JP3726984B2 - 写真感光材料用成形品及びその成形方法 - Google Patents

写真感光材料用成形品及びその成形方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、寸法精度、物理強度、成形性等を良好に維持しつつ写真性を改良した写真感光材料用成形品及びその成形方法並びにそれを用いた写真感光材料包装体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
写真フィルムパトローネ用容器等の写真感光材料用成形品は、写真性に悪影響を与えないのはもちろんのこと、寸法精度、物理強度、成形性等に関しても好適であることが要求され、各種成形品が提案されている。
【0003】
例えば、特公平2−2700号公報においては、1重量%以上の遮光性物質と50重量%以上のL−LDPE樹脂を含む遮光性フィルムを具備した包装用フィルムが開示されている。
【0004】
特願平7−237958号公報においては、分子量分布が1.1〜10.0と小さく、MFRが0.1〜100g/10分の熱可塑性樹脂50〜99.98重量%と、成形性改良のための滑剤0.01〜15重量%とを含む寸法精度、成形性、滑性等を改良した写真感光材料用成形品が開示されている。
【0005】
特開平8−179473号公報においては、メタロセン触媒を使用して製造した低分子量のポリマー含有量を3重量%以下にした樹脂で融点を下げることにより写真性を改良した写真感光材料用高分子樹脂包装材料が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の写真フィルム等においては、写真性への悪影響を完全に防止しようとすると、使用する樹脂が高価になるものであった。また、鉄分を含む成形機や金型を使用した場合、錆が発生するものであった。
【0007】
本発明は、安価な樹脂で製造しても、写真性への悪影響を完全に無くすことができ、また、錆の発生を防止できる写真感光材料用成形品及びその製造方法を提供することを目的とする。また、その写真感光材料用成形品を用いた写真感光材料包装体を提供することも目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、写真感光材料の写真性が悪くなる(カブリの発生、感度異状、階調異状、発色異状、濃度ムラ発生、スポット発生等)原因について鋭意研究した結果、触媒が原因の一つであることを見出した。そして、触媒が写真感光材料の写真性に及ぼす影響について研究し、触媒の種類、添加剤の種類、添加剤の添加量等を限定すれば、写真性への影響を実用化可能な程度まで軽減できることを見出し、本発明を完成させたものである。
【0009】
これにより、熱可塑性樹脂の生産性を向上させる触媒を用いて重合製造した安価な熱可塑性樹脂を写真感光材料用成形品に用いても、写真感光材料、特に増感色素を含むISO感度100以上の高感度写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼさないようにできる。したがって、安価な熱可塑性樹脂を使用することができ、写真感光材料用成形品を安価に提供できるものである。
【0010】
すなわち、本発明の写真感光材料用成形品は、固定触媒成分1g当たり20,000g以上の熱可塑性樹脂を生成し、遷移金属成分と有機金属成分とを主成分とする高活性触媒を用いて製造された金属成分含有熱可塑性樹脂を50重量%以上含み、該金属成分含有熱可塑性樹脂中の残留ハロゲン成分量が4〜60ppmであり、脂肪酸金属塩を0.001〜5.0重量%、ハロゲンタルサイト類化合物を0.001〜5.0重量%、ゼオライト、シリカ及びアルミナの1種以上を0.01〜5.0重量%含有していることを特徴として構成されている。
【0011】
この構成により、写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼす触媒使用量を減少することが可能になった結果、写真性に悪影響を及ぼさないようにでき、また、フィルム成形品においては、物理強度を向上でき、厚み変化、縦筋故障、ブツ及び発泡故障が大幅に発生しなくなり、射出成形品では寸法精度及び外観が良化し、ショートショットの発生やウェルドラインの発生が減少する。また、金型や成形機やペレタイザー等の発錆を防止できる。
【0016】
本発明の写真感光材料用成形品の成形方法は、遷移金属成分及び/又は有機金属成分中にハロゲン成分を主成分として含む触媒を用いて製造したハロゲン成分含有熱可塑性樹脂を50重量%以上含む熱可塑性樹脂組成物を、60℃以上の温度で1時間以上加熱後、樹脂温度150℃以上で2回以上加熱溶融後成形することにより成形品中のハロゲン成分量を60ppm以下になるようにしたことを特徴として構成されている。
【0017】
この構成により、金型や成形機の発錆を防止すると共に写真性に悪影響を及ぼさないようにでき、また、フィルム成形品においては、厚み変化、縦筋故障、ブツ及び発泡故障が大幅に発生しなくなり、射出成形品では寸法精度及び外観が良化し、ショートショットの発生やウェルドラインの発生が減少する。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の写真感光材料用成形品において、触媒成分の固体触媒成分1g当たり10,000g以上、好ましくは20,000g以上、より好ましくは30,000g以上、最も好ましくは45,000g以上の熱可塑性樹脂を生成しうるような高活性触媒を用いて製造された熱可塑性樹脂50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、最も好ましくは80重量%以上含む。固体触媒成分1g当たりの熱可塑性樹脂の生成量が10,000g未満であると、写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼす重合触媒量を多く使用する必要があり、その結果、熱可塑性中に写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼす重合触媒残渣が多くなり写真性を悪化させたり、残留ハロゲン成分量が多くなり成形機やペレタイザーに錆を発生させたり腐蝕させたり、写真性を悪化させるため実用化困難である。
【0022】
高活性触媒としては、例えばオレフィン樹脂の立体規則性重合触媒で配位アニオン重合の代表的触媒で、原則的には第IV〜VI族の遷移金属化合物と第I〜 III族のアルキル化合物とからなる複合触媒で、一部には可溶性の均一系触媒もあるが、大部分は溶媒に不溶の不均一系触媒である。チタニウムはバナジウム化合物とアルキルアルミニウムの組合せが圧倒的に多い。重合方法としては、懸濁法、バルク法、気相法等がある。重合活性をさらに向上させるにはMgCl2 を代表的な担体とする担持触媒を用いる。例えば、活性種となりうるチタニウム化合物をMgCl2 に担持させることにより、活性中心数と成長反応速度がともに著しく増大する。
【0023】
担持触媒調製時にモノエステル、ジエステル(内部ドナー)等を加え、さらに重合時にモノエステルや有機珪素化合物(外部ドナー)を添加するとイソタクチック構造の重合体のみが選択的に生成し、不用なアタクチック構造の重合体を副生することがなく、生成重合体からの不用または有害なアタクチック重合体及び重合触媒の分離、除去工程を不要としても熱可塑性樹脂中の残留ハロゲン成分量を60ppm以下にすることが可能になる。
【0024】
これらの高活性触媒は一般にチーグラー・ナッタ触媒と呼ばれている。上記チーグラー・ナッタ触媒は、ジエンの重合にもきわめて有害であり、カミンスキー触媒とも呼ばれるシングルサイト触媒として最近高活性触媒として脚光をあびている。
【0025】
本発明の高活性触媒としては、このシングルサイト触媒が最も好ましく、代表例としては1980年にドイツのカミンスキー教授によって発見された二塩化ジルコノセンとメチルアルミノキサンから成るメタロセン触媒と一般に呼ばれるものである。このメタロセン触媒は、活性点が均一(シングルサイト)であり、従来の活性点の性質が不均一(マルチサイト)なチタニウム触媒やクロム触媒では得られない極めて狭い分子量分布や組成分布の熱可塑性樹脂が得られ、特にエチレンに対して極めて高い活性を有している。
【0026】
これらのシングルサイト触媒(代表例はメタロセン触媒)は公知であり、現在までに数多くの特許や文献で紹介されており、代表的な特許としては特開昭60−35007号公報、特開昭60−35008号公報、特開昭60−35009号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−234711号公報、特開平3−234717号公報、特開平3−234718号公報、特表平3−502710号公報、特開平4−300887号公報等に記載されている如く、ジルコニウム系メタロセン、ハフニウム系メタロセン、チタニウム系メタロセン及びバナジウム系メタロセン等の固体触媒成分と各種アルミノキサン、好ましくはメチルアルミノキサンから成る高活性の触媒である。このシングルサイト触媒を用いて重合製造することにより写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼすジルコニウム、チタニウム、ハフニウム、バサジウム等の固体金属触媒成分の熱可塑性樹脂中の残留量を50ppm以下にすることが出来る。さらに写真性に悪影響を及ぼすだけでなく、成形機に錆や腐蝕を発生させるハロゲン成分量を4〜60ppmにすることができる。特に溶媒を使用しない気相法製造プロセスで重合温度40〜100℃、重合圧力5〜50kg/cm2 で重合製造が可能になり、省エネルギー、低圧設備なので製造コストが大幅にダウン可能である。特にエチレン・αオレフィン共重合体樹脂に好ましく、最も好ましいのは気相法のエチレン・ヘキセン−1共重合体樹脂が高品質で安価で製造可能なことである。
【0027】
その他、プロピレン樹脂の高重合立体規則性重合用触媒としてはマルチサイト触媒ではあるが、代表例としてはトリアルキルアルミニウムと三塩化チタン系の触媒であるナッタ系触媒である。
【0028】
本発明の写真感光材料用成形品において、遷移金属成分と有機金属成分とを主成分とする触媒を用いて製造された金属成分含有熱可塑性樹脂中の残留ハロゲン成分量が4〜60ppm、好ましくは5〜30ppm、特に好ましくは5〜20ppm、最も好ましく5〜15ppmである。残留ハロゲン成分量が4ppm未満であると、触媒失活剤を多く使用して触媒残渣を抽出する必要があり高価になり実用化困難である。また、60ppmを越えると、写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼすだけでなく、ペレタイザーや成形機や金型等がハロゲン成分を含む熱可塑性樹脂と150℃以上の高温で溶融状態で長時間接触することになり錆や腐蝕が発生し、実用化困難である。
【0029】
遷移金属成分と有機金属成分とを主成分とする触媒は、上記高活性触媒として記載したものが主なものである。
【0030】
前記写真感光材料用成形品において、ハイドロタルサイト類化合物の1種以上を含ませることが好ましい。これにより、写真性及び金型や押出機等の鉄分を含有する設備の防錆性をさらに1ランク向上させることができる。
【0031】
ハイドロタルサイト類化合物の含有量は、0.001〜5.0重量%、好ましくは0.005〜4.0重量%、より好ましくは0.01〜3.0重量%、最も好ましく0.02〜2.0重量%である。0.001重量%未満では添加効果が発揮されず混練経費増となるだけであり、5重量%を越えても増量添加効果がなく、ブツの発生やコストアップとなる。
【0032】
ハイドロタルサイト類化合物は、一般式が
xyOH)2x+3y-2z(A)z・aH2
{MはMg、Ca又はZn、RはAl又はCr又はFe、AはCO3又はHPO4、x、y、z、aは正数}で示される複塩である。
【0033】
具体例の代表例を示すと、Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O、Mg8Al2(OH)20CO3・5H2O、Mg5Al2(OH)14CO3・4H2O、Mg10Al2(OH)22(CO3)2・4H2O、Mg6Al2(OH)16HPO4・4H2O、Ca6Al2(OH)16CO3・4H2O、Zn6Al2(OH)16CO3・4H2O、Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O等がある。
【0034】
または一般式が
(1-x)・Alx・(OH)2・Xx/n・mH2
{ただし式中、Mはアルカリ土類金属およびZnを示す。Xはn価のアニオンを示す。
【0035】
そして、xおよびm,nは下記式の条件を満足する。
0<x<0.5
0≦m≦ 2 }
n=1〜4の整数で表わされる屈折率(Larsenの油浸法で測定)が1.40〜1.60、好ましくは1.45〜1.55の範囲であるハイドロタルサイト類化合物である。
【0036】
上記式においてXで表わされるn価のアニオンの例としては、Cl-、Br-、I-、NO3 -、ClO4 -、SO4 2-、CO3 2-、SiO3 2-、HPO4 2-、HBO3 2-、PO4 3-、Fe(CN)6 3-、Fe(CN)4 4-、CH3COC-、C64(OH)COO-、である。
【0037】
好ましい具体例を以下に示す。
Mg0.7Al0.3(OH)2(CO3)0.15・0.54H2
Mg0.67Al0.33(OH)2(CO3)0.165・0.5H2
Mg0.67Al0.33(OH)2(CO3)0.165・0.2H2
Mg0.6Al0.4(OH)2(CO3)0.2・0.42H2
Mg0.75Al0.25(OH)2(CO3)0.125・0.63H2
Mg0.83Al0.17(OH)2(CO3)0.085・0.4H2O 等
【0038】
これらのハイドロタルサイト類化合物は、天然物であっても、合成品であってもよい。これらのハイドロタルサイト類化合物は、マグネシウム、アルミニウム等を主成分としており、写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼしたり、成形機に用いられている金属の発錆の原因と考えられる塩素イオン等のハロゲン化イオンを吸着して無害化する能力に優れている。さらに樹脂中のモノマーや各種添加剤中の揮発性物質等写真性に悪影響を及ぼす物質を吸着固定するものと推定される。ハイドロタルサイト類化合物の具体的な合成方法としては、特公昭46−2280号公報及び特公昭50−30039号公報等に開示されている公知の方法も使用できる。
【0039】
本発明では特に上記のハイドロタルサイト類化合物が好ましく、その結晶構造、結晶粒子径に制限されることなく使用可能である。
【0040】
ハイドロタルサイト類化合物の天然品としては、ハイドロタルク石、スチヒタイト、パイロオーライト等がある。これらの含水複塩化合物は単独で使用しても、2種以上混合して使用してもよい。特に後述する各種酸化防止剤や各種脂肪酸金属塩と併用することが好ましい。射出成形等の加工性、物性等を特に向上させるためには平均2次粒子径が20μm以下、好ましくは10μm以下、特に好ましくは5μm以下、BET比表面積が50m2/g以下、好ましくは40m2/g以下、特に30m2/g以下が好ましい。
【0041】
本発明においてハイドロタルサイト類化合物は表面被覆物質で処理して利用するのが好ましい。表面被覆する事により、樹脂に対する分散性ないし親和性が一層向上し、射出成形適性やフィルム加工適性、物理強度等も向上する。
【0042】
