JP2006070128A - 不快臭気がマスキングされたエチレン系樹脂組成物及びそれより得られたフィルム - Google Patents

不快臭気がマスキングされたエチレン系樹脂組成物及びそれより得られたフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】香料自体の芳香は不快と感じるほど知覚することなく、エチレン系樹脂の不快臭気が有効にマスキングされた樹脂組成物であって、また、同時に安全性、成形性、及び持続性も確保された不快臭気がマスキングされたエチレン系樹脂組成物、及びそれより得られたフィルムを提供する。
【解決手段】エチレン系樹脂及びバニリンを含むことを特徴とする不快臭気がマスキングされたエチレン系樹脂組成物、又は、バニリンの配合量は、組成物全量に対して、0.0004〜0.006質量%であることを特徴とする不快臭気がマスキングされたエチレン系樹脂組成物などを提供した。
【選択図】なし

Description

本発明は、不快臭気がマスキングされたエチレン系樹脂組成物、及びそれより得られたフィルムに関し、さらに詳しくは、少量のバニリンを配合してなる不快臭気がマスキングされたエチレン系樹脂組成物、及びそれより得られたフィルムに関する。
エチレン系樹脂等のオレフィン系樹脂は、その熱可塑性を利用して、ブロー成形、インフレーション成形、キャスト成形、押出コーティング成形、押出成形、圧縮成形、射出成形等の成形法を用いて、溶融・加熱により成形して、包装材料、フィルム、日用雑貨、文具、容器、管等の種々の製品として利用されている。
しかしながら、オレフィン系樹脂は、重合過程で生成する低分子量成分や重合触媒に由来する成分等が残留し、含まれ、成形して得られた製品には、これら残留成分に起因する臭気(以下、不快臭気と称することがある。)がある。
この不快臭気は、オレフィン系樹脂のペレット製造過程やペレット製造後に、常圧下や減圧下で、不加熱あるいは加熱された空気や不活性ガスと接触させ脱臭を行うことにより、取り除くことが実用化されているが、完全な脱臭を行うことは困難であり、また、脱臭工程には、相当な時間を要するため効率が悪く、更に、溶融・加熱により成形し、製品を製造する過程でも、残留成分が分解や揮発し、新たに不快臭気が発生することがあり得るので、問題であった。
そのために、オレフィン系樹脂に共通して利用できる悪臭や異臭の低減技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、オレフィン系樹脂として、オレフィン系重合体ブロックを構成ブロックとする特定のブロック共重合体を選択し、シトラールなどの特定の構造をもつ沸点が180℃以上である芳香を有する化合物を、おおむね0.001〜1重量%含有させた組成物が提案され、成形時に悪臭や異臭をマスキングして芳香を発生し、しかも製品とした後も芳香が長期に渡って維持される効果が記載されている。なお、特許文献1では、香料を添加したポリエチレンやポリプロピレン等のような従来のオレフィン系樹脂では、悪臭や異臭等の臭気のマスキング効果が十分でなかったり、また、時間が経過すると、そのマスキング効果が失われて持続性がない等の欠点があるとされている。
また、特許文献2には、芳香を有する成分を含有するオレフィン重合体樹脂が開示されているが、これは芳香を有する成形体であり、成形体中での芳香を有する成分は、おおむね0.5〜5重量%となる配合量が例示され、オレフィン重合体樹脂に起因する悪臭や異臭のマスキングについては、全く記載されていない。
さらに、特許文献3には、バニリン及び/又はエチルバニリンを少なくとも0.01重量%含有するポリオレフィン系樹脂組成物のフィルムより形成されてなる防ばい性包装袋が開示されている。
しかしながら、これらの開示技術では、芳香を有する成分を配合して、エチレン系樹脂の不快臭気をマスキングすることは、芳香を有す化合物や成分(以下、単に香料と称することがある。)そのものの臭気が知覚され、それにより不快臭気の知覚が困難となるものであり、例えば、食品包装材料として使用したときなどは、香料による別の臭気(芳香)の問題が生じ、必ずしも満足のできるマスキング効果は得られていないのが現実である。
特開平10−316830号公報 特開2002−187983号公報 特開昭59−80450号公報
