JP2018134121A - 医療用プロピレン系樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】第16改正 日本薬局方 7.02 プラスチック医薬品容器試験法 2.プラスチック製水性注射剤容器の規格 2.1ポリエチレン製又はポリプロピレン製水性注射剤容器の(4)重金属、(5)鉛、(6)カドミウム、(7)強熱残分、(8)溶出物の試験項目を満足し、かつ、耐熱性、剛性、耐衝撃性、射出成形性及び透明性に優れた医療用プロピレン系樹脂組成物及びその成形品を提供する。【解決手段】プロピレン単独重合体又はプロピレンと含有量が2重量%以下のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体であり、メルトフローレートが0.5〜100g/10分であるプロピレン系重合体(A)80〜99重量部と、スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(B)1〜20重量部とからなるプロピレン系樹脂100重量部に対して、造核剤を0.005〜0.3重量部含有し、高圧蒸気滅菌して使用される医療用プロピレン系樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、医療用プロピレン系樹脂組成物及びその成形品に関し、詳しくは医療用途向け薬剤、薬液保存容器のうち、特に、第16改正 日本薬局方 7.02 プラスチック医薬品容器試験法 2.プラスチック製水性注射剤容器の規格 2.1ポリエチレン製又はポリプロピレン製水性注射剤容器の(4)重金属、(5)鉛、(6)カドミウム、(7)強熱残分、(8)溶出物の試験項目を満足する医療用成形品に適した医療用プロピレン系樹脂組成物及びその成形品に関する。
プロピレン系重合体は、その優れた安全衛生性や成形加工性、力学特性、ガスバリヤー性の特徴を生かし、各種の医療器具に使用されている。特に近年、高レベルの安全衛生性が求められる薬剤や薬液の保存容器として、アンプルやバイアルの代替容器用材料に活用が散見されるようになり、その用途向け材料開発が積極的に行なわれている(例えば、特許文献1参照。)。
このような保存容器には、蒸気滅菌時の耐熱性、耐失透性、耐添加剤抽出性、水蒸気や酸素のガスバリヤー性が維持されることや、使用添加剤が保存薬剤、薬液に相互作用を及ぼさないことが必要であり、具体的には第16改正 日本薬局方 7.02 プラスチック医薬品容器試験法 2.プラスチック製水性注射剤容器の規格を満足することが必須要件である。
また、プロピレン系重合体は、剛性や耐熱性、ガスバリヤー性の点ではプロピレン単独重合体が、透明性や耐衝撃性の点ではエチレンとのランダム共重合体が好適であり、状況に応じて適宜選択的に用いられているが、保存容器に用いる場合、プロピレン系重合体のみでは、透明性や剛性の点において十分な性能を発揮させることが困難であるため、造核剤や中和剤を種々組み合わせて、必須性能の最適化が試みられてきた。
しかしながら、例えば、ソルビトール系透明造核剤を用いた場合には、耐添加剤抽出性や日本薬局方試験を満足せず、これらの用途には不適であった。また、芳香族カルボン酸系や有機リン酸系剛性造核剤を添加したものは、透明性の発現が十分ではなかったり、添加量を増やすと日本薬局方試験の強熱残分に満足すべき結果が得られなかった。日本薬局方試験に合格することを必須要件とする医療用途の例としては、薬液をあらかじめ充填してなるプレフィルドシリンジのようなキット製剤などが挙げられる。
この薬液をあらかじめ充填してなるキット製剤をポリプロピレンで製造することを検討し始めたのは、1980年代半ば頃からで(例えば、特許文献2参照。)、近年、プロピレン系重合体と、特定の核剤とからなる透明な注射筒又は透明な容器に薬剤液を充填してなる製剤(例えば、特許文献3参照。)に関する検討がなされている。
2014年7月1日より日本もPIC/S(医薬品査定協定・医薬品査察協同スキーム(The Pharmaceutical Inspection Convention and Pharmaceutical Inspection Co-operation Scheme : PIC/S ))に加盟したことにより、世界標準レベルの管理や滅菌強度等が今後は必要となり、より高温下での滅菌に対応可能な材料が求められている。しかしながら、滅菌後に日本薬局方記載の透過率55%以上を満足する高い透明性を有し、耐熱性及び剛性と耐衝撃性に優れ、日本薬局方試験に合格し、薬剤、薬液の保存容器として満足し得る成形品が得られていないのが現状である。
一方、優れた透明性、耐衝撃性、耐熱性、剛性を両立し、同時に成形加工時のヤケ異物発生の少ないプロピレン系樹脂組成物及び成形品を提供することを目的として、α−オレフィン含有量が1重量%未満のプロピレン系(共)重合体と特定のプロピレン−エチレンブロック共重合体とからなるプロピレン系樹脂に造核剤を含有する医療用プロピレン系樹脂組成物や、α−オレフィン含有量が0以上5重量%未満のプロピレン系重合体、スチレン系エラストマー又はその水素添加物及び特定の透明核剤を含有するプロピレン系樹脂組成物の材料開発が行なわれている(例えば、特許文献4、5参照。)。特許文献4、5には、得られた成形品は、上記優れた特性を求められる多くの用途、例えば輸液バッグ、プレフィルドシリンジ、キット製剤等の医薬品容器に適用可能であることが記載されている。
特開平1−178541号公報 特開昭62−194866号公報 特開平5−222078号公報 特開2016−121219号公報 特開2013−216814号公報
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、第16改正 日本薬局方 7.02 プラスチック医薬品容器試験法 2.プラスチック製水性注射剤容器の規格 2.1ポリエチレン製又はポリプロピレン製水性注射剤容器の(4)重金属、(5)鉛、(6)カドミウム、(7)強熱残分、(8)溶出物の試験項目を満足し、かつ、耐熱性、剛性、耐衝撃性、射出成形性及び透明性に優れた医療用プロピレン系樹脂組成物及びその成形品を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、プロピレン系重合体とスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物からなる特定のプロピレン系樹脂に対して、造核剤を特定量含有させることにより、日本薬局方の試験項目を満足して、耐熱性、剛性、耐衝撃性、射出成形性及び透明性に優れた高圧蒸気滅菌される医療用プロピレン系樹脂組成物及びその成形品を得ることができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、プロピレン単独重合体又はプロピレンと含有量が2重量%以下のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体であり、JIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレート(以下、MFRと略称することがある。)が0.5〜100g/10分であるプロピレン系重合体(A)80〜99重量部と、スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(B)1〜20重量部とからなるプロピレン系樹脂100重量部に対して、造核剤を0.005〜0.3重量部含有し、高圧蒸気滅菌して使用されることを特徴とする医療用プロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において造核剤が、下記式(1)で表される造核剤(a)0.01〜0.3重量部 、下記式(2)で表される造核剤(b)0.01〜0.3重量部 及び下記式(3)で表される造核剤(c)0.005〜0.03重量部からなる群から選択される少なくとも1種の造核剤であることを特徴とする医療用プロピレン系樹脂組成物が提供される。
Figure 2018134121
(式中、Rは、直接結合、硫黄、炭素数1〜9のアルキレン又は炭素数2〜9のアルキリデンであり、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ水素、炭素数1〜8のアルキル又は炭素数7〜9のアルキルアリールであり、MはLi、Na、K、Mg、Ca、Zn又はAlであり、nはMの価数である。)
