JP2009082698A - 人工透析用部材 - Google Patents

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Masakazu Suzuki
昌和 鈴木
Yasuhiro Yaso
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Abstract

【課題】透析型人工腎臓装置承認基準のうち、透析液供給部及び透析液回路の品質及び試験法 1(2)を満足し、かつ、耐衝撃性、透明性、成形性に優れた人工透析用部材を提供する。
【解決手段】プロピレン系重合体(A)100重量部に対し、特定のソルビトール系および/または特定の芳香族燐酸エステル類造核剤(B)を0.01〜0.4重量部、及びシリコーン(C)を0.001〜1重量部配合し、JIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレート(MFRcomp)が15〜50g/10分であるプロピレン系樹脂組成物からなり、かつ放射線滅菌されていることを特徴とする人工透析用部材など。
【選択図】なし

Description

本発明は、人工透析用部材に関し、詳しくは、透析型人工腎臓装置承認基準のうち、透析液供給部及び透析液回路の品質及び試験法 1(2)を満足し、かつ透明性に優れた人工透析用部材に関する。
腎臓の機能が低下すると、人工腎臓と呼ばれる装置で、血液から水分や老廃物を取り出すとともに、血液が酸性にならないような調節が行なわれる。一般に、これを人工透析と言う。その概念を図1に、血液をきれいにするダイアライザーの詳細を図2に示す。
図1及び2において、まず、透析を受ける人の腕1の血管に針を刺し、血液ポンプ3で連続的に血液を取り出す。この血液ポンプ3は、ローラーを柔らかいチューブ2に押しつけながら回転することによって血液を一方向へ送ることができる。また、血液をきれいにする部分が、ダイアライザー5と呼ばれる用具である。このダイアライザー5に空気が入ると効率が悪くなったり、透析を受ける人の安全を守るために、空気が入らないようにエアートラップ4と呼ばれる筒がダイアライザーの前後に取り付けられている。ダイアライザー5では、半透膜を介して、血液から過剰な水や老廃物を排出し、血液をきれいにすることができる。その際、コンソール6という調節装置によって、透析液が正確にダイアライザー5へ送られ、内部の水や老廃物が混じった透析液が外部へ運び出される。コンソール6にはいろいろな警報も付いており、安全に人工透析ができるようになっている。
ダイアライザー5は、長さが30cmほどの円筒状のプラスチック製容器で構成されており、その中に、半透膜であるホローファイバー11という極めて細い糸が1万本程度、該容器に対し平行に束ねて収められている。ホローファイバー11はマカロニのように中心部に穴があいており、その穴の中を血液が流れ、ホローファイバー11の外側を透析液が流れている。ホローファイバー11は水や老廃物を、透析液へと通すように作られているので、連続的に血液を送ることによって血液をきれいにすることができる。
また、ダイアライザー5は、円筒状の外筒12と外筒12に蓋をするためのヘッダー13とから構成されている。両側のヘッダー13同士は、ホローファイバー11と結合しており、一方のヘッダー13の血液流入口7から血液が流れ込み、ホローファイバー11の中を血液が流れる際、血液中の水や老廃物がホローファイバー11の外側である透析液へ排出され、その後、もう一方のヘッダー13の血液流出口8から血液が流れ出る構造となっている。また、外筒12には、透析液の流入口9と透析液の流出口10が設けられており、ダイアライザー5内に透析液を循環させることにより水や老廃物を取り出す構造となっている。
現在、人工透析用部材であるこの様なダイアライザーの外筒やヘッダー部分は、ポリカーボネート(以下、PCと言う場合もある。)を素材とするものが主流である(例えば、特許文献1、2参照。)。PCは、透明性や耐衝撃性に優れているため、ダイアライザーが稼動中、内部の状態が見えやすく安心して使用できる点、運搬や使用時において壊れ難いという点で優位な素材である。しかし、その反面、PCは、成形する前に乾燥工程を必要とするため作業効率が悪かったり、融点が高いため成形温度が高くエネルギー効率が悪いといった問題や、原料に起因する化学物質の溶出による悪影響や、高価格であるという問題も含んでいた。そのため、PCに代わる、優れた耐衝撃性、透明性および成形性を有し、透析型人工腎臓装置承認基準のうち、透析液供給部及び透析液回路の品質及び試験法 1(2)を満足し得る素材が望まれているのが現状であった。
人工透析用部材は、使い捨ての注射筒などと異なり、血液と長い時間接触する為、滑剤などの溶出する成分が含まれていると好ましくない。しかし、円筒状の外筒等を成形する際には離型性が必要で、離型性が充分でないと良好な成形品を得ることができない。その為、透析型人工腎臓装置承認基準を満足し、かつ優れた離型性のある材料が求められている。
特開2002−219169号公報 国際公開99/64506号パンフレット
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、透析型人工腎臓装置承認基準のうち、透析液供給部及び透析液回路の品質及び試験法 1(2)を満足し、かつ、耐衝撃性、透明性、成形性、離型性に優れた人工透析用部材を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究の結果、特定のプロピレン系重合体を基材とし、特定の造核剤とシリコーンを特定量用いたプロピレン系樹脂組成物は、透析型人工腎臓装置承認基準のうち、透析液供給部及び透析液回路の品質及び試験法 1(2)を満足し、優れた耐衝撃性、透明性および成形性を有する人工透析用部材として好適であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、プロピレン系重合体(A)100重量部に対し、下記一般式(1)および/または一般式(2)で表される造核剤(B)を0.01〜0.4重量部、及びシリコーン(C)を0.001〜1重量部配合し、JIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレート(MFRcomp)が15〜50g/10分であるプロピレン系樹脂組成物からなり、かつ放射線滅菌されていることを特徴とする人工透析用部材が提供される。
Figure 2009082698
(式中、R、Rは、各々水素原子、炭素数1〜18のアルキル基またはハロゲン基を表す。)
Figure 2009082698
(式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R及びRは、水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を示し、Mは、周期律表第III族または第IV族の金属原子を示し、Xは、Mが周期律表第III族の金属原子を示す場合には、HO−を示し、Mが周期律表第IV族の金属原子を示す場合には、O=又は(HO)−を示す。)
