JP2018134121A - 医療用プロピレン系樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents
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Abstract
Description
このような保存容器には、蒸気滅菌時の耐熱性、耐失透性、耐添加剤抽出性、水蒸気や酸素のガスバリヤー性が維持されることや、使用添加剤が保存薬剤、薬液に相互作用を及ぼさないことが必要であり、具体的には第16改正 日本薬局方 7.02 プラスチック医薬品容器試験法 2.プラスチック製水性注射剤容器の規格を満足することが必須要件である。
この薬液をあらかじめ充填してなるキット製剤をポリプロピレンで製造することを検討し始めたのは、1980年代半ば頃からで(例えば、特許文献2参照。)、近年、プロピレン系重合体と、特定の核剤とからなる透明な注射筒又は透明な容器に薬剤液を充填してなる製剤(例えば、特許文献3参照。)に関する検討がなされている。
2014年7月1日より日本もPIC/S(医薬品査定協定・医薬品査察協同スキーム(The Pharmaceutical Inspection Convention and Pharmaceutical Inspection Co-operation Scheme : PIC/S ))に加盟したことにより、世界標準レベルの管理や滅菌強度等が今後は必要となり、より高温下での滅菌に対応可能な材料が求められている。しかしながら、滅菌後に日本薬局方記載の透過率55%以上を満足する高い透明性を有し、耐熱性及び剛性と耐衝撃性に優れ、日本薬局方試験に合格し、薬剤、薬液の保存容器として満足し得る成形品が得られていないのが現状である。
一方、優れた透明性、耐衝撃性、耐熱性、剛性を両立し、同時に成形加工時のヤケ異物発生の少ないプロピレン系樹脂組成物及び成形品を提供することを目的として、α−オレフィン含有量が1重量%未満のプロピレン系(共)重合体と特定のプロピレン−エチレンブロック共重合体とからなるプロピレン系樹脂に造核剤を含有する医療用プロピレン系樹脂組成物や、α−オレフィン含有量が0以上5重量%未満のプロピレン系重合体、スチレン系エラストマー又はその水素添加物及び特定の透明核剤を含有するプロピレン系樹脂組成物の材料開発が行なわれている(例えば、特許文献4、5参照。)。特許文献4、5には、得られた成形品は、上記優れた特性を求められる多くの用途、例えば輸液バッグ、プレフィルドシリンジ、キット製剤等の医薬品容器に適用可能であることが記載されている。
また、本発明の第6の発明によれば、第5の発明のキット製剤がプレフィルドシリンジであることを特徴とするプレフィルドシリンジが提供される。
1.プロピレン系樹脂
(A)プロピレン系重合体
本発明の医療用プロピレン系樹脂組成物に用いられる(A)プロピレン系重合体は、プロピレン単独重合体、プロピレンと含有量が2重量%以下のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体又はこれらの混合物であってもよい。
(A)プロピレン系重合体は、オートクレーブ滅菌時などの耐熱性の観点では単独重合体が望ましく、透明性の観点ではプロピレンとα−オレフィンとからなる共重合体、特にランダム共重合体が望ましい。共重合に用いられるα−オレフィンは、プロピレンを除く炭素数2〜20のα−オレフィンがあげられ、例えばエチレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等を例示できる。プロピレンと共重合されるα−オレフィンは一種類でも二種類以上用いてもよい。このうちエチレン、ブテン−1が好適である。より好ましくはエチレンが好適である。また、これらプロピレン系重合体は、二種以上混合して使用してもよい。また、α−オレフィンの含有量が2重量%以下であると耐熱性の観点から、使用に好適なものとなる。
プロピレン系共重合体の具体的な例としては、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ヘキセン−1共重合体、プロピレン−オクテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ヘキセン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1−オクテン−1共重合体などのような、共単量体を任意に若干量組み合わせた二元又は三元共重合体が例示できる。
ここで、プロピレン及びα−オレフィンの各含有量は、下記の条件の13C−NMR法によって計測される値である。
装置:日本電子社製 JEOL−GSX270
濃度:300mg/2mL
溶媒:オルソジクロロベンゼン
これらの内、インデニル又はアズレニルを珪素又はゲルミルで架橋したメタロセン化合物が好ましい。
例えば、スラリー重合法の場合には、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素又は液状モノマー中で行うことができる。重合温度は、通常−80〜150℃であり、好ましくは40〜120℃である。重合圧力は、1〜60気圧(0.10〜6.08MPa)が好ましく、また得られるプロピレン系重合体(A)の分子量の調節は、水素又は他の公知の分子量調整剤で行うことができる。重合は連続式又はバッチ式反応で行い、その条件は通常用いられている条件でよい。さらに重合反応は一段で行ってもよく、多段で行ってもよい。
