JP2013216814A - プロピレン系樹脂組成物および成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた透明性、低温における耐衝撃性、耐熱性を両立し、同時に成形加工時のヤケ異物発生の少ないプロピレン系樹脂組成物および成形品を提供する。
【解決手段】(A)および(B)の合計100重量部基準で、(A)エチレンおよび/または炭素数4〜12のα−オレフィン含有量が0以上5重量%未満、分子量分布(Mw/Mn)が2〜8のプロピレン系重合体を50〜99重量部、(B)炭素数2〜10のα−オレフィンおよび炭素数3〜10のアルカジエンからなる群のうち少なくとも一種からなるミッドブロック構造を20〜90重量%含む、スチレン系エラストマーもしくはその水素添加物を1〜50重量部、および、(C)特定の式(1)で示される透明核剤を0.01〜2.0重量部含有することを特徴とするプロピレン系樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、プロピレン系樹脂組成物および成形品に関し、詳しくは、特に極めて良好な透明性をもち、かつ耐衝撃性および成形加工時の異物発生性にも優れたプロピレン系樹脂組成物、およびそれからなる成形品に関する。
プロピレン系樹脂は、成形加工性、剛性に優れ、またリサイクル性や耐熱性、耐薬品性にも優れていることから、各種の方法で成形加工され、幅広い用途に用いられている。これらの特長を活かし、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートなどに代表される他の透明性樹脂からプロピレン系樹脂材料への置き換えも活発であるが、その場合には、プロピレン系樹脂材料への透明性付与が非常に大きな課題となっている。
プロピレン系樹脂には、単独重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体があるが、剛性や耐熱性、ガスバリヤー性の点ではプロピレン単独重合体が、透明性や耐衝撃性の点ではエチレン、ブテン−1等とプロピレンとのランダム共重合体が、耐熱性、耐衝撃性の点ではエチレン、ブテン−1等とプロピレンとのブロック共重合体が好適であり、状況に応じて適宜選択的に用いられている。
これらの中で、透明成形品を得るためには、ランダム共重合体が好適である。しかしながら、ランダム共重合体を用い、さらにその各種パラメータの最適化を行っても、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等には透明性の点ではるかに及ばないというのが実情である。
このため、プロピレン系重合体自体の改質だけではなく、プロピレン系重合体に対する透明化核剤の活用による透明性の改良が幅広く試みられてきた。透明化核剤としては、ソルビトール系核剤に代表される溶解型透明化核剤が最も一般的に使用されている(例えば、特許文献1および2参照)。また、近年開発されたノニトール系核剤では、さらに良好な透明性を実現することができる(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、これらの既存の透明核剤を使用しても、透明性の改良幅は必ずしも十分ではなく、ポリスチレン等の他の樹脂の透明性にはまだ及ばないのが実態であった。
また、透明成形品を得るためには、プロピレン系重合体として、その単独重合体もしくはランダム共重合体を用いるのが一般的であるが、これらの重合体には耐衝撃性が低いという大きな欠点がある。
このような欠点を解消するために、プロピレンの単独重合体やランダム共重合体にエチレン系のエラストマーを付与することにより、耐衝撃性を付与することも提案されている(特許文献4参照)。
しかし、エチレン系のエラストマーを添加しても耐衝撃性の改良幅は必ずしも十分ではなく、必要な耐衝撃性を得るためには多量のエラストマーを添加しなければならず、その結果、剛性が低下するという問題がある。また,エチレン系エラストマーの添加によって透明性が損なわれるという大きな欠点がある。さらに、エチレン系のエラストマーは融点が低いため、これを添加することによって、プロピレン系樹脂組成物の耐熱性を低下させるという問題もある。その上、エチレン系のエラストマーは熱履歴を受けて酸化劣化した際に架橋しやすいが、この架橋物は粘度が著しく高くなって流動性が低下するため、成形加工機のデッドスペース中に滞留しやすい傾向があるが、そのように長期滞留したエラストマーはさらに熱劣化を受けて茶褐色や黒色に変色する。これらが剥がれ落ちて成形品中に混入すると、「ヤケ」と呼ばれる異物となり、製品価値を大きく損なってしまうという問題もあった。
このような欠点を解消するために、本出願人は、プロピレンの単独重合体やランダム共重合体にプロピレン系のエラストマーを付与することにより、耐衝撃性を付与することを提案した(特許文献5参照)。
プロピレン系のエラストマーを添加した場合には、ヤケは発生せず、透明性の低下も少ない。しかしながら、耐衝撃性、特に低温での耐衝撃性の改良は十分ではないという問題があり、さらに、プロピレン系エラストマーがプロピレンの単独重合体やランダム共重合体に相溶化するため、耐熱性を低下させてしまうという問題もあった。
特開昭53−117044号公報 特開平7−173342号公報 特表2007−534827号公報 特開2009−155422号公報 特願2011−190445号公報