本発明の目的は、上記の問題点に鑑み、香料自体の芳香は不快と感じるほど知覚することなく、エチレン系樹脂の不快臭気が有効にマスキングされた樹脂組成物であって、また、同時に安全性、成形性、及び持続性も確保された不快臭気がマスキングされたエチレン系樹脂組成物、及びそれより得られたフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題に対し鋭意研究を重ねた結果、香料として、数多くの高沸点香料の中から、沸点が285℃のバニリンを選択し、それをエチレン系樹脂に特定量配合することにより、バニリン自体の芳香は、不快と感じるほど知覚することなく、エチレン系樹脂の不快臭気が有効にマスキングされた樹脂組成物が得られ、本発明の目的を達成できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、エチレン系樹脂及びバニリンを含むことを特徴とする不快臭気がマスキングされたエチレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、バニリンの配合量は、組成物全量に対して、0.0004〜0.006質量%であることを特徴とする不快臭気がマスキングされたエチレン系樹脂組成物が提供される。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、バニリンの配合量は、組成物全量に対して、0.0005〜0.004質量%であることを特徴とする不快臭気がマスキングされたエチレン系樹脂組成物が提供される。
本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、エチレン系樹脂及びバニリンを、120〜180℃で溶融混練して調製して得られることを特徴とする不快臭気がマスキングされたエチレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明の不快臭気がマスキングされたエチレン系樹脂組成物を成形して得られたフィルムが提供される。
本発明は、数多くの高沸点香料の中から、沸点が285℃のバニリンを選択し、その配合量として、エチレン系樹脂組成物中で0.0004〜0.006質量%を配合した構成からなっているので、バニリン自体の芳香は、ほぼ知覚することなく、エチレン系樹脂の不快臭気が有効にマスキングされると共に、バニリン自体は、食品添加物として認められているので、安全であり、かつ、バニリンは上記のように高沸点であるので、エチレン系樹脂組成物を溶融混練により調製することができ、そのため、マスキング効果を長期に維持できる。
以下、本発明の不快臭気がマスキングされたエチレン系樹脂組成物、及びそれより得られたフィルムについて詳細に説明する。
1.エチレン系樹脂
本発明で使用されるエチレン系樹脂とは、高圧法ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン(炭素数2〜12)共重合体、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体、エチレン−カルボン酸ビニルエステル共重合体から選ばれ、具体的には、高圧法低密度ポリエチレン、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体等を挙げることができる。
本発明で使用されるエチレン系樹脂は、通常の熱可塑性樹脂の成形が可能である性状を有しているものであれば、特に制限されるものではない。
例えば、フィルムを製品とする場合のメルトマスフローレートの好ましい範囲について説明すると、ブロー成形法による場合は、0.1〜10g/10分、インフレーション成形法による場合は、0.5〜20g/10分、キャスト成形法による場合は、2〜35g/10分、及び押出コーティング成形法による場合は、3〜50g/10分が、それぞれ挙げられる。
2.バニリン
本発明では、バニリン(沸点285℃)が使用される。
使用するバニリンとしては、市販のバニリンの他に、加工した製品、例えば食品用バニラフレーバーパウダー No.3−8758(長谷川香料製)等も、使用することができる。
本発明では、バニリンをエチレン系樹脂組成物中、0.0004〜0.006質量%、好ましくは0.0005〜0.005質量%、更に好ましくは、0.001〜0.004質量%配合する。
この配合量が0.0004質量%未満であると、マスキング効果が不十分であり、一方、0.006質量%を超えると、バニリン自体の臭気が強くなり、例えば0.01質量%になると、かえって気になる不快な臭気となるので好ましくない。
3.その他の配合物
本発明のエチレン系樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲において、必要に応じて、その他の配合物を配合することができる。
その他の配合物としては、酸化防止剤、安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、加工助剤、スリップ剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、中和剤、離型材、顔料、着色剤、充填剤等を挙げることができ、また、2種以上を配合することもでき、配合する場合は、それぞれ公知の有効量を配合すればよい。