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、プロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系重合体(A)がJIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレート(MFRPP)が1〜10g/10分でα−オレフィン含有量が1.0〜5.0重量%のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体であって、MFRcompが過酸化物により調整されたものであり、かつMFRcomp/MFRPPの比が3以上であることを特徴とする人工透析用部材が提供される。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第2の発明において、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体は、JIS K7121に準拠した示差走査型熱量計により得られる融解温度(ピーク値)が155℃以下であることを特徴とする人工透析用部材が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、人工透析用部材は、ダイアライザーの外筒および/またはヘッダーであることを特徴とする人工透析用部材が提供される。
本発明の人工透析用部材は、好ましくは特定のプロピレン系重合体(A)を基材とし、特定の造核剤(B)、及びシリコーン(C)を特定量用いたプロピレン系樹脂組成物からなるので、透析型人工腎臓装置承認基準のうち、透析液供給部及び透析液回路の品質及び試験法 1(2)を満足し、かつ、耐衝撃性、透明性、成形性、離型性に優れたものであり、従来のポリカーボネート(PC)に比べて成形加工性に優れ、低い成形温度によって得ることができる。
本発明は、プロピレン系重合体(A)100重量部に対し、特定の造核剤(B)を0.01〜0.4重量部、及びシリコーン(C)を0.001〜1重量部配合し、MFRcompが15〜50g/10分であるプロピレン系樹脂組成物からなり、かつ放射線滅菌されていることを特徴とする人工透析用部材である。
以下、詳細にプピロピレン系樹脂組成物の構成成分、プロピレン系樹脂組成物の製造方法、人工透析用部材について説明する。
1.プピロピレン系樹脂組成物の構成成分
(1)プロピレン系重合体(A)
本発明に係るプロピレン系樹脂組成物に用いられるプロピレン系重合体(A)は、プロピレン単独重合体であっても、プロピレンを主体とし、プロピレンと他のα−オレフィンとのプロピレン系共重合体であっても、それらを2種以上含む混合物であっても、いずれでも良い。
上記プロピレン系共重合体としては、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもどちらでも良いが、放射線照射後の物性保持性と透明性の観点から、ランダム共重合体が望ましい。該共重合体に用いられるα−オレフィンとしては、プロピレンを除く炭素数2〜20のα−オレフィンが挙げられ、例えば、エチレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等を例示できる。プロピレンと共重合されるα−オレフィンは、一種類でも二種類以上用いてもよい。このうち、エチレン、ブテン−1が好適であり、より好ましくはエチレンが物性バランスにおいて好適である。また、これらプロピレン系重合体は、二種以上混合して使用してもよい。
共重合に用いられるα−オレフィンの含量は、ブロック共重合体の場合は、15重量%以下が好ましく、ランダム共重合体の場合は、1.0〜5.0重量%が好ましく、より好ましくは2.0〜4.5重量%である。α−オレフィンの含量が5重量%を超えると、剛性が低くなり、人工透析用部材として適さなくなる虞がある。また、1.0重量%未満では、放射線滅菌処理した後の物性低下が著しくなる虞がある。
ここで、プロピレン及びα−オレフィンの含量は、下記の条件の13C−NMR法によって計測される値である。
装置:日本電子社製 JEOL−GSX270
濃度:300mg/2mL
溶媒:オルソジクロロベンゼン
本発明で用いられるプロピレン系重合体(A)は、JIS K7210の「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」(試験条件:230℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレート(MFRPP)が1〜10g/10分であることが好ましく、2〜8g/10分がより好ましく、4〜6g/10分がさらに好ましい。メルトフローレートが1g/10分未満では、過酸化物によるプロピレン系樹脂組成物をペレット化する際、ペレット形状が歪となり、該ペレットを用いての成形に不具合が発生する虞があり、逆に、10g/10分を超えると、人工透析用部材に良好な耐衝撃性が得られない虞がある。
また、本発明で好ましく用いられるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体は、示差走査型熱量計のより得られる融解温度(ピーク値)が155℃以下であることが好ましく、より好ましくは125〜150℃である。融解温度(ピーク値)が155℃を超えると超音波溶着法で外筒とヘッダーなどの部材を接合させる事が困難となる。
ここで、示差走査型熱量計のより得られる融解温度(ピーク値)は、JIS K7121の「プラスチックの転移温度測定方法」に準拠し、測定する値である。
本発明で用いるプロピレン系重合体(A)の製造方法としては、特に限定されないが、立体規則性触媒を使用する重合法が好ましい。立体規則性触媒としては、チーグラー触媒やメタロセン触媒などが挙げられる。
チーグラー触媒としては、三塩化チタン、四塩化チタン、トリクロロエトキシチタン等のハロゲン化チタン化合物、前記ハロゲン化チタン化合物とハロゲン化マグネシウムに代表されるマグネシウム化合物との接触物等の遷移金属成分とアルキルアルミニウム化合物又はそれらのハロゲン化物、水素化物、アルコキシド等の有機金属成分との2成分系触媒、更にそれらの成分に窒素、炭素、リン、硫黄、酸素、ケイ素等を含む電子供与性化合物を加えた3成分系触媒が挙げられる。三塩化チタン系触媒の1例としては、Solvey触媒が挙げられる。
メタロセン触媒としては、(i)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物(いわゆるメタロセン化合物)と、(ii)メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒と、必要により、(iii)有機アルミニウム化合物とからなる触媒であり、公知の触媒はいずれも使用できる。メタロセン化合物は、好ましくはプロピレンの立体規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物であり、より好ましくはプロピレンのアイソ規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物である。
(i)メタロセン化合物としては、例えば、特開昭60−35007号、特開昭61−130314号、特開昭63−295607号、特開平1−275609号、特開平2−41303号、特開平2−131488号、特開平2−76887号、特開平3−163088号、特開平4−300887号、特開平4−211694号、特開平5−43616号、特開平5−209013号、特開平6−239914号、特表平7−504934号、特開平8−85708号の各公報に開示されている。