このような表面被覆物質の例としては、後述する遮光性物質の表面被覆物質(1)〜(20)等を用いることが出来るが、特に好ましいのは、例えば、ラウリル酸ソーダ、ラウリル酸カリウム、オレイン酸ソーダ、オレイン酸カリウム、オレイン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ソーダ、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カリウム、パルミチン酸ソーダ、パルミチン酸カリウム、カプリン酸ソーダ、カプリン酸カリウム、ミリスチン酸ソーダ、ミリスチン酸カリウム、リノール酸ソーダ、リノール酸カリウムなどのような高級脂肪酸の金属塩類;ラウリル酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、カプリン酸、ミリスチン酸、リノール酸などの如き高級脂肪酸類;ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の有機スルホン酸金属塩類;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、ビニルトリエトキシシラン、ガンマメタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ガンマグリシドオキシプロピルトリメトキシシランなどのようなカップリング剤類、高級脂肪酸アミド類、高級脂肪酸エステル類、シリコーン類、ワックス類の各種滑剤などを例示することができる。
【0043】
これら表面被覆物質による表面被覆は、たとえば、温水にハイドロタルサイト類化合物を懸濁した状態のところに、攪拌下に、高級脂肪酸のアルカリ金属塩の水溶液を加える事により、或いは、ハイドロタルサイト類化合物粉末をヘンシェルミキサー等の混合機により攪拌下、高級脂肪酸の融液とか、カップリング剤の希釈液を滴下することにより行うことができる。これら表面被覆物質の量は適宜に選択変更できるが、ハイドロタルサイト類化合物100重量部に対して、0.01〜50重量部、好ましくは0.05〜35重量部、特に好ましくは0.1〜20重量部、最も好ましくは0.5〜10重量部程度が適当である。
【0044】
さらに本発明の主旨を損なわない限りは少量の他の金属酸化物等の不純物を含んでもよい。
【0045】
さらにハイドロタルサイト類化合物の分散をより良好にするために例えば高級脂肪酸や脂肪酸アミド系滑剤やシリコーンオイルやソルビタンモノステアレートのようなソルビタン脂肪酸エステルやグリセリンモノステアレートのようなグリセリン脂肪酸エステルなどの1種以上を、分散剤として樹脂組成物に合計量0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜8重量%、特に好ましくは0.08〜5重量%、最も好ましくは0.1〜3重量%添加してもよい。ハイドロタルサイト類化合物と併用することにより、写真性の悪化防止、成形加工安定性、成形機の防錆、防蝕効果が向上し、透明射出成形品の場合(例えば無着色写真フィルム用容器等)射出成形品の着色や、樹脂劣化を防止し、透明度を向上し、物理強度低下を防止し、樹脂焼けによるブツの発生や着色故障の発生を防止する作用等を相乗的に向上する。フェノール系酸化防止剤や燐(ホスファイト)系酸化防止剤及び脂肪酸金属塩から成る群より選択された1種以上の安定剤と併用することが写真感光材料の写真性能悪化がほとんどなく、酸化防止効果が大きくなるので特に好ましい。
【0046】
この場合、写真感光材料の写真性能に悪影響を及ぼさないようにするためには、
▲1▼ フェノール系酸化防止剤を0.0005〜0.5重量%、好ましくは0.001〜0.4重量%、特に好ましくは0.002〜0.3重量%添加する。
▲2▼ 燐系酸化防止剤0.0005〜0.5重量%、好ましくは0.001〜0.4重量%、特に好ましくは0.002〜0.1重量%添加する。
▲3▼ ハイドロタルサイト類化合物及び/又は脂肪酸金属塩(金属石けん)を0.001〜5重量%、好ましくは0.005〜4重量%、特に好ましくは0.01〜3重量%添加する。
【0047】
且つ▲1▼+▲2▼+▲3▼の合計含有量が0.0015〜6重量%、好ましくは0.002〜5重量%、特に好ましくは0.003〜4重量%、最も好ましくは0.005〜3重量%写真感光材料用成形品中に含まれるようにする。いずれにしても樹脂劣化を防止できる最少量添加することが写真性能を悪化させず、コストアップを抑制する点からも好ましい。
【0048】
ハイドロタルサイト類化合物と併用することが好ましく、且つハイドロタルサイト類化合物と同様の優れた効果を発揮するだけでなく、さらに滑剤及び遮光性物質の分散剤としての効果を発揮するものとして後述する脂肪酸金属塩(金属石けんとも言う。)がある。
【0049】
前記写真感光材料用成形品において、ゼオライト、シリカ及びアルミナの1種以上を含ませることが好ましい。これにより、消臭効果や写真性良化及び金型や押出機等の鉄分を含有する設備の防錆性を半ランク向上させることができる。
【0050】
ゼオライト、シリカ及びアルミナの1種以上の含有量は、0.01〜5.0重量%、好ましくは0.05〜4.0重量%、より好ましくは0.1〜3.0重量%、最も好ましくは0.2〜2.0重量%である。0.01重量%未満では添加効果が発揮されず混練経費増となるだけであり、5.0重量%を越えても増量添加効果がなく、ブツの発生やコストアップとなる。
【0051】
前記写真感光材料用成形品において、脂肪酸金属塩を含ませることが好ましい。これにより、写真性及び金型や押出機等の鉄分を含有する設備の防錆性を1ランク向上させることができる。また、脂肪酸金属塩は、潤滑剤として好ましい働きをすると共に、写真感光材料の写真性に悪影響を与える物質(触媒残渣、ハロゲン化合物等)を中和し無害化したり、特定吸油量のカーボンブラックの分散剤としての効果も発揮する。
【0052】
写真感光材料用成形品中の脂肪酸金属塩の含有量は、0.001〜5.0重量%、好ましくは0.005〜4.0重量%、より好ましくは0.01〜3.0重量%、最も好ましく0.02〜2.0重量%である。0.001重量%未満では添加効果が発揮されず混練経費増となるだけであり、5重量%を越えても増量添加効果がなく、ブツの発生やコストアップとなる。
【0053】
脂肪酸金属塩の代表例としては、ラウリン酸、ステアリン酸、コハク酸、ステアリル乳酸、乳酸、フタル酸、安息香酸、ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、ナフテン酸、オレイン酸、パルミチン酸、エルカ酸等の高級脂肪酸とLi、Na、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Al、Sn、Pb、Cd、等の金属との化合物が挙げられ、好ましいものは、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸カルシウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マグネシウム等である。
【0054】
市販されている代表的な脂肪酸金属塩の名称と分子式と状態と融点を以下の表に示すが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0055】
【表1】
Figure 0003726984
【0056】
上記の脂肪酸金属塩の中では、カーボンブラックの分散性を向上し、吸湿性を抑制すると共に写真性を良好にする働きの大きい、安価なステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛が好ましく、特にステアリン酸亜鉛が好ましい。
【0057】
本発明の写真感光材料用成形品には、本発明の主成分のポリスチレン樹脂やポリアセタール樹脂やポリオレフィン樹脂やオレフィン系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性樹脂の熱劣化防止、熱分解防止等による写真性向上等の目的で酸化防止物質1種以上を添加することが好ましい。酸化防止物質の1種以上を添加することにより、本発明の熱可塑性樹脂や脂肪酸、滑剤、有機造核剤、界面活性剤等の添加剤の熱劣化や熱分解を防止し、本発明の熱可塑性樹脂組成物の流動性が著しく変化したり、ブツが発生するのを防止できる。さらに写真感光材料に悪影響を及ぼす熱分解物質(アルデヒド等)の発生を防止することができる。熱分解物質(アルデヒド等)を写真感光材料に悪影響を及ぼさない量に減少安定化させたり、反応安定化させたり又は吸着安定化させる公知の各種化合物(例えば、ヒダントイン化合物、ヒドラジン化合物、尿素化合物)を添加することが好ましい。写真感光材料用成形品中のアセチルアセトン法で測定したホルムアルデヒドの量は500PPM以下、好ましくは300PPM以下、特に好ましくは150PPM以下、最も好ましくは75PPM以下にすることにより写真性を良好に維持できる。
【0058】
写真感光材料用成形品中の酸化防止物質の1以上の添加量は、0.001〜1.0重量%であり、0.005〜0.7重量%が好ましく、0.01〜0.45重量%がより好ましい。添加量が0.001重量%未満であると、添加効果がなく混練経費増になるだけであり、添加量が1.0重量%を越えると、成形時に発煙や悪臭が多くなるだけでなく、酸化、還元作用を利用する写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼすとともに成形品表面にブリードアウトして外観を悪化させる。フィルム成形品の場合はヒートシール適性を悪化させたり、写真感光材料に転写して現像ムラを発生させる。
【0059】
酸化防止物質には、酸化防止剤、ラジカル捕獲剤、酸化防止相乗効果剤がある。
【0060】
本発明に使用される酸化防止剤の代表例を以下に示す。
(イ) フェノール系酸化防止剤(tはtertの略号である)
ビタミンE(トコフェロール)、トコフェロール類二量体(α−トコフェロール、β−トコフェロール、5,7−ジメチルトコール等)、6−t−ブチル−3−メチルフェニール誘導体、2・6−ジ−t−ブチル−P−クレゾール、2・6−ジ−t−ブチル−フェノール、2・6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2・6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、2・2'−メチレンビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4・4'−ブチリデンビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、4・4'−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、4・4−ジヒドロキシジフェニルシクロヘキサン、ブチル化ヒドロキシアニソール、アルキル化ビスフェノール、スチレン化フェノール、2・6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2・6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3'・5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピネート、2・2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4・4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニール)、4・4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4・4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ステアリル−β(3・5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1・1・3−トリス(2−メチル−4ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1・3・5トリメチル−2・4・6−トリス(3・5−ジ−t−ブチル−4ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス〔メチレン−3(3・5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン等
【0061】
(ロ) ケトンアミン縮合系酸化防止剤
6−エトキシ−2・2・4−トリメチル−1・2−ジヒドロキノリン、2・2・4−トリメチル−1・2−ジヒドロキノリンの重合物、トリメチルジヒドロキノリン誘導体等
【0062】
(ハ) アリルアミン系酸化防止剤
フェニル−α−ナフチルアミン、N−フェニル−β−ナフチルアミン、N−フェニル−N'−イソピロピル−P−フェニレンジアミン、N・N'−ジフェニル−P−フェニレンジアミン、N・N’−ジ−β−ナフチル−P−フェニレンジアミン、N−(3'−ヒドロキシブチリデン)−1−ナフチルアミン等
【0063】
(ニ) イミダゾール系酸化防止剤
2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾール等
【0064】
(ホ) ホスファイト系酸化防止剤
アルキル化アリルホスファイト、トリス(モノ及び/又はジノニルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2・6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、ジフェニルイソデシルフォスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト亜リン酸ソーダ、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、2・2−メチレンビス(4・6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(2・4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリフェニルフォスファイト等
【0065】
(ヘ) チオ尿素系酸化防止剤
チオ尿素誘導体、1・3−ビス(ジメチルアミノプロピル)−2−チオ尿素等
【0066】
(ト) その他空気酸化に有用な酸化防止剤
チオジプロピオン酸ジラウリル等
【0067】
本発明に最も好ましいヒンダードフェノール系酸化防止剤の代表例を以下に示す。