本発明で用いられる、スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(B)は、共役ジエンとして、ブタジエン、イソプレン等を使用したブロック共重合体の水素添加物であり、例えば、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)やスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体(SEP)の他、スチレンとブタジエン及びイソプレンとの併用ブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。ここでスチレンコモノマー成分としては、α−メチルスチレンやp−メチルスチレン等のスチレン誘導体を使用することもできる。また、水素添加率が90モル%以上、好ましくは95モル%以上である。
本発明の医療用プロピレン系樹脂組成物に用いられる造核剤の含有量は、プロピレン系重合体(A)とスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(B)からなるプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.005〜0.3重量部の範囲である。0.005重量部以上であれば透明性が十分に発現され、0.3重量部以下であると、第16改正 日本薬局方 7.02 プラスチック医薬品容器試験法 2.プラスチック製水性注射剤容器の規格 2.1ポリエチレン製又はポリプロピレン製水性注射剤容器の試験に合格になる可能性があるだけでなく費用対前記効果(コスト・パフォーマンス)の点から有利である。
この様な造核剤としては、以下に示す造核剤(a)〜(c)であることが望ましい。
選択的に用いられる造核剤(a)は、式(1)で表される有機リン酸金属塩化合物である。
この様な造核剤(a)としては、市販のものを用いることができる。具体的には、(株)ADEKA製商品名:アデカスタブNA−11を挙げることができる。
該有機アルカリ金属塩とは、アルカリ金属カルボン酸塩、アルカリ金属β−ジケトナート及びアルカリ金属β−ケト酢酸エステル塩からなる群より選択される少なくとも一種の有機アルカリ金属塩を示すことができる。
該有機アルカリ金属塩を構成するアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
上記アルカリ金属カルボン酸塩を構成するカルボン酸としては、例えば酢酸、プロピオン酸、アクリル酸、オクチル酸、イソオクチル酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、メリシン酸、β−ドデシルメルカプト酢酸、β−ドデシルメルカプトプロピオン酸、β−N−ラウリルアミノプロピオン酸、β−N−メチル−ラウロイルアミノプロピオン酸等の脂肪族モノカルボン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、クエン酸、ブタントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸、ナフテン酸、シクロペンタンカルボン酸、1−メチルシクロペンタンカルボン酸、2−メチルシクロペンタンカルボン酸、シクロペンテンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、1−メチルシクロヘキサンカルボン酸、4−メチルシクロヘキサンカルボン酸、3,5−ジメチルシクロヘキサンカルボン酸、4−ブチルシクロヘキサンカルボン酸、4−オクチルシクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキセンカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸等の脂環式モノ又はポリカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、キシリル酸、エチル安息香酸、4−t−ブチル安息香酸、サリチル酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族モノ又はポリカルボン酸等が挙げられる。
上記アルカリ金属β−ジケトナートを構成するβ−ジケトン化合物としては、例えば、アセチルアセトン、ピバロイルアセトン、パルミトイルアセトン、ベンゾイルアセトン、ピバロイルベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン等が挙げられる。
また、上記アルカリ金属β−ケト酢酸エステル塩を構成するβ−ケト酢酸エステルとしては、例えば、アセト酢酸エチル、アセト酢酸オクチル、アセト酢酸ラウリル、アセト酢酸ステアリル、ベンゾイル酢酸エチル、ベンゾイル酢酸ラウリル等が挙げられる。 該有機アルカリ金属塩の成分であるアルカリ金属カルボン酸塩、アルカリ金属β−ジケトナート又はアルカリ金属β−ケト酢酸エステル塩は、各々上記アルカリ金属とカルボン酸、β−ジケトン化合物又はβ−ケト酢酸エステルとの塩であり、従来周知の方法で製造することができる。また、これら各アルカリ金属塩化合物の中でも、アルカリ金属の脂肪族モノカルボン酸塩、特に、リチウムの脂肪族カルボン酸塩が好ましく、とりわけ炭素数8〜20の脂肪族モノカルボン酸塩が好ましい。