Figure 2018134121
(式中、Rは、水素又は炭素数1〜4のアルキルであり、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ水素又は炭素数1〜12のアルキルであり、Mは、周期表第3族又は第4族の金属であり、Xは、Mが周期表第3族の金属である場合には、HO−であり、Mが周期表第4族の金属である場合には、O=又は(HO)−である。)
Figure 2018134121
(式中、R、R及びRは、互いに独立して、未置換の又は置換された炭化水素基である。)
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、滅菌処理が、100℃〜130℃の高圧蒸気滅菌である医療用プロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明のプロピレン系樹脂組成物を用いてなる医療用成形品が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第4の発明の医療用成形品がキット製剤であることを特徴とするキット製剤が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第5の発明のキット製剤がプレフィルドシリンジであることを特徴とするプレフィルドシリンジが提供される。
本発明の医療用プロピレン系樹脂組成物及びその成形品は、第16改正 日本薬局方 7.02 プラスチック医薬品容器試験法 2.プラスチック製水性注射剤容器の規格 2.1ポリエチレン製又はポリプロピレン製水性注射剤容器の(4)重金属、(5)鉛、(6)カドミウム、(7)強熱残分、(8)溶出物の試験項目を満足し、かつ、耐熱性、剛性、耐衝撃性、射出成形性及び透明性に優れ、高圧蒸気滅菌後も優れた透明性を有するものである。
本発明は、プロピレン単独重合体又はプロピレンと含有量が2重量%以下のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体であり、MFRが0.5〜100g/10分であるプロピレン系重合体(A)80〜99重量部と、スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(B)1〜20重量部とからなるプロピレン系樹脂100重量部に対して、造核剤を0.005〜0.3重量部含有し、高圧蒸気滅菌して使用されることを特徴とする医療用プロピレン系樹脂組成物であり、これより得られる成形品、特にキット製剤に有用である。以下、組成物の構成成分、組成物の製造方法、成形品等について詳細に説明する。
[1]組成物の構成成分
1.プロピレン系樹脂
(A)プロピレン系重合体
本発明の医療用プロピレン系樹脂組成物に用いられる(A)プロピレン系重合体は、プロピレン単独重合体、プロピレンと含有量が2重量%以下のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体又はこれらの混合物であってもよい。
(A)プロピレン系重合体は、オートクレーブ滅菌時などの耐熱性の観点では単独重合体が望ましく、透明性の観点ではプロピレンとα−オレフィンとからなる共重合体、特にランダム共重合体が望ましい。共重合に用いられるα−オレフィンは、プロピレンを除く炭素数2〜20のα−オレフィンがあげられ、例えばエチレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等を例示できる。プロピレンと共重合されるα−オレフィンは一種類でも二種類以上用いてもよい。このうちエチレン、ブテン−1が好適である。より好ましくはエチレンが好適である。また、これらプロピレン系重合体は、二種以上混合して使用してもよい。また、α−オレフィンの含有量が2重量%以下であると耐熱性の観点から、使用に好適なものとなる。
プロピレン系共重合体の具体的な例としては、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ヘキセン−1共重合体、プロピレン−オクテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ヘキセン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1−オクテン−1共重合体などのような、共単量体を任意に若干量組み合わせた二元又は三元共重合体が例示できる。
医療用途では、滅菌処理されることが一般的で、具体的には、高圧蒸気滅菌処理、放射線滅菌処理、エチレンオキサイドガス(EOG)による滅菌処理、紫外線滅菌処理などが行なわれる。本発明では高圧蒸気滅菌されることを想定しており、好ましい高圧蒸気滅菌処理は100℃〜130℃の高圧蒸気滅菌であり、高圧蒸気滅菌の理想としては、121℃で20分間のオーバーキルと呼ばれる高圧蒸気滅菌である。この処理が行われる場合、好ましいプロピレン系重合体は、プロピレン単独重合体又はプロピレンと含有量が2重量%以下のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体である。エチレン含有量の少ないランダム共重合体を用いると高圧蒸気滅菌処理で変形しにくいので好ましい。また、高圧蒸気滅菌処理される場合は、滅菌前に比べ透明性が低下しやすく、低下しにくいものが好ましい。
本発明で用いられるプロピレン系重合体(A)のα−オレフィン含有量は、2重量%以下であり、1.5重量%以下が好ましく、1重量%以下がより好ましく、0.5重量%以下がさらに好ましく、0重量%が最も好ましい。α−オレフィンの含有量が2重量%以下であると、剛性が向上し、オートクレーブ滅菌処理の際に変形を起こしにくいので好ましい。
ここで、プロピレン及びα−オレフィンの各含有量は、下記の条件の13C−NMR法によって計測される値である。
装置:日本電子社製 JEOL−GSX270
濃度:300mg/2mL
溶媒:オルソジクロロベンゼン
また、本発明で用いられるプロピレン系重合体(A)がプロピレン単独重合体の場合は、アイソタクチックペンタッド分率0.90以上が好ましく、より好ましくは0.94以上である。アイソタクチックペンタッド分率が0.90以上であると、剛性やバリアー性が優れるので好ましい。ここで、アイソタクチックペンタッド分率は、13C−NMRを用いたプロトンデカップリング法で測定する値である。
本発明で用いられるプロピレン系重合体(A)は、MFRが0.5〜100g/10分の範囲のものであり、1〜50g/10分が好ましく、2〜30g/10分がさらに好ましい。メルトフローレート(MFR)が0.5g/10分以上であると、成形加工性、特に射出成形性が向上し製品として満足できるものが得られやすくなる。また、100g/10分以下であると、機械的強度が向上し好ましい。
プロピレン系重合体(A)の製造方法としては、特に限定されないが、立体規則性触媒を使用する重合法が好ましい。立体規則性触媒としては、チーグラー触媒やメタロセン触媒などが挙げられる。チーグラー触媒を使用してプロピレンを単独重合又はプロピレンとα−オレフィンとを共重合することによってチーグラー系プロピレン系重合体を製造することができる。メタロセン触媒を使用してプロピレンを単独重合又はプロピレンとα−オレフィンとを共重合することによってメタロセン系プロピレン系重合体を製造することができる。
チーグラー触媒としては、三塩化チタン、四塩化チタン、トリクロロエトキシチタン等のハロゲン化チタン化合物、前記ハロゲン化チタン化合物とハロゲン化マグネシウムに代表されるマグネシウム化合物との接触物等の遷移金属成分とアルキルアルミニウム化合物又はそれらのハロゲン化物、水素化物、アルコキシド等の有機金属成分との2成分系触媒、更にそれらの成分に窒素、炭素、リン、硫黄、酸素、ケイ素等を含む電子供与性化合物を加えた3成分系触媒が挙げられる。
メタロセン触媒としては、(i)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物(いわゆるメタロセン化合物)と、(ii)メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒と、必要により、(iii)有機アルミニウム化合物とからなる触媒であり、公知の触媒はいずれも使用できる。メタロセン化合物は、好ましくはプロピレンの立体規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物であり、より好ましくはプロピレンのアイソ規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物である。
