JP2015054939A - プロピレン系樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

プロピレン系樹脂組成物およびその成形品 Download PDF

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真也 園部
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Abstract

【課題】結晶化速度の低下に伴う成形性の悪化を抑制しつつ、成形後短時間においてもただちに帯電防止性能が発現するプロピレン系樹脂組成物およびその成形品を提供する。
【解決手段】プロピレン系重合体(A)50〜99重量部、プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンとのランダム共重合体であって、エチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンの含有量が5〜20重量%であるプロピレン系ランダム共重合体(B)1〜50重量部、並びに、プロピレン系重合体(A)とプロピレン系ランダム共重合体(B)との合計樹脂成分100重量部[但し、プロピレン系重合体(A)とプロピレン系ランダム共重合体(B)とは重合ブレンドを除く方法で混合して得られたものである。]に対し、帯電防止剤(C)0.01〜2.0重量部を含有することを特徴とするプロピレン系樹脂組成物およびその成形品など。
【選択図】なし

Description

本発明は、プロピレン系樹脂組成物およびその成形品に関し、さらに詳しくは、特に良好な帯電防止性と高い成形性とを兼ね備えたプロピレン系樹脂組成物およびそれを成形してなる成形品に関する。
プロピレン系樹脂は、成形加工性、機械的特性、製品外観に優れ、また、リサイクル性や耐熱性、耐薬品性にも優れていることから、各種の方法で成形加工され、幅広い用途に用いられている。これらの中でも、工業用品、家庭用品、産業資材、食品容器などおいては、埃の付着を嫌うことから、帯電防止性の付与が必要となる。特に、埃付着の防止のためには、帯電防止性が成形後、短時間においても発現することがきわめて重要である。
プロピレン系樹脂への帯電防止性の付与には、帯電防止剤の添加が一般的である。帯電防止剤は、樹脂への練り込み型、成形品表面への塗布型の2種類に大別されるが、加工工程の簡便さの点では、練り込み型に優位性がある。練り込み型の帯電防止剤の中でも、多価アルコール脂肪酸エステル、含窒素化合物、高級アルコール、およびそれらの組合せが、コスト対効果に優れるため、きわめて一般的に用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
これらの練り込み型帯電防止剤は、プロピレン系樹脂成形品が成形された後に、成形品の内部から表面へと移行し、成形品の表面上に導電性の薄い膜を形成することにより、帯電防止性を発現する。このため、帯電防止剤の成形品の内部から表面への移行(ブリードアウト現象)が成形後、極力早期に進行することが、成形後短時間における帯電防止性の発現の上で、きわめて重要である。
しかしながら、このブリードアウト現象は、プロピレン系樹脂組成物の組成に大きく依存する。具体的には、結晶性の高い樹脂組成物を用いた成形品においては、帯電防止剤のブリードアウト現象が生じ難く、帯電防止剤が成形品の内部から表面に移行するまでに時間を要するため、帯電防止性能が成形後ある程度の時間が経過した後にしか発現しないという問題がある。これを避けるためには、プロピレン重合体、帯電防止剤の両面からの改良が考えられる。
プロピレン重合体からの改良としては、プロピレン重合体の結晶性を低下させることにより、帯電防止剤のブリードアウトが生じやすくする方法がある。しかしながら、プロピレン重合体の結晶性の低下は、結晶化温度の低下に伴う成形性の悪化をもたらすため、好ましくない。また、重合グレードの変更は、他の品質の変化とともに、著しいコスト上昇を招くため、受け入れられない場合が多い。
一方、帯電防止剤からの改良としては、帯電防止剤の添加濃度の増加、帯電防止剤の分子量の低下により、ブリードアウトを容易にする方法が考えられる。しかしながら、プロピレン重合体の立体規則性が高い場合には、これらの手法を採っても、成形後短時間には帯電防止効果が発現しない場合がある。また、大量の帯電防止剤を添加した場合には、時間が経過するとともに、過剰な帯電防止剤のブリードアウトが生じてしまうために、成形品を長期間保管した際に、帯電防止剤が結晶化して、白い粉状の異物として成形品表面に観察されたり、成形品の透明性や光沢感を低下させたり、成形品の表面がべたついたりして、製品価値を著しく低下させるといった不具合が生じやすいという欠点があった。
また、帯電防止剤としては、ポリマー型の永久帯電防止剤も開発されており、これらを使用することにより、成形直後から長期間に渡って、安定的に帯電防止効果を得ることができ、過剰ブリードアウトによる悪影響も抑制できることが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、ポリマー型の永久帯電防止剤の使用は、樹脂組成物の剛性を大幅に低下させてしまう上、添加剤の価格が高いため、一般的には、あまり普及していないのが実情である。
このように、帯電防止性の早期発現を簡便に実現する技術は、存在せず、新たな技術の開発が望まれている。
特開昭61−28531号公報 特開平06−287547号公報
本発明の目的は、上記従来のプロピレン系樹脂組成物およびその成形品の問題点に鑑み、結晶化速度の低下に伴う成形性の悪化を抑制しつつ、成形後短時間においてもただちに帯電防止性能が発現するプロピレン系樹脂組成物およびそれを成形してなる成形品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、特定のプロピレン系重合体を組み合わせたものに、適切な濃度の帯電防止剤を添加することにより、結晶化速度の低下に伴う成形性の悪化を抑制しつつ、成形後短時間で帯電防止性に優れたプロピレン系樹脂組成物およびその成形品が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、プロピレン系重合体(A)50〜99重量部、プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンとのランダム共重合体であって、エチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンの含有量が5〜20重量%であるプロピレン系ランダム共重合体(B)1〜50重量部、並びに、プロピレン系重合体(A)とプロピレン系ランダム共重合体(B)との合計樹脂成分100重量部[但し、プロピレン系重合体(A)とプロピレン系ランダム共重合体(B)とは重合ブレンドを除く方法で混合して得られたものである。]に対し、帯電防止剤(C)0.01〜2.0重量部を含有することを特徴とするプロピレン系樹脂組成物が提供される。
