JPH05298936A - 車両用電線 - Google Patents
車両用電線Info
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- JPH05298936A JPH05298936A JP12817792A JP12817792A JPH05298936A JP H05298936 A JPH05298936 A JP H05298936A JP 12817792 A JP12817792 A JP 12817792A JP 12817792 A JP12817792 A JP 12817792A JP H05298936 A JPH05298936 A JP H05298936A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 電車等の車両に用いられる車両用電線におい
て、低比重の熱可塑性エラストマーを用いて厚肉絶縁被
覆を形成し、その外周部に耐熱、難燃性の架橋ポリエチ
レンの薄い層を被覆することにより、難燃性と可撓性を
向上させ、軽量化を図り得るようにする。 【構成】 車両用電線1は、軟銅可撓より線により構成
した導体2の周囲にセパレータ3を被覆し、その周囲に
設ける絶縁体を、厚く被覆する熱可塑性エラストマーの
絶縁内層5と、架橋ポリエチレンで薄く形成した絶縁外
層6とで構成している。そして、前記絶縁内層5を形成
する熱可塑性エラストマーの層を軽量なものとすること
により、車両用電線の単位当たりの重量を小さくし、車
両用電線を大量に使用する電車等の装置での重量を減ら
すことができるようにする。
て、低比重の熱可塑性エラストマーを用いて厚肉絶縁被
覆を形成し、その外周部に耐熱、難燃性の架橋ポリエチ
レンの薄い層を被覆することにより、難燃性と可撓性を
向上させ、軽量化を図り得るようにする。 【構成】 車両用電線1は、軟銅可撓より線により構成
した導体2の周囲にセパレータ3を被覆し、その周囲に
設ける絶縁体を、厚く被覆する熱可塑性エラストマーの
絶縁内層5と、架橋ポリエチレンで薄く形成した絶縁外
層6とで構成している。そして、前記絶縁内層5を形成
する熱可塑性エラストマーの層を軽量なものとすること
により、車両用電線の単位当たりの重量を小さくし、車
両用電線を大量に使用する電車等の装置での重量を減ら
すことができるようにする。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両用電線の改良に関
し、特に、低比重の熱可塑性エラストマーを絶縁材料と
して用い、軽量化してなる車両用電線に関する。
し、特に、低比重の熱可塑性エラストマーを絶縁材料と
して用い、軽量化してなる車両用電線に関する。
【0002】
【従来の技術】電車等のような車両に用いられる車両用
電線は、600V、または、1500V等の高圧電力を
供給する配線経路に使用される。従来の代表的な車両用
のケーブルである“車両用架橋ポリエチレン電線(通称
WL電線)”では、図3に示されるように、スズメッキ
軟銅可撓より線により形成される導体2の周囲にセパレ
ータ3を被覆し、その周囲に、所定の厚さの絶縁体4を
被覆して、車両用電線1bを構成している。また、前記
絶縁体4としては、架橋ポリエチレン等を用いているも
ので、前記車両用電線1bを製造する際には、導体2の
周囲に、紙またはプラスチックテープを巻いてセパレー
タ3を形成した後で、その外周部にポリエチレン樹脂を
所定の厚さに押出被覆する。その後で、該車両用電線に
対して高圧蒸気等を用いて加硫(架橋)を行い、架橋ポ
リエチレンによる絶縁体を形成するようにしている。
電線は、600V、または、1500V等の高圧電力を
供給する配線経路に使用される。従来の代表的な車両用
のケーブルである“車両用架橋ポリエチレン電線(通称
WL電線)”では、図3に示されるように、スズメッキ
軟銅可撓より線により形成される導体2の周囲にセパレ
ータ3を被覆し、その周囲に、所定の厚さの絶縁体4を
被覆して、車両用電線1bを構成している。また、前記
