JPH0822102A - 写真感光材料用成形品及び写真感光材料包装体 - Google Patents

写真感光材料用成形品及び写真感光材料包装体

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JPH0822102A
JPH0822102A JP15382094A JP15382094A JPH0822102A JP H0822102 A JPH0822102 A JP H0822102A JP 15382094 A JP15382094 A JP 15382094A JP 15382094 A JP15382094 A JP 15382094A JP H0822102 A JPH0822102 A JP H0822102A
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JP
Japan
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weight
resin
aluminum powder
sensitive material
parts
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Application number
JP15382094A
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English (en)
Inventor
Mutsuo Akao
睦男 赤尾
Osamu Suzuki
収 鈴木
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH0822102A publication Critical patent/JPH0822102A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アルミニウム粉末を添加した熱可塑性樹脂フ
ィルム等から成る写真感光材料用成形品において、アル
ミニウム粉末の分散性を良好にする。 【構成】 写真感光材料用成形品は、表面被覆物質がア
ルミニウム粉末100重量部に対して0.001〜10重量部被覆
されたアルミニウム粉末を0.1〜50重量%含有した熱可
塑性樹脂で形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミニウム粉末を含
有させた写真感光材料用成形品及び写真感光材料包装体
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】写真フィルムの包装袋は、遮光性を完全
に確保するために遮光性物質が添加されている。この遮
光性物質には、カーボンブラック等の黒色の遮光性物質
が多く使用されているが、太陽光下での表面温度の上昇
を抑えるために、銀色の遮光性物質であるアルミニウム
粉末を使用することがある(特公昭61−28984号公報
等)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
アルミニウム粉末を添加した熱可塑性樹脂フィルムは、
アルミニウム粉末の分散性が悪く、その結果、物理強
度、外観等が好ましくないものであった。
【0004】アルミニウム粉末の分散性を向上させるた
めに、熱可塑性樹脂温度を150℃以上にすることも試み
られたが、熱可塑性樹脂が熱分解して写真感光材料に悪
影響を与えるものであった。
【0005】本発明は、以上の問題点を解決し、物理強
度、外観が優れたアルミニウム粉末の分散性が極めて良
好な写真感光材料用成形品及び写真感光材料包装体を提
供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するためになされたもので、本発明の写真感光材料用
成形品の第1の態様は、表面被覆物質がアルミニウム粉
末100重量部に対して0.001〜10重量部被覆されたアルミ
ニウム粉末を0.1〜50重量%含有した熱可塑性樹脂で形
成されていることを特徴として構成されている。
【0007】本発明の写真感光材料用成形品の第2の態
様は、脂肪酸及び/又は脂肪酸化合物がアルミニウム粉
末100重量部に対して0.001〜10重量部被覆されたアルミ
ニウム粉末を0.1〜50重量%、酸化防止剤、ラジカル捕
獲剤及び含水複塩化合物の1種以上の合計量を0.0005〜
6.5重量%含有した熱可塑性樹脂で形成されていること
を特徴として構成されている。
【0008】本発明の写真感光材料用成形品の第3の態
様は、アルミニウム粉末100重量部に対して0.001〜10重
量部の脂肪酸及び/又は脂肪酸金属塩を付着したアルミ
ニウム粉末0.1〜50重量%、フェノール系酸化防止剤の
1種以上の合計量0.0005〜1.0重量%、燐系酸化防止剤
の1種以上の合計量0.0005〜1.0重量%、ハイドロタルサ
イト類化合物の1種以上の合計量0.001〜5重量%含有し
た熱可塑性樹脂で形成されていることを特徴として構成
されている。
【0009】本発明の写真感光材料用成形品の第4の態
様は、湿式ボールミル法(Hall法)で製造したアル
ミニウム粉末100重量部に対して脂肪酸及び/又は脂肪
酸化合物を0.001〜10重量部被覆したアルミニウム粉末
0.1〜50重量%、滑剤0.01〜5.0重量%、酸化防止剤及び
ラジカル捕獲剤の1種以上を0.0005〜1.5重量%含有した
熱可塑性樹脂で形成されていることを特徴として構成さ
れている。
【0010】本発明の写真感光材料用成形品の第5の態
様は、アルミニウム粉末100重量部に対して0.001〜10重
量部の脂肪酸及び/又は脂肪酸化合物と0.001〜5重量
部のカップリング剤及び/又はリン酸エステル化合物0.
001〜5重量部を付着させたアルミニウム粉末0.1〜50重
量%を含有した熱可塑性樹脂で形成されていることを特
徴として構成されている。
【0011】本発明の写真感光材料用成形品の第6の態
様は、アルミニウム粉末100重量部に対して脂肪酸が0.0
01〜10重量部被覆されたアルミニウム粉末を0.1〜50重
量%、脂肪酸金属塩を0.01〜5重量%、カーボンブラッ
クを0.1〜30重量%含有した熱可塑性樹脂で形成されて
いることを特徴として構成されている。
【0012】本発明の写真感光材料用成形品の第7の態
様は、脂肪酸がアルミニウム粉末100重量部に対して0.0
01〜10重量部被覆されたアルミニウム粉末を0.1〜50重
量%、脂肪酸金属塩を0.01〜5重量%、酸化チタンを0.
1〜30重量%含有した熱可塑性樹脂で形成されているこ
とを特徴として構成されている。
【0013】本発明の写真感光材料用成形品の第8の態
様は、脂肪酸がアルミニウム粉末100重量部に対して0.0
01〜10重量部被覆されたアルミニウム粉末を0.1〜50重
量%、ミネラルスピリットを1重量%以下、酸化防止剤
及びラジカル捕獲剤の1種以上を0.0005〜1.5重量%、
界面活性剤を0.01〜5.0重量%含有した熱可塑性樹脂で
形成されていることを特徴として構成されている。
【0014】本発明の写真感光材料用成形品には、脂肪
酸及び/又は脂肪酸化合物で被覆された(付着も含む)
アルミニウム粉末が含まれている。本発明におけるアル
ミニウム粉末には、アルミニウムペーストが含まれてい
る。
【0015】本発明でアルミニウムペーストとは、ボー
ルミル法、スタンプミル法、アトマイズ法等の方法でア
ルミニウム粉末を作るときに、ミネラルスピリットと少
量のステアリン酸又はオレイン酸等の脂肪酸及び/又は
脂肪酸化合物の存在のもとにペースト状に作ったもので
ある。本発明ではこのアルミニウムペーストと各種芳香
族モノビニル樹脂(ポリスチレン樹脂、ゴム含有ポリス
チレン樹脂等)、ポリオレフィン熱可塑性樹脂(各種ポ
リプロピレン樹脂、各種ポリエチレン樹脂、酸変性樹
脂、EVE樹脂、EEA樹脂、EAA樹脂等)、低分子
量のポリオレフィン樹脂、パラフィンワックス、粘着付
与剤、金属石けん(脂肪酸金属塩)等の分散剤等を加熱
混練し、低揮発物質(主として悪臭が強いミネラルスピ
リット、ホワイトスピリット)を加熱及び/又は真空ポ
ンプ等で除去した揮発物質の含有量が3%以下、好まし
くは1%以下、特に好ましくは0.5%以下のアルミニウ
ムペーストコンパウンド樹脂、アルミニウムペーストマ
スターバッチ樹脂を使用することが好ましい。
【0016】このアルミニウムペーストにおいては、ア
ルミニウム粉末は非常に薄い鱗片状となっており、ビヒ
クル(Vehicle)と混合して塗装した場合に塗膜中のこ
の鱗片は平行層を形成するので、外部からの写真感光材
料に悪影響を及ぼす亜硫酸ガス、酸素ガス、湿気等は鱗
片に沿って侵入するので写真感光材料に達するのに長期
間を要するので写真性を長期間良好な品質で維持確保で
きる。また、ペースト状なので飛散することもなく、一
般の乾燥した金属粉末のように爆発の恐れがないので安
全で取扱いやすいなどの利点をもっている。
【0017】しかし、ミネラルスピリットの写真感光材
料用成形品中の残留含有率が大きいと、悪臭があり、ま
た熱可塑性樹脂成形品では長期間の経時で物理強度低下
が非常に大きくなり、さらに写真感光材料の写真性に悪
影響を及ぼすので実用化不可になる。
【0018】このため写真感光材料用成形品中のミネラ
ルスピリットの含有率は後述のようにアルミニウムペー
ストのみで使用する時は1重量%以下に、吸油量が40ml
/100g以上の吸油物質と併用する場合でも2.5重量%以
下にする必要がある。
【0019】特にアルミニウムペーストマスターバッチ
樹脂として使用するのが写真感光材料への悪影響や悪臭
をなくすために好ましい。例えば、アルミニウムペース
ト中のアルミニウム粉末含有率40重量%のアルミニウム
粉末入マスターバツチ樹脂中のミネラルスピリット含有
率が1.0重量%であっても、これを写真感光材料包装用
成形品中でのアルミニウムペースト中のアルミニウム粉
末濃度を2重量%にしようとすると、アルミニウムペー
ストマスターバッチ1重量部に対してナチュラル樹脂
(希釈用樹脂)19重量部を混練することになり、成形品
中には成形中にミネラルスピリットが加熱によりガスと
して除去される分もあるのでミネラルスピリット含有量
は0.05重量%以下になる。その結果、写真感光材料への
悪影響もなくなる上、悪臭も低減される。
【0020】またアルミニウム粉末は、溶融アルミニウ
ムをアトマイズ法、粒化法、回転円盤滴下法、蒸発法等
により粉末状にしたものの外、アルミニウム箔をボール
ミル法やスタンプミル法等で粉砕してフレーク状にした
ものを含む。アルミニウム粉末単体では不安定なのでア
ルミニウム粉末表面を不活性にする各種の公知の表面被
覆処理が施される。
【0021】アルミニウム粉末(アルミニウムペースト
を含む)は写真感光材料用成形品の練込み用の他に、写
真感光材料包装体の銀色又は金色ペイント(塗料)用の
顔料や銀色又は金色インキ用の顔料として塗料層やイン
キ層として写真感光材料を包装する化粧小箱{天然植物
パルプ紙や再生紙(故紙,損紙等)及び合成紙又は、天
然植物パルプや再生紙や合成パルプ等の混合紙、上記の
各種の紙の表面に各種表面加工を施した加工紙(各種顔
料入樹脂層:塗布紙、クレーコート紙、キャストコート
紙、ラッカーコート紙、ラテックスコート紙等、特に高
光沢白色顔料層を有するキャストコート紙が印刷適性、
外観が優れ商品価値が高いので好ましい。)}の表面に
後述の各種の各色インキ層と共に用いられる(例えば35
mm写真ネガフィルム用化粧小箱、35mm写真リバーサルフ
ィルム用化粧小箱、ブローニータイプロールフィルム用
化粧小箱、レンズ付フィルムユニット用化粧小箱、イン
スタントフィルム用化粧小箱等)。
【0022】その他カットフィルム用身蓋嵌合箱,映画
用ネガフィルム用金属缶、マイクロネガフィルム用金属
缶,ブローニータイプロールフィルム用遮光紙、35mm写
真フィルム用熱可塑性樹脂製パトローネ、熱可塑性樹脂
製カメラボディー、35mm写真フィルム用金属製パトロー
ネ、レンズ付フィルムユニット用防湿袋、35mm写真フィ
ルム集合包装用防湿袋等の表面に塗布層及び/又はイン
キ層として写真感光材料包装体として用いられる。
【0023】これらの塗布層又はインキ層の表面に透明
塗料層をさらに設けると塗料層又はインキ層の耐摩耗性
を向上させると共につや出し効果が大きい。
【0024】本発明者は既に写真感光材料用成形品の練
り込み用としては、特公昭61−28984号公報に提案して
いる。
【0025】次に、アルミニウム粉末(アルミニウムペ
ーストも含む)の製造方法の概略について説明する。
【0026】(1) スタンプミル法 スタンプでアルミニウム粗粉に打撃を加えて粉砕する方
法であるが、展伸が進むにつれて脆くなるので打撃を軽
くしてゆかねばならない。このため例えば荷重は80kg→
50kg→30kgと三段階に分けて鱗片化し、凝集を防止した
り、打撃も50回/分→30回/分と次第に減らし、2〜10
時間で粉末化を完了するようにする。この工程を以下に
示すが、この方法は爆発の危険が多いので注意を要す
る。本発明では以下の方法で製造したアルミニウム粉末
が好ましい。 アルミニウム粗粉末(箔屑、アトマイズドパウダー
等) スタンプ←ステアリン酸、オレイン酸等の不飽和又
は飽和の高級脂肪酸添加 節分別→節分別し、上に残ったものは再びスタンプ
ミルへ戻す。 自然放置→長期間3〜8週間放置するとリーフィン
グ性が向上する。 アルミニウム粉末→粉度が70〜250メッシュのもの
が得られる。
【0027】(2) 乾式ボールミル法(Hametaq
法) ボールミルの中へ不活性ガスを通じつつアルミニウム粉
末の酸化爆発を防止し、同時に気流でアルミニウム粗粉
末を捕収器にて捕収し、不活性ガスを再びボールミルに
還流させる。
【0028】不活性ガス中に酸素が全然無いと、粉末を
ボールミルから空気中に取出すとき自然爆発を起こすこ
とがあるので、雰囲気中には1〜5%の酸素を含ませて
徐々に酸化を行なわせる方がよく、少量の酸化はアルミ
ニウム粉末のリーフィング性を向上させる。スタンプミ
ル法に比べると安全連続操業が可能となり、労働力およ
び動力費は約60%に低減できる。
【0029】不活性ガスとしては窒素ガスまたは石炭ガ
ス等を用いる。節別・研磨の時も不活性ガスを使用しな
ければならない。
【0030】本発明で好ましい製造工程の概略は下記の
通りである。 アルミニウム箔屑 ボールミル粉砕 節別 研磨←ステアリン酸、オレイン酸等の不飽和又は飽
和高級脂肪酸添加 アルミニウム粉末→粉末が300〜450メッシュのもの
が得られる。
【0031】(3) 湿式ボールミル法(Hall法) 本発明で最も好ましい金属粉末であり、乾式ボールミル
法の不活性ガスを使用する不便を改良し、さらに粉砕と
研磨を同時に行なうものであり、アルミニウム粉末の塗
料用顔料、印刷用インキ顔料としては最適、最優秀なペ
ースト状のアルミニウム粉末を製造する方法である。ま
た、アルミニウムペースト中のミネラルスピリット含有
率を小さくしたものは熱可塑性樹脂中への均一混練性が
優れ、悪臭が少なく、写真感光材料の写真性にも悪影響
を及ぼすことがないので写真感光材料包装用遮光性成形
品及び写真感光材料包装体に最適である。
【0032】本発明ではアルミニウム箔層を原料として
用いる場合が多いが、後述の噴霧法で製造したものを原
料としてボールミルに入れ、次にミネラルスピリット
(ホワイトスピリットが好ましい)とステアリン酸等の
高級脂肪酸を添加して混合したものを粉砕、研磨して製
造したものが安価で品質のバラツキが少ないので好まし
い。ミネラルスピリットの添加量はわずかに粘い程度に
なるように少なくする。最終段階で過剰のミネラルスピ
リットは濾過または遠心分離機により取り除く。このよ
うにして出来たアルミニウムペーストの固形分は60〜75
%、好ましくは65〜70%であり、これはリーフィングの
能力が優れ、著しい光沢を有しており塗料及びインキ用
として最適である。しかし、写真感光材料包装用遮光性
成形品として用いる熱可塑性樹脂中に混練する場合は悪
臭、発泡、ピンホール等の発生を防止し、写真感光材料
の写真性に悪影響を及ぼさないようにするため及び成形
品の長期間経時後の物理強度の低下を防止するために写
真感光材料包装用遮光性成形品とした時のミネラルスピ
リット残留含有率を1重量%以下、特に0.5重量%以下
になるように加熱及び/又は真空乾燥して減少させるこ
とが好ましい。カーボンブラックやゼオライト等のよう
に吸油量が40cc/100g以上の吸油物質と併用した場合
でもミネラルスピリットの残留含有率を2.5重量%以下
にすることが上記理由で好ましい。
【0033】本発明で好ましい製造工程の概略は下記の
通りである。 アルミニウム箔屑又は噴霧法によるアルミニウム粉
末 ボールミルで粉砕・研磨←ステアリン酸とホワイト
スピリット(ミネラルスピリット)添加 ファレタープレスにより漏滴→上記ステアリン酸と
ホワイトスピリットをしぼりとる。 ミキサーにより混合←新しいステアリン酸とホワイ
トスピリットを添加 アルミニウムペースト→アルミニウム粉末60〜75%
含有(塗料又はインキ用):粒度300〜450メッシュ 加熱真空乾燥→ホワイトスピリット含有率を数%以
下まで除去 熱可塑性樹脂と混練 写真感光材料用成形品→ホワイトスピリット残留含
有率を1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、吸油
物質を併用した場合は吸油物質中にとじこめることが可
能になるが、その場合でも2.5%重量%以下とする。
【0034】(4) 噴霧法(Atomization法) 溶融したアルミニウムをノズルから圧縮ガスまたは空気
の噴流、流によって霧状にして噴出す方法であり、溶融
したアルミニウムは霧滴となって飛散しつつ凝固して粉
末となるので、この粉末を吸引し適当な方法で捕収す
る。溶融アルミニウムの流量、温度、ガスの温度および
圧力等の諸条件によって適当な粒度配分の粉末にするこ
とができるので、金属ノズルとガス噴出孔の設計を適当
にすれば、きわめて微細なアルミニウム粉末も作ること
が可能である。ガスは予熱した方がよく、爆発防止のた
めに不活性ガスを使用することが好ましい。空気を用い
ても冷却さえ十分であればアルミニウム粉末の酸化は、
0.3%以下とあまり激しくない。これは表面に生成され
た酸化膜がそれ以上の酸化を防ぎ、冷却が急激で酸化速
度が減少するためである。
【0035】しかし、冷却しないと温度が上昇して爆発
するおそれがある。噴霧法によるアルミニウム粉末の粒
度は100メッシュ以下にすることができるが、形状が不
規則で、握りこぶし状、あるいは水滴状になる。多量生
産に適しているので鱗片状粉末またはアルミニウムペー
ストの原料として使用される。本発明で好ましい製造工
程の概略は下記の通りである。 アルミニウム新地金(アルミニウム純度99.5%以
上) 溶解炉で再溶解 噴霧 収集器で収集 節別 アルミニウム粉末→粒度は20〜12メッシュ 表面被覆物質をアルミニウム粉末表面に被覆
【0036】以上のようにして製造されたアルミニウム
粉末又はアルミニウムペースト状のアルミニウム粉末
は、金属粉末の中では安価で、写真感光材料の写真性に
悪影響を及ぼすことがほとんどないので本発明では特に
好ましい。
【0037】そして、このようなアルミニウム粉末は、
その表面が脂肪酸等の表面被覆物質で被覆されている。
この脂肪酸等の表面被覆物質の被覆により、インキや塗
料や熱可塑性樹脂中への分散性を向上できる。さらに写
真感光材料の写真性に悪影響を及ぼすのを減少するとと
もに写真感光材料用成形品の外観を向上するとともに物
理強度の低下を防止できる。
【0038】脂肪酸等の表面被覆物質の被覆量は、アル
ミニウム粉末100重量部に対して、0.001〜10重量部であ
り、好ましくは0.005〜5重量部であり、より好ましく
は0.01〜3重量部、最も好ましくは0.05〜1.5重量部で
ある。脂肪酸等の表面被覆物質の被覆量が0.001重量部
未満であると、被覆効果がほとんど発揮されない。脂肪
酸等の表面被覆物質の被覆量が10重量部を越えると、経
時でブリードアウトの発生が多くなるとともに樹脂と押
出し機のスクリューとのスリップが発生して吐出量が変
動する結果、厚さのバラツキが大きくなり実用化困難で
ある。
【0039】表面被覆物質の1つである脂肪酸として
は、ステアリン酸、オレイン酸、乳酸、ミリスチン酸、
パルミチン酸、シュウ酸、ラウリン酸、コハク酸、ステ
アリル乳酸、ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、
ナフテン酸、エルカ酸等の各種市販の脂肪酸を用いるこ
とができる。
【0040】本発明の写真感光材料用成形品は、ミネラ
ルスピリット含有率が1重量%以下であり、0.5重量%
以下が好ましく、0.1重量%以下がより好ましく、0.05
重量%以下が最も好ましい。ミネラルスピリット含有率
が1重量以下であると、1年経過後の成形品の物理強度
低下を少なくし、悪臭を少なくでき、写真感光材料の写
真性に悪影響を及ぼすことが少なく実用化可能になる。
特にミネラルスピリット含有率を0.1重量%以下にする
と悪臭もほとんど感じなくなり、残留ミネラルスピリッ
トにより最も写真性に悪影響を受けやすいオイルプロテ
クトしたカプラーを用いた写真感光材料(カラー製品)
に本発明の遮光性成形品を適用しても2年間の保存期間
後でも十分品質を維持できることが判明した。
【0041】ミネラルスピリット含有率を1重量%以下
にするには、アルミニウム粉末又はアルミニウムペース
トからホワイトスピリットに代表されるミネラルスピリ
ット等を濾過、遠心分離機または加温及び/又は真空乾
燥により残留ミネラルスピリット含有率が一定量以下に
なるまで除去したり、希釈熱可塑性樹脂を使用したり、
ミネラルスピリットを吸着する吸油量が40ml/100g以
上の吸油物質を添加したりする。
【0042】この吸油物質としては、各種カーボンブラ
ック、各種炭酸カルシウム、各種ゼオライト、ケイ酸カ
ルシウム等がある。この吸油物質を、0.01〜20重量%、
好ましくは0.05〜15重量%、特に好ましくは0.1〜10重
量%、最も好ましくは0.2〜8重量%ミネラルスピリッ
ト含有アルミニウムペーストと併用することにより、ミ
ネラルスピリット含有率を数分の1以下にしたアルミニ
ウムペーストと同じ効果(物理強度の低下防止、悪臭の
防止、写真性の悪影響防止)を発揮する。例えば、ミネ
ラルスピリット含有率が1.0重量%のアルミニウムペー
ストに吸油量が85ml/100ccのオイルファネースカーボ
ンブラックを5重量%添加併用すると、ミネラルスピリ
ット含有率が0.2重量%に減量した(ミネラルスピリッ
トを1/5含有率としたアルミニウムペーストと略同等
の優れた効果を発揮する)。
【0043】従って、吸油量が40ml/100g以上の吸油物
質0.01〜20重量%と併用した場合は写真感光材料用遮光
性成形品中のミネラルスピリット含有率を2.5重量%以
下にすれば実用化可能になる。吸油量が40ml/100g以上
の吸油物質0.01〜20重量%と併用する時でも写真感光材
料用遮光性成形品中のミネラルスピリット含有率は、好
ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以
下、最も好ましくは0.3重量%以下にする。
【0044】また、吸油物質は、滑剤、帯電防止剤、酸
化防止剤等の経時によりブリードアウトしやすい添加剤
を吸油物質の表面に吸着させて、少しずつ写真感光材料
用成形品の表面にブリードアウトさせる優れた働きをす
るものでもある。
【0045】本発明の写真感光材料用成形品には、好ま
しくは、熱可塑性樹脂の熱劣化防止、写真性向上等の目
的で酸化防止剤及びラジカル捕獲剤の1種以上が添加さ
れている。酸化防止剤及びラジカル捕獲剤の1種以上を
添加することにより、熱可塑性樹脂や脂肪酸、滑剤、界
面活性剤等の添加剤の熱劣化や熱分解を防止し、熱可塑
性樹脂組成物の流動性が著しく変化したり、ブツが発生
するのを防止できる。さらに写真感光材料に悪影響を及
ぼす熱分解物質(アルデヒド等)の発生を防止すること
ができる。熱分解物質(アルデヒド等)を写真感光材料
に悪影響を及ぼさない量に減少安定化させたり、吸着安
定化させる公知の各種添加することが好ましい。
【0046】酸化防止剤及びラジカル捕獲剤の1以上の
添加量は、0.0005〜1.5重量%であり、0.001〜1.0重量
%が好ましく、0.05〜0.45重量%がより好ましい。添加
量が0.0005重量%未満であると、添加効果がなく混練経
費増になるだけであり、添加量が1.5重量%を越える
と、酸化、還元作用を利用する写真感光材料の写真性に
悪影響を及ぼすとともに成形品表面にブリードアウトし
て外観を悪化させる。
【0047】本発明に使用される酸化防止剤の代表例を
以下に示す。 (イ) フェノール系酸化防止剤(tはtertの略号である) ビタミンE(トコフェロール)、トコフェロール類二量
体(α−トコフェロール、β−トコフェロール、5,7
−ジメチルトコール等)、6−t−ブチル−3−メチル
フェニール誘導体、2・6−ジ−t−ブチル−P−クレ
ゾール、2・6−ジ−t−ブチル−フェノール、2・6
−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾー
ル、2・6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、
2・2'−メチレンビス−(4−エチル−6−t−ブチル
フェノール)、4・4'−ブチリデンビス(6−t−ブ
チル−m−クレゾール)、4・4'−チオビス(6−t−
ブチル−m−クレゾール)、4・4−ジヒドロキシジフ
ェニルシクロヘキサン、ブチル化ヒドロキシアニソー
ル、アルキル化ビスフェノール、スチレン化フェノー
ル、2・6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、
2・6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−
オクタデシル−3−(3'・5'−ジ−t−ブチル−4'
−ヒドロキシフェニル)プロピネート、2・2'−メチ
レンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、
4・4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニ
ール)、4・4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t
−ブチルフェノール)、4・4'−チオビス(3−メチル
−6−t−ブチルフェノール)、ステアリル−β(3・
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート、1・1・3−トリス(2−メチル−4ヒドロ
キシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1・3・5ト
リメチル−2・4・6−トリス(3・5−ジ−t−ブチ
ル−4ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス〔メ
チレン−3(3・5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート〕メタン等
【0048】(ロ) ケトンアミン縮合系酸化防止剤 6−エトキシ−2・2・4−トリメチル−1・2−ジヒ
ドロキノリン、2・2・4−トリメチル−1・2−ジヒ
ドロキノリンの重合物、トリメチルジヒドロキノリン誘
導体等
【0049】(ハ) アリルアミン系酸化防止剤 フェニル−α−ナフチルアミン、N−フェニル−β−ナ
フチルアミン、N−フェニル−N'−イソピロピル−P
−フェニレンジアミン、N・N'−ジフェニル−P−フ
ェニレンジアミン、N・N'−ジ−β−ナフチル−P−
フェニレンジアミン、N−(3'−ヒドロキシブチリデ
ン)−1−ナフチルアミン等
【0050】(ニ) イミダゾール系酸化防止剤 2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベ
ンゾイミダゾールの亜鉛塩、2−メルカプトメチルベン
ゾイミダゾール等
【0051】(ホ) ホスファイト系酸化防止剤 アルキル化アリルホスファイト、トリス(モノ及び/又
はジノニルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオ
ペンタンテトライルビス(2・6−ジ−t−ブチル−4
−メチルフェニル)ホスファイト、ジフェニルイソデシ
ルフォスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファ
イト亜リン酸ソーダ、トリス(ノニルフェニル)フォス
ファイト、2・2−メチレンビス(4・6−ジ−t−ブ
チルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(2・4
−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリフェニ
ルフォスファイト等
【0052】(ヘ) チオ尿素系酸化防止剤 チオ尿素誘導体、1・3−ビス(ジメチルアミノプロピ
ル)−2−チオ尿素等
【0053】(ト) その他空気酸化に有用な酸化防止剤 チオジプロピオン酸ジラウリル等
【0054】本発明に最も好ましいヒンダードフェノー
ル系酸化防止剤の代表例を以下に示す。1,3,5−トリ
