JPH0977925A - 低溶出性ポリプロピレン樹脂中空成形品 - Google Patents

低溶出性ポリプロピレン樹脂中空成形品

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JPH0977925A
JPH0977925A JP23524895A JP23524895A JPH0977925A JP H0977925 A JPH0977925 A JP H0977925A JP 23524895 A JP23524895 A JP 23524895A JP 23524895 A JP23524895 A JP 23524895A JP H0977925 A JPH0977925 A JP H0977925A
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JP
Japan
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polypropylene resin
acid
alkali metal
metal
metal salt
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JP23524895A
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English (en)
Inventor
Kenji Ichiyanagi
憲滋 一柳
Masayuki Yamazaki
昌幸 山崎
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Tonen Chemical Corp
Original Assignee
Tonen Sekiyu Kagaku KK
Tonen Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明性、剛性及び耐熱性に優れた低溶出性の
ポリプロピレン樹脂中空成形品の提供。 【解決手段】 メルトフローレートが0.3〜5g/1
0分の範囲にあるプロピレン樹脂100重量部に、有機
アルカリ金属塩0.01〜1重量部及び特定構造を持つ
環状有機リン酸エステル塩基性多価金属塩0.01〜1
重量部を配合し、中空成形する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明性、剛性及び
耐熱性に優れた低溶出性のポリプロピレン樹脂中空成形
品に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレン樹脂は各種熱可塑性汎用
樹脂の中でも物性、成形加工性、価格などの点で最も応
用分野の広いプラスチック材料の一つとして幅広い用途
に使われている。
【0003】特にポリプロピレン樹脂の中空成形品は耐
熱性、透明性、耐衝撃性、剛性、気体遮断性などに優れ
た成形品が得られるので、食品容器、医療機器、理化学
機器などの分野で今後の伸びが期待されている。
【0004】医療分野における薬液、注射液等の容器な
どの医療機器、食品容器或るいは理化学実験機器等に使
用する場合には特に、透明性に加えて加熱による滅菌工
程(例えば121℃/30分間のスチーム処理など)で
容器の変形が生じないような高い剛性と耐熱性が要求さ
れ、更に安全性の面からは樹脂中の添加剤などの成分が
内容液へ溶出しない低溶出性、無臭性が要求される。
【0005】ポリプロピレン樹脂の透明性を改良する方
法としてエチレンとのランダム共重合化や造核剤(結晶
化促進剤)を配合する方法が知られているが、ランダム
共重合化だけでは透明性の改良効果が十分ではなく、剛
性や耐熱性の低下が著しいという欠点がある。一方、造
核剤の配合は透明性の改良、剛性や耐熱性の改良に効果
があり、有効な方法である。
【0006】しかしながら、透明性の改良に特に効果的
であり、多く用いられているジベンジリデンソルビトー
ル、ビス(メチルベンジリデン)ソルビトールなどのソ
ルビトール系の造核剤の場合は、造核剤成分が内容液中
に溶出する、臭気があるなど、溶出性に問題がある。
【0007】又、特開平5−156078号公報には、
ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの結
晶性合成樹脂に、有機アルカリ金属塩及び特定の構造を
有する環状有機リン酸エステル塩基性多価金属塩を配合
することにより樹脂の透明性及び機械的強度が改良でき
ることが開示されている。しかし、ここに記載されてい
るのは結晶性合成樹脂全体を対象としたものであり、特
にポリプロピレンを対象とし、その剛性や耐熱性を改良
することについての開示はなく、中空成形品に適用した
際の溶出特性についても触れられていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前記のように、ソルビ
トール系の造核剤を配合したものは透明性は優れている
が、耐熱性の点では不十分で耐熱性を要求される用途へ
の使用には制限があり、更に溶出性、臭気の点で医療
品、食品関係及び理化学機器等には使用できない。