絶縁体4としては、架橋ポリエチレン等を用いているも
ので、前記車両用電線1bを製造する際には、導体2の
周囲に、紙またはプラスチックテープを巻いてセパレー
タ3を形成した後で、その外周部にポリエチレン樹脂を
所定の厚さに押出被覆する。その後で、該車両用電線に
対して高圧蒸気等を用いて加硫(架橋)を行い、架橋ポ
リエチレンによる絶縁体を形成するようにしている。
【0003】前述したように、スズメッキ軟銅可撓より
線により形成される導体2の周囲に、セパレータ3を設
ける理由は、高圧蒸気等を用いての加硫(架橋)工程に
おいて、加硫(架橋)時の高温、水分等によって、導体
表面が変色または変質したり、絶縁体が未加硫または半
加硫状態で、高温、高圧下に晒されるため、可撓より線
導体内の隙間に流れ込んだりすることを防止するためで
ある。さらに、絶縁体に対して加硫(架橋)処理を施す
時に、絶縁体が導体表面に融着して絶縁体の剥離性が悪
くなり、接続端部の口出作業が困難になることや、接続
部での接触抵抗が大きくなることにより、端子部分での
発熱等の問題が発生することを防止するためにも、前記
セパレータが使用されている。したがって、特に、より
線の隙間が大きくなりやすい可撓より線導体表面に、絶
縁体を被覆した電線に対して、高温、高圧蒸気により加
硫(架橋)処理を施す場合には、絶縁体と導体との間に
は、セパレータを設けることが必要とされる。
線により形成される導体2の周囲に、セパレータ3を設
ける理由は、高圧蒸気等を用いての加硫(架橋)工程に
おいて、加硫(架橋)時の高温、水分等によって、導体
表面が変色または変質したり、絶縁体が未加硫または半
加硫状態で、高温、高圧下に晒されるため、可撓より線
導体内の隙間に流れ込んだりすることを防止するためで
ある。さらに、絶縁体に対して加硫(架橋)処理を施す
時に、絶縁体が導体表面に融着して絶縁体の剥離性が悪
くなり、接続端部の口出作業が困難になることや、接続
部での接触抵抗が大きくなることにより、端子部分での
発熱等の問題が発生することを防止するためにも、前記
セパレータが使用されている。したがって、特に、より
線の隙間が大きくなりやすい可撓より線導体表面に、絶
縁体を被覆した電線に対して、高温、高圧蒸気により加
硫(架橋)処理を施す場合には、絶縁体と導体との間に
は、セパレータを設けることが必要とされる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】当該車両用電線(例え
ば、WL電線)は、図3に示すごとく、電線の重量は、
そのほとんどが導体と絶縁体で占められ、多心ケーブル
のように、介在物、シース(外被)等がない構造となっ
ている。したがって、このような単純な構造の絶縁電線
の軽量化を図るときには、自動車用電線に例が見られる
ように、導体のコンパクト化(圧縮より線として構成す
る)、絶縁体の耐熱グレードアップ(許容電流アップ)
による導体のサイズダウン、さらに、絶縁体の機械的強
度(例えば、カットスルー抵抗)を高めて、薄肉絶縁と
する等の手法がとられて来ている。しかしながら、電車
等の車体配線に用いられる車両用電線は、自動車用電線
に比べて、相対的に使用する電線の導体サイズが大き
く、また、長尺であるために、取扱い性が良いこと、特
に可撓性のあることが重要な機能である。
ば、WL電線)は、図3に示すごとく、電線の重量は、
そのほとんどが導体と絶縁体で占められ、多心ケーブル
のように、介在物、シース(外被)等がない構造となっ
ている。したがって、このような単純な構造の絶縁電線
の軽量化を図るときには、自動車用電線に例が見られる
ように、導体のコンパクト化(圧縮より線として構成す
る)、絶縁体の耐熱グレードアップ(許容電流アップ)
による導体のサイズダウン、さらに、絶縁体の機械的強
度(例えば、カットスルー抵抗)を高めて、薄肉絶縁と
する等の手法がとられて来ている。しかしながら、電車
等の車体配線に用いられる車両用電線は、自動車用電線
に比べて、相対的に使用する電線の導体サイズが大き
く、また、長尺であるために、取扱い性が良いこと、特
に可撓性のあることが重要な機能である。