メチル2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4
−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス〔メチレ
ン−3−(3'・5'−ジ−tert−ブチル−4'−ヒドロ
キシフェニル)プロピオネート〕メタン、オクタデシル
−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロ
シンナメート、2,2',2'−トリス〔(3,5−ジ−tert
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキ
シ〕エチルイソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−
tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジ−メチルベ
ンジル〕イソシアヌレート、テトラキス(2,4−ジ−t
ert−ブチルフェニル)4,4'−ビフェニレンジ亜リン
酸エステル、4,4'−チオビス−(6−tert−ブチル−
O−クレゾール)、2,2'−チオビス−(6−tert−ブ
チル−4−メチルフェノール)、トリス−(2−メチル
−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタ
ン、2,2'−メチレン−ビス−(4−メチル−6−tert
−ブチルフェノール)、4,4'−メチレン−ビス−(2,
6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデ
ンビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノー
ル)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノー
ル、4−ヒドロキシ・メチル−2,6−ジ−tert−ブチ
ルフェノール、2,6−ジ−tert−4−n−ブチルフェ
ノール、2,6−ビス(2'−ハイドロキシ−3'−tert−
ブチル−5'−メチルペンジル)−4−メチルフェノー
ル、4,4'−メチレン−ビス−(6−tert−ブチル−O
−クレゾール)、4,4'−ブチリデン−ビス(6−tert
−ブチル−m−クレゾール)、3・9−ビス{1・1−
ジメチル−2−〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキ
シ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチ
ル}2,4・8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデ
カンなどがあげられる。これらの中でも融点が100℃以
上、特に120℃以上のものが好ましい。また、燐系酸化
防止剤と併用することが効果的である。さらにまた、燐
系酸化防止剤の少なくとも1種と、ヒンダードフェノー
ル系酸化防止剤の少なくとも1種と、含水複塩化合物の
少なくとも1種の合計3種以上を併用することが特に好
ましい。
【0055】上記ビタミンE(トコフェロール)とトコ
フェロール類二量体は、優れた酸化防止作用の他に、成
形品を黄色に着色させてカーボンブラック等の遮光性物
質と併用すると遮光能力をカーボンブラック等の遮光性
物質単独添加の場合より向上させ、かつ、分散性も向上
させるので遮光性物質の添加量を10%以上減少させても
同等の遮光性を有する成形品を得ることができる。この
結果写真性の悪化防止、物理強度向上、外観向上、材料
費減少等各種の効果が発揮されるので本発明の写真感光
材料用成形品として特に好ましい。
【0056】代表的な市販酸化防止剤を以下に示す。 (1) フェノール系酸化防止剤;SUMILIZER B
HT(住友)、YOSHINOX BHT(吉富)、I
RGANOX 1076(チバガイギー)、MARK AO−
50(アデカ・アーガス)、SUMILIZER BP−7
6(住友)、TOMINOX SS(吉富)、IRGAN
OX 565(チバガイギー)、NONOX WSP(IC
I)、SANTONOX(Monsanto)、SUMILIZ
ER WX R(住友)、ANTAGECRYSTAL
(川口)、IRGANOX 1035(チバガイギー)、AN
TAGE W−400(川口)、NOCLIZER NS−6
(大内新興)、IRGANOX 1425 WL(チバガイギ
ー)、MARK AO−80(アデカ・アーガス)、SUM
ILIZER GA−80(住友)、TOPANOL CA
(ICI)、MARK AO−30(アデカ・アーガス)、M
ARK AO−20(アデカ・アーガス)、IRGANOX
3114(チバガイギー)、MARK AO−330(アデカ・ア
ーガス)、IRGANOX 1330(チバガイギー)、CY
ANOX 1790(ACC)、IRGANOX 1010(チバガ
イギー)、MARK AO−60(アデカ・アーガス)、
SUMILIZER BP−101(住友)、TOMINO
X TT(吉富)等
【0057】(2) 燐系酸化防止剤;IRGAFOS 168
(チバガイギー)、MARK 2112(アデカ・アーガ
ス)、WESTON 618(ボルグワーナー)、MARK
PEP−8(アデカ・アーガス)、ULTRANOX 6
26(ボルグ・ワーナー)、MARK PEP−24G(アデ
カ・アーガス)、MARK PEP−36(アデカ・アーガ
ス)、HCA(三光)等
【0058】(3) チオエーテル系酸化防止剤;DLTD
P "YOSHITOMI"(吉富)、SUMILIZER
TPL(住友)、ANTIOX L(日油)、DMTD
"YOSHITOMI"(吉富)、SUMILIZER T
PM(住友)、ANTIOX M(日油)、DSTP
"YOSHITOMI"(吉富)、SUMILIZER T
PS(住友)、ANTIOX S(日油)、SEENOX
412S(シプロ)、MARK AO−412S(アデカ・ア
ーガス)、SUMILIZER TP−D(住友)、MA
RK AO−23(アデカ・アーガス)、SANDSTA
B P−EPQ(サンド)、IRGAFOS P−EPQ
FF(チバガイギー)、IRGANOX 1222(チバガイ
ギー)、MARK 329K(アデカ・アーガス)、WES
TON 399(ボルグ・ワーナー)、MARK 260(アデ
カ・アーガス)、MARK 522A(アデカ・アーガス)
【0059】(4) 金属不活性化剤 NAUGARD XL−1(ユニロイヤル)、MARK
CDA−1(アデカ・アーガス)、MARK CDA−
6(アデカ・アーガス)、LRGANOX MD−1024
(チバガイギー)、CUNOX(三井東圧)等
【0060】特に好ましい酸化防止剤はフェノール系の
酸化防止剤であり、市販品としてはチバガイギー社のイ
ルガノックス各種と住友化学(株)のSumilizer BHT,
Sumilizer BH−76, Sumilizer WX−R,Sumilizer
BP−101等である。また、2,6−ジ−ヒブチル−p−
クレゾール(BHT)、低揮発性の高分子量フェノール
型酸化防止剤(商品名:Ireganox 1010, Ireganox 1076,
Topanol CA, Ionox330等)、ジラウリルチオジプロ
ピオネート、ジステアリルチオプロピオネート、ジアル
キルフォスフェート等の1種以上、特に2種以上を併用
するのが効果的である。
【0061】特に遊離基連鎖停止剤の代表例である融点
が100℃以上、好ましくは120℃以上の前記ヒンダードフ
ェノール系酸化防止剤の少なくとも1種と、過酸化物分
解剤である燐系酸化防止剤の少なくとも1種とを併用し
て用いることが写真性を悪化させずに樹脂や添加剤の熱
劣化防止効果を高めることができるので好ましい。
【0062】写真感光材料の写真性への悪影響が少な
く、樹脂溶融温度(130〜400℃)でも熱分解が少なく、
経時によるブリードアウトも少ない等多くの優れた特性
を有する点から分子量は200以上、好ましくは300以上、
特に好ましくは400以上、最も好ましくは500以上の酸化
防止剤である。
【0063】最も好ましいのは少なくとも前記ヒンダー
ドフェノール系酸化防止剤0.0005〜1.0重量%と燐系酸
化防止剤0.0005〜1.0重量%(但し酸化防止剤の合計量は
0.0005〜1.5重量%、好ましくは0.001〜1.0重量%、特
に好ましくは0.005〜0.8重量%、最も好ましくは0.01〜
0.6重量%にすることが写真性、経済性、効果のバラン
スの点で必須)及びハイドロタルサイト類化合物を0.001
〜5重量%、併用した熱可塑性樹脂組成で形成された写
真感光材料用成形品である。特に各種ポリプロピレン樹
脂、各種ポリエチレン樹脂、各種エチレン共重合体樹脂
等のポリオレフィン樹脂と前述のヒンダードフェノール
系酸化防止剤の1種以上0.0005〜1.0重量%と燐系酸化防
止剤の1種以上0.0005〜1.0重量%及びハイドロタルサイ
ト類化合物の1種以上を0.001〜5重量%併用したポリオ
レフィン系樹脂組成物で成形されている写真感光材料用
成形品の場合に熱劣化防止性、ミクログリット発生防
止、ショートショット発生防止、物理強度低下防止、ア
ルミニウム粉末の均一分散、写真性悪化防止等、特に優
れた予想外の効果を発揮する。グルタミン酸金属塩(N
a、K、Ca、Al等)も同様に好ましい。
【0064】本発明に使用されるラジカル捕獲剤として
は、1・1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル、1
・3・5−トリフェニルフェルダジル、2・2,6・6
−テトラメチル−4−ピペリドン−1−オキシル、N−
(3−N−オキシアニリノ−1・3−ジメチルブチリデ
ン)−アニリンオキシド、塩化第二鉄などのような高原
子価金属塩、ジフェニルピクリルヒドラジン、ジフェニ
ルピクリルヒドラジン、ジフェニルアミン、ハイドロキ
ノン、t−ブチルカテコール、ジチオベンゾイルジスル
フィド、p・p'−ジトリルトリスルフィド、ベンゾキノ
ン誘導体、ニトロ化合物、およびニトロソ化合物などを
挙げることができる。これらのうちでも、ハイドロキノ
ンを用いることは特に好ましい。また、上記のラジカル
捕獲剤は単独で用いてもよく、あるいは数種類を併用す
ることもできる。さらに各種の酸化防止剤や含水複塩化
合物(代表例としてはハイドロタルサイト類化合物)や
酸化防止相乗効果剤や老化防止剤の1種以上と併用する
ことも好ましい。
【0065】ラジカル捕獲剤の樹脂組成物中への添加量
は0.001〜5重量%、好ましくは0.005〜3.5重量%、特
に好ましくは0.01〜2重量%、最も好ましくは0.05〜1
重量%である。0.001重量%未満では添加効果がなく、
経費増となるだけである。5重量%を越えても増量効果
がほとんどなく材料費増となるだけである。
【0066】酸化防止剤等の劣化防止剤と略同じ効果を
発揮しさらに樹脂中の触媒残査であるハロゲン化合物を
中和し無害化する働きもするので含水複塩化合物を使用
することが好ましい。本発明で含水複塩化合物として使
用することが特に好ましい代表例を以下に示す。一般式
が Mxy(OH)2x+3y-2z(A)z・aH2O {MはMg、Ca又はZn、RはAl又はCr又はF
e、AはCO3又はHPO4、x、y、z、aは正数}で
示される複塩であるハイドロタルサイト類化合物であ
り、具体例の代表例を示すと、Mg6Al2(OH)16CO
3・4H2O、Mg8Al2(OH)20CO3・5H2O、Mg
5Al2(OH)14CO3・4H2O、Mg10Al2(OH)
22(CO3)2・4H2O、Mg6Al2(OH)16HPO4・4
2O、Ca6Al 2(OH)16CO3・4H2O、Zn6Al
2(OH)16CO3・4H2O、Mg4.5Al2(OH)13CO3
・3.5H2O等がある。
【0067】また一般式が M(1-x)・Alx・(OH)2・Xx/n・mH2O {ただし式中、Mはアルカリ土類金属およびZnを示
す。Xはn価のアニオンを示す。
【0068】そして、xおよびmは下記式の条件を満足
する。 0<x<0.5 0≦m≦2 } で表わされる屈折率1.40〜1.60、好ましくは1.45〜1.55
の範囲であるハイドロタルサイト類化合物である。
【0069】上記式においてXで表わされるn価のアニ
オンの例としては、Cl-、Br-、I-、NO3 -、Cl
4 -、SO4 2-、CO3 2-、SiO3 2-、HPO4 2-、HB
3 2-、PO4 3-、Fe(CN)6 3-、Fe(CN)4 4-、CH
3COC-、C64(OH)COO-
【0070】
【化1】
【0071】
【化2】
【0072】
【化3】
【0073】
【化4】
【0074】などの如きアニオンを例示する事ができ
る。さらにまた一般式が例えば、一般式Mg1-xAl
x(OH)2x/2・mH2Oで示されるマグネシウムとアル
ミニウムから成るハイドロタルサイト類化合物である。
{式中、Xは0<x≦0.7の範囲の実数であり、AはC
3を示し、mは実数を示す。}
【0075】好ましい具体例を以下に示す。 Mg0.7Al0.3(OH)2(CO3)0.15・0.54H2O Mg0.67Al0.33(OH)2(CO3)0.165・0.5H2O Mg0.67Al0.33(OH)2(CO3)0.165・0.2H2O Mg0.6Al0.4(OH)2(CO3)0.2・0.42H2O Mg0.75Al0.25(OH)2(CO3)0.125・0.63H2O Mg0.83Al0.17(OH)2(CO3)0.085・0.4H2O 等
【0076】これらの含水複塩化合物は、天然物であっ
ても、合成品であってもよい。これらの含水複塩化合物
は、マグネシウム、アルミニウム、シリコン等を主成分
としており、写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼした
り、成形機に用いられている金属の発錆の原因と考えら
れる塩素イオン等のハロゲン化イオンを吸着して無害化
する能力に優れている。さらに熱可塑性樹脂中のモノマ
ーや各種添加剤中の揮発性物質等写真性に悪影響を及ぼ
す物質を吸着固定するものと推定される。ハイドロタル
サイト類化合物の具体的な合成方法としては、特公昭46
−2280号公報及び特公昭50−30039号公報等に開示され
ている公知の方法も使用できる。
【0077】本発明では特にハイドロタルサイト類化合
物が好ましく、その結晶構造、結晶粒子径に制限される
ことなく使用可能である。
【0078】ハイドロタルサイト類化合物の天然品とし
ては、ハイドロタルク石、スチヒタイト、パイロオーラ
イト等がある。これらの含水複塩化合物は単独で使用し
ても、2種以上混合してもよい。特に後述する各種酸化
防止剤や各種脂肪酸金属塩と併用することが好ましい。
含水複塩化合物の樹脂組成物中への添加量は0.001〜5重
量%であり、好ましくは0.005〜3.5重量%、特に好まし
くは0.01〜2重量%、最も好ましくは0.05〜1重量%で
ある。0.001重量%未満では製造時や加工時の防蝕防止
効果がなく、成形品が着色したり、樹脂劣化を生じる。
5重量%を越えると成形品にブツが発生したり、光沢が
落ち外観が悪いものとなる。
【0079】本発明で使用が好ましい含水複塩化物とし
て使用する上記ハイドロタルサイト類化合物は、特に限
定されるものではなく、2.5MgO・Al23・XH
2O、2MgO・6SiO2・XH2O(これらはいずれ
も協和化学KKより商品名キョーワード(商標登録)と
して製造販売されている。)等、マグネシウム、アミニ
ウム、シリコン等の酸化物、炭酸化物又は水酸化物のい
ずれか2以上から成る含水複塩(写真性に悪影響を与え
ないようにするためMg化合物が特に好ましい必須)で
ある。射出成形等の加工性、物性等を特に向上させるた
めには平均2次粒子径が20μm以下、好ましくは10μm
以下、特に好ましくは5μm以下、BET比表面積が50
2/g以下、好ましくは40m2/g以下、特に30m2/g
以下が好ましい。
【0080】本発明においてハイドロタルサイト類化合
物は表面被覆物質で処理して利用するのが好ましい。表
面被覆する事により、樹脂に対する分散性ないし親和性
が一層向上し、射出成形等の加工適性、物性等も向上す
る。
【0081】このような表面被覆物質の例としては、例
えば、ラウリル酸ソーダ、ラウリル酸カリウム、オレイ
ン酸ソーダ、オレイン酸カリウム、オレイン酸カルシウ
ム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ソーダ、
ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カリウム、パルミチン
酸ソーダ、パルミチン酸カリウム、カプリン酸ソーダ、
カプリン酸カリウム、ミリスチン酸ソーダ、ミリスチン
酸カリウム、リノール酸ソーダ、リノール酸カリウムな
どのような高級脂肪酸の金属塩類;ラウリル酸、パルミ
チン酸、オレイン酸、ステアリン酸、カプリン酸、ミリ
スチン酸、リノール酸などの如き高級脂肪酸類;ドデシ
ルベンゼンスルホン酸カルシウム、ドデシルベンゼンス
ルホン酸ナトリウム等の有機スルホン酸金属塩類;イソ
プロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピ
ルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネー
ト、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイ
ト)チタネート、ビニルトリエトキシシラン、ガンマメ
タクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ガンマグ
リシドオキシプロピルトリメトキシシランなどのような
カップリング剤類、高級脂肪酸アミド類、高級脂肪酸エ
ステル類、シリコーン類、ワックス類の各種滑剤などを
例示することができる。
【0082】これら表面被覆物質による表面被覆は、た
とえば、温水にハイドロタルサイト類化合物を懸濁した
状態のところに、攪拌下に、高級脂肪酸のアルカリ金属
塩の水溶液を加える事により、或いは、ハイドロタルサ
イト類化合物粉末をヘンシェルミキサー等の混合機によ
り攪拌下、高級脂肪酸の融液とか、カップリング剤の希
釈液を滴下することにより行うことができる。これら表
面被覆物質の量は適宜に選択変更できるが、ハイドロタ
ルサイト類化合物に対して、約0.01〜50重量%、好まし
くは0.05〜35重量%、特に好ましくは0.1〜20重量%、
最も好ましくは0.5〜10重量%程度が適当である。
【0083】さらに本発明の主旨を損なわない限りは少
量の他の金属酸化物等の不純物を含んでもよい。
【0084】さらにハイドロタルサイト類化合物の分散
をより良好にするために例えば高級脂肪酸や脂肪酸アミ
ド系滑剤やシリコーンオイルやソルビタンモノステアレ
ートのようなソルビタン脂肪酸エステルやグリセリンモ
ノステアレートのようなグリセリン脂肪酸エステルなど
1種以上を分散剤として樹脂組成物に合計量0.01〜10重
量%、好ましくは0.05〜8重量%、特に好ましくは0.08
〜5重量%、最も好ましくは0.1〜3重量%添加しても
よい。含水複塩化合物と併用することにより、写真性の
悪化防止、加工安定性、成形機の防蝕効果が向上し、成
形品の着色や、樹脂劣化を防止し、透明度を向上し、物
理強度低下を防止し、樹脂焼けによるブツの発生や着色
故障の発生を防止する作用等を相乗的に向上する。フェ
ノール系酸化防止剤や燐(ホスファイト)系酸化防止剤
及び脂肪酸金属塩から成る群より選択された1種以上の
安定剤と併用することが写真感光材料の写真性悪化がほ
とんどなく、酸化防止効果が大きくなるので特に好まし
い。
【0085】この場合、写真感光材料の写真性能に悪影
響を及ぼさないようにするためには、 フェノール系酸化防止剤を0.0005〜0.5重量%、好
ましくは0.001〜0.4重量%、特に好ましくは0.002〜0.3
重量%添加する。 燐系酸化防止剤0.0005〜0.5重量%、好ましくは0.0
01〜0.4重量%、特に好ましくは0.002〜0.1重量%添加
する。 含水複塩化合物及び/又は脂肪酸金属塩(金属石け
ん)を0.0005〜10重量%、好ましくは0.001〜5重量
%、特に好ましくは0.002〜3重量%添加する。
【0086】且つ++の合計含有量が0.0015〜11
重量%、好ましくは0.002〜10重量%、特に好ましくは
0.003〜9重量%、最も好ましくは0.005〜8重量%写真
感光材料用成形品中に含まれるようにする。いずれにし
ても樹脂劣化を防止できる最少量添加することが写真性
能を悪化させず、コストアップを抑制する点からも好ま
しい。
【0087】上記酸化防止相乗効果剤は、上記酸化防止
剤やラジカル捕獲剤や含水複塩化合物の1種以上と併用
することにより、樹脂や低分子量の添加剤(滑剤や帯電
防止剤や有機造核剤や防滴剤や相溶化剤等)の熱劣化や
熱分解を防止し、物理強度の低下や樹脂の流動性が著し
く変化したり、ブツが発生するのを防止する。さらに写
真感光材料に悪影響を及ぼす熱分解物質(アルデヒド等)
の発生を防止する。このような作用をする酸化防止相乗
効果剤としてはリン酸、クエン酸、リン酸化合物、クエ
ン酸化合物等がある。特にリン酸金属塩とクエン酸金属
塩が好ましい。
【0088】本発明では酸化防止剤やラジカル捕獲剤や
酸化防止相乗効果剤や老化防止剤と同様各種ポリオレフ
ィン樹脂やホモポリスチレン樹脂やゴム含有芳香族ビニ
ル樹脂(耐衝撃性ポリスチレン樹脂)等の熱可能性樹脂
の光劣化を防止する紫外線吸収剤を用いることが好まし
い。
【0089】代表例としては、 (1) サリチル酸系紫外線吸収剤 主要なものは次の通り。 Phenylsalicylate p-t-Butylphenylsalicylate p-Octylphenylsalicylate
【0090】(2) ベンゾフェノン系紫外線吸収剤 主要なものは次の通り。 2,4-Dihydroxybenzophenone 2-Hydroxy-4-methoxybenzophenone 2-Hydroxy-4-octoxybenzophenone 2-Hydroxy-4-dodecyloxybenzophenon 2,2'-Dihydroxy-4-methoxybenzophenone 2,2'-Dihydoxy-4,4'-dimethoxybenzophenone 2-Hydroxy-4-methoxy-5-sulfobenzophenone
【0091】(3) ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 主要なものは次の通り。 2-(2'-Hydroxy-5'-methylphenyl)benzotriazole 2-(2'-Hydroxy-5'-t-butylphenyl)benzotriazole 2-(2'-Hydroxy-3',5'-di-t-butylphenyl)benzotriazole 2-(2'-Hydroxy-3'-t-butyl-5'-methylphenly)-5-chloro
benzotriazole 2-(2'-Hydroxy-3',5'-di-t-butylphenyl)-5-chlorobenz
otriazole 2-(2'-Hydroxy-3',5'-di-t-amylphenyl)benzotriazole 2-(2'-Hydroxy-4'-octoxyphenyl)benzotriazole 2-[2'-Hydroxy-3'-(3",4",5",6"-tetrahydrophthal imi
demethyl)-5'-methylphenyl]-benzotriazole 2,2-Methylene-bis[4-(1,1,3,3-tetramethylbutyl)-6-
(2H-benzotriazole-2-il)phenol]
【0092】(4) シアノアクリレート系紫外線吸収剤 2-Ethylhexyl-2-cyano-3,3'-di-phenylacrylate Ethyl-2-cyano-3,3'-diphenylate
【0093】この紫外線吸収剤の配合量は各種ポリオレ
フィン樹脂やホモポリスチレン樹脂やポリアミド樹脂や
ゴム含有芳香族ビニル樹脂(耐衝撃性ポリスチレン樹
脂)等の熱可塑性樹脂100重量部に対して0.01重量部以
下では充分な紫外線吸収効果を与えず10重量部以上とす
るとブリードアウトが発生し、写真感光材料の写真性能
に悪影響を与えるので、0.01〜10重量部の範囲とする必
要がある。好ましい範囲は0.05〜5重量部であり、特に
好ましい範囲は0.1〜3重量部である。
【0094】なお、これらの紫外線吸収剤はその2種以
上を組み合わせて使用してもよい。0.01重量部未満であ
ると、添加効果がほとんど発揮されずに、混練経費増と
なるだけである。また、添加量が10部を越えると、増量
効果がほとんどなく、材料費が増加するうえにブリード
アウトがはげしくなり、写真感光材料の写真性に悪影響
を及ぼすので実用化困難である。
【0095】本発明では、酸化防止剤やラジカル捕獲剤
や酸化防止相乗効果剤と同様、各種ポリオレフィン樹脂
やホモポリスチレン樹脂やゴム含有芳香族ビニル樹脂
(耐衝撃性ポリスチレン樹脂)等の熱可塑性樹脂の劣化
を防止する効果を発揮する老化防止剤を用いることが好
ましい。代表例はフェニル−β−ナフチルアミンなどの
ナフチルアミン系、N−N'−ジフェニルエチレンジア
ミンなどのジフェニルアミン系、N,N'−ジフェニル−
p−フェニレンジアミンなどのp−フェニレンジアミン
系、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒ
ドロキナリンなどのヒドロキノン誘導体、2,6−ジ−第
三−ブチル−4−メチルフェノールなどモノフェノール
系、2,2'−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−
ブチルフェノール)などのポリフェノール系、4,4'−
チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)
などのチオビスフェノール系、2−メルカプトベンズイ
ミダゾールなどが例示されるが、これらはそれぞれの特
性に応じて任意に配合される。しかし、この老化防止剤
の配合量は各種ポリオレフィン樹脂やホモポリスチレン
樹脂やゴム含有芳香族ビニル樹脂(耐衝撃性ポリスチレ
ン樹脂)等の熱可塑性樹脂100重量部に対して0.01重量
部以下では充分な老化防止効果を与えず、10重量部以上
とするとこの組成物に加硫障害や著しいブリードアウト
が発生するので、0.01〜10重量部の範囲とする必要があ
るが、好ましい範囲は0.05〜5重量部であり、特に好ま
しい範囲は0.1〜3重量部である。なお、これらの老化
防止剤はその2種以上を組合せて使用してもよい。
【0096】その他、酸化防止剤ハンドブック(KK大
成社 昭和51年10月25日発行)やプラスチック データ
ハンドブック(KK工業調査会1984年4月5日発行)の79
4〜799ページに開示された各種酸化防止剤やプラスチッ
ク添加剤データー集(KK化学工業社発行)の327〜329
ページに開示された各種酸化防止剤やPLASTICS AGE ENC
YCLOPEDIA進歩編、1986(KKプラスチック・エージ発
行)の211〜212ページに開示された各種酸化防止剤があ
り写真性への悪影響防止、酸化防止効果等から種類や添
加量を選択して用いることが可能である。これらの酸化
防止剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いるこ
とが写真性に悪影響を与ず、酸化防止効果を発揮させる
上で好ましいが、特に必要最少量にすることが写真性を
良好に維持するために好ましい。
【0097】本発明の写真感光材料用成形品には、界面
活性剤が添加されている。界面活性剤を添加することに
より、帯電防止と滑性向上を確保することができる。さ
らにアルミニウム粉末や遮光性物質や含水複塩化合物
(代表例はハイドロタルサイト類化合物)等の成形品中
への分散性を向上させる。
【0098】界面活性剤の添加量は、0.01〜5.0重量%
であり、0.05〜3.0重量%が好ましく、0.1〜1.5重量%
がより好ましい。添加量が0.01重量%未満であると、界
面活性剤の添加効果が無く、混練経費が増えるだけであ
る。また、添加量が5.0重量%を越えると、溶融樹脂と
押出し機のスクリューとのスリップが発生しやすくな
り、樹脂の吐出量が不安定になる。また、成形後の経時
によりベトツキやブリードアウトが発生しやすくなる。
さらにまたブリードアウトした界面活性剤が写真感光層
に転写して現像阻害を発生させ品質を低下させる。
【0099】界面活性剤の代表例を以下に示す。 I.ノニオン系(=非イオン系) (1) アルキルアミン誘導体:T−B103(松本油脂)、T
−B104(松本油脂) アルキルアミド型 ポリオキシエチレンアルキルアミン:アーモスタット31
0(ライオン油脂) 3級アミン(ラウリルアミン):アーモスタット400(ラ
イオン油脂) N,N−ビス(2−ヒドロキシエチルココアミン):ア
ーモスタット410(ライオン油脂) 3級アミン:ANTISTATIC273C、273、273E
(Fine Org.Chem) N−hydroxyhexadecyl−di−ethanol−amine:Belg.
P. 654, 049 N−hydroxyoctadecyl−di−ethanol−amine:(Natio
nal Dist.)
