JP3277761B2 - ハウジングとケーブルの接続構造及び接続方法 - Google Patents

ハウジングとケーブルの接続構造及び接続方法

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卓 小林
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば自動車等
の車輪の回転速度を検出する車輪速センサに適用され、
この車輪速センサを封止したハウジングと、車輪速セン
サに接続され、このハウジングから導出されたケーブル
間を気密封止するハウジングとケーブルの接続構造及び
接続方法に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の車輪速センサとしては、図1に
示すような電磁ピックアップ方式のものが知られてい
る。この方式の車輪速センサ1には、車輪と共に回転す
る磁性体ロータ2が付随しており、この車輪速センサ1
は、、この磁性体ロータ2の回転に応じた磁界の変化を
検出する。この車輪速センサ1は、その外側をハウジン
グ3によって覆われ、その内側で、ヨーク4を電磁コイ
ル5の中央に挿入した構造を有する。磁界の変化は、ヨ
ーク4によって感知され、電磁コイル5によって電気信
号に変換され、この電気信号がケーブル6を介して外部
に出力される。
【0003】このような車輪速センサ1は、自動車の走
行中に被水したり、着氷するといった環境に晒されるた
め、ハウジング3とケーブル6の接続部には十分な耐久
性や防水性が要求される。
【0004】このため、ハウジング3の材質には、強靱
性等の点で有利なポリブチレンテレフタレート(PB
T)樹脂等が選定され、ケーブル6のシース材には、耐
摩耗性や耐屈曲性等の点で有利なポリウレタン系樹脂が
選定されている。
【0005】また、ハウジング3とケーブル6の接続部
の防水性を向上させるために、PBT樹脂の射出成形に
よりハウジング3を形成し、これと同時にハウジング3
とケーブル6の間を密着させている。勿論、射出成形の
前工程で、ケーブル6の2本の絶縁電線6a,6bを電
磁コイル5の各端子5aに接続する。
【0006】ところが、かかる方法では、射出成形した
ハウジング3とケーブル6のシース材の界面での気密性
が不十分であり、所望の防水性が得られなかった。
【0007】この問題を解決するために、例えば図2に
示す様にケーブル6の外周にゴム製のOリング7を嵌め
た後、PBT樹脂を射出成形する方法が行われている。
【0008】ところが、この方法では、Oリング7がP
BT樹脂の射出成形時の成形圧で所定の位置から移動し
てしまうと言う問題を生じたり、射出成形時の熱でOリ
ングが変質してしまい、反発弾性が低下して所定の防水
性が得られないと言う問題を生じた。あるいは、PBT
樹脂の射出成形の前に、ケーブル6の外周にOリング7
を取り付ける工程を必要とするので、部品点数だけでな
く、工程数の増加にもつながり、生産性が低下した。
【0009】さらに、図3に示す様にケーブル6の外周
にシール部材8をモールド成形により配置してから、P
BT樹脂を射出成形する方法も提案されている。この方
法は、シール部材8の材質として、ケーブル6のシース
材と同類のポリウレタン樹脂を適用することで、シール
部材8とシース材の密着性を高めて、シース材との気密
性を確保するとともに、このシール部材8とハウジング
3との界面については、シール部材8の周囲に複数のリ
ブを形成することによって接触面積を増加させ、機械的
に気密封止性を確保している。
【0010】しかしながら、この方法の場合も、部品点
数や工程数の増加を伴い、生産性が低下した。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】このように従来は、O
リング7やシール部材8を用いて、ハウジング3とケー
ブル6間の気密性を高めていたが、Oリングの変質を招
いて、所定の防水性が得られなかったり、部品点数や工
程数の増加を伴い、生産性が低下した。
【0012】そこで、この発明の課題は、格別の部品を
