•ール組成物及びそれを含む
ポリオレフイン樹脂組成物 技術分野
本発明は、 新規有用なジベンジリデンソルビトール組成物 (以下 「D B S組成 物」 と略記する。 ) 及び当該 D B S組成物を含有する透明性に優れ、 且つ成形加 ェ時並びに最終成型品の臭気がマスキングされたポリオレフイン樹脂組成物に関 する。 背景技術
-―ル類 (以下 「D B S類」 と略記する。 ) は、 ポリオ レフイン樹脂、 特にエチレン、 プロピレン等のホモポリマー又はそれらを主成分 とするコポリマーの核剤として有用な化合物である。 特に透明性を向上させる効 果に優れ、 透明性が要求される各種容器等の成形分野の樹脂添加剤として広く用 いられている。
しかし、 D B S類は、 加熱して成形加工する際に一部分解して D B S類を構成 するベンズアルデヒド類が遊離し、 加工時に不快な臭気が発生するだけでなく、 最終成形品中にもアルデヒド臭が残存し、 臭気が問題となる化粧品や食品容器等 の分野において好まれない場合がある。
これまでにも上記問題を解決するために、 D B S類の熱安定性を向上させ、 成 形加工時に遊離するべンズアルデヒド類の量を低減させる種々の試みがなされて きた。 例えば、 ヒドロキシルァミン或いはフエニルヒドラジン類による処理 (特 開昭 6 0— 3 2 7 9 1号、 特開昭 6 0— 4 2 3 8 5号) 、 非芳香族有機ァミンの 添加 (特開昭 6 2— 4 2 8 9号) 、 脂肪族金属塩及び乳酸金属塩等による表面処 理 (特開昭 6 2— 5 0 3 5 5号) 、 脂肪族ァミンの配合 (特開平 2— 1 9 6 8 4 1号) 、 ソルビン酸及び Z又はソルビン酸カリウムの添加 (特開平 5— 2 0 2 0 5 5号) 等の方法が挙げられるが、 いずれの方法も臭気改善効果が不十分であつ
た。 そのため用途が限定される等の欠点を有し、 未だ上記問題点の解決には至つ ていないのが現状である。 発明の開示
本発明は、 最終成型品の十分な透明性を保持しつつ、 臭気の改善されたポリオ レフィン樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、 上記課題を達成すべく鋭意検討を行った結果、 D B S類に対し、 香料を添加することにより成形加工時に遊離するべンズアルデヒド類の不快な臭 気がマスキングされ、 所期の効果が得られることを見出し、 かかる知見に基づい て本発明を完成するに至った。
即ち、 本発明に係るジベンジリデンソルビトール組成物は、 一般式 (1 )
[式中、 R 1及び R2は同一又は異なって、 それぞれ水素原子、 炭素数 1〜5のァ ルキル基、 炭素数 1〜 5のアルコキシ基又は塩素原子を表す。 ]
で表される D B S類 1種若しくは 2種以上及び香料を含有し、 要すれば更に香料 の保留剤を含有することを特徵とする。
更に、 本発明に係るポリオレフイン樹脂組成物は、 ポリオレフイン樹脂 1 0 0 重量部に対して、 上記ジベンジリデンソルビトール組成物を 0 . 0 5〜3重量部 配合してなることを特徴とする。
より詳しくは、 本発明は、 次のジベンジリデンソルビトール組成物、 該ジベン ジリデンソルビトールを含有する樹脂組成物及び成形体を提供するものである。
1 . 一般式
[式中、 R 1及び R 2は同一又は異なって、 それぞれ水素原子、 炭素数 1〜 5のァ ルキル基、 炭素数 1〜 5のアルコキシ基又は塩素原子を表す。 ]
で表されるジベンジリデンソルビトール類の少なくとも 1種及び香料の少なくと も 1種を含有するジベンジリデンソルビト一ル組成物。
2 ジベンジリデンソルビトール類が、 1 , 3 : 2 , 4—ジ (p—メチルベン ジリデン) ソルビ! ル又は 1, 3 : 2 , 4—ジ ( p _ェチルベンジリデン) ソ ルビトールである上記項 1に記載のジべンジリデンソルビ卜一ル組成物。
3 香料が、 1気圧での沸点が 1 5 0 °C以上の香料である上記項 1又は 2に記 載のジベンジリデンソルビト一ル組成物。
4 香料が、 フエニルプロピルアルコール、 ァニソール、 ァネトール、 ジヒド ロアネト一ル、 シス一 4一ヘプテナール、 ァニスアルデヒド、 バニリン、 ェチル バニリン、 メチルバ二リン、 メチルイオノン、 ーィオノン、 i3—ィオノン、 マ ルトール、 ェチルマルト一ル、 4 , 5—ジメチルー 3—ヒドロキシー 5 H—フラ ンー 2—オン、 酢酸フエニルェチル、 酢酸シンナミル、 酪酸イソアミル、 ピルビ ン酸ェチル、 ピルビン酸イソァミル、 安息香酸ゲラニル、 ァセト酢酸エヂル、 レ ブリン酸ェチル、 フエニル酢酸メチル、 フエニル酢酸ェチル、 フエニル酢酸イソ ァミル、 フエニル酢酸イソプチル、 フエニル酢酸ベンジル、 桂皮酸メチル、 桂皮 酸ェチル、 サリシル酸ァミル、 サリシル酸イソァミル、 フエニルプロピオン酸、
アーノナラクトン、 δ—デカラクトン、 ラブダナム油、 バルサム油、 ァニス油及 びバニラ油からなる群より選ばれる少なくとも 1種の香料である上記項 1又は 2 に記載のジべンジリデンソルビト一ル組成物。 5 香料が、 バニリン、 メチルバ二リン、 ェチルバ二リン、 アーノナラクトン 又はバニラ油である上記項 1又は 2に記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
6 ジベンジリデンソルビトール類に対して、 香料を 1〜5 0 0 p p m含有す る上記項 1〜 5のいずれかに記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
7 香料の揮発を抑制する保留剤を更に含有する上記項 1〜 6のいずれかに記 載のジベンジリデンソルビトール組成物。
8 保留剤が、 流動パラフィン、 合成パラフィン、 ミネラルオイル、 カスト一 ルオイル、 ペトロラタム、 1 ^一ル油、 水添ひまし油、 ジメチルシリコーンオイル、 メチルフエニルシリコーンオイル、 石油系ワックス、 ポリエチレンワックス、 フ タル酸ジエステル、 アジピン酸ジエステル、 ァゼライン酸ジエステル、 又はセバ シン酸ジエステルである上記項 7記載のジベンジリデンソルビトール組成物。 9 保留剤が、 ジメチルシリコーンオイル又はメチルフエニルシリコーンオイ ルである上記項 7記載のジベンジリデンソルビト一ル組成物。
