JPH0980693A - 写真感光材料用成形品及びそれを用いた写真感光材料包装体 - Google Patents

写真感光材料用成形品及びそれを用いた写真感光材料包装体

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JPH0980693A
JPH0980693A JP23795895A JP23795895A JPH0980693A JP H0980693 A JPH0980693 A JP H0980693A JP 23795895 A JP23795895 A JP 23795895A JP 23795895 A JP23795895 A JP 23795895A JP H0980693 A JPH0980693 A JP H0980693A
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JP
Japan
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resin
weight
sensitive material
photographic
acid
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Application number
JP23795895A
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English (en)
Inventor
Mutsuo Akao
睦男 赤尾
Makoto Kawamura
誠 河村
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH0980693A publication Critical patent/JPH0980693A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 寸法精度、物理強度、耐摩耗性、滑
性、成形性等を向上させることができ、かつ、写真感光
材料の品質に悪影響を及ぼすことがない。 【解決手段】 分子量分布が1.1〜10.0、メル
トフローレートが0.1〜100g/10分の熱可塑性
樹脂の1種以上の合計含有量が50〜99.98重量
%、滑剤の1種以上の合計含有量が0.01〜15重量
%である遮光性熱可塑性樹脂フィルム層1である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、写真性に悪影響を与え
ることなく、寸法精度、物理強度、耐摩耗性、滑性、成
形性等を改良した写真感光材料包装用フィルム、写真フ
ィルム用容器、写真フィルムパトローネ用カートリッ
ジ、写真フィルム用スプール等の写真感光材料用成形品
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、写真感光材料の包装用フィルムと
しては、特公平2−2700号公報で開示されているよ
うに、50重量%以上のエチレン・α−オレフィン共重
合体樹脂と1重量%以上の遮光性物質とからなる樹脂組
成物で成形されたものがあった。この感光物質包装用フ
ィルムは、物理強度、ヒートシール性等は優れている
が、ハロゲン化銀を含む写真感光材料の包装に用いる
と、添加剤の種類や添加量により写真性に悪影響(カブ
リ増加、増減感等)を及ぼす場合があることが判明し
た。また、単層のみの包装用フィルムとして用いた場合
は抗張力が小さく伸びやすいので、重量物を収納する遮
光袋においては包装用フィルムが薄く伸ばされ遮光性や
防湿性を確保できない場合があることも判明した。
【0003】射出成形法により成形された写真フィルム
用容器としては、特公平2−38939号公報で開示さ
れているように、特殊物性のポリプロピレン樹脂を70
重量%以上含む樹脂組成物で形成されたものがあった。
この写真フィルム用容器は、成形故障がほとんど発生せ
ず、成形サイクルを大幅に短縮できるものであるが、成
形条件(樹脂温度、金型温度、冷却水温度、製品取り出
し時の製品表面温度、冷却時間、成形室の温度等)の変
動、添加剤の種類及び量などにより、硬度、物理強度、
寸法が大きく変動するので、温湿度をコントロールした
空調室内で上記成形条件を精密にコントロールして製造
しなければならなかった。然し精密にコントロールした
条件で成形しても非結晶性のポリスチレン樹脂を用いて
いる射出成形品並の寸法精度を得ることはできず写真フ
ィルムパトローネやレンズ付フィルムユニット等のよう
にカメラ適性を必須とする用途では写真フィルムパトロ
ーネやレンズ付きフィルムユニット等のようにカメラ適
性を必須とする用途では結晶性樹脂への代替は不可とさ
れてきた。
【0004】写真フィルム用スプールとしては、特開昭
62−284355号公報等で開示されているように、
カーボンブラックを0.05〜3重量%、カルボキシル
変性シリコーンオイルを0.2〜2重量%、ゴムを0.
5〜6重量%含む、非結晶性樹脂(結晶化度が0%)で
あるポリスチレン樹脂からなる樹脂組成物で形成された
ものがあった。この写真フィルム用スプールは、滑性及
び耐摩耗性が良好なものであったが、耐薬品性、耐油
性、耐熱性等が不十分であった。
【0005】すなわち、透明写真フィルム用容器に収納
した状態で直射日光下に3時間以上放置すると、黒色の
スプールは熱変形してカメラでの撮影が不可能となるも
のであった。したがって、高級キャストコート紙やアー
ト紙又はコート紙を用いた化粧小箱に透明写真フィルム
用容器を収納し、この透明写真フィルム用容器に写真フ
ィルムパトローネを密封収納しており、高価で包装廃棄
物の多い包装体となっていた。
【0006】レンズ付きフィルムユニットとしては、実
公平5−2919号公報等に開示されているように、撮
影機能を備えたユニット本体に予め写真フィルムを内蔵
させたもので、ユニット本体は、カーボンブラックとゴ
ム入りポリスチレン樹脂(ハイインパクトポリスチレン
樹脂=耐衝撃性ポリスチレン樹脂が主として用いられ
る。)組成物で形成されている。寸法精度は良好である
が、吸水性が0.1%以上で、ロックウェル硬度、耐熱
性、耐衝撃性、耐薬品性、耐油性、耐磨耗性等にも欠け
るものであった。したがって、従来、フィルムユニット
本体を化粧箱に収納し、カーボンブラックとゴム入りの
ポリスチレン樹脂製のユニット本体ができるだけ露出し
ないようにしていた。さらに、店頭における展示時に
は、防湿性、ガスバリヤ性等を確保するために、印刷が
付された高価な防湿・ガスバリヤー性積層フィルムで製
造したピロー包装袋で密封包装されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
フィルム成形品、シート成形品、ブロー成形品、真空成
形品、圧空成形品、射出成形品(2色成形品、金型内真
空射出成形品、インジェクション・ブロー成形品等も含
む)等は、写真性への影響、抗張力、耐摩耗性、成形条
件による寸法の変動、耐熱性等において、良好でないも
のであった。また、吸水性が大きく寸法精度、写真性を
常に良好に保つことが困難なものであった。さらにま
た、銀条やショートショット等も発生し易いものであっ
た。
【0008】また、結晶性樹脂においては、略同じメル
トフローレートの同種類の樹脂であっても、各種成形条
件、各種添加剤の種類や添加剤の含有量により成形性、
防湿性、耐磨耗性、寸法精度、硬度、写真性に及ぼす影
響が大きく異なるものであった。さらに、樹脂の特性が
異なると同一の成形条件で成形しても寸法が大きく異な
るものであり、同一の有機造核剤や滑剤を同一量添加し
ても添加効果が大きく異なるものであった。しかしなが
ら、これらの原因は不明であったために、高い寸法精度
が求められる射出成形品や一定の物理強度、帯電防止
性、防湿性、ガスバリヤ性等が求められる写真感光材料
用密封袋を、ポリオレフィン樹脂のみで成形することは
不可能と考えられ実用化されなかった。
【0009】本発明は、以上の問題点を解決し、寸法精
度、物理強度、硬度、耐磨耗性、滑性、外観、成形性が
優れ、かつ、写真感光材料の品質に悪影響を及ぼすこと
がない写真感光材料用成形品を提供することを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するために日夜鋭意検討した結果、分子量分布が
1.1〜10、メルトフローレートが0.1〜100g
/10分の熱可塑性樹脂の1種又は2種以上の合計含有
量が50〜99.98重量%、滑剤の1種又は2種以上
の合計含有量が0.01〜15重量%であり、そして、
必要に応じて他の物質が含まれている写真感光材料用成
形品が上記問題点を解決できることを見出し、本発明を
完成させたものである。
【0011】すなわち、本発明の写真感光材料用成形品
は、分子量分布が1.1〜10、メルトフローレートが
0.1〜100g/10分の熱可塑性樹脂の1種以上の
合計含有量が50〜99.98重量%、滑剤の1種以上
の合計含有量が0.01〜15重量%であることを特徴
として構成されている。
【0012】本発明の熱可塑性樹脂の分子量分布(ゲル
パーメーションクロマトグラフィー(以下、GPCとい
う)方によって求めた重量平均分子量/数平均分子量で
求めた値)は1.1〜10.0が好ましく、1.6〜
8.0がより好ましく、2.0〜6.0が最も好まし
い。分子量分布が1.1未満であると、熱可塑性樹脂の
流動性が悪くなり成形故障が多発する。また熱可塑性樹
脂の重合も困難になり高価になる。また、分子量分布が
10を超えると、物理強度が低下し、寸法精度も悪化す
る。特にポリオレフィン樹脂等の結晶性樹脂ではヒケが
大きくなったり寸法精度が悪化するために樹脂製の写真
フィルムパトローネ用カートリッジやスプール、レンズ
付きフィルムユニット、ディスク等の精密寸法を要求さ
れる射出成形品や圧空成形品では実用化困難である。
【0013】また、本発明の熱可塑性樹脂のメルトフロ
ーレート(ASTM D 1238−88の各種指定条件
で測定。本発明では後述の表5で記載した条件により測
定したものである。)は、0.1〜100g/10分が
好ましく、0.2〜80g/10分がより好ましく、
0.5〜60g/10分が最も好ましい。メルトフロー
レートが0.1g/10分未満であると、樹脂の流動性
が悪く、成形故障や変形等が多発して実用化困難であ
る。また、メルトフローレートが100g/10分を超
えると、分子量が小さ過ぎ物理強度が劣り実用化困難で
ある。さらに、樹脂が流動しやすく成形故障も多発す
る。
【0014】以上のような物性の熱可塑性樹脂の1種又
は2種以上の合計量が50重量%以上である。合計量が
50重量%未満であると、上記熱可塑性樹脂としては、
ポリオレフィン樹脂、酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ
スチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、アクリル樹脂、ポ
リアミド樹脂(ナイロン6樹脂、ナイロン66樹脂、ナ
イロン12樹脂等)、熱可塑性樹脂エラストマー、ポリ
エステル樹脂(ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリ
エチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレン・2・6ナ
フタレート樹脂等)、ポリカーボネート樹脂、スチレン
系樹脂、ポリフェニルスルファイド樹脂等があり、これ
らの1種又は2種以上を混合して用いることができる。
これらの中で、射出成形品用途としては、スチレン系樹
脂は耐油性に欠けるが寸法精度が優れ安価なので特に好
ましく、ポリオレフィン樹脂は、寸法精度が悪いが安価
である点で好ましい。
【0015】本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、ホ
モポリエチレン樹脂、エチレンとα−オレフィンとのラ
ンダム及びブロック共重合体樹脂、ホモポリプロピレン
樹脂又はプロピレンとα−オレフィンとのランダム及び
ブロック共重合体樹脂、酸変性ポリオレフィン樹脂(以
後、これらの樹脂をポリオレフィン系樹脂という)を5
0重量%以上含んでおり、好ましくは60重量%以上、
特に好ましくは70重量%以上含む。ポリオレフィン系
樹脂が50重量%未満であると、相溶性、耐熱性、耐摩
耗性、硬度、耐薬品性、耐油性、滑性等が不十分で実用
化困難である。
【0016】上記ホモポリエチレン樹脂としては、酸素
や過酸化物等のラジカル開始剤を用い、150〜300
℃、1000〜3000kg/cm2の温度・圧力条件
下でエチレンを重合させる方法で製造した、長鎖分岐を
持った密度が0.910〜0.925g/cm3の分岐状
低密度ポリエチレン樹脂と中・低圧法のチーグラー触媒
(Ti系)またはフィリップス触媒(Cr系)等を用い、
50〜250℃、50〜200kg/cm2の温度・圧
力条件下でエチレンを重合させる方法で製造した、直鎖
状の密度が0.941〜0.965g/cm3の直鎖状高
密度ポリエチレン樹脂と、高圧法、中・低圧法によって
も得られるが、前記低密度ポリエチレン樹脂と高密度ポ
リエチレン樹脂をブレンドして製造されている密度が
0.926〜0.940g/cm3の中密度ポリエチレン
樹脂がある。さらに最近実用化検討を開始した金属メタ
ロセン重合触媒を用いて分子量分布を小さくした低密度
ホモポリエチレン樹脂は特に好ましい。
【0017】上記エチレンとα−オレフィンとの共重合
体樹脂としては、L−LDPE樹脂がある。このL−L
DPE(inear ow ensity oly
thylene)樹脂は第3のポリエチレン樹脂と称
され、中低圧法、高圧法両ポリエチレン樹脂の利点を併
せもつ省エネルギー、省資源という時代の要請に合致す
る低コスト、高強度の樹脂である。この樹脂は低圧法又
は高圧改良法でエチレンと炭素数が3〜13個、好まし
くは4〜10個のα−オレフィンを共重合させたコポリ
マーで線状の直鎖に短分岐をもった構造のポリエチレン
系樹脂である。物理強度やコストの点で好ましいα−オ
レフィンとしてはブテン−1、オクテン−1、ヘキセン
−1,4−メチルペンテン−1、ヘプテン−1などが使
用される。特にエチレン・αオレフィンランダム共重合
体樹脂が本発明には好ましいがエチレン・αオレフィン
ブロック共重合体樹脂、これら2種の混合樹脂も使用で
きる。
【0018】密度は一般に低中密度ホモポリエチレン樹
脂程度とされているが、市販品では0.87〜0.95
g/cm3の範囲内にあるものが多い。メルトフローレ
ートは0.1〜50g/10分の範囲内にあるものが多
い。
【0019】代表的なL−LDPE樹脂の重合プロセス
としては中・低圧装置を用いる気相法、溶液法、液相ス
ラリー法と高圧改良法装置を用いるイオン重合法等があ
る。
【0020】L−LDPE樹脂の具体例を以下に示す。 エチレン・ブテン−1共重合体樹脂 GレジンとNUC−FLX(UCC社) ダウレックス (ダウケミカル社) スクレアー (デュポンカナダ社) マーレックス (フィリップス社) スタミレックス (DSM社) エクセレンVL (住友化学) ネオゼックス (三井石油化学) 三菱ポリエチ−LL (三菱油化) 日石リニレックス (日本石油化学) NUCポリエチレン−LL(日本ユニカー) 出光ポリエチレンL (出光石油化学) エチレン・ヘキセン−1共重合体樹脂 TUFLIN (UCC社) TUFTHENE (日本ユニカー) エチレン・4メチルペンテン−1共重合体樹脂 ウルトゼックス (三井石油化学) エチレン・オクテン−1共重合体樹脂 スタミレックス (DSM社) ダウレックス (ダウケミカル社) スクレアー (デュポンカナダ社) MORETEC (出光石油化学)
【0021】これらのL−LDPE樹脂の中で、引裂き
強度、衝撃穴あけ強度が特に要求されるフィルム状の包
装材料であるフィルム成形品に使用する場合に好ましい
樹脂は、メルトフローレート(以後MFRと表示)が0.
1〜10g/10分(JISK−7210の条件4で測
定。試験温度190℃,試験荷重2.16kgf)、密
度が0.870〜0.940g/cm3(JIS K−71
12)、そしてα−オレフィンの炭素数が4〜15個、
好ましくは4〜10個、特に好ましくは6〜8個の液相
法プロセスと気相法プロセスで得られたものである。ま
た従来の高圧法製造プロセスを転用して設備費をおさえ
た改良高圧法プロセスで得られたスミカセン−L(住友
化学)、ニポロンL(東ソー)、ウベポリエチレン(宇
部興産)等のL−LDPE樹脂も好ましい。
【0022】特に好ましい代表的な例を商品名であげる
と、ポリエチレンにα−オレフィン側鎖として炭素数6
個の4−メチルペンテン−1を導入した三井石油化学
(株)のウルトゼックス及びα−オレフィン側鎖として炭
素数8個のオクテン−1を導入した出光石油化学(株)の
MORETECとDSM社のスタミレックスとダウケミ
カル社のダウレックスがある(以上4社品共液相法プロ
セスで得られたL−LDPE樹脂である。)。低圧法の
気相法プロセスで得られた好ましい代表的な例を商品名
であげると、α−オレフィン側鎖として炭素数6個のヘ
キセン−1を導入した日本ユニカー(株)のTUFLIN
及びUCC社のTUFTHENE等がある。
【0023】また最近発売された密度が0.87〜0.
910g/cm3の超低密度直鎖状低密度ポリエチレン
樹脂、例えばUCC社のNUC−FLXや住友化学(株)
のエクセレンVLも好ましい(以上2社品共α−オレフ
ィンが炭素数4個のブテン−1を使用)。
【0024】エチレンとα−オレフィンの比は、エチレ
ンが70%以上であることが好ましく、80%以上がよ
り好ましい。エチレンが70%未満であると、重合適性
が悪化して高価になると共に得られたエチレン・αオレ
フィン共重合体樹脂の粘着性が大きくフィルム成形性が
悪化し、フィルム同志のブロッキングが大きく実用化困
難である。また単層の包装用フィルムでは抗張力が小さ
く伸びやすく、遮光性を確保することが困難である。
【0025】上記ホモポリプロピレン樹脂としては、主
にチグラー触媒(Ti系)を用い、50〜80℃、5〜
35kg/cm2の温度・圧力下でプロピレンを重合し
て製造される密度が0.890〜0.910g/cm3
樹脂である。一般にはプロピレンをアルミニウムアルキ
ル/四塩化チタン系のチーグラー・ナッタ触媒を用いて
溶剤存在下で重合させて得られるアイソタクチック樹脂
である。
【0026】プロピレンとα−オレフィンとの共重合体
樹脂としては、プロピレン・エチレンランダム共重合体
樹脂、プロピレン・エチレンブロック共重合体樹脂、プ
ロピレン・ブテン−1ランダム共重合体樹脂、プロピレ
ン・ブテン−1ブロック共重合体樹脂、プロピレン・エ
チレン・ブテン−1三元共重合体樹脂、プロピレン・エ
チレン・ジエン三元共重合体樹脂、プロピレン・ヘキセ
ン−1ランダム共重合体樹脂、プロピレン・ヘキセン−
1ブロック共重合体樹脂等がある。α−オレフィンの量
としては0.5〜30重量%、好ましくは1〜20重量
%が剛性、物理強度、製造適性のバランスの点から好ま
しい。
【0027】プロピレンとα−オレフィンとの共重合体
樹脂におけるα−オレフィンは、エチレンとα−オレフ
ィンとの共重合体の場合のα−オレフィンと同様であ
る。
【0028】以上のようなポリオレフィン系樹脂を重合
させる際、ハロゲン化合物又は金属化合物を含む重合触
媒を用いることが写真感光材料に対する悪影響の大きい
重合触媒使用量を減少できるので好ましい。ハロゲン化
合物及び/又は金属化合物を含む重合触媒の代表例とし
ては四塩化チタンとトリエチルアルミニウムを無水ヘキ
サン中で混合した時に得られる黒色の沈澱物のチーグラ
ー触媒と三塩化チタンとトリエチルアルミニウムを無水
ヘキサン中で混合して得られる黒色の沈澱物のチーグラ
ー・ナッタ触媒と第I,II,III族の各種金属の有
機アルキル化合物と、第IV,V,VI,VII族の金
属塩の組合せから成る立体規則性重合触媒とトリアルキ
ルアルミニウムと三塩化チタン系の混合物からなるナッ
タ触媒とSiO2−Al23系と酸化クロムの混合物か
ら成るフィリップス触媒及びマグネシウム化合物とハロ
ゲン化チタンとの反応生成物および有機アルミニウムを
成分とする触媒等がある。特殊な例としてマグネシウム
の酸素含有有機化合物とチタンの酸素含有有機化合物と
アルミニウムハロゲン化合物との反応生成物である固体
触媒成分と共触媒として有機アルミニウム化合物を使用
した触媒等もある。有機アルミニウム化合物の具体例と
してはトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミ
ニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、ジエチルア
ルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムモノ
ブロマイド等がある。チタン化合物としてはTiC
4、TiBr、TiI4等のテトラハロゲン化チタン、
Ti(OCH3)Cl3、Ti(OC25)Cl3等のトリ
ハロゲン化アルコキシチタン、Ti(OCH32Cl2
Ti(OC252Cl2、Ti(OC252Br2等の
ジハロゲン化アルコキシチタン、Ti(OCH33
l、Ti(OC253Cl、Ti(OC253Br
等のモノハロゲン化トリアルコキシチタン等がある。
【0029】有機マグネシウム化合物としてはエチルブ
チルマグネシウム、ジイソブチルマグネシウム、ジヘキ
シルマグネシウム、エチルマグネシウムクロライド及び
MgF2、MgCl2、MgBr2、MgI2等がある。バ
ナシウム化合物としては四塩化バナシウム、オキシ三塩
化バナシウム、バナジン酸ジエトキシモノクロライド、
バナジン酸ジエトキシジクロライド等がある。これらの
ハロゲン化合物及び/又は金属化合物はハロゲン化銀写
真感光材料の写真性に悪影響を与えるが脂肪酸金属塩及
び/又はゼオライト及び/又はハイドロタルサイト類化
合物の合計が0.01〜10重量%、好ましくは0.0
5〜7重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%添加す
ると無害化できる。
【0030】ポリオレフィン樹脂は、結晶化度が60%
以上、好ましくは70%以上、特に好ましくは75%以
上である。結晶化度が60%未満であると、剛性、耐摩
耗性、硬度、滑性、ヤング率等が不足し、擦り傷が発生
しやすく、射出成形品ではブロッキングや変形が発生し
やすく成形サイクルが長くなり、しかも成形故障が多発
するので実用化困難である。フィルム成形品ではブロッ
キング発生、滑性不足、シワ発生、フィルム成形性不良
等の点で好ましくない。
【0031】ポリオレフィン樹脂のみの場合は、分子量
分布が1.5〜7.0が好ましく、2.0〜6.5がよ
り好ましく、2.5〜6.0が最も好ましくい。分子量
分布が1.5未満であると、樹脂の流動性が悪化し成形
故障が多発する。また、分子量分布が7.0を越える
と、寸法精度が悪化し、物理強度も低下し、有機造核剤
添加効果も小さくなり本発明の目的とする優れた特性を
有する写真感光材料用成形品を提供することは困難であ
る。
【0032】前記ポリオレフィン樹脂のみの射出成形品
の場合は、MFR(ASTM D 1238のE条件の試
験温度190℃、試験荷重2.16Kgfで測定)が5
〜70g/10分が好ましく、7〜50g/10分がよ
り好ましく、最も好ましくは10〜40g/10分であ
り、5g/10分未満では成形故障(ショートショッ
ト、ウェルドライン等)が多発し、成形サイクルが長く
なり実用化不可である。また、メルトフローレートが7
0g/10分を越えると、樹脂の流動性が大きくなりす
ぎバリ等の成形故障が多発し、物理強度が小さく実用化
困難である。
【0033】上記酸変性ポリオレフィン樹脂に付いて説
明する。酸変性ポリオレフィン樹脂は、ポリオレフィン
樹脂と不飽和カルボン酸類とをグラフト変性した変性ポ
リオレフィン樹脂をいい、例えばグラフト変性ポリエチ
レン樹脂、グラフト変性ポリプロピレン樹脂、グラフト
変性エチレン共重合体樹脂(EVA樹脂、EEA樹脂、
L−LDPE樹脂、EMA樹脂等)等がある。
【0034】ポリオレフィン樹脂とグラフト変性する。
不飽和カルボン酸類は、その誘導体も含めて総称するも
ので、代表例をあげるとアクリル酸、メタクリル酸、マ
レイン酸、フマール酸、イタコン酸、テトラヒドロフタ
ル酸、メサコン酸、アンゲリカ酸、シトラコン酸、クロ
トン酸、イソクロトン酸、ナジック酸、(エンドシス−
ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−5−エン−2,3−ジカ
ルボン酸)、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水
イタコン酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、
アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブ
チル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸グリシジル、メ
タクリル酸グリシジル、マレイン酸モノエチルエステ
ル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチル
エステル、フマル酸ジメチルエステル、イタコン酸ジエ
チルエステル、アクリル酸アミド、メタクリルアミド、
マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、マレイン
酸−N−モノエチルアミド、マレイン酸−N,N−ジエ
チルアミド、マレイン酸−N−モノブチルアミド、マレ
イン酸−N,N−ジブチルアミド、フマル酸モノアミ
ド、フマル酸ジアミド、フマル酸−N−モノエチルアミ
ド、フマル酸−N,N−ジエチルアミド、フマル酸−N
−モノブチルアミド、フマル酸−N,N−ジエチルアミ
ド、フマル酸−N−モノブチルアミド、フマル酸−N,
N−ジブチルアミド、マレイミド、マレイン酸モノメチ
ル、マレイン酸ジメチル、マタクリル酸カリウム、アク
リル酸ナトリウム、アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネ
シウム、アクリル酸カルシウム、メタクリル酸ナトリウ
ム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム、N−
ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、塩化マレ
ニル、グリシジルマレエート、マレイン酸ジプロピル、
アコニチン酸無水物、ソルビン酸等をあげることがで
き、相互の混合使用も可能である。
【0035】なかでもアクリル酸、マレイン酸、無水マ
レイン酸、ナジック酸が好ましく、特に無水マレイン酸
が好ましい。
【0036】酸変性ポリオレフィン樹脂における不飽和
カルボン酸類をグラフト変性させる方法は特に限定され
ない。例えば、溶融状態で反応させる特公昭43−27
421号公報等に開示の方法や、溶液状態で反応させる
特公昭44−15422号公報等に開示の方法や、スラ
リー状態で反応させる特公昭43−18144号公報等
に開示の方法や、気相状態で反応させる特公昭50−7
7493号公報等に開示の方法等がある。
【0037】これらの方法の中で押出機を用いる溶融混
練法が操作上簡便で、かつ安価な方法なので好ましい。
【0038】不飽和カルボン酸類の使用量は、接着強度
確保のためポリオレフィン樹脂ベースポリマー(各種ポ
リエチレン樹脂、各種ポリプロピレン樹脂、各種ポリオ
レフィン共重合体樹脂、ポリブテン−1樹脂、ポリ−4
−メチルペンテン−1等のα−オレフィン共重合体樹脂
及びその共重合体樹脂)100重量部に対して0.01〜
20重量部、好ましくは0.2〜5重量部である。
【0039】ポリオレフィン樹脂と不飽和カルボン酸類
との反応を促進するために有機過酸化物等が用いられ
る。
【0040】有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイ
ルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アゾビ
スイソブチロニトリル、ジクミルパーオキサイド、α,
α’ビス(t−ブチルパーオキシジイプロピル)ベンゼ
ン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオ
キシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−
ブチルパーオキシ)ヘキシン、ジ−t−ブチルパーオキ
サイド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチル−ハ
イドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−
ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベ
ンゾエート、1,3ビス(t−ブチルパーオキシイソプ
ロピル)ベンゼン、キュメンハイドロパーオキサイド、
ジ−t−ブチル−ジパーオキシフタレート、t−ブチル
パーオキシマレイン酸、イソプロピルパーカーボネート
等の有機過酸化物、アソビスイソブチロニトリル等のア
ゾ化合物、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物等があ
る。
【0041】これらは1種または2種以上の組合せで使
用してもよい。特に好ましいのは、分解温度が170℃
〜200℃の間にあるジ−t−ブチルパーオキサイド、
ジ−クミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5
ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル
−2,5ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン、1,3−
ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンで
ある。
【0042】これらの過酸化物の添加量は特に制限され
ないが、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して0.