4.エチレン系樹脂組成物の調製
本発明のエチレン系樹脂組成物の調製法は、特に限定されず、熱可塑性樹脂組成物の調製に従来使用されているいずれの方法も採用することができるが、主に溶融混練法と含浸法の2調製法を具体的に例示できる。
溶融混練法は、エチレン系樹脂、バニリン、及び必要に応じその他の配合物を、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、コンティニアスミキサー等に、必要ならば前混合してから、投入し溶融混練して組成物を調製する方法であって、この際、溶融混練の温度は、120〜180℃、好ましくは125〜170℃、更に好ましくは130〜160℃である。温度が120℃以下では、均一な組成物を得るのに時間がかかり、一方、温度が180℃を超えると、バニリンの一部が揮散することがありえるので好ましくない。また、得られた組成物は、直径約3〜7mm程度のペレットに造粒することが望ましい。
含浸法は、エチレン系樹脂、及び必要に応じその他の配合物を、上記と同様に溶融混連してペレットを調製し、これを密閉容器に入れ、所定量のバニリンを溶媒(例えば、安息香酸ベンジル等)に希釈して加え、密閉し、55〜60℃程度の温度に加熱しながら3〜6時間程度混合し、バニリンをペレットに含浸させ、その後同程度の温度の空気あるいは不活性ガス流に接触させ、溶媒を取り除くことにより行う方法である。
マスキング効果の持続性の観点から、その作用機構は、明確には不明であるが、バニリンが樹脂中により確実に閉じ込められることに起因しているかもわからないが、溶融混練法が、より長期のマスキング効果が得られるので好ましい。
なお、本発明において、バニリンの配合量は、0.0004〜0.006質量%と微量であるので、既に公知のマスターバッチを調製してから本発明のエチレン系樹脂組成物を調製することが好ましい。
この際、バニリンの配合量が0.5〜10質量%となるようにして、例えば、上記の2調製法と同様の方法で、高濃度のバニリンが配合されたマスターバッチのペレットを調製し、これとエチレン系樹脂を、バニリンが所定の配合量となるように配合して、溶融混練して、本発明のエチレン系樹脂組成物を調製し、好ましくはペレットに造粒して、使用すればよい。
次に実施例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、本明細書中で用いられた物性値の測定方法及び評価方法は、それぞれ以下の方法によるものである。
I.メルトマスフローレート
JIS K6922−2に準拠して行い、190℃、2160g荷重で測定した。
II.密度
JIS K6922−2に準拠して、測定した。
III.臭気官能試験
実施例・比較例で調製したフィルム100gを500mlのガラス瓶中に入れ、密閉し、40℃のオーブン中で24時間放置した後に、8人のパネラーにより臭気の判定を行った。判定基準は、以下の通りである。
0:無臭
1:やっと知覚できる臭い
2:何の臭いかわかる弱い臭い
3:楽に知覚できる臭い
4:強い臭い
5:強烈な臭い
評価は、パネラー8人の評価の最大値と最小値を除く6人の値について、その平均値を求めて、判定結果とした。
[実施例1]
高圧法低密度ポリエチレン(メルトマスフローレート7g/10分、密度0.917g/cm、NUC−8007、日本ユニカー製)に、組成物基準でバニリン(和光純薬工業製)を0.005質量%となるように入れ、これを、ヘンシェルミキサーを用いて、5分間混合し、更にバンバリーミキサーを用いて、150℃で5分間溶融混練してエチレン系樹脂組成物を得た。得られたエチレン系樹脂組成物から直径約4mmのペレットを調製し、以後の試験に用いた。
得られたペレットを使用して、押出コーティング成形によりフィルムを製造した。押出コーティング成形の条件は、直径90mmの単軸押出機(モダンマシナリー製)を使用して、320℃でポリエチレンテレフタレートフィルム上にTダイからポリエチレンテレフタレートフィルムまでのエアーギャップ120mm、引取速度50m/分、コーティング厚み50μmとなるように吐出を調製して行った。得られたフィルムをポリエチレンテレフタレートフィルムから剥がして臭気官能試験に用いた。
得られたフィルムは、良好に成形し調製でき、また、良好な機械特性をもっていた。
また、臭気官能試験は、表1に示したとおり、3未満の良好に不快臭気がマスキングされたフィルムであった。
[実施例2〜4]
バニリンを1質量%となるようにした以外は、実施例1と同様にして直径約4mmのペレットを調製し、これをマスターバッチとして使用した。