1 0 アル力リ金属の水酸化物、 アル力リ土類金属の水酸化物、 アル力リ土類 金属の酸化物、 長鎖脂肪酸アルカリ金属塩、 長鎖脂肪酸アルカリ土類金属塩、 長 鎖脂肪酸アミド及びアミンからなる群から選ばれた少なくとも 1種の塩基性物質 (特に、 アルカリ金属の水酸化物、 アルカリ土類金属の水酸化物、 長鎖脂肪酸ァ ルカリ金属塩、 長鎖脂肪酸アル力リ土類金属塩及びアミンからなる群から選ばれ た少なくとも 1種の塩基性物質) を更に含有する上記項 7〜 9のいずれか記載の
-ール組成物。
11 (i)ポリオレフイン樹脂、
(ii)一般式 (1)
[式中、 R
1及び R
2は同一又は異なって、 それぞれ水素原子、 炭素数 1〜5のァ ルキル基、 炭素数 1〜 5のアルコキシ基又は塩素原子を表す。 ]
で表されるジベンジリデンソルビトール類の少なくとも 1種及び
(iii)香料の少なくとも 1種
を含有するポリオレフィン樹脂組成物。
12 (I)上記(i)のポリオレフイン樹脂及び
(II)上記(ii)のジベンジリデンソルビトール類の少なくとも 1種及び上記(iii)の 香料の少なくとも 1種を含有するジベンジリデンソルビトール組成物
を含有し、 該ポリオレフイン樹脂 100重量部に対して、 ジベンジリデンソルビ トール組成物が 0. 05〜 3重量部使用されている上記項 11に記載のポリオレ フィン樹脂組成物。
13 ジベンジリデンソルビトール類が、 1, 3 : 2, 4—ジ (p—メチルベ ンジリデン) ソルビトール又は 1, 3 : 2, 4ージ (p—ェチルベンジリデン) ソルビトールである上記項 11に記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
14 香料が、 1気圧での沸点が 150 °C以上の香料である上記項 1 1〜 13 のいずれかに記載のジべンジリデンソルビト一ル組成物。
1 5 香料が、 フエニルプロピルアルコール、 ァニソ一ル、 ァネ! ^一ル、 ジヒ ドロアネ! ^一ル、 シス一 4—ヘプテナール、 ァニスアルデヒド、 バニリン、 ェチ ルバニリン、 メチルバ二リン、 メチルイオノン、 α—ィオノン、 /3—ィオノン、 マルトール、 ェチルマルト一ル、 4, 5—ジメチル— 3—ヒドロキシ一 5 Η—フ ラン—2—オン、 酢酸フエニルェチル、 酢酸シンナミル、 酪酸イソァミル、 ピル ビン酸ェチル、 ピルビン酸イソアミル、 安息香酸ゲラニル、 ァセト酢酸ェチル、 レブリン酸ェチル、 フエニル酢酸メチル、 フエニル酢酸ェチル、 フエニル酢酸ィ ソァミル、 フエニル酢酸イソプチル、 フエニル酢酸ベンジル、 桂皮酸メチル、 桂 皮酸ェチル、 サリシル酸ァミル、 サリシル酸イソァミル、 フエニルプロピオン酸、 アーノナラクトン、 δ—デカラクトン、 ラブダナム油、 バルサム油、 ァニス油及 びバニラ油からなる群より選ばれる少なくとも 1種の香料である上記項 1 1〜1 4項のいずれかに記載のジベンジリデンソルピト一ル組成物。
1 6 香料が、 バニリン、 メチルバ二リン、 ェチルバ二リン、 アーノナラクト ン又はバニラ油である上記項 1 1に記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
1 7 ジベンジリデンソルビトール類に対して、 香料を 1〜5 0 0 p p m含有 する上記項 1 1〜 1 6のいずれかに記載のジベンジリデンソルビトール組成物。 1 8 香料の揮発を抑制する保留剤を更に含有する上記項 1 1〜 1 7のいずれ かに記載のジべンジリデンソルビト一ル組成物。
1 9 保留剤が、 流動パラフィン、 合成パラフィン、 ミネラルオイル、 カスト ールオイル、 ペトロラタム、 1 ^一ル油、 水添ひまし油、 ジメチルシリコーンオイ ル、 メチルフエニルシリコーンオイル、 石油系ワックス、 ポリエチレンワックス、 フタル酸ジエステル、 アジピン酸ジエステル、 ァゼライン酸ジエステル又はセバ シン酸ジエステルである上記項 1 8に記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
2 0 保留剤が、 ジメチルシリコーンオイル又はメチルフエニルシリコーンォ
ィルである上記項 1 8に記載 ( -ル組成物。
2 1 アル力リ金属の水酸化物、 アル力リ土類金属の水酸化物、 アル力リ土類 金属の酸化物、 長鎖脂肪酸アルカリ金属塩、 長鎖脂肪酸アルカリ土類金属塩、 長 鎖脂肪酸アミド及びアミンからなる群から選ばれた少なくとも 1種の塩基性物質
(特に、 アルカリ金属の水酸化物、 アルカリ土類金属の水酸化物、 長鎖脂肪酸ァ ルカリ金属塩、 長鎖脂肪酸アル力リ土類金属塩及びァミンからなる群から選ばれ た少なくとも 1種の塩基性物質) を更に含有する上記項 1 8記載のジベンジリデ •ール組成物。
2 2 上記項 1 1〜2 1のいずれかに記載のポリオレフイン樹脂組成物を成形 して得られるポリオレフィン樹脂成形体。
2 3 一般式 ( 1 )
[式中、 R 1及び R2は同一又は異なって、 それぞれ水素原子、 炭素数 1〜5のァ ルキル基、 炭素数 1〜 5のアルコキシ基又は塩素原子を表す。 ]
で表されるジベンジリデンソルビトール類の少なくとも 1種を含有する樹脂組成 物又は樹脂成形体の不快な臭気を抑制する方法であって、 該ジベンジリデンソル ビ] ルの少なくとも 1種に、
(a)香料の少なくとも 1種、 又は
(b)香料の少なくとも 1種及び保留剤、 又は
(c)香料の少なくとも 1種、 保留剤及び保留剤中の酸成分を中和する塩基性物
を添加することからなる方法。
2 4 一般式 ( 1 )
[式中、 R
1及び R
2は同一又は異なって、 それぞれ水素原子、 炭素数 1〜5のァ ルキル基、 炭素数 1〜5のアルコキシ基又は塩素原子を表す。 ]
で表されるジベンジリデンソルビトール類の少なくとも 1種を含有する樹脂組成 物又は樹脂成形体の不快な臭気を抑制するための、 (a)香料の少なくとも 1種又は (b)香料の少なくとも 1種及び保留剤、 又は、 (c)香料の少なくとも 1種、 保留剤 及び保留剤中の酸成分を中和する塩基性物質の使用。 発明の詳細な記載
以下に本発明について詳細に説明する。
D B S類
一般式 (1 )
[式中、 R 1及び R 2は、 同一又は異なって、 それぞれ水素原子、 炭素数 1〜5の アルキル基、 炭素数 1〜5のアルコキシ基又は塩素原子を表す。 ]
で表される D B S類において、 置換基 R 1及び R 2の置換位置は、 オルト位、 メタ
位、 パラ位のいずれでもよく、 特に限定されない。