005〜5重量部、好ましくは0.01〜1重量部であ
る。
【0043】市販の酸変性ポリオレフィン樹脂の代表例
を以下に示す。 (1) 日本石油化学KK “Nポリマー” (2) 三井石油化学工業KK “ADMER” (3) 昭和電工KK “ER RESIN” (4) 三菱化成工業KK “NOVATEC−AP” (5) 三菱油化KK “MODIC” (6) 日本ユニカーKK “NUC−ACE” (7) 宇部興産KK “UBE BOND” (8) 東ソーKK “ルセンM” (9) 住友化学工業KK “ボンダイン” (10) 三井・デュポンケミカルKK“CMPS”等 (11) エクソン社 “デクソン” (12) 東亜燃料工業KK “HAシリーズ” (13) 三井東圧化学KK “MITSUI LONPLY”等
【0044】また、酸変性ポリオレフィン樹脂は、写真
感光材料用射出成形品やフィルム成形品に含まれたカー
ボンブラックやアルミニウム粉末等の遮光性物質や繊維
状フィラー等の表面を被覆し均一に分散させることがで
き、ミクログリッドの発生を減少させ、射出成形品やフ
ィルム成形品等の物理強度を向上させることができる。
【0045】上記ポリスチレン系樹脂について説明す
る。 1.ポリスチレン系樹脂 (1) 分子構造および特徴的性質 ポリスチレン系樹脂には、ホモ芳香属モノビニル樹脂、
芳香属モノビニル共重合耐樹脂、ゴム状物質含有芳香属
モノビニル樹脂があり、スチレンモノマーのみを重合し
たホモポリスチレン樹脂である透明な一般用ポリスチレ
ン(GPPS)樹脂、これをゴム状物質で補強したゴム
含有ポリスチレン樹脂であるハイインパクトポリスチレ
ン(HIPS)樹脂、スチレンと他の熱可塑性樹脂との
共重合体樹脂があり、これらのスチレン部分は直鎖でア
モルファスである。ナッタ触媒を用いれば、アイソタク
チックポリスチレン樹脂が得られ、これは不透明で、熱
変形温度が200℃程度と高いものである。
【0046】JIS K6870−1987では、ポリ
スチレン系樹脂をスチレンの単独重合体(一般用ポリス
チレンという。以後、GPと表示)と耐衝撃性を向上さ
せるため合成ゴムで改質又は合成ゴムをグラフト共重合
したスチレン重合体(耐衝撃性ポリスチレンという。以
後、HIPSと表示)の2つに大別している。解説図1
と2で、ビカット軟化点が同一であってもGPポリスチ
レン樹脂はHIポリスチレン樹脂より引張強さは30%
以上大きく、曲げ強さも20%以上大きいことを示して
いる。従って使用目的に合せてGPポリスチレン樹脂と
HIポリスチレン樹脂の混合比率を変えて用いることは
有効である。
【0047】ポリスチレン系樹脂の特徴的性質について
は、比重が小さい、無味、無臭、無毒である、吸
湿性が小さい、電気絶縁性、高周波絶縁性が優れてい
る、着色性、塗装性が良い、成形加工性が極めて優
れている、成形品の寸法安定性が良い、比較的安価
な材料である、写真感光材料にほとんど悪影響を与え
ない、等が挙げられる。また、用途により次の短所を持
っている。耐衝撃性が不十分、油類および有機溶剤
の一部に侵される、耐熱性が不十分、燃えやすい、
耐候性が不十分、帯電しやすい。
【0048】(2) 製造方法 ほとんどが連続塊状重合方法で、一部が懸濁バッチ重合
方法で製造されている。いずれも典型的なラジカル重合
方法である。連続塊状重合方法は、重合工程、脱気・モ
ノマー回収工程、造粒工程が連続的に組み合わさった、
ひとつの理想的プロセスであり、これ以上の飛躍的なプ
ロセス改良は現時点では望めそうにない、と考えられて
おりポリスチレン系樹脂の重合方法の主流となってい
る。
【0049】(3) ポリスチレン樹脂の国内製造ーカー 旭化成工業 出光石油化学 新日本製鉄化学工業 大日本インキ化学工業 電気化学工業 日本ポリスチレン 三井東圧 三菱モンサント化成
【0050】ゴム含有ポリスチレン樹脂(ゴム含有芳香
族モノビニル樹脂又はハイインパクトポリスチレン樹脂
とも呼称される樹脂で本発明では以後、HIPS樹脂と
表示。)について以下に詳述する。
【0051】ゴム含有芳香族モノビニル樹脂(HIPS
樹脂)は、ゴム状物質と芳香族モノビニルとのグラフト
重合体、ゴム状物質と芳香族モノビニル樹脂とが単に混
練された状態の混合体、ゴム状物質と芳香族モノビニル
とのグラフト重合体と芳香族モノビニル樹脂との混合体
の3つの態様がある。
【0052】ゴム状物質のゴム含有芳香族モノビニル樹
脂における含有量は、0.1〜20重量%、好ましくは
1〜12重量%、より好ましくは1.5〜10重量%、
最も好ましくは2〜8重量%である。含有量が0.1重
量%未満では、耐摩耗性が劣り、物理強度が小さく、特
に0℃以下の条件下で使用される機会の多い写真フィル
ム用スプール、樹脂製の写真フィルム用パトローネ、イ
ンスタントフィルムユニット、カメラ本体、写真フィル
ム用カートリッジ、写真フィルム用マガジン、レンズ付
き写真フィルムユニットでは落下した時の強度不足、耐
摩耗性不足の点で実用化困難である。また、含有量が2
0重量%を越えると、写真感光材料に3ヵ月以上の室内
における密封状態での経時でカブリを0.03以上増加
させたり、部分的に感度を20%以上上昇させたりし、
写真プリントに濃度ムラや色ムラが発生し実用化不可で
ある。さらに曲げ弾性率が小さくなり変形しやすくなり
カメラ適性が失われたり遮光性不良になる。
【0053】ゴム状物質としては、エチレン・プロピレ
ン系共重合体、エチレン・プロピレン・非共役ジエン三
元共重合体、イソプレン共重合体、ポリイソブチレン、
スチレン−イソプレン共重合体、ポリブタジエン、スチ
レン・ブタジエン共重合体等であり、ポリブタジエンと
してはシス含有量の高いハイシスポリブタジエン(好ま
しくはシス1,4結合が70モル%以上、好ましくは9
0モル%以上)とシス含有量の低いローシスポリブタジ
エンがともに用いられる。
【0054】このゴム状物質の平均粒子径は、0.1〜
10μmが適当であり、好ましくは0.2〜7μm、よ
り好ましくは0.5〜5μm、最も好ましくは0.7〜
3.5μmである。平均粒子径が0.1μm未満である
と、高価になり、衝撃強度が低下し、擦り傷が多発し実
用化不可であり、また、平均粒子径が10μmを超える
と、表面の凹凸が大きく、引張強度等が低下し実用化困
難である。
【0055】一般に、平均粒子径が小さいと、光沢度の
高い、表面が平滑な射出成形品が得られるが傷がつきや
すく、重合コストが高くなる。一方、平均粒子径が大き
いと、反射が少なくなり、光沢度が低くなる。したがっ
て、高光沢射出成形品を得ようとする場合は、平均粒子
径が0.1〜1.5μm、好ましくは0.2〜1.0μmの
ゴム状物質の樹脂を用い、反射防止のためマット状の低
光沢射出成形品を得ようとする場合は、平均粒子径が
1.5〜10μm、好ましくは1.7〜7μm、より好
ましくは2.0〜5μmのゴム状物質の樹脂を用いる。
このように平均粒径が1.5〜10μmの射出成形品に
すれば表面にエンボス加工を施さなくても光の反射によ
る光カブリを防止できる。さらに、エンボス加工を施せ
ば、より完全に光の反射による光カブリを防止できるの
で写真フィルム用スプールや樹脂製の写真フィルムパト
ローネに用いることは好ましい。
【0056】ゴム状物質の平均粒子径は、ミクロトーム
により超薄片を切り取り透過型電子顕微鏡写真で撮影
し、写真中のゴム状物質600個の粒子径を測定して次
式により算出したものである。 平均粒子径=ΣnD2/ΣnD {式中、nは粒子径、Dはゴム状物質の粒子の個数であ
る}
【0057】ゴム状物質の平均粒子径は、重合時の攪拌
条件、ゴム状物質の溶液粘度等により調節できる。
【0058】芳香族モノビニルとしては、スチレン及び
o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチル
スチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、
2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、p−te
rt−ブチルスチレン等の核アルキル置換スチレンと
2,4,6−トリブロモスチレン、2,4,6−トリク
ロロスチレン等の核ハロゲン化スチレンとα−メチルス
チレン、α−メチル−p−メチルスチレン等のα−アル
キル置換スチレン等が用いられる。その他、スチレン系
モノマーと共重合可能なメタクリル酸エステル、アクリ
ル酸エステル、アクリロニトリル、無水マレイン酸も含
む。
【0059】ゴム含有芳香族モノビニル樹脂が、ゴム状
物質と芳香族モノビニルとの重合体(ほとんどがグラフ
ト重合)である場合、その重合は下記に記載した重合方
法を用いることができる。
【0060】〔ラジカル重合法〕 バッチ塊状重合方法 利点…簡単に製造できる。 欠点…大規模になると熱の分散困難。分子量分布が広
く、成形性が優れる。 連続塊状重合方法 利点…製品の品質が均一である。製造コストが低い。 欠点…高粘度反応液の輸送。反応塔内でのチャンネリン
グ現像。 連続溶液重合方法 利点…重合熱制御がしやすい。 欠点…脱溶媒が必要。攪拌方法が難しい。 懸濁重合方法 利点…重合熱除去可能。粒状ポリマーが得られる。残存
モノマーが少ない。 欠点…水や安定剤による汚れが発生。脱揮発分が必要。
乾燥、ペレタイジングが必要。 乳化重合方法 利点…反応速度大。重合熱除去可能。連続重合も可能。
ラテックス状ポリマーが得られる。 欠点…水や乳化剤による汚れが発生乾燥やペレタイジン
グが必要
【0061】〔イオン重合方法〕 イオン重合方法 利点…反応速度大。重合熱制御可能。 欠点…溶剤と触媒粉末の除去が必要。冷凍が必要。
【0062】これらの重合方法の中で、経済性の観点で
は、ゴム状物質の存在下でスチレンモノマーをラジカル
反応で重合させる塊状重合法及び塊状−懸濁二段重合方
法が好ましく、特に連続塊状重合法が、安価で写真感光
材料に悪影響を及ぼす物質の混入が少ないので好まし
い。また、残存モノマーが少なく耐熱性が優れ、かつ、
小回りがきく点では、懸濁重合(バッチ式)が好まし
い。本発明では、写真性、経済性、品質安定性の点から
HIPS樹脂は連続塊状重合法で重合したものが特に好
ましい。
【0063】ゴム含有芳香族モノビニル樹脂(HIPS
樹脂、ABS樹脂、AS樹脂等を含む。以下同様)のメ
ルトフローレート(以後、MFRという。このMFR
は、各樹脂の標準条件で測定した値である。例えば、ポ
リスチレン樹脂の場合は、JIS K 7210の条件
8、即ち試験温度200℃、試験荷重5.00kgfで
あり、ABS樹脂、AS樹脂の場合は、JIS K 72
10の条件11、即ち試験温度220℃、試験荷重1
0.00kgfである)は、1.0〜60g/10分で
あり、好ましくは2.0〜50g/10分、より好まし
くは3.0〜40g/10分、最も好ましくは5.0〜
30g/10分である。MFRが1.0g/10分未満
では、樹脂の流動性が悪く、ショートショットやウェル
ドラインの発生が多く、成形サイクルが長くなり実用化
困難である。また、MFRが60g/10分を越えると
物理強度が小さく、バリの発生が多く、熱劣化しやすく
実用化困難である。数平均分子量は物理強度確保と重合
コスト、射出成形性とのバランスから10,000〜
1,000,000、好ましくは20,000〜800,0
00、特に好ましくは50,000〜600,000であ
る。GPC測定による重量平均分子量/数平均分子量で
求める分子量分布は1.1〜10.0、好ましくは1.6
〜8.0、特に好ましくは2.0〜6.0である。分子
量分布が1.1未満では射出成形性が悪化し、分子量分
布が10を越えると寸法精度や物理強度が悪化し実用化
困難である。
【0064】ゴム含有芳香族モノビニル樹脂の曲げ弾性
率(JIS K−7203)は20,000kg/cm2
以上であり、好ましくは22,000kg/cm2
上、より好ましくは23,000kg/cm2以上、最
も好ましくは25,000kg/cm2以上である。曲
げ弾性率が20,000kg/cm2未満では、外力が
加わると変形しやすく寸法精度や完全遮光性を確保でき
なくなる。特にカメラに装填使用される写真フィルム用
スプールや樹脂製の写真フィルム用パトローネ、写真フ
ィルム用カートリッジ(K16フィルム,K35フィル
ム等)では変形するとカメラに装填困難になり撮影がで
きなくなる。
【0065】芳香族モノビニル樹脂の熱変形温度(AS
TM D−648,荷重18.6kg/cm2)は70℃
以上であり、好ましくは75℃以上、より好ましくは8
0℃以上、最も好ましくは85℃以上である。熱変形温
度が70℃未満では、黒色に着色された成形品の場合、
太陽光下に1時間以上放置されると軟化変形(写真業界
では一般にカーバベキューと表現)し完全遮光性を確保
出来なくなる。また、写真フィルム用スプールの場合
は、変形して円滑にカメラ内で回転できなくなる。
【0066】ゴム含有芳香族モノビニル樹脂のロックウ
ェル硬度(JIS K−7202又はASTM D−78
5のMスケール)はM40以上が好ましく、M45以上
がより好ましく、M50以上が特に好ましく、M55以
上が最も好ましい。ロックウェル硬度がM40未満で
は、パトローネに用いられている金属や写真フィルム等
との摩擦により傷が発生したり、寸法精度が確保できな
くなったり、摩耗クズが写真感光材料に付着してスポッ
ト故障が発生する。
【0067】ゴム含有芳香族モノビニル樹脂のアイゾッ
ド衝撃強度(JIS K−6871)は2.0kg・cm
/cm2、好ましくは2.5kg・cm/cm、より好
ましくは3.0kg・cm/cm、最も好ましくは3.5
kg・cm/cm以上である。アイゾッド衝撃強度が
2.0kg・cm/cm未満では、物理強度が小さく、
特に0℃以下の条件下で使用される機会の多い写真フィ
ルム用スプール、樹脂製の写真フィルム用パトローネ、
インスタントフィルムユニット、カメラ本体、レンズ付
き写真フィルムユニット、シート写真フィルム用ホルダ
ー、写真フィルム用カートリッジ等では落下した時の強
度不足の点で実用化困難である。
【0068】2.ABS(acrylonitrile
−butadiene−styrene)樹脂 (1) 分子構造および特徴的性質 ABS樹脂はアクリロニトリル(A)、ブタジエン
(B)、スチレン(S)を主成分とする熱可塑性樹脂で
ある。分散ポリブタジエン粒子にAS共重合体がグラフ
トされているために、ポリブタジエン粒子と周囲のAS
連続相との相溶性が良く、ポリブタジエン粒子相互の凝
集は見られない。
【0069】ABS樹脂は上記のようにハイインパクト
ポリスチレン(HIPS)樹脂と同じようなグラフトゴ
ム粒子分散系であるから、粘弾性温度特性はポリブタジ
エンゴムによる−80℃近辺の分散吸収とAS共重合体
による+120℃近辺の分散吸収に分かれる。
【0070】ABS樹脂の最大の特徴である衝撃強度
は、ポリブタジエン粒子の変形による衝撃エネルギーの
吸収とポリブタジエン粒子界面から発生したクレーズの
生成による衝撃エネルギーの吸収によるというクレーズ
説が最近では支持されているようである。クレーズの発
生に加えてクレーズの伝幡およびクレーズの破壊を抑え
る機構も、より衝撃強度を高くするためには重要である
という報告もある。
【0071】射出、押出、真空成形等の成形加工性が良
いことのほか、剛性、耐薬品性にも優れている。また、
遮光性物質による着色が自由で、塗装、印刷、ホットス
タンプ、真空蒸着、メッキ等の二次加工性も良好であ
る。ポリカーボネート樹脂やポリ塩化ビニル樹脂等の他
樹脂とのブレンド系はABSアロイとして特徴のある製
品群を形成している。唯一の欠点は写真性に悪影響を及
ぼすことがあることと耐候性に劣ることであるが、それ
も本発明のカーボンブラックや脂肪酸金属塩や老化防止
剤や紫外線吸収剤や酸化防止剤等の改質剤の添加や樹脂
組成物の検討により改良され写真感光材料射出成形品と
して実用化可能となった。
【0072】(2) 製造方法 グラフトブレンド法 ポリブタジエンラテックスにAN/STモノマーを反応
させてゴム含量の高いABS樹脂をつくり、これに別に
つくったAS共重合体樹脂をブレンドして所定のABS
樹脂を得る。最近では、このグラフトブレンド法が多
い。
【0073】 塊状・懸濁重合法 未架橋ゴムをSTモノマーに溶解しゴムマトリックス状
態の予備塊状重合を行い、ゴム分散状態への相転移が起
こった時点で、懸濁系のグラフト反応を行ってABS樹
脂を得る。この方法ではゴム含量の高いABS樹脂をつ
くることが難しいので、他の方法でつくったABS樹脂
およびAS共重合体樹脂とブレンドして目的のABS樹
脂にすることもある。
【0074】 乳化・連続塊状重合法 乳化重合法によってつくったゴム含量の高いABSラテ
ックスにAN/STモノマー、および電解質を加えて混
合し、分離された水分を除去してABSクラムとする。
このABSクラムにAN/STモノマーを加えてABS
ドープとして連続塊状重合を行ってABS樹脂を得る。
【0075】この方法ではABS樹脂パウダーの凝固・
水洗・乾燥工程が不要であるために大きなコストダウン
ができるとされている。
【0076】(3) 国内製造ーカー 旭化成 宇部サイコン 東レ 三菱レイヨン 日本合成ゴム 協同ポリマー 三菱モンサント 住友ノーガタック 電気化学
【0077】3.アクリロニトリル−スチレン樹脂 (1) 分子構造および特徴的性質 スチレンは代表的なビニルモノマーであるので、いろい
ろのモノマーとの共重合性は古くから研究されている。
一方、これらスチレンと他のコモノマーとの共重合樹脂
のうち、透明でかつ高剛性を有する(ゴム補強のない)
樹脂として工業化されているものにアクリロニトリル−
スチレン樹脂(AS樹脂)、メチルメタクリレート−ス
チレン樹脂(MS樹脂)と無水マレイン酸−スチレン樹
脂の3種類がある。
【0078】これらのスチレン系共重合体樹脂は、通常
ラジカル重合により製造され、その分子構造は典型的な
ランダム共重合体樹脂であり、ゴム含有ポリスチレン樹
脂であるハイインパクトポリスチレン樹脂のようないわ
ゆるゴムグラフト変性共重合体樹脂とは異なる。また、
このような透明タイプの共重合樹脂の組成が数%ずれる
と透明度が急速に低下するため、組成分布をいかに保つ
かが、製造技術上のひとつのポイントである。AS樹脂
を例にあげるとSM/AN=75/25がアゼオトロピ
ック組成であるので、工業化されているものの多くはA
N含量25〜35%、組成分布±1%位のものである。
【0079】共重合による極性基の導入やかさ高い側鎖
の導入によって分子鎖の内部回転が妨げられる効果によ
り、これらアクリロニトリル−スチレン系樹脂は一般用
ホモポリスチレン樹脂に比べて一般的に機械的特性、耐
熱性、耐薬品性等において優れた特性を示す。
【0080】(2) 製造方法 上記樹脂は品質上の制約、経済的利点等より塊状重合と
懸濁重合の2つのプロセスが工業的に用いられている。
AS樹脂を例に挙げて説明すると本質的にはGPPS樹
脂と同様に製造可能であるが、コモノマーのANの導入
に付随する問題点(例えば塊状重合にあっては重合反応
熱の増大、重合系粘度の増加、組成分布など)の解決が
重要である。
【0081】一般的に言って塊状重合プロセスは設備費
が高いのが欠点であるが、不純物の混入がないため品質
の安定性において優れ、かつ連続化による経済的優位性
があると言われている。
【0082】(3) アクリロニトリル−スチレン樹脂の
国内ーカーおよび商品名
【0083】
【表1】 *1:販売会社は三井東圧化学である。 *2:販売会社はダイセル化学工業である。 *3:ガラス繊維強化グレードのみ上市している。
【0084】4.AAS(ASA)樹脂及びAES樹脂 (1) 分子構造および特徴的性質 AAS(ASA)樹脂の主要構造
【0085】
【化1】 (アクリルゴム)に
【0086】
【化2】 (ASコポリマー)が一部グラフト共重合している。
【0087】ただし、アクリルゴムはアクリル酸n−ブ
チルの他にアクリル酸エチルなど他のアクリル酸エステ
ルをモノマー単位とすることもある。また、ASコポリ
マーのスチレンとアクロニトリルのモノマー単位の比率
はグレードにより異なる。
【0088】 AES樹脂の主要構造
【0089】
【化3】 (EPDMゴム)に
【0090】
【化4】 (ASコポリマー)が一部グラフト共重合している。
【0091】ただし、ASコポリマーのスチレンとアク
リロニトリルのモノマー単位の比率はグレードにより異
なる。
【0092】特徴的な性質としては、耐候性および耐衝
撃性に優れ、しかも成形物外観、成形性がよい。耐衝撃
性がよいのは、樹脂中にアクリルゴムあるいはEPDM
ゴムが粒子状に分散し、衝撃エネルギーを吸収するため
である。また耐候性に優れているのは、ABS樹脂中の
ブタジエンゴム等に比べ、これらのゴムが紫外線劣化に
対して著しく安定なためである。
【0093】(2) 製造方法 以下に一般的な合成法を示す。 AAS(ASA)樹脂 アクリル酸n−ブチルに数%の架橋剤あるいはグラフト
化剤を加えて乳化重合させる。このゴムラテックスにス
チレンとアクリロニトリルを加えてグラフト共重合させ
る。重合後、塩析して樹脂粉末を得る。
【0094】 AES樹脂 EPDMゴムをスチレン、アクリロニトリルおよび有機
溶剤に溶かし、グラフト共重合させる(有機溶剤を使わ
ない合成法も特許等でみられる)。重合後、溶剤を除去
し、樹脂粉末を得る。
【0095】(3) AAS(ASA)樹脂、AES樹脂
の国内ーカーおよび商品名
【0096】
【表2】
【0097】上記ポリアセタール樹脂に付いて説明す
る。ポリアセタール樹脂は、ポリオキシメチレン系樹脂
(ホモ及びコポリマー)の代表的なものとしてライラタ
ーやVTR用リール等に用いられており、高価であるが
高滑性の優れた成形品が得られるものとして周知であ
る。しかし、成形時にホルムアルデヒドガスが発生し、
成形品を冷却し、1週間ホルマリンガスを除去のための
シーズニングを行っても残留ホルムアルデヒドガス又は
密封包装体中に使用までに発生したホルムアルデヒドガ
スにより写真感光材料にカブリやイエロースティン等の
写真性故障を発生するために写真感光材料用成形品とし
ては実用化されていない。
【0098】しかし、本発明者は、写真感光材料の写真
性に悪影響を及ぼす物質の写真性への悪影響を防止する
方法を長年にわたって鋭意検討した結果、ポリオキシメ
チレン樹脂の代表樹脂であるポリアセタール樹脂にアミ
ジン化合物のシアノグアニジン、メラミン、アミノ置換
アミド、ヒドラジド化合物{X−R1,X−R2−X
(X)n−R3の一般式で表されるヒドラジド化合物で
式中R1は1価の有機ラジカルを表し、R2は2価の有機
ラジカルを表し、R3は多価の有機ラジカルを表し、X
は−CONHNH2(ヒドラジド基)を表し、nはR3
原子価数を表す。}、2種以上の含窒素化合物(ポリエ
ステルアミド又はポリアミドとヒダントイン誘導体、シ
チジン、ウリジンの組合せ)、ウラシール化合物類、ポ
リアミドチオエーテル、第2級又は第3級芳香族アミン
等の1種以上を含むホルムアルデヒドの除去剤を0.0
1〜10重量%と脂肪酸金属塩系滑剤、シリコーン系滑
剤、エステル系滑剤、脂肪酸系滑剤、炭化水素系滑剤等
の滑剤の1種以上の合計含有量が0.01〜15重量%
の写真感光材料用成形品とすることに写真感光材料の写
真性に悪影響を与えることなく耐摩耗性、滑性の優れた
成形品として実用化することが可能になった。
【0099】上記アクリル樹脂に付いて説明する。 (1)分子構造及び特徴的性質 アクリル樹脂はシート材料と成形材料に大別されるが、
シート材料タイプは、メチルメタクリレート(以下、M
MAと表示)を単独重合したポリメチルメタクリレート
(以下、PMMAと表示)樹脂、成形材料はMMAを主
成分にアクリル酸エステルを少量共重合したランダム共
重合耐樹脂系よりなる。
【0100】(2)製造方法 アクリル樹脂の製造方法は、製品の形態からシート材料
タイプと成形材料タイプとに大きく分けられる。シート
材料タイプには、2枚の無機ガラスの間でMMAを重合
する。いわゆるセルキャスト法と、無機ガラスの代わり
にエンドレスのステンレスベルトを用いて重合する連続
製板方式がその主流を占めている。一方、成形材料タイ
プは、重合釜にMMA、アクリル酸エステルなどととも
に重合助剤を入れ、水を媒体として行う懸濁重合方式
と、重合助剤を低減し、純粋なピリマーが得られる塊状
重合方式の2つが世界的に採用されている。
【0101】(3)メチルメタクリレート樹脂の国内メ
ーカー及び商品名 メーカー名 商 品 名 シート材料 成形材料 旭化成工業 デラグラス デルペット 共和ガス化学工業 パラグラス パラペット 住友化学工業 スミペックス スミペックス 三菱レイヨン アクリライト アクリペット
【0102】上記ポリアミド樹脂に付いて説明する。ポ
リアミド樹脂としてはホモ及びコポリマーいずれも他の
添加剤(滑剤は必須)と併用すれば上記特性を有する限定
特性を有する樹脂であれば本発明で用いることが出来
る。各種のポリアミド樹脂の中でも本発明では摩耗係数
が比較的小さく、加熱変形温度が高く、物理強度、成形
性が優れており、写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼ
すことがほとんどない脂肪族ポリアミド樹脂が特に好ま
しい。特に好ましい脂肪族ポリアミド樹脂としてはナイ
ロン6樹脂、ナイロン11樹脂、ナイロン12樹脂、ナ
イロン66樹脂、ナイロン69樹脂、ナイロン610樹
脂、ナイロン612樹脂等が例示され単独又は2種以上
のブレンド樹脂として用いられる。
【0103】脂肪族ポリアミド樹脂としては融点が16
0℃、好ましくは180℃、特に好ましくは200℃以
上、最も好ましくは210℃以上であり、このような耐
熱を有する脂肪族ポリアミド樹脂を選択するとヒートシ
ール時の耐熱性フィルム層やカーボンブラック等のよう
に光吸収性遮光性物質を含む射出成形品等のように夏の
太陽光下に放置され吸熱により表面が高温に昇温された
場合でも写真感光材料用成形品として致命的な故障であ
る熱変形や遮光性不良が発生しないようにすることがで
きる。
【0104】上記特性及び汎用され比較的安価で、写真
感光材料の写真性に悪影響を与えない点等から本発明で
最も好ましいポリアミド樹脂はナイロン6樹脂とナイロ
ン66樹脂である。滑剤を0.01〜15重量%及び/
又はポリフッ化エチレン樹脂例えばポリ四フッ化エチレ
ン樹脂やシリコーン樹脂粉末や窒化ホウ素等の固体潤滑
剤等を1〜70重量%含む樹脂組成物を用いた射出成形
品は低摩耗性で低摩擦係数の写真フィルム用ガイド、写
真フィルム用スプール、写真フィルムパトローネ用ディ
スク等の写真感光材料用成形品として最適である。
【0105】上記ポリエステル樹脂に付いて説明する。
ポリエステル樹脂はフィルム成形品として積層フィルム
の最外層又は中間層の高ヤング率、耐熱性プラスチック
フィルムとして厚さ5〜50μmの一軸又は二軸延伸フ
ィルム又は厚さ1〜1200Åの無機物質又は金属蒸着
した一軸又は二軸延伸フィルムとして用いることが好ま
しい。射出成形品のみでは優れた特性を発揮させること
が困難であり延伸工程が含まれるインジェクション−ブ
ロー成形品又はブロー成形品として肉厚が1.5mm以
下、好ましくは0.01〜1.2mm、特に好ましくは
0.05〜1.0mm、最も好ましくは0.1〜0.8m
mのブロー成形工程により延伸された密封容器タイプの
成形品として実用化する。
【0106】上記ポリカーボネート樹脂に付いて説明す
る。ポリカーボネート樹脂は、2価のヒドロキシ化合物
と炭酸との縮合によって形成されたポリエステルの総称
であり、種々の分子構造のものがある。したがって、ポ
リカーボネート樹脂の種類は非常に多いが、写真性、射
出成形性、物理強度を考慮すれば、現在市販されている
ポリカーボネート樹脂のほとんどの種類を用いることが
出来る。特に好ましいポリカーボネート樹脂は、ビスフ
ェノールA(4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,
2−プロパン)から溶剤法(ホスゲン法)、溶融法(エ
ステル交換)によって作られるポリ炭酸エステル構造の
ポリカーボネート樹脂である。
【0107】本発明で好ましいビスフェノールAタイプ
のポリカーボネート樹脂の製造方法は、次の方法があ
る。
【0108】a.単官能性芳香族あるいは脂肪族ヒドロ
キシ化合物から得られる炭酸のジエステルとジヒドロキ
シ化合物のエステル交換反応を用いる溶融法(エステル
交換法)。
【0109】b.酸結合剤の存在下でジヒドロキシ化合
物とホスゲンの反応を用いる溶剤法(ホスゲン法)。こ
の溶剤法による製造法は次の3つの方法に大別される。 ビスエノールAを溶解させたピリジン溶液にホスゲ
ンガスを吹きこむ方法。 上記の方法でピリジンが非常に高価なため、ピリ
ジンを酸結合剤および触媒のみにして、溶剤としてベン
ゼン、トルエン、クロルベンゼン、ジオキサン、塩化メ
チレン、トリクロルエチレンを使用する方法。 上記の方法の塩酸結合剤であるピリジンをアルカ
リ水溶液でおきかえた方法。
【0110】上記の方法で製造したポリカーボネート樹
脂の生産会社、商品名の代表例を以下に示す。
【0111】
【表3】
【0112】ポリカーボネート樹脂は、その主鎖結合に
エステル結合を含んでいるので、樹脂温度を高くしたり
樹脂中の水分量が多い場合、水分とともに加熱されると
加水分解が起きて分子量が低下したり、銀条や気泡が発
生する。したがって、ポリカーボネート樹脂ペレット中
の水分量が0.07%以下、好ましくは0.06%以
下、より好ましくは0.05%以下、最も好ましくは
0.04%以下になるように予備乾燥させる。また、ポ
リカーボネート樹脂の射出成形時の温度は、340℃以
下、好ましくは330℃以下、より好ましくは320℃
以下、最も好ましくは270〜310℃にする。
【0113】ポリカーボネート樹脂組成物の金型内での
流動性を良好にしてウェルドラインの発生を少なくし、
物理強度を向上するためには、コア・キャビティ部の壁
面温度を70〜200℃、好ましくは80〜180℃、
特に好ましくは90〜160℃にして溶融樹脂を射出充
填し、コア・キャビティ部の壁面温度がポリカーボネー
ト樹脂のガラス転移温度以下になった時点で射出成形品
を取り出すようにすることが好ましい。
【0114】さらに、ポリカーボネート樹脂は、耐摩耗
性等を確保しつつ射出成形性を悪化させないために、分
子量が15000〜50000であることが好ましく、
18000〜40000であることがより好ましく、2
0000〜30000であることが最も好ましい。ポリ
カーボネート樹脂のメルトフローレートはJIS K7
210(試験温度280℃、試験荷重2.16kg
f)、曲げ弾性率はJISK 7203、熱変形温度は
ASTM D 648(荷重18.6kg/cm2)、アイ
ゾッド衝撃強度はJIS K 7110、ロックウェル硬
度はASTM D 786(Mスケール)で測定する。
【0115】上記ポリフェニレンサルファイド(=ポリ
フェニレンスルフィド、略号PPS)樹脂に付いて説明
する。
【0116】PPS樹脂は1967年フィリップス石油
により開発された結晶性を持つ耐熱性樹脂である。この
樹脂はパラジクロルベンゼンと硫化ソーダとの反応によ
って得られる結晶性の熱可塑性樹脂で溶融温度が280
〜290℃、結晶化温度が88〜92℃、密度(AST
M D 792)が1.362g/cm3、ロックウェル
硬度(ASTM D 785)が123R、熱変形温度
(ASTM D 648)が135℃、曲げ弾性率(AS
TM D 790)が4.0×104kg/cm2の樹脂で
あるが、ガラス繊維、炭素繊維等の繊維強化材(20〜
70%含有)やシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、グ
ラファイト、二硫化モリブデン等の無機充填(20〜7
0%含有)等とコンパウンディングされた樹脂組成物は
含有する充填材の種数と量とによって異なるが溶融温度
は290℃以上、密度は1.5〜1.9kg/cm3
ロックウェル硬度は123R、熱変形温度は260〜2
80℃、曲げ弾性率は11〜18×104kg/cm2
改善されるので、樹脂のみで成形品とされることはほと
んどなく、遮光性物質や繊維強化材や無機充填材等とコ
ンパウンディングされたものがほとんどである。射出成
形品では樹脂温度が290〜350℃、金型温度が70
〜200℃で行われるようにしないと成形故障や物理強
度不足、外観不良等の問題が発生する。
【0117】国内メーカーの代表例を示すと、旭硝子、
信越ポリマー、大日本インキ、東レ・フィリップス、東
ソー・サスティール、呉羽化学、東都化成等である。
【0118】上記熱可塑性樹脂エラストマーに付いて説
明する。熱可塑性エラストマー(以下、TPEと表示)
は、大別するとスチレン系(以後SBCと表示)、エス
テル系(以後TPEEと表示)、オレフィン系(以後TP
Oと表示)、塩化ビニル系(以後TPVCと表示)、ア
ミド系(以後TPAEと表示)、結晶性1,2ポリブタ
ジエン系(以後RBと表示)、アイオノマー系、ふっ素
系(以後F−TPEと表示)、ウレタン系(以後TPU
と表示)、イソプレン系など各種の化学構造のものがあ
る。市販の代表的なTPEを以下に示す。
【0119】
【表4】
【0120】以上において説明した樹脂のメルトフロー
レートは、ASTM D 1238−88により測定した
もので、具体的には下記の表5で記載した条件により測
定した。なお、酸変性ポリオレフィン樹脂の測定条件は
酸変性前のポリオレフィン樹脂と同一条件で測定した値
であり、例えば、酸変性エチレン共重合体樹脂のメルト
フローレートは、エチレン共重合体樹脂と同一のAST
M D 1238−88のE条件で測定した値である。
【0121】
【表5】
【0122】本発明の写真感光材料用射出成形品には、
各種滑剤を添加することが出来る。滑剤を添加すること
により、射出成形性向上、滑性向上、遮光性物質や繊維
状又は非繊維状フィラーや含水複塩化合物(特に好まし
い代表例はハイドロタルサイト類化合物)の分散性向上
とその結果写真性向上、射出成形品の外観向上、帯電防
止性向上、写真フィルムの引出しトルク減少、写真感光
材料のスリ傷発生防止、耐摩耗性向上、樹脂組成物の流
動性向上等多くの予想外の効果を達成できる。
【0123】滑剤の1種又は2種以上の合計含有量は、
0.01〜15重量%が好ましく、0.03〜10重量
%がより好ましく、0.05〜5重量%が最も好まし
い。合計含有量が0.01重量%未満であると、上記特
性を向上させる効果がほとんどなく混練費増となるだけ
である。合計含有量が15重量%を超えると、押し出し
機のスクリューとのスリップ発生が多くなり、樹脂の均
一量の供給ができなくなり成形故障が多発し製造が困難
である。さらに、経時するとブリードアウト量が多くな
り、写真感光材料の感光層に付着して現像阻害等の故障
を発生させるので実用化困難である。
【0124】市販の代表的滑剤名と製造メーカー名を以
下に記載する。 (1) 脂肪酸アミド系滑剤; 〔飽和脂肪酸アミド系滑剤〕 ベヘニン酸アミド系滑剤;ダイヤミッドKN(日本
化成)等 ステアリン酸アミド系滑剤;アーマイドHT(ライ
オン油脂)、アルフローS−10(日本油脂)、脂肪酸
アマイドS(花王)、ダイヤミッド200(日本化
成)、ダイヤミッドAP−1(日本化成)、アマイドS
・アマイドT(日東化学)、ニュートロン−2(日本精
化)等
【0125】〔ヒドロキシステアリン酸アミド系滑剤〕 パルミチン酸アミド系滑剤;ニュートロンS−18
(日本精化)、アマイドP(日東化学)等 ラウリン酸アミド系滑剤;アーマイドC(ライオン
・アクゾ)、ダイヤミッド(日本化成)等
【0126】〔不飽和脂肪酸アミド系滑剤〕 エルカ酸アミド系滑剤;アルフローP−10(日本
油脂)、ニュートロン−S(日本精化)、LUBROL
(I・C・I)、ダイヤミッドL−200(日本化成)
等 オレイン酸アミド系滑剤;アーモスリップCP(ラ
イオン・アクゾ)、ニュートロン(日本精化)、ニュー
トロンE−18(日本精化)、アマイドO(日東化
学)、ダイヤミッドO−200・ダイヤミッドG−20
0(日本化成)、アルフローE−10(日本油脂)、脂肪
酸アマイドO(花王)等
【0127】〔ビス脂肪酸アミド系滑剤〕 メチレンビスベヘニン酸アミド系滑剤;ダイヤミッ
ドNKビス(日本化成)等 メチレンビスステアリン酸アミド系滑剤;ダイヤミ
ッド200ビス(日本化成)、アーモワックス(ライオ
ン・アクゾ)、ビスアマイド(日東化学)等 メチレンビスオレイン酸アミド系滑剤;ルブロンO
(日本化成)等 エチレンビスステアリン酸アミド系滑剤;アーモス
リップEBS(ライオン・アクゾ)等 ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド系滑剤;ア
マイド65(川研ファインケミカル)等 ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド系滑剤;アマ
イド60(川研ファインケミカル)等
【0128】(2) 非イオン界面活性剤系滑剤;エレク
トロストリッパ−TS−2、エレクトロストリッパ−T
S−3(花王石鹸)等
【0129】(3) 炭化水素系滑剤;流動パラフィン、
天然パラフィン、マイクロワックス、イソパラフィン系
合成石油炭化水素、合成パラフィン、ポリエチレンワッ
クス(数平均分子量が10,000以下、好ましくは
8,000以下、特に6,000以下が好ましい。)、ポ
リプロピレンワックス(数平均分子量が10,000以
下、好ましくは8,000以下、特に6,000以下が
好ましい。)、塩素化炭化水素、フルオロカルボン等
【0130】(4) 脂肪酸系滑剤;高級脂肪酸(C12
〜35が好ましい、具体的にはカプロン酸、ステアリン
酸、オレイン酸、エルカ酸、パルミチン酸等)、オキシ
脂肪酸等
【0131】(5) エステル系滑剤;脂肪酸の低級アル
コールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂
肪酸のポリグリコールエステル、脂肪酸の脂肪アルコー
ルエステル等
【0132】(6) アルコール系滑剤;多価アルコー
ル、ポリグリコール、ポリグリセロール等
【0133】(7) 脂肪酸金属塩系滑剤(金属石け
ん);ラウリン酸、ステアリン酸、コハク酸、ステアリ
ル乳酸、乳酸、フタル酸、安息香酸、ヒドロキシステア
リン酸、リシノール酸、ナフテン酸、オレイン酸、パル
ミチン酸、エルカ酸等の高級脂肪酸とLi、Na、M
g、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Al、Sn、P
b、Cd、等の金属との化合物が挙げられ、好ましいも
のはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウ
ム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、オレ
イン酸カルシウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マグネ
シウム等である。
【0134】(8) モンタン酸エステル部分鹸化物;
【0135】(9) シリコーン系滑剤;各種グレードの
ジメチルポリシロキサン及びその変性物(信越シリコー
ン、東レシリコーン)、特に各種シリコーンオイルが樹
脂流動性向上、滑性向上等の効果を発揮させるだけでな
く、遮光性物質と併用すると遮光性物質の分散性向上、
熱可塑性樹脂を白濁させヘイズ(ASTM D−100
3)を大きくさせる結果、着色力向上、遮光性向上等予
想外の効果を発揮するので好ましい。
【0136】上記シリコーンオイルは、常温における粘
度が50〜100,000センチストークスの範囲のも
のが好ましく、更に好ましくは5,000〜30,000
センチストークス、最も好ましくは8,000〜25,0
00センチストークスの高粘度のものがよい。シリコー
ン及びシリコーン変性物の具体例としては、ポリメチル
フェニルシロキサン、オレフィン変性シリコーン、アミ
ド変性シリコーン、ポリジメチルシロキサン、アミノ変
性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、αメチル
スチレン変性シリコーン、ポリエチレングリコールやポ
リプロピレングリコールで変性したポリエーテル変性シ
リコーン、オレフィン/ポリエーテル変性シリコーン、
エポキシ変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、アル
コール変性シリコーン等変性されたシロキサン結合を含
有したシリコーンオイルである。該シリコーンオイル
中、写真感光材料に悪影響を与えることが少なく、滑性
効果の大きい、特に写真感光材料用射出成形品に適用し
た場合に好ましいものはオレフィン変性シリコーン、ア
ミド変性シリコーン、ポリジメチルシロキサン、ポリエ
ーテル変性シリコーン、オレフィン/ポリエーテル変性
シリコーンである。
【0137】シリコーンオイル添加の効果は、以下の通
りである。 (1) 繊維状フィラー(充填材)、非繊維状フィラー、
遮光性物質、顔料と併用するだけでこれらの表面を被覆
して分散性を向上させる。 (2) 樹脂の流動性を向上し、スクリューのモーター負
荷を小さくし、メルトフラクチャー発生を防止する。 (3) ブリードアウトして白粉状になる脂肪酸アミドを
添加しなくとも滑性を十分確保できる。 (4) 加熱状態でも射出成形品の摩擦係数を小さくす
る。 (5) 遮光性物質と併用すると、熱可塑性樹脂を白濁さ
せ、ヘイズを大きくする結果、着色力を向上させ遮光能
力を向上でき、物性を低下させる遮光性物質の添加量を
減量しても遮光性を確保できる。
【0138】以上のような滑剤の中では、滑性向上目的
としては、各種飽和脂肪酸アミド系滑剤と各種不飽和脂
肪酸アミド系滑剤とシリコーン系滑剤が好ましく、遮光
性物質及び繊維状又は非繊維状フィラーやハイドロタル
サイト類化合物等の分散性向上、表面被覆による上記遮
光性物質等の分散性向上と吸湿性低下効果付与、樹脂流
動性向上目的としてはエステル系滑剤、脂肪酸金属塩、
アルコール系滑剤、炭化水素系滑剤、脂肪酸系滑剤が好
ましく、脂肪酸金属塩の中で、写真感光材料の写真性に
悪影響を及ぼすハロゲン化合物や金属化合物(重合触媒
も含む)を中和し、写真感光材料の写真性に無害なもの
にするので、ステアリル乳酸カルシウム、ステアリン酸
カルシウム、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン
酸亜鉛が好ましく、特にステアリン酸マグネシウムとス
テアリン酸亜鉛が好ましい。触媒を使用して重合する熱
可塑性樹脂の場合は樹脂中に触媒残渣が存在し写真感光
材料の写真性に悪影響を及ぼし成形金型に錆を発生させ
るので脂肪酸金属塩系滑剤(金属石けん)を0.001
〜15重量%、好ましくは0.003〜10重量%、特
に好ましくは0.005〜5重量%添加することが必要
である。
【0139】本発明の写真感光材料用射出成形品には、
各種遮光性物質を添加することができる。遮光性物質を
添加することにより、遮光性確保、印刷適性向上、X線
遮断、熱遮断、写真感光材料の写真性に有害作用を及ぼ
すガスの吸着無害化、帯電防止、物理強度向上等を図る
ことができる。
【0140】遮光性物質の1種又は2種以上の合計含有
量は、0.01〜49.9重量%が好ましく、0.05〜
30重量%がより好ましく、0.1〜20重量%が最も
好ましい。含有量が0.01重量%未満であれば、帯電
防止性やブロッキング防止性や遮光性を確保することが
できず、混練経費増となるだけである。含有量が49.
9重量%を越えると、吸湿量が多くなり成形時に発泡し
たり、ピンホールや銀条が発生しやすくなるだけでな
く、物理強度が著しく低下し実用化困難である。
【0141】遮光性物質の代表例を以下に示す。 (1) 無機化合物 A.酸化物…シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタ
ン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アンチ
モン、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライ
ト、酸化ベリリウム、軽石、軽石バルーン、アルミナ繊
維等 B.水酸化物…水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウ
ム、塩基性炭酸マグネシウム等 C.炭酸塩…炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロ
マイト、ドーソナイト等 D.(亜)硫酸塩…硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫
酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム等 E.ケイ酸塩…タルク、クレー、マイカ、アスベスト、
ガラス繊維、ガラスバルーン、ガラスビーズ、ケイ酸カ
ルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト等 F.炭素…カーボンブラック、グラファイト、炭素繊
維、炭素中空球等 G.その他…鉄粉、銅粉、鉛粉、錫粉、ステンレス粉、
パール顔料、アルミニウム粉、硫化モリブデン、ゼオラ
イト、ポロン繊維、炭化ケイ素繊維、黄銅繊維、チタン
酸カリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、ホウ酸亜鉛、メタ
ホウ酸バリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウ
ム、アルミニウムペースト等
【0142】これらの無機化合物の中から選択された遮
光性物質の一つ以上を含む写真感光材料用射出成形品が
耐熱性、良好な写真性を有する遮光性を確保できる点で
好ましい。これらの点で上記の中で比重が1.5〜8.