【0005】そこで、前述したような自動車用の電線に
とられている手法を、車両用電線に適用した場合、電線
が集約されたトレイ部分や、端子部での温度上昇が問題
となる。また、導体のコンパクト化と、絶縁材料の機械
的強度を向上させること、および、耐熱グレードを向上
させることの多くの条件を兼ね備えた材料は、必然的に
硬い材料となるために、車両用電線に求められる重要な
機能である可撓性が損なわれることとなる。
とられている手法を、車両用電線に適用した場合、電線
が集約されたトレイ部分や、端子部での温度上昇が問題
となる。また、導体のコンパクト化と、絶縁材料の機械
的強度を向上させること、および、耐熱グレードを向上
させることの多くの条件を兼ね備えた材料は、必然的に
硬い材料となるために、車両用電線に求められる重要な
機能である可撓性が損なわれることとなる。
【0006】そこで、導体は現状(軟銅可撓より線)の
ままとして構成し、軽量化を図るためには、絶縁体のみ
で軽量化を図ることが考えられるが、可撓性を始めとし
て、耐熱性や、難燃性等のその他の機能を、現在用いら
れているWL電線よりも低下させないようにしたまま
で、軽量化を図るためには、多くの解決すべき問題が残
っている。
ままとして構成し、軽量化を図るためには、絶縁体のみ
で軽量化を図ることが考えられるが、可撓性を始めとし
て、耐熱性や、難燃性等のその他の機能を、現在用いら
れているWL電線よりも低下させないようにしたまま
で、軽量化を図るためには、多くの解決すべき問題が残
っている。
【0007】
【発明の目的】本発明は、前述したような車両用電線の
軽量化に当たっての問題点を解消するもので、絶縁体を
2層の絶縁部材で形成し、絶縁内層を比重の小さな熱可
塑性エラストマーにより形成し、その外周に耐熱性、難
燃性ならびに機械的強度の大きな架橋ポリエチレンを用
いて、薄い絶縁層を形成することにより、高圧電流に対
して十分な絶縁特性を発揮させるとともに、軽量化でき
るようにする車両用電線を提供することを目的としてい
る。
軽量化に当たっての問題点を解消するもので、絶縁体を
2層の絶縁部材で形成し、絶縁内層を比重の小さな熱可
塑性エラストマーにより形成し、その外周に耐熱性、難
燃性ならびに機械的強度の大きな架橋ポリエチレンを用
いて、薄い絶縁層を形成することにより、高圧電流に対
して十分な絶縁特性を発揮させるとともに、軽量化でき
るようにする車両用電線を提供することを目的としてい
る。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用】本発明の車両
用電線は、軟銅可撓より線またはスズメッキ軟銅可撓よ
り線により構成した導体上に、低比重の熱可塑性エラス
トマーより形成される厚肉絶縁内層と、耐熱、難燃性を
有した架橋ポリエチレン等の樹脂材料より形成される薄
肉絶縁外層とよりなる内外2層の絶縁被覆体を被覆して
構成している。また、本発明の車両用電線は、前記導体
と絶縁被覆体との間に、セパレータを配置することも可
能である。
用電線は、軟銅可撓より線またはスズメッキ軟銅可撓よ
り線により構成した導体上に、低比重の熱可塑性エラス
トマーより形成される厚肉絶縁内層と、耐熱、難燃性を
有した架橋ポリエチレン等の樹脂材料より形成される薄
肉絶縁外層とよりなる内外2層の絶縁被覆体を被覆して
構成している。また、本発明の車両用電線は、前記導体
と絶縁被覆体との間に、セパレータを配置することも可
能である。
【0009】前述したように、導体の周囲に厚く被覆す
る絶縁内層として、比重の小さな材料を用いることによ
り、ケーブルの単位長さ当たりの重量を低減することが
可能になり、大量に車両用電線を使用する電車等の軽量
化に寄与させることができる。また、絶縁内層として熱
可塑性エラストマーを用いる場合には、その外周部に架
橋ポリエチレンによる絶縁外層を形成することによっ
て、従来の架橋ポリエチレンのみによる絶縁体を設けた
ケーブルと同様に、絶縁体の強度と、耐熱性を確保する
ことができる。さらに、絶縁内層に熱可塑性エラストマ
