JP2009209342A - プロピレン系樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】透明性、低金型汚染性、低揮発分、低ブリードアウト性、耐焼け性、および低溶出性に優れたプロピレン系樹脂組成物および該組成物から形成される成形品を提供する。
【解決手段】重量平均分子量が10万〜60万で、分子量5千以下の成分量が3%以下である、プロピレン単独重合体、もしくはプロピレン共重合体(A)100重量部に対して、改質剤(B)として、下記化学構造式(1)で示される化合物を0.005〜0.1重量部配合する。
【選択図】なし
【解決手段】重量平均分子量が10万〜60万で、分子量5千以下の成分量が3%以下である、プロピレン単独重合体、もしくはプロピレン共重合体(A)100重量部に対して、改質剤(B)として、下記化学構造式(1)で示される化合物を0.005〜0.1重量部配合する。
【選択図】なし
Description
本発明は、プロピレン系樹脂組成物およびその成形品に関し、さらに詳しくは透明性、低金型汚染性、低揮発分、低ブリードアウト性、耐焼け性、および低溶出性に優れたプロピレン系樹脂組成物およびその成形品に関する。
プロピレン系重合体は、成形加工性、力学特性、ガスバリヤー性に優れていることから、各種の方法で成形加工され、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等の他の樹脂と同様に食品容器、飲料容器、キャップ、医療用器具、医療用容器、日用品、自動車部品、電気・電子部品、シート、フィルム、繊維等の各種用途に幅広く使用されている。中でも高透明、高光沢という外観意匠性を特徴とした分野での展開が著しい。
これらの用途において、昨今は、材料のクリーン性への要求が日増しに高まっており、材料中に含まれる微量不純物に起因する不具合が発生しないことが強く求められる。例えば、不純物が多い材料においては、それが金型汚染の原因となり、成形品の外観意匠性を低下させることがある。これを防止するためには、成形工程の途中で定期的に金型を清掃することなどが一般的であるが、この操作を行うことにより、時間当たりの生産効率が大幅に低下するという問題がある。また、材料中の不純物は、成形品の表面にブリードアウトして、成形品の品質を低下させるという問題もある。さらに、微量不純物を多く含む材料を成形加工等のために加熱溶融させると、不純物が酸化劣化されて焼けと呼ばれる黒色異物を生成して成形品の外観を劣化させることもある。
このように,クリーン性,外観意匠性を求められる成形品を効率よく生産するためには、これらの微量不純物に起因する諸問題が改良された組成物を用いることが不可欠である。中でも、医療器具や電気・電子部品、あるいは、食品・飲料・医薬品などを封入した容器として用いられる際には、揮発物質や溶媒への溶出物質が少ない組成物が強く求められる。特に、医療器具や医薬品容器として使用するためには、日本薬局方、透析型人工腎臓装置承認基準等に定められた溶出試験に合格する必要があり、溶出性が極めて小さいことが求められる。
これらの用途において、昨今は、材料のクリーン性への要求が日増しに高まっており、材料中に含まれる微量不純物に起因する不具合が発生しないことが強く求められる。例えば、不純物が多い材料においては、それが金型汚染の原因となり、成形品の外観意匠性を低下させることがある。これを防止するためには、成形工程の途中で定期的に金型を清掃することなどが一般的であるが、この操作を行うことにより、時間当たりの生産効率が大幅に低下するという問題がある。また、材料中の不純物は、成形品の表面にブリードアウトして、成形品の品質を低下させるという問題もある。さらに、微量不純物を多く含む材料を成形加工等のために加熱溶融させると、不純物が酸化劣化されて焼けと呼ばれる黒色異物を生成して成形品の外観を劣化させることもある。
このように,クリーン性,外観意匠性を求められる成形品を効率よく生産するためには、これらの微量不純物に起因する諸問題が改良された組成物を用いることが不可欠である。中でも、医療器具や電気・電子部品、あるいは、食品・飲料・医薬品などを封入した容器として用いられる際には、揮発物質や溶媒への溶出物質が少ない組成物が強く求められる。特に、医療器具や医薬品容器として使用するためには、日本薬局方、透析型人工腎臓装置承認基準等に定められた溶出試験に合格する必要があり、溶出性が極めて小さいことが求められる。
また、プロピレン系重合体は、剛性や耐熱性、ガスバリヤー性の点ではプロピレン単独重合体が、透明性や耐衝撃性の点ではプロピレンとエチレンなどのコモノマーとのランダム共重合体が、耐熱性や耐衝撃性の点ではプロピレンとエチレンなどとのブロック共重合体が好適であり、状況に応じて適宜選択的に用いられている。
しかしながら、透明性に勝るランダム共重合体であっても、特に厚みが100μm以上の成形品として使用する場合には、その透明性は十分とは言いがたい。このため、コモノマーの種類や含有量を変えた共重合体の検討が多数なされてきたが、完全に満足できる材料が得られていないのが実情である。
このように、プロピレン系重合体のみの性能で製品の最適化を目指すのには限界があり、造核剤や中和剤などを種々組み合わせた添加剤配合によって性能の補完が行われてきた。
しかしながら、透明性に勝るランダム共重合体であっても、特に厚みが100μm以上の成形品として使用する場合には、その透明性は十分とは言いがたい。このため、コモノマーの種類や含有量を変えた共重合体の検討が多数なされてきたが、完全に満足できる材料が得られていないのが実情である。
このように、プロピレン系重合体のみの性能で製品の最適化を目指すのには限界があり、造核剤や中和剤などを種々組み合わせた添加剤配合によって性能の補完が行われてきた。
例えば、プロピレン系重合体の改質を行う造核剤として、透明性や成形加工性を向上させる有機リン酸塩系造核剤(特許文献1)やソルビトール系透明造核剤(特許文献2)等が広く一般的に使用されている。
特開平5−140466号公報
特開昭53−117044号公報
しかしながら、これらの核剤は、透明性の改善効果はあるものの、金型汚染、ブリードアウト、焼け、臭気の原因となる揮発性物質の発生などの不具合を生じるため、外観意匠性やクリーン性を要求される用途での使用は困難である上、金型清掃措置に伴う生産効率の低下を来たすことが問題となっていた。さらに、これらの造核剤を使用すると、日本薬局方等に定められた医療器具や医薬品容器に対する溶媒溶出性の基準を満たさなくなるため、医療分野の多くには適用できないという問題があった。
そのため、医療器具、電気・電子部品、食品・飲料・医薬品等を保存するための容器に代表される、透明性、低金型汚染性、低揮発分、低ブリードアウト性、耐焼け性、および低溶出性を必要とする用途に適したプロピレン系樹脂組成物が強く求められているのが現状である。
そのため、医療器具、電気・電子部品、食品・飲料・医薬品等を保存するための容器に代表される、透明性、低金型汚染性、低揮発分、低ブリードアウト性、耐焼け性、および低溶出性を必要とする用途に適したプロピレン系樹脂組成物が強く求められているのが現状である。
本発明の目的は、透明性、低金型汚染性、低揮発分、低ブリードアウト性、耐焼け性、および低溶出性に優れたプロピレン系樹脂組成物および該樹脂組成物から成形される成形品を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のプロピレン系重合体に対し、特定の改質剤を用いることにより、透明性、低金型汚染性、低揮発分、低ブリードアウト性、耐焼け性、および低溶出性に優れた樹脂組成物になり得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明のポリプロピレン系重合体は、不純物が極めて少ないため、透明性、低金型汚染性、低揮発分、低ブリードアウト性、および低溶出性に優れている。また、本発明で用いる改質剤は、造核剤としての作用をして、ポリプロピレン系重合体の透明性を大幅に向上させるにもかかわらず、臭気の原因となる揮発分の発生、金型汚染、ブリードアウト、焼け、溶媒への溶出といった不具合を発生させないという極めて優れた効果を呈する。この結果、外観意匠性やクリーン性が要求される諸分野、特に、医療器具や電気・電子部品、あるいは、食品・飲料・医薬品などの保存容器等を、効率よく生産する場合において、理想的なバランスの取れた作用を奏する。
本発明のポリプロピレン系重合体は、不純物が極めて少ないため、透明性、低金型汚染性、低揮発分、低ブリードアウト性、および低溶出性に優れている。また、本発明で用いる改質剤は、造核剤としての作用をして、ポリプロピレン系重合体の透明性を大幅に向上させるにもかかわらず、臭気の原因となる揮発分の発生、金型汚染、ブリードアウト、焼け、溶媒への溶出といった不具合を発生させないという極めて優れた効果を呈する。この結果、外観意匠性やクリーン性が要求される諸分野、特に、医療器具や電気・電子部品、あるいは、食品・飲料・医薬品などの保存容器等を、効率よく生産する場合において、理想的なバランスの取れた作用を奏する。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、プロピレン単独重合体、もしくは、プロピレンとエチレンおよび/または炭素数4〜20のα−オレフィンからなるプロピレン共重合体であって、エチレンおよび/または炭素数4〜20のα−オレフィンから得られる構造単位が0〜20重量%であり、かつゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により得られる重量平均分子量(Mw)が10万〜60万の範囲にあり、分子量が5,000以下の成分量(M≦5,000)が全体の3.0重量%以下であることを特徴とするプロピレン系重合体(A)100重量部に対して、改質剤(B)として、下記化学構造式(1)で示される化合物を0.005〜0.1重量部配合することを特徴とするプロピレン系樹脂組成物が提供される。
