WO2006075593A1

WO2006075593A1 - ワイヤ、ワイヤを備える検出器、及びワイヤ用の金型

Info

Publication number: WO2006075593A1
Application number: PCT/JP2006/300179
Authority: WO
Inventors: Eiichiro Iwase; Mitsuaki Hibino
Original assignee: Aisin Seiki Kabushiki Kaisha
Priority date: 2005-01-14
Filing date: 2006-01-11
Publication date: 2006-07-20
Also published as: DE602006020685D1; EP1837886A1; US7722395B2; CN101080786B; EP1837886A4; JP4506473B2; CN101080786A; US20080132104A1; JP2006196354A; EP1837886B1

Abstract

　回転センサ１１は、センサ部１２と、センサ部１２に接続されるワイヤ１３と、樹脂製ハウジング１４とを備える。ワイヤ１３は、ハウジング１４を形成する樹脂と相溶性の良い樹脂によって形成される外皮２４を有する。ハウジング１４によって覆われる外皮２４の部位には、外皮２４を一周する２つの環状シール用凸部２５が形成される。ハウジング１４の成形に際して、ハウジング成形用金型内に溶融樹脂を流し込んだとき、その溶融樹脂の熱がシール用凸部２５に効率良く伝達される。このため、シール用凸部２５が好適に溶融し、ハウジング１４とシール用凸部２５とが確実に溶着する。

Description

ワイヤ、ワイヤを備える検出器、及びワイヤ用の金型

技術分野

[0001] 本発明は、信号伝達に用いるワイヤ、前記ワイヤを備える検出器、及び前記ワイヤを加熱圧縮するために使用される金型に関するものである。

背景技術

[0002] 従来、車両の車輪や動力伝達軸などの回転速度を検出するために、回転センサが使用される。この回転センサは、センサ部と、センサ部から出力される電気信号を伝達するワイヤと、センサ部及びワイヤを覆う榭脂製ハウジングとを備えている。ワイヤは、ハウジングの内部においてセンサ部に接続され、ハウジングの外側に延びている。通常、回転センサは過酷な条件下で使用されるので、高い防水性能を要求される。特許文献 1及び特許文献 2は、ハウジングとワイヤとの界面力の浸水を防止するためのシール構造を開示して、る。

[0003] 特許文献 1では、ワイヤ (より詳しくは、導線を覆う外皮）とハウジングとを同質材料として、ノ、ウジングをモールド成形する際に該ハウジングとワイヤとを溶着させることにより、シール性を高めている。すなわち、ハウジングは、センサ部及びワイヤの端部をノヽウジング成形用金型内に配置した状態で、同金型内に溶融榭脂材料を流し込むことによって成形される。金型内に流し込まれた溶融榭脂材料の熱によって、同榭脂材料とワイヤとが溶着する。

[0004] 上記金型には、溶融榭脂材料を金型内に射出するためのゲートが設けられている。し力しながら、成形すべきハウジングの形状によっては、射出用ゲートが金型内に配置されるワイヤカゝら遠いところに配置される場合がある。この場合、ゲートから金型内に射出された溶融榭脂材料がワイヤに到達するまでに、その溶融榭脂材料の温度が低下して、ワイヤの表面の温度が十分に上昇しないことがある。これは、ハウジングを構成する榭脂材料とワイヤとの接着力を低下させて、ハウジングとワイヤとの界面のシールを不十分にさせる。

[0005] 一方、特許文献 2では、ノ、ウジング成形用金型は、ワイヤが配置される部位にお!ヽて、絞り部を有している。絞り部は、ワイヤが配置される部位において、金型の内壁面の径を小さくすることによって形成される。この絞り部によって、金型の内壁面とワイヤとの間の間隔が小さくなつている。金型内に溶融榭脂材料が充填されるとき、溶融榭脂材料は絞り部の存在によってワイヤに押し付けられるように加圧される。これにより、溶融榭脂材料の熱がワイヤに効率良く伝達されて、ハウジングを構成する榭脂材料とワイヤとが好適に溶着される。