ーを用いれば、加硫(架橋)工程を必要としないため、
導体の変色、変質や、可撓より線内への絶縁体の流れ込
みがないため、セパレータを省略することができる。ま
た、導体としてもスズメッキ軟銅可撓より線を使用せず
に、軟銅可撓より線を用いることが可能であるから、車
両用電線の製造工程を省略化することができるととも
に、車両用電線の製造コストを低下させることが可能に
なる。
る絶縁内層として、比重の小さな材料を用いることによ
り、ケーブルの単位長さ当たりの重量を低減することが
可能になり、大量に車両用電線を使用する電車等の軽量
化に寄与させることができる。また、絶縁内層として熱
可塑性エラストマーを用いる場合には、その外周部に架
橋ポリエチレンによる絶縁外層を形成することによっ
て、従来の架橋ポリエチレンのみによる絶縁体を設けた
ケーブルと同様に、絶縁体の強度と、耐熱性を確保する
ことができる。さらに、絶縁内層に熱可塑性エラストマ
ーを用いれば、加硫(架橋)工程を必要としないため、
導体の変色、変質や、可撓より線内への絶縁体の流れ込
みがないため、セパレータを省略することができる。ま
た、導体としてもスズメッキ軟銅可撓より線を使用せず
に、軟銅可撓より線を用いることが可能であるから、車
両用電線の製造工程を省略化することができるととも
に、車両用電線の製造コストを低下させることが可能に
なる。
【0010】
【実施例】図示される例にしたがって、本発明の車両用
電線を説明する。図1に示される例は、導体2の周囲に
2層の絶縁体を被覆して車両用電線1を構成し、電車等
の車両の給電系統に使用可能なケーブルを構成してい
る。前記図1に示される車両用電線1は、スズメッキ軟
銅可撓より線または軟銅可撓より線により形成された導
体2の周囲に、紙またはプラスチックテープを巻き付け
てセパレータ3を形成し、その外周に2層の絶縁体を被
覆している。前記2層の絶縁体は、熱可塑性エラストマ
ーにより形成される絶縁内層5と、架橋ポリエチレンに
より形成される絶縁外層6とからなるもので、絶縁内層
5の層を厚く形成し、その表面を覆う絶縁外層6は、薄
いスキン層として形成される。
電線を説明する。図1に示される例は、導体2の周囲に
2層の絶縁体を被覆して車両用電線1を構成し、電車等
の車両の給電系統に使用可能なケーブルを構成してい
る。前記図1に示される車両用電線1は、スズメッキ軟
銅可撓より線または軟銅可撓より線により形成された導
体2の周囲に、紙またはプラスチックテープを巻き付け
てセパレータ3を形成し、その外周に2層の絶縁体を被
覆している。前記2層の絶縁体は、熱可塑性エラストマ
ーにより形成される絶縁内層5と、架橋ポリエチレンに
より形成される絶縁外層6とからなるもので、絶縁内層
5の層を厚く形成し、その表面を覆う絶縁外層6は、薄
いスキン層として形成される。
【0011】本発明の車両用電線において、絶縁内層5
として用いられる熱可塑性エラストマーには、例えば、
日本モンサント株式会社の「サントプレーン」(商品
名)ブレード101−73、または、住友化学工業株式
会社のオレフィン系エラストマー住友TPE3782
(商品名)等を使用することができる。前記熱可塑性エ
ラストマーは、オレフィン系熱可塑性エラストマーで、
一般の熱可塑性樹脂の成型を行う装置、例えば、押出被
覆装置を用いて、導体に対する被覆層を形成することが
できる。また、前記熱可塑性エラストマーは加硫ゴムに
似た弾性と、クロロプレンゴムと同等の耐薬品性を有
し、EPゴムと同等な耐候性と、耐熱老化性とを有する
材料である。
として用いられる熱可塑性エラストマーには、例えば、
日本モンサント株式会社の「サントプレーン」(商品
名)ブレード101−73、または、住友化学工業株式
会社のオレフィン系エラストマー住友TPE3782
(商品名)等を使用することができる。前記熱可塑性エ
ラストマーは、オレフィン系熱可塑性エラストマーで、
一般の熱可塑性樹脂の成型を行う装置、例えば、押出被
覆装置を用いて、導体に対する被覆層を形成することが
できる。また、前記熱可塑性エラストマーは加硫ゴムに
似た弾性と、クロロプレンゴムと同等の耐薬品性を有
