JPH10254092A - 写真感光材料用射出成形品 - Google Patents

写真感光材料用射出成形品

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JPH10254092A
JPH10254092A JP5633097A JP5633097A JPH10254092A JP H10254092 A JPH10254092 A JP H10254092A JP 5633097 A JP5633097 A JP 5633097A JP 5633097 A JP5633097 A JP 5633097A JP H10254092 A JPH10254092 A JP H10254092A
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JP
Japan
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resin
weight
photographic
light
acid
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Application number
JP5633097A
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English (en)
Inventor
Mutsuo Akao
睦男 赤尾
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 商品価値の高い優れた外観と、耐熱性に優
れ、寸法変化が少なく、難燃性を向上でき、遮光性を完
全に確保でき、写真フイルムの写真性に悪影響を与える
ことがない写真感光材料用射出成形品を提供する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂100重量部と、粒子のア
スペクト比が3以下の粉末状遮光性物質を0.1〜40
重量部と、粒子のアスペクト比が5以上の繊維状充填材
1〜50重量部とを必須成分とする熱可塑性樹脂組成物
を用いて射出成形した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、写真感光材料に用
いるのに最適な写真感光材料用射出成形品に関し、更に
詳しくは、物理強度と顔料の分散性に優れた写真感光材
料用射出成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、米国特許第5317355号明
細書には、写真フイルムを先端までスプールに巻き付け
て樹脂製のカートリッジ本体内に収納し、これをカメラ
等に装填した後にスプールを回転させて、カートリッジ
本体に設けた開口から写真フイルムを繰り出すようにし
た新写真システムであるアドバンストフォトシステム
(以後APSと称する)に用いる樹脂製の写真フイルム
カートリッジが記載されている。
【0003】また、例えば、実公平5−2919号公報
には、未露光の写真フイルムパトローネを収納し、簡単
な撮影機構を備え、カーボンブラックとゴムを含有する
ポリスチレン樹脂組成物で形成されたユニット本体から
なるレンズ付きフイルムユニットが記載されている。
【0004】更に、特開平5−341378号公報や、
特開平5−341379号公報には、シート状の写真フ
イルムを遮光状態で複数枚収納するシート写真フイルム
パックと、このシート写真フイルムパックを収納した状
態でカメラの背部に装着されるシート写真フイルムパッ
クホルダーが記載されている。
【0005】上述したような、カートリッジ本体,ユニ
ット本体,シート写真フイルムパック,およびシート写
真フイルムパックホルダーの主な構成素材として、従来
より、遮光性の樹脂組成物が用いられている。このよう
な樹脂組成物としては、例えば、ポリスチレン樹脂が一
般的である。ポリスチレン樹脂は、成形品の寸法安定性
が良く、無味・無臭・無毒であり、また、コスト的にも
低廉なため、大量に作られている。
【0006】しかし、通常のホモポリスチレン樹脂は、
油類及び有機溶剤の一部に侵されやすい、耐候性・耐熱
性が不十分、帯電しやすい、耐破壊強度が劣る等のため
に、写真感光材料用射出成形品として完全遮光性が必須
とされるカーボンブラック等の遮光性物質を含む遮光性
の射出成形品においては、耐破壊強度がホモポリスチレ
ン樹脂より優れるが、油類及び有機溶剤の一部に侵され
やすく、耐熱性が不充分なブタジエンゴム等の合成ゴム
をスチレンモノマーにグラフト共重合したゴム含有ポリ
スチレン樹脂(耐衝撃性ポリスチレン樹脂と一般に呼ば
れている)などが使用される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような、カートリッジ本体,ユニット本体,シート写
真フイルムパック,および写真フイルムパックホルダー
等を構成する従来の樹脂素材は、写真感光材料用射出成
形樹脂素材として必要とされる耐熱性、物理強度(特に
衝撃強度)、及び剛性が不足しているという問題があ
る。
【0008】特に、温度変化の激しい屋外等で使用され
ることも多い、これら写真感光材料用射出成形品を用い
た感光材料包装体では、射出成形品の変形や寸法変化が
大きくなり、光カブリや写真フイルム等の感光材料の給
送不良等の問題がしばしば発生していた。また、冬季な
どに外部環境が氷点下になると、衝撃強度の劣化が大き
くなり、成形品を誤って落下させてしまった時などに、
容易に破損や変形を起こし、光カブリや写真フイルムの
給送不良等が発生するという問題もあった。特に、世界
中の屋外で使用される機会が多い樹脂製の写真フイルム
カートリッジやレンズ付きフイルムユニットでは、上記
の問題を解決する必要があった。
【0009】また、遮光性物質の分散性が良くないた
め、遮光性を維持するために遮光性物質の添加量を多く
する必要があり、この結果、成形品の物理強度が低下す
るという問題も生じる。さらにまた、ブツやウエルドラ
インの発生が多くなったり、吸湿性が大きくなって銀条
やショートショット等の成形障害が発生することが多く
なるという問題が生じている。
【0010】本発明は、上記従来技術の問題点を考慮し
てなされたものであり、商品価値の高い優れた外観と、
耐熱性に優れ寸法変化が少なく難燃性を向上でき、遮光
性を完全に確保でき、写真フイルムの写真性に悪影響
(カブリの発生、感度異常、階調異常、発色異常、濃度
ムラ等)を与えることがない写真感光材料用射出成形品
を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の写真感光材料用射出成形品においては、熱
可塑性樹脂100重量部と、粒子のアスペクト比が3以
下の粉末状遮光性物質を0.1〜40重量部と、粒子の
アスペクト比が5以上の繊維状充填材1〜50重量部と
を必須成分とする熱可塑性樹脂組成物を用いて射出成形
したものである。
【0012】請求項2においては、前記熱可塑性樹脂組
成物に、顔料分散物質を含有したものである。請求項3
においては、前記熱可塑性樹脂組成物に、熱可塑性エラ
ストマーを含有したものである。請求項4においては、
前記熱可塑性樹脂組成物に、少なくとも1種類以上の相
溶化剤を含有したものである。請求項5においては、前
記熱可塑性樹脂組成物に、少なくとも1種類以上のシン
グルサイト触媒を用いて重合製造した熱可塑性樹脂を含
有したものである。
【0013】
【発明の実施の形態】先ず最初に、本発明の写真感光材
料用射出成形品の構成素材である樹脂材料について説明
する。写真感光材料用射出成形品を構成する樹脂材料
は、熱可塑性樹脂を用いるのが好ましく、この熱可塑性
樹脂に遮光性を付与するための遮光性物質と、繊維状充
填材とを混練した熱可塑性樹脂組成物を用いるのが好ま
しい。また必要に応じて、滑剤,帯電防止剤,防滴剤,
難燃剤,紫外線吸収剤,金属劣化防止剤,相溶化剤,熱
可塑性エラストマー,無機あるいは有機顔料,加工助
剤,酸化防止剤,芳香剤,乾燥剤,吸湿剤,キレート
剤,核剤,可塑剤等、その他各種の添加剤を樹脂に写真
感光材料の写真性に悪影響を及ぼさない種類や添加量を
適用する写真感光材料に合わせて選択して単独でまたは
2種類以上併用して含有させてもよい。
【0014】写真感光材料用射出成形品の樹脂材料に用
いられる熱可塑性樹脂としては、特に好ましいものとし
て、従来公知の方法で重合製造した各種のポリエチレン
樹脂,ポリプロピレン樹脂,スチレン樹脂,ABS樹
脂,アクリロニトリル−スチレン系樹脂,AAS(AS
A)樹脂,AES樹脂(耐侯性,耐衝撃性樹脂)シンジ
オタクチックポリスチレン樹脂,シングルサイト触媒を
用いて重合製造した各種ポリエチレン樹脂,ポリオレフ
ィン系熱可塑性エラストマー,及びシングルサイト触媒
を用いて重合製造したポリプロピレン樹脂,各種密度の
ホモポリエチレン樹脂,各種密度のエチレン・αオレフ
ィン共重合体樹脂,ポリスチレン系樹脂等が挙げられ
る。
【0015】その他の熱可塑性樹脂としては、塩化ビニ
ル樹脂,ポリビニルアルコール樹脂,アクリル樹脂,塩
化ビニリデン樹脂,繊維素誘導体樹脂,熱可塑性ポリウ
レタン樹脂,ポリビニルブチラール樹脂,ポリ−4−メ
チルペンテン−1樹脂,ポリブテン−1樹脂等が挙げら
れる。
【0016】ところで、上述したシングルサイト触媒と
は、従来の活性点の性質が不均一な“マルチサイト触
媒”とは異なる活性点が均一な触媒のことを言い、略同
一分子量(分子量分布、組成分布が狭い)の熱可塑性樹
脂を製造するのに最適な触媒を言う。特に共重合体樹脂
の場合は本発明の“シングルサイト触媒”を用いて製造
すると、高活性な触媒なので使用量が少なく、その結
果、樹脂中の触媒残渣が少なくなり、写真感光材料の写
真性に対する悪影響が少なく、どの分子成分にも均等に
コモノマーが挿入され、分子量分布、組成分布の小さい
(狭い)熱可塑性樹脂となり、物理強度の大きい、ブロ
ッキング防止性が優れたものとなる。
【0017】シングルサイト触媒の代表的なものは、1
980年にドイツ Hamburg大学のKaminsky教授により高
活性なポリエチレン樹脂重合触媒として発見された触媒
であり、化1に示すように二塩化ジルコノセンに代表さ
れるメタロセン化合物と、メチルアルミノキサンに代表
される助触媒から成る触媒系であり、一般に有機溶媒に
は可溶であり、単一種の触媒活性点を持つ触媒である。
【0018】
【化1】
【0019】本発明では、熱可塑性樹脂組成物中に50
重量%以上含む場合は、重合製造適性、コスト、射出成
形性、寸法精度、物理強度、写真感光材料の写真性に対
する影響力から、分子量分布が1.1〜30、好ましく
は1.2〜20、より好ましくは1.3〜15、特に好
ましくは1.4〜10、最も好ましくは1.5〜5であ
る熱可塑性樹脂を安価に製造可能なシングルサイト触媒
を用いて重合したものであれば、化1に限定されるもの
ではない。
【0020】例えば、現在までに公知になっている各種
のシングルサイト触媒や今後開発されるシングルサイト
触媒も、写真感光材料の写真性に悪影響を与えることな
く、且つ写真感光材料用射出成形品として必要な特性を
確保できる熱可塑性樹脂を重合製造可能であれば使用可
能であることは言うまでもない。
【0021】代表例としては特開昭58−19309号
公報、特開昭59−95299号公報、特開昭60−3
5006号公報、特開昭60−35007号公報、特開
昭60−35008号公報等に開示されている。分子量
分布が1.1未満であると重合製造が困難であり、20
を越えると射出成形性や樹脂流動性は非常に良好になる
が、50重量%以上含むと寸法精度、物理強度が低下
し、高価な触媒を用いるメリットが無くなる。
【0022】本発明で特に好ましい代表的な内容を以下
に開示するが、本発明はこれらに限定されないことは言
うまでもない。好ましいシングルサイト触媒を構成する
金属メタロセン系遷移金属化合物としては、ジルコニウ
ム、ハフニウム、チタニウム、バナジウムに、シクロペ
ンタジェニル基、インデル基、テトラヒドロインデル
基、フルオニル基及びこれらの置換基が1〜2結合して
いるか、あるいは、これらのうちの2つの基が共有結合
で架橋したものが結合しており、他に水素原子、酸素原
子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルコ
キシ基、シクロアルキル基、アリール基、カルボニル
基、シリル基、ルイス塩基、ケイ素原子を含む置換基、
不飽和炭化水素等の配位子を有するものが挙げられる。
【0023】さて、上述した熱可塑性樹脂の中で特に好
ましいものとして、安価であり、かつ物理強度が大き
く、剛性や耐熱性や耐摩耗性が優れ、写真性が良好で射
出成形性も優れた高密度ポリエチレン樹脂は、重量平均
分子量が20000〜800000、好ましくは500
00〜600000、より好ましくは80000〜50
0000、特に好ましくは100000〜40000
0、最も好ましくは120000〜300000であ
る。また、密度は0.941g/cm3 以上、好ましく
は0.946g/cm3 以上、より好ましくは0.95
0g/cm3 以上、特に好ましくは0.956g/cm
3 以上、最も好ましくは0.960g/cm3以上であ
る。重量平均分子量が20000未満では、得られる成
形物の耐摩耗性が不充分となり、重量平均分子量が80
0000を越えると、重合製造や射出成形が困難になっ
たり、高価であったり、良好な外観が得られにくいため
に好ましくない。本発明における重量平均分子量とは、
ゲルバーミエーションクロマトグラフィーにより、標準
のポリスチレンの検査線を用いて求めたポリスチレン換
算の値である。
【0024】本発明に用いられる高密度ポリエチレン樹
脂は、その性能を損なわない範囲内で他のモノマー、例
えばプロピレン,ブテン−1,ペンテン,4−メチルペ
ンテン−1,ヘキセン,オクテン,デセン等のα−オレ
フィン類,ブタジエン,イソプレン等のジエン類,シク
ロペンテン,シクロヘキセン,シクロペンタジエン等の
シクロオレフィン類,メチルアクリレート,エチルアク
リレート,ブチルアクリレート等のアクリレート類が共
重合されていてもよい。これらのモノマー含有量は、0
〜20重量%,好ましくは0〜10重量%,より好まし
くは0〜5重量%,特に好ましくは0〜1重量%,最も
好ましくは0〜0.3重量%である。20重量%を越え
ると剛性の大きい0.941g/cm3 以上の密度の高
い樹脂の重合製造が困難である。さらに、ゲート残りや
糸ひき等の成形故障の発生が多くなり、成形サイクルも
長くなり実用化困難となる。
【0025】前述した高密度ポリエチレン樹脂と同様に
汎用樹脂でありながら物理強度が大きく、剛性や耐熱性
や耐摩耗性が優れ、写真性が良好で射出成形性も優れた
ポリプロピレンは、樹脂組成物全体の剛性、耐熱性を向
上させるために、プロピレン単独重合体部分のアイソタ
クチックペンダット分率が高いことが好ましい。特に
0.950以上であることがよい。
【0026】ところで、このアイソタクチックペンダッ
ト分率とは、A.ZambelliらによってMacr
omolecules、6,925(1973年)に発
表されている方法、即ち、C−NMRを使用して測定さ
れる結晶性ポリプロピレン分子鎖中の、ペンダット単位
でのアイソタクチック連鎖、即ちプロピレンモノマー単
位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピ
レンモノマー単位の分率である。但し、NMR吸収ピー
クの帰属については、 Macromolecule
s、8,687(1975年)による。
【0027】そして、タルクを剛性や耐熱性向上の目的
で熱可塑性樹脂100重量部に対して5〜40重量部添
加することが好ましい。タルクの添加量が5重量部未満
の場合、タルクを添加することによる剛性、耐熱性の向
上効果に乏しく好ましくない。また、タルクの添加量が
40重量部を越えた場合、耐衝撃性が低下して好ましく
ない。また、本発明に用いられるタルクは、乾式粉砕後
に乾式分級して製造され、平均粒径が5.0μm以下の
ものであるが、好ましくは、0.5μm以上3.0以下
のものがよい。平均粒径が5.0μmを越えた場合、耐
衝撃性が低下して好ましくない。
【0028】上述したもの以外にも、本発明で特に好ま
しい熱可塑性樹脂は、各種の特性(物理強度、剛性、耐
熱性、耐摩耗性等)が優れ、特に高温下において安定な
熱可塑性樹脂であれば、どの様なものでもよく、限定さ
れるものではない。例えば、ポリエチレンテレフタレー
ト(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、
ポリブチレンナフタレート(PBN)等の芳香族ジカル
ボン酸とジオール、またはオキシカルボン酸などからな
る芳香族ポリエステル樹脂、ナイロン6、ナイロン6−
6、ナイロン6−10、ナイロン12、ナイロン46等
のポリアミド系樹脂、エチレン、プロピレン、ブテン等
を主成分とするオレフィン系樹脂、ホモポリスチレン、
スチレン−ブタジエン共重合体、ポリスチレン−アクリ
ロニトリル共重合体、ABS等のスチレン系樹脂、ポリ
カーボネート樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリ
アルキルアクリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリ
サルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリフェニ
レンサルフィド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエ
ーテルケトン樹脂、フッ素樹脂等を挙げることができ
る。また、これらの熱可塑性樹脂は、2種類以上の任意
の樹脂を混合して使用することもできる。特に相溶性よ
り2種以上の樹脂を溶融混練したポリマーアロイ(Po
lymer alloy)が物理特性が優れ、外観も良
好なので本発明では好ましい。
【0029】各種の特性(物理強度、剛性、耐熱性、耐
摩耗性等)が優れており、写真性が良好で射出成形性も
優れたポリカーボネート樹脂、又はポリカーボネート樹
脂(以後PC樹脂と表示)と他の熱可塑性樹脂との混合
物において用いることのできるPC樹脂としては、特に
制限があるものではなく、芳香族フェノール系化合物と
ホスゲン又は炭酸ジエステルを反応させて製造される樹
脂など、従来から公知のPC樹脂を広く使用することが
できる。また、本発明には、分岐を有するPC樹脂も使
用することができる。
【0030】このようなPC樹脂しては、例えば、ビス
フェノールAを主原料として溶剤法または溶融法などで
合成されるPC樹脂を例示できる。本発明において用い
ることのできるPC樹脂の分子量としては、特に制限さ
れるものではないが、例えば、塩化メチレン溶剤中で測
定した粘度平均分子量が19000〜30000の範囲
のものを用いるのが好ましい。
【0031】本発明においては、PC樹脂は単独でも、
若しくは1種または2種以上の他の樹脂と混合して用い
ることができる。かかるPC樹脂と混合して用いること
ができる樹脂としては、PC樹脂と混合可能な樹脂であ
れば特に制限はなく、例えば、芳香族ポリエステル系樹
脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプ
ロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹
脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンサルフィド系
樹脂等を挙げることができる。
【0032】本発明に使用される熱可塑性樹脂の成分と
して使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、通常エ
ンジニアリング樹脂として使用される樹脂であり、二価
フェノールとカーボネート前駆体を反応させることによ
り得られる芳香族ポリカーボネート樹脂である。
【0033】上述したような二価フェノールの代表的な
ものとしては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン(通称、ビスフェノールAと言
う),ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン,1,1
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン,1,1−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン,2,2
−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)
プロパン,2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ
ブロモフェニル)プロパン,2,2−ビス(4−ヒドロ
キシ−3−メチルフェニル)プロパン,ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)エーテル,4,4−ジヒドロキシジフ
ェニル,ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイ
ト,およびビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等
が挙げられる。
【0034】上述したような各種の二価フェノールの中
でも、特に好ましいものとして、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)アルカンであり、中でも、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパンが特に好ましい。カー
ボネート前駆体としては、カルボニルハライド,カーボ
ネートエステル,又は、ハロホルメート等が使用され、
具体的には、例えば、ホスゲン,ジフェニルカーボネー
ト,又は二価フェノールのジハロホルメート等が挙げら
れる。
【0035】上述したような各種の二価フェノールとカ
ーボネート前駆体とを反応させて芳香族ポリカーボネー
ト樹脂を製造するにあたり、二価フェノールは単独、ま
たは2種類以上を使用することができ、必要に応じて触
媒,分子量調節剤,酸化防止剤等を使用することができ
る。また、芳香族ポリカーボネート樹脂は、3官能以上
の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネ
ート樹脂であっても、2種類以上の芳香族ポリカーボネ
ート樹脂の混合物であってもよい。
【0036】このような芳香族ポリカーボネート樹脂の
分子量は、粘度平均分子量(M)で10000〜500
00、好ましくは11000〜40000、より好まし
くは12000〜30000、特に好ましくは1300
0〜25000である。粘度平均分子量(M)が100
00未満の芳香族ポリカーボネート樹脂では、特定の無
機充填剤を配合しても機械的強度を充分に向上すること
ができない。また、粘度平均分子量(M)が50000
を越える芳香族ポリカーボネート樹脂では、成形時の流
動性に劣るため、押出、成形が困難となり、良好な成形
品が得られ難い。
【0037】なお、本発明で言うところの粘度平均分子
量(M)は、塩化メチレン100mlに、芳香族ポリカ
ーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求
めた比粘度〔ηsp〕を、数1に示す式に挿入して求め
る。
【0038】
【数1】ηsp/c=η+0.45×η2 c 但し ηは極限粘度 (1.23×10-40.83) Mは粘度平均分子量 c=0.7
【0039】本発明に使用される熱可塑性樹脂の内、エ
ンジニアリングプラスチックであるポリアミド樹脂とし
ては、半結晶性樹脂と非結晶性樹脂とを含み、一般にナ
イロン樹脂と言われているものを使用することができ
る。なお、ポリアミド樹脂は、ラクタムの開環重合反応
で得られるポリアミド樹脂、炭素数4〜12の飽和ジカ
ルボン酸と、炭素数4〜12のジアミンとを等モル量で
縮合重合させることによって得られるポリアミド樹脂等
が挙げられる。これらは、過剰にジアミン又はジカルボ
ン酸を用いて、ポリアミド樹脂の末端がカルボキシル基
よりアミン基が過剰になるようにしても良いし、また、
その反対であっても良い。
【0040】具体的には、ポリカプロラクタム(6ナイ
ロン),ポリラウリンラクタム(12ナイロン),ポリ
−11−アミノ−ウンデカン酸(11ナイロン),ビス
(p−アミノシクロヘキシル)メタンドデカノアミド,
ポリヘキサメチレンアジパミド(6,6ナイロン),ポ
リメタキシリレンアジパミド(MXD−6ナイロン),
ポリヘキサメチレンアセラミド(6,9ナイロン),及
び、ポリヘキサメチレンドデカノアミド(6,12ナイ
ロン)などの各樹脂が挙げられる。
【0041】また、本発明においては、上述したような
各単独重合樹脂や2種類以上の共重合体樹脂、または、
これら単独及び共重合体樹脂の2種類以上のブレンド物
であっても良く、ポリマーアロイであっても良く、これ
らに限定されるものではない。
【0042】今後、廃棄物、公害対策として、射出成形
品の廃棄処理性を考慮した場合は、安価な6−ナイロン
樹脂とポリカプロラクトン(12ナイトン)樹脂とポリ
エチレングリコールの3つの材料を混練した樹脂組成物
を用いて射出成形した射出成形品が、光と微生物の両方
で分解される特性を有するので、特に好ましい。この樹
脂組成物は、光が当たるとポリエチレングリコールが分
解されて粉々になり、その後、残留部分が土壌中の微生
物によって分解される。
【0043】本発明に用いられる、各種の特性が優れた
最も好ましい、エンジニアリングプラスチックの1つで
ある、芳香族ポリエステル樹脂としては、芳香族または
脂肪族ジオールと、芳香族または脂肪族二塩基酸とを重
縮合反応させて得られる樹脂であり、従来公知のものを
広く使用することができる。
【0044】上述したような芳香族ポリエステル樹脂と
しては、例えば、ポリブチレンテレフタレート,ポリエ
チレンテレフタレート(PET),ポリエチレンナフタ
レート(PEN)等の各樹脂を挙げることができる。こ
れらの中でも、容量比6対4で混合したフェノール−テ
トラクロロエタンの混合溶剤で測定した場合の極限粘度
が0.7〜1.2の範囲内にあるものが好適である。
【0045】そして、ポリスチレン系樹脂としては、例
えば、一般用のポリスチレン樹脂,耐衝撃性ポリスチレ
ン樹脂(合成ゴムグラフト重合ポリスチレン樹脂とも言
う),スチレン−アクリロニトリル樹脂,スチレン−ア
クリロニトリル−ブタジエン樹脂,AES樹脂,スチレ
ン−メタクリル酸メチル−アクリロニトリル樹脂,アク
リロニトリル−アクリルゴム−スチレン樹脂,スチレン
−ブタジエンブロック共重合体樹脂,スチレン−無水マ
レイン酸共重合体樹脂等が挙げられる。
【0046】ポリエチレン系樹脂としては、例えば、高
密度ホモポリエチレン樹脂(HDPE),低密度ホモポ
リエチレン樹脂(LDPE),エチレン−αオレフィン
共重合体樹脂,エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂,エ
チレン−プロピレン共重合体樹脂,エチレン−アクリル
酸エステル共重合体樹脂,エチレン−グリシジル(メ
タ)アクリレート樹脂等を挙げることができる。
【0047】ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、
ポリプロピレン樹脂,プロピレン−αオレフィン共重合
体樹脂,プロピレン−酢酸ビニル共重合体樹脂,プロピ
レン−塩化ビニル共重合体樹脂等を挙げることができ
る。また、ポリアミド系樹脂としては、例えば、アミノ
カルボン酸化合物単独、或いは、ジカルボン酸化合物と
ジアミン化合物とからなる縮重合体樹脂,α−カプロラ
クタム,またはω−カプロラクタムを閉環重合して得ら
れる樹脂を挙げることができる。
【0048】ポリエーテル系樹脂としては、例えば、ポ
リフェニレンエーテル(共)重合体樹脂,ポリエーテル
イミド重合体等を挙げることができる。ポリスルホン酸
系樹脂としては、例えば、ポリスルホン樹脂,ポリエー
テルスルホン樹脂等を挙げることができる。
【0049】上述したような各熱可塑性樹脂の中でも、
特に芳香族ポリエステル樹脂、耐衝撃性ポリスチレン樹
脂(ブタジエンゴム等の合成ゴム含有ポリスチレン樹
脂)、及びスチレン−アクリロニトリル−ブタジエン樹
脂(以後ABS樹脂と表示)が好適である。PC樹脂と
他の熱可塑性樹脂との混合割合としては、特に限定され
るものではないが、PC樹脂と他の熱可塑性樹脂との混
合樹脂中にPC樹脂が30重量%以上,好ましくは40
重量%以上,特に好ましくは50重量%以上,最も好ま
しくは70重量%以上になるように、これら両者を混合
することが好ましい。
【0050】PC樹脂を含有することにより寸法精度、
耐熱性、剛性、耐摩耗性、耐衝撃強度等が写真感光材料
の写真性に悪影響を及ぼすことが少ないで向上させるこ
とができるので、カメラ、ミニラボやその他の写真フイ
ルムや印画紙の現像処理機、シート写真フイルムパック
ホルダー等、重量が100g以上の写真感光材料用射出
成形品として最適である。
【0051】本発明に用いられるエンジニアリングプラ
スチックの1つである、ポリフェニレンエーテル系樹脂
の単独重合体樹脂の代表例としては、例えば、ポリ
(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル,
ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)
エーテル,ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレ
ン)エーテル,ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−
1,4−フェニレン)エーテル,ポリ(2,6−ジ−n
−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル,ポリ(2
−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エー
テル,ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−
フェニレン)エーテル,ポリ(2−メチル−6−クロロ
エチル−1,4−フェニレン)エーテル,ポリ(2−メ
チル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エ
ーテル,ポリ(2−エチル−6−クロロエチル−1,4
−フェニレン)エーテル等のホモポリマーを挙げること
ができる。
【0052】ポリフェニレンエーテル共重合体の代表例
としては、例えば、2,6−ジメチルフェノールと2,
3,6−トリメチルフェノールとの共重合体樹脂、又
は、o−クレゾールとの共重合体樹脂、或いは、2,
3,6−トリメチルフェノール及びo−クレゾールとの
共重合体樹脂等、ポリフェニレンエーテル構造を主体と
するポリフェニレンエーテル共重合体樹脂を包含する。
【0053】また、本発明に用いるポリフェニレンエー
テル系樹脂は、本発明の課題に反しない限り、ポリフェ
ニレンエーテル樹脂中に存在させてもよいことが、従来
から提案されている、他の各種のフェニレンエーテルユ
ニットを部分構造として含んでいても何ら差し支えな
い。これらの内、少量共存させて良いことが提案されて
いるものの例としては、例えば、特願昭63−1269
8号、及び特開昭63−301222号公報に記載され
ている、2−(ジアルキルアミノメチル)−6−メチル
フェニレンエーテルユニットや、2−(N−アルキル−
N−フェニルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエ
ーテルユニット等を挙げることができる。
【0054】さらに、例えば、特開平2−276823
号公報の第9頁右上欄の図を除いた上より第7行〜第1
0頁左上欄第16行までの記載、特開昭63−1080
59号公報の第8頁左上欄第4行〜左下欄第1行までの
記載、及び、特開昭59−59724号公報の第2頁左
下欄下から第4行〜右下欄第3行の記載等に例示されて
いる、炭素−炭素2重結合をもつ化合物により変性され
たポリフェニレンエーテル樹脂も含む。
【0055】これらのポリフェニレンエーテル樹脂にお
いて、炭素−炭素2重結合をもつ化合物により変性され
たポリフェニレンエーテル樹脂が好ましい。このよう
な、炭素−炭素2重結合をもつ化合物としては、例え
ば、スチレン,炭素数9以上22以下のアルキル、アル
ケニル、アラルキル、シクロアルキル基とのアクリル酸
エステル樹脂、及びメタクリル酸エステル樹脂が好まし
い。
【0056】本発明に用いるポリフェニレンエーテル樹
脂は、分子量が、数平均分子量で約1000〜1000
00であることが好ましい。更に好ましくは、約600
0〜60000の範囲のものである。なお、本発明にお
ける数平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマト
グラフィー(以後GPCと表示)により、標準のポリス
チレンの検量線を用いて求めたポリスチレン換算の数平
均分子量である。
【0057】次に、本発明に用いられる熱可塑性樹脂に
遮光性を付与するための遮光性物質の代表的な例を以下
に示す。 1.無機化合物 A.酸化物; シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタ
ン、酸化鉄(鉄黒)、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸
化アンチモン、バリウムフェライト、ストロンチウムフ
ェライト、酸化ベリリウム、軽石、軽石バルーン、アル
ミナ繊維等 B.水酸化物; 水酸化アルミニウム、水酸化マグネシ
ウム、塩基性炭酸マグネシウム等 C.炭酸塩; 炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ド
ロマイト、ドーソナイト等
【0058】D.(亜)硫酸塩; 硫酸カルシウム、硫
酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム等 E.ケイ酸塩; タルク、クレー、マイカ、アスベス
ト、ガラス繊維、ガラスバルーン、ガラスビーズ、ケイ
酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト等 F.炭素; カーボンブラック、グラファイト、炭素繊
維、炭素中空球等 G.その他; 鉄粉、銅粉、鉛粉、アルミニウム粉、硫
化モリブデン、ポロン繊維、炭化ケイ素繊維、黄銅繊
維、チタン酸カリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、ホウ酸
亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸
ナトリウム、アルミニウムペースト、タルク等
【0059】2.有機化合物 木粉(松、樫、ノコギリクズなど)、殻繊維(アーモン
ド、ピーナッツ、カシューナッツ、ヘーゼルナッツ、マ
カダミアナッツ、モミ殻など)、木綿、ジュート、紙細
片、セロハン片、ナイロン繊維、ポリプロピレン繊維、
デンプン(変性デンプン、表面処理デンプンも含む)、
芳香族ポリアミド繊維等
【0060】これら遮光性物質の中で、写真性に悪影響
を及ぼすことが少なく、150°C以上の射出成形下で
も熱に安定であり、射出成形品を不透明化する無機化合
物が好ましく、特に、遮光性、耐熱性、耐光性が優れ比
較的不活性な物質である、光吸収性のカーボンブラック
と窒化チタンとグラファイト、及び鉄黒が好ましい。最
も好ましい遮光性物質は、安価で遮光能力が大きく、写
真感光材料の写真性に悪影響を及ぼすことが少なく、2
00℃以上でも熱に安定であり、人体に無害であり、焼
却処理が可能であり、且つ、熱可塑性樹脂の熱安定化作
用があり、太陽光下で長期間使用しても劣化が殆ど射出
成形品に発生しない優れた作用もあるカーポンブラック
である。
【0061】本発明において最も好ましい遮光性物質で
ある、カーボンブラックの原料による分類例をあげると
ガスブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラッ
ク、アントラブラック、アセチレンブラック、ケッチェ
チェンカーボンブラック、サーマルブラック、ランプブ
ラック、油煙、松煙、アニマルブラック、ベジタブルブ
ラック等がある。
【0062】好ましいカーボンブラックの市販品の代表
例としては、例えば、三菱化学製のカーボンブラック♯
20(B),♯30(B),♯33(B),♯40,♯
41(B),♯44(B),♯45(B),♯50,♯
55,♯100,♯600,♯950,♯1000,♯
2200,♯2200(B),♯2400(B),MA
8,MA11,MA100 等が挙げられる。
【0063】海外の製品としては、例えばキャボット社
のBlack Pearls 2,46,70,71,
74,80,81,607等、Regal 300,3
30,400,660,991,SRF−S等、Vul
can 3,6,XC−72等、Sterling 1
0,SO,V,S,FT−FF,MT−FF等を挙げる
ことができる。
【0064】さらにアシュランドケミカル社のUnited
R,BB,15, 102, 3001, 3004, 3006, 3007, 3008, 3
009, 3011, 3012,XC−3016, XC−3017, 3020等が挙
げられるが、これらに限定されるものではない。
【0065】本発明では、写真感光材料の写真性に悪影
響を及ぼすことが少なく、180℃以上(一部のエンジ
ニアリングプラスチックでは300℃以上)の成形温度
に耐え、遮光能力が大きく、低コストであり、成形品の
物性低下が小さいファーネスカーボンブラックが好まし
く、帯電防止効果を有するカーボンブラックとしてはア
セチレンカーボンブラック、変性副生カーボンブラック
であるケッチェンカーボンブラック、及び、導電性ファ
ーネスカーボンブラック(バルカンXC−72等)が好
ましい。必要により前者と後者を必要特性に従ってミッ
クスすることも好ましい。遮光生物質を熱可塑生樹脂に
配合する形態を大別すると下記のようになる。
【0066】(1)均一着色ペレット状(カラーコンパ
ウンドと言われる最も一般的に用いられているもの) (2)分散生粉末状(ドライカラーとも呼ばれる、種々
の表面処理剤で処理し、さらに分散助剤を加えて微粒子
状に粉砕した粉末状のもの) (3)ペースト状(可塑剤等に分散させたもの) (4)液状(リキッドカラーとも呼ばれる界面活性剤等
に分散した液状のもの) (5)マスターバッチペレット状(遮光性物質を着色し
ようとするプラスチック中に高濃度に分散したもの) (6)潤性粒粉末状(遮光性物質をプラスチック中に高
濃度に分散させたのち、粒粉末状に加工したもの) (7)乾燥粉末状(普通の無処理の乾燥粉末状のもの)
【0067】遮光性物質を熱可塑性樹脂に配合する形態
は上記のように種々あるが、マスターバッチ法がコス
ト、作業場の汚染防止等の点で好ましい。本出願人も特
公昭63−186740号公報で遮光性物質を特定エチレン・エ
チルアクリレート共重合体樹脂に分散した着色マスター
バッチ用樹脂組成物を開示している。
【0068】本発明の写真感光材料用射出成形品として
使用する上で写真感光材料にカブリを発生させることな
く、感光度の増減の発生が少なく、遮光能力が大きく、
熱可塑性樹脂に添加した場合でもカーボンブラックの固
り(ブツ)が発生しにくい点で、カーボンブラックの中
でも特にpH(JIS K 6221で測定) が6.0 〜9.0
、平均粒子径(電子顕微鏡で測定)が 10 〜120 m
m、特に10〜80mmのものが好ましく、これらの中でも
特に揮発成分(JIS K 6221で測定)が 2.0%以
下、DBP吸油量(JIS K 6221の吸油量A法で測
定)が50ml/100g以上のファーネスカーボンブラックが
低コストで写真性が良好であり、遮光性向上と帯電防止
性の向上と、分散性向上、射出成形品の物理特性低下が
少ない点で好ましい。
【0069】また、射出成形品のASTM D 1619−
60に準拠した測定方法による硫黄成分は0.9%以下、
好ましくは0.6%以下、特に好ましくは0.4%以
下、特に好ましくは0.2%以下にしないとカブリ増加
や感度や発色異常等の写真感光材料の写真性に悪影響を
及ぼす。
【0070】特に直接写真感光材料の写真性に大きく悪
影響を及ぼす遊離硫黄成分(各試料を液体窒素で冷却固
化後粉砕し、この粉砕した試料100gをソックスレー抽出
器に入れ 700ホルムで60°C で8時間抽出冷却後、全容
を 100mlとする。この溶液10ml を高速液体クロマトグ
ラフに注入し、イオウを定量する。
【0071】高速液体クロマトグラフ分離条件は、カラ
ム;ODSシリカカラム(4.5φ×150mm)、分離液;メタ
ノール95と氷5(酢酸とトリエチルアミンをそれぞれ 0.1
%含む)流速;1ml/分、検出波長;254mm、定量は絶対
検量線法によって行う。)は0.1%以下、好ましくは0.0
5%以下、特に好ましくは0.01%以下、最も好ましくは
0.005 %以下である。また、写真性を悪化させるアルデ
ヒド化合物含有量は0.2%以下、好ましくは0.1%
以下、特に好ましくは0.05%以下、最も好ましくは
0.01%以下である。
【0072】また、写真性を悪化させるシアン化合物含
有量(4−ピリジンカルボン酸・ピラゾロン吸光分析法
にて定量したシアン化水素量を遮光性物質の重量に対す
る PPM単位に換算した値)が50PPM 以下、好ましくは 2
0PPM以下、特に好ましくは10PPM 以下、最も好ましくは
5PPM 以下であり、ヨウ素吸着量(JIS K 6221 で測定)
が20mg/g以上、好ましくは30mg/g以上、特に好ましくは
50mg/g以上、最も好ましくは80mg/g以上で、かつジブチ
ルフタレート(DBP)吸油量((JIS K 6221のA法によ
る測定)が 50ml/100g以上、好ましくは 60ml/100g以
上、特に好ましくは 70ml/100g以上、最も好ましくは10
0ml/100g以上のカーボンブラックである。
【0073】カーボンブラックの次に好ましい遮光性物
質はLarsen の油浸法で測定した屈折率が1.50以上の無
機顔料と各種の金属粉末、金属フレーク、金属ペース
ト、金属繊維及び炭素繊維である。好ましい屈折率が1.
50以上の無機顔料と金属粉末の代表例を以下に示すが、
本発明はこれらに限定されるものではない。なお、()
内の数字は屈折率を示す。
【0074】屈折率が1.50以上の無機顔料としては、例
えば、ルチル型酸化チタン(2.75)、炭化ケイ素(2.6
7) 、アナターゼ型酸化チタン(2.52) 、酸化亜鉛(2.3
7)、酸化アンチモン(2.35)、鉛白(2.09)、亜鉛華
(2.02)、リトポン(1.84)、ジルコン(1.80)、コラ
ンダム(1.77)、スピネール(1.73)、アパタイト(1.
64)、バライト粉(1.64)、硫酸バリウム(1.64)、マ
グネサイト(1.62)、ドロマイト(1.59)、炭酸カルシ
ウム(1.58)、タルク(1.58)、硫酸カルシウム(1.5
6)、無水ケイ酸(1.55)、石英粉(1.54)、水酸化マ
グネシウム(1.54)、塩酸性炭酸マグネシウム(1.5
2)、アルミナ(1.50)等がある。特に好ましいもの
は、屈折率が1.56以上、最も好ましいものは1.60以上の
遮光性物質である。
【0075】屈折率が1.50未満のケイ酸カルシウム(1.
46)、ケイ藻土(1.45)、含水ケイ酸(1.44)等は遮光
能力が小さいので多量の添加が必要で、ブロッキング防
止剤としては有効であるが、遮光性物質としての使用は
好ましくない。また、最近の海外旅行ブームにより、空
港での手荷物検査においてX線を用いた検査機にISO
感度が 400以上の高感度写真フイルムを通過させるとX
線によりカブリが発生しやすくなる。これを防止するた
めに比重が 3.1以上、好ましくは 3.4以上の遮光性物質
を用いることが好ましい。比重が 3.1以上、好ましくは
3.4以上、特に好ましくは 4.0以上の遮光性以外にX線
遮断性を有する遮光性物質の形態は以下に代表例を例示
したものに限定されず、いかなる形態、例えば顔料、粉
末、フレーク、ウィスカー、ファイバー等であってよ
い。
【0076】比重が 3.1以上の遮光性物質としては、例
えば、炭化ケイ素、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、
酸化鉛(鉛白)、酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウ
ム、チタン酸バリウム、銅粉末、鉄粉末、黄銅粉末、ニ
ッケル粉末、銀粉末、鉛粉末、鋼粉末、亜鉛粉末、タン
グステンウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、銅ウィス
カー、鉄ウィスカー、ニッケルウィスカー、クロムウィ
スカー、ステンレス粉およびウィスカー、マグネサイ
ト、アパタイト、スピネール、コランダム、ジルコン、
三酸化アンチモン、炭酸バリウム、亜鉛華、酸化クロミ
ニウム,錫粉およびこれらの混合物等がある。
【0077】特にX線遮断性を付与するのに好ましい遮
光性物質はジルコン、コランダム、硫酸バリウム、塩化
バリウム、チタン酸バリウム、鉛粉末、酸化鉛、亜鉛粉
末、亜鉛華、錫粉末、ステンレス粉末、ステンレスウィ
スカー、酸化鉄、タングステンウィスカー、ニッケルウ
ィスカーである。ISO感度が 400以上の超高感度写真
感光材料用射出成形品として特に好ましい遮光性物質は
屈折率が1.50以上、比重が 3.1以上であり、最も好まし
いのは屈折率が1.56以上、比重が 3.4以上の遮光性物質
である。
【0078】これらの遮光性物質の含有量は層厚や使用
する樹脂の種類によって変化するが、 0.1〜30重量%、
好ましくは 0.3〜20重量%、特に好ましくは 0.5〜10重
量%、最も好ましくは 1.0〜7重量%である。遮光性物
質の屈折率及び比重を表1に示す。
【0079】
【表1】
【0080】本発明に用いられる熱可塑性樹脂に混練さ
れる遮光性物質は、射出成形時における流動性を適正に
保つために、粒子のアスペクト比が3以下の粉末状遮光
性物質が用いられる。このような、アスペクト比が3以
下の粉末状遮光性物質を以下に示す。
【0081】アスペクト比が3以下の粉末状遮光性物質
の代表例 カーボンブラック,溶融シリカ,結晶シリカ,石英粉
末,ガラスビーズ,ガラス粉,硅酸カルシウム,硅酸ア
ルミニウム,カオリン,タルク,クレー,硅藻土,ウォ
ラストナイトのような硅酸塩,酸化鉄,鉄黒,酸化チタ
ン,酸化亜鉛,アルミナのような金属の酸化物,炭酸カ
ルシウム,炭酸マグネシウムのような金属の炭酸塩,硫
酸カルシウム,硫酸バリウムのような金属の硫酸塩,そ
の他、炭化硅素,窒化硼素,各種金属粉末。
【0082】これらのアスペクト比が3以下、好ましく
は2.5以下、特に好ましくは2.2以下、最も好まし
くは2.0以下の粉末状遮光性物質のモース硬度の代表
例を表2に示す。
【0083】
【表2】
【0084】これら、アスペクト比が3以下の粉末状遮
光性物質の中で、モース硬度が2.5以下の粉末状遮光
性物質と、モース硬度が2.6以上の粉末状遮光性物質
を併用すると、遮光能力が大幅に向上するので、これら
を併用することが好ましい。この遮光能力の向上は、モ
ース硬度が大きい遮光性物質が、モース硬度が小さい遮
光性物質の分散剤として働くものと考えられる。
【0085】本発明に用いられる熱可塑性樹脂に混練さ
れる繊維状充填剤は、射出成形品の機械的強度を向上さ
せ、また、熱的特性を向上させるために、繊維のアスペ
クト比が5以上の繊維状充填剤が用いられる。このよう
な、アスペクト比が5以上の繊維状充填剤としては、例
えば、ガラス繊維,アスベスト繊維,カーボン繊維,シ
リカ繊維,シリカ・アルミナ繊維,ジルコニア繊維,チ
タン酸カリウムウィスカー,窒化硼素繊維,窒化硅素繊
維,硼素繊維,チタン酸カリウム繊維等が挙げられる。
【0086】また、ステンレス,アルミニウム,チタ
ン,銅,真鍮等の金属の繊維状物などの無機質繊維状物
質を挙げることができる。特に好ましい繊維状充填剤と
しては、ガラス繊維,チタン酸カリウム繊維,または、
カーボン繊維が挙げられる。なお、芳香族ポリアミド,
フッ素樹脂,アクリル樹脂などの高融点有機質繊維状物
質も使用することができる。その他にも、重質柱状炭酸
カルシウム,繊維状マグネシウムオキシサルフェート,
珪酸カルシウム(ワラストナイトとも言う),エンスタ
タイト,白土,石膏,オーカー等も使用することができ
る。
【0087】特に好ましい繊維状充填剤としては、チタ
ン酸カリウム繊維とカーボン繊維と繊維状マグネシウム
オキシサルフェートと珪酸カルシウム(ワラストナイ
ト)とガラス繊維があり、最も好ましい繊維状充填剤と
しては、チタン酸カリウム繊維と繊維状マグネシウムオ
キシサルフェートとガラス繊維である。
【0088】本発明に使用される、アスペクト比が5以
上の最も好ましい繊維状充填剤の1つである、チタン酸
カリウム繊維のチタン酸カリウムウィスカーは、例え
ば、一般式K2 O・n(TiO2 )または、K2 O・n
(TiO2 )・1/2H2 O(n=2〜8の整数)で表
される単結晶繊維である。例えば、4−チタン酸カリウ
ム繊維,6−チタン酸カリウム繊維,又は8−チタン酸
カリウム繊維等が挙げられる。これらは、それぞれ単独
でも、また、2種類以上の混合物であってもよい。
【0089】チタン酸カリウムウィスカーの平均繊維径
は、0.01〜3μm、好ましくは0.05〜2.5μ
m以下、より好ましくは0.1〜2.0μm、特に好ま
しくは0.2〜1.5μm、最も好ましくは0.3〜
1.0μmの範囲内である。平均繊維長は3〜150μ
m、好ましくは5〜100μm、特に好ましくは7〜7
0μm、最も好ましくは10〜50μmである。そし
て、これら平均繊維径と平均繊維長との比であるアスペ
クト比は、5〜2000,好ましくは10〜1000以
下、より好ましくは15〜500,特に好ましくは20
〜300,最も好ましくは25〜150である。
【0090】これらチタン酸カリウムウィスカー等の繊
維状充填剤は、ビニルシラン,エポキシシラン,アミノ
シラン,及びメルカプトシラン等の各種シランカップリ
ング剤の1種以上で表面処理されていてもよい。また、
前記シリコーン系滑剤、特に写真性の良好なジメチルポ
リシロキサン、及び,又はジメチルポリシロキサンの変
性物で表面処理されていることが好ましい。
【0091】これらのチタン酸カリウムウィスカーの市
販品としては、例えば、「ティスモ」(商品名:大塚化
学株式会社製)がある。これは、平均繊維径が0.1〜
0.9μm、平均繊維長が7〜20μmの高強度単結晶
ウィスカーである。具体例としては、「ティスモ−D」
(商品名)は、平均繊維径が0.3μm、平均繊維長が
12μm、アスペクト比が40である。
【0092】導電性チタン酸カリウムウィスカーとして
は、一般式K2 O・n(TiO2-t)(但し,2≦n≦
12,0≦t≦2,各々実数)で表されるチタン酸カリ
ウムウィスカー、または、無電解メッキ法、浸漬法、若
しくはスプレーコート法等によりチタン酸カリウムウィ
スカーの表面に導電性、あるいは半導電性の金属や金属
酸化物などを付着させ、又は沈着させたもの等を用いる
ことができる。これらの形状としては、平均繊維径が
0.01〜1.0μm、平均アスペクト比が10以上の
ものが特に好ましい。
【0093】本発明で最も好ましい繊維状充填剤の1つ
である繊維状マグネシウムオキシサルフェートは、平均
繊維長が1〜20μm,アスペクト比は10〜80であ
り、市販品としては、例えば、宇部化学工業株式会社製
のモスハイジ(商品名)があり、これは、平均繊維長が
3〜25μm,平均アスペクト比が15〜60である。
【0094】本発明に用いることができる三次元構造を
有する酸化亜鉛ウィスカーとは、テトラポット状に結晶
成長した酸化亜鉛ウィスカーであり、平均繊維径が0.
2〜3.0μm、平均繊維長が2.0〜50μmのもの
が好ましく用いることができる。このような、三次元構
造を有する酸化亜鉛ウィスカーの市販品としては、例え
ば、「パナテトラ」(商品名:松下アムテック株式会社
製)等が挙げられる。
【0095】一般式として、aAX Y ・bB2
3 (但し、a及びbは1〜9の実数、Aは1〜3価の金
属元素、X及びYは、X=2,Y=1又は、X=1,Y
=1若しくは、X=2,Y=3)で表される硼酸金属塩
系ウィスカーにおいて、Aとしては、例えば、マグネシ
ウム,カルシウム,クロム,マンガン,鉄,コバルト,
ニッケル,銅,亜鉛,アルミニウム,ガリウム,ストロ
ンチウム,イットリウム,ジルコニウム,ニオブ,モリ
ブデン,鉛、バリウム,タングステン,リチウム等を挙
げることができる。
【0096】中でも、例えば、Aがアルミニウムである
硼酸アルミニウムウィスカー、Aがマグネシウムである
硼酸マグネシウムウィスカー、Aがニッケルである硼酸
ニッケルウィスカー等が好ましい。更に好ましいものと
して、9Al2 3 ,2B23 、又はAl2 3 ・B
2 3 等の化学式で表されるものを挙げることができ
る。
【0097】これらのウィスカーは、何れも白色針状結
晶であり、例えば、アルミニウム水酸化物、及びアルミ
ニウム無機塩の中から選ばれる少なくとも1つのアルミ
ニウム供給成分と、硼素の酸化物、酸素酸、及びアルカ
リ金属塩の中から選ばれる少なくとも1つの硼素供給成
分とを、更に、好ましくはアルカリ金属の硫酸塩,塩化
物、及び炭酸塩の中から選ばれる少なくとも1つの溶融
剤の存在下において、600〜1200℃の範囲内の焼
成温度に加熱して反応、育成させることにより、容易に
製造することができる。
【0098】例えば、9Al2 3 ,2B2 3 で表さ
れる硼酸アルミニウムウィスカーは、真比重2.93〜
2.95、融点1420〜1460℃であり、焼成温度
900〜1200℃の範囲内にて製造されたものが好ま
しい。また、例えば、2Al 2 3 ,B2 3 で表され
る硼酸アルミニウムウィスカーは、真比重2.92〜
2.94、融点1030〜1070℃であり、焼成温度
600〜1000℃の範囲内にて製造されたものが好ま
しい。
【0099】現在、市販されている硼酸アルミニウムウ
ィスカーとしては、例えば、9Al 2 3 ・2B2 3
の化学式で表される、「アルボレックスG」(商品名:
四国化成工業株式会社製)が挙げられる。このウィスカ
ーは、平均繊維径が0.5〜1.0μm、平均繊維長が
10〜50μmである。また、必要に応じて、上記9A
2 3 ,2B2 3 を酸化雰囲気、又は還元雰囲気中
にて1200〜1400℃の範囲内の温度で加熱するこ
とにより、硼酸成分の一部を離脱させた繊維も使用する
ことができる。
【0100】本発明に使用することができる硼酸マグネ
シウムウィスカーとしては、より具体的には、例えば、
2MgO・B2 3 の化学式で表されるものを例示する
ことができる。このようなウィスカーは、白色針状結晶
であり、例えば、マグネシウムの酸化物,水酸化物、及
びマグネシウム無機塩の中から選ばれる少なくとも1つ
のマグネシウム供給成分と、硼素の酸化物、酸素酸、及
びアルカリ金属塩の中から選ばれる少なくとも1つの硼
素供給成分とを、更に、好ましくはハロゲン化ナトリウ
ム、及びハロゲン化カリウムの中から選ばれる少なくと
も1つの溶融剤の存在下において、600〜1000℃
の範囲内の焼成温度に加熱して反応、育成させることに
より、容易に製造することができる。
【0101】例えば、2MgO・B2 3 で表される硼
酸マグネシウムウィスカーは、真比重2.90〜2.9
2、融点1320〜1360℃のものが好ましい。これ
らの硼酸アルミニウムウィスカーや、硼酸マグネシウム
ウィスカーは、平均繊維径が0.05〜5.0μm、平
均繊維長が2〜100μmのものが製造可能であり、何
れも本発明に使用可能であるが、製造に際しての容易さ
の観点から、平均繊維径が0.1〜2.0μm、平均繊
維長が10〜50μmのものが好ましく用いられる。
【0102】一般式として、pMV W ・qSiO2
rH2 O(但し、1≦p≦3,1≦q≦3,0≦r≦1
0の各々実数、V及びWは、V=2,W=1又は、V=
1,W=1若しくは、V=2,W=3、Mは1〜3価の
金属元素)で表される硅酸金属塩系ウィスカーにおい
て、Mとしては、例えば、マグネシウム,カルシウム,
クロム,マンガン,鉄,コバルト,ニッケル,銅,亜
鉛,アルミニウム,ガリウム,ストロンチウム,イット
リウム,ジルコニウム,ニオブ,モリブデン,鉛、バリ
ウム,タングステン,リチウム等を挙げることができ
る。
【0103】このような硅酸金属塩系ウィスカーとし
て、例えば、CaO・SiO2 (ワラストナイト),6
CaO・6SiO2 ・H2 O(ゾノトライト)、3Al
2 3・2SiO2 (ムライト)、2ZnO・SiO2
(硅酸亜鉛)、2MgO・3SiO2 ・3.5H2
(セピオライト)、3MgO・2SiO2 ・2H2
(クリソタイル)等を挙げることができる。中でも特に
CaO・SiO2 の化学式で示されるワラストナイト、
及び、6CaO・6SiO2 ・H2 Oの化学式で示され
るゾノトライトが好ましいものとして挙げることができ
る。
【0104】前述したワラストナイトは、天然に産出す
る白色針状結晶であり、その形状としては繊維状のもの
や塊状のものを問わず、そのまま、又は粉砕、分級した
ものを使用することができる。また、合成したものであ
ってもよい。繊維状物は、粉砕方法、及び産地により、
平均繊維径と平均繊維長とのアスペクト比に差異が生じ
るが、一般的にアスペクト比の大きいβ型のワラストナ
イトが補強性能の点から好ましい。
【0105】成形品の機械的性質、及び熱的特性の向上
のためには、平均繊維径と平均繊維長とのアスペクト比
が6以上の成分を60重量%以上、好ましくは80重量
%以上含有しており、かつ、繊維径が5μm以下の成分
を80重量%以上、好ましくは95重量%以上含有して
いる、細かくて長いワラストナイトを使用することが好
ましい。例えば、アスペクト比が10以上の成分を60
重量%以上含有していても、繊維径が6μm以上の成分
を80重量%以上含有しているような、太くて長いワラ
ストナイトの場合は、樹脂との混練中に折れやすく、成
形品の機械的性質、及び熱的特性を兼備させることは困
難である。
【0106】その他にも、現在市販されているワラスト
ナイトにも、上述したような水準を満たすものがあり、
これらの平均繊維径は、2.0μm、平均繊維長25μ
mであり、繊維径5μm以下の成分が95重量%以上
で、かつ、アスペクト比が6以上の成分を90重量%以
上含有しているため、補強性能や表面平滑性に極めて優
れている。
【0107】一方、ゾノトライトは、化学組成6CaO
・6SiO2 ・H2 Oで示される繊維状硅酸カルシウム
であり、既に平均繊維径が0.5〜1μm、平均繊維長
が2〜5μm、平均繊維径と平均繊維長とのアスペクト
比が2〜15のものが合成されている。できるだけアス
ペクト比の大きい(6以上が好ましい)ものが、機械的
特性、及び耐熱性(熱変形温度)を向上する効果に優れ
ているために好ましい。
【0108】これらの繊維状の充填剤を使用するにあた
っては、必要ならば収束剤、又は表面処理剤を使用する
ことが望ましい。例えば、エポキシ系化合物,イソシア
ネート系化合物,シラン系化合物,チタネート系化合物
等の官能性化合物である。これらの化合物はあらかじめ
充填剤に表面処理、または収束処理を施して用いるか、
または、材料調製の際に同時に添加してもよい。
【0109】更に、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、
一般に熱可塑性樹脂に添加される公知の添加剤、すなわ
ち酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤、帯電防止剤、
難燃剤、染料や顔料等の着色剤、潤滑剤、離型剤等も要
求される性能に応じて適宜添加することができる。
【0110】本発明では、各種特性を最大限に発揮させ
るために、遮光性物質や繊維状の充填剤の表面を、シラ
ンカップリング剤等で表面処理されているものが最も好
ましい。このような表面処理により、芳香族ポリカーボ
ネート樹脂の分解が抑制される。上述したシランカップ
リング剤とは、化2に示されるような構造を有するもの
である。
【0111】
【化2】
【0112】化2において、Yはアミノ基,エポキシ
基,カルボン基,ビニル基,メルカプト基,ハロゲン原
子等の樹脂マトリックスと反応性、または親和性を有す
る基を示す。Rは単結合、または炭素数1〜7のアルキ
レン基を表し、そのアルキレン分子鎖中にアミド結合,
エステル結合,エーテル結合,或いはイミノ結合が介在
してもよい。Xはアルコキシ基、好ましくは炭素数1〜
4のアルコキシ基、またはハロゲン原子で表されるシラ
ン化合物をいう。
【0113】このようなシランカップリング剤であるシ
ラン化合物の具体例として、例えば、ビニルトリクロル
シラン,ビニルトリエトキシシラン,ビニルトリメトキ
シシラン,γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシ
ラン,β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル
トリメトキシシラン,γ−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン,N−β(アミノエチル)γ−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン,γ−アミノプロピルトリエト
キシシラン,N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメ
トキシシラン,及びγ−クロロプロピルトリメトキシシ
ラン等を挙げることができる。
【0114】帯電防止作用や防霧性等の効果を発揮し、
しかも、本発明に使用される遮光性物質や充填剤の分散
性を向上させるための表面被覆剤として使用するノニオ
ン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン
トリデシルエーテル,ポリオキシエチレンオレイルエー
テル,ポリエチレングリコール,ポリオキシエチレンノ
ニルフェニルエーテル,ポリオキシエチレンオクチルフ
ェニルエーテル,ポリオキシエチレンポリオキシプロピ
レンブロックポリマー,ソルビタンモノラウレート,ソ
ルビタンモノオレエート,ポリオキシエチレンドデシル
アミン,ポリグリセリンオレイン酸エステル等が挙げら
れる。
【0115】上述したような、ノニオン系界面活性剤の
中でも、特にポリオキシエチレントリデシルエーテル,
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル,ポリオキ
シエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー,ポ
リオキシエチレンドデシルアミン,ポリエチレングリコ
ール,ポリプロピレングリコール等、1気圧、30℃の
環境において液状のものが、特にメラミンシアヌレート
の金型への固着防止効果が高く好適である。
【0116】以下に示す表3に、平均粒子径の範囲別
に、代表的な物質を挙げる。
【0117】
【表3】
【0118】以下に示す表4に、モース硬度別に、代表
的な物質を挙げる。
【0119】
【表4】
【0120】本発明の熱可塑性樹脂にX線遮断性を持た
せる場合に、樹脂に混練することができる遮光性物質の
含有量は、3〜80重量%、好ましくは7〜70重量%、よ
り好ましくは10〜60重量%、最も好ましくは20〜50重量
%である。5重量%未満ではX線遮蔽効果がほとんどな
く、80重量%を越えると製造が困難であり、且つ物理強
度や射出成形性に欠け実用化困難である。
【0121】以上、前述の各種の遮光性物質を含む樹脂
組成物中の揮発成分(大部分は水分)は、写真感光材料
に悪影響を与えず、発泡したり、銀条が発生したりして
射出成形性を悪化させないようにするために、100 °
C、5時間での乾燥減量が、好ましくは 2.0重量%以
下、より好ましくは 1.0重量%以下、特に好ましくは
0.5重量%以下、最も好ましくは 0.3重量%以下の乾燥
状態になるようにして使用する( 加熱したり、真空にし
たり、加熱・真空にしたりして乾燥する)。
【0122】ブリードアウトしやすい滑剤や酸化防止剤
や有機造核剤を吸着させたり、脱臭剤、芳香剤、脱酸素
剤等を吸着させる効果を有する吸油性無機顔料の代表例
としては亜鉛華(52)、アスベスチン(50)、クレー
(51)、酸化チタン(56)、カオリン(60)、タルク
(60)、カーボンブラック(60以上)、活性炭等があ
る。( )内の数字は吸油量(JIS K 6221の吸油
量A法で測定。単位ml/100g)を示す。
【0123】金属粉末(金属ペーストも含む)の代表例
としては、アルミニウム粉末、アルミニウムペースト、
銅粉末、ステンレス粉末、鉄粉末、ニッケル粉末、黄銅
粉末、銀粉末、錫粉末、亜鉛粉末、スチール粉末等があ
る。
【0124】アルミニウム粉末は、本発明ではアルミニ
ウム粉末及びアルミニウムペーストを含めた意味であ
り、アルミニウム粉末の表面を表面被覆物質で被覆した
ものと、アルミニウムペーストより低揮発物質を除去し
たものを熱可塑性樹脂に混練したものが好ましい。均一
分散性、成形性、写真性、外観の優れた、臭いの少ない
アルミニウム粉末とするには、平均粒径が 0.3〜50μ
m、好ましくは 0.5〜45μm、特に好ましくは 0.8〜40
μm、平均厚さが0.03〜 0.5μm、好ましくは0.05〜
0.4μm、特に好ましくは0.08〜0.35μm、脂肪酸含有
量が5重量%以下、好ましくは4重量%以下、特に好ま
しくは3重量%以下のアルミニウム粉末である。
【0125】ここにアルミニウムペーストとは、ホール
ミル法、スタンプミル法、又はアトマイズ法等の公知の
方法でアルミニウム粉末を作るときに、ミネラルスピリ
ットと少量のステアリン酸又はオレイン酸等の高級脂肪
酸の存在のもとにペースト状に作ったものである。
【0126】本発明に使用される熱可塑性樹脂組成物に
おいては、このアルミニウムペーストと各種芳香族モノ
ビニル樹脂(ポリスチレン樹脂、ゴム含有ポリスチレン
樹脂等)、ポリオレフィン熱可塑性樹脂(各種ポリプロ
ピレン樹脂、各種ポリエチレン樹脂、酸変性樹脂、EV
E樹脂、EEA樹脂、EAA樹脂等)、低分子量のポリ
オレフィン樹脂、各種熱可塑性エラストマー(Ther
moPlasticelastomer,以後TPEと
表示、代表例としては、ポリブタジエン又はポリイソプ
レンのソフトセグメントと、ポリスチレンのハードセグ
メントとからなるブロック共重合体であるポリスチレン
系TPE,ポリオレフィン系TPE,1,2ポリブタジ
エン系TPE,ポリウレタン系TPE,ポリエステル系
TPE,ポリアミド系TPE,塩素化ポリエチレン系T
PE,ポリフルオロカーボン系TPE等、特にポリスチ
レン系TPEとポリオレフィン系TPEとポリエステル
系TPEとが好ましい。)、パラフィンワックス、粘着
性付与剤(テルペン系樹脂、クマロンインデン系樹脂、
石油系樹脂、鉱油等)、金属石けん等の分散剤等を加熱
混練し、低揮発物質(主として悪臭が強いミネラルスピ
リット、ホワイトスピリット)を真空ポンプ等で除去し
た揮発物質の含有量が3%以下、好ましくは1%以下、
特に好ましくは 0.5%以下のものをアルミニウムペース
トコンパウンド樹脂、アルミニウムペーストマスターバ
ッチ樹脂として使用することが好ましい。
【0127】特にアルミニウムペーストマスターバッチ
樹脂として使用するのが写真感光材料への悪影響や悪臭
をなくすために好ましい。例えはアルミニウムペースト
含有率40重量%のマスターバッチ樹脂中のミネラルスピ
リット含有量が 1.0重量%であっても、これを写真感光
材料用射出成形品中でのアルミニウムペースト濃度を2
重量%にしようとすると、アルミニウムペーストマスタ
ーバッチ1重量部に対してナチュラル樹脂(希釈用樹
脂)19重量部を混練することになり、射出成形品中には
成形中にミネラルスピリットが加熱によりガスとして除
去される分もあるので、ミネラルスピリット含有量は0.