[0006] しかし、上記特許文献 2では、ワイヤが配置される金型の部位に絞り部を設ける必要があるので、ハウジングの形状が制約される。すなわち、絞り部を考慮してハウジングの形状を決定する必要があるので、ハウジングの小型化が困難になるとともに、ノ、ウジングを回転センサの設置箇所に適した形状に設計することが困難になる。

特許文献 1：特開平 10— 115629号公報

特許文献 2：特開 2000 - 19185号公報

発明の開示

[0007] 本発明の目的は、ワイヤを覆うハウジングの形状の自由度を高めるとともに、ワイヤとハウジングとの界面を確実にシールできるようにすることにある。

[0008] 上記目的を達成するために、本発明は、電気信号を伝達する導線と、前記導線を被覆する外皮とを有し、ハウジングに収容されたセンサ部に接続されるワイヤを提供する。前記外皮は、前記ハウジングを形成する材料と相溶性の良い榭脂により形成される。前記ハウジングに密着する前記外皮の部位には、該外皮の周方向全周に亘って延びるシール用凸部が設けられる。

[0009] 本発明によれば、外皮の周方向全周に亘つて延びるシール用凸部は、外皮の表面積を増大させる。ハウジングの成形に際して、ハウジング成形用金型内に溶融材料を流し込んだとき、その溶融材料の熱がシール用凸部に効率良く伝達される。このため、溶融材料の温度が比較的低い場合であっても、シール用凸部が好適に溶融または軟ィ匕し、ハウジングとシール用凸部とが確実に溶着する。また、シール性を高めるための構造をワイヤ自体に設けたので、同構造はハウジングの形状に影響を及ぼさない。

[0010] 好ましくは、前記シール用凸部は、ワイヤの軸方向に沿って複数配列される。これは、単一のシール用凸部を設ける場合と比較して、シール性を一層高める。

[0011] 本発明の一態様において、前記外皮には、ワイヤの軸方向において所定間隔を隔てて配置された環状の凹溝が設けられる。隣接する両凹溝の間の外皮の部位が前記シール用凸部を形成する。前記凹溝は、外皮を径方向内側に向力つて圧縮変形させること〖こよって形成される。

[0012] 本発明において、前記外皮には、前記シール用凸部と交差する交差壁が設けられてもよい。シール用凸部及び交差壁は互いに支え合う。そのため、ハウジングの成形時において、シール用凸部又は交差壁の倒伏によって外皮のシール構造部における凹凸が実質的に消滅するという事態が防止される。従って、ハウジングの成形時において、シール用凸部を確実に溶融又は軟ィ匕させて、ハウジングとシール用凸部とを確実に溶着することができる。

[0013] 前記交差壁と対応する前記シール用凸部の周方向部位は、ワイヤの径方向において、交差壁と同一の高さを有してもよい。このようにすれば、シール用凸部と交差壁とは、互いに好適に支え合って、倒伏するのを確実に防止される。

[0014] 前記交差壁は、前記外皮よりもワイヤの径方向外側に突出していてもよい。

[0015] 前記交差壁は、ワイヤの径方向における内側ほど大きな厚さを有していてもよい。このようにすれば、交差壁の倒伏が一層確実に防止される。

[0016] 本発明の一態様において、前記シール用凸部及び前記交差壁の周囲の外皮の部位は、金型によって径方向内側に向力つて圧縮変形させられる。その圧縮変形させられた部位によって囲まれる外皮の部位力前記シール用凸部及び前記交差壁を形成する。

[0017] 好ましくは、前記外皮の圧縮変形によって生じた駄肉が前記薄肉部を形成する。このようにすれば、駄肉カ Sバリを形成するといつた事態が回避される。

[0018] 本発明はまた、上述したワイヤを備える検出器を提供する。検出器は、センサ部と、前記センサ部に接続されて該センサ部から出力される電気信号を伝達する前記ワイャと、センサ部及び該センサ部に接続されたワイヤの端部を覆う榭脂製ハウジングとを備える。