し、EPゴムと同等な耐候性と、耐熱老化性とを有する
材料である。
【0012】さらに、前記熱可塑性エラストマーは、比
重が0.88〜0.98であるために、車両電線用架橋
ポリエチレンの比重1.25に比較して軽いものであ
り、架橋ポリエチレンの可撓性を100とした場合に、
120〜150の比率の可撓性を有している。また、機
械的な強度と、難燃性の点では、架橋ポリエチレンに比
較して80%程度の値を示している。前述したような値
を有する熱可塑性エラストマーを用いて、車両用電線を
成型する場合には、ペレット状の熱可塑性エラストマー
を押出被覆装置に供給して、導体2の周囲に所定の厚さ
の絶縁内層5を形成させるようにする。
重が0.88〜0.98であるために、車両電線用架橋
ポリエチレンの比重1.25に比較して軽いものであ
り、架橋ポリエチレンの可撓性を100とした場合に、
120〜150の比率の可撓性を有している。また、機
械的な強度と、難燃性の点では、架橋ポリエチレンに比
較して80%程度の値を示している。前述したような値
を有する熱可塑性エラストマーを用いて、車両用電線を
成型する場合には、ペレット状の熱可塑性エラストマー
を押出被覆装置に供給して、導体2の周囲に所定の厚さ
の絶縁内層5を形成させるようにする。
【0013】さらに、前述したようにして形成した絶縁
内層5の表面に対して、ポリエチレンを主体とした樹脂
を用いて難燃化した組成物を押出しにより被覆し、絶縁
外層6を形成する。そして、前記2層の絶縁層を形成し
た車両用電線を、従来の架橋ポリエチレン被覆車両用電
線の場合と同様にして、蒸気加硫手段を用いて処理し、
架橋ポリエチレンとして形成する。したがって、本発明
の車両用電線1では、熱可塑性エラストマーにより形成
された絶縁内層5が、鉄道車両用電線の耐熱規格試験
(180℃×6日)を行った場合に、自重変形する傾向
があっても、絶縁外層6が完全に架橋された被覆物にな
るので、規格試験の温度180℃でも熱フローが発生す
ることを防止でき、一般に使用される耐熱温度120℃
以下では、十分な強度と、可撓性、および、絶縁特性を
発揮させることができる。
内層5の表面に対して、ポリエチレンを主体とした樹脂
を用いて難燃化した組成物を押出しにより被覆し、絶縁
外層6を形成する。そして、前記2層の絶縁層を形成し
た車両用電線を、従来の架橋ポリエチレン被覆車両用電
線の場合と同様にして、蒸気加硫手段を用いて処理し、
架橋ポリエチレンとして形成する。したがって、本発明
の車両用電線1では、熱可塑性エラストマーにより形成
された絶縁内層5が、鉄道車両用電線の耐熱規格試験
(180℃×6日)を行った場合に、自重変形する傾向
があっても、絶縁外層6が完全に架橋された被覆物にな
るので、規格試験の温度180℃でも熱フローが発生す
ることを防止でき、一般に使用される耐熱温度120℃
以下では、十分な強度と、可撓性、および、絶縁特性を
発揮させることができる。
【0014】また、前記絶縁内層5は、その周囲を架橋
ポリエチレンにより被覆しているのであるから、該架橋
ポリエチレンの特性としての耐熱性と難燃性とを発揮す
ることができ、180℃での耐久試験にも十分に対応す
ることが可能である。なお、絶縁内層5となる「サント
プレーン」は、ノンハロ(ただし易燃性)で難燃性では
ないが、その表面に被覆される絶縁外層6の難燃性によ
り、全体として車両用電線に対するの難燃性の条件をク
リヤーすることができる。前記絶縁外層6の厚さは、通
常0.2〜1.0mmに設定される。そして、例えば、絶
縁外層6を0.2mmとした場合には、絶縁内層5の厚さ
は、それよりも厚肉に形成される。
ポリエチレンにより被覆しているのであるから、該架橋
ポリエチレンの特性としての耐熱性と難燃性とを発揮す
ることができ、180℃での耐久試験にも十分に対応す
ることが可能である。なお、絶縁内層5となる「サント
プレーン」は、ノンハロ(ただし易燃性)で難燃性では
ないが、その表面に被覆される絶縁外層6の難燃性によ
り、全体として車両用電線に対するの難燃性の条件をク