0、硬度(モース硬度)が1.0〜9.5、pHが4.5
〜9.5、耐熱性が100℃以上、平均粒子径が10μ
m以下、屈折率が1.50以上、DBP吸油量が10m
l/100g以上の無機化合物系遮光性物質が好まし
く、特に比重が1.7〜6.0、硬度が1.2〜7.0、p
Hが5.5〜8.5、耐熱性が110℃以上、平均粒子
径が8μm以下、屈折率が1.55以上、DBP吸油量
が15ml/100g以上の無機化合物系遮光性物質が
好ましい。
【0143】(2) 有機化合物 木粉(松、樫、ノコギリクズなど)、殻繊維(アーモン
ド、ピーナッツ、モミ殻など)、着色した各種の繊維例
えば木綿、ジュート、紙細片、セロハン片、ナイロン繊
維、ポリプロピレン繊維、デンプン(変性デンプン、表
面処理デンプンも含む)、芳香族ポリアミド繊維等
【0144】これらの遮光性物質のなかで、写真感光材
料の写真性に有害作用を及ぼすガスの吸着無害化や酸化
防止作用、滑剤や界面活性剤等を表面に吸着してブリー
ドアウト量を減少させることができるので、各種のカー
ボンブラックが好ましい。
【0145】好ましいカーボンブラックの市販品の代表
例としては、例えば三菱化成製のカーボンブラック#2
0(B),#30(B),#33(B),#40(B),#41
(B),#44(B),#45(B),#50,#55,#1
00,#600,#950,#1000,#2200
(B),#2400(B),MA8,MA11,MA100
等が挙げられる。海外の製品としては、例えばキャボッ
ト社のBlack Pearls 2,46,70,7
1,74,80,81,607等、Regal300,
330,400,660,991,SRF−S等、Vu
lcan 3,6等、Sterling 10, SO,
V,S,FT−FF,MT−FF等が挙げられる。さら
に、アシュランドケミカル社のUnited R,B
B,15,102,3001,3004,3006,3
007,3008,3009,3011,3012,X
C−3016,XC−3017,3020等が挙げられ
るが、これらに限定されるものではない。
【0146】カーボンブラックを含むことにより、帯電
防止性やブロッキング防止性や遮光性を物理強度低下が
少なく、ブツの発生が少なく、写真感光材料の写真性に
悪影響を及ぼすことなく品質を良好に確保することがで
きる。
【0147】カーボンブラックの原料による分類例をあ
げるとガスブラック、ファーネスブラック、チャンネル
ブラック、アントラセンブラック、アセチレンブラッ
ク、ケッチェンカーボンブラック、サーマルブラック、
ランプブラック、油煙、松煙、アニマルブラック、ベジ
タブルブラック等がある。本発明では遮光性確保、低コ
スト、物理強度向上、写真特性に悪影響を及ぼさない等
の目的ではファーネスカーボンブラックが好ましく、高
価であるが帯電防止効果を有する遮光性物質としてはア
セチレンカーボンブラック、導電性カーボンブラック、
グラファイト、変性副生カーボンブラックであるケッチ
ェンカーボンブラックが好ましい。必要により前者と後
者を必要特性に従ってミックスすることも好ましい。
【0148】本発明の写真感光材料用射出成形品におい
ては、使用する上で写真感光材料に対しカブリの発生が
なく、感光度の増減の発生が少なく、遮光能力が大きく
ポリオレフィン樹脂射出成形品、ポリスチレン樹脂射出
成形品、L−LDPE樹脂フィルム等に添加した場合で
もカーボンブラックの固り(ブツ)の発生やフィッシュア
イの発生等がほとんどなく、射出成形品や遮光性フィル
ム中にピンホールが発生しにくい点で、カーボンブラッ
クの中でもpH(JIS K 6221で測定)が6.0
〜9.0、好ましくは6.5〜8.5、平均粒子径(電
子顕微鏡法で測定)が10〜120mμ、特に12〜7
0mμのものが好ましく、これらの中でも特に揮発成分
(JIS K 6221で測定)が3.5%以下、最も好
ましくは1.5%以下、DBP吸油量(JIS K 62
21の吸油量A法で測定)が50ml/100g以上、
最も好ましくは70ml/100g以上のファーネスカ
ーボンブラックである。
【0149】チャンネルカーボンブラックは高価な上
に、pHが3前後と酸性であり、且つ揮発成分が5.0
%をこえるものがほとんどで写真感光材料にカブリや感
度異常を発生させるものが多く好ましくない。ランプブ
ラックもpHが5.0以下のものがほとんどで写真性に
悪影響を及ぼすので、どうしても使用する必要がある場
合でも写真性に悪影響を及ぼさないように、写真性に悪
影響を及ぼす物質と反応したり、吸着する物質と併用し
たり、写真性に及ぼす影響を調査して使用可能なものだ
けを選択すべきである。また、ASTM D 1619−
60の測定方法による硫黄成分は0.9%以下、好まし
くは0.7%以下にしないとカブリや感度異常の発生等
写真性に悪影響を及ぼす場合がある。特に、写真感光材
料の写真性に悪影響を及ぼす遊離硫黄成分(各成形品を
液体窒素で冷却固化後粉砕し、この粉砕した試料100
gをソックスレー抽出器に入れクロロホルムで60℃8
時間抽出冷却後、全容を100mlとする。この溶液1
0mlを高速液体クロマトグラフに注入してイオウを定
量する。高速液体クロマトグラフ分離条件は、カラム:
ODSシリカカラム(4.6φ×150mm)、分離
液:メタノール95と水5(酢酸とトリエチルアミンを
それぞれ0.1%含む)、流速:1ml/分、検出波
長:254nm、定量は絶検量線法によって行う)は
0.1%以下、好ましくは0.05%以下、最も好まし
くは0.01%以下のものを選択することが好ましい。
写真性を悪化させるシアン化合物含有量(測定方法は後
述する)は、20ppm以下、好ましくは10ppm以
下、より好ましくは5ppm以下のファーネスカーボン
ブラックを選択する。
【0150】耐摩耗性及び補強性が好ましいカーボンブ
ラックは、ヨウ素吸着量(JISK 6221で測定)が
20mg/g以上、好ましくは30mg/g以上、特に
好ましくは50mg/g以上、最も好ましくは80mg
/g以上で、かつジブチルフタレート(DBP)吸油量
(JIS K 6221で測定)が50ml/100g以
上、好ましくは60ml/100g、最も好ましくは1
00ml/100g以上、特に好ましくは70ml/1
00g以上のものである。
【0151】特に写真性、熱可塑性樹脂への分散性、コ
スト、遮光能力、樹脂劣化防止性、樹脂物理強度低下防
止性、安定入手性等も考えるとpHが6.0〜9.0、
平均粒子径が12〜70mμで且つヨウ素吸着量が50
mg/g以上、DBP吸油量が50ml/100g以上
のファーネスカーボンブラックが最適である。
【0152】導電性カーボンブラックとして特に好まし
いものは、写真性に悪影響を与えず、本発明の数平均分
子量が1万未満の有機化合物を配合した熱可塑性樹脂組
成物中に略均一に分散可能で、表面比抵抗(タケダ理研
製,デジタルマルチメーターにより両電極間の距離を1
cmとし、12cm四方に切り出したシート表面にて、
10箇所の表面比抵抗を測定し、対数平均をとった値)
が1012Ω以下にすることが可能な平均粒子径が12〜
50mμ、DBP吸油量が100ml/100g以上、
pHが7±1.5のファーネスカーボンブラックであ
る。市販品の代表例としては三菱化成製の#3050、
#3150、#3250、#3750、#3950等が
ある。
【0153】カーボンブラックの次に好ましい遮光性物
質は、黒色の光吸収性遮光性物質である窒化チタンとグ
ラファイトと鉄黒が遮光能力と隠蔽力が優れているので
好ましい。その他Larsenの油浸法で測定した屈折
率が1.50以上の無機顔料と各種の金属粉末、金属フ
レーク、金属ペースト、金属繊維及び炭素繊維である。
本発明で好ましい屈折率が1.50以上の無機顔料と金
属粉末の代表例を以下に示すが、本発明はこれらに限定
されるものではない。( )内の数字は屈折率を示す。
屈折率が1.50以上の無機顔料としては、ルチル型酸
化チタン(2.75)、炭化ケイ素(2.67)、アナタ
ーゼ型酸化チタン(2.52)、酸化亜鉛(2.37)、
酸化アンチモン(2.35)、鉛白(2.09)、亜鉛華
(2.02)、リトポン(1.84)、ジルコン(1.8
0)、コランダム(1.77)、スピネール(1.73)、
アパタイト(1.64)、バライト粉(1.64)、硫
酸バリウム(1.64)、マグネサイト(1.62)、ドロ
マイト(1.59)、炭酸カルシウム(1.58)、タルク
(1.58)、硫酸カルシウム(1.56)、無水ケイ酸
(1.55)、石英粉(1.54)、水酸化マグネシウム
(1.54)、塩酸性炭酸マグネシウム(1.52)、ア
ルミナ(1.50)等がある。特に好ましいものは、屈折
率が1.56以上、最も好ましいものは1.60以上の
遮光性物質である。
【0154】屈折率が1.50未満のケイ酸カルシウム
(1.46)、ケイ藻土(1.45)、含水ケイ酸(1.4
4)等は遮光能力が小さいので多量の添加が必要で遮光
性物質としての使用は好ましくない。また、最近の海外
旅行ブームにより空港での手荷物検査でX線を用いた検
査機にISO感度が400以上の高感度写真フィルムを
通過させるとX線によりカブリが発生しやすくなる。こ
れを防止するために比重が3.1以上、好ましくは3.
4以上、特に好ましくは4.0以上の遮光性物質を用い
ることが好ましい。これらの比重が3.1以上、好まし
くは3.4以上、特に好ましくは4.0以上の遮光性以
外にX線遮断性を有する遮光性物質の使用形態は以下に
代表例を例示したものに限定されず、いかなる形態、例
えば顔料、粉末、フレーク、ウィスカー、ファイバー等
であってもよい。比重が3.1以上の遮光性物質の代表
例としては炭化ケイ素、硫酸バリウム、二硫化モリブデ
ン、酸化鉛(鉛白)、酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネ
シウム、チタン酸バリウム、銅粉末、鉄粉末、黄銅粉
末、ニッケル粉末、銀粉末、鉛粉末、鋼粉末、亜鉛粉
末、タングステンウィスカー、窒化けい素ウィスカー、
銅ウィスカー、鉄ウィスカー、ニッケルウィスカー、ク
ロムウィスカー、ステンレス粉およびウィスカー、マグ
ネサイト、アパタイト、スピネール、コランダム、ジル
コン、三酸化アンチモン、炭酸バリウム、亜鉛華、酸化
クロミニウム、錫粉およびこれらの混合物等がある。
【0155】特にX線遮断性を付与するのに好ましい遮
光性物質はジルコン、コランダム、硫酸バリウム、塩化
バリウム、チタン酸バリウム、鉛粉末、酸化鉛(鉄黒
等)、亜鉛粉末、亜鉛華、錫粉末、ステンレス粉末、ス
テンレスウィスカー、酸化鉄、タングステンウィスカ
ー、ニッケルウィスカーである。X線遮断効果を発揮さ
せるためには、これらのX線遮断遮光性物質の含有量
は、好ましくは5〜80重量%、より好ましくは10〜
70重量%、最も好ましくは20〜60重量%である。
5重量%未満では、X線遮断効果がほとんどなく、80
重量%を越えると成形が困難な上に、物理強度低下が大
きく実用化困難である。ISO感度が400以上の高感
度写真フィルム用射出成形品として特に好ましい遮光性
物質は屈折率が1.50以上、比重が3.1以上であ
り、最も好ましいのは屈折率が1.56以上、比重が
3.4以上の遮光性物質である。これらの遮光性物質の
含有量は0.005〜60重量%、好ましくは0.1〜
50重量%、より好ましくは0.2〜40重量%、最も
好ましくは0.3〜30重量%である。
【0156】遮光性物質の屈折率及び比重を表6に示
す。
【0157】
【表6】
【0158】上述した各種の遮光性物質は、写真感光材
料に悪影響を与えず、フィルム成形性を悪化させないた
めに、100℃,5時間での乾燥減量が好ましくは2.
0重量%以下、より好ましくは1.0重量%以下、最も
好ましくは0.5重量%以下の状態にして使用する。こ
れらの状態にするには、洗浄法、精錬法、加熱除去法、
真空除去法、表面処理法等の一つ以上の方法を用いて1
00℃以下の揮発成分を除去したり、水分等の吸着を防
止することにより達成できる。
【0159】ブリードアウトしやすい滑剤や酸化防止剤
や有機造核剤を吸着させたり、脱臭剤、芳香剤、脱酸素
剤等を吸着させる効果を有する吸油性無機顔料の代表例
としては亜鉛華(52)、アスベスチン(50)、クレー
(51)、酸化チタン(56)、カオリン(60)、タルク
(60以上)、カーボンブラック(60以上)、活性炭等
がある。( )内の数字は吸油量(JIS K 6221
の吸油量A法で測定。単位ml/100g)を示す。
【0160】金属粉末(金属ペーストも含む)の代表例
としては、アルミニウム粉末、アルミニウムペースト、
銅粉末、ステンレス粉末、鉄粉末、ニッケル粉末、黄銅
粉末、銀粉末、錫粉末、亜鉛粉末、スチール粉末等があ
る。
【0161】アルミニウム粉末は、本発明ではアルミニ
ウム粉末及びアルミニウムペーストを含めた意味であ
り、アルミニウム粉末の表面を表面被覆物質で被覆した
ものと、アルミニウムペーストより低揮発物質を除去し
たものを熱可塑性樹脂に混練したものが好ましい。
【0162】ここにアルミニウムペーストとは、ボール
ミル法、スタンプミル法、又はアトマイズ法等の公知の
方法でアルミニウム粉末を作るときに、ミネラルスピリ
ットと少量のステアリン酸又はオレイン酸等の高級脂肪
酸の存在のもとにペースト状に作ったものである。本発
明ではこのアルミニウムペーストと各種芳香族モノビニ
ル樹脂(ポリスチレン樹脂、ゴム含有ポリスチレン樹脂
等)、ポリオレフィン熱可塑性樹脂(各種ポリプロピレ
ン樹脂、各種ポリエチレン樹脂、酸変性樹脂、EVA樹
脂、EEA樹脂、EAA樹脂等)、低分子量のポリオレ
フィン樹脂、パラフィンワックス、粘着付与剤、金属石
けん(脂肪酸金属塩)等の分散剤等を加熱混練し、低揮
発物質(主として悪臭が強いミネラルスピリット、ホワ
イトスピリット)を真空ポンプや加熱等で除去した揮発
物質の含有量が3%以下、好ましくは1%以下、特に好
ましくは0.5%以下のものをアルミニウムペーストコ
ンパウンド樹脂、アルミニウムペーストマスターバッチ
樹脂として使用することが好ましい。
【0163】特にアルミニウムペーストマスターバッチ
樹脂として使用するのが写真感光材料の写真性への悪影
響や悪臭をなくすために好ましい。例えばアルミニウム
ペースト含有率40重量%のマスターバツチ樹脂中のミネ
ラルスピリット含有率が1.0重量%であっても、これ
を写真感光材料用射出成形品中でのアルミニウムペース
ト濃度を2重量%にしようとすると、アルミニウムペー
ストマスターバッチ1重量部に対してナチュラル希釈樹
脂19重量部を混練することになり、射出成形品中には
成形中にミネラルスピリットが加熱によりガスとして除
去される分もあるのでミネラルスピリット含有量は0.
05重量%以下になる。その結果、写真感光材料の写真
性への悪影響もなくなる上、悪臭も低減される。また溶
融アルミニウムをアトマイズ法、粒化法、回転円盤滴下
法、蒸発法等により粉末状にしたアルミニウム粉末やア
ルミニウム箔をボールミル法やスタンプミル法等で粉砕
したフレーク状のものも使用できる。
【0164】特に5〜20μm、好ましくは6〜15μ
m、特に好ましくは7〜10μmん厚さに圧延したアル
ミニウム箔をシュレッダー等で切断し、焼き鈍しすると
ともに脂肪酸を除去し、しかる後この切断したアルミニ
ウム箔片に対して5重量%以下の脂肪酸(炭素数が7以
上の飽和又は不飽和高級脂肪酸、こあれらのエステル、
アミド、金属塩及びアルコール化合物)を添加してボー
ルミル、スタンプミル、振動ミル、アトライター等の粉
砕機の1つ以上を用いて製造した平均粒径が0.3〜5
0μm、好ましくは0.5〜45μm、特に好ましくは
0.8〜40μm、平均厚さが0.03〜0.5μm、
好ましくは0.05〜0.4μm、特に好ましくは0.
08〜0.35μm、脂肪酸(化合物を含む)含有量が
5重量%以下、好ましくは4重量%以下、特に好ましく
は3重量%以下のアルミニウム粉末が写真性、均一分散
性、外観が優れ臭いが少ないので好ましい。
【0165】遮光性物質を配合した形態を大別すると以
下のようになる。 均一着色ペレット状 カラーコンパウンドと言われている最も一般的に用いら
れているもの。 分散性粉末状 ドライカラーとも呼ばれる、種々の表面処理剤で処理
し、さらに分散助剤を加えて微粒子状に粉砕した粉末状
のもの。 ペースト状 可塑剤等を分散させたもの。 液状 リキッドカラーとも呼ばれる界面活性剤等に分散した液
状のもの。 マスターバッチペレット状 遮光性物質を着色しようとするプラスチック中に、高濃
度に分散したもの。 潤性粒粉末状 遮光性物質をプラスチック中に、高濃度に分散させたの
ち、粒粉末状に加工したもの。 乾燥粉末状 普通の未処理の乾燥粉末状のもの。
【0166】遮光性物質中の全硫黄量(ASTM D−
1619)は1.0%以下、好ましくは0.8%以下、特
に好ましくは0.5%以下であり、遊離硫黄分は150
ppm以下、好ましくは50ppm以下、特に好ましく
は30ppm以下であり、ASTM D−1506によ
る灰分量は0.5%以下、好ましくは0.4%以下、特
に好ましくは0.3%以下であり、アセチルアセトン法
で測定したアルデヒド化合物含有量は0.2%以下、好
ましくは0.1%以下、特に好ましくは0.05%以下
に抑えないと写真性に悪影響を及ぼすので注意が必要で
ある。このためにヒダイントイン化合物、尿素化合物等
を含有させることにより、アルデヒド化合物を写真感光
材料の写真性に悪影響を及ぼさないようにすることが好
ましい。
【0167】さらに、シアン化合物も写真感光材料の写
真性能に悪影響を及ぼすので、例えば、カーボンブラッ
ク等の遮光性物質を硫酸存在下で還流し、発生したシア
ン化水素を0.1規定水酸化ナトリウムでトラップした
後、4−ピリジンカルボン酸・ピラゾロン吸光分析法に
て定量したシアン化水素量を遮光性物質の重量に対する
ppm単位に換算した値が20ppm以下、好ましくは
10ppm以下、特に好ましくは5ppm以下の遮光性
物質である。
【0168】遮光性物質を樹脂組成物中に配合する形態
は上記のように種々ある。代表的な配合形態とその特徴
を表7に示す。
【0169】
【表7】
【0170】表中の記号の意味は以下の通りである。 ◎:非常に優れている ○:優れている ●:実用限度 ▲:問題有り、改良必要 ×:実用不可
【0171】これらの配合形態の中で、マスターバッチ
法がコスト、作業場の汚染防止等の点で好ましい。公知
文献の特公昭40−26196号公報では有機溶媒に溶
解した重合体の溶液中にカーボンブラックを分散せしめ
て、重合体−カーボンブラックのマスターバッチをつく
る方法を、特公昭43−10362号公報にはカーボン
ブラックをポリエチレンに分散させてマスターバッチを
つくる方法を述べている。
【0172】本発明において熱可塑性樹脂とマスターバ
ッチを混合して遮光性物質を熱可塑性樹脂中に良好に拡
散させる際は、下記の表8に示す条件に注意することが
必要である。
【0173】
【表8】
【0174】遮光性物質(カーボンブラック、アルミニ
ウム粉末、屈折率が1.50以上の無機顔料、比重が
3.4以上の無機顔料、吸油量が50ml/100g以
上の無機顔料が特に好ましい)の樹脂中への分散性向
上、樹脂流動性向上、写真感光材料に摩擦カブリや圧力
カブリ、擦り傷等を発生させるミクログリットの発生防
止、写真性に有害な揮発性物質の発生を防止、吸湿度低
下、ダイリップ汚れ防止等のために、その表面を表面被
覆物質で被覆することが好ましい。
【0175】表面被覆物質の代表例を以下に示す。 (1) カップリング剤 アジドシラン類を含むカップリング剤被覆(特開昭
62−32125号公報等に開示) シラン系カップリング剤被覆(アミノシラン等) チタネート系カップリング剤被覆 (2) シリカを沈着させ、つづいてアルミナを沈着被覆 (3) ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、
ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩被覆 (4) ステアリン酸ソーダ、ステアリン酸カリウム、オ
キシ・エチレンドデシル・アミン等の界面活性剤被覆 (5) バリウムイオンの過剰量の存在下に硫化バリウム
水溶液と硫酸水溶液とを反応させ、平均粒子径0.1〜
2.5μmの硫酸バリウムを生成させ、この水スラリー
にケイ酸アルカリ水溶液を加えて硫酸バリウムの表面に
ケイ酸バリウムを生成させ、次いでスラリーに鉱酸を加
え、上記ケイ酸バリウムを含水シリカに分解して硫酸バ
リウム表面に沈着させ被覆 (6) 金属水和酸化物(チタン、アルミニウム、セリウ
ム、亜鉛、鉄、コバルト又はケイ素の水和酸化物の1種
又は2種以上)及び/又は金属酸化物(チタン、アルミ
ニウム、セリウム、亜鉛、鉄、コバルト又はケイ素の酸
化物の1種及び2種以上)のみからなる組成物で表面被
覆 (7) 分子内にアジリジン基、オキサゾリン基及びN−
ヒドロキシアルキルアミド基よりなる群から選択される
1種又は2種以上の反応基を有する重合体を被覆 (8) ポリオキシアルキレンアミン化合物を表面被覆 (9) セリウムカチオン、選択された酸アニオン及びア
ルミナで表面被覆 (10) 置換基にα−ヒドロキシカルボン酸残基を有する
アルコキシチタン誘導体で表面被覆 (11) ポリテトラフルオロエチレンで表面被覆 (12) ポリジメチルシロキサン又はシリコン変性体で表
面被覆 (13) リン酸エステル化合物で表面被覆 (14) 2〜4価アルコールで表面被覆 (15) オレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポ
リプロピレンワックス)で表面被覆 (16) 含水酸化アルミニウムを表面被覆 (17) シリカ又は亜鉛化合物(塩化亜鉛、水酸化亜鉛、
酸化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛、クエン酸亜
鉛等の1種又は2種以上組み合わせたもの)で表面被覆 (18) ポリヒドロキシ飽和炭化水素で表面被覆 (19) アルミニウムキレート化合物、β−ジケトンキレ
ート化合物等のキレート化合物で表面被覆、等。
【0176】上記遮光性物質の表面被覆物質の中でも写
真感光材料の写真特性にカブリ発生等の悪影響が少な
く、遮光性物質の分散性向上、ブツの発生減少、樹脂の
流動性向上等の効果が優れた(1)、(3)、(12)、(1
4)、(15)、(16)、(19)等が特に好ましい。
【0177】特に、炭素数が20〜40の脂肪族モノカ
ルボン酸と炭素数が20〜40の脂肪族1価アルコール
とのエステル0.001〜2重量%、好ましくは0.0
05〜1重量%、特に好ましくは0.01〜0.5重量
%を添加することにより、上記問題点の防止効果を発揮
できることを見出したものである。これらの遮光性物質
の表面被覆物質は写真感光材料の写真性に悪影響を減少
させるだけでなくモーター負荷を小さくし、遮光性物質
の分散性を向上させ、成形性を向上し成形品の外観を優
れたものにする。
【0178】このようなエステルとしては、炭素数が2
0〜40、好ましくは25〜35の脂肪族モノカルボン
酸と炭素数が20〜40、好ましくは25〜35の脂肪
族1価アルコールのエステルである。
【0179】上記モノカルボン酸の例としては、モンタ
ン酸、メリシン酸、セロチン酸、ブリシン酸、ラクセル
酸等が挙げられる。
【0180】1価アルコールの例としては、モンチルア
ルコール、メリシルアルコール、ラクシルアルコール、
セリルアルコール、ブリシルアルコール等が挙げられ
る。
【0181】これらは、樹脂組成物の流動性を向上させ
ると共に、均一混練を達成せしめるので前記遮光性物質
の表面被覆物質としても非常に優れている。さらに、無
機及び/又は有機造核剤の分散剤として表面被覆に用い
ると飛散防止、ブリードアウト防止、均一分散性向上、
樹脂流動性向上等種々の優れた効果を発揮する。
【0182】以上のような表面被覆物質の遮光性物質へ
の表面被覆量は、カーボンブラック又はアルミニウム粉
末等の遮光性物質に対して、0.001〜10重量%、
好ましくは0.005〜5重量%、より好ましくは0.
01〜3重量%、最も好ましくは0.05〜1.5重量
%である。被覆量が0.001重量%未満では被覆効果
がほとんど発揮されない。被覆量が10重量%を越える
と経時でブリードアウトの発生が多くなるとともに樹脂
組成物とスクリューとのスリップが発生して樹脂組成物
の吐出量が変動する結果、厚さのバラツキが大きくなり
実用化困難である。
【0183】カップリング剤をカーボンブラックやアル
ミニウム粉末等の遮光性物質及び繊維状又は非繊維状フ
ィラーに被覆したり付着させると、カーボンブラックや
アルミニウム粉末等の遮光性物質及び繊維状又は非繊維
状フィラーと熱可塑性樹脂との親和性を改善し、カーボ
ンブラックやアルミニウム粉末等の遮光性物質及び繊維
状又は非繊維状フィラーの分散性、熱可塑性樹脂の流動
性、防湿性、成形性、物理強度、外観を良好にし、カー
ボンブラックやアルミニウム粉末等の遮光性物質及び繊
維状又は非繊維状フィラーと熱可塑性樹脂の有害な化学
反応を防止し、さらにカーボンブラックやアルミニウム
粉末等の遮光性物質及び繊維状又は非繊維状フィラーの
酸化、凝集の防止に効果がある。
【0184】カップリング剤について説明する。 (1) チタネートカップリング剤化合物 カーボンブラックやアルミニウム粉末等の遮光性物質及
び繊維状又は非繊維状フィラー表面に被覆又は付着する
チタネートカップリング剤化合物は全重量当り0.01
〜5.0重量%、特に0.1〜3重量%に均一に被覆及
び/又は付着することが好ましい。チタネートカップリ
ング剤化合物が0.01重量%以下では均一に被覆又は
付着することが困難となり合成樹脂との親和性ならびに
成形時に安定な合成樹脂充填用カーボンブラックやアル
ミニウム粉末等の遮光性物質及び繊維状又は非繊維状フ
ィラーが得にくい。一方、5.0重量%以上になっても
添加量の増加による効果の増大は認められない。しかし
カーボンブラックやアルミニウム粉末等の遮光性物質及
び繊維状又は非繊維状フィラーと熱可塑性樹脂との混合
材料のメルトフローレートなどの流動性は5.0重量%
以上でも良好となる場合はあるが写真感光材料の写真性
に悪影響を及ぼすようになり、材料費増にもなるので実
用化困難である。
【0185】本発明に用いるチタネートカップリング剤
化合物としては、イソプロピルトリイソステアロイルチ
タネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニル
チタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルパイロホス
フェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオ
クチルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジ
アリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−ドリデシ
ル)ホスフェートチタネートおよびビス(ジオクチルパ
イロホスフェート)オキシアセテートチタネートからの
一種又は二種以上から選択される。
【0186】本発明のカーボンブラックやアルミニウム
粉末等の遮光性物質及び繊維状又は非繊維状フィラーの
チタネートカップリング剤化合物を被覆又は付着する方
法は一般に粉体を混合もしくは粉体と液体とを混合分散
する機械が使用でき機種に限定されることはない。処理
温度も常温で充分に効果が認められる。また処理雰囲気
も大気中で行なえる。チタネートカップリング剤化合物
は液体であるので単独でカーボンブラックやアルミニウ
ム粉末等の遮光性物質及び繊維状又は非繊維状フィラー
に均一に被覆することが可能である。しかし微量な添加
量やチタネートカップリング剤化合物の粘度が高い場合
は適当な相溶性のある液体で希釈してカーボンブラック
やアルミニウム粉末等の遮光性物質及び繊維状又は非繊
維状フィラーをスラリー状で処理することもでき、カー
ボンブラックやアルミニウム粉末等の遮光性物質及び繊
維状又は非繊維状フィラーに均一に確実にチタネートカ
ップリング剤化合物を被覆するにはこの方法が有利であ
る。
【0187】(2) シランカップリング剤化合物 本発明で使用されるシランカップリング剤化合物は、一
般式 R12aSi(OR3)s-n {ここでaは0または1であり、R1はアミノ基、メル
カプト基、ビニル基、エポキシ基またはメタクロキシ基
であり、R2、R3はそれぞれ独立に炭素数1〜8の飽和
炭化水素基またはエーテル基である。}で表されるもの
が代表的である。このシランカップリング剤化合物の具
体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリ
エトキシシラン、ビニルトリ(2−メトキシエトキシ)
シランなどのビニルシラン化合物、γ−アミノプロピル
トリメトキシシラン、β−(アミノエチル)−γ−アミノ
プロピルトリメトキシシランなどのアミノシラン化合
物、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β
−(3,4−エポキシ−シクロヘキシル)エチルトリメ
トキシシランなどのエポキシシラン化合物がある。これ
らの中で特に好ましい化合物は、アミノシラン化合物で
ある。
【0188】カーボンブラックやアルミニウム粉末等の
遮光性物質及び繊維状又は非繊維状フィラーにシランカ
ップリング剤化合物を被覆又は付着する方法は、前記チ
タネートカップリング剤化合物の場合と同じである。
【0189】またカーボンブラックやアルミニウム粉末
等の遮光性物質及び繊維状又は非繊維状フィラーに被覆
又は付着するシランカップリング剤化合物の量は前記チ
タネートカップリング剤化合物と同じである。
【0190】本発明における有機リン酸エステル化合物
は、射出成形機の金属表面やアルミニウム粉末等の金属
粉末の表面に吸着することにより、射出成形機の金属表
面やアルミニウム粉末等の金属粉末の反応を抑制する表
面保護効果を与えるものである。従って射出成形機の金
属表面やアルミニウム粉末等の金属粉末の酸化防止効果
を有する好ましい表面被覆物質の1つである。好ましい
有機リン酸エステル化合物は、一般式
【0191】
【化5】 で示される有機リン酸エステル化合物である。ここでR
は、炭素数6〜30、好ましくは12〜22のアルキル
基、炭素数6〜30、好ましくは12〜22のアルケニ
ル基または炭素数6〜30、好ましくは12〜22のア
ルキル置換基もしくは炭素数6〜30、好ましくは12
〜22のアルケニル置換基を一つ以上含むアリール基を
表わし、Aは炭素数2〜4、好ましくは2〜3のアルキ
レン基を表わし、mは0〜20、好ましくは1〜15、
より好ましくは2〜10であり、R 1およびR2は同じで
あっても、異なっていてもよく、水素、アルキル基、ア
ルケニル基、アリール基、またはR−(OA)m {ここに
R、Aおよびmは上記で示されるもの}を表わす。
【0192】R、R1、R2におけるアルキル基またはア
ルケニル基としては、例えば、オクチル、デシル、ラウ
リル、セチル、ステアリル、オレイル、ヘキサデシル、
オクタデシルなどが好ましい。
【0193】R、R4、R2におけるアリール基として
は、例えば、オクチルフェニル、ノニルフェニル、ドデ
シルフェニル、ジノニルフェニルなどが好ましい。Aと
してはエチレン、プロピレンが好ましい。
【0194】具体的な化合物としては、リン酸の首記ア
ルキル、アルケニル、アリールエステル、アルキル、ア
ルケニル、アリール基にエチレンオキシドを付加したも
ののエステルが好ましい。リン酸エステルはモノ、ジ、
トリエステルのいずれであってもよく、これらの混合物
であってもよい。また、種類の異なるリン酸エステルの
混合物であってもよい。
【0195】さらに、これらの有機リン酸エステル化合
物は、水溶液中で酸性を示すため、これにアンモニウ
ム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ジブチルアミ
ン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタ
ノールアミン、トリエタノールアミン、およびモルフォ
リンなどの無機および有機の塩基性物質で中和して用い
ることができる。
【0196】有機リン酸エステル化合物は、射出成形機
の金属表面に接する本発明の熱可塑性樹脂中には0.0
1〜10重量%、好ましくは0.05〜8重量%、特に
好ましくは0.1〜5重量%含まれる。0.01重量%
未満では金属表面保護効果がほとんどなく、10重量%
を越えても増量効果がなく材料費増となる。アルミニウ
ム粉末等の金属粉末に対して0.1〜30重量%、好ま
しくは0.5〜20重量%、特に好ましくは1〜10重
量%の範囲で使用される。ここで、有機リン酸エステル
化合物の使用量が、0.1重量%未満では表面保護効果
が少なく30重量%よりも多くなると組成物を混合した
水性塗料から得られる塗膜の耐水性を低下させる傾向が
ある。
【0197】有機リン酸エステル化合物を、アルミニウ
ム粉末等の金属粉末に添加させる方法に関しては、特に
限定されない。一般に、鱗片状のアルミニウム粉末の製
法は、ボールミルなどの粉砕機のなかに、アルミニウム
砕料と粉砕効率を高める潤滑剤が投入され、例えば有機
溶剤中での湿式粉砕法、あるいは窒素雰囲気中での乾式
粉砕法などがとられる。この時の潤滑剤として、一般に
飽和または不飽和脂肪酸、脂肪族アミン、脂肪酸の金属
塩などが用いられるが、これらはアルミニウム粉末の表
面に吸着して表面保護効果を与える表面処理剤でもあ
る。有機リン酸エステル化合物は、これらの脂肪酸また
は脂肪酸誘導体と併用あるいは単独で使用することもで
きる。
【0198】一方、すでに脂肪酸または脂肪酸誘導体を
用いて、予め表面処理が施されたアルミニウム粉末等の
金属粉末に対して、有機リン酸エステル化合物を水およ
び水分散性を付与するための界面活性剤と共に、後添加
することもできる。
【0199】本発明の写真感光材料用射出成形品の表面
印刷や塗装又はバーコード印刷等に用いる塗料やインキ
において、水性化をはかるための界面活性剤としては、
特に限定されるものではないが、貯蔵安定性の点から非
イオン系界面活性剤を用いることが好ましい。例えば、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチ
レンアルキルフェノールエーテル、およびポリエチレン
グリコール脂肪酸エステルなどがある。これらは有機リ
ン酸エステル化合物と分散媒の水などと共に粉末をペー
スト化させる混合工程において添加される。
【0200】必要に応じて、本発明の組成物に、各種の
添加剤を併用することができる。アルミニウム粉末等の
金属粉末、有機リン酸エステル化合物を基本組成物とし
て、さらに非イオン系界面活性剤と水とを含む水分散性
金属粉末ペーストを水性塗料用顔料として用いた場合、
塗料中に極めて良好に分散し、長期間貯蔵しても水素ガ
スの発生や顔料の凝集もみられず化学的に安定で、塗料
の性状の変化はほとんどなかった。
【0201】その他好ましい有機リン酸エステル化合物
としては一般式
【0202】
【化6】 {式中、R1〜R3はそれぞれ独立して水素、アルキル
基、アリール基、ポリオキシエチレンエーテル基、また
はポリオキシエチレンアリールエーテル基である。但
し、R1〜R3のすべてが水素であることがない。}有機
リン酸エステル化合物はモノエステル、ジエステルまた
はトリエステルそれぞれの単独物であってもよいし、そ
れらの混合物であってもよい。かかる有機リン酸エステ
ル化合物としては、有機リン酸トリフェニル化合物、有
機リン酸トリ(2−エチルヘキシル)などのトリエステ
ル化合物、有機リン酸ジ(2−エチルヘキシル)、有機
リン酸ジブチル、有機リン酸ジオクチル、有機リン酸モ
ノブチル、有機リン酸モノイソデシルなどの有機リン酸
ジエステル化合物、有機リン酸モノエステル化合物など
である。これらの化合物の中で、本発明において好まし
い化合物は有機リン酸ジエステル化合物、有機リン酸モ
ノエステル化合物およびこれらの混合物である。
【0203】有機リン酸エステル化合物とチタネートカ
ップリング剤化合物又はシランカップリング剤化合物と
併用するとアルミニウム粉末等の金属粉末の酸化防止、
分散性等が優れ、水性塗料、水性インキ等省資源、写真
性対策、無公害化対策として有機溶剤を使用しない用途
でも長期貯蔵安定性に優れ、貯蔵中にアルミニウム粉末
等の金属粉末の分散性が低下したり、多量のガスが発生
したりすることによって塗料やインキの性状が著しく損
なわれることがなくなる。
【0204】本発明の写真感光用射出成形品には、酸化
防止剤、脂肪酸金属塩、ラジカル捕獲剤、アルカリ土類
金属塩、含水複塩化合物及び酸化防止相乗効果剤の1種
以上、好ましくは2種以上、より好ましくは3種以上、
最も好ましくは4種以上を含ませることができる。これ
らの物質を添加するとにより、樹脂や添加剤の熱劣化を
防止し、写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼす分解物
質の発生がなくなり、ミクログリッドやフィッシュアイ
の発生が減少する。さらに、臭いや触媒残渣を捕捉す
る。
【0205】本発明の写真感光材料用成形品には、劣化
防止材を添加することができる。劣化防止材を添加する
ことにより、物理強度低下、ミクログリット発生、樹脂
焼け発生、異物状の固まりの発生、着色、樹脂熱分解等
を防止又は抑制することができる。その結果、写真性、
物理強度の優れた、成形故障の少ない外観の美しい成形
品を得ることができる。
【0206】劣化防止剤の1種又は2種以上の合計含有
量は、0.001〜10重量%が好ましく、0.005
〜8重量%がより好ましく、0.01〜6重量%が最も
好ましい。含有量が0.001重量%未満であると、添
加した効果がなく混練費用増となるだけである。また、
含有量が10重量%を超えると、写真感光材料の写真性
に悪影響を及ぼすようになったり、物理強度を低下させ
たり、成形品の成形故障が多発する。
【0207】劣化防止剤としては、酸化防止剤、老化防
止剤、紫外線吸収剤、脂肪酸金属塩、ラジカル捕獲剤、
アルカリ土類金属化合物、含水複塩化合物及び酸化防止
相乗効果剤があり、これらの1種又は2種以上を組み合
わせて用いる。
【0208】酸化防止剤について説明する。まず、酸化
防止剤の作用に付いて説明する。樹脂の酸化分解はCH
3の分岐の多いポリオレフィン樹脂ほど多い。それは酸
素吸収量が多いからであり、従って酸化分解の程度は、
ポリプロピレン樹脂>ホモポリエチレン樹脂>エチレン
・αオレフィン共重合体樹脂となる。熱可塑性樹脂であ