更に、具体的には、メチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン1,2−(4−フェニルインデニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(4−メチルシクロペンタジエニル)(3−t−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2−メチル−4−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(3’−t−ブチル−5’−メチル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[4−(1−フェニル−3−メチルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(フルオレニル)t−ブチルアミドジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4,(1−ナフチル)−インデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(3−フルオロビフェニリル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス[1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリドなどのジルコニウム化合物が例示できる。
上記において、ジルコニウムをチタニウム、ハフニウムに置き換えた化合物も同様に使用できる。場合によっては、ジルコニウム化合物とハフニウム化合物等の混合物を使用することもできる。また、クロリドは他のハロゲン化合物、メチル、イソブチル、ベンジル等の炭化水素基、ジメチルアミド、ジエチルアミド等のアミド基、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシド基、ヒドリド基等に置き換えることができる。
これらの内、インデニル基あるいはアズレニル基を珪素あるいはゲルミル基で架橋したメタロセン化合物が好ましい。
また、メタロセン化合物は、無機または有機化合物の担体に担持して使用してもよい。該担体としては、無機または有機化合物の多孔質化合物が好ましく、具体的には、イオン交換性層状珪酸塩、ゼオライト、SiO、Al、シリカアルミナ、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThO、等の無機化合物、多孔質のポリオレフィン、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体、オレフィン・アクリル酸共重合体等からなる有機化合物、またはこれらの混合物が挙げられる。
(ii)メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒としては、有機アルミニウムオキシ化合物(たとえば、アルミノキサン化合物)、イオン交換性層状珪酸塩、ルイス酸、ホウ素含有化合物、イオン性化合物、フッ素含有有機化合物等が挙げられる。
(iii)有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウムセスキハライド、アルキルアルミニウムジハライド、アルキルアルミニウムハイドライド、有機アルミニウムアルコキサイド等が挙げられる。
プロピレン系重合体(A)の製造方法としては、上記触媒の存在下に、不活性溶媒を用いたスラリー法、溶液法、実質的に溶媒を用いない気相法や、あるいは重合モノマーを溶媒とするバルク重合法等が挙げられる。
例えば、スラリー重合法の場合には、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素又は液状モノマー中で行うことができる。重合温度は、通常−80〜150℃であり、好ましくは40〜120℃である。重合圧力は、1〜60気圧が好ましく、また得られるプロピレン系重合体の分子量の調節は、水素もしくは他の公知の分子量調整剤で行うことができる。重合は連続式又はバッチ式反応で行い、その条件は通常用いられている条件でよい。さらに重合反応は一段で行ってもよく、多段で行ってもよい。
人工透析用部材の1つであるダイアライザーは、その外筒とヘッダーが、通常、超音波溶着法により接合されている。この方法では、一般にプロピレン単独重合体は溶着しにくい傾向がある。そのため、融解温度(ピーク値)が155℃以下、より好ましくは125〜150℃の低融点タイプのプロピレン系ランダム共重合体、特にメタロセン触媒を用いて重合されたものが有利となる。
(2)造核剤(B)
本発明に係るプロピレン系樹脂組成物に用いられる造核剤(B)は、下記一般式(1)および/または一般式(2)で表されるものである。
Figure 2009082698
(式中、R、Rは、各々水素原子、炭素数1〜18のアルキル基またはハロゲン基を表す。)
Figure 2009082698
(式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R及びRは、水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を示し、Mは、周期律表第III族または第IV族の金属原子を示し、Xは、Mが周期律表第III族の金属原子を示す場合には、HO−を示し、Mが周期律表第IV族の金属原子を示す場合には、O=又は(HO)−を示す。)
一般式(1)で表される造核剤としては、1・3,2・4−ジベンジリデンソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1・3−p−クロルベンジリデン−2・4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(3・4−ジメチルベンジリデン)ソルビトールなどのソルビトール系造核剤を挙げることができる。これらは、2種以上の混合物として用いても良い。
該ソルビトール系造核剤としては、市販のものを用いることができる。具体的には、新日本理化(株)社製ゲルオールMDやミリケン社製のミラード3988を挙げることができる。
一般式(2)で表される造核剤としては、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジメチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジメチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジエチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジエチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、およびヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4−i−プロピル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4−i−プロピル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]等の芳香族燐酸エステル類を挙げることができる。該芳香族燐酸エステル類うち中でも、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、およびヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]が好ましい。これら芳香族燐酸エステル類は、2種以上の混合物として用いても良い。