用いずとも、ハウジングの射出成形に伴い、ハウジング
とケーブルの間を密着させるだけで、両者間の十分な気
密性と耐久性を得ることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、この発明のハウジングとケーブルの接続構造におい
ては、ケーブルのシース材として、難燃化した熱可塑性
ポリエステルエラストマを主体とする樹脂組成物の架橋
体を適用している。
【0014】この熱可塑性ポリエステルエラストマを主
体とする樹脂組成物の架橋体は、ケーブルのシース材と
して要求される耐摩耗性や耐屈曲性等の諸特性を備えて
いるばかりでなく、この樹脂組成物の架橋体を適用すれ
ば、ハウジングの溶融成形に際し、ハウジングとケーブ
ル間を密着させるだけで、両者間の十分な気密性を得る
ことができ、必要とする防水性能の実現が可能となる。
【0015】この樹脂組成物の架橋体の難燃化は、例え
ばポリブロモジフェニルエーテルを除く難燃剤によって
なすことができる。
【0016】この難燃剤として、例えばエチレンビス臭
素化フタルイミド、ビス(臭素化フェニル)エタン、ビ
ス(臭素化フェニル)テレフタルアミドからなる群より
選ばれる1種もしくは複数種の混合物がある。
【0017】また、熱可塑性ポリエステルエラストマと
は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂等の結
晶性ハードセグメントと、ポリテトラメチレンエーテル
グリコール等のポリオキシメチレングリコールからなる
非晶性ソフトセグメント、もしくはポリカプロラクトン
グリコール等のポリエステルグリコールからなる非晶性
ソフトセグメントとを有するブロック共重合体である。
これらの共重合体のうち、非晶性ソフトセグメントがポ
リオキシメチレングリコールからなる熱可塑性ポリエス
テルエラストマは、柔軟性に富むものが市販されてお
り、ケーブルのシース材に好適と言える。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を添
付図面を参照して説明する。
【0019】ここでは、この発明の接続構造及び接続方
法を図1に示す車輪速センサ1のハウジング3とケーブ
ル6に適用し、これを1つの実施形態としている。すな
わち、このケーブル6のシース材として、難燃化した熱
可塑性ポリエステルエラストマを主体とする樹脂組成物
の架橋体を適用し、PBT樹脂の溶融成形によって、ハ
ウジング3を形成するとともに、ハウジング3とケーブ
ル6間を密着させている。
【0020】熱可塑性ポリエステルエラストマは、先に
述べた様な結晶性ハードセグメントと、非晶性ソフトセ
グメントを有するブロック共重合体であり、非晶性ソフ
トセグメントがポリオキシメチレングリコールであるも
のが、ケーブルのシース材に好適である。
【0021】このような熱可塑性ポリエステルエラスト
マを主体とする樹脂組成物からなるケーブル6のシース
材は、ハウジング3の溶融成形に際し、このハウジング
3に接着するので、ハウジング3とケーブル6間の十分
な気密性を得ることができ、必要とする防水性能を実現
することができる。
【0022】さて、自動車に使用されるケーブルには、
難燃性、耐熱性、耐摩耗性等の特性が要求されている。
具体的な要求特性は、JASO(日本自動車連盟)規格
D608、JIS C3404、C3005に記載され
ており、例えばケーブル試料を水平に設置し、バーナー
の炎を10秒間当て、炎を取り去った後に30秒以内に
消火することが要求される。
【0023】一方、一般的な熱可塑性ポリエステルエラ
ストマは、可燃性である。このため、この実施形態で
は、この可燃性の熱可塑性ポリエステルエラストマを難
燃化している。この難燃化を行う方法としては、この可
燃性の熱可塑性ポリエステルエラストマに対して、エチ
レンビス臭素化フタルイミド、ビス(臭素化フェニル)
エタン、ビス(臭素化フェニル)テレフタルアミド、パ
ークロロペンタシクロデカン等の有機系難燃剤や、三酸
化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウ
ム等の無機系難燃剤を必要量配合すると言うものが知ら
れている。この方法によって、熱可塑性ポリエステルエ
ラストマを難燃化すれば、ケーブルのシース材の難燃性
を実現できる。
【0024】次に、一般的な熱可塑性ポリエステルエラ
ストマは、その融点が100℃〜220℃である。これ
に対し、PBT樹脂の成形温度は、240℃〜260℃
である。したがって、ハウジング3の射出成形の温度に
おいては、この融点(100℃〜220℃)の熱可塑性
ポリエステルエラストマが溶融してしまう。
【0025】そこで、この実施形態では、この融点(1
00℃〜220℃)の熱可塑性ポリエステルエラストマ
を架橋することによって、不融化する。具体的には、こ
の融点(100℃〜220℃)の熱可塑性ポリエステル
エラストマに対して、トリメチロールプロパントリメタ
クリレートや、トリアリルシアヌレート、トリアリルイ
ソシアヌレート等の分子内に炭素−炭素二重結合を複数
個有する多官能性モノマーを配合し、加速電子線やガン
マ線等の電離性放射線を照射し、これにより熱可塑性ポ
リエステルエラストマを架橋して、不融化している。こ
の融点を高めた熱可塑性ポリエステルエラストマは、P
BT樹脂の成形温度240℃〜260℃であっても溶融
せず、その形状を保持する。
【0026】この熱可塑性ポリエステルエラストマを架
橋する他の方法としては、有機過酸化物を用いる熱加硫
法、熱可塑性ポリエステルエラストマにアルコキシシラ
ンを予めグラフトしておき、これを有機錫系化合物等の
触媒の存在下に、水あるいは水蒸気に接触させて架橋す
る所謂シラン架橋法等がある。
【0027】これらの方法のいずれでも構わないが、架
橋処理速度の点から、この実施形態で採用した電離性放
射線の照射を用いる方法が有利であり、また簡便で、か
つ生産も高い。
【0028】ところで、熱可塑性ポリエステルエラスト
マに配合する難燃剤については、先に述べたが、各種の
難燃剤のうちには、好ましく無いものがある。例えば、
デカブロモジフェニルエーテルや、オクタブロモジフェ
ニルエーテル等のポリブロモジフェニルエーテルを適用
した場合は、ハウジング3の溶融成形と同時に、ハウジ
ング3とケーブル6間を封止しても、両者間が十分に接
着せず、必要な防水性能が得られない。
【0029】また、熱可塑性ポリエステルエラストマを
主体とする樹脂組成物の架橋度を高める程、燃焼時の樹
脂組成物のドリップ(燃焼溶融物の垂れ落ち)が少なく
なり、これによって難燃性が向上するという利点があ
る。
【0030】ところが、難燃剤として、上記デカブロモ
ジフェニルエーテルや、オクタブロモジフェニルエーテ
ル等のポリブロモジフェニルエーテルを適用した場合
は、燃焼時のドリップが無くなるまで樹脂組成物の架橋
度を高めると、接着性が極端に低下して、防水性能の劣
化が激しくなるため、ポリブロモジフェニルエーテルを
除く難燃剤を使用することがより好ましい。
【0031】これに対して、この実施形態の様に、エチ
レンビス臭素化フタルイミド、ビス(臭素化フェニル)
エタン、ビス(臭素化フェニル)テレフタルアミド等を
適用した場合は、樹脂組成物の架橋度を高めても、接着
性は、殆ど低下せず、防水性能の劣化も無い。
【0032】すなわち、難燃剤の種類による接着性の優
劣の差は、樹脂組成物の架橋度を高める程に顕著にな
り、接着性を劣化させずに、樹脂組成物の架橋度を高め
るには、難燃材の種類を適宜に特定するのが好ましい。
【0033】このように実施形態においては、ケーブル
6のシース材として、熱可塑性ポリエステルエラストマ
を主体とする樹脂組成物の架橋体を適用し、この樹脂組
成物に難燃剤を配合している。この難燃剤として、エチ
レンビス臭素化フタルイミド、ビス(臭素化フェニル)
エタン、ビス(臭素化フェニル)テレフタルアミド、パ
ークロロペンタシクロデカン等の有機系難燃剤や、三酸
化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウ
ム等を選択し、これにより難燃性を向上させるだけでな