[0019] 本発明はさらに、電気信号を伝達する導線と前記導線を被覆する外皮とを有するヮィャを加熱圧縮するための金型を提供する。前記金型は、互いに分割された 2つの対称な金型部材を含む。前記両金型部材は互いに対向する合わせ面を有する。各合わせ面には断面半円弧状の凹部が形成され、その凹部を画定する面は前記外皮を圧縮するための成形面を形成している。前記各成形面には、半円弧状をなすように成形面の周方向に沿って延びる少なくとも 2つの押圧部と、前記両押圧部の間において半円弧状をなすように成形面の周方向に沿って延びる凹溝とが設けられる。押圧部は前記ワイヤの半径よりも小さい半径を有する。前記各合わせ面には、前記成形面の周方向両端部に連続する凹所が形成される。両金型部材の合わせ面同士を当接させたとき、両成形面によって画定される成形空間に連続する逃げ空間が、前記凹所によって形成される。この金型は、上述したようなシール用凸部及び交差壁をワイヤの外皮に形成するために好適に用いることができる。

[0020] 前記各金型部材は、前記凹溝の周方向両端部に繋がり且つ前記凹所に繋がる逃げ凹部を有していてもよい。

図面の簡単な説明

[0021] [図 1]本発明の一実施形態における回転センサの断面図。

[図 2]図 1の回転センサに備えられたワイヤの部分拡大側面図。

[図 3]図 2のワイヤの平面図。

[図 4]図 2の 4 4線に沿った断面図。

[図 5]金型の一部破断斜視図。

[図 6]図 5の金型の平面図。

[図 7]図 6の 7— 7線に沿った断面図。

[図 8]図 6の 8— 8線に沿った断面図。

[図 9]金型によって圧縮されているときのワイヤの様子を示す断面図。

[図 10]金型によって圧縮されているときのワイヤの様子を示す断面図。

発明を実施するための最良の形態

[0022] 以下、本発明を具体ィ匕した一実施形態を図 1〜図 10に基づき説明する。本実施形態は、車輪の回転速度の検出を行う回転センサ 11に本発明を具体化して!/、る。

[0023] 図 1には、検出器としての回転センサ 11の側断面図が略示されている。回転センサ 11は電磁ピックアップ方式を採用しており、車両に別途配置されるロータ（図示略）に対向するように配置される。回転センサ 11は、センサ部 12と、センサ部 12に接続されるワイヤ 13と、センサ部 12及びワイヤ 13 (詳しくは、センサ部 12に接続されるワイャ 13の端部を含む部位)を覆うハウジング 14とを備えて、る。

[0024] センサ部 12は、榭脂材料で形成された中空筒状のボビン 15を備えて、る。ボビン 15内には、ヨーク 16、マグネット 17及びバックコア 18が配設されている。ヨーク 16、マグネット 17及びバックコア 18は磁性材料カゝらなり、磁気回路を構成している。ボビン 15にはコイル 19が巻き付けられており、コイル 19を形成する導線の両端は、ボビン 15に備えられた一対（ 1つのみ図示）のターミナル 20を介してワイヤ 13と接続されている。

[0025] 前記センサ部 12は、車輪と共に回転するロータによる磁界の変化をヨーク 16にて感知してコイル 19にて電気信号に変換する。すなわちコイル 19は、磁界の変化に伴い、電気信号としての誘導電流を生じる。そして、センサ部 12は、ターミナル 20及びワイヤ 13を介してこの電気信号を外部に伝達する。