炭素数 1〜 5のアルキル基としては、 メチル基、 ェチル基、 イソプロピル基、 n—ブチル基、 n—ペンチル基等が例示され、 特にメチル基及びェチル基が推奨 される。
また、 炭素数 1〜 5のアルコキシ基としては、 メトキシ基、 エトキシ基、 n— プロポキシ基、 イソプロポキシ基、 n_ブトキシ基等が例示される。
本発明に係る一般式 (1) で表される DBS類としては、 1, 3 : 2, 4—ジ ベンジリデンソルビト一ル及び一般式 (2)
[式中、 R
1及び R
2は同一又は異なって、 それぞれ水素原子、 炭素数 1〜 5のァ ルキル基、 炭素数 1〜5のアルコキシ基又は塩素原子を表す。 但し、 R
1及び R
2が水素原子である場合を除く。 ]
で表される D B S類が例示される。 これらは単独で又は 2種以上混合して適宜使 用される。 また、 本発明の範囲には、 特公昭 64— 7611号記載のジベンジリ デンソルビトール類が含まれる。 本発明に係る DBS類としては、 一般式 (2) で表される DBS類が好ましい。
かかる DBS類としては、 具体的には 1, 3— (ベンジリデン) 一2, 4- (P—メチルベンジリデン) ソルビト一ル、 1, 3— (p—メチルベンジリデ ン) _2, 4— (ベンジリデン) ソルビ! ^一ル、 1, 3_ (ベンジリデン) —2, 4 - (o—メチルベンジリデン) ソルピトール、 1, 3— (o—メチルベンジリ デン) 一 2, 4- (ベンジリデン) ソルビトール、 1, 3 : 2, 4—ジ (p—メ チルベンジリデン) ソルビ! ^一ル、 1, 3 : 2, 4—ジ (o—メチルベンジリデ ン) ソルビトール、 1, 3 : 2, 4—ジ (p—ェチルベンジリデン) ソルビトー ル、 1, 3 : 2, 4—ジ (p—メトキシベンジリデン) ソルビ! ^一ル、 1, 3 :
2 , 4ージ (p—クロルべンジリデン) ソルビトール等が例示され、 特に本発明 は 1, 3 : 2, 4ージ (p—メチルベンジリデン) ソルビトール及び 1, 3 : 2 , 4—ジ (p—ェチルベンジリデン) ソルビ! ^一ルに対して効果的である。
これら D B S類に含まれる未反応べンズアルデヒド類の量は、 特に限定される ものではないが、 多いと所定のマスキングの効果を得るために必要な香料の添加 量が増し、 樹脂成型体に香料の臭いが強く残ってしまい、 不快感を与えてしまう 傾向がある。 従って、 D B S類に含まれる未反応べンズアルデヒド類の量として は、 5 0 0 p p m以下が推奨され、 好ましくは 2 0 0 p p m以下である。
かかる未反応べンズアルデヒド類の量が 5 0 0 p p m以下である D B S類は、 適当な方法、 例えば、 i)水又はメタノール、 エタノール、 シクロへキサン、 トル ェン、 キシレン等の有機溶媒による洗浄、 i i)水及び水と共沸する前記溶媒の少な くとも 1種を添加し、 その後溶媒を留去する方法等により調製できる。
香料
本発明で使用する香料としては、 未反応べンズアルデヒド又は成形加工時の熱 により発生したベンズアルデヒドの不快な臭気をマスキングする効果を有し、 成 形加工時の熱で分解しにくい香料であれば種々のものが使用できる。 一般には、 1気圧での沸点が 1 5 0 °C以上である香料が好ましい。 沸点が 1 5 0 °C未満の場 合は、 成形加工時に揮発や分解が起こり、 香料によるべンズアルデヒド臭をマス キングする効果が得られにくくなる。
本発明で使用する香料としては、 例えば、 ひーピネン、 リモネン等の炭化水素 類、 1ーォクテン一 3—オール、 デセノール等の脂肪族アルコール類、 アンブリ ノール等の脂環式アルコール、 リナロール、 ヒドロキシシトロネロール、 一夕
—ピネオール等のテルペン系、 セスキテルペン系アルコール、 フエニルプロピル アルコール、 ジメチルペンジルカルビトール等の芳香族アルコール、 合成サンダ ル、 ァニソ一ル等のエーテル、 脂肪族アルデヒド、 テルペン系アルデヒド、 芳香 族アルデヒド、 ァセタ一ル、 脂肪族ケトン、 テルペン系ケトン、 セスキテルペン 系ケトン、 環状ケトン、 芳香族ケトン、 脂肪族エステル、 芳香族カルボン酸エス テル、 酢酸エステル、 プロピオン酸エステル、 酪酸エステル、 安息香酸エステル、 フエニル酢酸エステル、 サリチル酸エステル、 カルボン酸、 ラクトン等の合成香
料、 ァニス油、 レモン油、 バルサム油、 バニラ油、 パラ油等の天然香料が例示さ れる。
食品容器、 食品包装材料等に使用する場合、 食品等に臭気が付着しても不快感 を与えない、 更には食品添加物として利用されている香料が特に好ましい。
かかる香料としては、 例えば、 フエニルプロピルアルコール、 ァニソ一ル、 ァ ネ! ^一ル、 ジヒドロアネ! ^一ル、 3 ひ、 6, 6, 9 ひ一テトラメチルドデカヒド ロナフト [ 2, 1一 b ] フラン、 (商品名 「アンブロキサン」 、 ヘンケル社製) 、 シス一 4 _ヘプテナ一ル、 ァニスアルデヒド、 バニリン、 ェチルバ二リン、 メチ ルバニリン、 メチルイオノン、 α—ィオノン、 βーィオノン、 マル 1 ^一ル、 ェチ ルマル! ル、 4, 5—ジメチルー 3—ヒドロキシ一 5 Η—フラン一 2—オン (商品名 「シュガーラクトン」 、 曽田香料株式会社製) 、 酢酸フエニルェチル、 酢酸シンナミル、 酪酸イソアミル、 ピルビン酸ェチル、 ピルビン酸イソアミル、 安息香酸ゲラニル、 ァセト酢酸ェチル、 レブリン酸ェチル、 フエニル酢酸メチル、 フエニル酢酸ェチル、 フエニル酢酸イソァミル、 フエニル酢酸イソブチル、 フエ ニル酢酸ベンジル、 桂皮酸メチル、 桂皮酸ェチル、 サリシル酸ァミル、 サリシル 酸イソァミル、 フエニルプロピオン酸、 アーノナラクトン、 δ—デカラクトン、 ラブダナム油、 バルサム油、 ァニス油及びバニラ油等が挙げられ、 中でも特にバ 二リン、 メチルバ二リン、 ェチルバ二リン、 バニラ油及びアーノナラクトンが推 奨される。
これらの香料は、 1種単独を添加してもよく、 また、 又は 2種以上を混合して 添加することもできる。
ジベンジリデンソルビト一ル組成物
本発明の D B S組成物は、 基本的には、 上記 D B S類の少なくとも 1種及び香 料の少なくとも 1種を含有するものである。