く、ハウジング3の溶融成形に際しては、ケーブル6が
ハウジング3に十分に密着するようにし、ハウジング3
とケーブル6間の十分な気密封止を可能にしている。
【0034】なお、この実施形態では、車輪速センサを
例示しているが、これに限定されるものでなく、本体装
置を封止するハウジングと、この本体装置に接続され、
このハウジングを貫いて導出されるケーブルとを備えて
いれば、この発明を適用することができる。
【0035】
【実施例】次に、図1に示すケーブル6を実施した第1
乃至第4実施例を述べる。
【0036】なお、これらの実施例、及び後述する各比
較例においては、ケーブル6の芯となる各絶縁電線6
a,6bの外周を中間層によって被覆してから、この上
をシース材によって被覆した。この中間層は、シース材
をケーブル3から剥ぎ取り易くするものであって、メル
トインデックス(190℃、荷重2160g)が0.2
以上の熱可塑性樹脂が好ましく、ここではメルトインデ
ッックス5のエチレン酢酸ビニル共重合体を適用した。
このメルトインデックス0.2以上の熱可塑性樹脂は、
シース材となる樹脂組成物との後述する共押出しを可能
にする。
【0037】さて、第1実施例では、まず表1に示す主
体のポリエステルエラストマと、難燃剤のエチレンビス
(テトラブロモフタルイミド)を加圧型ニーダー装置に
よって混合し、この混合物をフィーダールーダーに投入
してペレット化する。
【0038】ただし、第1乃至第4実施例、及び後述す
る各比較例のいずれにおいても、表1の各配合組成物以
外に、三酸化アンチモンを15重量部、ジフェニルアミ
ン系酸化防止剤を1重量部、トリメチロールプロパント
リメタクリレートを5重量部だけ配合する。
【0039】次に、ケーブル6の各絶縁電線6a,6b
(商品名イラックスB8;銅合金導体3/20/0.0
8,絶縁外径1.7φ,住友電気工業(株)製)を35
mmピッチで撚り合わせ、これらの絶縁電線6a,6b
の外周に、溶融押出し機(40mmφ,L/D=24)
によって、エチレン酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含
有量20wt%、メルトインデックス5)を主体とする樹
脂組成物の中間層を形成し、その外径を4.0mmφと
する。また、表1の各配合組成物からなる混合物を溶融
押出し機(60mmφ,L/D=24)によって共押出
して、中間層を被覆するシース材を形成し、その外径を
5.0mmφとする。そして、このシース材に加速電圧
が2MeVの電子線を250kGy照射する。
【0040】
【表1】
【0041】こうして製作したケーブル6の難燃性をJ
ASO D608に記載の方法に準拠して調べた結果、
燃焼時間は2秒で、燃焼に伴うシース材の溶融落下は全
く認められず、難燃性に優れることを確認できた。
【0042】このケーブル6の一端のシース材と中間層
を剥ぎ取り、各絶縁電線6a,6bの先端の絶縁体を剥
ぎ取り、これらの絶縁電線6a,6bを抵抗溶接によっ
て車輪速センサ1の電磁コイル5の各端子5aに接続し
てから、この車輪速センサ1の本体とケーブル6を成形
金型内に配し、PBT樹脂(商品名PBT5101G−
30U;東レ(株)製)を255℃で射出成形して、ハ
ウジング3を形成した。
【0043】この車輪速センサ1の防水性を次の方法に
より評価した。まず、この車輪速センサ1を105℃の
恒温槽内に30分間入れてから、この車輪速センサ1を
図4に示す様に室温の水を貯めた水槽11に20分間浸
漬するという手順で、この車輪速センサ1に対して熱衝
撃を与え、この後に車輪速センサ1と電極板13間の絶
縁抵抗を絶縁抵抗計12によって測定し、この抵抗値を
初期のものとして記録する。
【0044】引き続いて、恒温槽内に30分間入れてか
ら、室温の水を貯めた水槽11に20分間浸漬するとい
うヒートサイクルを300回繰り返し、この後に車輪速
センサ1と電極板13間の絶縁抵抗を測定し、この抵抗
値を記録した。
【0045】この結果、初期の抵抗値、及び300回の
ヒートサイクルを経た抵抗値は、100GΩ以上を共に
示していた。したがって、この第1実施例の車輪速セン