る各種ポリエチレン樹脂(エチレン・αオレフィン共重
合体樹脂も含む)や各種ポリプロピレン樹脂(プロピレ
ン・エチレン(ランダム及びブロック)共重合体樹脂も
含む)等は炭化水素であり、炭化水素の自動酸化は酸素
の存在下で脱水して一旦遊離基が生成すると連鎖的に次
にように進行すると考えられている。 RH→R・ R・+O2→ROO・ ROO・+RH→ROOH+R・ ROOH→RO・+・OH RO・+RH→ROH+R・ ・OH+RH→HOH+R・
【0209】このようにして、炭化水素の酸化が加速的
にはやめられて写真感光材料の写真性に悪影響を与える
多量のアルコール、アルデヒド、酸などを生じ、さらに
これらが相互に反応して重合物を作る。
【0210】炭化水素の酸化を防止するには、上記連鎖
反応をたちきることが必要で、そのために酸化防止剤又
はラジカル捕獲剤が用いられる。すなわち酸化防止剤に
は、連鎖伝播体である遊離基(主としてROO・)と反
応して、これを不活性化する遊離基連鎖停止剤と遊離基
の主要な発生源であるヒドロペルオキシドROOHを分
解して、これを安定化する過酸化物分解剤とがある。前
者としては、アルキルフェノール系酸化防止剤と芳香族
アミン系酸化防止剤がある。後者としては、硫黄系酸化
防止剤と燐系酸化防止剤がある。熱可塑性樹脂の熱劣化
による黄変又は褐変及びブツ(異物状の黒色の固り)の
発生を防止するために遊離基連鎖停止酸化防止剤と過酸
化物分解酸化防止剤を併用することが好ましい。各種酸
化防止剤は、写真感光材料に悪影響を与える還元剤でも
あるので、種類、添加量は慎重に検討し選択しないと写
真感光材料の品質劣化が大きくなり問題になる。
【0211】酸化防止剤のみの場合の含有量は、コス
ト、作用効果のおおきさ、写真感光材料の写真性への悪
影響の差により変化するが、0.0001〜5.0重量
%、0.0005〜3.0重量%が好ましく、0.00
1〜1.0重量%がより好ましく、0.005〜0.5
重量%が最も好ましい。配合量が0.0001重量%未
満では、添加効果がなく混練費用を要するだけであり、
また、配合量が5.0重量%を越えると、作用・効果の
小さい酸化防止剤であっても酸化、還元作用を利用する
写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼすとともに射出成
形品表面にブリードアウトして外観を悪化させることが
ある。
【0212】本発明に使用される酸化防止剤の代表例を
以下に示す。 (イ) フェノール系酸化防止剤(tはtertの略号で
ある) ビタミンE(トコフェロール)、6−t−ブチル−3−
メチルフェニール誘導体、2・6−ジ−t−ブチル−P
−クレゾール、2・6−ジ−t−ブチル−フェノール、
2・6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−ク
レゾール、2・6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノ
ール、2・2’−メチレンビス−(4−エチル−6−t
−ブチルフェノール)、4・4’−ブチリデンビス(6
−t−ブチル−m−クレゾール)、4・4’−チオビス
(6−t−ブチル−m−クレゾール)、4・4−ジヒド
ロキシジフェニルシクロヘキサン、ブチル化ヒドロキシ
アニソール、アルキル化ビスフェノール、スチレン化フ
ェノール、2・6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノ
ール、2・6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノー
ル、n−オクタデシル−3−(3’・5’−ジ−t−ブ
チル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピネート、2・
2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェ
ノール)、4・4’−チオビス(3−メチル−6−t−
ブチルフェニール)、4・4’−ブチリデンビス(3−
メチル−6−t−ブチルフェノール)、4・4’−チオ
ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ステ
アリル−β(3・5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート、1・1・3−トリス(2−
メチル−4ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタ
ン、1・3・5トリメチル−2・4・6−トリス(3・
5−ジ−t−ブチル−4ヒドロキシベンジル)ベンゼ
ン、テトラキス〔メチレン−3(3・5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕タン等
【0213】(ロ) ケトンアミン縮合系酸化防止剤 6−エトキシ−2・2・4−トリメチル−1・2−ジヒ
ドロキノリン、2・2・4−トリメチル−1・2−ジヒ
ドロキノリンの重合物、トリメチルジヒドロキノリン誘
導体等
【0214】(ハ) アリルアミン系酸化防止剤 フェニル−α−ナフチルアミン、N−フェニル−β−ナ
フチルアミン、N−フェニル−N’−イソピロピル−P
−フェニレンジアミン、N・N’−ジフェニル−P−フ
ェニレンジアミン、N・N’−ジ−β−ナフチル−P−
フェニレンジアミン、N−(3’−ヒドロキシブチリデ
ン)−1−ナフチルミン等
【0215】(ニ) イミダゾール系酸化防止剤 2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベ
ンゾイミダゾールの亜鉛塩、2−メルカプトメチルベン
ゾイミダゾール等
【0216】(ホ) ホスファイト系酸化防止剤 アルキル化アリルホスファイト、トリス(モノ及び/又
はジノニルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオ
ペンタンテトライルビス(2・6−ジ−t−ブチル−4
−メチルフェニル)ホスファイト、ジフェニルイソデシ
ルフォスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファ
イト亜リン酸ソーダ、トリス(ノニルフェニル)フォス
ファイト、2・2−メチレンビス(4・6−ジ−t−ブ
チルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(2・4
−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリフェニ
ルフォスファイト等
【0217】(ヘ) チオ尿素系酸化防止剤 チオ尿素誘導体、1・3−ビス(ジメチルアミノプロピ
ル)−2−チオ尿素等
【0218】(ト) その他空気酸化に有用な酸化防止剤 チオジプロピオン酸ジラウリル等
【0219】本発明に最も好ましいヒンダードフェノー
ル系酸化防止剤の代表例を以下に示す。
【0220】1,3,5−トリメチル2,4,6−トリ
ス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジ
ル)ベンゼン、テトラキス〔メチレン−3−(3’・
5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート〕メタン、オクタデシル−3,5−ジ−
tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナメート、
2,2’,2’−トリス〔(3,5−ジ−tert−ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチ
ルイソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−
ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジ−メチルベンジ
ル〕イソシアヌレート、テトラキス(2,4−ジ−tert
−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンジ亜リン酸
エステル、4,4’−チオビス−(6−tert−ブチル−
O−クレゾール)、2,2’−チオビス−(6−tert−
ブチル−4−メチルフェノール)、トリス−(2−メチ
ル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタ
ン、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−ter
t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレン−ビス−
(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−
ブチリデンビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェ
ノール)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェ
ノール、4−ヒドロキシ・メチル−2,6−ジ−tert−
ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−4−n−ブチル
フェノール、2,6−ビス(2’−ハイドロキシ−3’
−tert−ブチル−5’−メチルペンジル)−4−メチル
フェノール、4,4’−メチレン−ビス−(6−tert−
ブチル−O−クレゾール)、4,4’−ブチリデン−ビ
ス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、3・9−ビス
{1・1−ジメチル−2−〔β−(3−t−ブチル−4
−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキ
シ〕エチル}2,4・8,10−テトラオキサスピロ
〔5,5〕ウンデカンなどがあげられる。これらの中で
も融点が100℃以上、好ましくは110℃以上、特に
好ましくは120℃以上、最も好ましくは130℃以上
の酸化防止剤である。また、フェノール系酸化防止剤と
燐系酸化防止剤と併用することが効果的である。
【0221】上記ビタミンE(トコフェロール)は、酸
化防止作用の他に、カーボンブラック等の遮光性物質と
併用すると遮光能力をカーボンブラック等の遮光性物質
単独添加の場合より向上させ、かつ、分散性も向上させ
るので遮光性物質の添加量を10%以上減少させても同等
の遮光性を有する成形品を得ることができるので、物理
強度向上、外観向上、材料費削減等各種の効果が発揮さ
れるので好ましい。
【0222】代表的な市販酸化防止剤を以下に示す。 (1) フェノール系酸化防止剤;SUMILIZER
BHT(住友)、YOSHINOX BHT(吉富)、
IRGANOX 1076(チバガイギー)、MARK
AO−50(アデカ・アーガス)、SUMILIZER
BP−76(住友)、TOMINOX SS(吉富)、IR
GANOX 565(チバガイギー)、NONOX WS
P(ICI)、SANTONOX(Monsant
o)、SUMILIZER WX R(住友)、ANTA
GECRYSTAL(川口)、IRGANOX 1035
(チバガイギー)、ANTAGE W−400(川口)、
NOCLIZER NS−6(大内新興)、IRGAN
OX 1425 WL(チバガイギー)、MARK AO−
80(アデカ・アーガス)、SUMILIZER GA
−80(住友)、TOPANOL CA(ICI)、M
ARK AO−30(アデカ・アーガス)、MARK A
O−20(アデカ・アーガス)、IRGANOX 31
14(チバガイギー)、MARKAO−330(アデカ
・アーガス)、IRGANOX 1330(チバガイギ
ー)、CYANOX 1790(ACC)、IRGAN
OX 1010(チバガイギー)、MARK AO−60
(アデカ・アーガス)、SUMILIZER BP−1
01(住友)、TOMINOX TT(吉富)等
【0223】(2) 燐系酸化防止剤;IRGAFOS
168(チバガイギー)、MARK 2112(アデカ・
アーガス)、WESTON 618(ボルグワーナ
ー)、MARK PEP−8(アデカ・アーガス)、U
LTRANOX 626(ボルグ・ワーナー)、MARK
PEP−24G(アデカ・アーガス)、MARK PE
P−36(アデカ・アーガス)、HCA(三光)等
【0224】(3) チオエーテル系酸化防止剤;DLT
DP "YOSHITOMI"(吉富)、SUMILIZ
ER TPL(住友)、ANTIOX L(日油)、DM
TD "YOSHITOMI"(吉富)、SUMILIZE
R TPM(住友)、ANTIOX M(日油)、DST
P "YOSHITOMI"(吉富)、SUMILIZER
TPS(住友)、ANTIOX S(日油)、SEEN
OX 412S(シプロ)、MARK AO−412S
(アデカ・アーガス)、SUMILIZER TP−D
(住友)、MARK AO−23(アデカ・アーガス)、
SANDSTAB P−EPQ(サンド)、IRGAFO
SP−EPQ FF(チバガイギー)、IRGANOX
1222(チバガイギー)、MARK 329K(アデカ
・アーガス)、WESTON 399(ボルグ・ワーナ
ー)、MARK 260(アデカ・アーガス)、MAR
K 522A(アデカ・アーガス)等
【0225】(4) 金属不活性化剤 NAUGARD XL−1(ユニロイヤル)、MARK
CDA−1(アデカ・アーガス)、MARK CDA−
6(アデカ・アーガス)、LRGANOX MD−10
24(チバガイギー)、CUNOX(三井東圧)等
【0226】写真感光材料の写真性に悪影響を与えるこ
とが少なく、経時により着色して遮光能力が向上し、比
較的安価なので特に好ましい酸化防止剤はフェノール系
の酸化防止剤であり、市販品としてはチバガイギー社の
イルガノックス各種と住友化学(株)のSumilize
r BHT,Sumilizer BH−76,Sumi
lizer WX−R,Sumilizer BP−10
1等である。また、2,6−ジ−ヒブチル−p−クレゾ
ール(BHT)、低揮発性の高分子量フェノール型酸化
防止剤(商品名:Ireganox 1010,Ire
ganox 1076,Topanol CA, Iono
x 330等)、ジラウリルチオジプロピオネート、ジ
ステアリルチオプロピオネート、ジアルキルフォスフェ
ート等の1種以上、特に2種以上を併用するのが効果的
である。
【0227】特に遊離基連鎖停止剤の代表例である融点
が100℃以上、好ましくは110℃以上、特に好まし
くは120℃以上、最も好ましくは130℃以上の前記
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の少なくとも1種
と、過酸化物分解剤である燐系酸化防止剤の少なくとも
1種とを併用して用いることが写真感光材料の写真性を
あまり悪化させずに樹脂や添加剤の熱劣化防止効果を高
めることができるので好ましい。
【0228】本発明の写真感光材料用成形品に含有させ
るのに最も好ましい酸化防止剤は、テトラキス〔メチレ
ン−3(3, 5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フ
ェニル)プロピオネート〕メタン、n−オクダデシル−
3−(4'−ヒドロキシ−3',5’−ジ−t−ブチルフ
ェノール)プロピオネートとトリス−(2, 4−ジ−t
−ブチルフェニル)ホスファイトである。少なくとこの
中の1種以上を0.0005〜1.5重量%含有させる
のが好ましい。
【0229】本発明の酸化防止剤の中で好ましい燐系酸
化防止剤の一つである有機環状燐化合物の代表的一般式
を以下に記載する。
【0230】
【化7】 {式中、R1は第三ブチル基または第三アミル基を示
し、R2は炭素原子数1〜9のアルキル基を示し、R3
水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、
4は炭素原子数1〜30のアルキル基または炭素原子
数6〜15のアリール基を示す。}
【0231】
【化8】 {式中、R1は第三ブチル基または第三アミル基を示
し、R2は炭素原子数1〜9のアルキル基を示し、R3
水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、
4は炭素原子数1〜30のアルキル基または炭素原子
数6〜15のアリール基を示す。}
【0232】
【化9】 {式中、R2は炭素原子数1〜9のアルキル基を示し、
3は水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を
示し、Mはアルカリ金属を示す。}
【0233】
【化10】 {式中、R3は水素原子または炭素原子数1〜4のアルキ
ル基を示し、R5及びR6はそれぞれ水素原子、炭素原子
数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール
基またはアラルキル基を示し、Xは−OH基または−O
-NH4 +を示す。}
【0234】その他、プラスチック データ ハンドブッ
ク(KK工業調査会発行)の794〜799ページに開示
された各種酸化防止剤やプラスチック添加剤データー集
(KK化学工業社)の327〜329ページに開示され
た各種酸化防止剤やPLASTICS AGE ENCY
CLOPEDIA進歩編、1986(KKプラスチック
・エージ)の211〜212ページに開示された各種酸
化防止剤があり写真性への影響、酸化防止効果等から選
択して用いることが可能である。これらの酸化防止剤
は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが写
真性に悪影響を与えないようにするために本発明では必
須であるが、必要最少量にすることが写真性を良好に維
持するために好ましい。
【0235】前記老化防止剤に付いて説明する。老化防
止剤を添加することにより、老化{射出成形品のおかれ
た環境(熱、日光、湿度、オゾン、酸素等)及び時間の
経過によって、外観(色調、つや、光沢等の変化やひび
割れの発生等)変化、物性(軟化、硬化、強度変化、脆
化、伸び減少、粘弾性変化等)変化、化学的性質変化、
化学的性質変化が発生し、性能が低下すること。}を防
止することができる。
【0236】老化防止剤のみの場合の添加量は、0.0
1〜10重量%が好ましく、0.05〜5重量%がより
好ましく、0.1〜3重量%が最も好ましい。添加量が
0.01重量%未満であると、十分な老化防止効果を発
揮することができず、添加量が10重量%を超えると、
ブリードアウト量が多くなり外観を悪化させたり、写真
感光材料に付着して現像阻害をおこし、現像ムラを発生
させる。
【0237】老化防止剤としては、例えば、フェニル−
β−ナフチルアミンなどのナフチルアミン系、N−N’
−ジフェニルエチレンジアミンなどのジフェニルアミン
系、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミンな
どのp−フェニレンジアミン系、6−エトキシ−2,
2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンなどの
ヒドロキノン誘導体、2,6−ジ−第三−ブチル−4−
メチルフェノールなどモノフェノール系、2,2’−メ
チレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノー
ル)などのポリフェノール系、4,4’−チオビス−
(6−t−ブチル−3−メチルフェノール9などのチオ
ビスフェノール系、2−メルカプトベンズイミダゾール
系がある。これらの老化防止剤は、単独で用いても、2
種以上をブレンドして用いてもよく、それぞれの特性に
応じて任意に配合される。
【0238】前記紫外線吸収剤について説明する。紫外
線吸収剤を添加することにより、光劣化を防止すること
ができる。紫外線吸収剤のみの場合の含有量は、0.0
01〜10重量%が好ましく、0.005〜5重量%が
より好ましく、0.1〜3重量%が最も好ましい。含有
量が0.001重量%未満であると、十分な紫外線吸収
効果を発揮することができず、添加量が10重量%を超
えると、ブリードアウトが発生し、写真感光材料に悪影
響を与えるものである。
【0239】紫外線吸収剤としては、例えば、以下に記
載するものがある。 (1) サリチル酸系紫外線吸収剤 Phenylsalicylate、p-t-Butylphenylsalicylate、p-Oct
ylphenylsalicylate、
【0240】(2) ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、 2,4-Dihydroxybenzophenone、2-Hydroxy-4-methoxybenz
ophenone、2-Hydroxy-4-octoxybenzophenone、2-Hydrox
y-4-dodecyloxybenzophenone、2,2'-Dhydroxy-4-methox
ybenzophenone、2,2'-Dihydoxy-4,4'-dimethoxybenzoph
enone、2-Hydroxy-4-methoxy-5-sulfobenzophenone、
【0241】(3) ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 2-(2'-Hydroxy-5'-methylphenyl)benzotriazole、2-(2'
-Hydroxy-5'-t-butylphenyl)benzotriazole、2-(2'-Hyd
roxy-3',5'-di-t-butylphenyl)benzotriazole、2-(2'-H
ydroxy-3'-t-butyl-5'-methylphenyl)-5-chlorobenzotr
iazole、2-(2'-Hydroxy-3',5'-di-t-butylphenyl)-5-ch
lorobenzotriazole、2-(2'-Hydroxy-3',5'-di-t-amylph
enyl)benzotriazole、2-(2'-Hydroxy-4'-octoxyphenyl)
benzotriazole、2-[2'-Hydroxy-3'-(3'',4'',5'',6''-t
etrahydro-phthal imidemethyl)-5'-methylphenyl]-ben
zotriazole、2,2-Methylene-bis[4-(1,1,3,3-tetrameth
ylbutyl)-6-(2H-benzotriazole-2-il)phenol]、
【0242】(4) シアノアクリレート系紫外線吸収剤 2-Ethylhexyl-2-cyano-3,3'-di-phenylacrylate;2-Eth
yl-2-cyano-3,3'-diphenylacryate
【0243】前記脂肪酸金属塩に付いて説明する。脂肪
酸金属塩の添加により、射出成形機に対する腐食作用を
防止、各種添加剤のブリードアウトの減少、遮光性物質
や繊維状フィラー等の飛散防止、遮光性物質や繊維状フ
ィラー等の分散性の向上などを図ることができる。ま
た、この脂肪酸金属塩は、遮光性物質や繊維状フィラー
等の分散性及び成形性を向上させ、さらに、樹脂中に含
まれる写真感光材料の写真性に悪作用する触媒残渣やハ
ロゲン化物を中和して無害化するので写真性も良化する
ものである。ハイドロタルサイト類化合物と併用すると
射出成形機に対する腐食作用を相剰的に防止すると共に
特に、チーグラー・ナッタ触媒〔(TiCl3・Al(C
3)3等のアルキルアルミニウムを主成分とする〕等を
使用して重合する樹脂が含まれている場合、触媒が分解
する際に発生する塩酸等を捕捉して写真性を良化させる
働きをする。
【0244】脂肪酸金属塩のみの場合の含有量は、0.
005〜10.0重量%、0.01〜5.0重量%が好
ましく、0.03〜3.0重量%がより好ましく、0.
05〜1.5重量%が最も好ましい。添加量が0.01
重量%未満では添加効果がほとんどなく、混練費アップ
になるだけである。また、添加量が5.0重量%を越え
るとブリードアウトが発生したり、熱可塑性樹脂とスク
リューとのスリップが発生し、吐出量が不安定になり、
成形故障が多発するだけでなく、均一混練性に欠ける。
【0245】この脂肪酸金属塩としては、カプロン酸、
カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、
ステアリン酸、乳酸、コハク酸、ベヘニン酸、ベヘン
酸、リノール酸、ステアリル乳酸、ヒドロキシステアリ
ン酸、リシノール酸、ナフテン酸、オレイン酸、モンタ
ン酸、エルシン酸、パルミチン酸、エルカ酸等の炭素数
が6〜50個、好ましくは10〜40個、特に好ましく
は10〜30個の脂肪酸とLi、Na、Mg、Ca、S
r、Ba、Zn、Cd、Al、Sn、Pb等の金属との
化合物がある。これらの脂肪酸金属塩のうち写真感光材
料の写真性を悪化させず、樹脂の軟化点を低下させない
ので融点が70℃以上が好ましく、より好ましくは90
℃以上、特に好ましくは100℃以上のものである。具
体例としてはステアリル乳酸カルシウム、ステアリン酸
カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸
亜鉛がある。
【0246】また、脂肪酸金属塩と後述するキレート剤
は、あらゆる重合方法のホモポリスチレン樹脂、ゴム変
性ポリスチレン樹脂、各種ゴム変性芳香族モノビニル樹
脂の合計含有料が50重量%からなる熱可塑性樹脂を用
いて射出成形した写真感光材料用射出成形品を、写真感
光材料を長期間良好な品質で維持できるようにするもの
であった。この結果、リサイクル樹脂利用が、写真性故
障の点から使用されず、特定のバージン樹脂を使用して
射出成形された写真感光材料用射出成形品のみに使用限
定されていたものを、あらゆる成形品のスチレン系樹脂
をリサイクルに利用できるようになった。この効果は産
業廃棄物を減少させるだけでなく、世界各国の生産向上
において現地の安価な樹脂を使用することが可能にな
り、コストダウンと貿易摩擦防止、ローカルコンテンツ
法をクリヤー可能等、非常に大きい効果を有するもので
ある。
【0247】前記ラジカル捕獲剤に付いて説明する。ラ
ジカル捕獲剤を含有させることにより、前記酸化防止剤
と同様の効果を奏することができる。
【0248】ラジカル捕獲剤のみの場合の含有量は、1
00〜10,000ppmが好ましく、500〜5,0
00ppmがより好ましい。配合量が100ppm未満
であると、添加効果がなく混練費用を要するだけであ
る。また、配合量が10,000ppmを越えると、写
真感光材料の写真性に悪影響を及ぼすことがあったり、
成形品の表面にブリードアウトして外観を悪化させるこ
とがある。
【0249】ラジカル捕獲剤としては、1・1−ジフェ
ニル−2−ピクリルヒドラジル、1・3・5−トリフェ
ニルフェルダジル、2・2,6・6−テトラメチル−4
−ピペリドン−1−オキシル、N−(3−N−オキシア
ニリノ−1・3−ジメチルブチリデン)−アニリンオキ
シド、塩化第二鉄などのような高原子価金属塩、ジフェ
ニルピクリルヒドラジン、ジフェニルピクリルヒドラジ
ン、ジフェニルアミン、ハイドロキノン、t−ブチルカ
テコール、ジチオベンゾイルジスルフィド、p・p’−
ジトリルトリスルフィド、ベンゾキノン誘導体、ニトロ
化合物、およびニトロソ化合物などを挙げることができ
る。これらのうちでも、ハイドロキノンを用いることは
特に好ましい。また、上記のラジカル捕獲剤は単独で用
いてもよく、あるいは数種類を併用することもできる。
【0250】前記アルカリ土類金属塩に付いて説明す
る。アルカリ土類金属塩を含有させることにより、樹脂
中の熱劣化を防止し、写真感光材料の写真性に悪影響を
及ぼす物質を中和して、物理強度や写真性や外観の良好
な射出成形品を得ることができる。
【0251】アルカリ土類金属塩のみの場合の含有量は
0.1〜49.9重量%、好ましくは0.2〜20重量
%、より好ましくは0.3〜10重量%である。含有量
が0.1重量%未満では効果がなく混練経費増となるだ
けであり、49.9重量%を越えると、分散性が悪化
し、ミクログリッドの発生が多くなり外観が悪化する。
さらに物理強度も低下し写真感光材料用射出成形品とし
ては実用化困難である。
【0252】アルカリ土類金属塩の中で写真性に悪影響
が少なく樹脂劣化防止作用の大きい代表例としては、塩
化カルシウム、塩化カリウム、炭酸カルシウム、塩化バ
リウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシ
ウム、硫酸マグネシウム、炭酸バリウム等がある。
【0253】特に物理強度、写真性、射出成形機の防蝕
性等が優れている点から粒子径が0.01〜3μmの炭
酸カルシウムが好ましく、最も好ましいのは粒子径が
0.02〜1μmの炭酸カルシウムである。熱可塑性樹
脂中への分散性向上と写真性良化のために遮光性物質の
表面被覆物質(1)〜(19)で炭酸カルシウムの表面を被
覆して用いることが好ましい。(ミクログリッド等の発
生防止)
【0254】前記含水複塩化合物に付いて説明する。含
水複塩化合物を含有させることにり、樹脂の熱劣化を防
止し、着色や異物状の固まり(ブツ)の発生を防止し、
低分子量お樹脂や添加剤の熱分解を防止又は抑制して、
物理強度や写真性や外観の良好な成形品を得ることがで
きる。
【0255】含水複塩化合物のみの場合の含有量は0.
001〜5重量%であり、好ましくは0.005〜3.
5重量%、特に好ましくは0.01〜2重量%、最も好
ましくは0.05〜1重量%である。0.001重量%
未満では製造時や加工時の防蝕防止効果がなく、熱安定
性改善の効果がなく、成形品が着色したり、樹脂劣化を
生じる。5重量%を越えると成形品に発泡が生じるよう
になったり、ブツが発生したり、光沢が落ち外観が悪い
ものとなる。
【0256】含水複塩化合物として特に好ましい代表例
を示すと一般式が Mxy(OH)2x+3y-2z(A)z・aH2O {MはMg、Ca又はZn、RはAl又はCr又はFe、Aは
CO3又はHPO4、x、y、z、aは正数}で示される
複塩であるハイドロタルサイト化合物であり、具体例の
代表例を示すと、Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O、
Mg8Al2(OH) 20CO3・5H2O、Mg5Al2(OH)
14CO3・4H2O、Mg10Al2(OH)22(CO3)2・4
2O、Mg6Al2(OH)16HPO4・4H2O、Ca6
2(OH) 16CO3・4H2O、Zn6Al2(OH)16CO3
・4H2O、Zn6Al6(OH)16CO3・4H2O、Mg
4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O等がある。
【0257】また一般式が M(1-x)・Alx・(OH)2・Xx/n・mH2O {ただし式中、Mはアルカリ土類金属およびZnを示
す。Xはn価のアニオンを示す。
【0258】そして、xおよびmは下記式の条件を満足
する。 0<x<0.5 0≦m≦ 2 } で表わされる屈折率1.40〜1.60、好ましくは
1.45〜1.55の範囲であるハイドロタルサイト類
化合物である。
【0259】上記式においてXで表わされるn価のアニ
オンの例としては、Cl-、Br-、I-、NO3 -、Cl
4 -、SO4 2-、CO3 2-、SiO3 2-、HPO4 2-、HB
3 2-、PO4 3-、Fe(CN)6 3-、Fe(CN)4 4-、CH
3COC-、C64(OH)COO-
【0260】
【化11】
【0261】
【化12】
【0262】
【化13】
【0263】
【化14】 などの如きアニオンを例示する事ができる。
【0264】さらにまた一般式が例えば、一般式Mg
1-xAlx(OH)2x/2・mH2Oで示されるマグネシウ
ムとアルミニウムから成るハイドロタルサイト類であ
る。{式中、Xは0<x≦0.7の範囲の実数であり、
AはCO3を示し、mは実数を示す。}
【0265】好ましい具体例を以下に示す。 Mg0.7Al0.3(OH)2(CO3)0.15・0.54H2O Mg0.67Al0.33(OH)2(CO3)0.165・0.5H2O Mg0.67Al0.33(OH)2(CO3)0.165・0.2H2O Mg0.6Al0.4(OH)2(CO3)0.2・0.42H2O Mg0.75Al0.25(OH)2(CO3)0.125・0.63H2O Mg0.83Al0.17(OH)2(CO3)0.085・0.4H2O 等
【0266】その他上記ハイドロタルサイト類化合物を
焼成処理して、結晶構造中の水分を処理前の全重量に対
し5〜35重量%の範囲内に減量せしめたハイドロタル
サイト類化合物の焼成処理品やハイドロタルサイト類化
合物1モル当り過塩素酸1.5〜3モルの割合で反応さ
せて得られる過塩素酸イオン型ハイドロタルサイト類化
合物等の特殊処理したハイドロタルサイト類化合物も好
ましい。
【0267】これらの含水複塩化合物は、天然物であっ
ても、合成品であってもよい。ハイドロタルサイト類化
合物の具体的な合成方法としては、特公昭46−228
0号公報及び特公昭50−30039号公報等に開示さ
れている公知の方法も使用できる。
【0268】本発明では特にハイドロタルサイト類化合
物が好ましく、その結晶構造、結晶粒子径に制限される
ことなく使用可能である。
【0269】ハイドロタルサイト類化合物の天然品とし
ては、ハイドロタルク石、スチヒタイト、パイロオーラ
イト等がある。これらの含水複塩化合物は単独で使用し
ても、2種以上混合してもよい。特に後述する各種酸化
防止剤や各種脂肪酸金属塩と併用することが好ましい。
【0270】本発明で使用が好ましい含水複塩化物とし
て使用する上記ハイドロタルサイト類化合物は、特に限
定されるものではないが、射出成形等の加工性、物性等
を特に向上させるためには平均2次粒子径が20μm以
下、好ましくは10μm以下、特に好ましくは5μm以
下、BET比表面積が50m2/g以下、好ましくは4
0m2/g以下、特に30m2/g以下が好ましい。
【0271】本発明においてハイドロタルサイト類化合
物は表面処理剤で処理して利用するのが好ましい。表面
処理する事により、樹脂に対する分散性ないし親和性が
一層向上し、射出成形等の加工適性、物性等も向上す
る。
【0272】このような表面処理剤の例としては、例え
ば、ラウリル酸ソーダ、ラウリル酸カリウム、オレイン
酸ソーダ、オレイン酸カリウム、オレイン酸カルシウ
ム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ソーダ、
ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カリウム、パルミチン
酸ソーダ、パルミチン酸カリウム、カプリン酸ソーダ、
カプリン酸カリウム、ミリスチン酸ソーダ、ミリスチン
酸カリウム、リノール酸ソーダ、リノール酸カリウムな
どのような高級脂肪酸の金属塩類;ラウリル酸、パルミ
チン酸、オレイン酸、ステアリン酸、カプリン酸、ミリ
スチン酸、リノール酸などの如き高級脂肪酸類;ドデシ
ルベンゼンスルホン酸カルシウム、ドデシルベンゼンス
ルホン酸ナトリウム等の有機スルホン酸金属塩類;イソ
プロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピ
ルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネー
ト、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイ
ト)チタネート、ビニルトリエトキシシラン、ガンマメ
タクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ガンマグ
リシドオキシプロピルトリメトキシシランなどのような
カップリング剤類、高級脂肪酸アミド類、高級脂肪酸エ
ステル類、シリコーン類、ワックス類の各種滑剤などを
例示することができる。その他、前記遮光性物質の表面
被覆物質の代表例(1)〜(19)から選択して使用するこ
とができる。
【0273】これら表面処理剤による表面処理は、たと
えば、温水にハイドロタルサイト類化合物を懸濁した状
態のところに、攪拌下に、高級脂肪酸のアルカリ金属塩
の水溶液を加える事により、或いは、ハイドロタルサイ
ト類化合物の粉末をヘンシェルミキサー等の混合機によ
り攪拌下、高級脂肪酸の融液とか、カップリング剤の希
釈液を滴下することにより行うことができる。これら表
面処理剤の量は適宜に選択変更できるが、ハイドロタル
サイト類化合物に対して、約0.01〜50重量%、好
ましくは0.05〜35重量%、特に好ましくは0.1
〜20重量%、最も好ましくは0.5〜10重量%程度
が適当である。
【0274】さらにハイドロタルサイト類化合物の分散
をより良好にするために例えばソルビタンモノステアレ
ートのようなソルビタン脂肪酸エステルやグリセリンモ
ノステアレートのようなグリセリン脂肪酸エステルなど
を分散剤として組成に0.01〜10重量%、好ましく
は0.05〜8重量%、特に好ましくは0.08〜5重
量%、最も好ましくは0.1〜3重量%添加してもよ
い。含水複塩化合物と併用することにより、加工安定
性、射出成形機の金属表面の防蝕効果が向上し、成形品
の着色や、樹脂劣化を防止し、透明度を向上し、物理強
度低下を防止し、樹脂焼けによるブツの発生を防止する
作用等を相乗的に向上するフェノール系酸化防止剤や燐
(ホスファイト)系酸化防止剤及び脂肪酸金属塩から成
る群より選択された1種以上の安定剤と併用することが
特に好ましい。特にハイドロタルサイト類化合物と脂肪
酸金属塩を併用することが上記効果を効率的に相乗的に
発揮させる点で好ましい。
【0275】この場合、写真感光材料の写真性能に悪影
響を及ぼさないようにするためには、 フェノール系酸化防止剤を0.0005〜5重量
%、好ましくは0.001〜3重量%、特に好ましくは
0.002〜1重量%添加する。 燐系酸化防止剤0.0005〜5重量%、好ましく
は0.001〜3重量%、特に好ましくは0.002〜
1重量%添加する。 含水複塩化合物及び/又は脂肪酸金属塩(金属石け
ん)を0.0005〜10重量%、好ましくは0.00
1〜5重量%、特に好ましくは0.002〜3重量%添
加する。
【0276】且つ++の合計含有量が0.001
〜20重量%、好ましくは0.002〜10重量%、特
に好ましくは0.003〜7重量%、最も好ましくは0.