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、優れた透明性、低温における耐衝撃性、耐熱性を両立し、同時に成形加工時のヤケ異物発生の少ないプロピレン系樹脂組成物、およびその成形品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定のプロピレン系重合体と特定のエラストマーとを組み合わせ、さらに特定の透明化核剤を配合することにより、透明性、低温での耐衝撃性、耐熱性、耐ヤケ異物発生性に優れたプロピレン系樹脂組成物および成形品が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下のプロピレン系樹脂組成物および成形品を提供する。
[1](A)および(B)の合計100重量部基準で、(A)エチレンおよび/または炭素数4〜12のα−オレフィン含有量が0以上5重量%未満、分子量分布(Mw/Mn)が2〜8のプロピレン系重合体を50〜99重量部、(B)炭素数2〜10のα−オレフィンおよび炭素数3〜10のアルカジエンからなる群のうち少なくとも一種からなるミッドブロック構造を20〜90重量%含む、スチレン系エラストマーもしくはその水素添加物を1〜50重量部、および、(C)下記一般式(1)で示される透明核剤を0.01〜2.0重量部含有することを特徴とするプロピレン系樹脂組成物。
Figure 2013216814
[式中、nは、0〜2の整数であり、R〜Rは、同一または異なって、それぞれ水素原子もしくは炭素数が1〜20のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、カルボニル基、ハロゲン基またはフェニル基であり、Rは、炭素数が1〜20のアルキル基である。]
[2]透明核剤(C)が下記化学式(2)で示される上記[1]に記載のプロピレン系樹脂組成物。
Figure 2013216814
[3]上記[1]または[2]に記載のプロピレン系樹脂組成物からなる成形品。
本発明のプロピレン系樹脂組成物によれば、優れた透明性、耐衝撃性、耐熱性を両立し、同時に成形加工後のヤケ異物発生が少ないという、従来のプロピレン系樹脂組成物では実現し得なかった、優れた性能を有する透明性樹脂材料を提供することができる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、透明性だけでなく、低温での耐衝撃性に優れる上、成形品中の異物も少ないため、低温下で使用され、かつ外観への要求特性が厳しい自動車、家電、日用品等の耐久部品、冷蔵・冷凍される食品容器等に特に好適に使用することができる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、(A)エチレンおよび/または炭素数4〜12のα−オレフィン含有量が0以上5重量%未満、分子量分布(Mw/Mn)が2〜8のプロピレン系重合体と、(B)炭素数2〜10のα−オレフィンおよび炭素数3〜10のアルカジエンからなる群のうち少なくとも一種からなるミッドブロック構造を20〜90重量%含む、スチレン系エラストマーもしくはその水素添加物を、(A)および(B)の合計100重量部基準で、(A)を50〜99重量部、(B)を50〜99重量部含有し、さらに、(C)前記一般式(1)で示される透明核剤を、(A)および(B)の合計100重量部に対し、0.01〜2.0重量部含有することを特徴とする。
本発明のプロピレン系樹脂組成物において、プロピレン系重合体(A)の組成割合は、プロピレン系重合体(A)およびスチレン系エラストマーもしくはその水素添加物(B)(以下、スチレン系エラストマー(B)ともいう。)の合計100重量部基準で、50〜99重量部であり、これは、プロピレン系重合体(A)の透明性、加工性、剛性、耐熱性、耐薬品性等の特性を最大限に維持する為の割合であり、50重量部未満になれば、本来のプロピレン系重合体(A)の特性が次第に喪失する。一方、99重量部より多くなれば、スチレン系エラストマー(B)のブレンド効果である、低温衝撃強度などが発現しなくなる。
同様に、スチレン系エラストマー(B)を1〜50重量部とすることにより、プロピレン系重合体(A)の特性を維持しながら、スチレン系エラストマー(B)のブレンドによる剛性、耐熱性低下を招かずに、耐衝撃性等を著しく向上させることができる。スチレン系エラストマー(B)のブレンド量は、1重量部未満になれば、耐衝撃性のようなブレンド効果が発現しなくなる。一方、50重量部を超えると、耐衝撃性においては期待できるが、本来のプロピレン系重合体(A)の透明性、剛性、耐熱性などの特性が失われる。
さらに重要なことは、本発明のプロピレン系樹脂組成物は、前記一般式(1)で表される透明核剤(C)を、上記(A)および(B)の合計100重量部に対し、0.01〜2.0重量部を含有する場合において、スチレン系エラストマー(B)をブレンドしているにもかかわらず、プロピレン系重合体(A)の特性を発揮するために、所定の透明核剤の作用機能を発現するために役立つということである。
プロピレン系重合体(A)およびスチレン系エラストマー(B)のポリマーブレンド仕様が、一般式(1)で表される化合物からなる特定の透明核剤(C)による結晶化、透明化の機能の発現に最も適しているということである。この透明核剤(C)を0.01〜2.0重量部の添加量の範囲内で、例えば、0.03重量部、0.08重量部、1.2重量部、1.8重量部というような、その添加量を任意に変えても、所定の透明性、熱変形温度の向上、剛性の向上、曲げ弾性率の向上などに機能する。一般には、プロピレン系重合体に対してエラストマーをブレンドすることにより透明性が低下することが懸念されるが、本発明においてはこのようなスチレン系エラストマー(B)を使用することにより、スチレン系エラストマー(B)がプロピレン系重合体(A)に微細に分散し、あたかも一体化した物質のように振舞うポリマー組成物に対して、本発明の透明核剤(C)が作用することによって、耐衝撃性を改善しつつ、結晶化挙動が適切に制御されて透明核剤の効果を効果的に発現していると期待される。