(i)メタロセン化合物としては、例えば、特開昭60−35007号、特開昭61−130314号、特開昭63−295607号、特開平1−275609号、特開平2−41303号、特開平2−131488号、特開平2−76887号、特開平3−163088号、特開平4−300887号、特開平4−211694号、特開平5−43616号、特開平5−209013号、特開平6−239914号、特表平7−504934号、特開平8−85708号の各公報に開示されている。
更に、具体的には、メチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン1,2−(4−フェニルインデニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(4−メチルシクロペンタジエニル)(3−t−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2−メチル−4−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(3’−t−ブチル−5’−メチル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[4−(1−フェニル−3−メチルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(フルオレニル)t−ブチルアミドジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4,(1−ナフチル)−インデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(3−フルオロビフェニリル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス[1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリドなどのジルコニウム化合物が例示できる。上記において、ジルコニウムをチタニウム、ハフニウムに置き換えた化合物も同様に使用できる。場合によっては、ジルコニウム化合物とハフニウム化合物等の混合物を使用することもできる。また、クロリドは他のハロゲン化合物、メチル、イソブチル、ベンジル等の炭化水素基、ジメチルアミド、ジエチルアミド等のアミド、メトキシ、フェノキシ等のアルコキシ、ヒドリド等に置き換えることができる。
これらの内、インデニル又はアズレニルを珪素又はゲルミルで架橋したメタロセン化合物が好ましい。
また、メタロセン化合物は、無機又は有機化合物の担体に担持して使用してもよい。担体としては、無機又は有機化合物の多孔質化合物が好ましく、具体的には、イオン交換性層状珪酸塩、ゼオライト、SiO、Al、シリカアルミナ、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThO、等の無機化合物、多孔質のポリオレフィン、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体、オレフィン・アクリル酸共重合体等からなる有機化合物、又はこれらの混合物が挙げられる。
(ii)メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒としては、有機アルミニウムオキシ化合物(例えば、アルミノキサン化合物)、イオン交換性層状珪酸塩、ルイス酸、ホウ素含有化合物、イオン性化合物、フッ素含有有機化合物等が挙げられる。
(iii)有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウムセスキハライド、アルキルアルミニウムジハライド、アルキルアルミニウムハイドライド、有機アルミニウムアルコキサイド等が挙げられる。
プロピレン系重合体の製造方法としては、上記触媒の存在下に、不活性溶媒を用いたスラリー法、溶液法、実質的に溶媒を用いない気相法や、又は重合モノマーを溶媒とするバルク重合法等の重合方法が挙げられる。
例えば、スラリー重合法の場合には、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素又は液状モノマー中で行うことができる。重合温度は、通常−80〜150℃であり、好ましくは40〜120℃である。重合圧力は、1〜60気圧(0.10〜6.08MPa)が好ましく、また得られるプロピレン系重合体(A)の分子量の調節は、水素又は他の公知の分子量調整剤で行うことができる。重合は連続式又はバッチ式反応で行い、その条件は通常用いられている条件でよい。さらに重合反応は一段で行ってもよく、多段で行ってもよい。
(B)スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物
本発明で用いられる、スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(B)は、共役ジエンとして、ブタジエン、イソプレン等を使用したブロック共重合体の水素添加物であり、例えば、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)やスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体(SEP)の他、スチレンとブタジエン及びイソプレンとの併用ブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。ここでスチレンコモノマー成分としては、α−メチルスチレンやp−メチルスチレン等のスチレン誘導体を使用することもできる。また、水素添加率が90モル%以上、好ましくは95モル%以上である。
共役ジエンモノマーとしてブタジエンが用いられる場合、ポリブタジエンブロックにおける1,2−結合量の割合は20重量%以上、80重量%以下、好ましくは30重量%以上、60重量%以下であることが望ましい。
スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物のスチレンの含有量は好ましくは20重量%以下であり、より好ましくは15重量%以下であり、さらに好ましくは13重量%以下である。スチレン含有量が20重量%以下である場合、プロピレン系重合体(A)との相溶性が良好で、透明性に優れた材料を得ることが出来る。
スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物としては市販品を使用することもできる。具体的なものとしては、クレイトンG1645M(商品名、クレイトンポリマー社製)、セプトン7331F(商品名、(株)クラレ製)、タフテックH1062W(商品名、旭化成ケミカルズ(株)製)、タフテックH1221W(商品名、旭化成ケミカルズ(株)製)などが挙げられる。
両者の含有割合は、プロピレン系重合体(A)が80〜99重量部でスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(B)が1〜20重量部の範囲であり、好ましくは、プロピレン系重合体(A)が83〜97重量部でスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(B)が3〜17重量部の範囲であり、さらに好ましくは、プロピレン系重合体(A)が85〜95重量部でスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(B)が5〜15重量部の範囲である。この範囲であると、剛性、耐衝撃性、耐熱性及び高圧蒸気滅菌後の透明性のバランスに優れる。
2.造核剤
本発明の医療用プロピレン系樹脂組成物に用いられる造核剤の含有量は、プロピレン系重合体(A)とスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(B)からなるプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.005〜0.3重量部の範囲である。0.005重量部以上であれば透明性が十分に発現され、0.3重量部以下であると、第16改正 日本薬局方 7.02 プラスチック医薬品容器試験法 2.プラスチック製水性注射剤容器の規格 2.1ポリエチレン製又はポリプロピレン製水性注射剤容器の試験に合格になる可能性があるだけでなく費用対前記効果(コスト・パフォーマンス)の点から有利である。