同じ高圧法低密度ポリエチレンと得られたマスターバッチとを、それぞれバニリンの配合量が0.0005質量%、0.0025質量%、及び0.005質量%となるように所要量を配合し、ヘンシェルミキサーを用いて5分混合して実施例2、3及び4のエチレン系樹脂組成物をそれぞれ得た。
得られた組成物を使用して、実施例1と同様にしてフィルムを得て、臭気官能試験を行った。
得られたそれぞれのフィルムは、良好に成形し調製でき、また、良好な機械特性をもっていた。
また、臭気官能試験は、表1に示したとおり、いずれも3未満の良好に不快臭気がマスキングされたフィルムであった。
[実施例5、6]
高圧法低密度ポリエチレン(メルトマスフローレート3.6g/10分、密度0.927g/cm、NUC−8076、日本ユニカー製)を使用した以外は、実施例2及び3と同様にして、マスターバッチを調製し、次いでバニリンがそれぞれ0.0005質量%及び0.0025質量%配合されたエチレン系樹脂組成物を得て、評価した。
得られたそれぞれのフィルムは、良好に成形し調製でき、また、良好な機械特性をもっていた。
また、臭気官能試験は、表1に示したとおり、いずれも3未満の良好に不快臭気がマスキングされたフィルムであった。
[実施例7]
高圧法低密度ポリエチレン(メルトマスフローレート32g/10分、密度0.915g/cm、DNDV−0405R、日本ユニカー製)を使用した以外は、実施例3と同様にして、マスターバッチを調製し、次いでバニリンが0.0025質量%配合されたエチレン系樹脂組成物を得て、キャスト成形加工されたフィルムにより、臭気官能試験を評価した。
キャスト成形加工は、直径20mmキャストフィルム加工機(東洋精機製)を用い、加工温度250℃、引取速度4m/分で行い、50μmの厚みのフィルムを得た。
得られたフィルムは、良好に成形し調製でき、また、良好な機械特性をもっていた。
また、臭気官能試験は、表1に示したとおり、3未満の良好に不快臭気がマスキングされたフィルムであった。
[実施例8]
高圧法低密度ポリエチレン(メルトマスフローレート0.8g/10分、密度0.923g/cm、NUC−8505、日本ユニカー製)と実施例6で調製したマスターバッチとを用いて、実施例6と同様にして、エチレン系樹脂2種を用い、バニリンが0.0025質量%配合されたエチレン系樹脂組成物を得て、インフレーション成形加工されたフィルムを得て、臭気官能試験を評価した。
インフレーション成形加工は、単層インフレーションフィルム加工機(プラコー製)を使用して、溶解温度160℃で、空冷式の環状単層ダイを使用して、50μmの厚みのフィルムを得て、評価した。
得られたフィルムは、良好に成形し調製でき、また、良好な機械特性をもっていた。
また、臭気官能試験は、表1に示したとおり、3未満の良好に不快臭気がマスキングされたフィルムであった。
[実施例9]
高圧法低密度ポリエチレン(メルトマスフローレート0.8g/10分、密度0.923g/cm、NUC−8505、日本ユニカー製)に、酸化防止剤(イルガノックス1010、チバスペシャリティーケミカルズ製)、スリップ剤(Nutron S、日本精化製)、及びバニリンを加え、ヘンシェルミキサーで5分間混合した後、単軸押出機(直径20mm、東洋精機製)を用いて、150℃で溶融混練し、配合が表1に記載されている樹脂組成物を得て、これを直径約4mmのペレットとし、実施例8と同様にして、インフレーション成形加工されたフィルムを得て、臭気官能試験を評価した。
得られたフィルムは、良好に成形し調製でき、また、良好な機械特性をもっていた。
また、臭気官能試験は、表1に示したとおり、3未満の良好に不快臭気がマスキングされたフィルムであった。
[実施例10]
直鎖状低密度ポリエチレンであるエチレン−ブテン−1共重合体(メルトマスフローレート1g/10分、密度0.919g/cm、NUCG−4953、日本ユニカー製)を用いて、溶融混錬の温度を160℃とした以外は、実施例2と同様にして、バニリンが1質量%配合されたマスターバッチペレットを得た。
同じエチレン−ブテン−1共重合体に、このマスターバッチ、酸化防止剤(イルガノックス1010、チバスペシャリティーケミカルズ製)、及び中和剤ステアリン酸亜鉛(日本油脂製)を加え、ヘンシェルミキサーで10分間混合し、配合が表1に記載されている樹脂組成物を得て、溶解温度を180℃とした以外は、実施例8と同様にして、インフレーション成形加工されたフィルムを得て、臭気官能試験を評価した。
得られたフィルムは、良好に成形し調製でき、また、良好な機械特性をもっていた。
また、臭気官能試験は、表1に示したとおり、3未満の良好に不快臭気がマスキングされたフィルムであった。
Figure 2006070128
[比較例1、2]