1,3,5−トリメチル2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス〔メチレン−3−(3'・5'−ジ−tert−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、オクタデシル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナメート、2,2',2'−トリス〔(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチルイソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジ−メチルベンジル〕イソシアヌレート、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)4,4'−ビフェニレンジ亜リン酸エステル、4,4'−チオビス−(6−tert−ブチル−O−クレゾール)、2,2'−チオビス−(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、2,2'−メチレン−ビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4'−メチレン−ビス−(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、4−ヒドロキシ・メチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−4−n−ブチルフェノール、2,6−ビス(2'−ハイドロキシ−3'−tert−ブチル−5’−メチルペンジル)−4−メチルフェノール、4,4’−メチレン−ビス−(6−tert−ブチル−O−クレゾール)、4,4'−ブチリデン−ビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、3・9−ビス{1・1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}2,4・8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどがあげられる。これらの中でも融点が100℃以上、特に120℃以上のものが好ましい。また、燐系酸化防止剤と併用することが効果的である。さらにまた、燐系酸化防止剤の少なくとも1種と、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の少なくとも1種と、ハイドロタルサイト類化合物の少なくとも1種の合計3種以上を併用することが特に好ましい。最も好ましくは有機造核剤と燐系酸化防止剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤とハイドロタルサイト類化合物と滑剤の5種以上を併用する。
【0068】
上記ビタミンE(トコフェロール)、トコフェロール類二量体は、優れた酸化防止作用の他に、成形品を黄色に着色させてカーボンブラック等の遮光性物質と併用すると遮光能力をカーボンブラック等の遮光性物質単独添加の場合より向上させ、かつ、分散性も向上させるので遮光性物質の添加量を10%以上減少させても同等の遮光性を有する成形品を得ることができる。この結果写真性の悪化防止、物理強度向上、外観向上、材料費減少によるコストダウン等各種の効果が発揮されるので本発明の写真感光材料用成形品として特に好ましい。
【0069】
好ましい酸化防止剤は、低揮発性の高分子量フェノール型酸化防止剤(商品名:Ciba−Geigy社のIreganox 1010,Ireganox 1076,ICI社のTopanol CA等)、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオプロピオネート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチル−フェニル)ホスファイト(Ciba−Geigy社のphosphite 168)、ジアルキルフォスフェート等の燐系酸化防止剤の1種以上、特に2種以上を併用するのが効果的である。
【0070】
特に遊離基連鎖停止剤の代表例である融点が100℃以上、好ましくは120℃以上の前記ヒンダードフェノール系酸化防止剤の少なくとも1種と、過酸化物分解剤である燐系酸化防止剤の少なくとも1種とを併用して用いることが写真性を悪化させずに樹脂や添加剤の熱劣化防止効果を高めることができるので好ましい。
【0071】
写真感光材料の写真性への悪影響が少なく、樹脂溶融温度(130〜400℃)でも熱分解が少なく、経時によるブリードアウトも少ない等多くの優れた特性を有する点から分子量は200以上、好ましくは300以上、特に好ましくは400以上、最も好ましくは500以上の酸化防止剤である。
【0072】
本発明の写真感光材料用成形品中に含有させるのに最も好ましい酸化防止剤はテトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート]メタン、n−オクタデシル−3−(4'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェノール)プロピオネートとトリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトである。
【0073】
前記ラジカル捕獲剤として最も好ましいものは、ハイドロキノン、1・1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル、1・3・5−トリフェニルフェルダジル、2・2,6・6−テトラメチル−4−ピペリドン−1−オキシル、N−(3−N−オキシアニリノ−1・3−ジメチルブチリデン)−アニリンオキシド、塩化第二鉄などのような高原子価金属塩、ジフェニルピクリルヒドラジン、ジフェニルピクリルヒドラジン、ジフェニルアミン、ハイドロキノン、t−ブチルカテコール、ジチオベンゾイルジスルフィド、p・p’−ジトリルトリスルフィド、ベンゾキノン誘導体、ニトロ化合物、およびニトロソ化合物などを挙げることができる。これらのうちでも、ハイドロキノンを用いることは特に好ましい。
【0074】
また、上記のラジカル捕獲剤は単独で用いてもよく、あるいは数種類を併用することもできる。さらに各種の酸化防止剤やハイドロタルサイト類化合物や酸化防止相乗効果剤や老化防止剤の1種以上と併用することも好ましい。
【0075】
上記酸化防止相乗効果剤は、上記酸化防止剤やラジカル捕獲剤やハイドロタルサイト類化合物の1種以上と併用することにより、樹脂や低分子量の添加剤(滑剤や帯電防止剤や有機造核剤や防滴剤や相溶化剤等)の熱劣化や熱分解を防止し、物理強度の低下や樹脂の流動性が著しく変化したり、ブツが発生するのを防止する。さらに写真感光材料に悪影響を及ぼす熱分解物質(アルデヒド等)の発生を防止する。このような作用をする酸化防止相乗効果剤としてはリン酸、クエン酸、リン酸化合物、クエン酸化合物等がある。特にリン酸金属塩とクエン酸金属塩が好ましい。
【0076】
本発明の写真感光材料用成形品には、遮光性物質を添加することができる。
【0077】
遮光性物質の代表例を以下に示す。
(1) 無機化合物
A.酸化物…シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄(鉄黒)、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、酸化ベリリウム、軽石、軽石バルーン、アルミナ繊維等
B.水酸化物…水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム等
C.炭酸塩…炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、ドーソナイト等
D.(亜)硫酸塩…硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム等
E.ケイ酸塩…タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、ガラスバルーン、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト等
F.炭素…カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素中空球等
G.その他…鉛粉、アルミニウム粉、ポロン繊維、炭化ケイ素繊維、チタン酸カリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム、アルミニウムペースト等
【0078】
これらの遮光性物質の中で、写真性に悪影響を及ぼすことが少なく、150℃以上でも熱に安定で不透明化する無機化合物が好ましく、特に、耐熱性、耐光性が優れ比較的不活性な物質であるので、光吸収性のカーボンブラックと窒化チタンとグラファイト及び鉄黒が好ましい。
【0079】
本発明では遮光性、コスト、物性向上の目的ではファーネスカーボンブラックが好ましく、高価であるが帯電防止効果を有する遮光性物質としてはアセチレンカーボンブラック、変性副生カーボンブラックであるケッチェンカーボンブラックが好ましい。ISO感度が100以上の写真感光材料用は、特に写真感光材料の写真性に悪影響(カブリ増加や感度異常、発色異常等)を及ぼす遊離硫黄成分が0.01%以下であるアセチレンブラックが好ましい。必要により前者と後者を必要特性に従ってミックスすることも好ましい。遮光性物質を配合する形態を大別すると下記のようになる。
【0080】
(1) 均一着色ペレット状
(カラーコンバウンドと言われる最も一般的に用いられているもの)
(2) 分散性粉末状
(ドライカラーとも呼ばれる、種々の表面処理剤で処理し、さらに分散助剤を加えて微粒子状に粉砕した粉末状のもの)
(3) ペースト状
(可塑剤等を分散させたもの)
(4) 液状
(リキッドカラーとも呼ばれる界面活性剤等に分散した液状のもの)
(5) マスターバッチペレット状
(遮光性物質を着色しようとするプラスチック中に高濃度に分散したもの)
(6) 潤性粒粉末状
(遮光性物質をプラスチック中に高濃度に分散させたのち、粒粉末状に加工したもの)
(7) 乾燥粉末状
(普通の無処理の乾燥粉末状のもの)
【0081】
遮光性物質を熱可塑性樹脂に配合する形態は上記のように種々あるが、マスターバッチ法がコスト、作業場の汚染防止等の点で好ましい。本発明人も特開昭63−186740号公報で遮光性物質を特定エチレン・エチルアクリレート共重合体樹脂に分散した着色マスターバッチ用樹脂組成物を開示している。
【0082】
本発明の写真感光材料用成形品として使用する上で写真感光材料にカブリを発生させることなく、感光度の増減の発生が少なく、遮光能力が大きく、熱可塑性樹脂、特に本発明で最も好ましいL−LDPE樹脂やホモポリプロピレン樹脂、プロピレン・αオレフィン共重合体樹脂、ホモポリエチレン樹脂、ホモポリスチレン樹脂、ゴム含有ポリスチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂に添加した場合でもカーボンブラックの固り(ブツ)やミクロゲルの発生やフィッシュアイ等フィルムにピンホールを発生させる物質が発生しにくい点で、カーボンブラックの中でも特にpH(JIS K 6221で測定)が6.0〜9.0、平均粒子径(電子顕微鏡法で測定)が10〜120mμ、特に10〜80mμのものが好ましく、これらの中でも特に揮発成分(JIS K 6221で測定)が2.0%以下、DBP吸油量(JIS K 6221の吸油量A法で測定)が50ml/100g以上のファーネスカーボンブラックが遮光性向上と分散性向上、物理特性低下の少ない点で好ましい。
【0083】
また、包装材料中のASTM D 1619−60の測定方法による硫黄成分は0.9%以下、好ましくは0.7%以下、特に好ましくは0.5%以下にしないとカブリ増加や感度異状、発生異状等の写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼす。特に直接写真感光材料の写真性に大きく悪影響を及ぼす遊離硫黄成分(各試料を液体窒素で冷却固化後粉砕し、この粉砕した試料100gをソックスレー抽出器に入れ700ホルムで60℃8時間抽出冷却後、全容を100mlとする。この溶液10mlを高速液体クロマトグラフに注入し、硫黄を定量する。高速液体クロマトグラフ分離条件はカラム;ODSシリカカラム(4.6φ×150mm)、分離液;メタノール95と水5(酢酸とトリエチルアミンをそれぞれ0.1%含む)、流速;1ml/分、検出波長;254nm、定量は絶対検量線法によって行う。)は0.1%以下、好ましくは0.05%以下、特に好ましくは0.01%以下であり、写真性を悪化させるシアン化合物含有量(4−ピリジンカルボン酸・ピラゾロン吸光分析法にて定量したシアン化水素量を遮光性物質の重量に対するppm単位に換算した値)が20ppm以下、好ましくは10ppm以下、特に好ましくは5ppm以下であり、ヨウ素吸着量(JIS K 6221で測定)が20mg/g以上、好ましくは30mg/g以上、特に好ましくは50mg/g以上、最も好ましくは80mg/g以上で、かつジブチルフタレート(DBP)、吸油量(JIS K 6221で測定)が50ml/100g以上、好ましくは60mg/100g以上、特に好ましくは70ml/100g以上、最も好ましくは100ml/100g以上のカーボンブラックである。
【0084】
カーボンブラックの次に好ましい遮光性物質はLarsenの油浸法で測定した屈折率が1.50以上の無機顔料と各種の金属粉末、金属フレーク、金属ペースト、金属繊維及び炭素繊維である。好ましい屈折率が1.50以上の無機顔料と金属粉末の代表例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。( )内の数字は屈折率を示す。
【0085】
屈折率が1.50以上の無機顔料としては、ルチル型酸化チタン(2.75)、炭化ケイ素(2.67)、アナターゼ型酸化チタン(2.52)、酸化亜鉛(2.37)、酸化アンチモン(2.35)、鉛白(2.09)、亜鉛華(2.02)、リトポン(1.84)、ジルコン(1.80)、コランダム(1.77)、スピネール(1.73)、アパタイト(1.64)、バライト粉(1.64)、硫酸バリウム(1.64)、マグネサイト(1.62)、ドロマイト(1.59)、炭酸カルシウム(1.58)、タルク(1.58)、硫酸カルシウム(1.56)、無水ケイ酸(1.55)、石英粉(1.54)、水酸化マグネシウム(1.54)、塩酸性炭酸マグネシウム(1.52)、アルミナ(1.50)等がある。特に好ましいものは、屈折率が1.56以上、最も好ましいものは1.60以上の遮光性物質である。
【0086】
屈折率が1.50未満のケイ酸カルシウム(1.46)、ケイ藻土(1.45)、含水ケイ酸(1.44)等は遮光能力が小さいので多量の添加が必要で遮光性物質としての使用は好ましくない。
【0087】
また、最近の海外旅行ブームにより空港での手荷物検査でX線を用いた検査機にISO感度が400以上の高感度写真フィルムを通過させるとX線によりカブリが発生しやすくなる。これを防止するために比重が3.1以上、好ましくは3.4以上の遮光性物質を用いることが好ましい。比重が3.1以上、好ましくは3.4以上、特に好ましくは4.0以上の遮光性以外にX線遮断性を有する遮光性物質の形態は以下に代表例を例示したものに限定されず、いかなる形態、例えば顔料、粉末、フレーク、ウィスカー、ファイバー等であってもよい。比重が3.1以上の遮光性物質としては炭化ケイ素、硫酸バリウム、酸化鉛(鉛白)、酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、チタン酸バリウム、鉛粉末、タングステンウィスカー、窒化けい素ウィスカー、ステンレス粉およびウィスカー、マグネサイト、アパタイト、スピネール、コランダム、ジルコン、三酸化アンチモン、炭酸バリウム、亜鉛華、錫粉およびこれらの混合物等がある。
【0088】
特にX線遮断性を付与するのに好ましい遮光性物質はジルコン、コランダム、硫酸バリウム、塩化バリウム、チタン酸バリウム、鉛粉末、酸化鉛、亜鉛粉末、亜鉛華、錫粉末、ステンレス粉末、ステンレスウィスカー、鉄黒、タングステンウィスカー、ニッケルウィスカーである。ISO感度が400以上の超高感度写真感光材料用包装材料として特に好ましい遮光性物質は屈折率が1.50以上、比重が3.1以上であり、最も好ましいのは屈折率が1.56以上、比重が3.4以上の遮光性物質である。これらの遮光性物質の含有量は層厚や樹脂の種類によって変化するが、0.1〜80重量%、好ましくは0.3〜70重量%、特に好ましくは0.5〜60重量%、最も好ましくは1.0〜50重量%である。
【0089】
遮光性物質の屈折率及び比重を表2に示す。
【0090】
【表2】
Figure 0003726984
【0091】