また、該芳香族燐酸エステル類は、有機アルカリ金属塩と併用させることが効果的である。該有機アルカリ金属塩とは、アルカリ金属カルボン酸塩、アルカリ金属β−ジケトナート及びアルカリ金属β−ケト酢酸エステル塩からなる群より選択される少なくとも一種の有機アルカリ金属塩を示すことができる。該有機アルカリ金属塩を構成するアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
上記アルカリ金属カルボン酸塩を構成するカルボン酸としては、例えば酢酸、プロピオン酸、アクリル酸、オクチル酸、イソオクチル酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、メリシン酸、β−ドデシルメルカプト酢酸、β−ドデシルメルカプトプロピオン酸、β−N−ラウリルアミノプロピオン酸、β−N−メチル−ラウロイルアミノプロピオン酸等の脂肪族モノカルボン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、クエン酸、ブタントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸、ナフテン酸、シクロペンタンカルボン酸、1−メチルシクロペンタンカルボン酸、2−メチルシクロペンタンカルボン酸、シクロペンテンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、1−メチルシクロヘキサンカルボン酸、4−メチルシクロヘキサンカルボン酸、3,5−ジメチルシクロヘキサンカルボン酸、4−ブチルシクロヘキサンカルボン酸、4−オクチルシクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキセンカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸等の脂環式モノ又はポリカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、キシリル酸、エチル安息香酸、4−t−ブチル安息香酸、サリチル酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族モノ又はポリカルボン酸等が挙げられる。
上記アルカリ金属β−ジケトナートを構成するβ−ジケトン化合物としては、例えば、アセチルアセトン、ピバロイルアセトン、パルミトイルアセトン、ベンゾイルアセトン、ピバロイルベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン等が挙げられる。
また、上記アルカリ金属β−ケト酢酸エステル塩を構成するβ−ケト酢酸エステルとしては、例えば、アセト酢酸エチル、アセト酢酸オクチル、アセト酢酸ラウリル、アセト酢酸ステアリル、ベンゾイル酢酸エチル、ベンゾイル酢酸ラウリル等が挙げられる。
該有機アルカリ金属塩の成分であるアルカリ金属カルボン酸塩、アルカリ金属β−ジケトナート又はアルカリ金属β−ケト酢酸エステル塩は、各々上記アルカリ金属とカルボン酸、β−ジケトン化合物又はβ−ケト酢酸エステルとの塩であり、従来周知の方法で製造することができる。また、これら各アルカリ金属塩化合物の中でも、アルカリ金属の脂肪族モノカルボン酸塩、特に、リチウムの脂肪族カルボン酸塩が好ましく、とりわけ炭素数8〜20の脂肪族モノカルボン酸塩が好ましい。
一般式(2)で表される造核剤としては、市販のものを用いることができる。具体的には、旭電化工業(株)社製NA−21を挙げることができる。
本発明に用いられる造核剤(B)としては、透明性に優れている点、及び成形収縮率の異方性が少ない点で、一般式(1)で表される造核剤が好ましい。成形収縮率の異方性とは、射出成形により得た成形品の流れ方向とそれに対して垂直方向の収縮率の差のことである。この異方性が著しいと、ダイアライザーの外筒は円筒形状である場合が多いが、射出成形によって得られた成形品は、正確な円形状が得られ難くなり、楕円形等になってしまう虞がある。
造核剤(B)の配合量は、プロピレン系重合体(A)100重量部に対して、0.01〜0.4重量部であり、好ましくは0.1〜0.3重量部である。造核剤の配合量が0.01重量部未満では、十分な効果が得られ難く、0.4重量部を超えて用いると、さらなる性能の向上が期待できないばかりか溶出しやすくなり好ましくない。配合量が前述の範囲内であれば、一般式(1)及び(2)で表される造核剤を混合して用いても良い。
また、本発明の効果を阻害しない範囲で、それら単独もしくは混合した造核剤に対して、さらに他の造核剤を混合して用いても良い。
具体的には、下記一般式(3)で表される有機リン酸塩系造核剤や下記一般式(4)で表される造核剤を挙げることができる。これらは、単独で使用した場合は、溶出性は優れるが、透明性が十分ではないため、人工透析用部材、特にダイアライザーの外筒などには不適当ではあるが、一般式(1)及び/又は一般式(2)で表される造核剤に追添することで、透明性や成形性を向上させることが可能である。
Figure 2009082698
(式中、Rは、直接結合、硫黄又は炭素数1〜9のアルキレン基若しくはアルキリデン基であり、R及びRは、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基であり、Mは、Naであり、nは、Mの価数である。)
Figure 2009082698
一般式(3)で表される有機リン酸塩系造核剤としては、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−エチリデン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−エチリデン−ビス−(4−i−プロピル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−ブチリデン−ビス−(4,6−ジメチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−ブチリデン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−t−オクチルメチレン−ビス−(4,6−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−t−オクチルメチレン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム(4,4’−ジメチル−6,6’−ジ−t−ブチル−2,2’−ビフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−エチリデン−ビス−(4−s−ブチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−エチルフェニル)フォスフェート等が挙げられる。これらのうち、特にナトリウム−2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェートが好ましい。
この様な造核剤としては、市販のものを用いることができる。具体的には、旭電化工業(株)社製NA−11を挙げることができる。