005〜5重量%写真感光材料用射出成形品中に含まれ
るようにする。いずれにしても樹脂劣化を防止できる最
少量添加することが写真性能を悪化させず、コストアッ
プを抑制する点からも好ましい。
【0277】前記酸化防止相乗効果剤に付いて説明す
る。酸化防止相乗効果剤を含有させることにより、添加
量が多くなると写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼす
酸化防止剤の添加量を減少させても、酸化防止剤単独使
用の時と同等以上の酸化防止作用を発揮させることがで
きる。
【0278】酸化防止相乗効果剤のみの場合の含有量
は、0.001〜2.0重量%、好ましくは0.005〜
1.5重量%、特に好ましくは0.01〜1.0重量%
である。0.001重量%未満では、添加効果がなく、
混練経費増となうだけであり、2.0重量%を越えても
増量効果がなくコストアップとなるだけである。
【0279】酸化防止相乗効果剤としては、リン酸、ク
エン酸、リン酸化合物、クエン酸化合物等がある。
【0280】本発明の写真感光材料用成形品に、無機造
核剤及び有機造核剤の1種又は2種以上を添加すること
ができる。無機造核剤及び有機造核剤の1種又は2種以
上を添加することにより、剛性やアイゾット衝撃強度や
耐摩耗性等を改善することができる。また、結晶性樹脂
のポリオレフィン樹脂、特に、プロピレン−αオレフィ
ン共重合体樹脂に添加した場合は、上記特性以外に透明
性、成形性(サイクル短縮、成形故障減少)を改善でき
る。
【0281】無機造核剤及び有機造核剤の1種又は2種
以上の合計含有量は、0.001〜10重量%が好まし
く、0.005〜8重量%がより好ましく、0.01〜5
重量%が最も好ましい。合計含有量が0.001重量%
未満であると、添加効果がなく、混練経費増となるだけ
である。また、合計含有量が10重量%を超えると、増
量効果がなく、コストアップになるだけである。さら
に、有機造核剤の場合は、成形時の発煙が多くなり、経
時により成形品の表面にブリードアウトして外観を悪化
させるだけでなく、白粉となって写真感光材料の感光層
に付着して現像阻害を起こす問題を発生するようにな
る。
【0282】本発明に使用できる有機造核剤としては、
カルボン酸、ジカルボン酸、これらの塩及び無水物、芳
香族スルホン酸の塩及びエステル、芳香族ホスフィン
酸、芳香族ホスホン酸、芳香族カルボン酸、その他のア
ルミニウム塩、芳香族リン酸金属塩、炭素数8〜30のア
ルキルアルコール、多価アルコールとアルデヒドの縮合
物、並びにアルキルアミンなどであり、例えばp−t−
ブチル安息香酸アルミニウム、1,2,3,4−ジベン
ジリデンソルビトール、次式で表されるジ置換ベンジリ
デンソルビトール化合物
【0283】
【化15】 {式中、R1及びR2は炭素数1〜8のアルキル、アルコ
キシ又はハロゲンであり、m及びnはいずれも0〜3で
あって且つm+n≧1である。}、ステアリル乳酸のカ
ルシウム、マグネシウム等の金属塩、N−(2−ヒドロ
キシエチル)−ステアリルアミン等の次式で表される化
合物。
【0284】
【化16】 {式中、R3は炭素数が8〜30のアルキル基であり、
k及びlはいずれも0〜10であってk+l≧1であ
る。}、1,2−ヒドロキシステアリン酸のリチウム
塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネ
シウム塩等の金属塩、ステアリルアルコール、ラウリル
アルコール等のアルキルアルコール、安息香酸ソーダ、
安息香酸、セバチン酸などがある。
【0285】有機造核剤の中で特に好ましいソルビトー
ル化合物の代表例を以下に示す。 di-(o-methylbenzylidene)sorbitol o-methylbenzylidene-p-methylbenzylidenesorbitol di-(m-methylbenzylidene)sorbitol m-methylbenzylidene-o-methylbenzylidenesorbitol di-(p-methylbenzylidene)sorbitol m-methylbenzylidene-p-methylbenzylidenesorbitol 1・3-heptanylidenesorbitol 1・3,2・4-diheptanylidenesorbitol 1・3,2・4-di(3-nonyl-3-pentenylidene)sorbitol 1・3-cyclohexanecarbylidenesorbitol 1・3,2・4-dicyclohexanecarbylidenesorbitol 1・3,2・4-di(p-methylcyclohexanecarbylidene)sorbitol Aromatic hybrocarbon groups or derivatives thereof 1・3-benzylidenesorbitol 1・3,2・4-dibenzylidene-D-sorbitol 1・3,2・4-di(m-methylbenzylidene)sorbitol 1・3,2・4-di(p-methylbenzylidene)sorbitol 1・3,2・4-di(p-hexylbenzylidene)sorbitol 1・3,2・4-di(l-naphthalenecarbylidene)sorbitol 1・3,2・4-di(phenylacetylidene)sorbitol 1・3・2・4-di(methylbenzylidene)sorbitol 1・3・2・4-di(ethylbenzylidene)sorbitol 1・3・2・4-di(propylbenzyledene)sorbitol 1・3・2・4-di(methoxybenzylidene)sorbitol 1・3・2・4-di(ethoxybenzylidene)sorbitol 1・3・2・4-di(P-methylbenzylidene)sorbitol 1・3・2・4-di(P-chlorbenzylidene)sorbitol 1・3・2・4-di(P-methoxybenzylidene)sorbitol 1・3・2・4-di(alkilbenzylidene)sorbitol 1・3・2・4-bis(methylbenzylidene)sorbitol aluminumbenzoate、等。
【0286】有機造核剤の中でも特に以下のジベンジリ
デンソルビトール化合物が好ましい。特に、本発明で好
ましいのは結晶性樹脂であるポリオレフィン樹脂(好ま
しくはホモポリプロピレン樹脂、プロピレン・αオレフ
ィンブロック共重合体樹脂、プロピレン・αオレフィン
ランダム共重合体樹脂、密度が0.910g/cm3以上
のホモポリエチレン樹脂及び密度が0.870g/cm3
以上のエチレン・αオレフィン共重合体樹脂)のヤング
率向上、物理強度向上、剛性向上、硬度向上、耐摩耗性
向上、寸法精度向上、結晶化速度向上、成形速度向上、
成形故障の減少等の効果を発揮すること及び従来の有機
造核剤の欠点であった異臭とブリードアウトを改善でき
る下記のジ−置換ベンジリデンソルビトール組成物が特
に好ましい。
【0287】このジ−置換ベンジリデンソルビトール組
成物の必須成分として、一般式(I)
【0288】
【化17】 {式中、R及びR'は、それぞれ独立して、塩素原子、
メチル基及びエチル基よりなる群より選ばれる原子また
は基を表す}のジベンジリデンソルビトール誘導体の固
体粉末と式(II)
【0289】 CH3(CH2)nCOOH (II) {式中、nは14〜30、好ましくは18〜27、最も
好ましくは20〜25の数を表す}の高級脂肪酸を含有
してなり、該高級脂肪酸が該ジベンジリデンソルビトー
ル誘導体の固体粉末の表面を被覆して含有されているジ
ベンジリデンソルビトール誘導体組成物が提供される。
【0290】本発明で好ましく用いられる一般式(I)
のジベンジリデンソルビトール誘導体としては、1,3
−2,4・ジpメチルベンジリデンソルビトール、1,3
−2,4−ジpエチルベンジリデンソルビトール、1,3
−pメチルベンジリデン−2,4−pクロルベンジリデ
ンソルビトール、1,3−pメチルベンジリデン・2,4
−pエチルベンジリデンソルビトール及び1,3−pク
ロルベンジリデン−2,4pメチルベンジリデンソルビ
トール等を例示することができる。
【0291】本発明の有機造核剤の好ましい態様におい
ては、上記一般式(I)において、R及びR'は、それ
ぞれ独立してメチル基または塩素原子を表すジベンジリ
デンソルビトール誘導体が用いられる。
【0292】特に好適なジベンジリデンソルビトール誘
導体は、1,3−2,4−ジpメチルベンジリデンソルビ
トール、1,3−pメチルベンジリデン−2,4−pクロ
ルベンジリデンソルビトール及び1,3−pクロルベン
ジリデン・2,4−pメチルベンジリデンソルビトー
ル、である。
【0293】本発明で有機造核剤として好ましく用いら
れる式(II)の高級脂肪酸の好ましい例は、ベヘン
酸、ステアリン酸およびパルミチン酸であり、なかでも
ベヘン酸が最も好ましく、ステアリン酸がこれに次ぐ。
【0294】本発明の有機造核剤組成物において使用さ
れるジベンジリデン誘導体の固体粉末の粒径は、格別な
制限は必要でなく、粒度分布30〜100メッシュのも
のが好適に用いられる。
【0295】本発明の好ましい有機造核剤組成物は、ジ
ベンジリデン誘導体の95〜50重量部、好ましくは9
0〜50重量部に対し高級脂肪酸及び/又は高級脂肪酸
化合物(脂肪酸金属塩や脂肪酸アミド等)及び/又は可
塑剤の1種以上を5〜50重量部、好ましくは10〜5
0重量部の範囲において、両成分の合計が100重量部
になる割合で含有する。
【0296】本発明の特に好ましい有機造核剤組成物
は、上記割合の高級脂肪酸及び/又は高級脂肪酸化合物
及び/又は可塑剤の1種以上を含有する水性エマルジョ
ンに上記割合のジベンジリデンソルビトール誘導体の固
体粉末を添加攪拌して、ジベンジリデンソルビトール誘
導体の固体粉末の表面上に高級脂肪酸及び/又は高級脂
肪酸化合物及び/又は可塑剤の1種以上の被覆層を形成
させ、高級脂肪酸及び/又は高級脂肪酸化合物及び/又
は可塑剤の1種以上の被覆層を有するジベンジリデンソ
ルビトール誘導体粉末を濾別後、洗浄及び乾燥を行うこ
とによって作ることができる。
【0297】上記方法において使用する高級脂肪酸及び
/又は高級脂肪酸化合物及び/又は可塑剤の水性エマル
ジョンは、例えば、高級脂肪酸及び/又は高級脂肪酸化
合物及び/又は可塑剤の濃度5〜50重量%、好ましく
は10〜50重量%の有機溶媒溶液に、界面活性剤を少
量、例えば高級脂肪酸及び/又は高級脂肪酸化合物及び
/又は可塑剤100重量部に対して1〜10重量部、好
ましくは2〜5重量部、を用いて水中に分散させること
によって容易に得ることができる。
【0298】また、ジベンジリデンソルビトール誘導体
の固体粉末の表面上に形成された高級脂肪酸及び/又は
高級脂肪酸化合物及び/又は可塑剤の被覆層の存在は、
該被覆層を染料で染色して観察することによって確認す
ることができる。その他、後記遮光性物質の表面被覆物
質で有機造核剤の表面を被覆することも分散性向上等の
点から好ましい。
【0299】本発明の好ましい有機造核剤の組成物が、
物理強度、非ブリードアウト性及び無臭性の改善のため
に添加剤として効果的に使用されるポリオレフィン系樹
脂の例は、炭素数が2〜6の脂肪族モノオレフィンの数
平均分子量が10,000〜600,000、好ましく
は11,000〜500,000、特に好ましくは1
2,000〜400,000、最も好ましくは13,00
0〜300,000の高分子量の単独重合体または共重
合体、例えばホモポリプロピレン樹脂、プロピレン・α
オレフィン共重合体樹脂のポリプロピレン系樹脂、低密
度ホモポリエチレン樹脂、高密度ホモポリエチレン樹
脂、直鎖状ポリエチレン(エチレン・αオレフィン共重
合体)樹脂およびエチレン・プロピレン共重合体樹脂の
ポリエチレン系樹脂等である。特に結晶化度が高い結晶
性ポリオレフィン系樹脂が好ましく、有機造核剤の添加
効果が効果的に発揮されるので結晶化度は50%以上、
好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上、最
も好ましくは90%以上のポリオレフィン系樹脂であ
る。これらのポリオレフィン系樹脂の分子量分布(数平
均分子量/数平均分子量)は物理強度確保と成形性確保
のバランスの点で1.5〜20、好ましくは2〜15、
特に好ましくは2.5〜12であり、最も好ましくは3
〜10である。有機造核剤の添加効果は、分子量分布が
小さい程発揮されることが今回判明した。ここで分子量
分布はGPC法により重量平均分子量/数平均測定され
た分子量より求める。分子量分布が1.5未満では物理
強度は非常に優れ、射出成形品では寸法精度が優れるが
成形性が悪化すると共に重合が困難で高価になる。分子
量分布が20を越えるとこの逆になりいずれも実用化困
難である。
【0300】本発明の好ましい有機造核剤組成物におい
ては、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、ジ
ベンジリデンソルビトール誘導体成分として0.005
〜5.0重量部、好ましくは、0.01〜3.0重量部
に相当する高級脂肪酸及び/又は高級脂肪酸化合物及び
/又は可塑剤の1種以上で被覆されたジベンジリデンソ
ルビトール誘導体が好適に使用される。
【0301】本発明の好ましい有機造核剤組成物は、有
機造核剤の使用効果が大きい、結晶化度が70%以上、
分子量分布が2〜15、特に好ましくは結晶化度が80
%以上、分子量分布が2.5〜12のポリオレフィン系
樹脂に任意の公知の混合手段で混合することによって配
合することができる。また、本発明の好ましい有機造核
剤組成物は、必要に応じて、該有機造核剤を高濃度で含
有するポリオレフィン系樹脂中のマスターバッチとして
も用いることができる。
【0302】本発明の好ましい有機造核剤組成物におい
ては、ジベンジリデンソルビトール誘導体の固体粒子の
表面が高級脂肪酸及び/又は高級脂肪酸化合物及び/又
は可塑剤の1種以上で被覆されていることが重要で、ポ
リオレフィン樹脂にジベンジリデンソルビトール誘導体
及び高級脂肪酸及び/又は高級脂肪酸化合物及び/又は
可塑剤の1種以上を単に添加混合しても上記記載の十分
な効果は達成されない。また、180℃以上、好ましく
は190℃以上、特に好ましくは200℃以上の熱履歴
を1回以上経ないと上記記載の十分な効果は達成されな
い。
【0303】この熱履歴は1回経ればよく、例えば本発
明のポリオレフィン系樹脂組成物中に本発明の好ましい
有機造核剤の組成物として詳述した上記ジ−置換ベンジ
リデンソルビトール組成物を0.01〜3.0重量%添
加後、180℃以上、好ましくは190℃以上、特に好
ましくは200℃以上に加熱してペレット化したものを
用いて遮光性ポリオレフィン系樹脂フィルムを成形すれ
ばよく、この時の樹脂温度は180℃以下であっても上
記記載の効果は達成されるが、このフィルム成形時も1
80℃以上の樹脂温度にする(180℃以上の熱履歴を
2回経たと本発明では表現する。)ことにより、物理特
性、剛性が非常に優れ、フィルム表面の光沢の高い、シ
ワや筋等の外観故障がほとんど観察されない熱可塑性樹
脂フィルムを成形することができる。射出成形品の場合
も同様であり、物理強度、剛性、耐摩耗性、光沢、硬
度、寸法安定性、射出成形性等の優れた射出成形品を得
ることが出来る。着色物質を含まない場合は透明度の優
れた射出成形品を得ることができる。
【0304】造核剤の添加効果を最高に発揮させるに
は、ポリプロピレン系樹脂又はポリエチレン系樹脂、特
に分子量分布(数平均分子量/数平均分子量)が1.5〜
12、好ましくは2〜10、特に好ましくは2.5〜8
のポリプロピレン系樹脂又はポリエチレン系樹脂に適用
することが好ましい。
【0305】本発明の好ましい有機造核剤組成物は、従
来技術に較べ、ポリオレフィン系樹脂組成物に配合した
場合、物理強度、耐ブリードアウト性、剛性等の諸特性
を何ら損なわないばかりか、場合によってはこれ等諸特
性を更に向上させ、同時に優れた無臭性を有し、併せて
フィルムにシワや筋等の外観故障が出にくくなり、かつ
フィルム成形性が向上しフィルム成形速度が向上でき、
射出成形品ではゲート残り等の成形故障が減少するとい
った優れた効果を奏するものである。即ち、本発明のポ
リオレフィン系樹脂組成物に、上述のジ−置換ベンジリ
デンソルビトール組成物を含ませることにより、物理強
度、剛性、耐ブリードアウト性、無臭性、フィルム成形
性、射出成形性、寸法精度、耐摩耗性等の優れた写真感
光材料用包装材料を提供することが出来る。
【0306】本発明の好ましい有機造核剤組成物が上記
の優れた効果を奏する理由は必ずしも明らかでないが、
従来のジベンジリデンソルビトールの製造原料であるベ
ンズアルデヒド及び本発明のジベンジリデンソルビトー
ル誘導体の製造原料であるp置換ベンズアルデヒド等の
ベンズアルデヒド誘導体には臭気があって、共に精製後
も不可避的にジベンジリデンソルビトール(誘導体)に
微量残留して透明又は遮光性射出成形品や透明又は遮光
性熱可塑性樹脂フィルム等の異臭の原因となりがちなこ
と及びジベンジリデンソルビトール(誘導体)が熱可塑
性樹脂組成物を用いた熱可塑性樹脂射出成形時や熱可塑
性樹脂フィルム成形時等にも若干分解を起こして異臭の
原因となることが考え得る。
【0307】本発明の好ましい有機造核剤組成物におい
ては、一般式(I)の特定のジベンジリデンソルビトー
ル誘導体の固体粒子を用い、該粒子を一般式(II)の
特定の高級脂肪酸で被覆する、といった及びの要件
を同時に満足することによって、原料ベンズアルデヒド
類あるいは分解生成したベンズアルデヒド類に基づくと
推定される異臭が、熱可塑性樹脂組成物を用いた、熱可
塑性樹脂射出成形品や熱可塑性樹脂フィルム等において
顕著に減少され、かつ剛性、硬度、寸法精度、耐摩耗
性、物理強度等の上記諸物性も同時に優れているといっ
た効果が奏される。
【0308】各種の有機造核剤は、単独で用いても各種
の無機造核剤との併用、有機造核剤の2種以上を併用す
ることもできる。また、有機及び/又は無機造核剤の表
面を各種の脂肪酸、脂肪酸化合物やシリコン等の滑剤、
カップリング剤、可塑剤、界面活性剤等の分散剤や湿潤
剤等で被覆することができる。
【0309】無機造核剤としては例えば、タルク、クレ
ー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト等の粘土
類、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、硫酸カル
シウム、硫酸バリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウ
ム、炭化水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カル
シウム、炭酸マグネシウム、水酸化リチウム、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化
マグネシウム、水酸化バリウム、等の無機塩、酸化ナト
リウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミ
ナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛等の金属塩化物等が
挙げられる。
【0310】これらの無機造核剤の配合量は樹脂組成物
中に0.01〜5重量%、好ましくは0.03〜3.5
重量%、特に好ましくは0.06〜2重量%、最も好ま
しくは0.1〜1重量%である。
【0311】配合量が0.01重量%よりも少ないと剛
性、耐熱性及び硬度などの向上がなく、また、その配合
量を5重量%より多くしても剛性などがそれ以上向上せ
ず、材料費増となるだけである。
【0312】本発明の写真感光材料用成形品には、導電
物質及び帯電防止剤の1種又は2種以上を添加すること
ができる。導電物質又は帯電防止剤の1種又は2種以上
を添加すことにより、写真感光材料の取扱い時の成形品
との間の摩擦により発生する静電気の発生を防止又は抑
制して、写真感光材料にスタチックマークが発生するの
を防止する。
【0313】導電物質又は帯電防止剤の1種又は2種以
上の合計含有量は、0.01〜40重量%が好ましく、
0.03〜30重量%がより好ましく、0.05〜20重
量%が最も好ましい。合計含有量が0.01重量%未満
であると、添加効果がなく、混練経費造となるだけであ
る。また、合計含有量が40重量%を超えると、増量効
果がなく、コストアップとなるだけである。帯電防止剤
の場合は押し出し機のスクリューとのスリップ発生が多
くなり、樹脂の均一量の供給ができなくなり成形故障が
多発する。さらに、経時するとブリードアウト量が多く
なり、成形品の表面がベトつき商品価値を低下させる。
【0314】前記導電物質は、平均粒子径が12〜50
mμ、DBP吸油量が100ml/100g以上の導電
性カーボンブラック、アセチルカーボンブラック、ケッ
チェンカーボンブラック、炭素繊維、金属繊維、金属被
覆繊維、金属粉末、フラファイト、金属吸着繊維、黒鉛
粉末等である。
【0315】前記帯電防止剤に付いて説明する。帯電防
止剤の代表例を以下に示す。 I.ノニオン系(=非イオン系) (1) アルキルアミン誘導体:T−B103(松本油
脂)、T−B104(松本油脂) アルキルミド型 ポリオキシエチレンアルキルアミン:アーモスタット3
10(ライオン油脂) 3級アミン(ラウリルアミン):アーモスタット400
(ライオン油脂) N,N−ビス(2−ヒドロキシエチルココアミン):ア
ーモスタット410(ライオン油脂) 3級アミン:ANTISTATIC273C、273、
273E(Fine Org.Chem) N−hydroxyhexadecyl−di−eth
anol−amine:Belg.P.654,049 N−hydroxyoctadecyl−di−eth
anol−amine:(National Dis
t.)
【0316】(2) 脂肪酸アマイド誘導体:TB−11
5(松本油脂)、エレガンP100(日本油脂)、エリー
クSM−2(吉村油化学) ヒドロキシステアリン酸マイド シュウ酸−N,N'−ジステアリルアミドブチルエステ
ル:ヘキスト ポリオキシエチレンアルキルミド
【0317】(3) エーテル型 ポリオキシエチレンアルキルエーテル RO(CH2CH2O)nH ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル 特殊非イオン型:レジスタット104,PE100,1
16〜118(第一工業製薬)、レジスタットPE13
2,139(第一工業製薬)、エレガンE115,ケミ
スタット1005(日本油脂)、エリークBM−1(吉
村油化学)、エレクトロストリッパ−TS,TS2,
3,5,EA,EA2,3(花王石鹸)
【0318】(4) 多価アルコールエステル型 グリセリン脂肪酸エステル:ステアリン酸若しくはヒド
ロキシステアリン酸等のモノ、ジ、またはトリグリセラ
イド、モノグリ((日本樟脳)、TB−123(松本油
脂)、レジスタット113(第一工業製薬) ソルビタン脂肪酸エステル 特殊エステル:エリークBS−1(吉村油化学) 1−ヒドロキシエチル−2−ドデシルグリオキサゾリ
ン:(ブリティシュ・セロファン)
【0319】II.アニオン系 (1) スルホン酸類 アルキルスルホネート RSO3Na アルキルベンゼンスルホネート アルキルサルフェート ROSO3Na
【0320】(2) リン酸エステル型 アルキルホスフェート
【0321】III. カチオン系 (1) アミド型カチオン:レジスタットPE300,4
01,402,406,411(第一工業製薬)
【0322】(2) 四級アンモニウム塩 第4級アンモニウムクロライド 第4級アンモニウムサルフェート 第4級アンモニウムナイトレート カチミンCSM−9(吉村油化学)、CATANAC6
09(アメリカン・シアナミド)、デノン314C(丸
菱油化)、アーモスタット300(ライオン油脂)、1
00V(アーマー)、エレクトロストリッパ−ES(花
王石鹸)、ケミスタット2009A(日本油脂) Stearamido propyl−dimethy
l−β−hydroxyethyl ammonium
nitrate:CATANAC・SN(アリカン・ジ
アナミド)
【0323】IV.両性イオン系 (1) アルキルペタイン型:
【0324】(2) イミダゾリン型:レオスタット5
3,532(ライオン油脂)、AMS53(ライオン油
脂)、AMS303,313(ライオン油脂) アルキルイミダゾリン型
【0325】(3) 金属塩型: AMS576(ライオン油脂) レオスタット826,923(ライオン油脂) (RNR'CH2CH2CH2NCH2COO)2Mg {R≧C,R'=Hまたは(CH2)mCOO−}(ライオ
ン油脂) R=C38炭化水素、A=酸素またはイミノ基、M=有
機アミンまたは金属
【0326】(4) アルキルアラニン型:
【0327】V.導電性樹脂 ポリビニルベンジル型カチオン ポリアクリル酸型カチオン
【0328】VI.その他;レジスタット204,205
(第一工業製薬)、エレガン2E,100E(日本油
脂)、ケミスタット1002,1003,2010(日
本油脂)、エリーク51(吉村油化学)、ALROMI
NE RV−100(ガイギー)
【0329】以上の帯電防止剤の中で写真性及び人身に
与える悪影響が小さく、スタチックマーク発生防止効果
が大きいので、非イオン(ノニオン)系帯電防止剤が特
に好ましい。
【0330】その他、「便覧 ゴム・プラスチック配合
薬品 改定第2版」(KKラバーダイジェスト社発行)
の381〜388頁に記載されている帯電防止剤や「増
補帯電防止剤−高分子の表面改質−」(KK幸書房昭和
47年3月25日発行)の64〜104頁及び236〜
266頁に記載されている帯電防止剤や「別冊化学工業
プラスチック添加剤データ集」(KK化学工業社昭和
43年10月1日発行)の117〜153頁記載の帯電
防止剤から写真感光材料に悪影響を及ぼさない種類と添
加量を選択して用いることが帯電によりスタチックマー
クを写真感光材料に発生させやすい熱可塑性樹脂から成
る成形品にとっては好ましい。
【0331】その他無機塩化合物を帯電防止の目的で熱
可塑性樹脂中に0.01〜20重量%、好ましくは0.
05〜15重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%
添加する。
【0332】0.01重量%未満では添加効果がなく混
練経費増になるだけである。20重量%を越えても増量
効果がなく材料費増となるだけでなく発泡や銀条等の射
出成形故障が発生する。このような作用効果を有する無
機化合物としては例えばリチウム、ナトリウム、カリウ
ム、マグネシウム、カルシウム、鉛、鉄、銅、亜鉛、ア
ルミニウム、スズ、ストロンチウム、およびマンガンか
ら選ばれた少なくとも一つの元素の塩からなる無機塩化
合物であり、その中でも効果や経済性の面から特に好ま
しく用いられるものとしては、塩化ナトリウム、塩化カ
リウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化鉄お
よび塩化銅などの塩酸塩、硝酸カリウム、硝酸マグネシ
ウム、硝酸塩および硝酸亜鉛などの硝酸塩、硫酸ナトリ
ウム、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウムおよび硫酸
鉄などの硫酸塩、リン酸水素カリウムおよびリン酸ナト
リウムなどの酸塩、ホウ酸カリウムなどのホウ酸塩、な
らびに臭化ナトリウムおよび臭化リチウムなどの臭化物
があげられる。上記化合物は結晶水を有してもよい。
【0333】また、射出成形品に適度の滑り性、遮光性
物質の分散性向上、射出成形性向上、防曇性、帯電防止
性等を付与するために、炭素数1〜12、好ましくは1
〜6の脂肪族アルコールと、炭素数10〜22、好まし
くは12〜18の脂肪酸との化合物である脂肪族アルコ
ール系脂肪酸エステル、具体的には、モノグリセリンオ
レエート、ポリグリセリンオレエート、グリセリントリ
リシノレート、グリセリンアセチルリシノレート、メチ
ルアセチルリシノレート、エチルアセチルリシノレー
ト、ブチルアセチルリシノレート、プロピレングリコー
ルオレエート、プロピレングリコールラウレート、ペン
タエリスリトールオレエート、ポリエチレングリコール
オレエート、ポリプロピレングリコールオレエート、ポ
リオキシエチレングリセリン、ポリオキシプロピレング
リセリン、ソルビタンオレエート、ソルビタンラウレー
ト、ポリエチレングリコールソルビタンオレエート、ポ
リエチレングリコールソルビタンラウレート等、ならび
に、ポリアルキレンエーテルポリオール、具体的には、
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等
の少なくとも1種を0.5〜5重量%、好ましくは1〜
3重量%配合することが好ましい。
【0334】本発明の写真感光材料用成形品には、相溶
化剤を添加することができる。相溶化剤を添加すること
により、2種以上の樹脂をブレンドしても均一に熱溶融
混練が可能になり、成形品の物理強度や外観を改善する
ことができる。
【0335】相溶化剤の1種又は2種以上の合計含有量
は、0.01〜49.98重量%、2〜45重量%が好
ましく、5〜40重量%がより好ましく、8〜35重量
%が最も好ましい。合計含有量が2重量%未満である
と、添加効果がなく、混練経時増となるだけである。
【0336】また、合計含有量が49.98重量%を超
えると、増量効果がなく、コストアップとなるだけでな
う、成形品の物理強度が低下する。
【0337】相溶化剤とは、一般には、同種でも特性の
異なる熱可塑性樹脂、2種以上の熱可塑性樹脂、リサイ
クル熱可塑性樹脂とバージン熱可塑性樹脂(過去に成形
品に使用されたことがない樹脂、即ち、始めて成形品に
使用される樹脂のことを言う。以下同様)、遮光性物質
を高濃度に配合したマスターバッチ熱可塑性樹脂と希釈
用熱可塑性樹脂(ブレンドするもう一方の樹脂より遮光
性物質の濃度が低いか又は全く含んでいない樹脂のこと
を言う。以下同様)又はこれらを組み合せた樹脂のよう
に単一の熱可塑性樹脂にはない新しい性質、性能を発現
しようとする際、複数の樹脂の相溶化を達成できる物質
のことである。
【0338】相溶化剤には、非反応型相溶化剤と反応型
相溶化剤とがある。相溶化剤の具体的な代表例を以下に
示す。
【0339】非反応型相溶化剤の代表例 スチレン・エチレン・ブタジエンブロック共重合体樹脂 ポリエチレン・ポリスチレングラフト共重合体樹脂 ポリエチレン・ポリメチルメタクリレートグラフト共重
合体樹脂 ポリエチレン・ポリメチルメタクリレートブロック共重
合体樹脂 エチレン・プロピレン・ジエン共重合体樹脂 エチレン・プロピレン共重合体樹脂 ポリスチレン・低密度ホモポリエチレングラフト共重合
体樹脂 ポリスチレン・高密度ホモポリエチレングラフト共重合
体樹脂 水添スチレン・ブタジエン共重合体樹脂 スチレン・エチレン、ブタジエン・スチレン共重合体樹
脂 スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体樹脂 塩素化ポリエチレン樹脂 ポリプロピレン・ポリアミドグラフト共重合体樹脂 ポリプロピレン・エチレン・プロピレン・ジエン共重合
体樹脂 ポリスチレン・ポリアクリル酸エチルグラフト共重合体
樹脂 ポリスチレン・ポリブタジエングラフト共重合体樹脂 ポリスチレン・ポリメチルメタアクリレートブロック共
重合体樹脂 等
【0340】反応型相溶化剤の代表例 無水マレイン酸化エチレン・プロピレン共重合体樹脂 無水マレイン酸化スチレングラフト共重合体樹脂 無水マレイン酸化スチレン・ブタジエン・スチレン共重
合体樹脂 無水マレイン酸化スチレン・エチレン・ブタジエン・ス
チレン共重合体樹脂 エチレン・グリシジルメタクリレート共重合体樹脂 エチレン・グリシジルメタクリレート・スチレングラフ
ト共重合体樹脂 エチレン・グリシジルメタクリレート・メチルメタクリ
レートグラフト共重合体樹脂 無水マレイン酸グラフトポリプロピレン共重合体樹脂
【0341】内外の市販相溶化剤の代表例を表5に示
す。
【0342】
【表9】 S B S…スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体樹
脂の略号 SEBS…スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン
共重合体樹脂の略号 EPDM…エチレン・プロピレン・ジエン共重合体樹脂
の略号 E V A…エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂の略号
【0343】本発明の写真感光材料用射出成形品には、
キレート剤を添加することができる。キレート剤を添加
することにより、写真感光材料に悪影響を与える有害物
質を吸着無害化することができる。
【0344】キレート剤の添加量は、熱可塑性樹脂中に
0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜8重量
%、特に好ましくは0.1〜6重量%である。遮光性物
質と併用すると遮光性物質の分散性を改良し、脱臭効
果、写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼす物質やガス
の吸着無害化等の優れた効果を発揮する。
【0345】添加量が0.01重量%未満であると、添
加効果がほとんど発揮されずに混練経費増となるだけで
ある。また、添加量が10重量%を超えると、増量効果
がほとんど発揮されず、材料費増となるだけでなく、写
真感光材料用射出成形品の物理強度を低下させたり、外
観を悪化させる。
【0346】キレート剤としては、β−ジケトンキレー
ト化合物、例えば、アセチルアセトンカルシウム、アセ
チルアセトンアルミニウム、アセチルアセトンマグネシ
ウム等のアセチルアセトンキレート、ベンゾイルアセト
ンカリウム、ベンゾイルアセトンアルミニウム等のベン
ゾイルアセトンキレート、ベンゾイルトリフルオルアセ
トンナトリウム、ベンゾイルトリフルオルアセトンマグ
ネシウム等のベンゾイルトリフルオルアセトンキレー
ト、ジベンゾイルメタンマグネシウム、ジベンゾイルメ
タンカルシウム等のジベンゾイルメタンキレート等、カ
ルボン酸型フタロシアニン系金属錯体(金属フタロシア
ニンテトラカルボン酸、金属フタロシアニンオクタカル
ボン酸等)、イミノジ酢酸型キレート樹脂、アミノカル
ボン酸型キレート樹脂(EDTA=エチレンジアミン四
酢酸等)、ポリアミン型キレート樹脂、グルカミン型キ
レート樹脂、担持型キレート樹脂、4−ジメチルアミノ
−2・6−ピリジンジカルボン酸キレート樹脂、天然ゼ
オライト(analcime,chabazite,h
eulandite,erionite,ferrie
rite,laumontite,mordenite
等を成分とするゼオライト)、合成ゼオライト(A,N−
A,X,Y,hyadroxy sodalite,Z
K−5,B,R,D,T,L,hydroxy,can
crinite,W,Zeolaon等の各種の型のゼ
オライト)、アルミニウムキレート化合物(ジイソプロ
ポキシアルミニウムモノオレイルアセトアセテート、モ
ノイソプロポキシアルミニウムビスオレイルアセトアセ
テート、モノイソプロポキシアルミニウムモノエチルア
セトアセテートモノベンジルアセトアセテート、ジイソ
プロポキシアルミニウムモノステアリルアセトアセテー
ト、モノイソプロポキシアルミニウムモノメタアクリレ
ートモノエチルアセトアセテート、モノイソプロポキシ
アルミニウムモノオレイルアルコキシモノエチルアセト
アセテート等)、イソフタル酸ビス(2−フェノキシプ
ロピオニルヒドラジド)、3−サリシロイルアミノ−
1,2,4−トリアゾール、ビス〔3−(3,5−ジ第
三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒ
ドラジン、蓚酸ビス(ベンジリデンヒドラジド)、ビス
(サリシロイルヒドラジン)、N−サリシリデン、N’
−サリシロイルヒドラジン、N,N'−ジサリシリデン−
1,2−プロピレンジアミン、エチレンジアミンテトラ
酢酸及びそのアルカリ金属塩、N,N’−ビス〔3,
(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオニルオキシエチル〕蓚酸ジアミド、ドデカン二酸
ビス(N’−サリシロイルヒドラジン)、3,9−ビス
〔2−(2,4−ジアミノトリアジン−6−イル)エチ
ル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,
5〕ウンデカン等が代表的なものである。
【0347】写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼすこ
とが少なく二種以上の樹脂を混合した場合相溶性を改善
して物性向上、外観向上を達成することができ、遮光性
物質の分散性も向上できるので特に好ましいキレート剤
はエチレンジアミンテトラ酢酸金属(I族,II族ある
いはIII族)塩とβ−ジケトンキレート化合物であ
る。好ましい金属塩は、二ナトリウム塩,三ナトリウム
塩,四ナトリウム塩,二カリウム塩,三カリウム塩,四
カリウム塩,二ナトリウム−マグネシウム塩,二ナトリ
ウム−カルシウム塩、二ナトリウム−鉄塩、二ナトリウ
ム−亜鉛塩、二カリウム−マグネシウム塩等である。本
発明では上記のキレート剤の他に以下のキレート作用を
有する物質もキレート剤として含む。これらの物質の代
表例としては、けい藻土、活性白土、合成ケイ酸アルミ
ニウム、合成ケイ酸カルシウム、合成ケイ酸マグネシウ
ムがある。熱可塑性樹脂中への良好な分散性確保の点か
ら平均粒子径は0.1〜10μm、好ましくは0.1〜7
μm、特に好ましくは0.1〜5μmのものである。分
散性向上の点で前記遮光性物質の表面被覆物質(1)〜
(19)を併用することにより表面被覆状態で使用するこ
とが好ましい。β−ジケトンキレート化合物で遮光性物
質やハイドロタルサイト類化合物の表面を被覆処理する
量は、0.001〜10重量%、好ましくは0.005
〜8重量%、特に好ましくは0.01〜6重量%であ
る。
【0348】本発明の写真感光材料用射出成形品には、
繊維状又は非繊維状フィラーの1種又は2種以上を含ま
せることができる。この繊維状又は非繊維状フィラーの
1種又は2種以上を含ませることにより、カメラ本体や
シート写真フィルム撮影用ホルダーのように数年間くり
返し使用され、かつ、氷点以下の低温下や真夏の太陽光
下や熱帯地域のように高温下のような過酷な条件下で
も、寸法精度、剛性、耐摩擦性、耐熱性、耐寒性、耐衝
撃性、耐傷性を確保することができる。
【0349】繊維状又は非繊維状フィラーの1種以上
は、熱可塑性樹脂中に0.01〜49.9重量%含ま
れ、好ましくは0.05〜30重量%、より好ましくは
0.1〜20重量%である。含有量が0.01重量%未
満であれば、遮光性を確保できず、混練経費増となるだ
けである。また、含有量が49.9重量%を超えると、
分散性が悪化し、ミクログリッド(凝集不純物)の発生
が多くなり、銀条の発生が多くなり、物理強度が著しく
小さくなり実用化困難である。
【0350】上記繊維状又は非繊維状フィラーとして
は、球状、板状、円柱状、繊維状、無定形状、立体状等
各種形状のものを用いることができるが、寸法精度及び
物理強度向上の点で繊維状フィラーが好ましい。
【0351】繊維状フィラーとしては、例えば、ガラス
繊維(チョップドストランド、ロービング等)、ミルド
ファイバー、カットファイバー、ロックファイバー、ウ
オラストナイト、ミクロファイバー、プロセスドミネラ
ルファイバー、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、石こ
う繊維、チタン酸カリウムウィスカー、金属(軟鋼、ス
テンレス、動とその合金及びアルミとその合金等)短繊
維、炭化珪素繊維、アルミナ繊維、セラミック繊維、ア
スベスト繊維、アラミッド繊維、石綿等がある。これら
の繊維状フィラーの中で、写真感光材料に悪影響を及ぼ
すことがかく、かつ、均質なものを大量生産可能である
ので、ガラス繊維とチタン酸カリウムウィスカーが好ま
しい。
【0352】上記繊維状フィラーは、分散性、樹脂組成
物の流動性、成形品の外観等の点において、前記遮光性
物質において記載した表面被覆物質で表面処理法で処理
することが好ましく、特に、シラン系、クロム系、チタ
ン系のカップリング剤で処理することが好ましい。繊維
状フィラーの場合は、γ−ブリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン等のエポキシシラン、ビニルトリクロロシ
ランなどのビニルシラン、γ−アミノプロピルトリエト
キシシラン、などのアミノシラン等のシラン系カップリ
ング剤が好ましい。特に、繊維径が0.1〜30μm、
好ましくは0.2〜25μm、より好ましくは0.5〜
20μm、繊維長が0.5〜30mm、好ましくは1〜
25mm、より好ましくは1.5〜20mmのガラス短
繊維を各種カップリング剤で処理したものが好ましい。
【0353】繊維状フィラーの配合量は熱可塑性樹脂1
00重量部に対して1〜100重量部、好ましくは2〜
90重量部、特に好ましく3〜80重量部、最も好まし
くは5〜70重量部である配合量が1重量部より少ない
と配合効果がなく混練経費増となるだけである。100
重量部より多いと成形品の外観が悪化するだけでなく物
理強度が低下して実用化困難になる。
【0354】非繊維状フィラーで射出成形品の寸法精度
及び物理強度を向上させることが可能な強化フィラーの
代表例としては、ワラスナイト、セリサイト、カオリ
ン、マイカ、クレー、ベントナイト、アスベスト、タル
ク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、アルミナ、塩化
珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタ
ンなどの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウ
ム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バ
リウムなどの硫酸塩、ガラスビーズ、窒化ホウ素、炭化
珪素およびシリカなどが挙げられ,これらは中空であっ
てもよい。これら強化フィラーは2種以上を併用するこ
とが可能であり、配合量は繊維状フィラーと略同じであ
り必要によりビニルモノマーグラフト処理やシラン系、
クロム系およびチタン系などの上記繊維状フィラーに用
いた各種のカップリング剤で表面処理して使用すること
ができる。特に繊維状フィラーと非繊維状フィラーを混
合して使用すると寸法精度や外観がさらに良化する。
【0355】その他、遮光性物質の表面被覆物質で表面
被覆処理することが外観向上、物理強度向上、写真性悪
化防止等の点で好ましい。繊維状フィラー及び非繊維状
フィラーへの表面被覆量はこれらフィラーに対して0.