X線遮断性遮光性物質の含有量は、好ましくは5〜70重量%、特に好ましくは10〜60重量%、最も好ましくは20〜50重量%である。5重量%未満ではX線遮断効果がほとんどなく、80重量%を越えると製造が困難であり、且つ物理強度に欠け実用化困難である。この場合は、物理強度確保のために合成ゴムやαオレフィン含有量が10モル%以上のエチレン・αオレフィン共重合体樹脂を3〜45重量%、好ましくは5〜40重量%含有させる。
【0092】
前述の各種の遮光性物質は、写真感光材料に悪影響を与えず、成形性を悪化(発泡やウェルドラインやショートショットやガス焼け等の発生)させないために、100℃,5時間での乾燥減量が2.0重量%以下、好ましくは1.0重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下、最も好ましくは0.3重量%以下の状態に乾燥したり、真空にしたり、これらを組み合わせたりして使用する。
【0093】
ブリードアウトしやすい滑剤や酸化防止剤や有機造核剤を吸着させたり、脱臭剤、芳香剤、脱酸素剤等を吸着させる効果を有する吸油性無機顔料の代表例としては、亜鉛華(52)、アスベスチン(50)、クレー(51)、酸化チタン(56)、カオリン(60)、タルク(60)、カーボンブラック(60以上)、活性炭等がある。( )内の数字は吸油量(JIS K 6221の吸油量A法で測定。単位ml/100g)を示す。
【0094】
金属粉末(金属ペーストも含む)の代表例としては、アルミニウム粉末、アルミニウムペースト、ステンレス粉末、ニッケル粉末、銀粉末、錫粉末、亜鉛粉末、スチール粉末等がある。
【0095】
アルミニウム粉末は、本発明ではアルミニウム粉末及びアルミニウムペーストを含めた意味であり、アルミニウム粉末の表面を表面被覆物質で被覆したものと、アルミニウムペーストより低揮発物質を除去したものを熱可塑性樹脂に混練したものが好ましい。均一分散性、成形性、写真性、外観の優れた、臭いの少ないアルミニウム粉末とするには平均粒径が0.3〜50μm、好ましくは0.5〜45μm、特に好ましくは0.8〜40μm、平均厚さが0.03〜0.5μm、好ましくは0.05〜0.4μm、特に好ましくは0.08〜0.35μm、脂肪酸含有量が5重量%以下、好ましくは4重量%以下、特に好ましくは3重量%以下のアルミニウム粉末である。
【0096】
ここにアルミニウムペーストとは、ボールミル法、スタンプミル法、又はアトマイズ法等の公知の方法でアルミニウム粉末を作るときに、ミネラルスピリットと少量のステアリン酸又はオレイン酸等の高級脂肪酸の存在のもとにペースト状に作ったものである。本発明ではこのアルミニウムペーストと各種芳香族モノビニル樹脂(ポリスチレン樹脂、ゴム含有ポリスチレン樹脂等)、ポリオレフィン熱可塑性樹脂(各種ポリプロピレン樹脂、各種ポリエチレン樹脂、酸変性樹脂、EVE樹脂、EEA樹脂、EAA樹脂等)、低分子量のポリオレフィン樹脂、パラフィンワックス、粘着付与剤、金属石けん等の分散剤等を加熱混練し、低揮発物質(主として悪臭が強いミネラルスピリット、ホワイトスピリット)を真空ポンプ等で除去した揮発物質の含有量が3%以下、好ましくは1%以下、特に好ましくは0.5%以下のものをアルミニウムペーストコンパウンド樹脂、アルミニウムペーストマスターバッチ樹脂として使用することが好ましい。
【0097】
特にアルミニウムペーストマスターバッチ樹脂として使用するのが写真感光材料への悪影響や悪臭をなくすために好ましい。例えばアルミニウムペースト含有率40重量%のマスターバツチ樹脂中のミネラルスピリット含有率が1.0重量%であっても、これを写真感光材料用成形品中でのアルミニウムペースト濃度を2重量%にしようとすると、アルミニウムペーストマスターバッチ1重量部に対してナチュラル樹脂19重量部を混練することになり、成形品中には成形中にミネラルスピリットが加熱によりガスとして除去される分もあるのでミネラルスピリット含有量は0.05重量%以下になる。その結果、写真感光材料への悪影響もなくなる上、悪臭も低減される。
【0098】
またアルミニウム粉末とは、溶融アルミニウムをアトマイズ法、粒化法、回転円盤滴下法、蒸発法等により粉末状にしたものの外、アルミニウム箔をボールミル法やスタンプミル法等で粉砕してフレーク状にしたものを含む。アルミニウム粉末単体では不安定なのでアルミニウム粉末表面を不活性にする各種の公知の表面被覆処理が施される。特に改定の厚さ(5〜20μm、好ましくは6〜15μm、特に好ましくは7〜10μm)に圧延したアルミニウム箔をシュレッダー等で切断し、焼き鈍しするとともに脂肪酸を除去し、しかる後この切断したアルミニウム箔中に対して5重量%以下の炭素数が8以上の脂肪酸(化合物を含む)を添加してボールミル、スタンプミル、振動ミルおよびアトライターから選んだ粉砕機の1つ以上を用いて平均粒径0.3〜50μm、平均厚さ0.03〜0.5μmで、脂肪酸含有量が5重量%以下としたアルミニウム粉末が本発明では分散性、写真性、光沢が優れ臭いが少ないので特に好ましい。
【0099】
本発明の写真感光材料用成形品として実用化するには品質確保、物理強度確保、写真性能確保、成形性、経済性から遮光層中の遮光性物質の好ましい合計含有量は0.1〜80重量%であるが、遮光性物質の遮光能力や使用目的(例えばX線遮断性や導電性付与等)により含有量は変化する。遮光能力の優れたカーボンブラック、酸化チタン及びアルミニウム粉末の遮光層中の合計含有量は、0.1〜60重量%、0.3〜40重量%が好ましく、0.5〜30重量%がより好ましく、1〜20重量%が最も好ましい。含有量が0.1重量%未満であると、写真感光材料用成形品の厚さを非常に大きくしないと遮光能力が不足し光カブリを発生する。このため写真感光材料用成形品の成形速度が遅くなり(冷却時間が長くなるため)、樹脂使用量が多くなるため高価になり実用化困難である。含有量が60重量%を超えると、分散性が悪化し、ミクログリッド(凝集不純物)の発生が多くなり、写真感光材料に圧力カブリや擦り傷を発生させたり、写真感光材料用成形品中の水分量がカーボンブラックに吸着した水分増加により多くなり、写真感光材料の写真性能に悪影響(カブリの発生、感度異常、発色異状等)を及ぼす。さらに、写真感光材料用成形品の成形性悪化(発泡、銀条、ピンホール、ショートショット等の発生)や物理強度の低下となり実用化困難である。
【0100】
遮光性物質(カーボンブラック、アルミニウム粉末、屈折率が1.50以上の無機顔料、比重が3.4以上の無機顔料、吸油量が50ml/100g以上の無機顔料が特に好ましい)の樹脂中への分散性向上、樹脂流動性向上、写真感光材料に摩擦カブリや圧力カブリ、擦り傷等を発生させるブツ(異物状の固まり)やミクログリットの発生防止、写真性に有害な揮発性物質の発生を防止、吸湿度低下、成形機のダイリップ汚れ防止等のためにその表面を表面被覆物質で被覆することが好ましい。
【0101】
表面被覆物質の代表例を以下に示す。
(1) カップリング剤
▲1▼ アジドシラン類を含むカップリング剤被覆(特開昭62−32125号公報等に開示)
▲2▼ シラン系カップリング剤被覆(アミノシラン等)
▲3▼ チタネート系カップリング剤被覆
(2) シリカを沈着させ、つづいてアルミナを沈着被覆
(3) ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩被覆
(4) ステアリン酸ソーダ、ステアリン酸カリウム、オキシ・エチレンドデシル・アミン等の界面活性剤被覆
(5) バリウムイオンの過剰量の存在下に硫化バリウム水溶液と硫酸水溶液とを反応させ、平均粒子径0.1〜2.5μmの硫酸バリウムを生成させ、この水スラリーにケイ酸アルカリ水溶液を加えて硫酸バリウムの表面にケイ酸バリウムを生成させ、次いでスラリーに鉱酸を加え、上記ケイ酸バリウムを含水シリカに分解して硫酸バリウム表面に沈着させ被覆
(6) 金属水和酸化物(チタン、アルミニウム、セリウム、亜鉛、コバルト又はケイ素の水和酸化物の1種又は2種以上)及び/又は金属酸化物(チタン、アルミニウム、セリウム、亜鉛、コバルト又はケイ素の酸化物の1種及び2種以上)のみからなる組成物で表面被覆
(7) 分子内にアジリジン基、オキサゾリン基及びN−ヒドロキシアルキルアミド基よりなる群から選択される1種又は2種以上の反応基を有する重合体を被覆
(8) ポリオキシアルキレンアミン化合物を表面被覆
(9) セリウムカチオン、選択された酸アニオン及びアルミナで表面被覆
(10) 置換基にα−ヒドロキシカルボン酸残基を有するアルコキシチタン誘導体で表面被覆
(11) ポリテトラフルオロエチレンで表面被覆
(12) ポリジメチルシロキサン又はシリコン変性体で表面被覆(13) リン酸エステル化合物で表面被覆
(14) 2〜4価アルコールで表面被覆
(15) オレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス)で表面被覆
(16) 含水酸化アルミニウムを表面被覆
(17) シリカ又は亜鉛化合物(塩化亜鉛、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛、クエン酸亜鉛等の1種又は2種以上組み合わせたもの)で表面被覆
(18) ポリヒドロキシ飽和炭化水素で表面被覆
(19) 界面活性剤(カチオン系、ノニオン系、両性イオン系)で表面被覆
(20) 有機金属キレート化合物(特にβ−ジケトンキレート化合物が写真性、分散性向上等が優れているので好ましい、表面被覆量は遮光性物質に対して0.01〜15重量%が好ましい)で表面被覆、等。
【0102】
上記遮光性物質の表面被覆物質として写真感光材料の写真特性にカブリ発生等の悪影響が少なく、遮光性物質の分散性向上、ブツの発生減少、樹脂の流動性向上等の効果が優れた(1)、(3)、(12)、(14)、(15)、(16)、(18)、(19)等の他に有機金属キレート化合物、各種帯電防止剤、滑剤、防滴剤が好ましい。
【0103】
特に、炭素数が20〜40の脂肪族モノカルボン酸と炭素数が20〜40の脂肪族1価アルコールとのエステル0.001〜2重量%、好ましくは0.005〜1重量%、特に好ましくは0.01〜0.5重量%を添加することにより、上記問題点の防止効果を発揮できることを見出したものである。特に、写真感光材料の写真性に悪影響を減少させるだけでなくモーター負荷を小さくし、遮光性物質の分散性を向上させ、成形性を向上し成形品の外観を優れたものにする。
【0104】
本発明に用いられるエステルとしては、炭素数が20〜40、好ましくは25〜35の脂肪族モノカルボン酸と炭素数が20〜40、好ましくは25〜35の脂肪族1価アルコールのエステルである。
【0105】
上記モノカルボン酸の例としては、モンタン酸、メリシン酸、セロチン酸、ブリシン酸、ラクセル酸等が挙げられる。
【0106】
1価アルコールの例としては、モンチルアルコール、メリシルアルコール、ラクシルアルコール、セリルアルコール、ブリシルアルコール等が挙げられる。
【0107】
これらは、熱可塑性樹脂の流動性を向上させると共に、均一混練を達成せしめるので前記遮光性物質の表面被覆物質としても非常に優れている。さらに、前記無機及び/又は有機造核剤の分散剤として表面被覆に用いると飛散防止、ブリードアウト防止、均一分散性向上、樹脂流動性向上等種々の優れた効果を発揮する。これらの遮光性物質の表面被覆物質の表面被覆量は、カーボンブラック、酸化チタン又はアルミニウム粉末等の遮光性物質に対して、0.001〜10重量%、好ましくは0.001〜5重量%、より好ましくは0.01〜3重量%、最も好ましくは0.05〜1.5重量%である。被覆量が0.001重量%以下では被覆効果がほとんど発揮されない。被覆量が10重量%を越えると経時でブリードアウトの発生が多くなるとともに樹脂とスクリューとのスリップが発生して吐出量が変動する結果、厚さのバラツキが大きくなり実用化困難である。
【0108】
上記合計遮光性物質中の全硫黄量(ASTM D−1619)は1.0%以下、好ましくは0.8%以下、特に好ましくは0.5%以下であり、遊離硫黄分は150ppm以下、好ましくは50ppm以下、特に好ましくは30ppm以下であり、ASTM D−1506による灰分量は0.5%以下、好ましくは0.4%以下、特に好ましくは0.3%以下であり、アルデヒド化合物含有量は0.2%以下、好ましくは0.1%以下、特に好ましくは0.05%以下に抑えないと写真性に悪影響を及ぼすので注意が必要である。
【0109】
さらに、シアン化合物も写真感光材料の写真性能に悪影響を及ぼすので4−ピリジンカルボン酸・ピラゾロン吸光分析法にて定量したシアン化水素量を遮光性物質の重量に対するppm単位に換算した値が20ppm以下、好ましくは10ppm以下、特に好ましくは5ppm以下の遮光性物質である。
【0110】
本発明では着色用遮光性物質を本発明の熱可塑性樹脂組成物中に添加して半透明又は不透明に着色してもよい。これにより剛性が大きくなり、また成形性が改良され、樹脂の着色故障やブツが目立たなくなり、商品価値が上がるので好ましい。さらに無着色の射出成形容器(例えば写真フィルム用容器)やレンズ付きフィルムユニット用包装袋や写真フィルムの集合包装体用包装袋の場合、容器内や包装袋内の写真感光材料の種類の識別に利用できるので好ましい。着色用遮光性物質としては染料、着色顔料、白色顔料、金属粉末、金属繊維、金属フレーク、カーボンブラック等がある。
【0111】
次に色別の着色用遮光性物質の代表例をあげる。
白色…酸化チタン、炭酸カルシウム、雲母、亜鉛華、クレー、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等
黄色…チタンイエロー、黄色酸化鉄、クロムチタニウムイエロー、ジスアゾ顔料、バット顔料、キノフタレン顔料、イソインドリノン等
赤色…ベンガラ、ジスアゾ顔料、ベルレン顔料、モノアゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料等
青色…コバルトブルー、群青、シアニンブルー等
緑色…酸化クロムグリーン、チタニウムグリーン、シアニングリーン等
黒色…カーボンブラック、黒色酸化鉄等
金色…アルミニウム粉末やアルミニウムペーストに黄色被覆、銅粉末等
銀色…アルミニウム粉末、アルミニウムペースト、スズ粉末等
があるが遮光性向上を目的として使用する場合は特にカーボンブラックが安価で樹脂の斑点状着色故障やブツ(異物状の固り)が目立たない、酸化防止相乗効果を有する等の点で好ましい。容器本体にカラー印刷を施す場合は酸化チタンやアルミニウム粉末を使用して金色し、白色、銀色に着色することが好ましい。
【0112】
滑性向上、遮光性向上、着色性向上のために、シリコーン系滑剤を添加することができる。シリコーン系滑剤について以下に詳述する。
【0113】
各種グレードのジメチルポリシロキサン及びその変性物(信越シリコーン、東レシリコーン)及びポリメチルフェニルシロキサン、カルボキシル変性シリコーン、オレフィン変性シリコーン、ポリエチレングルコールやポリプロピレングリコールで変性したポリエーテル変性シリコーン、オレフィン/ポリエーテル変性シリコーン、αメチルスチレン変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、アミド変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、アルコール変性シリコーン等変性されたシロキサン結合を含有したシリコーン系オイルである。該シリコーン系オイル中、特に写真感光材料に悪影響を与えることが少なく、滑性効果と遮光性(不透明化)効果の大きいオレフィン変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ジメチルポリシロキサン、アミド変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、オレフィン/ポリエーテル変性シリコーン等が優れている。
【0114】