本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、プロピレン系重合体(A)は、プロピレンの単独重合体であることを特徴とするプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、プロピレン系重合体(A)は、プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンとのランダム共重合体であって、エチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンの含有量が0.1重量%以上、5重量%未満であることを特徴とするプロピレン系樹脂組成物が提供される。
さらに、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、プロピレン系重合体(A)は、下記の結晶性成分(A1)と非晶性成分(A2)との2成分からなり、その重量比(A1:A2)が50〜95:5〜50であることを特徴とするプロピレン系樹脂組成物が提供される。
結晶性成分(A1):プロピレンの単独重合体、又は、プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンとのランダム共重合体であって、エチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンの含有量が0.1〜5重量%であるプロピレン系ランダム共重合体の結晶性成分。
非晶性成分(A2):プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンとのランダム共重合体であって、エチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンの含有量が20〜80重量%であるプロピレン系ランダム共重合体の非晶性成分。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、帯電防止剤(C)は、多価アルコール脂肪酸エステル系帯電防止剤、アミン系帯電防止剤、アミド系帯電防止剤および高級アルコール系帯電防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とするプロピレン系樹脂組成物が提供される。
さらに、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明に係るプロピレン系樹脂組成物を成形してなる成形品が提供される。
本発明のプロピレン系樹脂組成物及びその成形品は、結晶化速度の低下に伴う成形性の悪化を伴うことなく、成形後短時間においてもただちに帯電防止性能が発現するという、従来のプロピレン系組成物および成形品では実現しえなかった優れた性能を得ることができる。
このため、埃の付着が望ましくない用途、例えば、自動車、家電、産業資材、日用品等の耐久部品、食品容器などに適した成形品を、高い生産性をもって得ることができる。
本発明は、特定の条件を満たすプロピレン系重合体(A)50〜99重量部、プロピレン系ランダム共重合体(B)1〜50重量部、および帯電防止剤(C)0.01〜2.0重量部からなることを特徴とするプロピレン系樹脂組成物、並びに、その成形品である。ただし、プロピレン系重合体(A)とプロピレン系ランダム共重合体(B)とは重合ブレンドを除く方法で混合して得られたものであり、プロピレン系重合体(A)とプロピレン系ランダム共重合体(B)との合計を100重量部とする。
以下、本発明のプロピレン系樹脂組成物およびその成形品について、各項目毎に、詳細に説明する。
1.プロピレン系樹脂組成物の組成割合
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、本質的に、(1)プロピレン系重合体(A)50〜99重量部、(2)プロピレン系ランダム共重合体(B)1〜50重量部、および(3)帯電防止剤0.01〜2.0重量部から構成されている。
プロピレン系重合体(A)は、本発明のプロピレン系樹脂組成物およびその成形品において、成形性、機械物性、耐熱性、耐薬品性等の特性を発現することに、特に寄与する特徴を有する。
プロピレン系重合体(A)の組成割合は、50〜99重量部であり、これは、プロピレン系重合体(A)の成形性、機械物性、耐熱性、耐薬品性等の特性を最大限に維持するための割合である。プロピレン系重合体(A)の割合が50重量部未満になれば、本来のプロピレン系重合体(A)の特性が次第に喪失する。一方、99重量部を超えて、大きくなれば、プロピレン系ランダム共重合体(B)のブレンド効果である、成形後短時間における帯電防止性能などが発現し難くなる。
同様に、プロピレン系ランダム共重合体(B)の組成割合を1〜50重量部とすることにより、プロピレン系重合体(A)の成形性、剛性、耐熱性、耐薬品性等の特性を維持しながら、プロピレン系ランダム共重合体(B)による適切な帯電防止性能を付与することができる。プロピレン系ランダム共重合体(B)の割合が1重量部未満になれば、帯電防止性能が発現しなくなる。一方、50重量部を超えて、大きくなると、帯電防止性能の向上は見られるものの、本来のプロピレン系重合体(A)の成形性、剛性、耐熱性、耐薬品性等の特性が失われる。