そのような意味で、その特定のプロピレン系重合体(A)を50〜99重量部およびスチレン系エラストマー(B)を1〜50重量部(合計100重量部)からなるポリマーブレンド仕様と、一般式(1)の特定の透明核剤(C)とが、プロピレン系樹脂組成物の材料設計において密接不可分な関係を有するということである。
以下、本発明のプロピレン系樹脂組成物を構成する各成分、樹脂組成物の製造方法および成形品等について、詳細に説明する。
[プロピレン系重合体(A)]
本発明で用いられるプロピレン系重合体(A)は、プロピレン単独重合体もしくは、プロピレンとコモノマーとのランダム共重合体でなければならない。これ以外の重合体、例えばブロック共重合体では、透明性が発現しないため、好ましくない。ランダム共重合体の場合のコモノマーは、エチレンおよび/または炭素数4〜12のα−オレフィンである必要がある。この炭素数4〜12のα−オレフィンコモノマーの具体的なものは、ブテン−1、ペンテン−1、へキセン−1、ヘプタン−1、オクタン−1、ノナン−1、デカン−1、2−エチルヘキシル、ウンデカン−1、ドデカン−1のような、炭素数4〜12の範囲に属する慣用のオレフィン系コモノマーを、5重量%未満の範囲において任意に使用することができるが、具体的には、4重量%、3重量%、2重量%、1重量%、0.5重量%というような値で任意に使用することができ、好ましくは4重量%以下、より好ましくは3重量%以下、さらに好ましくは2重量%以下、特に好ましくは1重量%以下、最も好ましくは0.5重量%である。
プロピレン系重合体(A)がランダム共重合体の場合、プロピレンに対して、上記のような異種のコモノマーが不規則に配列したプロピレン系ランダム共重合体であり、具体的には、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ペンテン−1共重合体、プロピレン−ヘキセン−1共重合体、プロピレン−オクテン−1共重合体のような二元共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ヘキセン−1共重合体のような三元共重合体などが好ましく挙げられる。
一般には、プロピレン単独重合体が融点、結晶化温度が高く、耐熱性、成形加工時の結晶化速度に優れる傾向があり、ランダム共重合体は透明性に優れる傾向がある。中でも、コモノマーであるエチレンおよび/または炭素数4〜12のα−オレフィンの含有量は、物性に対し大きな影響を持ち、コモノマー含有量が小さいほど耐熱性、成形加工時の結晶化速度に優れるのに対し、透明性は低下する。逆にコモノマー含有量が大きいほど、透明性に優れるものの、耐熱性、成形加工時の結晶化速度は低下する。このように、耐熱性、成形加工時の結晶化速度と透明性とは相反する特性であるが、コモノマー含有量が5重量%未満である場合には、両者のバランスが取れた組成物が得られることが見出された。
プロピレン系重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)は2以上8以下である必要がある。2未満では成形性が劣り、8を超えると高分子量成分が増加して成形機内に滞留しやすい成分が増加して耐ヤケ性が悪化する恐れがある。分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは2.3以上7以下であり、より好ましくは2.5以上6以下である。
本発明で用いられるプロピレン系重合体(A)を製造するために用いられる触媒は、特に限定されるものではなく、公知の触媒が使用可能である。例えば、チタン化合物と有機アルミニウムを組み合わせた、いわゆるチーグラー・ナッタ触媒、あるいは、メタロセン触媒(例えば、特開平5−295022号公報等に記載のもの等)が使用できる。
プロピレン系重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)のは2以上8以下の領域において、重合条件の操作ばかりでなく、低い領域側の部分はメタロセン触媒により、高い領域側の部分は、チーグラー・ナッタ触媒によるという、触媒の選定などによっても容易に製造することができる。
本発明で用いられるプロピレン系重合体(A)を得るために用いられる重合プロセスは、特に限定されるものではなく、公知の重合プロセスが使用可能である。例えば、スラリー重合法、バルク重合法、気相重合法等が使用できる。また、これらの重合法の1種または2種以上を組み合わせて多段重合を行って重合することもできる。さらには、2種以上のプロピレン系重合体を機械的に溶融混練することによっても製造することができる。
本発明で用いられるプロピレン系重合体(A)のメルトフローレート(MFR:230℃、2.16kg)は、他の条件を満たす限りにおいては、特に制限なく用いることができる。ただし、MFRが極端に大きくなると、耐衝撃性が低下するため好ましくない。また、MFRが極端に小さくなると、成形加工時の流動性が極端に悪化する結果、成形品の表面状態が乱れてしまい、透明性が大きく損なわる可能性がある。