本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、プロピレン系重合体(A)における、分子量が5,000以下の成分量(M≦5,000)が全体の1.0重量%以下であることを特徴とするプロピレン系樹脂組成物が提供される。
本発明の第3の発明によれば、第1もしくは第2のいずれかの発明において、プロピレン系重合体(A)100重量部に対して、改質剤(B)以外の造核剤が0.001重量部以下であることを特徴とするプロピレン系樹脂組成物が提供される。
本発明の第4の発明によれば、第1ないし3のいずれかの発明に係わるプロピレン系樹脂組成物を用いた成形品が提供される。
本発明の第5の発明によれば、第4の発明に係わる成形品の中でも特に、医療器具、電気・電子部品もしくは容器が提供される。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、従来にない優れた性能を有するものであり、医療器具、電気・電子部品、食品容器、飲料容器、医薬品容器、その他各種容器等に代表される、透明性、低金型汚染性、低揮発分、低ブリードアウト性、耐焼け性、および低溶出性を必要とする用途に適したプロピレン系樹脂組成物である、また、該組成物より得られる成形品は、前記性能を有しているため、多岐の用途に展開することにより、製品品質と生産効率の双方を改善することが可能である。
本発明のプロピオン系樹脂組成物は、プロピレン系重合体(A)100重量部に対して、改質剤(B)を0.005〜0.1重量部配合することを特徴とする。
以下、プロピレン系樹脂組成物を構成する成分、樹脂組成物の製造方法、成形品について、詳細に説明する。
以下、プロピレン系樹脂組成物を構成する成分、樹脂組成物の製造方法、成形品について、詳細に説明する。
[1]プロピレン系樹脂組成物を構成する成分
1.プロピレン系重合体(A)
本発明のプロピレン樹脂組成物で用いられるプロピレン系重合体(A)は、プロピレン単独重合体もしくはプロピレン共重合体である。
プロピレン共重合体は、プロピレンとエチレンおよび/または炭素数4〜20のα−オレフィン(以下、コモノマーということがある。)とからなるプロピレン系重合体であり、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもどちらでも良い。透明性の観点からはランダム共重合体がより好ましいが、コモノマーから得られる構造単位の含有量が小さい場合には、ブロック共重合体でも透明な組成物として用いることができる。コモノマーの例としては、エチレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等が挙げられる。コモノマーは、一種類でも二種類以上用いてもよい。このうち、エチレン、ブテン−1がより好適である。
具体的な共重合体の例を挙げると、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ヘキセン−1共重合体、プロピレン−オクテン−1共重合体等を例示できる。このうちプロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体が特に好ましい。
1.プロピレン系重合体(A)
本発明のプロピレン樹脂組成物で用いられるプロピレン系重合体(A)は、プロピレン単独重合体もしくはプロピレン共重合体である。
プロピレン共重合体は、プロピレンとエチレンおよび/または炭素数4〜20のα−オレフィン(以下、コモノマーということがある。)とからなるプロピレン系重合体であり、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもどちらでも良い。透明性の観点からはランダム共重合体がより好ましいが、コモノマーから得られる構造単位の含有量が小さい場合には、ブロック共重合体でも透明な組成物として用いることができる。コモノマーの例としては、エチレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等が挙げられる。コモノマーは、一種類でも二種類以上用いてもよい。このうち、エチレン、ブテン−1がより好適である。
具体的な共重合体の例を挙げると、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ヘキセン−1共重合体、プロピレン−オクテン−1共重合体等を例示できる。このうちプロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体が特に好ましい。
該プロピレン系重合体(A)として、プロピレン系共重合体を用いる場合の、共重合体中にコモノマーから得られる構造単位の含有量は、0.1〜20重量%とする必要がある。20重量%を超えると、低結晶成分が増加するので,金型汚染、ブリードアウト、溶媒溶出性が著しく悪化する。
本発明で用いられるプロピレン系重合体(A)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により得られる重量平均分子量(Mw)が10万〜60万の範囲にある必要がある。重量平均分子量Mwが60万を超えると成形が著しく困難になる。一方、重量平均分子量Mwが10万未満では、低結晶成分が増加し、金型汚染、ブリードアウト、溶媒溶出等の悪化の原因となる上、成形品の耐衝撃性が低下するため、実用的ではない。
また、本発明で用いられるプロピレン系重合体(A)は、GPC測定により得られる分子量が5,000以下の成分量(M≦5,000)が、全体の3.0重量%以下であることが必要である。低分子量成分、特に、その分子量が絡み合い点間分子量に満たない成分は、成形体の表面にブリードアウトしやすく、金型汚染、溶媒溶出性の悪化にも強い影響を与えると考えられるためである。
ポリプロピレンの絡み合い点間分子量は、Journal of Polymer Science
:PartB:Polyer Physics;37,1023−1033(1999)に記載されるように、約5,000である。したがって、本発明におけるプロピレン系重合体(A)は、重量平均分子量が5
,000以下の成分量が全体の3.0重量%以下、好ましくは1.0重量%以下であることを特徴とする。分子量が5,000以下の成分量が3.0重量%を超えると、金型汚染、ブリードアウト、溶媒溶出等が急激に悪化する。1.0重量%以下となると、金型汚染、ブリードアウト、溶媒溶出がさらに良化するため、より好ましい。
ポリプロピレンの絡み合い点間分子量は、Journal of Polymer Science
:PartB:Polyer Physics;37,1023−1033(1999)に記載されるように、約5,000である。したがって、本発明におけるプロピレン系重合体(A)は、重量平均分子量が5
,000以下の成分量が全体の3.0重量%以下、好ましくは1.0重量%以下であることを特徴とする。分子量が5,000以下の成分量が3.0重量%を超えると、金型汚染、ブリードアウト、溶媒溶出等が急激に悪化する。1.0重量%以下となると、金型汚染、ブリードアウト、溶媒溶出がさらに良化するため、より好ましい。
該プロピレン系重合体(A)として、プロピレン単独重合体を用いる場合のアイソタクチックペンタッド分率(mmmm)は90%以上、好ましくは94%以上、より好ましくは97%以上が望ましい。アイソタクチックペンタッド分率(mmmm)が90%未満では、低結晶成分が増加することにより、金型汚染、ブリードアウト、溶媒溶出性が低下する恐れがある。逆にアイソタクチックペンタッド分率(mmmm)が向上するほど、低結晶成分が減少し、金型汚染、ブリードアウト、溶媒溶出性を改良することができる。
該プロピレン系重合体(A)として、プロピレンランダム共重合体(以下、ランダム共重合体ということがある。)を用いる場合の、ランダム共重合体中に占めるコモノマーから得られる構造単位の含有量は、20重量%以下とする必要がある。20重量%を超えると、低結晶成分が増加するので,金型汚染、ブリードアウト、溶媒溶出性が著しく悪化する。透明性と金型汚染、ブリードアウト、溶媒溶出性とのバランスを取るためには、コモノマーから得られる構造単位の含有量が、1〜10重量%程度がより好ましい。
該プロピレン系重合体(A)プロピレンブロック共重合体(以下、ブロック共重合体ということがある。)を用いる場合、ブロック共重合体中に占めるポリプロピレンセグメントが50〜99重量%で、プロピレン共重合体セグメントが1〜50重量%が好ましくポリプロピレンセグメントが86〜98重量%で、プロピレン共重合体セグメントが2〜20重量%がより好ましい。この範囲にあると、透明性と金型汚染、ブリードアウト、溶媒溶出性と諸機械物性との両立に適している。
この時、ポリプロピレンセグメントは、そのアイソタクチックペンタッド分率(mmmm)が90%以上、好ましくは94%以上、より好ましくは97%以上が望ましい。アイソタクチックペンタッド分率(mmmm)が90%未満では、低結晶成分が増加することにより、金型汚染、ブリードアウト、溶媒溶出性が低下する恐れがあり、逆にアイソタクチックペンタッド分率(mmmm)が向上するほど、低結晶成分が減少し、金型汚染、ブリードアウト、溶媒溶出性を改良することができる。
ブロック共重合体に含まれるコモノマーから得られる構造単位の含有量は、20重量%以下とする必要がある。20重量%を超えると、透明性が低下する上、低結晶成分が増加するので,金型汚染、ブリードアウト、溶媒溶出性が著しく悪化する。透明性と機械物性、金型汚染、ブリードアウト、溶媒溶出性とのバランスを取るためには、コモノマーから得られる構造単位の含有量が、1〜10重量%程度がより好ましい。