また、帯電防止剤(C)の配合量は、プロピレン系重合体(A)とプロピレン系ランダム共重合体(B)との合計樹脂成分100重量部に対し、0.01〜2.0重量部とすることにより、適切な帯電防止性能を発現することができる。帯電防止剤(C)の配合量が0.01重量部未満の場合には、帯電防止性能が発現しない。一方、配合量が2.0重量部を超えると、帯電防止性能は十分に発現するものの、帯電防止剤の過剰ブリードが生じやすくなり、成形品表面における帯電防止剤の凝集物としての白粉が発生し、透明性や光沢の低下、べたつきなどの不具合が生じることがある。なお、帯電防止剤(C)の配合量の適正値は、プロピレン系重合体(A)の結晶性によって変動するのが一般的であるが、本発明においては、プロピレン系ランダム共重合体(B)の効果によって、その配合量を大きく変化させなくても、適切な帯電防止性能を得ることができる点が、本発明の大きな長所である。一般的には、帯電防止剤(C)の配合量は、0.05〜1.0重量部が好ましく、0.1〜0.5重量部がさらに好ましい。
2.プロピレン系樹脂組成物の各構成成分
(1)プロピレン系重合体(A)
本発明のプロピレン系樹脂組成物で用いられるプロピレン系重合体(A)は、(i)プロピレン単独重合体、(ii)プロピレンとコモノマーとのランダム共重合体、または、(iii)プロピレンとコモノマーとのブロック共重合体のいずれでもよく、各用途における要求性能に応じて、適宜選択することができる。
(i)プロピレン単独重合体
本発明で用いられるプロピレン系重合体(A)がプロピレン単独重合体である場合は、結晶化温度、融点が高く、成形加工時の結晶化速度、剛性、耐熱性に優れる傾向がある。一方で、帯電防止剤の成形品内部から表面への移行は、プロピレン系重合体の中では最も起こり難いため、帯電防止剤の配合量を増加させても、成形後短時間における帯電防止性能の発現が困難になる場合がある。よって、本発明による恩恵を最も多く受ける重合体ということができる。
(ii)プロピレンとコモノマーとのランダム共重合体
本発明で用いられるプロピレン系重合体(A)がランダム共重合体である場合、そのコモノマーは、エチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンである必要がある。この炭素数4〜8のα−オレフィンコモノマーの具体的なものとしては、ブテン−1、ペンテン−1、へキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1のような、炭素数4〜8の範囲に属する慣用のオレフィン系コモノマーである。
具体的な共重合体としては、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ペンテン−1共重合体、プロピレン−ヘキセン−1共重合体、プロピレン−オクテン−1共重合体のような二元共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ヘキセン−1共重合体のような三元共重合体などが挙げられる。そして、コモノマーの濃度は、0.1重量%以上、5重量%未満の範囲である必要がある。コモノマーの濃度が5重量%以上であると、剛性、耐熱性、べたつき性が著しく低下するため、好ましくない。
また、本発明で用いられるプロピレン系重合体(A)がランダム共重合体である場合には、透明性と柔軟性に優れる傾向がある。その性能は、コモノマーの濃度によって制御され、コモノマーの濃度が大きいほど、透明性と柔軟性に優れ、一方、コモノマーの濃度が小さいほど、成形加工時の結晶化速度、剛性、耐熱性に優れる傾向がある。ランダム共重合体における帯電防止性能は、プロピレン単独重合体に比べると、発現しやすいが、コモノマーの濃度が低い場合には、成形加工時の結晶化速度は大きい反面、成形後短時間における帯電防止効果は、発現し難い傾向にある。具体的には、コモノマーの濃度が5重量%未満、さらには3重量%以下となった場合には、成形加工時の結晶化速度は大きい一方で、成形後短時間における帯電防止性能が発現し難くなるため、本発明の技術が特に有効となる。
(iii)プロピレンとコモノマーとのブロック共重合体
本発明で用いられるプロピレン系重合体(A)がブロック共重合体である場合は、プロピレン単独重合体またはランダム共重合体からなる結晶性成分(A1)50〜95重量部と、プロピレンとコモノマーとのランダム共重合体からなる非晶性成分(A2)5〜50重量部とからなる。すなわち、結晶性成分(A1)と非晶性成分(A2)の重量比(A1:A2)が50〜95:5〜50である。
結晶性成分(A1)がランダム共重合体である場合のコモノマーは、エチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンである必要がある。この炭素数4〜8のα−オレフィンコモノマーの具体的なものとしては、ブテン−1、ペンテン−1、へキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1のような、炭素数4〜8の範囲に属する慣用のオレフィン系コモノマーである。また、具体的な共重合体としては、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ペンテン−1共重合体、プロピレン−ヘキセン−1共重合体、プロピレン−オクテン−1共重合体のような二元共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ヘキセン−1共重合体のような三元共重合体などが挙げられる。コモノマーの濃度は、0.1重量%以上、5重量%未満の範囲である必要がある。コモノマーの濃度が5重量%以上であると、剛性、耐熱性、べたつき性が著しく低下するため、好ましくない。
また、非晶性成分(A2)のコモノマーは、エチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンである必要がある。この炭素数4〜8のα−オレフィンコモノマーの具体的なものは、ブテン−1、ペンテン−1、へキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1のような、炭素数4〜8の範囲に属する慣用のオレフィン系コモノマーである。具体的な共重合体としては、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ペンテン−1共重合体、プロピレン−ヘキセン−1共重合体、プロピレン−オクテン−1共重合体のような二元共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ヘキセン−1共重合体のような三元共重合体などが挙げられる。