このように、本発明で用いられるプロピレン系重合体(A)のMFRには最適点があるが、その範囲は、成形法や成形品の形状等に依存する。一般的には、MFRが0.3〜100g/10分程度の範囲にあることが望ましい。一例として、プロピレン系重合体(A)のMFRは、0.5〜100g/10分としながらも、プロピレン系(共)重合体の汎用の用途に供する場合には、0.5〜100g/10分、より好ましくは3〜80g/10分、さらには10〜60g/10分、通常の成形品の場合には、15〜40g/10分程度の範囲に属するものを好ましく使用することができる。
[スチレン系エラストマーもしくはその水素添加物(B)]
本発明で用いられるスチレン系エラストマーもしくはその水素添加物(B)は、プロピレン系樹脂組成物に耐衝撃性と透明性を付与するための改質材である。この成分(B)は、炭素数2〜10のα−オレフィンおよび炭素数3〜10のアルカジエンからなる群のうち少なくとも一種からなるミッドブロック構造を、スチレン系エラストマーもしくはその水素添加物(B)中、20〜90重量%含む、スチレン系エラストマーもしくはその水素添加物である必要がある。
ここでミッドブロック(mid−block)とは、スチレン系エラストマーもしくはその水素添加物(B)中に取り込まれた、炭素数2〜10のα−オレフィンまたは炭素数3〜10のアルカジエンからなるポリマーブロックのことをいう。
スチレン系エラストマーもしくはその水素添加物(B)は、ポリスチレンからなる末端構造と、オレフィンやアルカジエンからなるミッドブロック構造が連続したブロックポリマーからなるものが一般的である。末端構造とブロック構造との数により、ジブロックタイプ、トリブロックタイプなどが存在するが、本発明で用いられるスチレン系エラストマーは、いずれのタイプであってもかまわない。中でも2つの末端構造の間にミッドブロック構造が挟まれた、いわゆるトリブロック構造が耐衝撃性の改良効果が高いため、より好ましい。
スチレン系エラストマーもしくはその水素添加物(B)におけるミッドブロック構造を構成する炭素数2〜10のα−オレフィン、もしくは、炭素数3〜10のアルカジエンは、プロピレン系樹脂組成物に耐衝撃性を付与するとともに、プロピレン系重合体(A)に分散しやすくなり透明性を向上させる効果を有する。そのため、炭素数2〜10のα−オレフィン、もしくは、炭素数3〜10のアルカジエンからなるミッドブロック構造の含有量が大きければ大きいほど、耐衝撃性、透明性の改良効果が大きい傾向がある。一方、ミッドブロック構造の含有量が大きくなりすぎると、プロピレン系樹脂組成物の剛性感が著しく損なわれたり、ベタツキが増加し、取扱いが難しくなったりする。
耐衝撃性、透明性と剛性、ベタツキ性を両立しうるミッドブロック構造の含有量は、20重量%以上90重量%以下である。中でも60重量%〜90重量%程度が、好ましくは75〜90重量%程度が透明性、耐衝撃性と剛性、ベタツキとのバランスがより良好であるため、好ましい。
スチレン系エラストマーもしくはその水素添加物(B)のミッドブロック構造を構成する成分としては、炭素数2〜10のα−オレフィン、もしくは、炭素数3〜10のアルカジエンが適切であるが、中でも、エチレン、プロピレン、ブテン、イソプレン、ブタジエンなどを用いた場合に、プロピレン系重合体(A)への相溶性と耐衝撃性とのバランスが最良となるため好ましい。
スチレン系エラストマーもしくはその水素添加物(B)のメルトフローレート(MFR:230℃、2.16kg)は1〜50g/10分であることが好ましい。MFRが高いと耐衝撃性の改良効果が低下する上、べたつき性が悪化する。MFRが低いと樹脂組成物中への分散性が低下するため、透明性の悪化の原因となるため好ましくない。
中でも、プロピレン系重合体(A)のMFRと同程度、具体的にはプロピレン系共重合体のMFRとスチレン形エラストマーとの比が0.5〜2程度の時に、耐衝撃性と透明性とのバランスが最良となるため、より好ましい。
スチレン系エラストマーの製法は特に限定されるものではなく、リビングアニオン重合、リビングカチオン重合などの公知の方法で製造することができる。
スチレン系エラストマーは、水素添加により不飽和結合を飽和結合に置き換えたものであってもよい。水素添加処理により耐熱性が向上し、プロピレン系樹脂組成物の使用可能温度が向上するため、より好ましい。
なお、このようなスチレン系エラストマーもしくはその水素添加物(B)としては、市販されているものの中から適宜選択し使用することもできる。市販品としては、クレイトンポリマー社製商品名「クレイトン」、旭化成社製商品名「タフテック」、クラレ製商品名「セプトン」、「ハイブラー」、JSR社製商品名「ダイナロン」などが挙げられる。
[透明核剤(C)]
本発明のプロピレン系樹脂組成物に用いられる透明核剤(C)は、下記の一般式(1)で表される化合物である。
Figure 2013216814
一般式(1)において、nは、0〜2の整数であり、R〜Rは、同一または異なって、それぞれ水素原子もしくは炭素数が1〜20のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、カルボニル基、ハロゲン基またはフェニル基であり、Rは、炭素数が1〜20のアルキル基である。
一般式(1)で表される化合物の範疇に属するもので、特に効果が高いのは、1,2,3−トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−[(4−プロピルフェニル)メチレン]−ノニトールである。その化学構造は、下記化学式(2)の通りである。