【0100】(2) 脂肪酸アマイド誘導体:TB−115(松
本油脂)、エレガンP100(日本油脂)、エリークSM−
2(吉村油化学) ヒドロキシステアリン酸アマイド シュウ酸−N,N'−ジステアリルアミドブチルエステ
ル:ヘキスト ポリオキシエチレンアルキルアミド
【0101】(3) エーテル型 ポリオキシエチレンアルキルエーテル RO(CH2CH2O)nH ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル 特殊非イオン型:レジスタット104, PE100, 116〜118
(第一工業製薬)、レジスタットPE132, 139(第一工業
製薬)、エレガンE115, ケミスタット1005(日本油
脂)、エリークBM−1(吉村油化学)、エレクトロス
トリッパ−TS,TS2,3,5,EA,EA2,3
(花王石鹸)
【0102】(4) 多価アルコールエステル型 グリセリン脂肪酸エステル:ステアリン酸若しくはヒド
ロキシステアリン酸等のモノ、ジ、またはトリグリセラ
イド、モノグリ((日本樟脳)、TB−123(松本油脂)、
レジスタット113(第一工業製薬) ソルビタン脂肪酸エステル 特殊エステル:エリークBS−1(吉村油化学) 1−ヒドロキシエチル−2−ドデシルグリオキサゾリ
ン:ブリティシュ・セロファン
【0103】II.アニオン系 (1) スルホン酸類 アルキルスルホネート RSO3Na アルキルベンゼンスルホネート アルキルサルフェート ROSO3Na
【0104】(2) リン酸エステル型 アルキルホスフェート
【0105】III.カチオン系 (1) アミド型カチオン:レジスタットPE300, 401, 40
2, 406, 411(第一工業製薬)
【0106】(2) 四級アンモニウム塩 第4級アンモニウムクロライド 第4級アンモニウムサルフェート 第4級アンモニウムナイトレート カチミンCSM−9(吉村油化学)、CATANAC60
9(アメリカン・シアナミド)、デノン314C(丸菱油
化)、アーモスタット300(ライオン油脂)、100V(ア
ーマー)、エレクトロストリッパ−ES(花王石鹸)、
ケミスタット2009A(日本油脂) Stearamido propyl−dimethyl−β−hydroxyethyl amm
onium nitrate:CATANAC・SN(アメリカン・
ジアナミド)
【0107】IV.両性イオン系 (1) アルキルペタイン型:
【0108】(2) イミダゾリン型:レオスタット53, 53
2(ライオン油脂)、AMS 53(ライオン油脂)、AMS
303, 313(ライオン油脂) アルキルイミダゾリン型
【0109】(3) 金属塩型: AMS 576(ライオン油脂) レオスタット826, 923(ライオン油脂) (RNR'CH2CH2CH2NCH2COO)2Mg {R≧C,R'=Hまたは(CH2)mCOO−}(ライオ
ン油脂) R=C38炭化水素、A=酸素またはイミノ基、M=有
機アミンまたは金属
【0110】(4) アルキルアラニン型:
【0111】V.その他;レジスタット204, 205(第一
工業製薬)、エレガン2E, 100E(日本油脂)、ケミス
タット1002, 1003, 2010(日本油脂)、エリーク51(吉
村油化学)、ALROMINE RV−100(ガイギー)、
また、プラスチックデータハンドブック(KK工業調査
会1984年4月5日発行)の776〜778ページに開示された
各種帯電防止剤等から種類や添加量を選択して用いるこ
とが可能である。
【0112】以上の界面活性剤の中で写真性及び人身に
与える悪影響が小さく、スタチックマーク防止効果が大
きいので、非イオン(ノニオン)系界面活性剤が特に好
ましい。
【0113】本発明の写真感光材料用成形品に使用され
る熱可塑性樹脂としては、高密度ホモポリエチレン樹
脂、中密度ホモポリエチレン樹脂、低密度ホモポリエチ
レン樹脂、エチレン・αオレフィン共重合体樹脂、塩化
ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル樹脂、ポ
リ塩化ビニリデン樹脂、EVA樹脂、EEA樹脂、EA
A樹脂、EMA樹脂、アクリル樹脂、アクリルニトリル
樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボ
ネート樹脂、ポリアセタール樹脂、エチレン・ビニルア
ルコール(EVOH)共重合体樹脂、ポリスチレン樹
脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(AB
S)共重合体樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂、
ホモポリプロピレン樹脂、プロピレン・αオレフィン共
重合体樹脂、熱可塑性エラストマー(ポリスチレン系、
ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポ
リウレタン系、塩素化ポリエチレン系、1,2−ポリブタ
ジエン系等)等がある。
【0114】熱可塑性樹脂としては、安価で耐熱性、耐
油性等が優れているので結晶性樹脂が好ましい。この結
晶性樹脂としては、ホモポリエチレン樹脂、ホモポリプ
ロピレン樹脂、プロピレン・αオレフィン共重合体樹
脂、エチレン共重合体樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリ
アミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂やポリエ
チレンナフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、ポリ四
フッ化エチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アイ
ソタクチックポリスチレン樹脂の1種又は2種以上を50
重量%以上含む樹脂がある。好ましくはポリエチレン系
樹脂とポリプロピレン系樹脂、特に好ましくは低密度ホ
モポリエチレン樹脂(以後、LDPE樹脂と表示)、高
密度ホモポリエチレン樹脂(以後、HDPE樹脂と表
示)、L−LDPE樹脂、ホモポリプロピレン樹脂、プ
ロピレン・エチレン共重合体樹脂である。これらの樹脂
の中でも立体規則性触媒を使用したものが写真感光材料
の写真性に悪影響を及ぼす触媒残査が少ないので好まし
い。包装フィルムの場合、アルミニウム粉末の均一分散
性向上、ヒートシール適性向上(特に経時ヒートシール
強度確保)、物理強度向上等の目的でエチレン共重合体
樹脂を1〜99.8重量%、好ましくは2〜97重量%、特に
好ましくは5〜94重量%含ませる。
【0115】エチレン共重合体樹脂の代表例を以下に示
す。 (1) エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(以後、EVA
樹脂と表示) (2) エチレン−プロピレン共重合体樹脂 (3) エチレン−1−ブテン共重合体樹脂 (4) エチレン−ブタジエン共重合体樹脂 (5) エチレン−塩化ビニル共重合体樹脂 (6) エチレン−メタクリル酸メチル共重合体樹脂(以
後、EMM樹脂と表示) (7) エチレン−アクリル酸メチル共重合体樹脂(以後、
EMA樹脂と表示) (8) エチレン−アクリル酸エチル共重合体樹脂(以後、
EEA樹脂と表示) (9) エチレン−アクリロニトリル共重合体樹脂 (10)エチレン−アクリル酸共重合体樹脂(以後、EAA
樹脂と表示) (11)アイオノマー樹脂(エチレンと不飽和酸との共重合
物を亜鉛などの金属で架橋した樹脂) (12)エチレン−αオレフィン共重合体樹脂(以後、L−
LDPE樹脂と表示) (13)エチレン−プロピレン−ブテン−1三元共重合体樹
脂 (14)エチレン−プロピレンエラストマー
【0116】上記L−LDPE(Linear Low Density Po
lyethylene)樹脂は、第3のポリエチレン樹脂と称さ
れ、中・低密度、高密度、両ポリエチレン樹脂の利点を
併せもつ省エネルギー、省資源という時代の要請に合致
する低コスト、高強度の樹脂である。この樹脂は低圧法
又は高圧改良法でエチレンと炭素数が3〜13個、好まし
くは4〜10個のα−オレフィンを共重合させたコポリマ
ーで線状の直鎖に短分岐をもった構造のポリエチレン系
樹脂である。物理強度やコストの点で好ましいα−オレ
フィンとしてはブテン−1、オクテン−1、ヘキセン−
1,4−メチルペンテン−1、ヘプテン−1、デセン−
1などが使用される。密度(ASTM D−1505)は一般
に低中密度ポリエチレン樹脂程度とされているが、本発
明では0.87〜0.98g/cm3、特に0.88〜0.96g/cm3の範
囲内にあるものが好ましい。メルトフローレート(AS
TM D−1238のE条件)は0.1〜80g/10分、特に0.3
〜60g/10分の範囲内にあるものが好ましい。L−LD
PE樹脂の重合プロセスとしては中・低圧装置を用いる
気相法、溶液法、液相スラリー法と高圧改良法装置を用
いるイオン重合法等がある。
【0117】市販のL−LDPE樹脂の具体例を以下に
示す。 エチレン・ブテン−1共重合体樹脂 GレジンとNUC−FLX(UCC社) ダウレックス (ダウケミカル社) スクレアー (デュポンカナダ社) マーレックス (フィリップス社) スタミレックス (DSM社) エクセレンVL (住友化学) ネオゼックス (三井石油化学) 三菱ポリエチ−LL (三菱油化) 日石リニレックス (日本石油化学) NUCポリエチレン−LL(日本ユニカー) 出光ポリエチレンL (出光石油化学) エチレン・ヘキセン−1共重合体樹脂 TUFLIN (UCC社) TUFTHENE (日本ユニカー) エチレン・4メチルペンテン−1共重合体樹脂 ウルトゼックス (三井石油化学) エチレン・オクテン−1共重合体樹脂 スタミレックス (DSM社) ダウレックス (ダウケミカル社) スクレアー (デュポンカナダ社) MORETEC (出光石油化学)
【0118】これらのL−LDPE樹脂の中で物理強度
とヒートシール強度とフィルム成形性の点から好ましい
のは、メルトフローレート(ASTM D−1238のE条件
又はJIS K−7210の条件4の試験温度190℃、試験荷
重2.16kgfで測定。以後、MFRと表示)が0.1〜10g
/10分、好ましくは0.2〜7g/10分、特に好ましくは
0.3〜5g/10分、密度(JIS K−6760又はASTM
D−1505)で測定)が0.870〜0.950g/cm3、好ましく
は0.880〜0.940g/cm3、特に好ましくは0.890〜0.930
g/cm3、そしてα−オレフィンの炭素数が3〜12個、
好ましくは4〜10個、特に好ましくは6〜8個の液相ス
ラリー法プロセスと気相法プロセスで得られたものであ
る。射出成形品の場合、物理強度向上と射出成形性のバ
ランスの点から特に好ましいのは、MFR(ASTM
D−1238のE条件又はJIS K−7210の条件4の試験
温度190℃、試験荷重2.16kgfで測定)が2〜80g/10
分、好ましくは5〜70g/10分、特に好ましくは7〜60
g/10分、密度(JIS K−6760又はASTM D−150
5で測定)が0.890〜0.980g/cm3、好ましくは0.900〜
0.970g/cm3、特に好ましくは0.915〜0.965g/cm3
してα−オレフィンの炭素数が3〜8個の液相スラリー
法プロセスと気相法プロセスで得られたものである。
【0119】写真感光材料用成形品がフィルム成形品の
場合、好ましい代表的な例を商品名であげると、ポリエ
チレンにα−オレフィン側鎖として炭素数6個の4−メ
チルペンテン−1を導入した三井石油化学(株)のウルト
ゼックス等及びα−オレフィン側鎖として炭素数8個の
オクテン−1を導入した出光石油化学(株)のMORET
ECとDSM社のスタミレックスとダウケミカル社のダ
ウレックス等がある(以上、4社品共液相スラリー法プ
ロセスで得られたL−LDPE樹脂である。)。低圧法
の気相法プロセスで得られた好ましい代表的な例を商品
名であげると、α−オレフィン側鎖として炭素数6個の
ヘキセン−1を導入したUCC社のTUFLIN及び日
本ユニカー(株)のTUFTHENE等である。
【0120】これらのエチレン・αオレフィン共重合体
樹脂の重合には各種の触媒を用いるので、これらの触媒
がエチレン・αオレフィン共重合体樹脂中に残査として
含有されており写真感光材料の写真性に悪影響を与えた
り、成形機を腐蝕させたり、アルミニウム粉末(アルミ
ニウムペーストも含む)を腐蝕させたり種々の有害作用
をするのでこれらを防止するために後述の各種脂肪酸金
属塩の1種又は2種以上を0.005〜10.0重量%、好まし
くは0.01〜5.0重量%添加する。各種脂肪酸金属塩の1
種又は2種以上とハイドロタルサイト類化合物の1種又
は2種以上を併用添加すると上記の防止効果が相乗的に
発揮される。
【0121】本発明の写真感光材料用成形品には相溶化
剤を添加することができる。この相溶化剤とは、同種で
も特性の異なる熱可塑性樹脂、2種以上の熱可塑性樹
脂、リサイクル熱可塑性樹脂とバージン熱可塑性樹脂
(以後本発明では成形品の形としては、使用されていな
い熱可塑性樹脂をこのように表示。)、遮光性物質を高
濃度に配合したマスターバッチ熱可塑性樹脂と希釈用熱
可塑性樹脂(以後本発明では遮光性物質の濃度がブレン
ドするもう一つより低い樹脂又は遮光性物質を含まない
樹脂をこのように表示。)又はこれらを組み合せた樹脂
のように、単一の熱可塑性樹脂にはない新しい性質、性
能を発現しようとする際、相溶化を達成できる物質であ
る。
【0122】相溶化剤の配合量は、上記目的を達成しな
がら物理強度等は低下させない、経済的にも実用化可能
な1〜70重量%であり、2〜50重量%が好ましく、3.5〜
40重量%がより好ましく、5〜35重量%が最も好まし
い。配合量が1重量%未満であると、物理強度の向上、
外観の向上及び相溶性の向上を効果的に達成することが
できない。また、配合量が70重量%を越えると、写真感
光材料に悪影響を及ぼす恐れがあり、また、高価である
ためコストが高くなり経済的に実用化困難になるもので
ある。
【0123】相溶化剤には、非反応型相溶化剤と反応型
相溶化剤とがある。相溶化剤の具体的な代表例を以下に
示す。
【0124】非反応型相溶化剤の代表例 スチレン・エチレン・ブタジエンブロック共重合体樹脂 ポリエチレン・ポリスチレングラフト共重合体樹脂 ポリエチレン・ポリメチルメタクリレートグラフト共重
合体樹脂 ポリエチレン・ポリメチルメタクリレートブロック共重
合体樹脂 エチレン・プロピレン・ジエン共重合体樹脂 エチレン・プロピレン共重合体樹脂 ポリスチレン・低密度ホモポリエチレングラフト共重合
体樹脂 ポリスチレン・高密度ホモポリエチレングラフト共重合
体樹脂 水添スチレン・ブタジエン共重合体樹脂 スチレン・エチレン、ブタジエン・スチレン共重合体樹
脂 スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体樹脂 塩素化ポリエチレン樹脂 ポリプロピレン・ポリアミドグラフト共重合体樹脂 ポリプロピレン・エチレン・プロピレン・ジエン共重合
体樹脂 ポリスチレン・ポリアクリル酸エチルグラフト共重合体
樹脂 ポリスチレン・ポリブタジエングラフト共重合体樹脂 ポリスチレン・ポリメチルメタアクリレートブロック共
重合体樹脂 等 反応型相溶化剤の代表例 無水マレイン酸化エチレン・プロピレン共重合体樹脂 無水マレイン酸化スチレングラフト共重合体樹脂 無水マレイン酸化スチレン・ブタジエン・スチレン共重
合体樹脂 無水マレイン酸化スチレン・エチレン・ブタジエン・ス
チレン共重合体樹脂 エチレン・グリシジルメタクリレート共重合体樹脂 エチレン・グリシジルメタクリレート・スチレングラフ
ト共重合体樹脂 エチレン・グリシジルメタクリレート・メチルメタクリ
レートグラフト共重合体樹脂 無水マレイン酸グラフトポリプロピレン共重合体樹脂
【0125】内外の市販相溶化剤の代表例を表1に示
す。
【0126】
【表1】 S B S…スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体樹
脂の略号 SEBS…スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン
共重合体樹脂の略号 EPDM…エチレン・プロピレン・ジエン共重合体樹脂
の略号 E V A…エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂の略号
【0127】また、アルミニウム粉末の表面被覆効果と
熱可塑性樹脂との相溶性を有する酸変性ポリオレフィン
樹脂を用いることができる。酸変性ポリオレフィン樹脂
は、ポリオレフィン樹脂と不飽和カルボン酸類とをグラ
フト変性した変性ポリオレフィン樹脂をいい、例えばグ
ラフト変性ポリエチレン樹脂、グラフト変性ポリプロピ
レン樹脂、グラフト変性エチレン共重合体樹脂(EVA
樹脂、EEA樹脂、L−LDPE樹脂、EMA樹脂等)
等がある。
【0128】これらの酸変性ポリオレフィン樹脂を0.5
〜40重量%、好ましくは1〜35重量%、特に好ましくは
2〜30重量%、写真感光材料用成形品中に含むようにす
るとアルミニウム粉末の均一分散性が良好になるととも
にミクログリッドの発生が減少し、成形品の物理強度が
向上するので好ましい。0.5重量%未満では混練効果が
発揮されずに経費増となるだけである。35重量%を越え
ると写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼすようになる
とともに増量効果がほとんどなく材料費増となるだけで
ある。
【0129】ポリオレフィン樹脂とグラフト変性する。
不飽和カルボン酸類は、その誘導体も含めて総称するも
ので、代表例をあげるとアクリル酸、メタクリル酸、マ
レイン酸、フマール酸、イタコン酸、テトラヒドロフタ
ル酸、メサコン酸、アンゲリカ酸、シトラコン酸、クロ
トン酸、イソクロトン酸、ナジック酸、(エンドシス−
ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−5−エン−2,3−ジカ
ルボン酸)、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水
イタコン酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、
アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブ
チル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸グリシジル、メ
タクリル酸グリシジル、マレイン酸モノエチルエステ
ル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチル
エステル、フマル酸ジメチルエステル、イタコン酸ジエ
チルエステル、アクリル酸アミド、メタクリルアミド、
マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、マレイン
酸−N−モノエチルアミド、マレイン酸−N,N−ジエ
チルアミド、マレイン酸−N−モノブチルアミド、マレ
イン酸−N,N−ジブチルアミド、フマル酸モノアミ
ド、フマル酸ジアミド、フマル酸−N−モノエチルアミ
ド、フマル酸−N,N−ジエチルアミド、フマル酸−N
−モノブチルアミド、フマル酸−N,N−ジエチルアミ
ド、フマル酸−N−モノブチルアミド、フマル酸−N,
N−ジブチルアミド、マレイミド、マレイン酸モノメチ
ル、マレイン酸ジメチル、マタクリル酸カリウム、アク
リル酸ナトリウム、アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネ
シウム、アクリル酸カルシウム、メタクリル酸ナトリウ
ム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム、N−
ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、塩化マレ
ニル、グリシジルマレエート、マレイン酸ジプロピル、
アコニチン酸無水物、ソルビン酸等をあげることがで
き、相互の混合使用も可能である。
【0130】なかでもアクリル酸、マレイン酸、無水マ
レイン酸、ナジック酸が好ましく、特に無水マレイン酸
が好ましい。
【0131】変性ポリオレフィン樹脂における不飽和カ
ルボン酸類をグラフト変性させる方法は特に限定されな
い。例えば、溶融状態で反応させる特公昭43−27421号
公報等に開示の方法や、溶液状態で反応させる特公昭44
−15422号公報等に開示の方法や、スラリー状態で反応
させる特公昭43−18144号公報等に開示の方法や、気相
状態で反応させる特公昭50−77493号公報等に開示の方
法等がある。
【0132】これらの方法の中で押出機を用いる溶融混
練法が操作上簡便で、かつ安価な方法なので好ましい。
【0133】不飽和カルボン酸類の使用量は、接着強度
確保のためポリオレフィン樹脂ベースポリマー(各種ポ
リエチレン樹脂、各種ポリプロピレン樹脂、各種ポリオ
レフィン共重合体樹脂、ポリブテン−1樹脂、ポリ−4
−メチルペンテン−1等のα−オレフィン共重合体樹脂
及びその共重合体樹脂)100重量部に対して0.01〜20重量
部、好ましくは0.2〜5重量部である。
【0134】ポリオレフィン樹脂と不飽和カルボン酸類
との反応を促進するために有機過酸化物等が用いられ
る。
【0135】有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイ
ルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アゾビ
スイソブチロニトリル、ジクミルパーオキサイド、α,
α'ビス(t−ブチルパーオキシジイプロピル)ベンゼ
ン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキ
シ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチ
ルパーオキシ)ヘキシン、ジ−t−ブチルパーオキサイ
ド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチル−ハイド
ロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチ
ルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾ
エート、1,3ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピ
ル)ベンゼン、キュメンハイドロパーオキサイド、ジ−
t−ブチル−ジパーオキシフタレート、t−ブチルパー
オキシマレイン酸、イソプロピルパーカーボネート等の
有機過酸化物、アソビスイソブチロニトリル等のアゾ化
合物、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物等がある。
【0136】これらは1種または2種以上の組合せで使
用してもよい。特に好ましいのは、分解温度が170℃〜2
00℃の間にあるジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−ク
ミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5ジ(t−
ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5
ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン、1,3−ビス(t
−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンである。
【0137】これらの過酸化物の添加量は特に制限され
ないが、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して0.005〜
5重量部、好ましくは0.01〜1重量部である。
【0138】市販の酸変性ポリオレフィン樹脂の代表例
を以下に示す。 (1) 日本石油化学KK “Nポリマー” (2) 三井石油化学工業KK “ADMER” (3) 昭和電工KK “ER RESIN” (4) 三菱化成工業KK “NOVATEC−A
P” (5) 三菱油化KK “MODIC” (6) 日本ユニカーKK “NUC−ACE” (7) 宇部興産KK “UBE BOND” (8) 東ソーKK “メルセンM” (9) 住友化学工業KK “ボンダイン” (10)三井・デュポンケミカルKK“CMPS”等 (11)エクソン社 “デクソン” (12)東亜燃料工業KK “HAシリーズ” (13)三井東圧化学KK “MITSUI LO
NPLY”等
【0139】また、最近発売された密度が0.910g/cm3
未満の超低密度直鎖状低密度ポリエチレン樹脂は物理強
度が大きく、成形性の優れた熱可塑性樹脂でエチレンと
αオレフィンの共重合体樹脂である。αオレフィンの含
有量を5モル%以上とL−LDPE樹脂より多くするこ
とにより密度を小さくした樹脂である。物理強度確保、
成形性確保等のためMFR(ASTM D−1238のE条
件)は8.1〜30g/10分、好ましくは0.2〜20g/10分、
密度(ASTM D−1505)は0.850〜0.909g/cm3、好
ましくは0.870〜0.905g/cm3、分子量分布(GPCで
測定)は1.1〜10、好ましくは1.5〜7である。市販品の
代表例としては例えばUCC社のNUC−FLXや住友
化学(株)のエクセレンVL等がある。これらの超低密度
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂はアルミニウム粉末の分
散性を向上させ、写真感光材料用成形品の物理強度を向
上させるので好ましい(以上、2社品共α−オレフィン
が炭素数4個のブテン−1を使用)。
【0140】これらの超低密度直鎖状低密度ポリエチレ
ン樹脂を包装用フィルム成形品として用いる場合は、1
〜98重量%、好ましくは3〜95重量%、特に好ましくは
5〜90重量%、最も好ましくは7〜80重量%含むように
すると、ブロッキングの発生なしに引裂き強度等の物理
強度の優れたヒートシール適性(ホットタック性、夾雑
物シール性、経時ヒートシール強度維持性が特に優れ
る)やアルミニウム粉末の分散性が優れたフィルム成形
品とすることができる。
【0141】射出成形品として用いる場合は、1〜50重
量%、好ましくは2〜40重量%、特に好ましくは5〜35
重量%含むようにすると、剛性や耐摩耗性を悪化させる
ことなくアイゾット衝撃強度や落下強度等の物理強度を
大幅に向上させ、成形収縮率を小さくし寸法精度を良化
させることができる。さらにアルミニウム粉末の分散性
が優れた射出成形品とすることができる。
【0142】寸法精度が優れ、可塑化に必要な熱容量が
小さく、射出成形性が優れているポリスチレン系樹脂の
代表例を以下に示す。
【0143】1.スチレン樹脂 (1) 分子構造および特徴的性質 スチレン樹脂には、スチレンモノマーのみを重合したホ
モポリスチレン樹脂である透明な一般用ポリスチレン
(GPPS)樹脂と、これをゴム状物質で補強したゴム
含有ポリスチレン樹脂であるハイインパクトポリスチレ
ン(HIPS)樹脂があり、これらのポリスチレン部分
は直鎖でアモルファスである。ナッタ触媒を用いれば、
アイソタクチックポリスチレン樹脂が得られ、これは不
透明で、熱変形温度が200℃程度ある。
【0144】JIS K6870−1987では、スチレンの単
独重合体(一般用ポリスチレンという。GPと表示)と
耐衝撃性を向上させるため合成ゴムで改質したスチレン
重合体(耐衝撃性ポリスチレンという。HIと表示)の
2つに大別している。解説図1と2で、ビカット軟化点
が同一であってもGPポリスチレンはHIポリスチレン
より引張強さは30%以上大きく、曲げ強さも20%以上大
きいことを示している。従って使用目的に合せてGPポ
リスチレンとHIポリスチレンの混合比率を変えて用い
ることは有効である。
【0145】スチレン樹脂の特徴的性質については、
比重が小さい、無味、無臭、無毒である、吸湿性が
小さい、電気絶縁性、高周波絶縁性が優れている、
着色性、塗装性が良い、成形加工性が極めて優れてい
る、成形品の寸法安定性が良い、比較的安価な材料
である、等が挙げられる。また、用途により次の短所を
持っている。耐衝撃性が不十分、油類および有機溶
剤の一部に侵される、耐熱性が不十分、燃えやす
い、耐候性が不十分、帯電しやすい。
【0146】(2) 製造方法 ほとんどが連続塊状重合方法で、一部が懸濁バッチ重合
方法で製造されている。いずれも典型的なラジカル重合
方法である。連続塊状重合方法は、重合工程、脱気・モ
ノマー回収工程、造粒工程が連続的に組み合わさった、
ひとつの理想的プロセスであり、これ以上の飛躍的なプ
ロセス改良は望めそうにない。
【0147】(3) 国内製造メーカー 旭化成工業 出光石油化学 新日本製鉄化学工業 大日本インキ化学工業 電気化学工業 日本ポリスチレン 三井東圧 三菱モンサント化成
【0148】ゴム含有ポリスチレン樹脂(ゴム含有芳香
族モノビニル樹脂)について以下に詳述する。
【0149】ゴム含有芳香族モノビニル樹脂は、ゴム状
物質と芳香族モノビニルとの重合体、ゴム状物質と芳香
族モノビニル樹脂とが単に混練された状態の混合体、ゴ
ム状物質と芳香族モノビニルとの重合体と芳香族モノビ
ニル樹脂との混合体の3つの態様がある。
【0150】ゴム状物質のゴム含有芳香族モノビニル樹
脂における含有量は、1〜12重量%であり、好ましくは
1.5〜10重量%、より好ましくは2〜8重量%である。含
有量が1重量%未満では、耐摩耗性が劣り、物理強度が
小さく、特に0℃以下の条件下で使用される機会の多い
写真フィルム用スプール、写真フィルム用パトローネ、
インスタントフィルムユニット、カメラボディー、写真
フィルム用カートリッジ、写真フィルム用マガジン、レ
ンズ付き写真フィルムユニットでは落下した時の強度不
足、耐摩耗性不足の点で実用化困難である。また、含有
量が12重量%を越えると、写真感光材料に3ヵ月以上の
密封状態での経時でカブリを0.03以上増加させたり、部
分的に感度を20%以上上昇させたりし、写真プリントに
濃度ムラや色ムラが発生し実用化不可である。さらに曲
げ弾性率が小さくなり変形しやすくなりカメラ適性が失
われたり遮光性不良になる。
【0151】ゴム状物質としては、エチレン・プロピレ
ン系共重合体、エチレン・プロピレン・非共役ジエン三
元共重合体、イソプレン共重合体、ポリイソブチレン、
スチレン−イソプレン共重合体、ポリブタジエン、スチ
レン・ブタジエン共重合体等であり、ポリブタジエンと
してはシス含有量の高いハイシスポリブタジエン(好ま
しくはシス1,4結合が70モル%以上、好ましくは90モ
ル%以上)とシス含有量の低いローシスポリブタジエン
とともに用いられる。
【0152】このゴム状物質の平均粒子径は、0.1〜10
μmが適当であり、好ましくは0.2〜7μm、より好まし
くは0.5〜5μm、最も好ましくは0.7〜3.5μmであ
る。平均粒子径が0.1μm未満であると、高価になり、
衝撃強度が低下し、擦り傷が多発し実用化不可であり、
また、平均粒子径が10μmを超えると、表面の凹凸が大
きく、引張強度等が低下し実用化困難である。
【0153】一般に、平均粒子径が小さいと、光沢度の
高い、表面が平滑な成形品が得られるが傷がつきやす
く、重合コストが高くなる。一方、平均粒子径が大きい
と、反射が少なくなり、光沢度が低くなる。したがっ
て、高光沢成形品を得ようとする場合は、平均粒子径が
0.1〜1.5μm、好ましくは0.2〜1.0μmのゴム状物質の
樹脂を用い、反射防止のためマット状の低光沢成形品を
得ようとする場合は、1.5〜10μm、好ましくは1.7〜7
μm、より好ましくは2.0〜5μmのゴム状物質の樹脂
を用いる。このようにすれば表面にエンボス加工を施さ
なくても光の反射による光カブリを防止できる。しか
し、エンボス加工を施せば、より完全に光の反射による
光カブリを防止できるので好ましい。
【0154】ゴム状物質の平均粒子径は、ミクロトーム
により超薄片を切り取り透過型電子顕微鏡写真で撮影
し、写真中のゴム状物質600個の粒子径を測定して次式
により算出したものである。 平均粒子径=ΣnD2/ΣnD {式中、nは粒子径、Dはゴム状物質の粒子の個数であ
る}
【0155】ゴム状物質の平均粒子径は、重合時の攪拌
条件、ゴム状物質の溶液粘度等により調節できる。
【0156】芳香族モノビニルとしては、スチレン及び
o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチル
スチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、
2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−
ブチルスチレン等の核アルキル置換スチレンと2,4,6
−トリブロモスチレン、2,4,6−トリクロロスチレン
等の核ハロゲン化スチレンとα−メチルスチレン、α−
メチル−p−メチルスチレン等のα−アルキル置換スチ
レン等が用いられる。その他、スチレン系モノマーと共
重合可能なメタクリル酸エステル、アクリル酸エステ
ル、アクリロニトリル、無水マレイン酸も含む。
【0157】ゴム含有芳香族モノビニル樹脂が、ゴム状
物質と芳香族モノビニルとの重合体である場合、その重
合は下記に記載した重合方法を用いることができる。
【0158】〔ラジカル重合法〕 バッチ塊状重合方法 利点…簡単に製造できる。 欠点…大規模になると熱の分散困難。分子量分布が広
く、成形性が優れる。
【0159】 連続塊状重合方法 利点…製品の品質が均一である。製造コストが低い。 欠点…高粘度反応液の輸送。反応塔内でのチャンネリン
グ現像。
【0160】 連続溶液重合方法 利点…重合熱制御がしやすい。 欠点…脱溶媒が必要。攪拌方法が難しい。
【0161】 懸濁重合方法 利点…重合熱除去可能。粒状ポリマーが得られる。残存
モノマーが少ない。 欠点…水や安定剤による汚れが発生。脱揮発分が必要。
乾燥、ペレタイジングが必要。
【0162】 乳化重合方法 利点…反応速度大。重合熱除去可能。連続重合も可能。
ラテックス状ポリマーが得られる。 欠点…水や乳化剤による汚れが発生乾燥やペレタイジン
グが必要
【0163】〔イオン重合方法〕 イオン重合方法 利点…反応速度大。重合熱制御可能。 欠点…溶剤と触媒粉末の除去が必要。冷凍が必要。
【0164】これらの重合方法の中で、経済性の観点で
は、ゴム状重合体の存在下でスチレンモノマーをラジカ
ル反応で重合させる塊状重合法及び塊状−懸濁二段重合
方法が好ましく、特に連続塊状重合法が好ましい。ま
た、残存モノマーが少なく耐熱性が優れ、かつ、小回り
がきく点では、懸濁重合(バッチ式)が好ましい。
【0165】ゴム含有芳香族モノビニル樹脂のメルトフ
ローレート(以後、MFRという。JIS K7210の条
件8、即ち試験温度200℃、試験荷重5.00kgfで測定)は
1.0〜40.0g/10分であり、好ましくは2.0〜35.0g/10
分、より好ましくは3.0〜30.0g/10分、最も好ましく