[0026] 図 4に示すように、前記ワイヤ 13は、それぞれ絶縁皮膜 21に覆われた一対の導線 22と、両導線 22を埋設する内層 23と、内層 23を覆う外皮 24とを有している。図 1に示すように、ワイヤ 13の端部において、外皮 24及び内層 23が剥かれて、絶縁皮膜 2 1に覆われた両導線 22が剥き出されている。この剥き出された両導線 22が、それぞれ対応するターミナル 20に電気的に接続されている。なお、本実施形態のワイヤ 13 は、断面円形状をなす丸線である。

[0027] センサ部 12及びワイヤ 13 (詳しくは、センサ部 12に接続されるワイヤ 13の端部を含む部位）は、榭脂製のハウジング 14がモールド成形されるときに該ハウジング 14 内に埋設され、それによつてハウジング 14と一体化されている。ハウジング 14の材料には、強靭性等の点で有利なポリアミド (ナイロン榭脂）が用いられている。外皮 24の材料には、ノ、ウジング 14の材料と相溶性の高い材料が用いられる。相溶性の高い材料とは、相溶ィ匕指数の高い材料、濡れ性の良い材料、又は接着しやすい材料のことをいう。本実施形態では、外皮 24の材料として、ポリアミド (ナイロン榭脂）が用いられている。 [0028] 本実施形態のワイヤ 13は、該ワイヤ 13とハウジング 14との界面をシールするためのシール構造部を備えている。以下、このシール構造部について詳しく説明する。

[0029] 図 2に示すように、ワイヤ 13の外皮 24の端部（すなわち、ハウジング 14に埋設される外皮 24の部位）には、外皮 24を一周する環状のシール用凸部 25が複数 (本実施形態では 2つ）形成されている。このシール用凸部 25は、外皮 24に複数 (本実施形態では 3つ）の環状の凹溝 26を形成することによって得られる。すなわち、 3つの凹溝 26と 2つのシール用凸部 25とがワイヤ 13の軸方向に沿って交互に配置されることにより、外皮 24にシール構造部が形成される。各シール用凸部 25は、ワイヤ 13の径方向において外皮 24と同じ高さを有する。言い換えれば、各シール用凸部 25は、シール構造部以外の外皮 24の部位と同じ外径を有する。

[0030] 上記シール用凸部 25は、ワイヤ 13の端部を覆うようにハウジング 14が成形される際、ハウジング 14とワイヤ 13との界面を確実にシールすることを可能にする。すなわち、ハウジング 14は、センサ部 12及びワイヤ 13の端部をノヽウジング成形用金型（図示せず）内に配置した状態で、同金型内に溶融榭脂材料を流し込むことによって成形される。金型内に流し込まれた溶融榭脂材料の熱は、ワイヤ 13の外皮 24を溶かして、該榭脂材料 (すなわち、ハウジング 14)と外皮 24とを溶着させる。この際、外皮 2 4に設けられたシール用凸部 25は、溶融榭脂材料に対する外皮 24の接触面積を増大させて、外皮 24の温度を効率よく上昇させる。従って、溶融榭脂材料の温度が比較的低い場合であっても、外皮 24 (詳しくは、シール用凸部 25)が好適に溶融又は軟化し、確実にハウジング 14と外皮 24 (シール用凸部 25)とが溶着する。シール用凸部 25はワイヤ 13を 1周するように形成されているため、ワイヤ 13がその全周に亘って確実にハウジング 14に溶着して、ハウジング 14とワイヤ 13との界面が確実にシーノレされる。

[0031] また、図 2〜図 4に示すように、ワイヤ 13の外皮 24には、所定の厚さを有する一対の薄肉部 27が前記シール用凸部 25と交差するように形成されて!、る。この薄肉部 2 7は、ワイヤ 13の軸方向（図 2の左右方向）に沿って延びている。すなわち、薄肉部 2 7は、シール用凸部 25と直交するように延びている。図 3及び図 4に示すように、一対の薄肉部 27は、 180° の角度間隔を隔てて配置されている。また、薄肉部 27は、外皮 24よりもワイヤ 13の径方向外側に若干突出している。薄肉部 27は、熱によって若干溶けると同時に倒伏しない程度の厚さを有する。すなわち、薄肉部 27の厚さは、外皮 24の榭脂材料の性質及び薄肉部 27の高さ（ワイヤ 13の径方向における薄肉部 27の高さ）などによって決定される。シール用凸部 25と交差する交差壁である薄肉部 27は、シール用凸部 25の倒伏を防止するように該シール用凸部を支持する支持壁として機能する。