実施例2、3と同様に、エチレン系樹脂として高圧法低密度ポリエチレン(メルトマスフローレート7g/10分、密度0.917g/cm、NUC−8007、日本ユニカー製)を使用して、比較例1ではマスターバッチを配合せずに高圧法低密度ポリエチレンをそのまま、比較例2ではバニリンの配合量が0.0075質量%となるように所要量のマスターバッチを配合し、以下同様にして、押出コーティング成形によりフィルムを製造した。
得られたフィルムは、良好に成形し調製でき、また、良好な機械特性をもっていたが、臭気官能試験は、表2に示したとおり、いずれも4以上であり、強い臭気が知覚され、特に比較例2では、バニリンの強い臭気も直ちに知覚され、それぞれ不快臭気がマスキングされたフィルムではなかった。
[比較例3]
バニリンが0.01質量%配合されるようにした以外は、実施例5、6と同様にして、押出コーティング成形によりフィルムを製造した。
得られたフィルムは、良好に成形し調製でき、また、良好な機械特性をもっていたが、臭気官能試験は、表2に示したとおり、4.5であり、バニリンが直ちに知覚される強い臭気を持ち、不快臭気がマスキングされたフィルムではなかった。
[比較例4]
バニリンのマスターバッチを配合しない以外は、実施例7と同様にして、キャスト成形加工されたフィルムを得て、評価した。
得られたフィルムは、良好に成形し調製でき、また、良好な機械特性をもっていたが、臭気官能試験は、表2に示したとおり、4以上であり、不快臭気がマスキングされたフィルムではなかった。
[比較例5]
バニリンを配合しない以外は、実施例9と同様にして、インフレーション成形加工されたフィルムを得て、評価した。
得られたフィルムは、良好に成形し調製でき、また、良好な機械特性をもっていたが、臭気官能試験は、表2に示したとおり、4以上であり、不快臭気がマスキングされたフィルムではなかった。
[比較例6]
バニリンのマスターバッチを配合しない以外は、実施例10と同様にして、インフレーション成形加工されたフィルムを得て、評価した。
得られたフィルムは、良好に成形し調製でき、また、良好な機械特性をもっていたが、臭気官能試験は、表2に示したとおり、4以上であり、不快臭気がマスキングされたフィルムではなかった。
[比較例7〜10]
実施例5と同様にして、各種香料のマスターバッチを調製し、以下同様にして、各種香料が0.0025質量%配合されたエチレン系樹脂組成物を得て、評価した。
各種香料としては、比較例7ではリモネン(沸点175℃、ヤスハラケミカル製)、比較例8ではシトラール(沸点229℃、和光純薬工業製)、比較例9では桂皮酸(沸点300℃、Aldrich製)、及び比較例10ではネロール(沸点226℃、和光純薬工業製)を使用した。
それぞれからインフレーション成形加工され得られたフィルムは、良好に成形し調製でき、また、良好な機械特性をもっていたが、臭気官能試験は、表2に示したとおり、いずれもバニリンと比較すると劣り、不快臭気がマスキング効果は十分ではなかった。
特に比較例7で使用したリモネンは、耐熱性が劣り加工時に分解が発生したと考えられ、分解臭の不快な臭気が知覚された。沸点が高いその他の各種香料においては、上記したようにマスキング効果は、バニリンと比較して有意に劣り、不十分であった。
Figure 2006070128
本発明の不快臭気がマスキングされたエチレン系樹脂組成物は、有効に不快臭気がマスキングされると共に各種の成形性も良好であるので、不快臭気のない包装材料、フィルム、日用雑貨、文具、容器、管等の種々の製品として利用できる。特に本発明の不快臭気がマスキングされたエチレン系樹脂組成物から得られたフィルムは、安全性が確保されているので、食品や医薬品の包装材料として使用できる。

Claims (5)

  1. エチレン系樹脂及びバニリンを含むことを特徴とする不快臭気がマスキングされたエチレン系樹脂組成物。
  2. バニリンの配合量は、組成物全量に対して、0.0004〜0.006質量%であることを特徴とする請求項1に記載の不快臭気がマスキングされたエチレン系樹脂組成物。
  3. バニリンの配合量は、組成物全量に対して、0.0005〜0.004質量%であることを特徴とする請求項1に記載の不快臭気がマスキングされたエチレン系樹脂組成物。
  4. エチレン系樹脂及びバニリンを、120〜180℃で溶融混練して調製して得られることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の不快臭気がマスキングされたエチレン系樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の不快臭気がマスキングされたエチレン系樹脂組成物を成形して得られたフィルム。
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