この様な造核剤としては、以下に示す造核剤(a)〜(c)であることが望ましい。
選択的に用いられる造核剤(a)は、式(1)で表される有機リン酸金属塩化合物である。
Figure 2018134121
(式中、Rは、直接結合、硫黄、炭素数1〜9のアルキレン又は炭素数2〜9のアルキリデンであり、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ水素、炭素数1〜8のアルキル又は炭素数7〜9のアルキルアリールであり、MはLi、Na、K、Mg、Ca、Zn又はAlであり、nはMの価数である。)
式(1)で表される有機リン酸金属塩化合物の具体例としては、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4−キュミル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2’−メチレン−ビス(4−キュミル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−エチリデン−ビス(4−i−プロピル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−ブチリデン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−ブチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−t−オクチルメチレン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−t−オクチルメチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム(4,4’−ジメチル−6,6’−ジ−t−ブチル−2,2’−ビフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−エチリデン−ビス(4−s−ブチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−エチルフェニル)フォスフェート、カリウム−2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、マグネシウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ジンク−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、アルミニウム−トリス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、カルシウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、カルシウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、カルシウム−ビス[2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、カルシウム−ビス[2,2’−チオビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、カルシウム−ビス[2,2’−チオビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、マグネシウム−ビス[2,2’−チオビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、マグネシウム−ビス[2,2’−チオビス(4−t−オクチルフェニル)フォスフェート]、カルシウム−ビス[(4,4’−ジメチル−6,6’−ジ−t−ブチル−2,2’−ビフェニル)フォスフェート]、マグネシウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、アルミニウム−トリス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]及びこれらの2種以上の混合物を例示することができる。これらのうち特に、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェートが好ましい。
この様な造核剤(a)としては、市販のものを用いることができる。具体的には、(株)ADEKA製商品名:アデカスタブNA−11を挙げることができる。
選択的に用いられる造核剤(a)の含有量は、プロピレン系重合体(A)とスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(B)からなるプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.01〜0.3重量部の範囲が好ましく、0.01〜0.2重量部の範囲がより好ましい。0.01重量部以上であれば十分な効果が得られ、0.3重量部以下である範囲は、費用対効果(コスト・パフォーマンス)の点から有利である。
選択的に用いられる造核剤(b)は、式(2)で表される芳香族燐酸エステル類である。
Figure 2018134121
(式中、Rは、水素又は炭素数1〜4のアルキルであり、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ水素又は炭素数1〜12のアルキルであり、Mは、周期表第3族又は第4族の金属であり、Xは、Mが周期表第3族の金属である場合には、HO−であり、Mが周期表第4族の金属である場合には、O=又は(HO)−である。)
式(2)で表される芳香族燐酸エステル類の具体例としては、例えば、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジメチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジメチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジエチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジエチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4−i−プロピル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4−i−プロピル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]等が挙げられ、好ましくは、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]及びこれらの2種以上の混合物を例示することができる。
式(2)で表される芳香族燐酸エステル類は、有機アルカリ金属塩と併用させることが効果的である。
該有機アルカリ金属塩とは、アルカリ金属カルボン酸塩、アルカリ金属β−ジケトナート及びアルカリ金属β−ケト酢酸エステル塩からなる群より選択される少なくとも一種の有機アルカリ金属塩を示すことができる。
該有機アルカリ金属塩を構成するアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
