさの指標値として、KES圧縮試験機によるWC値(圧縮エネルギー)が0.8gf・cm/cm2以上、、好ましくは1.0gf・cm/cm2以上、より好ましくは1.2gf・cm/cm2以上となるようにするとともに、吸収体の紙綿ズレや紙綿割れ防止の指標値として湿潤時引張強度が0.4N以上、好ましくは0.6N以上となるようにすることが望ましい。後者の湿潤時引張強度については、吸収体の幅方向湿潤時引張強度が0.4N以上、好ましくは0.6N以上とし、吸収体の長手方向湿潤時引張強度が1.0N以上、好ましくは2.0N以上とするのがより望ましい。
【0035】
前記KES圧縮試験機〔カトーテック株式会社製〕は、人間の指先で物体に触れた時に感じる感覚をシミュレートするための試験機で、圧縮エネルギー、圧縮硬さ、圧縮回復性などを測定することが可能となっている。測定は図8(A)に示されるように、サンプルをスピード:0.1cm/sec、圧縮面積:2cm2、SENS:2(力計200g/10v)、DEF感度:5、圧縮荷重:50gf/cm2の条件で圧縮し、圧力と変形量との相関図からLC(圧縮硬さ)、WC(圧縮エネルギー)およびRC(圧縮回復性)を算出する。
【0036】
前記LC(圧縮硬さ)は、図8(B)に示される圧力と変形量との相関図において、〔a+bの面積〕/〔ΔABCの面積〕で示され、値が1に近づくほど圧縮硬さが硬いという評価になる。前記WC(圧縮エネルギー)は〔a+bの面積〕で示され、値が大きいほど圧縮され易いとの評価になる。最後のRC(圧縮回復性)は〔bの面積〕/〔a+bの面積〕で示され、値が100%に近付くほど回復性があるとの評価になる。これらの試験項目の内、官能評価で判る柔らかさについては、WC(圧縮エネルギー)を指標とするのが好適とされる。
【0037】
一方、引張強度の試験は、テンシロンRTC-1210A(オリエンテック(株)製)を使用し、長さ寸法40mm×幅寸法20mmの供試体を引張速度:500mm/minで相対する方向(180°方向)に引っ張り、最大荷重値をもって引張強度とした。
【0038】
【実施例】
各種のエンボスを施した供試体を作製し、柔らかさについてWC値(圧縮エネルギー)を指標値とし計測し、紙綿ズレのし難さについては前記引張強度試験を指標値として計測した結果を、図9のグラフに示した。図中、右側にいくほど肌に対する柔らかさが大きく、上に行くほど紙綿ズレを起こしにくいものとなる。本実施例で示した4つの供試体については、KES圧縮試験機によるWC値(圧縮エネルギー)が0.8gf・cm/cm2以上であり、かつ湿潤時引張強度が0.4N以上である条件を満足するものであり、肌に対する柔らかさと、吸収体の紙綿ズレや紙綿割れ防止とをバランス良く満たしていることが分かる。
【0039】
(他の実施形態例)
(1)図1に示される薄型生理用ナプキン1において、透液性表面シート3の下面側に所謂セカンドシートとしての親水性繊維層を例えば排血部分というように領域を限定して部分的に配置してもよいし、或いは吸収体4の全面を覆うように配置してもよい。
【0040】
【発明の効果】
以上詳説のとおり本発明によれば、吸収体が比較的薄く固くなりがちな薄型吸収性物品の場合であっても、装着時に肌に対する柔らかさを与え、装着感を良好にするとともに、吸収体の紙綿ズレや紙綿割れを防止し、同時に体液の吸収体幅方向への拡散を抑制し得る吸収性物品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る薄型生理用ナプキン1の一部破断斜視図である。
【図2】 その要部拡大横断面図である。
【図3】 (A)、(B)共に、不織布6の配置態様を示す図である。
【図4】 不織布6の他の態様を示す横断面図である。
【図5】 線状エンボス7の付与要領図である。
【図6】 装着時の下着の伸び状態を示すベクトル図である。
【図7】 (A)〜(C)は共に、他の線状エンボス7,7…の例を示す平面図である。
【図8】 (A)はKES圧縮試験機による試験要領図であり、(B)はKES圧縮試験結果を示す、圧力と変形量との相関図である。
【図9】 横軸を柔らかさ、縦軸を紙綿ズレのしにくさとした場合の各ナプキンの相関図である。
【符号の説明】
1…薄型生理用ナプキン、2…不透液性裏面シート、3…透液性表面シート、4…吸収体、6…熱融着性繊維層(不織布)、7…線状エンボス

Claims (5)

  1. 透液性表面シートと不透液性裏面シートとの間に吸収体が介在された吸収性物品において、
    前記吸収体の上面側と下面側とにそれぞれ熱融着性繊維層を配置し、吸収性物品の略長手方向に沿う方向に付与した複数条の線状エンボスを施すことにより、吸収体の上面側に配置された熱融着性繊維層と、吸収体の下面側に配置された熱融着性繊維層とを互いに結合するとともに、前記複数条の線状エンボスの全部又は大部分は吸収体の前後端部において、長手方向中心線から徐々に離間する方向に曲線を描いて吸収体の周縁に至っていることを特徴とする吸収性物品。
  2. 前記複数条の線状エンボスの間隔は1〜30mmであり、かつエンボスの底部溝幅は0.05〜5mmである請求項記載の吸収性物品。
  3. 前記熱融着性繊維層として不織布が配置されるとともに、単一シートにより前記吸収体を周方向に包み込んである請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品。
  4. 前記結合部において、吸収体のパルプが高密度化された状態である請求項1〜3いずれかに記載の吸収性物品。
  5. 前記上下面に夫々配置された熱融着性繊維層がエンボス加工によって結合された吸収体は、KES圧縮試験機によるWC値(圧縮エネルギー)が0.8gf・cm/cm2以上であり、かつ湿潤時引張強度が0.4N以上である請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品。
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