001〜10重量%、好ましくは0.005〜5重量
%、より好ましくは0.01〜3重量%、最も好ましく
は0.05〜1.5重量%である。被覆量が0.001
重量%未満ではフィラー表面の被覆効果がほとんど発揮
されない。被覆量が10重量%を越えると経時でブリー
ドアウトが多発し非結晶性樹脂組成物とスクリューとの
スリップが発生し、非結晶性樹脂組成物の吐出量が変動
して成形故障(ショートショットやバリ等)が多発す
る。
【0356】低温又は高温下のような過酷な使用条件下
でも耐摩耗性、耐熱性、耐寒性、耐衝撃強度、耐傷性が
優れ、高剛性で寸法精度を良くするためには、ポリカー
ボネート樹脂に遮光性物質と繊維状フィラー又は非繊維
状フィラーの1種以上を添加した樹脂組成物を用いて樹
脂温度(シリンダー温度)を250〜340℃、好まし
くは270〜330℃、特に好ましくは280〜320
℃、金型温度を70〜200℃、好ましくは80〜18
0℃、特に好ましくは90〜160℃、射出圧力を60
0から1800kg/cm2、好ましくは700〜15
00kg/cm2、特に好ましくは750〜1300k
g/cm2で射出成形する。
【0357】また、ポリカーボネート樹脂にγアミノプ
ルピルトリエトキシシラン等のアミノシラン系カップリ
ング剤で処理したガラス繊維を5〜50重量%、カーボ
ンブラックを0.1〜10重量%含有させたガラス繊維
強化遮光性ポリカーボネート樹脂組成物を用いて、樹脂
温度(シリンダー温度)を270〜330℃、金型温度
を70〜200℃で射出成形すると、ウェルドラインの
発生が少なく、外観の優れた、物理強度の良好な成形品
を得ることが出来る。
【0358】本発明の写真感光材料用射出成形品には、
可塑剤を添加することができる。可塑剤を添加すること
により、遮光性物質及び繊維状又は非繊維状フィラーや
ハイドロタルサイト類化合物等の分散均一性を向上させ
ることができる。
【0359】可塑剤の添加量は0.01〜10.0重量
%が好ましく、0.05〜7.0重量%がより好まし
く、0.1〜5.0重量%が最も好ましい。添加量が
0.01重量%未満であると、遮光性物質及び繊維状又
は非繊維状フィラーやハイドロタルサイト類化合物等の
均一分散性向上効果やブロッキング接着向上効果がほと
んど発揮されず、混練経費増となるだけである。添加量
が10.0重量%を超えると、押出し機のスクリューと
のスリップが発生して安定した樹脂量を押出すことが不
可能になる。
【0360】可塑剤の代表例を以下に示す。 (1) フタル酸系可塑剤 フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジオ
クチル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブチルラウリ
ル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ブチルベンジル、
ブチルフタリルブチルグリコレート等 (2) リン酸系可塑剤 リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル等 (3) 脂肪酸系可塑剤 クエン酸トリn−ブチル、アジピン酸ジオクチル、アゼ
ライン酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチル、アセチル
リシノール酸チル等 (4) エポキシ系可塑剤 アルキルエポキシステアレート、4,5−エポキシテト
ラヒドロフタル酸ジイソデシル等 (5) その他の可塑剤
【0361】本発明の写真感光材料用射出成形品には、
防滴剤を添加することができる。防滴剤を添加すること
により、高湿度化での使用や温度差の大きい環境下で使
用(低温倉庫や冷蔵庫から取り出しすぐ使用等)時の露
付きを防止でき、また滑剤や酸化防止剤等のブリードア
ウトし易い添加剤が白色粉末状に析出するのを抑制でき
る。
【0362】防滴剤の添加量は、0.01〜5.0重量
%が好ましく、0.1〜3.0重量%がより好ましい。
添加量が0.01重量%未満であれば、防滴効果や防曇
効果がほとんど発揮されず、混練経費増となるだけであ
る。また、滑剤や酸化防止剤等のブリードアウトしやす
い添加剤が白色粉末状に析出するのをおさえる効果が発
揮されない。また、添加量が5.0重量%を越えると、
防滴効果や防曇効果は充分発揮されるが増量した効果は
ほとんどなくなり、コストアップになるだけである。問
題なのは容器表面がベトツキ、ほこりや塵が付着しやす
くなり、写真フィルムに付着した場合は現像速度ムラを
発生させる。
【0363】防滴剤としては、ジグリセリンモノステア
リン酸エステル、ポリグリセリンモノパルミチン酸エス
テル、ソルビタンモノラウリン酸エステル、ソルビタン
モノステアリン酸エステル、ソルビタンモノオレイン酸
エステル、ソルビタンモノエルカ酸エステル、ポリオキ
シエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ステアリン酸モ
ノグリセライド、パルミチン酸モノグリセライド、オレ
イン酸モノグリセライド、ラウリン酸モノグリセライ
ド、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル、ソ
ルビタンセスキパ ミテート、ジグリセリンセスキオレ
エート、ソルビトール脂肪酸エステル、ソルビトール脂
肪酸・二塩基酸エステル、ジグリセリン脂肪酸・二塩基
酸エステル、グリセリン脂肪酸・二塩基酸エステル、ソ
ルビタン脂肪酸・二塩基酸エステル、ソルビタンパルミ
テート、ソルビタンステアレート、ソルビタンパルミテ
ート・プロピオレンオキサイド3モル付加物、ソルビタ
ンパルミテート・プロピオレンオキサイド2モル付加
物、ソルビトールステアレート、ソルビトールステアレ
ート・エチレンオキサイド3モル付加物、ジグリセリン
パルミテート、グリセリンパルミテート、グリセリンパ
ルミテート・エチレンオキサイド3モル付加物等があ
る。
【0364】また、防滴剤は、水の接触角度が45度以
下が好ましく、35度以下がより好ましい。また、吸水
性物質、吸湿性物質、防滴剤のいずれか2種以上をミッ
クスして用いることもできる。
【0365】防滴剤を含む射出成型品にコロナ放電処
理、オゾン接触処理、プラズマ処理等の表面活性化処理
を施すと、防曇作用及び防滴作用がさらに効果的に発揮
されるので好ましい。特に、射出成形品に適度の滑り
性、遮光性物質の分散性向上、射出成形性向上、防曇
性、帯電防止性等を付与するために、炭素数1〜12、
好ましくは1〜6の脂肪族アルコールと、炭素数10〜
22、好ましくは12〜18の脂肪酸との化合物である
脂肪族アルコール系脂肪酸エステル、具体的には、モノ
グリセリンオレエート、ポリグリセリオレエート、グリ
セリントリリシノレート、グリセリンアセチルリシノレ
ート、メチルアセチルリシノレート、エチルアセチルリ
シノレート、ブチルアセチルリシノレート、プロピレン
グリコールオレエート、プロポレングリコールラウレー
ト、ペンタエリスリトールオレエート、ポリエチレング
リコールオレエート、ポリプロジレングリコールオレエ
ート、ポリオキシエチレングリセリン、ポリオキシプロ
ピレングリセリン、ソルビタンオレエート、ソルビタン
ラウレート、ポリエチレングリコールソルビタンオレエ
ート、ポリエチレングリコールソルビタンラウレート
等、並びにポリアルキレンエーテルポリオール、具体的
には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール等の少なくとも1種を0.01〜5重量%、好まし
くは0.1〜3重量%配合することが好ましい。
【0366】本発明の写真感光材料用射出成形品には、
脱臭剤を添加することができる。脱臭剤を添加すること
により、熱可塑性樹脂や相溶化剤や他の低分子量の添加
剤の熱劣化や熱分解により発生するアルデヒドや酸の異
臭や写真感光材料中に添加されている防腐剤や硬膜剤等
の異臭が密封包装体に充満し、ユーザーに不快感を与え
るのを防止することができる。
【0367】脱臭剤の添加量は、0.1〜50重量%が
好ましく、0.5〜40重量%がより好ましく、1.0
〜30重量%が最も好ましい。添加量が0.1重量%未
満であると、添加効果が十分でなく、混練経費が増加す
るだけである。添加量が50重量%を越えると、増量効
果がほとんどなく、材料費が増加するだけでなく、写真
感光材料用包装材料の製造が困難になる。また。物理強
度が低下し、写真性が悪化し実用化困難になる。
【0368】脱臭剤としては、有機カルボン酸、有機カ
ルボン酸と亜鉛化合物との混合物、有機カルボン酸と亜
鉛化合物とアルミニウム化合物との混合物等がある。
【0369】有機カルボン酸としては、脂肪族ポリカル
ボン酸、芳香族ポリカルボン酸及びこれら脂肪族、芳香
族ポリカルボン酸と多価アルコール化合物との反応生成
物で末端がカルボキシル基の酸性ポリエステル化合物等
がある。
【0370】脂肪族ポリカルボン酸としては、ジュウ
酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、フマル酸、メチ
ルフマル酸、マレイン酸、メチルマレイン酸、イタコン
酸、アセチレン酸、リンゴ酸、メチルリンゴ酸、クエン
酸、イソクエン酸、メサコン酸、シトラコン酸等のジ又
はトリカルボン酸又はそれらの塩等があり、特に好まし
いものはクエン酸、フマル酸またはその塩である。
【0371】芳香族ポリカルボン酸としては、フタル
酸、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、ピ
ロメリット酸、ベンゼンヘキサトリカルボン酸、ナフタ
レンジカルボン酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタ
レンテトラカルボン酸、アゾベンゼンテトラカルボン酸
等の芳香族カルボン酸又はそれらの無水物等があり、特
に好ましいのはベンゼントリカルボン酸とトリリット酸
である。
【0372】末端がカルボキシル基の酸性ポリエステル
化合物としては、フタル酸等のポリカルボン酸とエチレ
ングリコール、ジエチレングリコール等の多価アルコー
ルとの反応した末端カルボキシル基のポリエステル、ポ
リカルボン酸で変性した酸性セルロース誘導体等があ
る。
【0373】有機カルボン酸と混合して併用される亜鉛
化合物としては、酸化亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、リン
酸亜鉛、炭酸亜鉛類の無機亜鉛塩及びクエン酸亜鉛、フ
マル酸亜鉛類の有機亜鉛塩等であって、有機カルボン
酸:亜鉛化合物=1:0.1〜3.0重量部の範囲が好
ましい。
【0374】また、有機カルボン酸、亜鉛化合物と混合
して併用されるアルミニウム化合物としては、硫酸アル
ミニウム、カリウム等であって、有機カルボン酸:亜鉛
化合物:アルミニウム化合物=1:0.1:0.1〜
1:3:3重量部の範囲が好ましい。
【0375】本発明の写真感光材料用成形品には、脱酸
素剤を添加することができる。脱酸素剤を添加すること
により、感光材料の写真性に悪影響を及ぼす酸素(感光
材料中の増感やカプラー等を経時により劣化させ感度異
常やカブリを発生させ、カラー印画紙やカラーネガ写真
フィルムでは発色が異常になりプリントの色バランスが
異常になったりする)を除去することができる。
【0376】脱酸素剤の添加量は、0.1〜50重量%
が好ましく、0.5〜40重量%がより好ましく、1.
0〜30重量%が最も好ましい。添加量が0.1重量%
未満であると、添加効果が十分でなく、混練経費が増加
するだけである。また、添加量が50重量%を越える
と、増量効果がほとんどなく、材料費が増加するだけで
なく、感光材料用包装材料の製造が困難になる。さらに
物理強度が低下し、写真性が悪化し実用化困難になる。
【0377】脱酸素剤としては、亜硫酸塩、亜硫酸水素
塩、亜ニチオン酸塩、ハイドロキノン、カチコール、レ
ゾルシン、ピロガロール、浸食子塩、アスコルビン酸、
及び/又はその塩、イソアスコルビン酸及び/又はその
塩、グルコース、リグニン、ジブチルヒドロキシトルエ
ン、ブチルヒドロキシアニソール、第1鉄塩、鉄粉等の
金属粉含有脱酸素剤、炭酸ガス発生型脱酸素剤、炭酸ガ
ス吸収型脱酸素剤、クリスパール、ゼオライト、ハイト
ロサルファイト、グルコースオキシターゼ、サルコミ
ン、アルカリ金属硫化物、炭酸アルカリ、チオ硫酸ナト
リウム、ナトリウム明礬、リン酸水素2ナトリウム12水
塩、ケイ酸ナトリウム含水塩、ホウ酸ナトリウム含水
塩、ケイ酸硫酸第1鉄7水塩、活性白土、モルデナイト
等がある。
【0378】好ましくは、ハイドロサルファイトを主成
分とするもの、L−アルコルビン酸等の有機物質を主成
分とするもの、鉄粉を主成分とするもの、鉄とケイ酸・
硫酸第1鉄7水塩、ナトリウム明礬、リン酸水素2ナト
リウム12塩、ケイ酸ナトリウム含水塩、ホウ酸ナトリウ
ム含水塩よりなる群より選ばれた少なくとも1種との混
合組成物、ハイドロサルファイトと水酸化カルシウム又
は重炭酸ナトリウム及び活性炭、鉄粉と促進塩類と含水
物質、被酸化性の金属粉とチオ硫酸ナトリウムと固体状
反応助材、鉄粉とチオ硫酸ナトリウムと活性炭、活性酸
化鉄、金属酸化物、パラジウム、糖類、酵素系である。
【0379】本発明の写真感光材料用成形品には、吸湿
剤を添加又は塗布又は含浸することができる。この場合
吸湿剤は透湿度が20g/m2・24時間以下の防湿フ
レキシブルシート層の内側(感光材料側)の層に配合又
は塗布又は含有させることが本発明では必須である。吸
湿剤を添加することにより、写真感光乳剤層中の色素や
カプラー等を破壊する包装体中の水分含有量を減少させ
ることができる。
【0380】吸湿剤の添加量は、0.1〜50重量%が
より好ましく、0.5〜40重量%がより好ましく、
1.0〜30重量%が最も好ましい。添加量が0.1重
量%未満であると、添加効果が十分でなく、混練経費が
増加するだけである。また、添加量が50重量%を越え
ると、増量効果がほとんどなく、材料費が増加するだけ
でなく、感光材料用包装材料の製造が困難になる。さら
に物理強度が低下し、写真性が悪化し実用化困難にな
る。
【0381】吸湿剤としては、カルボキシレート基含有
の吸水性樹脂、架橋性ポリアクリル酸アルカリ金属塩、
カルボキシレート含有のエチレン共重合体樹脂、アクリ
ル酸アクリル金属グラフト澱粉架橋剤、架橋ポリビニル
アルコール−アクリル酸アルカリ金属塩コポリマー、ポ
リビニルアルコール・無水マレイン酸コポリマー架橋
物、セルロース変性体、水溶性高分子の架橋剤、自己架
橋型アクリル酸アルカリ金属塩ポリマー、ポリアクリル
酸またはそのアルカリ塩、ポリアクリルアミドまたはそ
の部分加水分解物、ポリビニルピロリドン、スルホン化
ポリスチレン、ポリアクリルアミド2−メチルプロパン
スルホン酸ナトリウム、澱粉−アクリルニトリルのグラ
フト重合物またはその加水分解物、ポリアクリロニトリ
ルの加水分解物、アクリルアミドとアクリル酸の共重合
体、カルボキシメチルセルロース、ビニルスチレンスル
ホン酸、ポリアクリルアミドのマンニッヒ反応物、ポリ
アクリルアミン、ジメチルアミノエチルメタクリレート
のホモポリマーまたはアクリルアミドとの共重合物、ジ
メチルアミノエチルメタクリレートを塩化メチルで4級
化アンモニウム塩としたもののホモポリマーまたはその
アクリルアミドとの共重合物、ポリジメチルアリルアミ
ン4級アンモニウム塩、4級化ビニルベンジルアミンの
重合物、キトサンのアセチル化剤、エピクロルヒドリン
の多価アミンまたはモノアミンとの縮合反応物、高吸水
性樹脂粒子表面にポリアミドポリアミンエピクロルヒド
リン系熱硬化性樹脂を吸着させた後、熱硬化させた樹
脂、親水性ビニルモノマー(アクリルアミドの誘導体
等)と疏水性ビニルモノマー(メタクリレートの誘導
体)との共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重
合体のナトリウム塩、澱粉とアクリル酸およびアクリル
酸誘導体のグラフト共重体のナトリウム塩、カルボキシ
メチルセルロース多塩基酸部分架橋物、ポリエチレンオ
キシド部分架橋物、ポリアクリル酸部分架橋物、高吸水
性ポリマーの表面コーティング物、高吸水性ポリマーと
無機物(アタパルジャイト、カオリン、タルク、珪藻土
等)との混和物、アニオン性解離基を有する高吸水性樹
脂とカチオン性解離基を有する高吸水性樹脂との混合
物、澱粉アクリル酸、アクリル酸ナトリウム共重合物、
澱粉アクリル酸ナトリウム共重合物、等がある。
【0382】これらの中で好ましいのは、原料が澱粉ま
たはセルロースあるいは合成ポリマーの吸水能力の大き
いものである。
【0383】本発明の写真感光材料包装体としては、2
年間前後の長期間写真性能を良好に維持するために防湿
包装体内の関係湿度が30〜60%に調湿するように調
湿物質を写真感光材料と同封することが好ましい。この
ような調湿物質としては、多価アルコール、ゼオライ
ト、多孔質アルミナケイ酸リーダ、吸水性ポリマー、シ
リカゲル、塩化カルシウム、上述した吸湿剤等がある。
【0384】本発明の写真感光材料用成形品には、芳香
剤を添加又は塗布又は含有することができる。この場合
芳香剤は酸素透過率が2000cc/m2・24時間・
1気圧(測定条件20℃・65%RH)以下の酸素バリ
ヤフレキシブルシート層の内側(感光材料側)の層に配
合又は塗布又は含有させることが本発明では必須であ
る。芳香剤を添加することにより、密封された感光材料
包装体中の異臭や悪臭をユーザーが使用時にわかりにく
くし、ユーザーに快い香りとすることができる。
【0385】芳香剤の添加量は、0.005〜10重量
%が好ましく、0.01〜8重量%がより好ましく、
0.05〜5重量%が最も好ましい。添加量が0.00
5重量%未満であると、添加効果がほとんど発揮されず
に、混練経費増となるだけである。また、添加量が10
重量%を越えると、増量効果がほとんど発揮されずに材
料費増となるだけである。芳香剤の種類によっては感光
材料の写真性に悪影響を及ぼすようになったりユーザー
に不快感を与えるようになり実用化困難になる。
【0386】芳香剤としては、ライラック花精油、ジャ
スミン、アビエス油、シナモン油、ラベンダー油、レモ
ン油等の天然香気成分、ゲラニオール、オイゲノール、
n−オクチルアルコール、カルビトール、シス−シャス
モン、レモンテンペン、メントン、サリチル酸メチル、
メチルフェニルカルビノール、トリエチルサイトレー
ト、安息香酸ベンジル、シトラール、d−リモネン、ゲ
ラニオール、エチルシナメイト、オクタノール、ベンジ
ルベンゾエート、アルキレングリコール、サリチル酸ベ
ンジル、リナロール、バニリン、クマリン、メチルナフ
チルケトン、ローズフェノン等の合成香気成分がある。
【0387】そして、これらの香気成分をマイクロカプ
セルの微粒子化やサイクロテキストリン、マルトシルサ
イクロテキストリン、シクロテキストリン、ゼオライ
ト、デンプン、タルク等に含ませて用いる。
【0388】本発明の写真感光材料用成形品には、微生
物が作ったセルローズ繊維を添加することができる。こ
の微生物が作ったセルローズ繊維は、酢酸菌の一種であ
るアセトバクターセテが合成し、体外へ吐出した繊維を
十分に洗浄後乾燥した極細、高結晶化度でヤング率が大
きい繊維であり、直径が0.002〜0.1μmものが
好ましく、0.005〜0.08μmのものがより好まし
く、0.01〜0.06μmのものが最も好ましい。
【0389】このようなセルローズ繊維をホモポリエチ
レン樹脂、エチレン共重合体樹脂、ホモポリプロピレン
樹脂、プロピレン共重合体樹脂、ホモポリスチレン樹
脂、スチレン共重合体樹脂、ABS樹脂、ポリメタクリ
ル酸エステル樹脂、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテ
レフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポ
リブチレンテレフタレート樹脂等)、ピリアミド樹脂、
ホモポリアセタール樹脂、アセタール共重合体樹脂、ポ
リエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポ
リオレフィンエラストマーポリスチレンエラストマー、
ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂に、溶融ブレン
ド方法、溶液ブレンド方法等の公知の方法により含有さ
せることにより、平滑性や透明性を確保したままで物理
強度や剛性を大きくすることができる。例えば、微生物
が作ったセルローズ繊維を熱可塑性樹脂に1重量%含有
させると、引張強度は15%以上、剛性は20%以上、
ビカット軟化点温度は5℃以上向上する。
【0390】上記セルローズ繊維の熱可塑性樹脂へ含有
させる量は、0.01〜35重量%が適当で、0.05
〜30重量%が好ましく、0.1〜25重量%がより好
ましい、0.15〜20重量%が最も好ましい。含有量
が0.01重量%未満では、物理強度、剛性等が添加し
ない場合とほとんど差がなく、混練経費増となるだけで
あり、35重量%を超えると、成形品の物理用度の低下
が大きく脆弱になり、外観が悪化し、堅くなり過ぎて実
用化できなくなる。さらに、高価になるので、経済的に
も実用化出来なくなる。
【0391】本発明の写真感光材料用成形品に添加可能
な配合剤(添加剤)の代表名を以下に示す。
【0392】各配合剤の詳細については改訂増補「最新
顔料便覧」(昭和52年1月10日(株)誠文堂新光社発
行)や1994年版「新化学インデックス」(1993
年7月23日化学工業日報社発行)や「12394の化
学商品」(1994年1月26日化学工業日報社発行)
や「プラスチック データ ハンドブック」(1984年
4月5日(株)工業調査会発行)や「実用プラスチック用
語辞典第三版」((株)プラスチックス・エージ発行)等
各種文献に記載された配合剤(添加剤)の中から写真感
光材料に悪影響を及ぼさないように種類や添加量や他の
配合剤との組み合せによる無害化反応等を利用したり、
樹脂組成等を検討することによりほとんどの配合剤が本
発明の写真感光材料用射出成形品にも利用可能である。
代表例を以下に記載するが本発明はこれらに限定される
ものではない。
【0393】A.第1分類(ニーズに対する性能別の分
類) 1.加工用助剤 a.加工安定剤(酸化防止剤、熱安
定剤)(PVC安定剤) b.流動制御剤(可塑化剤、滑剤) c.保形助剤(離型剤、収縮防止剤)
【0394】2.改質配合剤 2−1 安定剤(寿命制御剤) a.酸化防止剤 b.耐光安定剤 c.難 燃 剤 d.生物安定剤(Biostabilizers) e.金属劣化防止剤(Metal deactivators) f.(劣化修復剤) 2−2 性能改質剤(物性制御剤) a.耐衝撃性改良剤(各種エラストマー、L−LDPE
樹脂) b.充てん材、補強材 c.着色剤 d.可塑剤 e.発泡剤 f.架橋剤(有機過酸化物) g.造核剤 2−3 機能改質剤(機能付与剤) a.導電剤、磁性剤 b.静電防止剤 c.蛍光白色剤 2−4 分解促進剤 a.生分解 b.光分解 c.熱分解 等
【0395】B.第2分類(配合剤の持つ属性別の分
類) 1.粉体改質剤 a.補強材/充てん材 b.核剤 c.加工助剤 d.粉/粉特殊構造体 2.反応性改質剤 a.架 橋 剤 b.マクロモノマー c.安定剤(熱、光、放射線、生物) d.分解促進剤(生物、光、熱) 3.界面改質剤 a.カップリング剤 b.相溶化剤 c.可塑剤/溶剤 4.高分子改質剤 a.加工性改良剤、性能改質剤 b.アロイ、ブレンド(性能改質) 等
【0396】本発明の写真感光材料用成形品は、写真感
光材料の写真性に悪影響を及ぼす写真性阻害物質の1種
又は2種以上の合計含有量が、1.0重量%以下である
ことが好ましく、0.5重量%以下であることがより好
ましい。
【0397】この写真性阻害物質は、増減感作用、カブ
リ増加作用のある物質(乳剤の種類や物質の種類により
差あり)、重金属イオン、還元剤(各種酸化防止剤、亜
硫酸イオンのごときもの)、アミン類、不安定な(遊離
しやすい)硫黄を有する化合物(架橋剤等)、表面活性
剤、Polyalkylene oxide、Alde
hyde、Ketone、Hydroxyaldehy
de、Dialdehyde、Unsaturaded
aldehyde、Halogenatedalde
hyde、Cyclohexadion、各種Dile
tone、α−Ketoaldehyde、Halog
enated ketone、Hydroxy ket
one、ホルマリンとアミンとの反応生成物(Tetr
amethylenehexamine等)、カルボン
酸(Ethylenediamine tetraac
etic acid等)、Phenol、脂肪族アミ
ン、等である。
【0398】これらの写真性阻害物質を減少させる手段
としては、加熱、真空等による蒸発脱気、熱分解、吸着
等である。
【0399】本発明の写真感光材料用成形品の代表例を
以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0400】(1) フィルム成形品 単層フィルム成形品(図1);特公平2−2700
号公報等 多層共押出しフィルム成形品(図2、図3、図
4); 単層フィルム成形品又は多層共押出しフィルム成形
品を用いた積層フィルム(図5、図6、図7);特公昭
63−26697号公報、特公平2−2701号公報、
特公平2−13774号公報、特公平2−19225号
公報等 上記〜のフレキシブルシートを用いた包装材
料;包装袋(ユニパック袋、1重平袋、2重平袋、1重
ガゼット袋、2重ガゼット袋等)、シュリング包装、バ
ルク包装体(特開平3−53243号公報、実開平3−
71346号公報等)集合包装等及び帯状感光材料の明
室装填用包装体実開昭55−113543号公報、実開
昭60−13386号公報、実開昭60−167796
号公報、特開平2−72347号公報、実開平3−47
547号公報、実開平3−54937号公報、実開平3
−86358号公報、実開平3−96648号公報等
【0401】(2) 真空成形品 写真ディスクフィルム用カートリッジ、写真フィルム用
スプール、レンズ付き写真フィルムユニット、写真フィ
ルムパトローネ用容器、遮光容器、樹脂製の写真フィル
ム用パトローネ、シート状またはロール状写真感光材料
の明室装填用遮光マガジン、巻芯、写真フィルム用カー
トリッジ、インスタント写真フィルム用パック、シート
状写真フィルム用ホルダー、写真フィルム撮影用カメ
ラ、カットフィルム用パック、写真感光材料現像処理機
等、
【0402】1.写真ディスクフィルム用カートリッ
ジ;実開昭60−21743号公報等
【0403】2.レンズ付フィルムユニット;特開昭6
3−226643号公報、実公平5−2919号公報、
特公平2−32615号公報、特開平6−11798号
公報等
【0404】3.写真フィルム用スプール;特開平1−
251030号公報、特開昭57−196218号公
報、特開昭59−15049号公報、USP19301
44号明細書、実開昭63−73742号公報、実開昭
54−120931号公報、実開昭58−178139
〜178145号公報、実公昭55−31541号公
報、特開昭58−203436号公報、特開昭58−8
2237号公報、特開昭58−82236号公報、実公
昭44−16777号公報、実開昭63−73742号
公報、特開昭62−240957号公報、特開平4−3
35638号公報、GB2199805A号明細書等
【0405】4.金属製写真フィルム用パトローネ;特
開昭54−111822号公報、特公昭45−6991
号公報、特公昭55−21089号公報、特開昭50−
33831号公報、特開昭56−87039号公報、実
開昭55−97738号公報、特開平1−312538
号公報、特開昭57−190948号公報、特開平4−
273240号公報、特開平4−320258号公報、
特開平4−335344号公報、特開平4−33563
9号公報、特開平4−343353号公報、特開平4−
349454号公報、USP4,846,418号明細
書、USP4,848,693号明細書、USP4,88
7,776号明細書
【0406】5.写真フィルムパトローネ用容器;特開
昭61−250639号公報、特開昭61−73947
号公報、実開昭60−163451号公報、USP
4,801,011号明細書、特開昭63−12104
7号公報、特開昭62−291639号公報、実開平1
−88940号公報、実開平1−113235号公報、
実開平1−152337号公報、実公平2−33236
号公報、実公平3−48581号公報、特公平2−38
939号公報、USP4,639,386号明細書、US
P4,801,011号明細書、USP4,979,351
号明細書、EP0237062A2号明細書、EP02
80065A1号明細書、EP0298375A2号明
細書等
【0407】最近開発された楕円形状の写真フィルムパ
トローネについて詳細に説明する。従来の135タイプ
の写真フィルムパトローネは、金属薄板製のパトローネ
本体に写真フィルムをロール状にして収納したものであ
る。この写真フィルムパトローネは、Pケースと称され
るポリオレフィン樹脂製の写真フィルムパトローネ用容
器に収納され、さらに表面にカラー印刷等の施された化
粧小箱(紙箱)で包装して販売されている。写真フィル
ムパトローネ用容器は、有底の容器本体と、容器本体の
開口端に緊密に装着される蓋とからなり、これらはいず
れもポリオレフィン樹脂の成形品で作られている。ま
た、従来の写真フィルムパトローネは、フィルム舌片が
パトローネから出ており、このフィルム舌片により容器
本体内でのがたつきが防止されている。
【0408】一方、例えば特開平5−127317号公
報や特開平5−150402号公報に記載されているよ
うに、パトローネ本体が樹脂製部品から構成され、スプ
ールを回転させることによって写真フィルムを送り出す
機能をもった写真フィルムパトローネが知られている。
このような写真フィルムパトローネでは、未使用状態で
写真フィルムがその先端も含めてパトローネ本体内に収
納されており、したがって、従来のフィルム舌片のよう
に、容器本体内でのがたつき防止効果が得られないとい
う問題がある。しかも、このようなフィルム送り出し機
能を有する写真フィルムパトローネの場合には、収納し
た写真フィルムパトローネを光密に保持するための蓋部
材などをフィルム通路に設ける必要があり、フィルム出
入り口の近くのポート部が従来のものに比べて大型化し
ている。このため、円筒型の容器本体にこのパトローネ
を収納する場合には、容器本体とパトローネとの間の隙
間が大きくなり、がたつきが出やすいという問題もあ
る。
【0409】これに対し、特開平5−297522号公
報には、容器本体内にスポンジやバネ体を配置して、蓋
を開くと収納した写真フィルムパトローネが容器本体か
ら突出するようにした写真フィルムパトローネ用容器が
提案されており、スポンジやバネ体等により写真フィル
ムパトローネの容器内でのがたつきも抑えられるように
なっている。しかしながら、スポンジやバネ体などの別
部材が必要になるため、製造コストが高くなるという問
題がある。また、特開平6−222512号公報には、
一片の摺接リブによりパトローネ側面を摺接させて、容
器内でのパトローネのがたつきを抑えるようにした写真
フィルムパトローネ用容器が提案されている。このよう
な摺接リブを備えた容器本体に、フィルム送り出し機能
を有する新タイプのパトローネを収納する場合には、パ
トローネの挿入方向によっては摺接リブにパトローネの
側面が摺接しなかったりする問題がある。更には、この
摺接リブがパトローネを逆方向から入れる場合に挿入時
の障害となることもある。
【0410】これらの問題を解決する方法として本発明
者は実開平2−105849号公報で写真フィルムパト
ローネ用容器本体に収納された写真フィルムパトローネ
を略固定状態に維持する固定手段が設けられた写真フィ
ルムパトローネ用容器キャップを提案している。さらに
樹脂製の写真フィルムパトローネの形状に合わせた特殊
形状の写真フィルムパトローネ用容器を特願平5−25
9780号で提案している。
【0411】これらの新規写真フィルムパトローネ(含
む各構成部品)及び新規写真フィルムパトローネ用容器
すべてが本発明の特定樹脂を用いた写真感光材料用成形
品とすると各種特性の優れたものとすることができる。
【0412】この新規写真フィルムパトローネについて
の詳細内容については、公知の以下の各種特許により公
知である。
【0413】次に、以上のような新規な楕円形状の写真
フィルムパトローネ用容器を成形する特に好ましい樹脂
材料について説明する。
【0414】写真フィルムパトローネ用容器を成形する
ための樹脂材料としては、ポリスチレン樹脂、ポリエチ
レン樹脂(高密度(HDPE)、中密度樹脂(MDP
E)、低密度樹脂(LDPE)、あるいはこれらの混合
物)、ポリプロピレン樹脂(ブロック共重合体樹脂、ラ
ンダム共重合体樹脂、単独重合体あるいはこれらの混合
物)等のオレフィン系樹脂、ポリブチレンテレフタレー
ト樹脂やポリエチレンテレフタレート樹脂やポリエチレ
ン−2, 6ナフタレート樹脂等のポリエステル樹脂系等
の熱可塑性をもつものが用いられる。
【0415】外部応力による変形を防ぐために、容器本
体は剛性の高い材料を用い、防湿性、開封容易性のため
に蓋は容器本体よりも剛性の低い材料を用いることが好
ましい。容器本体に用いる樹脂の曲げ弾性率は3000
kg/cm2以上が好ましく、より好ましくは6000
kg/cm2以上、さらに好ましくは8000kg/c
2以上、最も好ましくは1000kg/cm2以上であ
る。蓋に用いる樹脂の曲げ弾性率は800kg/cm2
以上、より好ましくは1000kg/cm2以上、さら
に好ましくは1200kg/cm2以上である。容器本
体と蓋の樹脂材料の好ましい組み合わせは、容器本体が
ポリプロピレン樹脂(プロピレン・αオレフィン共重合
体樹脂が特に好ましい)もしくは高密度ポリエチレン樹
脂(ホモポリエチレン樹脂又は密度0.941g/cm
3 以上のL−LDPE樹脂)、蓋が低密度ポリエチレン
樹脂(ホモポリエチレン樹脂又は密度0.930g/c
3以下のL−LDPE樹脂)である。
【0416】また、樹脂の流動性を示すMI(メルトイ
ンデックス)あるいはMFR(メルトフローレシオ)の
好ましい範囲は、容器本体においては7g/10分以
上、好ましくは10g/10分以上、さらに好ましくは
15g/10分以上、最も好ましくは17〜50g/1
0分である。蓋においては、5g/10分以上、好まし
くは8g/10分以上、さらに好ましくは12g/10
分以上、最も好ましくは15〜50g/10分である。
この値が容器本体で7g/10分未満、蓋で5g/10
分未満の樹脂を使用すると、成形時に樹脂の流れが悪く
なってショートショットや変形が発生しやすくなり、好
ましくない。
【0417】さらに、使用する樹脂には各種の添加剤を
加えることが好ましい。成形時の高温による樹脂の酸化
及び劣化を防ぐためには酸化防止剤が、射出成形性及び
写真フィルムパトローネの挿入性を向上させるためには
滑剤が、結晶化速度の向上、成形サイクルの短縮化、剛
性の向上及び変形防止、成形故障減少、物理的強度の向
上のためには造核剤が、また収納後の写真フィルムパト
ローネを熱や外光やX線から保護するには遮光性物質や
X線遮断物質が用いられる。
【0418】酸化防止剤には、酸化反応の連鎖伝播体で
ある遊離基(主としてROO・)と反応してこれを不活
性化させる遊離基連鎖停止剤と、遊離基の主要な発生源
であるヒドロペルオキシドROOHを分解して、これを
安定化する過酸化物分解剤とがある。前者としては、フ
ェノール系酸化防止剤と芳香族アミン系酸化防止剤があ
る。後者としては、硫黄系酸化防止剤とリン系酸化防止
剤がある。これらの理由からフェノール系酸化防止剤と
リン系酸化防止剤を混合使用することが好ましい。
【0419】各種酸化防止剤は写真感光材料に悪影響を
与える還元剤でもあるので、添加量は慎重に検討しない
と写真感光材料の品質劣化を大きくして問題になる。写
真フィルムパトローネ用容器に使用する樹脂の酸化分解
防止には、特にフェノール系及びリン系酸化防止剤をミ
ックスして用いるのが好ましい。以上のような酸化防止
剤の添加量は、ISO感度が100以上の写真フィルム
の場合は、0.0001〜2.0重量%、特に0.00
05〜1.0重量%が好ましく、0.001〜0.8重
量%がより好ましく、0.005〜0.5重量%が最も
好ましい。添加量が0.0001重量%未満であると添
加効果がほとんどなく、混練経費増になるだけである。
また、添加量が2.0重量%を越えると、酸化、還元作
用を利用している高感度の写真フィルムにカブリや感度
異常発生等の悪影響を及ぼす。
【0420】射出成形性の向上及び写真フィルムパトロ
ーネの挿入性を向上させるために添加される滑剤として
は、ベヘニン酸アミド、ステアリン酸アミド、パルミチ
ン酸アミド、ラウリン酸アミド等の飽和脂肪酸アミド系
滑剤、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド等の不飽和脂
肪酸アミド系滑剤、メチレンビスベヘニン酸アミド、メ
チレンビスステアリン酸アミド、メチレンビオオレイン
酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメ
チレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスオ
レイン酸アミド等のビス脂肪酸アミド系滑剤、ジメチル
ポリシロキサン及びその変性物のシリコーン系滑剤、非
イオン界面活性剤系滑剤、流動パラフィン、天然パラフ
ィン、マイクロワックス、合成パラフィン、ポリエチレ
ンワックス、ポリプロピレンワックス、塩素化炭化水
素、フルオロカーボン等の炭化水素系滑剤、高級脂肪酸
(C12以上が好ましい)等の脂肪酸系滑剤、脂肪酸の低
級アルコールエステル、脂肪酸のポリグリコールエステ
ル等のエステル系滑剤、多価アルコール、ポリグリコー
ル、ポリグリセロール等のアルコール系滑剤、ラウリン
酸、ステアリン酸、リシノール酸、ナフテン酸、オレイ
ン酸等の高級脂肪酸とLi、Mg、Ca、Sr、Ba、
Zn、Cd、Al、Sn、Pb等の金属との化合物等の
金属石鹸がある。これらの滑剤は単独で用いてもよい
し、必要によっては2種以上を併用しても良い。
【0421】以上のような滑剤の添加量は0.01〜
5.0重量%が好ましい。添加量が0.01重量%未満
では添加効果が殆どなく、混練経費増になるだけで、
5.0重量%を越えるとブリードアウトが発生したり、
スクリューのスリップが発生し、吐出量が不安定になっ
て成形故障が多発するだけでなく、樹脂との混練性が悪
化する。安価で、写真フィルムにカブリや感度異常発生
等の悪影響を与えず、ブリードアウトが早く、滑性向上
効果、射出成形サイクル短縮効果の大きい脂肪酸アミド
系滑剤の場合には0.01〜3.0重量%が好ましく、
特に0.02〜1.0重量%にすることが成形故障大幅
減少、ブリードアウト防止等の点から好ましい。また、
滑性効果の向上は小さいが、各種添加剤の分散性を向上
させ樹脂の流動性を良化させる炭化水素系滑剤や金属石
鹸等は、20重量%以下で射出成形性や写真性に問題が
発生しない量まで使用可能である。
【0422】造核剤は、結晶化速度向上、成形サイクル
短縮、剛性向上、透明度向上及び変形防止、成形故障減
少、物理強度向上等のためのものであるが、このために
添加される造核剤には有機造核剤と無機造核剤がある。
これらの代表例を以下に示す。
【0423】有機造核剤は、カルボン酸、ジカルボン
酸、これらの塩及び無水物、芳香族スルホン酸の塩及び
エステル、芳香族ホスフィン酸、芳香族ホスホン酸、芳
香族カルボン酸、そのアルミニウム塩、芳香族リン酸金
属塩、炭素数8〜30のアルキルアルコール、多価アル
コールとアルデヒドの縮合物ならびにアルキルアミンな
どであり、例えばp−t−ブチル安息香酸アルミニウ
ム、1,3・2,4ジベンジリデンソルビトール、ジ置
換ベンジリデンソルビトール化合物、ステアリル乳酸の
カルシウム、マグネシウム等の金属塩、N−(2−ヒド
ロキシエチル)−ステアリルアミン、1.2ヒドロキシ
ステアリン酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム
塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等の金属塩、ステア
リルアルコール、ラウリルアルコール等のアルキルアル
コール、安息香酸ソーダ、安息香酸、セバチン酸等を含
む。
【0424】無機造核剤は、水酸化リチウム、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、
酸化ナトリウム等のアルカリ金属酸化物、炭酸リチウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウ
ム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、水酸化
カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム等の
アルカリ土類金属水酸化物、炭酸カルシウム、酸化カル
シウム等のアルカリ土類金属酸化物等である。
【0425】造核剤はこれらに限定されるものではな
く、その他の公知の造核剤を用いることもできる。ま
た、造核剤は単独の場合に限らず、二種以上を併用する
こともできることはいうまでもない。造核剤の添加量は
0.01〜2.0重量%、好ましくは0.05〜1.1