上記アルカリ金属カルボン酸塩を構成するカルボン酸としては、例えば酢酸、プロピオン酸、アクリル酸、オクチル酸、イソオクチル酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、メリシン酸、β−ドデシルメルカプト酢酸、β−ドデシルメルカプトプロピオン酸、β−N−ラウリルアミノプロピオン酸、β−N−メチル−ラウロイルアミノプロピオン酸等の脂肪族モノカルボン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、クエン酸、ブタントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸、ナフテン酸、シクロペンタンカルボン酸、1−メチルシクロペンタンカルボン酸、2−メチルシクロペンタンカルボン酸、シクロペンテンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、1−メチルシクロヘキサンカルボン酸、4−メチルシクロヘキサンカルボン酸、3,5−ジメチルシクロヘキサンカルボン酸、4−ブチルシクロヘキサンカルボン酸、4−オクチルシクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキセンカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸等の脂環式モノ又はポリカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、キシリル酸、エチル安息香酸、4−t−ブチル安息香酸、サリチル酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族モノ又はポリカルボン酸等が挙げられる。
上記アルカリ金属β−ジケトナートを構成するβ−ジケトン化合物としては、例えば、アセチルアセトン、ピバロイルアセトン、パルミトイルアセトン、ベンゾイルアセトン、ピバロイルベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン等が挙げられる。
また、上記アルカリ金属β−ケト酢酸エステル塩を構成するβ−ケト酢酸エステルとしては、例えば、アセト酢酸エチル、アセト酢酸オクチル、アセト酢酸ラウリル、アセト酢酸ステアリル、ベンゾイル酢酸エチル、ベンゾイル酢酸ラウリル等が挙げられる。 該有機アルカリ金属塩の成分であるアルカリ金属カルボン酸塩、アルカリ金属β−ジケトナート又はアルカリ金属β−ケト酢酸エステル塩は、各々上記アルカリ金属とカルボン酸、β−ジケトン化合物又はβ−ケト酢酸エステルとの塩であり、従来周知の方法で製造することができる。また、これら各アルカリ金属塩化合物の中でも、アルカリ金属の脂肪族モノカルボン酸塩、特に、リチウムの脂肪族カルボン酸塩が好ましく、とりわけ炭素数8〜20の脂肪族モノカルボン酸塩が好ましい。
この様な造核剤(b)としては、有機アルカリ金属塩との混合物からなる複合型造核剤として市販されているものを用いることができる。具体的には、(株)ADEKA製商品名:アデカスタブNA−21を挙げることができる。
選択的に用いられる造核剤(b)の含有量は、プロピレン系重合体(A)とスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(B)からなるプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.01〜0.3重量部の範囲が好ましく、0.01〜0.2重量部の範囲がより好ましい。0.01重量部以上であれば十分な効果が得られ、0.3重量部以下である範囲は、費用対効果(コスト・パフォーマンス)の点から有利である。
選択的に用いられる造核剤(c)は、式(3)で表される造核剤である。
Figure 2018134121
(式中、R、R及びRは、互いに独立して、未置換の又は置換された炭化水素基である。)
この未置換の又は置換された炭化水素基を有する化合物とは、具体的に下記に示す各種化合物が例示される。本発明に用いられる造核剤は、基本的には上記式(3)の化合物の形態を有すれば適正に達成できる性能を有する。未置換の又は置換された炭化水素基を有する各種化合物は、本発明に用いられる式(3)で表される化合物を合成する際にいかなる反応成分を選定するかによるものであり、式(3)の化合物の反応収率に若干影響するが、造核剤(c)としては同等に作用するものであり、以下のものが具体的に例示できる。
、R及びRの少なくとも1つが、枝分かれした炭素原子数3〜20のアルキル、又は、未置換の又は1つ以上の炭素原子数1〜20のアルキルによって置換された炭素原子数3〜12のシクロアルキルで表わされる式(3)の化合物が好ましい。
また、R、R及びRが、互いに独立して、未置換又は1つ以上の1−メチルエチル、2−メチルプロピル、1−メチルプロピル、第三ブチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、第三ブチルメチル、シクロプロピル、3−メチルシクロプロピル、2,2,3,3−テトラメチルシクロプロピル、シクロペンチル、シクロペンチルメチル、2−シクロペンチルエチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、2−シクロヘキシルエチル、4−第三ブチルシクロヘキシル、(4−メチルシクロヘキシル)メチル、下記式(3−1)〜(3−3)で示される環状炭化水素基、α−シクロヘキシルベンジル、3−メチルベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、4−ビフェニルメチル、2−ナフチルメチル、m−トリル、m−メトキシフェニル、p−トリル、4−エチルフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−第三ブチルフェニル、2,3−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、3,5−ジ−第三ブチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル又は3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルで表わされる式(3)の化合物がより好ましい。
Figure 2018134121
Figure 2018134121
Figure 2018134121
具体的には、式(3)で示される化合物として、1,3,5−トリス[2,2−ジメチルプロピオニルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[シクロヘキシルカルボニルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[4−メチルベンゾイルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[3,4−ジメチルベンゾイルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[3,5−ジメチルベンゾイルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[シクロペンタンカルボニルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[1−アダマンタンカルボニルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[2−メチルプロピオニルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[3,3−ジメチルブチリルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[2−エチルブチリルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[2,2−ジメチルブチリルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[2−シクロヘキシル−アセチルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[3−シクロヘキシル−プロピオニルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[4−シクロヘキシル−ブチリルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[5−シクロヘキシル−バレロイルアミノ]ベンゼン、1−イソブチリルアミノ−3,5−ビス[ピバロイルアミノ]ベンゼン、2,2−ジメチルブチリルアミノ−3,5−ビス[ピバロイルアミノ]ベンゼン、3,3−ジメチルブチリルアミノ−3,5−ビス[ピバロイルアミノ]ベンゼン、1,3−ビス[イソブチリルアミノ]−5−ピバロイルアミノベンゼン、1,3−ビス[イソブチリルアミノ]−5−(2,2−ジメチル−ブチリル)アミノベンゼン、1,3−ビス[イソブチリルアミノ]−5−(3,3−ジメチル−ブチリル)アミノベンゼン、1,3−ビス[2,2−ジメチルブチリルアミノ]−5−ピバロイルアミノベンゼン、1,3−ビス[2,2−ジメチルブチリルアミノ]−5−イソブチリルアミノベンゼン、1,3−ビス[2,2−ジメチルブチリルアミノ]−5−(3,3−ジメチルブチリル)−アミノベンゼン、1,3−ビス[3,3−ジメチルブチリルアミノ]−5−ピバロイルアミノ−ベンゼン、1,3−ビス[3,3−ジメチルブチリルアミノ]−5−イソブチリル−アミノベンゼン、1,3−ビス[3,3−ジメチルブチリルアミノ]−5−(2,2−ジメチル−ブチリルアミノ)アミノベンゼン又は1,3,5−トリス[3−(トリメチルシリル)プロピオニルアミノ]ベンゼンを挙げることができる。