この時、ポリプロピレンセグメントは、そのアイソタクチックペンタッド分率(mmmm)が90%以上、好ましくは94%以上、より好ましくは97%以上が望ましい。アイソタクチックペンタッド分率(mmmm)が90%未満では、低結晶成分が増加することにより、金型汚染、ブリードアウト、溶媒溶出性が低下する恐れがあり、逆にアイソタクチックペンタッド分率(mmmm)が向上するほど、低結晶成分が減少し、金型汚染、ブリードアウト、溶媒溶出性を改良することができる。
ブロック共重合体に含まれるコモノマーから得られる構造単位の含有量は、20重量%以下とする必要がある。20重量%を超えると、透明性が低下する上、低結晶成分が増加するので,金型汚染、ブリードアウト、溶媒溶出性が著しく悪化する。透明性と機械物性、金型汚染、ブリードアウト、溶媒溶出性とのバランスを取るためには、コモノマーから得られる構造単位の含有量が、1〜10重量%程度がより好ましい。
また、該プロピレン系重合体(A)として、プロピレンとエチレンおよび/または炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体を1段目に重合した後、エチレンおよび/または炭素数4〜20のα−オレフィン含有量の異なるα−オレフィン−プロピレン共重合体を2段目に重合したプロピレン系ブロック共重合体(以下、これも含めてブロック共重合体ということがある。)であっても差し支えない。
ブロック共重合体に含まれるコモノマーから得られる構造単位の含有量は、20重量%以下とする必要がある。20重量%を超えると、透明性が低下する上、低結晶成分が増加するので,金型汚染、ブリードアウト、溶媒溶出性が著しく悪化する。透明性と機械物性、金型汚染、ブリードアウト、溶媒溶出性とのバランスを取るためには、コモノマーから得られる構造単位の含有量が、1〜10重量%程度がより好ましい。
ブロック共重合体に含まれるコモノマーから得られる構造単位の含有量は、20重量%以下とする必要がある。20重量%を超えると、透明性が低下する上、低結晶成分が増加するので,金型汚染、ブリードアウト、溶媒溶出性が著しく悪化する。透明性と機械物性、金型汚染、ブリードアウト、溶媒溶出性とのバランスを取るためには、コモノマーから得られる構造単位の含有量が、1〜10重量%程度がより好ましい。
プロピレン系重合体の製造方法としては、特に限定されないが、立体規則性触媒を使用する重合法が好ましい。立体規則性触媒としては、チーグラー触媒やメタロセン触媒などが挙げられる。
チーグラー触媒としては、三塩化チタン、四塩化チタン、トリクロロエトキシチタン等のハロゲン化チタン化合物、前記ハロゲン化チタン化合物とハロゲン化マグネシウムに代表されるマグネシウム化合物との接触物等の遷移金属成分とアルキルアルミニウム化合物またはそれらのハロゲン化物、水素化物、アルコキシド等の有機金属成分との2成分系触媒、更にそれらの成分に窒素、炭素、リン、硫黄、酸素、ケイ素等を含む電子供与性化合物を加えた3成分系触媒が挙げられる。
メタロセン触媒としては、(i)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物(いわゆるメタロセン化合物)と、(ii)メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒と、必要により、(iii)有機アルミニウム化合物とからなる触媒であり、公知の触媒はいずれも使用できる。メタロセン化合物は、好ましくはプロピレンの立体規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物であり、より好ましくはプロピレンのアイソ規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物である。
プロピレン系重合体(A)を重合する際に、メタロセン触媒を使用した場合には、チーグラー触媒を使用した場合よりも、低結晶成分を減らすことが容易な場合が多い。その結果、低金型汚染性、低揮発分、低ブリードアウト性、および低溶出性に優れたプロピレン系樹脂組成物を得ることが可能となるため、より好ましい。
プロピレン系重合体(A)を重合する際に、メタロセン触媒を使用した場合には、チーグラー触媒を使用した場合よりも、低結晶成分を減らすことが容易な場合が多い。その結果、低金型汚染性、低揮発分、低ブリードアウト性、および低溶出性に優れたプロピレン系樹脂組成物を得ることが可能となるため、より好ましい。
(i)メタロセン化合物としては、例えば、特開昭60−35007号、特開昭61−130314号、特開昭63−295607号、特開平1−275609号、特開平2−41303号、特開平2−131488号、特開平2−76887号、特開平3−163088号、特開平4−300887号、特開平4−211694号、特開平5−43616号、特開平5−209013号、特開平6−239914号、特表平7−504934号、特開平8−85708号の各公報に開示されている。
更に、具体的には、メチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン1,2−(4−フェニルインデニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(4−メチルシクロペンタジエニル)(3−t−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2−メチル−4−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(3’−t−ブチル−5’−メチル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[4−(1−フェニル−3−メチルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(フルオレニル)t−ブチルアミドジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4,(1−ナフチル)−インデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(3−フルオロビフェニリル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス[1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリドなどのジルコニウム化合物が例示できる。上記において、ジルコニウムをチタニウム、ハフニウムに置き換えた化合物も同様に使用できる。場合によっては、ジルコニウム化合物とハフニウム化合物等の混合物を使用することもできる。また、クロリドは他のハロゲン化合物、メチル、イソブチル、ベンジル等の炭化水素基、ジメチルアミド、ジエチルアミド等のアミド基、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシド基、ヒドリド基等に置き換えることが出来る。
これらの内、インデニル基あるいはアズレニル基をケイ素あるいはゲルミル基で架橋したメタロセン化合物が好ましい。
これらの内、インデニル基あるいはアズレニル基をケイ素あるいはゲルミル基で架橋したメタロセン化合物が好ましい。
また、メタロセン化合物は、無機または有機化合物の担体に担持して使用してもよい。該担体としては、無機または有機化合物の多孔質化合物が好ましく、具体的には、イオン交換性層状珪酸塩、ゼオライト、SiO2、Al2O3、シリカアルミナ、MgO、ZrO2、TiO2、B2O3、CaO、ZnO、BaO、ThO2、等の無機化合物、多孔質のポリオレフィン、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体、オレフィン・アクリル酸共重合体等からなる有機化合物、またはこれらの混合物が挙げられる。
(ii)メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒としては、有機アルミニウムオキシ化合物(たとえば、アルミノキサン化合物)、イオン交換性層状珪酸塩、ルイス酸、ホウ素含有化合物、イオン性化合物、フッ素含有有機化合物等が挙げられる。
(iii)有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウムセスキハライド、アルキルアルミニウムジハライド、アルキルアルミニウムハイドライド、有機アルミニウムアルコキサイド等が挙げられる。
プロピレン系重合体の製造方法としては、上記触媒の存在下に、不活性溶媒を用いたスラリー法、溶液法、実質的に溶媒を用いない気相法や、あるいは重合モノマーを溶媒とするバルク重合法等が挙げられる。
例えば、スラリー重合法の場合には、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素または液状モノマー中で行うことができる。重合温度は、通常−80〜150℃であり、好ましくは40〜120℃である。重合圧力は、1〜60気圧が好ましく、また得られるプロピレン系重合体の分子量の調節は、水素もしくは他の公知の分子量調整剤で行うことができる。重合は連続式またはバッチ式反応で行い、その条件は通常用いられている条件でよい。さらに重合反応は一段で行ってもよく、多段で行ってもよい。
例えば、スラリー重合法の場合には、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素または液状モノマー中で行うことができる。重合温度は、通常−80〜150℃であり、好ましくは40〜120℃である。重合圧力は、1〜60気圧が好ましく、また得られるプロピレン系重合体の分子量の調節は、水素もしくは他の公知の分子量調整剤で行うことができる。重合は連続式またはバッチ式反応で行い、その条件は通常用いられている条件でよい。さらに重合反応は一段で行ってもよく、多段で行ってもよい。
2.改質剤(B)
これまでに述べたようなプロピレン系重合体(A)を用いても、造核効果のある改質剤を使用しなければ、十分な透明性を得ることは難しい。そのため、本発明では、改質剤(B)として、下記化学構造式(1)で示される化合物を使用する。