リヤーすることができる。前記絶縁外層6の厚さは、通
常0.2〜1.0mmに設定される。そして、例えば、絶
縁外層6を0.2mmとした場合には、絶縁内層5の厚さ
は、それよりも厚肉に形成される。
【0015】なお、本発明の車両用電線においては、前
記絶縁外層6として、架橋ポリエチレンのみでなく、そ
の他の融点の高いエンジニアリングプラスチック、例え
ば、ポリフェニレンオキサイド(自消性)、自消性とし
たメチル1−ペンテン(TPX)、ポリブテン、ウレタ
ン等の樹脂材料、または、VLDPE、EEA、EV
A、EMA等のポリオレフィンを主体としたノンハロコ
ンパウンド、あるいはこれ等のポリマーに塩素化ポリエ
チレン等のポリマーを混入して、難燃化したものを用い
ることが可能である。そして、前述したように、難燃性
と、耐熱性に多少の難点がある熱可塑性エラストマーを
絶縁内層として使用した場合でも、その外周部に被覆す
る絶縁外層6を、耐熱性と難燃性に優れた材料で構成す
ることにより、車両用電線を構成することが可能にな
る。
記絶縁外層6として、架橋ポリエチレンのみでなく、そ
の他の融点の高いエンジニアリングプラスチック、例え
ば、ポリフェニレンオキサイド(自消性)、自消性とし
たメチル1−ペンテン(TPX)、ポリブテン、ウレタ
ン等の樹脂材料、または、VLDPE、EEA、EV
A、EMA等のポリオレフィンを主体としたノンハロコ
ンパウンド、あるいはこれ等のポリマーに塩素化ポリエ
チレン等のポリマーを混入して、難燃化したものを用い
ることが可能である。そして、前述したように、難燃性
と、耐熱性に多少の難点がある熱可塑性エラストマーを
絶縁内層として使用した場合でも、その外周部に被覆す
る絶縁外層6を、耐熱性と難燃性に優れた材料で構成す
ることにより、車両用電線を構成することが可能にな
る。
【0016】(本発明の他の実施例)前記図1に示され
るように、車両用電線1を構成することの他に、本発明
においては、図2に示されるように、導体2の表面に直
接熱可塑性エラストマーによる絶縁内層5を被覆し、そ
の外周に絶縁外層6を被覆して車両用電線1aを構成す
ることもできる。例えば、従来の車両用電線では、導体
としてスズメッキ銅線を用い、その周囲にセパレータを
配置した後で、架橋ポリエチレンによる被覆を形成する
ことにより、蒸気加硫等を行った際に、より線導体の隙
間に絶縁体が流れ込んだり、水分が導体の表面に悪影響
を与えることがないようにされていた。しかし、本発明
の絶縁内層5として被覆される熱可塑性エラストマー
は、蒸気加硫処理等を行わなくとも、絶縁体としての作
用を良好に発揮することができるものである。また、熱
可塑性エラストマーは、スズメッキ等の表面処理を施さ
ない銅線に対しても、悪影響を与えることがないもので
ある。
るように、車両用電線1を構成することの他に、本発明
においては、図2に示されるように、導体2の表面に直
接熱可塑性エラストマーによる絶縁内層5を被覆し、そ
の外周に絶縁外層6を被覆して車両用電線1aを構成す
ることもできる。例えば、従来の車両用電線では、導体
としてスズメッキ銅線を用い、その周囲にセパレータを
配置した後で、架橋ポリエチレンによる被覆を形成する
ことにより、蒸気加硫等を行った際に、より線導体の隙
間に絶縁体が流れ込んだり、水分が導体の表面に悪影響
を与えることがないようにされていた。しかし、本発明
の絶縁内層5として被覆される熱可塑性エラストマー
は、蒸気加硫処理等を行わなくとも、絶縁体としての作
用を良好に発揮することができるものである。また、熱
可塑性エラストマーは、スズメッキ等の表面処理を施さ
ない銅線に対しても、悪影響を与えることがないもので
ある。
【0017】そこで、本発明の車両用電線1aでは、導
体として表面処理を施さない軟銅より線を用い、その軟
銅より線の表面に直接絶縁内層5の被覆を形成すること
ができる。そして、前記熱可塑性エラストマーにより形
成される絶縁内層5に対して、その表面に薄い架橋ポリ
エチレンによる絶縁外層6を被覆することにより、車両
用電線を構成することができる。なお、前記図2に示さ