このような化合物は、例えば、特表2006−518402号公報に記載の方法等によって製造することができる。
これらのうち、R、R及びRが、同一の基である式(3)の化合物が好ましい。なかでも、R、R及びRが第三ブチルで表わされる式(3)の化合物、すなわち、1,3,5−トリス[2,2−ジメチルプロピオニルアミノ]ベンゼンが特に好ましい。
この様な造核剤(c)としては、市販のものを用いることができる。具体的には、BASFジャパン(株)製商品名:イルガクリアXT−386を挙げることができる。
選択的に用いられる造核剤(c)の含有量は、プロピレン系重合体(A)とスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(B)からなるプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.005〜0.03重量部の範囲が好ましく、0.01〜0.02重量部の範囲がより好ましい。0.005重量部以上であれば十分な効果が得られ、0.03重量部以下である範囲は、費用対効果(コスト・パフォーマンス)の点から有利である。
本発明の医療用プロピレン系樹脂組成物には、造核剤(a)〜(c)以外に、他の造核剤として、ソルビトール系造核剤、ノニトール系造核剤及びタルクなど既知の造核剤を本発明の効果を大きく阻害しない範囲で含有させることができる。
ソルビトール系造核剤の具体例としては、例えば、1・3,2・4−ジベンジリデンソルビトール、1・3−ベンジリデン−2・4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1・3−ベンジリデン−2・4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1・3−p−メチルベンジリデン−2・4−ベンジリデンソルビトール、1・3−p−エチルベンジリデン−2・4−ベンジリデンソルビトール、1・3−p−メチルベンジリデン−2・4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1・3−p−エチルベンジリデン−2・4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−n−プロピルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−i−プロピルベンジリデンソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−n−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−s−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−t−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1・3−(2,4−ジメチルベンジリデン)−2・4−ベンジリデンソルビトール、1・3−ベンジリデン−2・4−(2,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(2,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−メトキシベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−エトキシベンジリデン)ソルビトール、1・3−ベンジリデン−2・4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1・3−p−クロルベンジリデン−2・4−ベンジリデンソルビトール、1・3−p−クロルベンジリデン−2・4−p−メチルべンジリデンソルビトール、1・3−p−クロルベンジリデン−2・4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1・3−p−メチルベンジリデン−2・4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1・3−p−エチルベンジリデン−2・4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−クロルベンジリデン)ソルビトールなどを挙げることができる。これらは、2種以上の混合物として用いてもよい。ノニトール系造核剤の具体例としては、1,2,3−トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−O−[(4−プロピルフェニル)メチレン]−ノニトールを挙げることができる。
3.中和剤
本発明の医療用プロピレン系樹脂組成物においては、中和剤を含有することが望ましい。中和剤の具体例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの金属脂肪酸塩、ハイドロタルサイト(商品名:DHT−4A、協和化学工業(株)製の下記式(4)で表されるマグネシウムアルミニウム複合水酸化物塩)、ミズカラック(商品名、水澤化学工業(株)製の下記式(5)で表されるリチウムアルミニウム複合水酸化物塩)などが挙げられる。特に、プレフィルドシリンジ、キット製剤、輸液バッグなど長期接液する部材として用いる場合には、接触する液体に溶出し
ないハイドロタルサイトやミズカラックが有利である。
Mg1−xAl(OH)(COx/2・mHO …(4)
[式中、xは、0<x≦0.5であり、mは3以下の数である。]
[AlLi(OH)X・mHO …(5)
[式中、Xは、無機又は有機のアニオンであり、nはアニオン(X)の価数であり、mは3以下である。]
本発明の医療用プロピレン系樹脂組成物に選択的に用いられる中和剤の含有量は、プロピレン系重合体(A)とスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(B)からなるプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.005〜0.2重量部の範囲が好ましく、0.01〜0.05重量部の範囲がより好ましい。
4.滑剤
本発明の医療用プロピレン系樹脂組成物においては、滑剤を含有することができる。滑剤としては、既知の滑剤が挙げられるが、ステアリン酸ブチルやシリコーンオイルが好ましく、特にシリコーンオイルが好ましい。
具体的なシリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルヒドロジエンポリシロキサン、α−ωビス(3−ヒドロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、ポリオキシアルキレン(C〜C)ジメチルポリシロキサン、ポリオルガノ(C〜Cのアルキル及び/又はフェニル)シロキサンとポリアルキレン(C〜C)グリコールの縮合物などが挙げられる。この中でもジメチルポリシロキサンとメチルフェニルポリシロキサンが好ましい。該滑剤は単独、又は複数用いても構わない。
ジメチルポリシロキサンなどのシリコーンを添加した場合、成形時に発生する傷を防止するだけでなく、シリンダー内やホットランナー内で発生する焼けを防止することができる。
本発明の医療用プロピレン系樹脂組成物に選択的に用いられる滑剤の含有量は、プロピレン系重合体(A)とスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(B)からなるプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.001〜0.5重量部が好ましく、0.01〜0.15重量部がより好ましく、0.03〜0.1重量部が特に好ましい。0.001重量部以上であれば十分な効果が期待でき、0.5重量部以下である範囲は、費用対効果(コスト・パフォーマンス)の点から有利である。