【0009】又、最近は医療品、食品関係における滅菌
処理等は、工程時間短縮のため高温、高圧の条件下で行
われるようになってきているため、これらの条件に耐え
る特性を有する成形品が望まれている。
【0010】本発明はこのような問題点を解決し、優れ
た透明性に加えて、剛性及び耐熱性が著しく改良され、
更に低溶出性、無臭気といった優れた特性を有し、ポリ
プロピレン樹脂中空成形品の主要な用途の一つである医
療品、食品関係及び理化学機器等に好適なポリプロピレ
ン樹脂中空成形品を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、各種樹脂
成分と各種造核剤の組み合わせとポリプロピレン樹脂中
空成形品の特性との関係について種々検討の結果、ベー
スの樹脂として特定範囲のメルトフロー値を有する樹脂
を使用し、有機アルカリ金属塩及び特定構造を持つ環状
有機リン酸エステル塩基性多価金属塩を添加することに
より、前記目的が達成できることを見出した。
【0012】すなわち本発明は、(A)メルトフローレ
ートが0.3〜5g/10分の範囲にあるポリプロピレ
ン樹脂100重量部に、(B)アルカリ金属カルボン酸
塩、アルカリ金属β−ジケトナート及びアルカリ金属β
−ケト酢酸エステル塩からなる群から選択される少なく
とも一種の有機アルカリ金属塩0.01〜1重量部及び
(C)次の[化2]([化1]と同じ)の一般式(I)
で表される環状有機リン酸エステル塩基性多価金属塩の
少なくとも一種0.01〜1重量部を配合し、中空成形
したことを特徴とする高耐熱性、剛性を有する低溶出性
ポリプロピレン樹脂中空成形品である。
【0013】
【化2】 (式中、R1 は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル
基を示し、R2 及びR3は、それぞれ水素原子又は炭素
数1〜12のアルキル基を示し、Mは、周期律表第II
I族又は第IV族の金属原子を示し、Xは、Mが周期律
表第III族の金属原子を示す場合には、HO−を示
し、Mが周期律表第IV族の金属原子を示す場合には、
0=又は(HO)2 −を示す。)
【0014】
【発明の実施の形態】本発明においては、ベースとなる
ポリプロピレン樹脂としては、メルトフローレート(M
FR;JIS K7210;荷重2.16kg、230
℃で測定)が0.3〜5g/10分の範囲、好ましくは
0.5〜2g/10分の範囲にある単独重合体を使用す
る。
【0015】ポリプロピレン樹脂成形品に多用されるα
−オレフィン類との共重合体では、剛性や耐熱性の低下
が著しく、本発明の目的のためには好ましくない。
【0016】又、メルトフローレートが前記範囲を外れ
ると、成形性が悪化するので好ましくない。
【0017】このポリプロピレン樹脂は、通常、三塩化
チタン、四塩化チタンなどの遷移金属化合物触媒成分又
はそれらを塩化マグネシウム等のハロゲン化マグネシウ
ムを主成分とする担体に担持させてなる触媒成分とトリ
エチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド等
の有機アルミニウム化合物とを組み合わせてなる触媒系
を用いて調製される。
【0018】本発明で使用される上記(B)成分である
アルカリ金属カルボン酸塩、アルカリ金属β−ジケトナ
ート又はアルカリ金属β−ケト酢酸エステル塩の各アル
カリ金属塩化合物を構成するアルカリ金属としては、リ
チウム、ナトリウム、カリウムなどが挙げられる。
【0019】上記アルカリ金属カルボン酸塩を構成する
カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン、アク
リル酸、オクチル酸、イソオクチル酸、ノナン酸、デカ
ン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステ
アリン酸、オレイン酸、リシノール酸、12−ヒドロキ
システアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、メリシン酸、
β−ドデシルメルカプト酢酸、β−ドデシルメルカプト
プロピオン酸、β−N−ラウリルアミノプロピオン酸、
β−N−メチル−N−ラウロイルアミノプロピオン酸な
どの脂肪族モノカルボン酸;マロン酸、コハク酸、アジ
ピン酸、マレイン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデ
カンジ酸、クエン酸、ブタントリカルボン酸、ブタンテ
トラカルボン酸などの脂肪族多価カルボン酸;ナフテン
酸、シクロペンタンカルボン酸、1−メチルシクロペン
タンカルボン酸、2−メチルシクロペンタンカルボン
酸、シクロペンテンカルボン酸、シクロヘキサンカルボ
ン酸、1−メチルシクロヘキサンカルボン酸、4−メチ
ルシクロヘキサンカルボン酸、3,5−ジメチルシクロ
ヘキサンカルボン酸、4−ブチルシクロヘキサンカルボ
ン酸、4−オクチルシクロヘキサンカルボン酸、シクロ
ヘキセンカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジ
カルボン酸などの脂環式モノ又はポリカルボン酸;安息
香酸、トルイル酸、キシリル酸、エチル安息香酸、4−
t−ブチル安息香酸、サリチル酸、フタル酸、トリメリ
ット酸、ピロメリット酸などの芳香族モノ又はポリカル
ボン酸などが挙げられる。
【0020】上記アルカリ金属β−ジケトナートを構成
するβ−ジケトン化合物としては、例えば、アセチルア
セトン、ピバロイルアセトン、パルミトイルアセトン、
ベンゾイルアセトン、ピバロイルベンゾイルアセトン、
ジベンゾイルメタンなどが挙げられる。
【0021】又、上記アルカリ金属β−ケト酢酸エステ
ル塩を構成するβ−ケト酢酸エステルとしては、例え
ば、アセト酢酸エチル、アセト酢酸オクチル、アセト酢
酸ラウリル、アセト酢酸ステアリル、ベンゾイル酢酸エ
チル、ベンゾイル酢酸ラウリルなどが挙げられる。
【0022】上記(B)成分であるアルカリ金属カルボ
ン酸塩、アルカリ金属β−ジケトナート又はアルカリ金
属β−ケト酢酸エステル塩は、各々上記アルカリ金属と
カルボン酸、β−ジケトン化合物又はβ−ケト酢酸エス
テルとの塩であり、従来周知の方法で製造することがで
きる。又、これら(B)成分の各アルカリ金属塩化合物
の中でも、アルカリ金属の脂肪族モノカルボン酸塩、特
に、リチウムの脂肪族カルボン酸塩が好ましく、とりわ
け炭素原子数8〜20の脂肪族モノカルボン酸塩が好ま
しい。
【0023】上記(B)成分であるアルカリ金属カルボ
ン酸塩、アルカリ金属β−ジケトナート又はアルカリ金
属β−ケト酢酸エステル塩の添加量は、上記(A)ポリ
プロピレン樹脂100重量部に対して、0.01〜1重
量部、好ましくは0.1〜0.5重量部である。配合量
が0.01重量部未満では効果が十分でなく、又1重量
部を超えると内容液中への(B)成分やその分解物など
の溶出量が多くなるので好ましくない。
【0024】又、本発明で用いられる(C)成分である
上記一般式(I)で表される環状有機リン酸エステル塩
基性多価金属塩において、R1 で示される炭素数1〜4
のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イ
ソプロピル、ブチル、s−ブチル、イソブチルなどが挙
げられ、R2 又はR3 で示される炭素数1〜12のアル
キル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロ
ピル、ブチル、s−ブチル、t−ブチル、アミル、t−
アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチ
ル、t−オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソ
ノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、
t−ドデシルなどが挙げられる。
【0025】又、Mで示される周期律表III族又は第
IV族の金属原子としては、アルミニウム、ガリウム、
ゲルマニウム、錫、チタン、ジルコニウムなどが挙げら
れ、特にアルミニウムが好ましい。
【0026】従って、(C)成分としては、例えば次の
[化3]〜[化8]に示す化合物(化合物No.1〜化
合物No.6)が挙げられる。
【0027】
【化3】
【0028】
【化4】
【0029】
【化5】
【0030】
【化6】
【0031】
【化7】
【0032】
【化8】
【0033】上記(C)成分は、例えば、酸性環状有機
リン酸エステルのアルカリ金属塩と多価金属ハロゲン化
物或るいは酸化多価金属ハロゲン化物とを反応させ、そ
の後必要に応じて加水分解する方法、酸性環状有機リン
酸エステルと多価金属アルコキサイドを反応させ、その
後必要に応じて加水分解する方法などにより容易に製造
することができる。
【0034】(C)成分は、その粒径についても特に制
限を受けず、例えば、平均粒径0.01〜50ミクロン
のものを用いることかできるが、均一な分散を図るため
には、平均粒径が10ミクロン以下、特に3ミクロン以
下の微粒子に粉砕して用いることが好ましい。
【0035】上記(C)成分の配合量は、上記(A)プ
ロピレン樹脂100重量部に対して、0.01〜1重量
部、好ましくは0.1〜0.5重量部である。配合量が
0.01重量部未満では効果が十分でなく、又1重量部
を超えると内容液中への(C)成分やその分解物などの
溶出量が多くなるので好ましくない。
【0036】又、上記(B)成分と上記(C)成分との
比率は特に制限を受けないが、特に、上記(B)成分の
配合量が上記(C)成分の配合量の当量以上である場合
に本発明の効果が著しい。
【0037】本発明のポリプロピレン樹脂中空成形品
は、前記の(A)ポリプロピレン樹脂に、前記(B)成
分及び前記(C)成分を配合した組成物とし、これを中
空成形することによって得ることができる。混合方法は
ポリプロピレン樹脂における通常の方法が適用できる。
例えば、(A)ポリプロピレン樹脂の粉末又はペレット
に、(B)成分及び(C)成分を配合して常温で予め混
合したのち、押出機等で溶融混練する方法などが適当で
ある。
【0038】本発明の中空成形に使用する樹脂組成物に