サ1は、十分な防水性能を有していると言える。
【0046】次に、第2実施例では、第1実施例と同様
に、ケーブル6の各絶縁電線6a,6bの外周に、エチ
レン酢酸ビニル共重合体を主体とする樹脂組成物の中間
層を形成し、表1に示す難燃剤にエチレンビス(ペンタ
ブロモベンゼン)を適用したポリエステルエラストマの
混合物からなるシース材を形成し、このシース材に電子
線を照射した。
【0047】このケーブル6についても、第1実施例と
同様に、その難燃性をJASO D608に記載の方法
に準拠して調べた結果、燃焼時間は2秒で、燃焼に伴う
シース材の溶融落下は全く認められず、難燃性に優れる
ことを確認できた。
【0048】また、このケーブル6を車輪速センサ1に
接続し、PBT樹脂を射出成形して、ハウジング3を形
成した。そして、この車輪速センサ1についても、第1
実施例と同様の手順で、防水性を評価したところ、初期
の抵抗値、及び300回のヒートサイクルを経た抵抗値
が100GΩ以上を共に示し、十分な防水性能が得られ
た。
【0049】更に、第3実施例では、表1に示す様に難
燃剤として、ビス(トリブロモフェニル)テレフタルア
ミドを適用しており、第1実施例と同様に、ケーブル6
の各絶縁電線6a,6bの外周に、中間層を形成し、ポ
リエステルエラストマと、難燃剤のビス(トリブロモフ
ェニル)テレフタルアミドを混合してなる混合物のシー
ス材を形成し、このシース材に電子線を照射した。
【0050】このケーブル6についても、その難燃性を
調べた結果、燃焼時間は3秒で、燃焼に伴うシース材の
溶融落下は全く認められなかった。
【0051】また、このケーブル6を車輪速センサ1に
接続してから、PBT樹脂を射出成形して、ハウジング
3を形成した。この車輪速センサ1についての防水性を
評価したところ、初期の抵抗値、及び300回のヒート
サイクルを経た抵抗値が100GΩ以上を共に示した。
【0052】第4実施例は、シース材の難燃材としてデ
カブロモジフェニルエーテルを使用し、第1乃至第3実
施例と同じ構造のケーブルを作製して、加速電圧2Me
Vの電子線を100kGy照射したものである。
【0053】このケーブルの難燃性をJASO D60
8に記載の方法に準拠して調べた結果、燃焼時間は18
秒と長く、燃焼に伴う燃焼溶融物の落下も認められ、ケ
ーブルの難燃性は第1乃至第3実施例のケーブルに比べ
劣っていることがわかった。
【0054】このケーブルを使用し、PBT樹脂の射出
成形によって、センサ部のハウジングの成形とケーブル
の一体モールド成形を行った。
【0055】この成形体の防水性を評価したところ、絶
縁抵抗の初期値は100GΩ以上と優れた防水性を示
し、また、100回のヒートサイクル後の絶縁抵抗も1
00GΩ以上と初期の値が低下していないことがわかっ
たが、300回のヒートサイクル後の絶縁抵抗は10k
Ω以下に低下し、第1乃至第3実施例よりは防水性が劣
ることがわかった。
【0056】次に、第1乃至第4実施例の優秀性を明確
にするために、第1乃至第4比較例を示しておく。
【0057】
【表2】
【0058】まず、第1比較例では、難燃剤としてデカ
ブロモジフェニルエーテルを適用しており、ケーブル6
の各絶縁電線6a,6bの外周に中間層を形成し、ポリ
エステルエラストマと、難燃剤のデカブロモジフェニル
エーテルを混合してなる混合物のシース材を形成し、こ
のシース材に電子線を照射した。ただし、この電子線の
照射については、照射量を250kGyと多くした。こ
れにより、このシース材の架橋度を高くした。
【0059】こうしてシース材の架橋度を高めると、こ
のケーブル6の難燃性が向上する。先と同様に難燃性を
調べて見ると、燃焼時間は1秒で、燃焼に伴うシース材
の溶融落下は全く認められなかった。
【0060】しかしながら、このケーブル6を適用した
車輪速センサ1について、先と同様に、その防水性を評
価したところ、初期の抵抗値が10kΩ以下と極めて低
く、防水性能の点で劣る。この抵抗値から、ハウジング
3の射出成形に際し、ハウジング3とケーブル6の界面
での接着が殆ど進行していないことが判った。