D B S類に対する香料の配合量としては、 D B S類に含まれるアルデヒドの臭 気をマスキングするのに有効な量とすればよく、 一般には、 D B S類に対して 1 〜 5 0 0 p p mが推奨され、 より好ましくは 1 0〜 3 0 0 p p mである。 この範 囲で香料を配合することにより、 D B S類の臭気が抑制され、 また、 香料自体の 匂いも実質上無視できる程度であるので、 全体として不快感が減少し、 官能的性
質が向上する。 配合量が 5 O O p p mを超えると樹脂に香料の臭いが強く残って しまい、 不快感を与える傾向がある。 また、 1 p p m未満では所定の効果が得ら れにくい。
これら香料を D B S類にあらかじめ添加しておくことにより、 香料の添加量の 調整を容易にすることができる。
添加方法としては、 特に限定されるものではないが、 例えば、 D B S類にヘン シェルミキサー、 V—プレンダ一、 リポンプレンダ一等のミキサーを用いて粉末 混合する方法、 メタノール、 エタノール、 シクロへキサン、 トルエン等の有機溶 媒ゃ水等を分散媒とした D B S類のスラリー中にそのまま或いはそれらを上記有 機溶媒や水等の溶媒に溶かした溶液を添加して混合し、 その後溶媒を留去する方 法等が挙げられる。
尚、 D B S組成物に後述するポリオレフイン用の各種改質剤をあらかじめ添加 しておくことも可能である。 添加方法としては、 特に限定されるものではないが、 例えば、 添加剤に種々のミキサーを用いて粉末混合する方法、 メタノール、 エタ ノール、 シクロへキサン、 トルエン等の有機溶媒や水等を分散媒とした添加剤の 溶液またはスラリー中にそのまま或いは香料を上記溶媒に溶かした溶液を添加し て混合し、 その後溶媒を留去する方法等が挙げられる。
<香料保留剤 >
当該 D B S組成物や後述するポリオレフイン用の各種改質剤を添加した D B S 組成物の場合、 貯蔵条件 (特に高温度条件下に貯蔵した場合) によっては経時的 に香料が揮発し減少していく場合が見られる。 その場合は、 香料の保留剤として 働く物質を添加することにより香料の保留性が一段と向上し、 揮発による減少を 抑制することができることを本発明者達は見出した。
かかる香料の保留剤としては、 パラフィン、 ミネラルオイル、 カストールオイ ル、 ペトロラタム、 ワックス等の脂肪族炭ィ匕水素類、 トール油、 水添ひまし油等 のトリグリセライド類、 ジメチルシリコーンオイル、 メチルフエエルシリコ一ン オイル等のシリコーンオイル類、 安息香酸エステル類、 フタル酸ジエステル等の 芳香族ジカルポン酸ジエステル類、 マロン酸ジエステル類、 コハク酸ジエステル 酸ジエステル類、 ァゼライン酸ジエステル類、 セパシン酸ジエステ
ル類等の脂肪族ジカルポン酸ジエステル類、 又はクェン酸トリエステル等の脂肪 族トリカルボン酸トリエステル類を例示できる。
中でも、 流動パラフィン、 合成パラフィン、 ミネラルオイル、 カストールオイ ル、 ペトロラタム、 1 ^一ル油、 水添ひまし油、 ジメチルシリコーンオイル、 メチ ルフエニルシリコーンオイル、 石油系ワックス、 ポリエチレンワックス、 フタル 酸ジエステル、 アジピン酸ジエステル、 ァゼライン酸ジエステル及びセバシン酸 ジエステルからなる群から選ばれる少なくとも 1種が好ましい。
上記保留剤としては、 流動パラフィン、 合成パラフィン、 ミネラルオイル、 力 スト一ルオイル、 ペトロラタム、 石油系ワックス、 ポリエチレンワックス、 トー ル油、 水添ひまし油、 ジメチルシリコーンオイル、 メチルフエニルシリコーンォ ィル、 安息香酸ジベンジル、 フ夕ル酸ジメチル、 フ夕ル酸ジェチル、 フタル酸ジ — n—ブチル、 フタル酸ジ—n—ォクチル、 フタル酸ジ—2—ェチルへキシル、 フタル酸ジイソデシル、 フ夕ル酸ブチルベンジル、 マロン酸ェチルァミル、 マロ ン酸ェチル s e c—ォクチル、 コハク酸ジイソプロピル、 コハク酸ジベンジル、 酒石酸ジェチル、 酒石酸ジ一 n—プチル、 アジピン酸ジイソブチル、 アジピン酸 ジー n—へキシル、 アジピン酸ジ一 2—ェチルへキシル、 アジピン酸ジイソノニ ル、 アジピン酸ジイソデシル、 ァゼライン酸 2—ェチルへキシル、 セバシン酸ジ _ n—ブチル、 セバシン酸ジー 2—ェチルへキシル、 クェン酸トリメチル、 クェ ン酸トリエチル、 クェン酸トリー n—ブチル等が例示される。 特にジメチルシリ コーンオイル又はメチルフエニルシリコーンオイルが好ましい。
保留剤の添加方法としては、 特に限定されるものではないが、 香料と一緒に D B S類に添加する方法、 当該 D B S組成物に対して、 若しくは香料を添加する前 に D B S類と保留剤を種々のミキサーを用いて混合する方法、 又はメタノール、 エタノール、 トルエン、 キシレン等の有機溶媒を分散媒とした D B S類のスラリ 一中に保留剤をそのまま或いは上記溶媒に溶かした溶液を添加して混合し、 その 後溶媒を留去する方法等が挙げられる。
保留剤の添加量としては、 特に限定されるものではないが、 ポリオレフイン樹 脂の性能に悪影響を及ぼさない範囲で使用され、 一般には、 D B S類に対して、 0 . 0 1〜1 0重量%程度、 特に 0 . 1〜 5重量%程度が適当である。
<塩基性物質 >
また、 シリコーンオイル類、 及び芳香族アルキルエステル、 脂肪族アルキルェ ステル等のエステル類は、 製造方法によっては酸や酸触媒などの酸成分が残存し ている場合がある。 このような化合物を保留剤として使用する場合は、 D B S類 の分解が促進される可能性がある為、 塩基性物質、 例えば、 アルカリ金属の水酸 化物、 アルカリ土類金属の水酸化物、 アルカリ土類金属の酸化物、 長鎖脂肪酸ァ ルカリ金属塩、 長鎖脂肪酸アルカリ土類金属塩、 長鎖脂肪酸アミド、 アミン類等 を同時に添加すれば、 酸成分が中和され、 D B S類の分解を防ぐことができる。 アル力リ金属、 アル力リ土類金属の水酸化物及びアル力リ土類金属の酸化物と しては、 水酸化ナトリウム、 水酸化カリウム、 水酸化バリウム、 水酸化カルシゥ ム、 酸化マグネシウム、 酸化カルシウム等が例示できる。
長鎖脂肪酸アル力リ金属塩及びアル力リ土類金属塩としては、 炭素数 8〜 3 2 の飽和又は不飽和脂肪酸のリチウム塩、 ナトリウム塩、 カリウム塩、 マグネシゥ ム塩等が例示でき、 具体的には、 オクタン酸、 力プリン酸、 ラウリン酸、 ミリス チン酸、 パルミチン酸、 イソステアリン酸、 ステアリン酸、 ォレイン酸、 1 2— ヒドロキシステアリン酸、 エイコサン酸、 ベヘン酸、 リノール酸、 リノレン酸、 リシノール酸、 モンタン酸等のリチウム塩、 ナトリウム塩、 カリウム塩、 カルシ ゥム塩、 マグネシウム塩等を挙げることができる。