Figure 2013216814
本発明に用いられる透明核剤(C)は、透明性の改良効果が著しく高い核剤である。この核剤を、特定のプロピレン系重合体(A)とスチレン系エラストマー(B)とを組み合わせた樹脂組成物に適用することにより、それが複合樹脂組成物であるにもかかわらず、両者の相乗効果によって、その透明化効果が十分に発現されて、きわめて高い透明性を実現することが可能となった。さらに、透明核剤(C)とプロピレン系重合体(A)とスチレン系エラストマー(B)との組み合わせによる効果により、それぞれ単独成分では見られなかったような透明性、耐衝撃性、成形性、耐熱性などの特異的な効果を発現することを、本発明者らによって知見された。
本発明のプロピレン系樹脂組成物に用いられる透明核剤(C)の配合量は、プロピレン系重合体(A)とスチレン系エラストマーもしくはその水素添加物(B)の合計100重量部に対し、0.01〜2.0重量部であり、好ましくは0.2〜0.5重量部である。0.01重量部未満では十分な効果が得られ難い。配合量を増加するにつれて、プロピレン系成形品の透明性は良化するが、2.0重量部を超えると透明化核剤が凝集する結果、かえって透明性が低下するため望ましくない。
一般式(1)で表される透明核剤(C)につき、その透明化の挙動を解析、分析してその効能を説明すれば、以下のような傾向を示すことがいえる。
すなわち、一般式(1)に含まれる透明核剤(C)の場合には、実施例においても明らかなように、プロピレン系重合体(A)およびスチレン系エラストマー(B)からなる少なくとも二成分系ポリマーブレンド物重量部に対して、0.4重量部程度添加してなるプロピレン系樹脂組成物からなる成形品は、特に透明性(HAZE)が、11〜13%であるのに対して、例えば、慣用のソルビトール系化合物、カルボン酸金属塩、燐酸金属塩のような、本発明の一般式(1)に属しない他の透明核剤の場合には、18〜20%というような高い値を示すので、一般式(1)の範疇に属する化合物は、それが本発明の複合樹脂組成物に対して、極めて選択的に優れた透明核剤機能を発現することが理解される。
本発明に用いられる透明核剤(C)の製造方法としては、特表2007−534827号公報等に記載の方法を挙げることができる。また、市販品としても、容易に入手することができ、例えば、「ミラッドNX8000J」(ミリケン・ケミカル社製商品名)等を挙げることができる。
[その他の添加剤]
本発明のプロピレン系樹脂組成物においては、プロピレン系重合体(A)、スチレン系エラストマーもしくはその水素添加物(B)および透明核剤(C)に加えて、プロピレン系重合体(A)の安定剤などとして使用されている各種の酸化防止剤、中和剤、滑剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤を、透明核剤(C)の機能や機械物性、耐熱性、ヤケなどに悪影響を与えない範囲で配合することができる。
具体的には、酸化防止剤としては、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、ジ−ステアリル−ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフォナイト等のリン系酸化防止剤、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシベンジル)イソシアヌレート等のフェノール系酸化防止剤、ジ−ステアリル−ββ’−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ミリスチル−ββ’−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ラウリル−ββ’−チオ−ジ−プロピオネート等のチオ系酸化防止剤等が挙げられる。
中和剤の具体例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの金属脂肪酸塩、ハイドロタルサイト(商品名、協和化学工業(株)製の下記一般式(3)で表されるマグネシウムアルミニウム複合水酸化物塩)、ミズカラック(商品名、水澤化学工業(株)製の下記一般式(4)で表されるリチウムアルミニウム複合水酸化物塩)などが挙げられる。
Mg1−xAl(OH)(COx/2・mHO …(3)
[式中、xは、0<x≦0.5であり、mは3以下の数である。]
[AlLi(OH)X・mHO …(4)
[式中、Xは、無機または有機のアニオンであり、nはアニオン(X)の価数であり、mは3以下である。]
滑剤の具体例としては、既知の滑剤が挙げられるが、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸ブチル、シリコーンオイル等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等の紫外線吸収剤等が挙げられる。
光安定剤としては、n−ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピぺリジル)セバケート、コハク酸ジメチル−2−(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジル)エタノール縮合物、ポリ{[6−〔(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ〕−1,3,5−トリアジン−2,4ジイル]〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕}、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス〔N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ〕−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物等の光安定剤を挙げることができる。