[0032] 図 3及び図 4に示すように、両薄肉部 27と対応する各シール用凸部 25の周方向部位は、ワイヤ 13の径方向において、薄肉部 27と同一の高さを有する。すなわち、各シール用凸部 25は、両薄肉部 27と対応する部位において、他の部位よりも径方向外側に盛り上がつている。また、薄肉部 27の厚さは、ワイヤ 13の径方向における内側ほど、つまり薄肉部 27の基部に近づくほど、大きくなつている。これらの結果、薄肉部 27が倒伏し難いものとなっている。なお、薄肉部 27は、外皮 24に凹溝 26を形成した際に生じる駄肉にて形成される。

[0033] 互いに交差するシール用凸部 25と薄肉部 27とは、互いに支え合っているので、熱によって溶けても倒伏し難い。このため、ハウジング 14のモールド成形時において、シール用凸部 25又は薄肉部 27の倒伏によって外皮 24のシール構造部における凹凸が実質的に消滅するという事態を防止できる。従って、シール用凸部 25又は薄肉部 27の倒伏が生じ難い本実施形態では、ハウジング 14とワイヤ 13との界面が確実にシールされる。

[0034] 上記シール構造部は、図 2及び図 5〜図 8に示す金型 31にてワイヤ 13の外皮 24を加熱圧縮することにより形成される。以下、シール構造部の形成方法について説明する。

[0035] 先ず、外皮 24の加熱圧縮に使用される金型 31について説明する。図 2に示すように、金型 31は、互いに分割された 2つの対称な金型部材 31 A, 31Bを含む。両金型部材 31A, 31Bは、互いに対向する合わせ面 32を有する。図 5〜図 8に示すように、その合わせ面 32には断面半円弧状の凹部が形成され、その凹部を画定する面は、前記シール構造部を圧縮成形すべく、同シール構造部の形状に対応した形状を有する成形面 30を形成してヽる。 [0036] 成形面 30には、前記凹溝 26に対応する 3つの圧縮用凸部（押圧部） 33と、前記シ一ル用凸部 25に対応する 2つの凹溝 34とが設けられ、それら圧縮用凸部 33と凹溝 34とが成形面 30の軸方向に沿って交互に配置されている。圧縮用凸部 33は、半円弧状をなすように成形面 30の周方向に沿って延びており、ワイヤ 13の半径 (つまり、外皮 24の半径)よりも小さい半径を有する。凹溝 34は、半円弧状をなすように成形面 30の周方向に沿って延びており、ワイヤ 13の半径（つまり、外皮 24の半径）とほぼ同じ半径を有する。圧縮用凸部 33と凹溝 34とが成形面 30の軸方向に沿って交互に配置されることにより、図 5に示すように、成形面 30の軸方向に沿った断面形状は凹凸状をなす。圧縮用凸部 33は成形面 30における小径部を構成し、凹溝 34は成形面 3 0における大径部を構成する。

[0037] ワイヤ 13にシール構造部を形成する場合には、図 9及び図 10に示すように、前記両金型部材 31A, 31Bの成形面 30によってワイヤ 13を挟み込んだ状態で、両金型部材 31A, 31Bの合わせ面 32同士を突き合わせる。なお、金型部材 31A, 31Bによつて挟み込まれたワイヤ 13の部位は加熱される。すると、外皮 24の半径よりも小さな半径を有する圧縮用凸部 33は、外皮 24を径方向内側に向力つて圧縮変形させて、同外皮 24上に周方向に沿って延びる凹溝 26を形成する（図 9参照)。その一方、凹溝 34と対応する外皮 24の部位は、周方向に沿って延びるシール用凸部 25を形成するように、圧縮されることなくそのまま残る（図 10参照)。