は5.0〜25g/10分である。MFRが1.0g/10分未満で
は、樹脂の流動性が悪く、ショートショットやウェルド
ラインの発生が多く、成形サイクルが長くなり実用化困
難である。また、MFRが40g/10分を越えると物理強
度が小さく、バリの発生が多く、熱劣化しやすく実用化
困難である。数平均分子量は物理強度確保と重合コス
ト、射出成形性とのバランスから10,000〜1,000,000、
好ましくは20,000〜800,000、特に好ましくは50,000〜6
00,000である。
【0166】ゴム含有芳香族モノビニル樹脂の曲げ弾性
率(JIS K−7203)は20,000kg/cm2以上であり、好
ましくは22,000kg/cm2以上、より好ましくは23,000kg
/cm2以上、最も好ましくは25,000kg/cm2以上である。
曲げ弾性率が20,000kg/cm2未満では、外力が加わると
変形しやすく寸法精度や完全遮光性を確保できなくな
る。特にカメラに装填使用される写真フィルム用スプー
ルや写真フィルム用パトローネ、写真フィルム用カート
リッジ(K16フィルム、K35フィルム)では変形すると
カメラに装填困難になり撮影ができなくなる。
【0167】芳香族モノビニル樹脂のビカット軟化点
(JIS K−7206のB法)は78℃以上であり、好ましく
は82℃以上、より好ましくは85℃以上、最も好ましくは
87℃以上である。ビカット軟化点が78℃未満では、黒色
に着色された成形品の場合、太陽光下に1時間以上放置
されると軟化変形し完全遮光性を確保出来なくなる。ま
た、スプールの場合は、変形して円滑にカメラ内で回転
できなくなる。
【0168】ゴム含有芳香族モノビニル樹脂のロックウ
ェル硬度(JIS K−7202又はASTM D−785)はM
40以上が好ましく、M45以上がより好ましく、M50以上
が特に好ましく、M55以上が最も好ましい。ロックウェ
ル硬度がM40未満では、金属や写真フィルム等との摩擦
により傷が発生したり、寸法精度が確保できなくなった
り、摩耗クズが写真感光材料に付着してスポット故障が
発生する。
【0169】ゴム含有芳香族モノビニル樹脂のアイゾッ
ト衝撃強度(JIS K−7110)は2.0kg・cm/cm以上が好
ましく、2.5kg・cm/cm以上がより好ましく、3.0kg・cm
/cm以上が最も好ましく、3.5kg・cm/cm以上がより最
も好ましい。アイゾット衝撃強度が2.0kg・cm/cm未満
では、物理強度が小さく、特に0℃以下の条件下で使用
される機会の多い写真フィルム用スプール、写真フィル
ム用パトローネ、インスタントフィルムユニット、カメ
ラボディー、レンズ付き写真フィルムユニット、写真フ
ィルム用カートリッジでは落下した時の強度不足の点で
実用化困難である。
【0170】2.ABS樹脂 (1) 分子構造および特徴的性質 ABS樹脂はアクリロニトリル(A)、ブタジエン
(B)、スチレン(S)を主成分とする熱可塑性樹脂で
ある。分散ポリブタジエン粒子にAS共重合体がグラフ
トされているために、ポリブタジエン粒子と周囲のAS
連続相との相溶性が良く、ポリブタジエン粒子相互の凝
集は見られない。
【0171】ABS樹脂は上記のようにハイインパクト
ポリスチレン(HIPS)樹脂と同じようなグラフトゴ
ム粒子分散系であるから、粘弾性温度特性はポリブタジ
エンゴムによる−80℃近辺の分散吸収とAS共重合体に
よる+120℃近辺の分散吸収に分かれる。
【0172】ABS樹脂の最大の特徴である衝撃強度
は、ポリブタジエン粒子の変形による衝撃エネルギーの
吸収とポリブタジエン粒子界面から発生したクレーズの
生成による衝撃エネルギーの吸収によるというクレーズ
説が最近では支持されているようである。クレーズの発
生に加えてクレーズの伝幡およびクレーズの破壊を抑え
る機構も、より衝撃強度を高くするためには重要である
という報告もある。
【0173】射出、押出、真空成形等の成形加工性が良
いことのほか、剛性、耐薬品性にも優れている。また、
遮光性物質による着色が自由で、塗装、印刷、ホットス
タンプ、真空蒸着、メッキ等の二次加工性も良好であ
る。ポリカーボネート樹脂やポリ塩化ビニル樹脂等の他
樹脂とのブレンド系はABSアロイとして特徴のある製
品群を形成している。唯一の欠点は写真性悪化と耐候性
に劣ることであるが、それも本発明のカーボンブラック
や老化防止剤や紫外線吸収剤や酸化防止剤等の添加剤や
樹脂組成物の検討により改良され写真感光材料包装用成
形品として実用化可能となった。
【0174】(2) 製造方法 グラフトブレンド法 ポリブタジエンラテックスにAN/STモノマーを反応
させてゴム含量の高いABS樹脂をつくり、これに別に
つくったAS共重合体樹脂をブレンドして所定のABS
樹脂を得る。最近では、このグラフトブレンド法が多
い。
【0175】 塊状・懸濁重合法 未架橋ゴムをSTモノマーに溶解しゴムマトリックス状
態の予備塊状重合を行い、ゴム分散状態への相転移が起
こった時点で、懸濁系のグラフト反応を行ってABS樹
脂を得る。この方法ではゴム含量の高いABS樹脂をつ
くることが難しいので、他の方法でつくったABS樹脂
およびAS共重合体樹脂とブレンドして目的のABS樹
脂にすることもある。
【0176】 乳化・連続塊状重合法 乳化重合法によってつくったゴム含量の高いABSラテ
ックスにAN/STモノマー、および電解質を加えて混
合し、分離された水分を除去してABSクラムとする。
このABSクラムにAN/STモノマーを加えてABS
ドープとして連続塊状重合を行ってABS樹脂を得る。
【0177】この方法ではABS樹脂パウダーの凝固・
水洗・乾燥工程が不要であるために大きなコストダウン
ができるとされている。
【0178】(3) 国内製造メーカー 旭化成 宇部サイコン 東レ 三菱レイヨン 日本合成ゴム 協同ポリマー 三菱モンサント 住友ノーガタック 電気化学
【0179】3.アクリロニトリル−スチレン樹脂 (1) 分子構造および特徴的性質 スチレンは代表的なビニルモノマーであるので、いろい
ろのモノマーとの共重合性は古くから研究されている。
一方、これらスチレンと他のコモノマーとの共重合樹脂
のうち、透明でかつ高剛性を有する(ゴム補強のない)
樹脂として工業化されているものにアクリロニトリル−
スチレン樹脂(AS樹脂)、メチルメタクリレート−ス
チレン樹脂(MS樹脂)と無水マレイン酸−スチレン樹
脂の3種類がある。
【0180】これらのスチレン系共重合体樹脂は、通常
ラジカル重合により製造され、その分子構造は典型的な
ランダム共重合体樹脂であり、ゴム含有ポリスチレン樹
脂であるハイインパクトポリスチレン樹脂のようないわ
ゆるゴムクラフト変性共重合体樹脂とは異なる。また、
このような透明タイプの共重合樹脂の組成が数%ずれる
と透明度が急速に低下するため、組成分布をいかに保つ
かが、製造技術上のひとつのポイントである。AS樹脂
を例にあげるとSM/AN=75/25がアゼオトロピック
組成であるので、工業化されているものの多くはAN含
量25〜35%、組成分布±1%位のものである。
【0181】共重合による極性基の導入やかさ高い側鎖
の導入によって分子鎖の内部回転が妨げられる効果によ
り、これらアクリロニトリル−スチレン系樹脂は一般用
ホモポリスチレン樹脂に比べて一般的に機械的特性、耐
熱性、耐薬品性等において優れた特性を示す。
【0182】(2) 製造方法 上記樹脂は品質上の制約、経済的利点等より塊状重合と
懸濁重合の2つのプロセスが工業的に用いられている。
AS樹脂を例に挙げて説明すると本質的にはGPPS樹
脂と同様に製造可能であるが、コモノマーのANの導入
に付随する問題点(例えば塊状重合にあっては重合反応
熱の増大、重合系粘度の増加、組成分布など)の解決が
重要である。
【0183】一般的に言って塊状重合プロセスは設備費
が高いのが欠点であるが、不純物の混入がないため品質
の安定性において優れ、かつ連続化による経済的優位性
があると言われている。
【0184】(3) アクリロニトリル−スチレン樹脂の国
内メーカーおよび商品名
【0185】
【表2】 *1:販売会社は三井東圧化学である。 *2:販売会社はダイセル化学工業である。 *3:ガラス繊維強化グレードのみ上市している。
【0186】4.AAS(ASA)樹脂及びAES樹脂 (1) 分子構造および特徴的性質 AAS(ASA)樹脂の主要構造
【0187】
【化5】 (アクリルゴム)に
【0188】
【化6】 (ASコポリマー)が一部グラフト共重合している。
【0189】ただし、アクリルゴムはアクリル酸n−ブ
チルの他にアクリル酸エチルなど他のアクリル酸エステ
ルをモノマー単位とすることもある。また、ASコポリ
マーのスチレンとアクロニトリルのモノマー単位の比率
はグレードにより異なる。
【0190】 AES樹脂の主要構造
【0191】
【化7】 (EPDMゴム)に
【0192】
【化8】 (ASコポリマー)が一部グラフト共重合している。
【0193】ただし、ASコポリマーのスチレンとアク
リロニトリルのモノマー単位の比率はグレードにより異
なる。
【0194】特徴的な性質としては、耐候性および耐衝
撃性に優れ、しかも成形物外観、成形性がよい。耐衝撃
性がよいのは、樹脂中にアクリルゴムあるいはEPDM
ゴムが粒子状に分散し、衝撃エネルギーを吸収するため
である。また耐候性に優れているのは、ABS樹脂中の
ブタジエンゴム等に比べ、これらのゴムが紫外線劣化に
対して著しく安定なためである。
【0195】(2) 製造方法 以下に一般的な合成法を示す。 AAS(ASA)樹脂 アクリル酸n−ブチルに数%の架橋剤あるいはグラフト
化剤を加えて乳化重合させる。このゴムラテックスにス
チレンとアクリロニトリルを加えてグラフト共重合させ
る。重合後、塩析して樹脂粉末を得る。
【0196】 AES樹脂 EPDMゴムをスチレン、アクリロニトリルおよび有機
溶剤に溶かし、グラフト共重合させる(有機溶剤を使わ
ない合成法も特許等でみられる)。重合後、溶剤を除去
し、樹脂粉末を得る。
【0197】(3) AAS(ASA)樹脂、AES樹脂の
国内メーカーおよび商品名
【0198】
【表3】
【0199】また、廃棄物として埋立て処理する場合を
考えると、現在、研究が進められている、または一部市
場に導入されているような分解性プラスチックを利用す
ればよい。例えば、生分解性を有するポリマーとしてI
CI「BIOPOL」、UCC「ポリカプロラクトン」
等を利用するとか、あるいは生分解を受けやすい天然、
あるいは合成高分子を添加剤として配合することによっ
て間接的に崩壊させるポリマー、またはデンプン配合ポ
リエチレン樹脂等を利用することもできる。
【0200】特に最近安価で、微生物の働きで二酸化炭
素と水に分解する化学合成の生分解性プラスチックとし
て発売された、昭和高分子(株)製の「ビオノール」(ジ
カルボン酸等から化学合成した特殊なポリエステル系樹
脂)やイタリアのノバモント社製の「マタービー」(ト
ウモロコシのでんぷんと生分解性を持つ変性ポリビニル
アルコールのポリマーアロイ)を本発明の成形品用樹脂
組成物中に10重量%以上添加することも産業廃棄物処理
性向上の点で好ましい。
【0201】また、多層構成の成形品では写真感光材料
に直接接触しない層は写真性に悪影響を及ぼさないので
上記生分解性プラスチックを50重量%以上とすることが
産業廃棄物処理性向上の点で特に好ましい。
【0202】また、光分解性のポリマーを利用すること
も可能である。例えば、ポリエチレン樹脂重合時に主鎖
に光増感基としてカルボニル基を導入したエチレンと一
酸化炭素との共重合によるECOコポリマーを利用する
とか、あるいは添加剤として遷移金属塩、酸化促進剤、
光増感材等をベースポリマーに加え、光分解性を付与し
たものを利用することができる。
【0203】さらにまた生分解性を有するポリマー、光
分解性ポリマー、水に可溶なポリマー等の分解性ポリマ
ーの1種以上を併用して用いてもよい(特開平3−1293
41号公報参照)。
【0204】リサイクルを考える場合は写真感光材料用
成形品を同一又は類似樹脂組成物で構成するようにす
る。例えば、写真フィルム用パトローネを構成するパト
ローネ本体、スプール、印刷付ラベルすべてをポリスチ
レン系樹脂製又はポリプロピレン系樹脂製にしたり、レ
ンズ付きフィルムユニットのスプール、上部ケース、下
部ケースをすべて完全遮光性を有するポリスチレン系樹
脂製又はポリプロピレン系樹脂製にすることがリサイク
ル可能な点から好ましい。
【0205】本発明の写真感光材料用成形品には、滑剤
を添加することができる。滑剤の添加により、樹脂の流
動性を向上し、成形性を改善するとともに成形品の滑性
を向上できる。
【0206】滑剤の添加量は種類によって異なり、脂肪
酸金属塩(後記の金属石けんと同一)等のように写真感
光材料の写真性能維持を主目的とした滑性効果が小さい
滑剤の場合は0.01〜5重量%が好ましく、0.05〜3重量
%がより好ましく、0.1〜1.5重量%が最も好ましい。添
加量が0.01重量%未満であると、添加効果がなく、混練
費用増となるだけである。添加量が5重量%を越える
と、溶融樹脂と押出し機のスクリューとのスリップが発
生しやすくなり、樹脂の吐出量が不安定になる。また、
成形後の経時によりベトツキやブリードアウトが発生し
やすくなる。
【0207】また、脂肪酸アミド系滑剤、ビス脂肪酸ア
ミド系滑剤等のように滑性効果が大きく、ブリードアウ
トしやすく、写真感光材料に影響を与える滑剤の場合
は、0.01〜1重量%が好ましく、0.03〜0.5重量%がよ
り好ましく、0.05〜0.3重量%が最も好ましい。添加量
が0.01重量%未満であると、添加効果がなく、混練費用
増となるだけである。添加量が1重量%を越えると、溶
融樹脂と押出し機のスクリューとのトリップが発生しや
すくな、樹脂の吐出量が不安定になる。また、成形後の
経時によりベトツキやブリードアウトが発生しやすくな
る。さらにまたブリードアウトした滑剤が写真感光層に
転写して現像阻害を発生させ現像ムラや発色ムラ等の品
質故障が発生する。
【0208】市販の代表的滑剤名と製造メーカー名を以
下に記載する。(1) 脂肪酸アミド系滑剤; 〔飽和脂肪酸アミド系滑剤〕 ベヘニン酸アミド系滑剤;ダイヤミッドKN(日本
化成)等 ステアリン酸アミド系滑剤;アーマイドHT(ライ
オン油脂)、アルフローS−10(日本油脂)、脂肪酸ア
マイドS(花王)、ダイヤミッド200(日本化成)、ダイ
ヤミッドAP−1(日本化成)、アマイドS・アマイド
T(日東化学)、ニュートロン−2(日本精化)等
【0209】〔ヒドロキシステアリン酸アミド系滑剤〕 パルミチン酸アミド系滑剤;ニュートロンS−18
(日本精化)、アマイドP(日東化学)等 ラウリン酸アミド系滑剤;アーマイドC(ライオン
・アクゾ)、ダイヤミッド(日本化成)等
【0210】〔不飽和脂肪酸アミド系滑剤〕 エルカ酸アミド系滑剤;アルフローP−10(日本油
脂)、ニュートロン−S(日本精化)、LUBROL
(I・C・I)、ダイヤミッドL−200(日本化成)等 オレイン酸アミド系滑剤;アーモスリップCP(ラ
イオン・アクゾ)、ニュートロン(日本精化)、ニュー
トロンE−18(日本精化)、アマイドO(日東化学)、
ダイヤミッドO−200・ダイヤミッドG−200(日本化
成)、アルフローE−10(日本油脂)、脂肪酸アマイド
O(花王)等
【0211】〔ビス脂肪酸アミド系滑剤〕 メチレンビスベヘニン酸アミド系滑剤;ダイヤミッ
ドNKビス(日本化成)等 メチレンビスステアリン酸アミド系滑剤;ダイヤミ
ッド200ビス(日本化成)、アーモワックス(ライオン・
アクゾ)、ビスアマイド(日東化学)等 メチレンビスオレイン酸アミド系滑剤;ルブロンO
(日本化成)等 エチレンビスステアリン酸アミド系滑剤;アーモス
リップEBS(ライオン・アクゾ)等 ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド系滑剤;ア
マイド65(川研ファインケミカル)等 ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド系滑剤;アマ
イド60(川研ファインケミカル)等
【0212】(2) 非イオン界面活性剤系滑剤;エレクト
ロストリッパ−TS−2、エレクトロストリッパ−TS
−3(花王石鹸)等
【0213】(3) 炭化水素系滑剤;流動パラフィン、天
然パラフィン、マイクロワックス、イソパラフィン系合
成石油炭化水素、合成パラフィン、ポリエチレンワック
ス(数平均分子量が10,000以下、好ましくは8,000以
下、特に6,000以下が好ましい。)、ポリプロピレンワ
ックス(数平均分子量が10,000以下、好ましくは8,000
以下、特に6,000以下が好ましい。)、塩素化炭化水
素、フルオロカルボン等
【0214】(4) 脂肪酸系滑剤;高級脂肪酸(C12〜35
が好ましい、具体的にはカプロン酸、ステアリン酸、オ
レイン酸、エルカ酸、パルミチン酸等)、オキシ脂肪酸
【0215】(5) エステル系滑剤;脂肪酸の低級アルコ
ールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪
酸のポリグリコールエステル、脂肪酸の脂肪アルコール
エステル等
【0216】(6) アルコール系滑剤;多価アルコール、
ポリグリコール、ポリグリセロール等
【0217】(7) 脂肪酸金属塩系滑剤(金属石けん);
ラウリン酸、ステアリン酸、コハク酸、ステアリル乳
酸、乳酸、フタル酸、安息香酸、ヒドロキシステアリン
酸、リシノール酸、ナフテン酸、オレイン酸、パルミチ
ン酸、エルカ酸等の高級脂肪酸とLi、Na、Mg、C
a、Sr、Ba、Zn、Cd、Al、Sn、Pb、C
d、等の金属との化合物が挙げられ、好ましいものはス
テアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ス
テアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸
カルシウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マグネシウム
等である。
【0218】(8) モンタン酸エステル部分鹸化物;
【0219】(9) シリコーン系滑剤;各種グレードのジ
メチルポリシロキサン及びその変性物(信越シリコー
ン、東レシリコーン)、特に各種シリコーンオイルが樹
脂流動性向上、滑性向上等の効果を発揮させるだけでな
く、遮光性物質と併用すると遮光性物質の分散性向上、
樹脂を白濁させヘイズ(ASTM D−1003)を大きく
させる結果、着色力向上、遮光性向上等予想外の効果を
発揮するので好ましい。
【0220】上記シリコーンオイルは、常温における粘
度が50〜100,000センチストークスの範囲のものが好ま
しく、更に好ましくは5,000〜30,000センチストークス
の高粘度のものがよい。シリコーン及びシリコーン変性
物の具体例としては、ポリメチルフェニルシロキサン、
オレフィン変性シリコーン、アミド変性シリコーン、ポ
リジメチルシロキサン、アミノ変性シリコーン、カルボ
キシル変性シリコーン、αメチルスチレン変性シリコー
ン、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコー
ルで変性したポリエーテル変性シリコーン、オレフィン
/ポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコー
ン、アミノ変性シリコーン、アルコール変性シリコーン
等変性されたシロキサン結合を含有したシリコーンオイ
ルである。該シリコーンオイル中、写真感光材料に悪影
響を与えることが少なく、滑性効果の大きい、特に写真
感光材料用成形品に適用した場合に好ましいものはオレ
フィン変性シリコーン、アミド変性シリコーン、ポリジ
メチルシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、オレ
フィン/ポリエーテル変性シリコーンである。該シリコ
ーンオイルは、加熱状態での成形材料、例えば樹脂フィ
ルムの摩擦係数を改良し、自動包装機による熱板シール
中に生じる摺動抵抗を低下させ、皺の発生を防止するこ
とにより、美しい外観と高度な密封性と被包装体にたる
みがない密着性とを有する性能を保持した樹脂フィルム
を得る基礎をつくることが出来る。又摺動による光沢の
低下を防止して、美しいシール部を得ることが出来る。
シリコーンオイルを併用した場合の本発明では、摺動ヒ
ートシールをする場合、高温摩擦係数を1.4以下にする
ことが出来る。
【0221】シリコーンオイル添加の効果は、以下の通
りである。 (1) 繊維状充填材、非繊維状遮光性物質、顔料と併用す
るだけでこれらの表面を被覆して分散性を向上させる。 (2) 樹脂の分散性を向上し、スクリューのモーター負荷
を小さくし、メルトフラクチャー発生を防止する。 (3) ブリードアウトして白粉状になる脂肪酸アミドを添
加しなくとも滑性を十分確保できる。 (4) 加熱状態での成形材料の摩擦係数を小さくし、自動
袋適性を向上し、ヒートシール時のシワ発生や摺動によ
る光沢の低下を防止し、美しいシール部を得ることがで
きる。 (5) 遮光性物質と併用すると、熱可塑性樹脂を白濁さ
せ、ヘイズを大きくする結果、着色力を向上させ遮光能
力を向上でき、物性を低下させる遮光性物質の添加量を
減量しても遮光性を確保できる。
【0222】本発明の写真感光材料用成形品には、アル
ミニウム粉末とともに各種の遮光性物質を添加すること
ができる。遮光性物質を添加することにより、遮光性を
確保できる。
【0223】アルミニウム粉末を含めた合計遮光性物質
の添加量は、0.01〜60重量%、0.05〜40重量%が好まし
く、0.1〜30重量%がより好ましく、0.15〜15重量%が
最も好ましい。添加量が0.01重量%未満であれば、射出
成形品のように厚さが1mm以上であっても遮光性を完全
に確保することができない。また、添加量が60重量%を
越えると、遮光性物質の分散性が悪化するとともに樹脂
の流動性が低下して成形困難になる。さらに成形品の物
理強度低下が大きく、耐摩耗性も低下して写真感光材料
包装用成形品としては実用化困難である。
【0224】この遮光性物質の添加量は成形品の種類と
成形品の厚さ及び成形品の要求特性により選択される。
射出成形品では0.05〜10重量%が好ましく、フィルム成
形品では0.5〜40重量%が好ましい。
【0225】遮光性物質の代表例を以下に示す。 (1) 無機化合物 A.酸化物…シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタ
ン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アンチ
モン、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライ
ト、酸化ベリリウム、軽石、軽石バルーン、アルミナ繊
維等 B.水酸化物…水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウ
ム、塩基性炭酸マグネシウム等 C.炭酸塩…炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロ
マイト、ドーソナイト等 D.(亜)硫酸塩…硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫
酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム等 E.ケイ酸塩…タルク、クレー、マイカ、アスベスト、
ガラス繊維、ガラスバルーン、ガラスビーズ、ケイ酸カ
ルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト等 F.炭素…カーボンブラック、グラファイト、炭素繊
維、炭素中空球等 G.その他…鉄粉、銅粉、鉛粉、錫粉、ステンレス粉、
パール顔料、硫化モリブデン、ゼオライト、ポロン繊
維、炭化ケイ素繊維、黄銅繊維、チタン酸カリウム、チ
タン酸ジルコン酸鉛、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウ
ム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等
【0226】(2) 有機化合物 木粉(松、樫、ノコギリクズなど)、殻繊維(アーモン
ド、ピーナッツ、モミ殻など)、着色した各種の繊維例
えば木綿、ジュート、紙細片、セロハン片、ナイロン繊
維、ポリプロピレン繊維、デンプン(変性デンプン、表
面処理デンプンも含む)、芳香族ポリアミド繊維等
【0227】これらの遮光性物質のなかで、写真感光材
料の写真性に悪影響を及ぼすことが少なく、安価で、遮
光能力が大きく、ブツの発生が少なく、帯電防止性やブ
ロッキング防止性を向上させ、さらに滑剤や界面活性剤
等を表面に吸着してブリードアウト量を減少させること
ができるので、各種のカーボンブラックが好ましい。
【0228】カーボンブラックの含有量は、0.01〜50重
量%であり、0.05〜40重量%が好ましく、0.1〜30重量
%がより好ましい。含有量が0.01重量%未満であれば、
帯電防止性やブロッキング防止性や遮光性を確保するこ
とができず、混練経費増となるだけである。含有量が50
重量%を越えると、吸湿量が多くなり成形時に発泡した
り、ピンホールや銀条が発生しやすくなるだけでなく、
物理強度が著しく低下し実用化困難である。
【0229】カーボンブラックの原料は例えばクレオソ
ート油、エチレンボトム油、石油、天然ガス、石炭ガ
ス、コールタール、アセチレンガス、ナフタレン、アン
トラセン等でありファーネス法やコンタクト法等の製法
により得る。分類例をあげるとガスブラック、ファーネ
スブラック、チャンネルブラック、アントラセンブラッ
ク、アセチレンブラック、ケッチェンカーボンブラッ
ク、サーマルブラック、ランプブラック、油煙、松煙、
アニマルブラック、ベジタブルブラック等がある。本発
明では遮光性確保、低コスト、物理強度向上、写真特性
に悪影響を及ぼさない等の目的ではファーネスカーボン
ブラックが好ましく、高価であるが帯電防止効果を有す
る遮光性物質としてはアセチレンカーボンブラック、導
電性カーボンブラック、グラファイト、変性副生カーボ
ンブラックであるケッチェンカーボンブラックが好まし
い。必要により前者と後者を必要特性に従ってミックス
することも好ましい。遮光性物質を樹脂組成物中に配合
する形態は種々あるが、マスターバッチ法がコスト、作
業場の汚染防止等の点で好ましい。公知文献の特公昭40
−26196号公報では有機溶媒に溶解した重合体の溶液中
にカーボンブラックを分散せしめて、重合体−カーボン
ブラックのマスターバッチをつくる方法を、特公昭43−
10362号公報にはカーボンブラックをポリエチレンに分
散してマスターバッチをつくる方法を述べている。
【0230】本発明の写真感光材料用成形品の遮光性物
質として、使用する上で写真感光材料に対しカブリの発
生が少なく、感光度の増減の発生が少なく、遮光能力が
大きくポリオレフィン樹脂射出成形品、ポリスチレン樹
脂射出成形品、L−LDPE樹脂フィルム等に添加した
場合でもカーボンブラックの固り(ミクログリット又は
ブツ)の発生やフィッシュアイ等の発生がほとんどな
く、射出成形品や遮光性フィルム中にピンホールが発生
しにくい点で、カーボンブラックの中でもpH(JIS
K 6221で測定)が6.0〜9.0、好ましくは6.5〜8.5、平
均粒子径(電子顕微鏡法で測定)が10〜120mμ、特に12
〜70mμのものが好ましく、これらの中でも特に揮発成
分(JIS K 6221で測定)が3.5%以下、最も好まし
くは1.5%以下、DBP吸油量(JIS K 6221の吸油量
A法で測定)が50ml/100g以上、最も好ましくは70ml
/100g以上のファーネスカーボンブラックである。チャ
ンネルカーボンブラックは高価な上に、pHが6未満
で、且つ揮発成分が5.0%をこえるものがほとんどで写
真感光材料にカブリを発生させるものが多く好ましくな
い。ランプブラックもpHが5.0以下のものがほとんどで
写真性に悪影響を及ぼすので、どうしても使用する必要
がある場合でも写真性に悪影響を及ぼさないように写真
性に悪影響を及ぼす物質と反応したり、吸着する物質と
併用したり、写真性に及ぼす影響を調査して使用可能な
ものだけを選択すべきである。また、ASTMD 1619
−60の測定方法による還元物質である硫黄成分は0.9%
以下、好ましくは0.7%以下にしないと写真性に悪影響
を及ぼす場合がある。特に、写真感光材料の写真性に悪
影響を及ぼす遊離硫黄成分は0.1%以下、最も好ましく
は0.05%以下のものを選択することが好ましい。
【0231】好ましいカーボンブラックの市販品の代表
例としては、例えば三菱化成製のカーボンブラック#20
(B),#30(B),#33(B),#40(B),#41(B),#44(B),
#45(B),#50,#55,#100,#600,#950,#1000,
#2200(B),#2400(B),MA8,MA11,MA100等が挙
げられる。海外の製品としては、例えばキャボット社の
Black Pearls 2,46,70,71,74,80,81,607等、
Regal 300, 330, 400, 660, 991,SRF−S等、Vul
can 3,6等、Sterling 10, SO,V,S,FT−F
F,MT−FF等が挙げられる。さらに、アシュランド
ケミカル社のUnited R,BB,15,102, 3001, 3004,
3006, 3007, 3008, 3009, 3011, 3012,XC−3016,X
C−3017,3020等が挙げられるが、これらに限定される
ものではない。
【0232】カーボンブラックの次に好ましい遮光性物
質はLarsenの油浸法で測定した屈折率が1.50以上の無機
顔料と各種の金属粉末、金属フレーク、金属ペースト、
金属繊維及び炭素繊維である。好ましい屈折率が1.50以
上の無機顔料と金属粉末の代表例を以下に示すが、本発
明はこれらに限定されるものではない。( )内の数字
は屈折率を示す。屈折率が1.50以上の無機顔料として
は、ルチル型酸化チタン(2.75)、チタン酸鉛(2.7
0)、炭化ケイ素(2.67)、アナターゼ型酸化チタン
(2.52)、酸化ジルコン(2.40)、硫化亜鉛(2.37)、
酸化アンチモン(2.35)、鉛白(2.09)、亜鉛華(2.0
2)、リトポン(1.84)、ジルコン(1.80)、コランダ
ム(1.77)、酸化マグネシウム(1.74)、スピネール
(1.73)、塩基性炭酸亜鉛(1.70)、アスベスト(1.7
0)、アパタイト(1.64)、バライト粉(1.64)、硫酸バ
リウム(1.64)、マグネサイト(1.62)、無水硫酸カル
シウム(1.59)、ドロマイト(1.59)、炭酸カルシウム
(1.58)、タルク(1.58)、ロウ石クレー(1.57)、硫
酸カルシウム(1.56)、アルミナ(1.56)、無水ケイ酸
(1.55)、石英粉(1.54)、水酸化マグネシウム(1.5
4)、塩酸性炭酸マグネシウム(1.52)、ベントナイト(1.
52)等がある。特に好ましいものは、屈折率が1.56以
上、最も好ましいものは1.60以上の遮光性物質である。
【0233】屈折率が1.50未満のケイ酸カルシウム(1.
46)、ケイ藻土(1.45)、含水ケイ酸(1.44)等は遮光
能力が小さいので多量の添加が必要で遮光性物質として
の使用は好ましくない。また、最近の海外旅行ブームに
より空港での手荷物検査でX線を用いた検査機にISO
感度が400以上の高感度写真フィルムを通過させるとX
線によりカブリが発生しやすくなる。これを防止するた
めに比重(ASTM D−153のA法)が3.1以上、好まし
くは3.4以上の遮光性物質を用いることが好ましい。比
重が3.1以上、好ましくは3.4以上、特に好ましくは4.0
以上の遮光性以外にX線遮断性を有する遮光性物質の形
態は以下に代表例を例示したものに限定されず、いかな
る形態、例えば顔料、粉末、フレーク、ウィスカー、フ
ァイバー等であってよい。比重が3.1以上の遮光性物質
としては炭化ケイ素、硫酸バリウム、二硫化モリブデ
ン、酸化鉛(鉛白)、酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネ
シウム、アルミナ、酸化ジルコン、塩基性炭酸亜鉛、チ
タン酸バリウム、銅粉末、鉄粉末、黄銅粉末、ニッケル
粉末、銀粉末、鉛粉末、鋼粉末、亜鉛粉末、タングステ
ンウィスカー、窒化けい素ウィスカー、銅ウィスカー、
鉄ウィスカー、ニッケルウィスカー、クロムウィスカ
ー、ステンレス粉およびウィスカー、マグネサイト、ア
パタイト、スピネール、コランダム、ジルコン、三酸化
アンチモン、炭酸バリウム、亜鉛華、酸化クロミニウ
ム、錫粉およびこれらの混合物等がある。
【0234】特にX線遮断性を付与するのに好ましい遮
光性物質はジルコン、コランダム、硫酸バリウム、塩化
バリウム、チタン酸バリウム、鉛粉末、酸化鉄(鉄黒
等)、亜鉛粉末、亜鉛華、錫粉末、ステンレス粉末、ス
テンレスウィスカー、酸化鉛、タングステンウィスカ
ー、ニッケルウィスカーである。ISO感度が400以上
の高感度写真フィルム用成形品として特に好ましい遮光
性物質は屈折率が1.50以上、比重が3.1以上であり、最
も好ましいのは屈折率が1.56以上、比重が3.4以上の遮
光性物質である。
【0235】遮光物質の屈折率及び比重を表4に示す。
【0236】
【表4】
【0237】X線遮断性遮光性物質の含有量は、好まし
くは5〜80重量%、より好ましくは10〜70重量%、最も
好ましくは20〜60重量%である。
【0238】また、X線遮断性遮光性物質は、写真感光
材料に悪影響を与えず、フィルム成形性を悪化させない
ために、100℃、5時間での乾燥減量が好ましくは2.0重
量%以下、より好ましくは1.0重量%以下、最も好まし
くは0.5重量%以下の状態にして使用する。
【0239】ブリードアウトしやすい滑剤や酸化防止剤
や有機造核剤を吸着させたり、脱臭剤、芳香剤、脱酸素
剤等を吸着させる効果を有する吸油性無機顔料の代表例
としては亜鉛華(52)、アスベスチン(50)、クレー
(51)、酸化チタン(56)、カオリン(60)、タルク
(60以上)、カーボンブラック(60以上)、活性炭等が
ある。( )内の数字は吸油量(JIS K 6221の吸油
量A法で測定。単位ml/100g)を示す。
【0240】金属粉末(金属ペーストも含む)の代表例と
しては、銅粉末、ステンレス粉末、鉄粉末、ニッケル粉
末、黄銅粉末、銀粉末、錫粉末、亜鉛粉末、スチール粉
末等がある。
【0241】本発明の写真感光材料用成形品には、ブロ
ッキング防止剤を添加することが出きる。ブロッキング
防止剤の添加により、ブロッキングを防止することがで
きる。
【0242】本発明のアルミニウム粉末(アルミニウム
粉末及びアルミニウムペーストを含む)は鱗片状をして
いるのでミクログリットの発生が少ないので、遮光能力
や物理強度は優れているが、ミクログリットの発生しや
すい球状又は粉末状のカーボンブラック、ホワイトカー
ボン、チタン黄、酸化チタン、リトポン、超微細型炭酸
カルシウムと併用するとすべての顔料の分散性が良好に
なり、遮光能力、物理強度も優れるので特に好ましい。
この場合、鱗片状顔料の添加量を球状又は粉末状の顔料
より多くすることが好ましい。
【0243】ブロッキング防止剤の添加量は、0.01〜5.