この様な造核剤(b)としては、有機アルカリ金属塩との混合物からなる複合型造核剤として市販されているものを用いることができる。具体的には、(株)ADEKA製商品名:アデカスタブNA−21を挙げることができる。
R1、R2及びR3の少なくとも1つが、枝分かれした炭素原子数3〜20のアルキル、又は、未置換の又は1つ以上の炭素原子数1〜20のアルキルによって置換された炭素原子数3〜12のシクロアルキルで表わされる式(3)の化合物が好ましい。
これらのうち、R1、R2及びR3が、同一の基である式(3)の化合物が好ましい。なかでも、R1、R2及びR3が第三ブチルで表わされる式(3)の化合物、すなわち、1,3,5−トリス[2,2−ジメチルプロピオニルアミノ]ベンゼンが特に好ましい。
この様な造核剤(c)としては、市販のものを用いることができる。具体的には、BASFジャパン(株)製商品名:イルガクリアXT−386を挙げることができる。
選択的に用いられる造核剤(c)の含有量は、プロピレン系重合体(A)とスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(B)からなるプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.005〜0.03重量部の範囲が好ましく、0.01〜0.02重量部の範囲がより好ましい。0.005重量部以上であれば十分な効果が得られ、0.03重量部以下である範囲は、費用対効果(コスト・パフォーマンス)の点から有利である。
ソルビトール系造核剤の具体例としては、例えば、1・3,2・4−ジベンジリデンソルビトール、1・3−ベンジリデン−2・4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1・3−ベンジリデン−2・4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1・3−p−メチルベンジリデン−2・4−ベンジリデンソルビトール、1・3−p−エチルベンジリデン−2・4−ベンジリデンソルビトール、1・3−p−メチルベンジリデン−2・4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1・3−p−エチルベンジリデン−2・4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−n−プロピルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−i−プロピルベンジリデンソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−n−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−s−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−t−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1・3−(2,4−ジメチルベンジリデン)−2・4−ベンジリデンソルビトール、1・3−ベンジリデン−2・4−(2,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(2,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−メトキシベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−エトキシベンジリデン)ソルビトール、1・3−ベンジリデン−2・4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1・3−p−クロルベンジリデン−2・4−ベンジリデンソルビトール、1・3−p−クロルベンジリデン−2・4−p−メチルべンジリデンソルビトール、1・3−p−クロルベンジリデン−2・4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1・3−p−メチルベンジリデン−2・4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1・3−p−エチルベンジリデン−2・4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−クロルベンジリデン)ソルビトールなどを挙げることができる。これらは、2種以上の混合物として用いてもよい。ノニトール系造核剤の具体例としては、1,2,3−トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−O−[(4−プロピルフェニル)メチレン]−ノニトールを挙げることができる。