また、一般式(4)で表される造核剤としては、式中、MおよびMは、同一または異なって、カルシウム、ストロンチウム、リチウムおよび一塩基性アルミニウムから選択される少なくとも1種の金属カチオンであり、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、同一または異なって、水素、C−Cアルキル(ここで、いずれか2つのビシナル(隣接炭素に結合)またはジェミナル(同一炭素に結合)アルキル基は、一緒になって6個までの炭素原子を有する炭化水素環を形成してもよい)、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、C−Cアルキレンオキシ、アミンおよびC−Cアルキルアミン、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素および沃素)並びにフェニルからなる群からそれぞれ選択されるものを挙げることができる。
上記「一塩基性アルミニウム」なる用語は周知であり、2つのカルボン酸基が結合した単一カチオンとしてアルミニウムヒドロキシド基を含むことを意図している。さらに、これら可能な塩のそれぞれにおいて、非対称炭素原子の立体配置は、シスまたはトランスのいずれでもよいが、シスが好ましい。
一般式(4)で表される造核剤は、凝集等を防止する目的で、他の化合物を混合して用いても差し支えない。
この様な造核剤としては、市販のものを用いることができる。具体的には、メリケン(株)社製ハイパフォームHPN68Lを挙げることができる。
(3)シリコーン(C)
本発明で用いられるプロピレン系樹脂組成物は、滑剤として、シリコーン(シリコーンオイル)(C)を添加したものである。
本発明の人工透析用部材の本体は、円柱状の形状をしている場合が多く、この場合、良好な離型性が必要であり、滑剤が必要となる。
シリコーン(C)の添加量としては、プロピレン系重合体(A)100重量部に対して0.001〜1重量部であり、0.001〜0.5重量部が好ましく、0.01〜0.15重量部が更に好ましく、0.03〜0.1重量部がより好ましい。
具体的なシリコーン(C)としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルヒドロジエンポリシロキサン、α−ωビス(3−ヒドロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、ポリオキシアルキレン(C〜C)ジメチルポリシロキサン、ポリオルガノ(C〜Cのアルキル基および/またはフェニル基)シロキサンとポリアルキレン(C〜C)グリコールの縮合物などが挙げられる。この中でも、ジメチルポリシロキサンとメチルフェニルポリシロキサンが好ましく、特に性能と経済面からジメチルポリシロキサンがより好ましい。シリコーン(C)は、単独、又は複数用いても構わない。
尚、シリコーン(C)の粘度は、低い方が離型性効果に優れるが、粘度が低く過ぎると溶出しやすくなるため、25℃において、50mm/s(cst)以上が良く、100mm/s(cst)以上が更に良く、1000mm/s(cst)以上のものがより好ましい。また、さらに薬機第327号(平成7年12月20日)医療用具用潤滑剤シリコーン油基準(1)(2)に適合するものが、より好ましい。
ジメチルポリシロキサンなどのシリコーン(C)を添加した場合、離型性を発現させるだけでなく、シリンダー内やホットランナー内で発生する焼けを防止することができる。
(4)その他の成分
本発明に用いられるプロピレン系樹脂組成物には、前記プロピレン系重合体(A)、造核剤(B)およびシリコーン(C)の他に、本発明の効果を阻害しない範囲で、公知の樹脂用配合剤、例えば、中和剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、有機染料、帯電防止剤、スリップ剤、脂肪酸金属塩等の分散剤、着色剤、充填剤、オレフィン系エラストマー等をそれ自体公知の処方で配合させることができる。
但し、放射線滅菌を行うにあたり、放射線滅菌後の着色の観点から、一般にフェノール系酸化防止剤は、添加しない方が好ましく、通常は、リン系酸化防止剤0.01〜0.2重量%(例えば旭電化工業(株)製 アデガスタブ2112)とヒンダードアミン系紫外線安定剤(略称はHALSで、例えばチバスペシャリティケミカルズ(株)製 TINUVIN622LD)0.01〜0.2重量%を組み合わせた処方で、放射線照射に対応させる。
しかし、この処方のプロピレン系樹脂組成物をダイアライザーの本体に使用すると、ダイアライザーの内溶液成分(特開2002−186666号、特開2004−49977号公報参照。)に悪影響を与えて、好ましくない場合がある。その際は、リン系酸化防止剤やHALSを使用せず、放射線照射で比較的変色しにくいフェノール系酸化防止剤であるn−オクタデシル−β―(4’−ヒドロキシ3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネートや3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等を0.01〜0.2重量%配合したものが良好となる。
尚、放射線照射後の変色が著しく好ましくないフェノール系酸化防止剤の例としては、ブチルヒドロキシトルエンが挙げられる。
前記中和剤の具体例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの金属脂肪酸塩、ハイドロタルサイト(商品名:協和化学工業(株)の下記一般式(5)で表されるマグネシウムアルミニウム複合水酸化物塩)、ミズカラック(下記一般式(6)で表されるリチウムアルミニウム複合水酸化物塩)などが挙げられる。
特に、ダイアライザーなど長期接液する部材として用いる場合には、接触する液体に溶出しないハイドロタルサイトやミズカラックが有利である。
Mg1−xAl(OH)(COx/2・mHO ・・・(5)
(式(5)中、xは、0<x≦0.5であり、mは、3以下の数である。)
[AlLi(OH)X・mHO ・・・(6)
(式(6)中、Xは、無機または有機のアニオンであり、nは、アニオン(X)の価数であり、mは、3以下である。)
ダイアライザーの本体は、円柱状の形状をしている場合が多く、良好な離型性が必要となる場合があり、前記シリコーン(C)が有効であるが、本発明の効果を阻害しない範囲で、離型性効果のあるステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩を使用したり、一般に用いられる滑剤であるオレイン酸アミドやエルカ酸アミドなどを、追加で添加することができる。
前記安定剤(酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤)としては、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、ジ−ステアリル−ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフォナイト、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1.3.2]ジオキサホスフェピン等のリン系酸化防止剤、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシベンジル)イソシアヌレート等のフェノール系酸化防止剤、ジ−ステアリル−ββ’−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ミリスチル−ββ’−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ラウリル−ββ’−チオ−ジ−プロピオネート等のチオ系酸化防止剤、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等の紫外線吸