[0038] 図 5及び図 7に示すように、各金型部材 31A, 31Bの合わせ面 32には、前記成形面 30の周方向両端部に連続する凹所 35が形成されている。図 9に示すように、両金型部材 31A, 31Bの合わせ面 32同士を当接させたとき、両成形面 30によって画定される成形空間に連続する逃げ空間が、凹所 35によって形成される。金型 31を用いたワイヤ 13の加熱圧縮に際して、外皮 24の一部は、圧縮用凸部 33による圧縮によつて生じた駄肉として、前記逃げ空間に押し出され、その逃げ空間内において薄肉部 27を形成する（図 9参照)。このため、駄肉が両合わせ面 32の間に浸入してバリを形成するといつた事態が回避される。凹所 35を画定する面は、薄肉部 27を成形するための面として機能する。

[0039] 圧縮用凸部 33の周方向両端部は、面取りされている。具体的には、圧縮用凸部 3 3の周方向両端部と凹所 35を画定する面とによって形成される角が削られている。このような面取りされた部位を設けることによって、薄肉部 27の厚さを同薄肉部 27の基部に近づくほど大きくすることができる。

[0040] 図 5及び図 8に示すように、各金型部材 31A, 31Bは、凹溝 34の周方向両端部に繋がる逃げ凹部 36を有している。逃げ凹部 36は、凹溝 34と同じ幅を有するとともに、前記凹所 35に繋がっている。図 8の左右方向における逃げ凹部 36の寸法は、凹所 3 5のそれと対応する。金型 31を用いたワイヤ 13の加熱圧縮に際して、逃げ凹部 36は、薄肉部 27と交差するシール用凸部 25の部位が薄肉部 27と同一の高さにまで滑らかに盛り上がることを許容する。

[0041] 本実施形態は、以下の利点を有する。

[0042] (1)ワイヤ 13の外皮 24は、ハウジング 14を構成する榭脂材料と相溶性の良い榭脂材料からなる。また、外皮 24には、外皮 24を一周するシール用凸部 25が設けられる。シール用凸部 25は外皮 24の表面積を増大させる。ハウジング 14の成形に際して、ノ、ウジング成形用金型内に溶融榭脂材料を流し込んだとき、その溶融榭脂材料の熱がシール用凸部 25に効率良く伝達される。このため、溶融榭脂材料の温度が比較的低い場合であっても、シール用凸部 25が好適に溶融又は軟ィ匕し、ハウジング 14とシール用凸部 25とが確実に溶着する。従って、ハウジング成形用金型に設けられた榭脂材料射出用ゲートから同金型内に配置されたワイヤ 13までの距離が長くても、ハウジング 14とワイヤ 13との界面を確実にシールすることができる。また、外皮 24を一周するようにシール用凸部 25を設けたので、ハウジング 14とワイヤ 13との界面のシールが一層確実なものとなる。また、シール性を高めるための構造をワイヤ 13自体に設けたので、同構造はハウジング 14の形状に影響を及ぼさない。すなわち、ハウジング 14の形状を、ワイヤ 13に設けられたシール構造部に影響されることなく決定することができるので、ハウジング 14の小型化が容易になるとともに、ハウジング 14を回転センサ 11の設置箇所に適した形状に設計することが容易となる。

[0043] (2)シール用凸部 25が複数本 (本実施形態では 2本)設けられて、る。これは、単一のシール用凸部 25を設ける場合と比較して、シール性を一層高める。

[0044] (3)ハウジング 14と外皮 24とを互いに相溶性の良、榭脂材料で形成して、両者を溶着させるようにした。このため、ハウジング 14を成形する工程と、ハウジング 14とヮィャ 13との界面をシールする工程とを、 1つの工程で行うことができる。