このシリコーン系オイルは加熱状態での摩擦係数を低下し、摺動抵抗を低下させ、熱可塑性樹脂フィルムの場合、皺の発生を防止することにより、美しい外観と高度な密封性と被包装体にたるみがない密着性とを有する性能を保持し写真感光材料用遮光袋を得ることが出来る。また、摺動による光沢の低下を防止して、美しいシール部を得ることが出来る。シリコーン系滑剤を併用した場合の本発明では摺動ヒートシールをする場合、高温での摩擦係数を1.4以下にすることが出来る。
【0115】
上記シリコーン系滑剤は、常温における粘度は1,000〜100,000センチストークスの範囲が好ましく、特に好ましくは3,000〜60,000センチストークス、最も好ましくは5,000〜30,000センチストークスの高粘度のものがよい。添加量は種類、使用目的により異なるが0.01〜5.0重量%である。好ましくは0.03〜3.0重量%、特に好ましくは0.05〜1.5重量%である。
【0116】
シリコーン系滑剤は単独で用いても2種類以上で用いても他の滑剤や可塑剤と併用してもよい。
【0117】
シリコーン系滑剤添加の効果は、本発明用途としては次のように多くある。
▲1▼ 樹脂の流動性を向上し、スクリューのモーター負荷を小さくし、メルトフラクチャー発生を防止する。
▲2▼ ブリードアウトして白粉状になる脂肪酸アミドを添加しなくても滑性を十分向上できる。
【0118】
本発明の写真感光材料用成形品に、無機造核剤及び有機造核剤の1種又は2種以上を添加することができる。無機造核剤及び有機造核剤の1種又は2種以上を添加することにより、剛性やアイゾット衝撃強度や耐摩耗性等を改善することができる。また、結晶性樹脂のポリオレフィン樹脂、特に、ホモポリエチレン樹脂、エチレン−αオレフィン共重合体樹脂、プロピレン−αオレフィン共重合体樹脂に添加した場合は、上記特性以外に透明性、成形性(サイクル短縮、成形故障減少)を改善できる。
【0119】
無機造核剤及び有機造核剤の1種又は2種以上の合計含有量は、0.001〜10重量%が好ましく、0.005〜8重量%がより好ましく、0.01〜5重量%が最も好ましい。合計含有量が0.001重量%未満であると、添加効果がなく、混練経費増となるだけである。また、合計含有量が10重量%を超えると、増量効果がなく、コストアップになるだけである。さらに、有機造核剤の場合は、成形時の発煙が多くなり、経時により成形品の表面にブリードアウトして外観を悪化させるだけでなく、白粉となって写真感光材料の感光層に付着して現像阻害を起こす問題を発生するようになる。
【0120】
本発明に使用できる有機造核剤としては、カルボン酸、ジカルボン酸、これらの塩及び無水物、芳香族スルホン酸の塩及びエステル、芳香族ホスフィン酸、芳香族ホスホン酸、芳香族カルボン酸、その他のアルミニウム塩、芳香族リン酸金属塩、炭素数8〜30のアルキルアルコール、多価アルコールとアルデヒドの縮合物、並びにアルキルアミンなどであり、例えばp−t−ブチル安息香酸アルミニウム、1,2,3,4−ジベンジリデンソルビトール、次式で表されるジ置換ベンジリデンソルビトール化合物
【0121】
【化1】
Figure 0003726984
{式中、R1及びR2は炭素数1〜8のアルキル、アルコキシ又はハロゲンであり、m及びnはいずれも0〜3であって且つm+n≧1である。}、ステアリル乳酸のカルシウム、マグネシウム等の金属塩、N−(2−ヒドロキシエチル)−ステアリルアミン等の次式で表される化合物。
【0122】
【化2】
Figure 0003726984
{式中、R3は炭素数が8〜30のアルキル基であり、k及びlはいずれも0〜10であってk+l≧1である。}、1,2−ヒドロキシステアリン酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等の金属塩、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール等のアルキルアルコール、安息香酸ソーダ、安息香酸、セバチン酸などがある。
【0123】
有機造核剤の中で特に好ましいソルビトール化合物の代表例を以下に示す。
di-(o-methylbenzylidene)sorbitol
o-methylbenzylidene-p-methylbenzylidenesorbitol
di-(m-methylbenzylidene)sorbitol
m-methylbenzylidene-o-methylbenzylidenesorbitol
di-(p-methylbenzylidene)sorbitol
m-methylbenzylidene-p-methylbenzylidenesorbitol
1・3-heptanylidenesorbitol
1・3,2・4-diheptanylidenesorbitol
1・3,2・4-di(3-nonyl-3-pentenylidene)sorbitol
1・3-cyclohexanecarbylidenesorbitol
1・3,2・4-dicyclohexanecarbylidenesorbitol
1・3,2・4-di(p-methylcyclohexanecarbylidene)sorbitol
Aromatic hybrocarbon groups or derivatives thereof
1・3-benzylidenesorbitol
1・3,2・4-dibenzylidene-D-sorbitol
1・3,2・4-di(m-methylbenzylidene)sorbitol
1・3,2・4-di(p-methylbenzylidene)sorbitol
1・3,2・4-di(p-hexylbenzylidene)sorbitol
1・3,2・4-di(l-naphthalenecarbylidene)sorbitol
1・3,2・4-di(phenylacetylidene)sorbitol
1・3・2・4-di(methylbenzylidene)sorbitol
1・3・2・4-di(ethylbenzylidene)sorbitol
1・3・2・4-di(propylbenzyledene)sorbitol
1・3・2・4-di(methoxybenzylidene)sorbitol
1・3・2・4-di(ethoxybenzylidene)sorbitol
1・3・2・4-di(P-methylbenzylidene)sorbitol
1・3・2・4-di(P-chlorbenzylidene)sorbitol
1・3・2・4-di(P-methoxybenzylidene)sorbitol
1・3・2・4-di(alkilbenzylidene)sorbitol
1・3・2・4-bis(methylbenzylidene)sorbitol
aluminumbenzoate、等。
【0124】
上記の有機造核剤中でも本発明に特に好ましい上記ジベンジリデンソルビトール化合物を添加して特性を向上できるポリオレフィン樹脂やポリスチレン樹脂やポリアミド樹脂やポリアセタール樹脂等の熱可塑性樹脂の分子量分布(数平均分子量/数平均分子量)は重合製造適性、経済性、物理強度確保と成形性確保のバランスの点で1.1〜30、好ましくは1.3〜20、特に好ましくは1.5〜15であり、最も好ましくは1.7〜10である。特にメタロセン触媒等のシングルサイト触媒のような高活性触媒で重合製造したポリオレフィン樹脂やポリスチレン樹脂の場合は1.1〜10、好ましくは1.1〜8、特に好ましくは1.1〜6、最も好ましくは1.1〜5の分子量分布の樹脂である。有機造核剤の添加効果は、分子量分布が小さい程発揮されることが今回判明した。ここで分子量分布はGPC法により重量平均分子量/数平均測定された分子量より求める。分子量分布が1.1未満では物理強度は非常に優れ、射出成形品では寸法精度が優れるが成形性が悪化すると共に重合製造が困難で高価になる。分子量分布が30を越えるとこの逆になりいずれも実用化困難である。
【0125】
本発明の写真感光材料用成形品に、上記のジ−置換ベンジリデンソルビトール組成物を含ませることにより、特に射出成形品の場合に各種特性が優れる。例えば物理強度、剛性、耐ブリードアウト性、無臭性、透明性、写真性、射出成形性、寸法精度、耐摩耗性等の優れた写真感光材料包装用射出成形品を提供することが出来る。
【0126】
本発明の好ましい有機造核剤組成物が上記の優れた効果を奏する理由は必ずしも明らかでないが、従来のジベンジリデンソルビトールの製造原料であるベンズアルデヒド及び上記のジベンジリデンソルビトール誘導体の製造原料であるp置換ベンズアルデヒド等のベンズアルデヒド誘導体には臭気があって、共に精製後も不可避的にジベンジリデンソルビトール(誘導体)に微量残留して本発明の写真感光材料用成形品の異臭の原因となること、及びジベンジリデンソルビトール化合物が成形時の加熱により若干分解を起こして異臭の原因となることが考えられる。
【0127】
各種の有機造核剤は、単独で用いても各種の無機造核剤との併用、有機造核剤の2種以上を併用することもできる。また、有機造核剤及び/又は無機造核剤の表面を前記遮光性物質の各種の表面被覆物質で被覆することができる。好ましくは各種の脂肪酸、脂肪酸化合物やシリコン等の滑剤、カップリング剤、可塑剤、界面活性剤等の分散剤や湿潤剤等で被覆することができる。特に好ましいのは高級脂肪酸と高級脂肪酸化合物(好ましいのは高級脂肪酸金属塩)と可塑剤の1種以上で表面被覆したジベンジリデンソルビトール化合物である。
【0128】
無機造核剤としては例えば、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト等の 粘土類、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭化水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、等の無機塩、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛等の金属塩化物等が挙げられる。
【0129】
これらの有機造核剤や無機造核剤の配合量は樹脂組成物中に0.01〜5重量%、好ましくは0.03〜3.5重量%、特に好ましくは0.06〜2重量%、最も好ましくは0.1〜1重量%である。
【0130】
配合量が0.01重量%よりも少ないと剛性、耐熱性及び硬度などの向上がなく、また、その配合量を5重量%より多くしても剛性などがそれ以上向上せず、材料費増となるだけである。
【0131】
本発明の写真感光材料用成形品に使用できる熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、酸変性ポリオレフィン樹脂、非結晶性ポリスチレン樹脂、非結晶性ゴム含有ポリスチレン樹脂、結晶性シンジオタクチックポリスチレン樹脂(メタロセン触媒使用品が触媒残渣少で好ましい)、ポリアセタール樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン6樹脂、ナイロン66樹脂、ナイロン12樹脂等)、熱可塑性樹脂エラストマー、ポリエステル樹脂(ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレン・2・6ナフタレート樹脂等)、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂(特開平8−118394号公報6〜7頁記載のGPPS樹脂、HIPS樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AAS樹脂、AES樹脂等)、ポリフェニルスルファイド樹脂等があり、これらの1種又は2種以上を混合して用いることができる。
【0132】
本発明の写真感光材料用成形品の代表例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0133】
(1) フィルム成形品
▲1▼ 単層フィルム成形品(図1);
特公平2−2700号公報等
▲2▼ 多層共押出しフィルム成形品(図2、図3、図4);
▲3▼ 単層フィルム成形品又は多層共押出しフィルム成形品を用いた積層フィルム(図5、図6、図7);
特公昭63−26697号公報、特公平2−2701号公報、特公平2−13774号公報、特公平2−19225号公報等
▲4▼ 上記▲1▼〜▲4▼のフレキシブルシートを用いた包装材料;
包装袋(ユニパック袋、1重平袋、2重平袋、1重ガゼット袋、2重ガゼット袋等)、シュリング包装体、バルク包装体(特開平3−53243号公報、実開平3−71346号公報等)集合包装等及び帯状感光材料の明室装填用包装体
実開昭55−113543号公報、実開昭60−13386号公報、実開昭60−167796号公報、特開平2−72347号公報、実開平3−47547号公報、実開平3−54937号公報、実開平3−86358号公報、実開平3−96648号公報等
【0134】
(2) 射出成形品
写真ディスクフィルム用カートリッジ、写真フィルム用スプール、レンズ付き写真フィルムユニット、写真フィルムパトローネ用容器、遮光容器、樹脂製の写真フィルム用パトローネ、シート状またはロール状写真感光材料の明室装填用遮光マガジン、巻芯、写真フィルム用カートリッジ、インスタント写真フィルム用パック、シート状写真フィルム用ホルダー、写真フィルム撮影用カメラ、カットフィルム用パック、写真感光材料現像処理機等
【0135】
1.写真ディスクフィルム用カートリッジ;
実開昭60−21743号公報等
2.レンズ付写真フィルムユニット;
特開昭63−226643号公報、実公平5−2919号公報、特公平2−32615号公報、特開平6−11798号公報等
3.写真フィルム用スプール;
特開平1−251030号公報、特開昭57−196218号公報、特開昭59−15049号公報、USP1930144号明細書、実開昭63−73742号公報、実開昭54−120931号公報、実開昭58−178139〜178145号公報、実公昭55−31541号公報、特開昭58−203436号公報、特開昭58−82237号公報、特開昭58−82236号公報、実公昭44−16777号公報、実開昭63−73742号公報、特開昭62−240957号公報、特開平4−335638号公報、GB2199805A号明細書等
4.写真フィルムパトローネ用容器;
特開昭61−250639号公報、特開昭61−73947号公報、実開昭60−163451号公報、USP4,801,011号明細書、特開昭63−121047号公報、特開昭62−291639号公報、実開平1−88940号公報、実開平1−113235号公報、実開平1−152337号公報、実公平2−33236号公報、実公平3−48581号公報、特公平2−38939号公報、USP4,639,386号明細書、USP4,801,011号明細書、USP4,979,351号明細書、EP0237062A2号明細書、EP0280065A1号明細書、EP0298375A2号明細書等
5.巻芯、リール;
実開昭60−107848号公報、USP4,809,923号明細書、GB2033873号B明細書
6.シート写真フィルム用マガジン;
昭56−5141号公報等
7.写真フィルム用カートリッジ;
実公昭56−16610号公報、実開平2−24846号公報、実開平2−29041号公報、実公昭60−120448号公報、特開平1−312537号公報等
8.写真フィルム用ケース;
USP4,779,756号明細書、実開昭54−100617号公報、実開昭64−32343号公報、実開平1−94258号公報、実開平2−56139号公報、EP0242905A1号明細書、特公平2−54934号公報等
9.インスタントフィルム用パック;
実開昭61−41248号公報、特開昭62−240961号公報等
10.樹脂製の写真フィルム用パトローネ{例えば新写真フィルムシステム(略号APS)用パトローネ等};