0重量%が好ましく、0.05〜3.5重量%がより好ましい。
添加量が0.01重量%未満では、ブロッキング防止効果が
小さく、混練経費増となるだけである。また、添加量が
5.0重量%を越えると、塊状の不均一故障(ブツ)の発
生が多くなるだけでなくフィルムの物理強度やヒートシ
ール性が低下する。
【0244】ブロッキング防止剤としては、シリカ(天
然及び合成シリカを含む)、炭酸カルシウム、タルク
(ケイ酸マグネシウム)、ケイ酸アルミニウム、カルシ
ウムシリケート、脂肪酸アミド系滑剤、高級脂肪酸ポリ
ビニルエステル、n−オクタデシルウレア、N,N'−ジ
オレイルオキサアミド、N−エタノールステアリン酸ア
ミド、ジカルボン酸エステルアミド等があり、この中で
シリカが好ましい。
【0245】上記シリカは、平均粒子径が0.3〜20μm
のものが好ましく、0.5〜15μmのものがより好まし
い。平均粒子径が0.3μm未満では、凝集性が強くブツ
が多発し、ブロッキング防止効果も小さい。また、平均
粒子径が20μmを越えると、フィルム表面にシリカがで
てフィルム表面がざらつくだけでなく写真感光材料に擦
り傷などが発生し易くなる。
【0246】本発明の写真感光材料用成形品には、脂肪
酸金属塩を添加することができる。脂肪酸金属塩の添加
により、ブリードアウトの減少、有機造核剤の飛散防
止、有機造核剤の分散性の向上などを図ることができ
る。また、この脂肪酸金属塩は、遮光性物質の分散性及
び成形性を向上させ、さらに、樹脂中に含まれる写真感
光材料の写真性に悪作用するハロゲン化物を中和して無
害化するので写真性も良化するものである。
【0247】脂肪酸金属塩の添加量は、0.005〜10.0重
量%、0.01〜5.0重量%が好ましく、0.03〜3.0重量%が
より好ましく、0.05〜1.5重量%が最も好ましい。添加
量が0.01重量%未満では、添加効果がほとんどなく、混
練費アップになるだけである。また、添加量が5.0重量
%を越えると、ブリードアウトが発生したり、樹脂とス
クリューとのスリップが発生し、吐出量が不安定にな
り、成形故障が多発するだけでなく、均一混練性に欠け
る。
【0248】脂肪酸金属塩としては、ラウリン酸、ステ
アリン酸、乳酸、コハク酸、フタル酸、安息香酸、パル
ミチン酸、ステアリル乳酸、ヒドロキシステアリン酸、
リシノール酸、ナフテン酸、オレイン酸、エルシン酸、
エルカ酸等の高級脂肪酸とLi、Na、Mg、Ca、S
r、Ba、Zn、Cd、Al、Sn、Pb等の金属との
化合物がある。
【0249】本発明の写真感光材料包装用成形品には、
造核剤を添加することができる。造核剤の添加により、
フィルム成形品では物理特性、剛性が非常に優れ、フィ
ルム表面の光沢の高い、シワや筋等の外観故障がほとん
ど観察されない熱可塑性樹脂フィルムとすることができ
る。射出成形品の場合も同様であり、物理特性、剛性が
非常に優れ、表面光沢の高い、硬度、寸法安定性、射出
成形性の優れた射出成形品を得ることができる。
【0250】有機造核剤としては、カルボン酸、ジカル
ボン酸、これらの塩及び無水物、芳香族スルホン酸の塩
及びエステル、芳香族ホスフィン酸、芳香族ホスホン
酸、芳香族カルボン酸、その他のアルミニウム塩、芳香
族リン酸金属塩、炭素数8〜30のアルキルアルコール、
多価アルコールとアルデヒドの縮合物、並びにアルキル
アミンなどであり、例えばp−t−ブチル安息香酸アル
ミニウム、1,2,3,4−ジベンジリデンソルビトー
ル、次式で表されるジ置換ベンジリデンソルビトール化
合物
【0251】
【化9】 {式中、R1及びR2は炭素数1〜8のアルキル、アルコ
キシ又はハロゲンであり、m及びnはいずれも0〜3で
あって且つm+n≧1である。}、ステアリル乳酸のカ
ルシウム、マグネシウム等の金属塩、N−(2−ヒドロ
キシエチル)−ステアリルアミン等の次式で表される化
合物。
【0252】
【化10】 {式中、R3は炭素数が8〜30のアルキル基であり、k
及びlはいずれも0〜10であってk+l≧1であ
る。}、1,2−ヒドロキシステアリン酸のリチウム
塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネ
シウム塩等の金属塩、ステアリルアルコール、ラウリル
アルコール等のアルキルアルコール、安息香酸ソーダ、
安息香酸、セバチン酸などを含む。
【0253】有機造核剤の中でも特に結晶化促進効果が
大きく、成形故障を減少させ、成形サイクルを短縮でき
剛性を向上し、着色外観を向上させるソルビトール化合
物の代表例を以下に示す。
【0254】di-(o-methylbenzylidene)sorbitol o-methylbenzylidene-p-methylbenzylidene sorbitol di-(m-methylbenzylidene)sorbitol m-methylbenzylidene-o-methylbenzylidene sorbitol di-(p-methylbenzylidene)sorbitol m-methylbenzylidene-p-methylbenzylidene sorbitol 1・3-heptanylidenesorbitol 1・3,2・4-diheptanylidenesorbitol 1・3,2・4-di(3-nonyl-3-pentenylidene)sorbitol 1・3-cyclohexanecarbylidenesorbitol 1・3,2・4-dicyclohexanecarbylidenesorbitol 1・3,2・4-di(p-methylcyclohexanecarbylidene)sorbitol Aromatic hybrocarbon groups or derivatives thereof 1・3-benzylidenesorbitol 1・3,2・4-dibenzylidene-D-sorbitol 1・3,2・4-di(m-methylbenzylidene)sorbitol 1・3,2・4-di(p-methylbenzylidene)sorbitol 1・3,2・4-di(p-hexylbenzylidene)sorbitol 1・3,2・4-di(l-naphthalenecarbylidene)sorbitol 1・3,2・4-di(phenylacetylidene)sorbitol 1・3・2・4-di(methylbenzylidene)sorbitol 1・3・2・4-di(ethylbenzylidene)sorbitol 1・3・2・4-di(propylbenzyledene)sorbitol 1・3・2・4-di(methoxybenzylidene)sorbitol 1・3・2・4-di(ethoxybenzylidene)sorbitol 1・3・2・4-di(P-methylbenzylidene)sorbitol 1・3・2・4-di(P-chlorbenzylidene)sorbitol 1・3・2・4-di(P-methoxybenzylidene)sorbitol 1・3・2・4-di(alkilbenzylidene)sorbitol 1・3・2・4-bis(methylbenzylidene)sorbitol aluminumbenzoate、等。
【0255】上記の有機造核剤の内でもソルビトール化
合物は添加効果が大きく、写真感光材料の写真性に悪作
用を与えることが少ない。
【0256】ソルビトール系有機造核剤の添加量は、0.
005〜5.0重量%が好ましく、0.01〜3.0重量%がより好
ましく、0.03〜2.0重量%が最も好ましい。添加量が0.0
05重量%未満では、添加効果がなく、混練費用増となる
だけである。また、添加量が5.0重量%を越えると、増
量効果がほとんどなくコストアップとなり、さらにブリ
ードアウトが発生し商品価値を低下する。
【0257】無機造核剤としては、水酸化リチウム、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸
化物、酸化ナトリウム等のアルカリ金属酸化物、炭酸リ
チウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナト
リウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、水
酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム
等のアルカリ土類金属水酸化物、炭酸カルシウム、酸化
カルシウム等のアルカリ土類金属酸化物などがある。
【0258】無機造核剤の添加量は、0.01〜5.0重量%
が好ましく、0.05〜3.0重量%がより好ましい。添加量
が0.01重量%未満では、添加効果がなく、混練費用増と
なるだけである。また、添加量が5.0重量%を越える
と、増量効果がほとんどなく、コストアップとなるだけ
である。
【0259】造核剤は上述したものに限定されるもので
はなく、その他の公知の造核剤を用いることもできる。
また、造核剤は単独の場合に限らず、2種以上を併用す
ることもできることはいうまでもない。
【0260】有機造核剤の中では、ジベンジリデンソル
ビトール化合物が特に好ましく、特に、ポリオレフィン
樹脂(好ましくはホモポリプロピレン樹脂、プロピレン
・αオレフィンブロック共重合体樹脂、プロピレン・α
オレフィンランダム共重合体樹脂、密度が0.910g/cm3
以上のホモポリエチレン樹脂及び密度が0.870g/cm3
上のエチレン・αオレフィン共重合体樹脂)のヤング率
向上、物理強度向上、剛性向上、成形速度向上、成形故
障の減少等の効果を発揮すること及び従来の有機造核剤
の欠点であった異臭とブリードアウトを改善できるの
で、以下のジ−置換ベンジリデンソルビトール組成物が
好ましい。
【0261】このジ−置換ベンジリデンソルビトール組
成物として、一般式(I)
【0262】
【化11】 {式中、R及びR'は、それぞれ独立して、塩素原子、
メチル基及びエチル基よりなる群より選ばれる原子また
は基を表す}のジベンジリデンソルビトール誘導体の固
体粉末と、式(II)
【0263】CH3(CH2)nCOOH (II) {式中、nは14〜30、好ましくは18〜27、最も好ましく
は20〜25の数を表す}の高級脂肪酸を含有してなり、該
高級脂肪酸が該ジベンジリデンソルビトール誘導体の固
体粉末の表面を被覆して含有されているジベンジリデン
ソルビトール誘導体組成物がある。
【0264】上記一般式(I)のジベンジリデンソルビ
トール誘導体としては、1,3−2,4・ジpメチルベン
ジリデンソルビトール、1,3−2,4−ジpエチルベン
ジリデンソルビトール、1,3−pメチルベンジリデン
−2,4−pクロルベンジリデンソルビトール、1,3−
pメチルベンジリデン・2,4−pエチルベンジリデン
ソルビトール及び1,3−pクロルベンジリデン−2,4
pメチルベンジリデンソルビトール等を例示することが
できる。
【0265】特に好適なジベンジリデンソルビトール誘
導体は、1,3−2,4−ジpメチルベンジリデンソルビ
トール、1,3−pメチルベンジリデン−2,4−pクロ
ルベンジリデンソルビトール及び1,3−pクロルベン
ジリデン・2,4−pメチルベンジリデンソルビトール
である。
【0266】上記式(II)の高級脂肪酸としては、ベヘ
ン酸、ステアリン酸およびパルミチン酸があり、なかで
もベヘン酸が最も好ましく、ステアリン酸がこれに次
ぐ。
【0267】本発明の有機造核剤組成物において使用さ
れるジベンジリデン誘導体の固体粉末の粒径は、格別な
制限は必要でなく、粒度分布30〜100メッシュのものが
好適に用いられる。
【0268】本発明の好ましい有機造核剤組成物は、ジ
ベンジリデン誘導体の95〜50重量部、好ましくは90〜50
重量部に対し高級脂肪酸を5〜50重量部、好ましくは10
〜50重量部の範囲において、両成分の合計が100重量部
になる割合で含有する。
【0269】本発明の好ましい有機造核剤組成物は、上
記割合の高級脂肪酸を含有する水性エマルジョンに上記
割合のジベンジリデンソルビトール誘導体の固体粉末を
添加攪拌して、ジベンジリデンソルビトール誘導体の固
体粉末の表面上に高級脂肪酸の被覆層を形成させ、高級
脂肪酸被覆を有するジベンジリデンソルビトール誘導体
粉末を濾別後、洗浄及び乾燥を行うことによって作るこ
とができる。
【0270】上記方法において使用する高級脂肪酸の水
性エマルジョンは、例えば、高級脂肪酸の濃度5〜50重
量%、好ましくは10〜50重量%の有機溶媒溶液に、界面
活性剤を少量、例えば高級脂肪酸100重量部に対して1
〜10重量部、好ましくは2〜5重量部、を用いて水中に
分散させることによって容易に得ることができる。
【0271】また、ジベンジリデンソルビトール誘導体
の固体粉末の表面上に形成された高級脂肪酸の被覆の存
在は、該被覆を染料で染色して観察することによって確
認することができる。
【0272】本発明の好ましい有機造核剤の組成物が、
寸法精度、剛性硬度、成形性、物理強度、非ブリードア
ウト性及び無臭性の改善のために添加剤として効果的に
使用されるポリオレフィン樹脂の例は、炭素数が2〜6
の脂肪族モノオレフィンの数平均分子量が10,000〜1,00
0,000、好ましくは15,000〜800,000、特に好ましくは2
0,000〜600,000、最も好ましくは30,000〜400,000の高
分子量の単独重合体または共重合体、例えばホモポリプ
ロピレン樹脂、低密度ホモポリエチレン樹脂、高密度ホ
モポリエチレン樹脂、直鎖状ポリエチレン(エチレン・
αオレフィン共重合体)樹脂およびエチレン・プロピレ
ン共重合体樹脂等である。特に、結晶化度が高い結晶性
ポリオレフィン樹脂が好ましく、有機造核剤の添加効果
が効果的に発揮されるので結晶化度は50%以上、好まし
くは70%以上、特に好ましくは80%以上、最も好ましく
は90%以上のポリオレフィン樹脂である。これらのポリ
オレフィン樹脂の分子量分布(重量平均分子量/数平均
分子量)は2〜20、好ましくは3〜15、特に好ましくは
3.5〜12であり、最も好ましくは4〜10である。ここで
分子量分布はGPC法により測定する。
【0273】本発明の好ましい有機造核剤組成物におい
ては、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、ジベン
ジリデンソルビトール誘導体成分として0.005〜5.0重量
部、好ましくは、0.01〜3.0重量部に相当する高級脂肪
酸で被覆されたジベンジリデンソルビトール誘導体が好
適に使用される。
【0274】本発明の好ましい有機造核剤組成物は、ポ
リオレフィン樹脂に任意の公知の混合手段で混合するこ
とによって配合することができる。また、本発明の好ま
しい有機造核剤組成物は、必要に応じて、該有機造核剤
を高濃度で含有するポリオレフィン樹脂中のマスターバ
ッチとしても用いることができる。
【0275】本発明の好ましい有機造核剤組成物におい
ては、ジベンジリデンソルビトール誘導体の固体粒子の
表面が高級脂肪酸等の前記遮光性物質の表面被覆物質で
被覆されていることが重要で、ポリオレフィン樹脂にジ
ベンジリデンソルビトール誘導体及び高級脂肪酸等の前
記遮光性物質の表面被覆物質を単に添加混合しても上記
記載の効果は達成されない。また、180℃以上、好まし
くは190℃以上、特に好ましくは200℃以上の熱履歴を経
ないと上記記載の効果は達成されない。
【0276】この熱履歴は1回経ればよく、例えば本発
明のポリオレフィン系樹脂組成物中に本発明の好ましい
有機造核剤の組成物として詳述した上記ジ−置換ベンジ
リデンソルビトール組成物を0.01〜2.0重量%添加後、1
80℃以上、好ましくは190℃以上、特に好ましくは200℃
以上に加熱してペレット化したものを用いて成形品を成
形すればよく、この時の樹脂温度は180℃以下であって
も上記記載の効果は達成されるが、この成形品の成形時
も180℃以上の樹脂温度にする(180℃以上の熱履歴を2
回経たと本発明では表現する。)ことにより、物理特
性、剛性が非常に優れ、表面の光沢の高い、外観故障が
ほとんど観察されない写真感光材料用成形品を成形する
ことができる。
【0277】本発明の好ましい有機造核剤組成物は、従
来技術に較べ、ポリオレフィン系樹脂組成物に配合した
場合、物理強度、耐ブリードアウト性、剛性等の諸特性
を何ら損なわないばかりか、場合によってはこれ等諸特
性を更に向上させ、同時に優れた無臭性を有し、併せて
外観故障が出にくくなり、かつ成形性が向上し成形速度
が向上でき、成形故障が減少するといった優れた効果を
奏するものである。即ち、本発明のポリオレフィン系樹
脂組成物に、上述のジ−置換ベンジリデンソルビトール
組成物を含ませることにより、物理強度、剛性、耐ブリ
ードアウト性、無臭性、成形性、耐摩耗性の優れた写真
感光材料用成形品を提供することが出来る。
【0278】本発明の好ましい有機造核剤組成物が上記
の優れた効果を奏する理由は必ずしも明らかでないが、
従来のジベンジリデンソルビトールの製造原料であるベ
ンズアルデヒド及び本発明のジベンジリデンソルビトー
ル誘導体の製造原料であるp置換ベンズアルデヒド等の
ベンズアルデヒド誘導体には臭気があって、共に精製後
も不可避的にジベンジリデンソルビトール(誘導体)に
微量残留して遮光性熱可塑性樹脂フィルムの異臭の原因
となりがちなこと及びジベンジリデンソルビトール(誘
導体)が熱可塑性樹脂組成物を用いた遮光性熱可塑性樹
脂フィルム成形時にも若干分解を起こして異臭の原因と
なることが考え得る。本発明の好ましい有機造核剤組成
物においては、一般式(I)の特定のジベンジリデンソ
ルビトール誘導体の固体粒子を用い、該粒子を一般式
(II)の特定の高級脂肪酸で被覆する、といった及び
の要件を同時に満足することによって、原料ベンズアル
デヒド類あるいは分解生成したベンズアルデヒド類に基
づくと推定される異臭が、熱可塑性樹脂組成物を用いた
遮光性射出成形品、遮光性フィルム成形品等において顕
著に減少され、かつ剛性、物理強度等の上記諸物性も同
時に優れているといった効果が奏される。
【0279】各種の有機造核剤は、単独で用いても各種
の無機造核剤との併用、有機造核剤の2種以上を併用す
ることもできる。また、有機及び/又は無機造核剤の表
面を各種の脂肪酸、脂肪酸化合物やシリコン等の滑剤、
カップリング剤、可塑剤、界面活性剤等の分散剤や湿潤
剤等で被覆することができる。
【0280】造核剤をブレンドする方法としては、コン
パウンド方式やドライブレンド方式やマスターバッチ方
式等があるが、作業性が良好で、環境汚染がないのでマ
スターバッチ方式が好ましい。特に遮光性物質を含む着
色マスターバッチ製造と同時に作成するのが経済的であ
り、作業性が良好なので好ましい。カサが高く、飛散し
やすいのでそのまま配合することは困難であり、少量の
分散剤か湿潤剤を入れて配合すると良い。分散剤として
効果があるものとしては各種滑剤、数平均分子量が500
〜10,000の各種低分子量ポリオレフィン樹脂、各種ワッ
クス、各種無水カルボン酸、各種高級脂肪酸等があり、
各種脂肪酸金属塩、各種シリコーン、各種オレイン酸ア
ミド等の滑剤は特に好ましい。湿潤剤としてはDOP、
DHP等の各種の可塑剤が使用できる。
【0281】また、各種の高級脂肪酸、脂肪酸アミド、
脂肪酸金属塩等の脂肪酸や脂肪酸化合物の純品を有機造
核剤の表面にコーティングしたり、ブレンドして分散効
果を高め、ブリードアウトを防ぐことも好ましい。さら
にまたポリオレフィン樹脂と180℃以上、好ましくは190
℃以上、特に200℃以上の熱履歴で混練したペレットと
として使用することが造核剤の効果発揮の点で好まし
い。すなわち、これらの添加剤を添加することにより、
物理強度を向上させ、剛性が大きくなり摩耗による白粉
の発生を減少させるとともに、有機造核剤の結晶化また
はブリードアウトによる白粉の発生を減少させる。さら
に、有機造核剤の悪臭を防止でき、かつ静電気の発生防
止及びブロッキング防止性を向上させることができる。
この場合、上記各種有機造核剤、各種分散剤や各種熱可
塑性樹脂の劣化や酸化分解や着色を防止するために、前
記各種酸化防止剤やラジカル捕獲剤及びクエン酸、燐酸
等の酸化防止相乗剤の1種以上を添加することが好まし
い。
【0282】また、造核剤の添加によって各種の効果が
得ることができる。例えば、結晶性熱可塑性樹脂であ
る、プロピレン・エチレン共重合体樹脂100重量部に造
核剤としてp−t−ブチル安息香酸を0.1重量部加える
ことによってヘーズ(HAZE)を40%から21%に低下
させることができ、0.2重量部加えればさらに12%にま
で低下させることができる。引張降伏点応力は、0.1重
量部加えると例えば380kg/cm2から420kg/cm2まで向上
させることができるが、それ以上添加してもその後は殆
ど向上しない。また、曲げ弾性率は、0.1重量部添加す
ると、例えば500kg/cm2ないし600kg/cm2向上させるこ
とができるが、それ以上添加してもその後は殆ど向上し
ない。
【0283】造核剤の効果を十分発揮させるために結晶
性樹脂(特に好ましいのはポリオレフィン樹脂)と混練
する時の樹脂温度を170℃以上、好ましくは185℃以上、
特に好ましくは195℃以上にする(熱履歴を経る)。こ
の170℃以上の熱履歴は1回以上、好ましくは2回(ペ
レット化と成形の少なくとも2回)以上経ることが好ま
しい。この熱履歴を経る時には酸化防止剤及び/又はラ
ジカル捕獲剤の1種以上と併用することが好ましい。
【0284】有機造格剤を含有した写真感光材料包装用
成形品として好ましい代表例を以下に記載する。
【0285】(1) 一般式が下記で表される化合物の混合
物であって、0.3≦Z≦0.8(重量基準)の組成から成るジ
アセタール組成物からなる有機造核剤を0.01〜5重量
%、好ましくは0.03〜3重量%含む写真感光材料用成形
品。
【0286】
【化12】 Z=A/(A+B+C) {式中、pは0または1を表す}
【0287】ここで、A〜Cは上記一般式において各々
次の化合物を表す。即ち、AはR1がメチル基、R2が水
素原子であって、mが2もしくは3である化合物及び/
又はR1が水素原子、R2がメチル基であって、nが2又
は3である化合物を表す。Bは、R1,R2がともに水素
原子である化合物を表す。Cは、R1,R2がともにメチ
ル基であって、m,nが同一で2又は3である化合物を
表す。
【0288】(2) 一般式が下記で表されるソルビトール
誘導体から成る有機造核剤を0.01〜5重量%含む写真感
光材料用成形品。
【0289】
【化13】 {式中、m,nは同一または異なっていて1〜10の整数
を表す}
【0290】(3) 一般式〔A〕または〔B〕で表される
モノアセタールまたはそれらの混合物から成る有機造核
剤を0.01〜5重量%含む写真感光材料用成形品。
【0291】
【化14】 {式中、Rは−COOR1又は−CONR23を表す。
1はアルコール残基を表し、R2,R3 は同一または異
なっており、水素原子またはアミン残基を表す。nは1
〜3を表し、pは0または1である}
【0292】
【化15】 {式中、R,n,pは一般式〔A〕と同じである}
【0293】(4) 一般式が下記で表されるソルビトール
誘導体から成る有機造核剤を0.01〜5重量%含む写真感
光材料用成形品。
【0294】
【化16】 {式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す}
【0295】(5) 1,3−ベンジリデン2,4−パラ−メ
チルベンジリデンソルビトールと1,3−パラ−メチルベ
ンジリデン2,4−ベンジリデンソルビトールとからなる
群から選ばれた少なくとも一種の有機造核剤を0.01〜5
重量%含む写真感光材料用成形品。
【0296】(6) 一般式〔I〕で表されるベンジリデン
ソルビトール誘導体100重量部に対し、一般式〔II〕で
表されるフェノール系酸化防止剤0.01〜10重量部を加え
てなるベンジリデンソルビトール誘導体組成物を0.01〜
5重量%含む写真感光材料用成形品
【0297】
【化17】
【0298】
【化18】 {式中、R1は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜
8のアルキル基またはアルコキシ基及び水酸基より選ば
れる基であり、同一化合物に於いて異なっていても良
く、Aは1〜4価のアルコール残基を示し、nは1〜4
の整数を示す}
【0299】(7) アルカリ性化合物及び/またはラジカ
ル禁止剤を0.001〜10重量%含むジベンジリデンソルビ
トール化合物から成る有機造核剤組成物を0.01〜5重量
%含む写真感光材料用成形品。
【0300】(8) 結晶性樹脂100重量部に、2価以上の脂
肪族アミンの有機カルボン酸アミド化合物0.02〜5重量
部、下記の一般式で表される有機リン酸エステル化合物
あるいはそのアンモニウム塩0.01〜5重量部、および炭
素原子数7以上の有機カルボン酸金属塩0.01〜5重量部
を含む写真感光材料用成形品。
【0301】
【化19】 {式中、R1は水素原子または炭素原子数1〜4のアル
キル基を示し、R2およびR3はそれぞれ水素原子、炭素
原子数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリー
ル基またはアラルキル基を示し、Xは−OH基または−
-NH4 +を示す}
【0302】(9) 結晶性樹脂100重量部に対して、炭素
原子数3以上のカルボン酸と、α−位にアミノ基または
水酸基を有する含窒素複素環化合物との共結晶化合物0.
01〜5重量部を含む写真感光材料用成形品。
【0303】(10)結晶性樹脂100重量部に対して、2価
以上の脂肪族アミンの脂環式カルボン酸アミド化合物0.
01〜5重量%を含む写真感光材料用成形品等がある。
【0304】本発明の写真感光材料用成形品には、可塑
剤を添加することができる。可塑剤を添加することによ
り、アルミニウム粉末や遮光性物質の分散性を向上でき
る。
【0305】可塑剤の添加量は、0.01〜10.0重量%が好
ましく、0.05〜7.0重量%がより好ましく、0.1〜5.0重
量%が最も好ましい。添加量が0.01重量%未満である
と、遮光性物質の均一分散性向上効果やブロッキング接
着向上効果がほとんど発揮されず、混練経費増となるだ
けである。添加量が10.0重量%を越えると、押出し機の
スクリューとのスリップが発生して安定した樹脂量を押
出すことが不可能になる。
【0306】可塑剤の代表例を以下に示す。 (1) フタル酸系可塑剤 フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘブチル、フタル酸ジオ
クチル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブチルラウリ
ル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ブチルベンジル、
ブチルフタリルブチルグリコレート等 (2) リン酸系可塑剤 リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル等 (3) 脂肪酸系可塑剤 クエン酸トリn−ブチル、アジピン酸ジオクチル、アゼ
ライン酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチル、アセチル
リシノール酸メチル等 (4) エポキシ系可塑剤 アルキルエポキシステアレート、4,5−エポキシテト
ラヒドロフタル酸ジイソデシル等 (5) その他の可塑剤 塩素化パラフィン、ポリエステル、シュークロースオク
タアセテート等
【0307】本発明の写真感光材料用成形品には、脱臭
剤を添加することができる。脱臭剤を添加することによ
り、熱可塑性樹脂や添加剤等の熱分解により発生する異
臭や悪臭を脱臭したり、写真感光材料中や成形品中に含
まれている異臭や悪臭を脱臭することができる。
【0308】脱臭剤の添加量は、0.1〜50重量%が好ま
しく、0.5〜40重量%がより好ましく、1.0〜30重量%が
最も好ましい。添加量が0.1重量%未満では、添加効果
が十分でなく、混練経費増となるだけである。また、添
加量が50重量%を越えると、増量効果がほとんどなく、
材料費が増加する。さらに写真感光材料用成形品の製造
が困難になる。さらにまた物理強度が低下し、写真性に
悪影響を及ぼすようになり実用化が困難になる。
【0309】脱臭剤としては、有機カルボン酸、有機カ
ルボン酸と亜鉛化合物との混合物、及び有機カルボン酸
と亜鉛化合物とアルミニウム化合物との混合物等があ
る。
【0310】有機カルボン酸としては、脂肪族ポリカル
ボン酸、芳香族ポリカルボン酸及びこれら脂肪族、芳香
族ポリカルボン酸と多価アルコール化合物との反応生成
物で末端がカルボキシル基の酸性ポリエステル化合物等
がある。
【0311】脂肪族ポリカルボン酸としては、ジュウ
酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、フマル酸、メチ
ルフマル酸、マレイン酸、メチルマレイン酸、イタコン
酸、アセチレン酸、リンゴ酸、メチルリンゴ酸、クエン
酸、イソクエン酸、メサコン酸、シトラコン酸等のジ又
はトリカルボン酸又はそれらの塩等があり、特に好まし
いものはクエン酸、フマル酸またはその塩である。
【0312】芳香族ポリカルボン酸としては、フタル
酸、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、ピ
ロメリット酸、ベンゼンヘキサトリカルボン酸、ナフタ
レンジカルボン酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタ
レンテトラカルボン酸、アゾベンゼンテトラカルボン酸
等の芳香族カルボン酸又はそれらの無水物等があり、特
に好ましいのはベンゼントリカルボン酸とトリメリット
酸である。
【0313】末端がカルボキシル基の酸性ポリエステル
化合物としては、フタル酸等のポリカルボン酸とエチレ
ングリコール、ジエチレングリコール等の多価アルコー
ルとの反応した末端カルボキシル基のポリエステル、ポ
リカルボン酸で変性した酸性セルロース誘導体等があ
る。
【0314】有機カルボン酸と混合して併用される亜鉛
化合物としては、酸化亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、リン
酸亜鉛、炭酸亜鉛類の無機亜鉛塩及びクエン酸亜鉛、フ
マル酸亜鉛類の有機亜鉛塩等であって、有機カルボン
酸:亜鉛化合物=1:0.1〜3.0重量部の範囲が好まし
い。
【0315】また、有機カルボン酸、亜鉛化合物と混合
して併用されるアルミニウム化合物としては、硫酸アル
ミニウム、カリウム等であって、有機カルボン酸:亜鉛
化合物:アルミニウム化合物=1:0.1:0.1〜1:3:
3重量部の範囲が好ましい。
【0316】本発明の写真感光材料包装用成形品には、
芳香剤を添加することができる。芳香剤の添加により、
密封包装された包装体内の写真感光材料から発生する臭
いや、熱可塑性樹脂組成物から発生する臭気をユーザー
に対して好ましい芳香にかえ商品価値を向上できる。
【0317】芳香剤の添加量は、0.01〜20重量%、0.05
〜10重量%が好ましく、0.1〜5重量%がより好ましい。
添加量が0.01重量%未満では、添加効果がなく混練費用
増となるだけである。また、添加量が20重量%を越える
と、増量効果がほとんどなくコストアップとなるだけで
ある。
【0318】芳香剤は、ライラック花精油、ジャスミ
ン、アビエス油、シナモン油、ラベンダー油、レモン油
等の天然香気成分、ゲラニオール、オイゲノール、n−
オクチルアルコール、カルビトール、シス−シャスモ
ン、レモンテンペン、メントン、サリチル酸メチル、メ
チルフェニルカルビノール、トリエチルサイトレート、
安息香酸ベンジル、シトラール、d−リモネン、ゲラニ
オール、エチルシナメイト、オクタノール、ベンジルベ
ンゾエート、アルキレングリコール、サリチル酸ベンジ
ル、リナロール、バニリン、クマリン、メチルナフチル
ケトン、ローズフェノン等の合成香気成分を、マイクロ
カプセルの微粒子化やサイクロテキストリン、マルトシ
ルサイクロテキストリン、シクロテキストリン、ゼオラ
イト、デンプン、タルク等に含ませて用いる。
【0319】カップリング剤をアルミニウム粉末に被覆
したり付着させると、アルミニウム粉末と合成樹脂との
親和性を改善し、アルミニウム粉末の分散性、樹脂組成
物の流動性、防湿性、成形性、物理強度、外観を良好に
し、アルミニウム粉末と合成樹脂間の有害な化学反応を
防止し、さらにアルミニウム粉末の酸化、凝集の防止に
効果がある。
【0320】(1) チタネートカップリング剤化合物 アルミニウム粉末表面に被覆又は付着するチタネートカ
ップリング剤化合物は全重量当り0.01〜5.0重量%、特
に0.1〜3重量%に均一に被覆及び/又は付着すること
が好ましい。チタネートカップリング剤化合物が0.01重
量%以下では均一に被覆又は付着することが困難となり
合成樹脂との親和性ならびに成形時に安定な合成樹脂充
填用アルミニウム粉末が得にくい。一方、5.0重量%以
上になっても添加量の増加による効果の増大は認められ
ない。しかしアルミニウム粉末と合成樹脂との混合材料
のメルトフローレートなどの流動性は5.0重量%以上で
も良好となる場合はあるが写真感光材料の写真性に悪影
響を及ぼすようになり、材料費増にもなるので実用化困
難である。
【0321】本発明に用いるチタネートカップリング剤
化合物としては、イソプロピルトリイソステアロイルチ
タネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニル
チタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルパイロホス
フェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオ
クチルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジア
リルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−ドリデシ
ル)ホスフェートチタネートおよびビス(ジオクチルパ
イロホスフェート)オキシアセテートチタネートからの
一種又は二種以上から選択される。
【0322】本発明のアルミニウム粉末のチタネートカ
ップリング剤化合物を被覆又は付着する方法は一般に粉
体を混合もしくは粉体と液体とを混合分散する機械が使
用でき機種に限定されることはない。処理温度も常温で
充分に効果が認められる。また処理雰囲気も大気中で行
なえる。チタネートカップリング剤化合物は液体である
ので単独でアルミニウム粉末に均一に被覆することが可
能である。しかし微量な添加量やチタネートカップリン
グ剤化合物の粘度が高い場合は適当な相溶性のある液体
で希釈してアルミニウム粉末をスラリー状で処理するこ
ともでき、アルミニウム粉末に均一に確実にチタネート
カップリング剤化合物を被覆するにはこの方法が有利で
ある。
【0323】(2) シランカップリング剤化合物 本発明で使用されるシランカップリング剤化合物は、一
般式 R12aSi(OR3)s-n {ここでaは0または1であり、R1はアミノ基、メルカ
プト基、ビニル基、エポキシ基またはメタクロキシ基で
あり、R2、R3はそれぞれ独立に炭素数1〜8の飽和炭
化水素基またはエーテル基である。}で表されるものが
代表的である。このシランカップリング剤化合物の具体
例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエ
トキシシラン、ビニルトリ(2−メトキシエトキシ)シ
ランなどのビニルシラン化合物、γ−アミノプロピルト
リメトキシシラン、β−(アミノエチル)−γ−アミノ
プロピルトリメトキシシランなどのアミノシラン化合
物、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β
−(3,4−エポキシ−シクロヘキシル)エチルトリメト
キシシランなどのエポキシシラン化合物がある。これら
の中で特に好ましい化合物は、アミノシラン化合物であ
る。
【0324】アルミニウム粉末にシランカップリング剤
化合物を被覆又は付着する方法は、前記チタネートカッ
プリング剤化合物の場合と同じである。
【0325】またアルミニウム粉末に被覆又は付着する
シランカップリング剤化合物の量は前記チタネートカッ
プリング剤化合物と同じである。
【0326】本発明における有機リン酸エステル化合物
は、アルミニウム粉末の表面に吸着することにより、ア
ルミニウム粉末の反応を抑制する表面保護効果を与える
ものである。従ってアルミニウムの酸化防止効果を有す
る好ましい表面被覆物質の1つである。好ましい有機リ
ン酸エステル化合物は、一般式
【0327】
【化20】 で示される有機リン酸エステル化合物である。ここでR
は、炭素数6〜30、好ましくは12〜22のアルキル基、炭
素数6〜30、好ましくは12〜22のアルケニル基または炭
素数6〜30、好ましくは12〜22のアルキル置換基もしく
は炭素数6〜30、好ましくは12〜22のアルケニル置換基
を一つ以上含むアリール基を表わし、Aは炭素数2〜
4、好ましくは2〜3のアルキレン基を表わし、mは0
〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは2〜10であ
り、R1およびR2は同じであっても、異なっていてもよ
く、水素、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ま
たはR−(OA)m {ここにR、Aおよびmは上記で示さ
れるもの}を表わす。
【0328】R、R1、R2におけるアルキル基またはア
ルケニル基としては、例えば、オクチル、デシル、ラウ
リル、セチル、ステアリル、オレイル、ヘキサデシル、
オクタデシルなどが好ましい。
【0329】R、R4、R2におけるアリール基として
は、例えば、オクチルフェニル、ノニルフェニル、ドデ
シルフェニル、ジノニルフェニルなどが好ましい。Aと
してはエチレン、プロピレンが好ましい。
【0330】具体的な化合物としては、リン酸の首記ア
ルキル、アルケニル、アリールエステル、アルキル、ア
ルケニル、アリール基にエチレンオキシドを付加したも
ののエステルが好ましい。リン酸エステルはモノ、ジ、
トリエステルのいずれであってもよく、これらの混合物
であってもよい。また、種類の異なるリン酸エステルの
混合物であってもよい。
【0331】さらに、これらの有機リン酸エステル化合
物は、水溶液中で酸性を示すため、これにアンモニウ
ム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ジブチルアミ
ン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタ
ノールアミン、トリエタノールアミン、およびモルフォ
リンなどの無機および有機の塩基性物質で中和して用い
ることができる。
【0332】有機リン酸エステル化合物は、アルミニウ
ム粉末に対して0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量
%、特に好ましくは1〜10重量%の範囲で使用される。
ここで、有機リン酸エステル化合物の使用量が、0.1重
量%未満では表面保護効果が少なく30重量%よりも多く
なると組成物を混合した水性塗料から得られる塗膜の耐
水性を低下させる傾向がある。
【0333】有機リン酸エステル化合物を、アルミニウ
ム粉末に添加させる方法に関しては、特に限定されな
い。一般に、鱗片状のアルミニウム粉末の製法は、ボー
ルミルなどの粉砕機のなかに、アルミニウム砕料と粉砕
効率を高める潤滑剤が投入され、例えば有機溶剤中での
湿式粉砕法、あるいは窒素雰囲気中での乾式粉砕法など
がとられる。この時の潤滑剤として、一般に飽和または
不飽和脂肪酸、脂肪族アミン、脂肪酸の金属塩などが用
いられるが、これらはアルミニウム粉末の表面に吸着し
て表面保護効果を与える表面処理剤でもある。有機リン
酸エステル化合物は、これらの脂肪酸または脂肪酸誘導
体と併用あるいは単独で使用することもできる。
【0334】一方、すでに脂肪酸または脂肪酸誘導体を
用いて、予め表面処理が施されたアルミニウム粉末に対
して、有機リン酸エステル化合物を水および水分散性を
付与するための界面活性剤と共に、後添加することもで
きる。
【0335】本発明において、水性化をはかるための界
面活性剤としては、特に限定されるものではないが、貯
蔵安定性の点から非イオン系界面活性剤を用いることが
好ましい。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、
およびポリエチレングリコール脂肪酸エステルなどがあ
る。これらは有機リン酸エステル化合物と分散媒の水な
どと共に粉末をペースト化させる混合工程において添加
される。
【0336】必要に応じて、本発明の組成物に、各種の
添加剤を併用することができる。アルミニウム粉末、有
機リン酸エステル化合物を基本組成物として、さらに非
イオン系界面活性剤と水とを含む水分散性金属粉末ペー
ストを水性塗料用顔料として用いた場合、塗料中に極め
て良好に分散し、長期間貯蔵しても水素ガスの発生や顔
料の凝集もみられず化学的に安定で、塗料の性状の変化
はほとんどなかった。
【0337】その他好ましい有機リン酸エステル化合物
としては一般式
【0338】
【化21】 {式中、R1〜R3はそれぞれ独立して水素、アルキル
基、アリール基、ポリオキシエチレンエーテル基、また
はポリオキシエチレンアリールエーテル基である。但
し、R1〜R3のすべてが水素であることがない。}
【0339】有機リン酸エステル化合物はモノエステ
ル、ジエステルまたはトリエステルそれぞれの単独物で
あってもよいし、それらの混合物であってもよい。かか
る有機リン酸エステル化合物としては、有機リン酸トリ
フェニル化合物、有機リン酸トリ(2−エチルヘキシ
ル)などのトリエステル化合物、有機リン酸ジ(2−エ
チルヘキシル)、有機リン酸ジブチル、有機リン酸ジオ
クチル、有機リン酸モノブチル、有機リン酸モノイソデ
シルなどの有機リン酸ジエステル化合物、有機リン酸モ
ノエステル化合物などである。これらの化合物の中で、
本発明において好ましい化合物は有機リン酸ジエステル
化合物、有機リン酸モノエステル化合物およびこれらの
混合物である。
【0340】有機リン酸エステル化合物とチタネートカ
ップリング剤化合物又はシランカップリング剤化合物と
併用するとアルミニウム粉末の酸化防止、分散性等が優
れ、水性塗料、水性インキ等省資源、写真性対策、無公
害化対策として有機溶剤を使用しない用途でも長期貯蔵
安定性に優れ、貯蔵中にアルミニウム粉末の分散性が低
下したり、多量のガスが発生したりすることによって塗
料やインキの性状が著しく損なわれることがなくなる。
【0341】本発明のアルミニウム粉末含有成形品又は
アルミニウム粉末含有塗料層又はアルミニウム粉末含有
インキ層の表面に透明又は半透明の有色顔料含有塗布層
を設けると金属光沢とメタリック色彩を有する写真感光
材料包装体を提供することができ商品価値を大きく高め
ることができ販売促進効果が非常に大きい。
【0342】特にアルミニウム粉末含有シルバー色彩を
有する包装体の表面に黄色顔料を含有する透明又は半透
明な塗布層を乾燥膜厚が0.01〜50μm、好ましくは0.05
〜40μm、特に好ましくは0.1〜30μm、最も好ましく
は0.2〜20μmになる程度に設けると金色の商品価値の
非常に大きい包装体となる。黄色顔料の中でも特に有機
顔料が好ましく代表例を以下に示すが本発明はこれらに
限定されるものではない。
【0343】アンスラピリミジンイエロー キノフタロンイエロー フラバンスロンイエロー イソインドリノンイエローG アシルアミドイエロー イソインドリノンイエローR 銅アゾメチンイエロー ニッケルアゾイエロー 縮合アゾイエロー パーマネントイエロー キノリンイエローレーキ アンスラゲンイエロー タートラジンレーキ ベンジジンイエローG ピグメントイエローL ハンザイエロー3G ハンザイエロー10G ナフトールイエローS ハンザイエローG ハンザイエローGR ハンザイエローR 等
【0344】写真感光材料包装体として特に好ましいの
は銀色ペイント、銀色印刷インキの顔料アルミニウム粉
末含有層(銀色着色)を設けたラベル、化粧小箱(35mm
写真フィルムやレンズ付フィルムユニットやインスタン
トフィルムやブローニーフィルム用等)、化粧嵌合箱
(カットフィルム用等)、プラスチック容器入35mm写真
フィルムの集合包装体(2本パック、5本パック等)、
レンズ付フィルムユニット包装体、写真フィルム用金属
製パトローネ等及びこれらの銀色着色層の表面に黄色顔
料を含む層を設け外観金色着色層(印刷層、ベタ印刷
層、塗布層等)として高級イメージ化した写真感光材料
包装体は防湿効果、耐摩耗効果もあり商品価値が高く、
販売促進効果が非常に大きい。
【0345】本発明の熱可塑性樹脂組成物中に添加可能
な配合剤(添加剤)の代表名を以下に示す。
【0346】各配合剤の詳細については改訂増補「最新
顔料便覧」(昭和52年1月10日(株)誠文堂新光社発行)
や1994年版「新化学インデックス」(1993年7月23日化
学工業日報社発行)や「12394の化学商品」(1994年1月
26日化学工業日報社発行)や「プラスチック データ ハ
ンドブック」(1984年4月5日(株)工業調査会発行)や
「実用プラスチック用語辞典第三版」((株)プラスチッ
クス・エージ発行)等各種文献に記載された配合剤(添
加剤)の中から写真感光材料に悪影響を及ぼさないよう
に種類や添加量や他の配合剤との組み合せによる無害化
反応等を利用したり、層構成、樹脂組成等を検討するこ
とによりほとんどの配合剤が写真感光材料用包装体にも
利用可能である。代表例を以下に記載するが本発明はこ
れらに限定されるものではない。
【0347】A.第1分類(ニーズに対する性能別の分
類) 1.加工用助剤 a.加工安定剤(酸化防止剤、熱安定剤) (PVC安定剤) b.流動制御剤(可塑化剤、滑剤) c.保形助剤(離型剤、収縮防止剤)
【0348】2.改質配合剤 2−1 安定剤(寿命制御剤) a.酸化防止剤 b.耐光安定剤 c.難 燃 剤 d.生物安定剤(Biostabilizers) e.金属劣化防止剤(Metal deactivators) f.(劣化修復剤) 2−2 性能改質剤(物性制御剤) a.耐衝撃性改良剤(各種エラストマー、L−LDPE
樹脂) b.充てん材、補強材 c.着色剤 d.可塑剤 e.発泡剤 f.架橋剤(有機過酸化物) g.造核剤 2−3 機能改質剤(機能付与剤) a.導電剤、磁性剤 b.静電防止剤 c.蛍光白色剤 2−4 分解促進剤 a.生分解 b.光分解 c.熱分解 等
【0349】 B.第2分類(配合剤の持つ属性別の分類) 1.粉体改質剤 a.補強材/充てん材 b.核剤 c.加工助剤 d.粉/粉特殊構造体 2.反応性改質剤 a.架 橋 剤 b.マクロモノマー c.安定剤(熱、光、放射線、生物) d.分解促進剤(生物、光、熱) 3.界面改質剤 a.カップリング剤 b.相溶化剤 c.可塑剤/溶剤 4.高分子改質剤 a.加工性改良剤、性能改質剤 b.アロイ、ブレンド(性能改質) 等
【0350】本発明の写真感光材料用成形品の代表例を
以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0351】(1) フィルム成形品 単層フィルム成形品(図1);特公平2−2700号公報
等 多層共押出しフィルム成形品(図4、図5、図6); 単層フィルム成形品又は多層共押出しフィルム成形品
を用いた積層フィルム(図7、図8、図9);特公昭63
−26697号公報、特公平2−2701号公報、特公平2−137
74号公報、特公平2−19225号公報等 上記〜のフレキシブルシートを用いた包装材料;
包装袋(ユニパック袋、1重平袋、2重平袋、1重ガゼ
ット袋、2重ガゼット袋等)、シュリング包装、バルク
包装体(特開平3−53243号公報、実開平3−71346号公
報等)集合包装等及び帯状感光材料の明室装填用包装体 実開昭55−113543号公報、実開昭60−13386号公報、実
開昭60−167796号公報、特開平2−72347号公報、実開
平3−47547号公報、実開平3−54937号公報、実開平3
−86358号公報、実開平3−96648号公報等
【0352】(2) 真空成形品
【0353】(3) 射出成形品 写真フィルム用スプール、レンズ付フィルムユニット、
写真フィルムパトローネ用容器、遮光容器、プラスチッ
ク製写真フィルム用パトローネ、明室装填用遮光マガジ
ン、巻芯、写真フィルムカートリッジ、インスタントフ
ィルム用パック等
【0354】ディスクフィルム用カートリッジ;実開
昭60−21743号公報等
【0355】レンズ付フィルムユニット(図10);特
開昭63−226643号公報等
【0356】写真フィルム用スプール(図11);特開
平1−251030号公報、特開昭57−196218号公報、特開昭
59−15049号公報、USP 1930144号、実開昭63−73742
号公報、実開昭54−120931号公報、実開昭58−178139〜
178145号公報、実公昭55−31541号公報、特開昭58−203
436号公報、特開昭58−82237号公報、特開昭58−82236
号公報、実公昭44−16777号公報、実開昭63−73742号公
報、特開昭62−240957号公報、GB 2199805A号明細書
【0357】写真フィルム用パトローネ(図12);特
開昭54−111822号公報、特公昭45−6991号公報、特公昭
55−21089号公報、特開昭50−33831号公報、特開昭56−
87039号公報、実開昭55−97738号公報、特開平1−3125
38号公報、特開昭57−190948号公報、USP 4,846,418
号明細書、USP 4,848,693号明細書、USP 4,887,7
76号明細書等
【0358】写真フィルムパトローネ用容器;特開昭
61−250639号公報、特開昭61−73947号公報、実開昭60
−163451号公報、USP 4,801,011号、特開昭63−1210
47号公報、特開昭62−291639号公報、実開平1−88940
号公報、実開平1−113235号公報、実開平1−152337号
公報、実公平2−33236号公報、実公平3−48581号公
報、特公平2−38939号公報、USP 4,639,386号明細
書、USP 4,801,011号明細書、USP 4,979,351号明
細書、EP 0237062A2号明細書、EP 0280065A1号
明細書、EP 0298375A2号明細書等
【0359】巻芯、リール;実開昭60−107848号公
報、USP 4809923号明細書、GB 2033873号B明細書等
【0360】シートフィルム用マガジン;昭56−5141
号公報等
【0361】写真フィルムカートリッジ;実公昭56−
16610号公報、実開平2−24846号公報、実開平2−2904
1号公報、実公昭60−120448号公報、特開平1−312537
号公報等
【0362】写真フィルムケース;USP 4,779,756
号明細書、実開昭54−100617号公報、実開昭64−32343
号公報、実開平1−94258号公報、実開平2−56139号公
報、EP 0242905A1号明細書、特公平2−54934号公
報等
【0363】写真感光材料用成形品を形成する方法は、
各成形品の形態により、例えばインフレーションフィル
ム成形、射出成形、真空成形、シート成形、Tダイフラ
ットフィルム成形、圧空成形、回転成形、金型内真空射
出成形等で形成する。
【0364】本発明の写真感光材料用成形品又は写真感
光材料用包装材料(包装袋、小箱、ボール箱、金属製又
は熱可塑性樹脂製パトローネ、カートリッジ、レーベ
ル、オーバーラップフィルム、写真フィルム用容器、テ
ープ、遮光紙等)に、CASコード(カメラ自動検出コ
ード)、バーコード、CIマーク、商品名、取扱い説
明、商品識別マーク、商品識別色等、機能上必要な文字
や記号等のインキ印刷層、あるいは商品価値を高めるた
めにベタ印刷層やベタ塗料層を施すことができる。また
は、これらの印刷層や塗料層の耐摩性製向上、光沢度向
上等の目的で透明塗料層を施すことが好ましい。さらに
またこれらの印刷を施した少なくとも縦方向に延伸した
シュリンクフィルムやラベルやレーベルを本発明の成形
品に貼り付けたり、熱収縮させ取付けた写真感光材料用
包装体としてもよい。これらの印刷に使用されるインキ
としては、写真感光材料に無害なものが選ばれ、一般に
使用されているオフセット印刷用インキ、グラビア印刷
用インキ又はUVインキ等から選ぶことができる。
【0365】これらのインキ又は塗料に使用される代表
的な合成樹脂は、塩化ビニルを主体とする共重合体樹
脂、ビニル・アミノ樹脂、アルキド・ビニル樹脂、オイ
ルフリーアルキド樹脂、塩酢ビ系、硝化綿、ポリエステ
ル、ポリアミドウレタン、ポリアクリル、ロジン変性マ
レイン酸、エチレン酢ビ、ビニールエーテル、ウレタン
酢ビ、塩酢ビウレタン樹脂、変性アルキッド樹脂、変性
フェノール樹脂、高分子ポリエステル・アミノ樹脂、低
分子ポリエステル・アミノ樹脂、アルカリ可溶型樹脂
(ロジン変性マレイン酸樹脂、スチレンマレイン酸樹
脂、スチレンアクリル酸樹脂、アクリル酸エステルアク
リル酸樹脂、メタクリル酸エステルアクリル酸樹脂)、
ハイドロゾル型樹脂(スチレンマレイン酸樹脂、スチレ
ンアクリル酸樹脂、α−メチルスチレンアクリル酸樹、
アクリル酸エステルアクリル酸樹脂、メタクリル酸エス
テルアクリル酸樹脂)、エマルジョン型樹脂(スチレン
樹脂、スチレンアクリル酸エステル樹脂、アクリル酸エ
ステル共重合樹脂、メタクリル酸エステル共重合樹
脂)、VUインキ用の樹脂としては、アクリル系不飽和
基を持つポリマーが一般的に使用されており、代表的な
例としてはポリエステル/アクリル酸エステル、ポリエ
ステル/ウレタン樹脂/アクリル酸エステル、エポキシ
樹脂/アクリル酸エステル、ペンタエリスリトールトリ
アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレー
ト、ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグ
リコールジアクリレート、トリエチレングリコールジア
クリレート、ヒドロキシエチレンメタクレートが挙げら
れる。
【0366】また、これらのインキ又は塗料には本発明
のアルミニウム粉末を含むアルミニウム組成物の他に一
般に知られている着色剤が併用される。使用される着色
剤としては、特開昭63−44653号公報等に記載されてい
る各種顔料及びアゾ顔料(アゾレーキ;カーミン6B、
レッド2B、不溶性アゾ;モノアゾイエロ(PY−1、
3)、ジスアゾイエロ(PY−12、13、14、17、83)、
ピラゾロオレンジ(PO−B−34)、バルカンオレンジ
(PO−16)、縮合アゾ系;クロモフタルイエロ(PY
−93、95)、クロモフタルレッド(PR−144、166)、
多環式顔料(フタロシアニン系;銅フタロシアニンブル
ー(PB−15、15−1、15−3)、銅フタロシアニング
リーン(PG−7)、シオキサジン系;ジオキサジンバ
イオレット(PV−23)、イソインドリノン系;イソイ
ンドリノンイエロ(PY−109、110)、スレン系;ペリ
レン、ペリノン、フラバントロン、チオインジゴ、レー
キ顔料(マラカイトグリーン、ローダミンB、ローダミ
ンG、ビクトリアブルーB)又無機顔料(酸化物;二酸
化チタン、ベンガラ、硫酸塩;沈降性硫酸バリウム、炭
酸塩;沈降性炭酸カルシムウ、珪酸塩;含水珪酸塩、無
水珪酸塩、金属粉;アルミニウム粉、ブロンズ粉、亜鉛
末、その他カーボンブラック、黄鉛、群青、紺青)等が
挙げられる。またこれ等の顔料は遮光性物質として前述
の樹脂層等に添加しても構わない。この他に油溶性染
料、分散性染料等も使用される。その他インキを構成す
る原材料として必要に応じて各種溶剤、分散剤、湿潤
剤、消泡剤、界面活性剤、レベリング剤、乳化剤、増粘
剤、安定剤、架橋剤、ワックス等の添加剤が使用され
る。これらのインキ組成物として用いられる合成樹脂や
着色剤は塗料として成形品の表面に塗布して商品価値の
向上、耐摩耗性の向上、遮光性の向上、写真性良化等の
目的で用いることも好ましい。
【0367】各種染・顔料からなる着色剤の中から各種
合成樹脂(熱可塑性樹脂及び熱硬化樹脂すべてを含む)
に適合するものを選択することが重要であるが、さらに
本発明で最も重要なことは写真特性に悪影響を及ぼさな
いものを選択することが必須である。括弧内は色を示
す。合成樹脂に悪影響を及ぼさず、写真特性にも悪影響
を及ぼすことが少なく本発明に特に好ましいものと次に
好ましいものの代表例を以下に示す。
【0368】(1) ポリプロピレン系樹脂(プロピレンの
ホモ及びαオレフィンとの共重合体樹脂等)用着色染・
顔料
【0369】特に好ましいものは、カドミウムレッド
(赤)、キナクリドンレッド(赤〜紫)、カドミウムイエロ
ー(黄〜橙)、ニッケルアゾコンプレックス(黄)、フ
タロシアニングリーン(緑)、フタロシアニンブルー
(青)、群青(青〜紫)、インダンスレンブルー
(青)、コバルトブルー(青)、酸化チタン(白)、ア
ンチモン白(白)、カーボンブラック(黒)、窒化チタ
ン(黒)、鉄黒(黒)、アルミニウム粉末(銀)、アル
ミニウム粉末+黄色染・顔料(金)であり、次に好まし
いものはベンガラ(赤)、ミネラルバイオレット(紫)、ベ
ンジジンイエロー(黄)、ジオキサジンバイオレット
(紫)である。
【0370】(2) ポリエチレン系樹脂(LDPE、MD
PE、HDPE、L−LDPE、EVA、EEA、EA
A、アイオノマー、エチレン系エラストマー、エチレン
系変性樹脂等のエチレンのホモ及び他の樹脂との共重合
体樹脂の1種以上及びこれらの樹脂50重量%以上と他の
樹脂とのブレンド樹脂)用着色染・顔料
【0371】特に好ましいものは、カドミウムレッド
(赤)、キナクリドンレッド(赤〜紫)、カドミウムイエロ
ー(黄〜橙)、ベンジジンイエロー(黄)、ニッケルア
ゾコンプレックス(黄)、フタロシアニングリーン(緑)、
フタロシアニンブルー(青)、群青(青〜紫)、インダ
ンスレンブルー(青)、コバルトブルー(青)、酸化チ
タン(白)、アンチモン白(白)、カーボンブラック
(黒)、窒化チタン(黒)、鉄黒(褐〜黒)、アルミニウム
粉末(銀)、アルミニウム粉末+黄色染・顔料(金)であ
り、次に好ましいものは、ボンレッド2B(赤)、ピラ
ゾロンレッド(赤)、ナフトールレッド(赤)、ベンガラ
(赤)、チオインジゴ(茶)、ミネラルバイオレッド
(紫)、モリブデンオレンジ(橙〜赤)、エローオーカ
ー(黄)である。
【0372】(3) 芳香族ビニル系樹脂(ホモポリスチレ
ン、スチレン・ゴム共重合体樹脂、例えばGPPS、H
IPS、合成ゴムグラフト重合ポリスチレン、ABS、
SBS、SEBS、AS、MS、AAS、AES、スチ
レン系エラストマー等とこれらの樹脂の2種以上のブレ
ンド樹脂及びこれらの樹脂50重量%以上と他の樹脂との
ブレンド樹脂)用着色染・顔料
【0373】特に好ましいものは、カドミウムレッド
(赤〜茶)、ボンレッド2B(赤)、カドミウムイエロ
ー(黄〜橙)、シングイエロー(黄)、ニッケルアゾコ
ンプレックス(黄)、フタロシアニングリーン(緑)、
酸化クロム(緑)、ギネーグリーン(緑)、クロムグリ
ーン(緑)、フタロシアニンブルー(青)、紺青(青)、
群青(青〜紫)、インダンスレンブルー(青)、コバル
トブルー(青)、酸化チタン(白)、亜鉛華(白)、ア
ンチモン白(白)、カーボンブラック(黒)、窒化チタ
ン(黒)、鉄黒(黒)、アルミニウム粉末(銀)、アル
ミニウム粉末+黄色染・顔料(金)であり、次に好まし
いものは、カーミン6B(赤)、レーキットC(赤)、
ピラゾロンレッド(赤)、ナフトールレッド(赤〜
茶)、ベンガラ(赤〜茶)、チオインジゴ(茶)、黄鉛
(黄)、モリブデンオレンジ(オレンジ)、ベンジジンイ
エロー(黄)、ハンザイエロー(黄)、ジオキサジンバ
イオレット(紫)、アゾ系染料(黄〜赤)、アントラキ
ノン系染料(各色)である。
【0374】(4) ポリアミド樹脂用着色染・顔料 特に好ましいものは、カドミウムレッド(赤〜茶)、ベ
ンガラ(赤〜茶)、カドミウムイエロー(黄〜橙)、フ
タロシアニングリーン(緑)、フタロシアニンブルー
(青)、群青(青〜紫)、コバルトブルー(青)、酸化
チタン(白)、カーボンブラック(黒)、鉄黒(黒)で
あり、次に好ましいものは、エローオーカー(黄)、ジ
オキサジンバイオレット(紫)、アルミニウム粉末
(銀)、アルミニウム粉末+黄色染・顔料である。
【0375】(5) ポリエステル樹脂用着色染・顔料 特に好ましいものは、キナクリドンレッド(赤〜紫)、カ
ドミウムイエロー(黄〜橙)、黄鉛(黄〜橙)、モリブ
デンオレンジ(オレンジ)、酸化クロム(緑)、ギネーグ
リーン(青緑)、群青(青〜紫)、酸化チタン(白)、アンチ
モン白(白)、アゾ系染料(黄〜赤)、アントラキノン
系染料(各色)であり、次に好ましいものは、カドミウ
ムレッド(赤〜茶)、ボンレッド2B(赤)、 トルイ
ジンレッド(赤)、レーキッドC(赤)、ナフトールレ
ッド(赤〜茶)、ベンガラ(赤〜茶)、ハンザイエロー
(黄)、クロムグリーン(緑)、紺青(青)、インダン
スレンブルー(青)、カーボンブラック(黒)、鉄黒
(黒)、アルミニウム粉末(銀)、アルミニウム粉末+黄
色染・顔料(金)である。
【0376】(6) エポキシ樹脂用着色染・顔料 特に好ましいものは、カドミウムレッド(赤〜茶)、ボ
ンレッド2B(赤)、ヒラゾロンレッド(赤)、ナフト
ールレッド(赤〜茶)、ベンガラ(赤〜茶)、チオイン
ジゴ(茶)、キナクリドンレッド(赤〜紫)、カドミウ
ムイエロー(黄〜橙)、黄鉛(黄〜橙)、モリブレンオ
レンジ(オレンジ)、ベンジジンイエロー(黄)、ジン
クイエロー(黄)、エローオーカー(黄)、ニッケルア
ゾコンプレックス(黄)、フタロシアニングリーン
(緑)、酸化クロム(緑)、ギネーグリーン(青緑)、ク
ロムグリーン(緑)、フタロシアニンブルー(青)、紺青
(青)、インダンスレンブルー(青)、コバルトブルー
(青)、酸化チタン(白)、亜鉛華(白)、アンチモン
白(白)、カーボンブラック(黒)、窒化チタン
(黒)、鉄黒(黒)、アルミニウム粉末(銀)、アルミ
ニウム粉末+黄色染・顔料(金)である。
【0377】(7) アミノ樹脂用着色染・顔料 特に好ましいものは、ボンレッド2B(赤)、カーミン
6B(赤)、トルイジンレッド(赤)、カドミウムレッ
ド(赤〜茶)、ベンガラ(赤〜茶)、ナフトールレッド
(赤〜茶)、チオインジゴ(茶)、ミネラルバイオレッ
ド(紫)、キナクリドンレッド(赤〜紫)、ハンザイエ
ロー(黄)、ジンクイエロー(黄)、エローオーカー
(黄)、ニッケルアゾコンプレックス(黄)、フタロシ
アニングリーン(緑)、酸化クロム(緑)、ギネーグリーン
(青緑)、クロムグリーン(緑)、フタロシアニンブル
ー(青)、紺青(青)、群青(青〜紫)、インダンスレ
ンブルー(青)、コバルトブルー(青)、ジオキサジン
バイオレット(紫)、酸化チタン(白)、亜鉛華
(白)、アンチモン白(白)、カーボンブラック
(黒)、鉄黒(黒)、アルミニウム粉末(銀)、アルミ
ニウム粉末+黄色染・顔料である。
【0378】(8) フェノール樹脂用着色染・顔料 特に好ましいものは、ボンレッド2B(赤)、カーミン
6B(赤)、レーキッドC(赤)、ナフトールレッド
(赤〜茶)、ベンガラ(赤〜茶)、チオインジゴ
(茶)、ミネラルバイオレット(紫)、モリブデンオレ
ンジ(オレンジ)、黄鉛(黄)、ハンザイエロー
(黄)、ジンクイエロー(黄)、エローオーカー(黄)、
ニッケルアゾコンプレックス(黄)、フタロシアニング
リーン(緑)、酸化クロム(緑)、ギネーグリーン(青
緑)、クロムグリーン(緑)、フタロシアニンブルー
(青)、コバルトブルー(青)、ジオキサジンバイオレ
ット(紫)、酸化チタン(白)、亜鉛華(白)、アンチ
モン白(白)、カーボンブラック(黒)、鉄黒(黒)、
アゾ系染料(黄〜赤)、アントラキノン系染料(各
色)、アルミニウム粉末(鉄)、アルミニウム粉末+黄
色染・顔料(金)である。
【0379】(9) ポリカーボネート樹脂用着色染・顔
料。 特に好ましいものは、カドミウムレッド(赤〜茶)、ナ
フトールレッド(赤〜茶)、カドミウムイエロー(黄〜
橙)、フタロシアニングリーン(緑)、酸化クロム
(緑)、フタロシアニンブルー(青)、群青(青〜紫)、コバ
ルトブルー(青)、酸化チタン(白)、カーボンブラッ
ク(黒)、アルミニウム粉末(銀)、アルミニウム粉末
+黄色染・顔料(金)である。
【0380】これらの合成樹脂と着色染・顔料の混練方
法や使用濃度等については前述した内容の他、各種の公
知内容に準じて目的に適合させ且つ写真感光材料の写真
特性に悪影響を及ぼさないようにすればよい。
【0381】さらに本発明の写真感光材料用成形品の商
品価値向上、印刷インキの印刷が美しく、且つ彩えるよ
うにベースコートやトップコートとして各種の塗料を塗
布した写真感光材料用包装体とすることができる。この
塗料用樹脂と顔料については前記記載のインキ用のもの
を用いることが出来るが特にUV塗料、メラミンアルキ
ド塗料、ウレタン塗料、メラミン塗料が好ましい。トッ
プコートは透明なラッカー塗料、シリコーン系塗料、ウ
レタン塗料、アクリルラァカー塗料を0.1〜30μm、好
ましくは0.3〜20μm、特に好ましくは0.5〜10μmの薄
層で塗布することが好ましい。
【0382】塗料層又はインキ層として本発明で好まし
い具体例の一つを示すと、油溶性樹脂1〜50重量%、好
ましくは3〜45重量%、特に好ましくは5〜40重量%、
最も好ましくは7〜35重量%と、ジベンジリデンソルビ
トール及びその誘導体又はトリベンジリデンソルビトー
ル及びその誘導体の少なくとも一種を0.005〜5重量%、
好ましくは0.01〜3重量%、特に好ましくは0.03〜2重
量%、最も好ましくは0.05〜1重量%と、これらを溶解
する有機溶剤30〜90重量%、好ましくは35〜85重量%、
特に好ましくは40〜80重量%、最も好ましくは45〜75重
量%にアルミニウム粉末を0.5〜50重量%、好ましくは1
〜45重量%、特に好ましくは2〜40重量%、最も好まし
くは3〜35重量%分散せしめた塗料組成物又はインキ組
成物を写真感光材料用包装材料にアルミニウム粉末入塗
料層又はインキ層として設けた写真感光材料用包装体が
写真感光材料に悪影響を及ぼすことが少なく、特に写真
感光材料の写真感光層に直接接触しない写真感光材料用
包装材料の化粧小箱や写真フィルムパトローネ本体やレ
ーベル、金属缶や遮光紙や包装袋等の外側表面に設けら
れる塗料層やインキ層として用いられる場合は写真感光
材料の写真性に及ぼす悪影響が実質的になくなり光沢を
向上させ、外観が美しく高級観を有し商品価値が大きく
向上し販売促進性を向上させるので写真感光材料用包装
体として好ましいものである。
【0383】さらに上記アルミニウム粉末入塗料組成物
又はインキ組成物中に油溶性染料を添加・溶解せしめた
組成物を前記の写真感光材料用包装材料の外側表面に塗
料層又はインキ層又は塗料層とインキ層として組み合わ
せて設けた写真感光材料用包装体はさらに美しい外観の
各種色彩で金属光沢を有する高級観と商品価値の高い販
売促進性が向上したものになる。この添加量は0.1〜20
重量%、好ましくは0.5〜15重量%、特に好ましくは0.7
〜10重量%、最も好ましくは0.9〜8重量%である。