これまでに述べたようなプロピレン系重合体(A)を用いても、造核効果のある改質剤を使用しなければ、十分な透明性を得ることは難しい。そのため、本発明では、改質剤(B)として、下記化学構造式(1)で示される化合物を使用する。
このような化合物は、例えば、特表2006−518402号公報記載方法によって製造することができる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物において用いられる改質剤(B)の配合量は、プロピレン系重合体(A)100重量部に対して、0.005〜0.1重量部の範囲である。
この改質剤(B)を0.005〜0.1重量部の範囲でプロピレン系重合体(A)に添加することにより、金型汚染性、揮発分の発生量、ブリードアウト、焼け、および溶出性を悪化させずに、成形品の透明性を大幅に改良することができる。改質剤(B)が、ごく微量な添加濃度で透明核剤としてきわめて有効に作用する上、金型汚染や揮発分、ブリードアウト、焼け、溶出等の原因物質を発生させないためであると考えられる。
改質剤(B)の配合量が、0.005重量部未満であると透明性を十分に発揮させることが困難であり、また、0.1重量部を超えると、透明性が低下していく傾向となり、透明性を十分に発揮できなくなる。
この改質剤(B)を0.005〜0.1重量部の範囲でプロピレン系重合体(A)に添加することにより、金型汚染性、揮発分の発生量、ブリードアウト、焼け、および溶出性を悪化させずに、成形品の透明性を大幅に改良することができる。改質剤(B)が、ごく微量な添加濃度で透明核剤としてきわめて有効に作用する上、金型汚染や揮発分、ブリードアウト、焼け、溶出等の原因物質を発生させないためであると考えられる。
改質剤(B)の配合量が、0.005重量部未満であると透明性を十分に発揮させることが困難であり、また、0.1重量部を超えると、透明性が低下していく傾向となり、透明性を十分に発揮できなくなる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、改質剤(B)以外の造核剤を実質的に含まないことが望ましい。具体的には、プロピレン系重合体(A)100重量部に対して、改質剤(B)以外の造核剤が0.001重量部以下であることが望ましい。特に、ソルビトール系造核剤、有機リン酸塩系造核剤および芳香族燐酸エステル類を含む場合には、透明性の向上は見られるものの、金型汚染性、ブリードアウト、焼け等の不具合が発生する上、医薬品容器に対する溶媒溶出性の基準に適合しなくなるため、医療分野への適合が困難になる。また、ソルビトール系造核剤を含む場合には、上記の不具合に加えて、強い臭気物質が発生し、食品、飲料分野への適用は困難になる。したがって、これらの造核剤を、プロピレン系重合体(A)100重量部に対して、0.001重量部以下しか含まないことがきわめて重要である。
3.その他の添加剤
本発明のプロピレン系樹脂組成物においては、プロピレン系共重合体(A)、および、改質剤(B)に加えて、プロピレン系重合体の安定剤などとして使用されている各種酸化防止剤、中和剤、滑剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤を配合することができる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物においては、プロピレン系共重合体(A)、および、改質剤(B)に加えて、プロピレン系重合体の安定剤などとして使用されている各種酸化防止剤、中和剤、滑剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤を配合することができる。
具体的には、酸化防止剤としては、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、ジ−ステアリル−ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフォナイト等のリン系酸化防止剤、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシベンジル)イソシアヌレート等のフェノール系酸化防止剤、ジ−ステアリル−β,β’−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ミリスチル−β,β’−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ラウリル−β,β’−チオ−ジ−プロピオネート等のチオ系酸化防止剤等が挙げられる。
中和剤の具体例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの金属脂肪酸塩、ハイドロタルサイト(商品名:協和化学工業(株)の下記一般式(3)で表されるマグネシウムアルミニウム複合水酸化物塩)、ミズカラック(下記一般式(4)で表されるリチウムアルミニウム複合水酸化物塩)などが挙げられる。
Mg1−xAlx(OH)2(CO3)x/2・mH2O …(3)
[式中、xは、0<x≦0.5であり、mは3以下の数である。]
[式中、xは、0<x≦0.5であり、mは3以下の数である。]
[Al2Li(OH)6]nX・mH2O …(4)
[式中、Xは、無機または有機のアニオンであり、nはアニオン(X)の価数であり、mは3以下である。]
[式中、Xは、無機または有機のアニオンであり、nはアニオン(X)の価数であり、mは3以下である。]
滑剤の具体例としては、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸ブチル、シリコーンオイル等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等の紫外線吸収剤等が挙げられる。
光安定剤としては、n−ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピぺリジル)セバケート、コハク酸ジメチル−2−(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジル)エタノール縮合物、ポリ{[6−〔(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ〕−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル]〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕}、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス〔N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ〕−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物等の光安定剤を挙げることができる。
さらに、放射線処理で変色がなく耐NOxガス変色性が良好な下記一般式(5)や下記一般式(6)で表されるアミン系酸化防止剤、5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジ−メチル−フェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン等のラクトン系酸化防止剤、下記一般式(7)等のビタミンE系酸化防止剤を挙げることができる。
さらに、その他に、帯電防止剤、スリップ剤、脂肪酸金属塩等の分散剤、有機過酸化物、顔料、染料、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン、オレフィン系エラストマー、非オレフィン系エラストマー等を本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
[2]プロピレン系樹脂組成物の製造方法
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系重合体(A)と改質剤(B)、および、必要に応じて用いる他の添加剤とを、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、リボンブレンダー等に投入して混合した後、通常の単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ブラベンダー、ロール等で170〜280℃の温度範囲で溶融混練することにより得ることができる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系重合体(A)と改質剤(B)、および、必要に応じて用いる他の添加剤とを、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、リボンブレンダー等に投入して混合した後、通常の単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ブラベンダー、ロール等で170〜280℃の温度範囲で溶融混練することにより得ることができる。
[3]成形品
本発明の成形品は、上記のプロピレン系樹脂組成物を、公知の押出成形機、射出成形機、ブロー成形機、フィルム成形機、繊維成形機等の各種の成形機により成形することにより成形することで得られる。本発明のプロピレン系樹脂組成物を成形する場合には、透明性が極めて良好である上、金型汚染性がきわめて良好であることから、外観意匠性に優れた成形品を成形することができる。また、金型汚染性が良好であるために、成形の途中で金型を清掃する必要がないため、極めて高い効率で成形品を生産することができる。