おいては、脱触工程を通さずに製造されるポリプロピレ
ン樹脂を使用するような場合には、触媒残渣の影響を回
避する上で、適正量の中和剤を使用するとよい。その使
用量は、通常ポリプロピレン樹脂100重量部に対し
0.01〜5重量部である。
【0039】当該中和剤としては金属石鹸、ハイドロタ
ルサイト類、ケイ酸アルミニウムカルシウム、周期律表
第II族の金属及び亜鉛、アルミニウム、錫、鉛などの
金属の酸化物並びに水酸化物などを挙げることができ
る。中和剤(分散剤をも兼ねる)としては、特に金属石
鹸、ハイドロタルサイト類を使用することが好ましい。
金属石鹸としては、高級脂肪酸若しく脂肪酸オキシ酸と
マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、アルミニ
ウム、錫、鉛等の金属との金属塩などが挙げられる。高
級樹脂酸としては、炭素数10〜22の鎖状モノカルボ
ン酸が挙げられ、ステアリン酸、ラウリン酸などが好ま
しい。又、脂肪酸オキシ酸としては、脂肪族カルボン酸
の側鎖にアルコール性水酸基を有するものが挙げられ、
乳酸、クエン酸、ヒドロキシステアリン酸などが好まし
い。金属石鹸の好ましい例としては、ステアリン酸マグ
ネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリ
ウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、
クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム、12−ヒドロキ
システアリン酸カルシウム、ステアリル乳酸カルシウ
ム、ラウリル乳酸カルシウムなどが挙げられる。ハイド
ロタルサイト類としては、マグネシウム、カルシウム、
亜鉛、アルミニウム、ビスマス等の含水塩基性炭酸塩又
は結晶水を含まないもので、天然物及び合成品が含まれ
る。天然物としては、Mg6 Al2 (OH)16CO3
4H2 Oの構造のものが挙げられる。又、合成品として
は、Mg0.7 Al0.3 (OH)2 (CO3 0.15・0.
54H2 O、Mg4.5 Al2 (OH)13CO3 ・3.5
2 O、Mg4.2 Al2 (OH)12 .4CO3 、Zn6
2 (OH)16CO3 ・4H2 O、Ca6 Al2 (O
H)16CO3 ・4H2 O、Mg14Bi2 (OH)29.6
4.2H2 Oなどが挙げられる。周期律表第II族の金
属等の酸化物及び水酸化物としては、酸化マグネシウ
ム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、水酸化カルシウム、水
酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどが特に好ま
しい。
【0040】なお、本発明の中空成形品に使用するポリ
プロピレン樹脂組成物には、前記の成分の他に、本発明
の目的を阻害しない範囲の、ポリプロピレン樹脂に慣用
の酸化防止剤、無機充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤、
帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、滑剤、顔
料、染料などの他の添加剤を配合することができる。酸
化防止剤の代表例としては、フェノール系酸化防止剤で
あるペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート]、リン系酸化防止剤であるトリス(2,4−ジ
−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどが挙げられ
る。これらの酸化防止剤は、通常(A)ポリプロピレン
樹脂100重量部に対して0.005〜2重量部用いら
れる。
【0041】本発明の中空成形品は、前記の組成物を押
出中空、射出中空、延伸中空といった通常の成形法で成
形することによって製造される。成形は180℃未満の
温度では成形品の表面が荒れる恐れがあり、又、230
℃を超える温度では成形品の冷却が不十分となり変形す
る恐れがあるので、一般に180〜230℃の温度範囲
での加熱下で行うのが好ましい。
【0042】本発明のポリプロピレン樹脂中空成形品
は、透明性に優れ、しかも剛性及び耐熱性が著しく改良
されており、加熱滅菌処理等の熱処理工程においても変
形することはなく、更に薬液等に接触した際の溶出成分
量が極めて少なく、無臭であるという、優れた特性を有
するポリプロピレン樹脂中空成形品であり、食品容器、
医療機器、理化学機器などの分野で使用される各種容器
類を主体とした製品の材料として特に好適なものであ
る。このように透明性、剛性、耐熱性が著しく改良さ
れ、しかも低溶出性、無臭という特性を有するポリプロ
ピレン樹脂中空成形品は従来知られていなかったもので
ある。
【0043】
【実施例】以下実施例により本発明のポリプロピレン樹
脂中空成形体を更に具体的に説明する。
【0044】(実施例1〜3、比較例1〜5)ポリプロ
ピレン樹脂としてメルトフローレートが0.7及び1.