05重量%以下になる。その結果、写真感光材料への悪影
響もなくなる上、悪臭も低減される。
【0128】またアルミニウム粉末とは、溶融アルミニ
ウムをアトマイズ法、粒化法、回転円盤滴下法、蒸発法
等により粉末状にしたものの外、アルミニウム箔をボー
ルミル法やスタンプミル法等で粉砕してフレーク状にし
たものを含む。アルミニウム粉末単体では不安定なので
アルミニウム粉末表面を不活性にする各種の公知の表面
被覆処理が施される。
【0129】特に写真感光材料の写真性に悪影響を与え
ない圧延油を用いて所定の厚さ(5〜20μm、好ましく
は6〜15μm、特に好ましくは7〜10μm)に圧延した
アルミニウム箔をシュレッダー等で切断し、焼き鈍しす
るとともに脂肪酸を除去し、しかる後この切断したアル
ミニウム箔に対して5重量%以下の炭素数が8以上の脂
肪酸(化合物を含む)を添加する。そして、ボールミ
ル、スタンプミル、振動ミルおよびアトライターから選
んだ粉砕機の1つ以上を用いて平均粒子径が 0.3〜50μ
m、平均厚さ0.03〜 0.5μmで、脂肪酸含有量が5重量
%以下のアルミニウム粉末にした。本発明では、このア
ルミニウム粉末が分散性、写真性、光沢が優れ臭いが少
ないので特に好ましい。
【0130】本発明の写真感光材料用射出成形品として
実用化するには品質確保、物理強度確保、写真性能確
保、遮光性確保、写真製を良好に確保、、射出成形性、
経済性等を優れたものにするため、射出成形品中の遮光
物質の好ましい合計含有量を0.1 〜30重量%にしている
が、含有量は遮光性物質の遮光能力や射出成形品の肉厚
によって適宜、変化する。遮光能力の優れたカーボンブ
ラック、酸化チタン及びアルミニウム粉末の場合は遮光
性確保、経済性、物理強度確保、射出成形性等のバラン
スの点から、射出成形品中の合計含有量は0.1 〜30重量
%が好ましく、 0.3〜20重量%がより好ましく、 0.5〜
10重量%が特に好ましく、 0.7〜1.0 重量%が最も好ま
しい。
【0131】合計含有量が0.1重量%未満であると射出
成形品の肉厚を非常に厚くしないと遮光能力が不足し光
カブリを発生する。しかも、この含有量のまま充分な遮
光性を得るために写真感光材料用射出成形品の厚さを大
きくすると、写真感光材料用射出成形品の射出成形サイ
クルが長くなり(冷却時間が長くなるため)、ヒゲマー
クが発生し、樹脂使用量も多く高価になるので、実用化
困難である。
【0132】また、含有量が30重量%を超えると、分散
性が悪化し、ミクログリッド(凝集不純物)の発生が多
くなり、写真感光材料に圧力カブリや擦り傷を発生させ
たり、写真感光材料用射出成形品中の水分量がカーボン
ブラックに吸着した水分増加により多くなり、写真感光
材料の写真性に悪影響(カブリの発生、感度異常、発色
異常等)を及ぼす。さらに、写真感光材料用射出成形品
の射出成形性悪化(発泡、銀条、焼け、ピンホール、シ
ョートショット等の成形故障が発生)や物理強度の低下
となり実用化困難である。
【0133】遮光性物質(カーボンブラック、鉄黒等の
光吸収性遮光性物質、アルミニウム粉末、酸化チタン等
の光吸収性遮光性物質、及び屈折率が1.50以上の無機顔
料、比重が 3.4以上の無機顔料、吸油量が50ml/100g以
上の無機顔料が特に好ましい)の、樹脂中への分散性向
上、樹脂流動性向上、写真感光材料に摩擦カブリや圧力
カブリ、擦り傷等を発生させるミクログリットの発生防
止、写真性に有害な揮発性物質の発生を防止、吸湿抑
制、及び金型表面汚れ防止等のために、その表面を表面
被覆物質で被覆することが好ましい。表面被覆物質の代
表例を以下に示す。
【0134】(1) カップリング剤 1.アジドシラン類を含むカップリング剤被覆(特開昭
62− 32125号公報等に開示) 2.シラン系カップリング剤被覆(アミノシラン等) 3.チタネート系カップリング剤被覆 (2) シリカを沈着させ、つづいてアルミナを沈着被覆 (3) ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ス
テアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩被覆 (4) ステアリン酸ソーダ、ステアリン酸カリウム、オキ
シ・エチレンドデシル・アミン等の界面活性剤被覆
【0135】(5) バリウムイオンの過剰量の存在下に硫
化バリウム水溶液と硫酸水溶液とを反応させ、平均粒子
径 0.1〜 2.5μmの硫酸バリウムを生成させ、この水ス
ラリーにケイ酸アルカリ水曜液を加えて硫酸バリウムの
表面にケイ酸バリウムを生成させ、次いでスラリーに鉱
酸を加え、上記ケイ酸バリウムを含水シリカに分解して
硫酸バリウム表面に沈着させ被覆。 (6) 金属水和酸化物(チタン、アルミニウム、セリウ
ム、亜鉛、鉄、コバルト又はケイ素の水酸化物の1種又
は2種以上)及び金属酸化物(チタン、アルミニウム、
セリウム、亜鉛、鉄、コバルト又はケイ素の酸化物の1
種及び2種)、または前述した金属水和酸化物又は金属
酸化物の一方のみからなる組成物で表面被覆。
【0136】(7) 分子内にアジリジン基、オキサゾリン
基及びN−ヒドロキシアルキルアミド基よりなる群から
選択される1種又は2種以上の反応基を有する重合体を
被覆 (8) ポリオキシアルキレンアミン化合物を表面被覆 (9) セリウムカチオン、選択された酸アニオン及びアル
ミナで表面被覆 (10) 置換基にα−ヒドロキシカルボン酸残基を有する
アルコキシタン誘導体で表面被覆。 (11) ポリテトラフルオロエチレンで表面被覆 (12) ポリジメチルシロキサン又はシリコン変性体で表
面被覆 (13) リン酸エステル化合物で表面被覆 (14) 2〜4価アルコールで表面被覆
【0137】(15) ポリオレフィンワックス(ポリエチ
レンワックス、ポリプロピレンワックス)で表面被覆。 (16) 含水酸化アルミニウムを表面被覆 (17) シリカ又は亜鉛化合物(塩化亜鉛、水酸化亜鉛、
酸化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛、クエン酸亜
鉛等の1種又は2種以上組み合わせたもの)で表面被
覆。 (18) ポリヒドロキシ飽和炭化水素で表面被覆 (19) 界面活性剤(カチオン系、ノニオン系、両性イオ
ン系)で表面被覆 (20) 有機金属キレート化合物(特にβ−ジチトンキレ
ート化合物が写真性、分散性向上等が優れているので好
ましい。)で表面被覆、等。
【0138】上記遮光性物質の表面被覆物質として写真
感光材料の写真特性(カブリ発生、感度異常、発色異常
等)に悪影響が少なく、遮光性物質の分散性向上、ブツ
の発生減少、樹脂の流動性向上等の効果が優れた(1) 、
(3) 、(12)、(15)、(16)、(18)、(19)、(20)が特に好ま
しい。その他表面被覆効果以外の効果を有する各種帯電
防止剤、滑剤、防滴剤も好ましい。
【0139】特に、炭素数が20〜40の脂肪族モノカ
ルボン酸と炭素数が20〜40の脂肪族1価アルコール
とのエステルを0.001〜2重量%、好ましくは0.
005〜1重量%、特に好ましくは0.01〜0.5重
量%添加することにより、上記問題点の防止効果を発揮
できることを見出したものである。特に、写真感光材料
の写真性に対する悪影響を減少させるだけでなく射出成
形機のモーター負荷を小さくし、遮光性物質の分散性を
向上させ、射出成形性を向上し射出成形品の外観を優れ
たものにする。
【0140】本発明に用いられるエステルとしては、炭
素数が20〜40、好ましくは25〜35の脂肪族モノ
カルボン酸と、炭素数が20〜40、好ましくは25〜
35の脂肪族1価アルコールのエステルである。
【0141】上記モノカルボン酸の例としては、モンタ
ン酸、メリシン酸、セロチン際、ブリシン酸、ラクセル
酸等が挙げられる。1価アルコールの例としては、モン
チルアルコール、メリシルアルコール、ラクシルアルコ
ール、セリルアルコール、ブリシルアルコール等が挙げ
られる。
【0142】これらは、熱可塑性樹脂の流動性を向上さ
せると共に、均一混練を達成せしめるので前記遮光性物
質の表面被覆物質としても非常に優れている。さらに、
前記無線及び有機造核剤、もしくはこれらのうちの一方
の分散剤として表面被覆に用いると飛散防止、ブリード
アウト防止、均一分散性向上、樹脂流動性向上等種々の
優れた効果を発揮する。
【0143】これらの遮光性物質の表面被覆物質の表面
被覆量は、カーボンブラック、酸化チタン又はアルミニ
ウム粉末等の遮光性物質100重量部に対して、0.1
〜100重量部、好ましくは0.5〜80重量部、より
好ましくは1〜60重量部、特に好ましくは2〜50重
量部、最も好ましくは5〜40重量部である。被覆量が
0.1重量部未満では被覆効果がほとんど発揮されな
い。被覆量が100重量部を越えると経時でブリードア
ウトの発生が多くなるとともに樹脂とスクリューとのス
リップが発生して吐出量が変動する結果、射出成形品の
寸法や厚さのバラツキが大きくなり実用化困難である。
【0144】上記合計遮光性物質中の全硫黄量(AST
M D−1619)は 1.0%以下、好ましくは 0.8%以下、
特に好ましくは 0.5%以下、最も好ましくは 0.3%以下
であり、遊離硫黄分は0.1%以下、好ましくは0.0
5%以下、特に好ましくは0.01以下、最も好ましく
は0.005以下であり、アルデヒド化合物含有量は0.
2%以下、好ましくは 0.1%以下、特に好ましくは0.05
%以下、最も好ましくは0.01%以下である。これらの物
質の含有量を一定量以下に抑えないと感光材料の写真性
に悪影響を及ぼすので注意が必要である。
【0145】さらに、シアン化合物も写真感光材料の写
真性能に悪影響を及ぼすので4−ピリジンカルボン際・
ピラゾロン吸光分析法にて定量したシアン化水素量を遮
光性物質の重量に対する ppm単位に換算した値が 50ppm
以下、好ましくは 20ppm以下、特に好ましくは10ppm 以
下、最も好ましくは5ppm 以下の遮光性物質である。
【0146】本発明では着色用遮光性物質を本発明の射
出成形品を構成する熱可塑性樹脂組成物中に添加して半
透明又は不透明に着色してもよい。これにより遮光性が
向上し、剛性が大きくなり、また射出成形性が改良さ
れ、樹脂の着色故障やブツが目立たなくなり、外観が美
しくなり、商品価値が上がるので好ましい。さらに、写
真フイルムパトローネ用容器では、容器本体や容器蓋を
着色することにより、不透明や半透明または透明である
容器内の写真感光材料の種類の識別に利用できるので好
ましい。着色用遮光性物質としては染料、着色顔料、白
色顔料、金属粉末、金属繊維、金属フレーク、カーボン
ブラック等がある。
【0147】次に色別の着色用遮光性物質の代表例をあ
げる。 黒色; カーボンブラック、鉄黒(四三酸化鉄)、黒鉛
(グラファイト)、ミネラルブラック、アニリンブラッ
ク等 白色; 酸化チタン、炭酸カルシウム、雲母、亜鉛華、
クレー、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、アンチモン
白、鉛白、リトポン、ケイ酸マグネシウム等 黄色; チタンイエロー、黄色酸化鉄、クロムイエロ
ー、クロムチタニウムイエロー、ジスアゾ顔料、バット
顔料、キノフタレン顔料、イソインドリノン、ジンクイ
エロー、カドミウムイエロー、黄土、ピグメントイエロ
ーL、ハンザイエロー3G等
【0148】赤色; ベンガラ、ジスアゾ顔料、ベルレ
ン顔料、モノアゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、カドミウ
ムレッド、ボンレッド2B、カーミン6B、ピラゾロン
レッド、レーキレッドC、鉛丹、パーマネントレッド4
R等 青色; コバルトブルー、群青、紺青、フタロシアニン
ブルー、シアニンブルー、インダンスレンブルー、イン
ジゴ、シアニンブルー等 緑色; 酸化クロムグリーン、チタニウムグリーン、ジ
ンクグリーン、エメラルドグリーン、コバルトグリー
ン、ピグメントグリーン、フタロシアニングリーン、シ
アニングリーン等 銀色; アルミニウム粉、アルミニウムペースト、スズ
粉 があるが、遮光性を確保する場合には、特にカーボンブ
ラックと鉄黒が安価で樹脂の斑点状着色故障やブツ(異
物状の固まり)が目立たない、遮光能力が優れる、写真
性が良好である、酸化防止相乗効果を有する等の点で好
ましい。
【0149】包装体やカートリッジ本体等にカラー印刷
を施す場合は外観、印刷の彩光等の点から白色、灰色、
黄色または銀色に着色することが好ましい。太陽光下で
長時間使用したり、太陽光下に長期間放置されたり、砂
漠等でも使用される写真感光材料用射出成形品であるカ
メラ、APS用の樹脂製写真フイルムカートリッジ、写
真フイルム用スプール、レンズ付きフイルムユニット等
の場合には、白色、銀色、黄色等の着色用遮光性物質を
単独又は2種類以上併用して光反射性の色に着色するこ
とが好ましい。
【0150】本発明の熱可塑性樹脂に混練することによ
り射出成形性を改良したり、遮光性物質の分散性改良や
滑性向上させることができる滑剤の代表的なものを以下
に例示する。 (1)脂肪酸アミド系滑剤 (飽和脂肪酸アミド系滑剤) ベヘニン酸アミド系滑剤;ダイヤミッドKN(日本化
成)等。 ステアリン酸アミド系滑剤;アーマイドHT(ライオ
ン油脂)、アルフローS−10(日本油脂)、脂肪酸ア
マミッドAP−1(日本化成)、アマイドS・アマイド
T(日東化学)、ニュートロン−2(日本精化)等。 (ヒドロキシステアリン酸アミド系滑剤) パルミチン酸アミド系滑剤;ニュートロンS−18
(日本精化)、アマイドP(日東化学)等。 ラウリン酸アミド系滑剤;アーマイドC(ライオン・
アクゾ)、ダイヤミッド(日本化成)等。 (不飽和脂肪酸アミド系滑剤) エルカ酸アミド系滑剤;アルフローP−10(日本油
脂)、ニュートロン−S(日本精化)、LUBROL
(I・C・I)、ダイヤミッドL−200(日本化成)
等。 オレイン酸アミド系滑剤;アーモスリップCP(ライ
オン・アクゾ)、ニュートロン(日本精化)、ニュート
ロンE−18(日本精化)、アマイドO(日東化学)、
ダイヤミッドO−200・ダイヤミッドG−200(日
本化成)、アルフローE−10(日本油脂)、脂肪酸ア
マイドO(花王)等。
【0151】(ビス脂肪酸アミド系滑剤) メチレンビスベヘニン酸アミド系滑剤;ダイヤミッド
NKビス(日本化成)等。 メチレンビスステアリン酸アミド系滑剤;ダイヤミッ
ド200ビス(日本化成)、アーモワックス(ライオン
・アクゾ)、ビスアマイド(日東化学)等。 メチレンビスオレイン酸アミド系滑剤;ルブロンO
(日本化成)等。 エチレンビスステアリン酸アミド系滑剤;アーモスリ
ップEBS(ライオン・アクゾ)等。 ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド系滑剤;アマ
イド65(川研ファインケミカル)等。 ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド系滑剤;アマイ
ド60(川研ファインケミカル)等。
【0152】(2)炭酸水素系滑剤;流動パラフィン、
天然パラフィン、マイクロワックス、合成パラフィン、
ポリエチレンワックス(数平均分子量が10000以
下、好ましくは8000以下、特に好ましくは6000
以下)、ポリプロピレンワックス(数平均分子量が10
000以下、好ましくは8000以下、特に好ましくは
6000以下)、塩素化炭化水素、フルオロカルボン
等。 (3)脂肪酸系滑剤;高級脂肪酸(C12以上が好まし
く、具体的にはカブロン酸、ステアリン酸、オレイン
酸、エルカ酸、パルミチン酸等)、オキシ脂肪酸等。 (4)エステル系滑剤;脂肪酸の低級アルコールエステ
ル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸のポリグ
リコールエステル、脂肪酸の脂肪アルコールエステル
等。 (5)アルコール系滑剤;多価アルコール、ポリグリコ
ール、ポリグリセロール等。
【0153】(6)脂肪酸金属塩系滑剤(金属石鹸);
ラウリン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、
カプリル酸、ミリスチン酸、コハク酸、ステアリル乳
酸、安息香酸、ヒドロキシステアリン酸、乳酸、フタル
酸、リシノール酸、ナフテン酸、オレイン酸、パルミチ
ン酸、エルカ酸等の炭素数が6〜50個、好ましくは1
0〜40個、特に好ましくは10〜30個の高級脂肪酸
とリチウム,ナトリウム,マグネシウム,カルシウム,
ストロンチウム,バリウム,亜鉛,カドミウム,アルミ
ニウム,スズ,鉛等の金属との化合物が挙げられ、触媒
残渣と中和して写真感光材料の写真性を良化し、金型の
錆の発生を防止し、遮光性物質の分散性を向上する働き
がある好ましいものとしては、例えば、ステアリン酸マ
グネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜
鉛、オレイン酸マグネシウム等である。特に好ましいも
のとしては、ステアリン酸カルシウムとステアリン酸亜
鉛であり、最も好ましいものとしてはステアリン酸亜鉛
が挙げられる。
【0154】(7)シリコーン系滑剤;各種グレードの
ジメチルポリシロキサン及びその変性物(信越シリコー
ン、東レシリコーン)、特に各種シリコーンオイルが樹
脂流動性の向上、滑性の向上等の効果を発揮させるだけ
でなく、遮光性物質と併用すると、遮光性物質の分散性
の向上、樹脂を白濁させてヘイズ(ASTM D−10
03)を大きくさせる結果、着色力の向上、遮光性の向
上等の予想外の効果を発揮するので好ましい。以上の各
種の滑剤の添加量は、樹脂や滑剤の種類や使用目的に応
じて変動するが、0.001〜5.0重量%,好ましく
は0.005〜4.0重量%,より好ましくは0.01
〜3.0重量%,特に好ましくは0.02〜2.0重量
%,最も好ましくは0.05〜1.0重量%である。
【0155】上述したように、滑性の向上の他に、遮光
性向上、樹脂の流動性向上、物理強度向上、成形サイク
ルの短縮、着色性向上等、各種の効果もある、写真感光
材料の写真性に悪影響を及ぼさないシリコーン系滑剤に
ついて、以下に更に詳述する。
【0156】各種グレードのジメチルポリシロキサン、
及びその変性物(信越シリコーン、東レシリコーン)及
び、ポリメチルフェニルシロキサン、カルボキシル変性
シリコーン、オレフィン変性シリコーン、ポリエチレン
グリコールやポリプロピレングリコールで変成したポリ
エーテル変性シリコーン、オレフィン/ポリエーテル変
性シリコーン、アミド変性シリコーン、ポリジメチルシ
ロキサン、アミノ変性シリコーン、カルボキシル変性シ
リコーン、α−メチルスチレン変性シリコーン、エポキ
シ変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、アルコール
変性シリコーン等変性されたシロキサン結合を含有した
シリコーン系オイルである。
【0157】該シリコーン系オイル中、写真感光材料の
写真性に悪影響を与えることが少なく、滑性効果の大き
い、特に写真感光材料用射出成形品に適用した場合に好
ましいものはオレフィン変性シリコーン、アミド変性シ
リコーン、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性
シリコーン、オレフィン/ポリエーテル変性シリコー
ン、カルボキシル変性シリコーンである。
【0158】該シリコーン系オイルは、射出成形品の物
理強度を向上させ、表面硬度を向上させ、成形サイクル
を短縮し、摩擦係数を改良し、摺動抵抗を低下させ、ウ
エルトラインやショートショットが発生しない美しい外
観と、寸法精度や耐摩耗性や耐傷性に優れた、フイルム
巻き上げ抵抗の小さいカメラ適性の優れた特性を有する
写真感光材料用射出成形品を得ることが出来る。又摺動
による光沢の低下を防止して、美しい外観を有する写真
感光材料用射出成形品をを得ることが出来る。
【0159】上記シリコーン系オイルは、常温における
粘度は1000〜100000センチストークスの範囲
が好ましく、特に好ましくは3000〜60000セン
チストークス、最も好ましくは5000〜30000セ
ンチストークスの高粘度のものがよい。添加量は種類、
使用目的により異なるが、0.005〜5.0重量%、
好ましくは0.01〜4.0重量%である。更に好まし
くは0.03〜3.0重量%、特に好ましくは0.05
〜1.5重量%である。
【0160】シリコーン系滑剤は、単独で用いても2種
類以上で用いても、また、他の滑剤や可塑剤と併用して
もよい。このようなシリコーン系オイル添加の効果は、
以下の通りである。 (1)樹脂の流動性を向上し、スクリューのモーター不
可を小さくし、メルトフラクチャー発生を防止する。 (2)ブリードアウトして白粉状になる脂肪酸アミド等
の滑剤を添加しなくとも滑性を十分確保できる。 (3)射出成形品を白濁させ、遮光能力を向上できる。 (4)射出成形品の物理強度を向上できる。 (5)射出成形品の表面硬度を向上させ、耐摩耗性や耐
傷性を向上できる。
【0161】本発明の写真感光材料用射出成形品中に
は、ポリアセタール樹脂やポリオレフィン樹脂やオレフ
ィン系熱可塑性エラストマー等の熱劣化しやすい熱可塑
性樹脂の熱劣化防止、写真感光材料の写真性に悪影響を
及ぼす熱分解性物質(アルデヒド化合物等)の発生を防
止して写真性の向上等の目的により、酸化防止物質を1
種類以上添加することが好ましい。酸化防止剤、及びラ
ジカル捕獲剤や、ハイドロタルサイト類化合物、酸化防
止相乗効果剤等の酸化防止物質の1種類以上を添加する
ことにより、熱可塑性樹脂、滑剤、脂肪酸、有機造核
剤、界面滑性剤等の添加剤の熱劣化や熱分解を防止し、
熱可塑性樹脂組成物の流動性が著しく変化したり、ブツ
(異物状の固まり)が発生するのを防止することができ
る。また、写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼす熱分
解物資(アルデヒド等)の発生を防止することができ
る。
【0162】熱分解物資(アルデヒド等)を写真感光材
料の写真性に悪影響を及ぼさない量に減少安定化させた
り、反応安定化させたり、又は、吸着安定化させる公知
の各種化合物、例えばヒドラジン化合物,尿素化合物等
を添加することが好ましい。写真感光材料用射出成形品
中のアセチルアセトン法で測定したアルデヒドの量は、
500ppm以下、好ましくは300ppm以下、特に
好ましくは150ppm以下、最も好ましくは75pp
m以下にすることにより、写真性を良好に維持できる。
しかし、悪臭、人体に対する悪影響を有するアルデヒド
の写真感光材料用射出成形品中の含有量を50ppm以
下、可能なら実質的な含有量を0に近づけるようにすべ
きである。
【0163】酸化防止物質の中で特に好ましい酸化防止
剤の1種以上の添加量は0.001〜1.0重量%、好
ましくは0.005〜0.7重量%、特に好ましくは
0.01〜0.45重量%、最も好ましくは0.02〜
0.3重量%添加する。添加量が0.001重量%未満
であると添加効果がなく混練経費増になるだけである。
また、添加量が1.0重量%を越えると、酸化・還元作
用を利用している写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼ
すと共に射出成形品の表面にブリードアウトして外観を
悪化させる。更に、金型表面にプレートアウトして射出
成形品の外観を悪化させたり、発煙が多くなり射出成形
現場の環境を悪化させる。
【0164】このような酸化防止物質には、酸化防止
剤、ラジカル捕獲剤、ハイドロタルサイト類化合物、酸
化防止相乗効果剤がある。以下に、酸化防止物質の代表
的なものである酸化防止剤の代表例を例示する。 (イ)フェノール系酸化防止剤;ビタミンE(トコフェ
ロール)、トコフェロール類二量体(α−トコフェロー
ル、β−トコフェロール、5,7−ジメチルトコール
等)、6−tert−ブチル−3−メチルフェニール誘
導体、2・6−ジ−tert−ブチル−Pクレゾール、
2・2’−メチレンビス−(4−エチル−6−tert
−ブチルフェノール)、4・4’−ブチリデンビス(6
−tert−ブチル−m−クレゾール)、4・4’−チ
オビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4
・4−ジヒドロキシジフェニルシクロヘキサン、アルキ
ル化ビスフェノール、スチレン化フェノール、2・6−
ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、n−オ
クタデシル−3−(3’・5’−ジ−tert−ブチル
−4’−ヒドロキシフェニル)プロピネート、2・2’
−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフ
ェノール)、4・4’−チオビス(3−メチル−6−t
ert−ブチルフェニール)、4・4’−ブチリデンビ
ス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、
ステアリル−β(3・5−ジ−4−ブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロピオネート、1・1・3−トリス
(2−メチル−4ヒドロキシ−5−tert−ブチルフ
ェニル)ブタン、1・3・5トリメチル−2・4・6−
トリス(3・5−ジ−tert−ブチル−4ヒドロキシ
ベンジル)ベンゼン、テトラキス〔メチレン−3(3’
・5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート〕メタン等。
【0165】(ロ)ケトンアミン縮合系酸化防止剤;6
−エトキシ−2・2・4−トリメチル−1・2−ジヒド
ロキノリン、2・2・4−トリメチル−1・2−ジヒド
ロキノリンの重合物、トリメチルジヒドロキノリン誘導
体等。
【0166】(ハ)アリルアミン系酸化防止剤;フェニ
ル−α−ナフチルアミン、N−フェニル−β−ナフチル
アミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−P−フェ
ニレンジアミン、N・N’−ジフェニル−P−フェニレ
ンジアミン、N・N’−ジ−β−ナフチル−P−フェニ
レンジアミン、N−(3’−ヒドロキシブチリデン)−
1−ナフチルアミン等。
【0167】(ニ)イミダゾール系酸化防止剤;2−メ
ルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトペンゾイ
ミダゾールの亜鉛塩、2−メルカプトメチルベンゾイミ
ダゾール等。
【0168】(ホ)ホスファイト系酸化防止剤;アルキ
ル化アリルホスファイト、トリス(モノ及び/又はジノ
ニルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタ
ンテトライルビス(2・6−ジ−tert−ブチル−4
−メチルフェニル)ホスファイト、ジフェニルイソデシ
ルフォスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファ
イント亜リン酸ソーダ、トリ(ノニルフェニル)フォス
ファイト、2・2−メチレンビス(4・6−ジ−ter
t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス
(2・4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイ
ト、トリフェニルフォスファイト等。
【0169】(へ)チオ尿素系酸化防止剤;チオ尿素誘
導体、1・3−ビス(ジメチルアミノプロピル)−2−
チオ尿素等。
【0170】(ト)その他空気酸化に有用な酸化防止
剤;チオジプロビオン酸ジラウリル等。
【0171】光に当たると着色して遮光能力を向上させ
る予想外の効果も有する、本発明に最も好ましいヒンダ
ートフェノール系酸化防止剤の代表例を以下に示す。
1,3,5−トリメチル2,4,6−トリス(3,5−
ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベン
ゼン、テトラキス〔メチレン−3−(3’.5’−ジ−
tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート〕メタン、オクタデシル−3,5−ジ−ter
t一ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナメート、