また、 水酸化亜鉛も使用でき、 更には、 炭素数 8〜 3 2の飽和又は不飽和脂肪 酸の亜鉛塩、 アルミニウム塩、 例えば、 オクタン酸、 力プリン酸、 ラウリン酸、 ミリスチン酸、 パルミチン酸、 イソステアリン酸、 ステアリン酸、 ォレイン酸、 1 2—ヒドロキシステアリン酸、 エイコサン酸、 ベヘン酸、 リノール酸、 リノレ ン酸、 リシノール酸、 モンタン酸等の亜鉛塩、 アルミニウム塩等も使用できる。 長鎖脂肪酸アミドとしては、 炭素数 8〜3 2の飽和又は不飽和脂肪酸アミドが 例示でき、 具体的には、 オクタン酸、 力プリン酸、 オクタン酸、 力プリン酸、 ラ ゥリン酸、 ミリスチン酸、 パルミチン酸、 イソステアリン酸、 ステアリン酸、 ォ レイン酸、 1 2—ヒドロキシステアリン酸、 エイコサン酸、 ベヘン酸、 リノール 酸、 リノレン酸、 リシノール酸、 モンタン酸等の第一級アミドである。
アミン類としては、 モノ、 ジ又はトリ ((3 1—0 2 2ァルキル) ァミン、 ジ又
はトリ (C 1一 C 8アル力ノール) ァミン、 ジ (C 1 _ C 8アル力ノール) (C 1一 C 2 2アルキル) ァミン、 ジ (C 1 2— C 1 8アルキル) メチルァミン、 ジ メチル (C 1 2— C 1 8アルキル) ァミン等が例示され、 具体的にはトリイソプ ロパノールァミン、 ジェ夕ノールステアリルァミン、 ジエタノールラウリルアミ ン、 ジエタノールパルミチルァミン、 ジメチルステアリルァミン、 ジステアリル メチルァミン等である。
上記塩基性物質は、 単独で又は 2種以上混合して適宜使用できる。 上記塩基性 物質は、 保留剤に含有される酸成分を中和するのに有効な量で使用される。 一般 には、 保留剤に対して、 0 . 1〜 1 0 0重量%程度、 特に 1〜 1 0 0重量%程度 の量で使用するのが好ましい。
ポリオレフイン樹脂組成物
本発明のポリオレフイン樹脂組成物は、 基本的には、 ポリオレフイン樹脂、 上 記 D B S類及び上記香料、 及び必要ならばポリオレフィン用添加剤、 香料の保留 剤、 保留剤中の酸成分を中和する塩基性物質を含有するものである。 一般には、 上記 D B S類及び上記香料 (及び必要ならば保留剤及び塩基性物質) は事前に混 合して前記 D B S組成物の形態にあるのが好ましい。
本発明に係る D B S組成物 (D B S類 +香料) のポリオレフイン樹脂に対する 配合量は、 所定の効果が得られる限り特に限定されるものではなく、 適宜選択す ることができるが、 通常、 樹脂 1 0 0重量部当たり 0 . 0 5〜3重量部程度であ り、 好ましくは 0 . 0 7〜1重量部程度配合される。 これらの範囲内で配合する ことにより本発明の目的を効果的に達成することができる。
D B S組成物のポリオレフイン樹脂への添加方法としては、 一段添加法 (即ち、 D B S組成物の適当量をポリオレフィン樹脂に直接添加する方法) が好ましいが、 例えば、 ポリオレフィン樹脂に D B S組成物を高濃度で配合したマスターバッチ、 例えば 2〜1 5重量%程度の高濃度マスターバッチの形態でポリオレフイン樹脂 に配合する二段法を採用しても何ら差し支えない。 これら一段添加及び二段添加 法は、 通常、 一軸又は二軸押出機等を用いて行われ、 一般に本発明ポリオレフィ ン樹脂組成物はペレツ卜の形態に製造される。
また、 上記方法に代えて、 ポリオレフイン樹脂、 一般式 (1 ) で表される D B
S類、 香料 (並びに必要に応じて保留剤、 及び保留剤中の酸成分を中和する塩基 性物質) を同時に混合装置に入れて乾式混合し、 次いで、 一軸又は二軸押出機等 を用いて溶融混合し、 ペレット化して、 一挙にポリオレフイン樹脂組成物を製造 してもよい。 その場合、 各成分は、 前記所定量で使用される。 即ち、 香料は、 D B S類に対して 1〜5 0 0 p p m、 特に 1 0〜3 0 0 p p mの量で使用し、 香料 と D B S類との合計量が、 ポリオレフイン樹脂 1 0 0重量部に対して 0 . 0 5〜 3重量部程度、 特に 0 . 0 7〜1重量部程度となるようにこれら 3つの成分を使 用するのが好ましい。 また、 保留剤を使用する場合は、 保留剤は、 D B S類に対 して、 0 . 0 1〜1 0重量%程度、 特に 0 . 1〜 5重量%程度が適当である。 上 記塩基性物質は、 これを使用する場合、 保留剤に対して 0 . 1〜1 0 0重量%、 特に 1〜1 0 0重量%の量で使用するのが好ましい。
<他の添加剤 >
本発明に係るポリオレフィン樹脂組成物には、 使用目的やその用途に応じて適 宜、 従来公知のポリオレフィン用改質剤を本発明の効果を損なわない範囲で添加 することができる。
かかるポリオレフイン用改質剤としては、 例えば、 ポリオレフイン等衛生協議 会編 「ポジティブリストの添加剤要覧」 (1 9 9 5年 1月) に記載されている各 種添加剤が挙げられ、 より具体的には、 安定剤 (金属化合物、 エポキシ化合物、 窒素化合物、 燐化合物、 硫黄化合物等) 、 紫外線吸収剤 (ベンゾフエノン系化合 物、 ベンゾトリアゾール系化合物等) 、 酸化防止剤 (フエノール系化合物、 亜リ ン酸エステル系化合物、 ィォゥ系化合物等) 、 界面活性剤、 滑剤 (炭素数 8〜 2 2の高級脂肪酸、 炭素数 8〜2 2の高級脂肪酸金属 (A l、 C a、 M g、 Z n ) 塩、 炭素数 8〜2 2の高級脂肪族アルコール、 ポリダリコール、 炭素数 4〜2 2 の高級脂肪酸と炭素数 4〜1 8の脂肪族 1価アルコールとのエステル、 炭素数 8 〜2 2の高級脂肪酸アマイド、 ロジン誘導体等) 、 充填剤 (タルク、 ハイドロタ ルサイト、 マイ力、 ゼォライト、 パーライト、 珪藻土、 炭酸カルシウム、 ガラス 繊維等) 、 発泡剤、 発砲助剤、 ポリマー添加剤の他、 架橋剤、 架橋促進剤、 帯電 防止剤、 難燃剤、 分散剤、 有機無機の顔料、 加工助剤、 他の核剤等の各種添加剤 が例示される。
<ポリオレフイン樹脂 >