収剤、n−ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチル−2−(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジル)エタノール縮合物、ポリ{[6−〔(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ〕−1,3,5−トリアジン−2,4ジイル]〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕}、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス〔N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ〕−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物等の光安定剤、放射線処理で変色がなく耐NOxガス変色性が良好な化学式(7)や一般式(8)で表されるアミン系酸化防止剤、5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジ−メチル−フェニル)−3H−ベンゾフラン−2−ワン等のラクトン系酸化防止剤、化学式(9)等のビタミンE系酸化防止剤を挙げることができる。
Figure 2009082698
Figure 2009082698
Figure 2009082698
また、人工透析用部材の1つであるダイアライザーの外筒とヘッダーとをレーザー溶着法により接合させる際、溶着を容易にさせるために、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、顔料および有機染料などを配合しても良い。
なかでも、レーザー溶着させるためには、有機染料が好適であり、一例として、下記一般式(10)で表される有機染料(クウォータルイミド)を挙げることができ、プロピレン系重合体(A)100重量部に対し、0.0001〜0.05重量部の範囲で用いられるのが望ましい。この様な有機染料としては、市販のものを用いることができる。具体的には、下記一般式(10)で表される、近赤外レーザー吸収剤でもあるBASF社製Lumogen(登録商標) IR 788を挙げることができる。
Figure 2009082698
(式中、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子または炭化水素基を表す。)
2.プロピレン系樹脂組成物の製造方法
本発明で用いられるプロピレン系樹脂組成物は、JIS K7210の「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」(試験条件:230℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレート(MFRcomp)が15〜50g/10分であることが必要であり、好ましくは20〜40g/10分であり、より好ましくは25〜35g/10分である。メルトフローレート(MFRcomp)が15g/10分未満では、成形加工性の低下をきたし製品として満足できるものが得られ難くなる虞がある。また、メルトフローレート(MFRcomp)が50g/10分を超えると、機械的強度の低下が懸念される。
また、本発明で用いられるプロピレン系樹脂組成物では、MFRcompは、MFRPPが1〜10g/10分のプロピレン系樹脂を過酸化物により調整されたものであり、かつMFRcomp/MFRPPの比が3以上であると、ダイアライザーの外筒を成形した際、反り変形などの不具合の要因となる成形による残留応力が残りにくくなり、また、成形配向がかかりにくくなって、寸法安定性の良い成形品が得られ、成形品での耐衝撃性も良好となる。
この際、用いるプロピレン系樹脂のMFRPPは、10g/10分を超えると、良好な耐衝撃性が得られず、MFRPPが1g/10分未満では、過酸化物による調整後のペレットの形状が歪になり、該ペレットを用いての成形に不具合が発生する虞がある。
また、MFRcomp/MFRPPの比が3未満では、人工透析用部材に良好な耐衝撃性を与えられない虞がある。MFRcomp/MFRPPの比は、4以上が好ましく、5以上がより好ましく、7以上がさらに好ましい。
MFRcomp/MFRPPの比の調整には、一般にプロピレン系樹脂に用いられる公知の過酸化物を用い、プロピレン系重合体における分子量の大きい重合体を減成する方法を挙げることができる。
過酸化物としては、例えば、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカルボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカルボネート、ジ(2−メトキシエチル)パーオキシジカルボネート、ジ(メトキシイソプロピル)パーオキシジカルボネート、ジ(2−メチルヘキシル)パーオキシジカルボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシパイバレート、3,5,5−トリメチルヘキサノールパーオキサイド、オクタノールパーオキサイド、デカノールパーオキサイド、ラウロールパーオキサイド、ステアロールパーオキサイド、プロピオニルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、ベンゾキシパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサノン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、琥珀酸オキサイド、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカルボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルジパーオキシフタレート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バラレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−イソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,2−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロキシパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
過酸化物の配合量は、プロピレン系重合体(A)100重量部に対して、0.005〜0.065重量部が好ましく、0.013〜0.060重量部がより好ましい。過酸化物の配合量が0.005重量部未満では、十分な効果が得られ難く、0.065重量部を超えて用いると、MFRcompの値が50g/10分以上となる虞がある。
このようなプロピレン系樹脂組成物は、前記プロピレン系重合体(A)と前記造核剤(B)、前記シリコーン(C)並びに、必要に応じて、過酸化物および/または他の樹脂用配合剤の各成分をヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、リボンブレンダー等を用いて配合し、通常の単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、プラベンダー、ロール等で190〜260℃の温度範囲で溶融混練することにより得ることができる。また、滑剤などの添加方法としては、滑剤のMB(マスターバッチ)などを成形時に添加する方法でも構わない。