【0384】油溶性樹脂としては、エチレン・エチルア
クリレート共重合体樹脂、エチレン・メチルアクリレー
ト共重合体樹脂、ブチラール樹脂、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体樹脂、エチレン・塩化ビニル共重合体樹脂等
のエチレン共重合体樹脂、ニトロセルローズ、セルロー
ズアセテートブチラール等のセルロース誘導体樹脂及び
石油樹脂、テンペン樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹
脂、低分子量ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、キシ
レン樹脂、ロジン及びその変性樹脂、キシレン樹脂、フ
ェノール樹脂等が単独又は2種以上併用できる。
【0385】上記油溶性樹脂を溶解する有機溶剤は乾燥
性と保存性のバランスの面から沸点が100〜200℃、好ま
しくは110〜260℃、特に好ましくは120〜250℃のもので
例えばトルエン、キシレン、テトラリン等の芳香族炭化
水素、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン等
のケトン類、エチレングリコールモノエチルエーテル、
メチレンエチルセロソルブ、エチレングリコールモノフ
ェニルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテ
ル等のセロソルブ類を用いる油溶性樹脂の種類に応じて
選択して用いられる。
【0386】アルミニウム粉末の安定性や光沢の確保の
点からは芳香族炭化水素の方が好ましい。
【0387】本発明に用いられるジベンジリデンソルビ
トール及びその誘導体は前記の有機造核剤が略そのまま
使用可能である。中でも特に〔ジ−(P−メチルベンジ
リデン)〕−ソルビトール〕と〔ジ−(m−エチルベン
ジリデン)〕−ソルビトールが好ましい。
【0388】トリベンジリデンソルビトール及びその誘
導体はソルビトールと一般式
【0389】
【化22】 {式中、Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を
示す}で表される芳香族アルデヒドとの縮合物である。
【0390】例えばトリベンジリデンソルビトールのベ
ンジリデン基のベンゼン核の任意の位置に炭素数1〜3
のアルキル基で置換された化合物がある。特に〔トリ−
(P−メチルベンジリデン)〕ソルビトール、〔トリ−
(m−エチルベンジリデン)〕ソルビトールが特に好まし
い。
【0391】これらは単独でも2種以上併用してもよ
い。しかし、0.005重量%未満ではゲル化能力が発揮さ
れずアルミニウム粉末が沈澱してベヒクルと分離しやす
くなり実用化困難となるだけでなく経費増となるだけで
ある。また5重量%を越えるとゲル化能力が大きくなり
すぎ、アルミニウム粉末との分離は生じないがゾル化す
るのに大きな攪拌装置を必要とするので実用化困難とな
る。
【0392】なお、ジベンジリデンソルビトール及びそ
の誘導体は極性溶剤の場合ゲル化能力が大きく非常に有
効であるが、芳香族炭化水素溶剤や石油系溶剤には殆ど
不溶で使用不可である。この場合は、トリベンジリデン
ソルビトール及びその誘導体を用いる必要がある。
【0393】また、温度変化により敏感に変化し、かつ
微量でもゲル化能力が大きく変化するのでセロソルブ
類、エステルケトン類を用いる場合はトリベンジリデン
ソルビトールを併用するのが好ましい。
【0394】上記アルミニウム粉末入塗料組成物又はイ
ンキ組成物に添加することが好ましい油溶性染料はアゾ
系、フタロシアニン系、トリフェニルメタン系等の各種
染料中より、添加する溶融性樹脂、有機溶剤に適するも
のを選択し、耐熱性、溶解性、着色性の良いものを用い
ることが好ましい。
【0395】本発明の写真感光材料用成形品を適用する
ことが出きる写真感光材料を以下に示す。
【0396】(1) ハロゲン化銀写真感光材料(印刷用フ
ィルム、カラーまたは白黒印画紙、カラーまたは白黒ネ
ガフィルム、印刷用マスター紙、DTR(拡散転写)感
光材料、電算写植フィルム及びペーパー、カラーまたは
白黒ポジフィルム、カラーリバーサルフィルム、マイク
ロフィルム、映画用フィルム、自己現像型写真感光材
料、直接ポジ型フィルム及びペーパー等)
【0397】(2) 熱現像感光材料(熱現像カラー感光材
料、熱現像白黒感光材料(例えば特公昭43−4921号公
報、同43−4924号公報、「写真工学の基礎」銀塩写真編
(1879年コロナ社刊行)の553頁〜555頁及びリサーチ・
ティスクロージャー誌 1978年6月号9頁〜15頁(RD−
17029)等に記載されているもの。さらに、特開昭59−12
431号公報、同60−2950号公報、同61−52343号公報や米
国特許第4,584,267号明細書に記載されている転写方式
の熱現像カラー真感光材料等))
【0398】(3) 感光・感熱性記録材料(特開平3−72
358号公報等に記載されているフォトサーモグラフィー
(感光・感熱画像形成方法)を用いた記録材料)
【0399】(4) ジアゾニウム写真感光材料(4−モル
フォリノベンゼンジアゾニウムマイクロフィルム、マイ
クロフィルム、複写用フィルム、印刷用版材等)
【0400】(5) アジド、ジアジド系写真感光材料(パ
ラアジドベンゾエード、4,4'ジアジドスチルベン等を
含む感光材料、例えば複写用フィルム、印刷用版材等)
【0401】(6) キノンジアジド系写真感光材料(オル
ソーキノンジアジド、オルソーナフトキノンジアジド系
化合物、例えばベンゾキノン(1,2)−ジアジド−(2)
−4−スルフォン酸フェニルエーテル等を含む写真感光
材料、例えば印刷用版材、複写用フィルム、密着用フィ
ルム等)
【0402】(7) フォトポリマー(ビニル系モノマー等
を含む写真感光材料、印刷用版材、密着用フィルム等)
【0403】(8) ポリビニル桂皮酸エステル系感光材料
(例えば印刷用フィルム、IC用レジスト等)
【0404】その他、各種の光や酸素や亜硫酸ガス等に
より変質、劣化する感光物質、例えば食品(バター、ピ
ーナッツ用袋、マーガリン、スナック製品、ツマミ、菓
子、お茶、ノリ等)、医薬品(胃腸薬、カゼ薬等の粉末
状、顆粒状の袋入薬品)、染料、顔料、写真現像薬品、
写真定着薬品、トナー等にも適用できる。
【0405】本発明の写真感光材料包装体は、上述した
写真感光材料用成形品を用いて写真感光材料を透湿度
(JIS Z 0208の条件Bで測定)が10g/m2・24時間
以下、酸素透過度(モコン同圧測定法)が50cc/m2・24
時間・1気圧・20℃以下で密封包装するものである。
【0406】透湿度が10g/m2・24時間を越えると、水
分により劣化する増感色素や各種添加剤等を数多く含む
写真感光材料の写真性を長期間(6ヵ月以上)良好な状
態に維持できない。さらに吸湿するとブロッキングしや
すくなるゼラチン層が少なくとも支持体の表裏のいずれ
かに存在するためブロッキングが発生しやすくなり実用
化困難である。また、好ましくは5g/m2・24時間以
下、特に好ましくは2g/m2・24時間以下である。
【0407】透湿度を10g/m2・24時間以下にするに
は、一定の厚さを有する一軸又は二軸延伸した(無延伸
でもよい)各種のプラスチックフィルム(単層フィルム
であっても多層共押出しフィルムであっても、複数のプ
ラスチックフィルムを積層してもよい)や各種の金属箔
(厚さ5〜100μm、好ましくは6〜70μm、特に好まし
くは7〜50μmのアルミニウム箔、錫箔、鉄箔(電解鉄
箔も含む)、鉛箔等。特に6〜20μmのアルミニウム箔
が好ましい。)や無機金属蒸着フレキシブルシート(プ
ラスチックフィルムや紙等のフレキシブルシートに珪
素、アルミニウム、チタン、セレン、マグネシウム、バ
リウム、インジウム、カルシウム、ジルコニウム、トリ
ウム、タリウム、タンタル、亜鉛等、またはこれらの酸
化物、ハロゲン化物、窒化物等の単体または混合物を真
空蒸着法、反応性蒸着法、スパッタリング法、イオンプ
レーティング法、反応性イオンプレーティング法等の通
常の蒸着層の形成方法により厚さ50〜5000Å、好ましく
は200〜2000Å、特に好ましくは200〜1000Åで設ける。
特に蒸着層の厚さが150〜600Åのアルミニウム真空蒸着
二軸延伸プラスチックフィルムが好ましい。)等を1つ
以上積層した積層フィルムである。
【0408】酸素透過度が50cc/m2・24時間・1気圧・
20℃を越えると、酸素により劣化する増感色素やカプラ
ーその他の酸化されやすい写真感光材料の乳剤塗布層中
の添加剤が劣化して写真性が悪化するので実用化困難で
ある。特にカラーバランスを要求されるカラー写真感光
材料(ネガフィルム、ポジフィルム、印画紙、反転フィ
ルム、インスタントフィルム等)では実用化不可であ
る。また、好ましくは35cc/m2・24時間・1気圧・20
℃以下、特に好ましくは20cc/m2・24時間・1気圧・2
0℃以下である。
【0409】酸素透過度を50cc/m2・24時間・1気圧・
20℃以下にするには、上記透湿度を10g/m2・24時間
以下にする積層フィルムで目的を達成することができ
る。
【0410】特に上記各種無機金属及び/又は無機金属
化合物を上記各種の蒸着層の形成方法でポリエステル樹
脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム(各種ナイロンフ
ィルム)、ポリプロピレン樹脂フィルム、EVOH樹脂
フィルム、ポリエチレン樹脂フィルム等(一軸又は二軸
延伸フィルムが好ましいが無延伸フィルムであってもよ
い。)に蒸着層を設けた金属蒸着プラスチックフィルム
が好ましい。
【0411】本発明の写真感光材料用成形品の好ましい
実施態様を以下に記載する。 (1) アルミニウム粉末の平均粒子径が0.2〜48μm、好
ましくは0.35〜46μm、特に好ましくは0.6〜43μm、
平均厚さが0.02〜0.8μm、好ましくは0.04〜0.6μm、
特に好ましくは0.06〜0.4μmである。
【0412】(2) アルミニウム粉末被覆脂肪酸量が3.0
重量%以下、好ましくは2.5重量%以下である。
【0413】(3) 厚さ20μm以下、好ましくは15μm以
下、特に好ましくは10μm以下のアルミニウム箔をシュ
レッターで切断し、焼き鈍しすると共に3重量%以下の
脂肪酸を添加してボールミル、振動ミル、アトライター
からなる群から選ばれた粉砕機の一つ以上を用いて平均
粒子径が0.2〜48μm、平均厚さが0.02〜0.8μmに粉砕
してアルミニウム粉末表面を脂肪酸で被覆したアルミニ
ウム粉末。
【0414】(4) アルミニウム粉末が鱗片状アルミニウ
ム粉末100重量部に対してステアリン酸、オレイン酸等
の脂肪酸系表面処理剤0.05〜10重量部及びミネラルスピ
リット等の有機溶剤1〜45重量部の存在下で湿式ボール
ミル粉砕法で粉砕し、ふるい分けを経てフィルタープレ
ス法によりケーキ状アルミニウム粉末又はペースト状ア
ルミニウム粉末にした後、熱可塑性樹脂中に混練分散さ
れた最終成形品中に表面処理脂肪酸量が3重量%以下、
ミネラルスピリット等の有機溶剤が1重量%以下に加
熱、真空乾燥等に調整した脂肪酸表面処理アルミニウム
粉末である。
【0415】(5) 表面被覆アルミニウム粉末100重量部
にJIS K−6221のA法に準じて測定した吸油量が50c
c/100g以上、好ましくは70cc/100g以上、特に好ま
しくは90cc/100g以上のカーボンブラック、二酸化ケイ
素、酸化チタニウム、デンプン、酸化アルミニウム、含
水ケイ酸等の吸油剤を0.1〜50重量部、好ましくは0.3〜
40重量部、特に好ましくは0.5〜35重量部混合したもの
を用いる。
【0416】(6) 表面被覆アルミニウム粉末100重量部
に対し脂肪酸0.05〜10重量部、好ましくは0.1〜8重量
部、特に好ましくは0.3〜6重量部及びシランカップリ
ング剤0.1〜10重量部、好ましくは0.3〜9重量部、特に
好ましくは0.5〜8重量部熱可塑性樹脂中に分散されて
いる。
【0417】(7) 成形品中にポリエチレンワックス及び
/又はポリプロピレンワックスを0.1〜20重量%、好ま
しくは0.3〜15重量%、特に好ましくは0.5〜10重量%含
む。
【0418】(8) 成形品中に各種可塑剤を0.1〜30重量
%、好ましくは0.3〜25重量%、特に好ましくは0.5〜20
重量%含む。
【0419】(9) 成形品中にジベンジリデンソルビトー
ル、その誘導体、トリベンジリデンソルビトール及びそ
の誘導体の少なくとも一種を0.01〜1.5重量%、好まし
くは0.05〜1.2重量%、特に好ましくは0.1〜1.0重量%
含む。
【0420】(10)湿式ボールミル法(Hall法)で製
造したアルミニウム粉末を用いた請求項9〜15記載の写
真感光材料包装体。
【0421】(11)アルミニウム粉末を含有する成形品中
又は成形品の表面又はこの成形品に積層する層中に脱臭
剤及び/又は芳香剤を含む。
【0422】(12)成形品中にアルミニウム粉末と球状又
は粉末状の無機顔料を含む。
【0423】(13)アルミニウム粉末入塗料層又はインキ
層を成形品、小箱、パトローネ、集合包装袋のいずれか
1つの表面に設けた写真感光材料包装体。
【0424】(14)アルミニウム粉末100重量部に対して
炭素数10〜35個の脂肪酸及び/又は脂肪酸金属塩0.05〜
10重量部、沸点が140〜250℃の炭化水素系滑剤5〜150
重量部含むインキ層及び/又は塗料層を写真感光材料用
包装材料に設けた写真感光材料用包装体。
【0425】(15)二酸化チタンで被覆したアルミニウム
粉末入塗料層又はインキ層を写真感光材料用包装材料の
表面に設けた写真感光材料包装体(パール色外観でかつ
分散性良好)。
【0426】
【作用】本発明の写真感光材料用成形品では、アルミニ
ウム粉末が極めて良好に分散する。
【0427】本発明の写真感光材料包装体では、耐水性
や防湿性を改善するとともに、光を反射するので太陽光
下での変色や変形の発生が少なく、表面の温度上昇も小
さい。さらに銀色や金色(表面に透明性がある黄色の着
色層を設ける)の高級感のある美しい外観を有する包装
体とする。
【0428】
【実施例】本発明の写真感光材料用成形品の実施例を図
面に基づいて説明する。図1は写真感光材料用成形品の
一つである写真感光材料用包装フィルムの部分断面図、
図2はこの写真感光材料用包装フィルムを用いた写真感
光材料包装体の斜視図、図3もこの写真感光材料用包装
フィルムを用いた写真感光材料包装体の部分断面図であ
る。
【0429】図1に示す写真感光材料用包装フィルム
は、本発明の写真感光材料用成形品としてのアルミニウ
ム粉末入り遮光性フィルム1aのみからなる単層フィル
ムで形成されている。そして、図2及び図3に示すよう
に、アルミニウム粉末入り遮光性フィルム1aで遮光袋
11が形成され、この遮光袋11の一端部には網目状の凹凸
をしたヒートシール部12が形成され、内部にシート状の
写真感光材料13が収納されている。
【0430】図4から図9までは、本発明の写真感光材
料用成形品の一つである写真感光材料包装フィルムを用
いた包装材料の部分断面図である。
【0431】図4(a)に示す写真感光材料用包装フィ
ルムは、本発明の写真感光材料用成形品としてのアルミ
ニウム粉末入り遮光性フィルム1aと熱可塑性樹脂層2
との2層共押出しフィルムIIaで形成されている。
【0432】図4(b)に示す写真感光材料用包装フィ
ルムは、本発明の写真感光材料用成形品としてのアルミ
ニウム粉末入り遮光性フィルム1aと遮光性を有する熱
可塑性樹脂層2aとの2層共押出しフィルムIIaで形成
されている。
【0433】図5に示す写真感光材料用包装フィルム
は、本発明の写真感光材料用成形品としてのアルミニウ
ム粉末入り遮光性フィルム1aと中間層3と熱可塑性樹
脂層2との3層共押出しフィルムIIIaで形成されてい
る。
【0434】図6(a)に示す写真感光材料用包装フィ
ルムは、2枚の上記図4(a)に記載の2層共押出しフ
ィルムIIaを熱可塑性樹脂層2、2同士をブロッキング
Bにより接着した積層フィルムIVaで形成されている。
【0435】図6(b)に示す写真感光材料用包装フィ
ルムは、2枚の上記図4(b)に記載の2層共押出しフ
ィルムIIaを熱可塑性樹脂層2a、2a同士をブロッキ
ングBにより接着した積層フィルムIVaで形成されてい
る。
【0436】図7に示す写真感光材料用包装フィルム
は、上記アルミニウム粉末入り遮光性フィルム1aに接
着層4を介して金属真空蒸着層8が加工された金属蒸着
フィルム層9を積層した積層フィルムで形成されてい
る。
【0437】図8に示す写真感光材料用包装フィルム
は、上記アルミニウム粉末入り遮光性フィルム1a、2
軸延伸フィルム層6にアンカーコート層7を介して金属
真空蒸着層8を加工した金属蒸着フィルム層9及びフレ
キシブルシート層5が、接着層4を介して積層された積
層フィルムで形成されている。
【0438】図9に示す写真感光材料用包装フィルム
は、上記アルミニウム粉末入り遮光性フィルム1a、金
属箔10及びフレキシブルシート層5が、接着層4を介し
て積層された積層フィルムで形成されている。
【0439】図10は、本発明の写真感光材料用成形品と
してのレンズ付きフィルムユニット21の分解斜視図で、
このレンズ付きフィルムユニット21は、写真フィルムを
巻きつけたスプール20を光密に収納する写真フィルム用
パトローネ17をさらに光密に収納するための下部ケース
22と、この下部ケース22を遮光的に密封する上部ケース
23とで構成され、これらスプール20と下部ケース22及び
上部ケース23が本発明のアルミニウム粉末を含む熱可塑
性樹脂組成物で形成されている。リサイクル適性を考慮
するとスプール20、上部ケース23、下部ケース22すべて
が同一又は同種の樹脂組成物で形成されていることが好
ましい。
【0440】図11は、本発明の写真感光材料用成形品と
しての写真フィルム用スプール20の正面図で、この写真
フィルム用スプール20全体が本発明の遮光性熱可塑性樹
脂組成物で形成されている。
【0441】図12は、本発明の写真感光材料用成形品と
しての結晶性樹脂製写真フィルム用パトローネ17の分解
斜視図で、この写真フィルム用パトローネ17は、パトロ
ーネ本体を構成する上部ケース18及び下部ケース19と、
装填される写真フィルムを巻きつけたスプール20とで構
成されている。そして、上部ケース18及び下部ケース19
及びスプール20が本発明のアルミニウム粉末を含む熱可
塑性樹脂組成物で形成されている。リサイクル適性を考
慮するとスプール20、上部ケース18、下部ケース19すべ
てが同一又は同種の樹脂組成物で形成されていることが
好ましい。
【0442】図13は、レンズ付フィルムユニット包装体
の斜視図で、このレンズ付フィルムユニット包装体30
は、包装袋31と前記レンズ付フィルムユニット(図示せ
ず)とからなっている。
【0443】図14は、35mm写真フィルムの包装箱40であ
る。
【0444】図15は、パトローネ入35mm写真フィルム集
合包装体の斜視図で、このパトローネ入35mm写真フィル
ム集合包装体50は、基板51に防湿剤が混練された透明プ
ラスチックケース52が取付けられ、その中にパトローネ
入35mm写真フィルムが収納されている。
【0445】図16は、35mm写真フィルムパトローネから
成る写真感光材料包装体の斜視図である。
【0446】図17は、図16の写真フィルムパトローネ本
体60の断面図である。この図において符号60はパトロー
ネ本体で、このパトローネ本体60は、金属基体(厚さ0.
15〜0.35mmのティンフリースチールが好ましい)61と、
この金属基体61の外表面に塗布された白色顔料入下塗り
層62とこの下塗り層62の表面に印刷されたブランド名、
模様、CIマーク、バーコード等の着色インキ層63とか
ら成る着色層65と、この着色層65の外表面に設けられた
透明又は半透明の保護層64とで形成されている。金属基
体61の内表面にはカーボンブラック入黒色塗布層が形成
されている。必要なら、黒色塗布層66の表面に保護層64
を設けてもよい。パトローネ本体60の両端を封止するキ
ャップ、内部に収納されるスプール20及び写真フィルム
は、従来と同様で構成されても本発明で構成されてもよ
い。
【0447】以下、実施例により本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施
例に限定されるものではない。
【0448】〔本発明品I〜VI及び比較品I〜III〕M
FRが2.1g/10分、密度が0.910g/cm3、結晶化度が30
%、ビカット軟化点が98℃の低圧法エチレン・オクテン
−1共重合体樹脂60重量部、MFRが2.0g/10分、密度
が0.920g/cm3、結晶化度が58%、ビカット軟化点が87
℃の高圧法分岐状低密度ホモポリエチレン樹脂40重量部
からなるポリオレフィン樹脂組成物(I)、ステアリン
酸を表面被覆した遮光性物質のアルミニウム粉末、界面
活性剤及びヒンダードフェノール系酸化防止剤(チバガ
イギー社製,イルガノックス1010)を各々混合した後、
空冷インフレーションフィルム成形装置(50mmφ,L/
D=26/1の押出機,300mmφリングダイス,スリット
幅1.1mm)を用い樹脂温度190℃、ブローアップ比1.3、
ニップロール線圧5kg/cmの成形条件で厚さ100μmの
筒状遮光性インフレーションフィルムを成形した。
【0449】得られた筒状遮光性インフレーションフィ
ルムをヒートシーラーを用いて加熱温度180℃、圧力1k
g/cm2、加熱圧着時間1秒でヒートシールを行い、図2
に示す写真感光材料用遮光袋を得た。
【0450】〔従来例IA、B、II、III〕従来品IA
は、MFRが2.1g/10分、密度が0.920g/cm3のエチレ
ン・4メチルペンテン−1共重合体樹脂のみからなるポ
リオレフィン樹脂組成物(II)、乾式製造方法で作成し
た有機物質の付着がないアルミニウム粉末及び酸化防止
剤からなる樹脂組成物を用いた。
【0451】従来品IBは、本発明品Iとは乾式製造方
法のアルミニウム粉末を使用した他は同一の樹脂組成物
を用いた
【0452】従来品IIは、アルミニウム粉末の代わりに
ファーネスカーボンブラックを用いた他は、従来品IA
と同一の樹脂組成物を用いた。
【0453】従来品IIIは、MFRが2.4g/10分、密度
が0.923g/cm3の高圧法分岐状低密度ホモポリエチレン
樹脂のみから成るポリオレフィン樹脂組成物(III)、フ
ァーネスカーボンブラック及び酸化防止剤からなる樹脂
組成物を用いた。
【0454】そして、以上のような樹脂組成物を、上記
本発明の場合と同一の空冷インフレーションフィルム成
形装置を用い、同一の成形条件で厚さ100μmの筒状遮
光性インフレーションフィルムに成形した。得られた筒
状遮光性インフレーションフィルムを、本発明品、比較
品と同一ヒートシーラーを用い同一形状の図2に示す写
真感光材料用遮光袋を得た。ただし、ヒートシール温度
は従来品IIIのみ180℃から160℃にした。各種の特性を
比較した結果を表5に示す。
【0455】
【表5】
【0456】評価は下記による。 ◎:非常に優れている ○:優れている ●:可(実用限度内) ▲:問題あり、改良必要 ×:実用不可
【0457】評価方法は下記による。 ※1:未乾燥遮光性物質使用時の気泡、ピンホール防止
性 本発明品I〜VI及び比較品I〜IIIの空冷インフレーシ
ョンフィルム成形装置、成形条件で成形した厚さ100μ
mの各筒状遮光性インフレーションフィルムを両端を切
断して1枚の状態にし1万Luxのキセノンランプの光
の透過状態を目視検査し評価。
【0458】※2:遮光性物質の均一分散性 ※1の各遮光性インフレーションフィルムの表裏のミク
ログリッドの発生状態及び遮光性インフレーションフィ
ルムを400%引張って伸ばし薄くなったフィルムに光を
透過させ分散性を目視検査により評価。
【0459】※3:外観(ムラ) ※1の各遮光性インフレーションフィルム表面を白灯下
で目視観察し外観(ムラ、筋、シワ等)を客観的に評
価。
【0460】※4:物理強度 ※1の各遮光性インフレーションフィルムの引裂き強
度、衝撃穴あけ強度より評価。
【0461】※5:太陽光下放置時の昇温防止性 ※1の各遮光性インフレーションフィルムを8万Lux
の太陽光下3時間放置した後の遮光性インフレーション
フィルムの表面温度を手でふれ比較方法により評価。
【0462】※6:ヒートシール適性 ※1の各遮光性インフレーションフィルムのヒートシー
ル強度、経時ヒートシール強度保持性、夾雑物シール
性、ホットタック性のトータル適性評価。
【0463】※7:ヒートシール部の防湿遮光性 ※1の各筒状遮光性インフレーションフィルムで写真感
光材料用遮光袋を作成し、この遮光袋の防湿性を遮光袋
内に塩化カルシウムを5g入れ、温度40℃、相対湿度90
%の恒温・恒湿室に24時間放置後重量変化を測定して防
湿性を評価。遮光性はISO感度400のネガカラーフィ
ルムを各遮光袋に密封包装後ヒートシール部を上側にし
8万Luxのキセノンランプで30分間曝光後現像処理し
光カブリの程度より評価。
【0464】※8:写真性 ※7の各遮光袋にカラー印画紙を密封包装後、温度40
℃、相対湿度80%の恒温恒湿室に3日間放置した後、通
常の現像処理を行った時の写真性変化の大きさより評
価。
【0465】※9:臭気 ※1の各筒状のインフレーションフィルムを映画フィル
ム用金属缶(35mm巾×2000フィート巻き用)に24時間密
封後取り出す時の臭気の強さで評価。
【0466】※10:視覚でのセーフライト光下での識別
性 ※7の各遮光袋にカラー印画紙を密封包装するセーフラ
イト光下での各フィルムの表裏及び各遮光袋の存在を目
視により識別する時の識別し易さより評価。
【0467】※11:帯電防止性 ※7の各遮光袋に温度20℃、相対湿度25%の暗室中で50
枚積重したカラー印画紙を出し入れした時に発生する火
花放電及び/又は手に感じる静電気より評価。
【0468】〔本発明品VII〕図4(b)に相当する2
層構造のインフレーションフィルム成形品を用いた写真
感光材料用遮光性包装袋である。
【0469】外層のインフレーションフィルムのアルミ
ニウム粉末入り遮光性フィルム1aは、MFRが0.8g/
10分、密度が0.950g/cm3、結晶化度が95%、ビカット
軟化点が131℃の低圧法高密度ホモポリエチレン樹脂70
重量%、MFRが2.2g/10分、密度が0.920g/cm3
結晶化度が63%、ビカット軟化点が92℃の高圧法低密度
ホモポリエチレン樹脂28重量%、2・6−ジ−tert−ブ
チル−para−クレゾール酸化防止剤0.05重量%、ポリオ
キシエチレングリセリン脂肪酸エステル界面活性剤0.1
重量%、アルミニウム粉砕助剤として使用した有機物質
であるミネラルスピリット及び潤滑剤としてのステアリ
ン酸をアルミニウムの表面に0.45重量%残留させたアル
ミニウム粉末3.5重量%からなるホモポリエチレン樹脂
組成物で形成されている。
【0470】また、内層の熱可塑性樹脂層2aは、MF
Rが2.0g/10分、密度が0.920g/cm 3、結晶化度が33
%、ビカット軟化点が101℃の低圧法エチレン・4メチ
ルペンテン−1共重合体樹脂70重量%、MFRが2.0g/
10分、密度が0.920g/cm3、結晶化度が65%、ビカット
軟化点が92℃の高圧法分岐状ホモポリエチレン樹脂26.5
重量%、ステアリン酸マグネシウム0.3重量%、チバガ
イギー社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤の“イル
ガノックス1010”のテトラキス〔メチレン−3(3'・
5'−ジ−tert−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート〕メタン酸化防止剤0.05重量%、ファーネ
スカーボンブラック3重量%、エルカ酸アミド0.05重量
%、界面活性剤のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸
エステル0.2重量%からなるポリオレフィン樹脂組成物
で形成されている。
【0471】そして、外層の遮光性フィルム層1aは、
樹脂温度200℃で溶融押出しされて厚さ30μmの光反射
遮光性熱可塑性樹脂層となっており、内層の熱可塑性樹
脂層2aは、樹脂温度190℃で溶融押出しされて厚さ40
μmの光吸収遮光性熱可塑性樹脂層となっている。成形
は、2層共押出し空冷インフレーション成形装置(内層
50mmφ押出機,外層40mmφ押出機,300mmφリングダイ
ス、スリット幅1.1mm)を用い2台の押出機により別々
に溶融混練し、ダイ内接着型のサーキュラー(リング)
ダイに導入した後、ブローアップ比1.2で2層共押出し
インフレーションフィルム成形法により成形した。
【0472】以上の2層共押出しインフレーションフィ
ルムを用いて、本発明品Iと同一形状、同一寸法の遮光
袋を作製した。
【0473】〔本発明品VIII〕図6(b)に相当する2
層共押出しインフレーションフィルム成形品をスクイズ
ロールにより内層同士を圧着しブロッキング接着で積層
した上下対称の4層構成の積層フィルムを用いた写真感
光材料用遮光性包装袋である。
【0474】表面に位置する外層の遮光性フィルム層1
a,1aは、本発明品IVと同一樹脂組成物からなる厚さ
25μmの光反射遮光性熱可塑性樹脂層である。
【0475】中間に位置する内層の熱可塑性樹脂層2
a,2aは、MFRが1.0g/10分、密度が0.905g/c
m3、結晶化度が23%、ビカット軟化点が89℃のエチレン
・ブテン−1共重合体樹脂80重量%、ステアリン酸カル
シウム0.5重量%、MFRが2.1g/10分、密度が0.920
g/cm3、4メチルペンテン−1コモノマー量が2重量
%の低圧法のエチレン・4メチルペンテン−1共重合体
樹脂16.4重量%、RHが7.0、平均粒子径が20mμのオ
イルファーネスカーボンブラック3重量%、ヒンダード
フェノール系酸化防止剤として前記チバガイギー社製
“イルガノックス1010”酸化防止剤0.1重量%からなる
厚さ25μmの光吸収遮光性熱可塑性樹脂層である。
【0476】フィルム成形装置は本発明VIIと同一設備
を使用し、外層の遮光性フィルム層1a,1aの樹脂温
度を190℃、内層の熱可塑性樹脂層2a,2aの樹脂温
度を180℃にした他は、本発明品VIIと同一2層共押出し
インフレーションフィルム成形条件で成形した。そし
て、厚さ50μmの2層共押出しインフレーション筒状フ
ィルムをスクイズロールにより折りたたみ圧着し、剥離
強度を15g/15mm幅のブロッキング接着積層させた総厚
さ100μmの表裏共銀色の光反射遮光性熱可塑性樹脂層
からなる4層構成の積層フィルムとした。
【0477】以上の積層フィルムを用い、ヒートシール
断面からの光の侵入を防止するために、両サイドに、底
部と同一幅、同一断面構造である幅が5mmのヒートシー
ルを1mm間隔の格子状に形成した。ヒートシール条件
は、本発明Iと同一である。
【0478】〔本発明品IX〕図7に相当する4層構成の
積層フィルムから成る写真感光材料用遮光性成形品であ
る。
【0479】外側から厚さ15μmの二軸延伸ナイロン樹
脂フィルム成形品であるフレキシブルシート層5/厚さ
500Åのアルミニウム真空蒸着層8/MFRが2.4g/10
分、密度が0.920g/cm3、結晶化度が61%、ビカット軟
化点が90℃の高圧法低密度ホモポリエチレン樹脂99.6重
量%、ハロゲン化合物中和用ステアリン酸亜鉛0.3重量
%、ヒンダードフェノール系酸化防止剤としてチバガイ
ギー社製の“イルガノックス1010”であるテトラキス
〔メチレン−3(3'・5'−ジ−tert−ブチル−4'−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン酸化防止
剤0.1重量%からなるポリエチレン樹脂組成物を315℃の
樹脂温度で50mmφ押出機からエクストルージョンラミネ
ート用Tダイで溶融押出した厚さ15μmの高圧法低密度
ホモポリエチレン樹脂溶融接着剤層4/本発明品IVと同
一樹脂組成の厚さ70μmの遮光性インフレーションフィ
ルム成形品であるアルミニウム粉末入り遮光性フィルム
成形品1aを積層した4層構成の積層フィルムから成る
写真感光材料用遮光性成形品である。アルミニウム真空
蒸着層8と接着剤層4との接着強度は78g/15mm幅であ
った。本発明VIIIと同一の遮光袋を作製した。
【0480】〔従来品IV〕特公昭63−26697号公報に相
当する積層フィルムから成る写真感光材料用遮光性成形
品である。
【0481】外側から厚さ12μmの二軸延伸ポリエステ
ル樹脂フィルム成形品/厚さ2μmのドライラミネート
用接着剤層/厚さ7μmのアルミニウム箔/厚さ35μm
のカーボンブラックと帯電防止剤入高圧法分岐状低密度
ポリエチレン樹脂層を積層した積層フィルムである。
【0482】以上の積層フィルムを用い、本発明品VII
の遮光袋と同一の遮光袋を作製した。
【0483】〔本発明品X〕本発明品Xは図4(b)に
相当する層構成のフィルム成形品である。外層1aは厚
さ40μmの界面活性剤としてのポリオキシエチレングリ
セリン脂肪酸エステル0.1重量%と有機物質のステアリ
ン酸を1.3重量%表面に被覆した。アルミニウム粉末(ア
ルミニウムペーストよりミネラルスピリットを真空加熱
乾燥により0.1重量%としたもの)を2.5重量%と酸化チ
タン5.0重量%、本発明品VIIと同一のヒンダードフェノ
ール系酸化防止剤0.2重量%、MFR0.45g/10分、密
度0.964g/cm3の高密度ポリエチレン樹脂91.0重量%か
らなるライトシルバー色の光反射性遮光フィルム層であ
る。
【0484】内層2aは厚さ60μmのオレイン酸アミド
0.05重量%と前記ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.