本発明に係るポリオレフイン樹脂としては、 ポリエチレン系樹脂、 ポリプロピ レン系樹脂及びポリブテン系樹脂が例示され、 より具体的には、 高密度ポリェチ レン、 中密度ポリエチレン、 直鎖状ポリエチレン、 エチレン含量 5 0重量%以上 (特に 7 0重量%以上) のエチレンコポリマー、 プロピレンホモポリマー、 プロ ピレン 5 0重量%以上 (特に 7 0重量%以上) のプロピレンコポリマー、 ブテン ホモポリマー、 ブテン含量 5 0重量%以上 (特に 7 0重量%以上) のブテンコポ リマー、 メチルペンテンホモポリマー、 メチルペンテン含量 5 0重量%以上 (特 に 7 0重量%以上) のメチルペンテンコポリマ一、 ポリブタジエン等が例示され る。
上記コポリマーはランダムコポリマーであつてもよく、 ブロックコポリマーで あってもよい。 これらの樹脂の立体規則性は、 アイソ夕クチックでもシンジォ夕 クチックでもよい。
上記コポリマーを構成し得るコモノマーとして、 具体的にはエチレン、 プロピ レン、 ブテン、 ペンテン、 へキセン、 ヘプテン、 ォクテン、 .ノネン、 デセン、 ゥ ンデセン、 ドデセン等の炭素数 2〜1 2の α—ォレフィン、 1, 4一エンドメチ レンシクロへキセン等のビシクロ型モノマー、 (メタ) アクリル酸メチル、 (メ 夕) アクリル酸ェチル等の (メタ) アクリル酸エステル、 酢酸ビニル等が例示で さる。
力、かる重合体を製造するために適用される触媒としては、 一般に使用されてい るチーダラ— ·ナッタ型触媒はもちろん、 遷移金属化合物 (例えば、 三塩化チタ ン、 四塩ィ匕チタン等のチタンのハロゲン化物) を塩化マグネシウム等のハロゲン 化マグネシウムを主成分とする担体に担持してなる触媒と、 アルキルアルミニゥ ム化合物 (トリェチルアルミニウム、 ジェチルアルミニウムクロリド等) とを組 み合わせてなる触媒系やメタ口セン触媒も使用できる。
本発明に係るポリオレフイン樹脂の推奨されるメルトフローレ一ト (以下 「Μ F R」 と略記する。 J I S K 7 2 1 0— 1 9 7 6 ) は、 その適用する成形方 法により適宜選択されるが、 通常、 0 . 0 1〜2 0 0 g / 1 0分、 好ましくは 0 . 0 5〜; L 0 0 g Z l 0分である。
かくして得られる本発明に係るポリオレフィン樹脂組成物は、 最終成形品中の 臭気が改善され、 かつ透明性等の性能の優れた新規有用なポリオレフィン樹脂組 成物である。
ポリオレフイン樹脂成形体
又、 本発明に係る樹脂組成物を成形するに際しては、 射出成形、 押出成形、 ブ ロー成形、 圧空成形、 回転成形、 フィルム成形等の従来公知の成形方法のいずれ をも採用できる。
本発明に係るポリオレフィン樹脂成形体は、 D B S類を構成するアルデヒド類 の臭気が香料によりマスキングされているため、 臭気が抑制されており、 しかも、 D B S類が与える透明性のレベルは損なわれていない。
従って、 本発明に係るポリオレフイン樹脂成形体は、 従来、 D B S類を核剤と して配合してなるポリオレフイン樹脂成形体が用いられてきたと同様の分野にお いて適用される。
より具体的には、 本発明のポリオレフイン樹脂成形体は、 熱や放射線等により 滅菌されるデイスポーザブル注射器、 輸液'輸血セット、 採血器具等の医療用器 具類;放射線等により滅菌される食品 ·植物等の包装物;衣料ケースや衣料保存 用コンテナ等の各種ケース類;食品を熱充填するためのカップ、 レトルト食品の 包装容器;電子レンジ用容器;ジュース、 茶等の飲料用、 化粧品用、 医薬品用、 シャンプー用等の缶、 ビン等の容器;味噌、 醤油等の調味料用容器及びキャップ ; zK、 米、 パン、 漬物等の食品用ケース及び容器;冷蔵庫用ケース等の雑貨;文 具;電気 ·機械部品;自動車用部品等の素材として好適である。 実施例
以下、 実施例及び比較例を掲げ、 本発明を詳しく説明する。
実施例 1〜 1 3
1 , 3 : 2, 4—ジ (ρ—メチルベンジリデン) ソルビトール (以下 「M e— D B S」 と略記する。 ) 5 gをメタノール 3 0 g中で攪拌して分散させながら、 これに第 1表に記載の香料を溶解したメタノール溶液 1 O m lを添加した。 得ら れた混合溶液を還流条件下、 1時間加熱攪拌後、 減圧下溶媒を留去し、 更に 8 0
°C、 655 Paにて 1時間乾燥して、 試料 (以下 「Me— DBS組成物」 と略記 する。 ) を得た。
エチレン含有量 3. 0重量%のアイソ夕クチックランダムポリプロピレン樹脂 (MFR=20 g/10分、 以下 「r一 PP」 と略記する。 ) 100重量部に対 して Me— DBS組成物 0. 2重量部、 テトラキス [メチレン— 3— (3, 5— ジ— t _ブチル一4—ヒドロキシフエニル) プロピオネ一ト] メタン (商品名、 ィルガノックス 1010、 チバ'スぺシャリティ 'ケミカルズ社製) 0. 05重 量部およびステアリン酸カルシウム 0. 05重量部を配合し、 ヘンシェルミキサ 一で混合後、 樹脂温度 240°Cに設定した直径 25 mmの一軸押出機で溶融混練 してペレット化した。 得られたペレットの臭気評価を以下の乾式法にて評価した。 得られた結果を第 1表に示す。
<乾式法によるペレツトの臭気評価 >
ペレツト 60 gを 225mlのガラス瓶中に密封した後、 80°Cの恒温槽に 2 時間放置し、 室温迄冷却後、 直ちに 10名のパネラーにより、 臭いの強さを判定 した。 パネラーにおける判定基準は、 0ポイント: ==不快臭なし、 1ポイント =わ ずかに不快臭あり、 2ポイント =はっきり不快臭あり、 3ポイント =強い不快臭 ありとし、 10名の合計値で評価した。
得られたペレツトを樹脂温度 240°C、 金型温度 40°Cの条件下で射出成形し、 試験片 (サイズ:長さ = 4 cm、 幅 =7 cm、 厚さ = 2mm) を調製した。 得ら れた射出成形品を用いて、 以下の方法により乾式法および湿式法での臭気評価を 行い、 得られた結果を第 1表に示す。 又、 結晶化温度 (Tc) 及びヘイズ値
(%) の測定を行い核剤性能の評価を行なった。
<乾式法による射出成形品の臭気評価 >
試験片 20 gを 225mlのガラス瓶中に密封した後、 80°Cの恒温槽に 2時 間放置し、 室温迄冷却後、 直ちに 10名のパネラーにより、 臭いの強さを判定し た。 パネラーにおける判定基準は、 0ポイント =不快臭なし、 1ポイント =わず かに不快臭あり、 2ポイント-はっきり不快臭あり、 3ポイント =強い不快臭あ りとし、 10名の合計値で評価した。
<湿式法による射出成形品の臭気評価 >