本発明の医療用プロピレン系樹脂組成物においては、中和剤を含有することが望ましい。中和剤の具体例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの金属脂肪酸塩、ハイドロタルサイト(商品名:DHT−4A、協和化学工業(株)製の下記式(4)で表されるマグネシウムアルミニウム複合水酸化物塩)、ミズカラック(商品名、水澤化学工業(株)製の下記式(5)で表されるリチウムアルミニウム複合水酸化物塩)などが挙げられる。特に、プレフィルドシリンジ、キット製剤、輸液バッグなど長期接液する部材として用いる場合には、接触する液体に溶出し
ないハイドロタルサイトやミズカラックが有利である。
[式中、xは、0<x≦0.5であり、mは3以下の数である。]
[式中、Xは、無機又は有機のアニオンであり、nはアニオン(X)の価数であり、mは3以下である。]
本発明の医療用プロピレン系樹脂組成物においては、滑剤を含有することができる。滑剤としては、既知の滑剤が挙げられるが、ステアリン酸ブチルやシリコーンオイルが好ましく、特にシリコーンオイルが好ましい。
具体的なシリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルヒドロジエンポリシロキサン、α−ωビス(3−ヒドロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、ポリオキシアルキレン(C2〜C4)ジメチルポリシロキサン、ポリオルガノ(C1〜C2のアルキル及び/又はフェニル)シロキサンとポリアルキレン(C2〜C3)グリコールの縮合物などが挙げられる。この中でもジメチルポリシロキサンとメチルフェニルポリシロキサンが好ましい。該滑剤は単独、又は複数用いても構わない。
ジメチルポリシロキサンなどのシリコーンを添加した場合、成形時に発生する傷を防止するだけでなく、シリンダー内やホットランナー内で発生する焼けを防止することができる。
本発明の医療用プロピレン系樹脂組成物においては、上述した成分に加えて、本発明の効果を大きく阻害しない範囲で、プロピレン系重合体の安定剤などとして使用されている各種酸化防止剤、光安定剤等の添加剤を含有することができる。
ことができる。
本発明の医療用プロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系重合体(A)とスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(B)からなるプロピレン系樹脂と造核剤、好ましくは選択的に用いられる造核剤(a)〜(c)からなる群から選択される少なくとも1種の造核剤、及び、必要に応じて他の添加剤とを、ヘンシェルミキサー(商品名)、スーパーミキサー、リボンブレンダー等に投入して混合した後、通常の単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、プラベンダー、ロール等で190〜260℃の温度範囲で溶融混練することにより得ることができる。
本発明の医療用成形品は、上記の医療用プロピレン系樹脂組成物を、公知の方法である射出成形法、押出成形法、ブロー成形法など各種成形法によって成形することにより得られるが、寸法精度が高く複雑な形状を作りやすい射出成形法が望ましい。
また、本発明の医療用成形品は、キット製剤として有用であり、薬剤液を充填してなる注射筒及び保存容器などに適しており、特に、プレフィルドシリンジに好適である。プレフィルドシリンジとは、薬液や薬剤があらかじめ充填されているシリンジ形状の製剤であり、1種類の液が充填されたシングルチャンバータイプのものと、2種の薬剤が充填されたダブルチャンバータイプがある。ほとんどのプレフィルドシリンジはシングルチャンバータイプであるが、ダブルチャンバータイプについては、粉末とその溶解液からなる液・粉タイプの製剤と2種類の液からなる液・液タイプの製剤がある。シングルチャンバータイプの内溶液の例としては、ヘパリン溶液などが挙げられる。
なお、本発明の医療用成形品は、高圧蒸気滅菌されるもので、一般的にオーバーキルと呼ばれる121℃で20分の処理を基準とするが、好ましくは80℃〜140℃、より好ましくは100℃〜140℃、さらに好ましくは100℃〜130℃の温度で、時間も数分から数時間という場合でも構わないが、好ましくは1分〜10時間、より好ましくは5分〜3時間である。本発明は高圧蒸気滅菌(オートクレーブ滅菌)処理に対して有効である。
(1)MFR:JIS K7210に準じて加熱温度230℃、2.16kg荷重(21.2N)にて測定した。
(1)プロピレン系重合体(A)
(i)プロピレン単独重合体(HPP):ノバテックMA3UQ(商品名、日本ポリプロ(株)製)、触媒:チーグラー触媒、MFR:17g/10分、アイソタクチックペンタッド分率0.98(13C−NMRによる測定)
(i)タフテックH1062W(商品名、旭化成ケミカルズ(株)製)、スチレン含有量:18wt%、ブタジエンユニットの水素添加率が90モル%以上、密度:0.89g/cm3、MFR:4.5g/10分
(ii)クレイトン G1645M(商品名、クレイトンポリマー社製)、スチレン含有量:11.5〜13.5wt%、ブタジエンユニットの水素添加率が90モル%以上、密度:0.89g/cm3、MFR:2〜4.5g/10分