2,2’,2’−トリス〔(3,5−ジ−tert−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕
エチルイソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−t
ert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジ−メチル
ベンジル〕イソシアヌレート、テトラキス(2,4−ジ
−tert−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレン
ジ亜リン酸エステル、4,4’−チオビス−(6−te
rt−ブチル−O−クレゾール)、2,2’−チオビス
−(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、
トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert
−ブチルフェニル)ブタン、2,2’−メチレン−ビス
−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、
4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジ−tert−
ブチルフェノール)、4,4’ブチリデンビス−(3−
メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,6−
ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、4−ヒ
ドロキシ・メチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェ
ノール:2,6−ジ−tert−4−n−ブチルフェノ
ール、2,6−ビス(2’−ハイドロキシ−3’−te
rt−ブチル−5−メチルベンジル)−4−メチルフェ
ノール、4,4’−メチレン−ビス−(6−tert−
ブチル−O−クレゾール)、4,4’−ブチリデンービ
ス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、3・9
−ビス〔1・1−ジメチル−2−〔β−(3−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニ
ルオキシ〕エチル〕2,4・8,l0−テトラオキサス
ピロ〔5,5〕ウンデカン等が挙げられる。
【0172】上述したような酸化防止剤の中でも、融点
が100℃以上、好ましくは120℃以上のものが好ま
しい。また、燐系酸化防止剤と併用することが効果的で
ある。更にまた、燐系酸化防止剤の少なくとも1種と、
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の少なくとも1種
と、ハイドロタルサイト類化合物等の含水複塩化合物の
少なくとも1種の合計3種類以上を併用することが特に
好ましい。
【0173】上記ビタミンE(トコフェロール)、トコ
フェロール類二量体(α−トコフェロール、β−トコフ
ェロール、5,7−ジメチルトコール等)は、優れた酸
化防止作用の他に、成形品を黄色に着色させてカーボン
ブラック等の遮光性物質と併用すると、遮光能力をカー
ボンブラック等の遮光性物質の単独添加の場合よりも向
上させ、かつ、分散性も向上させる等の予想外の効果を
発揮させることができる。
【0174】このため、遮光性物質の添加量を10%以
上減少させても、カーボンブラック等の遮光性物質の単
独添加の場合と同等の遮光性を有する射出成形品を得る
ことが可能になる。この結果、写真性の悪化防止、物理
強度の向上、外観向上、材料費減少等の効果が発揮さ
れ、本発明の写真感光材料用射出成形品として特に好ま
しい。
【0175】特に好ましい酸化防止剤は低揮発性の高分
子量フェノール型酸化防止剤(商品名Ireganox
1010、Ireganox 1076、Topan
olCA、Ionox 330等)、ジウラリルチオジ
ブロピオネート、ジステアリルチオプロピオネート、ジ
アルキルフォスフェート等である。
【0176】フェノール系酸化防止剤と燐系酸化防止剤
とカーボンブラックと併用すると酸化防止効果が特に発
揮されるので好ましい。その他、プラスチック・データ
・ハンドブック(KK工業調査会発行)の794〜79
9ページに開示された各種酸化防止剤や、プラスチック
添加剤データー集(KK化学工業社)の327〜329
ページに開示された各種酸化防止剤や、PLASTIC
S AGE ENCYCLOPEDIA進歩論 198
6(KKプラスチック・エージ)の211〜212ペー
ジに開示された各種酸化防止剤等を写真感光材料の写真
性に悪影響を及ぼさないように種類や添加量を選択して
用いることが可能である。
【0177】2種以上の酸化防止剤の組み合わせとして
は、例えは、ヒンダードフェノール系酸化防止剤とペン
タエリスリトールホスファイト化合物系酸化防止剤との
組みあわせ、ヒンダードフェノール系酸化防止剤とジ有
機ペンタエリスリトールジホスファイト化合物系酸化防
止剤との組み合わせ、ヒンダードフェノール系酸化防止
剤と亜リン酸エステル系酸化防止剤との組み合わせ等、
アルキル置換モノフェノール系酸化防止剤、及びアルキ
ル置換多価フェノール系酸化防止剤、及び有機ホスファ
イト化合物系酸化防止剤、及び有機亜リン酸エステル系
酸化防止剤、もしくは、このいずれか、もしくは2種類
以上組み合わせから選択されたものがある。
【0178】これらのなかでヒンダード系酸化防止剤が
熱劣化しやすいが、遮光性物質の分散性を良化し、触媒
残渣を中和して、写真感光材料を写真性を改良したり、
金型の鉄を含む金属設備の錆の発生をを防止するステア
リン酸亜鉛やステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩
の熱劣化を防止することができ、ブツの発生を大幅に減
少させることかできるのみならず、写真感光材料の写真
性を良化させることができるため特に好ましい。
【0179】特に、遊離基連鎖停止剤の代表例である融
点が100℃以上、好ましくは120℃以上の前記ヒン
ダートフェノール系酸化防止剤の少なくとも1種と、過
酸化物分解剤である燐系酸化防止剤の少なくとも1種と
を併用して用いることが写真性を悪化させずに樹脂や添
加剤の熱劣化防止効果を高めることができるので好まし
い。
【0180】写真感光材料の写真性への悪影響が少な
く、樹脂溶融温度(130〜400℃)でも熱分解が少
なく、経時によるブリードアウトも少ない等、多くの優
れた特性を有する点から、分子量は200以上、好まし
くは300以上、特に好ましくは400以上、最も好ま
しくは500以上の酸化防止剤である。
【0181】本発明の写真感光材料用射出成形品中に含
有させるのに最も好ましい酸化防止剤としては、例え
ば、各種のヒンダードフェノール系酸化防止剤、より具
体的にはテトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕
メタン、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−
3’5’−ジ−t−ブチルフェノール)プロピオネー
ト、トリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホス
ファイト、1,3,5−トリス−(2−ブチル−4ーヒ
ドロキシ−5−ジ−t−ブチル)ブタン等がある。
【0182】本発明の写真感光材料用射出成形品中に含
有させることができるラジカル捕獲剤としては、例え
ば、1・1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル、
1.3.5−トリフェニルフェルダジル、2・2,6・
6−テトラメチル−4−ピペリドン−1−オキシル、N
−(3−N−オキシアニリノ−1・3−ジメチルブチリ
デン)−アニリンオキシド、塩化第二鉄などのような高
原子価金属塩、ジフェニルピクリルヒドラジン、ジブチ
ルピクリルヒドラジン、ジフェニルアミン、ハイドロキ
ノン、t−ブチルカテコ−ル、ジチオベンゾイルジスル
フィドp.p’−ジトリルトリスルフィド、ベンゾキノ
ン誘導体、ニトロ化合物、およびニトロソ化合物などを
挙げることができる。
【0183】これらのうちでも、ハイドロキノンを用い
ることは特に好ましい。また、上記のラジカル捕獲剤は
単独で用いてもよく、あるいは数種類を併用することも
できる。さらに各種の酸化防止剤や酸化防止相乗効果剤
や、老化防止剤の1種以上とを併用することも好まし
い。
【0184】酸化防止相乗効果剤は、上記酸化防止剤や
ラジカル捕獲剤やハイドロタルサイト類化合物の1種以
上と併用することにより、樹脂や低分子量の添加剤(滑
剤や帯電防止剤や有機造核剤や防滴剤や相溶化剤等)の
熱劣化や熱分解を防止し、物理強度の低下や樹脂の流動
性が著しく変化したり、金型のゲート詰まりやショート
ショットやブツが発生するのを防止できる。さらに写真
感光材料に悪影響を及ぼす熱分解物質(アルデヒド等)
の発生を防止する。このような作用をする酸化防止相乗
効果剤としてはリン酸、クエン酸、リン酸化合物、クエ
ン酸化合物等がある。特にリン酸金属塩とクエン酸金属
塩が好ましい。
【0185】本発明の写真感光材料用射出成形品中に
は、触媒残渣を中和したり、塩酸等のハロゲン化合物を
吸収して写真性に悪影響を及ぼす物質を無害化したり、
樹脂焼け故障等を防止したりするために以下に代表され
るハイドロサイト類化合物、及び脂肪酸金属塩、または
これらのいずれか一方を少なくとも、0.001 〜 5.0重量
%、好ましくは 0.005〜 4.0重量%、特に好ましくは0.
01〜 3.0重量%、最も好ましくは0.02〜 2.0重量%添加
する。 0.001重量%未満では添加効果が発揮されず、混
練経費増となるだけであり、 5.0重量%を越えても増量
した添加効果がなく、ウェルドラインやブツの発生だけ
でなくコストアップとなる。
【0186】ハイドロタルサイト類化合物は、一般式
が、 MX Y (OH)2x+3y-2z(A)z ・aH2 O {MはMg、Ca又はZn、RはAl又はCr又はF
e、AはCO3 又はHPO 4 、x、y、z、aは正数}
で示される複塩である。
【0187】具体的な代表例を示すと、Mg6 Al
2 (OH)16CO3 ・4H2 O、Mg8Al2 (OH)
20CO3 ・5H2 O、Mg5 Al2 (OH)14CO3
4H2 O、Mg10Al2 (OH)22(CO3 2 ・4H
2 O、Mg6 Al2 (OH)16HPO4 ・4H2 O、C
6 Al2 (OH)16CO3 ・4H2 O、Zn6 Al2
(OH)16CO3 ・4H2 O、Mg4.5 Al2 (OH)
13・ 3.5H2 O等がある。
【0188】または一般式が、 M(1-X) .Alx ・(OH)2 x/n ・mH2 O {ただし式中、Mはアルカリ土類金属およびZnを示
す。Xはn価のアニオンを示す。そして、xおよび、
m,nは下記条件を満足する。 0<x<0. 0≦m≦2 n=1〜4の整数で表される屈折率が(Larsen の油浸
法で測定)が1.40〜1.55の範囲であるハイドロタルトサ
イト類化合物である。}
【0189】上記式においてXで表されるn価のアニオ
ンの例としては、Cl- 、Br -、I- 、NO3 - 、C
lO4 - 、SO4 2-、CO3 2-、SiO3 2-、HPO4
2-、HBO3 2-、PO4 3-、Fe(CN)6 3-、Fe
(CN)4 4-、CH3 COC-、C6 4 (OH)CO
- である。
【0190】好ましい具体例を以下に示す。 Mg0.7 Al0.3 (OH)2 (CO3 0.15・0.54H2
O Mg0.67Al0.33(OH)2 (CO3 0.165 ・0.54H
2 O Mg0.67Al0.33(OH)2 (CO3 0.155 ・0.54H
2 O Mg0.6 Al0.4 (OH)2 (CO3 0.2 ・0.54H2
O Mg0.75 Al0.25(OH)2 (CO3 0.125 ・0.54
2 O Mg0.83 Al0.17(OH)2 (CO3 0.085 ・0.54
2 O 等
【0191】上述したようなハイドロタルサイト類化合
物は、天然物であっても、合成品であってもよい。これ
らのハイドロタルサイト類化合物は、マグネシウム、ア
ルミニウム等を主成分としており、写真感光材料の写真
性に悪影響を及ぼしたり、成形機に用いられている金属
の発錆の原因と考えられる塩素イオン等のハロゲン化イ
オンを吸着して無害化する能力に優れている。さらに熱
可塑性樹脂中のモノマーや各種添加剤中の揮発性物質等
写真性に悪影響を及ぼす物質を吸着安定化するものと推
定される。ハイドロタルサイト類化合物の具体的な合成
方法としては、例えば、特公昭46−2280号公報及び特公
昭50−30039 号公報等に開示されている公知の方法も使
用できる。
【0192】本発明では特に上記のハイドロタルサイト
類化合物が好ましく、その結晶構造、結晶粒子径に制限
されることなく使用可能である。ハイドロタルサイト類
化合物の天然品としては、ハイドロタルク石、スチヒタ
イト、パイロオーライト等がある。これらのハイドロタ
ルサイト類化合物は単独で使用しても、2種以上混合し
て使用してもよい。
【0193】特に前述した各種酸化防止剤や各種脂肪酸
金属塩と併用することが写真性を悪化させずに、遮光性
物質やハイドロタルサイト類化合物の分散性向上の点で
好ましい。また、射出成形等の加工性、物性等を特に向
上させるためには平均2次粒子径が20μm以下、好まし
くは10μm以下、特に好ましくは5μm以下、BET比
表面積が50m2 /g以下、好ましくは40m2 /g、特に
30m2 /g以下である。
【0194】本発明においてハイドロタルサイト類化合
物は、表面被覆物質で処理して利用するのが、分散性を
向上させるので好ましい。表面被覆する事により、樹脂
に対する分散性ないし親和性が一層向上し、射出成形適
性、物理強度等も向上する。
【0195】このような表面被覆物質の例としては、前
述の遮光性物質の表面被覆物質(1)〜(20)等を用いるこ
とが出来るが、特に好ましいのは、写真感光材料の写真
性に悪影響を及ぼす触媒残渣や重金属を無害化させたり
錆の発生を防止する働きを有する例えば、ラウリル酸ソ
ーダ、ラウリル酸カリウム、オレイン酸ソーダ、オレイ
ン酸カリウム、オレイン酸カルシウム、ステアリン酸マ
グネシウム、ステアリン酸ソーダ、ステアリン酸亜鉛、
ステアリン酸カリウム、パルチミン酸ソーダ、パルチミ
ン酸カリウム、カプリン酸ソーダ、カプリン酸カリウ
ム、ミリスチン酸ソーダ、ミリスチン酸カリウム、リノ
ール酸ソーダ、リノール酸カリウムなどのような高級脂
肪酸の金属塩類を例示することができる。
【0196】また、ラウリル酸、パルチミン酸、オレイ
ン酸、ステアリン酸、カプリン酸、ミリスチン酸、リノ
ール酸などに代表される高級脂肪酸類;ドデシルベンゼ
ンスルホン酸カルシウム、ドデシルベンゼンスルホン酸
ナトリウム等の有機スルホン酸金属塩類;イソプロピル
トリイメステアロイルチタネート、イソプロピルトリス
(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトラ
イソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネー
ト、ビニルトリエトキシシラン、ガンマメタクリルオキ
シプロピルトリメトキシシラン、ガンマグリシドオキシ
プロピルトリメトキシシランなどのようなカップリング
剤類、高級脂肪酸アミド類、高級脂肪酸エステル類、シ
リコーン類、ワックス類の各種滑剤などを例示すること
ができる。
【0197】これら表面被覆物質による表面被覆は、例
えば、温水にハイドロタルサイト類化合物を懸濁した状
態のところに、攪拌下に、高級脂肪酸のアルカリ金属塩
の水溶液を加えることにより、或いは、ハイドロタルサ
イト類化合物粉末をヘンシェルミキサー等の混合機によ
り攪拌下、高級脂肪酸の溶液とか、カップリング剤の希
釈液を滴下することにより行うことができる。
【0198】これら表面被覆物質の量は適宜に選択変更
できるが、ハイドロタルサイト類化合物 100重量部に対
して、約0.01〜50重量部、好ましくは0.05〜35重量部、
特に好ましくは 0.1〜20重量部、最も好ましくは0.5 〜
10重量部程度が適当である。さらに本発明の主旨を損な
わない限りは少量の他の金属酸化物等の不純物を含んで
もよい。
【0199】さらにハイドロタルサイト類化合物の分散
をより良好にするために例えば高級脂肪酸や脂肪酸アミ
ド系滑剤やシリコーンオイルやソルビタンモノステアレ
ートのようなソルビタン脂肪酸エステルやグリセリンモ
ノステアレートのようなグリセリン脂肪酸エステルなど
の1種以上を分散剤として樹脂組成物中に合計量0.01〜
10重量%、好ましくは0.05〜8重量%、特に好ましくは
0.08〜5重量%、最も好ましくは 0.1〜3重量%添加し
てもよい。
【0200】ハイドロタルサイト類化合物と併用するこ
とにより、写真性の悪化防止、射出成形の安定性、射出
成形機や金型の防蝕(防錆とも言う)効果が向上し、射
出成形品の着色や、樹脂劣化を防止するほか、透明度を
向上させ、物理強度低下を防止し、樹脂焼けによるブツ
の発生や着色故障の発生を防止する作用等が相乗的に向
上する。フェノール系酸化防止剤や燐(ホスファイト)
系酸化防止剤及び脂肪酸金属塩から成る群より選択され
た1種以上の安定剤と併用することが写真感光材料の写
真性悪化がほとんどなく、射出成形機や金型の防蝕(防
錆とも言う)効果及び酸化防止効果が大きくなるので特
に好ましい。
【0201】この場合、写真感光材料の写真性能に悪影
響を及ぼさないようにするためには写真感光材料用射出
成形品中に、 (1) フェノール系酸化防止剤を0.0005〜 0.5重量%、好
ましくは 0.001〜 0.4重量%、特に好ましくは 0.002〜
0.3重量%添加する。 (2) 燐系酸化防止剤0.0005〜 0.5重量%、好ましくは
0.001〜0.4 重量%、特に好ましくは 0.002〜 0.1重量
%添加する。 (3) ハイドロタルサイト類化合物及び脂肪酸金属塩(金
属石けん)、もしくはこれらのいずれか一種以上を 0.0
01〜5重量%、好ましくは 0.005〜4重量%、特に好ま
しくは 0.01 〜3重量%添加する。
【0202】且つ (1)+(2)+(3) の合計含有量が0.00
15〜6重量%、好ましくは0.002 〜5重量%、特に好ま
しくは 0.003〜4重量%、最も好ましくは 0.005〜3重
量%写真感光材料用射出成形品中に含まれるようにす
る。いずれにしてもこれらの添加物は樹脂劣化を防止で
きる最小量添加することが写真性能を悪化させず、ブリ
ードアウトを防止し、コストアップを抑制する点からも
好ましい。
【0203】ハイドロタルサイト類化合物と併用するこ
とが好ましく、且つハイドロタルサイト類化合物と同様
の優れた効果を発揮するだけでなく、さらに滑剤及び遮
光性物質の分散性としての効果を発揮する脂肪酸金属塩
(金属石けんとも言う)について説明する。
【0204】脂肪酸金属塩の代表例としては、ラウリン
酸、ステアリン酸、コハク酸、ステアリル乳酸、乳酸、
フタル酸、安息香酸、ヒドロキシステアリン酸、リシノ
ール酸、ナフテン酸、オレイン酸、パルチミン酸、エル
カ酸等の高級脂肪酸と、リチウム,ナトリウム,マグネ
シウム,カルシウム,ストロンチウム,バリウム,ス
ズ,カドミウム,アルミニウム,亜鉛,鉛等の金属との
化合物が挙げられ、好ましいものとしては、ステアリン
酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン
酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸カルシウ
ム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マグネシウム等が挙げ
られる。
【0205】市販されている代表的な脂肪酸金属塩の名
称と分子式と状態と融点を表5に示す。
【0206】
【表5】
【0207】また、本発明の写真感光材料用射出成形品
中に無機造核剤及び有機造核剤の1種又は2種以上を添
加することができる。無機造核剤及び有機造核剤の1種
又は2種以上を添加することにより、表面硬度や剛性や
アイゾット衝撃強度や耐摩耗性等を改善することができ
る。また、結晶性樹脂のポリオレフィン樹脂、特にホモ
ポリエチレン樹脂、エチレン−α−オレフィン共重合体
樹脂、プロピレン−α−オレフィン共重合体樹脂に添加
した場合は、上記特性以外に透明性、射出成形性(サイ
クル短縮、成形故障減少)を改善できる。
【0208】無機造核剤及び有機造核剤の1種又は2種
以上の射出成形品中の合計含有量は、0.001〜10
重量%が好ましく、0.005〜8重量%がより好まし
く、0.01〜5重量%が最も好ましい。合計含有量が
0.001重量%未満であると、含有効果がなく、混練
経費増となるだけである。また、合計含有量が10重量
%を超えると、増量効果がなく、コストアップになるだ
けである。
【0209】さらに、有機造核剤の場合は、射出成形時
の発煙が多くなり、且つ、経時により射出成形品の表面
にブリードアウトして外観を悪化させる。さらに白粉と
なって写真感光材料の感光層に付着して、現像阻害を起
こす問題を発生するようになる。
【0210】本発明に使用できる有機造核剤としては、
カルボン酸、ジカルボン酸、これらの塩及び無水物、芳
香族スルホン酸の塩及びエステル、芳香族ホスフィン
酸、芳香族ホスホン酸、芳香族カルボン酸、その他のア
ルミニウム塩、芳香族リン酸金属塩、炭素数8〜30のア
ルキルアルコール、多価アルコールとアルデヒドの縮合
物、並びにアルキルアミンなどである。
【0211】なお、カルボン酸類は、その誘導体を含め
て総称するもので、代表例をあげるとアクリル酸、メタ
クリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、テト
ラヒドロフタル酸、メサコン酸、アンゲリカ酸、シトラ
コン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸、
(エンドシス−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−5−エ
ン−2,3−ジカルボン酸)、無水マレイン酸、無水シ
トラコン酸、無水イタコン酸、アクリル酸メチル、メタ
クリル酸ブチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチ
ル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル
酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、マレイン酸モ
ノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマ
ル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル、
イタコン酸ジエチルエステル、アクリル酸アミド、メタ
クリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジア
ミド、マレイン酸−N−モノエチルアミド、マレイン酸
−N,N−ジエチルアミド、マレイン酸−N−モノブチ
ルアミド、マレイン酸−N,N−ジブチルアミド、フマ
ル酸モノアミド、フマル酸ジアミド、スマル酸−N−モ
ノエチルアミド、フマル酸−N,N−ジエチルアミド、
フマル酸−N−モノブチルアミド、フマル酸−N,N−
ジエチルアミド、フマル酸−N−ものブチルアミド、フ
マル酸−N,N−ジブチルアミド、マレイミド、マレイ
ン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、マタクリル酸カ
リウム、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸亜鉛、アル
リル酸マグネシウム、アクリル酸カルシウム、メタクリ
ル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カ
リウム、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミ
ド、塩化マレニル、グリシジンマレエート、マレイン酸
ジプロピル、アコニチン酸無水物、ソルビン酸等を挙げ
ることができる。
【0212】例えばp−t−ブチル安息香酸アルミニウ
ム、1,2,3,4−ジベンジリデンソルビトール、化
3で表されるジ置換ベンジリデンソルビトール化合物
{式中、R1 及びR2 は炭素数1〜8のアルキル、アル
コキシ又はハロゲンであり、m及びnはいずれも0〜3
であって且つm+n≧1である。}、ステアリル乳酸の
カルシウム、マグネシウム等の金属塩である。
【0213】
【化3】
【0214】また、N−(2−ヒドロキシエチル)−ス
テアリルアミン等の化4で表される化合物{式中、R3
は炭素数8〜30のアルキル基であり、k及びlはいず
れも0〜10であってk+1 ≧1である。}、1,2−
ヒドロキシステアリン酸のリチウム塩、ナトリウム塩、
カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等の金属
塩、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール等のア
ルキルアルコール、安息香酸ソーダ、安息香酸、セバチ
ン酸などがある。
【0215】
【化4】
【0216】有機造核剤の中で特に好ましいソルビトー
ル化合物の代表例を以下に示す。 di-(o-methylbenzylidene)sorbitol o-methylbenzylidene-p-methylbenzylidenesorbitol di-(o-methylbenzylidene)sorbitol m-methylbenzylidene-o-methylbenzylidenesorbitol di-(o-methylbenzylidene)sorbitolh m-methylbenzylidene-p-methylbenzylidenesorbitol 1・3-heptanylidenesorbitol 1・3,2・4-diheptanylidenesorbitol 1・3,2・4-di(3-nony1-3-pentenylidene)sorbito
l 1・3-cyclohexanecarbylidenesorbitol 1・3,2・4-dicyclohexanecarbylidenesorbitol 1・3,2・4-di(p-methylcyclohexanecarbylidene)s
orbitol Aromatic hybrocarbon groups or derivatives thereof 1・3-benzylidenesorbitol 1・3,2・4-dibenzylidene-D-sorbitol 1・3,2・4-di(m-methylbenzylidene)sorbitol 1・3,2・4-di(p-methylbenzylidene)sorbitol 1・3,2・4-di(p-hexylbenzylidene)sorbitol 1・3,2・4-di(l-naphthalenecarbylidene)sorbito
l 1・3,2・4-di(phenylacetylidene)sorbitol 1・3,2・4-di(methylbenzylidene)sorbitol 1・3,2・4-di(ethylbenzylidene)sorbitol 1・3,2・4-di(propylbenzyledene)sorbitol 1・3,2・4-di(methoxybenzylidene)sorbitol 1・3,2・4-di(ethoxybenzylidene)sorbitol 1・3,2・4-di(P-methylbenzylidene)sorbitol 1・3,2・4-di(P-chlorbenzylidene)sorbitol 1・3,2・4-di(P-methoxybenzylidene)sorbitol 1・3,2・4-di(alkilbenzylidene)sorbitol 1・3,2・4-di(methybenzylidene)sorbitol aluminumbenzoate、等