さらに、本発明で用いられるプロピレン系重合体(A)がブロック共重合体である場合は、剛性、耐熱性、耐衝撃性のバランスに優れる傾向がある。その性能は、結晶性成分(A1)と非晶性成分(A2)との比によって、制御され、非晶性成分(A2)が少ないほど剛性、耐熱性に優れ、非晶性成分(A2)が多いほど耐衝撃性に優れる。ブロック共重合体の帯電防止性能は、結晶性成分(A1)の結晶性の高さの影響を強く受ける。すなわち、結晶性成分(A1)がプロピレン単独重合体、または、コモノマーの濃度の小さいランダム共重合体の場合には、成形加工時の結晶化速度は大きい反面、帯電防止剤の濃度を増加させても、成形後短時間における帯電防止性能が発現し難くなるため、本発明の技術が有効となる。具体的には、コモノマーの濃度が5重量%未満、さらには3重量%以下の場合に、本発明の技術が特に有効となる。
(iv)プロピレン系重合体(A)の重合プロセス、性状
本発明で用いられるプロピレン系重合体(A)を得るために用いられる重合プロセスは、特に限定されるものではなく、公知の重合プロセスが使用可能である。例えば、スラリー重合法、バルク重合法、気相重合法等が使用できる。また、これらの重合法の1種または2種以上を組み合わせて、多段重合を行って重合することもできる。さらには、2種以上のプロピレン系重合体を、機械的に溶融混練することによっても、製造することができる。
本発明で用いられるプロピレン系重合体(A)を得るために用いられる触媒は、特に限定されるものではなく、公知の触媒が使用可能である。例えば、チタン化合物と有機アルミニウムを組み合わせた、いわゆるチーグラー・ナッタ触媒、あるいは、メタロセン触媒(例えば、特開平5−295022号公報等に記載)が使用できる。
本発明で用いられるプロピレン系重合体(A)のメルトフローレート(以下、MFRと記す)(230℃、2.16kg荷重)は、他の条件を満たす限りにおいては、特に制限なく用いることができる。一般的には、MFRが0.3〜200g/10分程度の範囲にあることが望ましく、成形法、製品形状、用途に応じたものを、任意に使用することができる。
(2)プロピレン系ランダム共重合体(B)
本発明で用いられるプロピレン系ランダム共重合体(B)は、本発明のプロピレン系樹脂組成物の帯電防止性能を適切に制御するための改質材である。この成分(B)は、プロピレンとコモノマーとのランダム共重合体である必要があり、コモノマーは、エチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンである必要がある。この炭素数4〜8のα−オレフィンコモノマーの具体的なものは、ブテン−1、ペンテン−1、へキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1のような、炭素数4〜8の範囲に属する慣用のオレフィン系コモノマーである。具体的な共重合体としては、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ペンテン−1共重合体、プロピレン−ヘキセン−1共重合体、プロピレン−オクテン−1共重合体のような二元共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ヘキセン−1共重合体のような三元共重合体などが挙げられる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物で用いられるプロピレン系ランダム共重合体(B)におけるコモノマーの濃度は、5〜20重量%である必要がある。このようなコモノマー濃度のプロピレン系ランダム共重合体(B)を用いることで、プロピレン系重合体(A)の剛性、耐熱性、成形加工時の結晶化速度等を著しく阻害することなく、成形後短時間における帯電防止性能を著しく改善することができる。これに対して、コモノマーの濃度が5重量%より小さいと、帯電防止性能の改良効果が十分ではない。コモノマーの濃度が20重量%を超えて大きいと、プロピレン系樹脂組成物の剛性や耐熱性が著しく低下する上、プロピレン系重合体(A)に対するプロピレン系ランダム共重合体(B)の相溶性が低下するため、やはり帯電防止性能の改良効果が低下する。
本発明で用いられるプロピレン系ランダム共重合体(B)のMFR(230℃、2.16kg)は、他の条件を満たす限りにおいては、特に制限なく用いることができる。一般的には、MFRが0.3〜100g/10分程度の範囲にあることが望ましく、1〜20程度の範囲にあることがさらに望ましい。
本発明で用いられるプロピレン系ランダム共重合体(B)としては、市販されているものの中から適宜選択し、使用することもできる。市販品としては、エクソンモービル社製の商品名「ビスタマックス」、ダウケミカル社製の商品名「バーシファイ」、三井化学社製の商品名「タフマーPN」などが挙げられる。
本発明で用いられるプロピレン系ランダム共重合体(B)を得るために用いられる重合プロセスは、特に限定されるものではなく、公知の重合プロセスが使用可能である。例えば、スラリー重合法、バルク重合法、気相重合法、溶液重合法等が使用できる。
本発明で用いられるプロピレン系ランダム共重合体(B)を得るために用いられる触媒は、特に限定されるものではなく、公知の触媒が使用可能である。例えば、チタン化合物と有機アルミニウムを組み合わせた、いわゆるチーグラー・ナッタ触媒、バナジウム触媒、あるいは、メタロセン触媒(例えば、特開平5−295022号公報等に記載)等が使用できる。
(3)帯電防止剤(C)
本発明のプロピレン系樹脂組成物で用いられる帯電防止剤(C)は、プロピレン系樹脂組成物に、帯電防止性能を付与する成分である。プロピレン系樹脂向けに開発された帯電防止剤の中から、適宜選択して使用することができるが、具体的には、多価アルコール脂肪酸エステル系帯電防止剤、アミン系帯電防止剤、アミド系帯電防止剤、高級アルコール系帯電防止剤、およびそれらの組合せが挙げられる。