特開昭50−33831号公報、特開昭57−190948号公報、特開平1−312538号公報、特公昭45−6991号公報、特公昭55−21089号公報、実開昭55−97738号公報、米国特許第4,834,306号明細書、米国特許第4,846,418号明細書、米国特許第4,887,776号明細書等
11.シート写真フィルム用ホルダー
米国特許第4,725,865号明細書、米国特許第4,821,055号明細書、特開平5−341378号公報、特開平5−341379号公報、特開平5−341378号公報、特開平5−341379号公報、特開平5−341380号公報、特開平5−341381号公報、特開平6−75291号公報、特開平6−75292号公報、特開平6−75293号公報等
【0136】
特に長期間、且つ過酷条件下で使用され、しかも写真感光材料が直接接触するカメラ本体、カメラ部材(内レール、圧板、フィルム給送路、ガイド部材、蓋部材、フィルムカートリッジ等)、レンズ付きフィルムユニット、写真フィルム用スプール、写真感光材料の現像処理機、シート写真フィルム用ホルダー、樹脂製写真フィルム用パトローネ(APS用パトローネ等)に好ましい(米国特許第4,725,865号明細書、米国特許第4,821,055号明細書、特開平2−272538号、特開平4−251841号、特開平7−5635号、特開平7−20613号、特開平8−146561号、特開平8−146562号、特開平8−227123号、特開平8−254795号、特開平8−262559号、特開平8−262560号、特開平8−272046号、特開平8−278603号、特開平9−34064号、特開平9−61930号等の各公開公報に代表例が開示されている。)。
【0137】
写真感光材料用成形品を成形する方法は、各成形品の形態により適切な方法を用いればよく、例えばインフレーションフィルム成形、エクストルージョンラミネート成形、射出成形、インジェクション・ブロー組み合わせ成形、真空成形、真空圧空成形、プレス成形、シート成形、Tダイフラットフィルム成形、圧空成形、回転成形、金型内真空射出成形等の方法で成形する。
【0138】
また、遷移金属成分及び/又は有機金属成分中にハロゲン成分を主成分として含む触媒を用いて製造したハロゲン成分含有熱可塑性樹脂を50重量%以上含む熱可塑性樹脂組成物を、60℃以上、好ましくは70℃以上、特に好ましくは80℃以上の温度で1時間以上加熱後、樹脂温度150℃以上、好ましくは160℃以上、特に好ましくは170℃以上、最も好ましくは180℃以上で加熱溶融後成形することにより、成形品中のハロゲン成分量を60ppm以下、好ましくは50ppm以下、特に好ましくは40ppm以下、最も好ましくは4〜30ppmになるようにして写真感光材料用成形品を成形する。
【0139】
さらに、遷移金属成分と有機金属成分とを主成分とする触媒を用いて製造された金属成分含有熱可塑性樹脂を、触媒失活剤を用いて触媒残滓を抽出することにより金属成分含有熱可塑性樹脂中の残留ハロゲン成分量を60ppm以下、好ましくは50ppm以下、特に好ましくは40ppm以下、最も好ましくは4〜30ppmにした後、150℃以上、好ましくは160℃以上、特に好ましくは170℃以上、最も好ましくは180℃以上で加熱溶融成形して写真感光材料用成形品を成形する。
【0140】
また、以上の写真感光材料用成形品の成形方法において、150℃以上の加熱溶融を2回以上とすることが好ましい。これにより、成形品中の残留ハロゲン成分量を60ppm以下にすることができる。
【0141】
本発明の写真感光材料用成形品を成形するには、例えば、図18に示すAPS用パトローネは、非結晶性樹脂のゴム含有スチレン樹脂を主成分とする射出成形品は150℃以上の樹脂温度にしたゴム含有スチレン樹脂を主体とする樹脂組成物を、コア・キャビティ部の壁面温度が70〜200℃の金型に射出充填し、コア・キャビティ部の壁面温度が樹脂組成物中のスチレン樹脂部分のガラス転移温度以下になった時点で射出成形品を取出す。
【0142】
また、本発明の写真感光材料用成形品をポリスチレン系樹脂を用いて射出成形する他の例としては、金型内のコア・キャビティー部の壁面温度を70〜200℃にし、この状態で150℃以上で加熱溶融したゴム含有スチレン樹脂を射出充填する。金型壁面温度が70℃未満であると、樹脂の流動性が低下し、ショートショットやウェルドラインの発生がしやすくなり、射出成形品の衝撃強度が低下する。また、壁面温度が200℃を超えると、冷却時間が長くなり成形サイクルが長くなり生産性が低下し、樹脂の熱劣化が大きくなり写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼす物質が発生したり、ブツ(異物状の黒褐色の固り)の発生や金型表面の汚れ等が発生し長時間の連続射出成形が困難になる。
【0143】
そして、コア・キャビティー部の壁面温度がゴム含有スチレン樹脂のガラス転移点温度以下、好ましくは70℃以下、より好ましくは60℃以下、最も好ましくは50℃以下になった時、射出成形された写真感光材料用成形品を取り出す。ガラス転移点温度より高い温度の時取り出すと、射出成形品に変形が発生し、変形したり、寸法精度の悪い、写真感光材料用射出成形品としては使用できない射出成形品となる。
【0144】
本発明の写真感光材料用成形品を製造する時使用する樹脂ペレットの形状は樹脂ペレットの均一溶融性確保(ブツの発生防止に有効)と2種以上(例えばマスターバッチと希釈用樹脂)の樹脂をブレンドするときの均一混合化を図る目的でペレットの形状は球形,卵形,円柱形,角柱形,平板形,正方形,長方形の形状のいずれか1つ又は2つの形状にすることが好ましい。特に球形,卵形,円柱形とすることがペレットの空送適性,微粉末の発生防止の点で好ましい。
【0145】
この場合でもペレットの直径又は1辺の長さは0.5〜10mm、好ましくは1〜8mm、特に好ましくは2〜7mm、最も好ましくは3〜6mmとする。
【0146】
ペレットの体積も均一溶融性確保等のために略等しいことが好ましく、差があっても3倍以内にすべきである。
【0147】
本発明の写真感光材料用成形品に、CASコード(カメラ自動検出コード)、バーコード、CIマーク、商品名、取扱い説明、商品識別マーク、商品識別色等、機能上必要な文字や記号、あるいは商品価値を高めるために印刷を施すことができる。または、これらの印刷を施した少なくとも縦方向に延伸したシュリンクフィルムやラベルやレーベルを本発明の成形品に貼り付けたり、熱収縮させ取付けた写真感光材料包装体としてもよい。これらの印刷に使用されるインキとしては、写真感光材料に無害なものが選ばれ、一般に使用されているオフセット印刷用インキ、グラビア印刷用インキ又はUVインキ等から選ぶことができる。
【0148】
これらのインキに使用される代表的な合成樹脂は、塩化ビニルを主体とする共重合体樹脂、ビニル・アミノ樹脂、アルキド・ビニル樹脂、オイルフリーアルキド樹脂、塩酢ビ系、硝化綿、ポリエステル、ポリアミドウレタン、ポリアクリル、ロジン変性マレイン酸、エチレン酢ビ、ビニールエーテル、ウレタン酢ビ、塩酢ビウレタン樹脂、変性アルキッド樹脂、変性フェノール樹脂、高分子ポリエステル・アミノ樹脂、低分子ポリエステル・アミノ樹脂、アルカリ可溶型樹脂(ロジン変性マレイン酸樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、スチレンアクリル酸樹脂、アクリル酸エステルアクリル酸樹脂、メタクリル酸エステルアクリル酸樹脂)、ハイドロゾル型樹脂(スチレンマレイン酸樹脂、スチレンアクリル酸樹脂、α−メチルスチレンアクリル酸樹、アクリル酸エステルアクリル酸樹脂、メタクリル酸エステルアクリル酸樹脂)、エマルジョン型樹脂(スチレン樹脂、スチレンアクリル酸エステル樹脂、アクリル酸エステル共重合樹脂、メタクリル酸エステル共重合樹脂)、VUインキ用の樹脂としては、アクリル系不飽和基を持つポリマーが一般的に使用されており、代表的な例としてはポリエステル/アクリル酸エステル、ポリエステル/ウレタン樹脂/アクリル酸エステル、エポキシ樹脂/アクリル酸エステル、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ヒドロキシエチレンメタクレートが挙げられる。
【0149】
また、これらのインキには一般に知られている着色剤が併用される。使用される着色剤としては、特開昭63−44653号公報、特表平1−502758号公報等に記載されている各種顔料及びアゾ顔料(アゾレーキ;カーミン6B、レッド2B、不溶性アゾ;モノアゾイエロ(PY−1、3)、ジスアゾイエロ(PY−12、13、14、17、83)、ピラゾロオレンジ(PO−B−34)、バルカンオレンジ(PO−16)、縮合アゾ系;クロモフタルイエロ(PY−93、95)、クロモフタルレッド(PR−144、166)、多環式顔料(フタロシアニン系;銅フタロシアニンブルー(PB−15、15−1、15−3)、銅フタロシアニングリーン(PG−7)、シオキサジン系;ジオキサジンバイオレット(PV−23)、イソインドリノン系;イソインドリノンイエロ(PY−109、110)、スレン系;ペリレン、ペリノン、フラバントロン、チオインジゴ、レーキ顔料(マラカイトグリーン、ローダミンB、ローダミンG、ビクトリアブルーB)又無機顔料(酸化物;二酸化チタン、ベンガラ、硫酸塩;沈降性硫酸バリウム、炭酸塩;沈降性炭酸カルシムウ、珪酸塩;含水珪酸塩、無水珪酸塩、金属粉;アルミニウム粉、ブロンズ粉、亜鉛末、その他カーボンブラック、黄鉛、群青、紺青)等が挙げられる。またこれ等の顔料は遮光性物質として前述の樹脂層等に添加しても構わない。この他に油溶性染料、分散性染料等も使用される。代表的な染料を大別するとアゾ染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、フタロシアニン染料、カルボニル染料等がある。その他インキを構成する原材料として必要に応じて各種溶剤、分散剤、湿潤剤、消泡剤、レベリング剤、増粘剤、安定剤、架橋剤、ワックス等の添加剤が使用される。これらのインキ組成物として用いられる合成樹脂や着色剤は塗料として成形品の表面に塗布して商品価値の向上、耐摩耗性の向上、遮光性の向上、写真性良化等の目的で用いることも好ましい。
【0150】
さらに本発明の写真感光材料用成形品の商品価値向上、印刷インキの印刷が美しく、且つ彩えるようにする目的でベースコート層やトップコート層として各種の塗料を塗布することができる。この塗料用樹脂と顔料については前記記載のインキ用のものを用いることが出来るが特にUV塗料、メラミンアルキド塗料、ウレタン塗料、メラミン塗料が好ましい。トップコート層は透明なラッカー塗料、シリコーン系塗料、ウレタン塗料、アクリルラッカー塗料を厚さ0.1〜30μm、好ましくは0.3〜20μm、特に好ましくは0.5〜10μmの薄層で塗布することが好ましい。
【0151】
本発明の写真感光材料用成形品が適用可能な写真感光材料を以下に示す。
(1) ハロゲン化銀写真感光材料(印刷用フィルム、カラーまたは白黒印画紙、カラーまたは白黒ネガフィルム、印刷用マスター紙、DTR(拡散転写)感光材料、電算写植フィルム及びペーパー、カラーまたは白黒ポジフィルム、カラーリバーサルフィルム、マイクロフィルム、映画用フィルム、自己現像型写真感光材料、直接ポジ型フィルム及びペーパー等)
(2) 熱現像感光材料(熱現像カラー感光材料や熱現像白黒感光材料(例えば特公昭43−4921号公報、同43−4924号公報、「写真工学の基礎」銀塩写真編(1879年コロナ社刊行)の553頁〜555頁及びリサーチ・ティスクロージャー誌 1978年6月号9頁〜15頁(RD−17029)等に記載されているもの。さらに、特開昭59−12431号公報、同60−2950号公報、同61−52343号公報や米国特許第4,584,267号明細書に記載されている転写方式の熱現像カラー写真感光材料等)さらにまた、ジアゾ化合物を用いた多色感熱記録材(例えば、特開昭59−190886号公報、特開昭61−40192号公報、特開昭61−40193号公報、特開平3−288688号公報、特開平4−28585号公報等)
(3) 感光・感熱性記録材料(特開平3−72358号公報等に記載されているフォトサーモグラフィー(感光・感熱画像形成方法)を用いた記録材料)
(4) ジアゾニウム写真感光材料(4−モルフォリノベンゼンジアゾニウムマイクロフィルム、マイクロフィルム、複写用フィルム、印刷用版材等)
(5) アジド、ジアジド系写真感光材料(パラアジドベンゾエード、4,4’ジアジドスチルベン等を含む感光材料、例えば複写用フィルム、印刷用版材等)
(6) キノンジアジド系写真感光材料(オルソーキノンジアジド、オルソーナフトキノンジアジド系化合物、例えばベンゾキノン(1,2)−ジアジド−(2)−4−スルフォン酸フェニルエーテル等を含む写真感光材料、例えば印刷用版材、複写用フィルム、密着用フィルム等)
(7) フォトポリマー(ビニル系モノマー等を含む写真感光材料、印刷用版材、密着用フィルム等)
(8) ポリビニル桂皮酸エステル系感光材料(例えば印刷用フィルム、IC用レジスト等)
【0152】
これらの写真感光材料を長期間(6ヵ月以上)写真性が良好な状態に維持できるように、本発明の写真感光材料用成形品を用いて包装体とする時に、写真感光材料が透湿度(JIS Z 0208の条件Bで測定)の値が20g/m2・24時間以下、好ましくは5g/m2・24時間以下、特に好ましくは2g/m2・24時間以下、酸素透過度(モコン同圧測定法)の値が50cc/m2・24時間・1気圧・20℃以下、好ましくは35cc/m2・24時間・1気圧・20℃以下、特に好ましくは20cc/m2・24時間・1気圧・20℃以下となるよう密封包装体とすることが好ましい。
【0153】
その他、各種の光や酸素や亜硫酸ガス等により変質、劣化する写真現像薬品、写真定着薬品等にも適用できる。
【0154】
また、本発明の写真感光材料用成形品に用いることが好ましい各種構成の代表例を記載する。
【0155】
本発明の写真感光材料包装体は、上述した写真感光材料用成形品を用いて写真感光材料と共に密封・防湿包装したものである。この写真感光材料包装体のにおいて、透湿度(JIS Z 0208の条件Bで測定)の値が10g/m2・24時間以下、酸素透過度(モコン同圧測定法)の値が50cc/m2・24時間・1気圧・20℃以下であることが好ましい。
【0156】
透湿度が10g/m2・24時間を越えると、水分により劣化する増感色素やカプラーやハレーション防止用色素や各種添加剤等を数多く含む写真感光材料の写真性を長期間(6ヵ月以上)良好な状態に維持できない。さらに吸湿するとブロッキングしやすくなるゼラチン層が支持体の表裏のいずれか一方または両方に存在する写真感光材料ではブロッキングが発生しやすくなり実用化困難である。
【0157】
酸素透過度が50cc/m2・24時間・1気圧・20℃を越えると、酸素により劣化する増感色素やハレーション防止用色素やカプラーその他の酸化されやすい写真感光材料の乳剤塗布層中の添加剤が劣化して写真性が悪化するので実用化困難である。特にカラーバランスを要求されるカラー写真感光材料(ネガフィルム、ポジフィルム、印画紙、反転フィルム、オートポジフィルム、インスタントフィルム等)では実用化不可である。
【0158】
また、写真感光材料包装体は、上記写真感光材料用成形品とハロゲン成分吸着体とを用いて写真感光材料と共に密封・防湿包装する。このハロゲン成分吸着体は、無機鉛塩安定剤、脂肪酸金属塩、液状安定剤(バリウム−カドミウム、バリウム、亜鉛系等)、有機錫安定剤、有機亜リン酸化合物である。特に脂肪酸金属塩と有機錫安定剤と有機亜リン酸化合物が好ましく、最も好ましいのは有機錫安定剤である。添加量は0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%である。