【0217】上記の有機造核剤中でも本発明に特に好ま
しい上記ジベンジリデンソルビトール化合物を添加する
ことが最適な樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、例え
ばホモポリプロピレン樹脂、プロピレン・α−オレフィ
ン共重合体(ブロックタイプ及びランダムタイプ)樹脂
等のポリプロピレン系樹脂、低密度ホモポリエチレン樹
脂、高密度ホモポリエチレン樹脂、直鎖状ポリエチレン
(エチレン・α−オレフィン共重合体)樹脂及びエチレ
ン・プロピレン共重合体樹脂等のポリオレフィン系樹脂
である。
【0218】これらの中でも、特に結晶化度が高い結晶
性ポリオレフィン系樹脂が好ましく、有機造核剤の添加
効果が効果的に発揮されるので結晶化度は50%以上、
好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上、最
も好ましくは90%以上のポリオレフィン系樹脂であ
る。
【0219】なお、上述したポリオレフィン樹脂、及び
各種熱可塑性エラストマー、各種相溶化樹脂の具体的な
代表例を以下に示す。ポリオレフィン樹脂には、その代
表例として、高密度ホモポリエチレン樹脂、中密度ホモ
ポリエチレン樹脂、低密度ホモポリエチレン樹脂、ホモ
ポリプロピレン樹脂、プロピレン・α−オレフィン共重
合体樹脂、各種エチレン共重合体樹脂等がある。
【0220】各種のエチレン共重合体樹脂の代表例を示
す。 (1)エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、「EV
A」という)樹脂 (2)エチレン−プロピレン共重合体樹脂 (3)エチレン−1−ブテン共重合体樹脂 (4)エチレン−ブタジエン共重合体樹脂 (5)エチレン−塩化ビニル共重合体樹脂 (6)エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(以下、
「EMMA」という)樹脂 (7)エチレン−アクリル酸メチル共重合体(以下、
「EMA」という)樹脂 (8)エチレン−アクリル酸エチル共重合体(以下、
「EEA」という)樹脂 (9)エチレン−アクリロニトリル共重合体樹脂 (10)エチレン−アクリル酸共重合体(以下、「EA
A」という)樹脂 (11)アイオノマー樹脂(エチレンと不飽和酸との共
重合物を亜鉛等の金属で架橋した樹脂) (12)エチレン−α−オレフィン共重合体(以下、
「L−LDPE」という)樹脂 (13)エチレン−プロピレン−ブテン−1三元共合体
樹脂等
【0221】上述したL−LDPE樹脂の詳細について
以下に示す。L−LDPE(Linear Low D
ensity Polyethylene)樹脂は、第
3のポリエチレン樹脂と称され、中・低密度、高密度、
両ポリエチレン樹脂の利点を併せもつ、省エネルギー、
省資源という時代に合致する低コスト、高強度の樹脂で
ある。この樹脂はエチレンと炭素数が3〜20、好まし
くは3〜13個、より好ましくは4〜10個、特に好ま
しくは5〜9個のα−オレフィンを共重合させたコポリ
マーで線状の直鎖に短分岐をもった構造のポリエチレン
系樹脂である。
【0222】物理強度やコストの点で好ましいα−オレ
フィンとしてはブテン−1、ペンテン−1、オクテン−
1、ヘキセン−1,4−メチル−ペンテン−1、ヘプテ
ン−1,3−メチル−ペンテン−1、4,4−ジメチル
−ペンテン−1、ヘプセン−1、ノネン−1、ウンデセ
ン−1、ドデセン−1、デセン−1等が用いられる。本
発明で、好ましいのは、α−オレフィンがブテン−1,
ヘキセン−1,4−メチルペンテン−1,オクテン−1
であり、これらのα−オレフィンの含有量が0.1〜1
5モル%のL−LDPE樹脂であり、最も好ましいの
は、α−オレフィンがブテン−1であり、ブテン−1含
有量が1〜8モル%のL−LDPE樹脂である。
【0223】従来の触媒で重合製造した市販のL−LD
PE樹脂の具体例を以下に示す。エチレン・ブテン−1
共合体樹脂:GレジンとNUC−FLX(UCC社)、
ダウレックス(ダウケミカル社)、スクレアー(デュポ
ンカナダ社)、マーレックス(フィリップス社)、スタ
ミレックス(DSM社)、エクセレンVL(住友化
学)、ネオゼックス(三井石油化学)、ユカロン−LL
(三菱油化)、日石リニレックス(日本石油化学)、N
UCポリエチレン−LL(日本ユニカー)、ニポロンム
(東ソー)、ショーレックスリニア(昭和電工)、宇部
ポリエチレンL(宇部興産)、出光ポリエチレンL(出
光石油化学)等、エチレン・ヘキセン−1共合体樹脂:
TUFLIN(UCC社)、TUFTHENE(日本ユ
ニカー)等、エチレン・4メチルペンテン−1共合体樹
脂:ウルトゼックス(三井石油化学)等、エチレン・オ
クテン−1共合体樹脂:スタミレックス(DSM社)、
ダウレックス(ダウケミカル社)、スクレアー(デュポ
ンカナダ社)、MORETEC(出光石油化学)等。
【0224】物理的強度向上と射出成形性のバランスの
点から特に好ましいのは、MFR(ASTM D−12
38−88のE条件、温度190°C、試験荷重2.1
6kgfで測定)が2〜80g/10分、好ましくは5
〜50g/10分、密度(JIS K−6760で測
定)が0.890〜0.985g/cm3 好ましくは
0.900〜0.980g/10分、そしてα−オレフ
ィンの炭素数が3〜12個のL−LDPE樹脂である。
【0225】酸変性ポリオレフィン樹脂の詳細について
以下に示す。シングルサイト触媒を用いて重合製造した
分子量分布が1.1〜5の熱可塑性樹脂との相容性が優
れ、リサイクル適性、遮光性物質の分散性も良好にする
樹脂であり、ポリオレフィン樹脂と不飽和カルボン酸類
とをグラフト変成した変性ポリオレフィン樹脂をいい、
例えばグラフト変性ポリエチレン樹脂、グラフト変性ポ
リプロピレン樹脂、グラフト変性エチレン共重合体樹脂
(EVA樹脂、EEA樹脂、L−LDPE樹脂、EMA
樹脂等)等がある。
【0226】変性ポリオレフィン樹脂における不飽和カ
ルボン酸類をグラフト変成させる方法は特に限定されな
い。例えは、溶融状態で反応させる特公昭43−274
21合公報等に開示の方法や、溶液状態で反応させる特
公昭44−15422号公報等に開示の方法や、スラリ
ー状態で反応させる特公昭43−18144号公報等に
開示の方法や、気相状態で反応させる特公昭50−77
493号公報等に開示の方法等がある。
【0227】これらの方法の中でも、押出機を用いる溶
融混練法が操作上簡便で、かつ、安価な方法なので好ま
しい。不飽和カルボン酸類の使用量は、接着強度確保の
ためポリオレフィン樹脂ベースポリマー(各種ポリエチ
レン樹脂、各種ポリプロピレン樹脂、各種ポリオレフィ
ン共重合体樹脂、ポリブテン−1樹脂、ポリ−4−メチ
ルペンテン−1等のα−オレフィン共重合体樹脂及びそ
の共重合体樹脂)100重量部に対して0.01〜20
重量部、好ましくは0.2〜5重量部である。
【0228】ポリオレフィン樹脂と不飽和カルボン酸類
との反応を促進するために有機過酸化物等が用いられ
る。有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパ−オ
キサイド、ラウロイルパ−オキサイド、アゾビスイソブ
チロニトリル、ジクミルパ−オキサイド、α,α’ビス
(t−ブチルパ−オキシジイソプロピル)ベンゼン、
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパ−オキ
シ)ヘキシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブ
チルパ−オキシ)ヘキシン、ジ−t−ブチルパ−オキサ
イド、クメンヒドロパ−オキサイド、t−ブチル−ハイ
ドロパ−オキサイド、ジクミルパ−オキサイド、t−ブ
チルパ−オキシラウレート、t−ブチルパ−オキシベン
ゾエート、1,3ビス(t−ブチルパ−オキシイソプロ
ピル)ベンゼン、キュメンハイドロパ−オキサイド、ジ
−t−ブチル−ジパ−オキシフタレート、t−ブちるパ
−オキシマレイン酸、イソプロピルパ−カーボネート等
の有機過酸化物、アソビスイソブチロニトリル等のアゾ
化合物、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物等があ
る。
【0229】これらは1種または2種以上の組合せで使
用してもよい。特に好ましいのは、分解温度が170°
C〜200°Cの間にあるジ−t−ブチルパーオキサイ
ド、ジークミルパーオキサイド、2,5ージメチルー
2,5ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−
ジメチル−2,5ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシ
ン、1,3−ビス(t−ブチルパ−オキシイソプロピ
ル)ベンゼンである。これらの過酸化物の添加量は特に
限定されないが、ポリオレフィン樹脂100重量部に対
して0.005〜5重量部、好ましくは0.01〜1重
量部である。
【0230】市販の酸変性ポリオレフィン樹脂の代表例
を以下に示す。 (1)日本石油化学KK “Nポリマー” (2)三井石油化学KK “ADMER” (3)昭和電光KK “ER RESIN” (4)三菱化成工業KK “NOVATEC−AP” (5)三菱油化KK “MODIC” (6)日本ユニカーKK “NUC−ACE” (7)宇部興産KK “UBE BOND” (8)東ソーKK “メルセンM” (9)住友化学工業 “ホルダイン” (10)三井・デュポンケミカルKK“CMPS”等 (11)エクソン社 “デクソン” (12)東亜燃料工業KK “HAシリーズ” (13)三井東圧化学KK “MITSUI LONPLY”等
【0231】L−LDPE樹脂製造プロセスの特徴の概
略を以下に示す。 1) 気相法 重合に必要なエネルギー量が小さいと発表されている。
品質上はコモノマーに、揮発しやすい単一成分を用いな
ければならないとされており、溶液法に比べ制約を受け
る。最近は、コモノマーの選択、分子量分布のコントロ
ール幅も広くなりつつある模様である。特に、シングル
サイト触媒(代表例はメタロセン触媒)を用いた場合
は、写真性が良好で、且つコモノマーの選択、分子量分
布のコントロール幅が広く最も好ましい重合製造法であ
る。
【0232】2) スラリー法 溶媒を用いる液相重合法は、スラリー法と溶液法とに分
けられる。スラリー法は、溶媒を用いるスラリー(異相
系)であるので、反応容器内の溶液は粘度が低いことか
ら、比較的コンパクトな設備で生産することができ、溶
媒の除去が容易であるなどの利点がある。一方、低密度
化については、低分子量低密度ポリマーが溶媒に溶け込
み、溶液が高粘度になったり、ポリマーが膨潤して塊状
化するため、密度が0.930g/cm3 以下のL−L
DPE生産は制限される。
【0233】3) 溶液法 溶液法の重合は溶液中で行われる。溶液状態を維持する
ため高温で反応が行われる。品質面では、低密度化の許
容範囲が広く、且つC6 以上のα−オレフィン(4メチ
ルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン
−1等)とエチレンの共重合に最適の製造プロセスであ
る。またα−オレフィン含有量の大きいL−LDPE樹
脂(密度が0.910g/cm3 以下の超低密度L−L
DPE樹脂)の製造プロセスとしても最適である。
【0234】4) 改良高圧法 従来の高圧法プロセスをそのまま利用しながらチーグラ
ー系触媒やメタロセン触媒により高温高圧でL−LDP
E樹脂を得るものでランニングコストは上記(1)〜
(3)より高価である。高圧転換法とも呼ばれる。
【0235】本発明の遮光性物質や繊維状充填写真感光
材料の分散性を向上させ、射出成形品の物理強度を向上
させる働きを有する各種の熱可塑性エラストマーの代表
例を以下に述べる。熱可塑性エラストマー(以下、TR
Eと表示)は、大別するとスチレン系(以後SBCと表
示)、エステル系(以後TPEEと表示)、オレフィン
系(以後TPOと表示)、塩化ビニル系(以後TPVC
と表示)、アミド系(以後TPAEと表示)、結晶性
1,2ポリブタジエン系(以後RBと表示)、アイオノ
マー系、フッ素系(以後F−TPEと表示)、ウレタン
系(以後TPUと表示)、イソプレン系など各種の化学
構造のものがある。
【0236】市販の代表的なTPEを以下に示す。TP
R(Uniroyal)、TPNor Somel
(E.I.du Pont de Nemours)、
Telcar.Estane(B.F.Goodric
h Chemical)、Vistaflex(Exx
on Chemical)、Visalon(Esso
Chemical)、Pro−fax(Hercule
s)、ET(Allied Chemical)、Re
n flex(Ren Plastics)、Sant
oprene(Monsanto)、Keltan−T
P(Naamloze Vennootschap D
SM)、Uneprene(Internationa
l Synthetic Rubber)、Dutra
l TP(Montedison)、Dutral T
P(Montedison)、エスプレンEPR(また
は住友TPE)(住友化学工業)、ミラストマー(三井
石油化学工業)、JSR−サーモラン(日本合成ゴム)
等。
【0237】代表的な主要TPEの分類と製造メーカー
及び商品名を表6に示す。
【0238】
【表6】 ※上記分類のうち、オレフィン系及びウレタン系TPE では外国メーカーを除外 した。また、製造会社の欄の( )内は輸入販売会社を示すものである。
【0239】スチレン系熱可塑性エラストマーの詳細に
ついて以下に示す。本発明のシングルサイト触媒を用い
て重合製造した分子量分布(前記GPC法により求めた
重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が1.1〜1
0、好ましくは1.3〜8、特に好ましくは1.5〜5
の熱可塑性樹脂や他の従来の各種熱可塑性樹脂との相容
性が優れるだけでなく、遮光性物質の分散性が優れるス
チレン系熱可塑性エラストマーを含む遮光性写真感光材
料用射出成形品は、本発明には特に好ましい。特に遮光
性物質を高濃度に含有するマスターバッチ樹脂ペレット
用にスチレン系熱可塑性エラストマーを用いると分散
性、物理強度、外観の優れた射出成形故障の発生が少な
い着色写真感光材料用射出成形品を得ることができるの
で好ましい。
【0240】マスターバッチ樹脂ペレットの樹脂組成物
がスチレン系熱可塑性エラストマーを含有する場合、希
釈用樹脂組成物が結晶性樹脂(ポリオレフィン系樹脂、
ポリアセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビ
ニリデン系樹脂、線状ポリエステル系樹脂等)または非
結晶性樹脂(ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系
樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系
樹脂、メタクリル酸系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等)のい
ずれかであっても、あるいは両樹脂の混合したものであ
っても、更にはリサイクル樹脂が混入されても良好に相
溶化した射出成形用着色樹脂組成物となる。
【0241】ここでスチレン系熱可塑性エラストマーと
は、スチレン系モノマー(ハードセグメント)と、スチ
レン系モノマーと共重合しうるモノオレフィンまたはジ
オレフィン等の他のモノマー(ソフトセグメント)との
ランダム、ブロック、グラフト等の共重合体(特に好ま
しくはブルック共重合体)、及びこれらの共重合体の水
素添加物である。
【0242】なお、スチレン系モノマーとしては例え
ば、スチレン、αークロロスチレン、2,4−ジクロロ
スチレン、p−メトキシスチレン、p−メチルスチレ
ン、p−フェニルスチレン、p−ジビニルベンゼン、p
−(クロロメトキシ)−スチレン、α−メチルスチレ
ン、o−メチル−α−メチルスチレン、m−メチル−α
−メチルスチレン、p−メチル−α−メチルスチレン、
p−メトキシ−α−メチルスチレン等が挙げられる。こ
れらの中では、スチレンが特に好ましく挙げられる。ジ
オレフィンとしては例えばジシクロペンタジエン、1,
4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチルノルボ
ルネン等の非共役ジエン、またはブタジエン、イソプレ
ン等の共役ジエンが挙げられる。これらのなかではブタ
ジエンが特に好ましい。
【0243】また、モノオレフィンとしては、例えばエ
チレンの他、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、
3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘプ
テン−1、オクテン−1、デセン−1等の炭素数3以上
のα−オレフィンが挙げられる。これらのなかではエチ
レン、プロピレンが特に好ましい。ブロック共重合体の
構造としてはソフトセグメントの両端にハードセグメン
トが結合するいわゆるABA型、両ブロックの繰り返し
構造を有するマルチブロック型、両ブロックが放射状に
結合したラジアルブロック型がある。使用温度領域にお
いてはポリスチレンブロックがガラス状態のドメインを
形成してセグメント中に数十nmの大きさで分散し、ソ
フトセグメントを拘束することによって物理的架橋点を
形成する。
【0244】かかるスチレン系熱可塑性エラストマーは
上記の適当なモノマーを周知の適当な方法、例えはアニ
オンリビング重合法や、バッチ塊状重合法、連続塊状重
合法、懸濁重合法、連続溶液重合法、乳化重合法等のラ
ジカル重合法によって共重合することにより得ることが
できる。かかる重合方法のなかではアニオンリビング重
合が特に好ましく、ジエン系ポリマーのミクロ構造を規
制するため開始剤には有機リチウム化合物が一般的に用
いられる。また重合法には両成分を逐次的に重合する方
法(逐次重合法)と逐次重合の後カップリング反応で分
子を結合する方法があり、ラジアルブロック型は多官能
カップリング剤を用いる後者の方法で製造される。
【0245】スチレン系モノマーと共重合しうるモノオ
レフィンまたはジオレフィン等の該他のモノマーの、ス
チレン系モノマー中の含有量は1〜12重量%、好まし
くは1.5〜10重量%、特に好ましくは2〜8重量%
の任意の量である。スチレン系モノマーと共重合しうる
モノオレフィンまたはジオレフィン等の該他のモノマー
の、スチレン系モノマー中の含有量が1〜12重量%で
あれば、例えば0°C以下の低温度条件下で用いられる
ことの多い写真フイルム用スプール,写真フイルム用カ
ートリッジ、インスタントフイルムユニット、カメラボ
ディー、シート写真フイルムパックホルダ、写真フイル
ム用マガジン、レンズ付き写真フイルムユニット等が3
0cm以上の高さから落下した時の衝撃強度不足を防止
でき、また耐摩耗性に優れ、更に写真感光材料を3か月
以上の長期間密封状態で保存される場合でも、経時で写
真性に悪影響を及ぼしたりするカブリが増加したり部分
的に感度が上昇したりすることを防止することができ
る。
【0246】かかるスチレン系熱可塑性エラストマーの
具体例としては例えばスチレン−ブタジエン−スチレン
ブロック共重合体樹脂及びその水素添加物であるスチレ
ン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体樹
脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂及びその水素添
加物であるスチレン−エチレン−ブチレンブロック共重
合体樹脂、スチレン−イソプレン共重合体樹脂及びその
水素添加物であるスチレン−エチレン−プロピレンブロ
ック共重合体樹脂、スチレン−イソプレン−スチレンブ
ロック共重合体樹脂及びその水素添加物であるスチレン
−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体樹
脂等である。かかるスチレン系熱可塑性エラストマーの
なかでスチレン−ブタジエン共重合体樹脂及びその水素
添加物が特に好ましい。
【0247】代表的なスチレン系熱可塑性エラストマー
の商品名と製造会社名を以下に示す。Kraton(ま
たはCaliflex TR)、Kraton G(ま
たはElexar)(Shell Chemical) 、Solpre
ne T(Phillips Petroleum)、Europrene
SOL T(ANIC) 、Solprene T(Petroc
hi)、タフプレン(旭化成)、ソルプレン T、アサプ
レン T(日本エラストマー)、クリアレン(電気化
学)、JSR、SBR(日本合成ゴム)等。
【0248】また上記スチレン系熱可塑性エラストマー
の代わりに、あるいはスチレン系熱可塑性エラストマー
とともに、上記スチレン系熱可塑性エラストマーを変性
させたものを用いてもよい。スチレン系熱可塑性エラス
トマーを変性させるにはどのような方法を用いてもよい
が、例えば不飽和カルボン酸またはその誘導体を変性剤
として変性させることができる。
【0249】不飽和カルボン酸、例えば、アクリル酸、
メタクリル酸、マレイン酸、エンドービシクロ〔2.
2.1〕−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸(エン
ディック酸)、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタ
コン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸等
の不飽和モノあるいはジカルボン酸、またはその誘導
体、例えば酸、ハライド、アミド、イミド、無水物、エ
ステル等が挙げられる。誘導体の具体例としては、塩化
マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、エンディック
酸無水物、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、無
水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジ
メチル等が挙げられる。
【0250】これら変性剤は単独で、あるいは2種以上
併用することもできる。上記変性剤としての不飽和カル
ボン酸またはその誘導体の含有量はスチレン系熱可塑性
エラストマーの種類によっても異なり一概には言えない
が、一般にはスチレン系熱可塑性エラストマーに対して
略0.1〜15重量%程度、好ましくは略0.1〜10
重量%の任意の量である。変性スチレン系熱可塑性エラ
ストマーは、上記の原料スチレン系熱可塑性エラストマ
ーと不飽和カルボン酸またはその誘導体を溶液法または
溶液混練法等の既知の変性法を利用して共重合すること
により得ることができる。
【0251】以下に各種の相溶化剤の代表例を示す。相
溶化剤とは、同種でも特性の異なる熱可塑性樹脂、リサ
イクル熱可塑性樹脂とバージン熱可塑性樹脂、遮光性樹
脂を高濃度に配合したマスターバッチ熱可塑性樹脂と希
釈用熱可塑性樹脂又はこれらを組み合わせた樹脂のよう
に、単一の熱可塑性樹脂にはない新しい性質、性能を発
現しようとする際、相溶化を達成できる物質である。本
発明の写真感光材料用射出成形品中への相溶化剤の配合
量は、0.5〜45重量%が好ましく、1〜40重量%
がより好ましく、2〜35重量%が特に好ましく、4〜
30重量%が最も好ましい。
【0252】なお、これら相溶化剤の配合量が0.5重
量%未満であると、物理強度の向上、外観の向上及び相
容性の向上を効果的に達成することができない。また、
配合量が45重量%を越えると剛性が不充分になった
り、写真感光材料に悪影響を及ぼす恐れがあり、また、
高価であるためコストが高くなり、経済的に実用化困難
になるものである。
【0253】相溶化剤には、非反応型相溶化剤と反応型
相溶化剤とがある。相溶化剤の具体的な代表例を以下に
示す。 〔非反応型相溶化剤の代表例〕 スチレン・エチレン・ブタジエンブロック共重合体樹脂 ポリエチレン・ポリスチレングラフト共重合体樹脂 ポリエチレン・ポリメチルメタクリレートグラフト共重
合体樹脂 ポリエチレン・ポリメチルメタクリレートブロック共重
合体樹脂 エチレン・プロピレン・ジエン共重合体樹脂 エチレン・プロピレン共重合体樹脂 ポリスチレン・低密度ホモポリエチレングラフト共重合
体樹脂 ポリスチレン・高密度ホモポリエチレングラフト共重合
体樹脂 水添スチレン・ブタジエン共重合体樹脂 スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体樹
脂 スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体樹脂 塩素化ポリエチレン樹脂 ポリプロピレン・ポリアミドグラフト共重合体樹脂 ポリプロピレン・エチレン・プロピレン・ジエン共重合
体樹脂 ポリスチレン・ポリアクリル酸エチルグラフト共重合体
樹脂 ポリスチレン・ポリブタジエングラフト共重合体樹脂 ポリスチレン・ポリメチルメタクリレートブロック共重
合体樹脂等
【0254】〔反応型相溶化剤の代表例〕 無水マレイン酸化エチレン・プロピレン共重合体樹脂 無水マレイン酸化スチレングラフト共重合体樹脂 無水マレイン酸化スチレン・ブタジエン・スチレン共重
合体樹脂 無水マレイン酸化スチレン・エチレン・ブタジエン・ス
チレン共重合体樹脂 エチレン・グリシジルメタクリレート共重合体樹脂 エチレン・グリシジルメタクリレート・スチレングラフ
ト共重合体樹脂 エチレン・グリシジルメタクリレート・メチルメタクリ
レートグラフト共重合体樹脂 無水マレイン酸グラフトポリプロピレン共重合体樹脂等
【0255】内外の市販相溶化剤の代表例を示す。 Kroton G(組成:水添SBS、水添SEBS及
びマレイン化物、Shell) Royaltuf(組成:EPDM・スチレングラフト
共重合体樹脂、マレイン化EPDM、EPDM・アクリ
ロニトリル共重合体樹脂、Uniroyal) Modiper(モディパー)(組成:各種2種の樹脂
のブロック又はグラフト共重合体樹脂、日本油脂) Paraloid(組成:マレイン化EPDM、コア・
シェルタイプのブロック共重合体樹脂、Rohm an
d Haas) Reseda(レゼダ)(組成:スチレン・メチルメタ
クリレートグラフト共重合体樹脂、東亜合成) ボンドファースト(組成:エチレン・メタクリル酸グリ
ニジル共重合体樹脂、住友化学) EXXelor(組成:マレイン化EPDM、EXXo
n Chem) タフテック(組成:SBS、SEBSとそのマレイン化
物、旭化成) Bennet(組成:EVA・EPDM・ポリオレフィ
ングラフト共重合体樹脂、High Tech Pla
stics) Dylark(組成:スチレン・無水マレイン酸共重合
体樹脂、ARCO) レクスパール(組成:エチレン・メタクリル酸グリシジ
ル共重合体樹脂、日本石油化学) VMX(組成:EVA50部にスチレン50部を含浸重
合、三菱油化) (SBS/スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体樹
脂の略号 SEBS/スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン
共重合体樹脂の略号 EPDM/エチレンプロピレン・ジエン共重合体樹脂の
略号 EVA/エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂の略号)
【0256】なお、上述したような相溶化剤と併用する
熱可塑性樹脂のメルトフローレートは、ショートショッ
ト発生防止、ウェルドライン発生防止、外観向上、成形
サイクル短縮、射出成形品の寸法安定性確保の点から3
〜100g/10分、好ましくは5〜80g/10分、
特に好ましくは10〜60g/10分、最も好ましくは
15〜50g/10分である。このメルトフローレート
の測定条件は樹脂の種類により異なっており、主な測定
条件を表7に示す。
【0257】特に熱容量がポリスチレン樹脂の2倍前後
と大きいポリオレフィン樹脂の場合は分子量分布が1.