多価アルコール脂肪酸エステル系帯電防止剤の具体例としては、例えば、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノミリステート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノベヘネート、グリセリンモノオレエート、ジグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノミリステート、ジグリセリンモノパルミテート、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンモノベヘネート、ジグリセリンモノオレエートなどのグリセリン脂肪酸エステル、あるいは、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノミリステート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノベヘネート、ソルビタンモノラウレートなどのソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
アミン系帯電防止剤としては、例えば、ラウリルジエタノールアミン、ミリスチルジエタノールアミン、パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、オレイルジエタノールアミン、ラウリルジイソプロパノールアミン、ミリスチルジイソプロパノールアミン、パルミチルジイソプロパノールアミン、ステアリルジイソプロパノールアミン、オレイルジイソプロパノールアミンなどが挙げられる。
アミド系帯電防止剤としては、例えば、ラウリルジエタノールアミド、ミリスチルジエタノールアミド、パルミチルジエタノールアミド、ステアリルジエタノールアミド、ベヘニルジエタノールアミド、オレイルジエタノールアミド、ラウリルジイソプロパノールアミド、ミリスチルジイソプロパノールアミド、パルミチルジイソプロパノールアミド、ステアリルジイソプロパノールアミド、オレイルジイソプロパノールアミドなどが挙げられる。
高級アルコール系帯電防止剤としては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコールなどの直鎖型アルコール、あるいは、イソステアリルアルコールなどの分岐型アルコールが挙げられる。
本発明に用いられる帯電防止剤(C)は、市販品として容易に入手することができる。例えば、花王社製の商品名「エレクトロストリッパー」、理研ビタミン社製の商品名「リケマール」、ライオン社製の商品名「アーモスタット」、東邦化学工業社製の商品名「アンステックス」などを挙げることができる。
(4)その他の添加剤
本発明のプロピレン系樹脂組成物においては、上記のプロピレン系重合体(A)、プロピレン系ランダム共重合体(B)および帯電防止剤(C)に加えて、プロピレン系重合体の安定剤などとして使用されている各種酸化防止剤、中和剤、滑剤、紫外線吸収剤、光安定剤等、核剤などの添加剤を、帯電防止性能や成形加工時の結晶化速度に悪影響を与えない範囲で、適宜、適量を配合することができる。
具体的には、酸化防止剤としては、例えば、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、ジ−ステアリル−ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフォナイト等のリン系酸化防止剤、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシベンジル)イソシアヌレート等のフェノール系酸化防止剤、ジ−ステアリル−ββ’−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ミリスチル−ββ’−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ラウリル−ββ’−チオ−ジ−プロピオネート等のチオ系酸化防止剤等が挙げられる。
また、酸化防止剤としては、下記化学構造式(1)や下記一般式(2)で表されるアミン系酸化防止剤、5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジ−メチル−フェニル)−3H−ベンゾフラン−2−ワン等のラクトン系酸化防止剤、下記化学構造式(3)等のビタミンE系酸化防止剤も、挙げることができる。
Figure 2015054939
Figure 2015054939
[但し、式(2)中、RとRは、炭素数14〜22のアルキル基である。]
Figure 2015054939
また、上記中和剤の具体例としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの金属脂肪酸塩、ハイドロタルサイト[商品名:DHT−4A、協和化学工業(株)製の下記一般式(4)で表されるマグネシウムアルミニウム複合水酸化物塩]、ミズカラック[商品名、水澤化学工業(株)製の下記一般式(5)で表されるリチウムアルミニウム複合水酸化物塩]などが挙げられる。
Mg1−xAl(OH)(COx/2・mHO …(4)
[式中、xは、0<x≦0.5であり、mは3以下の数である。]
[AlLi(OH)X・mHO …(5)
[式中、Xは、無機または有機のアニオンであり、nはアニオン(X)の価数であり、mは3以下である。]
滑剤の具体例としては、例えば、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸ブチル、シリコーンオイル等が挙げられる。
紫外線吸収剤の具体例としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等の紫外線吸収剤等が挙げられる。
光安定剤の具体例としては、例えば、n−ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピぺリジル)セバケート、コハク酸ジメチル−2−(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジル)エタノール縮合物、ポリ{[6−〔(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ〕−1,3,5−トリアジン−2,4ジイル]〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕}、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス〔N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ〕−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物等の光安定剤を挙げられる。