3のプロピレン単独重合体を使用し、この樹脂100重
量部に対し、(B)成分と(C)成分の混合物(旭電化
工業社製、商品名NA−21)及び2種類の造核剤をそ
れぞれ表1及び表2に示す割合で配合し、更にリン系酸
化防止剤であるトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)ホスファイト(アデカアーガス社製、商品名 MA
RK2112)0.05重量部、フェノール系酸化防止
剤であるペンタエリスリトール−テトラキス[3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート](チバガイギー社製、商品名 イルガ
ノックス1010)0.05重量部及びステアリン酸カ
ルシウム0.12重量部を配合し、スーパーミキサーを
用いてドライブレンドした後、単軸押出成形機((50
mmφ、L/D=28)でダイ出口部温度230℃で押
出し、ペレットを得た。このペレットを射出成形し、下
記試験法に基づく試験片を作製した。
【0045】[造核剤] (a)アデカスタブNA−11(旭電化工業社製、商品
名、有機リン酸エステル金属塩系造核剤) (b)ゲルオールMD(新日本理化社製、商品名、ソル
ビトール系造核剤)得られた試験片のそれぞれについて
JIS規格に基づき、曲げ弾性率(JISK675
8)、熱変形温度(JIS K7207,4.6kgf
/cm2 荷重)を測定した。同様に射出成形で得られた
厚さ1mmの板について透明度の試験を行った(試験方
法 ASTM D−1003)。
【0046】又、輸液用プラスチック容器試験法に基づ
き、溶出試験を行った。すなわち、小型中空成形機によ
りダイ設定温度210℃、金型設定温度20℃、吹込圧
力5kg/cm2 、吹込時間15秒で成形した容量50
0mlの容器を切断し、長さ5cm、幅0.5cmの細
片にして、表裏の表面積が約600cm2 になるように
細片を集め、水洗後、室温で乾燥した。これをガラス容
器に入れ、水200mlを加えて密封し、高圧蒸気滅菌
器を用いて121℃で1時間加熱した後、室温になるま
で放置し、この内容液を試験液とした。別の水について
同様の方法で空試験液を調製し、試験液と空試験液との
水素イオン濃度差(ΔpH)、被酸化物質の検査である
過マンガン酸カリウム消費量の差(ΔKMnO4 )を測
定した。更に紫外線吸収物質の検査のため紫外線吸収ス
ペクトルを測定し、波長220nm以上241nm未満
及び241nm以上350nm未満における吸光度を調
べた。各測定結果を表1及び表2に示す。なお、表1及
び表2における吸光度はそれぞれの波長域における最大
値である。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】表1及び表2の結果から、本発明のポリプ
ロピレン樹脂中空成形品は、高剛性、高耐熱性を示し、
透明性に優れ、更に低溶出性の特徴を有するものである
ことがわかる。
【0050】
【発明の効果】本発明のポリプロピレン樹脂中空成形品
は、透明性に優れ、しかも剛性及び耐熱性が著しく改良
されており、加熱滅菌処理等の熱処理工程においても変
形することはなく、更に薬液等に接触した際の溶出成分
量が極めて少なく、無臭であるという、優れた特性を有
するポリプロピレン樹脂中空成形品であり、食品容器、
医療機器、理化学機器などの分野で使用される各種容器
類を主体とした製品として特に好適なものである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)メルトフローレートが0.3〜5
    g/10分の範囲にあるポリプロピレン樹脂100重量
    部に、(B)アルカリ金属カルボン酸塩、アルカリ金属
    β−ジケトナート及びアルカリ金属β−ケト酢酸エステ
    ル塩からなる群から選択される少なくとも一種の有機ア
    ルカリ金属塩0.01〜1重量部及び(C)次の[化
    1]の一般式(I)で表される環状有機リン酸エステル
    塩基性多価金属塩の少なくとも一種0.01〜1重量部
    を配合し、中空成形したことを特徴とする高耐熱性、剛
    性を有する低溶出性ポリプロピレン樹脂中空成形品。 【化1】 (式中、R1 は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル
    基を示し、R2 及びR3は、それぞれ水素原子又は炭素
    数1〜12のアルキル基を示し、Mは、周期律表第II
    I族又は第IV族の金属原子を示し、Xは、Mが周期律
    表第III族の金属原子を示す場合には、HO−を示
    し、Mが周期律表第IV族の金属原子を示す場合には、
    0=又は(HO)2 −を示す。)
  2. 【請求項2】 前記有機アルカリ金属塩が、アルカリ金
    属カルボン酸塩であることを特徴とする請求項1に記載
    のポリプロピレン樹脂中空成形品。
  3. 【請求項3】 前記環状有機リン酸エステル塩基性多価
    金属塩が、アルミニウム塩であることを特徴とする請求
    項1又は請求項2に記載のポリプロピレン樹脂中空成形
    品。
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