1〜20、好ましくは1.3〜15、より好ましくは
1.5〜12、特に好ましくは1.8〜10、最も好ま
しくは2.0〜8の場合でも、上記優れた性能を確保す
る為にASTMD−1238のE条件で測定したMFR
が大きな熱可塑性樹脂を用いることが好ましく、MFR
は5〜100g/10分、好ましくは10〜80g/1
0分、より好ましくは12〜70g/10分、特に好ま
しくは15〜60g/10分、最も好ましくは17〜5
0g/10分である。
【0258】
【表7】
【0259】ホモポリエチレン樹脂及びエチレン−α−
オレフィン共重合体樹脂もしくはこれらのいずれか一方
の樹脂の場合は、柔軟性、容器本体との嵌合密閉性を必
須とする写真フイルムカートリッジ用容器キャップに用
いる場合の密度は0.85〜0.940g/cm3 、好
ましくは0.89〜0.935g/cm3 、特に好まし
くは0.90〜0.930g/cm3 、最も好ましくは
0.91〜0.928g/cm3 である。
【0260】また、パーキンエルマー社製DSCを用
い、室温より10°C/10分の昇温速度で200°C
まで加熱後、その温度で2分間保持し、次に10°C/
分の降温速度で40°Cまで冷却後、その温度で2分間
保持し、引続き10°C/分の昇温速度で200°C迄
加熱した時観察される単独あるいは複数の吸熱ピークの
内、最も吸熱量の大きなピークのピーク位置を与える温
度(以後融点と表示する)が90°C以上、好ましくは
100°C以上、特に好ましくは105°以上、最も好
ましくは110°C以上である。
【0261】然し、剛度や耐熱性、耐摩耗性、耐油性、
耐溶剤性を必要とする用途の場合(例えば写真フイルム
カートリッジ用容器本体、APS用の樹脂製写真フイル
ムカートリッジ等の射出成形品に用いるポリエチレン系
樹脂(ホモポリエチレン樹脂、エチレン−αオレフィン
共重合体樹脂)の密度は0.941〜0.985g/c
3 、好ましくは0.945〜0.980g/cm3
特に好ましくは0.947〜0.978g/cm3 、最
も好ましくは0.950〜0.975g/cm 3 であ
る。DSCにより測定した融点は耐熱性確保の点から1
10°C以上、好ましくは115°C以上、特に好まし
くは120°C以上、最も好ましくは125°C以上で
ある。
【0262】一方、ポリオレフィン系樹脂の分子量分布
(数平均分子量/数平均分子量)は、物理強度確保と成
形性確保のバランスの点で 1.1〜20、好ましくは 1.3
〜15、特に好ましくは 1.5〜12であり、最も好まし
くは 1.8〜10である。有機造核剤の添加効果は、分子
量分布が小さい程発揮されることが今回判明した。
【0263】従って有機造核剤を含有する場合は分子量
分布は 1.1〜10、好ましくは 1.3〜8、特に好ましく
は 1.5〜6、最も好ましくは 1.8〜5である。ここで分
子量分布は、GPC法により重量平均分子量(M’w)
/数平均分子量(M’n)で表される測定された分子量
より求める。分子量分布が 1.1未満では物理強度は非常
に優れ、寸法精度が優れる。しかし、射出成形性が悪化
すると共に重合製造が困難で高価になる。分子量分布が
20を越えるとこの逆になりいずれも実用化困難であ
る。
【0264】なお、分子量分布とは、ゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィー法(以後、GPC法と表示す
る)で測定した重量平均分子量(以後M’wと表示す
る)と数平均分子量(以後M’nと表示する)の比で
M’w/M’nのことを言う。測定は具体的には、例え
ば、ウォーターズ社製150−C(カラム;東ソー社製
GMH−XLHT 8mmφ×30m×3本、溶媒;
1,2,4−トリクロロベンゼン、温度;135°C、
流量;10ml/分)を用いて行った。GPC法により
M’wやM’nを測定し、M’w/M’nを算出した値
を分子量分布と言う。
【0265】本発明のポリオレフィン系樹脂組成物に、
上記のジ−置換ベンジリデンソルビトール化合物を含ま
せることにより、物理強度、表面強度、表面硬度、剛
性、耐ブリードアウト性、無臭性、透明性、写真性、射
出成形性、寸法精度,耐摩耗性等の優れた写真感光材料
用射出成形品を提供することができる。
【0266】本発明の好ましい有機造核剤を含むポリオ
レフィン系樹脂組成物が上記の優れた効果を奏する理由
は必ずしも明らかでないが、従来のジベンジリデンソル
ビトールの製造原料であるベンズアルデヒド及び上記の
ジベンジリデンソルビトール誘導体の製造原料であるp
置換ベンズアルデヒド等のベンズアルデヒド誘導体には
臭気があって、共に精製後も不可避的にジベンジリデン
ソルビトール(誘導体)に微量残留して本発明の写真感
光材料用射出成形品の異臭の原因となること、及びジベ
ンジリデンソルビトール化合物が射出成形時の加熱によ
り若干分解を起こして異臭の原因となることが考えられ
る。
【0267】これらのアルデヒド化合物は異臭だけでな
く、写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼす(カブリ、
感度異常、発色異常、階調異常の発生)ので、これを防
止するのに各種酸化防止剤や脂肪酸金属塩やハイドロタ
ルサイト類化合物と併用することが好ましい。
【0268】各種の有機造核剤は、単独で用いても各種
の無機造核剤との併用、有機造核剤の2種以上を併用す
ることもできる。また、有機造核剤及び無機造核剤、も
しくはこれらの一方の表面を各種の脂肪酸、脂肪酸化合
物やシリコーン等の滑剤、カップリング剤、可塑剤、界
面活性剤等の前記各種の遮光性物質の表面被覆剤等を含
む分散剤や湿潤剤等で被覆することができる。特に好ま
しいのは高級脂肪酸と高級脂肪酸化合物(好ましいのは
高級脂肪酸金属塩)と可塑剤の1種以上で表面被覆した
ジベンジリデンソルビトール化合物である。
【0269】無機造核剤の代表的なものとしては、例え
ば、タルク,クレー、マイカ、モンモリロナイト、べン
トナイト等の粘度類、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネ
シウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸リチウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カ
リウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化リ
チウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カ
ルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、等の
無機塩、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化マグネ
シウム、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛等の
金属塩化物等が挙げられる。
【0270】これらの有機造核剤や無機造核剤の配合量
は、樹脂組成物中に0.01〜5重量%、好ましくは
0.3〜3.5重量%、特に好ましくは0.06〜2重
量%、最も好ましくは0.1〜1重量%である。配合量
が0.01重量%よりも少ないと剛性、生産性、耐熱
性、及び硬度などの向上がみられない。一方、その配合
量を5重量%より多くしても、剛性などがそれ以上向上
せず、ブリードアウトや着色故障の発生が多くなり、か
つ、材料費増となるだけである。
【0271】これら造核剤の中で悪臭もなく、アルデヒ
ド化合物の発生が少なく写真感光材料の写真性に悪影響
を与えず、造核効果が最も高く、成形サイクルを最も短
縮可能であり、射出成形故障の発生を最も減少できる
等、種々の効果を発揮する点から化5に示される化学式
で表されるソルビトール誘導体が好ましく挙げられる。
【0272】
【化5】
【0273】1,3-2,4-ジ(4-メチルベンジリデン)ソル
ビトールと、ビス(パラ−メチルベンジリデン)ソルビ
トール、及びビス(パラ−エチルベンジリデン)ソルビ
トールが最も好ましい。市販品としては、例えば、新日
本理化株式会社製のゲルオールMD(商品名)とゲルオ
ールDH(商品名)及び三井東圧化学株式会社製のNC
4(商品名)等がある。これらの最も好ましいソルビト
ール誘導体の分子量は350〜500、融点は180〜
270℃である。融点が180℃未満では熱劣化により
熱分解を起こしやすく、写真感光材料の写真性に悪影響
を及ぼすアルデヒド化合物が発生し、悪臭や射出成形時
の発煙等の問題がおきる。一方、融点が270℃を越え
ると造核効果を発揮させるために樹脂温度を高くする必
要があり、樹脂や添加剤の熱劣化が大きくなる。
【0274】本発明における写真感光材料用射出成形品
中には、ブロッキング防止剤を好ましく添加することが
できる。ポリオレフィン樹脂、特にエチレンを含む共重
合体樹脂、粘着性が有るためにブロッキングを起こしや
すい。そのために、ポリオレフィン樹脂製射出成形品ど
うし間でブロッキングが発生し、搬送が困難になった
り、静電気が発生し写真感光材料にスタチックマーク故
障を発生させたりする。
【0275】このようにブロッキングが発生すると、写
真感光材料用射出成形品の製造、及びその後の加工包装
における作業性を損なうのみならず、その写真感光材料
用射出成形品を使用して写真感光材料包装体を製造しよ
うとすると、写真感光材料と写真感光材料用射出成形品
とのブロッキングを起こし、写真感光層を損なったり、
スタチックマークが発生したり、写真感光材料の挿入性
が悪化したり、写真フイルムの巻き戻しが困難になった
りする。
【0276】このため、本発明においては、写真感光材
料用射出成形品中に、ブロッキング防止作用のある遮光
性物質と写真感光材料との滑性向上とブロッキング防止
効果の大きい滑剤、及びブロッキング防止剤とを含有さ
せてこれらの様々なトラブルを防止することが好まし
い。
【0277】特にブロッキング防止効果が大きくて写真
感光材料の写真性に悪影響を及ぼすことのない、本発明
において使用可能なブロッキング防止剤の代表的な例と
しては、非晶質ゼオライト,微粉末のシリカ,天然また
は合成の二酸化硅素,クレー,炭酸カルシウム,天然ま
たは合成のゼオライト,非晶質化したアルミノ硅酸塩,
無水非晶質アルミノシリケート,チタンホワイト(二酸
化チタン),ケイソウ土,非晶質アルミノシリケートと
微細な不定形シリカとの混合物,ゼオライト粒子上に微
細な炭酸カルシウムを沈積させた複合微粉末,金属置換
型結晶性アルミノ硅酸塩,金属置換A型ゼオライト,ア
スベスト,硅酸ゲル,硅酸アルミニウム,ヒドロキシソ
ーダライト,カオリナイト,タルク,酸化マグネシウ
ム,繊維状マグネシウムオキシサルフェート(塩基性硫
酸マグネシウム),合成硅酸アルミニウムマグネシウ
ム,弗化リチウム等を挙げることができる。
【0278】次に、代表的なブロッキング防止剤の平均
的な粒径を、表8に示す。
【0279】
【表8】
【0280】本発明の写真感光材料用射出成形品におい
ては、完全な遮光性を確保するために写真感光材料用射
出成形品に、以下に挙げる遮光性物質の分散剤を含有さ
せることが好ましい。
【0281】本発明において、感光材料の写真性に悪影
響を及ぼすことのない、好ましい遮光性物質の分散剤の
代表的なものとしては、重量平均分子量が5000〜5
0000の低分子量スチレン系重合体類、重量平均分子
量が500〜20000のポリエチレンワックス、また
はポリプロピレンワックス、及びこれらの誘導体類、脂
肪酸金属塩、エチレンビスアマイド類などが挙げられ
る。
【0282】また、好ましい遮光性物質の分散剤の内、
市販されている商品の代表的なものとして、以下のもの
が挙げられる。 (1) 重量平均分子量が5000〜50000の低分
子量スチレン系重合体類としては「ハイマーSB」,
「レジットS」(三洋化成工業株式会社製) 「エラスチレン」,「ピコラスチックD」(シェル化学
株式会社製) (2) 重量平均分子量が500〜20000のポリエ
チレンワックス、またはポリプロピレンワックス、及び
これらの誘導体類、(これらをマレイン酸,アクリル
酸,無水マレイン酸等の不飽和酸、或いは不飽和酸無水
物で変性したもの、または、これらの金属塩や酸化処理
を行ったもの)としては「ACポリエチレン」(アラン
ドケミカル社製) 「ハイワックス」(三井石油化学工業株式会社製) (3) 脂肪酸金属塩やエチレンビスアマイド類として
は「アーモスリップEBS」(ライオン・アクゾ製) 「エレクトロストリッパー(TS−2B,TS−3B,
TS−7B等)」(花王石鹸株式会社製)
【0283】本発明の写真感光材料用射出成形品には、
印刷適性(外観や見栄え)を良好にするために、光反射
性遮光性物質を含むことが好ましい。このような光反射
性遮光性物質の具体例を、表9に示す。
【0284】
【表9】
【0285】これらの光反射性遮光性物質はいずれも白
色顔料であり、中でも屈折率が2.0以上である亜鉛華
(酸化亜鉛)、硫化亜鉛、二酸化チタン、酸化ジルコニ
ウム、リトポンが好ましい。屈折率が2.5以上である
二酸化チタンは特に好ましい。これは、屈折率が大きい
ほど白色顔料で散乱される光の量が多いからである。
【0286】二酸化チタンの平均粒子径は、0.01〜
1.0μm、好ましくは0.05〜0.8μm、より好
ましくは0.10〜0.6μm、最も好ましくは0.1
5〜0.40μmである。平均粒子径が0.01μm未
満の微粉末のものは高価であり、かつ凝集しやすく、ミ
クログリットも発生しやすくなり実用上問題がある。一
方、平均粒子径が1.0μmを越えると可視光を散乱さ
せる効果が小さくなり、かつ、表面の凹凸が大きくな
り、好ましくない。
【0287】黄色顔料として好ましいものは、チタンイ
エロー,クロムイエロー,カドミウムイエロー,オイル
イエロー,クロモフタールイエローGR,キノフタロ
ン,ベンジジンイエロー等が挙げられる。
【0288】銀色顔料としては、アルミニウム粉末,ア
ルミニウムペースト,合成真珠粉末等が挙げられる。写
真感光材料の写真性に悪影響を及ぼすことが殆どなく、
安価で遮光能力が大きい点で、アルミニウム粉末とアル
ミニウムペーストが好ましく、特に脂肪酸、脂肪酸化合
物、及び界面活性剤の1つ以上が0.01〜5重量%、
酸化防止剤が0.01〜2重量%、シリカ、二酸化チタ
ン、及び炭酸カルシウムの1種以上が0.01〜40重
量%と、アルミニウム粉末、アルミニウムペーストの1
種以上が0.1〜30重量%とを含む光反射性の遮光性
樹脂組成物を用いた光反射性の写真感光材料用射出成形
品が好ましい。(但し、全部の合計は100重量部であ
る。)
【0289】本発明の写真感光材料用射出成形品に含有
させることが好ましい帯電防止性を確保するための界面
活性剤系の帯電防止写真感光材料の代表例を以下に示
す。 〔ノニオン系〕(=非イオン系) (1) アルキルアミン誘導体;T−B103(松本油
脂)、T−B104(松本油脂) アルキルアミド型 3級アミン(ラウリルアミン);アーモスタット400
(ライオン油脂) N,N−ビス(2−ヒドロキシエチルココアミン);ア
ーモスタット410(ライオン油脂) 3級アミン;ANTISTATIC273C、273、273E
(Fine Org.Chem ) N−hydoroxyhexadecyl −di−ethanol −amine ;Bel
g.P.654 ,049 N−hydoroxyoctadecyl −di−ethanol −amine ;(N
ational Dist.)
【0290】(2) 脂肪酸アマイド誘導体;TB−115
(松下油脂)、エレガンP100(日本油脂)、エリー
クSM−2(吉村油化学) ヒドロキシステエリン酸アマイド シュウ酸−N,N’−ジステアリルアミドブチルエステ
ル:ヘキスト ポリオキシエチレンアルキルアミド
【0291】(3) エーテル型 ポリオキシエチレンアルキルエーテル RO(CH2 CH2 O)nH ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル 特殊非イオン型;レジスタット104、PE100、1
16〜118(第一工業製薬)、レジスタットPE13
2、139、エレガンE115、ケミスタット113
(第一工業製薬)、ケミスタット1005(日本油
脂)、エリークBM−1(吉村油化学)、エレクトロス
トリッパー〔TS−2B,TS−2PA,TS−3B,
TS−5,TS−6B,TS−7B,TS−8B,TS
−9B,HS−12N,EA〕(花王石鹸)
【0292】(4) 多価アルコールエステル型 グリセリン脂肪酸エステル;ステアリン酸もしくはヒド
ロキシステアリン酸等のモノ、ジ、又はトリグラリセラ
イド、モノグリ(日本樟脳)、TB−123(松本油
脂)、レジスタット113(第一工業製薬) ゾルビタン脂肪酸エステル 特殊エステル;エリークBS−1(吉村油化学) 1−ヒドロキシエチル−2−ドデシルグリオキサゾリ
ン;ブリティシュ・セロファン
【0293】〔アニオン系〕 (1) スルホン酸類; アルキルスルホネート RSO3 Na アルキルベンゼンスルホネート アルキルサンフェート ROSO3 Na
【0294】(2) リン酸エステル型; アルキルホスフェート
【0295】〔カチオン系〕 (1) アミド型カチオン;レジスタットPE300、40
1、402、406、411(第一工業製薬)
【0296】(2) 4級アンモニウム塩; 第4級アンモニウムクロライド 第4級アンモニウムサルフェート 第4級アンモニウムナイトレート カチミンCSM−9(吉村油化学)、CATANAC6
09(アメリカン・シアナミド)、デンノ314C(丸
菱油化)、アーモスタット300(ライオン油脂)、1
00V(アーマー)、エレクトロストリッパーES(花
王石鹸)、ケミスタット2009(日本油脂) Stearamido propyl−dimethyl−β−hydroxyethyl am
monium nitratc ;CATANAC・SN(アメリカン
・ジアナミド)
【0297】〔両性イオン系〕 (1) アルキルペタイン型;
【0298】(2) イミダゾリン型;レオスタット53、
532(ライオン油脂)、AMS 53.ライオン油
脂)、AMS303、313(ライオン油脂) アルキルイミダゾリン型
【0299】(3) 金属塩型;AMS 576(ライオン
油脂) レオスタット826、923(ライオン油脂) (RNR’CH2 CH2 CH2 NCH2 COO)2 Mg {R≧C,R’=H又は(CH2 )mCOO−}(ライ
オン油脂) R=C3 〜C8 炭化水素、A=酸素又はイミノ基、M=
有機アミン又は金属
【0300】(4) アルキルアラニン型;
【0301】〔その他〕;レジスタット204、205
(第一工業製薬)、エレガン2E:100E(日本油
脂)、ケミスタット1002、1003、2010(日
本油脂)、エリーク51(吉村油化学)、ALROMI
ME RV−100(ガイギー)、また、プラスチック
データハンドブック(KK工業調査会1984年4月5
日発行)の776〜778ページに開示された各種界面
活性剤系帯電防止剤等から写真感光材料の写真性に悪影
響を及ぼさない種類や添加量を選択して用いることが可
能である。
【0302】以上の界面活性剤系帯電防止剤の中では、
写真性、及び人身に与える悪影響が小さく、スタッチマ
ーク防止効果が大きいため、非イオン系界面活性剤の帯
電防止剤が特に好ましい。以上のような界面活性剤の帯
電防止剤の写真感光材料用射出成形品中の含有量は0.
01〜5重量%が好ましく、0.05〜4重量%がより
好ましく、0.1〜3重量%が特に好ましく、0.2〜
2重量%が最も好ましい。
【0303】本発明の写真感光材料用射出成形品中に含
有されることが好ましい消臭剤、芳香剤の代表例を以下
に説明する。
【0304】消臭剤としては、有機カルボン酸、有機カ
ルボン酸と亜鉛化合物との混合物、及び有機カルボン酸
と亜鉛化合物とアルミニウム化合物との混合物等があ
る。
【0305】有機カルボン酸としては、脂肪族ポリカル
ボン酸、芳香族ポリカルボン酸及びこれら脂肪族、芳香
族ポリカルボン酸と多価アルコール化合物との反応生成
物で末端がカルボキシル基の酸性ポリエステル化合物等
がある。
【0306】脂肪族ポリカルボン酸としては、ジュウ
酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、フマル酸、メチ
ルフマル酸、マレイン酸、メチルマレイン酸、イタコン
酸、アセチレン酸、リンゴ酸、メチルリンゴ酸、クエン
酸、イソクエン酸、メサコン酸、シトラコン酸等のジ又
はトリカルボン酸又はそれらの塩等があり、特に好まし
いものはクエン酸、フマル酸またはその塩である。
【0307】芳香族ポリカルボン酸としては、例え
ば、、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメ
リット酸、ピロメリット酸、ベンゼンヘキサトリカルボ
ン酸、ナフタレンジカルボン酸、ナフタレントリカルボ
ン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、アゾベンゼンテト
ラカルボン酸等の芳香族カルボン酸又はそれらの無水化
合物等があり、特に好ましいのはベンゼントリカルボン
酸とトリメリット酸である。
【0308】末端がカルボキシル基の酸性ポリエステル
化合物としては、フタル酸等のポリカルボン酸とエチレ
ングリコール、ジエチレングリコール等の多価アルコー
ルとが反応した末端カルボキシル基のポリエステル、ポ
リカルボン酸で変性した酸性セルロース誘導体等があ
る。有機カルボン酸と混合して併用される亜鉛化合物と
しては、酸化亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、リン酸亜鉛、
炭酸亜鉛類の無機亜鉛塩及びクエン酸亜鉛、フマル酸亜
鉛類等の有機亜鉛等がある。
【0309】芳香剤は、ライラック花製油、ジャスミ
ン、アビエス油、シナモン油、ラベンダー油、レモン油
等の天然香気成分、ゲラニオール、オイゲノール、n−
オクチルアルコール、カルビトール、シス−シャスモ
ン、レモンテルペン、メントン、サリチル酸メチル、メ
チルフェニルカルビノール、トリエチルサイトレート、
安息香酸ベンジル、シトラール、d−リネモン、ゲラニ
オール、エチルシナメイト、オクタノール、ベンジルベ
ンゾエート、アルキレングリコール、サリチル酸ベンジ
ル、リナロール、バニリン、クマリン、メチルナフチル
ケトン、ローズフェノン等の合成芳香気成分をマイクロ
カプセルの微粒子化やサイクロデキストリン、マルトシ
ルサイクロデキストリン、シクロデキストリン、ゼオラ
イト、デンプン、タルク等に包接して用いる。
【0310】本発明の写真感光材料用射出成形品では、
太陽光下に放置されたり、長期間写真感光材料の品質を
良好に確保することを必須とされるので、酸化防止剤や
ラジカル捕獲剤や酸化防止相乗効果剤や老化防止剤と同
様、シングルサイト触媒を用いて重合製造した分子量分
布が1.1〜5の各種ポリオレフィン樹脂やホモポリス
チレン樹脂やゴム含有芳香族ビニル樹脂等の熱可塑性樹
脂の光劣化を防止する紫外線吸収剤を用いることが好ま
しい。本発明の写真感光材料用射出成形品に用いること
のできる紫外線吸収剤の代表例を以下に示す。
【0311】(1) サリチル酸化紫外線吸収剤 主要なものは次の通り。 Phenylsalicylate p-t-Butylphenylsalicylate p-Octylphenylsalicylate (2) ベンゾフェノン系紫外線吸収剤 主要なものは次の通り。 2,4-Dihydroxybenzophenone 2-Hydroxy-4-methoxybenzophenone 2-Hydroxy-4-octoxybenzophenone 2-Hydroxy-4-dodecyloxybenzophenone 2,2'-Dihydroxy-4-methoxybenzophenone 2,2'-Dihydroxy-4,4'-dimethoxybenzophenone 2-Hydroxy-4-methoxy-5-sulfobenzophenone
【0312】(3) ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 主要なものは次の通り。 2-(2'-Hydroxy-5'-methylphenyl)benzotriazole 2-(2'-Hydroxy-5'-t-butylphenyl)benzotriazole 2-(2'-Hydroxy-3',5'-di-t-butylphenyl)benzotriazole 2-(2'-Hydroxy-3'-t-butyl-5'-methylphenyl)-5-chloro
benzotriazole 2-(2'-Hydroxy-3',5'-di-t-butylphenyl)-5-chlorobenz
otriazole 2-(2'-Hydroxy-3',5'-di-t-amylphenyl)benzotriazole 2-(2'-Hydroxy-4'-octoxyphenyl)benzotriazole 2-[2'-Hydroxy-3'-(3",4",5",6"-tetrahydrophthal im
idemethyl)-5'-methylphenyl]-benzotriazole 2,2-Methylene-bis [4-(1,1,3,3-tetramethylbutyl)-6
-(2H-benzotriazole-2-il)phenol] (4) シアノアクリレート系紫外線吸収剤 2-Ethylhexyl-2-cyano-3,3'-di-phenylacrylate Ethyl-2-cyano-3,3'-diphenylate
【0313】この紫外線吸収剤の配合量は各種ポリオレ
フィン樹脂やホモポリスチレン樹脂やポリアミド樹脂や
ゴム含有芳香族ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂 100重量部
に対して0.01重量部未満では充分な紫外線吸収効果を与
えず10重量部を越えるとブリードアウトが発生し、写真
感光材料の写真性能に悪影響を与えるので、0.01〜10重
量部の範囲とする必要がある。好ましい範囲は0.05〜5
重量部であり、特に好ましい範囲は 0.1〜3重量部であ
る。なお、これらの紫外線吸収剤はその2種以上を組み
合わせて使用してもよい。
【0314】本発明では、酸化防止剤やラジカル捕獲剤
や酸化防止相乗効果剤と同様、各種ポリオレフィン樹脂
やホモポリスチレン樹脂やゴム含有芳香族ビニル樹脂等
の熱可塑性樹脂のおかれた環境(熱、日光、雨、オゾ
ン、亜硫酸ガス等)及び時間の経過によって外観(色、
つや、ひび割れ等)、物理強度等が悪化する老化現象を
防止する老化防止剤を用いることが好ましい。
【0315】この様な老化防止剤の代表例はものを以下
に示す。 フェニル−β−ナフチルアミンなどのナフチルアミ
ン系 N−N’−ジフェニルエチレンジアミンなどのジフ
ェニルアミン系 N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミンな
どのp−フェニレンジアミン系 6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−
ジヒドロキナリンなどのヒドロキノン誘導体 2,6−ジ−第三−ブチル−4−メチルフェノール
などモノフェノール系 2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t
−ブチルフェノール)などのポリフェノール系 4,4’−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチ
ルフェノール)などのチオビスフェノール系 2−メルカプトベンズイミダゾールなど
【0316】なお、これらの老化防止剤は、それぞれの
必要特性や写真性に対する影響や老化防止効果に応じて
任意に配合される。
【0317】この老化防止剤の配合量は各種ポリオレフ
ィン樹脂やゴム含有芳香族ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂
100重量部に対して0.01重量部未満では充分な老化防止
効果を与えず、10重量部を越えると、この樹脂組成物に
著しいブリードアウトが発生するので、0.01〜10重量部
の範囲とする必要があるが、好ましい範囲は0.05〜5重
量部であり、特に好ましい範囲は 0.1〜3重量部であ
る。
【0318】また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、
各種添加剤を添加することができる。この添加剤の詳細
については改訂増補「最新顔料便覧」(昭和52年1月10
日、(株) 誠文堂新光社発行)や1994年版「新化学イン
デックス」(1993年7月23日、化学工業日報社発行)や
「 12394の化学商品」(1994年1月26日、化学工業日報
社発行)や「プラスチック データハンド ブック」
(1984年4月5日、(株)工業調査会発行)や「実用プ
ラスチック用語辞典第三版」((株)プラスチック・エ
ージ発行)等各種文献に記載された配合例(添加剤)の
中から要求される特性を満足すると共に写真感光材料に
悪影響(写真性やブロッキング等の物理的な故障等)を
及ぼさないように種類や添加料や他の配合剤との組み合
わせによる無害化反応等を利用したり、樹脂組成を検討
することによりほとんどの配合剤が本発明の写真感光材
料用射出成形品にも利用可能である。代表例を以下に記
載するが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0319】 A.第1分類(ニーズに対する性能別の分類) 1.加工用助剤 a.加工安定剤(酸化防止剤、熱安定剤) (PVC安定剤) b.流動制御剤(可塑剤、滑剤) c.保形助剤(離形剤、収縮防止剤) 2.改質配合剤 2−1 安定剤(寿命制御剤) a.酸化防止剤 b.耐光安定剤 c.難燃剤 d.生物安定剤(Biostabilizers) e.劣化修復剤 2−2 性能改質剤(物性制御剤) a.耐衝撃性改良剤 (各種エラストマー、ゴム、L−LDPE樹脂等) b.充填材、補強材 c.着色剤 d.可塑剤 e.発泡剤 f.架橋剤(有機酸化物) g.造核剤 2−3 機能改質剤(機能付与剤) a.導電剤、磁性剤 b.静電防止剤(帯電防止剤とも言う) c.蛍光白色剤 2−4 分解促進剤 a.生分解 b.光分解 c.熱分解 等
【0320】 B.第2分類(配合剤の持つ属性別の分類) 1.粉体改質剤 a.補強材/充填材 b.造核剤 c.加工助剤 d.粉/粉特殊構造体 2.反応改質剤 a.架橋剤 b.マクロモノマー c.安定剤(熱、光、放射線、生物) d.分解促進剤(生物、光、熱) 3.界面改質剤 a.カップリング剤 b.相溶化剤 c.可塑剤及び溶剤、可塑剤又は溶剤 4.高分子改質剤 a.加工性改良剤、性能改質剤 b.ポリマーアロイ、ブレンド(性能改質) 等
【0321】以上のような本発明の熱可塑性樹脂組成物
を用いて射出成形する時に、焼け、銀条、発泡、ウェル
ドライン、ショートショット等の思わぬ成形故障のトラ
ブルの原因となるので、ISO 2053−76測定法
(105度±2°C、1時間乾燥)による熱可塑性樹脂
組成物中の水分量を好ましくは 1.0重量%以下、より好
ましくは 0.7重量%以下、特に好ましくは 0.5重量%以
下、最も好ましくは 0.3重量%以下にして使用する(加
熱したり、真空にしたり、加熱真空にしたりして乾燥す
る)。
【0322】カーボンブラックのように吸水しやすい物
質を含む熱可塑性樹脂組成物の場合は、例えば50〜1
50℃、好ましくは55〜130℃、特に好ましくは6
0〜110℃、最も好ましくは65〜100℃で0.5
〜24時間、好ましくは1〜20時間、特に好ましくは
2〜15時間、最も好ましくは3〜10時間乾燥する。
特にホッパードライヤー等を用いると連続作業が可能な
ので、作業性、経済性の点からも好ましい。特にペント
式押出し機やベント式射出成形機や真空加熱式ホッパー
ドライヤーを用いることが好ましい。
【0323】本発明の写真感光材料用射出成形品として
は、樹脂製写真フイルムカートリッジ、(代表例はAP
S用)写真ディスクフイルム用カートリッジ、インスタ
ントフイルムユニット、レンズ付きフイルムユニット、
写真フイルム用スプール、遮光容器、写真フイルム用カ
ートリッジ、シート状又はロール状写真感光材料の明室
装填用遮光マガジン、巻芯、写真フイルムカートリッ
ジ、インスタントフイルムパック、シートフイルム用マ
ガジン、シートフイルムパック、シートフイルムパック
用ホルダー、写真フイルム撮影用カメラ、写真感光材料
現像処理機、シートフイルムユニット等、完全遮光性や
良好な写真性を確保することを必須とする各種の写真感
光材料用射出成形品に本発明を適用できる。
【0324】本発明の写真感光材料用射出成形品の代表
例を文献名とともに以下に示すが、本発明はこれらに限
定されるものではない。 (1)写真ディスクフイルム用カートリッジ:実開昭6
0−21743号公報等 (2)レンズ付きフイルムユニット:特開昭63−22