核剤の具体例としては、例えば、安息香酸アルミニウム、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸リチウム、ジ−p−t−ブチル安息香酸アルミニウム、ジ−p−t−ブチル安息香酸チタン、ジ−p−t−ブチル安息香酸クロム、ヒドロキシ−ジ−t−ブチル安息香酸アルミニウム、アルミニウム−p−ブチルベンゾエート、β−ナフトエ酸ナトリウムなどの芳香族カルボン酸金属塩系核剤、ビス(4−t−ブチルフェニル)リン酸ナトリウム塩、ビス(4−t−ブチルフェニル)リン酸リチウム塩、ビス(4−t−ブチルフェニル)リン酸アルミニウム塩、2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸ナトリウム塩、2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸リチウム塩、2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸アルミニウム塩、2,2’−メチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸カルシウム塩、2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸ナトリウム塩、2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸塩リチウム、2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸アルミニウム塩、ビス−(4−t−ブチルフェニル)リン酸カルシウム塩などの芳香族リン酸金属塩系核剤、ジベンジリデンソルビトール、1,3−ジ(メチルベンジリデン)ソルビトール、2,4−ジ(メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−ジ(エチルベンジリデン)ソルビトール、2,4−ジ(エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−ジ(ブチルベンジリデン)ソルビトール、2,4−ジ(ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−ジ(メトキシベンジリデン)ソルビトール、2,4−ジ(メトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3−ジ(エトキシベンジリデン)ソルビトール、2,4−ジ(エトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3−クロルベンジリデン,2,4−メチルベンジリデンソルビトール、モノ(メチル)ジベンジリデンソルビトールなどのソルビトール系核剤、1,2,3―トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−[(4−プロピルフェニル)メチレン]−ノニトールなどのノニトール系核剤が挙げられる。
さらに、本発明のプロピレン系樹脂組成物には、これら上記の他に、帯電防止性能と成形加工時の結晶化速度に悪影響を与えない範囲で、脂肪酸金属塩等の分散剤、有機過酸化物、顔料や染料などの着色剤、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン、オレフィン系エラストマー、非オレフィン系エラストマー等を配合することができる。
3.プロピレン系樹脂組成物の製造方法
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、別々に製造されたプロピレン系重合体(A)とプロピレン系ランダム共重合体(B)、さらに、帯電防止剤(C)、および、必要に応じて用いる他の添加剤などを、重合ブレンド法によらず、混合装置を用いて製造することによって、得ることができる。具体的には、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、リボンブレンダー等に投入して混合(ドライブレンド)することにより、得ることができる。あるいは、ドライブレンドされた後、通常の単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、プラベンダー、ロール等で180〜280℃程度の温度範囲で、さらに溶融混練(メルトブレンド)することにより、得ることもできる。さらには、プロピレン系重合体(A)、もしくは、プロピレン系ランダム共重合体(B)のどちらか一方に、帯電防止剤(C)を加え、それぞれに対して必要な添加剤等を加えてドライブレンドとメルトブレンドとを個別に行った後、各重合体をドライブレンドすることにより、得ることもできる。
4.成形品
本発明の成形品は、上記のプロピレン系樹脂組成物を、公知の射出成形機、押出成形機、フィルム成形機、ブロー成形機、繊維成形機等、各種の成形機により成形することにより、得られるものである。
このようにして得られた成形品は、成形後短時間における帯電防止性と成形加工時の結晶化速度が求められる多くの用途に、適用可能である。
成形品として、具体的には、食品容器(例えば、プリン容器、ゼリー容器、ヨーグルト容器、その他のデザート容器、惣菜容器、茶碗蒸し容器、インスタントラーメン容器、米飯容器、レトルト容器、弁当容器等)、飲料容器(例えば、飲料ボトル、チルドコーヒー容器、ワンハンドカップ容器、その他の飲料容器等)、キャップ(例えば、ペットボトルキャップ、1ピースキャップ、2ピースキャップ、インスタントコーヒーのキャップ、調味料キャップ、化粧品容器キャップ等)、医薬品容器(例えば、輸液バッグ、血液バッグ、プレフィルドシリンジ、キット製剤、目薬容器、薬液容器、薬剤容器、液体の長期保存容器、プレススルーパッケージ、ストリップパッケージ、分包、プラスチックバイアル等)、その他各種容器(例えば、インク容器、化粧品容器、シャンプー容器、洗剤容器等)、医療用器具(ディスポーザブルシリンジおよびその部品、カテーテル・チューブ、真空採血管、手術用不織布、血液用フィルター、血液回路などのディスポーザブル器具、人工肺、人工肛門などの人工臓器類の部品、ダイアライザー、試験管、検査キット、縫合糸、湿布基材、歯科用材料の部品、整形外科用材料の部品、コンタクトレンズのケース等)、日用品(例えば、衣装ケース、バケツ、洗面器、バス・トイレタリー用品、筆記用具、文房具、玩具、調理器具、その他各種ケース等)、自動車部品(例えば、インパネ、バンパー、トリム、内装部品、灯体等)、電気・電子部品(例えば、各種電気機器の部材・筐体、半導体搬送容器、光学部品、各種情報メディアケース、太陽電池封止材等)、産業資材(例えば、コンテナ、パレット等)、建材、理化学機器、延伸フィルム、未延伸フィルム、シート、繊維などが挙げられる。