【0061】第2比較例では、表2に示す様に難燃剤と
して、先に述べたオクタブロモジフェニルエーテルを適
用しており、第1実施例と同様に、ケーブル6の各絶縁
電線6a,6bの外周に、中間層を形成し、ポリエステ
ルエラストマと、難燃剤のオクタブロモジフェニルエー
テルを混合してなる混合物のシース材を形成し、このシ
ース材に電子線を照射した。ただし、この電子線の照射
量を250kGyと多くして、このシース材の架橋度を
高くした。
【0062】このケーブル6についても、その難燃性を
調べた結果、燃焼時間は3秒で、燃焼に伴うシース材の
溶融落下は全く認められなかった。
【0063】ところが、このケーブル6を適用した車輪
速センサ1について、その防水性を評価してみると、初
期の抵抗値が10kΩ以下と極めて低く、防水性能の点
で劣り、ハウジング3とケーブル6の界面での接着が殆
ど進行していないことが判った。
【0064】次に、第3比較例では、表3に示す様に主
体のポリエステルエラストマの代りにポリウレタンエラ
ストマを適用するとともに、難燃剤として、デカブロモ
ジフェニルエーテルを適用しており、ケーブル6の各絶
縁電線6a,6bの外周に、中間層を形成し、ポリウレ
タンエラストマと、難燃剤のデカブロモジフェニルエー
テルを混合してなる混合物のシース材を形成し、このシ
ース材に電子線を照射した。
【0065】
【表3】
【0066】このケーブル6について、その難燃性を調
べた結果、燃焼時間は1秒で、燃焼に伴うシース材の溶
融落下は全く認められなかった。
【0067】しかしながら、このケーブル6を適用した
車輪速センサ1について、その防水性を評価したとこ
ろ、初期の抵抗値が10kΩ以下と極めて低く、防水性
能の点で劣り、ハウジング3とケーブル6の界面での接
着が殆ど進行していなかった。
【0068】第4比較例では、表3に示す様にポリエス
テルエラストマの代りにポリウレタン系のものを適用す
るとともに、難燃剤として、エチレンビス(ペンタブロ
モベンゼン)を適用しており、ケーブル6の各絶縁電線
6a、6bの外周に、中間層を形成し、ポリウレタンエ
ラストマと、難燃剤のエチレンビス(ペンタブロモベン
ゼン)を混合してなる混合物のシース材を形成し、この
シース材に電子線を照射した。
【0069】このケーブル6については、燃焼時間が3
秒で、燃焼に伴うシース材の溶融落下は全く認められな
い。
【0070】ところが、このケーブル6を適用した車輪
速センサ1について、その防水性を評価してみると、初
期の抵抗値が10kΩ以下と極めて低く、ハウジング3
とケーブル6の界面での接着が殆ど進行していなかっ
た。
【0071】第1乃至第3実施例と第4実施例の比較、
第1乃至第3実施例と第1及び第2比較例の比較から明
らかなように、熱可塑性ポリエステルエラストマの難燃
剤として、デカブロモジフェニルエーテルや、オクタブ
ロモジフェニルエーテル等のポリブロモジフェニルエー
テルを除く難燃剤を使用することがより好ましい。つま
り、これらの難燃剤を適用し、かつ熱可塑性ポリエステ
ルエラストマを主体とする樹脂組成物の架橋度を高める
と、PBT樹脂を射出成形してなるハウジング3と、そ
の架橋度を高めた樹脂組成物からなるケーブル6の界面
での接着が悪く、所定の防水性能を達成することができ
ない。
【0072】また、第3及び第4比較例のように、熱可
塑性ポリウレタンエラストマを主体とする樹脂組成物を
使用すると、ケーブル6とハウジング3の界面での接着
が悪く、所定の防水性能が得られない。
【0073】
【効果】以上説明したように、この発明においては、ケ
ーブルのシース材として、難燃化した熱可塑性ポリエス
テルエラストマを主体とする樹脂組成物の架橋体を適用
している。この樹脂組成物の架橋体は、ケーブルのシー
ス材として要求される耐摩耗性や耐屈曲性等の諸特性を
備えているばかりでなく、ハウジングの溶融成形に伴
う、ハウジングとケーブル間の密着だけで、十分な気密
性を得ることができる。このため、格別の部品、つまり
Oリングやシール部材を用いずとも、十分な気密性と耐