【0159】
本発明の写真感光材料用包装体中のアセチルアセトン法で測定したホルムアルデヒドの含有量は500ppm以下、好ましくは300ppm以下、特に好ましくは150ppm以下、最も好ましくは75ppm以下にすることにより写真性を良好に維持できる。ゼラチンを主成分とする写真感光材料に6ヶ月以上の保管期間中にかびが発生したり成形品にかびが発生するのを防止するために特開平4−149542号公報6頁左下欄8行〜8頁左下欄6行に記載されている防かび剤の0.001〜1重量%添加や減菌処理した熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
【0160】
本発明の写真感光材料用成形品を防湿包装材料に適用した場合、この防湿包装に使用する防湿包装材料としては、包装袋、シュリンク包装、オーバーラップ包装用として単層の熱可塑性樹脂フィルム、各種のフレキシブルシート(紙、セロハン、金属箔、熱可塑性樹脂フィルム、不織布、合成紙、一酸化ケイ素(SiO)等のケイ素酸化物(SiOx)やシリカ等の無機物質蒸着フィルム、酸化アルミニウムやアルミニウム等の金属蒸着フィルム、金属蒸着紙等)を接着剤層を介して本発明の熱可塑性樹脂成形フィルムを積層した積層フィルム、複数の熱可塑性樹脂フィルムを同時に共押出しした多層共押出しフィルム、多層共押出しインフレーションフィルムの内層同士を接着させた積層フィルム等がある。フレキシブルシート中及び本発明の熱可塑性樹脂フィルムは無延伸、一軸延伸、二軸延伸等の分子配向加工を施した各種の樹脂フィルムがある。
【0161】
ISO感度100以上の高感度写真感光材料用防湿包装材料のJIS Z 0208条件Bで測定した透湿度は、5g/m2・24時間以下であり、好ましくは3g/m2・24時間以下、より好ましくは1.5g/m2・24時間以下である。透湿度が5g/m2 ・24時間を超えると、親水性高分子であるゼラチンを含む写真感光材料の感光層や保護層やバック層が吸湿して粘着性をおび接着故障を発生させたり、感光層中の各種色素が劣化して感度低下、カブリ増加等、写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼす。特に高感度(ISO感度100以上)の写真感光材料ではこの傾向が大きく防湿性確保は必須である。
【0162】
本発明の写真感光材料用成形品を図面に基づいて説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0163】
図1から図4は写真感光材料用遮光性フィルムの部分断面図である。
【0164】
図1に示す写真感光材料用遮光性フィルムは、本発明の写真感光材料用成形品としての遮光性熱可塑性樹脂フィルム層1aのみからなる単層フィルムで形成されている。
【0165】
図2に示す写真感光材料用遮光性フィルムは、本発明の写真感光材料用成形品としての遮光性熱可塑性樹脂フィルム層1aと遮光性物質が添加された熱可塑性樹脂フィルム層2aとからなる2層共押出しフィルムIIaで形成されている。
【0166】
図3に示す写真感光材料用遮光性フィルムは、本発明の写真感光材料用成形品としての遮光性熱可塑性樹脂フィルム層1aと熱可塑性樹脂フィルム層2とからなる2層共押出しフィルムIIaで形成されている。
【0167】
図4に示す写真感光材料用遮光性フィルムは、本発明の写真感光材料用成形品としての遮光性熱可塑性樹脂フィルム層1aと遮光性物質が添加された熱可塑性樹脂フィルム層2aとからなる2層共押出しフィルムIIaの内側の層の1aと1aをブロッキングBにより接着積層して形成されている。
【0168】
図5に示す写真感光材料用遮光性フィルムは、本発明の写真感光材料用成形品としての遮光性熱可塑性樹脂フィルム層1aと熱可塑性樹脂フィルム層2とからなる2層共押出しフィルムIIaの内側の層の1aと1aをブロッキングBにより接着積層して形成されている。
【0169】
図6に示す写真感光材料用遮光性フィルムは、本発明の写真感光材料用成形品としての遮光性熱可塑性樹脂フィルム層1aに、接着剤層3を介してフレキシブルシート層4を積層して形成されている。
【0170】
図7に示す写真感光材料用遮光性フィルムは、本発明の写真感光材料用成形品としての遮光性熱可塑性樹脂フィルム層1aと遮光性物質が添加された熱可塑性樹脂フィルム層2aとからなる2層共押出しフィルムIIaに、接着剤層3を介してフレキシブルシート層4を積層して形成されている。
【0171】
図8に示す写真感光材料用遮光性フィルムは、本発明の写真感光材料用成形品としての遮光性熱可塑性樹脂フィルム層1aと遮光性物質が添加された熱可塑性樹脂フィルム層2aとからなる2層共押出しフィルムIIaに、接着剤層3を介してフレキシブルシート層4に金属薄膜5を加工した金属薄膜加工フレキシブルシート6を積層して形成されている。
【0172】
次に、前記図4に示す写真感光材料用遮光性フィルムを製造する方法を、図9から図11に基づいて説明する。
【0173】
まず、遮光性熱可塑性樹脂フィルム層1a用樹脂を押し出し機11に、遮光性物質が添加された熱可塑性樹脂フィルム層2a用樹脂を押し出し機12に投入し、それぞれ加熱溶融する。次に、リングダイス13の内側のスリットから遮光性熱可塑性樹脂フィルム層1a用樹脂を、外側のスリットから遮光性物質が添加された熱可塑性樹脂フィルム層2a用樹脂をそれぞれ押し出し、遮光性熱可塑性樹脂フィルム層1a及び熱可塑性樹脂フィルム層2aを形成する。このとき、送風管14からの圧縮空気とエアーリング15からの冷却空気により、第9図中a部の拡大断面図である第10図に示すように、遮光性熱可塑性樹脂フィルム層1aと遮光性物質が添加された熱可塑性樹脂フィルム層2aとからなる遮光性2層共押出しインフレーションフィルムIIaが成形される。
【0174】
この遮光性2層共押出しインフレーションフィルムIIaは、一対の(一般に耐熱性弾性ロールと金属ロールの組み合わせ)引取用スクイズロール(ニップロール又はピンチロールとも呼ぶ)16で引っ張られ、ガイドローラー17及びガイド板18を介して上昇する。そして、一対の引取用スクイズロール16で圧着されて平板状に折り畳まれ、b部の拡大断面図である第11図に示すように、内側の遮光性熱可塑性樹脂フィルム層1a同士がブロッキングBにより接着され、写真感光材料用遮光性フィルムが完成する。
【0175】
図12は、本発明の写真感光材料用成形品としての写真フィルムパトローネ用容器20の切断断面図で、この写真フィルムパトローネ用容器20は、容器本体21と蓋22とで構成されており、容器本体21及び蓋22の両方が本発明の写真感光材料用成形品である。
【0176】
図13は、本発明の写真感光材料用成形品としての写真フィルムパトローネ用容器30の斜視図で、この写真フィルムパトローネ用容器30は容器本体31と蓋32とが一体に形成され、これらが本発明の遮光性熱可塑性樹脂組成物で形成されている。
【0177】
図14は、本発明の写真感光材料用成形品としての写真フィルム用スプール40の正面図で、この写真フィルム用スプール40全体が本発明の遮光性熱可塑性樹脂組成物で形成されている。
【0178】
図15は、本発明の写真感光材料用成形品としての写真フィルム用遮光ケース50の断面図で、写真フィルム用遮光ケース50は、容器本体51と蓋52が一体に構成され、本発明の遮光性熱可塑性樹脂組成物で形成されている。
【0179】
図16は、本発明の写真感光材料用成形品としての写真フィルム用カートリッジ60の分解斜視図で、この写真フィルムカートリッジ60は、下部ケース61及び上部ケース62と、これらに装填される写真フィルムと遮光紙64を共巻き状態で巻き取るスプール63とで構成されており、下部ケース61及び上部ケース62が本発明の遮光性熱可塑性樹脂組成物で形成されている。
【0180】
本発明の写真感光材料成形品を使用した写真フィルムパトローネについて、図17及び図18を参照して説明する。図17及び図18において、パトローネ本体110は、各々プラスチックで形成された上ケース111、下ケース112から構成されている。パトローネ本体110の内部にはスプール113が回動自在に収納され、このスプール113に写真フィルム114がロール状に巻き付けられる。
【0181】
上下ケース111、112はそれぞれ略半円筒形状をしており、その一部にはそれぞれポート部115が突出して形成されている。上ケース111と下ケース112とを嵌合させるときに、ポート部115内に遮光蓋116が回転自在に嵌め込まれる。遮光蓋116には平坦なフィルム通路117が形成され、遮光蓋116が開き位置に回動したときにはパトローネ本体110内から送り出されてくる写真フィルム114の通路となる。また、遮光蓋116が閉じ位置に回動したときには、ポート部115の先端部分に形成される開口(写真フィルム出入り口)が完全に閉じられ、パトローネ本体110内は遮光状態となる。
【0182】
下ケース112のポート部115の奥には、突起118が形成されている。この突起118は、スプール113に巻かれた写真フィルム114の先端部をすくい上げてフィルム通路117に導くためのガイドである。
【0183】
ディスク119、120には、それぞれ開口119a、120aが形成されており、スプール113を各開口119a、120aに挿通することによりスプール113の所定位置に嵌め込まれ、スプール113に対し回転可能に軸着される。ディスク119、120の外周には、リップ121がそれぞれ向き合うように突出し、スプール113に巻かれた写真フィルム114の最外周を両端面側から部分的に包み込むようになっている。
【0184】
ディスク120は、使用表示部品123がスプール113に嵌め込まれると、クラッチ爪124とディスク120の係止穴125とが、スプール113をフィルム送り出し方向に回転したときに互いに係止して、ディスク120を強制的に回転できるようになる。また、フィルム巻き込み方向にスプール113を回転したときには、クラッチ爪124とディスク120の係止穴125とは係止せずにディスク120は自由に回転できる。また、他方のディスク119はスプール113に対し回転自在のままである。なお、使用表示部品123には扇形の表示板123aが一体化され、その位置をパトローネ本体110に形成された表示窓を通して確認することによって、この写真フィルムパトローネの使用状態が判別できるようになっている。
【0185】
上ケース111、下ケース112の側面内壁には側面リブ126が設けられ、ディスク119、120が互いに広がらないように規制している。スプール113には扇形板127が固定され、その表面にはデータフランジラベル128が貼付される。このラベル128には放射状にバーコードが記されており、バーコードはスプール113を回転したときにパトローネ本体110の側面に形成された窓129を通して光電検出される。これにより、パトローネ本体110内に収納された写真フィルム114の品種情報、撮影枚数情報などを電気的に検知することができる。なお、パトローネ本体110に貼付されるラベル130には、フィルム品種表示やパトローネの固有番号などが表示される。
【0186】
スプールロック部品131は、遮光蓋116が閉じ位置に回動したときに、スプール113が回転しないようにロックする。このロックは、遮光蓋116が開き位置に移動したときに解除される。なお、符号132は上ケース111に一体に形成されたロックポールを示し、このロックポール132によって遮光蓋116は閉じ位置に回動したときにロックされる。このロックは、写真フィルムパトローネをカメラやディスプレイ装置等の装置にセットしたときに、これらの装置に設けられた遮光蓋116の開放機構によって開示される。なお、遮光蓋116を用いる代わりに、ポート部115の内壁にフィルム通路を形成し、このフィルム通路にテレンプを貼付することによってパトローネ本体110内を光密に保つことも可能である。
【0187】
図19に示したように、写真フィルム114がパトローネ本体110内に完全に巻き込まれている状態では、写真フィルム114の最外周はディスク119、120のリップ121、121によって部分的に包み込まれ、スプール113からの巻き緩みが防止されている。これにより、スプール13が写真フィルム114の送り出し方向に回転したとき、写真フィルム114はスプール113とともに一体となって回転するようになる。
【0188】
上下ケース111、112の側面内壁に設けられた側面リブ126は、ディスク119、120が互いに広がらないように規制しているが、ポート部115の奥ではその規制が解除されるように、対面し合った側面リブ126相互間の間隔が広げられている。このため、突起118で写真フィルム114の先端がすくい上げられた後、フィルム通路117に進むときには、ディスク119、120がわずかに外側に広がり、写真フィルム114はリップ121、121の間から樋状カールを作って送り出されるようになる。
【0189】
なお、側面リブ126は片側だけに設けても同様の効果が期待できる。また、リップ121のフィルム巻き緩みを解除する方法としては、一対の分離爪をフィルム幅方向の両側に設け、一対の分離爪の外側面同士で一対のリップを互いに離れる方向に向けて部分的に常に変形させるようにしてもよい。
【0190】
上記写真フィルムパトローネをカメラに装填すると、カメラ側の機構によってロックポール132による遮光蓋116の係止が解除された後、遮光蓋116が開き方向に回動される。その後、スプール113が送り出し方向に駆動され、写真フィルム14の送り出しが開始される。ディスク119、120の外周に形成したリップ121、121が写真フィルム114の巻き緩みを防いでいるため、写真フィルム114はスプール113と一体となって回転する。この回転中に、写真フィルム114の先端が突起118ですくい上げられ、フィルム通路117に導かれる。
【0191】
こうして写真フィルム114の先端がフィルム通路117に導かれると、リップ121、121は写真フィルム114により両側に押し広げられるため、フィルム通路117の奥では写真フィルム114の包み込みが解除される。なお、一方のディスク120はクラッチ爪124と係止穴125との係合により強制的に送り出し方向に回転されるため、写真フィルム114を送り出す力が強められる。こうして写真フィルム114がパトローネ本体110外に送り出されるようになる。
【0192】
巻戻し時にはスプール113が逆向きに回転される。写真フィルム114の後端はスプール113に係止されているため、写真フィルム114はスプール113の逆転によりパトローネ本体110内に巻き込まれる。このとき、フィルム通路117の奥ではディスク119、120が広げられ、写真フィルム114はディスク119、120間に引き込まれ、スプール113に巻き付けられる。
【0193】
図20に示すように、ディスク119、120は互いに輪郭形状が同じとされている。開口119a、120aは、写真フィルム114の両端を揃える面138よりも一段凹んだ面139に形成されている。リップ121は、面138の外周に、それぞれ他方のディスク119、120に向き合うように突出し、スプール113に巻かれた写真フィルム114の最外周を両端面側から部分的に包み込むようになっている。
【0194】
リップ121の外周には鍔122が一体に設けられている。鍔122は、リップ121が広がらないようにするための補強の作用をする。また、フィルム巻き込みの際に写真フィルム114がリップ121の内部に向けて入り込みやすいようにガイドする作用をもたせるために、鍔122は対向する面122aの先端が互いに離れるように傾斜した断面形状とされている。
【0195】