[0045] (4)外皮 24には、シール用凸部 25と交わる薄肉部 27が設けられ、シール用凸部 2 5及び薄肉部 27は互いに支え合う。そのため、ハウジング 14の成形時において、シ一ル用凸部 25又は薄肉部 27の倒伏によって外皮 24のシール構造部における凹凸が実質的に消滅するという事態が防止される。従って、ハウジング 14の成形時において、シール用凸部 25を確実に溶融させて、ハウジング 14とシール用凸部 25とを確実に溶着することができる。

[0046] (5)薄肉部 27と対応するシール用凸部 25の周方向部位は、ワイヤ 13の径方向において、薄肉部 27と同一の高さを有する。このため、シール用凸部 25と薄肉部 27とは、互いに好適に支え合って、倒伏するのを確実に防止される。

[0047] (6)金型 31で外皮 24を加熱圧縮する際、外皮 24の一部は、圧縮用凸部 33による圧縮によって生じた駄肉として、凹所 35によって形成される逃げ空間に押し出され、その逃げ空間内において薄肉部 27を形成する。このため、駄肉が両合わせ面 32の間に浸入してノリを形成するといつた事態が回避される。バリは、ハウジング 14の成形に際してハウジング 14とシール用凸部 25との溶着を妨げる要因となる力そのようなノリの形成を回避することによって、ハウジング 14とシール用凸部 25とが好適に溶着される。

[0048] (7)薄肉部 27は、外皮 24よりもワイヤ 13の径方向外側に突出している。すなわち、外皮 24の加熱圧縮によって生じた駄肉が、バリを形成することなぐ薄肉部 27の形成のために有効に利用される。

[0049] (8)薄肉部 27の厚さは、ワイヤ 13の径方向における内側ほど、つまり薄肉部 27の基部に近づくほど、大きくなつている。このため、薄肉部 27の倒伏が一層確実に防止される。

[0050] (9)各金型部材 31A, 31Bに形成された逃げ凹部 36は、ワイヤ 13の加熱圧縮に際して、シール用凸部 25が薄肉部 27と同一の高さにまで滑らかに盛り上がりながら同薄肉部 27と繋がることを許容する。

[0051] 尚、上記実施形態は、次のように変更することも可能である。 [0052] 上記実施形態では、シール用凸部 25を 2つ設けた力シール用凸部 25の数は幾つでもよぐ例えば 1つでも 3つ以上でもよい。

[0053] 上記実施形態では、薄肉部 27を 2つ設けた力薄肉部 27の数は幾つでもよぐ例えば 1つでも 3つ以上でもよい。また、薄肉部 27を省略しても良い。

[0054] 上記実施形態では、圧縮用凸部 33の周方向両端部を面取りしていたが、面取りはしなくてちょい。

[0055] 薄肉部 27と対応するシール用凸部 25の周方向部位は、薄肉部 27と同一の高さとしなくとも良い。

[0056] 金型 31は、 3つ以上の分割金型部材によって構成されてもよい。

[0057] 薄肉部 27は、シール用凸部 25と交差しているのであれば、必ずしもワイヤ 13の軸方向と平行に延びていなくともよい。

[0058] 各金型部材 31A, 31Bは、逃げ凹部 36を有していなくともよい。

[0059] 外皮 24の材料として、熱可塑性ポリエステルエラストマを主体とする榭脂組成物を用いても良い。尚、熱可塑性ポリエステルエラストマとは、ポリブチレンテレフタラート等の結晶性ノヽードセグメントと、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリオキシメチレングリコール力もなる非晶性ソフトセグメント、若しくはポリ力プラクロングリコール等のポリエステルグリコール力なる非晶性ソフトセグメントとを有するブロック共重合体をいう。

[0060] 上記金型 31を、ワイヤ 13の端部の外皮 24を剥いで導線 22を露出させる器具に備えても良い。このようにすれば、導線 22を露出させる工程と、シール構造部を形成する工程とを 1工程で行うことができる。