0重量%が好ましい。添加量が0.01重量%以下では
ほとんど効果がなく、2.0重量%を越えても増量効果
がなくコストアップになるだけである。
【0426】収納した写真フィルムパトローネを外光か
ら保護するために写真フィルムパトローネ用容器に遮光
性を付与する場合には遮光性物質が用いられる。この遮
光性物質には、カーボンブラックやグラファイト、アル
ミニウム粉末、アルミニウムフレーク、酸化チタン、炭
酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、タル
ク、クレー、マイカ、ステンレス粉末、スターチ、錫粉
末、パール顔料、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、ガラス
ビーズ等がある。これらの遮光性物質は上記物質の単独
使用でも2種以上の併用でも、または染料等との併用で
もよい。上記、遮光性物質は表面に各種の表面処理を施
したものであってもよい。以上のような遮光性物質の添
加量は0.01〜49.9重量%が好ましく、添加量が
0.01重量%未満であると添加効果が殆どなく、混練
経費増になるだけである。49.9重量%を越えると、
添加効果がなくコストアップになるだけでなく、成形性
が悪化し、物理強度が低下して実用化困難である。
【0427】X線不透過機能を付与するには、本発明の
写真フィルムパトローネ用容器の成形樹脂材料中に、バ
リウム化合物、亜鉛又は亜鉛化合物、錫又は錫化合物、
鉛又は鉛化合物のうちの少なくとも一種を、10〜4
9.9重量%含ませればよい。ただし、外観や落下衝撃
強度は肉厚にしないと低下する。
【0428】上記写真フィルムパトローネ用容器2に要
求される防湿能力は、その中に収納される写真フィルム
の種類によって多少異なるが、20mg/24hour
以下、好ましくは15mg/24hour以下、特に好
ましくは10mg/24hour以下、最も好ましいの
は5mg/24hourである。この防湿能力を測定す
るには、容器本体3内に5g程度の塩化カルシウム等の
吸湿剤を入れて蓋4を装着した後、温度40℃、湿度9
0%RHの環境下に24時間放置して重量増加等の測定
を行うことによって評価することができる。
【0429】6.巻芯、リール;実開昭60−1078
48号公報、USP4,809,923号明細書、GB2
033873号B明細書
【0430】7.シート写真フィルム用マガジン;昭5
6−5141号公報等
【0431】8.写真フィルム用カートリッジ;実公昭
56−16610号公報、実開平2−24846号公
報、実開平2−29041号公報、実公昭60−120
448号公報、特開平1−312537号公報等
【0432】9.写真フィルム用ケース;USP4,7
79,756号明細書、実開昭54−100617号公
報、実開昭64−32343号公報、実開平1−942
58号公報、実開平2−56139号公報、EP024
2905A1号明細書、特公平2−54934号公報等
【0433】10.インスタントフィルム用パック;実開
昭61−41248号公報、特開昭62−240961
号公報等
【0434】11.樹脂製の写真フィルム用パトローネ;
特開昭50−33831号公報、特開昭57−1909
48号公報、特開平1−312538号公報、特公昭4
5−6991号公報、特公昭55−21089号公報、
実開昭55−97738号公報、米国特許第4,834,
306号明細書、米国特許第4,846,418号明細
書、米国特許第4,887,776号明細書等
【0435】12.シート写真フィルム用ホルダー 米国特許第4,725,865号明細書、米国特許第4,
821,055号明細書、特開平5−341378号公
報、特開平5−341379号公報、特開平5−341
378号公報、特開平5−341379号公報、特開平
5−341380号公報、特開平5−341381号公
報、特開平6−75291号公報、特開平6−7529
2号公報、特開平6−75293号公報等
【0436】写真感光材料用成形品を成形する方法は、
各成形品の形態により公知の方法を用いればよく、例え
ばインフレーションフィルム成形、エクストルージョン
ラミネート成形、射出成形、インジェクション・ブロー
組み合わせ成形、真空成形、真空圧空成形、プレス成
形、シート成形、Tダイフラットフィルム成形、圧空成
形、回転成形、金型内真空射出成形等の方法で成形す
る。
【0437】本発明の写真感光材料用成形品に、CAS
コード(カメラ自動検出コード)、バーコード、CIマ
ーク、商品名、取扱い説明、商品識別マーク、商品識別
色等、機能上必要な文字や記号、あるいは商品価値を高
めるために印刷を施すことができる。または、これらの
印刷を施した少なくとも縦方向に延伸したシュリンクフ
ィルムやラベルやレーベルを本発明の成形品に貼り付け
たり、熱収縮させ取付けた写真感光材料包装体としても
よい。これらの印刷に使用されるインキとしては、写真
感光材料に無害なものが選ばれ、一般に使用されている
オフセット印刷用インキ、グラビア印刷用インキ又はU
Vインキ等から選ぶことができる。
【0438】これらのインキに使用される代表的な合成
樹脂は、塩化ビニルを主体とする共重合体樹脂、ビニル
・アミノ樹脂、アルキド・ビニル樹脂、オイルフリーア
ルキド樹脂、塩酢ビ系、硝化綿、ポリエステル、ポリア
ミドウレタン、ポリアクリル、ロジン変性マレイン酸、
エチレン酢ビ、ビニールエーテル、ウレタン酢ビ、塩酢
ビウレタン樹脂、変性アルキッド樹脂、変性フェノール
樹脂、高分子ポリエステル・アミノ樹脂、低分子ポリエ
ステル・アミノ樹脂、アルカリ可溶型樹脂(ロジン変性
マレイン酸樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、スチレンア
クリル酸樹脂、アクリル酸エステルアクリル酸樹脂、メ
タクリル酸エステルアクリル酸樹脂)、ハイドロゾル型
樹脂(スチレンマレイン酸樹脂、スチレンアクリル酸樹
脂、α−メチルスチレンアクリル酸樹、アクリル酸エス
テルアクリル酸樹脂、メタクリル酸エステルアクリル酸
樹脂)、エマルジョン型樹脂(スチレン樹脂、スチレン
アクリル酸エステル樹脂、アクリル酸エステル共重合樹
脂、メタクリル酸エステル共重合樹脂)、VUインキ用
の樹脂としては、アクリル系不飽和基を持つポリマーが
一般的に使用されており、代表的な例としてはポリエス
テル/アクリル酸エステル、ポリエステル/ウレタン樹
脂/アクリル酸エステル、エポキシ樹脂/アクリル酸エ
ステル、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリ
メチロールプロパントリアクリレート、ヘキサンジオー
ルジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレ
ート、トリエチレングリコールジアクリレート、ヒドロ
キシエチレンメタクレートが挙げられる。
【0439】また、これらのインキには一般に知られて
いる着色剤が併用される。使用される着色剤としては、
特開昭63−44653号公報等に記載されている各種
顔料及びアゾ顔料(アゾレーキ;カーミン6B、レッド
2B、不溶性アゾ;モノアゾイエロ(PY−1、3)、
ジスアゾイエロ(PY−12、13、14、17、8
3)、ピラゾロオレンジ(PO−B−34)、バルカン
オレンジ(PO−16)、縮合アゾ系;クロモフタルイ
エロ(PY−93、95)、クロモフタルレッド(PR
−144、166)、多環式顔料(フタロシアニン系;
銅フタロシアニンブルー(PB−15、15−1、15
−3)、銅フタロシアニングリーン(PG−7)、シオ
キサジン系;ジオキサジンバイオレット(PV−2
3)、イソインドリノン系;イソインドリノンイエロ
(PY−109、110)、スレン系;ペリレン、ペリ
ノン、フラバントロン、チオインジゴ、レーキ顔料(マ
ラカイトグリーン、ローダミンB、ローダミンG、ビク
トリアブルーB)又無機顔料(酸化物;二酸化チタン、
ベンガラ、硫酸塩;沈降性硫酸バリウム、炭酸塩;沈降
性炭酸カルシムウ、珪酸塩;含水珪酸塩、無水珪酸塩、
金属粉;アルミニウム粉、ブロンズ粉、亜鉛末、その他
カーボンブラック、黄鉛、群青、紺青)等が挙げられ
る。またこれ等の顔料は遮光性物質として前述の樹脂層
等に添加しても構わない。この他に油溶性染料、分散性
染料等も使用される。代表的な染料を大別するとアゾ染
料、アントラキノン染料、インジゴ染料、フタロシアニ
ン染料、カルボニル染料等がある。その他インキを構成
する原材料として必要に応じて各種溶剤、分散剤、湿潤
剤、消泡剤、レベリング剤、増粘剤、安定剤、架橋剤、
ワックス等の添加剤が使用される。これらのインキ組成
物として用いられる合成樹脂や着色剤は塗料として成形
品の表面に塗布して商品価値の向上、耐摩耗性の向上、
遮光性の向上、写真性良化等の目的で用いることも好ま
しい。
【0440】さらに本発明の写真感光材料用成形品の商
品価値向上、印刷インキの印刷が美しく、且つ彩えるよ
うにする目的でベースコート層やトップコート層として
各種の塗料を塗布することができる。この塗料用樹脂と
顔料については前記記載のインキ用のものを用いること
が出来るが特にUV塗料、メラミンアルキド塗料、ウレ
タン塗料、メラミン塗料が好ましい。トップコート層は
透明なラッカー塗料、シリコーン系塗料、ウレタン塗
料、アクリルラッカー塗料を厚さ0.1〜30μm、好
ましくは0.3〜20μm、特に好ましくは0.5〜1
0μmの薄層で塗布することが好ましい。
【0441】本発明の写真感光材料用成形品が適用可能
な写真感光材料を以下に示す。 (1) ハロゲン化銀写真感光材料(印刷用フィルム、カ
ラーまたは白黒印画紙、カラーまたは白黒ネガフィル
ム、印刷用マスター紙、DTR(拡散転写)感光材料、
電算写植フィルム及びペーパー、カラーまたは白黒ポジ
フィルム、カラーリバーサルフィルム、マイクロフィル
ム、映画用フィルム、自己現像型写真感光材料、直接ポ
ジ型フィルム及びペーパー等)
【0442】(2) 熱現像感光材料[熱現像カラー感光
材料や熱現像白黒感光材料(例えば特公昭43−492
1号公報、同43−4924号公報、「写真工学の基
礎」銀塩写真編(1879年コロナ社刊行)の553頁
〜555頁及びリサーチ・ティスクロージャー誌 19
78年6月号9頁〜15頁(RD−17029)等に記
載されているもの。さらに、特開昭59−12431号
公報、同60−2950号公報、同61−52343号
公報や米国特許第4,584,267号明細書に記載さ
れている転写方式の熱現像カラー写真感光材料等)さら
にまた、ジアゾ化合物を用いた多色感熱記録材(例え
ば、特開昭59−190886号公報、特開昭61−4
0192号公報、特開昭61−40193号公報、特開
平3−288688号公報、特開平4−28585号公
報等]
【0443】(3) 感光・感熱性記録材料(特開平3−
72358号公報等に記載されているフォトサーモグラ
フィー(感光・感熱画像形成方法)を用いた記録材料)
【0444】(4) ジアゾニウム写真感光材料(4−モ
ルフォリノベンゼンジアゾニウムマイクロフィルム、マ
イクロフィルム、複写用フィルム、印刷用版材等)
【0445】(5) アジド、ジアジド系写真感光材料
(パラアジドベンゾエード、4,4’ジアジドスチルベ
ン等を含む感光材料、例えば複写用フィルム、印刷用版
材等)
【0446】(6) キノンジアジド系写真感光材料(オ
ルソーキノンジアジド、オルソーナフトキノンジアジド
系化合物、例えばベンゾキノン(1,2)−ジアジド−
(2)−4−スルフォン酸フェニルエーテル等を含む写真
感光材料、例えば印刷用版材、複写用フィルム、密着用
フィルム等)
【0447】(7) フォトポリマー(ビニル系モノマー
等を含む写真感光材料、印刷用版材、密着用フィルム
等)
【0448】(8) ポリビニル桂皮酸エステル系感光材
料(例えば印刷用フィルム、IC用レジスト等)
【0449】これらの写真感光材料を長期間(6ヵ月以
上)写真性が良好な状態に維持できるように、本発明の
写真感光材料用成形品を用いて包装体とする時に、写真
感光材料が透湿度(JIS Z 0208の条件Bで測
定)の値が20g/m2・24時間以下、好ましくは5
g/m2・24時間以下、特に好ましくは2g/m2・2
4時間以下、酸素透過度(モコン同圧測定法)の値が5
0cc/m2・24時間・1気圧・20℃以下、好まし
くは35cc/m2・24時間・1気圧・20℃以下、
特に好ましくは20cc/m2・24時間・1気圧・2
0℃以下となるよう密封包装体とすることが好ましい。
【0450】その他、各種の光や酸素や亜硫酸ガス等に
より変質、劣化する写真現像薬品、写真定着薬品等にも
適用できる。
【0451】また、本発明の写真感光材料成形品に用い
ることが好ましい各種構成の代表例を記載する。
【0452】最近、話題となっている先進的写真システ
ム(略号APS)に用いられる写真フィルムパトローネ
に用いる磁気記録層を担持した写真フィルム114の乳
剤感光材料(ハロゲン化銀感光材料)は、特開平6−3
5118号公報、特開平6−17528号公報、発明協
会公開技報94−6023に詳細に記載されている、予
め熱処理したポリエステル樹脂の薄層支持体、例えば、
ポリエチレン芳香族ジカルボキシレート系ポリエステル
樹脂(特に好ましくはエチレン−2, 6ナフタレート樹
脂)支持体で、50〜300μm、好ましくは50〜2
00μm、より好ましくは80〜115μm、特に好ま
しくは85〜105μmを40℃以上、ガラス転移点温
度以下の温度で1〜1500時間熱処理(アニール)
し、特公昭43−2603号公報、特公昭43−260
4号公報、特公昭45−3828号公報等に記載の紫外
線照射、特公昭48−5043号公報、特開昭51−1
31576号公報等に記載のコロナ放電、特公昭35−
7578号公報、特公昭46−43480号公報等に記
載のグロー放電等で表面処理し、米国特許第5,32
6,689号明細書に記載の下塗りを行い、必要に応じ
て米国特許第2,761,791号明細書に記載された
下引き層を設け、特開昭59−23505号公報、特開
平4−195726号公報、特開平6−59357号公
報等に記載の強磁性体粒子を塗布すればよい。
【0453】なお、上述した磁性層は、特開平4−12
4642号公報、特開平4−124645号公報等に記
載されたストライプ状でもよい。さらに、必要に応じ、
特開平4−62543号公報等に記載の帯電防止処理を
行い、最後にハロゲン化銀乳剤を塗布したものを用い
る。ここで用いるハロゲン化銀乳剤は、特開平4−16
6932号公報、特開平3−41436号公報、特開平
3−41437号公報等に記載のものを用いる。
【0454】こうして作る感光材料は、特公平4−86
817号公報等に記載の製造管理方法で製造し、特公平
6−87146号公報等に記載の方法で製造データを記
録するのが好ましい。その後、またはその前に、特開平
4−125560号公報等に記載される方法に従って、
従来の135サイズよりも細幅のフィルムにカットし、
従来よりも小さい小フォーマット画面にマッチするよう
にパーフォレーションを小フォーマット画面当たり片側
2穴穿孔する。
【0455】こうして出来た写真フィルムは、特開平4
−157459号公報等に記載のカートリッジ(パトロ
ーネ)包装体や特開平5−210202号公報の実施例
の図9記載のカートリッジ、または米国特許第4,22
1,479号明細書の写真フィルムパトローネや米国特
許第4,834,306号明細書、米国特許第4,83
4,366号明細書、米国特許第5,226,613号
明細書、米国特許第4,846,418号明細書等に記
載の写真フィルムカートリッジに入れて使用する。
【0456】ここで用いる写真フィルムカートリッジま
たは写真フィルムパトローネは、米国特許第4,848,
693号明細書、米国特許第5,317,355号明細
書等に記載の様にベロが収納できるタイプが光遮光性の
観点で好ましい。さらには、米国特許第5,296,8
86号明細書等に記載の様なロック機構を持ったカート
リッジや米国特許第5,347,334号明細書等に記
載される使用状態が表示されるカートリッジ、二重露光
防止機能を有する写真フィルムカートリッジが好まし
い。また、特開平6−85128号公報等に記載の様に
写真フィルムを単に写真フィルムカートリッジに差し込
むだけで容易に写真フィルムが装着される写真フィルム
カートリッジを用いてもよい。
【0457】こうして作られた写真フィルムカートリッ
ジは、次に述べるカメラや現像機、ラボ機器を用いて合
目的に撮影、現像処理、色々な写真の楽しみ方に使用で
きる。例えば、特開平6−8886号、特開平6−99
908号等の各公報に記載の簡易装填式のカメラや特開
平6−57398号、特開平6−101135号等の各
公報記載の自動巻き上げ式のカメラや特開平6−205
690号公報等に記載の撮影途中でフィルムの種類を取
り出し交換できるカメラや特開平5−293138号、
特開平5−283382号等の各公報記載の撮影時の情
報、例えば、パノラマ撮影、ハイヴィジョン撮影、通常
撮影(プリントアスペクト比選択の出来る磁気記録可
能)をフィルムに磁気記録できるカメラや特開平6−1
01194号公報記載の二重露光防止機能を有するカメ
ラや特開平5−150577号公報に記載の写真フィル
ム等の使用状態表示機能の付いたカメラなどを用いると
写真フィルムカートリッジ(パトローネ)の機能を充分
発揮できる。
【0458】この様にして撮影された写真フィルムは、
特開平6−222514号、特開平6−222545号
等の各公報記載の自現機で処理するか、処理の前または
最中または後で特開平6−95265号、特開平4−1
23054号等の各公報記載の写真フィルム上の磁気記
録の利用法を用いてもよいし、特開平5−19364号
等の各記載のアスペクト比選択機能を利用してもよい。
現像処理する際、シネ型現像であれば、特開平5−11
9461号等の各記載の方法でスプライスして処理す
る。また、現像処理する際または後、特開平6−148
805号公報等に記載のアタッチ、デタッチ処理する。
【0459】こうして処理した後で、特開平2−184
835号、特開平4−186335号、特開平6−79
968号公報記載の方法でカラーペーパーへのバックプ
リント、フロントプリントを経て写真フィルム情報をプ
リントへ変換してもよい。更には、特開平5−1135
3号、特開平5−232594号等の各公報に記載のイ
ンデックスプリント及び返却写真フィルムカートリッジ
と共に顧客に返却してもよい。
【0460】本発明の写真感光材料包装体は、上述した
写真感光材料用成形品を用いて写真感光材料が透湿度
(JIS Z 0208の条件Bで測定)の値が10g/
2・24時間以下、酸素透過度(モコン同圧測定法)の
値が50cc/m2・24時間・1気圧・20℃以下で
密封包装されていることを特徴として構成されている。
【0461】透湿度が10g/m2・24時間を越える
と、水分により劣化する増感色素やカプラーやハレーシ
ョン防止用色素や各種添加剤等を数多く含む写真感光材
料の写真性を長期間(6ヵ月以上)良好な状態に維持で
きない。さらに吸湿するとブロッキングしやすくなるゼ
ラチン層が支持体の表裏のいずれか一方または両方に存
在する写真感光材料ではブロッキングが発生しやすくな
り実用化困難である。
【0462】酸素透過度が50cc/m2・24時間・
1気圧・20℃を越えると、酸素により劣化する増感色
素やハレーション防止用色素やカプラーその他の酸化さ
れやすい写真感光材料の乳剤塗布層中の添加剤が劣化し
て写真性が悪化するので実用化困難である。特にカラー
バランスを要求されるカラー写真感光材料(ネガフィル
ム、ポジフィルム、印画紙、反転フィルム、オートポジ
フィルム、インスタントフィルム等)では実用化不可で
ある。
【0463】本発明の写真感光材料用成形品を成形する
には、例えば、150℃以上の樹脂温度にしたゴム含有
スチレン樹脂を主体とする樹脂組成物を、コア・キャビ
ティ部の壁面温度が70〜200℃の金型に射出充填
し、コア・キャビティ部の壁面温度が樹脂組成物中のス
チレン樹脂部分のガラス転移温度以下になった時点で成
形品を取出す。
【0464】また、本発明の写真感光材料用射出成形品
をポリスチレン系樹脂を用いて射出成形する他の例とし
ては、金型内のコア・キャビティー部の壁面温度を70
〜200℃にし、この状態で150℃以上で加熱溶融し
たゴム含有スチレン樹脂を射出充填する。壁面温度が7
0℃未満であると、樹脂の流動性が低下し、ショートシ
ョットやウェルドラインの発生がしやすくなり、成形品
の衝撃強度が低下する。また、壁面温度が200℃を超
えると、冷却時間が長くなり成形サイクルが長くなり生
産性が低下し、樹脂の熱劣化が大きくなり写真感光材料
の写真性に悪影響を及ぼす物質が発生したり、ブツ(異
物状の黒褐色の固り)の発生や金型表面の汚れ等が発生
し長時間の連続射出成形が困難になる。
【0465】そして、コア・キャビティー部の壁面温度
がゴム含有スチレン樹脂のガラス転移点温度以下、好ま
しくは70℃以下、より好ましくは60℃以下、最も好
ましくは50℃以下になった時、成形された写真感光材
料用成形品を取り出す。ガラス転移点温度より高い温度
の時取り出すと、射出成形品に変形が発生し、寸法精度
の悪い写真感光材料用射出成形品としては使用できない
射出成形品となる。
【0466】本発明の写真感光材料用射出成形品を製造
する時使用する樹脂ペレットの形状は樹脂ペレットの均
一溶融性確保(ブツの発生防止に有効)と2種以上(例
えばマスターバッチと希釈用樹脂)の樹脂をブレンドす
るときの均一化を図る目的でペレットの形状は球形,円
柱形,角柱形,平板形,正方形,長方形の形状のにたい
ずれか1つ又は2つの形状にすることが好ましい。特に
球形,円柱形とすることがペレットの空送適性,微粉末
の発生防止の点で好ましい。
【0467】この場合でもペレットの直径又は1辺の長
さは0.5〜10mm、好ましくは1〜8mm、特に好
ましくは2〜7mm、最も好ましくは3〜6mmとす
る。
【0468】ペレットの体積も均一溶融性確保等のため
に略等しいことが好ましく、差があっても3倍以内にす
べきである。
【0469】本発明の写真感光材料用成形品を防湿包装
材料に適用した場合、この防湿包装に使用する防湿包装
材料としては、包装袋、シュリンク包装、オーバーラッ
プ包装用として単層の熱可塑性樹脂フィルム、各種のフ
レキシブルシート(紙、セロハン、金属箔、熱可塑性樹
脂フィルム、金属蒸着フィルム、金属蒸着紙等)を接着
剤層を介して積層した積層フィルム、複数の熱可塑性樹
脂フィルムを同時に共押出しした多層共押出しフィル
ム、多層共押出しインフレーションフィルムの内層同士
を接着させた積層フィルム等がある。熱可塑性樹脂フィ
ルムは無延伸、一軸延伸、二軸延伸等の加工を施した各
種の樹脂フィルムがある。
【0470】ISO感度100以上の高感度写真感光材
料様防湿包装材料のJIS Z 0208条件Bで測定し
た透湿度は、5g/m2・24時間以下であり、好まし
くは3g/m2・24時間以下、より好ましくは1.5
g/m2・24時間以下である。透湿度が5g/m2・2
4時間を超えると、親水性高分子であるゼラチンを含む
写真感光材料の感光層や保護層やバック層が吸湿して粘
着性をおび接着故障を発生させたり、感光層中の各種色
素が劣化して感度低下、カブリ増加等、写真感光材料の
写真性に悪影響を及ぼす。特に高感度(ISO感度10
0以上)の写真感光材料ではこの傾向が大きく防湿性確
保は必須である。
【0471】
【作用】本発明の写真感光材料用成形品においては、分
子量分布が1.1〜7.0、MFRが0.1〜100g
/10分の熱可塑性樹脂が、耐熱性、耐摩耗性、硬度、
物理強度、寸法精度、外観の優れた成形品としている。
また、滑剤が、成形性向上、滑性向上、遮光性物質等の
分散性を向上させ写真性を向上させる。さらに、成形品
の外観向上、帯電防止性向上、写真フィルムの引出しト
ルク減少、写真感光材料のスリ傷発生防止、耐摩耗性向
上、樹脂組成物の流動性向上等多くの写真感光材料用成
形品として必要な多くの特性を優れたものとしている。
【0472】
【実施例】本発明の写真感光材料用成形品の代表的な実
施例を図面に基づいて説明するが本発明はこれらに限定
されるものではない。
【0473】図1から図4は写真感光材料用遮光性フィ
ルムの部分断面図である。
【0474】図1に示す写真感光材料用遮光性フィルム
は、本発明の写真感光材料用成形品としての遮光性熱可
塑性樹脂フィルム層1aのみからなる単層フィルムで形
成されている。
【0475】図2に示す写真感光材料用遮光性フィルム
は、本発明の写真感光材料用成形品としての遮光性熱可
塑性樹脂フィルム層1aと遮光性物質が添加された熱可
塑性樹脂フィルム層2aとからなる2層共押出しフィル
ムIIaで形成されている。
【0476】図3に示す写真感光材料用遮光性フィルム
は、本発明の写真感光材料用成形品としての遮光性熱可
塑性樹脂フィルム層1aと熱可塑性樹脂フィルム層2と
からなる2層共押出しフィルムIIaで形成されている。
【0477】図4に示す写真感光材料用遮光性フィルム
は、本発明の写真感光材料用成形品としての遮光性熱可
塑性樹脂フィルム層1aと遮光性物質が添加された熱可
塑性樹脂フィルム層2aとからなる2層共押出しフィル
ムIIaをブロッキングBにより接着積層して形成されて
いる。
【0478】図5に示す写真感光材料用遮光性フィルム
は、本発明の写真感光材料用成形品としての遮光性熱可
塑性樹脂フィルム層1aと熱可塑性樹脂フィルム層2と
からなる2層共押出しフィルムIIaをブロッキングBに
より接着積層して形成されている。
【0479】図6に示す写真感光材料用遮光性フィルム
は、本発明の写真感光材料用成形品としての遮光性熱可
塑性樹脂フィルム層1aに、接着剤層3を介してフレキ
シブルシート層4を積層して形成されている。
【0480】図7に示す写真感光材料用遮光性フィルム
は、本発明の写真感光材料用成形品としての遮光性熱可
塑性樹脂フィルム層1aと遮光性物質が添加された熱可
塑性樹脂フィルム層2aとからなる2層共押出しフィル
ムIIaに、接着剤層3を介してフレキシブルシート層4
を積層して形成されている。
【0481】図8に示す写真感光材料用遮光性フィルム
は、本発明の写真感光材料用成形品としての遮光性熱可
塑性樹脂フィルム層1aと遮光性物質が添加された熱可
塑性樹脂フィルム層2aとからなる2層共押出しフィル
ムIIaに、接着剤層3を介してフレキシブルシート層4
に金属薄膜5を加工した金属薄膜加工フレキシブルシー
ト6を積層して形成されている。
【0482】次に、前記図4に示す写真感光材料用遮光
性フィルムを製造する方法を、図9から図11に基づい
て説明する。
【0483】まず、遮光性熱可塑性樹脂フィルム層1a
用樹脂を押し出し機11に、遮光性物質が添加された熱
可塑性樹脂フィルム層2a用樹脂を押し出し機12に投
入し、それぞれ加熱溶融する。次に、リングダイス13
の内側のスリットから遮光性熱可塑性樹脂フィルム層1
a用樹脂を、外側のスリットから遮光性物質が添加され
た熱可塑性樹脂フィルム層2a用樹脂をそれぞれ押し出
し、遮光性熱可塑性樹脂フィルム層1a及び熱可塑性樹
脂フィルム層2aを形成する。このとき、送風管14か
らの圧縮空気とエアーリング15からの冷却空気によ
り、第9図中a部の拡大断面図である第10図に示すよ
うに、遮光性熱可塑性樹脂フィルム層1aと遮光性物質
が添加された熱可塑性樹脂フィルム層2aとからなる遮
光性2層共押出しインフレーションフィルムIIaが成形
される。
【0484】この遮光性2層共押出しインフレーション
フィルムIIaは、引取用スクイズロール(ニップロー
ル)16で引っ張られ、ガイドローラー17及びガイド
板18を介して上昇する。そして、引取用スクイズロー
ル16で圧着されて平板状に折り畳まれ、b部の拡大断
面図である第11図に示すように、遮光性熱可塑性樹脂
フィルム層1a同士がブロッキングBにより接着され、
写真感光材料用遮光性フィルムが完成する。
【0485】図12は、本発明の写真感光材料用成形品
としての写真フィルムパトローネ用容器20の切断断面
図で、この写真フィルムパトローネ用容器20は、容器
本体21と蓋22とで構成されており、容器本体21及
び蓋22の両方が本発明の写真感光材料用成形品であ
る。
【0486】図13は、本発明の写真感光材料用成形品
としての写真フィルムパトローネ用容器30の斜視図
で、この写真フィルムパトローネ用容器30は容器本体
31と蓋32とが一体に形成され、これらが本発明の遮
光性熱可塑性樹脂組成物で形成されている。
【0487】図14は、本発明の写真感光材料用成形品
としての写真フィルム用スプール40の正面図で、この
写真フィルム用スプール40全体が本発明の遮光性熱可
塑性樹脂組成物で形成されている。
【0488】図15は、本発明の写真感光材料用成形品
としての写真フィルム用遮光ケース50の断面図で、写
真フィルム用遮光ケース50は、容器本体51と蓋52
が一体に構成され、本発明の遮光性熱可塑性樹脂組成物
で形成されている。
【0489】図16は、本発明の写真感光材料用成形品
としての写真フィルム用カートリッジ60の分解斜視図
で、この写真フィルムカートリッジ60は、下部ケース
61及び上部ケース62と、これらに装填される写真フ
ィルムと遮光紙64を共巻き状態で巻き取るスプール6
3とで構成されており、下部ケース61及び上部ケース
62が本発明の遮光性熱可塑性樹脂組成物で形成されて
いる。
【0490】本発明の写真感光材料成形品を使用した写
真フィルムパトローネについて、図17及び図18を参
照して説明する。図17及び図18において、パトロー
ネ本体110は、各々プラスチックで形成された上ケー
ス111、下ケース112から構成されている。パトロ
ーネ本体110の内部にはスプール113が回動自在に
収納され、このスプール113に写真フィルム114が
ロール状に巻き付けられる。
【0491】上下ケース111、112はそれぞれ略半
円筒形状をしており、その一部にはそれぞれポート部1
15が突出して形成されている。上ケース111と下ケ
ース112とを嵌合させるときに、ポート部115内に
遮光蓋116が回転自在に嵌め込まれる。遮光蓋116
には平坦なフィルム通路117が形成され、遮光蓋11
6が開き位置に回動したときにはパトローネ本体110
内から送り出されてくる写真フィルム114の通路とな
る。また、遮光蓋116が閉じ位置に回動したときに
は、ポート部115の先端部分に形成される開口(写真
フィルム出入り口)が完全に閉じられ、パトローネ本体
110内は遮光状態となる。
【0492】下ケース112のポート部115の奥に
は、突起118が形成されている。この突起118は、
スプール113に巻かれた写真フィルム114の先端部
をすくい上げてフィルム通路117に導くためのガイド
である。
【0493】ディスク119、120には、それぞれ開
口119a、120aが形成されており、スプール11
3を各開口119a、120aに挿通することによりス
プール113の所定位置に嵌め込まれ、スプール113
に対し回転可能に軸着される。ディスク119、120
の外周には、リップ121がそれぞれ向き合うように突
出し、スプール113に巻かれた写真フィルム114の
最外周を両端面側から部分的に包み込むようになってい
る。
【0494】ディスク120は、使用表示部品123が
スプール113に嵌め込まれると、クラッチ爪124と
ディスク120の係止穴125とが、スプール113を
フィルム送り出し方向に回転したときに互いに係止し
て、ディスク120を強制的に回転できるようになる。
また、フィルム巻き込み方向にスプール113を回転し
たときには、クラッチ爪124とディスク120の係止
穴125とは係止せずにディスク120は自由に回転で
きる。また、他方のディスク119はスプール113に
対し回転自在のままである。なお、使用表示部品123
には扇形の表示板123aが一体化され、その位置をパ
トローネ本体110に形成された表示窓を通して確認す
ることによって、この写真フィルムパトローネの使用状
態が判別できるようになっている。
【0495】上ケース111、下ケース112の側面内
壁には側面リブ126が設けられ、ディスク119、1
20が互いに広がらないように規制している。スプール
113には扇形板127が固定され、その表面にはデー
タフランジラベル128が貼付される。このラベル12
8には放射状にバーコードが記されており、バーコード
はスプール113を回転したときにパトローネ本体11
0の側面に形成された窓129を通して光電検出され
る。これにより、パトローネ本体110内に収納された
写真フィルム114の品種情報、撮影枚数情報などを電
気的に検知することができる。なお、パトローネ本体1
10に貼付されるラベル130には、フィルム品種表示
やパトローネの固有番号などが表示される。
【0496】スプールロック部品131は、遮光蓋11
6が閉じ位置に回動したときに、スプール113が回転
しないようにロックする。このロックは、遮光蓋116
が開き位置に移動したときに解除される。なお、符号1
32は上ケース111に一体に形成されたロックポール
を示し、このロックポール132によって遮光蓋116
は閉じ位置に回動したときにロックされる。このロック
は、写真フィルムパトローネをカメラやディスプレイ装
置等の装置にセットしたときに、これらの装置に設けら
れた遮光蓋116の開放機構によって開示される。な
お、遮光蓋116を用いる代わりに、ポート部115の
内壁にフィルム通路を形成し、このフィルム通路にテレ
ンプを貼付することによってパトローネ本体110内を
光密に保つことも可能である。
【0497】図19に示したように、写真フィルム11
4がパトローネ本体110内に完全に巻き込まれている
状態では、写真フィルム114の最外周はディスク11
9、120のリップ121、121によって部分的に包
み込まれ、スプール113からの巻き緩みが防止されて
いる。これにより、スプール13が写真フィルム114
の送り出し方向に回転したとき、写真フィルム114は
スプール113とともに一体となって回転するようにな
る。
【0498】上下ケース111、112の側面内壁に設
けられた側面リブ126は、ディスク119、120が
互いに広がらないように規制しているが、ポート部11
5の奥ではその規制が解除されるように、対面し合った
側面リブ126相互間の間隔が広げられている。このた
め、突起118で写真フィルム114の先端がすくい上
げられた後、フィルム通路117に進むときには、ディ
スク119、120がわずかに外側に広がり、写真フィ
ルム114はリップ121、121の間から樋状カール
を作って送り出されるようになる。
【0499】なお、側面リブ126は片側だけに設けて
も同様の効果が期待できる。また、リップ121のフィ
ルム巻き緩みを解除する方法としては、一対の分離爪を
フィルム幅方向の両側に設け、一対の分離爪の外側面同
士で一対のリップを互いに離れる方向に向けて部分的に
常に変形させるようにしてもよい。
【0500】上記写真フィルムパトローネをカメラに装
填すると、カメラ側の機構によってロックポール132
による遮光蓋116の係止が解除された後、遮光蓋11
6が開き方向に回動される。その後、スプール113が
送り出し方向に駆動され、写真フィルム14の送り出し
が開始される。ディスク119、120の外周に形成し
たリップ121、121が写真フィルム114の巻き緩
みを防いでいるため、写真フィルム114はスプール1
13と一体となって回転する。この回転中に、写真フィ
ルム114の先端が突起118ですくい上げられ、フィ
ルム通路117に導かれる。
【0501】こうして写真フィルム114の先端がフィ
ルム通路117に導かれると、リップ121、121は
写真フィルム114により両側に押し広げられるため、
フィルム通路117の奥では写真フィルム114の包み
込みが解除される。なお、一方のディスク120はクラ
ッチ爪124と係止穴125との係合により強制的に送
り出し方向に回転されるため、写真フィルム114を送
り出す力が強められる。こうして写真フィルム114が
パトローネ本体110外に送り出されるようになる。
【0502】巻戻し時にはスプール113が逆向きに回
転される。写真フィルム114の後端はスプール113
に係止されているため、写真フィルム114はスプール
113の逆転によりパトローネ本体110内に巻き込ま
れる。このとき、フィルム通路117の奥ではディスク
119、120が広げられ、写真フィルム114はディ
スク119、120間に引き込まれ、スプール113に
巻き付けられる。
【0503】図20に示すように、ディスク119、1
20は互いに輪郭形状が同じとされている。開口119
a、120aは、写真フィルム114の両端を揃える面
138よりも一段凹んだ面139に形成されている。リ
ップ121は、面138の外周に、それぞれ他方のディ
スク119、120に向き合うように突出し、スプール
113に巻かれた写真フィルム114の最外周を両端面
側から部分的に包み込むようになっている。
【0504】リップ121の外周には鍔122が一体に
設けられている。鍔122は、リップ121が広がらな
いようにするための補強の作用をする。また、フィルム
巻き込みの際に写真フィルム114がリップ121の内
部に向けて入り込みやすいようにガイドする作用をもた
せるために、鍔122は対向する面122aの先端が互
いに離れるように傾斜した断面形状とされている。
【0505】ウェブ140は、ポリスチレン変性ポリフ
ェニレンエーテルにエラストマー成分を加えたもので、
ポリスチレンとポリフェニレンエーテルの比率は3対7
であり、エラストマー成分は12部とされている。な
お、必要に応じてシリコンや帯電防止剤を添加すること
もある。また、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレ
ンフィルム等を使用することもある。ウェブ140の厚
みは0.15mm±30%であり、好ましくは0.15
mm±20%、特に好ましくは0.15mm±10%と
なっている。また、ウェブ140の幅は、200〜30
0mmとなっている。
【0506】図21は、本発明の写真感光材料用成形品
としてのレンズ付きフィルムユニット80の分解斜視図
で、このレンズ付きフィルムユニット80は、写真フィ
ルムを巻きつけたスプール81を光密に収納する写真フ
ィルム用パトローネ82をさらに光密に収納するための
下部ケース83と、この下部ケース83を遮光的に密封
する上部ケース84とで構成され、これら下部ケース8
3及び上部ケース84が本発明のカーボンブラック及び
/又はアルミニウム粉末等を含むポリオレフィン樹脂組
成物で形成されているが、従来のものはカーボンブラッ
クを含むポリスチレン樹脂、ポリメチルメタアクリレー
ト樹脂、ポリカーボネート樹脂等の遮光性熱可塑性樹脂
組成物で形成されている。一方、レンズ85やファイン
ダー86等は無着色のポリカーボネート樹脂(PCと表
示)、ポリスチレン樹脂(PS樹脂と表示)やポリメチ
ルメタアクリレート樹脂(PMMA樹脂と表示)等の透
明熱可塑性樹脂組成物で形成されている。
【0507】図22は本発明の写真感光材料用成形品と
しての写真フィルムパトローネ用容器の平面図、図23
は同上写真フィルムパトローネ用容器の一部切り欠いた
断面図、図24は同上写真フィルムパトローネ用容器の
蓋を取った状態の斜視図、図25は同上写真フィルムパ
トローネ用容器の蓋を取った状態の平面図である。
【0508】この写真フィルムパトローネ用容器は、容
器本体151と蓋152とで構成され、容器本体151
には溝153が形成されるとともに、蓋152には溝1
53に嵌合する突起154が形成されている。また、蓋
152には、容器本体151より外側に突出した突出部
155が形成されている。
【0509】図26は、本発明の写真感光材料用成形品
としての帯状感光材料用コア240の反樹脂注入口側の
斜視図で、この帯状感光材料用コア240の全体が本発
明の樹脂組成物で形成されている。この帯状感光材料用
コアの外円筒242の内表面には高さ0.0001〜
0.07mmの環状の凸条243が複数本設けられてお
り帯状感光材料用コアの射出成形性や物理強度及び外観
を良化させている。
【0510】図27は、本発明の写真感光材料用成形品
としての袋入りシートフィルム用ホルダーの斜視図で、
このシートフィルム用ホルダー280はカメラの背部に
装着されて袋入り写真フィルムが出し入れされるもので
ある。
【0511】図28も、本発明の写真感光材料用成形品
としてのパック入りシート写真フィルム用ホルダーの斜
視図で、このシート写真フィルム用ホルダー290はカ
メラの背部に装着されてシート写真フィルム用パックが
出し入れされるものである。
【0512】図29に示す包装体はパトローネ入35m
m写真フィルム集合包装体で、このパトローネ入35m
m写真フィルム集合包装体270は、基板271に防湿
剤が混練された本発明の写真感光材料用成形品としての
透明プラスチックケース272が取付けられ、その中に
パトローネ入35mm写真フィルム273が収納されて
いる。
【0513】図30に示す包装体はレンズ付きフィルム
ユニット包装体で、このレンズ付フィルムユニット包装
体250は、図12に示すレンズ付きフィルムユニット
221から成るレンズ付きフィルムユニットを本発明の
写真感光材料用成形品としての包装袋251に密封収納
することにより製造される。
【0514】図31は、本発明の写真感光材料包装体を
構成するの写真フィルムパトローネ本体217の断面図
である。この図において符号217はパトローネ本体
で、このパトローネ本体217は、金属基体(厚さ0.