ウェブ140は、ポリスチレン変性ポリフェニレンエーテルにエラストマー成分を加えたもので、ポリスチレンとポリフェニレンエーテルの比率は3対7であり、エラストマー成分は12部とされている。なお、必要に応じてシリコンや帯電防止剤を添加することもある。また、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンフィルム等を使用することもある。ウェブ140の厚みは0.15mm±30%であり、好ましくは0.15mm±20%、特に好ましくは0.15mm±10%となっている。また、ウェブ140の幅は、200〜300mmとなっている。
【0196】
図21は、本発明の写真感光材料用成形品としてのレンズ付きフィルムユニット80の分解斜視図で、このレンズ付きフィルムユニット80は、写真フィルムを巻きつけたスプール81を光密に収納する写真フィルム用パトローネ82をさらに光密に収納するための下部ケース83と、この下部ケース83を遮光的に密封する上部ケース84とで構成され、これら下部ケース83及び上部ケース84が本発明のカーボンブラック及び/又はアルミニウム粉末等を含むポリオレフィン樹脂組成物で形成されているが、従来のものはカーボンブラックを含むポリスチレン樹脂、ポリメチルメタアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂等の遮光性熱可塑性樹脂組成物で形成されている。一方、レンズ85やファインダー86等は無着色のポリカーボネート樹脂(PCと表示)、ポリスチレン樹脂(PS樹脂と表示)やポリメチルメタアクリレート樹脂(PMMA樹脂と表示)等の透明熱可塑性樹脂組成物で形成されている。
【0197】
図22は本発明の写真感光材料用成形品としての特開平7−168321号公報や特開平8−286326号公報等に開示されていると同種の写真フィルムパトローネ用容器の平面図、図23は同上写真フィルムパトローネ用容器の一部切り欠いた断面図、図24は同上写真フィルムパトローネ用容器の蓋を取った状態の斜視図、図25は同上写真フィルムパトローネ用容器の蓋を取った状態の平面図である。
【0198】
この写真フィルムパトローネ用容器は、容器本体151と蓋152とで構成され、容器本体151には溝153が形成されるとともに、蓋152には溝153に嵌合する突起154が形成されている。また、蓋152には、容器本体151より外側に突出した突出部155が形成されている。
【0199】
図26は、本発明の写真感光材料用成形品としての帯状感光材料用コア240の反樹脂注入口側の斜視図で、この帯状感光材料用コア240の全体が本発明の樹脂組成物で形成されている。この帯状感光材料用コアの外円筒242の内表面には高さ0.0001〜0.07mmの環状の凸条243が複数本設けられており帯状感光材料用コアの射出成形性や物理強度及び外観を良化させている。
【0200】
図27は、本発明の写真感光材料用成形品としての袋入りシートフィルム用ホルダーの斜視図で、このシートフィルム用ホルダー280はカメラの背部に装着されて袋入り写真フィルムが出し入れされるものである。
【0201】
図28も、本発明の写真感光材料用成形品としての特開平8−262557号公報や特開平9−22060号公報等に開示されているパック入りシート写真フィルム用ホルダーの斜視図で、このシート写真フィルム用ホルダー290はカメラの背部に装着されてシート写真フィルム用パックが出し入れされるものである。
【0202】
図29に示す包装体はパトローネ入35mm写真フィルム集合包装体で、このパトローネ入35mm写真フィルム集合包装体270は、基板271に防湿剤が混練された本発明の写真感光材料用成形品としての透明プラスチックケース272が取付けられ、その中にパトローネ入35mm写真フィルム273が収納されている。
【0203】
図30に示す包装体はレンズ付きフィルムユニット包装体で、このレンズ付フィルムユニット包装体250は、図12に示すレンズ付きフィルムユニット221から成るレンズ付きフィルムユニットを本発明の写真感光材料用成形品としての包装袋251に密封収納することにより製造される。
【0204】
図31は、本発明の写真感光材料包装体を構成するの写真フィルムパトローネ本体217の断面図である。この図において符号217はパトローネ本体で、このパトローネ本体217は、金属基体(厚さ0.15〜0.35mmのティンフリースチールが好ましい)261と、この金属基体261の外表面に塗布された白色顔料入下塗り層262とこの下塗り層262の表面に印刷されたブランド名、模様、CIマーク、バーコード等の着色インキ層263とから成る着色層265と、この着色層265の外表面に設けられた透明又は半透明の保護層264とで形成されている。金属基体261の内表面にはカーボンブラック入黒色塗布層が形成されている。必要なら、黒色塗布層266の表面に保護層264を設けてもよい。パトローネ本体260の両端を封止するキャップ、内部に収納されるスプール220は、図14等に示す形状で本発明の熱可塑性樹脂で構成されている。スプールに写真フィルムを巻き付けた状態で図12、図13等の写真フィルム用容器で密封包装する。
【0205】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0206】
〈本発明品1〜6〉
遷移金属成分として四塩化チタン(TiCl4)、有機金属成分として有機アルミニウム化合物を用いて触媒効率の異なる表3のプロピレン−エチレン共重合体樹脂を重合した(エチレン含有量2.8重量%)。このプロピレン−エチレン共重合体樹脂を用いて写真フィルムパトローネ用容器本体を射出成形した。
【0207】
この時の触媒効率と生成プロピレン−エチレン共重合体樹脂中の残留塩素量と写真性(カブリ、感度異常、階調異常、発色異常、濃度ムラ等の総合品質)との関係をISO感度400の増感色素を含むカラーネガ写真フィルムについて試験した。結果を表3に示す。
【0208】
ここで、触媒効率とは、触媒成分の固体触媒成分1g当たりのプロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂の生成量(g)である。
【0209】
【表3】
Figure 0003726984
【0210】
表3中、写真性の判断は以下による。
◎:非常に優れている
○:優れている
●:実用限度
▲:問題あり(改良必要)
×:実用不可
【0211】
〈本発明品7〜14〉
プロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂100重量部に対して、脂肪酸金属塩としてステアリン酸亜鉛を0.2重量部、滑剤兼成形サイクル短縮及び成形故障減少の働きをするオレイン酸アミドを0.05重量部、滑剤兼写真性改良剤としてのステアリン酸カルシウム0.1重量部、低分子量ポリマーや添加剤の熱劣化や熱分解による写真性悪化物質とブツ(異物状の固り)の発生防止の働きをするヒンダードフェノール系酸化防止剤(チバガイギー社製の商品名「イルガノックス1010」)0.05重量部、結晶化速度向上による成形サイクル短縮と成形故障減少及び結晶粒子均一微細化による透明性向上の働きをする有機造核剤(新日本理化製の商品名「ゲルオールMD」のビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール)0.10重量部、ハロゲン成分中和剤としてのハイドロタルサイト類化合物0.1重量部、ハロゲン成分吸着体の有機錫安定剤0.1重量部帯電防止剤兼滑剤ブリードアウト物の白粉化防止の働きをする非イオン系帯電防止剤のグリセリン脂肪酸エステル0.10重量部含むプロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂組成物を、リボンブレンダー、タングラー、ヘンシェルミキサー等で混合する方法、その後、一軸押出機や二軸押出機(L/D=15〜70が好ましい。)、バンバリーミキサー、二本ロール、ニーダー等で溶融混練する方法等公知の種々の方法で調製し、150℃以上の熱履歴を経たペレットを製造した。
【0212】
そして、このペレットを乾燥して水分量を0.5重量%以下にして成形に用いると、写真性は非常に良化(●→◎)し、成形サイクルは2倍以上に向上し、成形故障は多数ヶ取り(キャビティー数24ヶ以上)でも致命故障が皆無になり連続無人成形が可能になっただけでなく、成形故障も致命的なものがなくなったので無検査でよくなり、特に内作化した場合に大きな効果を発揮した。結果を表4に示す。
【0213】
【表4】
Figure 0003726984
【0214】
写真性の判断は表3と同一である。
【0215】
また、写真性に対する重合触媒の影響が今回初めて明らかになり、且つ特定添加剤でさらに改良できることが明らかになったので、先発樹脂での写真性検査も不用になると言う予想外の効果も判明した。この結果、国内品はもちろん海外品での成形品に関しても最も困難で判明しにくい写真性と重合触媒の関係が明らかになった効果は大きい。同様の効果が各種密度のホモポリエチレン樹脂やエチレン・ブテン−1共重合体樹脂、ゴム含有ポリスチレン樹脂、結晶性シンジオタクチックポリスチレン樹脂等を用いた成形品についても得られた。
【0216】
【発明の効果】
本発明は、安価な樹脂で製造しても、写真性への悪影響を完全に無くすことができ、また、成形装置における錆の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例である写真感光材料用遮光性フィルムの部分断面図である。
【図2】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例である写真感光材料用遮光性フィルムの部分断面図である。
【図3】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例である写真感光材料用遮光性フィルムの部分断面図である。
【図4】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例である写真感光材料用遮光性フィルムの部分断面図である。
【図5】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例である写真感光材料用遮光性フィルムの部分断面図である。
【図6】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例である写真感光材料用遮光性フィルムの部分断面図である。
【図7】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例である写真感光材料用遮光性フィルムの部分断面図である。
【図8】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例である写真感光材料用遮光性フィルムの部分断面図である。
【図9】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例である写真感光材料用遮光性フィルムを製造する装置の概略図である。
【図10】 図9中a部の拡大断面図である。
【図11】 図9中b部の拡大断面図である。
【図12】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例である写真フィルム用容器の断面図である。
【図13】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例である身蓋一体角形の写真フィルム用容器の断面図である。
【図14】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例である写真フィルム用スプールの断面図である。
【図15】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例である身蓋一体角形の写真フィルム用ケースの断面図である。
【図16】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例である写真フィルム用カートリッジの分解斜視図である。
【図17】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例である樹脂製の写真フィルム用パトローネの分解斜視図である。
【図18】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例である樹脂製の写真フィルム用パトローネの側面図である。
【図19】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例である樹脂製の写真フィルム用パトローネの断面図である。
【図20】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例である樹脂製の写真フィルム用パトローネの部分断面図である。
【図21】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例であるレンズ付きフィルムユニットの分解斜視図である。
【図22】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例である写真フィルムパトローネ用容器の平面図である。
【図23】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例である写真フィルムパトローネ用容器の一部切り欠いた断面図である。
【図24】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例である写真フィルムパトローネ用容器の蓋を取った状態の斜視図である。
【図25】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例である写真フィルムパトローネ用容器の蓋を取った状態の平面図である。
【図26】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例である帯状感光材料用コアの斜視図である。
【図27】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例である袋入りシートフィルム用ホルダーの斜視図である。
【図28】 本発明の写真感光材料用成形品の実施例であるパック入りシート写真フィルム用ホルダーの斜視図である。
【図29】 本発明の写真感光材料包装体の実施例である透明プラスチックケースの斜視図である。
【図30】 本発明の写真感光材料包装体の実施例である包装袋の斜視図である。
【図31】 本発明の写真感光材料包装体の実施例である写真フィルムパトローネ本体の断面図である。
【符号の説明】
1a…写真感光材料用遮光性フィルム層(写真感光材料用遮光性成形体)
2,2a…熱可塑性樹脂フィルム層
3…接着剤層
4…フレキシブルシート層
a:遮光性物質を含むことを示す。
B:ブロッキングを示す。

Claims (2)

  1. 固定触媒成分1g当たり20,000g以上の熱可塑性樹脂を生成し、遷移金属成分と有機金属成分とを主成分とする高活性触媒を用いて製造された金属成分含有熱可塑性樹脂を50重量%以上含み、該金属成分含有熱可塑性樹脂中の残留ハロゲン成分量が4〜60ppmであり、脂肪酸金属塩を0.001〜5.0重量%、ハロゲンタルサイト類化合物を0.001〜5.0重量%、ゼオライト、シリカ及びアルミナの1種以上を0.01〜5.0重量%含有していることを特徴とする写真感光材料用成形品。
  2. 遷移金属成分及び/又は有機金属成分中にハロゲン成分を主成分として含む触媒を用いて製造したハロゲン成分含有熱可塑性樹脂を50重量%以上含む熱可塑性樹脂組成物を、60℃以上の温度で1時間以上加熱後、樹脂温度150℃以上で2回以上加熱溶融後成形することにより成形品中のハロゲン成分量を60ppm以下になるようにしたことを特徴とする写真感光材料用成形品の成形方法。
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