[0061] 上記実施形態のワイヤ 13は丸線であるが、断面多角形状をなす角線でも良い。

[0062] 本発明は、車輪の回転速度を検出する回転センサ 11に限定されることなぐ例えば車両の動力伝達軸の回転速度を検出する回転センサ等、各種の検出器に具体化することがでさる。

Claims

請求の範囲

[1] 電気信号を伝達する導線と、前記導線を被覆する外皮とを有し、ハウジングに収容されたセンサ部に接続されるワイヤにおいて、

前記外皮は、前記ハウジングを形成する材料と相溶性の良い榭脂により形成され、前記ハウジングに密着する前記外皮の部位には、該外皮の周方向全周に亘つて延びるシール用凸部が設けられることを特徴とするワイヤ。

[2] 前記シール用凸部は、ワイヤの軸方向に沿って複数配列される請求項 1に記載のワイヤ。

[3] 前記外皮には、ワイヤの軸方向において所定間隔を隔てて配置された環状の凹溝力 S設けられ、隣接する両凹溝の間の外皮の部位が前記シール用凸部を形成し、前記凹溝は、外皮を径方向内側に向かって圧縮変形させることによって形成される請求項 1に記載のワイヤ。

[4] 前記外皮には、前記シール用凸部と交差する交差壁が設けられる請求項 1に記載のワイヤ。

[5] 前記交差壁と対応する前記シール用凸部の周方向部位は、ワイヤの径方向において、交差壁と同一の高さを有する請求項 4に記載のワイヤ。

[6] 前記交差壁は、前記外皮よりもワイヤの径方向外側に突出している請求項 4に記載のワイヤ。

[7] 前記交差壁は、ワイヤの径方向における内側ほど大きな厚さを有する請求項 4に記載のワイヤ。

[8] 前記シール用凸部及び前記交差壁の周囲の外皮の部位は、金型によって径方向内側に向力つて圧縮変形させられ、その圧縮変形させられた部位によって囲まれる外皮の部位が前記シール用凸部及び前記交差壁を形成する請求項 4に記載のワイャ。

[9] 前記外皮の圧縮変形によって生じた駄肉が前記薄肉部を形成する請求項 8に記載のワイヤ。

[10] センサ部と、前記センサ部に接続されて該センサ部から出力される電気信号を伝達するワイヤと、センサ部及び該センサ部に接続されたワイヤの端部を覆う榭脂製ハウジングとを備え、前記ワイヤは、前記ハウジングを形成する榭脂と相溶性の良い榭脂によって形成される外皮を有し、前記ハウジングによって覆われる外皮の部位がハウジングに溶着されて!、る検出器にぉ、て、

前記ワイヤは請求項 1〜9の何れか一項に記載のワイヤであることを特徴とする検出器。

[11] 電気信号を伝達する導線と前記導線を被覆する外皮とを有するワイヤを加熱圧縮するための金型において、

前記金型は、互いに分割された 2つの対称な金型部材を含み、

前記両金型部材は互いに対向する合わせ面を有し、各合わせ面には断面半円弧状の凹部が形成され、その凹部を画定する面は前記外皮を圧縮するための成形面を形成しており、

前記各成形面には、半円弧状をなすように成形面の周方向に沿って延びる少なくとも 2つの押圧部と、前記両押圧部の間において半円弧状をなすように成形面の周方向に沿って延びる凹溝とが設けられ、押圧部は前記ワイヤの半径よりも小さい半径を有し、

前記各合わせ面には、前記成形面の周方向両端部に連続する凹所が形成され、両金型部材の合わせ面同士を当接させたとき、両成形面によって画定される成形空間に連続する逃げ空間が、前記凹所によって形成されることを特徴とする金型。

[12] 前記各金型部材は、前記凹溝の周方向両端部に繋がり且つ前記凹所に繋がる逃げ凹部を有する請求項 11に記載の金型。