久性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車輪速センサの一例を示す断面図
【図2】車輪速センサの他の例を示す断面図
【図3】車輪速センサの別の例を示す断面図
【図4】車輪速センサの絶縁抵抗を測定する実験例を示
す図
【符号の説明】
1 車輪速センサ 2 磁性体ロータ 3 ハウジング 4 ヨーク 5 電磁コイル 6 ケーブル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G01D 5/00 G01D 5/00 G01P 3/488 G01P 3/488 (72)発明者 青木 徹治 鹿沼市さつき町3番地の3 住友電気工 業株式会社関東製作所内 (72)発明者 萩尾 温彦 鹿沼市さつき町3番地の3 住友電気工 業株式会社関東製作所内 (72)発明者 松原 宏成 豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株 式会社内 (72)発明者 小林 卓 豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株 式会社内 (72)発明者 加賀屋 達也 豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株 式会社内 (72)発明者 水野 篤 豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株 式会社内 (56)参考文献 特開 平7−3136(JP,A) 特開 平6−107919(JP,A) 特開 平6−65488(JP,A) 特開 平4−298984(JP,A) 特開 昭62−215656(JP,A) 実公 昭40−10518(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01R 9/16

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 本体装置を封止するハウジングと、この
    本体装置に接続され、このハウジングを貫いて導出され
    るケーブルとを備え、ハウジングとケーブルの間を気密
    封止するハウジングとケーブルの接続構造において、ハウジングがポリブチレンテレフタレート樹脂の溶融成
    形によって形成され、 ケーブルのシース材は、難燃化し
    た熱可塑性ポリエステルエラストマを主体とする樹脂組
    成物の架橋体であり、このシース材がハウジングの溶融
    成形によりハウジングと接着しているハウジングとケー
    ブルの接続構造。
  2. 【請求項2】 前記シース材の難燃化は、ポリブロモジ
    フェニルエーテルを除く難燃剤によってなされる請求項
    1に記載のハウジングとケーブルの接続構造。
  3. 【請求項3】 前記難燃剤は、エチレンビス臭素化フタ
    ルイミド、ビス(臭素化フェニル)エタン、ビス(臭素
    化フェニル)テレフタルアミドからなる群より選ばれる
    1種もしくは複数種の混合物である請求項2に記載のハ
    ウジングとケーブルの接続構造。
  4. 【請求項4】 前記熱可塑性ポリエステルエラストマの
    非晶性ソフトセグメントがポリオキシメチレングリコー
    ルである請求項1乃至3のいずれかに記載のハウジング
    とケーブルの接続構造。
  5. 【請求項5】 本体装置を封止するハウジングと、この
    本体装置に接続され、このハウジングを貫いて導出され
    るケーブルとを備え、 ケーブルのシース材は、難燃化した熱可塑性ポリエステ
    ルエラストマを主体とする樹脂組成物の架橋体であっ
    て、ポリブチレンテレフタレート 樹脂の溶融成形によってハ
    ウジングを形成するとともに、その溶融成形時にハウジ
    ングと前記シース材を接着させてハウジングとケーブル
    の間を気密封止するハウジングとケーブルの接続方法。
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