5.その他の添加剤
本発明の医療用プロピレン系樹脂組成物においては、上述した成分に加えて、本発明の効果を大きく阻害しない範囲で、プロピレン系重合体の安定剤などとして使用されている各種酸化防止剤、光安定剤等の添加剤を含有することができる。
具体的には、酸化防止剤としては、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、ジ−ステアリル−ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフォナイト等のリン系酸化防止剤、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート等のフェノール系酸化防止剤、ジ−ステアリル−β,β’−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ミリスチル−β,β’−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ラウリル−β,β’−チオ−ジ−プロピオネート等のチオ系酸化防止剤等が挙げられる。
光安定剤としては、n−ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピぺリジル)セバケート、コハク酸ジメチル−2−(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジル)エタノール縮合物、ポリ{[6−〔(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ〕−1,3,5−トリアジン−2,4ジイル]〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕}、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス〔N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ〕−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物等の光安定剤を挙げることができる。
さらに、放射線滅菌処理で変色がなく耐NOxガス変色性が良好な下記式(6)や下記式(7)で表されるアミン系酸化防止剤、5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジ−メチル−フェニル)−3H−ベンゾフラン−2−ワン等のラクトン系酸化防止剤、下記式(8)等のビタミンE系酸化防止剤を挙げることができる。
Figure 2018134121
Figure 2018134121
Figure 2018134121
さらに、その他に、帯電防止剤、スリップ剤、脂肪酸金属塩等の分散剤、染料、顔料、プロピレン系重合体(A)以外のプロピレン系重合体、ポリエチレン、オレフィン系エラストマー等を本発明の目的を損なわない範囲で含有する
ことができる。
[2]医療用プロピレン系樹脂組成物の製造方法
本発明の医療用プロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系重合体(A)とスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(B)からなるプロピレン系樹脂と造核剤、好ましくは選択的に用いられる造核剤(a)〜(c)からなる群から選択される少なくとも1種の造核剤、及び、必要に応じて他の添加剤とを、ヘンシェルミキサー(商品名)、スーパーミキサー、リボンブレンダー等に投入して混合した後、通常の単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、プラベンダー、ロール等で190〜260℃の温度範囲で溶融混練することにより得ることができる。
[3]医療用成形品
本発明の医療用成形品は、上記の医療用プロピレン系樹脂組成物を、公知の方法である射出成形法、押出成形法、ブロー成形法など各種成形法によって成形することにより得られるが、寸法精度が高く複雑な形状を作りやすい射出成形法が望ましい。
また、本発明の医療用成形品は、キット製剤として有用であり、薬剤液を充填してなる注射筒及び保存容器などに適しており、特に、プレフィルドシリンジに好適である。プレフィルドシリンジとは、薬液や薬剤があらかじめ充填されているシリンジ形状の製剤であり、1種類の液が充填されたシングルチャンバータイプのものと、2種の薬剤が充填されたダブルチャンバータイプがある。ほとんどのプレフィルドシリンジはシングルチャンバータイプであるが、ダブルチャンバータイプについては、粉末とその溶解液からなる液・粉タイプの製剤と2種類の液からなる液・液タイプの製剤がある。シングルチャンバータイプの内溶液の例としては、ヘパリン溶液などが挙げられる。
なお、本発明の医療用成形品は、高圧蒸気滅菌されるもので、一般的にオーバーキルと呼ばれる121℃で20分の処理を基準とするが、好ましくは80℃〜140℃、より好ましくは100℃〜140℃、さらに好ましくは100℃〜130℃の温度で、時間も数分から数時間という場合でも構わないが、好ましくは1分〜10時間、より好ましくは5分〜3時間である。本発明は高圧蒸気滅菌(オートクレーブ滅菌)処理に対して有効である。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの記載により何ら限定されるものではない。なお、各実施例及び比較例において、用いた物性測定は以下の方法で行い、プロピレン系重合体(A)、スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(B)、造核剤及び他の添加剤(中和剤、酸化防止剤、光安定剤)としては以下のものを使用した。
1.物性測定方法
(1)MFR:JIS K7210に準じて加熱温度230℃、2.16kg荷重(21.2N)にて測定した。
(2)ヘイズ値:厚さ1mmのシート片を用いて、オートクレーブ滅菌(AC滅菌、高圧蒸気滅菌)をアルプ(株)製レトルト高圧蒸気殺菌・冷却装置RKZ−30L型を用い、121℃で20分間の滅菌処理を行い、滅菌処理の1週間後にJIS K7136に準拠して測定した。
(3)第16改正 日本薬局方試験:7.02 プラスチック製薬品容器試験法の2.1 ポリエチレン製又はポリプロピレン製水性注射剤容器の項の試験法に従って、透明性、重金属、鉛、カドミウム、強熱残分、泡立ち、pH、過マンガン酸カリウム還元性物質、紫外吸収スペクトル、蒸発残留分を測定した。但し、試料調製は、0.5ミリ厚シートで表面積1200cmに相当する重量のペレットを秤量し、220℃でプレスしてシート片として、長さ約5センチ、幅約0.5センチの大きさに細断し、蒸留水で洗った後、室温で乾燥した。これを内容積約300mlの硬質ガラス製容器に入れ、蒸留水200mlを正確に加え、適当な栓で密封した後、高圧蒸気滅菌器を用いて121℃で1時間加熱した後、室温になるまで放置し、この内溶液を試験液とし、別に蒸留水につき、同様の方法で空試験液を調製した。
(4)曲げ弾性率:JIS K7203の「硬質プラスチックの曲げ試験方法」に準拠して23℃で測定した。
(5)シャルピー衝撃強度:JIS K7111に準拠して0℃で測定した。
(6)荷重たわみ温度(0.45MPa):JIS K7191に準拠して測定した。
2.使用材料
(1)プロピレン系重合体(A)
(i)プロピレン単独重合体(HPP):ノバテックMA3UQ(商品名、日本ポリプロ(株)製)、触媒:チーグラー触媒、MFR:17g/10分、アイソタクチックペンタッド分率0.98(13C−NMRによる測定)
(2)スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(B)
(i)タフテックH1062W(商品名、旭化成ケミカルズ(株)製)、スチレン含有量:18wt%、ブタジエンユニットの水素添加率が90モル%以上、密度:0.89g/cm、MFR:4.5g/10分
(ii)クレイトン G1645M(商品名、クレイトンポリマー社製)、スチレン含有量:11.5〜13.5wt%、ブタジエンユニットの水素添加率が90モル%以上、密度:0.89g/cm、MFR:2〜4.5g/10分