3.人工透析用部材
本発明の人工透析用部材は、上記プロピレン系樹脂組成物を公知の方法である射出成形法、押出成形法、ブロー成形法など各種成形法によって成形することにより得られる。
本発明の人工透析用部材としては、ダイアライザーの外筒やヘッダー、及びその関連部材を挙げることができる。
本発明の人工透析用部材は、放射線滅菌が施されたものである。放射線としては、γ線や電子線を挙げることができ、本発明の人工透析用部材には、1〜50KGyの照射が行われていることが好ましく、5〜30KGyの照射がされていることがより好ましい。照射量が、1KGy未満では十分な効果が得られ難く、一方、50KGyを超えて用いると、放射線照射後の物性低下が著しくなり、良好な製品が得られなくなる虞がある。
また、特に、ダイアライザーの外筒は、使用時に、中の気泡を除くために病院関係者が叩いたり、構造上、衝撃を受け易いため、耐衝撃性に優れていることが望まれる。JIS K7110の「プラスチック−アイゾット衝撃強さの試験方法」に準拠して23℃で測定したアイゾット衝撃値が放射線照射前で2.0kgf/cm以上あることが好ましく、2.5kgf/cm以上であることがより好ましい。アイゾット衝撃値が2.0kgf/cm未満であると、製品の使用時や運搬等の際に破損する可能性が高くなり好ましくない。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの記載により何ら限定されるものではない。なお、各実施例及び比較例において用いた物性測定法、並びにプロピレン系重合体、造核剤、シリコーンおよび公知の樹脂用配合剤は、以下の通りである。
1.物性測定法
(1)エチレン濃度:13C−NMRにより組成を検定したエチレン・プロピレンランダムコポリマーを基準物質として、733cm−1の特性吸収体を用いる赤外分光法により、ランダムコポリマー中のエチレン含量を測定した。ペレットをプレス成形により約500ミクロンの厚さのフィルムとしたものを用いた。
(2)MFR:JIS K7210の「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」、試験条件:230℃、2.16Kg荷重に、準拠して測定した。
(3)ヘイズ値:試験片に25KGyの電子線を照射し、1週間後にJIS K7105の「プラスチックの光学的特性試験方法」に準拠して測定した。また、電子線を照射する前の試験片も同様に測定した。尚、試験片の肉厚は2mmである。
(4)曲げ弾性率:試験片に25KGyの電子線を照射し、1週間後にJIS K7203の「硬質プラスチックの曲げ試験方法」に準拠して23℃で測定した。また、電子線を照射する前の試験片も同様に測定した。
(5)アイゾット衝撃値:試験片に25KGyの電子線を照射し、1週間後にJIS K7110の「プラスチック−アイゾット衝撃強さの試験方法」に準拠して23℃で測定した。また、電子線を照射する前の試験片も同様に測定した。
(6)透析型人工腎臓装置の関連部材への適合性
昭和58年6月20日に薬審第401号として各都道府県衛生主管部(局)長あての厚生省薬務局審査課長通知により示された透析型人工腎臓装置承認基準のうち、透析液供給部及び透析液回路の品質及び試験法 1(2)に従って、測定を実施した。なお、溶出試験結果の基準は、以下の通りである。
(i)外観:無色燈明、異物なし
(ii)あわだち:3分以内に消失
(iii)pH:ブランクとの差が1.5以下
(iv)亜鉛:標準溶液以下
(v)過マンガン酸カリウム還元性物質:標準溶液との過マンガン酸カリウム消費量の差1.0ml以下
(vi)蒸発残留物:1.0mg以下
(vii)紫外吸収スペクトル:0.1以下
(7)離型性試験
各ペレットを射出成形機により、樹脂温度240℃、射出圧力900kg/cm及び金型温度40℃で射出成形し、離型性評価用の成形品(12cm×12cm×2.5mm板上に、厚み1mmの25mm×20mm×20mmの箱型が3×4並んでいる形状(図3参照。))を作成した。この離型の際、突き出し部に抵抗力測定できる装置がついたものを使用し、その離型抵抗力を測定した。
(8)デュポン衝撃試験
各ペレットを射出成形機により、樹脂温度240℃、射出圧力900kg/cm及び金型温度40℃で射出成形し、評価用の成形品(10cm×10cm×2mm)を作成した。その成形品に激芯径:1.27cmD(激芯受け台は、3.8cmD)をあて、高さ0cm〜100cmまで、10cmごとに高さを変えて、荷重100gの重りを落下させ、成形品の亀裂発生の有無を確認した。尚、各高さの試験数(n数)は5で、1つでも亀裂が発生した場合、中止し、その前の高さを値とした。試験温度は23℃である。
2.使用材料
(1)プロピレン系重合体(A)
エチレンプロピレンランダム共重合体(RPP1):エチレン濃度2.5重量%、MFR=4g/10分のエチレンプロピレンランダム共重合体、融解温度(ピーク値)148℃、チーグラー触媒で重合
エチレンプロピレンランダム共重合体(RPP2):エチレン濃度2.0重量%、MFR=7g/10分のエチレンプロピレンランダム共重合体、融解温度(ピーク値)142℃、メタロセン触媒で重合
エチレンプロピレンランダム共重合体(RPP3):エチレン濃度2.5重量%、MFR=12g/10分のエチレンプロピレンランダム共重合体、融解温度(ピーク値)148℃、チーグラー触媒で重合
プロピレン単独重合体(HPP):MFR=4g/10分、融解温度(ピーク値)160℃、チーグラー触媒で重合
(2)造核剤(B)
ゲルオールMD:ソルビトール系核剤(一般式1該当品:新日本理化(株)製)
EC1:ソルビトール系核剤(一般式1該当品:吉冨ファインケミカル(株)製)
NA−21:芳香族燐酸エステル類(一般式2該当品:旭電化工業(株)製)
NA−11:有機リン酸金属塩化合物系核剤(本発明非該当品:旭電化工業(株)製)
HPN68L:(本発明非該当品:ミリケン社製)
(3)シリコーン(C)
シリコーンオイル1:Dowcorning360Medical Fluid(シリコーン)−100 東レ・ダウコーニング(株)製、粘度100cst@25℃
シリコーンオイル2:Dowcorning360Medical Fluid(シリコーン)−1000 東レ・ダウコーニング(株)製、粘度1000cst@25℃
(4)樹脂用配合剤
DHT−4A:マグネシウム・アルミニウム・ハイドロオキサイド・カーボネート・ハイドレート(協和化学工業(株)製の中和剤)
ステアリン酸カルシウム:中和剤
アデガスタブ2112:フォスファイト系酸化防止剤(旭電化工業(株)製)
TINUVIN622LD:ヒンダードアミン系紫外線安定剤(チバスペシャリティケミカルズ(株)製)
パーヘキサ25B:過酸化物(2,5−ジ−メチル−2,5−ジ(t−ブチルパ−オキシ)ヘキサン:日本油脂(株)製)
[実施例1]
プロピレン系ランダム共重合体(RPP1)100重量部に対して、造核剤としてゲルオールMDを0.2重量部、DHT−4Aを0.03重量部、アデガスタブ2112を0.10重量部およびTINUVIN622LDを0.05重量部、パーヘキサ25Bを0.034重量部、シリコーンオイル1を0.03重量部配合し、スーパーミキサーでドライブレンドした後、35ミリ径の2軸押出機を用いて溶融混練した。ダイ出口部温度250℃でダイから押し出し、ペレット化した。
得られたペレットを射出成形機により、樹脂温度240℃、射出圧力900kg/cm及び金型温度40℃で射出成形し、試験片を得、それを用いて物性を測定した。その結果を表1に示す。