本発明の成形品は、上記のプロピレン系樹脂組成物を、公知の押出成形機、射出成形機、ブロー成形機、フィルム成形機、繊維成形機等の各種の成形機により成形することにより成形することで得られる。本発明のプロピレン系樹脂組成物を成形する場合には、透明性が極めて良好である上、金型汚染性がきわめて良好であることから、外観意匠性に優れた成形品を成形することができる。また、金型汚染性が良好であるために、成形の途中で金型を清掃する必要がないため、極めて高い効率で成形品を生産することができる。
本発明の成形品としては、射出成形品、押出成形品、真空成形品、圧縮成形品、カレンダー成形品、積層成形品、流動浸漬成形品、吹込み成形品、スラッシュ成形品、回転成形品、熱成形品、CCM成形品などがあり、具体的には、食品容器(プリン容器、ゼリー容器、ヨーグルト容器、その他のデザート容器、惣菜容器、茶碗蒸し容器、インスタントラーメン容器、米飯容器、レトルト容器、弁当容器等)、飲料容器(飲料ボトル、チルドコーヒー容器、ワンハンドカップ容器、その他の飲料容器等)、キャップ(ペットボトルキャップ、1ピースキャップ、2ピースキャップ、インスタントコーヒーのキャップ、調味料キャップ、化粧品容器キャップ等)、医薬品容器(輸液バッグ、血液バッグ、プレフィルドシリンジ、キット製剤、目薬容器、薬液容器、薬剤容器、液体の長期保存容器、プレススルーパッケージ、ストリップパッケージ、分包、プラスチックバイアル等)、その他各種容器(インク容器、化粧品容器等)、医療用器具(ディスポーザブルシリンジおよびその部品、カテーテル・チューブ、真空採血管、手術用不織布、血液用フィルター、血液回路などのディスポーザブル器具、人工肺、人工肛門などの人工臓器類の部品、ダイアライザー、試験管、縫合糸、湿布基材、歯科用材料の部品、整形外科用材料の部品、コンタクトレンズのケース等)、日用品(衣装ケース、バケツ、洗面器、筆記用具、コンテナ、玩具、調理器具、その他各種ケース等)、自動車部品(インパネ、バンパー、灯体等)、電気・電子部品(各種電気機器の部材・筐体、半導体搬送容器、光学部品、各種情報メディアケース、太陽電池封止材等)、フィルム、繊維、シート、などが挙げられる。
特に、透明で不純物の溶出が少ない特徴を活かすことのできる、電気・電子部品、医療器具、各種容器に好適である。
特に、透明で不純物の溶出が少ない特徴を活かすことのできる、電気・電子部品、医療器具、各種容器に好適である。
以下、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。実施例および比較例で用いた物性値の測定法、評価法、樹脂および添加剤は、以下の通りである。
1.物性値の測定法、評価法
(1)MFR
JIS K7210に準拠して、230℃、2.16kg荷重で測定した。
(1)MFR
JIS K7210に準拠して、230℃、2.16kg荷重で測定した。
(2)コモノマー含量
13C−NMRにより、エチレン含有量、およびブテン−1含有量を測定した。その測定条件は以下の通りである。
機種:日本電子(株)製GSX−400
溶媒:o−ジクロルベンゼン:重ベンゼン=4:1(体積比)
濃度:100mg/ml
温度:130℃
パルス角:90°
パルス間隔:15秒
積算回数:5,000回以上
13C−NMRにより、エチレン含有量、およびブテン−1含有量を測定した。その測定条件は以下の通りである。
機種:日本電子(株)製GSX−400
溶媒:o−ジクロルベンゼン:重ベンゼン=4:1(体積比)
濃度:100mg/ml
温度:130℃
パルス角:90°
パルス間隔:15秒
積算回数:5,000回以上
(3)分子量の測定方法:
重量平均分子量Mw、分子量が5,000以下の成分量(M≦5,000)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定した。その測定条件は以下の通りである。
装置:WATERS社製GPC(ALC/GPC 150C)
検出器:FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:ο−ジクロロベンゼン
測定温度:140℃
流速:1.0ml/分
注入量:0.2ml
重量平均分子量Mw、分子量が5,000以下の成分量(M≦5,000)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定した。その測定条件は以下の通りである。
装置:WATERS社製GPC(ALC/GPC 150C)
検出器:FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:ο−ジクロロベンゼン
測定温度:140℃
流速:1.0ml/分
注入量:0.2ml
(4)立体規則性
13C−NMRにより、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm)を測定した。その測定条件は以下の通りである。
機種:日本電子(株)製GSX−400
溶媒:o−ジクロルベンゼン:重ベンゼン=4:1(体積比)
濃度:100mg/ml
温度:130℃
パルス角:90°
パルス間隔:15秒
積算回数:5,000回以上
13C−NMRにより、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm)を測定した。その測定条件は以下の通りである。
機種:日本電子(株)製GSX−400
溶媒:o−ジクロルベンゼン:重ベンゼン=4:1(体積比)
濃度:100mg/ml
温度:130℃
パルス角:90°
パルス間隔:15秒
積算回数:5,000回以上
(5)曲げ弾性率:
東芝機械製EC100射出成形機により、JIS K7152−1に準拠して成形した多目的試験片を切削加工により所定の寸法に加工した後、JIS K7171に準拠して23℃で測定した。
東芝機械製EC100射出成形機により、JIS K7152−1に準拠して成形した多目的試験片を切削加工により所定の寸法に加工した後、JIS K7171に準拠して23℃で測定した。
(6)シャルピー衝撃強度:
東芝機械製EC100射出成形機により、JIS K7152−1に準拠して成形した多目的試験片を切削加工により所定の寸法に加工し、ノッチを付与した後、JIS K7111に準拠して23℃で測定した。この値が高いほど衝撃時の破壊が発生しにくいため、好ましい。
東芝機械製EC100射出成形機により、JIS K7152−1に準拠して成形した多目的試験片を切削加工により所定の寸法に加工し、ノッチを付与した後、JIS K7111に準拠して23℃で測定した。この値が高いほど衝撃時の破壊が発生しにくいため、好ましい。
(7)ヘーズ:
東芝機械製EC100射出成形機により、JIS K7152−3に準拠して成形したD1試験片(60×60×1mm)を用いて、JIS K7136に準拠して測定した。この値が小さいほど透明であることを意味し、一般には透明・高光沢な成形品としての外観意匠性が高いことになる。
東芝機械製EC100射出成形機により、JIS K7152−3に準拠して成形したD1試験片(60×60×1mm)を用いて、JIS K7136に準拠して測定した。この値が小さいほど透明であることを意味し、一般には透明・高光沢な成形品としての外観意匠性が高いことになる。
(8)金型汚染−1
東芝機械製IS100GN射出成形機と、100×100×2mmの平板成形品の金型とを用いて評価を行った。評価に先立って金型を十分に清掃して汚れや曇りを十分に除去した後、金型に約8割充填される程度のショートショットの条件で、50ショット連続して成形した。成形条件は、樹脂温度240℃、金型温度40℃とした。その後、充填末端付近の金型表面の汚染状況を目視で確認した。目視で汚れが認められる場合は「金型汚染:あり」、目視では汚れが確認できない場合は「金型汚染:なし」とした。金型汚染が観察される場合は、頻繁に金型の清掃を行う必要があり、生産効率の低下を招くことを意味する。
東芝機械製IS100GN射出成形機と、100×100×2mmの平板成形品の金型とを用いて評価を行った。評価に先立って金型を十分に清掃して汚れや曇りを十分に除去した後、金型に約8割充填される程度のショートショットの条件で、50ショット連続して成形した。成形条件は、樹脂温度240℃、金型温度40℃とした。その後、充填末端付近の金型表面の汚染状況を目視で確認した。目視で汚れが認められる場合は「金型汚染:あり」、目視では汚れが確認できない場合は「金型汚染:なし」とした。金型汚染が観察される場合は、頻繁に金型の清掃を行う必要があり、生産効率の低下を招くことを意味する。
(9)金型汚染−2
住友重機械工業製SG125射出成形機と、平滑な天面を持つ直径50mmのキャップ成形品の金型とを用いて評価を行った。評価に先立って金型を十分に清掃して汚れや曇りを十分に除去した後、キャップを100ショット連続して成形した。成形条件は、樹脂温度240℃、金型温度40℃とした。その後、1ショット目に成形したキャップと、100ショット目に成形したキャップとを採取し、それぞれの天面における光沢を、JIS Z8741に従って測定した。1ショット目に成形したキャップの光沢から、100ショット目に成形したキャップの光沢を引いた値を計算し、金型汚染の指標とした。光沢測定時の入射角と反射角は、ともに60°である。金型汚染が多いほど、100ショット目の光沢が、1ショット目よりも大きく低下する。この指標が大きいほど、連続成形によって成形品の外観意匠性が低下することを意味する。
住友重機械工業製SG125射出成形機と、平滑な天面を持つ直径50mmのキャップ成形品の金型とを用いて評価を行った。評価に先立って金型を十分に清掃して汚れや曇りを十分に除去した後、キャップを100ショット連続して成形した。成形条件は、樹脂温度240℃、金型温度40℃とした。その後、1ショット目に成形したキャップと、100ショット目に成形したキャップとを採取し、それぞれの天面における光沢を、JIS Z8741に従って測定した。1ショット目に成形したキャップの光沢から、100ショット目に成形したキャップの光沢を引いた値を計算し、金型汚染の指標とした。光沢測定時の入射角と反射角は、ともに60°である。金型汚染が多いほど、100ショット目の光沢が、1ショット目よりも大きく低下する。この指標が大きいほど、連続成形によって成形品の外観意匠性が低下することを意味する。