さらに、下記化学構造式(5)や下記一般式(6)で表されるアミン系酸化防止剤、5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジ−メチル−フェニル)−3H−ベンゾフラン−2−ワン等のラクトン系酸化防止剤、下記化学構造式(7)等で表されるビタミンE系酸化防止剤を挙げることができる。
Figure 2013216814
Figure 2013216814
[但し、式(6)中、RとRは、炭素数14〜22のアルキル基である。]
Figure 2013216814
さらに、その他に、透明核剤(C)の機能や機械物性、耐熱性、ヤケなどに悪影響を与えない範囲で、帯電防止剤、脂肪酸金属塩等の分散剤、有機化酸化物、顔料や染料などの着色剤、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン、オレフィン系エラストマー、非オレフィン系エラストマー等を配合することができる。
[プロピレン樹脂組成物の製造方法]
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系重合体(A)、スチレン系エラストマー(B)、透明核剤(C)および必要に応じて用いる他の添加剤を、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、リボンブレンダー等に投入して混合(ドライブレンド)することにより得ることができる。あるいは、ドライブレンドされた後、通常の単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、プラベンダー、ロール等で180〜280℃程度の温度範囲でさらに溶融混練(メルトブレンド)することにより得ることもできる。さらには、プロピレン系重合体(A)、スチレン系エラストマー(B)のどちらか一方に透明核剤(C)を加え、それぞれに対して必要な添加剤等を加えてドライブレンドとメルトブレンドとを個別に行った後、各重合体をドライブレンドすることにより得ることもできる。
[プロピレン樹脂成形品]
本発明の成形品は、上記のプロピレン系樹脂組成物を、公知の射出成形機、押出成形機、フィルム成形機、ブロー成形機、繊維成形機等各種の成形機により成形することにより得られるものである。特に、本発明のプロピレン系樹脂組成物は、230〜250℃といった比較的高温でも分解や架橋しづらいため、成形時に組成物が高温部に滞留した結果、ヤケと呼ばれる褐色もしくは黒色の異物が発生する不具合が起きづらいという特徴も有する。ヤケ現象は特に成形加工時の温度が高い押出成形や、加熱滞留時間の長いホットランナーを有する射出成形品においてより顕著に発生する傾向があるが、本発明のプロピレン系樹脂組成物から得られた成形品は、このヤケが極めて有効に抑制できる。
このようにして得られた成形品は、透明性、耐衝撃性、耐熱性、低異物性を求められる多くの用途に適用可能である。
具体的には、食品容器(プリン容器、ゼリー容器、ヨーグルト容器、その他のデザート容器、惣菜容器、茶碗蒸し容器、インスタントラーメン容器、米飯容器、レトルト容器、弁当容器等)、飲料容器(飲料ボトル、チルドコーヒー容器、ワンハンドカップ容器、その他の飲料容器等)、キャップ(ペットボトルキャップ、1ピースキャップ、2ピースキャップ、インスタントコーヒーのキャップ、調味料キャップ、化粧品容器キャップ等)、医薬品容器(輸液バッグ、血液バッグ、プレフィルドシリンジ、キット製剤、目薬容器、薬液容器、薬剤容器、液体の長期保存容器、プレススルーパッケージ、ストリップパッケージ、分包、プラスチックバイアル等)、その他各種容器(インク容器、化粧品容器、シャンプー容器、洗剤容器等)、医療用器具(ディスポーザブルシリンジおよびその部品、カテーテル・チューブ、真空採血管、手術用不織布、血液用フィルター、血液回路などのディスポーザブル器具、人工肺、人工肛門などの人工臓器類の部品、ダイアライザー、試験管、検査キット、縫合糸、湿布基材、歯科用材料の部品、整形外科用材料の部品、コンタクトレンズのケース等)、日用品(衣装ケース、バケツ、洗面器、バス・トイレタリー用品、筆記用具、文房具、コンテナ、玩具、調理器具、その他各種ケース等)、自動車部品(インパネ、バンパー、トリム、内装部品、灯体等)、電気・電子部品(各種電気機器の部材・筐体、半導体搬送容器、光学部品、各種情報メディアケース、太陽電池封止材等)、建材、産業資材品、理化学機器、延伸フィルム、未延伸フィルム、シート、繊維などが挙げられる。
中でも、透明性、耐衝撃性、および耐熱性が必要とされ、成形加工時のヤケ異物発生の少なさを求められる用途として、内容物が確認でき輸送時に破損しないことが求められる食品・飲料・調味料・医薬品・化粧品・化学品等の容器、長期間使用される日用品・工業部品・建材・産業資材品等の物品などに特に好適である。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの記載により何ら限定されるものではない。