れる車両用電線1aにおいて、2層の絶縁体を被覆する
際に使用する材料と、被覆に際しての作業は、前記図1
に示された例と同様にして行うことが可能である。
体として表面処理を施さない軟銅より線を用い、その軟
銅より線の表面に直接絶縁内層5の被覆を形成すること
ができる。そして、前記熱可塑性エラストマーにより形
成される絶縁内層5に対して、その表面に薄い架橋ポリ
エチレンによる絶縁外層6を被覆することにより、車両
用電線を構成することができる。なお、前記図2に示さ
れる車両用電線1aにおいて、2層の絶縁体を被覆する
際に使用する材料と、被覆に際しての作業は、前記図1
に示された例と同様にして行うことが可能である。
【0018】したがって、前述したようにして、車両用
電線1aを構成する場合には、導体の銅線に対してメッ
キ処理を施す必要がなく、軟銅より線を用いることがで
きるために、導体の製造コストを低減することが可能に
なる。さらに、導体の表面にセパレータを設ける必要が
ないために、車両用電線の製造工程を簡略化することが
可能になる。これに加えて、導体の絶縁体として、熱可
塑性エラストマーによる絶縁内層5と、架橋ポリエチレ
ンによる絶縁外層6との2層の絶縁被覆を設けるため
に、車両用電線の軽量化を図ることができるとともに、
可撓性を持たせることができる。
電線1aを構成する場合には、導体の銅線に対してメッ
キ処理を施す必要がなく、軟銅より線を用いることがで
きるために、導体の製造コストを低減することが可能に
なる。さらに、導体の表面にセパレータを設ける必要が
ないために、車両用電線の製造工程を簡略化することが
可能になる。これに加えて、導体の絶縁体として、熱可
塑性エラストマーによる絶縁内層5と、架橋ポリエチレ
ンによる絶縁外層6との2層の絶縁被覆を設けるため
に、車両用電線の軽量化を図ることができるとともに、
可撓性を持たせることができる。
【0019】
【発明の効果】本発明の車両用電線は、前述したように
構成したものであるから、導体の周囲に厚く被覆する絶
縁内層を、比重の小さな材料を用いることにより、車両
用電線の単位長さ当たりの重量を低減することが可能に
なり、大量に車両用電線を使用する電車等の軽量化に寄
与させることができる。また、絶縁内層として熱可塑性
エラストマーを用いる場合には、その外周部に架橋ポリ
エチレンによる絶縁外層を形成することによって、従来
の架橋ポリエチレンのみによる絶縁体を設けた車両用電
線と同様に、絶縁体の強度と、耐熱性を確保することが
できる。さらに、セパレータを省略した場合には、車両
用電線の製造工程を省略化することができ、導体として
もスズメッキ銅線を使用せずに、表面被覆しない軟銅よ
り線を用いることが可能であるから、車両用電線の製造
コストを低下させることが可能になる。
構成したものであるから、導体の周囲に厚く被覆する絶
縁内層を、比重の小さな材料を用いることにより、車両
用電線の単位長さ当たりの重量を低減することが可能に
なり、大量に車両用電線を使用する電車等の軽量化に寄
与させることができる。また、絶縁内層として熱可塑性
エラストマーを用いる場合には、その外周部に架橋ポリ
エチレンによる絶縁外層を形成することによって、従来
の架橋ポリエチレンのみによる絶縁体を設けた車両用電
線と同様に、絶縁体の強度と、耐熱性を確保することが
できる。さらに、セパレータを省略した場合には、車両
用電線の製造工程を省略化することができ、導体として
もスズメッキ銅線を使用せずに、表面被覆しない軟銅よ
り線を用いることが可能であるから、車両用電線の製造
コストを低下させることが可能になる。
【図1】 本発明の車両用電線の断面図である。
【図2】 本発明の車両用電線の別の実施例の断面図で
ある。
ある。
【図3】 従来の車両用電線の断面図である。
1 車両用電線、 2 導体、 3 セパレー
タ、 4 絶縁体、5 絶縁内層、 6 絶縁外
層。
タ、 4 絶縁体、5 絶縁内層、 6 絶縁外
層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石井 友一 東京都千代田区丸の内3−4−1 三菱電 線工業株式会社東京事務所内