(10)ブリードアウト
東芝機械製EC100射出成形機により、JIS K7152−3に準拠して成形したD1試験片(60×60×1mm)を用いて、JIS K7136に準拠してヘーズを測定した。その後、同じ試験片を40℃の恒温槽にて24時間加温してから、再度ヘーズを測定した。加温処理後のヘーズの値から加温処理前のヘーズ値を引いた値を計算し、これをブリードアウトの指標とした。ブリードアウトが多ければ多いほど、加温処理により透明性が悪化するため、ヘーズの増加が大きくなる。一般には、ブリードアウトは少なければ少ないほど望ましい。
東芝機械製EC100射出成形機により、JIS K7152−3に準拠して成形したD1試験片(60×60×1mm)を用いて、JIS K7136に準拠してヘーズを測定した。その後、同じ試験片を40℃の恒温槽にて24時間加温してから、再度ヘーズを測定した。加温処理後のヘーズの値から加温処理前のヘーズ値を引いた値を計算し、これをブリードアウトの指標とした。ブリードアウトが多ければ多いほど、加温処理により透明性が悪化するため、ヘーズの増加が大きくなる。一般には、ブリードアウトは少なければ少ないほど望ましい。
(11)焼け
住友重機械工業製SG125射出成形機とカップ成形品金型を用いてテストを実施した。成形機のスクリューを清掃しスクリュー表面の焼け等を除去した後、成型温度220℃、ホットランナー部温度220℃、成形サイクルを8〜10秒になるように成形条件を調整し、容器側面厚み0.7mm、容器重量9g、内容量180ccのカップを2万個成型した。成形後、成形機のスクリューの点検を行い、焼けの有無について目視で確認を行った。目視で焼けが認められる場合は「焼け:あり」、目視では焼けが確認できない場合は「焼け:なし」とした。一般には、焼けはない方が好ましい。
住友重機械工業製SG125射出成形機とカップ成形品金型を用いてテストを実施した。成形機のスクリューを清掃しスクリュー表面の焼け等を除去した後、成型温度220℃、ホットランナー部温度220℃、成形サイクルを8〜10秒になるように成形条件を調整し、容器側面厚み0.7mm、容器重量9g、内容量180ccのカップを2万個成型した。成形後、成形機のスクリューの点検を行い、焼けの有無について目視で確認を行った。目視で焼けが認められる場合は「焼け:あり」、目視では焼けが確認できない場合は「焼け:なし」とした。一般には、焼けはない方が好ましい。
(12)臭気物質の発生量
透明化プロピレン系組成物における代表的な臭気物質である、p−トルアルデヒドの発生量を下記の方法にて測定した。この物質の発生量が多いほど、臭気は強く、食品分野への適用は難しくなる。
内容積20mlのバイアル瓶にペレット3.0gを封入した後、80℃のオーブン中で2時間加熱した。この気相部から2mlのガスを採取し、GC/MS測定を行った。別途作成したp−トルアルデヒドの標準試料を元に検量線を作成し、ピーク面積を比較することにより、発生量の定量を行った。発生量は、バイアル瓶の気相部におけるp−トルアルデヒドの濃度を体積ppm単位で表記した。
測定に用いた装置・器具は、以下の通りである。
GC装置:ヒューレットパッカード社製HP6890
MS装置:ヒューレットパッカード社製5973N
カラム:J&W社製DB−5ms
透明化プロピレン系組成物における代表的な臭気物質である、p−トルアルデヒドの発生量を下記の方法にて測定した。この物質の発生量が多いほど、臭気は強く、食品分野への適用は難しくなる。
内容積20mlのバイアル瓶にペレット3.0gを封入した後、80℃のオーブン中で2時間加熱した。この気相部から2mlのガスを採取し、GC/MS測定を行った。別途作成したp−トルアルデヒドの標準試料を元に検量線を作成し、ピーク面積を比較することにより、発生量の定量を行った。発生量は、バイアル瓶の気相部におけるp−トルアルデヒドの濃度を体積ppm単位で表記した。
測定に用いた装置・器具は、以下の通りである。
GC装置:ヒューレットパッカード社製HP6890
MS装置:ヒューレットパッカード社製5973N
カラム:J&W社製DB−5ms
(13)溶出試験−1
昭和58年6月20日に薬審第401号として各都道府県衛生主管部(局)長あての厚生省薬務局審査課長通知により示された透析型人工腎臓装置承認基準のうち、透析液供給部および透析液回路の品質および試験法 1(2)に従って、測定を実施した。溶出試験条件は、水を150mlにサンプル15gを加え、70℃で1時間加温し、冷却後の内溶液を試験液とする方法である。試験結果は、以下の基準に従って合否を判定した。
(ア)外観:無色透明、異物なし
(イ)泡立ち:3分以内に消失
(ウ)pH:ブランクとの差が1.5以下
(エ)亜鉛:標準溶液以下
(オ)過マンガン酸カリウム還元性物質:標準溶液との過マンガン酸カリウム消費量の差1.0ml以下
(カ)蒸発残留物:1.0mg以下
(キ)紫外吸収スペクトル:0.1以下
この試験に合格した組成物のみを、透析型人工腎臓装置の成形用に使用可能である。
昭和58年6月20日に薬審第401号として各都道府県衛生主管部(局)長あての厚生省薬務局審査課長通知により示された透析型人工腎臓装置承認基準のうち、透析液供給部および透析液回路の品質および試験法 1(2)に従って、測定を実施した。溶出試験条件は、水を150mlにサンプル15gを加え、70℃で1時間加温し、冷却後の内溶液を試験液とする方法である。試験結果は、以下の基準に従って合否を判定した。
(ア)外観:無色透明、異物なし
(イ)泡立ち:3分以内に消失
(ウ)pH:ブランクとの差が1.5以下
(エ)亜鉛:標準溶液以下
(オ)過マンガン酸カリウム還元性物質:標準溶液との過マンガン酸カリウム消費量の差1.0ml以下
(カ)蒸発残留物:1.0mg以下
(キ)紫外吸収スペクトル:0.1以下
この試験に合格した組成物のみを、透析型人工腎臓装置の成形用に使用可能である。
(14)溶出試験−2
第15改正 日本薬局方一般試験(日本薬局方試験):7.02プラスチック製薬品容器試験に従って、測定を実施した。試料調製は、0.5ミリ厚で表面積1200cm2に相当する重量のペレットを秤量し、220℃でプレスしてシート片として、長さ約5センチ、幅約0.5センチの大きさに細断し、水で洗った後、室温で乾燥した。これを内容積約300mlの硬質ガラス製容器に入れ、水200mlを正確に加え、適当な栓で密封した後、高圧蒸気滅菌器を用いて121℃で1時間加熱した後、室温になるまで放置し、この内溶液を試験液とした。これとは別に、水について、同様の方法で空試験液を調製した。試験結果は、以下の基準に従って合否を判定した。
(ア)強熱残分:0.10%以下
(イ)重金属:比較液以下(20ppm)
(ウ)鉛:0.5ppm以下
(エ)カドミウム:0.1ppm以下
(オ)泡立ち:3分以内に消失
(カ)PH:ブランクとの差が1.5以下
(キ)過マンガン酸カリウム還元性物質:標準溶液との過マンガン酸カリウム消費量の差1.0ml以下
(ク)紫外吸収スペクトル
220nm以上241nm未満:吸光度0.08以下
241nm以上350nm未満:吸光度0.05以下
(ケ)蒸発残留分:1.0mg以下
この試験に合格した組成物のみを、プラスチック製薬品容器の成形用に使用可能である。
第15改正 日本薬局方一般試験(日本薬局方試験):7.02プラスチック製薬品容器試験に従って、測定を実施した。試料調製は、0.5ミリ厚で表面積1200cm2に相当する重量のペレットを秤量し、220℃でプレスしてシート片として、長さ約5センチ、幅約0.5センチの大きさに細断し、水で洗った後、室温で乾燥した。これを内容積約300mlの硬質ガラス製容器に入れ、水200mlを正確に加え、適当な栓で密封した後、高圧蒸気滅菌器を用いて121℃で1時間加熱した後、室温になるまで放置し、この内溶液を試験液とした。これとは別に、水について、同様の方法で空試験液を調製した。試験結果は、以下の基準に従って合否を判定した。
(ア)強熱残分:0.10%以下
(イ)重金属:比較液以下(20ppm)
(ウ)鉛:0.5ppm以下
(エ)カドミウム:0.1ppm以下
(オ)泡立ち:3分以内に消失
(カ)PH:ブランクとの差が1.5以下
(キ)過マンガン酸カリウム還元性物質:標準溶液との過マンガン酸カリウム消費量の差1.0ml以下
(ク)紫外吸収スペクトル
220nm以上241nm未満:吸光度0.08以下
241nm以上350nm未満:吸光度0.05以下
(ケ)蒸発残留分:1.0mg以下
この試験に合格した組成物のみを、プラスチック製薬品容器の成形用に使用可能である。
2.樹脂、添加剤
プロピレン系重合体(A)
(A−1)プロピレン単独重合体:MFR11g/10分、立体規則性(mmmm)97%、重量平均分子量(Mw)25万、分子量が5,000以下の成分量(M≦5,000)1.2重量%、チーグラー触媒(日本ポリプロ(株)社製ノバテックMA3Q)
(A−2)プロピレン・エチレン・ランダム共重合体:MFR30g/10分、エチレン含有量3.8重量%、重量平均分子量(Mw)15万、分子量が5,000以下の成分量(M≦5,000)2.5重量%、チーグラー触媒(日本ポリプロ(株)社製ノバテックMG03EQ)
(A−3)プロピレン・エチレン・ブテン−1共重合体:MFR5.5g/10分、エチレン含有量3.1重量%、ブテン−1含有量2.7重量%、重量平均分子量(Mw)30万、分子量が5,000以下の成分量(M≦5,000)1.0重量%、チーグラー触媒(日本ポリプロ(株)社製ノバテックFX4GQ)
(A−4)プロピレン・エチレン・ブロック共重合体:MFR0.5g/10分、エチレン含有量17.0重量%、重量平均分子量(Mw)55万、分子量が5,000以下の成分量(M≦5,000)0.5重量%、チーグラー触媒(日本ポリプロ(株)社製ニューコンNAX9P)