なお、各実施例および比較例において、用いた物性測定は以下の方法で行い、プロピレン系重合体(A)、スチレン系エラストマー(B)、透明核剤(C)および他の添加剤(酸化防止剤、中和剤など)としては以下のものを使用した。
1.試験方法
(1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS K7120に準拠して、230℃、2.16kg荷重で測定した。
(2)コモノマー含量(単位:重量%)
13C−NMRにより、プロピレン含有量とコモノマー含有量を測定した。測定条件は以下の通りである。
機種:日本電子(株)製GSX−400
溶媒:o−ジクロルベンゼン:重ベンゼン=4:1(体積比)
濃度:100mg/ml
温度:130℃
パルス角:90°
パルス間隔:15秒
積算回数:5,000回以上
(3)キシレン可溶分(単位:重量%)
ポリマーを電子天秤にて秤量し500mlの平底フラスコに入れ、工業用キシレンを300ml加える。予め140℃に調温したオイルバスに浸け、約1時間かけて溶解させる。次に、フラスコを取り出し、予め23℃に調温したオイルバスに1時間浸けた後に、ろ過により上澄み液を回収し、110℃で減圧下4時間で溶媒除去/乾燥を行うことによりキシレン可溶分量を求めた(単位:重量%)。
(4)分子量分布
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)を求め、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn))を計算して、分子量分布の目安とした。その測定条件は以下の通り。
装置:Waters社製GPC(ALC/GPC 150C)
検出器:
FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン
測定温度:140℃
流速:1.0ml/分
注入量:0.2ml
試料の調製:試料は、ODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて、1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
粘度式:[η]=K×Mαの係数は、K=1.03×10−4、α=0.78
(5)試験片の作成
東芝機械製EC−100射出成形機により、成形温度220℃、金型温度40℃にて、JISファミリー金型を用い、下記の各種試験片を成形した。
(6)曲げ弾性率(単位:MPa)
90mm×10mm×4mmの短冊状試験片を用いて、JIS K7203−1982「硬質プラスチックの曲げ試験方法」に準拠して、23℃、試験速度2mm/分、支点間距離64mmで測定した。
(7)アイゾット(IZOD)衝撃強度(単位:kJ/m
64mm×12.7mm×4mmの短冊状試験片に機械加工によりノッチを付与した試験片を用いて、JIS K7110−1984「硬質プラスチックのアイゾット衝撃試験方法」に準拠して測定した。測定温度は、23℃と0℃とした。
(8)荷重たわみ温度(HDT、単位:℃)
120mm×12.7mm×4mmの短冊状試験片を用いて、JIS K7207−1995「硬質プラスチックの荷重たわみ温度試験方法」に準拠して、試験荷重0.45MPaで測定した。
(9)光沢(単位:%)
80mm×120mm×2mmtのシート状試験片を用いて、JIS K7105−1981「プラスチックの光学的特性試験法」に準拠して入射角、反射角とも60°で測定した。この値が大きいほど光沢感があり、意匠性に優れることを示す。
(10)ヘーズ(HAZE、単位:%)
80mm×120mm×2mmtのシート状試験片を用いて、JIS K7105:1981に準拠して測定した。この値が小さいほど透明性が良好であることを示す。
(11)ヤケ
住友重機械工業社製SG125M射出成形機とホットランナーを有するファミリー金型を用いて48時間の連続成形を行った。シリンダ温度および、ホットランナー温度は220℃とした。その後、成形機を停止し、スクリューを抜き取って、それに付着している黒褐色異物の有無を観察し、次の基準に従って判定した。
○:黒褐色異物の付着なし
×:黒褐色異物の付着あり
スクリューに黒褐色異物(ヤケ)が付着している場合には、一定の確率でこれらが剥がれ落ちて成形品中に混入する可能性があり、成形品中に異物が検出される恐れがあることを意味する。
2.プロピレン系重合体(A)、透明核剤(C)および他の添加剤
(1)プロピレン系重合体(A)
プロピレン−エチレンランダム共重合体(表中、「RPP」と表記。):
ノバテック(登録商標)MG3FQ(日本ポリプロ社製、商品名)
チーグラー・ナッタ触媒、エチレン含有量:2.5重量%、MFR:8g/10分
キシレン可溶分:5.6重量%、キシレン可溶分の分子量:1,500
Mw/Mn:4.8
(2)スチレン系エラストマー(B)
スチレン−エチレン−ブテン−スチレンのトリブロック共重合体(表中「SEBS」):
KRATON G1643(クレイトンポリマー社製、商品名)
エチレンとブテンの含有量の合計:82重量%、MFR:18g/10分
(3)スチレン系エラストマー(B)に該当しない改質材
エチレン系エラストマー(表中、「ER」):
カーネル(登録商標)KS571(日本ポリエチレン社製、商品名)
MFR(190℃):12g/10分、Mw/Mn:2.5
(4)スチレン系エラストマー(B)に該当しない改質材
プロピレン系エラストマー(表中、「PR」):