(iii)タフテックH1221W(商品名、旭化成ケミカルズ(株)製)、スチレン含有量:12wt%、ブタジエンユニットの水素添加率が90モル%以上、密度:0.89g/cm、MFR:4.5g/10分
(iv)ハイブラー7331F(商品名、(株)クラレ製)、スチレン含有量:12wt%、ブタジエンユニットの水素添加率が90モル%以上、密度:0.89g/cm、MFR:2g/10分
(3)エチレン−αオレフィンランダム系エラストマー
(i)カーネルKM262(商品名、日本ポリエチレン(株)製)、MFR:4g/10分、密度:0.898g/cm、メタロセン系超低密度ポリエチレン
(4)プロピレン−エチレンブロック共重合体
(i)特許文献4の製造例1を参考に製造したプロピレン−エチレンブロック共重合体(PP−1)、触媒:チーグラー触媒、MFR:38.9g/10min、エチレン含有量:5.0wt%、1段目のMFR:72g/10min、1段目のエチレン含有量:2.5wt%、1段目の成分量72wt%、2段目のMFR:8g/10min、2段目のエチレン含有量:11.3wt%、2段目の成分量28wt%
(5)造核剤
(i)有機リン酸金属塩化合物系造核剤:アデカスタブNA−11(商品名、NA11;(株)ADEKA製)、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート(式(1)で表される化合物(Rが水素、R及びRがtert−ブチル、Mがナトリウムである。):造核剤(a)に相当
(ii)芳香族燐酸エステル系造核剤:アデカスタブNA21(商品名、NA21;(株)ADEKA製)、ヒドロキシアルミニウムビス(2,4,8,10−テトラ−トランス−ブチル−6−ヒドロキシ−12−ジベンゾ[d,g][1.3.2]ジオキサフォスフォシン−6−オキサイド(式(2)で表される化合物(Rが水素、R及びRがtert−ブチル、Mがアルミニウム、Xが水酸基である。):造核剤(b)に相当)を主成分とした混合物からなる複合型造核剤
(iii)トリアミノベンゼン誘導体系造核剤:イルガクリア XT386(商品名、XT386;BASFジャパン(株)製)、1,3,5−トリス[2,2−ジメチルプロピオニルアミノ]ベンゼン(式(3)で表される化合物(R、R及びRが第三ブチル基である。)):造核剤(c)に相当
(6)中和剤
(i)ハイドロタルサイト:DHT−4A(商品名、DHT4A:協和化学工業(株)製)
(7)酸化防止剤
(i)リン系酸化防止剤:イルガフォス168(商品名、IF168;BASFジャパン(株)製)、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェノール)フォスファイト
(8)光安定剤
(i)ヒンダードアミン系光安定剤:TINUVIN622LD(商品名、TNV622;BASFジャパン(株)製)、琥珀酸ジメチル2−(4−ヒドロキシ−2、2,6,6−テトラメチルピペリジン)エタノール縮合物
(実施例1〜13、比較例1〜3)
プロピレン系重合体(A)、スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(B)、造核剤及び他の添加剤(酸化防止剤、中和剤など)を表1に記載の含有割合(重量部)で準備し、スーパーミキサーでドライブレンドした後、35mm径の2軸押出機を用いて溶融混練した。ダイ出口部温度230℃でダイから押し出しペレット化した。得られたペレットを射出成形機により、樹脂温度230℃、射出圧力600kg/cm(58.8MPa)及び金型温度40℃で射出成形し、試験片を作成した。得られた試験片を用い、物性を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2018134121
表1より、実施例1〜13は、プロピレン系重合体(A)としてプロピレン単独重合体に、スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(B)及び造核剤を含有した本発明品で、耐熱性や剛性と耐衝撃性のバランス、AC滅菌後の透明性が優れ、かつ、日本薬局方に適合することが判る。一方、比較例1は、スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(B)を含有していないもので、耐熱性と剛性は優れるが、耐衝撃性が低いことがわかる。比較例2は、メタロセン系超低密度ポリエチレンを含有したものであるが、0℃シャルピー衝撃強度の向上は見られず、特にAC滅菌後の透明性が実施例に比べ劣ることが判る。比較例3は、プロピレン−エチレンブロック共重合体を含有したものであるが、0℃シャルピー衝撃強度の向上は見られない。
本発明は、医療用プロピレン系樹脂組成物及びその成形品に関し、詳しくは医療用途向け薬剤、薬液保存容器のうち、特に、第16改正 日本薬局方 7.02 プラスチック医薬品容器試験法 2.プラスチック製水性注射剤容器の規格 2.1ポリエチレン製又はポリプロピレン製水性注射剤容器の(4)重金属、(5)鉛、(6)カドミウム、(7)強熱残分、(8)溶出物の試験項目を満足し、かつ、耐熱性、剛性、耐衝撃性、射出成形性及びオートクレーブ滅菌後の透明性に優れるものであり、それを用いた本発明のキット製剤は、透明性が良好で第16改正日本薬局方一般試験に合格する優れた成形品を得るのに非常に有用であることが判り、注射筒、医療用器具及び医療用容器として、薬剤液を充填してなる保存容器やプレフィルドシリンジのようなキット製剤に好適である。

Claims (6)

  1. プロピレン単独重合体又はプロピレンと含有量が2重量%以下のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体であり、JIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレートが0.5〜100g/10分であるプロピレン系重合体(A)80〜99重量部と、スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(B)1〜20重量部とからなるプロピレン系樹脂100重量部に対して、造核剤を0.005〜0.3重量部含有し、高圧蒸気滅菌して使用されることを特徴とする医療用プロピレン系樹脂組成物。
  2. 造核剤が、下記式(1)で表される造核剤(a)0.01〜0.3重量部、下記式(2)で表される造核剤(b)0.01〜0.3重量部及び下記式(3)で表される造核剤(c)0.005〜0.03重量部からなる群から選択される少なくとも1種の造核剤であることを特徴とする請求項1に記載の医療用プロピレン系樹脂組成物。
    Figure 2018134121
    (式中、Rは、直接結合、硫黄、炭素数1〜9のアルキレン又は炭素数2〜9のアルキリデンであり、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ水素、炭素数1〜8のアルキル又は炭素数7〜9のアルキルアリールであり、MはLi、Na、K、Mg、Ca、Zn又はAlであり、nはMの価数である。)
    Figure 2018134121
    (式中、Rは、水素又は炭素数1〜4のアルキルであり、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ水素又は炭素数1〜12のアルキルであり、Mは、周期表第3族又は第4族の金属であり、Xは、Mが周期表第3族の金属である場合には、HO−であり、Mが周期表第4族の金属である場合には、O=又は(HO)−である。)
    Figure 2018134121
    (式中、R、R及びRは、互いに独立して、未置換の又は置換された炭化水素基である。)
  3. 滅菌処理が、100℃〜130℃の高圧蒸気滅菌である請求項1又は2に記載の医療用プロピレン系樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂組成物を用いてなる医療用成形品。
  5. 請求項4に記載の医療用成形品がキット製剤であることを特徴とするキット製剤。
  6. 請求項5に記載のキット製剤がプレフィルドシリンジであることを特徴とするプレフィ
    ルドシリンジ。
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