15〜0.35mmのティンフリースチールが好まし
い)261と、この金属基体261の外表面に塗布され
た白色顔料入下塗り層262とこの下塗り層262の表
面に印刷されたブランド名、模様、CIマーク、バーコ
ード等の着色インキ層263とから成る着色層265
と、この着色層265の外表面に設けられた透明又は半
透明の保護層264とで形成されている。金属基体26
1の内表面にはカーボンブラック入黒色塗布層が形成さ
れている。必要なら、黒色塗布層266の表面に保護層
264を設けてもよい。パトローネ本体260の両端を
封止するキャップ、内部に収納されるスプール220
は、本発明で構成されている。スプールに写真フィルム
を巻き付けた状態で図12、図13等の写真フィルム用
容器で密封包装する。
【0515】〔実施例1〕本発明品1〜8と比較品1〜
4は表10の(B)〜(E)と残りが(A)のゴム変性ポリス
チレン樹脂である写真感光材料用成形品である。
【0516】(A) 分子量分布が3.82、重量平均分
子量が25万、MFRが6.2g/10分、ロックウェ
ル硬度がM81、ノッチ付アイゾット衝撃強度が4.6
kg・cm/cm、熱変形温度が89℃(18.6kg
/cm2荷重)、曲げ弾性率が25700kg/cm2
ビカット軟化点が105℃、吸水性が0.04%、比重
(ASTM D 792)が1.05のゴム変性ポリスチ
レン樹脂(ゴム状物質として数量平均分子量が45万、
分子量分布が2.8Lロータを使用し、100℃で測定
したムーニ粘度が86、電子顕微鏡で測定したゴム粒径
が5.2μmのポリブタジエンゴムを3重量%含有)
【0517】(B) 滑剤B1;ステアリン酸 滑剤B2;ステアリン酸亜鉛 滑剤B3;ステアリン酸カルシウム 滑剤B4;ソルビタンモノステアリン酸エステル 滑剤B5;ポリジメチルシロキサン(25℃の粘度が
1.2万センチストークス) 滑剤B6;ポリエチレンワックス(数平均分子量4,0
00) 滑剤B7;メチレンビスオレイン酸アミド
【0518】 (C) 遮光性物質C1;ファーネスカーボンブラック 遮光性物質C2;アセチレンブラック 遮光性物質C3;チャンネルカーボンブラック 遮光性物質C4;二酸化チタン
【0519】(D) 劣化防止剤D1;ステアリル−β−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート 劣化防止剤D2;n−オクタデシル−β−(4’−ヒド
ロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネ
ート 劣化防止剤D3;2,2’−ジ−ヒドロキシ−3,3’
−ジ−シクロヘキシル−5,5’−ジ−メチルフェニル
メタン
【0520】(E) 帯電防止剤E1;N−(2−ヒドロ
キシヘキサデシル)エタノールアミン 帯電防止剤E2;グリセリンエステル混合物(グリセリ
ンモノエステルの含有量70重量%以上)
【0521】表10の樹脂組成物を用いて試験用の成形
品を製造し、この成形品の静摩擦係数、ノッチ付アイゾ
ット衝撃強度、耐摩耗性、表面固有抵抗を測定した。さ
らに表10の樹脂組成物を用いて写真感光材料用成形品
である図14の写真フィルム用スプール、図16の写真
フィルム用カートリッジ、図17の樹脂製の写真フィル
ム用パトローネのパトローネ本体110を構成している
上ケース111と下ケース112と、パトローネ本体1
10の内部に回動自在に収納されたスプール113、遮
光蓋116、図21のレンズ付きフィルムユニット80
のスプール81と、下部ケース83と上部ケース84を
射出成形し、射出成形性をISO感度400のカラーネ
ガ写真フィルムを適用後写真撮影をした結果より光カブ
リ写真性及び各写真感光材料用成形品適性を評価した。
【0522】
【表10】
【0523】評価は下記による。 ◎…非常に優れている(表面固有抵抗の場合は1×10
12Ω以下) ○…優れている(表面固有抵抗の場合は1.1×1012
〜1×1013) ●…実用限度(表面固有抵抗の場合は1.1×1013
1×1015) ▲…改良必要(表面固有抵抗の場合は1.1×1015
1×1016) ×…実用化困難または実用化不可(表面固有抵抗の場合
は1.1×1016以上)
【0524】試験方法を以下に示す。 (イ) 静摩擦係数 引張試験機を用いてステンレス板を使用した滑り面に置
かれた試験片を、クロスヘッド・スピード1000mm
/分で、かつ荷重が500gの条件下で水平に引っ張っ
て測定(測定温度20℃、湿度60%RH)して評価。
【0525】(ロ) ノッチ付アイゾット衝撃強度 ASTM D 256に準じて測定して評価。
【0526】(ハ) 光カブリ 各写真感光材料用成形品にISO感度400のカラーネ
ガ写真フィルムを適用後8万Luxのキセノンランプ下
に1時間放置後現像処理してブランクに対する光カブリ
による濃度増加より評価。
【0527】(ニ) 射出成形性 各写真感光材料用成形品を表10の各樹脂組成物を用い
て射出成形した時の成形故障の発生度合、離型性、目付
け量の変動、射出圧力、成形サイクル等を総合評価。
【0528】(ホ) 耐摩耗性 テーバ摩耗試験機を用い、荷重1kg、回転速度150
00mm/分の条件で1時間共材による摩耗試験を行な
った時の摩耗量で評価。
【0529】(ヘ) 写真性 各成形品にISO感度400のネガカラー写真フィルム
を適用後35℃70%RHの条件下に1ヵ月放置後現像
処理し、カブリの増加、感度の変化、発色変化、階調変
化を放置前(ブランク)の値と比較して評価。
【0530】(ト) 表面固有抵抗 ASTM D 257に準じて測定した値より評価。
【0531】(チ) 写真フィルム用スプール適性 本発明の写真感光材料用成形品の写真フィルム用スプー
ルに24枚撮りのISO感度400のネガカラー写真フ
ィルムを適用後、現行の金属製の写真フィルム用パトロ
ーネで完全遮光したものをカメラに装填し、屋外で撮影
した時の写真フィルムの巻き上げトルク、写真性、光カ
ブリ、耐摩耗性、帯電防止性、寸法精度、強度、射出成
形適性、外観、写真フィルムのパーホレーション切れ防
止性等を総合評価。
【0532】(リ) 写真フィルム用カートリッジ適性 本発明の写真感光材料用成形品の写真フィルム用カート
リッジに24枚撮りのISO感度400のネガカラー写
真フィルムを適用後、屋外で撮影した時の写真フィルム
の巻き上げトルク、写真性、光カブリ、耐摩耗性、帯電
防止性、寸法精度、落下強度、太陽光下放置時の変形防
止性と品質維持性、射出成形適性、外観等を総合評価。
【0533】(ヌ) 樹脂製の写真フィルム用パトローネ
適性 本発明の写真感光材料用成形品の樹脂製の写真フィルム
用パトローネに36枚撮りのISO感度400のネガカ
ラー写真フィルムを適用後、屋外で撮影した時の写真フ
ィルムの巻き上げトルク、写真性、光カブリ、耐摩耗
性、帯電防止性、寸法精度、落下強度、太陽光下放置時
の変形防止性と品質維持性、射出成形適性、外観等を総
合評価。
【0534】(ル) レンズ付きフィルムユニット適性 本発明の写真感光材料用成形品のレンズ付きフィルムユ
ニットに(チ)の写真フィルム用スプールに24枚撮りの
ISO感度400のネガカラー写真フィルムを適用後、
現行の金属製の写真フィルム用パトローネで完全遮光し
たものを適用後、屋外で撮影した時の写真フィルムの巻
き上げトルク、写真性、光カブリ、耐摩耗性、帯電防止
性、寸法精度、落下強度、太陽光下放置時の変形防止性
と品質維持性、射出成形適性、外観等を総合評価。
【0535】〔実施例2〕本発明品9〜14と比較品5
〜6は表11の滑剤B〜相溶化剤Fと残りがAの熱可塑
性樹脂であるホモ高密度ポリエチレン樹脂(A1)と高密
度エチレン・ブテン−1共重合体樹脂(A2)とプロピ
レン・エチレンランダム共重合体樹脂(A3)のいずれ
かを50重量%以上含む写真感光材料用成形品の1種の
写真フィルムパトローネ用容器本体である。
【0536】(A) 熱可塑性樹脂A1;高密度ホモポリ
エチレン樹脂(以下、HDPE樹脂と表示)は、GPC
法による分子量分布が5.2、MFR(JIS K 67
60)が35g/10分、密度(JIS K 6760)が
0.970g/cm3、23℃のノッチ付アイゾット衝
撃強度(JIS K 7110)が2.5kg・cm/c
m、曲げ弾性率(JIS K 7203)が13000k
g/cm2、ビカット軟化点(JIS K 6760)が
121℃、デュロ硬度(JIS K 6760)が73D
の高密度ホモポリエチレン樹脂(本発明ではαオレフィ
ン含有量が1%未満のエチレン・αオレフィン共重合体
樹脂を含む)である。
【0537】熱可塑性樹脂A2;高密度エチレン・ブテ
ン−1共重合体樹脂は、GPC法による分子量分布が
3.5、MFR(JIS K 6758)が43g/10
分、密度(JIS K 7112)が0.955g/c
3、アイゾット衝撃強度(JISK 7110)が1
1.8kg・cm/cm、曲げ弾性率(JIS K 72
03)が15,500kg/cm2、ビカット軟化点(JI
S K 7206)が133℃、デュロ硬度(ASTM D
−2240)が75Dの高密度エチレン・ブテン−1共
重合体樹脂(本発明ではαオレフィン含有量が1%以上
のエチレン・αオレフィン共重合体樹脂をL−LDPE
樹脂とする)である。
【0538】熱可塑性樹脂A3;プロピレン・エチレン
ランダム共重合体樹脂は、GPC法による分子量分布が
4.7、MFR(JIS K 7210)が40g/10
分、密度(JIS K 7112)が0.905g/c
3、アイゾット衝撃強度(JIS K 7110)が3.
1kg・cm/cm、曲げ弾性率(JIS K 720
3)が12300kg/cm2、ビカット軟化点(AST
M D 1525)が140℃、ロックウェル硬度(AS
TM D 785)が85Rのプスピレン・エチレンラン
ダム共重合体樹脂(エチレン含有量3.3重量%)であ
る。
【0539】(B) 滑剤B1;ステアリン酸 滑剤B2;ステアリン酸亜鉛 滑剤B3;ステアリン酸カルシウム 滑剤B4;オレイン酸アミド 滑剤B5;メチレンビスオレイン酸アミド
【0540】(C) 遮光性物質C1;ファーネスカーボ
ンブラック 遮光性物質C2;Fe23 遮光性物質C3;鉄黒(Fe34) 遮光性物質C4;二酸化チタン 遮光性物質C5;アルミニウム粉末 遮光性物質C6;アンスラキノンイエロー
【0541】(D) 劣化防止剤D1;ステアリル−β−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート 劣化防止剤D2;n−オクタデシル−β−(4’−ヒド
ロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネ
ート 劣化防止剤D3;テトラキス〔メチレン−3(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート〕メタン 劣化防止剤D4;トリス−(2,4−ジ−t−ブチルフ
ェニル)ホスファイト 劣化防止剤D5;ハイドロタルサイト類化合物
【0542】(E) 造核剤E1;1,3−Pメチルベン
ジリデン−2,4−Pクロルベンジリデンソルビトール
(ステアリン酸で表面被覆) 造核剤E2;微細炭酸カルシウム(ステアリン酸で表面
被覆)
【0543】(F) 相溶化剤F1;無水マレイン酸変性
エチレン・ブテン−1共重合体樹脂 相溶化剤F2;無水マレイン酸変性プロピレン・エチレ
ン共重合体樹脂
【0544】表11の樹脂組成物を用いて図12に相当
する写真フィルムパトローネ用容器20の容器本体21
と、図24に相当する写真フィルムパトローネ用容器本
体151をホットランナータイプの金型を用い射出成形
方法により成形し、この写真フィルムパトローネ用容器
本体の射出成形性、耐摩耗性、写真フィルムパトローネ
の出し入れ適性、写真性、成形故障発生防止性、樹脂熱
劣化防止性、HAZE、容器本体間の滑りを評価した。
結果を表11に示す。
【0545】表11の結果の他に本発明品は金型に錆が
長期間発生しないが比較品は錆が短期間に発生した(図
12に相当する容器本体も図24に相当する容器本体共
略同じ結果が得られたので平均した評価として表11に
表示した。)。
【0546】
【表11】
【0547】評価は下記による。 ◎……非常に優れている ○……優れている ●……実用限度 ▲……改良必要 ×……実用化困難
【0548】(a) 射出成形性 射出圧力、樹脂流動性、成形許容範囲、金型からの離型
性、成形サイクル等の射出成形性を総合評価。
【0549】(b) 耐摩耗性 射出成形後、20℃60%RHの恒温・恒湿室に1日放
置後パトローネ入36枚撮りのカラーネガ写真フィルム
を容器本体に挿入し、容器キャップで密封後、振巾5m
m、振動数550回/分の条件でJIS Z 0232規
定の振動試験機で60分間振動させた時に発生する容器
本体の摩耗クズとスリ傷を目視検査により評価。
【0550】(c) 写真フィルムパトローネの取出性 板に固定した容器本体に36枚撮り写真フィルムパトロ
ーネを挿入し両面テープで容器本体を板に固定後、板を
傾けていって写真フィルムパトローネが容器本体から滑
り出す角度を求め評価。角度が小さい程、写真フィルム
パトローネの取出性が優れていると評価。
【0551】(d) 写真性 容器本体に36枚撮りのパトローネ入り写真フィルム
(ISO感度400のカラーネガ写真フィルム)を挿入
し、容器キャップで密封後35℃85%RHの恒温・恒
湿室に30日間放置後現象した時のカブリ増加、感度異
常、発色異常等の写真特性異常の多少を総合評価。
【0552】(e) 成形故障発生防止性 ショートショット、底ヒケ、変形、ゲート残、外観不良
等の射出成形故障の発生の多少を総合評価。
【0553】(f) 樹脂熱劣化防止性 樹脂焼けによる黒褐色の固まりの発生、着色故障の発生
の多少により評価。
【0554】(g) HAZE 射出成形した容器本体の底部をASTM D 1003に
準じて測定し評価。
【0555】(h) 容器本体間の滑り 板上に2個の容器本体を互いに接する状態で両面粘着テ
ープで固定し、その上に36枚撮りのパトローネ入り写
真フィルムを挿入した容器本体を底を先頭になる状態で
乗せ(俵積みにした形)、板を傾けて行き、乗せた写真
フィルムパトローネ入の容器本体が滑り始める角度を測
定し評価。角度が小さい程優れていると評価。
【0556】(i) 総合評価 上記(a)〜(h)の特性を総合評価。
【0557】〔比較品7〕本発明品9の熱可塑性樹脂A
1を下記の熱可塑性樹脂D1に変更した他は他の添加剤
と量は同一の樹脂組成物から成る写真フィルムパトロー
ネ用容器本体である。
【0558】熱可塑性樹脂D1は分子量分布が12.
2、MFRが50g/10分、密度が0.955g/c
3、23℃のノッチ付きアイゾット衝撃強度が1.8
kg・cm/cm、曲げ弾性率が9600kg/c
2、ビカット軟化点が112℃、デュロ硬度が68D
の高密度ホモポリエチレン樹脂である。
【0559】比較品7の特性を本発明品9と比較すると
(表11の試験方法による)以下のようになる。 (a) 射出成形性;◎(本発明品9)→▲(比較品7)
(バリが発生しやすくなり、寸法変化が大きくなり成形
許容範囲が狭くなった) (b) 耐摩耗性;○(本発明品9)→▲(比較品7)
(擦り傷と摩耗クズの発生が多くなった) (c) 写真フィルムパトローネの取出性;◎(本発明品
9)→○(比較品7) (d) 写真性;○(本発明品9)→●(比較品7) (e) 成形故障発生防止性;◎(本発明品9)→●(比
較品7) (f) 樹脂熱劣化防止性;○(本発明品9)→▲(比較
品7)(黒褐色の樹脂焼け故障が散発し全数目視検査が
必要) (g) HAZE;●〔80〕(本発明品9)→●〔7
0〕(比較品7)(やや透明性向上) (h) 容器本体間の滑り;◎(本発明品9)→◎(比較
品7)
【0560】さらに引用例7は寸法精度については悪化
し容器キャップとの嵌合強度のバラツキが大きくなった
だけでなく防湿性が悪化。さらに36枚撮りのパトロー
ネ入ネガ写真フィルム(ISO感度400)を容器本体
に挿入後容器キャップで密封後5mの高さからコンクリ
ートの床に落下(0℃)した時のワレ又はクラックの発
生量が本発明品の6%→37%(約6倍)に増加した。
【0561】〔比較品8〕本発明品11から滑剤B2、
B3と相溶化剤F1を除去(無添加)した他は熱可塑性樹
脂A1を93.40重量%→98.9重量%に増加した
他は本発明品11と同一の添加剤を同一量(滑剤B1を
0.05重量%、遮光性物質C1を0.65重量%、C3
を0.05重量%、C4を0.30重量%、劣化防止剤
D2を0.05重量%)添加した黒色に着色した高密度
ホモポリエチレン樹脂組成物から成る写真フィルムパト
ローネ用容器本体である。
【0562】比較品8の特性を本発明品11と比較する
と(表11の試験方法による)以下のようになる。 (a) 射出成形性;◎(本発明品11)→●(比較品
8) (b) 耐摩耗性;●(本発明品11)→▲(比較品8) (c) 写真フィルムパトローネの取出性;○(本発明品
11)→●(比較品8) (d) 写真性;○(本発明品11)→▲(比較品8) (e) 成形故障発生防止性;◎(本発明品11)→●
(比較品8) (f) 樹脂熱劣化防止性;◎(本発明品11)→○(比
較品8)
【0563】さらに引用例8は本発明品11に比較して
遮光性物質の分散性が悪化し、ウェルドラインの発生が
強くなり外観が悪化すると共に前記比較品7と同じ方法
での落下強度が低下した(ワレ及びクラックの発生率が
本発明品0%→5%に増加)
【0564】〔本発明品15〕本発明品11の写真フィ
ルムパトローネ用容器本体に従来の厚さ122μmのト
リアセチルセルロース(写真フィルム業界ではTACと
略称)フィルム支持体の代わりに強い物理強度と曲げ弾
性率を有する厚さ95μmの二軸延伸ポリエチレン2,
6−ナフタレートフィルム支持体(以後、PENフィル
ム支持体と表示。ガラス転移温度121℃)の一方の面
に下記の14層から構成されるハロゲン化銀カラーネガ
乳剤層を塗設した。 第 1 層:ハレーション防止層 第 2 層:中間層 第 3 層:低感度赤感乳剤層 第 4 層:中感度赤感乳剤層 第 5 層:高感度赤感乳剤層 第 6 層:中間層 第 7 層:低感度緑感乳剤層 第 8 層:中感度緑感乳剤層 第 9 層:高感度緑感乳剤層 第10層:イエローフィルター層 第11層:低感度青感乳剤層 第12層:高感度青感乳剤層 第13層:第1保護層 第14層:第2保護層、滑剤のポリジメチルシロキサン
0.01g/m2含有
【0565】PENフィルム支持体の上記ハロゲン化銀
カラーネガ乳剤層に対して反対側にバック層の表面層と
して塩化第2スズ水和物を導電物質として含み、滑剤と
して含弗素界面活性剤とエルカ酸アミドを合計0.01
g/m2含むジアセチルセルロースをメインバインダー
とするバック層を塗設したISO感度400の36枚撮
りのパトローネ入り写真フィルムを挿入後容器キャップ
で密封包装した写真感光材料包装体である。
【0566】本発明品15の写真感光材料包装体は本発
明品11の写真フィルムパトローネ用容器本体に従来の
写真フィルムを挿入した写真感光材料包装体に比較して (b) 耐摩耗性;●(本発明品11)→○(本発明品1
5) (c) 写真フィルムパトローネの取出性;○(本発明品
11)→◎(本発明品15) (d) 写真性;○(本発明品11)→◎(本発明品1
5) と1ランク良好しただけでなく、帯電防止性、カメラ装
填使用時の写真フィルム巻き上げトルクが小さくなり、
写真フィルムのパーホレーションの目切れや撮影時の写
真フィルム巻上げ時の途中ストップ故障の発生もほとん
どなくなった。
【0567】〔本発明品16〕本発明品15のISO感
度400の36枚撮りのカラーネガ写真フィルムを本発
明品1の写真フィルム用スプールと樹脂製の写真フィル
ム用パトローネに適用した写真感光材料包装体は、本発
明品15の写真感光材料包装体よりさらにカメラ装填使
用時の写真フィルム巻き上げトルクが小さくなり、パー
ホレーションの目切れや撮影時の写真フィルム巻上げ時
の途中ストップ故障の発生がなくなった。
【0568】〔本発明品17〕本発明品1〜14の写真
感光材料用成形品を用い、ISO感度400のカラーネ
ガ写真フィルムを適用した。写真フィルムパトローネを
写真フィルムパトローネ用容器で密封包装後、この写真
フィルムパトローネ用容器5個を厚さ15μmの二軸延
伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム/厚さ15
μmのLDPE樹脂接着剤層/厚さ7μmのアルミニウ
ム箔/厚さ30μmの変性ポリエチレン樹脂を15重量
%とLDPE樹脂60重量%とL−LDPE樹脂25重
量%の混合樹脂エクストルージョンラミネートヒートシ
ール層の層構成から成るJISZ 0208の条件B測
定方法による透湿度が0.7g/m2・24時間の防湿
包装材料でピロー包装した写真感光材料包装体とした。
このピロー包装袋内には多孔質アルミナケイ酸ソーダと
ゼオライトの2種を含む5.6cm×16cm、厚さ3
00μmの紙シートを同封して、包装体内の関係湿度を
40〜60%RHに調湿した写真感光材料包装体であ
る。この写真感光材料包装体は2年以上の経時後も写真
特性の劣化が少なく使用可能なものであった。
【0569】〔本発明品18〕本発明品17の防湿包装
材料を用いて本発明品1〜7の図21の写真感光材料用
成形品であるレンズ付きフィルムユニット(ISO感度
800の従来の金属パトローネ入で本発明1〜7の写真
フィルム用スプール適用写真フィルムパトローネ使用)
を図30の包装袋内に多孔質アルミナケイ酸ソーダとゼ
オライトの2種を含む6cm×14cm、厚さ250μ
mの紙シートを同封して、包装体内の関係湿度を40〜
60%RHに調湿した写真感光材料包装体である。
【0570】この写真感光材料包装体は2年以上の経時
後も写真特性の劣化が少なく使用可能なものであった。
【0571】さらに2年経時後も帯電防止性、写真フィ
ルム巻き上げトルクが小さく、写真フィルムのパーホレ
ーションの目切れや、撮影時の写真フィルム巻上げ時の
途中ストップ故障の発生がない優れたものであった。
【0572】〔本発明品19〕特開平3−243418
号公報に記載されている金属メタロセン重合触媒を用い
て重合製造した分子量分布(重量平均分子量/数平均分
子量で求めた値であり、本発明の測定方法としてはウォ
ーターズ社製 150−C{カラム;東ソ−KK製 G
MH−XL HT 8mmφ×30cm×3本、溶媒;
1,2,4−トリクロロベンゼン、温度;135℃、流
量;10ml/分)のゲルパーミエーションクロマトグ
ラフィー(略号GPC)法による}が4.2、MFR
(JIS K6760)が30g/10分、密度(JI
S K 6760)が0.920g/cm3、曲げ弾性率
(JIS K 7203)が2300kg/cm2、ビカ
ット軟化点(JIS K 6760)が83℃、デュロ硬
度(JIS K 6760)が47Dの低密度ホモポリエ
チレン樹脂に表11の滑剤のB1が0.05重量%、B
3が0.20重量%、B4が0.15重量%、劣化防止
剤のD3が0.05重量%、D4が0.05重量%、D
5が0.20重量%、造核剤のE2が0.30重量%含
まれる低密度ホモポリエチレン樹脂組成物を用いて射出
成形した図12の写真フィルムパトローネ用容器蓋22
である。
【0573】この写真フィルムパトローネ用容器蓋は射
出成形性、写真性、成形故障発生防止性、樹脂熱劣化防
止性、射出成形許容巾等が優れている。さらに射出成形
条件が多少変化しても寸法精度が確保でき容器本体との
嵌合密封性が優れた写真感光材料用成形品である。
【0574】さらにまた従来のラジカル重合の低密度ホ
モポリエチレン樹脂と異なり金属メタロセン重合触媒を
用いるので分子量分布が1.1〜10.0と言う小さい、
MFRが10g/10分以上の低密度ホモポリエチレン
樹脂を容易、且つ安価に製造でき、写真性や金型に悪影
響を及ぼす触媒残渣も滑剤、特に脂肪酸金属塩や劣化防
止剤のハイドロタルサイト類化合物やキレート剤を含有
させることにより無害化できることを見つけ出し、コス
ト、品質が予想外に優れたものを提供できる。
【0575】〔比較品9〕本発明品19の低密度ホモポ
リエチレン樹脂組成物から滑剤を削除(滑剤無添加)
し、劣化防止剤のD5であるハイドロタルサイト類化合
物を削除した樹脂組成物を用いて射出成形した図12の
写真フィルムパトローネ用容器蓋22は成形故障が多発
し、成形サイクルが長く、写真性劣化が大きく、金型に
錆が発生しやすく実用化困難であった。
【0576】以上、本発明の代表的実施例を記載したが
本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の
範囲に記載された内容で幅広く応用されたものも包含す
る。
【0577】
【発明の効果】本発明は、寸法精度、物理強度、耐摩耗
性、滑性、成形性等を向上させることができ、かつ、写
真感光材料の品質に悪影響を及ぼすことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例であ
る写真感光材料用遮光性フィルムの部分断面図である。
【図2】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例であ
る写真感光材料用遮光性フィルムの部分断面図である。
【図3】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例であ
る写真感光材料用遮光性フィルムの部分断面図である。
【図4】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例であ
る写真感光材料用遮光性フィルムの部分断面図である。
【図5】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例であ
る写真感光材料用遮光性フィルムの部分断面図である。
【図6】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例であ
る写真感光材料用遮光性フィルムの部分断面図である。
【図7】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例であ
る写真感光材料用遮光性フィルムの部分断面図である。
【図8】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例であ
る写真感光材料用遮光性フィルムの部分断面図である。
【図9】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例であ
る写真感光材料用遮光性フィルムを製造する装置の概略
図である。
【図10】 図9中a部の拡大断面図である。
【図11】 図9中b部の拡大断面図である。
【図12】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例で
ある写真フィルム用容器の断面図である。
【図13】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例で
ある身蓋一体角形の写真フィルム用容器の断面図であ
る。
【図14】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例で
ある写真フィルム用スプールの断面図である。
【図15】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例で
ある身蓋一体角形の写真フィルム用ケースの断面図であ
る。
【図16】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例で
ある写真フィルム用カートリッジの分解斜視図である。
【図17】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例で
ある樹脂製の写真フィルム用パトローネの分解斜視図で
ある。
【図18】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例で
ある樹脂製の写真フィルム用パトローネの側面図であ
る。
【図19】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例で
ある樹脂製の写真フィルム用パトローネの断面図であ
る。
【図20】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例で
ある樹脂製の写真フィルム用パトローネの部分断面図で
ある。
【図21】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例で
あるレンズ付きフィルムユニットの分解斜視図である。
【図22】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例で
ある写真フィルムパトローネ用容器の平面図である。
【図23】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例で
ある写真フィルムパトローネ用容器の一部切り欠いた断
面図である。
【図24】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例で
ある写真フィルムパトローネ用容器の蓋を取った状態の
斜視図である。
【図25】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例で
ある写真フィルムパトローネ用容器の蓋を取った状態の
平面図である。
【図26】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例で
ある帯状感光材料用コアの斜視図である。
【図27】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例で
ある袋入りシートフィルム用ホルダーの斜視図である。
【図28】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例で
あるパック入りシート写真フィルム用ホルダーの斜視図
である。
【図29】 本発明の写真感光材料包装体の実施例であ
る透明プラスチックケースの斜視図である。
【図30】 本発明の写真感光材料包装体の実施例であ
る包装袋の斜視図である。
【図31】 本発明の写真感光材料包装体の実施例であ
る写真フィルムパトローネ本体の断面図である。
【符号の説明】
1a…写真感光材料用遮光性フィルム層(写真感光材料
用遮光性成形体) 2,2a…熱可塑性樹脂フィルム層 3…接着剤層 4…フレキシブルシート層 a:遮光性物質を含むことを示す。 B:ブロッキングを示す。

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子量分布が1.1〜10.0、メルトフ
    ローレートが0.1〜100g/10分の熱可塑性樹脂
    の1種以上の合計含有量が50〜99.98重量%、滑
    剤の1種以上の合計含有量が0.01〜15重量%であ
    ることを特徴とする写真感光材料用成形品。
  2. 【請求項2】 分子量分布が1.1〜10、メルトフロ
    ーレートが0.1〜100g/10分の熱可塑性樹脂
    が、ポリオレフィン樹脂、酸変性ポリオレフィン樹脂、
    ホモスチレン樹脂、スチレン共重合体樹脂、ポリアセタ
    ール樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、熱可塑性樹
    脂エラストマー、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート
    樹脂、ポリフェニルスルファイド樹脂の1種又は2種以
    上の混合樹脂である請求項1に記載の写真感光材料用成
    形品。
  3. 【請求項3】 遮光性物質の1種又は2種以上の合計含
    有量が0.01〜49.98重量%である請求項1又は
    2に記載の写真感光材料用成形品。
  4. 【請求項4】 劣化防止剤の1種又は2種以上の合計含
    有量が0〜10重量%である請求項1、2又は3に記載
    の写真感光材料用成形品。
  5. 【請求項5】 無機造核剤及び有機造核剤の1種又は2
    種以上の合計含有量が0〜10重量%である請求項1、
    2、3又は4に記載の写真感光材料用成形品。
  6. 【請求項6】 相溶化剤の1種又は2種以上の合計含有
    量が0.01〜49.98重量%である請求項1、2、
    3、4又は5に記載の写真感光材料用成形品。
  7. 【請求項7】 導電物質及び帯電防止剤の1種又は2種
    以上の合計含有量が0.01〜40重量%である請求項
    1、2、3、4、5又は6に記載の写真感光材料用成形
    品。
  8. 【請求項8】 写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼす
    写真性阻害物質の1種又は2種以上の合計含有量が1.
    0重量%以下である請求項1、2、3、4、5、6又は
    7に記載の写真感光材料用成形品。
  9. 【請求項9】 熱可塑性樹脂がホモポリエチレン樹脂、
    エチレン・αオレフィン共重合体樹脂及び熱可塑性樹脂
    エラストマーのいずれか1種以上の含有量が50〜9
    9.98重量%であり、滑剤が脂肪酸金属塩系滑剤、脂
    肪酸アミド系滑剤、炭化水素系滑剤、エステル系滑剤、
    脂肪酸系滑剤及びシリコーン系滑剤のいずれか1種以上
    で含有量が0.01〜15重量%であり、かつ、遮光性
    物質の1種以上の合計含有量が0.01〜49.98重
    量%、劣化防止剤の1種以上の合計含有量が0〜10重
    量%、無機造核剤及び有機造核剤の1種以上の合計含有
    量が0〜10重量%、相溶化剤の1種以上の合計含有量
    が0.01〜49.98重量%である請求項1に記載の
    写真感光材料用成形品。
  10. 【請求項10】 熱可塑性樹脂がホモポリプロピレン樹
    脂、プロピレン・αオレフィン共重合体樹脂、プロピレ
    ン・エチレン・αオレフィン三元共重合体樹脂及びプロ
    ピレン系エラストマーであり、滑剤が脂肪酸系滑剤、脂
    肪酸金属塩系滑剤、脂肪酸アミド系滑剤、炭化水素系滑
    剤、エステル系滑剤及びシリコーン系滑剤であり、か
    つ、遮光性物質の1種以上の合計含有量が0.01〜4
    9.98重量%、劣化防止剤の1種以上の合計含有量が
    0〜10重量%、無機造核剤及び有機造核剤の1種以上
    の合計含有量が0〜10重量%、相溶化剤の1種以上の
    合計含有量が0.01〜49.98重量%である請求項
    1に記載の写真感光材料用成形品。
  11. 【請求項11】 熱可塑性樹脂がホモ芳香族モノビニル
    樹脂、芳香族モノビニル共重合体樹脂及びゴム状物質含
    有芳香族モノビニル樹脂の1種以上含有量が50重量%
    以上であり、滑剤が脂肪酸金属塩系滑剤、脂肪酸アミド
    系滑剤、炭化水素系滑剤、エステル系滑剤、脂肪酸系滑
    剤及びシリコーン系滑剤であり、かつ、遮光性物質の1
    種以上の合計含有量が0.01〜49.98重量%、劣
    化防止剤の1種以上の合計含有量が0〜10重量%、無
    機造核剤及び有機造核剤の1種以上の合計含有量が0〜
    10重量%、相溶化剤の1種以上の合計含有量が0.0
    1〜49.98重量%である請求項1に記載の写真感光
    材料用成形品。
  12. 【請求項12】 遮光性物質の1種以上の合計含有量が
    0.01〜49.99重量%と、メルトフローレート
    (JIS K 7210の条件8)が1〜100g/10
    分、ロックウェル硬度(ASTM D 785)がM45
    以上、アイゾット衝撃強度(ノッチ付きJIS K 68
    71)が2.0Kg・cm/cm以上、熱変形温度(A
    STM D 648、荷重18.6Kg/cm2)が70
    ℃以上、吸水性(ASTM D 570)が0.1%以下、
    曲げ弾性率(JIS K 7203)が20, 000Kg/
    cm2 以上、数平均分子量(GPC測定)が10, 00
    0〜1,000,000、分子量分布(GPC測定)が
    1.1〜10.0のゴム状物質を0.1〜20重量%含
    有するゴム含有芳香属モノビニル樹脂の1種以上の合計
    含有量が50〜99.98重量%と、滑剤の1種以上の
    合計含有量が0.01〜15重量%である樹脂組成物で
    形成された樹脂製の写真フィルム用パトローネ又はレン
    ズ付きフィルムユニットを構成する写真感光材料用成型
    品。
  13. 【請求項13】 少なくとも一方の表面層に滑剤を0.
    01〜15重量%含有する写真フィルムと、この写真フ
    ィルムが適用された請求項1、4、6、7、8、11又
    は12に記載の写真感光材料用成形品とを有する写真感
    光材料包装体。
  14. 【請求項14】 写真感光材料と、この写真感光材料が
    適用された請求項1、2、3、4、5、6、7、8、
    9、10、11、12又は13に記載の写真感光材料用
    成形品と、この写真感光材料用成形品を密封包装したJ
    IS Z 0208の条件B測定方法による透湿度が5g
    /m2・24時間以下の防湿包装材料とを有する写真感
    光材料包装体。
  15. 【請求項15】 写真感光材料と、この写真感光材料が
    適用された請求項1、2、3、4、5、6、7、8、
    9、10、11、12又は13に記載の写真感光材料用
    成形品と、調湿物質とを密封包装したJIS Z 020
    8の条件B測定方法による透湿度が5g/m2・24時
    間以下の防湿包装材料とを有する写真感光材料包装体。
  16. 【請求項16】 前記調湿物質が多孔質アルミナケイ酸
    ソーダ及びゼオライトの1種以上である請求項15に記
    載の写真感光材料包装体。
  17. 【請求項17】 防湿包装材料で密封包装された包装体
    内の関係湿度が30〜65%である請求項15又は16
    に記載の写真感光材料包装体。
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