15重量%とpH7.0、平均粒子径が24mμのオイルファー
ネスカーボンブラック3重量%とMFR6.0g/10分、
密度0.930g/10分のエチレン・アクリル酸エステル共
重合体樹脂10重量%とMFR2.1g/10分、密度0.920g
/cm3のエチレンと4メチルペンテン−1の共重合体樹
脂86.7重量%とシリカ0.1重量%とからなる黒色の光吸
収性遮光フィルム層2aの2層からなる内・外層の外観
が全く異なる厚さ100μmの2層共押出しインフレーショ
ン遮光フィルム成形品である。
【0485】〔本発明品XI〕本発明品XIも図4(b)に
相当する層構成のフィルム成形品である。外層の遮光性
フィルム層1aは、界面活性剤としてのポリオキシエチ
レングリセリン脂肪酸エステル0.15重量%と有機物質の
ステアリン酸0.3重量%で表面被覆されたアルミニウム
粉末(アルミニウムペーストよりミネラルスピリット等
の揮発分を真空乾燥により0.05重量%としたもの)3.0
重量%と酸化チタン5.0重量%とヒンダードフェノール
系酸化防止剤0.05重量%、MFR0.9g/10分、密度0.9
54g/cm3、低圧法の高密度ホモポリエチレン樹脂20重
量%とMFR2.4g/10分、密度0.920g/cm3のエチレ
ンと4メチルペンテン−1の共重合体樹脂71.5重量%か
ら成る厚さ50μmのライトシルバー色の光反射性遮光フ
ィルム層である。
【0486】内層の熱可塑性樹脂層2aは、厚さ50μm
のオレイン酸アミド0.05重量%とマイカ2重量%とシリ
カ0.1重量%と平均粒子径21mμのファーネスカーボン
ブラック3.6重量%とMFR4g/10分、密度0.925g/
cm3のエチレンとオクテン−1の共重合体樹脂94.25重量
%からなる黒色の光吸収性遮光フィルム層である。
【0487】以上の2層からなる内・外層の外観が全く
異なる厚さ100μmの2層共押出しインフレーション遮光
フィルムを用いる外観がライトシルバー色の写真感光材
料包装用フィルム成形品である。
【0488】〔本発明品XII〕本発明品XIIは図5に相当
する層構成のフィルム成形品である。外層1aは厚さ25
μmのナイロン樹脂88.1重量%と本発明品XIと同一種
類、同一量の界面活性剤と有機物質で表面被覆したアル
ミニウム粉4.5重量%と酸化チタン7.0重量%とヒンダー
ドフェノール系酸化防止剤としてチバガイギー社製“イ
ルガノックス1010”酸化防止剤0.2重量%とからなるラ
イトシルバー色の光反射性遮光フィルム層である。
【0489】中間層3aは厚さ25μmのエチレン・酢酸
ビニル樹脂にカーボンブラックを40重量%混練したカー
ボンブラックマスターバッチ25重量%(構成カーボンブ
ラック10重量%、EVA樹脂15重量%)とMFR1.5g/
10分、密度0.940g/cm3の接着性樹脂(三井石油化学
(株)製,アドマー)74.8重量%と酸化防止剤0.2重量%
からなる黒色の導電性遮光フィルム層である。
【0490】内層は厚さ50μmのMFR2.1g/10分、密
度0.920g/cm3のエチレンと4メチルペンテン−1の共
重合体樹脂であるL−LDPE樹脂96.65重量%とオイ
ルファーネスカーボンブラック(pH7,平均粒子径21
mμ)3重量%とオレイン酸アミド0.05重量%と前記ヒ
ンダードフェノール系酸化防止剤0.2重量%とシリカ0.1
重量%からなる光吸収性遮光性フィルム層の3層からな
る厚さ100μmの3層共押出しインフレーション遮光フ
ィルム成形品である。
【0491】〔本発明品XIII〕本発明品XIIIは図5に相
当する層構成のフィルム成形品である。外層の遮光性フ
ィルム1aは、厚さ20μmのMFRが0.8g/10分、密
度0.950g/cm3の低圧法の高密度ホモポリエチレン樹脂9
1.5重量%及び有機物質のステアリン酸0.2重量%と界面
活性剤のポリエチレングリセリン脂肪酸エステル0.2重
量%で表面被覆されたアルミニウム粉末(アルミニウム
ペーストよりミネラルスピリット等の揮発分を真空乾燥
により0.05重量%としたもの)3.0重量%と酸化チタン5.
0重量%からなるライトシルバー色の光反射性遮光フィ
ルム層である。
【0492】中間層3aは、厚さ25μmの界面活性剤の
ポリエチレングリセリン脂肪酸エステル0.5重量%とス
テアリン酸0.3重量%と表面被覆されたアルミニウム粉
末(アルミニウムペーストよりミネラルスピリット等の
揮発分を乾燥により0.05重量%としたもの)2.0重量%と
エチレンと4メチルペンテン−1の共重合体樹脂45重量
%とMFR2.5g/10分、密度0.945g/cm3の接着性樹
脂(三井石油化学(株)製,アドマー)52重量%と前記ヒ
ンダードフェノール系酸化防止剤0.2重量%からなるシ
ルバー色の遮光フィルム層である。
【0493】内層の熱可塑性樹脂層2aは、本発明品XI
の内層樹脂組成と同一の厚さ65μmの黒色の光吸収性遮
光フィルム層の3層からなる厚さ100μmの3層共押出し
インフレーション遮光フィルム成形品である。各種の特
性を比較した結果を表6にまとめて示す。
【0494】
【表6】
【0495】評価及び評価方法は表5の場合と同一であ
る。
【0496】〔本発明品A〕図10に示すレンズ付きフィ
ルムユニットである。MFR12.5g/10分、密度1.0g
/cm3、曲げ弾性率38,000kg/cm2、ビカット軟化点89℃
のブタジエンゴム3重量%、ステアリン酸マグネシウム
0.2重量%、粘度が2万センチストークのポリジメチル
シロキサン1.5重量%、界面活性剤としてポリエチレン
グリセリン脂肪酸エステル1.0重量%、アルミニウム粉
砕助剤として使用した有機物質であるミネラルスピリッ
ト及び潤滑剤としてのステアリン酸をアルミニウムの表
面を1.20重量%で表面被覆されたアルミニウム粉末2重
量%からなるハイインパクトポリスチレン樹脂組成物を
用いて射出成形したものである。
【0497】このレンズ付きフィルムユニットは、従来
の黒色のカーボン入ポリスチレン樹脂製のものより物理
強度(落下強度等)が大きく、外観が銀色をしているの
で印刷適性やメモ適性(印刷や字がハッキリ見え彩え
る)が優れ、太陽光下の自動車内に2時間以上放置され
ても従来品のように加熱され熱変形や写真フィルムの品
質劣化を発生することもなく、化粧ボール紙で全体をカ
バーする必要がなくなりコスト的にも省資源、産業廃棄
物減少の時代の要求にマッチする好ましいものであっ
た。また、触媒等の残留成分であるハロゲン化合物を中
和するステアリン酸マグネシウムを含み且つ吸湿性の少
ない有機物質で表面を被覆されたアルミニウム粉末を用
いているので従来のカーボンブラック使用品とは異なり
ペレットの乾燥設備を使用しなくても射出成形時の銀条
や気泡やムラの発生がなく、写真性に悪影響を及ぼすこ
とが少なく2年以上使用に耐える優れたものであった。
さらにポリジメチルポリシロキサンを添加しているの
で、溶融樹脂の流動性が良化し、射出圧力が20%低下
し、成形サイクルが30%向上すると共に写真フィルムと
の滑性が向上(静摩擦係数が0.25に減少)し、撮影途中で
写真フィルムの巻き上げ不良が発生することがなくなっ
た。また、冬期の低湿度化で撮影してもスタチックマー
ク発生が皆無となった。さらにまた、従来品のように20
℃以上の温度差がある条件下で撮影すると樹脂製レンズ
付きフィルムユニットの内・外の表面に水滴が付着する
現象もほとんどなくなり、ユーザーの使用適性も優れた
ものであった。
【0498】さらに外観が従来の黒色から銀色になった
ので、レンズ付きフィルムユニットを取り扱うセーフラ
イト下でも視覚で識別可能になり、加工包装適性の点で
も優れたものであった。
【0499】〔本発明品B〕本発明品Aの樹脂組成物を
用い、図11に示すJIS135写真フィルム用のフランジ
付スプールを射出成形法により成形した。写真フィルム
用フランジ付スプールは、吸湿性が少なく寸法精度の優
れた滑性、帯電防止性、写真性、射出成形性、外観、物
理強度の優れたものであった。
【0500】〔本発明品C〕本発明品Aの樹脂組成物を
用い図12に示すプラスチック製パトローネ、スプールを
同一樹脂組成物で射出成形により成形した。このプラス
チック製パトローネ、スプールは、外観、耐熱性、滑
性、帯電防止性、寸法精度、写真性、物理強度の優れ
た、太陽光下に放置されても吸熱することがほとんどな
く変形も写真フィルムの品質劣化も発生させないもので
あった。
【0501】〔本発明品イ〕図14に示す35mm写真フィル
ムの包装箱の着色体層に本発明を適用した写真感光材料
用包装体である。粒状アルミニウム粉末1kg、ステアリ
ン酸70g、ミネラルスピリット1.2kgの混合物をボール
ミル中で6時間粉砕した後、希釈用のミネラルスピリッ
トを2.4kg加えよく混合し、フィルタープレスで濾過し
た。
【0502】このようにして得られたペースト状アルミ
ニウム粉末は加熱残分が90重量%、ステアリン酸が6.3
重量%、ミネラルスピリット3.7重量%であった。 上記ペースト状アルミニウム粉末 20重量% ロジン変性アルキド樹脂 30重量% 沸点270℃の灯油 35重量% アマニ油 10重量% 補助剤 4重量% ラウリルホスフェイト 1重量%
【0503】上記アルミニウム粉末入インキを図14に示
す。35mm写真フィルムの化粧包装箱のアルミニウム粉末
入インキ層と明示した場所に平版印刷(オフセット印
刷)法により高光沢のキャストコート紙表面に乾燥膜厚
1.2μmで外観銀色着色インキ層を設けた。さらに耐摩
耗性及び光沢・外観向上のため無着色のUVインキ保護
層を乾燥膜厚0.9μmで設けた写真感光材料包装体とし
た。この写真感光材料包装体は外観の美しい販売促進効
果の大きい、光や酸化物や亜硫酸ガス等に長期間さらさ
れても外観変化が少ない優れたものであった。
【0504】〔本発明品ロ〕図14に示す35mm写真フィル
ムの包装箱の着色インキ層に本発明を適用した写真感光
材料用包装体である。
【0505】実施例イのアルミニウム粉末入インキ中に
ペースト状アルミニウム粉末100重量部に対して高級黄
色有機顔料であるイソインドリノンイエローR(Pigment
yellow 110;C.I 56280)を30重量部混合した外観金
色着色インキ層とした他は全く同一の写真感光材料包装
体とした。
【0506】この写真感光材料包装体は実施例イの銀色
外観よりさらに美しく高級感を有する外観金色の非常に
販売促進効果の大きい、光や酸化物や亜硫酸ガス等に長
期間さらされても外観変化が少ない優れたものであっ
た。
【0507】〔本発明品ハ〕図16に示す35mm写真フィル
ムパトローネ本体の着色インキ層に本発明を適用した写
真感光材料包装体である。
【0508】金属基体61は表面にクロムメッキした厚さ
2.5mmのティンフリースチールを使用した。白色顔料入
下塗り層62はキシロール、アセトン、トルオール等に高
分子オイルフリーポリエステル・アミノ樹脂を溶解した
溶液中に酸化チタンを分散させた白色塗料(固型分量50
%)をロールコート法により乾燥膜厚10μmで金属基体
61の全外表面に設けた。着色インキ層63としては、カー
ボンブラックから成る黒色インキ層と、フタロシアニン
ブルー青色顔料とハンザイエロー黄色顔料を混合したグ
リーンインキ層と、ミネラルバイオレット紫インキ層と
実施例イのペースト状アルミニウム粉末とフラバンスロ
ンイエロー黄色有機顔料を混合した金色インキ層から成
る多色印刷インキ層を乾燥膜厚2μmで設けた。
【0509】保護層64はキシロールアセトン等の溶剤で
高分子オイルフリーポリエステル・アミノ樹脂を溶解し
た溶液中に酸化チタンを0.2重量%添加した溶液をロー
ルコート法により乾燥膜厚5μmで着色インキ層の全表
面に塗布した。
【0510】金属基体の内側(写真フィルム側)及びキ
ャップの表裏にはカーボンブラックを含む黒色塗布層66
をロールコート法により乾燥膜厚5μmで全表面に設け
た。外観、耐摩耗性、耐光性等が優れた完全遮光性を確
保できる高級感を有する商品価値の非常に高い写真感光
材料包装体であった。
【0511】〔本発明品ニ〕図13に示すレンズ付きフィ
ルム包装体の着色インキ層に本発明を適用した写真感光
材料包装体である。外側から全表面に設けた透明UVイ
ンキ保護層{乾燥膜厚(厚さ1μm)}/着色インキ層
{乾燥膜厚(厚さ2μm)}で本発明のアルミニウム粉
末と黄色有機顔料を混合した金色インキ層/厚さ10μm
の酸化チタン入下塗り層/厚さ20μmのアルミニウム真
空蒸着(膜厚400Å)二軸延伸ポリエステル樹脂フィルム
/厚さ30μm酸変性ポリオレフィン樹脂20重量%入エチ
レン・ブテン−1共重合体樹脂エクストルージョンラミ
ネート層から構成された防湿遮光積層フィルムで製造し
た防湿遮光袋で密封包装した写真感光材料包装体であ
る。
【0512】外観、耐摩耗性、耐光性、防湿性、酸素バ
リヤ性、ヒートシール適性、遮光性、耐熱性、剛性、易
開封性、光沢に優れた高級感を有する商品価値の非常に
高い写真感光材料包装体であった。
【0513】〔本発明品ホ〕図16に示す35mm写真フィル
ムパトローネ本体の一つの着色インキ層に本発明を適用
した写真感光材料包装体である。この写真フィルムパト
ローネ本体60の断面図で詳細に説明すると、金属基体61
としては厚さ0.25mmのティンフリースチールを用いた。
この金属基体61の外表面に塗布された白色顔料入下塗り
層62としては、テレフタル酸35重量%、アジピン酸25重
量%、ネオペンチルグリコール35重量%、エチレングリ
コール5重量%からなる重量平均分子量が13500のオイル
フリーポリエステルを20重量部をキシロールを10重量
部、セロソルブアセテートを10重量部、n−ブタノール
を5重量部、ソルベッソ100を5重量部から成る溶剤によ
り高速攪拌機付タンク内で溶解したあと酸化チタン3重
量部を加え攪拌混合後サンドミルで練肉した。その後架
橋用樹脂として大日本インキ化学工業社製ベンゾグアナ
ミン樹脂TD−126(不揮発成分55%)15重量部を高速攪
拌機付タンク内で添加攪拌混合した後濾過した白色塗料
をナチュラル式ローラーコーター法により120±10mg/1
00cm2塗装し熱風式連続乾燥炉内で190℃10分間乾燥して
酸化チタン入白色下塗り層62とした。この下塗り層62に
着色インキ層63の一つとしてポリビニルブチラール樹脂
10重量%、ケトン樹脂10重量%、ジブチルフタレート6
重量%、ブチルセロソルブ76重量%、エチルセロソルブ
29重量%、ジベンジリデンソルビトール0.45重量%、ド
リベンジリデンソルビトール0.55重量%を125℃で混合
攪拌して完全に溶解したベヒクルにアルミニウム粉末70
重量%とキシレンとミネラルスピリットの混合溶剤30重
量%からなるアルミニウムペーストを除々に加え完全に
分散させ銀色のインキ組成物を得た。この銀色のインキ
組成物を赤、グリーン、黒、紫等の他のインキ組成物と
組み合わせ多色オフセット印刷機により厚さ50±10mg/
100cm2塗装し乾燥して着色インキ層63の一つとして銀色
のインキ層とした。
【0514】さらに上記酸化チタン入白色下塗り層62と
銀色のインキ層を含む着色インキ層63から成る着色層65
の上にテレフタル酸20重量%、イソフタル酸20重量%、
アジピン酸21重量%、ネオペンチルグリコール34重量
%、エチレングリコール5重量%からなる重量平均分子
量16000のオイルフリーポリエステル20重量部をキシロ
ール10重量部、n−ブタノール10重量部、ソルベッソ10
0 20重量部、セロソルブアセテート16重量部、ブチルセ
ロソルブ10重量部からなる溶剤により高速攪拌機付タン
ク内で溶解したあと、架橋用樹脂として大日本インキ化
学工業社製ブチル化メラミン樹脂J−830−60A(不揮発
成分60%)14部を添加攪拌混合した後濾過し透明塗料組
成物を調製した。
【0515】この透明塗料をツヤニスとしてナチュラル
式ローラーコーター法により60±5mg/100cm3塗装後熱
風式連続乾燥炉内で170℃10分間乾燥して透明塗料から
成る保護層64とした。金属基体61の内表面の黒色塗布層
66としては上記下塗り層62の酸化チタンの代わりにpH
7.7、平均粒子径が21mμのオイルファーネスカーボン
ブラックを用いた他は組成物も塗布法及び厚さも同一の
ものを用いた。
【0516】この写真フィルムパトローネ本体に白色顔
入塗料を塗布した下塗り層とアルミニウム粉末入着色イ
ンキ層と塗布塗料を塗布した保護層を設けた写真感光材
料包装体は写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼすこと
がなく、金属基体との接着力が大きく耐摩耗性に優れ、
光沢が高く、外観が美しく高級観を有する商品価値の高
いものであり、販売促進性の優れたものであった。
【0517】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成したので、
アルミニウム粉末の均一分散性がよく、写真性への悪影
響防止(樹脂、有機物質界面活性剤の熱分解物質による
カブリ、感度異状等の防止)でき、成形時の気泡(発
泡)及びピンホールの発生を防止でき、悪臭を除去で
き、帯電防止性向上及びブロッキング防止性を向上で
き、外観が向上(ムラ発生防止)し、セーフライト下で
の識別性が向上し、太陽光下で放置した際の表面温度の
上昇による熱変形やブロッキング発生を防止でき、印刷
適性が向上し、物理強度が向上し、防湿性が向上し、ブ
ツ発生が減少し、ヒートシール性が向上し(熱伝導性向
上)、アルミニウム粉末の酸化防止、爆発防止すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の写真感光材料用成型品の実施例であ
る写真感光材料用包装フィルムの部分断面図である。
【図2】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例であ
る写真感光材料包装フィルムを用いた包装体の斜視図で
ある。
【図3】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例であ
る写真感光材料包装フィルムを用いた包装体の部分断面
図である。
【図4】 本発明の写真感光材料用成型品の実施例であ
る写真感光材料用包装フィルムの部分断面図である。
【図5】 本発明の写真感光材料用成型品の実施例であ
る写真感光材料用包装フィルムの部分断面図である。
【図6】 本発明の写真感光材料用成型品の実施例であ
る写真感光材料用包装フィルムの部分断面図である。
【図7】 本発明の写真感光材料用成型品の実施例であ
る写真感光材料用包装フィルムの部分断面図である。
【図8】 本発明の写真感光材料用成型品の実施例であ
る写真感光材料用包装フィルムの部分断面図である。
【図9】 本発明の写真感光材料用成型品の実施例であ
る写真感光材料用包装フィルムの部分断面図である。
【図10】 本発明の写真感光材料用成型品を用いた包装
体であるレンズ付きフィルムユニットの分解斜視図であ
る。
【図11】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例であ
る写真フィルム用スプールの斜視図である。
【図12】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例であ
る写真フィルムパトローネの分解斜視図である。
【図13】 本発明の写真感光材料包装体の実施例である
レンズ付きフィルム包装体の斜視図である。
【図14】 本発明の写真感光材料包装体の実施例である
35mm写真フィルムの包装箱の写真図である。
【図15】 本発明の写真感光材料包装体の実施例である
パトローネ入り35mm写真フィルム集合包装体の斜視図で
ある。
【図16】 本発明の写真感光材料包装体の実施例である
写真フィルムパトローネの斜視図である。
【図17】 本発明の写真感光材料包装体の実施例である
写真フィルムパトローネ本体の断面図である。
【符号の説明】
1a…アルミニウム粉末入り遮光性フィルム層 2…熱可塑性樹脂層 3…中間層 4…接着剤層 5…フレキシブルシート層 6…2軸延伸フィルム層 7…アンカーコート層 8…金属真空蒸着層 9…金属蒸着フィルム層 10…金属箔 17…写真フィルム用パトローネ 20…写真フィルム用スプール 21…レンズ付きフィルムユニット 31…包装袋 40…包装箱 60…写真フィルムパトローネ本体 61…金属基体 62…下塗り層 63…着色インキ層 64…保護層 65…着色層 66…黒色塗布層

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面被覆物質がアルミニウム粉末100重
    量部に対して0.001〜10重量部被覆されたアルミニウム
    粉末を0.1〜50重量%含有した熱可塑性樹脂で形成され
    ていることを特徴とする写真感光材料用成形品。
  2. 【請求項2】 脂肪酸及び/又は脂肪酸化合物がアルミ
    ニウム粉末100重量部に対して0.001〜10重量部被覆され
    たアルミニウム粉末を0.1〜50重量%、酸化防止剤、ラ
    ジカル捕獲剤及び含水複塩化合物の1種以上の合計量を
    0.0005〜6.5重量%含有した熱可塑性樹脂で形成されて
    いることを特徴とする写真感光材料用成形品。
  3. 【請求項3】 アルミニウム粉末100重量部に対して0.0
    01〜10重量部の脂肪酸及び/又は脂肪酸金属塩を付着し
    たアルミニウム粉末0.1〜50重量%、フェノール系酸化
    防止剤の1種以上の合計量0.0005〜1.0重量%、燐系酸
    化防止剤の1種以上の合計量0.0005〜1.0重量%、ハイ
    ドロタルサイト類化合物の1種以上の合計量0.001〜5
    重量%含有した熱可塑性樹脂で形成されていることを特
    徴とする写真感光材料用成形品。
  4. 【請求項4】 湿式ボールミル法(Hall法)で製造
    したアルミニウム粉末100重量部に対して脂肪酸及び/
    又は脂肪酸化合物を0.001〜10重量部被覆したアルミニ
    ウム粉末0.1〜50重量%、滑剤0.01〜5.0重量%、酸化防
    止剤及びラジカル捕獲剤の1種以上を0.0005〜1.5重量%
    含有した熱可塑性樹脂で形成されていることを特徴とす
    る写真感光材料用成形品。
  5. 【請求項5】 アルミニウム粉末100重量部に対して0.0
    01〜10重量部の脂肪酸及び/又は脂肪酸化合物と0.001
    〜5重量部のカップリング剤及び/又はリン酸エステル
    化合物0.001〜5重量部を付着させたアルミニウム粉末
    0.1〜50重量%を含有した熱可塑性樹脂で形成されてい
    ることを特徴とする写真感光材料用成形品。
  6. 【請求項6】 アルミニウム粉末100重量部に対して脂
    肪酸が0.001〜10重量部被覆されたアルミニウム粉末を
    0.1〜50重量%、脂肪酸金属塩を0.01〜5重量%、カー
    ボンブラックを0.1〜30重量%含有した熱可塑性樹脂で
    形成されていることを特徴とする写真感光材料用成形
    品。
  7. 【請求項7】 脂肪酸がアルミニウム粉末100重量部に
    対して0.001〜10重量部被覆されたアルミニウム粉末を
    0.1〜50重量%、脂肪酸金属塩を0.01〜5重量%、酸化
    チタンを0.1〜30重量%含有した熱可塑性樹脂で形成さ
    れていることを特徴とする写真感光材料用成形品。
  8. 【請求項8】 アルミニウム粉末100重量部に対して脂
    肪酸及び/又は脂肪酸化合物が0.001〜10重量部被覆さ
    れたアルミニウム粉末を0.1〜50重量%、ミネラルスピ
    リットを1重量%以下、酸化防止剤及びラジカル捕獲剤
    の1種以上を0.0005〜1.5重量%、界面活性剤を0.01〜
    5.0重量%含有した熱可塑性樹脂で形成されていること
    を特徴とする写真感光材料用成形品。
  9. 【請求項9】 油溶性樹脂1〜50重量%と、ジベンジリ
    デンソルビトール及びその誘導体又はトリベンジリデン
    ソルビトール及びその誘導体の少なくとも一種0.005〜
    5重量%と、これらを容機溶剤30〜90重量%にアルミニ
    ウム粉末0.5〜50重量%含むインキ層及び/又は塗料層
    を写真感光材料用包装材料に設けた写真感光材料包装
    体。
  10. 【請求項10】 アルミニウム粉末100重量部に対して脂
    肪酸及び/又は脂肪酸金属塩0.01〜10重量部、カップリ
    ング剤0.01〜10重量部含むインキ層及び/又は塗料層を
    写真感光材料用包装材料に設けた写真感光材料包装体。
  11. 【請求項11】 アルミニウム粉末100重量部に対して脂
    肪酸及び/又は脂肪酸金属塩0.01〜10重量部、有機リン
    酸エステル化合物を0.1〜10重量部含むインキ層及び/
    又は塗料層を写真感光材料用包装材料に設けた写真感光
    材料包装体。
  12. 【請求項12】 アルミニウム粉末が分散されるバインダ
    ーがエポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、塩
    化ビニルを主体とする共重合体樹脂、ビニル・アミノ樹
    脂、アルキド・ビニル樹脂、オイルフリーアルキド樹
    脂、レゾルシノール樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹
    脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂から選択された
    1種以上の合成樹脂である請求項9、10又は11に記載の
    写真感光材料包装体。
  13. 【請求項13】 アルミニウムを分散する溶剤がメタノー
    ル、エタノール、n−ブタノール等のアルコール、トル
    オール、キシロール等の芳香族系、酢酸エチル、酢酸n
    −ブチル等の酢酸エステル系、メチルエチルケトン、メ
    チルイソブチルケトン等のケトン系、セルソルブアセテ
    ート、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、n−ブチ
    ルセルソルブ等のセルソルブ系、ヘキサン、ヘプタン、
    シクロヘキサン等のパラフィン系、メチレンクロライ
    ド、トリクロルエチレン等の塩素化炭化水素系の有機溶
    剤の中から選ばれた1種又は2種以上の有機溶剤である
    請求項9、10又は11に記載の写真感光材料包装体。
  14. 【請求項14】 インキ層及び/又は塗料層の表面に黄色
    系着色層を設け外観金色着色層とした請求項9、10、1
    1、12又は13に記載の写真感光材料包装体。
  15. 【請求項15】 アルミニウム粉末100重量部に対して黄
    色染料及び/又は黄色顔料の合計量0.01〜200重量部含
    有したインキ層及び/又は塗料層を設けた外観金色着色
    層を有することを特徴とする写真感光材料包装体
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JP2016014123A (ja) * 2014-07-03 2016-01-28 旭化成ケミカルズ株式会社 アルミニウム顔料組成物、当該アルミニウム顔料組成物を含む樹脂組成物、及び成形品
CN112151804A (zh) * 2020-09-27 2020-12-29 广州大学 一种基于普鲁士蓝类似物的碳包覆过渡金属氧化物及其制备方法和应用

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