(iii)タフテックH1221W(商品名、旭化成ケミカルズ(株)製)、スチレン含有量:12wt%、ブタジエンユニットの水素添加率が90モル%以上、密度:0.89g/cm3、MFR:4.5g/10分
(iv)ハイブラー7331F(商品名、(株)クラレ製)、スチレン含有量:12wt%、ブタジエンユニットの水素添加率が90モル%以上、密度:0.89g/cm3、MFR:2g/10分
(i)カーネルKM262(商品名、日本ポリエチレン(株)製)、MFR:4g/10分、密度:0.898g/cm3、メタロセン系超低密度ポリエチレン
(4)プロピレン−エチレンブロック共重合体
(i)特許文献4の製造例1を参考に製造したプロピレン−エチレンブロック共重合体(PP−1)、触媒:チーグラー触媒、MFR:38.9g/10min、エチレン含有量:5.0wt%、1段目のMFR:72g/10min、1段目のエチレン含有量:2.5wt%、1段目の成分量72wt%、2段目のMFR:8g/10min、2段目のエチレン含有量:11.3wt%、2段目の成分量28wt%
(i)有機リン酸金属塩化合物系造核剤:アデカスタブNA−11(商品名、NA11;(株)ADEKA製)、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート(式(1)で表される化合物(R1が水素、R2及びR3がtert−ブチル、Mがナトリウムである。):造核剤(a)に相当
(ii)芳香族燐酸エステル系造核剤:アデカスタブNA21(商品名、NA21;(株)ADEKA製)、ヒドロキシアルミニウムビス(2,4,8,10−テトラ−トランス−ブチル−6−ヒドロキシ−12−ジベンゾ[d,g][1.3.2]ジオキサフォスフォシン−6−オキサイド(式(2)で表される化合物(R1が水素、R2及びR3がtert−ブチル、Mがアルミニウム、Xが水酸基である。):造核剤(b)に相当)を主成分とした混合物からなる複合型造核剤
(iii)トリアミノベンゼン誘導体系造核剤:イルガクリア XT386(商品名、XT386;BASFジャパン(株)製)、1,3,5−トリス[2,2−ジメチルプロピオニルアミノ]ベンゼン(式(3)で表される化合物(R1、R2及びR3が第三ブチル基である。)):造核剤(c)に相当
(6)中和剤
(i)ハイドロタルサイト:DHT−4A(商品名、DHT4A:協和化学工業(株)製)
(7)酸化防止剤
(i)リン系酸化防止剤:イルガフォス168(商品名、IF168;BASFジャパン(株)製)、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェノール)フォスファイト
(8)光安定剤
(i)ヒンダードアミン系光安定剤:TINUVIN622LD(商品名、TNV622;BASFジャパン(株)製)、琥珀酸ジメチル2−(4−ヒドロキシ−2、2,6,6−テトラメチルピペリジン)エタノール縮合物
プロピレン系重合体(A)、スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(B)、造核剤及び他の添加剤(酸化防止剤、中和剤など)を表1に記載の含有割合(重量部)で準備し、スーパーミキサーでドライブレンドした後、35mm径の2軸押出機を用いて溶融混練した。ダイ出口部温度230℃でダイから押し出しペレット化した。得られたペレットを射出成形機により、樹脂温度230℃、射出圧力600kg/cm2(58.8MPa)及び金型温度40℃で射出成形し、試験片を作成した。得られた試験片を用い、物性を測定した。その結果を表1に示す。
Claims (6)
- プロピレン単独重合体又はプロピレンと含有量が2重量%以下のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体であり、JIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレートが0.5〜100g/10分であるプロピレン系重合体(A)80〜99重量部と、スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(B)1〜20重量部とからなるプロピレン系樹脂100重量部に対して、造核剤を0.005〜0.3重量部含有し、高圧蒸気滅菌して使用されることを特徴とする医療用プロピレン系樹脂組成物。
- 造核剤が、下記式(1)で表される造核剤(a)0.01〜0.3重量部、下記式(2)で表される造核剤(b)0.01〜0.3重量部及び下記式(3)で表される造核剤(c)0.005〜0.03重量部からなる群から選択される少なくとも1種の造核剤であることを特徴とする請求項1に記載の医療用プロピレン系樹脂組成物。
- 滅菌処理が、100℃〜130℃の高圧蒸気滅菌である請求項1又は2に記載の医療用プロピレン系樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂組成物を用いてなる医療用成形品。
- 請求項4に記載の医療用成形品がキット製剤であることを特徴とするキット製剤。
- 請求項5に記載のキット製剤がプレフィルドシリンジであることを特徴とするプレフィ
ルドシリンジ。
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