6643号公報、特開平8−114891号公報、特開
平8−227122号公報等
【0325】(3)写真フイルム用スプール:特開平1
−251030号公報、特開昭57−196218号公
報、特開昭59−15049号公報、実開昭63−73
742号公報、米国特許第1930144号明細書、実
開昭63−73742号公報、実開昭54−12093
1号公報、実開昭58−178139〜178145号
公報、実公昭55−31541号公報、特開昭58−2
03436号公報、特開昭58−82237号公報、特
開昭58−82236号公報、実公昭44−16777
号公報、実開昭63−73742号公報、特開昭62−
240957号公報、特開昭62−284355号公
報、特開平4−335638号公報、特開平8−110
614号公報、特開平8−118406号公報、特開平
8−201986号公報、英国特許第2,199,80
5号公開明細書等
【0326】(4)写真フイルム(APS等)用カート
リッジ:特開昭54−111822号公報、特公昭45
−6991号公報、特公昭55−21089号公報、特
開昭50−33831号公報、特開昭56−87039
号公報、実開昭55−97738号公報、特開平1−3
12538号公報、特開昭57−190948号公報、
特開平4−273240号公報、特開平4−32025
8号公報、特開平4−335344号公報、特開平4−
335639号公報、特開平4−343353号公報、
特開平4−349454号公報、特開平8−12297
6号公報、特開平8−179469号公報、特開平8−
179470号公報、特開平8−179471号公報、
特開平8−179472号公報、米国特許第4,84
6,418号明細書、米国特許第4,848,693号
明細書、米国特許第4,887,776号明細書等
【0327】(5)写真フイルムカートリッジ用容器:
特開昭61−250639号公報、特開昭61−739
47号公報、実開昭60−153451号公報、USP
4,801,011号明細書、特開昭63−1210
47号公報、特開昭62−291639号公報、実開平
1−113235号公報、実開平1−152337号公
報、実公平2−33236号公報、実公平3−4858
1号公報、特公平2−38939号公報、米国特許第
4,639,386号明細書、米国特許第4,801,
011号明細書、米国特許第4,979,351号明細
書、欧州特許第237,062号公開明細書、欧州特許
第280,065号公開明細書、欧州特許第298,3
75号公開明細書等
【0328】(6)巻芯、帯状感光材料用コア、リー
ル:実開昭60−107848号公報、米国特許第4,
809,923号明細書、英国特許第2,033,87
3号公告明細書等 (7)シートフイルムパック、シートフイルムパックホ
ルダ及びシートフイルムユニット:特開平5−3413
79号公報、特開平8−110568号公報、特開平8
−110569号公報、特開平8−201982号公
報、特開平8−201983号公報、特開平8−201
984号公報、特開平8−262557号公報、特開平
8−262558号公報、特開平8−110570号公
報等
【0329】(8)写真フイルムカートリッジ:実公昭
56−16610号公報、実開平2−24846号公
報、実開平2−29041号公報、実公昭60−120
448号公報、特開平1−312537号公報等 (9)写真フイルムケース:米国特許第4,779,7
56号明細書、実開昭54−100617号公報、実開
昭64−32343号公報、実開平1−94258号公
報、実開平2−56139号公報、欧州特許第242,
905号公開明細書、特公平2−54934号公報等
【0330】(10)インスタントフイルムパック:実
開昭61−41248号公報、特開昭50−33831
号公報、特開昭57−19048号公報、特開昭62−
240961号公報、特開平1−312538号公報、
特公昭57−190948号公報、特開平1−3125
38号公報、特開平7−159931号公報、特開平7
−159932号公報、特開平7−159933号公
報、実開昭55−97738号公報、米国特許第4,8
34,306号明細書、米国特許第4,846,418
号明細書、米国特許第4,887,776号明細書等等
【0331】(11)樹脂製写真フイルムカートリッジ
(APS等):特開昭50−33831号公報、特開昭
57−190948号公報、特開平1−312538号
公報、特公昭45−6991号公報、特公昭55−21
089号公報、実開昭55−97738号公報、米国特
許第4,834,306号明細書、米国特許第4,84
6,418号明細書、米国特許第4,887,776号
明細書等
【0332】また、本発明の写真感光材料用射出成形品
が適用可能な写真感光材料を以下に示す。
【0333】(1)ハロゲン化銀写真感光材料(印刷用
フイルム、カラー又は白黒印画紙、カラー又は白黒ネガ
フイルム、印画紙マスター紙、拡散転写(DTR)感光
材料、電算写植フイルム及び電算写植ペーパー、マイク
ロフイルム、カラー又は白黒ポジフイルム、映画用フイ
ルム、自己現像型写真感光材料、直接ポジ型フイルム及
びペーパー等)
【0334】(2)熱現像感光材料(熱現像カラー感光
材料、熱現像白黒感光材料(例えば特公昭43−492
1号公報、同43−4924号公報、「写真光学の基
礎」銀塩写真編(1879年コロナ社刊行)の553〜
555頁及びリサーチ・ディスクロージャー誌 197
8年6月号9〜15頁(RD−17029)等に記載さ
れているもの。更に、特開昭59−12431号公報、
同60−2950号公報、同61−52343号公報や
米国特許第4,584,267号明細書に記載さされて
いる転写方式の熱現像カラー感光材料等))
【0335】(3)感光・感熱性記録材料(特開平3−
72358号公報等に記載されているフォトサーモグラ
フィー(感光・感熱画像形成方法)を用いた記録材料
等) (4)ジアゾニウム写真感光材料(4−モルフォリノベ
ンゼンジアゾニウムマイクロフイルム、マイクロフイル
ム、複写用フイルム、印刷用版材等) (5)アジド、ジアジド系写真感光材料(パラアジドベ
ンゾエード、4,4’ジアジドスチルベン等を含む感光
材料、例えば複写用フイルム、印刷用版材等)
【0336】(6)キノンジアジド系写真感光材料(オ
ルソーキノンジアジド、オルソーナフトキノンアジド系
化合物、例えばベンゾキノン(1,2)−ジアジド−
(2)−4−スルフォン酸フェニエーテル等を含む感光
材料、例えば印刷用版材、複写用フイルム、密着用フイ
ルム等) (7)フォトポリマー(ビニル系モノマー等を含む感光
材料、印刷用版材、密着用フイルム等) (8)ポリビニル桂皮酸エステル系感光材料(例えば印
刷用フイルム、ICレジスト等)
【0337】
【実施例】以上、説明したような熱可塑性樹脂組成物を
用いて射出成形した、本発明の写真感光材料用射出成形
品の第1の実施例として、写真フイルムカートリッジを
取り挙げる。図1は、写真フイルムカートリッジを示す
外観斜視図であり、図2は、その分解斜視図である。写
真フイルムカートリッジ10は、本出願人等から提案さ
れた「Advanced Photo System 」に対応したものであ
り、樹脂製のカートリッジ本体13と、このカートリッ
ジ本体13に回動自在に軸着されるスプール15と、1
撮影コマに2個の割合でパーフォレーション14bが設
けられ、スプール15に一端が係止されて巻き付けられ
る写真フイルム14とから構成される。
【0338】カートリッジ本体13は、略半円筒形状を
した上ケース11と下ケース12とから構成され、これ
らは熱可塑性樹脂により射出成形されている。上ケース
11及び下ケース12には、それぞれ突出したポート部
11b,12bが形成されており、上ケース11と下ケ
ース12とを組み合わせたときに、ポート部11b,1
2bの合わせ目に写真フイルム14を出入りさせるため
のフイルム通路17が形成されている。この上・下ケー
ス11,12は、両者が組み合わされた後に、係合部に
超音波溶着が施されて一体になる。リサイクル適性を持
たせる場合には、完全遮光性を確保しながら、使用後は
上、下ケース11,12を使用前と同じ状態にすること
が可能な係合のみによる組み合わせ構造とすることが好
ましい。
【0339】フイルム通路17には、ここからの入光を
防止するための蓋部材18が軸着され、また、フイルム
通路17の奥には、写真フイルム14の先端を分離する
たの分離爪19とが設けられている。蓋部材18は、両
端部にそれぞれキー溝18a,18bが形成されてお
り、カメラに装填された際にキー溝18a,18bに係
合するカメラ側の開閉用駆動軸の回動によってフイルム
通路17を塞ぐ閉じ位置と、写真フイルム14の出入り
を許容する開き位置との間で回動される。
【0340】スプール15は、スプール軸21の両端部
に一対のリップ付きのフランジ22,23を取り付け、
これらフランジ22,23の外側にデータディスク24
と使用表示部材25とを取り付けて構成され、スプール
軸21の両端部をカートリッジ本体13の側面に露呈す
るように収納される。データディスク24には、このデ
ータディスク24と相似形状をしたバーコードラベル2
6が貼り付けられ、使用表示部材25にはギヤ27が一
体に形成されている。データディスク24および使用表
示部材25は、スプール軸21と一体に回転するように
取り付けられる。
【0341】スプール軸21には写真フイルム14の後
端14aを係止するためのスリット28が形成されてお
り、両端部にカギ穴状のキー溝29a,29bが設けら
れている。キー溝29a,29bには、写真フイルムカ
ートリッジ10がカメラに装填された際にカメラ側の駆
動軸が係合し、この駆動軸の回転によってスプール軸2
1が回動される。
【0342】一対のフランジ22,23は断面が薄肉カ
ップ状となっており、スプール軸21に取り付けられた
際に各々の開口縁部22a,23aが互いに向き合っ
て、これらの間に巻回される写真フイルム14の両側縁
を包み込む(図3(A)参照)。開口縁部22a,23
aは、スプール軸21の回転を最外周に巻回された写真
フイルム14にまで伝達させるとともに、写真フイルム
14の巻き緩みを防止している。
【0343】フランジ23には、所定ピッチで4個の穴
31が形成されている。これらの穴31には、スプール
軸21がフイルム送り出し方向(図中時計方向)に回転
した際に使用表示部材25のラチェット爪32が係合す
る。これにより、スプール軸21の回転がフランジ23
に伝達され、フランジ23がスプール軸21と一体に回
転する。また、スプール軸21がフイルム巻き取り方向
(図中反時計方向)に回転した際には使用表示部材25
のラチェット爪32が穴31を乗り越え、スプール軸2
1の回転はフランジ23に伝達されない。
【0344】データディスク24に貼り付けられるバー
コードラベル26には、バーコード26aが印刷されて
いる。バーコード26aは、様々な情報、例えば収納す
る写真フイルム14の種類や感度等を表している。この
情報は、スプール軸21がフイルム送り出し方向に回転
された際に、上ケース11の一側面に形成された開口3
5を介してカメラ側に設けた読取りセンサによって読み
取られ、露出値の算出や、収納された写真フイルムの露
光枚数のカウント等に用いられる。
【0345】カートリッジ本体13の内部には、使用表
示部材25のギヤ27と噛み合うようにスプールロック
38が収納されている。このスプールロック38は、蓋
部材18が閉じ位置にあるときにギヤ27に係合してス
プール軸21の回転ロックを行い、不用意な写真フイル
ム14の送り出しを防止し、また、蓋部材18が開き位
置にあるときにはギヤ27との係合を解除する。
【0346】カートリッジ本体13から写真フイルム1
4を送り出す際には、スプール15をフイルム送り出し
方向に回転させる。スプール15がフイルム送り出し方
向に回転されると、写真フイルム14の先端は、分離爪
19に接触して内側に巻回された部分から分離される。
引続きスプール15が回転されると、分離された写真フ
イルム14の先端がフランジ22,23の開口縁部22
a,23aの間に入り込み、厚みが薄くて柔軟性を有す
るフランジ22,23が写真フイルム14の両側縁によ
って外側に押し広げられる(図3(B)参照)。
【0347】これにより、写真フイルム14の先端は、
フランジ22,23の開口縁部22a,23aによる包
み込みから開放され、フイルム通路17を通ってカート
リッジ本体13の外部に送り出される。この際、写真フ
イルム14の両側縁とフランジ22,23とが常に摺接
しているが、フランジ22,23の柔軟性が高いので、
写真フイルム14の送り出し力によってフランジ22,
23が外側に撓み、両者間の摩擦抵抗が抑えられ、写真
フイルム14の送り出しが低トルクで行われる。
【0348】また、スプール15がフイルム巻き取り方
向に回転するときには、フランジ22,23は、ともに
スプール軸21と一体に回転することはない。したがっ
て、写真フイルム14を巻き取る際には、フランジ2
2,23の開口縁部22a,23aが写真フイルム14
との間で滑りを生じさせて写真フイルム14の巻き緩み
を防止する。
【0349】カートリッジ本体13を構成している上ケ
ース11,及び下ケース12は、それぞれ遮光性を有す
る樹脂による射出成形により製造される。この上ケース
11,及び下ケース12を構成する樹脂材料は、MFR
(メルトフローレート)が5.0g/10分,降伏点で
の引張強度が285Kg/cm2 ,アイゾット衝撃強度
が6.7Kg・cm/cm,曲げ強度が520Kg/c
2 ,曲げ弾性率が25100Kg/cm2 ,ビカット
軟化点(5Kg荷重)が95℃,熱変形温度(18.6
Kg荷重)が83℃,ロックウェル硬度(Mスケール)
が42Mであり、粒子径が1.02μmのブタジエンゴ
ムを5.3重量%含有する、耐衝撃性ポリスチレン樹脂
を82.1重量%と、pHが7.7,平均粒子径が21
nm,全硫黄含有量が0.4%,粒子のアスペクト比が
1.2のファーネスカーボンブラックを1.0重量%
と、粒子のアスペクト比が30(径0.4μm,長さ1
2μm)のチタン酸カリ繊維を15重量%と、粘度が1
0000ストークスのジメチルポリシロキサンを1.5
重量%と、ステアリン酸カルシウムを0.2重量%と、
ステアリン酸亜鉛を0.2重量%とを少なくとも含む熱
可塑性樹脂組成物により形成されている。
【0350】このような上ケース11,及び下ケース1
2を構成する樹脂材料に含有されるカーボンブラック
は、遮光性確保のために添加されるものである。カーボ
ンブラックの製造法による分類としては、ファーネス法
カーボンブラック、チャンネル法カーボンブラック、サ
ーマル法カーボンブラック等があるが、写真的悪作用
(カブリの発生、感度低下または感度の増加等の異常、
発色異常等)が少ない、あるいは遮光性の点で、平均粒
子径が10〜80nm、PH5〜9のファーネスカーボンブラ
ックが好ましく、特に15〜50nm、PH6〜8のファーネ
スカーボンブラックが好ましい。
【0351】市販品としては、例えば、三菱化学株式会
社製のカーボンブラック#20(B),#30(B),#33(B),#40,#40
(B),#41(B),#44(B),#45(B),#50,#55,#100,#600,#2200
(B),#2400(B),MA8,MA11,MA100 等があげられる。海外の
製品としては、例えばキャボット社のBlack Pearls 2 ,
46,70,71,74,80,81,607 等、Regal 300,330,400,660,99
1,SRF-S 等、Sterling 10,SO,V,S,FT-FF,MT-FF等があげ
られる。さらに、アシュランド・ケミカル社のUniteel
R,BB,15,102,3001,3004,3006,3007,3008,3009,3011,301
2,XC-3016,XC-3017,3020等があげられるが、これらに限
定されるものではない。特に、電気化学株式会社製のア
セチレンカーボンブラックは高価ではあるが、写真感光
材料の写真性に悪影響を及ぼす硫黄成分やシアン化合物
の含有量が非常に少なく、帯電防止性、分散性も優れて
いるので、品質的には最も好ましい。
【0352】ファーネスカーボンブラックの粒子径が1
0nm未満であると樹脂との混練性が悪く遮光性、物理
強度が悪化する。逆に100nmを越えると分散は良く
とも遮光能力が劣り、遮光性確保のためにカーボン濃度
を上げると物理強度の低下、成形性の悪化を起こし実用
に耐えなかった。また、pHが5〜9の範囲を越えるカ
ーボンブラックの多くは、写真的に悪作用を起こしやす
く使用不可であった。
【0353】写真フイルム14の写真性に悪作用を与え
ないようにするためには、上記カーボンブラック中の遊
離硫黄分を0.1%以下、好ましくは0.05%以下、
特に好ましくは0.01%以下、最も好ましくは0.0
05%以下とするのがよい。また、シアン化合物含有量
は0.01%以下、好ましくは0.005%以下、特に
好ましくは0.001%以下、最も好ましくは0.00
05%以下とするのがよい。更に、アルデヒド化合物含
有量は0.2%以下、好ましくは0.1%以下、特に好
ましくは0.05%以下、最も好ましくは0.01%以
下とするのがよい。これらの物質は、少量でも写真性に
悪影響をおよぼすので、可能な限り含有量が少ないカー
ボンブラックを選択する注意が必要である。
【0354】カーボンブラックの添加量は、遮光性確
保、射出成形性、カートリッジ本体の物理強度確保の点
から、0.05重量% 〜3.00重量% が好ましい。カーボンブ
ラックの添加量が0.05重量% 未満であると遮光性が不十
分であり、3.00重量% を越えるとカートリッジ本体の物
理強度が低下し、かつ吸水率が高まるために射出成形時
ウエルドラインマーク、焼けマーク、銀条等が発生し、
外観不良、表面強度の劣化を引き起こす。遮光性物質と
しては、カーボンブラック以外に鉄黒(Fe3 4 )、
グラファイト、二酸化チタン等の無機顔料、或いは有機
染料を併用してもよい。
【0355】一方、カートリッジ本体13や蓋部材1
8、スプール軸21及びフランジ22,23に滑性を与
える方法としては、それらを成形する樹脂に滑剤を添加
して成形する方法と、成形品に滑剤を塗布する方法とが
ある。滑剤としては、シリコーンオイル類、オレイン酸
アミドやエルカ酸アミド、ビス脂肪酸アミド等の高級脂
肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸の金属
塩、高級アルコールエステル、多価アルコールエステル
の脂肪酸エステル等があるが、特に限定されるものでは
ない。
【0356】このようなカートリッジ本体13や蓋部材
18に添加されるシリコーンオイルとしては、特開昭6
2−286043号公報、あるいは特開昭62−284
355号公報に記載されているジメチルポリシロキサン
とカルボキシル変性シリコーンオイルが好ましい。
【0357】シリコーンオイルの添加量は、0.05重
量%〜5.0重量%、好ましくは0.1重量%〜3.0
重量%、特に好ましくは0.2重量%〜2.5重量%の
間である。0.05重量%以下では、目的の滑性効果が
得られないし、添加重が5.0重量%を越えると射出成
形機のスクリュウ内で樹脂がスリップを起こし、成形サ
イクルが長くなるばかりでなく、成形品表面にブリード
アウトするシリコーン量が多くなり、ブリードアウトし
たシリコーンオイルがカートリッジ本体13内で写真フ
イルム14に転写し、写真フイルム現像時に現像処理液
の写真フイルム14への拡散を妨げる等の写真的悪作用
が発生する。また、超音波シールにおいて上ケース11
と下ケース12との接着低下が起こる。
【0358】シリコーンオイルは、25℃における粘度
が1000〜100000センチストークス(以下CS
と表示)、好ましくは2000〜80000CS、特に
好ましくは3000〜60000CS、最も好ましくは
5000〜30000CSである。25℃における粘度
が1000CS未満では、ブリードアウトが激しく、写
真性能に悪影響を及ぼす。100000CSを越える
と、取扱い性が悪く、しかも樹脂との混練性が悪く使用
に耐えない。また、シリコーンオイルには、上記以外に
もフッ素変性シリコーンオイル等、各種変性シリコーン
オイルが市販されているが、その多くは写真フイルムの
写真性に悪影響を与えるので、厳選して使用することが
重要である。
【0359】なお、上ケース11,及び下ケース12の
射出成形条件は、例えば、射出成形サイクルが10秒,
金型から射出成形品の取り出し時の温度を50℃とし
た。もちろん、射出成形条件はこれに限定されるもので
はない。
【0360】従来の繊維状充填材料を含まない耐衝撃性
ポリスチレン樹脂組成物で成形された射出成形品は、表
面温度が75℃以上に上昇すると、射出成形品の変形や
収納されている写真感光材料の品質が劣化するため、化
粧小箱や保護袋に密封しないと実用性に欠けるという問
題があった。しかし、上述したような、本発明の熱可塑
性樹脂組成物を用いて製造した写真フイルムカートリッ
ジ10は、80000ルクス相当の自然光のもとに1時
間放置された後でも、剛性、耐熱性、及び寸法安定性に
何ら変化が起きず、カメラ適性に関係する寸法精度や外
形の変形や収納されている写真フイルムの品質にも全く
影響がなかった。
【0361】次に、写真感光材料用射出成形品の第2の
実施例として、上記第1の実施例と同様の構成の写真フ
イルムカートリッジにおける、上ケース11,及び下ケ
ース12を構成する熱可塑性樹脂組成物の組成を、MF
R(メルトフローレート)が5.0g/10分,降伏点
での引張強度が285Kg/cm2 ,アイゾット衝撃強
度が6.7Kg・cm/cm,曲げ強度が520Kg/
cm2 ,曲げ弾性率が25100Kg/cm2 ,ビカッ
ト軟化点(5Kg荷重)が95℃,熱変形温度(18.
6Kg荷重)が83℃,ロックウェル硬度(Mスケー
ル)が42Mであり、粒子径が1.02μmのブタジエ
ンゴムを5.3重量%含有する、耐衝撃性ポリスチレン
樹脂を78.1重量%と、pHが7.7,平均粒子径が
21nm,全硫黄含有量が0.4%,粒子のアスペクト
比が1.5の二酸化チタン5.0重量%と、粒子のアス
ペクト比が30(径0.4μm,長さ12μm)のチタ
ン酸カリ繊維を15重量%と、粘度が10000ストー
クスのジメチルポリシロキサンを1.5重量%と、ステ
アリン酸カルシウムを0.2重量%と、ステアリン酸亜
鉛を0.2重量%とを含有するものとし、さらに、この
射出成形品の裏面に、ファーネスカーボンブラック10
重量%を含む塗料を、厚さ1μmになるようにスプレー
塗布したものを使用して、写真フイルムカートリッジを
製造したが、前記第1の実施例と同様に、80000ル
クス相当の自然光のもとに1時間放置された後でも、剛
性、耐熱性、及び寸法安定性に何ら変化が起きず、カメ
ラ適性に関係する寸法精度や外形の変形や収納されてい
る写真フイルムの品質にも全く影響がなかった。
【0362】次に、写真感光材料用射出成形品の第3の
実施例として、上記第1の実施例と同様の構成の写真フ
イルムカートリッジにおける、上ケース11,及び下ケ
ース12の表面側の層の熱可塑性樹脂組成物の組成を、
MFR(メルトフローレート)が5.0g/10分,降
伏点での引張強度が285Kg/cm2 ,アイゾット衝
撃強度が6.7Kg・cm/cm,曲げ強度が520K
g/cm2 ,曲げ弾性率が25100Kg/cm2 ,ビ
カット軟化点(5Kg荷重)が95℃,熱変形温度(1
8.6Kg荷重)が83℃,ロックウェル硬度(Mスケ
ール)が42Mであり、粒子径が1.02μmのブタジ
エンゴムを5.3重量%含有する、耐衝撃性ポリスチレ
ン樹脂を78.1重量%と、pHが7.7,平均粒子径
が1.2nm,屈折率が2.76、比重が4.2、モー
ス硬度が6.0、全硫黄含有量が0.4%,粒子のアス
ペクト比が1.5のルチル型二酸化チタン5.0重量%
と、粒子のアスペクト比が30(径0.4μm,長さ1
2μm)のチタン酸カリ繊維を15重量%と、粘度が1
0000ストークスのジメチルポリシロキサンを1.5
重量%と、ステアリン酸カルシウムを0.2重量%と、
ステアリン酸亜鉛を0.2重量%とを含有するものと
し、上ケース11,及び下ケース12の裏面側の層の熱
可塑性樹脂組成物の組成を、MFR(メルトフローレー
ト)が5.0g/10分,降伏点での引張強度が285
Kg/cm2 ,アイゾット衝撃強度が6.7Kg・cm
/cm,曲げ強度が520Kg/cm2 ,曲げ弾性率が
25100Kg/cm2 ,ビカット軟化点(5Kg荷
重)が95℃,熱変形温度(18.6Kg荷重)が83
℃,ロックウェル硬度(Mスケール)が42Mであり、
粒子径が1.02μmのブタジエンゴムを5.3重量%
含有する、耐衝撃性ポリスチレン樹脂を82.1重量%
と、pHが7.7,平均粒子径が21nm,屈折率が
1.61、比重が1.8、モース硬度が2.0、全硫黄
含有量が0.4%,粒子のアスペクト比が1.2のファ
ーネスカーボンブラックを1.0重量%と、粒子のアス
ペクト比が30(径0.4μm,長さ12μm)のチタ
ン酸カリ繊維を15重量%と、23℃の粘度が1000
0ストークスのジメチルポリシロキサンを1.5重量%
と、ステアリン酸カルシウムを0.2重量%と、ステア
リン酸亜鉛を0.2重量%とを含有するもので2色射出
成形したものを使用して、写真フイルムカートリッジを
製造したが、前記第1、及び第2の実施例と同様に、8
0000ルクス相当の自然光のもとに1時間放置された
後でも、剛性、耐熱性、及び寸法安定性に何ら変化が起
きず、カメラ適性に関係する寸法精度や、外形の変形や
収納されている写真フイルムの品質にも全く影響がなか
った。
【0363】このように、上記1〜3の何れの実施例に
おいても、本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いてカート
リッジ本体13の上ケース11,及び下ケース12を射
出成形することにより、商品価値の高い優れた外観と、
耐熱性に優れ、寸法変化が少なく、遮光性を完全に確保
でき、写真フイルムに悪影響を与えることがない写真フ
イルムカートリッジ10を製造することができる。
【0364】なお、上記実施例で述べたような樹脂組成
物以外にも、写真フイルムカートリッジの成形に好適な
樹脂の代表例としては、ポリスチレン樹脂、耐衝撃性ポ
リスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体
樹脂、スチレン−アクリロニトリルーブタジエン共重合
体樹脂、ポリプロピレン樹脂、高密度ポリエチレン樹
脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテ
レフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビ
ニール樹脂、あるいは、それらの変性樹脂等が好適であ
る。とくに、シングルサイト触媒(代表例はメタロセン
触媒)を用いて重合製造した分子量分布が1.1〜5の
高密度ホモポリエチレン樹脂、高密度エチレン−αオレ
フィン共重合体樹脂、ホモポリプロピレン樹脂、プロピ
レン−αオレフィン共重合体樹脂、結晶性シンジオタク
チックポリスチレン樹脂が好ましく、最も好ましくは結
晶性シンジオタクチックポリスチレン樹脂である。
【0365】結晶性シンジオタクチックポリスチレン樹
脂は、他の結合様式を持つ重合体樹脂に比較して、極め
て結晶性が高く、比重や機械的強度が大きい。本発明に
おいては、特に好ましい射出成形材料として、メルトフ
ローレート(ASTM D1238−88のG条件;温
度200℃,ピストン荷重5kgで測定)が1〜50g
/10分,分子量分布が1.1〜10の結晶性シンジオ
タクチックポリスチレン樹脂を重量%以上含有する熱可
塑性樹脂組成物を用いることで射出成形性,寸法精度を
優れたものとし、耐熱性、耐薬品性、耐摩耗性、及び耐
傷性の向上を図るものである。
【0366】また、シンジオタクチックポリスチレン樹
脂の中でも、シングルサイト触媒を用いてスチレンモノ
マーを重合製造してなり、GPC法により測定した融点
が220〜310℃のものを厳選して用いることで、射
出成形品の物理強度を低下させずに耐熱性を向上させる
ことが可能になる。これにより、射出成形品の熱や衝撃
による変形が防止され、光カブリ、擦り傷、押し傷、摩
耗クズの付着等、写真感光材料の写真性を低下させるよ
うな故障の発生を防止できる。
【0367】本発明にいうシンジオタクチックポリスチ
レン樹脂とは、シンジオタクチック構造を有するスチレ
ン系重合体樹脂で、ラセミダイアッドで70%以上、好
ましくは80%以上、特に好ましくは85%以上、若し
くは、ラセミペンタヘッドで30%以上、好ましくは4
0%以上、特に好ましくは50%以上の立体規則性を有
するスチレン系重合体である。
【0368】具体的には、立体規則性のポリスチレン樹
脂、ポリ(アルキルスチレン)樹脂、ポリ(ハロゲン化
スチレン)樹脂、ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン)
樹脂、ポリ(アルコキシスチレン)樹脂、ポリ(ビニル
安息香酸エステル)樹脂、及びこれらの共重合体樹脂、
及びこれらの混合物、あるいはこれらの構造単位を含む
共重合体樹脂を指す。
【0369】ポリ(アルキルスチレン)樹脂の代表例と
しては、例えば、ポリ(メチルスチレン)樹脂、ポリ
(エチルスチレン)樹脂、ポリ(プロピルスチレン)樹
脂、ポリ(ブチルスチレン)樹脂、ポリ(フェニルスチ
レン)樹脂、ポリ(ビニルスチレン)樹脂等があり、ポ
リ(ハロゲン化スチレン)樹脂の代表例としては、例え
ば、ポリ(クロロスチレン)樹脂、ポリ(ブロモスチレ
ン)樹脂、ポリ(フルオロスチレン)樹脂等が挙げられ
る。
【0370】ポリ(アルコキシスチレン)樹脂の代表例
としては、例えば、ポリ(メトキシスチレン)樹脂、ポ
リ(エトキシスチレン)樹脂等が挙げられる。これらの
樹脂の中で、特にポリ(スチレン)樹脂とポリ(メチル
スチレン)樹脂が好ましく、ポリ(スチレン)樹脂が最
も好ましい。これらのシンジオタクチックポリスチレン
樹脂は、上述したホモポリマー以外に、共重合体樹脂で
あっても良く、耐衝撃強度を必要とする場合は、共重合
体樹脂の方が好ましい。
【0371】このような共重合体樹脂のコモノマー成分
の代表例としては、上述したスチレン系共重合体樹脂を
形成するモノマーの他、例えば、エチレン,プロピレ
ン,ブテン,ヘキセン,オクテン等のオレフィンモノマ
ー、ブタジエン,イソプレン等のジエンモノマー、環状
オレフィンモノマー,環状ジエンモノマーやメタクリル
酸メチル,無水マレイン酸,アクリロニトリル等の極性
ビニルモノマー等がある。
【0372】これらの内、スチレンを主成分として、こ
れに合成ゴム,アルキルスチレン,水素化ポリスチレ
ン,ハロゲン化ポリスチレンを共重合したものが好まし
く、中でも、ブタジエンゴム,イソプレンゴム,イソブ
チレンゴム,パラ−メチルスチレン,メタ−メチルスチ
レン,パラ−ターシャリーブチルスチレン,パラ−クロ
ロスチレン,水素化ポリスチレンがより好ましく、特に
好ましいのがブタジエンゴムと、パラ−メチルスチレン
と、パラ−ターシャリーブチルスチレンである。
【0373】これらのコモノマーの量は、30モル%以
下、好ましくは20モル%以下、より好ましくは15モ
ル%以下、特に好ましくは10モル%以下、最も好まし
くは7モル%以下である。コモノマーの量が30モル%
を越えると、剛性が不足するだけでなく、写真感光材料
の写真性に悪影響を及ぼす(カブリ増加,感度異常,発
色異常等)ようになり、且つ高価になり実用化困難であ
る。
【0374】また、シンジオタクチックポリスチレン樹
脂と他の熱可塑性樹脂とをブレンドして使用してもよ
い。好ましいブレント用熱可塑性樹脂成分としては、上
述したようなシンジオタクチックポリスチレン樹脂やア
タクチック構造を有するポリスチレン樹脂や、一般のホ
モポリスチレン樹脂、及び従来の耐衝撃性ポリスチレン
樹脂、ゴム含有のポリスチレン樹脂、不飽和カルボン酸
グラフト変性熱可塑性樹脂、ポリスチレン樹脂系相溶化
剤が相溶性の観点から好ましい。
【0375】特に好ましいのが、シンジオタクチック構
造を有するポリスチレン樹脂とアタクチック構造を有す
るポリスチレン樹脂と、非結晶性の従来のポリスチレン
樹脂合成ゴム含有の耐衝撃性ポリスチレン樹脂、及び不
飽和カルボン酸グラフト変性熱可塑性樹脂である。これ
らの添加量は50重量%未満、好ましくは40重量%以
下、特に好ましくは30重量%以下、最も好ましくは2
0重量%以下である。シンジオタクチックポリスチレン
樹脂の含有量が50重量%以上でないと、耐熱性、耐薬
品性、耐摩耗性等の本発明の優れた特徴を有する射出成
形品を提供することができなくなる。
【0376】シンジオタクチックポリスチレン樹脂の重
量平均分子量は2〜100万,好ましくは5〜90万,
より好ましくは10〜80万,特に好ましくは15〜7
0万,最も好ましくは20〜60万である。分子量分布
(重量平均分子量M’w/数平均分子量M’n)は、上
述したような優れた特性と寸法精度確保のために、1.