[実施例2〜6、比較例1〜4]
表1、2に示すプロピレン系重合体、造核剤、シリコーン、その他の添加剤を用いた以外は、実施例1と同様にして、試験片を得、それを用いて物性を測定した。その結果を表1、2に示す。
Figure 2009082698
Figure 2009082698
表1から明らかなように、実施例1〜5は、本発明の構成からなるRPP(1〜3)100重量部に対し、本発明の構成からなる造核剤を0.2重量部及びシリコーンを表記載の通り配合したプロピレン系樹脂組成物を用いて得た成形品である。該成形品は、透明性に優れ透析型人工腎臓装置承認基準のうち、透析液供給部及び透析液回路の品質及び試験法 1(2)に適合していることがわかる。
また、実施例6は、本発明の構成からなる、HPP100重量部に対し、一般式(1)で表される造核剤であるゲルオールMDを0.2重量部と他の造核剤であるHPN68Lを0.2重量部、及びシリコーンを表記載の通り配合したプロピレン系樹脂組成物を用いて得た成形品である。該成形品も同様に、透明性が優れ、透析型人工腎臓装置承認基準のうち、透析液供給部及び透析液回路の品質及び試験法 1(2)に適合していることがわかる。
さらに、実施例1〜6で得られる該組成物を用いた場合、耐衝撃性と透明性に優れ、溶出特性にも優れた人工透析用部材であるばかりでなく、離型性に優れることも判る。
尚、表中の離型性(離型抵抗値)は、高い値ほど、離型しにくいことを示す。また、本発明では、特定のプロピレン系重合体を主体とする樹脂で構成されているため、現在主流であるPCに比べ、低い成形温度によって得られ、成形加工性にも優れている上、低価格である特徴を有する。
なお、実施例1と実施例4と実施例5について、デュポン衝撃試験を行ったところ、実施例1は、80cmの高さまで成形品に亀裂が発生せず、90cmの高さで亀裂が発生し、また、実施例4は、60cmの高さまで成形品に亀裂が発生せず、70cmの高さで亀裂が発生したが、実施例5は、30cmのところで成形品に亀裂が発生した。この事からもMFRcomp/MFRPPの値は3以上の方が耐衝撃性に優れ、より好ましい事が判る。この亀裂は、射出成形時の流れ方向に沿って発生する場合が多く、成形配向などの影響と考えられる。この差は、ダイアライザーのハウジング(筒部分)の割れ性に、影響を与える。
表2から明らかなように、比較例1と2は、RPP(1)100重量部に対し、本発明の構成とは異なり、シリコーンを添加していないものである。ステアリン酸カルシウムを添加している比較例2は、ある程度の離型性があるが、充分ではなく、離型の際に成形品が変形し、寸法精度が出なかったり、傷等がついたりする危険性が高い。また、比較例3は、本発明の構成とは異なる造核剤であるHPN68Lを0.2重量部配合したプロピレン系樹脂組成物を用いて得た成形品である。また、比較例4は、RPPに対し、造核剤を配合しないプロピレン系樹脂組成物を用いて得た成形品である。
比較例1〜4により得られた成形品は、透析型人工腎臓装置承認基準のうち、透析液供給部及び透析液回路の品質及び試験法 1(2)では適合するものの、離型性が不十分であったり、透明性が不足しているため、該組成物を用いた場合、得られる人工透析用部材、特に、ダイアライザーの外筒としては、透明性の点では透析の状態を確認し難く、また離型性の点においては、寸法精度の良い成形品を得難く、不適切なものであることがわかる。
[実施例7]
実施例1によって得られたペレットを用いて、射出成形機により、樹脂温度200℃及び金型温度35℃で射出成形し、外径4cm、筒の長さ28cm、側面部肉厚1.6mmのダイアライザー外筒を作成した後、該ダイアライザー外筒に25KGyの電子線を照射し、該ダイアライザー外筒の側面部の一部(2×3cm)を切り出し、肉厚1.6mmのヘイズを測定したところ、その値は20%であり、本発明の人工透析用部材は、透明性に優れるものであることがわかる。
本発明の人工透析用部材は、透析型人工腎臓装置承認基準のうち、透析液供給部及び透析液回路の品質及び試験法 1(2)を満足し、かつ、耐衝撃性、透明性、離型性に優れたものであることがわかる。また、本発明の人工透析用部材は、放射線滅菌が行われているが、放射線照射による物性低下が極めてすくない。さらに、ダイアライザーの外筒やヘッダーに関しては、その優れた透明性から、使用時の内部状態を外部からはっきりと観察することができ、溶出特性にも優れていることから、人工透析用として、安心して実用することができる。
人工透析の概念図である。 ダイアライザーの要部断面図である。 離型性評価用の成形品の撮影写真である。
符号の説明
1 透析を受ける人の腕
2 チューブ
3 血液ポンプ
4 エアートラップ
5 ダイアライザー
6 コンソール
7 血液流入口
8 血液流出口
9 透析液流入口
10 透析液流出口
11 ホローファイバー
12 ダイアライザーの外筒
13 ダイアライザーのヘッダー

Claims (4)

  1. プロピレン系重合体(A)100重量部に対し、下記一般式(1)および/または一般式(2)で表される造核剤(B)を0.01〜0.4重量部、及びシリコーン(C)を0.001〜1重量部配合し、JIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレート(MFRcomp)が15〜50g/10分であるプロピレン系樹脂組成物からなり、かつ放射線滅菌されていることを特徴とする人工透析用部材。
    Figure 2009082698
    (式中、R、Rは、各々水素原子、炭素数1〜18のアルキル基またはハロゲン基を表す。)
    Figure 2009082698
    (式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R及びRは、水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を示し、Mは、周期律表第III族または第IV族の金属原子を示し、Xは、Mが周期律表第III族の金属原子を示す場合には、HO−を示し、Mが周期律表第IV族の金属原子を示す場合には、O=又は(HO)−を示す。)
  2. プロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系重合体(A)がJIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレート(MFRPP)が1〜10g/10分でα−オレフィン含有量が1.0〜5.0重量%のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体であって、MFRcompが過酸化物により調整されたものであり、かつMFRcomp/MFRPPの比が3以上であることを特徴とする請求項1に記載の人工透析用部材。
  3. プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体は、JIS K7121に準拠した示差走査型熱量計により得られる融解温度(ピーク値)が155℃以下であることを特徴とする請求項2に記載の人工透析用部材。
  4. 人工透析用部材は、ダイアライザーの外筒および/またはヘッダーであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の人工透析用部材。
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