(A−5)プロピレン・エチレン・ブテン−1ブロック共重合体:MFR1.4g/10分、エチレン含有量8.0重量%、ブテン−1含有量1.8重量%、重量平均分子量(Mw)42万、分子量が5,000以下の成分量(M≦5,000)0.7重量%、チーグラー触媒(日本ポリプロ(株)社製ニューコンPN2581)
(A−6)プロピレン・エチレン・ランダム共重合体:MFR30g/10分、エチレン含有量1.3重量%、重量平均分子量(Mw)24万、分子量が5,000以下の成分量(M≦5,000)0.2重量%、メタロセン触媒(日本ポリプロ(株)社製ウィンテックWMG03P)
(A−7)プロピレン・エチレン・ランダム共重合体:MFR1.4g/10分、エチレン含有量1.1重量%、重量平均分子量(Mw)40万、分子量が5,000以下の成分量(M≦5,000)0.1重量%、メタロセン触媒(日本ポリプロ(株)社製ウィンテックWEG7TP)
(A−8)プロピレン・エチレン・ランダム共重合体:MFR5.5g/10分、エチレン含有量6.1重量%、重量平均分子量(Mw)30万、分子量が5,000以下の成分量(M≦5,000)0.4重量%、メタロセン触媒(日本ポリプロ(株)社製ノバテックXY1006RP)
(A−9)プロピレン単独重合体:MFR25g/10分、立体規則性(mmmm)93%、重量平均分子量(Mw)17万、分子量が5,000以下の成分量(M≦5,000)3.2重量%、チーグラー触媒(日本ポリプロ(株)社製ノバテックMA2P)
(A−10)プロピレン・エチレン・ランダム共重合体:MFR23g/10分、エチレン含有量2.5重量%、重量平均分子量(Mw)18万、分子量が5,000以下の成分量(M≦5,000)3.5重量%、チーグラー触媒(日本ポリプロ(株)社製ノバテックMG03AQ)
(A−11)プロピレン・エチレン・ブロック共重合体:MFR8.0g/10分、エチレン含有量9.0重量%、重量平均分子量(Mw)24万、分子量が5,000以下の成分量(M≦5,000)3.5重量%、チーグラー触媒(日本ポリプロ(株)社製ニューコンPN1106)
(A−12)プロピレン・エチレン・ブロック共重合体:MFR1.0g/10分、エチレン含有量24.8重量%、重量平均分子量(Mw)43万、分子量が5,000以下の成分量(M≦5,000)1.8重量%、チーグラー触媒(日本ポリプロ(株)社製ニューコンNBX8HRQ)
プロピレン系重合体(A)
(A−1)プロピレン単独重合体:MFR11g/10分、立体規則性(mmmm)97%、重量平均分子量(Mw)25万、分子量が5,000以下の成分量(M≦5,000)1.2重量%、チーグラー触媒(日本ポリプロ(株)社製ノバテックMA3Q)
(A−2)プロピレン・エチレン・ランダム共重合体:MFR30g/10分、エチレン含有量3.8重量%、重量平均分子量(Mw)15万、分子量が5,000以下の成分量(M≦5,000)2.5重量%、チーグラー触媒(日本ポリプロ(株)社製ノバテックMG03EQ)
(A−3)プロピレン・エチレン・ブテン−1共重合体:MFR5.5g/10分、エチレン含有量3.1重量%、ブテン−1含有量2.7重量%、重量平均分子量(Mw)30万、分子量が5,000以下の成分量(M≦5,000)1.0重量%、チーグラー触媒(日本ポリプロ(株)社製ノバテックFX4GQ)
(A−4)プロピレン・エチレン・ブロック共重合体:MFR0.5g/10分、エチレン含有量17.0重量%、重量平均分子量(Mw)55万、分子量が5,000以下の成分量(M≦5,000)0.5重量%、チーグラー触媒(日本ポリプロ(株)社製ニューコンNAX9P)
(A−5)プロピレン・エチレン・ブテン−1ブロック共重合体:MFR1.4g/10分、エチレン含有量8.0重量%、ブテン−1含有量1.8重量%、重量平均分子量(Mw)42万、分子量が5,000以下の成分量(M≦5,000)0.7重量%、チーグラー触媒(日本ポリプロ(株)社製ニューコンPN2581)
(A−6)プロピレン・エチレン・ランダム共重合体:MFR30g/10分、エチレン含有量1.3重量%、重量平均分子量(Mw)24万、分子量が5,000以下の成分量(M≦5,000)0.2重量%、メタロセン触媒(日本ポリプロ(株)社製ウィンテックWMG03P)
(A−7)プロピレン・エチレン・ランダム共重合体:MFR1.4g/10分、エチレン含有量1.1重量%、重量平均分子量(Mw)40万、分子量が5,000以下の成分量(M≦5,000)0.1重量%、メタロセン触媒(日本ポリプロ(株)社製ウィンテックWEG7TP)
(A−8)プロピレン・エチレン・ランダム共重合体:MFR5.5g/10分、エチレン含有量6.1重量%、重量平均分子量(Mw)30万、分子量が5,000以下の成分量(M≦5,000)0.4重量%、メタロセン触媒(日本ポリプロ(株)社製ノバテックXY1006RP)
(A−9)プロピレン単独重合体:MFR25g/10分、立体規則性(mmmm)93%、重量平均分子量(Mw)17万、分子量が5,000以下の成分量(M≦5,000)3.2重量%、チーグラー触媒(日本ポリプロ(株)社製ノバテックMA2P)
(A−10)プロピレン・エチレン・ランダム共重合体:MFR23g/10分、エチレン含有量2.5重量%、重量平均分子量(Mw)18万、分子量が5,000以下の成分量(M≦5,000)3.5重量%、チーグラー触媒(日本ポリプロ(株)社製ノバテックMG03AQ)
(A−11)プロピレン・エチレン・ブロック共重合体:MFR8.0g/10分、エチレン含有量9.0重量%、重量平均分子量(Mw)24万、分子量が5,000以下の成分量(M≦5,000)3.5重量%、チーグラー触媒(日本ポリプロ(株)社製ニューコンPN1106)
(A−12)プロピレン・エチレン・ブロック共重合体:MFR1.0g/10分、エチレン含有量24.8重量%、重量平均分子量(Mw)43万、分子量が5,000以下の成分量(M≦5,000)1.8重量%、チーグラー触媒(日本ポリプロ(株)社製ニューコンNBX8HRQ)
改質剤(B)
(B−1):下記化学構造式(1)で示される化合物。後述の製造方法により得られる。
(B−1):下記化学構造式(1)で示される化合物。後述の製造方法により得られる。
まず、1,3,5−トリヒロドロキシベンゼン(6.306g, 50mmol)を、60 mlのヒロドキシルアミン(50%水溶液)中に、室温で攪拌しながら懸濁させた。懸濁液は約5分後に発熱を伴い、透明な黄色溶液となった。該溶液を時々攪拌しながら室温で3時間放置し、白色沈殿を形成させた。懸濁液から白色沈殿を濾別し、得られた固体を水洗して真空下で恒量になるまで乾燥させた後、1,3,5−ベンゼントリオキシム(収量:7.73g、収率:90.3%)を得た。1HNMR(DMSO−d6):δppm;10.80(s,1H)、10.73(s,1H),10.70 (s,1H), 3.46 (s,2H),3.25(s,2H),3.04(s,2H)。
次に、得られた1,3,5−ベンゼントリオキシム(5.13 g, 30 mmol)を、誘導攪拌装置を備えた内容積1,000mlのオートクレーブに、細かく粉砕して仕込み、ついで、200mlの酢酸n−ブチルおよび6.1gのRaneyニッケルを仕込んだ。オートクレーブ内を水素雰囲気に置換した後、水素圧が0.35MPaとなるように水素を仕込んだ。内容物を攪拌しながらオートクレーブを昇温し、80℃で90分反応させた。最終的に水素圧は0.16MPaとなった。オートクレーブを室温まで冷却した後、50mlの水を加えてRaneyニッケルを不活性化させ、内容物を全量別の容器に移した。酢酸エチルにて有機物成分を抽出し、揮発成分を除去して固体を得た。該固体から、ジクロロメタンにて目的化合物を抽出した。ジクロロメタンを除去した後、1,3,5−トリアミノベンゼン(収量:0.61g,収率:16.5%)を得た。1HNMR(CD2Cl2),δppm;5.43(s, 3H),3.45(br.s,6H)。
次に、得られた1,3,5−トリアミノベンゼン(0.61g,4.95mmol)を窒素雰囲気下、30mlの酢酸n−ブチルに溶解させ、無水ピバリン酸(2.76g,14.9mmol)をシリンジで加えた。室温で攪拌しながら、白色沈殿を形成させた。引き続き室温で終夜攪拌を行い、カニューラで上澄みを除去し、残渣をジエチルエーテル(10ml×3回)で洗浄した。得られた固体を真空下で乾燥し、目的とする1,3,5−トリピバロイルアミドベンゼンを粉末として得た(収量: 1.81g, 収率: 97.4%)。1HNMR (DMSO−d6): δppm; 9.18 (s,3H,N−H),7.62(s,3H,aromatic),1.21(s,27H,t−Bu)
次に、得られた1,3,5−ベンゼントリオキシム(5.13 g, 30 mmol)を、誘導攪拌装置を備えた内容積1,000mlのオートクレーブに、細かく粉砕して仕込み、ついで、200mlの酢酸n−ブチルおよび6.1gのRaneyニッケルを仕込んだ。オートクレーブ内を水素雰囲気に置換した後、水素圧が0.35MPaとなるように水素を仕込んだ。内容物を攪拌しながらオートクレーブを昇温し、80℃で90分反応させた。最終的に水素圧は0.16MPaとなった。オートクレーブを室温まで冷却した後、50mlの水を加えてRaneyニッケルを不活性化させ、内容物を全量別の容器に移した。酢酸エチルにて有機物成分を抽出し、揮発成分を除去して固体を得た。該固体から、ジクロロメタンにて目的化合物を抽出した。ジクロロメタンを除去した後、1,3,5−トリアミノベンゼン(収量:0.61g,収率:16.5%)を得た。1HNMR(CD2Cl2),δppm;5.43(s, 3H),3.45(br.s,6H)。