試験片 20 gと脱イオン水 140 gを 225m 1のガラス瓶中に密封した後、 80°Cの恒温槽中に 2時間放置し、 室温迄冷却後直ちに 10名のパネラ一により、 臭いの強さを判定した。 パネラーにおける判定基準は、 0ポイント =不快臭なし、 1ポイント =わずかに不快臭あり、 2ポイント =はっきり不快臭あり、 3ポイン ト=強い不快臭ありとし、 10名の合計値で評価した。
<結晶化温度 (Tc) の測定方法〉
示差走査熱量計 (商品名 「DSC7」 、 PERK I N— ELMER社製) を用 いて、 J I SK7121に準じて測定した。 Tcが高い程、 結晶化速度が速く、 成形サイクルの短縮が可能である。 実施例 1で得られた射出成型品の Tcは 12 8°Cであった。
くヘイズ値の測定方法 >
東洋精機製作所製のヘイズメ一夕一を用いて、 J I S K6714、 J I S K 6717に準じて測定した。 得られた数値が小さい程、 透明性に優れる。 実施例 1で得られた射出成型品のヘイズ値 (%) は、 10であった。
比較例 1
香料を添加しない以外は実施例 1と同様にして評価を行なった。 得られた結果 を第 1表に示す。
実施例 14
Me— DBSの代わりに 1, 3 : 2, 4ージ (p—ェチルベンジリデン) ソル ビトール (以下 「E t— DBS」 と略記する。 ) を用いた以外は実施例 1と同様 の操作にて評価を行なった。 得られた結果を第 1表に示す。
実施例 15
Me-DBSの代わりに E t— D B Sを用いた以外は実施例 3と同様の操作に て評価を行なった。 得られた結果を第 1表に示す。
実施例 16
Me— DBSの代わりに E t一 D B Sを用いた以外は実施例 10と同様の操作 にて評価を行なった。 得られた結果を第 1表に示す。
比較例 2
香料を添加しない以外は実施例 14と同様にして評価を行なった。 得られた結
果を第 1表に示す。
比較例 3
Me— DB S及び香料を添加しない以外は実施例 1と同様にして評価を行なつ た。 得られた結果を第 1表に示す。
実施例 17
樹脂としてアイソ夕クチックホモポリプロピレン樹脂 (MFR=30 g/10 分、 以下 「h_PP」 と略記する。 ) を用いた以外は実施例 3と同様にして評価 を行った。 得られた結果を第 1表に示す。
比較例 4
香料を添加しない以外は、 実施例 17と同様にして評価を行った。 得られた結 果を第 1表に示す。
比較例 5
Me— DB S及び香料を添加しない以外は、 実施例 17と同様にして評価を行 つた。 得られた結果を第 1表に示す。
実施例 18
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂 (密度 =0. 926 g/cm MFR=20 g Z10分、 以下 「LLDPE」 と略記する。 ) 100重量部に対して Me— DB S組成物 0. 2重量部を配合し、 ヘンシェルミキサーで混合後、 樹脂温度 200 °Cに設定した直径 25 mmの一軸押出機で溶融混練してペレツト化した。 得られ たペレットの臭気評価を以下の乾式法にて評価を行なった。 得られた結果を第 1 表に示す。
<乾式法によるペレツトの臭気評価 >
ペレツト 60 gを 225mlのガラス瓶中に密封した後、 4 O の恒温槽に 2 時間放置し、 室温迄放置後、 10名のパネラーにより、 臭いの強さを判定した。 パネラーにおける判定基準は、 0ポイント =不快臭なし、 1ポイント =わずかに 不快臭あり、 2ポイント =はっきり不快臭あり、 3ポイント =強い不快臭ありと し、 10名の合計値で評価した。
得られたペレツトを樹脂温度 200°C、 金型温度 30°Cの条件下で射出成形し、 試験片を調製した。 得られた射出成形品を用いて、 以下の方法により乾式法での
臭気評価を行なった。 得られた結果を第 1表に示す。
<乾式法による射出成形品の臭気評価 >
試験片 20 gを 225m 1のガラス瓶中に密封した後、 40°Cの恒温槽に 2時 間放置し、 室温迄冷却後、 10名のパネラーにより、 臭いの強さを判定した。 パ ネラーにおける判定基準は、 0ポイント 不快臭なし、 1ポイント ==わずかに不 快臭あり、 2ポイント =はっきり不快臭あり、 3ポイント =強い不快臭ありとし、
10名の合計値で評価した。
<湿式法による射出成形品の臭気評価 >
試験片 20 gと脱イオン水 140 gを 225mlのガラス瓶中に密封した後、 40°Cの恒温槽中に 2時間放置し、 室温迄冷却後 10名のパネラーにより、 臭い の強さを判定した。 パネラーにおける判定基準は、 0ポイント =不快臭なし、 1 ポイント =わずかに不快臭あり、 2ポイント =はっきり不快臭あり、 3ポイント
=強い不快臭ありとし、 10名の合計値で評価した。
比較例 6
香料を添加しない以外は、 実施例 18と同様にして評価を行った。 得られた結 果を第 1表に示す。
比較例 7
Me—DB S及び香料を添加しない以外は、 実施例 18と同様にして評価を行 つた。 得られた結果を第 1表に示す。
実施例 19
樹脂として高密度ポリエチレン樹脂 (密度 =0. 967 g/cm3, MFR=6, 7 gZl O分、 以下 「HDPE」 と略記する。 ) を用いた以外は実施例 18と同 様にして評価を行った。 得られた結果を第 1表に示す。
比較例 8
香料を添加しない以外は、 実施例 19と同様にして評価を行った。 得られた結 果を第 1表に示す。
比較例 9
Me— DBS及び香料を添加しない以外は、 実施例 19と同様にして評価を行 つた。 得られた結果を第 1表に示す。
第 1表
J 香 料 臭! ¾s ^価結果 截日 JD o H & 点 添加量 ペレット 射出成形品 O C CC) (ppm; " 乾式法 乾式法 湿式法 実施例 1 r -PP Me -DBS バニリン 285 100 6 4 Β 実施例 2 r -PP Me -DBS メチルバ二リン 28 1 50 5 4 4 実施例 3 r -P P Me -DBS ェチルバ二リン 約 300 50 5 3 4 実施例 4 r -PP Me -DBS マルトール 150以上 50 6 5 4 ' 実施例 5 r -PP Me -DBS ェチルマルト一ル 150以上 20 5 4 5 実施例 6 r -P P Me -DBS シュガーラクトン 150以上 50 6 5 6 実施例 7 r -P P Me -DBS 酢酸フエニルェチル 232 100 7 6 6 実施例 8 r -P P Me -DBS フエ二ル酌酸メチル 200 100 7 6 7 実施例 9 r -PP Me -DBS フエニル酢酸ェチル 227 100 6 5 5 実施例 10 r -PP Me -DBS ァ一ノナラク卜ン 250以上 100 5 4 4 実施例 11 r -PP Me -DBS δ—デカラクトン 300以上 100 6 5 6 実施例 12 r-PP Me -DBS ァニス油 150以上 100 6 6 6 実施例 13 r -PP Me -DBS パ'ニラ油 150以上 100 5 4 実施例 14 r-PP Et-DBS バニリン 285 100 6