中でも、成形加工時の結晶化速度と埃の付着の抑制とが同時求められる用途、例えば、自動車、家電、産業資材、日用品等の耐久部品、食品容器などにおいて、特に、好適である。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例により何ら限定されるものではない。なお、各実施例および比較例において、用いた物性測定は、以下の方法で行い、プロピレン系重合体(A)、プロピレン系ランダム共重合体(B)、帯電防止剤(C)、および、その他の添加剤(酸化防止剤、中和剤など)としては、以下のものを使用した。
1.物性測定の試験方法
(1)メルトフローレート(MFR)
JIS K7120に準拠して、温度230℃、荷重2.16kgで測定した。
(2)コモノマー含量
13C−NMRにより、プロピレン含有量とコモノマー含有量を測定した。その測定条件は、以下の通りである。
機種:日本電子(株)製GSX−400
溶媒:o−ジクロルベンゼン:重ベンゼン=4:1(体積比)
濃度:100mg/ml
温度:130℃
パルス角:90°
パルス間隔:15秒
積算回数:5,000回以上
(3)試験片の作製
東芝機械製IS−80G射出成形機により、JIS K7152−3に従い、成形温度200℃、金型温度40℃において、小型角板型試験片タイプD2(60mm×60mm×2mm)を成形し、温度23℃、相対湿度50%の恒温室で24時間状態に調節した。
(4)帯電防止性(i)(電荷減衰度)
試験片を、スタチックオネストメーター(シシド静電気社製S−5109)を使用してコロナ放電場(電圧10kV印加)で2分間帯電させ、帯電圧が電圧印加直後の電圧に対して1/2に減衰するまでの時間(半減期)と帯電減衰率とを測定した。
帯電減衰率の算出式は、下記の通り。
帯電減衰率(%)=(Va−Vb)/Va×100
[式中、Vaは、電圧印加直後の帯電圧(V)で、Vbは、印加終了から3分後の帯電圧(V)である。]
また、半減期は小さいほど、帯電減衰率は大きいほど、帯電防止性能が高いことを、表す。
(5)帯電防止性(ii)(表面固有抵抗)
試験片を、ハイレスタIP高抵抗率計(ダイアインスツルメンツ社製MCP−HT260)を用いて、印加電圧100V、2重リング法電極(HRSプローブ)の条件で、電圧印加後10秒後の値として表面固有抵抗値を得た。この値が小さいほど導電性がよく、帯電防止性能が高いことを表す。
(6)結晶化温度
JIS K7121「プラスチックの転移温度測定方法」に従って、降温速度10℃/分にて、DSC測定を行い、結晶化ピーク温度を測定した。この値が大きいほど、成形加工時の結晶化速度が速く、成形性が良好なことを表す。
2.プロピレン系重合体(A)、プロピレン系ランダム共重合体(B)、帯電防止剤(C)および他の添加剤の仕様
(1)プロピレン系重合体(A)
(i)プロピレン系重合体1(PP−1):ノバテックMA3(日本ポリプロ社製)。プロピレン単独重合体、MFR(230℃、荷重2.16kg)が11g/10分。
(ii)プロピレン系重合体2(PP−2):ノバテックMG3F(日本ポリプロ社製)。プロピレン−エチレンランダム共重合体、エチレン濃度が3.0重量%、MFRが8g/10分。
(2)プロピレン系ランダム共重合体(B)
(i)プロピレン系ランダム共重合体1(RPP−1):ビスタマックス6202(エクソンモービル社製)。プロピレン−エチレンランダム共重合体、エチレン濃度が15重量%、MFRが18g/10分。
(ii)プロピレン系ランダム共重合体2(RPP−2):バーシファイ2200(ダウ社製)。プロピレン−エチレンランダム共重合体、エチレン濃度が9重量%、MFRが2g/10分。
(iii)プロピレン系ランダム共重合体3(RPP−3):バーシファイ2400(ダウ社製)。プロピレン−エチレンランダム共重合体、エチレン濃度が15重量%、MFRが2g/10分。
(3)プロピレン系ランダム共重合体(B)に該当しない改質材
エチレン系プラストマー(PE−1):カーネルKS571(日本ポリエチレン社製)。MFR(190℃)が12g/10分。
(4)帯電防止剤(C)
エレクトロストリッパーTS−5(TS−5;花王社製);グリセリンモノステアレート。
(5)酸化防止剤
(i)ヒンダードフェノール系酸化防止剤:イルガノックス1010(IR1010;BASF社製);テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシルフェニル)プロピオネート]メタン。
(ii)リン系酸化防止剤:イルガフォス168(IF168;BASF社製);トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェノール)フォスファイト。
(6)中和剤
(i)ステアリン酸カルシウム(CAST;日油(株)社製) 。
[実施例1〜5及び比較例1〜7]
プロピレン系重合体(A)、プロピレン系ランダム共重合体(B)、帯電防止剤(C)、および、他の添加剤(酸化防止剤、中和剤)などを、表1に記載の配合割合(重量部)で準備し、スーパーミキサーでドライブレンドした後、35ミリ径の2軸押出機を用いて溶融混練した。ダイ出口部温度200℃でダイから押し出して、ペレット化し、得られたペレットを用いて物性を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2015054939
表1から明らかなように、実施例1は、本発明に規定の範囲にあるプロピレン系重合体(A)に該当するプロピレン単独重合体(PP−1)80重量部に対して、本発明に規定の範囲にあるプロピレン系ランダム共重合体(B)に該当するプロピレン−エチレンランダム共重合体(RPP−1)20重量部を加え、さらに本発明に規定の範囲にある帯電防止剤(C)を0.4重量部配合したものである。成形後の測定までの時間が短いにもかかわらず、半減期が1秒ときわめて小さく、帯電減衰率は100%と完全に減衰している。さらに表面固有抵抗が10の11乗台と低いことから、帯電防止性能は、非常に良好であることが分かる。一方、結晶化温度は、114℃と高いことから、成形加工時の結晶化速度が速く、成形性が良好であることがわかる。