次に、得られた1,3,5−トリアミノベンゼン(0.61g,4.95mmol)を窒素雰囲気下、30mlの酢酸n−ブチルに溶解させ、無水ピバリン酸(2.76g,14.9mmol)をシリンジで加えた。室温で攪拌しながら、白色沈殿を形成させた。引き続き室温で終夜攪拌を行い、カニューラで上澄みを除去し、残渣をジエチルエーテル(10ml×3回)で洗浄した。得られた固体を真空下で乾燥し、目的とする1,3,5−トリピバロイルアミドベンゼンを粉末として得た(収量: 1.81g, 収率: 97.4%)。1HNMR (DMSO−d6): δppm; 9.18 (s,3H,N−H),7.62(s,3H,aromatic),1.21(s,27H,t−Bu)
(B−2)アデカスタブNA21((株)ADEKA社製):有機リン酸金属塩化合物系透明化核剤:本発明範囲外の改質剤(B)
(B−3)ゲルオールMD(新日本理化(株)社製):ジメチルベンジリデンソルビトール系透明化核剤:本発明範囲外の改質剤(B)
(B−3)ゲルオールMD(新日本理化(株)社製):ジメチルベンジリデンソルビトール系透明化核剤:本発明範囲外の改質剤(B)
その他の添加剤(C)
(C−1)ヒンダードフェノール系酸化防止剤:イルガノックス1010(チバ・ジャパン(株)社製)。テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシルフェニル)プロピオネート]メタン。
(C−2)リン系酸化防止剤:イルガフォス168(チバ・ジャパン(株)社製)。トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェノール)フォスファイト。
(C−3)ステアリン酸カルシウム(日油(株)社製)
(C−1)ヒンダードフェノール系酸化防止剤:イルガノックス1010(チバ・ジャパン(株)社製)。テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシルフェニル)プロピオネート]メタン。
(C−2)リン系酸化防止剤:イルガフォス168(チバ・ジャパン(株)社製)。トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェノール)フォスファイト。
(C−3)ステアリン酸カルシウム(日油(株)社製)
[実施例1〜8、比較例1〜28]
重合体および添加剤を表2に記載の配合割合(重量部)で準備し、スーパーミキサーでドライブレンドした後、東芝機械製TEM−35B二軸押出機を用いて、ダイ出口部温度220℃で溶融混練し、ペレット化した。得られたペレットを用いて、物性を測定した。それらの評価結果を表2に示す。
重合体および添加剤を表2に記載の配合割合(重量部)で準備し、スーパーミキサーでドライブレンドした後、東芝機械製TEM−35B二軸押出機を用いて、ダイ出口部温度220℃で溶融混練し、ペレット化した。得られたペレットを用いて、物性を測定した。それらの評価結果を表2に示す。
表1、2、3、4から明らかなように、実施例1は、本発明のプロピレン系重合体(A)として、チーグラー触媒によって重合されたプロピレン単独共重合体を用い、本発明に規定の改質剤(B)を用いたものである。透明性、低ブリードアウト性、耐焼け性に優れており、臭気物質も発生しないため、食品・飲料を初めとする各種容器や電気・電子部品としての利用に好適である。金型汚染性も良好であることから、外観意匠性に優れた成形品を効率よく連続生産することも可能である。また、医療器具や医薬品容器に対する溶出試験にも合格することがわかる。
実施例2、3は、本発明のプロピレン系重合体(A)として、チーグラー触媒によって重合されたランダム共重合体を用い、本発明に規定の改質剤(B)を用いたものである。プロピレン単独重合体に比べて、他の物性を維持しつつ、衝撃強度と透明性が向上していることがわかる。
実施例4、5は、本発明のプロピレン系重合体(A)として、チーグラー触媒によって重合されたブロック共重合体を用い、本発明に規定の改質剤(B)を用いたものである。プロピレン単独重合体に比べて、他の物性を維持しつつ、衝撃強度が大幅に向上していることがわかる。
実施例6〜8は、本発明のプロピレン系重合体(A)として、メタロセン触媒によって重合されたランダム共重合体を用い、本発明に規定の改質剤(B)を用いたものである。チーグラー触媒で重合された重合体に比べて、分子量が5,000以下の成分量が非常に少なく、他の物性を維持しつつ、透明性、ブリードアウト性、金型汚染性が向上していることがわかる。
実施例2、3は、本発明のプロピレン系重合体(A)として、チーグラー触媒によって重合されたランダム共重合体を用い、本発明に規定の改質剤(B)を用いたものである。プロピレン単独重合体に比べて、他の物性を維持しつつ、衝撃強度と透明性が向上していることがわかる。
実施例4、5は、本発明のプロピレン系重合体(A)として、チーグラー触媒によって重合されたブロック共重合体を用い、本発明に規定の改質剤(B)を用いたものである。プロピレン単独重合体に比べて、他の物性を維持しつつ、衝撃強度が大幅に向上していることがわかる。
実施例6〜8は、本発明のプロピレン系重合体(A)として、メタロセン触媒によって重合されたランダム共重合体を用い、本発明に規定の改質剤(B)を用いたものである。チーグラー触媒で重合された重合体に比べて、分子量が5,000以下の成分量が非常に少なく、他の物性を維持しつつ、透明性、ブリードアウト性、金型汚染性が向上していることがわかる。
比較例1〜8は、実施例1〜8において、改質剤(B)を含まない場合である。改質剤(B)を用いないと、たとえプロピレン系重合体(A)を用いても、透明性が不十分であり、外観意匠性を求められる分野への適用が難しいことがわかる。
比較例9〜24は、実施例1〜8における改質剤(B)の代わりに、本発明範囲外の改質剤である、アデカスタブNA21、もしくは、ゲルオールMDを用いたものである。改質剤(B)以外の造核剤を使用した場合には、たとえプロピレン系共重合体(A)を用いても、金型汚染性、ブリードアウト性、焼けに問題が生じるため、外観意匠性やクリーン性を求められる成形品を効率的に生産することが求められる分野への適用には制限がある。また、溶出性に問題があるため、ある種の医療分野への適用は困難であることがわかる。さらに、ゲルオールMDを用いた場合には、臭気物質が発生するため、食品・飲料分野への適用が難しいこともわかる。
比較例25〜27は、プロピレン系重合体(A)の代わりに、分子量が5,000以下の成分量が3.0重量%より多いプロピレン系重合体を用いたものである。このようなプロピレン系重合体を用いると、たとえ改質剤(B)を用いても、金型汚染性やブリードアウト性に問題があるため、外観意匠性やクリーン性を求められる成形品を効率的に生産することが求められる分野への適用には制限があることがわかる。
比較例28は、プロピレン系重合体(A)の代わりに、エチレンから得られる構造単位が20重量%を超えるプロピレン系重合体を用いたものである。このようなプロピレン系重合体を用いると、たとえ改質剤(B)を用いても、透明性が大幅に劣るため、外観意匠性が求められる材料への適用が難しいことがわかる。
比較例9〜24は、実施例1〜8における改質剤(B)の代わりに、本発明範囲外の改質剤である、アデカスタブNA21、もしくは、ゲルオールMDを用いたものである。改質剤(B)以外の造核剤を使用した場合には、たとえプロピレン系共重合体(A)を用いても、金型汚染性、ブリードアウト性、焼けに問題が生じるため、外観意匠性やクリーン性を求められる成形品を効率的に生産することが求められる分野への適用には制限がある。また、溶出性に問題があるため、ある種の医療分野への適用は困難であることがわかる。さらに、ゲルオールMDを用いた場合には、臭気物質が発生するため、食品・飲料分野への適用が難しいこともわかる。
比較例25〜27は、プロピレン系重合体(A)の代わりに、分子量が5,000以下の成分量が3.0重量%より多いプロピレン系重合体を用いたものである。このようなプロピレン系重合体を用いると、たとえ改質剤(B)を用いても、金型汚染性やブリードアウト性に問題があるため、外観意匠性やクリーン性を求められる成形品を効率的に生産することが求められる分野への適用には制限があることがわかる。
比較例28は、プロピレン系重合体(A)の代わりに、エチレンから得られる構造単位が20重量%を超えるプロピレン系重合体を用いたものである。このようなプロピレン系重合体を用いると、たとえ改質剤(B)を用いても、透明性が大幅に劣るため、外観意匠性が求められる材料への適用が難しいことがわかる。
Claims (5)
- プロピレン単独重合体、もしくは、プロピレンとエチレンおよび/または炭素数4〜20のα−オレフィンからなるプロピレン共重合体(ただし、α−オレフィンから得られる構造単位は、0.1〜20重量%)であって、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により得られる重量平均分子量(Mw)が10万〜60万の範囲にあり、分子量が5,000以下の成分量(M≦5,000)が全体の3.0重量%以下であることを特徴とするプロピレン系重合体(A)100重量部に対して、改質剤(B)として、下記化学構造式(1)で示される化合物を0.005〜0.1重量部配合することを特徴とするプロピレン系樹脂組成物。
- プロピレン系重合体(A)における、分子量が5,000以下の成分量(M≦5,000)が全体の1.0重量%以下であることを特徴とする、請求項1に記載のプロピレン系樹脂組成物。
- プロピレン系重合体(A)100重量部に対して、改質剤(B)以外の造核剤が0.001重量部以下であることを特徴とする、請求項1もしくは2に記載のプロピレン系樹脂組成物。
- 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂組成物を用いることを特徴とする成形品。
- 医療器具、電気・電子部品もしくは容器であることを特徴とする、請求項4に記載の成形品。
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