実施例 15 r-PP Et-DBS ェチルバニリン 約 300 50 5
実施例 16 r-PP Et-DBS rーノナラク卜ン 250以上 100 5
実施例 17 h-P P Me -DBS ェチルバ二リン 約 300 50 5 4
実施例 18 LLDPE Me -DBS ェチルバニリン 約 300 50 6 5 5 実施例 19 HDPE Me -DBS ェチルバニリン 約 300 50 5 5 4 実施例 20 r-PP Me -DBS ェチルバ二リン 約 300 50 5 4 4 比較例 1 r-PP Me -DBS 18 16 17 比較例 2 r-PP Et-DBS 16 16 16 比較例 3 r-PP 4 2 2 比較例 4 h-P P Me -DBS 19 17 19 比較例 5 h-P P 3 3 2 比較例 6 LLDPE Me -DBS 18 16 18 比較例 7 LLDPE 4 3 4
HDPE Me -DBS 16 15 18 比較例 9 HDPE 2 2 3
* DB S類に対する添加量 : (ppm)
実施例 20
香料を添加しない Me—DBSを用い、 樹脂とその他の樹脂改質剤を ルミキサーで混合する際にェチルバニリン 1 X 10— 5重量部添加する以外は実 施例 1と同様にして評価を行なった。
臭気評価は、 ペレットについて乾式法で 5ポイント、 射出成形物について乾式 法で 4ポイント、 湿式法で 4ポイントであった。
実施例 21
Me— DBS 5 gをシクロへキサン 40 g中で攪拌して分散させながら、 ジメ チルシリコーンオイル (粘度: 500 c s) 0. 1 g、 ステアリン酸ナトリウム 0. 05 gおよびェチルバ二リン 0. 00025 gをメタノール lm 1に溶解し た溶液を添加した。 得られた分散溶液を加熱し、 還流条件下、 1時間攪拌したも のを減圧下溶媒を留去し、 更に 80°C、 665 P aにて 1時間乾燥して、 試料
(以下 「Me— DBS (ジメチルシリコーンオイル) 組成物」 と略記する。 ) を 得た。
Me— DBS組成物に代えて Me— DBS (ジメチルシリコーンオイル) 組成 物を用いる以外は実施例 1と同様にしてペレツ卜及び射出成形品を製造し、 臭気 評価を行った。 得られた結果を第 2表に示す。
Me— DBS (ジメチルシリコーンオイル) 組成物の貯蔵温度による影響を評 価するために、 80°Cで促進試験を実施した。 Me_DBS (ジメチルシリコー ンオイル) 組成物をポリ袋に入れて上部を結び、 80°Cのオーブンで 1週間加熱 した。 加熱前と加熱後のェチルバニリン含量及び P—メチルベンズアルデヒド (以下 「p— TAL」 と略記する) を高速液体クロマトグラフィーを用いて定量 した。 得られた結果を第 2表に示す。
更に、 上記 80 での促進試験後の Me— DBS (ジメチルシリコーンオイ ル) 組成物を用いる以外は実施例 1と同様にしてペレット及び射出成形品を製造 し、 実施例 1と同様にして臭気評価を行った。 得られた結果を第 2表に示す。 実施例 22
ステアリン酸ナトリウムを添加しなかった以外は実施例 21と同様にして評価 を行った。 得られた結果を第 2表に示す。
実施例 23
ジメチルシリコーンオイル及びステアリン酸ナトリゥムを添加しなかつた以外 は実施例 21と同様に評価を行った。 結果を第 2表に示す。 第 2表
第 2表から明らかなように、 本発明の DBS類と香料を含有するジベンジリデ ンソルビトール組成物は、 加熱下での促進試験においても安定であり、 良好な貯 蔵安定性を有している。
特に、 実施例 21に示すように、 DBS類、 香料、 保留剤 (ジメチルシリコー ン) 及び塩基性物質 (ステアリン酸ナトリウム) を含有する組成物は、 加熱下で の促進試験において、 香料の減少が少なく、 また、 p— TAL量も少ないので、 極めて優れた貯蔵安定性を有している。 そのため、 促進試験前の DBS組成物を 用いた場合も、 促進試験後の DBS組成物を使用した場合も、 優れた臭気評価結 果が得られる。
実施例 22に示すように、 DBS類、 香料及び保留剤を含有し、 塩基性物質を 含有しない DBS組成物は、 加熱下での促進試験において、 香料の減少が少なく、 また、 P— TAL量が若干増加するが大幅な増加は認められず、 許容範囲内にと どまる。 従って、 促進試験後の DBS組成物を使用して得られるペレット及び成
形体であっても、 良好な臭気評価を示し、 促進試験前の D B S組成物を用いて得 られたペレツト及び成形体の臭気評価とほぼ同等である。
また、 実施例 2 3に示すように、 D B S及び香料を含有し、 保留剤及び塩基性 物質を含有しない組成物は、 加熱下での促進試験においても、 香料は減少するが 尚残存しており、 p—TA L量がほとんど増えておらず許容範囲に留まっている。 従って、 促進試験後の D B S組成物を使用して得られるペレツト及び成形体であ つても、 良好な臭気評価を示し、 促進試験前の D B S組成物を用いて得られたぺ レツト及び成形体の臭気評価とほぼ同等である。 産業上の利用性
本発明に係るジベンジリデンソルピトール組成物をポリオレフィン樹脂に添加 することにより、 発生する臭気が不快ではなく、 大幅に改善されているポリオレ フィン樹脂組成物 (ペレット) が得られる。
得られる本発明ポリオレフィン樹脂組成物は、 成形加工時に発生する臭気が香 料の匂いによりマスキングされる結果、 不快臭とはならず、 成形加工の作業環境 が改善される。
また、 本発明ポリオレフイン樹脂組成物を成形して得られる成形体も、 不快な 臭気の発生が抑制されており、 成形体からの不快な臭いの移行が少ない。 しかも、 本発明成形体は、 十分な透明性を有している。 従って、 本発明のポリオレフイン 樹脂成形体は、 多くの分野で実用性が高い。