また、実施例2、3は、実施例1における帯電防止剤(C)の濃度を、0.1〜0.2重量部に減らしたものである。帯電防止剤を1/2〜1/4ときわめて少ない濃度に削減したにもかかわらず、高い帯電防止性能を維持していることがわかる。また、結晶化温度も高く、成形性も良好であることがわかる。
さらに、実施例4、5は、実施例1におけるプロピレン系ランダム共重合体(B)を、本発明に規定の範囲でMFR、コモノマー濃度を変えたものである。いずれも、高い帯電防止性能と成形性を発現していることがわかる。
一方、比較例1〜3は、実施例1〜3から、本発明に規定の範囲にあるプロピレン系ランダム共重合体(B)を排除し、本発明に規定の範囲にあるプロピレン系重合体(A)と帯電防止剤(C)のみを配合したものである。プロピレン系ランダム共重合体(B)を使用しない場合には、帯電防止剤(C)の配合濃度を増加させても、成形後の日数が短い場合には十分な帯電防止性能が発現していないことがわかる。
また、比較例4〜6は、プロピレン系重合体(A)の結晶性を低下させるために、比較例1〜3におけるプロピレン系単独重合体(PP−1)を、プロピレン−エチレンランダム共重合体(PP−2)に置き換えたものである。プロピレン系ランダム共重合体(B)を使用しない場合には、仮にプロピレン系重合体(A)の結晶性を低下させても、帯電防止剤(C)の配合濃度をかなり増加させない限り、成形後の日数が短い場合には十分な帯電防止性能が発現しないことがわかる。また、プロピレン系重合体(A)の結晶性を低下させたために、結晶化温度が低下しており、成形性が大きく損なわれていることがわかる。特に、比較例6では、帯電防止性能が良好であるものの、結晶化温度は、102℃と低いことから、成形性が大きく損なわれていることがわかる。このように、本発明に規定のプロピレン系ランダム共重合体(B)の添加は、単なるプロピレン系重合体(A)の結晶性の低下では得られない非常に有益な効果をもたらしていると言うことができる。
さらに、比較例7は、実施例1におけるプロピレン系ランダム共重合体(B)の代わりに、本発明に規定の範囲から外れる改質材を添加したものである。帯電防止剤(C)の配合濃度が高いにもかかわらず、表面固有抵抗が10の12乗台までしか下がっておらず、帯電防止性能は、実施例1、4、5に比べて劣る。逆に言えば、本発明に規定のプロピレン系ランダム共重合体(B)を添加した場合には、他の改質材を加えた場合に比べて、特異的な効果が発現すると言うことができる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物およびその成形品は、成形後短時間における帯電防止性と成形加工時の結晶化速度に優れたもので、公知の成形方法によって、埃の付着の少ない高品位の成形品を経済的な成形性とともに提供することができる。また、本発明のプロピレン系樹脂組成物およびその成形品は、その優れた物性バランスにより、自動車、家電、産業資材、日用品等の耐久部品、食品容器などにおいて、きわめて有用である。

Claims (6)

  1. プロピレン系重合体(A)50〜99重量部、プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンとのランダム共重合体であって、エチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンの含有量が5〜20重量%であるプロピレン系ランダム共重合体(B)1〜50重量部、並びに、プロピレン系重合体(A)とプロピレン系ランダム共重合体(B)との合計樹脂成分100重量部[但し、プロピレン系重合体(A)とプロピレン系ランダム共重合体(B)とは重合ブレンドを除く方法で混合して得られたものである。]に対し、帯電防止剤(C)0.01〜2.0重量部を含有することを特徴とするプロピレン系樹脂組成物。
  2. プロピレン系重合体(A)は、プロピレンの単独重合体であることを特徴とする請求項1に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  3. プロピレン系重合体(A)は、プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンとのランダム共重合体であって、エチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンの含有量が0.1重量%以上、5重量%未満であることを特徴とする請求項1に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  4. プロピレン系重合体(A)は、下記の結晶性成分(A1)と非晶性成分(A2)との2成分からなり、その重量比(A1:A2)が50〜95:5〜50であることを特徴とする請求項1に記載のプロピレン系樹脂組成物。
    結晶性成分(A1):プロピレンの単独重合体、又は、プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンとのランダム共重合体であって、エチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンの含有量が0.1〜5重量%であるプロピレン系ランダム共重合体の結晶性成分。
    非晶性成分(A2):プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンとのランダム共重合体であって、エチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンの含有量が20〜80重量%であるプロピレン系ランダム共重合体の非晶性成分。
  5. 帯電防止剤(C)は、多価アルコール脂肪酸エステル系帯電防止剤、アミン系帯電防止剤、アミド系帯電防止剤および高級アルコール系帯電防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂組成物を成形してなる成形品。
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