Claims (2)
- 【請求項1】 軟銅可撓より線またはスズメッキ軟銅可
撓より線により構成した導体上に、低比重の熱可塑性エ
ラストマーより形成される厚肉絶縁内層と、耐熱、難燃
性を有した架橋ポリエチレン等の樹脂材料より形成され
る薄肉絶縁外層とよりなる内外2層の絶縁被覆体を被覆
したことを特徴とする車両用電線。 - 【請求項2】 前記導体と絶縁被覆体との間に、セパレ
ータを施してなることを特徴とする請求項1に記載の車
両用電線。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12817792A JPH05298936A (ja) | 1992-04-21 | 1992-04-21 | 車両用電線 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12817792A JPH05298936A (ja) | 1992-04-21 | 1992-04-21 | 車両用電線 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05298936A true JPH05298936A (ja) | 1993-11-12 |
Family
ID=14978325
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12817792A Pending JPH05298936A (ja) | 1992-04-21 | 1992-04-21 | 車両用電線 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05298936A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102915796A (zh) * | 2011-08-04 | 2013-02-06 | 江苏中辰电缆有限公司 | 单芯防腐特柔软电缆 |
US20150072150A1 (en) * | 2012-04-02 | 2015-03-12 | Dsm Ip Assets B.V. | Polymer composition containing a thermoplastic elastomer, comprising hard segments of a polyester and/or a polyurethane and soft segments of an aliphatic polycarbonate |
CN110189856A (zh) * | 2019-07-02 | 2019-08-30 | 东方交联电力电缆有限公司 | 交流额定电压 3 kV 及以下轨道交通车辆用电缆 |
-
1992
- 1992-04-21 JP JP12817792A patent/JPH05298936A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102915796A (zh) * | 2011-08-04 | 2013-02-06 | 江苏中辰电缆有限公司 | 单芯防腐特柔软电缆 |
US20150072150A1 (en) * | 2012-04-02 | 2015-03-12 | Dsm Ip Assets B.V. | Polymer composition containing a thermoplastic elastomer, comprising hard segments of a polyester and/or a polyurethane and soft segments of an aliphatic polycarbonate |
CN110189856A (zh) * | 2019-07-02 | 2019-08-30 | 东方交联电力电缆有限公司 | 交流额定电压 3 kV 及以下轨道交通车辆用电缆 |
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