WELNEX(登録商標) XY1006RP(日本ポリプロ社製、商品名)
MFR(230℃)7g/10分、Mw/Mn2.8。
(5)透明核剤(C)
ミラッドNX8000J(ミリケンケミカル社製商品名。表中、「NX8000J」)
1,2,3−トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−[(4−プロピルフェニル)メチレン]−ノニトール。化学構造は前記化学構造式(2)の通り。
透明核剤(C)に該当しない透明核剤
ゲルオールMD(新日本理化(株)社製、商品名。表中「GAMD」)
ジメチルベンジリデンソルビトール系透明化核剤
1,3:2,4−ビス−o−(4−メチルベンジリデン)−d−ソルビトール
(6)酸化防止剤
(i)ヒンダードフェノール系酸化防止剤:
イルガノックス1010(BASF社製商品名。表中「IR1010」)
テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシルフェニル)プロピオネート]メタン
(ii)リン系酸化防止剤:
イルガフォス168(BASF社製、商品名。表中「IF168」)
トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェノール)フォスファイト
(7)中和剤
(i)ステアリン酸カルシウム(CAST;日油(株)社製商品名。表中「CAST」)
(実施例1〜2、比較例1〜7)
表1に記載した上記各成分を表1に記載の配合割合(全て重量部)で準備し、スーパーミキサーでドライブレンドした後、35ミリ径の2軸押出機を用いて溶融混練した。ダイ出口部温度200℃でダイから押し出してペレット化し、得られたペレットを用いて、上述の方法で、各物性を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2013216814
表1から明らかなように、実施例1〜2は、本発明に規定のプロピレン系重合体(A)に該当するランダム共重合体を規定範囲内の量に、本発明に規定のスチレン系エラストマー(B)に該当するランダム共重合体を規定の範囲内の量を加え、さらに一般式(1)で示される化合物からなる透明核剤(C)を0.4重量部配合したものである。剛性、耐衝撃性、耐熱性、光沢、透明性(ヘーズ)のバランスが良好であり、ヤケも発生していないことが分かる。
一方、比較例1は、スチレン系エラストマー(B)を含まない系である。透明性は良好であるものの、耐衝撃性が低く、衝撃力がかかる部材には適さないことが分かる。また、比較例2〜3は、スチレン系エラストマー(B)の代わりに、一般的な衝撃性付与材であるエチレン系エラストマーを使用した系である。実施例に比べて多量のエラストマーを使用しても耐衝撃性が十分には向上していない上、光沢、透明性の悪化が著しいことが分かる。また、同レベルの曲げ弾性率同士で比較した際に、実施例に比べて荷重たわみ温度(HDT)が低く、耐熱性に劣ることが分かる。さらに、ヤケが発生しており、成形品の品位を損なう可能性があることも分かる。
また、比較例4〜5は、スチレン系エラストマー(B)の代わりに、プロピレン系エラストマーを使用した系である。実施例に比べて多量のエラストマーを使用しても耐衝撃性、特に低温での耐衝撃性が十分には向上していないことが分かる。また、同レベルの曲げ弾性率どうしで比較した際に、実施例に比べてHDTが低く、耐熱性に劣ることが分かる。さらに、比較例6〜7は、透明核剤を本発明に規定の範囲外のものに置き換えた系である。実施例1〜2に比べて透明性が著しく低下していることが分かる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、透明性と耐衝撃性に優れたもので、これを成形した成形品は、透明性、低温での耐衝撃性、耐熱性が良好であり、成形加工時のヤケ異物発生の少ない高品位の成形品を提供することができる。また、本発明のプロピレン系樹脂組成物およびその成形品は、その優れた物性バランスにより、食品・飲料・調味料・医薬品・化粧品・化学品等の容器、日用品・工業部品・建材・産業資材品等の物品などに極めて有用である。

Claims (3)

  1. (A)および(B)の合計100重量部基準で、(A)エチレンおよび/または炭素数4〜12のα−オレフィン含有量が0以上5重量%未満、分子量分布(Mw/Mn)が2〜8のプロピレン系重合体を50〜99重量部、(B)炭素数2〜10のα−オレフィンおよび炭素数3〜10のアルカジエンからなる群のうち少なくとも一種からなるミッドブロック構造を20〜90重量%含む、スチレン系エラストマーもしくはその水素添加物を1〜50重量部、および、(C)下記一般式(1)で示される透明核剤を0.01〜2.0重量部含有することを特徴とするプロピレン系樹脂組成物。
    Figure 2013216814
    [式中、nは、0〜2の整数であり、R〜Rは、同一または異なって、それぞれ水素原子もしくは炭素数が1〜20のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、カルボニル基、ハロゲン基またはフェニル基であり、Rは、炭素数が1〜20のアルキル基である。]
  2. 透明核剤(C)が下記化学式(2)で示される請求項1に記載のプロピレン系樹脂組成物。
    Figure 2013216814
  3. 請求項1または2に記載のプロピレン系樹脂組成物からなる成形品。
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