1〜10,好ましくは1.3〜8,より好ましくは1.
5〜6,特に好ましくは1.7〜5,最も好ましくは
1.9〜4である。
【0377】このようなシンジオタクチックポリスチレ
ン樹脂は、例えば、チタン化合物及び水とトリアルキル
アルミニウムの縮合生成物を触媒として、以下に記載し
たスチレンモノマーを重合することにより製造すること
ができる。また、チタン化合物及びカチオンと複数の基
が元素に結合したアニオンとからなる化合物を触媒とし
て重合することにより製造することができる。最も好ま
しい重合方法としては、重合活性が大きく,その結果、
触媒残渣を少なくできるシングルサイト触媒(代表的な
ものはメタロセン触媒)を用いてスチレンモノマーを重
合製造したものである。
【0378】このようなシングルサイト触媒の代表例と
しては、ビス(シクロペンタジェニル)ジルコニウムク
ロライド,ビス(シクロペンタジェニル)ジルコニウム
ジクロライド,ビス(シクロペンタジェニル)チタニウ
ムジクロライド,ビス(シクロペンタジェニル)ハフニ
ウムジクロライド,ビス(メチルシクロペンタジェニ
ル)ジルコニウムジクロライド,ビス(メチルシクロペ
ンタジェニル)チタニウムジクロライド,ビス(ブチル
シクロペンタジェニル)ジルコニウムジクロライド,ビ
ス(ペンタメチルシクロペンタジェニル)ジルコニウム
ジクロライド,メチレンビス(ブチルシクロペンタジェ
ニル)ジルコニウムジクロライド等が挙げられる。
【0379】スチレンモノマーの製法としては、肉珪酸
の分解蒸留法、アセトフェノンの還元脱水法、塩化エチ
ルベンゾールの脱塩酸法、フェニルアルコールの脱水
法、エチルベンゾールの合成と脱水素法等があるが、写
真感光材料の写真性に悪影響を及ぼすことが少なく、且
つ、安価なのでエチルベンゾールの合成と脱水素法が最
も好ましい。この製法はベンゼンとエチレンからエチル
ベンゾール(エチルベンゼン)を合成し、エチルベンゾ
ールの脱水によりスチレンモノマーを生成後、精製(純
度98%以上、不純物としてエチルベンゾールが1%以
下含有)して使用する。
【0380】また、射出成形性を低下させること無く、
耐熱性が高く、耐摩耗性及び耐傷性に優れた射出成形品
を得るためには、射出成形時の樹脂温度及び金型温度を
高くすることが好ましい。この点、結晶性シンジオタク
チックポリスチレン樹脂は他の樹脂に比較して融点が高
く、射出成形時の樹脂温度を高くすることができる。本
発明においては、射出成形時の樹脂温度を230〜35
0℃、金型温度を50〜200℃とすることで、樹脂の
流動性が増して射出成形性が向上するとともに、物理強
度が大きくて耐摩耗性及び耐傷性に優れ、しかも耐薬品
性と耐熱性に優れる射出成形品を得ることができる。
【0381】更に、射出成形性を向上させ寸法精度を向
上させ、写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼす触媒残
渣を無害化させ、射出成形機のスクリューやシリンダ
ー、及び金型の錆の発生を抑える働きもする。脂肪酸金
属塩系滑剤を0.01〜10重量%含有させることが本
発明においては特に好ましい。
【0382】更にまた、その用途から完全遮光性を確保
することが必須とされる射出成形品、例えば、新写真シ
ステムであるアドバンストフォトシステム(APS)等
に用いる樹脂製写真フイルムカートリッジや、写真フイ
ルム用スプール、レンズ付きフイルムユニット、インス
タントフイルムユニット、シートフイルムパック、シー
トフイルムホルダー、カメラ等の場合、メルトフローレ
ートが1〜50g/10分,分子量分布が1.1〜10
のシンジオタクチックポリスチレン樹脂を50重量%以
上,好ましくは65重量%以上,特に好ましくは80重
量%以上と、遮光性物質を0.05〜40重量%とを少
なくとも含有する熱可塑性樹脂組成物を成形材料として
用いるとともに、この熱可塑性樹脂組成物中の水分量が
0.50重量%以下,好ましくは0.30重量%以下,
特に好ましくは0.10重量%以下になるまで乾燥させ
てから、樹脂温度を230〜350℃として射出成形す
ることにより、銀条、発泡、ウエルドライン、ショート
ショット等の発生を防止し、外観の良好な射出成形品を
得ることができる。
【0383】この場合、熱可塑性樹脂組成物の流動性を
向上させ、射出成形性を良化させる働きをする各種滑剤
の1種以上を0.01〜10重量%含有指せることが好
ましい。樹脂の流動性を向上させ、成形サイクルを短縮
させ、物理強度を向上させ、遮光能力を向上させ、射出
成形性を向上させる目的の場合には、後述のシリコーン
系滑剤を含有させることが最も好ましく、写真性の改
良、防錆性の向上、遮光性物質の分散性を向上させる目
的の場合には、脂肪酸金属塩系滑剤を含有させることが
最も好ましい。
【0384】特に寸法精度確保、物理強度確保、超音波
溶着適性向上等を考慮した場合には、メルトフローレー
トが1.0〜50g/10分、好ましくは2.0〜30
g/10分、より好ましくは2.2〜20g/10分、
特に好ましくは2.5〜10g/10分、最も好ましく
は2.7〜7g/10分の合成ゴムが0.1〜15重量
%、好ましくは0.2〜13重量%、より好ましくは
0.3〜10重量%、特に好ましくは0.5〜8重量
%、最も好ましくは0.7〜6重量%含まれている耐衝
撃性ポリスチレン樹脂である。
【0385】この樹脂のその他の好ましい必要特性は、
変形防止の点から曲げ弾性率が15000Kg/cm2
以上、好ましくは18000Kg/cm2 以上、特に好
ましくは20000Kg/cm2 、最も好ましくは22
000Kg/cm2 以上であり、ビカット軟化点(15
kg荷重)は80℃以上、好ましくは85℃以上、特に
好ましくは90℃以上、最も好ましくは、95℃以上で
ある。
【0386】また、本発明は上述した構成の写真フイル
ムカートリッジに限るものではなく、他の構成の樹脂製
の写真フイルムパトローネや、レンズ付きフイルムユニ
ット、インスタントフイルムユニット、各種ロールフイ
ルム用スプールやカートリッジ,各種シートフイルムパ
ックやシートフイルムパックホルダ,シートフイルムユ
ニット,明室装填用ロール状感光材料マガジン(写真フ
イルムや印画紙やフルカラー感熱紙等)等にも適用する
ことができる。以下に本発明を適用することが好ましい
構成の代表例を記載するが、本発明はこれらに限定され
るものではなく、公知のあらゆる構成と組み合わせて用
いることができる。
【0387】磁気記録層を担持した写真感光材料(ハロ
ゲン化銀感光材料)は、特開平6−35118号公報,
特開平6−17528号公報,発明協会公開技報94−
6023等に詳細に記載されているように、予め熱処理
したポリエステルの薄層支持体、例えばポリエチレン芳
香族ジカルボキシレート系ポリエステル支持体が用いら
れ、その厚さが50〜300μm、好ましくは50〜2
00μm、より好ましくは80〜115μm、特に好ま
しくは85〜105μmのものを、40℃以上ガラス転
移温度以下の温度で1〜1500時間熱処理(アニー
ル)し、特公昭43−2603号公報,特公昭43−2
604号公報,特公昭45−3828号公報等に記載の
紫外線照射、特公昭48−5043号公報,特開昭51
−131576号公報等に記載のコロナ放電、特公昭3
5−7578号公報,特公昭46−43480号公報等
に記載のグロー放電等で表面処理を施し、米国特許第
5,326,689号明細書等に記載の下塗りを行い、
必要に応じて米国特許第2,761,791号明細書等
に記載された下引き層を設け、特開昭59−23505
号公報,特開平4−195726号公報,特開平6−5
9357号公報等に記載の強磁性体粒子を塗布して構成
される。
【0388】なお、上述した磁性層は、特開平4−12
4642号公報,特開平4−124645号公報等に記
載されたストライプ状に形成してもよい。さらに、必要
に応じて特開平4−62543号公報等に記載の帯電防
止処理を行い、最後にハロゲン化銀乳剤を塗布してもよ
い。なお、ここで用いるハロゲン化銀乳剤は、特開平4
−166932号公報,特開平3−41436号公報,
特開平3−41437号公報等に記載のものがよい。
【0389】このような写真感光材料は、特公平4−8
6817号公報等に記載の製造管理方法で製造し、特公
平6−87146号公報等に記載の方法で製造データを
記録するのが好ましい。その後、またはその前に、特開
平4−125560号公報等に記載されている方法にし
たがって従来の135サイズフイルムよりも細幅の帯状
にカットし、一方の側縁に従来よりも小さく規定された
露光画面の各々に対応させて2個ずつのパーフォレーシ
ョンを穿孔する。
【0390】このようにして出来た写真フイルムは、特
開平4−157459号公報等に記載のカートリッジ包
装体(パトローネ本体)や、特開平5−210202号
公報の実施例の図9記載のカートリッジ、または米国特
許第4,221,479号明細書等のパトローネ本体
や、米国特許第4,834,306号明細書,米国特許
第4,834,366号明細書,米国特許第5,22
6,613号明細書,米国特許第4,846,418号
明細書等に記載のカートリッジに入れて使用する。
【0391】ここで用いるカートリッジまたはパトロー
ネ本体としては、米国特許第4,848,693号明細
書,米国特許第5,317,355号明細書等に記載さ
れているように、写真フイルムの先端部までも完全に収
納できるものが遮光性確保の観点から好ましい。さらに
は、米国特許第5,296,886号明細書等に記載さ
れているようにロック機構をもったものや、米国特許第
5,347,334号明細書等に記載されているように
使用状態が表示されるもの、あるいは二重露光防止機能
を有するものが好ましい。また特開平6−85128号
公報等に記載されているように、単に写真フイルムをカ
ートリッジに差し込むだけで容易に写真フイルムが装着
されるものを用いてもよい。
【0392】こうして作成された写真フイルムカートリ
ッジは、以下に述べるカメラや現像機、ラボ機器を用い
て合目的に撮影、現像処理、色々な写真の楽しみ方に使
用できる。例えば、特開平6−8886号、特開平6−
99908号公報に記載の簡易装填式のカメラや、特開
平6−57398号、特開平6−101135号公報に
記載の自動巻き上げ式のカメラや、特開平6−2056
90号公報に記載の、撮影途中で写真フイルムカートリ
ッジを取り出して、他の写真フイルムカートリッジと交
換が可能なカメラや、特開平5−293138号、特開
平5−283382号公報に記載の撮影時の情報、例え
ば、パノラマ撮影、ハイビジョン撮影、通常撮影(プリ
ントアスペクト比の選択の出来る磁気記録可能)をフイ
ルムに磁気記録できるカメラや、特開平6−10119
4号公報に記載の二重露光防止機能を有するカメラや、
特開平5−150577号公報に記載のフイルム等の使
用状態表示機能の付いたカメラなどを用いるとフィルム
カートリッジ(パトローネ)の機能を充分発揮できる。
【0393】この様にして撮影されたフイルムは、特開
平6−222514号、特開平6−222545号公報
に記載の自動現像機で処理するか、処理の前、または最
中または後で、特開平6−95265号、特開平4−1
23054号公報に記載のアスペクト比の選択機能を利
用してもよい。現像処理を行う際に、シネ型現像であれ
ば、特開平5−119461号公報に記載の方法でスプ
ライスして処理する。また、現段処理する際、または
後、特開平6−148805号公報に記載のアタッチ、
デタッチ処理を行う。
【0394】こうした処理を行った後で、特開平2−1
84835号、特開平4−186335号、特開平6−
79968号公報に記載の各々の方法で、カラーペーパ
ーヘのバックプリント、フロントプリントを経てフイル
ム情報をプリントヘ変換してもよい。更には、特開平5
−11353号、特開平5−232594号公報に記載
のインデックスプリント及び返却カートリッジと共に顧
客に返却してもよい。これらの写真フイルムカートリッ
ジは、特願平5−327194号、特願平6−9063
号に記載の画像入力装置を用いた楽しみ方もできる。
【0395】次に、本発明の写真感光材料用射出成形品
の第4の実施例として、シート状写真フイルムを複数枚
収納したフイルムパックを取り挙げる。図4は、明室装
填用のシート状写真フイルムを複数枚遮光時に収納した
フイルムパック及びそれに用いるフイルムパックホルダ
の分解斜視図である。フイルムパック70は、シース7
1aにシートフイルム71bを収納したシートフイルム
ユニット71を樹脂製のパック本体72に複数枚重ねて
収納したもので、カメラに取り付けられるフイルムパッ
クホルダ75に装填して用いられる。
【0396】パック本体72には、最上層に積層された
シートフイルム71bに露光を与えるための開口72a
が形成されており、内部に開口72aを開閉する引蓋7
6が設けられている。またパック本体72内には、シー
トフイルムユニット71を背面側から開口72aに向け
て押圧するバネ部材(図示せず)が設けられている。
【0397】フイルムパック70をフイルムパックホル
ダ75に装填し、フイルムパックホルダ75の蓋77を
閉じると、パック本体72の開口72aが蓋77に形成
された露光開口77aから露呈する。フイルムパック7
0の引蓋76を所定位置まで引くと、最上層のシートフ
イルムユニット71が開口72aから押し出され、蓋7
7の露光開口77aを塞ぐ露光位置に移動する。
【0398】そして引蓋76を元の位置に戻すと、引蓋
76は最上層のシートフイルムユニット71と次のシー
トフイルムユニットとの間に挿入される。この後、撮影
操作を行ってから引蓋76を引くと、フイルムパックホ
ルダ75の内側に設けられた中枠78がパック本体72
を保持した状態で引き出される。このとき、露光済みの
シートフイルムユニット71は露光位置に停止したまま
であるから、パック本体72が引き出されると、この露
光済みシートフイルムユニット71が蓋77の内壁に設
けられた4個の板バネ79によってフイルムパックホル
ダ75の背面内壁に向かって押しつけられる。
【0399】続いて引蓋76を元の位置に押し戻すと、
中枠78とともにパック本体72がフイルムパックホル
ダ75内の元の位置に戻る。このとき露光済みのシート
フイルムユニット71が、パック本体74の移動方向に
対して下側の側壁に形成された開口72bからパック本
体72内に入り込み、積層されたシートフイルムユニッ
ト71の最下層に収納される。以上の操作を繰り返すこ
とにより、パック本体72に収納されている全てのシー
トフイルムユニット71を連続的に撮影することができ
る。
【0400】以上のような構成のフイルムパック70の
パック本体72、及び引蓋76は、それぞれ遮光性を有
する熱可塑性樹脂組成物の射出成形により製造される。
このパック本体72、及び引蓋76を構成する樹脂材料
は、MFR(メルトフローレート)が40g/10分,
密度が0.91g/cm3 のプロピレン−エチレン−ラ
ンダム共重合体樹脂(エチレン含有量5重量%)を55
重量%と、MFR(メルトフローレート)が2.1g/
10分,密度が0.89g/cm3 のエチレン−ブチン
−1共重合体樹脂を19重量%と、pHが7.7,平均
粒子径が21nm,吸油量が85ml/100g,揮発
成分が0.8重量%,全硫黄含有量が0.4%,粒子の
アスペクト比が1.2のファーネスカーボンブラック
(三菱化学株式会社製)を0.6重量%と、粒子のアス
ペクト比が33(径0.3μm,長さ10μm)のチタ
ン酸カリ繊維を15重量%と、オレイン酸アミドを0.
1重量%と、テトラキス〔メチレン−3(3・5−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト〕メタンを0.1重量%と、1・3,2,4,−ジベ
ンジリデンソルビトールを0.1重量%と、ステアリン
酸カルシウムを0.1重量%と、MFR(メルトフロー
レート)が6.5g/10分,密度が0.932g/c
3 のエチレン−アクリル酸共重合体樹脂を10重量%
とからなる熱可塑性樹脂組成物により形成されている。
【0401】なお、射出成形条件は、樹脂温度が250
℃,金型からの射出成形品の取り出し温度は40℃,成
形サイクルは、パック本体72が15秒、引蓋76は1
7秒とした。
【0402】このような熱可塑性樹脂組成物を用いて製
造したフイルムパック70は、80000ルクス相当の
自然光のもとに1時間放置された後でも、剛性、耐熱
性、及び寸法安定性に何ら変化が起きず、外形の変形や
収納されているシートフイルム71bの品質にも全く影
響がなかった。
【0403】次に、写真感光材料用射出成形品の第5の
実施例として、上記第4の実施例と同様の構成のフイル
ムパック70における、フイルムパックホルダ75、及
び蓋77を構成する熱可塑性樹脂組成物の組成を、ナイ
ロン6,6樹脂を57.1重量%と、酸変性エチレン−
プロピレンエラストマーを10重量%と、γ−アミノプ
ロピルトリエトキシシランで表面処理を行った,粒子の
アスペクト比が250(径2μm,長さ500μm)の
ガラス繊維を30重量%と、pHが7.7,平均粒子径
が21μm,全硫黄含有量が0.4%,粒子のアスペク
ト比が1.2のファーネスカーボンブラックを1.0重
量%と、粘度が10000ストークスのジメチルポリシ
ロキサンを1.5重量%と、ステアリン酸カルシウムを
0.2重量%と、ステアリン酸亜鉛を0.2重量%とを
含む熱可塑性樹脂組成物を用いて射出により成形した。
【0404】なお、パック本体72、及び引蓋76は、
上記実施例4と同様の成分を含む熱可塑性樹脂組成物の
射出成形により成形した。また、射出成形条件は、樹脂
温度が280℃,金型からの射出成形品の取り出し温度
は60℃,成形サイクルは30秒とした。
【0405】このような熱可塑性樹脂組成物を用いて製
造した、第5の実施例におけるフイルムパック70も、
前記第4の実施例と同様に、80000ルクス相当の自
然光のもとに1時間放置された後でも、剛性、耐熱性、
及び寸法安定性に何ら変化が起きず、外形の変形や収納
されているシートフイルム71bの品質にも全く影響が
なかった。
【0406】次に、写真感光材料用射出成形品の第6の
実施例として、上記第4の実施例と同様の構成のフイル
ムパック70における、引蓋76を構成する熱可塑性樹
脂組成物の組成を、ホリカーボネート樹脂を57.1重
量%と、酸変性エチレン−プロピレンエラストマーを1
0重量%と、粒子のアスペクト比が50(径0.1μ
m,長さ5μm)の炭化硅素ウィスカーを30重量%
と、pHが7.7,平均粒子径が21nm,全硫黄含有
量が0.4%,粒子のアスペクト比が1.2のファーネ
スカーボンブラックを1.0重量%と、粘度が1000
0ストークスのジメチルポリシロキサンを1.5重量%
と、ステアリン酸カルシウムを0.2重量%と、ステア
リン酸亜鉛を0.2重量%とを含む熱可塑性樹脂組成物
により成形した。
【0407】このような熱可塑性樹脂組成物を用いて製
造した、第6の実施例におけるフイルムパック70も、
前記第4の実施例と同様に、80000ルクス相当の自
然光のもとに1時間放置された後でも、剛性、耐熱性、
及び寸法安定性に何ら変化が起きず、外形の変形や収納
されているシートフイルム71bの品質にも全く影響が
なかった。
【0408】このように、上記4〜6の、何れの実施例
においても、本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いてフイ
ルムパック70における、パック本体72、フイルムパ
ックホルダ75、引蓋76、及び蓋77を射出成形する
ことにより、商品価値の高い優れた外観と、耐熱性に優
れて寸法変化が少なく、遮光性を完全に確保でき、シー
トフイルムに悪影響を与えることがないフイルムパック
70を製造することができる。
【0409】さらに、本発明の好ましい実施形態として
は、以下のものがある。 前記熱可塑性樹脂組成物は、熱劣化防止物質を含有
することを特徴とする請求項1ないし5いずれか記載の
写真感光材料用射出成形品。 前記熱可塑性樹脂組成物は、脂肪酸金属塩を含有す
ることを特徴とする請求項1ないし5いずれか記載の写
真感光材料用射出成形品。 前記熱可塑性樹脂はエンジニアリングプラスチック
であることを特徴とする請求項1ないし5いずれ記載の
写真感光材料用射出成形品。 前記熱可塑性樹脂はポリオレフィン樹脂であること
を特徴とする請求項1ないし5いずれか記載の写真感光
材料用射出成形品。 前記熱可塑性樹脂はスチレン系樹脂であることを特
徴とする請求項1ないし5いずれか記載の写真感光材料
用射出成形品。
【0410】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
写真感光材料用射出成形品においては、熱可塑性樹脂1
00重量部と、粒子のアスペクト比が3以下の粉末状遮
光性物質を0.1〜40重量部と、粒子のアスペクト比
が5以上の繊維状充填材1〜50重量部とを必須成分と
する熱可塑性樹脂組成物を用いて射出成形したので、商
品価値の高い優れた外観と、耐熱性に優れ、寸法変化が
少なく、遮光性を完全に確保でき、写真フイルムに悪影
響を与えることがない写真感光材料用射出成形品を提供
することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係わる写真感光材料用射出成
形品としての写真フイルムカートリッジを示す外観斜視
図である。
【図2】本発明の実施例に係わる写真感光材料用射出成
形品としての写真フイルムカートリッジを示す分解斜視
図である。
【図3】図1の写真フイルムカートリッジにおける、ス
プール付近を示す説明図である。
【図4】本発明の実施例に係わる写真感光材料用射出成
形品としてのフイルムパック及びフイルムパックホルダ
の斜視図である。
【符号の説明】
10 写真フイルムカートリッジ 11 上ケース 12 下ケース 14 写真フイルム 15 スプール 23 フランジ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G03C 3/00 590 G03C 3/00 590H B29C 45/00 B29C 45/00 C08L 101/00 C08L 101/00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂100重量部と、粒子のア
    スペクト比が3以下の粉末状遮光性物質を0.1〜40
    重量部と、粒子のアスペクト比が5以上の繊維状充填材
    1〜50重量部とを必須成分とする熱可塑性樹脂組成物
    を用いて射出成形したことを特徴とする写真感光材料用
    射出成形品。
  2. 【請求項2】 前記熱可塑性樹脂組成物は、顔料分散物
    質を含有することを特徴とする請求項1記載の写真感光
    材料用射出成形品。
  3. 【請求項3】 前記熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性エ
    ラストマーを含有することを特徴とする請求項1記載の
    写真感光材料用射出成形品。
  4. 【請求項4】 前記熱可塑性樹脂組成物は、少なくとも
    1種類以上の相溶化剤を含有することを特徴とする請求
    項1ないし3いずれか記載の写真感光材料用射出成形
    品。
  5. 【請求項5】 前記熱可塑性樹脂組成物は、少なくとも
    1種類以上のシングルサイト触媒を用いて重合製造した
    熱可塑性樹脂を含有することを特徴とする請求項1ない
    し4いずれか記載の写真感光材料用射出成形品。
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